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特許7429739ルテイン類またはその塩およびヒシ属植物の加工物を含有する脳機能障害の予防および/または改善用組成物
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  • 特許-ルテイン類またはその塩およびヒシ属植物の加工物を含有する脳機能障害の予防および/または改善用組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】ルテイン類またはその塩およびヒシ属植物の加工物を含有する脳機能障害の予防および/または改善用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/047 20060101AFI20240201BHJP
   A61K 36/185 20060101ALI20240201BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20240201BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240201BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20240201BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20240201BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20240201BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20240201BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20240201BHJP
   A23L 33/10 20160101ALI20240201BHJP
【FI】
A61K31/047
A61K36/185
A61K9/48
A61K9/08
A61K9/06
A61K9/20
A61K9/14
A61P25/28
A23L33/105
A23L33/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022133151
(22)【出願日】2022-08-24
(62)【分割の表示】P 2019521299の分割
【原出願日】2018-05-31
(65)【公開番号】P2022169695
(43)【公開日】2022-11-09
【審査請求日】2022-09-22
(31)【優先権主張番号】P 2017109046
(32)【優先日】2017-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000177634
【氏名又は名称】参天製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100156155
【弁理士】
【氏名又は名称】水原 正弘
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 毅
(72)【発明者】
【氏名】前田 英人
(72)【発明者】
【氏名】林 幸子
(72)【発明者】
【氏名】澤野 有里
(72)【発明者】
【氏名】南里 友明
【審査官】鶴見 秀紀
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-510129(JP,A)
【文献】特表2016-520540(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2010-0086680(KR,A)
【文献】J.Agric.Food Chem.,2011年,Vol.59,No.23,pp.12691-12696
【文献】Cell Biology and Toxicology,2016年,Vol.33,No.1,pp.57-67
【文献】FEBS Letters,2011年,Vol.585,No.8, pp.1249-1254
【文献】Indian.J.Exp.Biol.,2010年,Vol.48,No.4,pp.378-382
【文献】Indian Drugs,2017年,Vol.54,No.3,pp.39-43,(ABSTRACT),[online]STN,EMBASE, AN.20170372794,DN.616396782
【文献】J.Pharmacy.Pharm.Sci.,2010年,Vol.2,No.SUPPL.2,pp.32-35
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 36/00-36/9068
A61K 9/00-9/72
A61P 25/28
A23L 33/00-33/29
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルテインおよびヒシエキスを含有する、脳機能障害の予防および/または改善用組成物であって、前記ヒシエキスがトウビシ果皮を原料とした熱水抽出エキスである、組成物
【請求項2】
経口または非経口投与するための、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
医薬組成物である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
食品組成物である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
健康食品、機能性食品、栄養補助食品、サプリメント、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能性食品または機能性表示食品である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
ソフトカプセル、ハードカプセル、液剤、ゼリー、グミ、錠剤または散剤の形態である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
脳機能障害が、脳機能低下およびそれに伴う自覚症状である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
脳機能低下およびそれに伴う自覚症状が、認知、学習および記憶機能の低下である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
脳機能障害が、アルツハイマー病または認知症である、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルテイン類またはその塩およびヒシ属植物の加工物を有効成分として含有する、脳機能障害の予防および/または改善用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢化社会の影響で、老化に伴う脳機能の低下に起因する脳疾患、例えば、記憶障害、認知症、アルツハイマー症などの患者が増加しており、大きな社会問題となっている。また、老化に加えて、βアミロイドタンパク質が脳内に蓄積することによって脳神経細胞が死滅して、認知症やアルツハイマー病などの脳機能障害を引き起こすことも知られている。
