(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】誘導電力伝達用システムにおける一次巻線構造体と、二次巻線構造体と、の間の相対位置関係の決定方法及び相対位置関係の決定システム
(51)【国際特許分類】
B60L 53/38 20190101AFI20240201BHJP
B60L 5/00 20060101ALI20240201BHJP
B60L 53/12 20190101ALI20240201BHJP
B60L 53/66 20190101ALI20240201BHJP
B60M 7/00 20060101ALI20240201BHJP
G01S 1/68 20060101ALI20240201BHJP
G01S 3/02 20060101ALI20240201BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240201BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20240201BHJP
H02J 50/60 20160101ALI20240201BHJP
H02J 50/90 20160101ALI20240201BHJP
【FI】
B60L53/38
B60L5/00 B
B60L53/12
B60L53/66
B60M7/00 X
G01S1/68
G01S3/02
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H02J50/10
H02J50/60
H02J50/90
(21)【出願番号】P 2022518937
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(86)【国際出願番号】 EP2020076889
(87)【国際公開番号】W WO2021058733
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2023-04-05
(32)【優先日】2019-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500341779
【氏名又は名称】フラウンホーファー-ゲゼルシャフト・ツール・フェルデルング・デル・アンゲヴァンテン・フォルシュング・アインゲトラーゲネル・フェライン
(73)【特許権者】
【識別番号】516149435
【氏名又は名称】ボンバルディアー プリモーフ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Bombardier Primove GmbH
【住所又は居所原語表記】Eichhornstrasse 3, 10785 Berlin, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106404
【氏名又は名称】江森 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100112977
【氏名又は名称】田中 有子
(72)【発明者】
【氏名】ソティリオス ソティリオウ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル チチョン
(72)【発明者】
【氏名】トビアス ドレガー
【審査官】冨永 達朗
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-533339(JP,A)
【文献】特開2007-333385(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 53/38
G01S 3/02
B60M 7/00
B60L 5/00
B60L 53/12
B60L 53/66
H02J 50/90
H02J 50/60
H02J 50/10
H02J 7/00
G01S 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(7)に用いる誘導電力伝達用システムにおける、一次巻線構造体(2)と、二次巻線構造体(3)と、の間の相対位置関係の決定方法であって、
前記相対位置関係のうち、一つの相対位置関係が、少なくとも一つの無線方向探知システムによって決定される工程と、
前記無線方向探知システムが、少なくとも一つの送信装置(8)と、当該少なくとも一つの送信装置(8)によって送信された位置信号を受信するための少なくとも二つの受信装置(5a、5b)と、を含み、
前記一つの相対位置関係につき、前記位置信号の受信時に前記少なくとも二つの受信装置(5a、5b)が生成する出力値を決定するとともに、前記車両(7)の少なくとも一つの動作値を決定する工程と、
前記一つの相対位置関係を、前記出力値及び前記動作値に基づき、所定モデルベースを用いて決定する工程と、を含み、
かつ、
前記所定モデルベースを用いて、前記一つの相対位置関係を決定する際の入力値として、前記少なくとも二つの受信装置(5a、5b)の前記出力値、及び、前記車両(7)の前記少なくとも一つの動作値を用いることを特徴とする相対位置関係の決定方法。
【請求項2】
前記所定モデルベースを用いて決定する工程が、前記
所定モデルベースによる決定をする際の前記入力値に基づいて状態変数を決定する工程を含み、前記一つの相対位置関係が、少なくとも一つの状態変数として決定されることを特徴とする請求項1に記載の相対位置関係の決定方法。
【請求項3】
前記一つの相対位置関係を決定する際に、カルマンフィルタを用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の相対位置関係の決定方法。
【請求項4】
前記少なくとも一つの動作値が、前記車両(7)の速度、走行方向、又はステアリングホイール角度の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の相対位置関係の決定方法。
【請求項5】
前記一つの相対位置関係とは別の相対位置関係が、前記無線方向探知システムとは別の無線方向探知システムによって決定される工程を含み、
前記別の無線方向探知システムが、前記無線方向探知システムの前記少なくとも一つの送信装置及び前記少なくとも二つの受信装置とは別の、少なくとも一つの送信装置と、当該少なくとも一つの送信装置によって送信された位置信号を受信するための少なくとも二つの受信装置と、を含んでおり、
前記別の相対位置関係が、前記少なくとも一つの送信装置によって送信された位置信号の受信時に、前記少なくとも二つの受信装置によって生成された出力値に基づいて決定される工程を含み、
前記相対位置関係が、前記一つの相対位置関係と、前記別の相対位置関係とを組み合わせた相対位置関係として、決定されることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の相対位置関係の決定方法。
【請求項6】
前記相対位置関係が、前記一次巻線構造体(2)と、前記二次巻線構造体(3)と、の間の距離である一つの間隔に関する前記一つの相対位置関係として決定され、かつ、前記一次巻線構造体(2)と、前記二次巻線構造体(3)と、の間の距離である別の間隔に関する前記別の相対位置関係として決定され、
前記相対位置関係が、前記一つの相対位置関係と、前記別の相対位置関係とを組み合わせた相対位置関係として決定されることを特徴とする請求項5に記載の相対位置関係の決定方法。
【請求項7】
前記別の間隔が、前記一つの間隔よりも小さいことを特徴とする請求項6に記載の相対位置関係の決定方法。
【請求項8】
前記無線方向探知システムの前記少なくとも二つの受信装置(5a、5b)によって生成された、前記出力値に基づく少なくとも一つのノイズ関連パラメータと、前記別の無線方向探知システムの前記少なくとも二つの受信装置によって生成された、前記出力値に基づく少なくとも一つのノイズ関連パラメータとが決定され、
前記組み合わされた相対位置関係が、前記ノイズ関連パラメータに応じて、決定されることを特徴とする請求項5~7のいずれか一項に記載の相対位置関係の決定方法。
【請求項9】
前記別の無線方向探知システム(第2の無線方向探知システム)の前記少なくとも二つの受信装置が、異物検出用装置の要素(14)によって構成されていることを特徴とする請求項5~8のいずれか一項に記載の相対位置関係の決定方法。
【請求項10】
前記車両(7)の動作値は、GNSS信号、画像ベース、又は車両センサの出力値の少なくとも一つに基づいて、決定されることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の相対位置関係の決定方法。
【請求項11】
前記動作値を含む情報が、前記車両(7)から
道路側の一次ユニット(4)へと送信されることを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の相対位置関係の決定方法。
