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特許7429814前部及び後部変位機構を連行するハンドルを有するインジェクタ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】前部及び後部変位機構を連行するハンドルを有するインジェクタ
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/16 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
A61F2/16
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023069151
(22)【出願日】2023-04-20
(65)【公開番号】P2023160792
(43)【公開日】2023-11-02
【審査請求日】2023-04-20
(31)【優先権主張番号】10 2022 109 691.2
(32)【優先日】2022-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506085066
【氏名又は名称】カール・ツアイス・メディテック・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】マルティン・ケルプ
(72)【発明者】
【氏名】マルコ・ヘルツェル
(72)【発明者】
【氏名】ハディ・モエイン
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/037223(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/079780(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0046634(US,A1)
【文献】特開2016-049321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼内レンズ(2)を眼球の嚢に挿入するためのインジェクタであって、前記眼内レンズ(2)が前記眼内レンズ(2)の格納状態で配置される内側(7)の境界を定めるインジェクタ本体(6)と;開口部(20)を有するインジェクタ先端部(17)と;前記開口部(20)に向かう挿入方向(18)においてプランジャ(19)の長手方向の変位によって前記開口部(20)を経由して前記眼内レンズ(2)を前記インジェクタ(1)の外へ変位するように構成されたプランジャ(19)であって、前記眼内レンズ(2)は光学体(3)を有し、前記光学体(3)は光軸(3a)と、前記挿入方向(18)に関して後部突起(5)と、前記挿入方向(18)に関して前部突起(4)とを有する、プランジャ(19)と;前記後部突起(5)の光学体(3)遠位長手方向端部(5a)を、前記プランジャ(19)の変位によって後部軌道に沿って前記光学体(3)上に変位するように構成された後部変位機構(100、130、160)と;前記前部突起(4)の光学体(3)遠位長手方向端部(4a)を、前記光軸(3a)に平行な前部成分を有する前部軌道に沿って変位するように構成された前部変位機構(21、31)と;前記インジェクタ(1)の外側から操作可能であるように構成されたハンドル(80、90、96)であって、前記プランジャ(19)に結合され、前記ハンドル(80、90、96)の長手方向の変位によって前記挿入方向(18)に前記プランジャ(19)を連行するように構成された第1の留め具(82、92、97)と、前記前部変位機構(21、31)を連行するように構成された第2の留め具(83、93)とを有し、それにより、前記ハンドル(80、90、96)の長手方向の変位により、前記後部突起(5)の前記長手方向端部(5a)は前記光学体(3)上に変位可能であり、前記前部突起(4)の前記長手方向端部(4a)は、前記前部軌道に沿って変位可能であり、前記光学体(3)は前記プランジャ(19)によって前記挿入方向(18)において変位可能であるハンドル(80、90、96)とを有する、インジェクタ。
【請求項2】
前記前部変位機構(21、31)が、前記前部突起(4)の前記長手方向端部(4a)を格納状態において支え、前記前部突起(4)の前記長手方向端部(4a)を前記前部軌道の方向において支持する支え壁(22、32)と、前記前部突起(4)が前記挿入方向(18)に変位されるときに前記前部突起(4)が当接するように構成された第1の側壁(26、36)とを有する、請求項1に記載のインジェクタ。
【請求項3】
前記前部変位機構(21)が、前記前部軌道が実質的に円弧の形状を有するように前記インジェクタ本体(6)に回転可能に取り付けられたシャフト(23)を有する回動装置(29)を有し、又は前記前部変位機構(31)が、前記前部軌道が実質的に直線状であるように長手方向に変位可能であるように前記インジェクタ本体(6)に取り付けられた機構スライダ(33)を有する、請求項1または2に記載のインジェクタ。
【請求項4】
前記後部変位機構(100、130、160)がスライド面(117、147、177、207)を有し、このスライド面に沿って、前記後部突起(5)の前記長手方向端部(5a)は、前記プランジャ(19)が前記挿入方向(18)に変位されるときにスライドするように構成され、前記スライド面は、前記後部軌道がプロセス中に前記光軸(3a)に平行な後部成分を有するように前記挿入方向(18)と反対に傾斜を付けられる、請求項1または2に記載のインジェクタ。
【請求項5】