認知症などの脳機能障害の治療剤は、脳関門を通過する物質に限られており、有効な治療剤はほとんど存在していない。さらに、脳機能障害の治療剤は、長期間の服用が必要であり、副作用が大きく、そして、組み合わせによる弊害がある。そのため、脳機能低下、脳疾患などに有効な予防および/または治療方法は確立されているとは言えない。そこで、脳機能障害の予防・治療用の医薬に加えて、副作用や毒性がなく長期間にわたって摂取できる飲食品の形態、例えば、サプリメントとして摂取できる脳機能障害の予防・改善用の飲食品の開発が望まれている。
【0003】
カロテノイドの一種であるルテインは、眼の健康維持、白内障や加齢黄斑症の治療または予防に効果があることが知られており、眼科分野において医薬品またはサプリメントとして広く用いられている。ルテインは、抗酸化作用を有していることから、眼科疾患以外にも、活性酸素の酸化によって起こる老化に伴う現象に使用することもできる。例えば、非特許文献1には、ルテインが老化に伴う認知症やアルツハイマー病に有効である可能性が示唆されている。
【0004】
ヒシ属(Trapa)植物は、果実に滋養強壮、消化促進の効能があり、全草を煎じて飲むことにより、二日酔い防止および視力の改善効果をもたらすため、医薬品や食品として用いられている。
特許文献1には、加齢関連疾患ではメイラード反応により生成される終末糖化産物(advanced glycation end products: AGEs)の蓄積が有意に増加すること、ヒシ属植物のエキスがメイラード反応阻害作用を有し、白内障、軟骨の弾力低下、皮膚の老化(皮膚の弾力低下、しわやたるみの原因となるコラーゲンの架橋形成、肌のくすみの原因となる色素沈着など)に伴う現象の抑制に有用である可能性を有すること、そして、メイラード反応が関与することが知られている糖尿病合併症の予防・治療にも有用である可能性を有することが記載されている。特許文献2には、ヒシ科植物が不妊の改善に有用であること、不妊の改善にAGEsの生成阻害が一つの関連ファクターとして挙げられること、そして、AGEsが、アルツハイマー病、パーキンソン病などの神経変性疾患、アルコール性依存症による脳障害、老化現象などへの関与の可能性も示唆されることが記載されている。
しかしながら、ヒシ属植物、例えば、ヒシエキスなどのヒシ属植物の加工物がアルツハイマー病や認知症などの脳機能障害の予防および改善に有用であることは、具体的には報告されていない。また、ヒシ属植物が、脳内βアミロイド蓄積による脳機能低下を改善できることは知られていない。
【0005】
さらに、ルテイン類とヒシエキスなどのヒシ属植物の加工物の組み合わせを、脳機能障害の予防および改善に用いた例は報告されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2010-077123号公報
【文献】特開2016-145182号公報
【非特許文献】
【0007】
【文献】James M. Stringham et al., "Nitric Oxide and Lutein: Function, Performance, and Protection of Neural Tissue", Foods 2015, 4, 678-389; doi: 10.3390/foods4040678
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ルテイン類またはその塩およびヒシ属植物の加工物を有効成分として含有する、脳機能障害の予防および/または改善用組成物、特に医薬および飲食品として利用可能な組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、脳機能障害、特に脳内βアミロイド蓄積に関連する脳機能障害に着目し、複数の天然物由来の成分を組み合わせることによる効果的な治療を求めて種々研究を試行し、鋭意検討した結果、ルテイン類またはその塩とヒシ属植物の加工物を併用または合剤として投与した場合に、βアミロイド単回投与されたマウスにおいて脳機能障害を顕著に改善することを見出し、本発明を完成するに至った。特に、本発明者らは、これらの有効成分を組み合わせることによって、従来のルテイン投与より予防・改善効果が顕著に増強しうることを見出した。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の態様の発明を提供するものである。
[1] ルテイン類またはその塩およびヒシ属植物の加工物を有効成分として含有する、脳機能障害の予防および/または改善用組成物。
[2] ルテイン類が、ルテイン、ゼアキサンチンまたはメソゼアキサンチンである、[1]に記載の組成物。
[3] ヒシ属植物が、ツノナシビシ、ヒメビシ、ヒシ、トウビシ、トラパ・ナタンスおよびオニビシからなる群より選択される少なくとも一つである、[1]または[2]に記載の組成物。
[4] ヒシ属植物の加工物が、ヒシ属植物の果皮の粉砕物および/または抽出物である、[1]~[3]のいずれかに記載の組成物。
[5] ルテインまたはその塩およびトウビシの加工物を有効成分として含有する、脳機能障害の予防および/または改善用組成物。
[6] トウビシの加工物が、トウビシの果皮の粉砕物および/または抽出物である、[5]に記載の組成物。
[7] トウビシの加工物が、ヒシエキスである、[5]に記載の組成物。
[8] 経口または非経口投与用である、[1]~[7]のいずれかに記載の組成物。
[9] 医薬組成物である、[1]~[8]のいずれかに記載の組成物。
[10] 食品組成物である、[1]~[8]のいずれかに記載の組成物。
[11] 健康食品、機能性食品、栄養補助食品、サプリメント、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能性食品または機能性表示食品である、[10]に記載の組成物。
[12] ソフトカプセル、ハードカプセル、液剤、ゼリー、グミ、錠剤または散剤である、[1]~[11]のいずれかに記載の組成物。
[13] 脳機能障害が、脳機能低下およびそれに伴う自覚症状である、[1]~[12]のいずれかに記載の組成物。
[14] 脳機能低下およびそれに伴う自覚症状が、認知、学習および記憶機能の低下である、[13]に記載の組成物。
[15] 脳機能障害が、脳内βアミロイド蓄積に関連する疾患である、[1]~[9]および[12]のいずれかに記載の医薬組成物。
[16] 脳機能障害が、脳の錐体細胞の減少に関連する疾患である、[1]~[9]および[12]のいずれかに記載の医薬組成物。
[17] 前記疾患が、アルツハイマー病または認知症である、[15]または[16]に記載の医薬組成物。
[18] 治療上の有効量の、ルテイン類またはその塩とヒシ属植物の加工物とを組み合わせて患者に投与することを特徴とする、脳機能障害の治療方法。
[19] ルテイン類またはその塩とヒシ属植物の加工物とを併用することを特徴とする、[18]に記載の治療方法。
[20] ルテイン類またはその塩とヒシ属植物の加工物を同時にまたは時間を変えて別々に投与することを特徴とする、[19]に記載の治療方法。
[21] 脳機能障害の予防および/または改善に使用するための、ルテイン類またはその塩とヒシ属植物の加工物との組み合わせ。
