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特許7429788改善されたバランスの硬化及び加工性を有するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー系組成物
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  • 特許-改善されたバランスの硬化及び加工性を有するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー系組成物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】改善されたバランスの硬化及び加工性を有するエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー系組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/08 20060101AFI20240201BHJP
   C08K 5/14 20060101ALI20240201BHJP
   C08K 5/54 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
C08L23/08
C08K5/14
C08K5/54
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022539108
(86)(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-05
(86)【国際出願番号】 CN2019128576
(87)【国際公開番号】W WO2021128128
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-12-12
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ウー、カオシアン
(72)【発明者】
【氏名】ハーバースベルガー、ブライアン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ホン
(72)【発明者】
【氏名】デローブ、ジョナサン イー.
(72)【発明者】
【氏名】カルヤラ、トーマス ウェスレー、ジュニア
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-155239(JP,A)
【文献】特表2013-528951(JP,A)
【文献】特開2012-044153(JP,A)
【文献】特表2013-512285(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0050588(US,A1)
【文献】特開2011-012243(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00- 13/08
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の成分a)~c):
a)多峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを含むアルファ組成物であって、以下の特性:
i)≧8.0のMz/Mn、
ii)0.855~0.890g/ccの密度、
iii)≦2,000Pa・sのV100(100℃)、
iv)≧15,000Pa・sのV1.0(100℃)、
v)≧16,000g/molのMnを含む、アルファ組成物と、
b)過酸化物と、
c)シランカップリング剤と、を含む、組成物。
【請求項2】
前記アルファ組成物が、≧6.0のI10/I2を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記アルファ組成物が、≧3.00の分子量分布MWDを有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記多峰性インターポリマーでは、[Mn(最大20%の質量分率)/Mn(最低20%の質量分率)]が、≧16.0である、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記アルファ組成物が、1.80~2.50のMWD、及び0.860~0.890g/ccの密度を有する単峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物から形成された、架橋組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物から形成された少なくとも1つの構成要素を含む、物品。
【請求項8】
前記物品が、フィルムである、請求項7に記載の物品。
【請求項9】
前記物品が、太陽電池モジュールである、請求項7に記載の物品。
【請求項10】
太陽電池モジュールを形成するプロセスであって、
2つのフィルム層の間に太陽電池のアレイを積層することを含み、各フィルム層が、独立して、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物から形成される、プロセス。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
太陽光発電封止材用に設計された材料は、多くの要件を満たす必要がある。太陽光発電モジュール内の電気部品及び配線の移動を防止するために、ポリマー封止材料は、最大85℃の温度で顕著に流動しない必要がある。これを達成するための1つの方式は、この温度超の融点を有する半結晶性ポリマーを使用することである。しかしながら、高い光学透明度及び低弾性率などの他の封止材料要件は、低結晶性ポリマーで最適化される。これらの要件のバランスをとるために、典型的には、エチレン-酢酸ビニルコポリマー(ethylene-vinyl acetate copolymer、EVA)などの低結晶性ポリマー、又はENGAGEポリオレフィンエラストマーなどのポリオレフィンエラストマー(polyolefin elastomer、POE)が、過酸化物系反応性硬化性配合物と併せて使用されている。低結晶性ポリマーは、高い透明度及び低弾性率を提供する一方で、硬化性配合物は、ポリマーのネットワークの形成を引き起こす架橋反応を促進し、高温での機械的安定性を提供する。この架橋反応は、モジュール積層中に行われ、典型的には150℃で行われる。
【0002】
過酸化物硬化性配合物を使用する場合、過酸化物が押し出し機内で分解され、架橋反応が開始されるのを防止するために、フィルム押し出しプロセスを低温で行う必要がある。押し出し中に発生する熱は、押し出し速度及びポリマー粘度に関連し、高い粘度及び高い押し出し速度は、より多くの熱を発生させる。したがって、「過酸化物硬化性」封止材フィルムを押し出すためには、低粘度樹脂、低い速度の押し出しが好ましい。しかしながら、低い押し出し速度は経済的に不利であり、低い粘度は、典型的には低分子量樹脂の使用を介して達成される。低分子量樹脂は、効率的に架橋することができず、必要なレベルの架橋に達するためには、過酸化物硬化性配合物のより高い充填量又は、モジュール積層プロセスにおいてより長い時間を必要とする。両方の解決策は、コストがかかり、非効率的である。
【0003】
したがって、太陽光発電封止材の設計は、高分子量(典型的には高い粘度を伴う)で最適化される硬化性能と、低分子量で最適化される押し出し性能との間のバランスを必要とする。高レベルの硬化及び良好な加工性の両方を提供する新しいポリマー組成物に対する必要性が存在する。米国公開第2011/0290317号は、エチレン系ポリマー組成物が封止材として使用される電気デバイス(例えば、太陽電池)について記載している。エチレン系ポリマー組成物は、二峰性又は多峰性分子量分布を有し得る。他のポリオレフィン封止組成物は、以下の参考文献:米国特許第8581094号(ポリオレフィンコポリマー系組成物)、米国特許第8697984号(エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー系組成物)、米国特許第9349895号(エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー系組成物)に記載されている。しかしながら、この技術の組成物は、硬化及び加工性の最適なバランスを促進しない。考察されるように、高レベルの硬化及び良好な加工性の両方を提供する新しいポリマー組成物に対する必要性が依然として存在する。この必要性は、以下の発明によって満たされた。
【発明の概要】
【0004】
a)多峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを含むアルファ組成物であって、以下の特性:
i)≧8.0のMz/Mn、
ii)0.855~0.890g/ccの密度、
iii)≦2,000Pa・sのV100(100℃)、
iv)≧15,000Pa・sのV1.0(100℃)、
v)≧16,000g/molのMnを含む、アルファ組成物と、
b)過酸化物と、
c)シランカップリング剤と、を含む、組成物。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】多峰性インターポリマー(アルファ比較POE B)のGPCクロマトグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
(各々、従来のポリオレフィン系組成物と比較して)優れた加工性のために優れた剪断減粘性挙動を有し、同等の粘度で改善された硬化性能を有するか、又はあるいは同等の硬化性能での粘度を改善する組成物が発見された。
【0007】
考察されるように、組成物が提供され、組成物は、
a)多峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを含むアルファ組成物であって、
以下の特性:
i)≧8.0のMz/Mn、
ii)0.855~0.890g/ccの密度、
iii)≦2,000Pa・sのV100(100℃)、
iv)≧15,000Pa・sのV1.0(100℃)、
v)≧16,000g/molのMnを含む、アルファ組成物と、
b)過酸化物と、
c)シランカップリング剤と、を含む。
【0008】
各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、アルファ組成物は、≧8.5、又は≧9.0、又は≧9.5、又は≧10.0、又は≧11.0、又は≧12.0、又は≧13.0、又は≧14.0、又は≧15.0のMz/Mnを有する。各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、アルファ組成物は、≦60.0、又は≦55.0、又は≦50.0のMz/Mnを有する。
【0009】
各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、アルファ組成物は、≧0.856g/cc、又は≧0.857g/cc、又は≧0.858g/cc、又は≧0.859g/cc、又は≧0.860g/cc、又は≧0.861g/cc、又は≧0.862g/cc、又は≧0.863g/cc、又は≧0.864g/cc、又は≧0.865g/cc、又は≧0.866g/cc、又は≧0.867g/cc、又は≧0.868g/cc、又は≧0.869g/cc、又は≧0.870g/ccの密度を有する(1cc=1cm)。各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、アルファ組成物は、≦0.889g/cc、又は≦0.888g/cc、又は≦0.887g/cc、又は≦0.886g/cc、又は≦0.885g/cc、又は≦0.884g/cc、又は≦0.883g/cc、又は≦0.882g/ccの密度を有する。
【0010】
各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、アルファ組成物は、≧500Pa・s、又は≧550Pa・s、又は≧600Pa・s、又は≧650Pa・s、又は≧700Pa・s、又は≧750Pa・s、又は≧800Pa・s、又は≧850Pa・s、又は≧900Pa・sのV100(100rad/秒、100℃)を有する。各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、アルファ組成物は、≦1,950Pa・s、又は≦1,900Pa・s、又は≦1,880Pa・s、又は≦1,860Pa・s、≦又は1,840Pa・s、又は≦1,820Pa・s、又は≦1,800Pa・s、又は≦1,780Pa・sのV100(100rad/秒、100℃)を有する。
