(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】塗装用途のためのシラン末端化ポリエーテルエマルジョン
(51)【国際特許分類】
C08L 71/02 20060101AFI20240201BHJP
C08K 5/544 20060101ALI20240201BHJP
C08L 83/04 20060101ALI20240201BHJP
C09D 5/02 20060101ALI20240201BHJP
C09D 171/02 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
C08L71/02
C08K5/544
C08L83/04
C09D5/02
C09D171/02
(21)【出願番号】P 2022535536
(86)(22)【出願日】2019-12-11
(86)【国際出願番号】 US2019065629
(87)【国際公開番号】W WO2021118551
(87)【国際公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】390008969
【氏名又は名称】ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns-Seidel-Platz 4, D-81737 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピアソン,アンドルー
(72)【発明者】
【氏名】アンドルーズ,アマンダ
(72)【発明者】
【氏名】ビック,トビー
【審査官】小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-508609(JP,A)
【文献】特表2008-540747(JP,A)
【文献】特表2008-540745(JP,A)
【文献】特開2008-121012(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0369740(US,A1)
【文献】国際公開第2019/159972(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 71/00-71/14
C08K 5/544
C08L 83/04
C09D 5/02
C09D 171/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)式(I)のシリル末端化ポリマー、
【化1】
ここで、R
1=C
1~C
12-アルキル又はアリール、R
2=C
1~C
12-アルキル、X=O又はNR
3、R
3=H又はC
1~C
12-アルキル又はアリール、M=独立して-CH
2CH
2-又は-CH
2CH(CH
3)-又は-CH
2CH
2CH
2CH
2-、n=0~2、m=1~500である、及び
(B)式(II)のシクロヘキシルアミノアルコキシシラン触媒
R
1
n(OR
2)
3-n-Si-(CHR
3)
p-NH-シクロヘキシル(II)、
ここで、R
1=C
1~C
12-アルキル又はアリール、R
2=C
1~C
12-アルキル又はグリコール又はH又はアリール、R
3=H又はC
1~C
12-アルキル又はアリール、及びp=0~5である、及び
(C)水
を含
むシラン末端化ポリエーテルエマルジョン
を含有する、水性系1K。
【請求項2】
シラン末端化ポリエーテルエマルジョンが、(A)式(I)のシリル末端化ポリマーを含み、ここで、Y=-(CH
2)
3-又は-(CH
2)
3NHC(=O)-である、請求項1に記載の
水性系1K。
【請求項3】
シラン末端化ポリエーテルエマルジョンが、N-シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、N-シクロヘキシルアミノメチルトリメトキシシラン、N-シクロヘキシル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-シクロヘキシル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-シクロヘキシルアミノエチルメチルジエトキシシラン、N-シクロヘキシルアミノエチルメチルジメトキシシランからなる群より選択される、少なくとも1つの構成成分(B)を含む、請求項1又は2に記載の
水性系1K。
【請求項4】
シラン末端化ポリエーテルエマルジョンが、式R
4
aR
5
b(R
6O)
cSiO
(4-a-b-c)/2(II)の単位を含み、ここで、a=0~3、b=0~2、c=0又は1又は2又は3、R
4=C
1~C
12-アルキル又はアリール又はアミノアルキル又はグリシドキシアルキル又はメルカプトアルキル、R
5=C
1~C
12-アルキル又はアリール、R
6=C
1~C
12-アルキル又はH又はエチレンオキシド又はプロピレンオキシドであって、但し、a+b+c≦4であり、オリゴマー、ポリマー、及びシランに対応する、シリコーン化合物(D)を含む、請求項1~3に記載の
水性系1K。
【請求項5】
シラン末端化ポリエーテルエマルジョンが、乳化剤(E)を含む、請求項1~4に記載の
水性系1K。
【請求項6】
シラン末端化ポリエーテルエマルジョンが、(F)単数又は複数の充填剤及び/又は顔料;及び任意選択的に(G)単数又は複数の他の添加剤を含む、請求項1~5に記載の
水性系1K。
【請求項7】
請求項1~6に記載の
水性系1Kを含む、塗装用又は塗料用組成物。
【請求項8】
前記塗装用又は塗料用組成物は、石材、石膏、セルロース、EIFS基材、屋根の塗装又はデッキの塗装のための塗装又は塗料である、請求項7に記載の塗装用又は塗料用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、シクロヘキシルアミノアルコキシシラン触媒を含むシラン末端化ポリエーテルエマルジョン(STP-Eエマルジョン)及びこのSTP-Eエマルジョンの塗装用途における使用に向けられている。