[22] 脳機能障害を予防および/または治療するための医薬の製造における、ルテイン類またはその塩とヒシ属植物の加工物との組み合わせの使用。
[23] ヒシ属植物の加工物と併用することを特徴とする、ルテイン類またはその塩を含む脳機能障害の予防および/または改善用組成物。
[24] ルテイン類またはその塩と併用することを特徴とする、ヒシ属植物の加工物を含む脳機能障害の予防および/または改善用組成物。
[25] ヒシ属植物の加工物を配合することにより、ルテイン類またはその塩を含む組成物の脳内βアミロイド蓄積の抑制作用を増強する方法。
[26] ルテイン類またはその塩およびヒシ属植物の加工物を有効成分として含有する、脳の錐体細胞の減少抑制剤。
[27] ヒシ属植物の加工物を有効成分として含有する、脳機能障害の予防および/または改善用組成物であって、脳機能障害が脳内βアミロイド蓄積に関連する疾患である、組成物。
[28] 治療上の有効量の、ヒシ属植物の加工物を患者に投与することを特徴とする、脳機能障害の治療方法であって、脳機能障害が脳内βアミロイド蓄積に関連する疾患である、治療方法。
[29] 脳機能障害の予防および/または改善に使用するための、ヒシ属植物の加工物であって、脳機能障害が脳内βアミロイド蓄積に関連する疾患である、ヒシ属植物の加工物。
[30] 脳機能障害を予防および/または治療するための医薬の製造における、ヒシ属植物の加工物の使用であって、脳機能障害が脳内βアミロイド蓄積に関連する疾患である、使用。
[31]ヒシ属植物の加工物を有効成分として含有する、脳機能障害の予防および/または改善用組成物であって、脳機能障害が脳の錐体細胞の減少に関連する疾患である、組成物。
[32] 治療上の有効量の、ヒシ属植物の加工物を患者に投与することを特徴とする、脳機能障害の治療方法であって、脳機能障害が脳の錐体細胞の減少に関連する疾患である、治療方法。
[33] 脳機能障害の予防および/または改善に使用するための、ヒシ属植物の加工物であって、脳機能障害が脳の錐体細胞の減少に関連する疾患である、ヒシ属植物の加工物。
[34] 脳機能障害を予防および/または治療するための医薬の製造における、ヒシ属植物の加工物の使用であって、脳機能障害が脳の錐体細胞の減少に関連する疾患である、使用。
[35] ルテイン類またはその塩を有効成分として含有する、脳機能障害の予防および/または改善用組成物であって、脳機能障害が脳内βアミロイド蓄積に関連する疾患である、組成物。
[36] 治療上の有効量の、ルテイン類またはその塩を患者に投与することを特徴とする、脳機能障害の治療方法であって、脳機能障害が脳内βアミロイド蓄積に関連する疾患である、治療方法。
[37] 脳機能障害の予防および/または改善に使用するための、ルテイン類またはその塩であって、脳機能障害が脳内βアミロイド蓄積に関連する疾患である、ヒシ属植物の加工物。
[38] 脳機能障害を予防および/または治療するための医薬の製造における、ルテイン類またはその塩の使用であって、脳機能障害が脳内βアミロイド蓄積に関連する疾患である、使用。
[39] ルテイン類またはその塩を有効成分として含有する、脳機能障害の予防および/または改善用組成物であって、脳機能障害が脳の錐体細胞の減少に関連する疾患である、組成物。
[40] 治療上の有効量の、ルテイン類またはその塩を患者に投与することを特徴とする、脳機能障害の治療方法であって、脳機能障害が脳の錐体細胞の減少に関連する疾患である、治療方法。
[41] 脳機能障害の予防および/または改善に使用するための、ルテイン類またはその塩であって、脳機能障害が脳の錐体細胞の減少に関連する疾患である、ヒシ属植物の加工物。
[42] 脳機能障害を予防および/または治療するための医薬の製造における、ルテイン類またはその塩の使用であって、脳機能障害が脳の錐体細胞の減少に関連する疾患である、使用。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ルテイン類またはその塩およびヒシ属植物の加工物を併用または合剤として投与することにより、脳機能を正常状態に改善することが期待できる。また、ルテイン類またはその塩およびヒシ属植物の加工物は、医薬組成物および食品組成物としての利用が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】各群(偽手術、対照、ヒシエキス、ルテイン、ヒシエキス+ルテイン)のY迷路試験の結果を示す。なお、図中、棒グラフは各群の自発的交替行動率(%)を示す。
図2】各群(偽手術、対照、ヒシエキス、ルテイン、ヒシエキス+ルテイン)のクリューバー・バレラ(KB)染色組織標本の海馬CA1領域の錐体細胞層の面積(μm)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明について詳細に説明する。
【0014】
本発明において、「ルテイン類」とは、植物、動物、微生物などの天然物由来のもの、例えば、マリーゴールド、ホウレンソウ、ケールなどの植物、卵黄、目の網膜、黄斑などから抽出・精製されたルテイン若しくはその代謝物又は化学的に合成されたルテイン若しくは代謝物(一般的な合成方法で製造されたもの)をいう。また、天然物由来のものは、原料の種類、産地、製造方法は、特に限定されるものではない。
さらに、ルテイン類は、生理学的又は医薬的に許容される種々の塩形態で用いてもよい。塩形態としては、エステル体も含まれる。塩としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸との塩;酢酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸、酒石酸、アジピン酸、グルコン酸、グルコヘプト酸、グルクロン酸、テレフタル酸、メタンスルホン酸、乳酸、馬尿酸、1,2-エタンジスルホン酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸、オレイン酸、パモ酸、ポリガラクツロン酸、ステアリン酸、タンニン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、硫酸ラウリルエステル、硫酸メチル、ナフタレンスルホン酸、スルホサリチル酸等の有機酸との塩;臭素イオン、塩素イオン、ヨウ素イオン等のハロゲンイオンとの塩;リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩;鉄、亜鉛等との金属塩;アンモニアとの塩;トリエチレンジアミン、2-アミノエタノール、2,2-イミノビス(エタノール)、1-デオキシ-1-(メチルアミノ)-2-D-ソルビトール、2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール、プロカイン、N,N-ビス(フェニルメチル)-1,2-エタンジアミン等の有機アミンとの塩などが挙げられる。また、エステル体は、モノエステル体でもジエステル体でもよく、例えば、酢酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、カプリル酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、パルミトオレイン酸、へブタデカン酸、エライジン酸、リシノール酸、ベトロセリン酸、バクセン酸、エレオステアリン酸、プニシン酸、リカン酸、パリナリン酸、ガドール酸、5-エイコセン酸、5-ドコセン酸、セトール酸、エルシン酸、5,13-ドコサジエン酸、セラコール酸、デセン酸、ステリング酸、ドデセン酸、オレイン酸、ステアリン酸、エイコサオペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等とのエステル体が挙げられる。