【0011】
各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、アルファ組成物は、≧15,200Pa・s、又は≧15,500Pa・s、又は≧16,000Pa・s、又は≧16,200Pa・s、又は≧17,000Pa・s、又は≧18,000Pa・s、又は≧19,000Pa・s、又は≧20,000Pa・s、又は≧21,000Pa・s、又は≧22,000Pa・s、又は≧23,000Pa・s、又は≧24,000Pa・s、又は≧25,000Pa・sのV1.0(1.0rad/秒、100℃)を有する。各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、アルファ組成物は、≦250,000Pa・s、又は≦200,000Pa・s、又は≦150,000Pa・s、又は≦120,000Pa・s、≦又は100,000Pa・s、又は≦80,000Pa・s、又は≦60,000Pa・s、又は≦50,000Pa・s、又は≦45,000Pa・s、又は≦40,000Pa・s、又は≦38,000Pa・sのV1.0(1.0rad/秒、100℃)を有する。
【0012】
各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、アルファ組成物は、≧1.0g/10分、又は≧1.1g/10分、又は≧1.2g/10分、又は≧1.3g/10分、又は≧1.4g/10分、又は≧1.6g/10分、又は≧1.8g/10分、又は≧2.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、アルファ組成物は、≦30g/10分、又は≦28g/10分、又は≦26g/10分、又は≦24g/10分、又は≦22g/10分、又は≦20g/10分、又は≦18g/10分、又は≦16g/10分、又は≦14g/10分、又は≦12g/10分、又は≦10g/10分、又は≦8.0g/10分、又は≦6.0g/10分、又は≦5.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。
【0013】
各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、アルファ組成物は、≧6.0、又は≧6.5、又は≧7.0、又は≧7.5、又は≧8.0、又は≧8.5、又は≧9.0、又は≧9.5、又は≧10.0、又は≧10.5、又は≧11.0、又は≧11.5、又は≧12.0、又は≧12.5、又は≧13.0、又は≧13.5、又は≧14.0、又は≧14.5、又は≧15.0のI10/I2を有する。各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、アルファ組成物は、≦40.0、又は≦35.0、又は≦32.0、又は≦30.0、又は≦28.0、又は≦26.0、又は≦24.0のI10/I2を有する。
【0014】
各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、アルファ組成物は、≧3.00、又は≧3.05、又は≧3.10、又は≧3.20、又は≧3.30、又は≧3.40、又は≧3.50、又は≧3.60、又は≧3.70、又は≧3.80、又は≧3.90、又は≧4.00、又は≧4.10、又は≧4.20、又は≧4.30、又は≧4.40、又は≧4.50、又は≧4.60、又は≧4.70、又は≧4.80、又は≧4.90、又は≧5.00、又は≧5.10の分子量分布MWDを有する。各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、アルファ組成物は、≦8.00、又は≦7.50、又は≦7.00、又は≦6.90、又は≦6.80、又は≦6.70、又は≦6.60、又は≦6.50、又は≦6.40、又は≦6.30の分子量分布MWDを有する。
【0015】
各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、アルファ組成物は、≧16,200g/mol、又は≧16,400g/mol、又は≧16,600g/mol、又は≧16,800g/mol、又は≧17,000g/mol、又は≧17,200g/mol、又は≧17,400g/molの数平均分子量Mnを有する。各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、アルファ組成物は、≦50,000g/mol、又は≦45,000g/mol、又は≦40,000g/mol、又は≦38,000g/mol、又は≦36,000g/mol、又は≦34,000g/mol、又は≦32,000g/mol、又は≦30,000g/molの数平均分子量Mnを有する。
【0016】
各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせにおいて、多峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーでは、比[Mn(最大20%の質量分率)/Mn(最低20%の質量分率)]は、≧16.0、又は≧16.5、又は≧又は17.0、又は≧17.5、又は≧18.0、又は≧又は18.5、又は≧19.0、又は≧19.5、又は≧20.0である。各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせにおいて、多峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーでは、比[Mn(最大20%の質量分率)/Mn(最低20%の質量分率)]は、≦100.0、又は≦90.0、又は≦80.0、又は≦75.0、又は≦70.0、又は≦65.0、又は≦60.0、又は≦55.0である。
【0017】
各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、多峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、第1のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー画分及び第2のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー画分を含み、第1の画分が、1つ以上のポリマー特性において第2の画分とは異なる。各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、第1のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー画分は、コモノマー含有量、I2、I10/I2、Mn、Mw、Mz、MWD、又はそれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上の特性において、第2のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー画分とは異なる。
【0018】
各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、第1のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー画分は、第1のエチレン/アルファ-オレフィンコポリマーである。各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、第2のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー画分は、第2のエチレン/アルファ-オレフィンコポリマーである。
【0019】
各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、組成物は、組成物の重量に基づいて、≧50.0重量%、又は≧55.0重量%、又は≧60.0重量%、又は≧65.0重量%、又は≧70.0重量%、又は≧75.0重量%、又は≧80.0重量%、又は≧85.0重量%、又は≧90.0重量%のアルファ組成物を含む。各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、組成物は、組成物の重量に基づいて、≧95.0重量%、又は≧95.5重量%、又は≧96.0重量%、又は≧96.5重量%、又は≧97.0重量%、又は≧97.5重量%、又は≧98.0重量%、又は≧98.1重量%のアルファ組成物を含む。各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、組成物は、組成物の重量に基づいて、≦99.8重量%、≦99.6重量%、又は≦99.4重量%、又は≦99.2重量%、又は≦99.0重量%、又は≦98.8重量%、又は≦98.6重量%、又は≦98.4重量%、又は≦98.3重量%のアルファ組成物を含む。
【0020】
各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、アルファ組成物は、1.80~2.50、又は1.85~2.45、又は1.90~2.40のMWDを有する単峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを更に含む。各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、単峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、0.860~0.890g/cc、又は0.865~0.888g/cc、又は0.865~0.885g/ccの密度を有する。各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、単峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、0.2~10g/10分、又は0.3~5.0g/10分、又は0.4~2.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有する。
【0021】
各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、アルファ組成物は、アルファ組成物の重量に基づいて、≧10.0重量%、又は≧12.0重量%、又は≧14.0重量%、又は≧16.0重量%、又は≧17.0重量%、又は≧18.0重量%の単峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを含む。各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、アルファ組成物は、アルファ組成物の重量に基づいて、≦40.0重量%、又は≦35.0重量%、又は≦30.0重量%、又は≦28.0重量%、又は≦26.0重量%、又は≦24.0重量%、又は≦22.0重量%、又は≦20.0重量%の単峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを含む。
【0022】
各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、多峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー対単峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーの重量比は、≧2.0、又は≧2.5、又は≧3.0、又は≧3.5、又は≧4.0である。各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、多峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー対単峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーの重量比は、≦7.0、又は≦6.5、又は≦6.0、又は≦5.5、又は≦5.0、又は≦4.5である。
