(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】液体吸引装置及びサンプル分析装置
(51)【国際特許分類】
G01N 35/10 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
G01N35/10 C
(21)【出願番号】P 2022199913
(22)【出願日】2022-12-15
【審査請求日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】202111650978.9
(32)【優先日】2021-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518344542
【氏名又は名称】シェンチェン・ニュー・インダストリーズ・バイオメディカル・エンジニアリング・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100142365
【氏名又は名称】白井 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】熊英超
(72)【発明者】
【氏名】呉東培
(72)【発明者】
【氏名】易万貫
(72)【発明者】
【氏名】李江
【審査官】鴨志田 健太
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-032710(JP,A)
【文献】特開2004-279356(JP,A)
【文献】特開昭56-150357(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111735981(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の収容キャビティを有する収容カセットから液体を吸引するための液体吸引装置であって、
支持部材と、
複数の液体吸引機構であって、各前記液体吸引機構は、いずれも回転ユニットを含み、前記回転ユニットは、前記支持部材に摺動接続され、かつ回転軸を含み、前記回転軸の中心軸線は、重力方向に沿って延在し、前記液体吸引機構は、前記回転軸周りに公転可能であり、前記収容カセットにおける異なる前記収容キャビティ内の液体は、同時に複数の前記液体吸引機構によって吸引され得る液体吸引機構と、を含
み、
複数の前記液体吸引機構の運動軌跡からなる境界は、閉ループ状の両腰形曲線であることを特徴とする、液体吸引装置。
【請求項2】
前記液体吸引機構は、液体吸引ユニットをさらに含み、前記液体吸引ユニットは、液体吸引本体を含み、前記液体吸引本体は、前記回転軸周りに公転可能であり、異なる前記液体吸引本体が前記回転軸周りに公転する軌跡を重ね合わせると、同一の収容カセットにおける全ての収容キャビティをカバーすることができることを特徴とする、請求項1に記載の液体吸引装置。
【請求項3】
前記液体吸引本体は2つであり、一方の前記液体吸引機構における前記液体吸引本体を第1の液体吸引本体とし、他方の前記液体吸引機構における前記液体吸引本体を第2の液体吸引本体とし、前記第1の液体吸引本体が回転した軌跡は第1の円であり、前記第2の液体吸引本体が回転した軌跡は第2の円であり、2つの前記液体吸引本体が同一の前記収容カセットにおける異なる前記収容キャビティから液体を吸引するように、前記第1の円及び前記第2の円が位置する領域は、それぞれ同一の前記収容カセットにおける一部の連続した前記収容キャビティをカバーすることができることを特徴とする、請求項2に記載の液体吸引装置。
【請求項4】
前記第1の円と前記第2の円の両者の中心を結ぶ線が重力方向に垂直である条件で、前記第1の円は、前記第2の円と交わるか又は接することを特徴とする、請求項3に記載の液体吸引装置。
【請求項5】
前記第1の円が前記第2の円と交わる場合、前記第1の円の前記第2の円内にある円弧を第1の円弧とし、前記第2の円の前記第1の円内にある円弧を第2の円弧とし、前記第1の円弧と前記第2の円弧の両者に対応する中心角は、いずれも180°より小さいことを特徴とする、請求項4に記載の液体吸引装置。
【請求項6】
前記第1の円が前記第2の円と交わる場合、同一の前記収容カセットにおける2つの円のカバー領域内に同時に位置する収容キャビティの数が2つ以下であることを特徴とする、請求項4に記載の液体吸引装置。
【請求項7】
前記第1の円と前記第2の円が同時に同一の前記収容カセットにおける1つの収容キャビティをカバーし、かつ前記第1の液体吸引本体が前記1つの収容キャビティに対する液体吸引動作を実行する場合、前記第2の液体吸引本体は、前記第2の円内の他の収容キャビティに対する液体吸引動作を担うことを特徴とする、請求項6に記載の液体吸引装置。
【請求項8】
同一の収容カセットに7つの収容キャビティが設置され、各収容キャビティは、異なる成分の液体を収容し、収容カセットの一端から他端まで、7つの収容キャビティを順に第1のキャビティ、第2のキャビティ、第3のキャビティ、第4のキャビティ、第5のキャビティ、第6のキャビティ及び第7のキャビティとし、前記第5のキャビティは、前記第1の円と前記第2の円の共通カバー領域内に位置することを特徴とする、請求項7に記載の液体吸引装置。
【請求項9】
前記第1の円と前記第2の円は、直径が等しく、前記第1の円弧と前記第2の円弧の両者に対応する中心角が等しいことを特徴とする、請求項5に記載の液体吸引装置。
【請求項10】
前記液体吸引機構は2つであり、2つの前記液体吸引機構は、それぞれ前記支持部材に対して、重力方向に垂直に延在しかつ互いに平行な2本の直線に沿って摺動可能であり、前記支持部材は、ガイドレールを含み、前記ガイドレールの数は、前記液体吸引機構の数と一致し、2つの前記液体吸引機構は、それぞれ対応する前記ガイドレールに直線摺動し、2つの前記ガイドレールは、同一の前記支持部材に位置することを特徴とする、請求項1に記載の液体吸引装置。