【背景技術】
【0002】
背景
ほとんどの建築材料は多孔性であり、これによって、これらの材料は、例えば雨により外側から濡れる。この建築材料の細孔が水で満たされた場合、この材料の断熱性は、悪影響を受ける。また、長期間濡れることは、湿度による損傷をももたらす。石材、石膏、セルロースならびに外断熱工法(EIFS)を覆う、種々の塗装が開発されているが、そうした塗装の多くが、脆化する傾向を有する。脆性は、塗装に亀裂の発生をもたらし、大きな表面を有する塗装の被膜に、機能的ではなく、かつ外観上も良くない亀裂を残す。凍結と融解の周期の間に、水が塗装又は基材に侵入した場合、これもまた、亀裂の発生をもたらし得る。
【0003】
いくつかの塗装系は、これらの問題を解決することを企図して開発されており、これには、弾性シリコーンエマルジョンを組み込んだ系が含まれる。提案された解決法は、触媒を含まないシリコーンエマルジョン、又は後添加触媒(2K系)を含むシリコーンエマルジョンの、いずれかを用いている。触媒を含まないシリコーンエマルジョンの使用は、高い弾性と、しかし非常に低い引張強度を提供する。2K系は、これらの欠点を触媒の添加により克服するが、ここで、この触媒は、弾性のシリコーン(silcone)エマルジョン又は塗料を含む弾性のシリコーンエマルジョンの施用の直前に添加される。ポリマーを硬化し及び塗装の施用のために十分な可使時間を与える2K系用に、数々の触媒が使用可能である。2K系は、触媒硬化の利点を提供するが、これは、触媒の混合物を施用の直前に必要とするので、全体の塗装時間を増加させる。さらに、触媒は急速な硬化をもたらすので、2K系は、長期間保存には不向きである。
【0004】
米国特許第9,328,259号は、シラン末端化ポリエーテル(STP-E)及び任意選択的に触媒を含む、塗装用途のための弾性シリコーンエマルジョンを記載する。STP-Eポリマーは、それが硬化するメカニズムであることから、水分に対し非常に感受性であるが、しかし、STP-Eポリマー自体は、触媒の存在なしでは、非常にゆっくりと硬化する。2K系(触媒が施用の直前に混合される)としての施用のために、多数の触媒が、米国特許第9,328,259号に記載されており、例えば金属化合物、カルボン酸、アルカリ及びアルカリ土類金属水酸化物などの塩基、トリオルガニルオキシアミン、モノオルガニルアミン、ジオルガニルアミン(ピペリジン、ピペラジンなどの環式系)などのアミンである。これらの触媒は、施用の直前に添加される場合、ポリマーを硬化しそして塗装を施用するために十分な可使時間を与える。しかし、1K系(必要な化学薬品、例えば触媒の混合なしで即時使用可能な系)においては、これらの触媒は、保存の間に、STP-Eポリマーを硬化させてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、上述の問題を解決するための需要が長い間存在している。具体的には、施用の際に十分に速い硬化を可能にすると同時に、乳化ポリマーの有意な貯蔵寿命を可能にする、水性系1K(触媒を添加した、化学物質の混合の必要のない即時使用の系)を開発するための需要が長い間存在している。最終的に、非触媒系と比較して良好な引張強度、弾性、引き裂き耐性及び露出耐久性を提供し、及び現行の2K系と比較して貯蔵寿命を増加させもする、水性系1Kを開発するための需要が長い間存在している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
概要
ここで、驚くべきそして予期せぬことに、シラン末端化ポリエーテルポリマー及びシクロヘキシルアミノアルコキシシランを用いて、水性系1Kが形成され得るということが、発見された。さらに、本発明のシラン末端化ポリエーテルエマルジョン(STP-Eエマルジョン)はまた、非触媒系をしのぐ増大した引張強度、引き裂き耐性、及び露出耐久性、ならびに、従来の水性系2Kの系を上回る有意に延長した貯蔵寿命をももたらす。シクロヘキシルアミノアルコキシシラン触媒を含む本発明のシラン末端化ポリエーテルエマルジョン(STP-Eエマルジョン)は、6カ月を超えて貯蔵寿命を増加させる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
シラン末端化ポリエーテルエマルジョンは、以下:
(A)式(I)のシリル末端化ポリマー、
【0009】
【化1】
ここで、
R
1=C
1~C
12-アルキル、アリール、好ましくはメチル基であり、
R
2=C
1~C
12-アルキル、好ましくはメチル又はエチル基、グリコール、H、又はアリールであり、
X=O、NR
3、R
3=H、C
1~C
12-アルキル又はアリール、好ましくはX=Oであり、
Y=-(CH
2)
3-、-(CH
2)
3NHC(=O)-、-CH
2-、-CH
2NHC(=O)-、ここで、Yは、Si-C結合しており、好ましくはY=-(CH
2)
3NHC(=O)-、-CH
2NHC(=O)-、より好ましくはY=-CH
2NHC(=O)-であり、
M=-CH
2CH
2-、-CH
2CH(CH
3)-、-CH
2CH
2CH
2CH
2-、好ましくは-CH
2CH(CH
3)-であり、ここで、全Mの多数は-CH
2CH(CH
3)-であり(多数は≧50%を意味する);好ましくは、Mは、全Mの≧60%、≧70%、≧80%、又は≧90%について、-CH
2CH(CH
3)-であり;
n=0~2、好ましくは1であり;
m=1~500、好ましくは10~30である;
(B)式(II)のシクロヘキシルアミノアルコキシシラン触媒
R
1
n(OR
2)
3-n-Si-(CHR
3)
p-NH-シクロヘキシル(II)、
ここで、R
1=C
1~C
12-アルキル、アリール、好ましくはメチル基であり、
R
2=C
1~C
12-アルキル、グリコール、H、又はアリールであり、
R
3=H、C
1~C
12-アルキル又はアリール、好ましくはHであり、