【0023】
各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、過酸化物対シランカップリング剤の重量比は、≧0.5、又は≧1.0、又は≧1.5、又は≧2.0、又は≧2.5、又は≧3.0、又は≧3.5、又は≧4.0である。各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、過酸化物対シランカップリング剤の重量比は、≦7.0、又は≦6.5、又は≦6.0、又は≦5.5、又は≦5.0、又は≦4.5である。
【0024】
各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、組成物は、架橋助剤を更に含む。各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、過酸化物対助剤の重量比は、≧0.5、又は≧0.8、又は≧1.0、又は≧1.1、又は≧1.2、又は≧1.3、又は≧1.4、又は≧1.5、又は≧1.6、又は≧1.8である。各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、過酸化物対助剤の重量比は、≦3.0、又は≦2.8、又は≦2.6、又は≦2.4、又は≦2.3、又は≦2.2、又は≦2.0である。
【0025】
各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、助剤対「シランカップリング剤の重量比は、≧1.0、又は≧1.2、又は≧1.4、又は≧1.6、又は≧1.8、又は≧2.0である。各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、助剤対シランカップリング剤の重量比は、≦3.6、又は≦3.4、又は≦3.2、又は≦3.0、又は≦2.8、又は≦2.6、又は≦2.4である。
【0026】
各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、組成物は、組成物の重量に基づいて、総計≧99.0重量%、又は≧99.1重量%、又は≧99.2重量%、又は≧99.3重量%、又は≧99.4重量%の成分a)~c)を含む。各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、組成物は、組成物の重量に基づいて、総計≦100.0重量%、又は≦99.9重量%、≦99.8重量%、又は≦99.7重量%、又は≦99.6重量%、又は≦99.5重量%の成分a)~c)を含む。
【0027】
発明はまた、各々本明細書に記載のいずれか1つの実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせの組成物から形成される架橋組成物を提供する。
【0028】
発明はまた、各々本明細書に記載のいずれか1つの実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせの組成物から形成される少なくとも1つの構成要素を含む物品を提供する。各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、物品は、フィルムであり、更には押し出し及び/又はキャストフィルムである。別の実施形態では、物品は、太陽電池モジュールである。
【0029】
発明はまた、太陽電池モジュールを形成するプロセスを提供し、当該プロセスは、2つのフィルム層の間に太陽電池のアレイを積層することを含み、各フィルム層は、独立して、各々本明細書に記載のいずれか1つの実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせの組成物から形成される。更なる実施形態では、各フィルム層は、同じ組成物から形成される。
【0030】
本発明の組成物は、本明細書に記載されているように、2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。アルファ組成物は、本明細書に記載されているように、2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。各インターポリマー画分は、本明細書に記載されているように、独立して、2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。過酸化物は、本明細書に記載されているように、2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。シランカップリング剤は、本明細書に記載されているように、2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0031】
好ましくは、多峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、少なくとも2つのエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー画分を含む。各エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー画分は、独立して、重合形態で、エチレンと、アルファ-オレフィンと、を含み、任意選択的に、ポリエン、更には非共役ポリエンを含み得る。アルファ-オレフィンは、脂肪族又は芳香族化合物のいずれかであり得る。アルファ-オレフィンは、好ましくはC3~C20脂肪族化合物、好ましくはC3~C16脂肪族化合物、より好ましくはC3~C10脂肪族化合物である。好ましいC3~C10脂肪族アルファ-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、及び1-デセン、より好ましくは1-オクテンが挙げられる。非共役ポリエンの好適な例としては、1,4-ヘキサジエン及び1,5-ヘプタジエンなどの直鎖非環式ジエン;5-メチル-1,4-ヘキサジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、3,7-ジメチル-1,7-オクタジエン、5,7-ジメチル-1,7-オクタジエン、1,9-デカ-ジエン、及びジヒドロミルセンの混合異性体などの分岐鎖非環式ジエン;1,4-シクロ-ヘキサジエン、1,5-シクロオクタジエン、及び1,5-シクロド-デカジエンなどの単一環脂環式ジエン;テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデンなどの多環脂環式縮合及び架橋環ジエン;5-メチレン-2-ノルボルネン(MNB)、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)、5-プロペニル-2-ノルボルネン、5-イソプロピリ-デン-2-ノルボルネン、5-(4-シクロペンテニル)-2-ノルボルネン、及び5-シクロヘキシリデン-2-ノルボルネンなどのアルケニル、アルキリデン、シクロアルケニル、及びシクロアルキリデンノルボルネンが挙げられる。ポリエンは、好ましくは、ENB、VNB、及びジシクロペンタ-ジエン、より好ましくはENBから選択される非共役ジエンである。
【0032】
(少なくとも1つの「-O-O-」基を含有する)過酸化物は、好ましくは、例えば、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキシルカーボネートなどの有機過酸化物、ジ-t-ブチルペルオキシド、t-ブチル-クミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジ-(t-ブチルペルオキシ-イソプロピル)ベンゼン、t-ブチルペルオキシベンゾエート、1,1-ジ-(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチル-シクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-アミルペルオキシ)-ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチル-ペルオキシ)ヘキシン-3,2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-アミルペルオキシ)ヘキシン-3、ジ-t-アミルペルオキシド、1,3-ジメチル-3-(t-ブチル-ペルオキシ)ブタノール、1,3-ジメチル-3-(t-アミルペルオキシ)ブタノール、及びこれらの開始剤のうちの2つ以上の混合物が好ましい。例えば、AkzoNobelからのTRIGONOX過酸化物、ARKEMAからのLUPEROX過酸化物を参照されたい。
【0033】
シランカップリング剤としては、限定されないが、ビニルトリメトキシシラン及び3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートが挙げられる。架橋助剤としては、限定されないが、トリアリルシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルイソシアヌレート、及び1,3,5,7-テトラビニル-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサンが挙げられる。発明組成物はまた、UV安定剤、抗酸化剤、及びそれらの組み合わせなどの1つ以上の添加剤を含み得る。
【0034】
各々本明細書に記載の一実施形態、又は2つ以上の実施形態の組み合わせでは、発明組成物は、モノマータイプ及び/若しくは量、Mn、Mw、Mz、MWD、ムーニー粘度、V1、V100、RR、又はそれらの任意の組み合わせなどの1つ以上の特色において、成分a)のインターポリマーとは異なる熱可塑性ポリマーを更に含む。ポリマーとしては、限定されないが、エチレン系ポリマー、プロピレン系ポリマー、及びオレフィンマルチブロックインターポリマーが挙げられる。好適なエチレン系ポリマーとしては、限定されないが、高密度ポリエチレン(high density polyethylene、HDPE)、線状低密度ポリエチレン(linear low density polyethylene、LLDPE)、超低密度ポリエチレン(very low density polyethylene、VLDPE)、超低密度ポリエチレン(ultra-low density polyethylene、ULDPE)、均質に分岐した線状エチレン系ポリマー、及び均質に分岐した実質的に線状のエチレン系ポリマー(すなわち、均質に分岐した長鎖分岐状エチレンポリマー)が挙げられる。好適なプロピレン系ポリマーとしては、限定されないが、ポリプロピレンホモポリマー及びプロピレン/エチレンコポリマーが挙げられる。
【0035】
定義
別途反対の記載がない限り、文脈から暗黙的に、又は当該技術分野において慣習的でない限り、すべての部及びパーセントは重量に基づき、すべての試験方法は本開示の出願日の時点で現行のものである。
【0036】
本明細書で使用される「組成物」という用語は、組成物、並びに組成物の材料から形成された反応生成物及び分解生成物を含む、材料の混合物を含む。任意の反応生成物又は分解生成物が、典型的には、微量又は残留量で存在する。
【0037】
本明細書で使用される「ポリマー」という用語は、同じか異なるタイプかにかかわらず、モノマーを重合することによって調製される重合性化合物を指す。したがって、ポリマーという一般的な用語は、(微量の不純物がポリマー構造に組み込まれ得るという理解の下に、1つのタイプのみのモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる)ホモポリマーという用語、及び本明細書において以下に定義されるインターポリマーという用語を含む。触媒残留物などの微量の不純物は、ポリマー中に及び/又はポリマー内に組み込まれ得る。典型的には、ポリマーは、非常に少量(「ppm」量)の1つ以上の安定剤で安定化される。
【0038】
本明細書で使用される「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つのタイプの異なるモノマーの重合によって調製されるポリマーを指す。したがって、インターポリマーという用語は、(2つの異なるタイプのモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる)コポリマーという用語、及び2つ超の異なるタイプのモノマーから調製されるポリマーを含む。
