IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オリンパス・ヴィンター・ウント・イベ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツングの特許一覧

特許7429811超音波手術器具の駆動を改善した手術用ジェネレータ
<>
  • 特許-超音波手術器具の駆動を改善した手術用ジェネレータ 図1
  • 特許-超音波手術器具の駆動を改善した手術用ジェネレータ 図2
  • 特許-超音波手術器具の駆動を改善した手術用ジェネレータ 図3a
  • 特許-超音波手術器具の駆動を改善した手術用ジェネレータ 図3b
  • 特許-超音波手術器具の駆動を改善した手術用ジェネレータ 図4a
  • 特許-超音波手術器具の駆動を改善した手術用ジェネレータ 図4b
  • 特許-超音波手術器具の駆動を改善した手術用ジェネレータ 図5
  • 特許-超音波手術器具の駆動を改善した手術用ジェネレータ 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】超音波手術器具の駆動を改善した手術用ジェネレータ
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/32 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
A61B17/32 510
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023028551
(22)【出願日】2023-02-27
(65)【公開番号】P2023152750
(43)【公開日】2023-10-17
【審査請求日】2023-03-07
(31)【優先権主張番号】63/326,039
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516236908
【氏名又は名称】オリンパス・ヴィンター・ウント・イベ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】OLYMPUS WINTER & IBE GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】デイクストラ,イェレ
(72)【発明者】
【氏名】ディートリヒ,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー,ディミトリ
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-123476(JP,A)
【文献】特開平2-290281(JP,A)
【文献】米国特許第5113116(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0088154(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00 ― 17/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手術用超音波器具(16)に高周波交流電圧を出力するように構成された手術用ジェネレータであって、
主制御ユニット(10)と、
駆動振動を発生する発振器(3)と、
前記駆動振動に依存して高周波交流電圧を発生するインバータ(24)と、を備え、
前記高周波交流電圧は、フィルタおよび整合回路を介して、前記手術用超音波器具(16)の接続のための出力ソケット(15)に供給され、
前記整合回路は、前記インバータ(24)の出力を前記手術用超音波器具(16)に整合させるために設けられ、
前記整合回路は、整合コイルをエミュレートするように構成された整合コイルエミュレーション装置によって形成されており、
前記整合コイルエミュレーション装置は、
前記駆動振動に作用する補正装置(4)と、
疑似的な位相信号を発振器(3)への入力として供給するように構成された疑似位相発生器(6)と、を備え、
前記補正装置(4)は、混合ユニット(40)と、フィードバック回路(5)と、を有し、
前記フィードバック回路(5)の入力部(50)は、前記出力ソケット(15)に接続され、
前記フィードバック回路(5)は、前記混合ユニット(40)への入力(42)として供給される補正信号を計算し、前記混合ユニット(40)の他の入力(43)は前記駆動振動を受け取り、前記混合ユニット(40)の出力(44)は、前記インバータ(24)へ供給されており、
前記疑似位相発生器(6)は、エミュレートされた整合コイルを考慮した仮想電流の推定器(61)を備え、前記疑似位相発生器(6)は、前記仮想電流と測定された出力電圧との間の位相シフトを決定するように構成され、疑似的な前記位相シフトが出力電圧と電流との間の測定された位相シフトと異なっている、手術用ジェネレータ。
【請求項2】
前記フィードバック回路(5)は、状態フィードバックとして構成されている、請求項1に記載の手術用ジェネレータ。
【請求項3】
測定された出力電圧及び/又は出力電流を表す信号が、前記入力部(50)で前記フィードバック回路(5)に供給される、請求項1又は2に記載の手術用ジェネレータ。
【請求項4】