そしてp=0~5、好ましくは0~3、最も好ましくは1又は2である、
(C)水
任意選択的に、(D)以下の式の単位を含むシリコーン化合物:
R
4
aR
5
b(R
6O)
cSiO
(4-a-b-c)/2(II)
a=0~3、好ましくは1であり、
b=0~2、好ましくは0であり、
c=0、1、2、又は3、好ましくは3であり、
R
4=C
1~C
12-アルキル、アリール、アミノアルキル、グリシドキシアルキル、メルカプトアルキルであり、
R
5=C
1~C
12-アルキル、アリールであり、
R
6=C
1~C
12-アルキル、H、エチレンオキシド、プロピレンオキシドであり、
但し、a+b+c≦4であり、オリゴマー、ポリマー、及びシランに対応する;好ましくは、オリゴマー又はポリマーに対応するa+b+c<4である;ならびに
任意選択的に(E)乳化剤(単数又は複数);
さらに任意選択的に:
(F)充填剤(単数又は複数)及び/又は顔料;ならびに
(G)他の添加剤(単数又は複数);
を本質的に含む。
【0010】
本発明の1K系において有用なエマルジョンの特定の例は、以下の構成成分(A):
以下の構造式の、0.25~0.3mmol/g又は0.4~0.5mmol/gのメトキシ基含量を有するジメトキシメチルシリルメチルカルバメート末端化ポリエーテル:
【0011】
【0012】
シラン末端化ポリエーテルは、12,000g/mol~18,000g/molの分子量、及び好ましくは25℃にてDIN 51562にしたがって測定して10,000mPas~30,000mPasの動粘度を有し得る。
【0013】
あるいは、エマルジョンは、以下の例示的なシラン末端化ポリエーテルを、構成成分(A)として、単独で又は組み合わせのいずれかで含んでもよい:
【0014】
約0.5~0.7mmol/g又は約0.35~0.45mmol/gのメトキシ含量及び25℃にてDIN 51562にしたがって測定して10,000mPas~30,000mPasの動粘度を有するトリメトキシシリルプロピルカルバメート末端化ポリエーテル。
【0015】
以下の性質を有するジメトキシメチルシリルメチルカルバメート末端化ポリエーテル:20℃にてDIN 51757にしたがって測定して密度1.0069g/cm3、ISO 2719にしたがって測定して引火点98℃、25℃にてDIN 51562にしたがって測定して動粘度約30,000mPas、及び約0.4~0.5mmol/gのメトキシ基含量。
【0016】
以下の性質を有するジメトキシメチルシリルメチルカルバメート末端化ポリエーテル:25℃にてDIN 51757にしたがって測定して密度1.0064g/cm3、ISO 2592にしたがって測定して250℃を超える引火点、25℃にてDIN 51562にしたがって測定して動粘度約10,000mPas、及び約0.5~0.7mmol/gのメトキシ基含量。
【0017】
構成成分(A)として特に好ましくは、式(I)のガンマ-シリル末端化ポリマーであって、ここで、Y=-(CH2)3-又は-(CH2)3NHC(=O)-である。
【0018】
シラン末端化ポリエーテルの重量%は、約15重量%~60重量%、より好ましくは約30重量%~55重量%、最も好ましくは40重量%~55重量%であってもよく、各場合において調合物総重量に基づく。
【0019】
シラン末端化ポリエーテルエマルジョンは、構成成分(B)として、式(II)のシクロヘキシルアミノアルコキシシラン触媒、
R1
n(OR2)3-n-Si-(CHR3)p-NH-シクロヘキシル(II)、
ここで、R1=C1~C12-アルキル、アリール、好ましくはメチル基であり、
R2=C1~C12-アルキル(好ましくはメチル基又はエチル基)、グリコール、H、又はアリールであり、
R3=H、C1~C12-アルキル又はアリール、好ましくはHであり、
そしてp=0~5、好ましくは0~3、最も好ましくは1又は2である。
を含む。
【0020】
好ましくは、N-シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン、又はN-シクロヘキシルアミノメチルトリメトキシシラン、又はN-シクロヘキシル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、又はN-シクロヘキシル-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、又はN-シクロヘキシルアミノエチルメチルジエトキシシラン、又はN-シクロヘキシルアミノエチルメチルジメトキシシランである。
【0021】
シクロヘキシルアミノアルコキシシラン触媒(B)の重量%は、0.05重量%~5.0重量%、好ましくは0.1重量%~1.0重量%、最も好ましくは0.1重量%~0.5重量%であってもよく、各場合において、構成成分(A)の重量に基づく。
【0022】
STP-Eエマルジョンは、水(C)を含む水性エマルジョンである。エマルジョンの固体含量は、35重量%~80重量%、好ましくは60重量%~75重量%である。
【0023】
好ましい実施形態において、シラン末端化ポリエーテルエマルジョンはまた、1以上のシリコーン樹脂、構成成分(D)、例えば、狭い分子量分布を有する、無溶剤かつ反応性のメトキシ官能性メチル-フェニルポリシロキサンをも含んでもよく、これは、適合性のシリコーン構成成分を他の結合剤系中に導入して、耐候性又は耐熱性を上昇させるために非常に好適である。メトキシ官能性メチル-フェニルポリシロキサンは、約98重量%を超える総シリコーン含量、約15重量%のアルコキシ含量及び2重量%未満の溶剤含量を有する、透明な液体である。
【0024】
または、エマルジョンは、以下の例示的なシリコーン樹脂を構成成分(D)として含んでもよい。各場合において、平均モル質量Mn及びMwは、GPC(ポリスチレン標準に対して校正した;溶質としてTHF;ELSD検出器)によって決定した:
(MeSiO3/2)0.88(MeSi(OH)O2/2)0.05(MeSi(OEt)O2/2)0.06(Me2SiO2/2)0.01、Mw=6600g/mol、Mn=2000g/mol、及びMw/Mn=3.3;
(MeSiO3/2)0.86(MeSi(OH)O2/2)0.02(MeSi(OEt)O2/2)0.10(Me2SiO2/2)0.02、Mw=10000g/mol、Mn=2300g/mol、及びMw/Mn=4.3;
(MeSiO3/2)0.71(MeSi(OH)O2/2)0.03(MeSi(OEt)O2/2)0.05(Me2SiO2/2)0.21、Mw=4500g/mol、Mn=1900g/mol、及びMw/Mn=2.4;
(MeSiO3/2)0.88(MeSi(OH)O2/2)0.05(MeSi(OMe)O2/2)0.06(Me2SiO2/2)0.01、Mw=9000g/mol、Mn=2300g/mol、及びMw/Mn=3.9;
(MeSiO3/2)0.33(MeSi(OH)O2/2)0.05(MeSi(OEt)O2/2)0.01(Me2SiO2/2)0.06(PhSiO3/2)0.24(PhSi(OH)O2/2)0.28(PhSi(OEt)O2/2)0.03、Mw=3250g/mol、Mn=1300g/mol、及びMw/Mn=2.5;
(MeSiO3/2)0.34(MeSi(OH)O2/2)0.03(MeSi(OEt)O2/2)0.02(PhSiO3/2)0.45(PhSi(OH)O2/2)0.13(PhSi(OEt)O2/2)0.03、Mw=4700g/mol、Mn=1800g/mol、及びMw/Mn=2.6;
(MeiO3/2)0.27(MeSi(OH)O2/2)0.03(PhSiO3/2)0.34(PhSi(OH)O2/2)0.14PhSi(OEt)O2/2)0.02(PhMeSiO2/2)0.17(PhMeSi(OH)O1/2)0.03、Mw=2400g/mol、Mn=1200g/mol、及びMw/Mn=2.0;
(PhSiO3/2)0.45(PhSi(OH)O2/2)0.44PhSi(OEt)O2/2)0.09(PhSi(OH)2O1/2)0.02、Mw=2900g/mol、Mn=1500g/mol、及びMw/Mn=1.9;
(PhSiO3/2)0.48(PhSi(OH)O2/2)0.17(PhSi(OEt)O2/2)0.02(CH3(CH2)2SiO3/2)0.25(CH3(CH2)2Si(OH)O2/2)0.08、Mw=1800g/mol、Mn=1250g/mol、及びMw/Mn=1.4;
(MeSiO3/2)0.32(MeSi(OH)O2/2)0.06(MeSi(OEt)O2/2)0.01(Me2SiO2/2)0.06(PhSiO3/2)0.23(PhSi(OH)O2/2)0.29(PhSi(OEt)O2/2)0.03、Mw=1700g/mol、Mn=1200g/mol、及びMw/Mn=1.4;
(PhSiO3/2)0.50(PhSi(OH)O2/2)0.15(PhSi(OEt)O2/2)0.02(CH3(CH2)2SiO3/2)0.26(CH3(CH2)2Si(OH)O2/2)0.07、Mw=2800g/mol、Mn=1200g/mol、及びMw/Mn=2.3;
(MeSiO3/2)0.81(MeSi(OH)O2/2)0.04(MeSi(OEt)O2/2)0.05(Me2SiO2/2)0.10、Mw=6500g/mol、Mn=1900g/mol、及びMw/Mn=3.4;ここで、Meは、メチル基であり、Etは、エチル基であり、そしてPhは、フェニル基である。
【0025】
構成成分(D)のさらなる非限定の例は:
(SiO4/2)0.50(Me3SiO1/2)0.39(Si(OEt)O3/2)0.06(Si(OEt)2O2/2)0.02(Si(OEt)3O1/2)0.01(Si(OH)O3/2)0.02、Mw=7400g/mol、Mn=3100g/mol、及びMw/Mn=2.4;
(SiO4/2)0.46(Me3SiO1/2)0.43(Si(OEt)O3/2)0.07(Si(OEt)2O2/2)0.02(Si(OEt)3O1/2)0.01(Si(OH)O3/2)0.01、Mw=1400g/mol、Mn=900g/mol、及びMw/Mn=1.6;
(SiO4/2)0.46(Me3SiO1/2)0.37(ViMe2SiO1/2)0.06(Si(OEt)O3/2)0.07(Si(OEt)2O2/2)0.02(Si(OEt)3O1/2)0.01(Si(OH)O3/2)0.04、Mw=5300g/mol、Mn=2600g/mol、及びMw/Mn=2.0;
(SiO4/2)0.38(Me3SiO1/2)0.42(ViMe2SiO1/2)0.06(Si(OEt)O3/2)0.07(Si(OEt)2O2/2)0.02(Si(OEt)3O1/2)0.01(Si(OH)O3/2)0.04、Mw=2600g/mol、Mn=1600g/mol、及びMw/Mn=1.6;
(MeSiO3/2)0.37(MeSi(OEt)O2/2)0.46(MeSi(OEt)2O1/2)0.17、Mw=2400g/mol、Mn=900g/mol、及びMw/Mn=2.7;
(MeSiO3/2)0.37(MeSi(OH)O2/2)0.01(MeSi(OEt)O2/2)0.46(MeSi(OEt)2O1/2)0.15(Me2SiO2/2)0.01、Mw=2400g/mol、Mn=900g/mol、及びMw/Mn=2.7;
(MeSiO3/2)0.29(MeSi(OH)O2/2)0.01(MeSi(OMe)O2/2)0.47(MeSi(OMe)2O1/2)0.23、Mw=2300g/mol、Mn=600g/mol、及びMw/Mn=3.8;
(MeSiO3/2)0.32(MeSi(OMe)O2/2)0.48(MeSi(OMe)2O1/2)0.20、Mw=3300g/mol、Mn=900g/mol、及びMw/Mn=3.7;
(PhSiO3/2)0.23(PhSi(OMe)O2/2)0.51(PhSi(OMe)2O1/2)0.26、Mw=1000g/mol、Mn=700g/mol、及びMw/Mn=1.4;