【0039】
本明細書で使用される「プロピレン系ポリマー」という用語は、重合形態で、(ポリマーの重量に基づいて)大部分の重量パーセントのプロピレンを含み、任意選択的に、1つ以上のコモノマーを含み得るポリマーを指す。
【0040】
本明細書で使用される「エチレン系ポリマー」という用語は、重合形態で、(ポリマーの重量に基づいて)50重量%又は大部分の重量パーセントのエチレンを含み、任意選択的に、1つ以上のコモノマーを含み得るポリマーを指す。
【0041】
本明細書で使用される「エチレン/アルファ-オレフィン/インターポリマー」という用語は、重合形態で、エチレン、アルファ-オレフィンを含むランダムインターポリマーを指す。一実施形態では、「エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー」は、重合形態で、(インターポリマーの重量に基づいて)50重量%又は大部分の重量パーセントのエチレンを含む。
【0042】
本明細書で使用される「エチレン/アルファ-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマー」という用語は、重合形態で、エチレン、アルファ-オレフィン、及び非共役ポリエン(例えば、非共役ジエン)を含むランダムインターポリマーを指す。一実施形態では、「エチレン/アルファ-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマー」は、重合形態で、(インターポリマーの重量に基づいて)50重量%又は大部分の重量パーセントのエチレンを含む。
【0043】
本明細書で使用される「エチレン/アルファ-オレフィンコポリマー」という用語は、重合形態で、2つのみのモノマータイプとして、(コポリマーの重量に基づいて)50重量%又は大部分の量のエチレンモノマー、及びアルファ-オレフィンを含むランダムコポリマーを指す。
【0044】
本明細書で使用される「多峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー」というポリマーの観点における「多峰性」という用語は、広い分子量分布(MWD≧3.0)を有するインターポリマーを指す。この広いMWDは、典型的には、多峰性インターポリマー中に存在する複数のインターポリマー画分から生じる。各画分は、例えば、各々重合プロセスにおいて、異なる触媒、異なる触媒構成、又は異なる反応器条件の使用から生じ得る。例えば、2つのインターポリマー画分(インサイチュブレンド)を形成するための、重合プロセス中に1つの反応器内で2つの触媒を使用すること。各画分はまた、複数のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーの物理的ブレンドのポリマー成分、又は反応性押し出しプロセスなどのポリマーに対する反応器後化学反応からのポリマー生成物から生じ得る。多峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、≧3.0、好ましくは≧3.5、より好ましくは≧4.0の分子量分布(Mw/Mn)を有する。一実施形態では、多峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、1つの反応器内での2つの触媒の使用から、又は異なる重合条件で使用される単一の触媒から、又は各々が異なる重合条件で使用される2つの触媒から、又は物理的ブレンドの生成物から形成される。更なる実施形態では、多峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーは、1つの反応器内での2つの触媒の使用から、又は異なる重合条件で使用される単一の触媒から、又は各々が異なる重合条件で使用される2つの触媒から、更には1つの反応器内での2つの触媒の使用から形成される。
【0045】
本明細書で使用される「単峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー」というポリマーの観点における「単峰性」という用語は、1つのエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー画分(又はインターポリマー)のみを含むインターポリマーを指す。この単峰性インターポリマーは、狭い分子量分布(MWD<3.0、典型的には<2.5)を有する。
【0046】
本明細書で使用される「シランカップリング剤」という用語は、少なくとも1つの「Si」原子、並びに少なくとも1つの「-CH-」基及び/又は少なくとも1つの「-CH」基を含有する化合物を指し、この化合物は、2つの材料間:例えば、ポリマーと無機材料との間に化学結合を形成する。
【0047】
本明細書で使用される「太陽電池(又は太陽光発電力セル)」という用語は、太陽光線を電気に変換するデバイスを指す。太陽電池は、典型的には、アレイパターンで存在する。
【0048】
本明細書で使用される「太陽電池モジュール(又はソーラーパネル又はソーラーモジュール)」という用語は、太陽電池のアセンブリを備える太陽光発電パネルを指す。
【0049】
本明細書で使用される「積層すること、積層、及び同様の用語」という用語は、熱及び圧力、並びに任意選択的な真空を含む条件下で、複数の層状材料が一緒に結合されるプロセスを指す。
【0050】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する」という用語、及びそれらの派生語は、それらが具体的に開示されているかどうかにかかわらず、任意の追加の構成要素、ステップ、又は手順の存在を除外することを意図するものではない。疑義を回避するために、「含む(comprising)」という用語の使用を通じて特許請求されるすべての組成物は、別途反対の記載がない限り、ポリマーであろうとなかろうと、任意の追加の添加剤、アジュバント、又は化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる」という用語は、操作性に必須ではないものを除いて、あらゆる続く記述の範囲からあらゆる他の構成要素、ステップ、又は手順を除外する。「からなる」という用語は、具体的に規定又は列挙されていないあらゆる構成要素、ステップ、又は手順を除外する。
【0051】
いくつかの組成物の特色のリスト
A]以下の成分a)~c):
a)多峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを含むアルファ組成物であって、以下の特性:
i)≧8.0のMz/Mn、
ii)0.855~0.890g/ccの密度、
iii)≦2,000Pa・sのV100(100℃)、
iv)≧15,000Pa・sのV1.0(100℃)、
v)≧16,000g/molのMnを含む、アルファ組成物と、
b)過酸化物と、
c)シランカップリング剤と、を含む、組成物。
B]アルファ組成物が、≧8.5、又は≧9.0、又は≧9.5、又は≧10.0、又は≧11.0、又は≧12.0、又は≧13.0、又は≧14.0、又は≧15.0のMz/Mnを有する、上のA]に記載の組成物。
C]アルファ組成物が、≦60.0、又は≦55.0、又は≦50.0のMz/Mnを有する、上のA]又はB]に記載の組成物。
D]アルファ組成物が、≧0.856g/cc、又は≧0.857g/cc、又は≧0.858g/cc、又は≧0.859g/cc、又は≧0.860g/cc、又は≧0.861g/cc、又は≧0.862g/cc、又は≧0.863g/cc、又は≧0.864g/cc、又は≧0.865g/cc、又は≧0.866g/cc、又は≧0.867g/cc、又は≧0.868g/cc、又は≧0.869g/cc、又は≧0.870g/cc(1cc=1cm)の密度を有する、上のA]~C](AからC)のいずれか1つに記載の組成物。
E]アルファ組成物が、≦0.889g/cc、又は≦0.888g/cc、又は≦0.887g/cc、又は≦0.886g/cc、又は≦0.885g/cc、又は≦0.884g/cc、又は≦0.883g/cc、又は≦0.882g/ccの密度を有する、上のA]~D]のいずれか1つに記載の組成物。
F]アルファ組成物が、≧500Pa・s、又は≧550Pa・s、又は≧600Pa・s、又は≧650Pa・s、又は≧700Pa・s、又は≧750Pa・s、又は≧800Pa・s、又は≧850Pa・s、又は≧900Pa・sのV100(100rad/秒、100℃)を有する、上のA]~E]のいずれか1つに記載の組成物。
G]アルファ組成物が、≦1,950Pa・s、又は≦1,900Pa・s、又は≦1,880Pa・s、又は≦1,860Pa・s、≦又は1,840Pa・s、又は≦1,820Pa・s、又は≦1,800Pa・s、又は≦1,780Pa・sのV100(100rad/秒、100℃)を有する、上のA]~F]のいずれか1つに記載の組成物。
H]アルファ組成物が、≧15,200Pa・s、又は≧15,500Pa・s、又は≧16,000Pa・s、又は≧16,200Pa・s、又は≧17,000Pa・s、又は≧18,000Pa・s、又は≧19,000Pa・s、又は≧20,000Pa・s、又は≧21,000Pa・s、又は≧22,000Pa・s、又は≧23,000Pa・s、又は≧24,000Pa・s、又は≧25,000Pa・sのV1.0(1.0rad/秒、100℃)を有する、上のA]~G]のいずれか1つに記載の組成物。
I]アルファ組成物が、≦250,000Pa・s、又は≦200,000Pa・s、又は≦150,000Pa・s、又は≦120,000Pa・s、≦又は100,000Pa・s、又は≦80,000Pa・s、又は≦60,000Pa・s、≦又は55,000Pa・s、又は≦50,000Pa・s、又は≦45,000Pa・s、又は≦40,000Pa・s、又は≦38,000Pa・sのV1.0(1.0rad/秒、100℃)を有する、上のA]~H]のいずれか1つに記載の組成物。
J]アルファ組成物が、≧8.0、又は≧8.5、又は≧9.0、又は≧9.5、又は≧10.0、又は≧10.5のレオロジー比(V1.0/V100、100℃)を有する、上のA]~I]のいずれか1つに記載の組成物。
K]アルファ組成物が、≦50.0、又は≦40.0、又は≦30.0、又は≦28.0、≦又は26.0のレオロジー比(V1.0/V100、100℃)を有する、上のA]~J]のいずれか1つに記載の組成物。
L]アルファ組成物が、≧0.20、又は≧0.25、又は≧0.30、又は≧0.35、又は≧0.40、又は≧0.45、又は≧0.50、又は≧0.52、又は≧0.54、又は≧0.56、又は≧0.58の総不飽和度/1000Cを有する、上のA]~K]のいずれか1つに記載の組成物。
M]アルファ組成物が、≦1.00、又は≦0.95、又は≦0.90、又は≦0.85、又は≦0.80、又は≦0.75、又は≦0.70、又は≦0.65、又は≦0.60の総不飽和度/1000Cを有する、上のA]~L]のいずれか1つに記載の組成物。
N]アルファ組成物が、≧1.0g/10分、又は≧1.1g/10分、又は≧1.2g/10分、又は≧1.3g/10分、又は≧1.4g/10分、又は≧1.6g/10分、又は≧1.8g/10分、又は≧2.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有する、上のA]~M]のいずれか1つに記載の組成物。
O]アルファ組成物が、≦30g/10分、又は≦28g/10分、又は≦26g/10分、又は≦24g/10分、又は≦22g/10分、又は≦20g/10分、又は≦18g/10分、又は≦16g/10分、又は≦14g/10分、又は≦12g/10分、又は≦10g/10分、又は≦8.0g/10分、又は≦6.0g/10分、又は≦5.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有する、上のA]~N]のいずれか1つに記載の組成物。
P]アルファ組成物が、≧6.0、又は≧6.5、又は≧7.0、又は≧7.5、又は≧8.0、又は≧8.5、又は≧9.0、又は≧9.5、又は≧10.0、又は≧10.5、又は≧11.0、又は≧11.5、又は≧12.0、又は≧12.5、又は≧13.0、又は≧13.5、又は≧14.0、又は≧14.5、又は≧15.0のI10/I2を有する、上のA]~O]のいずれか1つに記載の組成物。