前記フィードバック回路(5)が負のフィードバックとして構成され、予め選択可能な増幅率を有する、請求項1または2に記載の手術用ジェネレータ。
【請求項5】
前記手術用超音波器具(16)に整合された整合コイル(9)のインダクティビティに対する、前記フィルタのインダクティビティ(26)の比率に応じて、前記増幅率が決定される、請求項に記載の手術用ジェネレータ。
【請求項6】
前記フィードバック回路(5)が、特にその増幅率が、前記手術用超音波器具(16)の種類に応じて自動的に設定される、請求項1または2に記載の手術用ジェネレータ。
【請求項7】
前記フィードバック回路(5)は、前記駆動振動と同じ周波数を有するが、前記駆動振動とは異なる振幅及び/又は位相を有する波信号を出力するように構成されている、請求項1または2に記載の手術用ジェネレータ。
【請求項8】
前記発振器(3)は、前記出力ソケット(15)における電圧の周波数に追従するように構成された周波数追従回路(32)を備える、請求項1または2に記載の手術用ジェネレータ。
【請求項9】
前記周波数追従回路(32)は、フェーズ・ロック・ループ回路(33)を備える、請求項に記載の手術用ジェネレータ。
【請求項10】
前記周波数追従回路(32)は、前記疑似位相発生器(6)によって生成された前記位相信号によって制御される、請求項8に記載の手術用ジェネレータ。
【請求項11】
前記仮想電流の推定器(61)は、エミュレートされる整合コイル(9)のインダクティビティLを表すパラメータを含む、請求項1または2に記載の手術用ジェネレータ。
【請求項12】
インダクティビティLを表す前記パラメータは、予め選択可能である、請求項11に記載の手術用ジェネレータ。
【請求項13】
前記主制御ユニット(10)は、前記出力ソケット(15)に接続された前記手術用超音波器具(16)の種類に応じて、インダクティビティを表す前記パラメータを設定するように構成されている、請求項11に記載の手術用ジェネレータ。
【請求項14】
前記主制御ユニット(10)が、ユーザ入力装置(13)により、および/または前記手術用超音波器具(16)の器具データを読み出すことにより自動的に、前記手術用超音波器具(16)の種類を決定するように構成されている、請求項1または2に記載の手術用ジェネレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波交流電圧を手術用の超音波器具に出力するように構成された手術用ジェネレータに関する。この手術用ジェネレータは、特に超音波周波数帯の高周波電圧を発生させるインバータを備える。インバータは、手術用の器具を接続するための出力ソケットに設けられる。
【背景技術】
【0002】
外科手術では、組織の切断や血管の封鎖、それも太い血管の封鎖のために、外科手術のあらゆる分野で手術用の超音波器具が採用されている。超音波外科手術の利点は、熱の拡散を最小限に抑えることができるため、隣接する組織への悪影響を最小限に抑えることである。実際の作業に応じて、さまざまな種類の超音波器具が使用される。
【0003】
手術用超音波器具は、手術用ジェネレータから供給される電気エネルギーを超音波エネルギーに変換する超音波変換器を備え、超音波エネルギーは治療に使用され得る。一般的に、超音波器具は手術用ジェネレータにとって複雑な負荷となる。電気インピーダンスは複雑で、周波数に依存し、さらに機械的共振モードに対応して重大な共振が発生する。機械的共振自体は、手術器具に実際に存在する機械的負荷の影響を受ける。その負荷は、処置される組織の種類に依存するので、手術器具の適用中にかなり動的に変化する可能性がある。
【0004】
超音波器具の駆動のために、手術用ジェネレータには、例えばD級増幅器のような、調整可能な周波数を持つインバータまたは増幅器が必要である。増幅器の出力を実際に使用される超音波器具に適合させるために、整合回路(matching circuit)が必要である。整合回路は、通常、整合コイルと称する並列インダクタから構成されている。整合コイルは、手術器具に並列に接続され、所望の機械的共振モードを励起することができるように器具のインピーダンス特性を整形するために使用される。このような構成の例示的な実施形態を図6に示す。整合コイルは、一般に、2つの目的を果たす。第一に、整合コイルは、手術用ジェネレータの伝達関数を改善する、すなわち増幅器を駆動するために使用される入力信号の関数として器具に作用する出力電圧を改善する。第二に、整合コイルは、器具に対する機械的負荷の変化により使用中に変化する共振周波数に追従するために通常使用されるフェーズ・ロック・ループ(位相同期ループ)回路(phase locked-loop-circuit)(PLL)に必要な位相測定を改善する。
【発明の概要】
【0005】
しかし、整合コイルはかさばり、その器具に固有のものであるため、かなり高価である。さらに、器具に固有であるということは、整合コイルを超音波器具固有の伝達特性に同調させなければならないことを意味する。そのため、手術用ジェネレータおよびその整合コイルが開発された時点で既に利用可能であった超音波器具のみが接続され得る。つまり、手術用ジェネレータは、製造時にすでに存在した器具に関連付けられている。これは、より新しく、より高度な超音波器具の使用を制限する重大な制約である。
【0006】