【請求項11】
前記支持部材は、板状構造であり、2つの前記液体吸引機構は、いずれも前記支持部材の厚さ方向の同じ側に位置することを特徴とする、請求項
10に記載の液体吸引装置。
【請求項12】
前記液体吸引本体の中心軸線と前記回転軸の中心軸線は、互いに平行であり、互いに一定の距離離れることを特徴とする、請求項2に記載の液体吸引装置。
【請求項13】
前記液体吸引ユニットは、支持アームをさらに含み、前記支持アームは、前記回転軸に接続され、前記液体吸引本体は、前記支持アームに摺動接続されることを特徴とする、請求項
12に記載の液体吸引装置。
【請求項14】
前記液体吸引ユニットは、パワーアセンブリをさらに含み、前記パワーアセンブリは、前記支持アームに接続され、摺動するように前記液体吸引本体を駆動することを特徴とする、請求項
13に記載の液体吸引装置。
【請求項15】
請求項1~
14のいずれか一項に記載の液体吸引装置を含むことを特徴とする、サンプル分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療機器の技術分野に関し、特に、液体吸引装置及びサンプル分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機器の技術分野において、サンプルと試薬の取り出しと混合の作業は、重要なポイントとなっており、一般的な方式は、液体吸引装置を用いて試薬又はサンプル等の液体を収容カセットからキュベットに添加することである。しかし、従来の液体吸引装置は、収容カセットから1種の液体を吸引してキュベットに注入した後、収容カセットに戻って第2の液体を吸引し、このようにして複数回往復してこそ全ての吸引動作を完了することができ、液体吸引の効率低下を招く。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
液体吸引装置の作業効率をどのように向上させるかは、本発明が解決しようとする1つの技術的問題である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
複数の収容キャビティを有する収容カセットから液体を吸引するための液体吸引装置は、
支持部材と、
複数の液体吸引機構であって、各前記液体吸引機構は、いずれも回転ユニットを含み、前記回転ユニットは、前記支持部材に摺動接続され、かつ回転軸を含み、前記回転軸の中心軸線は、重力方向に沿って延在し、前記液体吸引機構は、前記回転軸周りに公転可能であり、前記収容カセットにおける異なる前記収容キャビティ内の液体は、同時に複数の前記液体吸引機構によって吸引され得る液体吸引機構と、を含む。
【0005】
一実施例では、前記液体吸引機構は、液体吸引ユニットをさらに含み、前記液体吸引ユニットは、液体吸引本体を含み、前記液体吸引本体は、前記回転軸周りに公転可能であり、異なる前記液体吸引本体が前記回転軸周りに公転する軌跡を重ね合わせると、同一の収容カセットにおける全ての収容キャビティをカバーすることができる。
【0006】
一実施例では、前記液体吸引本体は2つであり、一方の前記液体吸引機構における前記液体吸引本体を第1の液体吸引本体とし、他方の前記液体吸引機構における前記液体吸引本体を第2の液体吸引本体とし、前記第1の液体吸引本体が回転した軌跡は第1の円であり、前記第2の液体吸引本体が回転した軌跡は第2の円であり、2つの前記液体吸引本体が同一の前記収容カセットにおける異なる前記収容キャビティから液体を吸引するように、前記第1の円及び前記第2の円が位置する領域は、それぞれ同一の前記収容カセットにおける一部の連続した前記収容キャビティをカバーすることができる。
【0007】
一実施例では、前記第1の円と前記第2の円の両者の中心を結ぶ線が重力方向に垂直である条件で、前記第1の円は、前記第2の円と交わるか又は接する。
【0008】
一実施例では、前記第1の円が前記第2の円と交わる場合、前記第1の円の前記第2の円内にある円弧を第1の円弧とし、前記第2の円の前記第1の円内にある円弧を第2の円弧とし、前記第1の円弧と前記第2の円弧の両者に対応する中心角は、いずれも180°より小さい。
【0009】
一実施例では、前記第1の円が前記第2の円と交わる場合、同一の前記収容カセットにおける2つの円のカバー領域内に同時に位置する収容キャビティの数が2つ以下である。
【0010】
一実施例では、前記第1の円と前記第2の円が同時に同一の前記収容カセットにおける1つの収容キャビティをカバーし、かつ前記第1の液体吸引本体が前記1つの収容キャビティに対する液体吸引動作を実行する場合、前記第2の液体吸引本体は、前記第2の円内の他の収容キャビティに対する液体吸引動作を担う。
【0011】
一実施例では、同一の収容カセットに7つの収容キャビティが設置され、各収容キャビティは、異なる成分の液体を収容し、収容カセットの一端から他端まで、7つの収容キャビティを順に第1のキャビティ、第2のキャビティ、第3のキャビティ、第4のキャビティ、第5のキャビティ、第6のキャビティ及び第7のキャビティとし、前記第5のキャビティは、前記第1の円と前記第2の円の共通カバー領域内に位置する。
【0012】
一実施例では、複数の前記液体吸引機構の運動軌跡からなる境界は、閉ループ状の両腰形曲線である。
【0013】
一実施例では、前記第1の円と前記第2の円は、直径が等しく、前記第1の円弧と前記第2の円弧の両者に対応する中心角が等しい。
【0014】