(MeSiO3/2)0.10(MeSi(OMe)O2/2)0.17(MeSi(OMe)2O1/2)0.03(PhSiO3/2)0.15(PhSi(OMe)O2/2)0.31(PhSi(OMe)2O1/2)0.20(Me2SiO2/2)0.04、Mw=1800g/mol、Mn=900g/mol、及びMw/Mn=2.0;
(MeSiO3/2)0.10(MeSi(OMe)O2/2)0.15(MeSi(OMe)2O1/2)0.03(MeSi(O(CH2)3CH3)O2/2)0.03(PhSiO3/2)0.15(PhSi(OMe)O2/2)0.24(PhSi(OMe)2O1/2)0.15(PhSi(O(CH2)3CH3)O2/2)0.06PhSi(OMe)(O(CH2)3CH3)O1/2)0.04(PhSi(O(CH2)3CH3)2O1/2)0.01(Me2SiO2/2)0.04、Mw=1400g/mol、Mn=800g/mol、及びMw/Mn=1.8;
(i-OctSi(OMe)(OH)O1/2)0.01(i-OctSi(OMe)O2/2)0.10(i-OctSi(OMe)2O1/2)0.16(MeSiO3/2)0.26(MeSi(OMe)O2/2)0.36(MeSi(OMe)2O1/2)0.11、Mw=3000g/mol、Mn=1500g/mol、及びMw/Mn=2.0;
(Si(OEt)2O2/2)0.42(Si(OEt)O3/2)0.19(Si(OEt)3O1/2)0.39、Mw=1000g/mol、Mn=800g/mol、及びMw/Mn=1.2;
(Si(OEt)2O2/2)0.48(Si(OEt)O3/2)0.35(Si(OEt)3O1/2)0.09(SiO4/2)0.08、Mw=1400g/mol、Mn=900g/mol、及びMw/Mn=1.6;
(MeSiO3/2)0.23(i-OctSiO3/2)0.06(MeSi(OMe)O2/2)0.35(i-OctSi(OMe)O2/2)0.09(MeSi(OEt)2O1/2)0.19(i-OctSi(OEt)2O1/2)0.08、Mw=1400g/mol、Mn=600g/mol、及びMw/Mn=2.3;ならびに
(MeSiO3/2)0.22(i-OctSiO3/2)0.05(MeSi(OH)O2/2)0.01(MeSi(OMe)O2/2)0.33(i-OctSi(OMe)O2/2)0.11(MeSi(OMe)2O1/2)0.20(i-OctSi(OMe)2O1/2)0.08、Mw=1500g/mol、Mn=650g/mol、及びMw/Mn=2.3;
ここで、各場合において、Meはメチル基であり、Viはビニル基であり、Etはエチル基であり、i-Octは2,4,4-トリメチルペンチル基であり、そしてPhはフェニル基である。
【0026】
エマルジョンは、構成成分(D)として、長鎖アルキルアルコキシシランをさらに含んでもよい。長鎖は、原子の比較的長い鎖を意味し、好ましくはC8~C30、より好ましくはC12~C30である。a+b+c=4である構成成分Bのさらなる例は、n-オクチルトリメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、2,4,4-トリメチルペンチルトリメトキシシラン、2,4,4-トリメチルペンチルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、n-ノナコシルトリエトキシシラン、n-ノナコシルトリメトキシシラン、n-トリアコンチルトリメトキシシラン、及びn-トリアコンチルトリエトキシシラン、ヘキサデシルメチルジメトキシシラン、ヘキサデシルメチルジエトキシシラン、2,4,4-(トリメチル-ペンチル)メチルジメトキシシラン、2,4,4-(トリメチル-ペンチル)メチルジエトキシシラン、n-オクチルメチルトリメトキシシラン、及びn-オクチルメチルジエトキシシランである。
【0027】
シラン末端化ポリエーテルエマルジョンにおける構成成分(D)の重量%は、シラン末端化ポリエーテルに基づいて、約10重量%~70重量%;好ましくは約25重量%~50重量%であってもよい。
【0028】
構成成分(E)である乳化剤は、個別に、任意の好適なイオン性乳化剤、非イオン性乳化剤、ジェミニ型乳化剤、又は両親媒性乳化剤であってよく、単独であってもよく、及び異なる乳化剤の混合物の形態であってもよい。乳化剤は、純粋な形態で使用されても、又は水又は有機溶剤中の1以上の乳化剤の溶液として使用されてもよい。
【0029】
好適な陰イオン性乳化剤の例は、以下である:
【0030】
アルキルサルフェート、特に、8~18の炭素原子の鎖長を有するもの、疎水性基の中に8~18の炭素原子を有しならびに1~40のエチレンオキシド(EO)単位及び/又はプロピレンオキシド(PO)単位を有するアルキル及びアルカリールエーテルサルフェート。
【0031】
スルホネート、特に8~18の炭素原子を有するアルキルスルホネート、8~18の炭素原子を有するアルキルアリールスルホネート、タイリド(taurides)、スルホコハク酸と4~15の炭素原子を有する一価アルコール又はアルキルフェノールのエステル(モノエステルを含む);望ましい場合、これらのアルコール又はアルキルフェノールはまた、1~40のEO単位によってエトキシル化されていてもよい。
【0032】
アルキル基、アリール基、アルカリール基又はアラルキル基内に8~20の炭素原子を有するカルボン酸のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩。
【0033】
リン酸部分エステルならびにそのアルカリ金属塩及びアンモニウム塩、特に8~20の炭素原子を有機基内に有する、アルキルホスフェート及びアルカリールホスフェート、8~20の炭素原子をアルキル基又はアルカリール基内に有し、ならびに1~40のEO単位を有する、アルキルエーテルホスフェート及びアルキルアリールエーテルホスフェート。