そこで、共振周波数に同調させるという概念を廃し、手術用超音波器具の静電容量を測定するという別の概念に変更することにより、整合コイルを設ける作業を回避することが提案されている(米国特許第10,265,117)。しかし、この場合、静電容量を常に繰り返し測定する必要がある。
【0007】
従って、本発明の目的は、実際に使用される超音波器具に対してより良く適応することができる、改良された手術用ジェネレータを提供することである。
【0008】
本発明による解決策は、独立請求項の特徴に含まれる。有利な実施形態は、従属請求項の主題になっている。
【0009】
本発明によると、手術用超音波器具に高周波交流電圧を出力するように構成された手術用ジェネレータであって、主制御ユニットと、駆動振動を発生する発振器と、駆動振動に依存して高周波交流電圧を発生するインバータとを備え、高周波交流電圧は、フィルタ及び整合回路を介して、手術用超音波器具を接続するための出力ソケットに供給される手術用ジェネレータにおいて、インバータの電力出力を手術器具に整合させるための整合回路が設けられている。整合回路は、整合コイルをエミュレートするように構成された整合コイルエミュレーション装置によって形成されている。整合コイルエミュレーション装置は、(i)駆動振動に作用する補正装置と、(ii)発振器に入力される疑似位相信号入力を供給するように構成された疑似位相発生器(artificial phase generator)と、を備える。補正装置は、混合ユニットと、その入力が出力ソケットに接続されるフィードバック回路とを備え、フィードバック回路が、混合ユニットへの入力として供給される補正信号を計算する。混合ユニットの他の入力は駆動振動を受け取る。混合ユニットの出力はインバータに供給される。疑似位相発生器は、エミュレートされた整合コイルを考慮した仮想電流の推定器を備え、仮想電流と測定された出力電圧との間の位相シフトを決定するように構成されている。疑似位相は出力電圧および電流の間の測定された位相シフトと異なる。
【0010】
本発明は、特定の整合回路を提供することにより、物理的な整合コイルを置き換えることを目的としている。本発明者は、物理的な整合コイルと置き換え可能な整合回路を提供するために、2つの異なる特徴の組み合わせを必要とすることに気付いた。第一に、出力電圧を発生するインバータを駆動するために使用される振動は、出力ソケットにおける電圧や電流のような実際の電気的パラメータの状態に応じて、補正装置によって修正されなければならない。混合ユニットは、フィードバック回路の出力に応じて、発振器が発する信号を変更する。例えば、フィードバック回路の時間的に変化する出力値を、時間的に変化する駆動振動に減算(または加算)し、それによってインバータ駆動用の修正された振動を提供する。この目的のために、混合ユニットは、好ましくは、時間的に変化する信号のリアルタイム混合(例えば、減算または加算による)を提供するように構成される。重要な点は、フィードバック回路と混合ユニットとを用いて、増幅器およびフィルタ(増幅器と出力との間にある)の伝達関数が整形され、それによって、フィルタを使用して整合コイルの効果を模倣することである。これにより、整合コイルを不要にするために、本来必要なフィルタを使用することができる。
【0011】
しかしながら、第一の点だけでは不十分である。したがって、第二の重要な点として、補正装置に必要な信号を生成する必要がある。物理的な整合コイルがあれば、物理的な整合コイルと組み合わせて手術器具が経験する実際の負荷の組み合わせによって、出力電圧に対する電流の一定の位相差につながる複雑なインピーダンスが形成される。しかし、物理的な整合コイルがないと、この位相差は、存在しない整合コイルを流れる電流にも依存し、測定することができない。そこで、本発明では、測定された実際の電圧と、実際の出力と(存在しない)整合コイルを通る仮想的な電流(imaginary current)とを組み合わせた仮想電流とを使用する疑似位相発生器が設けられる。この目的のために、整合コイルが存在する場合に出力電流として流れるであろう仮想電流を決定するように構成された推定器が設けられる。これらの要素の組み合わせにより、適切な寸法の整合コイルがあった場合に存在するであろう電流を決定することができ、これに従って仮想電流が計算される。
【0012】
このようにして、不足している電流信号を提供して、実際に測定された電圧と、適切に寸法決めされた、存在しない整合コイルを考慮した電流と、の間の位相シフトを決定することができる。また、この位相シフトの信号を用いて補正回路を適切に駆動し、(存在しない)整合コイルを模した伝達関数を実現することができる。その結果、補正装置によって再整形された伝達関数によって、超音波器具は、かさばり、かつ、高価な従来の整合コイルが存在する場合と同じ位相シフトで、同じ電圧および電流を受け取る。この電子的なエミュレーションによって、特定の手術用超音波器具とその電気的特性に常に同調させる必要がある整合コイルとは対照的に、このエミュレーションは柔軟であり、異なる電気的特性を有する新しく開発された手術用超音波器具でも適切に動作する。
【0013】
したがって、この発明によれば、異なる重要な点について著しい改善が実現される。すなわち、さらに、使用する超音波器具に関して汎用性を高め、さらに、より新しいものも含めて使用可能な超音波器具の点で柔軟性を高めながら、手術用ジェネレータ自体の体積およびコストを低減することができる。