一実施例では、前記液体吸引機構は2つであり、2つの前記液体吸引機構は、それぞれ前記支持部材に対して、重力方向に垂直に延在しかつ互いに平行な2本の直線に沿って摺動可能であり、前記支持部材は、ガイドレールを含み、前記ガイドレールの数は、前記液体吸引機構の数と一致し、2つの前記液体吸引機構は、それぞれ対応する前記ガイドレールに直線摺動し、2つの前記ガイドレールは、同一の前記支持部材に位置する。
【0015】
一実施例では、前記支持部材は、板状構造であり、2つの前記液体吸引機構は、いずれも前記支持部材の厚さ方向の同じ側に位置する。
【0016】
一実施例では、前記液体吸引本体の中心軸線と前記回転軸の中心軸線は、互いに平行であり、互いに一定の距離離れる。
【0017】
一実施例では、前記液体吸引ユニットは、支持アームをさらに含み、前記支持アームは、前記回転軸に接続され、前記液体吸引本体は、前記支持アームに摺動接続される。
【0018】
一実施例では、前記液体吸引ユニットは、パワーアセンブリをさらに含み、前記パワーアセンブリは、前記支持アームに接続され、摺動するように前記液体吸引本体を駆動する。
【0019】
サンプル分析装置は、上記いずれか一項に記載の液体吸引装置を含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一実施例の1つの技術的作用は、以下のとおりである。複数の液体吸引機構を設置することにより、各液体吸引機構は、重力方向に沿って延在する直線に対して公転運動することができ、すなわち、各液体吸引機構は、いずれも収容カセットにおける異なる収容キャビティから液体を吸引することができる。このように、液体吸引速度を速くし、作業効率を向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】一実施例に係る液体吸引装置の立体構造概略図である。
【
図2】
図1に示す液体吸引装置の分解構造概略図である。
【
図3】
図1に示す液体吸引装置における支持部材と駆動アセンブリの立体構造概略図である。
【
図4】
図1に示す液体吸引装置における回転ユニットの立体構造概略図である。
【
図5】
図4に示す回転ユニットの分解構造概略図である。
【
図6】
図1に示す液体吸引装置における液体吸引ユニットの立体構造概略図である。
【
図7】
図1に示す液体吸引装置における2つの液体吸引本体の収容カセットに対する運動軌跡の概略図である。
【
図9】
図7における第1の円が矢印方向に沿って移動する際の3つの位置の概略図である。
【
図10】液体吸引方法のプロセスブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の理解を容易にするために、以下、関連する図面を参照して本発明をより全面的に説明する。図面には、本発明の好ましい実施形態が示されている。しかし、本発明は、多くの異なる形式で実現することができ、本明細書に記載の実施形態に限定されるものではない。逆に、これらの実施形態を提供する目的は、本発明の開示内容に対する理解をより完全かつ全面的にすることである。
【0023】
なお、素子が他の素子に「固定される」と称される場合、当該素子は他の素子上に直接あってもよいが、それらの間に介在する素子が存在してもよい。素子が他の素子に「接続される」と考えられる場合、当該素子は他の素子に直接接続されてもよいが、それらの間に介在する素子が同時に存在してもよい。本明細書に使用する用語「内」、「外」、「左」、「右」及び類似する表現は、単に説明するためのものに過ぎず、唯一の実施形態を表すものではない。
【0024】
図1、
図4、
図7及び
図8を参照すると、本発明の一実施例に係る液体吸引装置10は、収容カセット20から液体を吸引するためのものであり、収容カセット20は、液体吸引装置10の下方に位置し、収容カセット20には、複数の収容キャビティ21が形成され、収容キャビティ21は、試薬及びサンプルを収容するためことができ、同一の収容カセット20における異なる収容キャビティ21は、異なる成分の液体を収容することができる。収容カセット20の数は、複数であってもよく、例えば、複数の収容カセット20は、X軸方向に沿って並設され、同一の収容カセット20における複数の収容キャビティ21について、該複数の収容キャビティ21は、Y軸方向に沿って間隔をあけて配列されてもよい。液体吸引装置10は、各収容カセット20の収容キャビティ21から液体を吸引するため、吸引された液体をキュベットに注入する。液体吸引装置10は、支持部材100、液体吸引機構200及び駆動アセンブリ300を含み、液体吸引機構200と駆動アセンブリ300の両者は、いずれも該支持部材100に設置される。液体吸引機構200の数は、複数であり、駆動アセンブリ300の数は、同様に複数であり、液体吸引機構200と駆動アセンブリ300は、一対一の対応関係があることにより、各液体吸引機構200の運動は、いずれも1つの駆動アセンブリ300からパワーが供給される。例えば、液体吸引機構200と駆動アセンブリ300の数は、それぞれ2つである。各液体吸引機構200は、いずれも回転ユニット210を含み、回転ユニット210は、支持部材100に摺動接続され、かつ回転軸212を含み、回転軸212の中心軸線は、重力方向に沿って延在し、液体吸引機構200は、上記回転軸212を中心として公転可能であり、収容カセット20における異なる収容キャビティ21内の液体は、同時に複数の液体吸引機構200によって吸引され、液体吸引機構200を往復させて液体を吸引・吐出する必要がなく同一の反応容器の全ての液体吸引需要を満たし、液体吸引効率を大幅に向上させることができる。
【0025】
図1、
図2及び