【0034】
非イオン性乳化剤の例は、以下である:
【0035】
なお約5重量%~50重量%、好ましくは約8重量%~20重量%の、500~3000の重合度を有するビニルアセテート単位を含む、ポリビニルアルコール。
【0036】
アルキルポリグリコールエーテル、好ましくは、3~40のEO単位及び8~20の炭素原子のアルキル基を有するもの。
【0037】
アルキルアリールポリグリコールエーテル、好ましくは、5~40のEO単位を有しならびにアルキル基及びアリール基内に8~20の炭素原子を有するもの。
【0038】
エチレンオキシド/プロピレンオキシド(EO/PO)ブロックコポリマー、好ましくは8~40のEO/PO単位を有するもの。
【0039】
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドを有する8~22の炭素原子のアルキル基を有する、アルキルアミンの付加物。
【0040】
6~24の炭素原子を有する脂肪酸。
【0041】
一般式R*-O-Zoの、アルキルポリグリコシド(ここで、R*は、平均8~24の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖の、飽和又は不飽和のアルキル基であり、そしてZoは、平均o=1~10のヘキソース単位もしくはペントース単位又はそれらの混合物を含むオリゴグリコシド残基である)。
【0042】
天然物質及びその誘導体、例えばレシチン、ラノリン、サポニン、セルロース;セルロースアルキルエーテル及びアルキル基が各々4までの炭素原子を有するカルボキシアルキルセルロース。
【0043】
直鎖オルガノ(ポリ)シロキサン含有極性基、詳細には、元素O、N、C、S、P、Siを含み、特に、24までの炭素原子及び/又は40までのEO基及び/又はPO基を有するアルコキシ基を有するもの。
【0044】
陽イオン性乳化剤の例は、以下である:
【0045】
8~24の炭素原子を有する第一級、第二級、及び第三級脂肪族アミンと、酢酸、硫酸、塩酸及びリン酸との塩。
【0046】
第四級アルキルアンモニウム塩及びアルキルベンゼンアンモニウム塩、特に、アルキル基が6~24の炭素原子を有するもの、特に、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩及び酢酸塩。
【0047】
アルキルピリジニウム塩、アルキルイミダゾリニウム塩及びアルキルオキサゾリニウム塩、特に、アルキル鎖が18までの炭素原子を有するもの、特に、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩及び酢酸塩。
【0048】
特に好ましくは、界面活性剤と16超のEO単位を有する少なくとも1つの乳化剤との組み合わせである。
【0049】
有用な乳化剤の特定の例としては、非イオン性第二級アルコールエトキシレート、例えば、エトキシル化イソトリデカノール、エトキシル化ヒマシ油、飽和イソ-C13アルコールから作成されたエトキシル化非イオン性乳化剤、オクチルフェノールエトキシレートなど、又はそれらの組み合わせ、特に、飽和イソ-C13アルコールから作成されたエトキシル化非イオン性乳化剤と混ぜ合わせたエトキシル化ヒマシ油の混合物が挙げられる。
【0050】
乳化剤の量は、調合物総重量の約1重量%~20重量%;より好ましくは約2重量%~15重量%であってもよい。
【0051】
本発明のシラン末端化ポリエーテルエマルジョンは、内装及び/又は外装用途のために好適な塗料及び塗装、例えば、石材、石膏、セルロース、及びEIFS基材を覆う塗装、又は屋根塗装もしくはデッキ塗装を、改変するために使用され得る。塗料及び塗装は、基材への施用後に充填固体(solid fill)へと変換する、任意の液体組成物、液状化可能な組成物、又はマスチック組成物を意味し得る。塗料及び塗装は、水ベースであってもよく、例えば、水性エマルジョン/ラテックス塗料又はアクリル塗料;低揮発性有機化合物含有物を有するハイソリッド塗料;又は放射線硬化性塗装であってもよい。
【0052】
本発明のシラン末端化ポリエーテルエマルジョンによって改変される塗料又は塗装は、以下の構成成分の1以上を含み得る:結合剤、希釈剤及び/又は溶剤、顔料及び/又は充填剤、ならびに添加剤。
【0053】
結合剤は、基材に対する塗装の良好な接着に寄与する、塗料の被膜形成性構成成分である。結合剤としては、天然の又は合成の樹脂、例えばアルキド、アクリル、ビニル、ビニル-アクリル、スチレンアクリル、ビニルアセテート/エチレン、フェノール/ホルムアルデヒド濃縮物、ポリウレタン、ポリエステル、ニトロセルロース、ポリアミド、メラミン樹脂、エポキシ又は重合性油が挙げられ得る。
【0054】
希釈剤又は溶剤は、結合剤、充填剤、顔料及び添加剤を分散させるか、及び/又は塗料の粘度を調整する媒体として寄与する。希釈剤は、水であってもよく、任意選択的に、有機溶剤、例えば脂肪族化合物、芳香族化合物、アルコール、ケトン、ペトロール、テルペンチンなどであってもよい。
【0055】
顔料(F)は、使用することによって、色彩及び不透明度に寄与し得、UV光から基材を保護し得、硬度を上げることができ、延性を下げることができ、そして/又は光沢度を調整することができる。顔料は、合成であっても天然であってもよい。顔料の例としては、粘土、炭酸カルシウム、雲母、シリカ、タルク、焼成クレイ、ブランフィックス、沈殿炭酸カルシウム、合成焼成シリカなど、又はそれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0056】