【0014】
本願の文脈において、用語「高周波」は、手術用ジェネレータによって生成される超音波周波数範囲内の周波数、典型的には20kHz~200kHz(超音波手術用ジェネレータ)の範囲内の周波数に関連する。
【0015】
インバータは、出力ソケットに接続される手術用超音波器具に実際の高周波出力を提供するための装置である。インバータという用語はかなり広く、実際のインバータ技術だけでなく、変換器や増幅器も含む。
【0016】
フィルタは、インバータの出力と出力ソケットの間に配置され、それによって負荷をインバータの出力から分離する。典型的には、フィルタは、インラインインダクタンス(in-line inductance)を備え、さらに、並列コンデンサ(LC-フィルタ)を備えてもよい。
【0017】
整合コイルエミュレーション装置は、器具を手術用ジェネレータに整合させるために従来から存在する整合コイルをエミュレートするように構成されている。エミュレーション装置であるため、整合コイルエミュレーション装置自体は整合コイルを備えておらず、したがって、コイルレスであると言ってもよい。
【0018】
本発明の文脈では、推定器は、システムの出力の測定から、システムの状態を推定するように設計された装置であると理解される。推定器は、システムによって出力されるパラメータおよび他の測定された変数を使用することによって、アクセス不可、または少なくとも直接アクセス不可の変数または状態を推定するように構成される。このような様々な推定器は、制御システムの技術分野の当業者には知られている。非限定的な例としては、状態空間におけるオブザーバ、またはウィーナフィルタ(Wiener-Filter)およびカルマンフィルタが挙げられる。
【0019】
好ましい実施形態では、フィードバック回路は状態フィードバックとして構成される。これにより、状態空間を導入することで得られる制御工学のメリットを有利に利用することができる。
【0020】
好ましくは、フィードバック回路は、測定された出力電圧及び/又は電流を表す信号を、フィードバック回路に入力として供給されるように構成されてもよい。特に、主制御ユニットによる電力調整のために、通常は出力における電圧および電流のためのセンサがいずれにせよ設けられていることを考慮すると、出力電圧および/または電流の測定は、最小限の労力で、信頼できる方法で実現され得る。そのため、いずれにせよ測定される出力電圧(または電流)信号をフィードバック回路に使用することで、センサに関して追加コストが発生しない。
【0021】
有利には、フィードバック回路は、負のフィードバックとして構成される。フィードバック回路は、フィードバック回路の入力で適用され得る予め選択可能な増幅率を含む。このような増幅率(kファクタとも呼ばれる。)は、複雑でなく効率的なフィードバック回路を実現するために利用することができる。好ましくは、増幅率は、フィルタのインダクティビティ(inductivity)の、手術器具に整合された整合コイルのインダクティビティ値に対する比率に従って決定される。このインダクティビティ値は、(本発明によってエミュレートされるべき)物理的な整合コイルが手術器具に整合させられるために有するであろうインダクティビティである。さらに好ましくは、この比率は、フィルタのインラインインダクティビティを介して流れる電流の、物理的な整合コイル(それが存在する場合)を流れると予想される電流に対する比率によってさらに修正される。このような比率を採用することで、出力ラインにおける変圧器の影響も考慮される。
【0022】
有利なことに、フィードバック回路、特にその増幅率は、手術器具の種類に応じて自動的に設定される。これにより、ユーザは増幅率を決定する作業から解放される。しかしながら、これは、増幅率を設定するための手動操作、例えば、ユーザが手動で器具のタイプを選択し、それによって増幅率が、例えばルックアップテーブルによって設定されることを排除するものではない。
【0023】
好ましくは、フィードバック回路は、駆動振動と同じ周波数を有するが、駆動振動とは異なる振幅および/または位相を有する波動信号を出力するように構成される。このような構成とすることで、前処理を必要とせず、むしろ直接的に波動信号を補正装置に利用することができる。これにより、補正装置およびその動作がさらに簡素化される。
【0024】
好ましい実施形態では、発振器は、出力ソケットにおける電圧の周波数に追従するように構成された周波数追従回路を備える。このような追従によって、発振器は、負荷の変化、特に出力ソケットに接続された手術用超音波器具の機械的負荷の変化により出力ソケットで生じた共振周波数の変動を追跡する。好ましくは,周波数追従ユニットは、フェーズ・ロック・ループ(位相同期ループ)回路(PLL)を備える。これにより、出力ソケットにおける周波数を効率的かつ確実に追従させることができる。それにより、安全かつ安定した動作状態を実現することができる。
【0025】