図6を併せて参照すると、各液体吸引機構200は、いずれも液体吸引ユニット220を含み、液体吸引ユニット220は、支持アーム221、液体吸引本体222及びパワーアセンブリを含む。支持アーム221は、横方向アーム221a及び縦方向アーム221bを含み、横方向アーム221aと縦方向アーム221bは、固定的に接続されてもよく、例えば、両者は、一体成形されてもよい。横方向アーム221aと縦方向アーム221bを固定的に接続することにより、横方向アーム221aと縦方向アーム221bとの間に相対的な回転又は摺動が発生することを防止し、このように、振動を減少させ、支持アーム221全体の移動の安定性や信頼性を向上させることができる。横方向アーム221aは、水平方向に沿って延在する板状構造であってもよく、縦方向アーム221bは、重力方向に沿って延在する。横方向アーム221aには、取付孔221cが形成され、縦方向アーム221bは、横方向アーム221aの縁部に接続され、横方向アーム221aが位置する平面に垂直であり、このように、縦方向アーム221bと取付孔221cの中心軸線は、重力方向に垂直な方向に沿って所定の距離離れ、すなわち、両者は、水平方向に沿って間隔をあけて設置される。回転軸212が該取付孔221cに係合され、このように、支持アーム221の横方向アーム221aは、回転軸212に接続され、液体吸引本体222及びパワーアセンブリは、いずれも支持アーム221の縦方向アーム221bに設置される。回転軸212が回転する場合、液体吸引ユニット220全体は、支持アーム221により回転軸212に従って回転することができる。液体吸引本体222は、長尺な針状構造であってもよく、すなわち、液体吸引本体222は、液体吸引用針である。パワーアセンブリは、第3のモータ223、第3の駆動輪224、第3の従動輪225、第3のベルトコンベア226及び第2のスライダ227を含み、第3のモータ223は、支持アーム221に設置され、第3の駆動輪224は、第3のモータ223の出力軸に接続され、第3の従動輪225は、支持アーム221に回転設置され、第3のベルトコンベア226は、第3の駆動輪224及び第3の従動輪225に嵌設され、第3の駆動輪224と第3の従動輪225の両者は、直径が等しく、Z軸方向に沿って間隔をあけて設置され、このように、第3のベルトコンベア226の張り側又は緩み側は、Z軸方向に沿って延在する。支持アーム221にスライドレール228がさらに設置され、スライドレール228は、Z軸方向に沿って延在し、第2のスライダ227は、該スライドレール228に摺動係合され、第3のベルトコンベア226の張り側又は緩み側に固定され、液体吸引本体222は、第2のスライダ227に固定され、液体吸引本体222の中心軸線は、Z軸方向に沿って延在する。第3のモータ223は、動作する場合、第3のベルトコンベア226により、スライドレール228に重力方向(Z軸方向)に沿って往復摺動するように第2のスライダ227を駆動することができ、そして、液体吸引本体222は、第2のスライダ227に従ってZ軸方向に往復摺動する。液体吸引本体222が第2のスライダ227に従って下向きに移動する場合、液体吸引本体222は、収容カセット20の収容キャビティ21内に入り込んで液体を吸引することができ、液体吸引本体222が第2のスライダ227に従って上向きに移動する場合、液体が吸引された液体吸引本体222は、収容カセット20の収容キャビティ21から退出することができ、その後、吸引された液体をキュベットに注入する。液体吸引ユニット220は、プローブ229をさらに含んでもよく、プローブ229は、実際に位置センサである。プローブ229は、支持アーム221の所定の位置に固定され、プローブ229の位置は、第2のスライダ227及び液体吸引本体222が参照する初期化位置とすることができる。液体吸引本体222がZ軸に沿って初期化位置に移動する場合、プローブ229は、提示信号を生成する。したがって、プローブ229を設置すると、液体吸引本体222がZ軸方向に沿って摺動する初期化位置を校正することができる。
【0026】
液体吸引本体222の中心軸線と回転軸212の中心軸線は、互いに平行であり、すなわち、両者は、互いに一定の距離離れ、このように、液体吸引本体222が回転軸212に対して公転可能であることを確保し、液体吸引本体222と回転軸212との間に干渉が発生することを避ける。回転軸212が、回転するように液体吸引ユニット220全体を駆動する場合、液体吸引本体222は、回転軸212を中心として公転する。第1のモータ310が第1のスライダ350により、X軸方向に沿って往復直線運動するように液体吸引機構200全体を駆動する場合、液体吸引本体222は、X軸方向に沿って往復直線運動することができる。第2のモータ213が回転軸212により、回転するように液体吸引ユニット220を駆動する場合、液体吸引本体222は、Z軸方向に沿って延在する中心軸線を中心として公転する。第3のモータ223が第2のスライダ227により、運動するように液体吸引本体222を駆動する場合、液体吸引本体222は、Z軸方向に沿って往復直線運動することができる。したがって、各液体吸引本体222は、X軸方向に沿って往復直線運動するだけでなく、Z軸方向に沿って往復直線運動し、かつZ軸方向に沿って延在する中心軸線を中心として公転することができ、すなわち、各液体吸引本体222は、3自由度の運動が可能である。このように、液体吸引本体222が回転軸212を中心として公転する軌跡を重ね合わせると、同一の収容カセット20における全ての収容キャビティ21をカバーすることを保証し、収容カセット20の間のロット差を避け、結果の正確性を向上させ、液体吸引装置10の作業効率を向上させることができる。支持アーム221の移動の安定性や信頼性が向上することに鑑み、さらに、液体吸引本体222全体の移動精度を向上させ、液体吸引本体222が指定位置に正確に移動することを確保することができる。
【0027】
図1、
図2及び