【0015】
ルテイン類の例として、特に限定されないが、ルテイン、ゼアキサンチン、メソゼアキサンチンが挙げられる。本発明におけるルテイン類またはその塩は、好ましくはルテインまたはその塩である。本発明におけるルテイン類またはその塩は、2種類以上含んでいてもよい。
【0016】
本発明において、「ルテイン」とは、化学名が(3R,3’R,6’R)-β,ε-カロテン-3,3’-ジオールであり、下記式:
【化1】
で表される化合物である。ルテインは、緑黄色野菜に多く含まれるカロテノイドの一種であり、体内に存在する主要なカロテノイドの一つである。
【0017】
本発明において、「ゼアキサンチン」とは、化学名が(3R,3’R)-β,β-カロテン-3,3’-ジオールであり、下記式:
【化2】
で表される化合物である。ゼアキサンチンは、βカロテンに類似の脂溶性物質であり、ルテインの構造異性体(ルテインの代謝物)である。ゼアキサンチンは、黄斑部に多く存在し、黄斑部を保護する作用を有する。
【0018】
本発明において、「メソゼアキサンチン」とは、化学名が(3R,3’S)-β,β-カロテン-3,3’-ジオールであり、下記式:
【化3】
で表される化合物である。メソゼアキサンチンは、ゼアキサンチンの立体異性体(ルテインの代謝物)である。メソゼアキサンチンは、ゼアキサンチンと同様の作用を有するとされている。
【0019】
ルテイン類またはその塩は、本発明の組成物の総重量に対して、例えば、0.1~90重量%、好ましくは0.5~80重量%、より好ましくは1~70重量%、更に好ましくは1.5~60重量%、特に好ましくは2~50重量%の量で配合することができる。
【0020】
ルテイン類またはその塩は、成人に対して、1日当たり例えば、0.1~500mg、好ましくは0.5~250mg、より好ましくは1~100mg、更に好ましくは3~75mg、特に好ましくは5~50mgの量で投与することができる。
【0021】
本発明において、「ヒシ属植物」とは、ヒシ科の一年生の水草をいう。ヒシ属(Trapa)植物の具体例として、特に限定されるものではないが、ツノナシビシ(Trapa acornis Nakano)、ヒメビシ(Trapa incisa Sieb. et Zuc.)、ヒシ(Trapa japonica Flerov)、トウビシ(Trapa bispinosa Roxb.)、トラパ・ナタンス(Trapa natans L.)、オニビシ(Trapa natans L.var.japonica Nakai)が挙げられる。本発明におけるヒシ属植物は、好ましくはヒシ、トウビシおよびオニビシであり、特に好ましくはトウビシである。
【0022】
本発明において、「ヒシ属植物の加工物」とは、前記ヒシ属植物の全体または各部位から調製・製造できる粉砕物、抽出物およびそれらの乾燥物をいう。ヒシ属植物の部位としては、例えば、花、花穂、果皮、果実、果肉、茎、葉、枝、枝葉、幹、樹皮、根茎、根皮、根、種子、虫えい、心材、地上部および地下部が挙げられ、特に好ましくは果皮である。ヒシ属植物の加工物は、例えば、各部位をそのまま、または適当な大きさに切断、粉砕、搾汁、溶媒抽出により、また、所望によりそれらを乾燥させることで調製・製造することができる。さらに、2種類以上のヒシ属植物の各部位を適宜混合して調製・製造することもできる。
【0023】
ヒシ属植物の抽出物の抽出方法には、これらに限定されるものではないが、バッチ抽出、カラム抽出を用いた連続抽出などが挙げられる。抽出溶媒として、例えば、水、有機溶媒またはそれらの混合溶媒を使用することができる。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノールなどの低級アルコール、クロロホルム、酢酸エチル、n-ヘキサンが挙げられる。好ましくは、水、メタノールまたはエタノールである。また、これらの溶媒を2種類以上混合して用いてもよい。
【0024】
抽出溶媒の使用量は、ヒシ属植物の種類や部位、抽出溶媒の種類などにより適宜決定されうる。ヒシ属植物と抽出溶媒との重量比は、例えば、1:2~1:30、好ましくは1:3~1:20、特に好ましくは1:5~1:10である。
また、抽出時間は、例えば、数分~30日、好ましくは1時間~15日であり、抽出温度は、例えば、5~100℃である。
【0025】
ヒシ属植物の抽出物は、抽出した溶液のままで用いることができ、必要に応じて、さらに精製処理を加えることもできる。該精製処理は、通常の方法により行えばよく、例えば、ヒシ属植物の抽出物を常法によりろ過することで精製することができる。その後、得られたろ液を減圧濃縮、凍結乾燥などして、ヒシ属植物の乾燥物とすることもできる。
【0026】
ヒシ属植物の加工物として、例えば、ヒシ属植物の果皮の抽出物またはその乾燥物を使用することができる。ヒシ属植物の果皮の抽出物またはその乾燥物は、例えば、ヒシ属植物の果皮を水やメタノール、エタノールなどの低級アルコールで抽出し、ろ過、濃縮し、場合により賦形剤などの添加剤を加えて乾燥することにより、調製・製造することができる。
【0027】
ヒシ属植物の加工物としては、トウビシの加工物であるヒシエキスが特に好ましい。ヒシエキスは、トウビシ果皮を原料とした熱水抽出エキスであり、抗糖化活性成分であるポリフェノール類を多量に含む。
【0028】
ヒシ属植物の加工物は、本発明の組成物の総重量に対して、例えば、0.1~99重量%、好ましくは1~95重量%、より好ましくは10~90重量%、更に好ましくは25~85重量%、特に好ましくは60~80重量%の量で配合することができる。
【0029】
ヒシ属植物の加工物は、成人に対して、1日当たり例えば、0.1~2000mg、好ましくは1~1500mg、より好ましくは10~1000mg、更に好ましくは25~500mg、特に好ましくは50~300mgの量で投与することができる。
【0030】
ヒシ属植物の加工物には、ポリフェノールが含まれる。本発明において、ヒシ属植物の加工物の総重量に対するポリフェノールの含量の下限は、例えば0.1重量%、好ましくは5重量%、特に好ましくは10重量%である。また、その上限は、例えば80重量%、好ましくは70重量%、特に好ましくは60重量%である。さらに、それらの上限と下限は適宜組み合わせて使用することができる。より具体的には、ヒシ属植物の加工物の総重量に対するポリフェノールの含量は、例えば0.1~80重量%、好ましくは5~70重量%、特に好ましくは10~60重量%である。また、ポリフェノール含量は、例えば、FOLIN-CIOCALTEU法等により測定することができる。
【0031】