Q]アルファ組成物が、≦40.0、又は≦35.0、又は≦32.0、又は≦30.0、又は≦28.0、又は≦26.0、又は≦24.0のI10/I2を有する、上のA]~P]のいずれか1つに記載の組成物。
R]アルファ組成物が、≧16,200g/mol、又は≧16,400g/mol、又は≧16,600g/mol、又は≧16,800g/mol、又は≧17,000g/mol、又は≧17,200g/mol、又は≧17,400g/molの数平均分子量Mnを有する、上のA]~Q]のいずれか1つに記載の組成物。
S]アルファ組成物が、≦50,000g/mol、又は≦45,000g/mol、又は≦40,000g/mol、又は≦38,000g/mol、又は≦36,000g/mol、又は≦34,000g/mol、又は≦32,000g/mol、又は≦30,000g/molの数平均分子量Mnを有する、上のA]~R]のいずれか1つに記載の組成物。
T]アルファ組成物が、≧60,000g/mol、又は≧65,000g/mol、又は≧70,000g/mol、又は≧75,000g/mol、又は≧80,000g/mol、又は≧82,000g/mol、又は≧85,000g/molの重量平均分子量Mwを有する、上のA]~S]のいずれか1つに記載の組成物。
U]アルファ組成物が、≦150,000g/mol、又は≦145,000g/mol、又は≦140,000g/mol、又は≦135,000g/mol、又は≦130,000g/mol、又は≦125,000g/mol、又は≦120,000g/mol、又は≦115,000g/molの重量平均分子量Mwを有する、上のA]~T]のいずれか1つに記載の組成物。
V]アルファ組成物が、≧200,000g/mol、又は≧205,000g/mol、又は≧210,000g/mol、又は≧215,000g/mol、又は≧220,000g/mol、又は≧225,000g/mol、又は≧230,000g/mol、又は≧235,000g/mol、又は≧240,000g/mol、又は≧245,000g/molのz平均分子量Mzを有する、上のA]~U]のいずれか1つに記載の組成物。
W]アルファ組成物が、≦600,000g/mol、又は≦580,000g/mol、又は≦560,000g/mol、又は≦540,000g/mol、又は≦520,000g/mol、又は≦500,000g/mol、又は≦495,000g/mol、又は≦490,000g/mol、又は≦485,000g/molのz平均分子量Mzを有する、上のA]~V]のいずれか1つに記載の組成物。
X]アルファ組成物が、≧3.00、又は≧3.05、又は≧3.10、又は≧3.20、又は≧3.30、又は≧3.40、又は≧3.50、又は≧3.60、又は≧3.70、又は≧3.80、又は≧3.90、又は≧4.00、又は≧4.10、又は≧4.20、又は≧4.30、又は≧4.40、又は≧4.50、又は≧4.60、又は≧4.70、又は≧4.80、又は≧4.90、又は≧5.00、又は≧5.10の分子量分布MWD(=Mw/Mn)を有する、上のA]~W]のいずれか1つに記載の組成物。
Y]アルファ組成物が、≦8.00、又は≦7.50、又は≦7.00、又は≦6.90、又は≦6.80、又は≦6.70、又は≦6.60、又は≦6.50、又は≦6.40、又は≦6.30の分子量分布MWDを有する、上のA]~X]のいずれか1つに記載の組成物。
Z]アルファ組成物が、≧30℃、又は≧35℃、又は≧40℃、又は≧45℃、又は≧50℃、又は≧52℃、又は≧54℃、又は≧56℃の融解温度(melting temperature、Tm、DSC)を有する、上のA]~Y]のいずれか1つに記載の組成物。
AA]アルファ組成物が、≦100℃、又は≦95℃、又は≦90℃、又は≦85℃、又は≦80℃、又は≦78℃、又は≦76℃、又は≦74℃、≦72℃、≦70℃、又は≦69℃の融解温度(Tm、DSC)を有する、上のA]~Z]のいずれか1つに記載の組成物。
BB]アルファ組成物が、≧-70℃、又は≧-68℃、又は≧-66℃、又は≧-64℃、又は-62℃、又は≧-60℃、又は≧-58℃、又は≧-57℃のガラス転移温度(glass transition temperature、Tg、DSC)を有する、上のA]~AA]のいずれか1つに記載の組成物。
CC]アルファ組成物が、≦-40℃、又は≦-45℃、又は≦-50℃、又は≦-51℃、又は≦-52℃、又は≦-53℃のガラス転移温度(Tg、DSC)を有する、上のA]~BB]のいずれか1つに記載の組成物。
DD]アルファ組成物が、≧30℃、又は≧35℃、≧38℃、又は≧40℃、又は≧42℃、又は≧44℃、又は≧46℃の結晶化温度(crystallization temperature、Tc、DSC)を有する、上のA]~CC]のいずれか1つに記載の組成物。
EE]アルファ組成物が、≦90℃、又は≦85℃、又は≦80℃、又は≦75℃、又は≦72℃、又は≦70℃、又は≦68℃、又は≦66℃、又は≦64℃の結晶化温度(Tc、DSC)を有する、上のA]~DD]のいずれか1つに記載の組成物。
FF]アルファ組成物が、≧12%、又は≧14%、又は≧16%、又は≧18%、又は≧20%の結晶化度%を有する、上のA]~EE]のいずれか1つに記載の組成物。
GG]アルファ組成物が、≦40%、又は≦35%、又は≦32%、又は≦30%、又は≦28%の結晶化度%を有する、上のA]~FF]のいずれか1つに記載の組成物。
HH]多峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーでは、Mn(最低20%の質量分率)が、≧2,000g/mol、又は≧2,500g/mol、又は≧3,000g/mol、又は≧3,500g/mol、又は≧4,000g/mol、又は≧4,500g/mol 5,000g/mol、又は≧5,200g/mol、又は≧5,400g/mol、又は≧5,500g/molである、上のA]~GG]のいずれか1つに記載の組成物。
II]多峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーでは、Mn(最低20%の質量分率)が、≦35,000g/mol、又は≦30,000g/mol、又は≦25,000g/mol、又は≦20,000g/mol、又は≦18,000g/mol、又は≦16,000g/mol、又は≦14,000g/mol、又は≦12,000g/mol、又は≦10,000g/molである、上のA]~HH]のいずれか1つに記載の組成物。
JJ]多峰性エチレン/-アルファ-オレフィンインターポリマーでは、Mn(最大20%の質量分率)が、≧160,000g/mol、又は≧170,000g/mol、又は≧175,000g/mol、又は≧180,000g/mol、又は≧185,000g/mol、又は≧190,000g/molである、上のA]~II]のいずれか1つに記載の組成物。
KK]多峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーでは、Mn(最大20%の質量分率)が、≦400,000g/mol、又は≦380,000g/mol、又は≦360,000g/mol、又は≦340,000g/mol、又は≦320,000g/molである、上のA]~JJ]のいずれか1つに記載の組成物。
LL]多峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーでは、比[Mn(最大20%の質量分率)/Mn(最低20%の質量分率)]が、≧16.0、又は≧16.5、又は≧又は17.0、又は≧17.5、又は≧18.0、又は≧又は18.5、又は≧19.0、又は≧19.5、又は≧20.0である、上のA]~KK]のいずれか1つに記載の組成物。
MM]多峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーでは、比[Mn(最大20%の質量分率)/Mn(最低20%の質量分率)]が、≦100.0、又は≦90.0、又は≦80.0、又は≦75.0、又は≦70.0、又は≦65.0、又は≦60.0、又は≦55.0である、上のA]~LL]のいずれか1つに記載の組成物。
NN]多峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーが、第1のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー画分及び第2のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー画分を含む、上のA]~MM]のいずれか1つに記載の組成物。
OO]第1のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー画分が、コモノマー含有量、I2、I10/I2、Mn、Mw。Mz、MWD、又はそれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上の特性において、更には、Mn、Mw。Mz、MWD、又はそれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上の特性において、第2のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー画分とは異なる、上のNN]に記載の組成物。
PP]多峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーが、多峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーの重量に基づいて、総計≧98.0重量%、又は≧98.5重量%、又は≧99.0重量%、又は≧99.5重量%、又は≧99.8重量%、又は≧99.9重量%の第1のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー画分及び第2のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー画分を含む、上のNN]又はOO]のいずれか1つに記載の組成物。
QQ]多峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーが、多峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーの重量に基づいて、総計≦100.0重量%の第1のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー画分及び第2のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー画分を含む、上のNN]~PP]のいずれか1つに記載の組成物。
RR]第1のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー画分では、アルファ-オレフィンが、C3-C20アルファ-オレフィン、更にはC3-C10アルファ-オレフィンである、上のNN]~QQ]のいずれか1つに記載の組成物。
SS]第1のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー画分では、アルファ-オレフィンが、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、又は1-オクテン、更にはプロピレン、1-ブテン、又は1-オクテン、更には1-ブテン又は1-オクテン、更には1-オクテンから選択される、上のNN]~RR]のいずれか1つに記載の組成物。
TT]第1のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー画分が、第1のエチレン/アルファ-オレフィンコポリマーである、上のNN]~SS]のいずれか1つに記載の組成物。
UU]第1のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー画分が、以下の、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/ブテンコポリマー、又はエチレン/オクテンコポリマー、更にはエチレン/ブテンコポリマー、又はエチレン/オクテンコポリマー、更にはエチレン/オクテンコポリマーから選択される、上のNN]~TT]のいずれか1つに記載の組成物。