【請求項12】
車両(7)に用いる誘導電力伝達用システムにおける、一次巻線構造体(2)と、二次巻線構造体(3)と、の間の相対位置関係の決定システム(1)であって、
前記相対位置関係の決定システム(1)が、前記相対位置関係のうち、一つの相対位置関係を決定するための、少なくとも一つの無線方向探知システムを含み、
前記無線方向探知システムが、少なくとも一つの送信装置(8)と、当該少なくとも一つの送信装置(8)によって送信された位置信号を受信するための少なくとも二つの受信装置(5a、5b)と、を含み、
前記一つの相対位置関係につき、前記位置信号の受信時に前記少なくとも二つの受信装置(5a、5b)が生成する出力値を決定するとともに、前記車両(7)の少なくとも一つの動作値が決定される構成であり、
前記一つの相対位置関係を、前記出力値及び前記動作値に基づき、所定モデルベースを用いて決定する構成であって、
かつ、
前記所定モデルベースを用いて、前記一つの相対位置関係を決定する際の入力値として、前記少なくとも二つの受信装置(5a、5b)の前記出力値、及び、前記車両(7)の前記少なくとも一つの動作値を用いる構成であることを特徴とする相対位置関係の決定システム。
【請求項13】
前記相対位置関係の決定システム(1)が、前記一つの相対位置関係とは別の相対位置関係を決定するための、前記無線方向探知システムとは別の無線方向探知システムを含んでおり、
前記別の無線方向探知システムが、少なくとも一つの送信装置と、当該少なくとも一つの送信装置によって送信された位置信号を受信するための少なくとも二つの受信装置と、を含み、
前記別の相対位置関係が、位置信号の受信時に前記少なくとも二つの受信装置によって生成される出力値に基づいて決定される構成であって、
前記相対位置関係が、前記一つの相対位置関係と、前記別の相対位置関係とを組み合わせた相対位置関係として、決定される構成であることを特徴とする請求項12に記載の相対位置関係の決定システム。
【請求項14】
前記相対位置関係の決定システム(1)が、異物検出用装置を含み、
前記別の無線方向探知システムの、少なくとも、前記少なくとも二つの受信装置が、前記異物検出用装置の要素(14)によって構成されていることを特徴とする
請求項13に記載の相対位置関係の決定システム。
【請求項15】
前記相対位置関係の決定システム(1)が、前記車両(7)から
道路側の一次ユニット(4)への動作値を含む情報を送信するための手段を含むことを特徴とする請求項12~14のいずれか一項に記載の相対位置関係の決定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導電力伝達用システムの一次巻線構造体(以下、一次側巻線構造体と称する場合がある。)と二次巻線構造体(以下、二次側巻線構造体と称する場合がある。)との間の相対位置関係(relative pose)の決定方法及びその決定方法を用いてなる相対位置関係の決定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1によれば、特に車両に対する誘導電力伝達用システムにおける一次巻線構造体と二次巻線構造体との間の相対位置及び相対向きを決定するためのシステムが開示されている。
【0003】
そして、かかる車両を、充電位置及び/又は充電向きとしての充電ポーズに配置させ、そこで所望の、例えば最大化された量の電力を、特に最良の効率で伝達できるようにすることが好ましい。
更に、車両をそのような充電ポーズに位置付けるために、例えば車両側のディスプレイにそのような情報を表示することによって、車両の運転手に実際の相対位置関係に関する情報を提供することが好ましい。
しかしながら、特に、車両が、充電ユニットに近づく最終段階においては、運転者が、かかる相対位置関係を視覚的に判断することは通常不可能であった。
【0004】
又、外部環境の変化により、相対位置関係の決定が、精度の低下等の望ましくない影響を受けることがあるという問題が見られた。
すなわち、実際の相対位置関係は変化しないものの、このように外部環境の影響により、相対位置関係の決定結果が変化することがあるという問題が見られた。
例えば、特許文献1に記載された方法は、送信信号の評価に依存しており、これらの信号は、データなし信号、すなわち、データを符号化しない信号である。
特に、信号は受信機によって受信され、受信機は受信された信号に応じて電圧を生成し、相対位置関係を決定するために、かかる電圧のレベルが評価される。
これらの信号は、例えば、金属物や鉄筋コンクリート等の強磁性体等の環境影響によって妨害されることがあるという問題があった。更に、これらの環境影響は、誘導電力伝達用システムのライフタイムとともに変化してしまうことがある。
【0005】
更に知られている特許文献2によれば、誘導電力伝達用システムの一次巻線構造体と二次巻線構造体との間の相対位置関係を決定するためのシステム及び方法が開示されている。
【0006】
更に又、特許文献3によれば、複数の検出用巻線を有する誘導性センシングシステムが開示されている。
【0007】
更に又、特許文献4によれば、充電器の動作中に高温になる可能性がある物体に関して、保護を提供する充電器用安全システムが開示されている。
かかる充電器用安全システムは、物体の存在及び充電器への物体の実質的な近接を検出するように構成された検出サブシステムと、検出サブシステムに対して動作可能に結合され、物体の表示を提供するように構成された通知サブシステムと、を備える。
そして、この特許文献4によれば、一つ以上の誘導性センサが、ソースデバイス(source device)、ソースハウジング(source housing)、車両、又は、周辺領域に対して組み込まれ、ソース共振器とデバイス共振器との間の障害物及び異物及び/又は部材を検出できることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】GB2542182 A(特許請求の範囲等)
【文献】WO2019/072699(特許請求の範囲等)
【文献】WO2014/095722 A2(特許請求の範囲等)
【文献】WO2012/047779 A1(特許請求の範囲等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、環境影響による相対位置関係の決定における不正確さを最小化する、誘導電力伝達用システムの一次巻線構造体と二次巻線構造体との間の相対位置関係を決定する代替方法(以下、単に相対位置関係の決定方法と称する場合がある。)及び代替システム(以下、単に相対位置関係の決定システムと称する場合がある。)を提供することを技術的課題(目的)とする。
【0010】
上記技術的課題に対する解決策は、添付の特許請求の範囲に記載の独立請求項である請求項1及び請求項12の特徴を有する主題によって提供される。
本発明の更なる有利な実施形態は、添付の特許請求の範囲に記載の従属請求項2~11及び13~15の特徴を有する主題によって提供される。
【0011】
本発明によれば、車両に用いる誘導電力伝達用システムにおける、一次巻線構造体と二次巻線構造体との間の相対位置関係の決定方法が提案されている。
【0012】
かかる誘導電力伝達用システムが、一次巻線構造体を有する一次ユニット(以下、一次側ユニットと称する場合がある。)と、二次巻線構造体を有する二次ユニット(以下、二次側ユニットと称する場合がある。)と、を含むことが好ましい。
そして、車両が、一次ユニットの一次巻線構造体によって発生する交流電磁界を受信するための二次巻線構造体を有する二次ユニットを含むことが好ましい。
一次巻線構造体へ通電させるか又は動作電流を供給すると、一次巻線構造体が、交流電磁界を発生させる。
又、一次ユニットが、誘導電力伝達用の交流電磁界を発生させる構成要素の全体又はサブセットを含むことが好ましい。
これに対応して、二次ユニットが、誘導電力伝達用の交流電磁界が受信され、対応する出力電圧が提供される構成要素の全体又はサブセットを含むことが好ましい。
【0013】
又、一次ユニットが、誘導電力伝達パッドによって構成されることが好ましい。
かかる誘導電力伝達パッドが、路線や駐車場の表面に設置されることが好ましく、又そのような表面の中に組み込まれることも好ましい。
【0014】
本発明は、特に、任意の陸上車両、例えば鉄道車両や路面電車のような軌道系車両(以下、走路拘束型車両と称する場合がある。)に対する誘導エネルギー伝達の分野に適用することが好ましい。
特に、本発明は、個人の乗用車や例えばバスである公共交通車両のような道路系自動車(以下、路面走行用自動車と称する場合がある。)に対する誘導エネルギー伝達の分野に関するものである。
【0015】
以下では、一次側座標系と二次側座標系を参照することが好ましい。
かかる一次側座標系は、一次巻線構造体の座標系であることが好ましく、かかる二次側座標系は、二次巻線構造体の座標系であることが好ましい。