さらに好ましくは、周波数追従ユニットは、疑似位相発生器によって生成された位相信号によって制御される。これにより、位相の直接測定が不可能であっても、周波数追従ユニットは、出力ソケットにおける周波数及び位相シフトを追跡することができる。これは、実際の測定が意味をなさない状況、すなわち、実際に測定された位相が補正装置の適切な動作に必要な位相情報を表していない状況にも対応するものである。これは、位相シフトに関する位相情報が、例えば仮想電流のような直接測定できない電流の振幅および位相の推定器を採用することによって疑似的に生成される場合に特に有用である。
【0026】
有利には、仮想電流のための推定器は、エミュレートされるべき整合コイルのインダクティビティを表すパラメータを備える。このようなパラメータを採用することにより、整合コイルが存在し、手術器具に並列に接続される場合に出力電流として流れるであろう仮想電流をより正確に推定することができる。このパラメータは、出力ソケットに接続される手術用超音波器具の種類に応じて設定されることが好ましい。これは、手動または自動で行うことができる。好ましくは、主制御ユニットは、このパラメータを設定するように構成されている。これは、主制御ユニットが、ユーザ入力装置によって手術器具の種類を決定するように構成され、及び/又は、例えば手術用超音波器具の器具データを読み出すことにり、手術用超音波器具を識別することによって、手術器具の種類を自動的に決定するように構成されることを含む。それによって、インダクティビティのパラメータを設定するための効率的で使いやすい方法が実現される。主制御ユニットによる自動決定の場合には、ユーザエラーの危険性を排除することができる。
【0027】
本発明は、有利な例示的な実施形態を参照して以下にさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】例示的な実施形態による、付属の電気手術器具を備えた手術用ジェネレータを示す図である。
図2図1に示す手術用ジェネレータのブロック図である。
図3a】整合コイル無しの場合、物理的な整合コイルを備える場合、および本発明によるエミュレートされた整合コイルを備える場合の、システムの利得および位相を示す伝達関数である。
図3b】整合コイル無しの場合、物理的な整合コイルを備える場合、および本発明によるエミュレートされた整合コイルを備える場合の、システムの利得および位相を示す伝達関数を示す図である。
図4a】整合コイル無しの場合、物理的な整合コイルを備える場合、および本発明によるエミュレートされた整合コイルを備える場合の、器具の出力インピーダンスを示す図である。
図4b】整合コイル無しの場合、物理的な整合コイルを備える場合、および本発明によるエミュレートされた整合コイルを備える場合の、器具の出力インピーダンスを示す図である。
図5】補正装置による補正を行わない場合および補正後の駆動振動を示す図である。
図6】先行技術による、インバータから、出力ソケットで接続された超音波器具までの電力セクションのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明は、本発明による手術用ジェネレータの例示的な実施形態に関して説明される。この例示的な実施形態は、参照符号1によって全体として識別される手術用超音波ジェネレータである。手術用超音波ジェネレータ1は、汎用ユーザインタフェース14、電力選択ノブ12、および器具タイプ選択ノブ13、並びに手術用超音波器具16のための出力ソケット15が設けられたハウジング11を備える。手術用超音波器具16は、ケーブルを介して手術用超音波ジェネレータ1の出力ソケット15に接続される。
【0030】
超音波手術用ジェネレータ1は、主電源ケーブル21によって電力供給される。主電源ケーブルは、その端部にあるプラグ20によって公共電力網(図示せず)または他の適切な電気供給手段に接続され得る。それにより、手術用超音波ジェネレータ1に電力が供給される。
【0031】
電気手術用超音波ジェネレータ1の概略機能図を図2に示す。電気手術用超音波ジェネレータ1は、ハウジング11内に、主接続ケーブル21(図1参照)により電力が供給される電力供給ユニット22を備える。電力供給ユニット22は整流器を備え、直流リンク23に直流電圧を供給し、直流リンク23はインバータ24に供給する。インバータ24は、例示された実施形態では、増幅器であり、好ましくはD級タイプの増幅器である。インバータ24は、駆動用発振器(driving oscillator)3から供給される高周波駆動振動43に基づいて、供給された高周波振動を増幅し、約10~100V、典型的には約50Vの相応の高周波交流電圧を発生させる。高周波は可変であり、20kHzと60kHzとの間の超音波範囲内、典型的には40kHzと55kHzとの間の範囲内である。
【0032】
インバータ24で生成された高周波電圧は、出力ライン25に供給される。インバータ24に続いて、LCタイプのフィルタ26が設けられる。フィルタ26は、出力ライン25のそれぞれのラインにインラインインダクティビティ(in-line inductivity)26を有し、両方のインラインインダクティビティを接続するコンデンサを有する。フィルタ26および任意のDCブロッキングコンデンサ28に続いて、絶縁および出力電圧の昇圧を提供する絶縁変圧器29が配置されている。出力変圧器の伝送比は、例えば11である。得られた出力電圧及び電流は、電流測定装置17及び電圧測定装置18によって感知され、手術用超音波器具16のプラグを差し込むことができる出力ソケット15に送られる。インバータ24から出力ソケット15までの構成は、手術用超音波ジェネレータ1の電力部を構成する。