VV]第2のエチレン/-アルファ-オレフィンインターポリマー画分では、アルファ-オレフィンが、C3-C20アルファ-オレフィン、更にはC3-C10アルファ-オレフィンである、上のNN]~UU]のいずれか1つに記載の組成物。
WW]第2のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー画分では、アルファ-オレフィンが、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、又は1-オクテン、更にはプロピレン、1-ブテン、又は1-オクテン、更には1-ブテン又は1-オクテン、更には1-オクテンから選択される、上のNN]~VV]のいずれか1つに記載の組成物。
XX]第2のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー画分が、第2のエチレン/アルファ-オレフィンコポリマーである、上のNN]~WW]のいずれか1つに記載の組成物。
YY]第2のエチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー画分が、以下の、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/ブテンコポリマー、又はエチレン/オクテンコポリマー、更にはエチレン/ブテンコポリマー、又はエチレン/オクテンコポリマー、更にはエチレン/オクテンコポリマーから選択される、上のNN]~XX]のいずれか1つに記載の組成物。
ZZ]多峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーが、多峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーの重量に基づいて、50重量%又は大部分の重量パーセントの重合エチレンを含む、上のA]~YY]のいずれか1つに記載の組成物。
A3]組成物が、組成物の重量に基づいて、≧50.0重量%、又は≧55.0重量%、又は≧60.0重量%、又は≧65.0重量%、又は≧70.0重量%、又は≧75.0重量%、又は≧80.0重量%、又は≧85.0重量%、又は≧90.0重量%のアルファ組成物を含む、上のA]~ZZ]のいずれか1つに記載の組成物。
B3]組成物が、組成物の重量に基づいて、≧95.0重量%、又は≧95.5重量%、又は≧96.0重量%、又は≧96.5重量%、又は≧97.0重量%、又は≧97.5重量%、又は≧98.0重量%、又は≧98.1重量%のアルファ組成物を含む、上のA]~A3]のいずれか1つに記載の組成物。
C3]組成物が、組成物の重量に基づいて、≦99.8重量%、≦99.6重量%、又は≦99.4重量%、又は≦99.2重量%、又は≦99.0重量%、又は≦98.8重量%、又は≦98.6重量%、又は≦98.4重量%、又は≦98.3重量%のアルファ組成物を含む、上のA]~B3]のいずれか1つに記載の組成物。
D3]アルファ組成物が、1.80~2.50、又は1.85~2.45、又は1.90~2.40のMWDを有する単峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを更に含む、上のA]~C3]のいずれか1つに記載の組成物。
E3]単峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーが、0.860~0.890g/cc、又は0.865~0.888g/cc、又は0.865~0.885g/ccの密度を有する、上のD3]に記載の組成物。
F3]単峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーが、0.2~10g/10分、又は0.3~5.0g/10分、又は0.4~2.0g/10分のメルトインデックス(I2)を有する、上のD3]又はE3]に記載の組成物。
G3]単峰性エチレン-/アルファ-オレフィンインターポリマーでは、アルファ-オレフィンが、C3-C20アルファ-オレフィン、更にはC3-C10アルファ-オレフィンである、上のD3]~F3]のいずれか1つに記載の組成物。
H3]単峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーでは、アルファ-オレフィンが、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、又は1-オクテン、更にはプロピレン、1-ブテン、又は1-オクテン、更には1-ブテン又は1-オクテン、更には1-オクテンから選択される、上のD3]~G3]のいずれか1つに記載の組成物。
I3]単峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーが、エチレン/アルファ-オレフィンコポリマーである、上のD3]~H3]のいずれか1つに記載の組成物。
J3]単峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーが、以下の、エチレン/プロピレンコポリマー、エチレン/ブテンコポリマー、又はエチレン/オクテンコポリマー、更にはエチレン/ブテンコポリマー又はエチレン/オクテンコポリマー、更にはエチレン/オクテンコポリマーから選択される、上のD3]~I3]のいずれか1つに記載の組成物。
K3]アルファ組成物が、アルファ組成物の重量に基づいて、≧10.0重量%、又は≧12.0重量%、又は≧14.0重量%、又は≧16.0重量%、又は≧17.0重量%、又は≧18.0重量%の単峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを含む、上のD3]~J3]のいずれか1つに記載の組成物。
L3]アルファ組成物が、アルファ組成物の重量に基づいて、≦40.0重量%、又は≦35.0重量%、又は≦30.0重量%、又は≦28.0重量%、又は≦26.0重量%、又は≦24.0重量%、又は≦22.0重量%、又は≦20.0重量%の単峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを含む、上のD3]~K3]のいずれか1つに記載の組成物。
M3]多峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー対単峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーの重量比が、≧2.0、又は≧2.5、又は≧3.0、又は≧3.5、又は≧4.0である、上のD3]~L3]のいずれか1つに記載の組成物。
N3]多峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマー対単峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーの重量比が、≦7.0、又は≦6.5、又は≦6.0、又は≦5.5、又は≦5.0、又は≦4.5である、上のD3]~M3]のいずれか1つに記載の組成物。
O3]過酸化物対シランカップリング剤の重量比が、≧0.5、又は≧1.0、又は≧1.5、又は≧2.0、又は≧2.5、又は≧3.0、又は≧3.5、又は≧4.0である、上のA]~N3]のいずれか1つに記載の組成物。
P3]過酸化物対シランカップリング剤の重量比が、≦7.0、又は≦6.5、又は≦6.0、又は≦5.5、又は≦5.0、又は≦4.5である、上のA]~O3]のいずれか1つに記載の組成物。
Q3]組成物が、架橋助剤を更に含む、上のA]~P3](AからP3)のいずれか1つに記載の組成物。
R3]架橋助剤が、組成物の重量に基づいて、≧0.05重量%、又は≧0.10重量%、又は≧0.15重量%、又は≧0.20重量%、又は≧0.25重量%、又は≧0.30重量%、又は≧0.35重量%、又は≧0.40重量%、又は≧0.45重量%、又は≧0.50重量%の量で存在する、上のQ3]に記載の組成物。
S3]架橋助剤が、組成物の重量に基づいて、≦3.00重量%、又は≦2.50重量%、又は≦2.00重量%、又は≦1.50重量%、又は≦1.00重量%、又は≦0.80重量%の量で存在する、上のQ3]又はR3]に記載の組成物。
T3]過酸化物対助剤の重量比が、≧0.5、又は≧0.8、又は≧1.0、又は≧1.1、又は≧1.2、又は≧1.3、又は≧1.4、又は≧1.5、又は≧1.6、又は≧1.8である、上のQ3]~S3]のいずれか1つに記載の組成物。
U3]過酸化物対助剤の重量比が、≦3.0、又は≦2.8、又は≦2.6、又は≦2.4、又は≦2.3、又は≦2.2、又は≦2.0である、上のQ3]~T3]のいずれか1つに記載の組成物。
V3]助剤対シランカップリング剤の重量比が、≧1.0、又は≧1.2、又は≧1.4、又は≧1.6、又は≧1.8、又は≧2.0である、上のQ3]~U3]のいずれか1つに記載の組成物。
W3]助剤対シランカップリング剤の重量比が、≦3.6、又は≦3.4、又は≦3.2、又は≦3.0、又は≦2.8、又は≦2.6、又は≦2.4である、上のQ3]~V3]のいずれか1つに記載の組成物。
X3]組成物が、組成物の重量に基づいて、≧0.05重量%、又は≧0.10重量%、又は≧0.15重量%、又は≧0.20重量%、又は≧0.25重量%、又は≧0.30重量%、又は≧0.35重量%、又は≧0.40重量%、又は≧0.45重量%、又は≧0.50重量%の過酸化物を含む、上のA]~W3]のいずれか1つに記載の組成物。
Y3]組成物が、組成物の重量に基づいて、≦5.00重量%、又は≦4.50重量%、又は≦4.00重量%、又は≦3.50重量%、又は≦3.00重量%、又は≦2.50重量%、又は≦2.00重量%、又は≦1.50重量%、又は≦1.00重量%の過酸化物を含む、上のA]~X3]のいずれか1つに記載の組成物。
Z3]組成物が、組成物の重量に基づいて、≧0.05重量%、又は≧0.10重量%、又は≧0.15重量%、又は≧0.20重量%のシランカップリング剤を含む、上のA]~Y3]のいずれか1つに記載の組成物。
A4]組成物が、組成物の重量に基づいて、≦3.00重量%、又は≦2.50重量%、又は≦2.00重量%、又は≦1.50重量%、又は≦1.00重量%、又は≦0.50重量%、又は≦0.40重量%のシランカップリング剤を含む、上のA]~Z3]のいずれか1つに記載の組成物。
B4]組成物が、組成物の重量に基づいて、総計≧99.0重量%、又は≧99.1重量%、又は≧99.2重量%、又は≧99.3重量%、又は≧99.4重量%の成分a)~c)を含む、上のA]~A4]のいずれか1つに記載の組成物。
C4]組成物が、組成物の重量に基づいて、総計≦100.0重量%、又は≦99.9重量%、≦99.8重量%、又は≦99.7重量%、又は≦99.6重量%、又は≦99.5重量%の成分a)~c)を含む、上のA]~B4]のいずれか1つに記載の組成物。
D4]組成物が、UV安定剤、抗酸化剤、又はそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの添加剤を更に含む、上のA]~C4]のいずれか1つに記載の組成物。
E4]少なくとも1つの添加剤が、組成物の重量に基づいて、≧0.01重量%、又は≧0.02重量%、又は0.03重量%、又は≧0.04重量%、又は≧0.05重量%、又は0.06重量%、又は≧0.07重量%、又は≧0.08重量%、又は≧0.09重量%、又は≧0.10重量%の量で存在する、上のD4]に記載の組成物。
F4]少なくとも1つの添加剤が、組成物の重量に基づいて、≦2.00重量%、又は≦1.50重量%、又は≦1.00重量%、又は0.90重量%、又は≦0.80重量%、又は≦0.70重量%、又は0.60重量%、又は≦0.50重量%、又は≦0.40重量%、≦0.30重量%、又は≦0.20重量%の量で存在する、上のD4]又はE4]に記載の組成物。
G4]アルファ組成物が、アルファ組成物の重量に基づいて、≧70.0重量%、又は≧75.0重量%、又は≧80.0重量%、又は≧85.0重量%、又は≧90.0重量%、又は≧95.0重量%、又は≧98.0重量%、又は≧98.5重量%、又は≧99.0重量%、又は≧99.5重量%、又は≧99.8重量%、又は≧99.9重量%の多峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを含む、上のA]~F4]のいずれか1つに記載の組成物。
H4]アルファ組成物が、アルファ組成物の重量に基づいて、≦100.0重量%の多峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを含む、上のA]~G4]のいずれか1つに記載の組成物。