【0016】
又、一次側座標系が、縦軸とも呼ぶことができる第1の軸を含むことが好ましく、かかる第1の軸は、一次巻線構造体の縦軸であるか、又はその軸に平行に延在することが好ましい。
更に、一次巻線構造体の第2の軸は、横軸と呼ぶことができ、一次巻線構造体の横軸とすることが好ましく、又はその軸に平行に延在することが好ましい。
更に又、一次巻線構造体の第3の軸は、垂直軸と呼ぶことができ、一次巻線構造体の第1の軸及び第2の軸に対して垂直に配向させることが好ましい。
かかる第3の軸は、所望の電力伝達方向、すなわち、一次ユニットから二次ユニットへの電力伝達方向に平行に配向させることが好ましい。
更にかかる一次巻線構造体の第3の軸(垂直軸)は、一次ユニットから二次ユニットに向けられる場合、下から上へ配向させることが好ましい。
【0017】
又、二次側座標系が、縦軸と呼ぶことができる第1の軸を含むことが好ましく、かかる第1の軸は、二次巻線構造体の縦軸であるか、又はその軸と平行に延在することが好ましい。
更に、二次巻線構造体の第2の軸は、横軸と呼ぶことができ、二次巻線構造体の横軸とすることが好ましく、又はその軸に平行に延在することが好ましい。
更に又、二次巻線構造体の第3の軸は、垂直軸と呼ぶことができ、二次巻線構造体の第1の軸及び第2の軸に対して垂直に配向させることが好ましい。
更にかかる二次巻線構造体の第3の軸は、所望の電力伝達方向と平行に配向させることが好ましい。
【0018】
以下の説明において、長さは第1の軸に沿って、幅は第2の軸に沿って、高さは第3の軸に沿って測定することが好ましい。
そして、「上(上方)に(above)」、「下(下方)に(under)」、「前方(ahead)」、「横(beside)」等の方向を指す方向用語は、一次側座標系、二次側座標系のそれぞれの座標系の前述の縦軸(第1の軸)、横軸(第2の軸)、及び垂直軸(第3の軸)に関連付けることが好ましい。
【0019】
又、一次側座標系の原点は、一次側巻線構造体の幾何学的中心に対応することが好ましい。
これに対応して、二次側座標系の原点は、二次巻線構造体の幾何学的中心に対応することが好ましい。
【0020】
一次巻線構造体及び/又は二次巻線構造体が、少なくとも一つの副巻線構造体(以下、サブ巻線構造体と称する場合がある。)を含むことが好ましい。
又、副巻線構造体が、巻線構造体の少なくとも一つのセクションによって構成されることが好ましい。
特に、副巻線構造体が、ループ又はコイルを構成することが好ましく、かかるループ又はコイルは、巻線構造体の一つのセクション又は複数のセクションによって構成されることが好ましい。
かかる巻線構造体は、対応する座標系の縦軸に沿って延在していることが好ましい。
又、巻線構造体は、縦軸に沿って延在している複数の副巻線構造体からなることが好ましい。
この場合において、巻線構造体の連続する副巻線構造体が、縦軸に沿って互いに隣接して配置されることが好ましい。
互いに隣接するとは、副巻線構造体の中心軸、特に対称軸が、例えば縦軸に沿って所定の距離で互いに離間していることを意味することが好ましい。
又、ループ又はコイルは、円形状、楕円形状又は長方形状とすることが好ましい。
【0021】
巻線構造体が、縦軸に沿って延在する少なくとも一つの巻線セクションと、対応する座標系の横軸に沿って延在する少なくとも一つの巻線セクションと、からなることが好ましい。
従って、巻線構造体、特に各副巻線構造体が、縦軸に実質的に又は完全に平行に延在するセクションと、横軸に実質的に又は完全に平行に延在するセクションと、によって構成されることが好ましい。
特に、各副巻線構造体は、縦軸に実質的に又は完全に平行に延在する二つのセクションと、横軸に実質的に又は完全に平行に延在する二つのセクションと、によって構成されることが好ましい。
【0022】
誘導電力伝達用システムにおける、一次巻線構造体と、二次巻線構造体と、の間の相対位置関係を一つの相対位置関係(以下、第1の相対位置関係と称する場合がある。)とし、後述する所定無線方向探知システムの一つを、無線方向探知システム(第1の無線方向探知システムと称する場合がある。)とした場合に、第1の相対位置関係が、少なくとも第1の無線方向探知システムによって決定され、第1の無線方向探知システムが、少なくとも一つの送信装置と、当該送信装置によって送信された位置信号を受信するための少なくとも二つの受信装置とを含む。
かかる第1の無線方向探知システムが、正確には、四つの受信装置を含むことがより好ましい。
しかしながら、かかる第1の無線方向探知システムが、四つより少ない又は多い受信装置を含むことも好ましい。
【0023】
又、送信装置は、車両側の送信装置であることが好ましく、受信装置は、一次側の受信装置であることが好ましい。
ただし、送信装置は、一次側の送信装置であることも好ましく、受信装置は、車両側の受信装置であることも好ましい。
【0024】
又、一つの相対位置関係につき、位置信号の受信時に少なくとも二つの受信装置が生成する出力信号としての出力値を決定する。
本発明の明細書の流れにおいて、無線方向探知システムは、所望の座標系、特に受信装置関連の座標系、例えば受信装置に対して固定されている座標系における送信装置の位置関係を決定することができるシステムを意味する。
かかる位置関係の決定は、送信装置によって生成された位置信号の受信時に受信装置によって生成された出力信号を評価することによって実行される。
又、送信装置は、アンテナ要素(以下、アンテナ素子と称する場合がある。)であることが好ましく、又は、アンテナ要素を含んでいることが好ましい。
更に、受信装置は、アンテナ要素であることが好ましく、又は、アンテナ要素を含んでいることが好ましい。
特にこの場合において、出力信号は、受信装置の出力電圧及び/又は出力電流とすることが好ましい。
このような電圧/電流が、例えば、位置信号の受信時にアンテナ要素の内部に誘導されることが好ましい。
又、相対位置関係を決定するために、出力信号の少なくとも一つの特性、例えば、振幅、平均値、周波数、又は他の任意の信号特性を評価することが好ましい。
【0025】
又、相対位置関係という用語は、相対位置及び/又は相対向きを意味する。
かかる相対位置関係は、一つ又は複数のパラメータによって表されることが好ましい。
例えば、共通座標系における二次巻線構造体の位置及び/又は向きとして相対位置関係を決定することが好ましい。
かかる共通座標系は、二次側座標系によって構成されることが好ましい。
しかしながら、代替的に、共通座標系は、例えば、一次側座標系、又は一次側座標系に対して位置及び向きが固定されて配置される座標系とすることも好ましい。
一方、別の共通の基準座標系を使用することも好ましい。
【0026】
又、誘導電力伝達用システムが、例えば、少なくとも一つの評価ユニット、特に少なくとも一つの一次側評価ユニット及び/又は少なくとも一つの二次側評価ユニットを含んでいることが好ましい。
評価ユニットは、例えば、マイクロコントローラ又は集積回路を含むか、又はそれらによって構成されることが好ましい。
本発明の明細書の流れにおいて、「二次側」という用語は、それぞれの要素が二次側座標系に対して所定の位置に固定されて配置されることを意味することが好ましい。特に、二次側座標系における二次側要素の位置は既知であることが好ましい。
又、「二次側」という用語は、それぞれの要素が二次ユニットの一部であり得ることを意味することが好ましい。
更に、「一次側」という用語は、それぞれの要素が一次側座標系に対して所定の位置に固定されて配置されることを意味することが好ましい。特に、一次側座標系における一次側の要素の位置及び方向は既知である。
又、「一次側」という用語は、それぞれの要素が一次ユニットの一部であることを意味することが好ましい。
【0027】
更に、車両の少なくとも一つの動作値(以下、単に、動作値、動き値、又は運動値と称する場合がある。)が決定される。
車両の動作値は、車両の動作又は動きの特性を表している。このような特性は、例えば、車両の加速度、速度、距離、例えば、走行距離とすることが好ましい。
更に、かかる特性は、車両のヨーレート(yaw rate)、車両の走行方向、ステアリングホイール角度、例えばステアリング角度又は後車軸ステアリング角度、又は車両の他の任意の動的特性であることが好ましい。
更に又、かかる特性は、車両の縦軸、横軸、又は垂直軸に関連することが好ましい。
【0028】
又、動作値が、特にセンサ等の測定装置によって測定されることが好ましい。
しかしながら、かかる動作値が、例えば計算によって、動作値を測定しないが動作値に関連する情報内容を有する少なくとも一つの測定装置の出力信号から決定されることも好ましい。
このような測定装置が、例えば、所望の動作値とは異なる動作値を測定することが好ましい。
【0029】
又、このような測定装置は、例えば、位置決定装置又は位置決定システムであることが好ましい。