無機顔料(F)の例としては、アルミニウム顔料、例えば、硫黄含有のナトリウム及びアルミニウムのケイ酸塩(ウルトラマリンバイオレット)及び硫黄含有ナトリウム-ケイ酸塩(Na8-10Al6Si6O24S2-4)(ウルトラマリン)の天然に存在する複合顔料;バリウム銅顔料、例えば、チャイニーズパープル(BaCuSi2O6)及びダークブルー(BaCu2Si2O7)、銅顔料、例えば、カルシウム銅ケイ酸塩(CaCuSi4O10)、アセト亜ヒ酸塩第二銅(Cu(C2H3O2)2・3Cu(AsO2)2)の合成顔料;バリウム顔料、例えば硫酸バリウム(BaSO4.);マンガン顔料、例えばマンガンアンモニウムピロホスフェート(NH4MnP2O7);コバルト顔料、例えばスズ酸コバルト(CoO3Sn)、コバルト亜硝酸カリウム(Na3Co(NO2)6)、亜クロム酸コバルト(CoCr2O4)、チタン酸コバルト(Co2TiO4);鉄顔料、例えばヘキサシアノ鉄酸鉄(Fe7(CN)18)の合成顔料、酸化鉄一水和物の天然に存在する粘土(Fe2O3・H2O)、無水Fe2O3;カドミウム顔料、例えば硫化カドミウム(CdS)、硫セレン化カドミウム(Cd2SSe)、セレン化カドミウム(CdSe);クロム顔料、例えば酸化クロム(Cr2O3)、酸化クロム水和物の顔料(Cr2O3・H2O)、クロム酸鉛(PbCrO4)の天然顔料、クロム酸鉛(II)及び酸化鉛(II)(PbCrO4+PbO)からなる天然に存在する顔料混合物;ヒ素顔料、例えば単斜晶硫化ヒ素(As2S3);鉛顔料、例えばアンチモン酸鉛(Pb(SbO3)2)、塩基性炭酸鉛((PbCO3)2・Pb(OH)2);水銀顔料、例えば硫化水銀(HgS);炭素顔料、例えばカーボンブラック;アンチモン顔料、例えば酸化アンチモン(Sb2O3);亜鉛顔料、例えば酸化亜鉛(ZnO)又はクロム酸亜鉛(ZnCrO4);チタン顔料、例えばニッケルアンチモンチタンイエロールチル(NiO・Sb2O3・20TiO2)又は二酸化チタン(TiO2);ウルトラマリンブルーとして知られるラズライトを含む複合硫黄含有ナトリウム-ケイ酸塩(Na8-10Al6Si6O24S2-4)などが、挙げられ得る。
【0057】
有機顔料(F)の例としては、ジアリーリドアニリンイエロー顔料;ベンズイミダゾールイエロー染料;複素環イエロー染料;ジアゾ濃縮イエロー染料、例えばアリーリドイエロー、イソインドリンイエロー、メタンイエロー、テトラクロロイソインドリノンイエロー、アゾメチンイエロー、キノフタロンイエロー、又はトリアジニルイエロー、ナフト―ルオレンジ、カリヨンレッド、ベンズイミダゾロンオレンジ;C32H3Cl13CuN8~C32HCl15CuN8の範囲の化学式を有するフタロシアニングリーン染料、銅フタロシアニン;ジオキサジンバイオレットとして知られる8,18-ジクロロ-5,15-ジエチル-5,15-ジヒドロジインドロ(3,2-b:3’、2’-m)トリ-フェノジオキサジンなどが挙げられ得る。
【0058】
顔料(F)は、基材をUV光から保護する隠蔽性顔料、例えば二酸化チタンを含み得、任意選択的に、シリカ/アルミナ/ジルコニウム、フタロシアニンブルー染料、又は赤色酸化鉄によって塗装される。
【0059】
充填剤(F)は、被膜を厚くするため、結合剤を補強するため、塗料テクスチャを与えるため、及び/又は塗料容量を増やすために、使用され得る。充填剤は、珪藻土、タルク、石灰、硫酸バリウムなどのバライト、粘土、カオリン粘土、沈降炭酸カルシウム又は重質炭酸カルシウム、チョーク、石灰岩、大理石、炭酸マグネシウム、ドロマイト、微細な石英、ケイ酸塩など又はこれらの組み合わせが挙げられ得る。
【0060】
添加剤(G)は、表面張力、流動特性及びレベリング特性、外観、光沢、テクスチャの改変、ウェットエッジ(wet edge)及び/又は不凍特性の上昇、顔料安定性の改善、発泡及び/又は皮張りの制御、レオロジーの改変、表面摩耗抵抗の改変、触媒、乾燥剤、増粘剤、安定化剤、乳化剤、調質剤、付着促進剤、UV安定化剤、腐食抑制剤、調質剤、つや消し剤、抗生物剤、抗真菌剤、殺虫剤、殺藻剤などとしての作用、又はこれらの組み合わせなどの、種々の機能を果たし得る。
【0061】
添加剤(G)の例は、シリコーンポリエーテルコポリマー、高分子量ポリシロキサン又はポリジメチルシロキサンの分散剤、表面摩耗抵抗を上昇させそして滑りを提供するか又は改善する添加剤としてのシリコーン界面活性剤;エチレンオキシド界面活性剤;シリコーンエマルジョン、フルオロシリコーン、発泡調整を提供する添加剤としてのオルガノ改変シリコーンコポリマー;アミノプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、陽イオン性ビニルベンジル及びアミノ官能性メトキシ-シラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、シラノール官能性添加剤、付着促進剤及び顔料処理添加剤としてのアミノ官能性シリコーンポリマーの水溶液;耐水性を促進する添加剤としてのシラン/シロキサン混合物;アリールアルキル改変シリコーン、レベリング及び光沢を改善する添加剤としてのシリコーンポリエーテルコポリマー;摩耗抵抗性を改善して滑らかでよりつやのない仕上げを加える、エポキシ官能性を有するシリコーンエラストマー粒子;基材湿潤を増強する添加剤としてのシリコーンポリエーテルコポリマー;光学的増白剤としての2,2’-(2,5-チオフェンジイル)ビス(5-tert-ブチルベンゾキサゾール);UV光吸収剤としての2-[2-ヒドロキシ-3,5-ジ-(1,1-ジメチルベンジル)]-2H-ベンゾトリアゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチルフェニル;安定化剤としてのトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフィト、ステアリル-3-(3’、5’-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール);テトラクロロイゾフタロニトリル、3-ヨード-2-プロピニルブチルカルバメート、2-n-オクチル-4-イソチアゾリン-3-オン、ジヨードメチル-p-トリスルホン(diiodomethyl-p-tolysulphone)、N-(トリメチルチオ)フタルアミン、抗生物剤としての1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン;2-(4-チアゾリル(ベンズイミダゾール)、殺真菌剤/殺藻剤としてのジクロロオクチルイソチアゾロン;緩衝剤としてのリン酸カリウムナトリウム;顔料分散剤としての疎水性コポリマーポリ電解物;増粘剤として改変したヒドロキシエチルメチルセルロース;発泡抑制剤としての改変ポリオール;癒合剤としてのエステルアルコール;増量剤としての炭酸カルシウム;顔料間隔、堅さ、亀裂防止及びバリア特性を提供する添加剤としてのタルク;分散のための水性ブチルアクリレート-スチレンコポリマー;及び(N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、及び触媒としての酢酸水溶液であってもよい。