図3を併せて参照すると、いくつかの実施例では、支持部材100は、平板状構造であり、このように、支持部材100の製造加工を容易にし、支持部材100の構造を簡単にする。支持部材100は、上面110及び下面120を有し、上面110及び下面120は、支持板の厚さ方向に間隔をあけて設置された2つの表面である。支持部材100は、ガイドレール130をさらに含み、ガイドレール130は、下面120に設置され、下面120に対して一定の高さで突出し、同一の空間直交座標系を参照とし、ガイドレール130は、X軸方向に沿って延在し、ガイドレール130の数は、液体吸引機構200の数と一致し、液体吸引機構200は2つであり、2つの液体吸引機構200は、それぞれ支持部材100に対して、重力方向に垂直に延在しかつ互いに平行な2本の直線に沿って摺動可能であり、2つの液体吸引機構200は、それぞれ対応するガイドレール130に直線摺動し、2つのガイドレール130は、互いに平行に設置されることにより、2つのガイドレール130は、Y軸方向に沿って一定の距離離れる。2つのガイドレール130は、いずれも同一の支持部材100に設置され、液体吸引装置10全体の構造を簡略化することができる。各駆動アセンブリ300は、いずれも第1のモータ310、第1の駆動輪320、第1の従動輪330、第1のベルトコンベア340及び第1のスライダ350を含み、第1のモータ310の本体部分は、支持部材100の上面110に設置され、第1のモータ310の出力軸は、支持部材100に穿設され、かつ支持部材100の下面120まで延在し、第1の駆動輪320、第1の従動輪330、第1のベルトコンベア340及び第1のスライダ350は、いずれも支持部材100の下面120に設置される。第1の駆動輪320と第1の従動輪330の両者は、直径が等しく、両者は、X軸方向に沿って間隔をあけて設置され、第1の駆動輪320は、第1のモータ310の出力軸に設置され、第2の従動輪215は、支持部材100に回転可能に設置され、第1のベルトコンベア340は、第1の駆動輪320と第1の従動輪330に嵌設され、第1のベルトコンベア340の張り側又は緩み側は、X軸方向に沿って延在し、第1のスライダ350は、ガイドレール130と摺動係合され、かつ第1のベルトコンベア340の張り側又は緩み側に固定される。第1のモータ310は、動作する場合、第1のベルトコンベア340により、ガイドレール130に対してX軸方向に沿って往復直線運動するように第1のスライダ350を駆動することができる。液体吸引機構200全体が該第1のスライダ350に固定されるため、液体吸引機構200は、第1のスライダ350に従ってX軸方向に沿って往復直線運動することができ、同時に、2つの液体吸引機構200は、いずれも支持部材100の下面120が位置する側(すなわち、下側)に位置する。液体吸引装置10が動作する場合の正常な据置き姿勢を基準とし、重力方向が常に鉛直下向きであることに鑑み、重力方向がZ軸方向を表すと理解することができ、2つの駆動アセンブリ300における第1のモータ310は、同時に動作する場合、異なる第1のスライダ350により、それぞれ異なるガイドレール130にX軸方向に沿って往復直線運動するように2つの液体吸引機構200を駆動することができ、換言すれば、2つの液体吸引機構200は、それぞれ支持部材100に対して、重力方向に垂直に延在しかつ互いに平行な2本の直線に沿って摺動する。
【0028】
駆動アセンブリ300は、初期化フォトカプラ360をさらに含んでもよく、初期化フォトカプラ360は、支持部材100の所定の位置に設置され、初期化フォトカプラ360の位置は、第1のスライダ350及び液体吸引機構200が参照する初期化位置とすることができる。液体吸引機構200全体が第1のスライダ350に従って初期化位置に移動する場合、初期化フォトカプラ360は、提示信号を生成する。したがって、初期化フォトカプラ360を設置することにより、液体吸引機構200全体がX軸方向に沿って摺動する初期化位置を校正することができる。
【0029】
図2、
図4及び
図5を併せて参照すると、いくつかの実施例では、回転ユニット210は、ベース211、回転軸212、第2のモータ213、第2の駆動輪214、第2の従動輪215及び第2のベルトコンベア216を含み、ベース211が第1のスライダ350に固定され、第2のモータ213がベース211に設置され、第2の駆動輪214が第2のモータ213の出力軸に接続されることにより、第2の駆動輪214が第2のモータ213の出力軸に従って回転することができ、第2の従動輪215がベース211に設置され、回転軸212が深溝玉軸受217により第2の従動輪215に固定され、回転軸212の中心軸線が重力方向(Z軸方向)に沿って延在し、第2のベルトコンベア216が第2の駆動輪214及び第2の従動輪215に嵌設され、第2の従動輪215の直径が第2の駆動輪214の直径より大きくてもよく、このように、第2の従動輪215の回転速度が第2の駆動輪214の回転速度より小さくてもよい。第2のモータ213は、動作する場合、第2のベルトコンベア216により、回転するように第2の従動輪215を駆動することができ、このように、回転軸212は、第2の従動輪215に従ってZ軸方向に沿って延在する中心軸線を中心として回転し、換言すれば、回転軸212は、ベース211に回転接続される。ベース211が第1のスライダ350に固定されることに鑑み、第1のスライダ350がガイドレール130にX軸方向に沿って往復直線運動する場合、液体吸引機構200全体は、ベース211により第1のスライダ350に従ってX軸方向に沿って往復直線運動する。液体吸引機構200、回転軸212及び液体吸引本体222の相対運動は、いずれも異なるベルトコンベアにより駆動され、互いに干渉せず、速度を向上させることもできる。
【0030】
図1、
図7及び