この場合において、位置決定装置によって生成された位置信号が、動作値を決定するために使用されることが好ましい。
又、例えば、測定装置は、車両の位置を測定するためのGNSS(Global Navigation Satellite System)センサであることが好ましい。
この場合において、車両の位置が、車両の動作値を提供することが好ましい。すなわち、車両の動作値が例えば速度値である場合に、当該速度値が、異なる時点における車両の位置に応じて決定されることが好ましい。
【0030】
更に、測定装置は、画像キャプチャユニット、例えばカメラ、より具体的にはCMOSカメラ又はCCDカメラであることが好ましい。
かかる画像キャプチャユニットは、車両に取り付けることが好ましい。
そして、画像の分析に基づいて、特に異なる時点で生成された画像の分析に基づいて、動作値、例えば速度値が、決定されることが好ましい。
なお、対応する画像処理アルゴリズムは、当業者には既知である。
【0031】
もちろん、GNSS位置及び/又は画像キャプチャユニットの出力から独立して位置を決定する別の位置決定装置又はシステムを使用することも好ましい。
そのような別の位置決定装置が、例えば、無線通信技術の一つであるBluetooth(登録商標)におけるRSSI(Received Signal Strength Indicator)の値に基づく位置決定、LIDAR(Light Detection and Ranging)に基づく位置決定、又は室内レーダー位置決定、又は別の機能性に従った位置決定を提供することが好ましい。
【0032】
更に、少なくとも二つの異なる位置決定装置又はシステムによって決定された位置値を組み合わせる(融合する)ことによって位置を決定することが好ましい。
この場合において、これらの異なる位置決定装置又はシステムが、異なる動作原理に従って、すなわち、互いに独立して、例えば、異なるセンサの出力信号を評価することによって、推定値を提供する。
【0033】
又、動作値が、車両側評価ユニットによって決定されることが好ましい。
この場合において、動作値を決定するために、車両側センサが使用されることが好ましい。
更に、動作値が、例えば適切な信号又はデータ伝送手段によって、一次側、特に一次側評価ユニットに対して伝送されることが好ましい。
又、誘導電力伝達用システムが、充電ユニットとしての一次側ユニットと車両との間で通信を行うための通信手段を含んでいることが好ましい。
かかる通信手段が、例えば、Bluetooth(登録商標)をベースとした通信を確立できるように構成されていることが好ましい。
又、かかる通信手段は、一次側要素と、二次側要素、特に車両と、の間でデータ通信や信号通信を可能にする。
そして、かかる通信手段によって、少なくとも一つの動作値に関する情報及び他のすべての種類の情報を符号化したデータが、充電ユニットとしての一次ユニットと車両との間で交換されることが好ましい。
かかる他のすべての種類の情報とは、例えば、一次側評価ユニットによって決定された相対位置関係に関する情報、及び/又は、軌道情報、及び/又は、少なくとも一つの基準位置関係及び/又は充電ポーズ(充電位置関係)の検出及び/又は座標変換のパラメータに関する情報であることが好ましい。
【0034】
或いは、動作値が、一次側評価ユニットによって決定されることが好ましい。
この場合において、一次側センサが、動作値を決定するために使用されることが好ましい。
或いは、車両側センサ(以下、単に車両センサと称する場合がある。)の出力信号を一次側に送信し、一次側評価ユニットにより、当該送信された出力信号に基づいて動作値が決定されることも好ましい。
【0035】
又、本発明によれば、第1の相対位置関係は、所定のモデルベース(model-based determination)を用いて決定され、所定のモデルベースの決定の入力値は、第1の無線方向探知システムの少なくとも二つの受信装置の出力値、及び、車両の少なくとも一つの動作値として提供される。
この場合において、相対位置関係が、第1の相対位置関係として決定されることが好ましい。
第1の無線方向探知システムの少なくとも二つの受信装置の出力値、及び、車両の少なくとも一つの動作値が、第1の相対位置関係の決定のために併せて考慮される。
すなわち、第1の無線方向探知システムの少なくとも二つの受信装置の出力値と、車両の少なくとも一つの動作値と、が組み合わされて、第1の相対位置関係が決定される。
【0036】
又、第1の無線方向探知システムの少なくとも二つの受信装置の出力値が、位置信号、例えば車両の位置信号の受信時に、受信装置において誘起されるAC(交流)電圧の振幅及び/又は実数成分及び/又は虚数成分によって提供されることが好ましい。
従って、かかる実数成分及び/又は虚数成分及び/又は振幅が、モデルベースの決定のための入力値を提供することが好ましい。
【0037】
又、第1の相対位置関係が、例えば、一次側評価ユニットによって決定されることが好ましい。
かかる一次側評価ユニットが、例えば、信号伝送手段、例えば、有線又は無線の信号伝送手段によって受信装置に接続されていることが好ましい。
【0038】
又、モデルベースの決定が、第1の無線方向探知システムの少なくとも二つの受信装置の出力信号と、車両の少なくとも一つの動作値との関係を入力値として表し、第1の相対位置関係を出力値として表すモデルに基づくことが好ましい。
この場合において、かかるモデルが、上記の入力値と相対位置関係との間の直接的な関係を表すことが好ましい。
更に、かかるモデルは、例えば、入力値と出力値との間の物理的関係の数学的記述であることが好ましい。
【0039】
しかしながら、モデルベースの決定が、第1の無線方向探知システムの少なくとも二つの受信装置の出力信号と、車両の少なくとも一つの動作値との関係を入力値として表し、第1の相対位置関係とは異なる出力値を出力するモデルに基づく判定を行うことも好ましい。
すなわち、かかるモデルが、上記の入力値と相対位置関係との間の直接的な関係を表してはいない。
そして、相対位置関係が、繰り返し、特に所定の頻度で決定されることが好ましい。
【0040】
又、第1の無線方向探知システムの少なくとも二つの受信装置の出力値と、車両の少なくとも一つの動作値との両方を前述のように併せて考慮することにより、相対位置関係の確実かつ正確な決定が有利に可能となる。
かかる動作値を考慮することは、例えば、ノイズ、温度等の環境影響、及び/又は電磁干渉に起因し得る、第1の無線方向探知システムによる相対位置関係の決定における不正確さの低減を有利に可能にする。
【0041】
又、更なる実施形態において、所定モデルベースによる決定に際して、モデルベースの決定の入力値に基づいて状態変数を決定する工程を含み、第1の相対位置関係が、少なくとも一つの状態変数として決定されることが好ましい。
この場合において、所定モデルが、モデルベースの決定の入力値と一つ以上の状態変数との間の関係、特に数学的関係を表すことが好ましい。
又、状態変数は、例えば、入力値とは異なるものとすることが好ましい。又、入力値は、可観測値(observable value)又は可測定値(measurable value)とも呼ばれることがある。
又、状態変数、特に、第1の相対位置関係を表すか、又は第1の相対位置関係に関する情報を符号化する状態変数は、非可観測な状態変数(non-observable state variable)であることが好ましい。
【0042】
又、特に、以前に決定された状態変数と状態遷移モデルに基づいて一つ以上の状態変数を予測し、その後、観測値に基づいて予測された状態変数を更新することが好ましい。
そして、観測値は、第1の無線方向探知システムの少なくとも二つの受信装置の出力信号と、車両の少なくとも一つの動作値とによって提供されることが好ましい。
又、かかる受信装置又は動作値を提供するソース(以下、情報源と称する場合がある。)よりも更に別のソースによって提供される出力値が、観測値として使用されることも好ましい。
【0043】
更に、第1の相対位置関係が、前述の更新済みの予測された状態変数の更に一つの倍数として決定される。
更新は、観測モデルを用いて行うことが好ましい。
前述のモデルベースの決定のために、第1の無線方向探知システムの少なくとも二つの受信装置によって生成された出力値、及び車両の少なくとも一つの動作値は、観測値又は測定値を提供することができる。
【0044】
このようにすることで、有利には、特に、第1の相対位置関係が、モデルベースの決定の入力値に基づいて直接的に又は正確に決定できない場合、すなわち、いわゆる隠れ状態変数(hidden state variable)又は非可観測な状態変数を提供する場合に、第1の無線方向探知システムの出力信号及び車両の少なくとも一つの動作値に基づいて、相対位置関係の確実かつ正確な決定を行うことができる。
【0045】
又、一実施形態において、第1の相対位置関係を決定する際に、カルマンフィルタを用いることが好ましい。