ヒシ属植物の加工物がヒシ属植物の果皮の抽出物である場合、ヒシ属植物の果皮の抽出物の総重量に対するポリフェノールの含量の下限は、例えば0.1重量%、好ましくは1重量%、より好ましくは5重量%、更に好ましくは10重量%、特に好ましくは20重量%である。また、その上限は、例えば90重量%、好ましくは80重量%、より好ましくは70重量%、更に好ましくは65重量%、特に好ましくは60重量%である。さらに、それらの上限と下限は適宜組み合わせて使用することができる。より具体的には、ヒシ属植物の果皮の抽出物の総重量に対するポリフェノールの含量は、例えば0.1~90重量%、好ましくは1~80重量%、より好ましくは5~70重量%、更に好ましくは10~65重量%、特に好ましくは20~60重量%である。
【0032】
本発明において、「脳機能障害」とは、脳自体および神経系に関する脳機能低下を引き起こす障害であり、例えば、失語症、注意障害、記憶障害、行動と感情の障害、半側空間無視、遂行機能障害、失行症、半側身体失認、地誌的記憶障害、失認症などの症状が1以上複合している障害をいう。
【0033】
本発明において、「脳機能低下」とは、加齢または疾病による脳機能低下を意味し、脳機能の維持も含む。また、脳内へのβアミロイド蓄積による脳機能低下および脳の錐体細胞の減少による脳機能低下も含む。脳機能低下を誘発する疾患としては、加齢に伴う老化、アルツハイマー病、認知症が挙げられる。また、本発明において、「それに伴う自覚症状」とは、脳機能低下による自覚症状であればよく、例えば、認知、学習、記憶、知能および意欲の低下が挙げられる。
【0034】
本発明において、「脳機能障害の予防および/または改善用組成物」とは、脳機能低下を引き起こす疾患およびそれに伴う自覚症状を予防、改善および/または治療するための組成物である。ここで、本発明において、「改善」とは、疾患の症状・状態の好転、疾患の症状・状態の悪化の防止もしくは遅延、疾患の症状の進行の逆転、防止もしくは遅延または疾患の治療を意味し、「予防」とは、適用対象における疾患の発症の防止もしくは発症の遅延または適用対象の疾患の発症の危険性を低下させることを意味する。
本発明において、「治療」とは、疾患のあらゆる治療(例えば、改善、軽減、進行の抑制など)を意味する。また、疾患の発症および/または進行の阻止を含んでもよい。
【0035】
本発明において、「患者」とは、ヒトおよびその他の動物、例えば、イヌ、ネコ、ウマなどを意味する。患者は、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。
【0036】
本発明において、「治療上の有効量」とは、組織、系、動物またはヒトにおいて、研究者または医師によって要求される生物学的または医薬的応答を誘発する有効成分の量を意味する。また、「治療上の有効量」とは、疾患を治療するために哺乳動物に投与される場合に、その疾患のそのような治療をもたらすために充分である、有効成分(ルテイン類またはその塩、ヒシ属植物の加工物など)の量の意味を包含する。「治療上の有効量」は、有効成分、疾患およびその重篤度、ならびに治療されるべき哺乳動物の年齢、体重などに依存して変化する。
【0037】
さらに、「有効量」とは、適切な用量での投与の際に、急性または慢性の治療効果を生じる、有効成分(ルテイン類、ヒシ属植物の加工物など)の量の意味を包含する。この治療効果としては、疾患/状態および関連する合併症の症状、兆候および基礎にある病理の、検出可能な程度までの予防、矯正、阻害、または逆転が挙げられる。
かかる有効量として、本発明のルテイン類またはヒシ属植物の加工物単独の量、本発明のルテイン類とヒシ属植物の加工物の組み合わせの量および/または他の有効成分と組み合わせた本発明の有効成分の量が挙げられる。
【0038】
本発明において、「錐体細胞」とは、主に大脳皮質に存在する投射性の興奮性神経細胞をいう。大脳皮質の領野内・領野間および皮質から皮質下への情報伝達に重要な役割を果たしている。錐体細胞が萎縮、損傷し、細胞数が減少すると、認知症、アルツハイマー病などの脳機能障害を引き起こす。
ルテイン類またはその塩とヒシ属植物の加工物との組み合わせは、認知症、アルツハイマー病などの脳機能障害を予防および/または改善することにより、脳の錐体細胞の減少を抑制することが期待される。
【0039】
本発明において、ルテイン類またはその塩とヒシ属植物の加工物との組み合わせ比率は、特に限定されるものではなく、脳機能障害の予防および/または改善効果が達成されるように適宜選択することができる。当該組み合わせ比率は、特に限定されるものではないが、例えば、1:100~100:1、好ましくは1:50~5:1、さらに好ましくは1:20~2:1の範囲で適宜選択することができる。
【0040】
本発明のルテイン類またはその塩とヒシ属植物の加工物との組み合わせにおいて、両有効成分は別々に投与してもよく、また単一製剤として一緒に投与してもよい。また、本発明の組み合わせの一方の成分を他方の成分に対して先に、同時に、または後に投与してもよい。これらの成分は、単一製剤形または分離した製剤形での医薬製剤に調製してもよい。
【0041】
本発明のルテイン類またはその塩とヒシ属植物の加工物との組み合わせの形態の例として、特に限定されるものではないが、以下の(I)および(II)の形態が挙げられる:
(I)ルテイン類またはその塩、およびヒシ属植物の加工物の両成分を共に含有する単一製剤(1つの組成物、配合剤)の形態;および
(II)ルテイン類またはその塩を含有する製剤(組成物)と、ヒシ属植物の加工物を含有する製剤(組成物)とをそれぞれ別々の製剤として有する形態。
当該(II)に係る形態の場合においては、各製剤を同時に投与するか、または適宜の時間間隔をあけて別々に投与してもよく、所望の脳機能障害の予防および/または改善効果が達成されるように、適切な投与計画を採用することが可能である。
【0042】
これらの有効成分が単一の製剤で調製される場合、特に限定されるものではないが、ルテイン類またはその塩の1重量部あたりヒシ属植物の加工物が0.01~100重量部、好ましくは0.2~50重量部、より好ましくは0.5~20重量部の比率で混合される。また、単一の製剤においては、特に限定されるものではないが、例えば、その活性成分の和がその製剤の組成物に対して0.1~99重量%含まれている。
【0043】
本発明の組成物は、脳機能障害の予防および/または改善効果を妨げない範囲であれば、他の有効成分(例えば、補助的な効果を有する物質)および添加剤を自体公知の方法により適宜配合してもよい。
【0044】
本発明の組成物に配合されうる他の有効成分としては、例えば、ビタミンA群;カロテノイド類(キサントフィル除く);ビタミンB群;ビタミンC群;ビタミンD群;ビタミンE群;トコトリエノール類;グルタチオンおよびこれらの誘導体またはこれらの塩;カテキン、アントシアニン、タンニン、ルチン、イソフラボン、クロロゲン酸、エラグ酸、クルクミン、クマリンなどのポリフェノール類;リノール酸、α-またはγ-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、イワシ酸、ドコサヘキサエン酸およびその誘導体またはそれらの塩;コラーゲン、エラスチン、フィブロネクチン、ケラチンから選ばれるタンパク質およびそれらの誘導体ならびに加水分解物;グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、サリチル酸などのα-ヒドロキシ酸およびそれらの誘導体またはそれらの塩;血清除蛋白、脾臓、胎盤、鶏冠、ローヤルゼリー、酵母、乳酸菌、ビフィズス菌、霊芝、ニンジン、センブリ、ローズマリー、オウバク、