図9を参照すると、説明しやすいために、一方の液体吸引機構200における液体吸引本体222を第1の液体吸引本体222aとし、他方の1つの液体吸引機構200における液体吸引本体222を第2の液体吸引本体222bとし、第1の液体吸引本体222aが回転軸212を中心として公転した軌跡は、第1の円201であり、第2の液体吸引本体222bが回転軸212を中心として公転した軌跡は、第2の円202である。第1の円201及び第2の円202が位置する領域は、それぞれ同一の収容カセット20における一部の連続した収容キャビティ21をカバーすることができ、このように、2つの液体吸引本体222は、同一の収容カセット20における異なる収容キャビティ21から液体を吸引することができ、第1の液体吸引本体222a及び第2の液体吸引本体222bは、いずれもそのカバー範囲内の連続した収容キャビティ21を連続的に吸引することができ、このように、液体吸引本体222が順次交互に液体を吸引する必要がなく、液体吸引効率が高く、回避構造が簡単である。第1の円201と第2の円202の両者の中心を結ぶ線がY軸方向に沿って延在する条件で、明らかに、該中心を結ぶ線は、液体吸引機構200全体の支持部材100に対する摺動方向(すなわち、X軸方向)に垂直であり、収容カセット20における全ての収容キャビティ21が第1の円201と第2の円202によって共同して形成された総カバー領域内に位置することを保証すれば、第1の円201と第2の円202が交わってもよく、接してもよく、離れてもよく、このように、同一の収容カセット20における全ての収容キャビティ21がいずれも吸引されてもよく、収容カセット20の間のロット差を避け、結果の正確性を向上させ、液体吸引装置10の作業効率を向上させることができる。したがって、液体吸引機構200の支持部材100に対する摺動方向に垂直な方向を基準方向とし、第1の液体吸引本体222a及び第2の液体吸引本体222bの該基準方向に沿う最大間隔はHであり、同一の収容カセット20における最も離れた2つの収容キャビティ21の間隔はhであり、Hの値は、hの値以上である。
【0031】
第1の円201が第2の円202と交わる場合、第1の円201の第2の円202内にある円弧を第1の円弧201aとし、第2の円202の第1の円201内にある円弧を第2の円弧202aとし、第1の円弧201aと第2の円弧202aの両者に対応する中心角は、いずれも180°より小さくてもよく、このように、2つの液体吸引本体222の干渉範囲を減少させ、回避しやすく、速度が速く、他の構造の空間利用率を向上させ、いくつかの実施例では、第1の円201が第2の円202と交わる場合、同一の収容カセット20における第1の円201と第2の円202の共通カバー領域内に同時に位置する収容キャビティ21の数が2つ以下であり、吸引される回数が最も多い収容キャビティ21を選択して共通カバー領域内に位置させ、空間利用率を向上させることができる。例えば、同一の収容カセット20における該共通カバー領域内に位置する収容キャビティ21の数は、1つのみであってもよい。第1の円201と第2の円202は、直径が等しくてもよく、第1の円弧201aと第2の円弧202aの両者に対応する中心角も等しくてもよく、それにより、2つの液体吸引機構200の構造をほぼ同じにして構造を簡略化する。
【0032】
第1の円201が第2の円202と交わるか又は接する条件で、各液体吸引本体222がX軸方向における両限界位置の間に往復運動し、液体吸引本体222がZ軸方向に延在する中心軸線を中心として公転する。
【0033】
いくつかの実施例では、2つの液体吸引本体222の運動軌跡からなる境界は、ほぼ閉ループ状の「両腰形」曲線であり、具体的には、「両腰形」曲線は、2つの単腰曲線を含み、各単腰曲線は、1本の直線及び2本の円弧線を含み、2本の円弧線は、それぞれ直線の対向する両端に接続され、2本の円弧線の開口は、対向して設置される。2つの単腰曲線の円弧線が接続されて「両腰形」曲線が形成される。該「両腰形」曲線によってカバーされた領域は、「両腰形」カバー領域203であり、明らかに、2つの液体吸引本体222は、「両腰形」カバー領域203内のいずれかの位置に到達することができ、第1の液体吸引本体222a及び第2の液体吸引本体222bのうちの少なくとも1つが各収容キャビティ21の位置に移動して液体を吸引することを確保する。矩形カバー領域に比べて、「両腰形」カバー領域203は、液体吸引本体222の液体吸引範囲を大きくすることに役立つ。
【0034】
複数の収容カセット20がX軸方向に沿って並設され、同一の収容カセット20における全ての収容キャビティ21がY軸方向に沿って間隔をあけて配列されることに鑑み、同一の収容カセット20における全ての収容キャビティ21が第1の円201及び第2の円202によって共同して形成された総カバー領域内に位置する条件で、同一の収容カセット20における全ての収容キャビティ21内の液体が第1の液体吸引本体222a及び第2の液体吸引本体222bのうちの少なくとも1つに吸引されることを確保することができ、すなわち、液体吸引装置10全体は、同一の収容カセット20における全ての収容キャビティ21から液体を吸引することができる。同時に、全ての収容カセット20における収容キャビティ21が「両腰形」カバー領域203内に位置する条件で、全ての収容カセット20における全ての収容キャビティ21が第1の液体吸引本体222a及び第2の液体吸引本体222bのうちの少なくとも1つに吸引され得る。したがって、同一の収容カセット20における異なる収容キャビティ21内に異なる成分の液体を収容する場合、液体吸引装置10は、同一の収容カセット20における異なる収容キャビティ21から異なる成分の液体を同時に吸引してもよいし、異なる収容カセット20における収容キャビティ21から液体を同時に吸引してもよい。
【0035】