これは、カルマンフィルタに基づく第1の相対位置関係の決定が実行されることを意味していることが好ましい。カルマンフィルタは、当業者にとって既知である。
カルマンフィルタベースのプロセスは、モデル、特に、例えば運動の物理法則に基づくシステムの動的モデル、もし該当する場合には、そのシステムに対する既知の制御入力、及びセンサ等からの複数の連続した測定値/観測値を使用して、システム状態変数の推定値を決定する。
かかる推定値は、1回のみの測定による測定値を使用して得られた推定値よりも優れていることがある。そのため、カルマンフィルタが、一般的なセンサフュージョンアルゴリズムやデータフュージョンアルゴリズムとして利用されている。
この場合において、第1の無線方向探知システムの少なくとも二つの受信装置の出力値と、車両の少なくとも一つの動作値とが測定値を提供し、第1の相対位置関係は状態変数である。
【0046】
又、カルマンフィルタが、誘導電力伝達用システムの状態変数の推定値を、誘導電力伝達用システムの予測された状態変数と、第1の無線方向探知システムの少なくとも二つの受信装置の(新しい)出力信号と、重み平均(以下、重み付き平均、又は、加重平均と称する場合がある。)を用いた、車両の一つ以上の(新しい)動作値と、場合によっては他のソースからの値を用いた一つ以上の動作値の平均として決定する。
ここで、重み平均における重みの目的は、より良い、すわなち、より小さい推定された不確実性を有する値が、より「信頼」されるようにすることにある。
【0047】
又、重みが、誘導電力伝達用システムの状態変数の予測値における不確実性の指標である共分散から計算される。
重み平均の結果は、予測状態と測定状態との間に位置する新しい状態変数の推定値であり、どちらか一方だけよりも優れた推定不確かさを持つものである。
このプロセス(計算処理)が、所定時間ごとに繰り返され、新しい推定値とその共分散が次の繰り返しで使用される予測値に情報を与える。すなわち、カルマンフィルタは再帰的に働き、新しい状態を計算するために、システムの状態の履歴全体ではなく、最後の「最良の推測」だけを必要とすることを意味する。
【0048】
又、カルマンフィルタベースの決定が、以下の二つの工程(以下、単にステップと称する場合もある。)を含むことが好ましい。
【0049】
すなわち、予測工程(予測ステップ)においては、予測される現在の状態変数が、例えば電磁双極子理論(electromagnetic dipole theory)及び運動の物理法則によるモデルに基づいて決定される。
本発明の明細書の流れにおいて、モデルは、状態変数遷移モデルとも表記され、一つ以上の予測される現在の状態変数と、一つ以上の以前の状態変数、特に一つ以上の以前の推定状態変数と、及び必要に応じて一つ以上の制御入力値との間の関係を記述することが好ましい。
更に、かかる一つ以上の予測される現在の状態変数が、プロセスノイズパラメータ(process noise paramter)に基づいて決定される。
かかるプロセスノイズパラメータは、例えば、所定のノイズパラメータ又は以前に決定されたノイズパラメータであることが好ましい。
又、かかるプロセスノイズパラメータが、例えば、プロセス共分散、特にプロセス共分散行列によって提供されることが好ましい。
予測された現在の状態変数の決定に加えて、更新されたプロセスノイズパラメータが、予測ステップにおいて決定されることが好ましい。
【0050】
又、更新工程(更新ステップ)においては、観測値が、第1の無線方向探知システムの少なくとも二つの信号受信装置の出力値と車両の少なくとも一つの動作値として決定される。
これらの観測値には、観測ノイズパラメータを割り当てることが好ましく、当該観測ノイズパラメータは、観測値の決定における不確実性の量を表している。
又、かかる観測ノイズパラメータは、例えば、観測共分散、特に、観測共分散行列によって提供されることが好ましい。
次いで、予測ステップのプロセス共分散に関連するかかる観測共分散は、新しい測定が更新された予測にどの程度影響するのかを決定する。
【0051】
更に、観測値と、一つ以上の予測される現在の状態変数と、一つ以上の状態変数と観測値との関係を表す観測モデルと、に基づいて、一つ以上の現在の状態変数の推定値が、決定される。
又、推定された現在の状態変数の決定に加え、予測ステップにおいて、更新されたプロセスノイズパラメータを決定することが好ましい。
【0052】
次いで、第1の相対位置関係が、現在の推定状態変数のうちの一つ以上によって提供されるか、又はそれに応じて決定されることが好ましい。
【0053】
又、更に別の実施形態において、動作値が、車両の速度、走行方向、又はステアリングホイール角度の少なくとも一つであることが好ましい。
シミュレーションによれば、このような動作値によって、相対位置関係を非常に正確に決定することができることが示されている。
【0054】
又、更に別の実施形態において、第1の相対位置関係とは別の相対位置関係(以下、第2の相対位置関係と称する場合がある。)が、第1の無線方向探知システムとは別の無線方向探知システム(以下、第2の無線方向探知システムと称する場合がある。)によって決定される工程を含むことも好ましい。
そして、第2の無線方向探知システムは、少なくとも一つの送信装置と、送信装置によって送信された位置信号を受信するための少なくとも二つの受信装置と、を含むことが好ましい。
更に、第2の相対位置関係は、少なくとも一つの送信装置によって送信された位置信号の受信時に、少なくとも二つの受信装置によって生成された出力値に基づいて決定されることが好ましい。
【0055】
又、第1の無線方向探知システムに関連する態様は、第2の無線方向探知システムにも適用することが好ましい。従って、本発明で開示された対応する態様を参照する。
【0056】
又、第1の無線方向探知システムの受信装置及び第2の無線方向探知システムの受信装置が、異なる又は別個の装置として設計されることが好ましい。
更に、第1の無線方向探知システムの送信装置及び第2の無線方向探知システムの送信装置が、異なる又は別個の装置として設計されることが好ましい。
しかしながら、第1の無線方向探知システムの送信装置が、第2の無線方向探知システムの送信装置を構成することが好ましく、逆も又同様であることが好ましい。
【0057】
この場合において、例えば、車両側の送信装置が位置信号を送信し、この位置信号が、第1の無線方向探知システムの受信装置及び第2の無線方向探知システムの受信装置によって受信されることが好ましい。
【0058】
更に、相対位置関係が、一つの相対位置関係(第1の相対位置関係)と、それとは別の相対位置関係(第2の相対位置関係)とを組み合わせた相対位置関係として、決定されることが好ましい。
このような相対位置関係は、組み合わせた相対位置関係(融合相対位置関係)と呼ばれることがある。
これは、第1の相対位置関係と、第2の相対位置関係とを組み合わせることによって結果として生じる相対位置関係(ポーズ)が決定されることを意味することがある。
ここで、第1の相対位置関係と、第2の相対位置関係との両方が、異なる種類の方法によって、かつ、少なくとも部分的に、異なる種類のセンサからの出力信号に基づいて、決定されることも好ましい。
この決定により、より少ない不確実性で、すなわち、より高い確実性で、相対位置関係の決定が更に有利かつ精度良く提供される。
【0059】
又、更に別の実施形態において、相対位置関係が、一次巻線構造体と、二次巻線構造体との間の距離である一つの間隔(以下、第1の間隔と称する場合がある。)に関する第1の相対位置関係として決定され、かつ、一次巻線構造体と、二次巻線構造体との間の距離である別の間隔(以下、第2の間隔と称する場合がある。)に関する第2の相対位置関係として決定されることが好ましい。
更に、相対位置関係が、第1の相対位置関係と、第2の相対位置関係とを組み合わせた相対位置関係として決定されることが好ましい。
又、第1の間隔の最小値は、第2の間隔の最大値よりも高くすることが好ましく、第1の間隔の最小値は、例えば、0.5m、1.0m、又は2.5mであることが好ましい。
【0060】
これに対応して、第2の間隔の最大値は、0.5m未満、1.0m未満、又は2.5m未満であることが好ましい。
そして、第1の間隔の最大値は、例えば6.5mとすることが好ましく、第2の間隔の最小値は、例えば0mとすることが好ましい。
或いは、第2の間隔の最小値は、第1の間隔の最大値よりも高くることも好ましい。
【0061】
これにより、有利には、第1の無線方向探知システム及び第2の無線方向探知システムの両方が、十分に正確な相対位置関係を構成する距離に対してのみ、相対位置関係の決定の確実性を高めることができる。
特に、第1の無線方向探知システム及び第2の無線方向探知システムのうちの一つ、より詳細には第2の無線方向探知システムが、所定の距離間隔においてのみ正確な結果を提供することができる
【0062】