【0033】
手術用超音波ジェネレータ1の動作は、主制御ユニット10により制御される。主制御ユニット10は、信号ラインによって電力供給ユニット22及びインバータ24に接続されている。さらに、手術用超音波ジェネレータ1には、電力フィードバック回路19が設けられている。電力フィードバック回路19には、入力として、電流測定装置17および電圧測定装置18が接続されている。フィードバック装置19は、これらの入力に基づいて出力電力を決定し、実際に出力された電力を表す信号を主制御ユニット10に出力する。次に、主制御ユニット10は、ユーザインタフェース14および/または電力選択ノブ12によってユーザが設定した機能およびモードに従って、制御信号をインバータ24に供給する。主制御ユニット10は、さらに、駆動用発振器3の初期周波数fを制御する。これまで説明したこの構成は、当技術分野で一般に知られており、簡潔さのためにこれ以上の説明はしない。
【0034】
手術用超音波器具16は、電気エネルギーを超音波エネルギーに変換する超音波変換器(図示せず)を備える。超音波器具16の電気インピーダンスは、手術用超音波器具16の機械的共振モードに対応する。この機械的共振は、超音波器具に対する機械的負荷によって影響を受ける。この機械的負荷は可変であり、例えば、超音波器具によって処置される組織に依存する。
【0035】
参考として、図6において、先行技術による電力部が示されている。この電力部は、インバータ104として作用する増幅器から始まり、続いて、LCフィルタ106、DCブロッキングコンデンサ108、絶縁変圧器109、電流測定装置117及び電圧測定装置118、並びに整合コイル9が配置され、最後に手術用超音波器具16のプラグが差し込まれる出力ソケット115が配置されている。超音波器具16を適切に駆動するために、整合回路が必要である。整合回路は、「整合コイル」と呼ばれる、図6において参照数字9で表される並列インダクタから構成される。整合コイルは、所望の機械的共振モードが励起され得るように、器具16のインピーダンス特性を整形するために使用される。したがって、通常は超音波手術用ジェネレータの一部である整合コイル9を、実際の器具16に整合させなければならない。別の器具16が超音波手術用ジェネレータに接続される場合には、第2の整合コイルが必要とされるか、あるいは、整合コイル9が、別の器具に整合するように再構成され得る切替可能な整合コイルである必要がある。
【0036】
本発明は、整合コイル9を廃止することを目的とする。その結果、図に示すような例示的な実施形態では、整合コイル9は存在せず、特に図2では、廃止された整合コイル9が仮想の線で示されている。本発明によれば、廃止された整合コイル9は、廃止された整合コイル9をエミュレートするように構成された整合コイルエミュレーション装置によって置き換えられる。このために、整合コイルエミュレーション装置は、発振器3によって整形される駆動振動に対して補正を行うように構成された補正装置4と、疑似位相発生器6とを備える。疑似位相発生器6は、エミュレーションされる整合コイルを考慮した仮想電流(virtual current)のための推定器61を備える。
【0037】
推定器61は、上記仮想電流を出力電流として決定するように構成されている。この電流に基づいて、疑似位相発生器6は、仮想電流と測定された出力電圧との間の位相シフトを計算する。このために、電圧センサ18によって測定された実際の電圧が、推定器61の第1の入力部62に供給される。さらに、電流センサ17によって測定された実際の電流が、推定器61の第2の入力部63に供給される。さらに、追加入力として、不存在の整合コイルのインダクティビティ値「L」を表すパラメータ60が設定される。この値に基づいて、推定器61は、下式に従って(複素)仮想電流Ivirt.を決定するように構成される。
【数1】
ここで、Imeas.は、電流センサ17によって測定された電流であり、Umeas.は、電圧センサ18によって測定された電圧である。仮想電流Ivirt.の値は、出力部64で提供され、位相シフト計算機65の入力部67に供給される。位相シフト計算機65の別の入力部66には、電圧センサ18によって測定された測定電圧信号が供給される。そこで、位相シフト計算機65は、これらの入力に基づいて、電圧と電流との間の、すなわち測定電圧Umeas.と仮想電流Ivirt.との間の位相シフトを決定する。この位相シフトΔφaの信号は、疑似位相発生器6からライン68で出力される。この疑似的な位相差Δφaの信号は、発振器3の周波数追従のためのPLL33の入力部に供給される。
【0038】
疑似位相発生器6によって計算されたこの位相シフトは、(エミュレートされた整合コイルを通る仮想的な電流を追加的に考慮することに起因して)電流センサ17および電圧センサ18によって測定される実際の電圧電流および電圧で定義される実際の位相シフトとは異なっており、また異なっていなければならないということに留意するべきである。
【0039】