ニンニク、ヒノキチオール、セファランチン、アロエ、サルビア、アルニカ、カミツレ、シラカバ、オトギリソウ、ユーカリ、ムクロジ、センプクカ、ケイケットウ、サンペンズ、ソウハクヒ、トウキ、イブキトラノオ、クララ、サンザシ、シラユリ、ホップ、ノイバラ、ヨクイニン、ドクダミ、海藻、納豆、レモングラス、ハイビスカス、イチョウ葉エキス、ホスファチジルセリンなどの天然物およびそれらの抽出物;アデノシン三リン酸、アデノシン二リン酸、アデノシン一リン酸などのアデニル酸誘導体;鉄、バナジウム、モリブデン、マンガン、銅、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、セレン、ヨウ素などのミネラル類;マンニトール、キシリトール、グルコサミンなどの単糖類;ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸、ヘパリン、ケラタン硫酸、グリコーゲン、キチン、キトサンなどの多糖類;デオキシリボ核酸、リボ核酸などの核酸類;他のグリチルリチン酸、グアニン、ムチン、ユビキノン、α-リポ酸、オクタコサノール、アリシン、アリイン、ならびにそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、ビタミンA群;カロテノイド類(キサントフィル除く);ビタミンB群;ビタミンC群;ビタミンD群;ビタミンE群;トコトリエノール類;グルタチオンおよびこれらの誘導体またはこれらの塩;カテキン、アントシアニン、エラグ酸などのポリフェノール類;リノール酸、α-またはγ-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、イワシ酸、ドコサヘキサエン酸およびその誘導体またはそれらの塩;コラーゲン、エラスチン、フィブロネクチン、ケラチンから選ばれるタンパク質およびそれらの誘導体ならびに加水分解物;銅、亜鉛などのミネラル類;ムチン、ユビキノン、α-リポ酸、ならびにそれらの混合物である。更に好ましくは、ビタミンA群;カロテノイド類(キサントフィル除く);ビタミンC群;ビタミンE群;トコトリエノール類;グルタチオンおよびこれらの誘導体またはこれらの塩;カテキン、アントシアニン、エラグ酸などのポリフェノール類;エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸およびその誘導体またはそれらの塩;銅、亜鉛などのミネラル類;ムチン、ユビキノン、α-リポ酸、ならびにそれらの混合物である。
【0045】
他の有効成分は、組成物の総重量に対して、例えば、0.1~99重量%、好ましくは1~90重量%、より好ましくは5~80重量%、更に好ましくは10~70重量%、特に好ましくは20~60重量%の量で配合してもよい。また、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0046】
本発明の組成物に配合されうる添加剤としては、賦形剤、増粘剤、乳化剤(例えば、蜜蝋、グリセリン脂肪酸エステル)が挙げられる。
【0047】
本発明の組成物は、経口または非経口(例えば、皮下、筋肉内または静脈内)投与することができる。本発明の組成物は、賦形剤、増粘剤、乳化剤などの添加剤と混合して、所望の剤形に調製することができる。本発明の組成物の剤形としては、特に限定されるものではないが、ソフトカプセル、ハードカプセル、液剤、ゼリー、グミ、錠剤、散剤およびゲル状剤などのサプリメントの形態が挙げられる。
【0048】
本発明の組成物は、飲食品および医薬(ヒト以外の哺乳類用医薬品を含む)として使用することができる。本発明において、本発明の組成物の飲食品および医薬への配合量は、特に限定されるものではないが、適用の目的(対象疾患、症状の種類など)、適用対象(ヒト、ヒト以外の動物(好ましくは哺乳類であり、特に好ましくはイヌ、ネコなど))、適用対象部位、適用対象の性別や年齢、飲食品および医薬の形態、これらの投与または摂取方法やその回数、嗜好などに応じて適宜設定されうる。
【0049】
本発明において、本発明の組成物を医薬(医薬品、医薬部外品など)として調製する場合には、ルテイン類またはその塩およびヒシ属植物の加工物と、他の薬効成分、薬学的に許容される担体および添加剤を配合することができる。例えば、薬学的に許容される担体および添加剤として、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、湿潤化剤、緩衝剤、保存剤、香料などを混合して、所望の剤形に調製することができる。医薬の剤形としては、特に限定されるものではないが、注射剤、外用剤、吸入剤、座剤、フィルム剤、トローチ剤、液剤、散剤、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、点眼剤、洗眼剤、点鼻剤が挙げられる。これらの剤形の中でも、経口投与に適した剤形(すなわち、内服用医薬品)が好ましく、例えば、トローチ剤、液剤、散剤、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、ソフトカプセル剤、シロップ剤が特に好ましい。これらの剤形は、例えば、脳機能低下の予防および/または治療のための医薬品として使用することができる。
【0050】
本発明において、本発明の組成物を食品組成物(健康食品、機能性食品、栄養補助食品、サプリメント、保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能性食品、機能性表示食品など)として調製する場合には、ルテイン類またはその塩およびヒシ属植物の加工物と、甘味料、着色料、保存料、増粘剤、安定剤、ゲル化剤、糊剤、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、防かび剤(防ばい剤)、イーストフード、ガムベース、香料、酸味料、調味料、乳化剤、pH調整剤、かんすい、膨脹剤、栄養強化剤またはその他飲食品素材を混合して、所望の形態を調製することができる。本発明の組成物の形態としては、特に限定されないが、ゲル状剤、顆粒、細粒、カプセル、ソフトカプセル、錠剤、粉末、液剤、半固形剤などのサプリメントタイプの食品;炭酸飲料、清涼飲料、乳飲料、アルコール飲料、果汁飲料、茶類、栄養飲料などの飲料;粉末ジュース、粉末スープなどの粉末飲料;ガム、タブレット、キャンディー、クッキー、グミ、せんべい、ビスケット、ゼリーなどの菓子類;パン、麺類、シリアル、ジャム、調味料などの形態が挙げられる。これらの形態は、例えば、脳機能低下の予防および/または改善のための飲食品として使用することができ、例えば、一般の飲食品の他、栄養補助食品、機能性表示食品、特定保健用食品、病者用食品などのニュートラシューティカルとしても使用することもできる。
【0051】