又、更に別の実施形態において、第2の間隔の距離は、第1の間隔の距離よりも小さいことが好ましい。
このような構成とすることで、有利には、相対位置関係の十分な正確さが小さい距離に対してのみ提供される場合に、第2の無線方向探知システムが、十分に正確な相対位置関係を提供する距離に対してのみ、相対位置関係の決定における確実性を高めることができる。
【0063】
又、更に別の実施形態において、第1の無線方向探知システムの少なくとも二つの受信装置によって生成された出力値に基づく少なくとも一つのノイズ関連パラメータと、第2の無線方向探知システムの少なくとも二つの受信装置によって生成された出力値の少なくとも一つのノイズ関連パラメータと、が決定され、組み合わせた相対位置関係が、ノイズ関連パラメータに応じて決定されることが好ましい。
ノイズ関連パラメータは、例えば、信号内の有用な信号部分に対する信号のノイズ量を表すことが好ましい。言い換えれば、ノイズ関連パラメータは、SNR(Signal-to-Noise Ratio)であることが好ましい。そして、ノイズ関連パラメータは、出力信号の振幅に基づいて決定されることが好ましい。
【0064】
又、かかるノイズ関連パラメータの決定は、出力信号に基づいて行うことが好ましい。
対応する方法は、当業者に知られている。
或いは、又は更に、ノイズ関連パラメータが、予め決定されていることが好ましく、又は、受信装置の予め定められた特性に基づいて決定されることが好ましい。
【0065】
例えば、ノイズ関連パラメータで表される信号のノイズが大きいほど、第1の相対位置関係と、第2の相対位置関係と、を組み合わせる際に、信号に基づいて決定される相対位置関係を考慮しないようにすることが好ましい。
【0066】
これにより、有利には、相対位置関係の決定における精度と確実性が更に向上する。
【0067】
又、更に別の実施形態において、少なくとも第2の無線方向探知システムの少なくとも二つの受信装置が、異物検出用装置の要素によって構成されることが好ましい。
かかる異物検出用装置は、例えば、正確に一つ以上の検出用巻線構造体(以下、検出用巻線構造又は検出用巻線と称する場合がある。)を含むことが好ましい。
又、検出用巻線構造体は、例えば、正確に一つ以上の巻線を有するコイルによって構成されることが好ましい。
このような異物検出用装置は、例えば、前述の特許文献3又は4に開示されている。
又、上記の検出用巻線構造体に加えて、異物検出用装置が、少なくとも一つの励磁用巻線構造体(以下、励磁用巻線構造又は励磁用巻線と称する場合がある。)を含むことが好ましい。
【0068】
物体検出装置又は物体検出システムが、誘導性素子及び容量性素子を含むことが好ましく、これらの素子は、提案された誘導電力伝達用システムの共振回路素子とは異なるものとすることが好ましい。
このような素子は、有利には、前述の誘導性素子のインダクタンス又は容量性素子のキャパシタンスの変化に応じて、異物を検出することを可能にする。
又、物体検出システムは、誘導性センシングシステムとして設計され、当該誘導性センシングシステムは、一つ以上の検出用巻線と、場合により一つ以上の励磁用巻線とを含んでいることが好ましい。
誘導性センシングシステムを使用することで、アクティブ検出又はパッシブ検出を実現できる。
アクティブ検出の場合、一つ以上の励磁用巻線と一つ以上の検出用巻線とが使用されることが好ましい。
そして、励磁用巻線によって生成され、検出用巻線によって受信される励起フィールドの少なくとも一つの特徴的な特性をモニタリングすることによって、アクティブ物体検出が実行されることが好ましい。
一方、パッシブ検出の場合、一つ以上のパッシブ検出用巻線のみが使用される。
パッシブ物体検出は、受動巻線の少なくとも一つの特性、特にインダクタンスをモニタリングすることによって実行される。
【0069】
特に、少なくとも一つの一次側受信ユニットが、一つの検出用巻線構造体によって少なくとも部分的に構成されることが好ましく、又は、一つの検出用巻線構造体を含むことが好ましい。
或いは、少なくとも一つの一次側受信ユニットが、一つの励磁用巻線構造体によって少なくとも部分的に構成されることが好ましく、又は、一つの励磁用巻線構造体を含むことが好ましい。
又、検出用巻線構造体は、一次側受信ユニットの受信アンテナ構造を構成することが好ましい。
代或いは、又は更に、一次側ADコンバータが、誘導性物体検出システムのADコンバータによって構成される。
この場合において、誘導性物体検出システムは、一つ以上の検出用巻線の出力信号をディジタル化するために、ADコンバータを含むことが好ましい。
【0070】
又、誘導性物体検出システムが、複数の検出用巻線構造体及び/又は複数の励磁用巻線構造体を含むことが好ましく、これらの巻線構造体が、一次巻線構造体に割り当てられたアクティブ領域全体に、均等に分布していることが好ましい。
そして、かかるアクティブ領域が、一次巻線構造体を覆う領域を示すことが好ましい。
又、複数の検出用巻線構造体及び/又は励磁用巻線構造体は、例えば、アレイ状の構造に配置することが好ましい。
【0071】
この場合において、異物検出用装置の少なくとも二つの選択された検出用巻線構造体又は全ての検出用巻線構造体が、第2の無線方向探知システムの受信装置を構成することが好ましい。
このようにすることで、有利には、提案された相対位置関係の決定のために既存の構成要素を使用することができるので、このようなシステムのための建築スペース要件を低減することができる。
【0072】
又、更に別の実施形態において、車両の動作値は、GNSS信号、画像ベース、又は車両センサの出力値の少なくとも一つに基づいて、決定されることが好ましい。
【0073】
又、更に別の実施形態において、車両の動作値を含む情報が、車両からウェイサイド(way-sided)の一次ユニットへと送信されることが好ましい。
【0074】
更に、車両に用いる誘導電力伝達用システムにおける、一次巻線構造体と、二次巻線構造体と、の間の相対位置関係の決定システムが提案されている。
この相対位置関係の決定システムが、相対位置関係のうち、一つの相対位置関係(以下、第1の相対位置関係と称する場合がある。)を決定するための、少なくとも一つの無線方向探知システム(以下、第1の無線方向探知システムと称する場合がある。)を含み、第1の無線方向探知システムは、少なくとも一つの送信装置と、送信装置によって送信された位置信号を受信する少なくとも二つの受信装置とを含む。
そして、第1の相対位置関係につき、位置信号の受信時に少なくとも二つの受信装置が生成する出力値を決定するとともに、車両の少なくとも一つの動作値が決定される構成である。
更に、第1の相対位置関係が、所定モデルベースにより決定され、かかるモデルベースの決定の入力値が、少なくとも二つの受信装置の出力値及び車両の少なくとも一つの動作値である。
【0075】
又、相対位置関係の決定システムが、車両の少なくとも一つの動作値を決定するための少なくとも一つの手段を更に含むことが好ましい。
【0076】
又、相対位置関係の決定システムが、有利には、本発明で開示された実施形態のうちの一つによる方法を実行することを可能にする。
従って、相対位置関係の決定システムが、そのような方法を実行するように構成されていることが好ましい。
【0077】
又、更に別の実施形態において、相対位置関係の決定システムが、第1の相対位置関係とは別の相対位置関係(以下、第2の相対位置関係と称する場合がある。)を決定するための、第1の無線方向探知システムとは別の無線方向探知システム(以下、第2の無線方向探知システム)を含んでおり、当該別の無線方向探知システムが、少なくとも一つの送信装置と、当該少なくとも一つの送信装置によって送信された位置信号を受信するための少なくとも二つの受信装置とを含むことが好ましい。
そして、第2の相対位置関係が、位置信号の受信時に受信装置によって生成される出力値に基づいて決定される構成であって、相対位置関係が、第1の相対位置関係と、第2の相対位置関係とを組み合わせた(融合させた)相対位置関係として、決定される構成であることが好ましい。これと対応する利点は、前に説明したとおりである。
【0078】
又、更に別の実施形態において、相対位置関係の決定システムが、異物検出用装置を含み、少なくとも、第2の無線方向探知システムの少なくとも二つの受信装置が、異物検出用装置の要素によって構成されていることが好ましい。これと対応する利点は、前に説明した通りである。
【0079】
又、更に別の実施形態において、相対位置関係の決定システムが、車両からウェイサイドの一次ユニットへの動作値を含む情報を送信するための手段を含むことが好ましい。これと対応する利点は、前に説明した通りである。
【0080】
本発明を、添付の図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【
図1】