内装及び外装塗料のための任意の他の添加剤もまた、企図される。
【0062】
さらに、保存剤、可塑剤などの成分(G)である添加剤の非限定の例が、本発明のエマルジョンにおいて使用され得る。本出願において有用である添加剤の特定の例としては、ポリイソブチレン、可塑剤としてのポリ(プロピレングリコール)、又は不十分な硬化を防ぐためのN-ジメトキシ(メチル)シリルメチル-O-メチル-カルバメートが、挙げられる。さらに、反応性のアミノフリードが、エマルジョンにおいて使用され得る。本出願において有用であるアミノフリードの特定の例としては、反応性のアミノエチル-アミノプロピル官能性ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0063】
シラン末端化ポリエーテルエマルジョンを形成する任意の好適な方法が使用され得、そしてバッチ式、半バッチ式及び連続式プロセスを含む多くのこのような方法が、特許文献及び非特許文献において開示されている。成分は、例えばローター/ステータミキサーの使用により、一般に、高剪断下で混合される。好ましい方法において、STP-Eエマルジョン、ならびに任意選択的にシリコーン成分及び界面活性剤が、限られた水と混合されて、「固い相の(stiff phase)」エマルジョンを形成し、これは、油中水エマルジョンであってもよく、そしてこの非常に粘度の高いエマルジョンに、高剪断下で残りの水を、連続的に増加するように又は全てを一度に加え、ここで、添加の間に、エマルジョンは、非常に小さくかつ複製可能な粒子サイズを有する水中油エマルジョンに転化する。
【0064】
シラン末端化ポリエーテルエマルジョンは、既にエマルジョンの形態であるので、塗装組成物への添加は、単純な混合、すなわち擢型ミキサー、ベーンミキサー、などによって起こり得る。
【実施例】
【0065】
上述の一般式の例示的な1K弾性シリコーンエマルジョンの調製の方法を、下の実施例1において提供する:
【0066】
実施例1及び比較実施例2~4のシラン末端化ポリエーテルエマルジョンを、以下の組成及び重量百分率を用いて、以下の方法にしたがって調製した。
【0067】
Ethox CO-200及びLutensol TDA 9を、Turrax(R)ミキサーにおいて、泡状のメレンゲ様物が形成されるまで、水と混合した。STP-Eポリマー及びケイ素樹脂及びシクロヘキシルアミノアルコキシシラン構成成分(又は比較構成成分)を、約10,000rpmで約4分間にわたりメレンゲ状に混合した。脱イオン水を、約5000rpmにて約1分間にわたって加えた。さらなる脱イオン水を、約5000rpmにて約1分間にわたって加えた。その後、さらなる脱イオン水を、約5000rpmにて約1分間にわたって加えた。
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
本発明の調合物の増加した貯蔵寿命を評価するため、実施例1及び比較実施例2~4を調製し、そしてボトルに入れて、実施例1ならびに比較実施例3及び4の場合に触媒を加えた。次いで、実施例を、薄い被膜(50~75湿潤ミル)として基材に施用して、被膜の硬化を測定した。試験結果を、下の表に提示する:
【0073】
【0074】
上の結果において示す通り、実施例1の本発明のエマルジョンは、ボトル内で硬化を経てはおらず、基材に被膜として施用されたときに硬化した。触媒の添加をしない比較実施例2は、ボトル内で硬化せず、基材に被膜として施用されたときに硬化できなかった。従来の触媒を用いる比較実施例3は、ボトル内で直ちに硬化し、被膜として基材に施用することができなかった。従来の触媒を用いた比較実施例4は、硬化前の可使時間を最小限に延長し(7時間)、基材に被膜として基材に施用されたときに硬化可能であった。したがって、本発明のエマルジョンは、実質的に延長した可使時間、及び基材に施用されたときに硬化する能力を示した。
【0075】
本発明のエマルジョンは、1液型(1K)及び2液型(2K)の系のために有用である。エマルジョンの塗料又は塗装への組み込みは、改善された貯蔵寿命を有する1K系をもたらす。さらに、塗料又は塗装は、優れた撥水性を獲得し、基剤を湿度から保護する。
【0076】
さらに、本発明のエマルジョンによって改変された塗料又は塗装は、種々の基材、例えばコンクリート、金属、又は木に対して施用可能である。改変した塗料を、1以上の層で施用してもよく、オーバーコーティング用途のために好適である。改変された塗料又は塗装は、実質的に不粘着であり、迅速な吸収を示し、基材への施用が容易であり、第二塗装の施用後のディウェッティング問題はなく、施用後は乾燥した感触を示した。
【0077】
例示的実施形態を上に記載したが、これらの実施形態が本発明の全ての可能な形態を記載していることを意図するものではない。むしろ、本明細書中で使用される用語は、限定よりもむしろ説明の語であり、種々の変化が本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、種々の変更がなされ得る。さらに、行っている種々の実施形態の特徴は、本発明のさらなる実施形態を形成するために組み合わせられ得る。