本発明の組成物が食品組成物である場合には、その組成物には、「脳機能低下の予防(もしくは抑止)および/または改善(もしくは治療)」と表示することができる。また、「脳機能低下の予防および/または改善」は、例えば、「健常な中高年者の加齢によって低下する脳の活動性を改善し、認知機能の一部である記憶(言葉や数字、図形などを覚え、思い出すこと)の精度や判断の正確さを向上させる」、「認知機能の一部である記憶(知覚・認識した物事の想起)の精度を高める」、「認知機能の一部である記憶力(言葉・物のイメージ・位置情報を思い出す力)を維持する機能」、「認知機能の一部である、数・ことば・図形・状況などの情報の記憶をサポートする機能がある」、「認知機能の一部である記憶力(日常生活で生じる行動や判断を記憶し、思い出す力)を維持する機能がある」、「認知機能の一部である記憶(言葉や数字、図形などを覚え、思い出すこと)の精度や判断の正確さを向上させる」、「認知機能の一部である記憶(知覚・認識した物事の想起)の精度を高める」、「認知機能の一部である記憶(認知した言葉・物のイメージ・体験を思い出すこと)の精度や判断の正確さを向上させる」、「認知機能の一部である、記憶(言葉、人の顔)を維持する」、「認知機能の一部である記憶力(言葉や図形などを覚え、思い出す能力)を維持する」、「認知機能の一部である記憶力(少し前に見聞きしたことを思い出す力)を維持する」、「認知機能の一部である記憶力(日常生活で見聞きした情報を覚え、思い出す力)を維持する機能がある」、「認知機能の一部である記憶力(数・ことば・状況などの情報を記憶し、思い出す力)を維持する機能がある」、「認知機能の一部である記憶力(見たり聞いたりした内容を記憶し、思い出す力)を維持する機能がある」、「認知機能の一部である記憶力(日常生活で見聞きした情報、言葉・物のイメージ、位置情報を覚え、思い出す力)をサポートする機能がある」、「認知機能の一部である記憶力(日常生活で見たり聞いたりした情報を記憶し、思い出す力)を維持する機能がある」、「認知機能の一部である、数・ことば・図形・物語・色・状況などの情報の記憶をサポートする機能(物を覚えて記憶にとどめる力)」、「日常生活で疲労を感じる方の疲労感を軽減し、頭が冴えない・注意力低下といった疲労に伴う感覚の緩和、単純な記憶や判断を必要とする作業の効率向上に役立つ機能がある」、「中高年の方の加齢に伴い低下する、認知機能の一部である記憶力、注意力、判断力、空間認識力を維持する」、「中高年の方の、認知機能の一部である記憶力(言葉や図形などを覚え、思い出す能力)を維持する」、「中高年の方の加齢に伴い低下する認知機能の一部(記憶力、注意力、判断力、空間認識力)を維持する作用」、「中高年の方の、認知機能の一部である数・ことば・図形・状況などの情報の記憶をサポートする機能がある」、「中高年の方の、認知機能の一部である数・ことば・図形・状況などの情報の記憶をサポートする機能がある」、「健常な中高年の方の加齢に伴い低下する認知機能の一部である記憶力(言葉や図形などを覚え、思い出す能力)を維持する」、「中高年の方の加齢に伴い低下する、認知機能の一部である、数字・文字・図形・空間など情報の記憶をサポートする機能がある」、「加齢に伴う記憶力の低下が気になる方に適した機能(記憶の保持・検索・再生に役立つ)がある」、「加齢により認知機能の一部である記憶機能(情報を記憶し、これをスムーズに思い出して判断する機能)が低下することを緩和する働きがある」、「脳の認知機能の一部である記憶力(少し前に見聞きしたことを思い出す力)を維持する」、「認知機能の一部である運動機能を維持する機能がある」、「脳機能低下に伴う視覚機能(視力・眼球運動・両眼の連携・調節機能などの眼からの入力機能と脳で視覚情報を認知・記憶・イメージする処理機能の連携・調節)低下を改善する」、「加齢により認知機能の一部である視覚機能が低下することを緩和する働きがある」、「脳の認知機能の一部である視覚機能を維持する」、「認知機能の一部である視覚機能を維持する機能がある」などと表示をすることもでき、さらにそれらに類似する表示をすることもできる。表示は、直接的または間接的にすることができ、直接的な表示の例としては、商品自体、パッケージ、容器、ラベル、タグなどの包装への記載が挙げられ、間接的な表示の例としては、取引書類、取扱説明書、添付文書、カタログ、ウェブサイト、店頭、展示会、看板、掲示板、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、電子メールなどによる、広告・宣伝活動が挙げられる。
【実施例
【0052】
以下に、製剤例および試験例の結果を示すが、これらは本発明をより良く理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0053】
製剤例
以下に本発明の代表的な製剤例を示す。なお、下記製剤例において各成分の配合量はソフトカプセルとした場合の1カプセル当たりの含有量である。
製剤例1
1ソフトカプセル中
ルテイン 7.5mg
ヒシエキス 33mg
グリセリン脂肪酸エステル 適量
【0054】
製剤例2
1ソフトカプセル中
ルテイン 7.5mg
ヒシエキス 33mg
ビタミンE 75mg
グリセリン脂肪酸エステル 微量
【0055】
製剤例3
1ソフトカプセル中
ルテイン 7.5mg
ヒシエキス 33mg
ドコサヘキサエン酸 100mg
グリセリン脂肪酸エステル 適量
【0056】
製剤例4
1ソフトカプセル中
ゼアキサンチン 7.5mg
ヒシエキス 33mg
グリセリン脂肪酸エステル 適量
【0057】
製剤例5
1ソフトカプセル中
メソザアキサンチン 7.5mg
ヒシエキス 33mg
グリセリン脂肪酸エステル 適量
【0058】
試験例1
(方法)
Slc:ddY(SPF:Specific-Pathogen-Free)マウス(供給源:日本エスエルシー株式会社)に、試料(媒体対照、ヒシエキス、ルテイン、ヒシエキス+ルテイン)を投与し、その後、βアミロイド溶液を注入して、Y迷路試験を行い、学習障害に対するヒシエキス、ルテインおよびその併用投与の改善作用を評価した。かかる試験は2回実施した。なお、Y迷路試験については、Takayoshi MAMIYA et al., "Effects of Pre-Germinated Brown Rice on β-Amyloid Protein-Induced Learning and Memory Deficits in Mice", Biol. Pharm. Bull., July 2004, 27(7), 1041-1045に準じて行い、評価した。
[使用動物]
雄性、5週齢、Slc:ddY(SPF)マウス(体重:23~28 g:n=32)
上記マウスを用いて、以下の手順にしたがってモデルマウスを作製した:マウスをペントバルビタールナトリウム(東京化成工業株式会社)40 mg/kgで腹腔内投与(投与液量:10 mL/kg)し、麻酔した。麻酔後、頭皮にレボブピバカイン塩酸塩(ポプスカイン(登録商標)0.25%注、丸石製薬株式会社)を皮下投与(0.1 mL)した。マウスの頭頂部の毛を刈り、頭部を脳定位固定装置に固定した。頭皮をヨードチンキで消毒後に切開して、頭蓋骨を露出させ、頭蓋骨上の結合組織を綿棒で取り除いたのち、ブロワーで乾燥させてbregmaの位置を見やすくした。歯科用ドリルを用いて bregmaより側方1 mm(右側)、後方0.2 mmの頭蓋骨にステンレス製パイプ刺入用の穴を開けた。骨表面から2.5 mmの深さまで外径0.5 mmのシリコンチューブ及びマイクロシリンジに接続されたステンレス製パイプを垂直に刺入した。脳室内にβアミロイド溶液3μL(6μmol/3μL)(偽手術群は注射用水を3μL)をマイクロシリンジポンプで3分間かけて注入した。注入後は、ステンレス製パイプを挿入したまま3分間静置し、ステンレス製パイプをゆっくりと外した。その後、ステンレス製パイプを取り除き、頭蓋穴を非吸収性骨髄止血剤(ネストップ(登録商標)、アルフレッサファーマ株式会社)で塞ぎ、頭皮を縫合した。マウスを脳定位固定装置から外し、飼育ケージに戻した。