図1は、本発明における誘導電力伝達用システムの一次巻線構造体と二次巻線構造体との間の相対位置関係の決定システムの概略ブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の別の実施形態における誘導電力伝達用システムの一次巻線構造体と二次巻線構造体との間の相対位置関係の決定システムにおける部品の概略ブロック図である。
【
図3】
図3は、一次巻線構造体と二次巻線構造体との間の相対位置関係を決定する方法の概略フロー図である。
【
図4】
図4は、本発明の更に別の実施形態における一次巻線構造体と二次巻線構造体との間の相対位置関係の決定方法の概略フロー図である。
【
図5】
図5は、本発明の更に別の実施形態における一次巻線構造体と二次巻線構造体との間の相対位置関係の決定方法の概略フロー図である。
【
図6】
図6は、本発明の更に別の実施形態における一次巻線構造体と二次巻線構造体との間の相対位置関係の決定方法の概略フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0082】
以下では、図面全体を通して割り当てられた同じ参照符号は、同一又は類似の技術的特徴を有する要素を示している。
【0083】
図1は、本発明における誘導電力伝達用システムの一次巻線構造体2と二次巻線構造体3との間の相対位置関係の決定システム1の概略ブロック図である。
【0084】
かかる誘導電力伝達用システムは、一次巻線構造体2を備えた一次ユニット4を含む。
更に、かかる一次ユニット4は、一次巻線構造体2と二次巻線構造体3との間の相対位置関係を決定するための第1の無線方向探知システムの第1の受信装置である受信装置5aと第2の受信装置である受信装置5bとを含む。
更に、誘導電力伝達用システムは、車両7に、特に車両7の底面に取り付けられる二次ユニット6を含む。かかる二次ユニット6は、二次巻線構造体3を含み、更に、第1の無線方向探知システムの送信装置8を含む。
かかる送信装置8は、アンテナ構造体を含むか、又はアンテナ構造体として設計されることが好ましい。
更に、受信装置5a、5bの各々も、アンテナ構造体として設計されることが好ましく、又はそのようなアンテナ構造体を含むことが好ましい。
又、
図1では、第1の無線方向探知システムが、二つの受信装置5a、5bを含むことを示している。
しかしながら、第1の無線方向探知システムは、受信装置5a、5bに示されるよりも多くの、特に正確には四つの受信装置又は四つを超える受信装置を含むことが好ましい。
又、これらの受信装置5a、5bは、一次側座標系に対して異なる位置に配置することが好ましい。
【0085】
又、
図1は、異なる受信装置5a、5bを、一次側座標系の縦軸xに沿って所定の間隔(距離)をあけて配置した実施形態を示している。
更に示されているのは、一次側座標系の垂直軸zである。
又、横軸(図示せず)は、縦軸x及び垂直軸zに直交するように配向されている。
すなわち、この横軸は、図面の平面に対して垂直に配向させることが好ましい。
又、例えば、一次ユニット4の少なくとも二つ又は全ての受信装置5a、5bが、縦軸xに沿って互いに対してゼロ以外のオフセットを有して配置されることが好ましい。
或いは、又は更に、一次ユニット4の少なくとも二つ又は全ての受信装置5a、5bが、横軸に沿って互いに対してゼロ以外のオフセットを有して配置されることも好ましい。
【0086】
又、一実施形態において、一次ユニット4の少なくとも二つの受信装置からなる第1のセットの少なくとも二つの受信装置が、縦軸xに沿って互いに対してゼロ以外のオフセットを有して配置され、一次ユニット4の少なくとも二つの受信装置からなる、別の異なるセット(以下、第2のセットと称する場合がある。)の少なくとも二つの受信装置が、横軸に沿って互いに対してゼロではないオフセットを伴って配置される。
更に、第1のセットは、第2のセットの一部ではない少なくとも一つの受信装置を含む。
【0087】
更に、一次ユニット4は、一次側評価ユニット9を含むことが好ましく、かかる一次側評価ユニット9は、マイクロコントローラ又は集積回路として設計することが好ましく、又は集積回路を含むことが好ましい。
かかる一次側評価ユニット9は、適切な信号伝送手段、例えば有線接続又は無線接続によって、少なくとも二つの受信装置5a、5bに接続されることが好ましい。
そして、一次側評価ユニット9によって、少なくとも二つの受信装置5a、5bによって生成された出力信号に応じて、特に出力信号の少なくとも一つの特性に応じて、第1の相対位置関係が決定される。
かかる出力信号に応じて相対位置関係を決定するためのこのようなプロセスは、当業者にとって既知である。
【0088】
更に、一次ユニット4は、例えばBluetooth(登録商標)に基づいた通信を介して、無線方式で車両側データ送信手段11によって送信されたデータ信号を受信するための一次側データ受信手段10を含む。
特に、車両側データ送信手段11と一次側データ受信手段10との間に通信リンクが確立されることが好ましい。
又、車両側データ送信手段11及び一次側データ受信手段10は、それぞれ少なくとも一つのアンテナ構造体を含むことが好ましい。
【0089】
更に、車両側制御ユニット12が示されている。
かかる車両側制御ユニット12及び車両側データ送信手段11によって、車両7の少なくとも一つの動作値が、対応するデータ信号によって一次ユニット4に送信されることが好ましい。
このような動作値は、例えば、速度センサ(図示せず)によって決定されることがある車両7の速度であることが好ましく、かかる速度センサは、図示された車両側制御ユニット12に接続されていることが好ましい。
或いは、又は更に、少なくとも一つの動作値は、特に世界座標系における車両7の走行方向に関する情報を含むことが好ましい。
或いは、又は更に、少なくとも一つの動作値は、車両7のステアリングホイール角度を含むか、又は、ステアリングホイール角度によって構成されることが好ましく、このようなステアリングホイール角度は、例えば、センサ(図示せず)によって決定されることが好ましい。
【0090】
更に、第1の相対位置関係は、一次側評価ユニット9によってモデルベースの決定を用いて決定され、モデルベースの決定の入力値は、少なくとも二つの受信装置5a、5bの出力値と、車両7から一次ユニット4へ、特に車両側制御ユニット12から一次側評価ユニット9へ伝送される少なくとも一つの動作値と、によって提供される。
一次側評価ユニット9は、適切な接続手段によって、例えば有線又は無線方式で一次側データ受信手段10に接続されることが好ましい。
【0091】
又、車両7の動作値、例えば速度が、例えば車両7のGNSSセンサ(図示せず)により提供されるGNSS信号に基づいて決定されることも好ましい。
かかる動作値は、車両側制御ユニット12によって決定され、一次側、特に一次側評価ユニット9に送信されることが好ましい。
或いは、少なくとも一つの動作値は、一次側評価ユニット9によって決定されることが好ましく、当該決定のための信号は、例えば車両7によって、特に車両側制御ユニット12によって、一次側評価ユニット9へ提供される。
【0092】
又、
図2は、本発明の別の実施形態による誘導電力伝達用システムの一次巻線構造体2と二次巻線構造体3との間の相対位置関係の決定システムにおける部品の概略ブロック図である。
【0093】
図2には、誘導電力伝達用システムの一次ユニット4のみが示されている。
かかる一次ユニット4は、基本的に
図1に示した一次ユニット4として設計されているので、対応する説明を参照する。
図1に示す実施形態とは対照的に、一次ユニット4は、異物検出用装置の検出用巻線14のアレイ13を含む。図示を容易にするために、検出用巻線14のうちの一つだけが参照符号を付されている。
このような検出用巻線14は、位置信号、特に位置信号送信装置としての送信装置8(
図1参照)によって生成され送信される位置信号を受信するためのアンテナ素子を構成することが好ましい。
この場合において、送信装置8によって送信された位置信号は、第1の無線方向探知システムの少なくとも二つの受信装置5a、5bによって受信されるとともに、異物検出用装置の検出用巻線14によっても受信される。
その結果、これらの検出用巻線14及び送信装置8は、一次巻線構造体2と二次巻線構造体3との間の相対位置関係を決定するための別の無線方向探知システム(以下、第2の無線方向探知システムと称する場合がある。)を構成する。
【0094】
又、一次側評価ユニット9は、適切な信号伝送手段、例えば、有線接続又は無線接続によって検出用巻線14に接続されることが好ましい。
かかる一次側評価ユニット9によって、検出用巻線14によって生成された出力信号に応じて、特に出力信号の少なくとも一つの特性に応じて、第2の相対位置関係が決定される。出力信号に応じた相対位置関係の決定のためのこのようなプロセスは、当業者に知られている。
【0095】