I4]多峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーが、1つの反応器内で2つの触媒の存在下で形成される、上のA]~H4]のいずれか1つに記載の組成物。
J4]上のA]~I4]のいずれか1つに記載の組成物から形成された、架橋組成物。
K4]組成物が、≧2.50、又は≧2.55、又は≧2.60、又は≧2.65≧2.70、又は≧2.75、又は≧2.80、又は≧2.85の「MH-ML」値を有する、上のJ4]のいずれか1つに記載の組成物。
L4]組成物が、≧88%、又は≧89%、又は≧90%、又は≧91%の「ゲル%」値を有する、上のJ4]又はK4]に記載の組成物。
M4]上のA]~L4]のいずれか1つに記載の組成物から形成された少なくとも1つの構成要素を含む、物品。
N4]物品が、フィルム、更には押し出しフィルム及び/又はキャストフィルムである、M4]に記載の物品。
O4]物品が、太陽電池モジュールである、M4]に記載の物品。
P4]太陽電池モジュールを形成するプロセスであって、2つのフィルム層の間に太陽電池のアレイを積層することを含み、各フィルム層が、独立して、上のA]~L4]のいずれか1つに記載の組成物から形成される、プロセス。
Q4]各フィルム層が、同じ組成物から形成される、上のP4]に記載のプロセス。
【0052】
試験方法
MDR試験
硬化特徴は、Alpha Technologiesの移動式ダイレオメータ(Moving Die Rheometer、MDR)2000Eを使用して、ASTM D5289に従って、0.5度の円弧で測定した。各組成物について、MDRに約4gのペレットを充填した。MDRを150℃で30分間運転し、「時間対トルク」プロファイルを所与の間隔で生成した。各MDR運転:MH(dNm)、又は30分の試験間隔中にMDRによって加えられる最大トルク(これは通常、30分の時点で加えられるトルクに相当する)、及びML(dNm)、又は30分の試験間隔中にMDRによって加えられる最小トルク(これは通常、試験間隔の開始時に加えられるトルクに相当する)からの以下のデータを使用した。
【0053】
動的機械的分光法(Dynamic Mechanical Spectroscopy、DMS)
各組成物のレオロジーは、窒素パージ下で「25mmステンレス鋼平行プレート」を備えたAdvanced Rheometric Expansion System(ARES)を使用するDMSによって分析した。0.1~100rad/秒の範囲での一定温度の動的周波数掃引は、100℃の窒素下で実施した(表2を参照されたい)。データを使用して、PV封止材フィルム製造における組成物加工性を評価した。約「直径25mm×厚さ3.3mm」の試料を圧縮成形ディスクから切り取った(以下を参照されたい)。試料を下部プレート上に置き、5分間融解させた。次いで、プレートを「2.0mm」の間隙まで閉じ、試料を直径「25mm」までトリミングした。試験を開始する前に、試料を100℃で5分間平衡化させた。複素粘度は、10%の一定の歪み振幅で測定した。応力応答を振幅及び位相の観点から分析し、そこから貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G”)、動的粘度η、及びタンデルタを計算することができた。180℃及び周囲雰囲気で10MPaの成形圧力で5分間、次いで冷却プラテン(15~20℃)間で2分間クエンチした各圧縮成形ディスクを形成した。粘度(V1.0、V100)を記録した。
【0054】
ゲル浸透クロマトグラフィー
クロマトグラフィーシステムは、内部IR5赤外線検出器(IR5)を装備したPolymerChar GPC-IR(スペイン、バレンシア)の高温GPCクロマトグラフで構成された。オートサンプラーオーブンコンパートメントを摂氏160度に設定し、カラムコンパートメントを摂氏150度に設定した。カラムは、4つのAGILENT「Mixed A」30cm、20マイクロメートルの線状混床式カラムであった。クロマトグラフィー溶媒は、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有する、1,2,4-トリクロロ-ベンゼンである。溶媒源を、窒素スパージした。使用した注入体積は、200マイクロリットルであり、流量は1.0ミリリットル/分であった。
【0055】
580~8,400,000の範囲の分子量を有する21個の狭い分子量分布のポリスチレン標準物質を用いてGPCカラムセットの較正を実施し、ポリスチレン標準物質を、個々の分子量の間に少なくとも10の間隔で、6つの「カクテル」混合物中に配置した。標準物質は、Agilent Technologiesから購入した。1,000,000以上の分子量では「50ミリリットルの溶媒中0.025グラムで」、1,000,000未満の分子量では「50ミリリットルの溶媒中0.05グラムで」、ポリスチレン標準物質を調製した。ポリスチレン標準物質を摂氏80度で30分間穏やかに撹拌しながら溶解させた。(Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)に記載の)等式1を使用して、ポリスチレン標準物質のピーク分子量をポリエチレン分子量に変換した:
ポリエチレン=A×(Mポリスチレン (等式1)、式中、Mが、分子量であり、Aが、0.4315の値を有し、Bが、1.0に等しい。
【0056】
五次多項式を使用して、それぞれのポリエチレンに等価な較正点に当てはめた。Aに対して微調整(約0.375~0.445)を行って、線状ホモポリマーポリエチレン標準物質が120,000Mwで得られるようにカラム分解能及びバンド拡張効果を補正した。
【0057】
GPCカラムセットの総プレートカウントは、(50ミリリットルのTCB中0.04gで調製し、穏やかに撹拌しながら20分間溶解させた)デカンを用いて実施した。プレートカウント(等式2)及び対称性(等式3)を、200マイクロリットル注入で以下の等式に従って測定した:
【数1】
式中、RVが、ミリリットルでの保持体積であり、ピーク幅が、ミリリットル単位であり、ピーク最大が、ピークの最大高さであり、1/2高さが、ピーク最大の1/2高さである、
【数2】
式中、RVが、ミリリットルでの保持体積であり、ピーク幅が、ミリリットル単位であり、ピーク最大が、ピークの最大位置であり、10分の1高さが、ピーク最大の1/10高さであり、後部ピークが、ピーク最大よりも後の保持体積でのピークテールを指し、前部ピークが、ピーク最大よりも前の保持体積でのピーク前部を指す。クロマトグラフィーシステムでのプレートカウントは、18,000超となるはずであり、対称性は、0.98~1.22となるはずである。
【0058】
PolymerChar「Instrument Control」ソフトウェアを用いて半自動的な様式で試料を調製し、2mg/mlを試料の標的重量とし、PolymerChar高温オートサンプラーを介して、予め窒素をスパージしたセプタキャップ付バイアルに(200ppmのBHTを含有する)溶媒を添加した。摂氏160度で2時間、「低速」振盪下で試料を溶解させた。
【0059】
PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェア、各々の等間隔のデータ回収点(i)でベースラインを差し引いたIRクロマトグラム、及び等式1からの点(i)の狭い標準較正曲線から得たポリエチレン等価分子量を使用した、等式4~6に従ったPolymerChar GPC-IRクロマトグラフの内部IR5検出器(測定チャネル)を使用した、GPC結果に基づいて、Mn(GPC)、Mw(GPC)、及びMz(GPC)を計算した。等式4~6は、以下の通りである。
【数3】
【0060】
経時的な偏差を監視するために、PolymerChar GPC-IRシステムで制御されるマイクロポンプを介して、流量マーカー(デカン)を各試料に導入した。この流量マーカー(flowrate marker、FM)を使用して、試料内のそれぞれのデカンピーク(RV(FM試料))を狭い標準較正内のデカンピークのもの(RV(FM較正済み))とRV整合することによって、各試料のポンプ流量(流量(見かけ))を線状に補正した。次いで、デカンマーカーピークのすべての時間での変化が、実験全体の流量(流量(実効))の線形シフトに関連すると仮定した。フローマーカーピークのRV測定の最高精度を促進するために、最小二乗当てはめルーチンを使用して、フローマーカー濃度クロマトグラムのピークを二次方程式に当てはめた。次いで、二次方程式の一次導関数を使用して、真のピーク位置を求めた。フローマーカーピークに基づいてシステムを較正した後、(狭い標準較正に関して)実効流量を等式7として計算した:流量(実効)=流量(見かけ)(RV(FM較正済み)/RV(FM試料))(等式7)。
【0061】
フローマーカーピークの処理は、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアを介して行った。許容可能な流量補正は、有効流量が、見かけ流量の+/-0.7%以内であるはずである。
【0062】
示差走査熱量測定法(Differential Scanning Calorimetry、DSC)
示差走査熱量測定法(DSC)は、エチレン系(ethylene-based、PE)試料及びプロピレン系(propylene-based、PP)試料のTm、Tc、Tg、及び結晶化度を測定するために使用する。各試料(0.5g)を190℃、5000psiで2分間、フィルムに圧縮成形した。約5~8mgのフィルム試料を秤量し、DSC皿に入れた。蓋は、密閉された雰囲気を確保するために皿上でクリンプした。試料皿をDSCセルに入れ、次いで、PEでは180℃(PPでは230℃)の温度まで約10℃/分の速度で加熱した。試料をこの温度で3分間保持した。次いで、PEでは-90℃(PPでは-60℃)まで試料を10℃/分の速度で冷却し、その温度で3分間等温に保持した。次に、完全に融解するまで、10℃/分の速度で試料を加熱した(第2の加熱)。別途記載がない限り、各ポリマーの融点(Tm)及びガラス転移温度(Tg)を第2の加熱曲線から決定し、結晶化温度(Tc)を第1の冷却曲線から決定した。Tm及びTcについてのそれぞれのピーク温度を記録した。第2の加熱曲線から決定した融解熱(heat of fusion、Hf)を、PEでは292J/g(PPでは165J/g)の理論上の融解熱で除算し、この量に100を乗算することによって、結晶化度パーセントを計算することができる(例えば、結晶化度%=(PEでは)(Hf/292J/g)×100)。
【0063】
1H NMR方法
試料の調製。NORELL1001-7、10mm、NMR管中で、約130mgの試料を、0.001MのCr(AcAc)を含む3.25gの50/50重量比のテトラクロロエタン-d2/ペルクロロエチレンに添加することによって、試料を調製した。酸化を防止するために、管に挿入したピペットを介して、溶媒にNを通して約5分間バブリングすることによって、試料をパージした。次に、管にキャップをし、TEFLONテープで密閉し、次いで室温で一晩浸漬して、試料の溶解を促進した。試料をNパージボックス内で保持して、保存中、調製の前後のOへの曝露を最小限に抑えた。試料を115℃で加熱し、ボルテックスして、均質性を確保した。
【0064】
データ取得パラメータ及びデータ分析。H NMRは、Bruker高温CryoProbeを備えた、Bruker AVANCE 600MHz分光計で、120℃の試料温度で実施した。総ポリマープロトンを定量化するための対照スペクトル、及びポリマー鎖に関連する強いピークを抑制し、末端基の定量化のための高感度スペクトルを可能にする二重水消し実験(double presaturation experiment)の2つの実験を実行して、スペクトルを得た。制御は、ZGパルス、4回のスキャン、SWH10,000Hz、AQ1.82s、D14sで実行した。修正したパルスシーケンス、lc1prf2.zz、TD32768、64回のスキャン、DS2、SWH9,000Hz、AQ1.82s、D2s、D1312sを用いて、二重水消し実験を実行した。不飽和度測定は、以下に記載の方法に従って行った。ポリマー鎖(すなわち、ポリマー中のCH、CH、及びCH)からの共鳴下面積を、上記の第1の実験中に取得したスペクトル(対照スペクトル)から測定した。4つの重要なタイプ(すなわち、ビニル、ビニレン、三置換、及びビニリデン)の不飽和度下面積を、上記の第2の(水消し)実験中に取得したスペクトルから測定した。両方のスペクトルを、溶媒からの共鳴下面積に対して正規化した。それぞれの不飽和度のモル数は、不飽和共鳴下面積を、その共鳴に寄与するプロトンの数で除算することによって計算した。ポリマー中の炭素のモル数は、ポリマー鎖(すなわち、ポリマー中のCH、CH、及びCH)のピーク下面積を2で除算することによって計算した。次いで、総不飽和量を、総不飽和度のモル数対ポリマー中の炭素のモル数の相対比として表し、1000個の炭素当たりの不飽和度の数で表した。