βアミロイド溶液は、βアミロイド(Amyloid-β Protein(25-35); Polypeptide Laboratories)を注射用水で2mMとなるように溶解し、37℃の定温保管庫に4日間インキュベーションして調製した。偽手術用媒体としては、注射用水を用いた。
[試料]
・媒体対照(注射用水+ベニバナ油)
・ヒシエキス
ヒシエキス原材料(林兼産業株式会社)に注射用水(株式会社大塚製薬工場)を加えて、0.2mg/mLとなるように調製した。
・ルテイン
ルテイン(Katra Phytochem [India] Private Limited)にベニバナ油(和光純薬興業株式会社)を加えて、0.04mg/mLとなるように調製した。
[試料の投与]
Slc:ddYマウスを、各群の平均体重がほぼ等しくなるように無作為に5群(偽手術、媒体対照、ヒシエキス、ルテイン、ヒシエキス+ルテイン)に分別した(各実験群あたりn=10)。各群に対して同時期に、試料の投与を開始した。そして、投与開始日から起算して8日目に、βアミロイド溶液の投与および偽手術用媒体(注射用水)の投与を行った。各群に対して投与した試料の種類および投与量は、下表のとおりである。各試料は、10 mL/kgを1日1回、14日間、強制経口投与した。試料は、注射用水またはヒシエキスを投与後10分以降にベニバナ油またはルテインを投与した。また、全ての群において、試験用マウスには、各試料とは別に、MF飼料(オリエンタル酵母株式会社製)を自由摂取させた。
【表1】

[Y迷路試験(自発的交替行動試験)]
Y迷路試験では、1本のアームの長さが39.5 cm、床の幅が4.5 cm、壁の高さが12 cmで、3アームがそれぞれ120度に分岐しているプラスチック製のY字型迷路(有限会社ユニコム)を実験装置として使用した。
14日目投与約1時間後に、マウスをY字型迷路のいずれかのアームに置き、8分間迷路内を自由に探索させた際に移動したアームの順番を記録した。アームに移動した回数を総エントリー数とし、この中で連続して異なる3つのアームを選択した組み合わせの数を自発的交替行動数として、下記の式を用いて自発的交替行動率(%)を算出した。
自発的交替行動率(%)=[自発的交替行動数/(総エントリー数-2)]x100
【0059】
(結果)
モデルマウスに対する各群のY迷路試験の結果を、図1および表2に示す。総エントリー数、自発的交替行動数及び自発的交替行動数は、全ての群においてn=10の平均値として表した。
【表2】
【0060】
自発的交替行動率において、媒体対照群では、偽手術群と比較して、自発的交替行動率の有意な低下が認められた(t検定において、p<0.05)。すなわち、媒体対照群においては、偽手術群に比べて、Y迷路において既に入ったアームを記憶する能力が有意に低下していたことから、アミロイドβの投与によって記憶障害の発生が示唆されている。
一方、ヒシエキス群、ヒシエキス+ルテイン群では、媒体対照群に対して自発的交替行動率が増加した。
【0061】
したがって、ヒシエキス群、およびヒシエキス+ルテイン群のマウスは、Y迷路において既に入ったアームを記憶する能力が媒体対照群よりも向上していることが立証された。ルテイン群では自発的交替行動率で改善作用が見られなかったが、ヒシエキスの投与、ヒシエキス+ルテインの併用により、記憶障害の改善作用に効果があると認められた。
【0062】
以上の試験結果から、ヒシエキス又はヒシエキス+ルテインの投与により、Y迷路において既に入ったアームを記憶する能力の低下が改善され、自発的交替行動率が大幅に増加することが立証された。このことから、ヒシエキス又はヒシエキス+ルテインの投与は、βアミロイドタンパク質に起因する脳機能障害やアルツハイマー型認知症に対して、改善効果を有すると認められ、特にヒシエキス+ルテインの投与は、βアミロイドタンパク質に起因する脳機能障害やアルツハイマー型認知症に対して顕著な改善効果を有する。
【0063】
試験例2
(方法)
試験例1の各実験群のマウスから脳を摘出し、病理組織標本を作製して、病理組織評価を行った。かかる試験は2回実施した。
[脳の摘出]
試験例1の各実験群のマウスを、イソフルラン溶液を用いた麻酔下で、開胸して心臓を露出させ、心耳に切り込みを入れた。注射針を取り付けたポリプロピレン製ディスポーザブル注射筒を用いて、左心室から針を挿入して約30 mLの氷冷した生理食塩液を注入後、約30 mLの10vol%中性緩衝ホルマリン溶液で灌流した。灌流後死亡を確認し、全脳を摘出し、10vol%中性緩衝ホルマリン溶液に浸漬した。
[病理組織標本の作製]
摘出した脳は、常法に従いパラフィン包埋後、bregma-1.70 mm付近で1枚、bregma-2.80 mm付近で1枚の病理切片(連続でない)を作製し、各部位を用いてクリューバー・バレラ染色(KB染色)組織標本を作製した。なお、切り出し後の脳は、10vol%中性緩衝ホルマリンで保存した。
[組織評価]
1)各標本について、 光学顕微鏡像からbregma-1.70 mmおよびbregma-2.80 mmに最も近い海馬CA1領域の錐体細胞層(George Paxinos and Keith B.J. Franklin. (2013). The Mouse Brain in stereotaxic coordinates. Elsevier)を確認し、左右脳のどちらか一方を評価対象として選択した。
2)顕微鏡用デジタルカメラを用いて対物レンズ10倍で撮影した。
3)撮影したデジタル画像を合成し、評価対象を1個の画像とした。
4)海馬CA1領域の錐体細胞層の面積を二次元画像解析ソフトウェアWinROOF2015システム Version 3.6 (三谷商事株式会社)を用いて測定した。
【0064】
(結果)
海馬CA1領域の錐体細胞層の面積の測定結果を、図2および表3に示す。全ての群において、n=2の平均値として表した。
【表3】
【0065】
海馬CA1領域の錐体細胞層の面積において、媒体対照群では、偽手術群と比較して、錐体細胞層の面積の減少が認められた。したがって、アミロイドβの投与によって、脳の錐体細胞が減少することが示された。
一方、ヒシエキス群、ルテイン群、ヒシエキス+ルテイン群では、媒体対照群に対して海馬CA1領域の錐体細胞層の面積の増加が認められた。
【0066】
以上の試験結果から、ヒシエキス、ルテイン又はヒシエキス+ルテインの投与により、脳の錐体細胞の減少が抑制されることが立証された。このことから、ヒシエキス、ルテイン又はヒシエキス+ルテインの投与は、脳の錐体細胞の減少に伴う脳機能障害やアルツハイマー型認知症に対して、予防又は改善効果を有すると認められ、特にヒシエキス+ルテインの投与は、脳の錐体細胞の減少に伴う脳機能障害やアルツハイマー型認知症に対して顕著な改善効果を有する。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、有効成分としてルテイン類またはその塩およびヒシ属植物の加工物を使用することから、医薬組成物としてだけではなく、飲食品やサプリメントなどの食品組成物としても有用であり、幅広い分野において、安全性が高い脳機能障害の予防および/または改善用組成物を提供することが可能である。
図1
図2