同一の収容カセット20に7つの収容キャビティ21が設置されてもよく、各収容キャビティ21は、異なる成分の液体を収容し、収容カセット20の一端から他端まで、7つの収容キャビティ21を順に第1のキャビティ21a、第2のキャビティ21b、第3のキャビティ21c、第4のキャビティ21d、第5のキャビティ21e、第6のキャビティ21f及び第7のキャビティ21gとする。第1のキャビティ21a~第5のキャビティ21eは、第1の液体吸引本体222aの公転軌跡である第1の円201内に位置し、第5のキャビティ21e~第7のキャビティ21gは、第2の液体吸引本体222bの公転軌跡である第2の円202内に位置し、明らかに、第5のキャビティ21eは、第1の円201と第2の円202の共通カバー領域内に位置し、すなわち、共通カバー領域内に位置する収容キャビティ21の数は1つであり、このように、第5のキャビティ21eは、2つの液体吸引本体222によって吸引されてもよく、第1の液体吸引本体222aが収容キャビティ21から多くの液体を吸引する必要があり、かつ第5のキャビティ21eから液体を吸引する必要がある場合、第2の液体吸引本体222bは、第5のキャビティ21eから液体を吸引することができ、逆も同様であるため、液体吸引時間を節約し、液体吸引効率を向上させることができる。したがって、X軸方向に沿う直線運動、及びZ軸方向に延在する中心軸線を中心とする公転運動により、第1の液体吸引本体222aは、第1のキャビティ21a~第5のキャビティ21eのいずれか1つの収容キャビティ21の上方に移動して該収容キャビティ21から液体を吸引することができ、すなわち、第1の液体吸引本体222aは、第1のキャビティ21a~第5のキャビティ21eから液体を吸引することを担い、第2の液体吸引本体222bは、第5のキャビティ21e~第7のキャビティ21gのいずれか1つの収容キャビティ21の上方に移動して該収容キャビティ21から液体を吸引することができ、すなわち、第2の液体吸引本体222bは、第5のキャビティ21e~第7のキャビティ21gから液体を吸引することを担う。例えば、第1の液体吸引本体222aが第1のキャビティ21aから液体を吸引する場合、第2の液体吸引本体222bは、第5のキャビティ~第7のキャビティ21gのいずれか1つの収容キャビティ21から液体を吸引することができ、第1の液体吸引本体222aが第2のキャビティ21bから液体を吸引する場合、第2の液体吸引本体222bは、第5のキャビティ~第7のキャビティ21gのいずれか1つの収容キャビティ21から液体を吸引することができ、これによって類推し、第1の液体吸引本体222aが第4のキャビティ21dから液体を吸引する場合、第2の液体吸引本体222bは、第5のキャビティ~第7のキャビティ21gのいずれか1つの収容キャビティ21から液体を吸引することができ、それにより、作業効率を向上させる。第1の液体吸引本体222aが第5のキャビティ21eから液体を吸引する場合、第2の液体吸引本体222bは、第6のキャビティ~第7のキャビティ21gのいずれか1つの収容キャビティ21から液体を吸引することができる。このように、液体吸引本体222は、同一又は異なる収容カセット20における複数の収容キャビティ21に対する液体吸引に適用することができ、それにより、液体吸引装置10は、複数の検査項目のために液体を吸引することができ、より高い適用性を有する。液体吸引ユニット220のY軸に垂直な方向の延在長さを合理的に減少させ、液体吸引本体222の運動中の揺れを避け、液体吸引ユニット220の力学的安定性を向上させることができる。
【0036】
キュベットに複数の異なる成分の液体を添加する必要がある場合、液体吸引本体222が1つのみであると、該液体吸引本体222は、液体をキュベットに注入してこそ収容キャビティ21から液体を再吸引しなければならず、このように、キュベットへの1回目の液体添加と2回目の液体添加との間に長い時間間隔があるため、キュベットに全ての必要な液体を満たす時間を延長するか、又は異なるキュベットに液体を注入する時間を延長する。同時に、1つの液体吸引本体222の運動軌跡のカバー領域が限られるため、収容カセット20における全ての収容キャビティ21をカバーすることができない可能性があり、ある成分の液体を吸引することができないことを招き、1つの液体吸引本体222の運動軌跡のカバー領域が収容カセット20における全ての収容キャビティ21をカバーすることができても、液体吸引ユニット220のZ軸に垂直な方向の延在長さが大きいことを招くことにより、液体吸引ユニット220の力学的安定性に影響を与え、液体吸引本体222が運動中に大きく揺れ、さらに液体の吸引又は注入に影響を与える。
【0037】
上記実施例における液体吸引装置10に対して、第1の液体吸引本体222aが液体をキュベットに注入する注入期間内に、第2の液体吸引本体222bは、該注入期間を十分に利用して収容キャビティ21から液体を吸引することができ、そして、第1の液体吸引本体222aがキュベットから離れる場合、第2の液体吸引本体222bは、キュベットの位置に到達してキュベットに液体を迅速に注入することができ、すなわち、キュベットへの1回目の液体添加と2回目の液体添加との間の時間間隔を無視することができ、最終的にキュベットへの前後2回の液体注入の間隔時間を短くするか又は無くすることにより、液体吸引装置10全体の作業効率を向上させる。2つの液体吸引本体222によって形成された「両腰形」カバー領域203の面積が大きく、全ての収容カセット20における収容キャビティ21を十分にカバーすることができるため、液体吸引装置10の液体吸引範囲を向上させる。また、液体吸引本体222の中心軸線と回転軸212の中心軸線との間の間隔距離を適切に減少させることができ、すなわち、液体吸引ユニット220のY軸に垂直な方向の延在長さを合理的に減少させ、液体吸引本体222の運動中の揺れを避け、液体吸引ユニット220の力学的安定性を向上させることができる。同時に、2つの液体吸引本体222は、いずれも3の自由度の運動が可能であり、このように、液体吸引装置10の構造を簡略化し、2つの液体吸引本体222の間で発生する可能性のある衝突の確率を低下させ、最終的に液体吸引装置10の回避設計の難しさを低減することができるため、液体吸引装置10は、同時に液体吸引速度、液体吸引範囲、液体吸引の安定性や信頼性及び構造簡略化などの特性を両立することができる。