発振器3は、図示する実施形態では、正弦波振動を生成しているベース生成部30を備える。生成された振動の周波数は、周波数追従回路32によって決定される。周波数追従回路32には、主制御ユニット10から初期周波数fの制御信号が供給される。この初期周波数に基づいて、発振器3はその出力部34で駆動振動を発する。この駆動振動は、補正装置4を介して、増幅器として作用するインバータ24に供給される。周波数追従回路32は、さらに上記フェーズ・ロック・ループ(Phased-Locked-Loop、PLL)回路33を備える。PLL回路33は、疑似位相発生器6からライン68を介して位相差信号の差分Δφaを受け取る。このため、PLL回路33により、発振器3は測定された出力電圧と電流との間の位相シフトを一定に保つ。さらに、発振器3は、負荷条件の変動により手術用超音波器具16の使用過程で経験する共振周波数の変化を追従することができる。
【0040】
さらに、増幅器であるインバータ24から始まる電力部の伝達関数は、補正装置4を用いて整形される。この目的のために、電圧センサ18によって測定された電圧信号Vmeas.が供給される入力50を有するフィードバック回路5が設けられている。さらに、追加の入力51として、パラメータ「k」がフィードバック回路5に提供される。
【0041】
パラメータ「k」は、整合コイル9が存在する場合に有するであろうインダクティビティLの逆数に、インラインインダクタンス(in-line inductance)26を掛けたものによって決定され得る。この場合、両方のラインにそのようなインラインインダクタンス26が存在するので、インラインインダクタンス26を2倍にする。さらに、絶縁変圧器29を考慮すると、インラインフィルタインダクタンス26の電流と、(整合コイル9が存在する場合に)整合コイル9を流れる電流との間の比率を決定することができる。本例では、この比率はN=11である。整合コイル9のインダクティビティLを3.3mH、インラインインダクタンス26をそれぞれ6.25μHと仮定すると、パラメータ「k」は以下のように決定され得る。
【数2】
これに基づいて、フィードバック回路5は、フィードバック回路5の出力部52で、下式に従って、補正値を決定する。
【数3】
この補正値は、補正装置4の混合ユニット40の第2の入力部42に供給される。混合ユニット40の第1の入力部43には、発振器3から出力された駆動振動が供給される。従って、発振器3が出力する駆動振動は、フィードバック回路5の出力によって補正される。補正の結果得られる信号は、ライン44を介してインバータ24の入力部に供給されて増幅され、出力ライン25に出力される。
【0042】
このように、結果として伝達関数は補正装置4によって整形され、出力ソケット15における電圧と電流との間の位相シフトは、疑似位相発生器6によって修正される。その結果、ライン44によって供給される補正された振動(補正振動)と、発振器3によって出力される元の駆動振動とでは、振幅および位相が異なる。これは図5に示されている。図5では、破線は元の駆動振動を表し、実線は本発明に従って整形され、ライン44によって増幅のためにインバータ24に供給される補正振動を表している。
【0043】
補正装置4および疑似位相発生器6の効果を図3および図4に示す。図3aは利得を示し、図3bは出力ソケット15における周波数fに応じた位相シフトを示す。破線は、物理的な整合コイル9が存在する先行技術による電力部の伝達関数を示す。整合コイルを削除するだけで、点線で示すような伝達関数が生じ、利得の点でかなり異なり、位相の点ではさらに大きく異なる。上述した補正装置4および疑似位相発生器6を備えた整合コイルエミュレーション装置を設けると、実線で示すような伝達関数が得られる。実線は、物理的な整合コイルの破線を密接に追従し、かなりの部分にわたって重なっていることが容易に理解され得る。
【0044】
同様に、図4a及び図4bでは、手術用超音波器具16の出力インピーダンスの大きさ及び位相が示されている。先行技術による物理的な整合コイル9が存在する場合の出力インピーダンスは、破線で示されている。整合コイル9を除去しただけのシナリオは、点線によって示されている。この線は大きく異なり、特に位相に大きなずれが生じていることが容易に理解され得る。これにより、安定性に悪影響を及ぼす47kHzの共振周波数を超える周波数において第2のルート(second root)が生じる。しかしながら、このような問題は、本発明による整合コイルエミュレーションを用いることで解決される。本発明による整合コイルエミュレーションを用いると、実線で示すような出力インピーダンスが得られ、特に47kHz付近の臨界共振周波数近傍で破線に近くなる。したがって、整合コイルエミュレーション装置を物理的な整合コイル9と置き換えると、優れた結果をもたらすことが容易に理解され得る。
【0045】
従って、補正装置4と疑似位相発生器6の組み合わせにより、手術用超音波器具16を適切に駆動するために、(物理的に存在しない)整合コイル9をエミュレートするという所望の効果が得られる。
【0046】
さらに、エミュレートされるべき異なる整合コイル9を必要とする他のタイプの手術用超音波器具16を適切に駆動可能にするために、パラメータ「L」は、ライン69により、主制御ユニット10を用いて異なる値に予め選択されることができる。使用される手術用超音波器具16の種類は、主制御ユニット10に取り付けられたノブ13を用いてユーザによって選択され得る。オプションとして、主制御ユニットは、出力ソケット15で通信インターフェース(図示せず)により手術用超音波器具16から直接種類を読み出すように設定されてもよい。したがって、いずれの方法であっても、超音波手術用ジェネレータが製造された後に発売されるような器具であっても、超音波手術用ジェネレータ1を異なる種類の手術用超音波器具16に容易に適合させることが実現される。これにより、汎用性が大幅に向上する。