【0065】
ゲル含有量
ゲル含有量は、ASTM D2765-01、方法Aに従ってキシレン中で決定した。圧縮成形プラークから切り取った硬化試料を、剃刀を使用して必要なサイズに切断した。各圧縮成形プラークを150℃、30,000psiの成形圧力で30分間、周囲雰囲気で形成し、次いで冷却した(15~20℃)プラテンの間で10分間クエンチした。
【0066】
メルトインデックス
エチレン系ポリマーのメルトインデックスI2(すなわちMI)は、ASTM D-1238、条件190℃/2.16kgに従って測定する(190℃/5.0kgでのメルトインデックスI5、190℃/10.0kgでのメルトインデックスI10、190℃/21.0kgでの高荷重メルトインデックスI21)。プロピレン系ポリマーのメルトフローレートMFRは、ASTM D-1238、条件230℃/2.16kgに従って測定する。
【0067】
ポリマー密度
ポリマー密度は、ASTM D-792に従って測定する。
【0068】
実験
フィルムポリマー及び添加剤
エチレン/1-オクテンランダムコポリマー:密度0.880g/cc、I2 18g/10分(例えば、The Dow Chemical CompanyからのXUS38661ポリオレフィンエラストマーを参照されたい)。このコポリマーは、以下の表において「POE661」として記載する。
【0069】
エチレン/1-オクテンランダムコポリマーである、The Dow Chemical CompanyからのENGAGE8407ポリオレフィンエラストマー:密度0.870g/cc、I2 30g/10分、Tm65℃、Tg-54℃。以下の表においてPOE407として記載する。
【0070】
エチレン/1-オクテンランダムコポリマーである、The Dow Chemical CompanyからのENGAGE8200ポリオレフィンエラストマー:密度0.870g/cc、I2 5.0g/10分、Tm59℃、Tg-53℃。以下の表においてPOE200として記載する。
【0071】
エチレン/1-オクテンランダムコポリマーである、The Dow Chemical CompanyからのENGAGE8150ポリオレフィンエラストマー:密度0.868g/cc、I2 0.5g/10分、Tm55℃、Tg-52℃。以下の表においてPOE150として記載する。
【0072】
TBEC:tert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート。ArkemaからのLUPEROX TBEC有機過酸化物。
【0073】
VMMS:3-(トリメトキシシリル)プロピル-メタクリレート。Dow Corningからのシランカップリング剤。
【0074】
架橋助剤:トリアリルイソシアヌレート。
【0075】
CAT A:6’,6’’’-(((ジイソプロピルシランジイル)ビス(メチレン))ビス(オキシ))ビス(3-(3,6-ジ-tert-ブチル-9H-カルバゾール-9-イル)-3’-フルオロ-5-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-2-オール)ジメチル-ハフニウム(国際公開第2018/022975号)。
【0076】
CAT B:6’,6’’’-(プロパン-1,3-ジイルビス(オキシ))ビス(3-(3,6-ジ-tert-ブチル-9H-カルバゾール-9-イル)-3’-フルオロ-5-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-2-オール)ジメチル-ジルコニウム(国際公開第2012/027448号)。
【0077】
CAT C:6’,6’’’-((2-(tert-ブチル)プロパン-1,3-ジイル)ビス(オキシ))ビス(3-(3,6-ジ-tert-ブチル-9H-カルバゾール-9-イル)-3’-フルオロ-5-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)-[1,1’-ビフェニル]-2-オール)ジメチル-ジルコニウム(国際公開第2016/014749号)。
【0078】
Co-CAT 1:実質的に、Boulder Scientificからの米国特許第5,919,983号の実施例2(更なる精製を実施せず)に開示のように、長鎖トリアルキルアミン(ARMEEN M2HT、Akzo-Nobel,Inc.から入手可能)、HCl、及びLi[B(C]の反応によって調製した、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのメチルジ(C14~18アルキル)アンモニウム塩の混合物。
【0079】
Co-CAT2:Akzo Nobelからの修飾メチルアルモキサン(MMAO)タイプ3A(更なる精製を実施せず)。
【0080】
ポリマーの合成及び特性
水圧的に満杯かつ定常状態条件で操作した1ガロンの重合反応器内で、各多峰性エチレン/アルファ-オレフィンインターポリマーを調製した。触媒及び共触媒は、上に列挙されている。溶媒、水素、触媒、及び共触媒を、表1A、1B、及び1Cに概説されるプロセス条件に従って反応器に供給して、多峰性インターポリマーを生成した。使用した溶媒は、ExxonMobil Chemical Companyによって供給されたISOPAR Eであった。
【0081】
多峰性インターポリマーの全体的な特性を表2及び3に示し、分子量特性を表4に示す。市販の比較ポリマーの特性を表5に示す。表2において、各アルファ組成物のDMSレオロジーデータ(100℃)は、表6に示すように、未硬化ポリマー組成物のDMSデータを表す(各組成物は、98.25重量%のアルファ組成物を含有し、これは組成物の大部分を構成し、したがって全体的な組成物レオロジーに著しく影響する)ことに留意されたい。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】
【表4】
【0086】
【表5】
【0087】
【表6】
【0088】
【表7】
【0089】
ポリマー組成物
ポリマー組成物を表6に示す。各組成物のポリマーペレット(98.25重量%)を、密封可能なガラスジャー内で硬化性添加剤(1.00重量%の過酸化物、0.50重量%の架橋助剤、及び0.25重量%のシラン)と混合した。ガラスジャーに付着する液体残留物が視覚的に見られなくなるまで、振盪及び一晩の吸水を介して浸漬プロセスを行った。その後、吸水させた試料をRSI RS5000、CAMブレードを備えたRHEOMIX600ミキサで、100℃/30RPMで6分間融解ブレンドした。熱い試料を、20000psiで4分間、Carverプレス(冷却プラテン)で冷却して、更なる試験用の「パンケーキ試料」を作製した。
【0090】
硬化特性
表6に見られるように、発明組成物は、高い「MH-ML」値及び高い「ゲル%」値によって示されるように、優れた硬化特性を有した。発明組成物における、より高い「Mz/Mn」値及び高分子量分率の存在によって、過酸化物硬化中のポリマーに、効果的に架橋ネットワークを構築させることが可能になり、これによって硬化の程度が改善されることが発見された。
【0091】
押し出し機での加工性
各アルファ組成物(表2を参照されたい)の加工性を、COLLINキャストフィルムライン上の単軸押し出し機を使用して評価した。表7を参照されたい。バレル内に4つのゾーンが存在し、各温度ゾーンで加熱要素をオフにして、ポリマーの剪断-発熱効果からのみで、押し出し中のアルファ組成物を加熱することを可能にした。押し出し機ダイの出口近くで組成物に直接接触させた熱電対によって、アルファ組成物の融解温度を直接監視した。各組成物を最大速度で押し出し、最大速度で組成物の融解温度が、押し出し機出口で100±1℃に達した。安定化のために最大速度で10分間組成物を押し出し、次いで、各ゾーン温度及び押し出し機出口での融解温度を記録した。この場合、各組成物の最大速度超のスクリュー速度(RPM)によって、組成物の過度の剪断-発熱及び100℃超の温度がもたらされるであろう。実際の用途におけるPV封止剤の「過酸化物及び助剤を配合した」組成物は、100℃超の温度では望ましくない未熟な硬化を受けやすいであろう。また、押し出し機スクリューのRPMは、押し出し機のスループット速度に比例し、したがって、より高いRPMに耐えるアルファ組成物は、PV封止材フィルム製造中により高いスループット速度で加工することができる。目下の事情では、押し出し組成物の良好なスループットを達成するためには、スクリュー速度は、25RPM超である必要がある。
【0092】
結果
加工性及び硬化特性の概要を表8に示す。表8に見られるように、発明組成物は、良好な加工性と良好な硬化特性との最適なバランスを提供することが発見された。両方の特性は、有用な「PV封止材」の重要な要件である。各発明組成物は、その強い剪断減粘性効果に起因して、フィルム加工温度(約100℃)での高い剪断速度(すなわち、約100rad/秒)で非常に低い剪断粘度を有することが発見された。したがって、より粘性の低いポリマー融解物は、押し出し機を通してより容易に押されるので、各発明組成物は、同じ押し出し条件ではるかに低い剪断-発熱を有する。特に、各組成物は、押し出し機において良好な加工性を有するので、組成物は、より高いRPM(>25RPM)、したがってより高いスループット速度に耐えることができる。比較組成物4(表7)は、組成物が比較的良好な硬化効率を有する場合でさえも、「RPM>25」の要件を満たさなかったことに留意されたい。PV封止材の潜在的なスコーチングを回避するために、押し出しプロセスを通る組成物の融解温度は、ほぼ110℃以下である必要があり、したがって、各ゾーン温度は110℃未満であることが必要である。比較例のうちのほとんどでは、押し出し機の速度は、押し出し機バレル全体を通してより低い融解温度を維持するために、ほぼ29RPM以下に制限される。しかしながら、発明組成物2は、37RPMほどの高さに達し、これは、実質的に改善された樹脂加工性ウィンドウ及びより高いスループット速度を示している。また、各発明組成物を効果的に架橋させて、高レベルの硬化を提供することができることが発見された(表6のMDR及びゲル%結果を参照されたい)。一方で、比較組成物(比較1、比較2、及び比較3)は、加工性要件を満たず、発明組成物と比較して、高い硬化状態に達することができなかった。これは、発明組成物が、それから形成されたPV封止材の加工性と硬化との間の改善されたバランスを提供することの指標を更に提供する。いくつかの場合では、発明組成物は、同様又はより高いレベルの硬化を提供するが、100rad/秒での実質的により低い剪断粘度で、である(例えば、発明1対比較4、及び発明2対比較2)。
【0093】
また、アルファ組成物の硬化性能を満たすためには、組成物は、≧16,000g/molの数平均分子量M及び≧15,000Pa・sのV1.0(100℃)を有する必要があることが発見された。比較例1では、その二峰性樹脂組成にもかかわらず、組成物中の過剰な量の低分子量画分に起因して、Mは、たったの約14,000g/molであった。過剰な量の低分子量種は、アルファ組成物の不十分な硬化をもたらした。
【0094】
要約すると、発明組成物の固有のアーキテクチャは、上に考察されたように、比較組成物と比較して、組成物の加工性と組成物の硬化との間のバランスの改善を可能にすることが発見された。発明組成物は、同等若しくはより高い硬化レベルでの改善された加工性、又は同等若しくはより高い押し出し速度での改善された硬化レベルを提供するであろう。良好な加工性及び高い硬化レベルの両方は、PV封止材フィルム産業におけるフィルム製造者には価値がある重要な特性である。発明組成物はまた、良好な光透過性及び好適な弾性率を提供する。
【0095】
【表8】
【0096】
【表9】
【0097】
【表10】
図1