【0038】
同一の収容カセット20内には、同時に第1の円201と第2の円202の共通カバー領域内に位置する収容キャビティ21がある場合、例えば、第5のキャビティ21eが共通カバー領域内に位置する場合、第5のキャビティ21e内の液体に対するキュベットの需要量が大きければ、1つの液体吸引本体222の1回注入量は、要求を満たしにくく、この場合、第1の液体吸引本体222aにより、先に1つの収容カセット20における第5のキャビティ21eから液体を吸引してキュベットに注入し、第1の液体吸引本体222aがキュベットに液体を注入する期間内に、第2の液体吸引本体222bは、該期間内に同一の収容カセット20又は別の収容カセット20における第5のキャビティ21eから液体を吸引し、第1の液体吸引本体222aがキュベットから離れる瞬間に、第5のキャビティ21e内の液体が吸引された第2の液体吸引本体222bは、ちょうどキュベットの位置に到達することができ、このように、同一の液体吸引本体222を用いて第5のキャビティ21eから液体を吸引することによる2回の液体添加の間の長い間隔時間を無くすことができ、液体吸引効率を向上させることができる。当然のことながら、同一の収容カセット20における第1の円201と第2の円202の共通カバー領域に位置する収容キャビティ21の数が過多となってはならず、それにより、第1の液体吸引本体222aと第2の液体吸引本体222bが同時に同一の収容キャビティ21の位置に到達することによる衝突の確率を低下させ、2つの液体吸引本体222の運動中の回避制御の難しさを低減する。
【0039】
本発明は、サンプル分析装置をさらに提供し、該サンプル分析装置は、上記液体吸引装置10を含み、このように、作業効率及び安定性や信頼性を向上させる上でサンプル分析装置の構造を簡略化することができる。
【0040】
図10を参照すると、本発明は、液体吸引方法をさらに提供し、該液体吸引方法は、上記液体吸引装置10により形成できるため、該液体吸引方法は、主に、以下のステップ410~430を含む。
【0041】
S410では、2つの液体吸引本体222を提供し、2つの液体吸引本体222は、それぞれ重力方向に垂直に延在しかつ互いに平行な2本の直線に沿って摺動することができ、重力方向に沿って延在する直線に対して公転し、摺動することができる。
【0042】
S420では、2つの液体吸引本体222の公転軌跡は、2つの円を形成し、各円は、同一の収容カセット20における一部の収容キャビティ21をカバーすることができ、同一の収容カセット20における全ての収容キャビティ21は、2つの円のカバー領域内に位置することができる。
【0043】
S430では、2つの液体吸引本体222は、同一の収容カセット20における異なる収容キャビティ21から液体を吸引するか、又は異なる収容カセット20における異なる収容キャビティ21から液体を吸引する。
【0044】
図1、
図7及び
図9を参照すると、2つの液体吸引本体222をそれぞれ第1の液体吸引本体222a及び第2の液体吸引本体222bとし、第1の液体吸引本体222aが液体をキュベットに注入する期間内に、第2の液体吸引本体222bは、液体を吸引することができ、液体注入が完了した後の第1の液体吸引本体222aがキュベットから離れる瞬間に、液体が吸引された第2の液体吸引本体222bは、キュベットの位置に到達して液体を注入することができ、このように、キュベットへの前後2回の液体注入の間隔時間を短くするか又は無くすることにより、作業効率を向上させることができる。また、液体吸引本体222の数は2つで、いずれも3自由度の運動が可能であり、このように、2つの円によって形成されたカバー領域の面積を十分に大きくすることにより、液体吸引範囲を向上させ、さらに液体吸引本体222の運動中の揺れを防止し、液体吸引の安定性や信頼性を向上させることができる。さらに、液体吸引本体222の間の衝突確率を低減することにより、液体吸引本体222の回避設計の難しさを低減することができる。
【0045】
いくつかの実施例では、2つの液体吸引本体222の公転軌跡からなる2つの円が交わるか又は接するため、2つの液体吸引本体222は、同一の収容カセット20における同一の収容キャビティ21から液体を吸引することができ、具体的には、同一の収容カセット20における2つの円の共通カバー領域内に同時に位置する収容キャビティ21の数が2つ以下であり、それにより2つの液体吸引本体222は、いずれも共通カバー領域に位置する収容キャビティ21から液体を吸引することができる。上記液体吸引装置10に対する関連説明を参照し、このように、キュベットへの前後2回の液体注入の間隔時間を無くすることにより、作業効率を向上させることができる。
【0046】
上述した実施例の各技術的特徴を任意に組み合わせてもよく、簡潔に説明するために、上述した実施例における各技術的特徴の全ての可能な組み合わせを説明していないが、これらの組み合わせは全て本明細書に記載された範囲に属すると考えられるべきである。
【0047】
以上は具体的な実施例を参照しながら本発明の幾つかの態様を説明しているが、本発明の特許範囲を限定するものと理解すべきではない。なお、当業者にとって、本発明の趣旨を離脱しない限り、本発明に対して各種の変形及び改良を行ってもよく、これらの変形及び修正も本発明の範囲に属する。よって、本発明の特許の保護範囲は、添付する特許請求の範囲に依るものである。