次いで、車両の少なくとも一つの動作値と、第1の無線方向探知システムの少なくとも二つの受信装置5a、5bによって生成される出力信号と、に応じて決定される前述の第1の相対位置関係と、第2の無線方向探知システムの受信装置を構成する検出用巻線14によって生成される出力信号に応じて決定される第2の相対位置関係と、を組み合わせて、結果として相対位置関係を決定することが、更に可能である。
これは、結果としての相対位置関係を決定する際に、第1の相対位置関係と、第2の相対位置関係の両方が考慮されることを意味する。
【0096】
図3は、一次巻線構造体と二次巻線構造体との間の相対位置関係を決定する方法の概略フロー図である。
【0097】
かかる概略フロー図によれば、車両7が示されており、動作値決定ステップ14´において、少なくとも一つの動作値、特に速度値、走行方向値、及び/又は、ステアリングホイール角度値が決定される。
更に示されているのは、第1の無線方向探知システムの少なくとも二つの受信装置5a、5bであり、当該少なくとも二つの受信装置5a、5bの出力値は、出力値決定ステップ15において決定される。
次いで、動作値決定ステップ14´及び出力値決定ステップ15で決定された値は、特に入力値として、一次巻線構造体2と二次巻線構造体3との間の相対位置関係のモデルベースの決定に対して提供される。
次いで、決定ステップ16において、相対位置関係が決定される。
【0098】
又、
図4は、本発明の更に別の実施形態による一次巻線構造体2と二次巻線構造体3との間の相対位置関係の決定方法の概略フロー図である。
かかる概略フロー図によれば、第1のステップS1において、位置信号が生成され、例えば第1の無線方向探知システムの車両側の送信装置8によって送信される。
次いで、第2のステップS2において、第1の無線方向探知システムの受信装置5a、5bの出力値が決定される。
次いで、第3のステップS3において、車両7(
図1参照)の少なくとも一つの動作値が決定される。
次いで、第4のステップS4において、モデルベースの決定を用いて第1の相対位置関係が決定される。モデルベースの決定の入力値は、第2のステップS2及び第3のステップS3において決定された値によって提供される。
【0099】
例えば、第1の相対位置関係が、モデルベースの決定の出力として決定されることが好ましい。かかるモデルは、入力値と、第1の相対位置関係と、の間の関係を表すことが好ましい。
しかしながら、かかるモデルは、入力値と、第1の相対位置関係とは異なる出力との間の関係を表すことも好ましい。
この場合において、かかるモデルは、状態変数として第1の相対位置関係を決定するために使用されることが好ましい。かかるモデルは、入力値と状態変数との間の関係、並びに状態変数とモデルの出力、特にモデルの観測可能な又は測定可能な出力との間の関係を記述している。
特にこの場合において、第1の相対位置関係は、非可観測な状態変数/非可測定な状態変数として、又は少なくとも一つのそのような非可観測な状態変数/非可測定な状態変数に応じて、決定されることが好ましい。
【0100】
又、モデルは、例えば、再帰的なモデルとすることが好ましい。
特に、かかるモデルは、相対位置関係の共通の特徴に基づく決定が可能になるように構成されることが好ましい。
この場合において、かかるモデルは、例えば、二つの異なる時点における状態変数の間の関係、特に数学的関係を記述又は表現する、いわゆる状態変数遷移モデルを提供することが好ましい。
更に、かかるモデルは、状態変数と観測値との間の関係、すなわち、少なくとも一つの運動値と少なくとも二つの受信装置5a、5bの出力値との間の関係を表す、いわゆる観測モデルを提供することが好ましい。
又、第4のステップS4の第1のサブステップにおいて、予測された状態変数が、以前に決定された推定状態変数、特に以前の時点で推定された状態変数によって提供される状態変数遷移モデルを使用することによって決定されることが好ましい。
又、第4のステップS4の第2のサブステップにおいて、第1のサブステップで決定された予測された状態変数と観測値とに基づいて、特に前述の観測モデルを用いて、更新された推定状態変数が決定されることが好ましい。
そして、これらの更新された推定状態変数が、第1のステップS1~第4のステップS4の次のシーケンスのために、前述した以前に決定された推定状態変数を提供する。
【0101】
又、相対位置関係が、特に所定の頻度で繰り返し決定されることが好ましい。
このような相対位置関係の決定は、第1のステップS1~第4のステップS4のシーケンスを繰り返し実行することによって行われることが好ましい。
【0102】
又、
図5は、本発明の更に別の実施形態による、一次巻線構造体2と二次巻線構造体3との間の相対位置関係の決定方法の概略フロー図である。
かかる概略フロー図によれば、第1のステップS1~第4のステップS4までのシーケンスは、
図4に示されたシーケンスに対応する。従って、対応する説明を参照する。
更に、第5のステップS5において、第2の無線方向探知システムの少なくとも二つの受信装置によって、例えば異物検出用システムの検出用巻線14によって、生成された出力値に基づいて、第2の相対位置関係が決定される(
図2を参照)。
更に、第6のステップS6において、第4のステップS4で決定された第1の相対位置関係と、第5のステップS5で決定された第2の相対位置関係とを組み合わせることによって、組み合わせた相対位置関係又は結果としての相対位置関係とも表記できる相対位置関係が決定される。
組み合わせるとは、例えば、第1の相対位置関係と、第2の相対位置関係とに関する値の平均値、特に、これらの相対位置関係に関する値の加重平均値を決定することによって実行されることが好ましい。
例えば、第1の無線方向探知システムの少なくとも二つの受信装置5a、5bによって提供される出力信号と、第2の無線方向探知システムの少なくとも二つの受信装置によって提供される出力信号のうち、特に有用な信号部分に対するノイズ部分を表すノイズ関連パラメータを決定し、これらのノイズ関連パラメータに応じて、組み合わせた相対位置関係を決定することが好ましい。
特に、加重平均の決定における第1の相対位置関係の重み又は第2の相対位置関係の重みは、ノイズ値が減少するにつれて増加することが好ましい。
【0103】
又、
図6は、本発明の更に別の実施形態による、一次巻線構造体2と二次巻線構造体3との間の相対位置関係の決定方法の概略フロー図である。
かかる概略フロー図によれば、第1のステップS1~第4のステップS4までのシーケンスは、
図4に示されたシーケンスに対応する。従って、対応する説明を参照する。
又、第5のステップS5から第6のステップS6までのシーケンスは、
図5に図示されたシーケンスに対応する。従って、対応する説明を参照する。
一方、
図4に示された実施形態とは対照的に、本決定方法は、決定ステップDSを含む。
かかる決定ステップDSにおいて、特に第4のステップS4で決定された第1の相対位置関係に応じて、一次巻線構造体2と二次巻線構造体3との間の間隔(距離)が決定される。
この距離値が第1の間隔内にある場合、相対位置関係は、この第1の相対位置関係として決定される。
一方、この距離値が、第1の間隔とは別の第2の間隔内にある場合、第5のステップS5及び第6のステップS6のシーケンスが実行され、相対位置関係は、上記概略のように組み合わされた相対位置関係として決定される。
更に、この距離値が第1の間隔内にも、第2の間隔内にもない場合、相対位置関係は決定されず、範囲外情報が生成される。
なお、第1の間隔は、第2の間隔よりも高くすることが好ましい。
【0104】
又、
図4~
図6に示す第1のステップS1、・・・、第6のステップS6の順序は、第1のステップS1、・・・、第6のステップS6の時系列を必ずしも規定するものではない。
特に、第3のステップS3で決定される、車両の少なくとも一つの動作値は、第2のステップS2で決定された少なくとも二つの受信装置5a、5bの出力値と同時に決定されることが好ましい。
更に、第5のステップS5において決定される、第2の無線方向探知システムの少なくとも二つの受信装置の出力値が、第2のステップS2において実行される決定及び/又は第3のステップS3において実行される決定と、同時に決定されることが好ましい。
更に、第4のステップS4における第1の相対位置関係の決定が、第6のステップS6における第2の相対位置関係の決定と同時に実行されることが好ましい。
【符号の説明】
【0105】
1:相対位置関係の決定システム、2:一次巻線構造体、3:二次巻線構造体、4:一次ユニット、5a、5b:受信装置、6:二次ユニット、7:車両、8:車両側送信装置、位置信号送信装置、9:一次側評価ユニット、10:一次側データ受信手段、11:車両側データ送信手段、12:車両側制御ユニット、13:アレイ、14:検出用巻線、14´:動作値決定ステップ、15:出力値決定ステップ、16、DS:決定ステップ、S1:第1のステップ、S2:第2のステップ、S3:第3のステップ、S4:第4のステップ、S5:第5のステップ、S6:第6のステップ、x:縦軸、z:垂直軸