【0047】
前記した説明は、以下の項目のようにも表現することができる。
【0048】
[項目1]
手術用超音波器具(16)に高周波交流電圧を出力するように構成された手術用ジェネレータであって、
主制御ユニット(10)と、
駆動振動を発生する発振器(3)と、
前記駆動振動に依存して高周波交流電圧を発生するインバータ(24)と、を備え、
前記高周波交流電圧は、フィルタおよび整合回路を介して、前記手術用超音波器具(16)の接続のための出力ソケット(15)に供給され、
前記整合回路は、前記インバータ(24)の出力を前記手術用超音波器具(16)に整合させるために設けられ、
前記整合回路は、整合コイルをエミュレートするように構成された整合コイルエミュレーション装置によって形成されており、
前記整合コイルエミュレーション装置は、
前記駆動振動に作用する補正装置(4)と、
疑似的な位相信号を発振器(3)への入力として供給するように構成された疑似位相発生器(6)と、を備え、
前記補正装置(4)は、混合ユニット(40)と、フィードバック回路(5)と、を有し、
前記フィードバック回路(5)の入力部(50)は、前記出力ソケット(15)に接続され、
前記フィードバック回路(5)は、前記混合ユニット(40)への入力(42)として供給される補正信号を計算し、前記混合ユニット(40)の他の入力(43)は前記駆動振動を受け取り、前記混合ユニット(40)の出力(44)は、前記インバータ(24)へ供給されており、
前記疑似位相発生器(6)は、エミュレートされた整合コイルを考慮した仮想電流の推定器(61)を備え、前記疑似位相発生器(6)は、前記仮想電流と測定された出力電圧との間の位相シフトを決定するように構成され、疑似的な前記位相シフトが出力電圧と電流との間の測定された位相シフトと異なっている、手術用ジェネレータ。
【0049】
[項目2]
前記フィードバック回路(5)は、状態フィードバックとして構成されている、項目1に記載の手術用ジェネレータ。
【0050】
[項目3]
測定された出力電圧及び/又は出力電流を表す信号が、前記入力部(50)で前記フィードバック回路(5)に供給される、項目1又は2に記載の手術用ジェネレータ。
【0051】
[項目4]
前記フィードバック回路(5)が負のフィードバックとして構成され、予め選択可能な増幅率を有する、項目1から3のいずれかに記載の手術用ジェネレータ。
【0052】
[項目5]
前記手術用超音波器具(16)に整合された整合コイル(9)のインダクティビティに対する、前記フィルタのインダクティビティ(26 )の比率に応じて、前記増幅率が決定される、項目1から4のいずれかに記載の手術用ジェネレータ。
【0053】
[項目6]
前記フィードバック回路(5)が、特にその増幅率が、前記手術用超音波器具(16)の種類に応じて自動的に設定される、項目1から5のいずれかに記載の手術用ジェネレータ。
【0054】
[項目7]
前記フィードバック回路(5)は、前記駆動振動と同じ周波数を有するが、前記駆動振動とは異なる振幅及び/又は位相を有する波信号を出力するように構成されている、項目1から6のいずれかに記載の手術用ジェネレータ。
【0055】
[項目8]
前記発振器(3)は、前記出力ソケット(15)における電圧の周波数に追従するように構成された周波数追従回路(32)を備える、項目1から7のいずれかに記載の手術用ジェネレータ。
【0056】
[項目9]
前記周波数追従回路(32)は、フェーズ・ロック・ループ回路(33)を備える、項目1から8のいずれかに記載の手術用ジェネレータ。
【0057】
[項目10]
前記周波数追従回路(32)は、前記疑似位相発生器(6)によって生成された前記位相信号によって制御される、項目8または9に記載の手術用ジェネレータ。
【0058】
[項目11]
前記仮想電流の推定器(61)は、エミュレートされる整合コイル(9)のインダクティビティLを表すパラメータを含む、項目1から10のいずれかに記載の手術用ジェネレータ。
【0059】
[項目12]
インダクティビティLを表す前記パラメータは、予め選択可能である、項目1から11のいずれかに記載の手術用ジェネレータ。
【0060】
[項目13]
前記主制御ユニット(10)は、前記出力ソケット(15)に接続された前記手術用超音波器具(16)の種類に応じて、インダクティビティを表す前記パラメータを設定するように構成されている、項目1から12のいずれかに記載の手術用ジェネレータ。
【0061】
[項目14]
前記主制御ユニット(10)が、ユーザ入力装置(13)により、および/または前記手術用超音波器具(16)の器具データを読み出すことにより自動的に、前記手術用超音波器具(16)の種類を決定するように構成されている、項目1から13のいずれかに記載の手術用ジェネレータ。
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5
図6