前記プランジャ(19)が、前記光学体(3)を変位するように構成されたラム(8)と、前記後部変位機構(100、130、160)の一部であり、前記後部突起(5)の長手方向端部(5a)の領域において前記後部突起(5)と接触し、その結果、前記後部突起(5)を前記光学体(3)上に変位するように構成された第1のスライダ(10、61、101、131、161)とを有する、請求項1または2に記載のインジェクタ。
【請求項6】
前記インジェクタ本体(6)が、前記内側(7)の境界を定める側面(118、148、178、208)を有し、前記側面に対して前記第1のスライダ(10、61、101、131、161)はプレストレスを与えられ、前記側面に沿って前記第1のスライダ(10、61、101、131、161)は、前記プランジャ(19)が前記挿入方向(18)に変位されるときにスライドし、前記側面は、前記挿入方向(18)と反対に傾斜を付けられ、それにより、前記プランジャ(19)が前記挿入方向(18)にさらに変位されるとき、前記第1のスライダ(10、61、101、131、161)は前記後部突起(5)の前記長手方向端部(5a)を前記光軸(3a)にさらに近づけるように変位する、請求項5に記載のインジェクタ。
【請求項7】
前記ラム(8)が、前記光学体(3)に面するその端部にラム切欠き(9)を有し、前記ラム切欠きは前記後部突起(5)及び前記光学体(3)を収容するように構成されている、請求項5に記載のインジェクタ。
【請求項8】
前記後部軌道がプロセス中に前記光軸(3a)に平行な後部成分を有し、
前記ラム(8)が、前記ラム(8)の第1の歯(105、135、165)を有し、前記ラム(8)の第1の歯(105、135、165)は、前記ラム(8)の上昇フランク(108、138、168)を有し、前記上昇フランク上で、前記後部突起(5)は、前記プランジャ(19)が前記挿入方向(18)に変位されているときにスライドするように構成され、前記上昇フランクは前記挿入方向(18)と反対に傾斜を付けられ、それにより前記後部突起(5)は前記ラム切欠き(9)の領域において前記光軸(3a)に平行に変位され、前記後部成分と同じ方向に変位される、請求項7に記載のインジェクタ。
【請求項9】
前記プランジャ(19)がスライダ装置(60)を有し、前記スライダ装置(60)は、第1のスライダ(10、61、101、131、161)と、前記スライダ装置(60)に対して長手方向に変位可能であるように前記ラム(8)が配置されるラム受け部(63)とを有し、前記スライダ装置(60)は第1の留め具(82、92、97)に結合され、その結果として、前記第1の留め具(82、92、97)は前記プランジャ(19)に結合され、前記スライダ装置(60)はストッパ(65)を有し、前記ラム(8)は、前記ラム(8)が前記挿入方向(18)と反対に前記スライダ装置(60)に対して変位されるときに前記ストッパ(65)に当接するように構成されたラム拡張部(66)を有する、請求項5に記載のインジェクタ。
【請求項10】
前記第1の留め具(82、92、97)が前記プランジャ(19)に解放可能に結合される、請求項1または2に記載のインジェクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼内レンズを眼球の嚢に挿入するためのインジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
眼球の白内障治療においては、通常、ごく小さな切開が眼球の角膜に形成される。前記切開は、インジェクタの先端部を切開から眼球に挿入するのに十分な大きさである。切開が角膜に形成された後、水晶体が例えば超音波乳化吸引術により粉砕され、次に眼球の嚢から吸引される。その後、眼内レンズがインジェクタによって眼球に挿入される。眼内レンズは、先端部を通り抜けるようにインジェクタ内で折り畳まれる。先端部は切開を介して嚢に挿入され、折り畳まれた眼内レンズはインジェクタによって先端部を通して嚢に押し込まれ、嚢内で眼内レンズは展開され、かくして元の水晶体に取って代わる。眼内レンズが折り畳まれている間、又は折り畳まれた眼内レンズが嚢に押し込まれている間、エラーが生じる可能性がある。エラーは、例えば、眼内レンズが嚢内で完全に展開されないこと、又はさらには眼内レンズが損傷することにつながる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、本発明の目的は、インジェクタの使用中にエラーが発生する確率が低いインジェクタを開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
眼内レンズを眼球の嚢に挿入するための本発明によるインジェクタは、眼内レンズがその格納状態で配置される内側の境界を定めるインジェクタ本体と、開口部を有するインジェクタ先端部と、開口部に向かう挿入方向においてプランジャの長手方向の変位によって開口部を経由して眼内レンズをインジェクタの外へ変位するように構成されたプランジャとを有する。眼内レンズは光学体を有し、光学体は光軸と、挿入方向に関して後部突起と、挿入方向に関して前部突起とを有する。インジェクタはまた、後部突起の光学体遠位長手方向端部を、プランジャの変位によって後部軌道に沿って光学体上に変位するように構成された後部変位機構と、前部突起の光学体遠位長手方向端部を、光軸に平行な前部成分を有する前部軌道に沿って変位するように構成された前部変位機構とを有する。さらに、インジェクタは、インジェクタの外側から操作可能であるように構成されたハンドルを有する。ハンドルは、プランジャに結合され、ハンドルの長手方向の変位によって挿入方向にプランジャを連行するように構成された第1の留め具と、前部変位機構を連行するように構成された第2の留め具とを有し、それにより、ハンドルの長手方向の変位により、後部突起の長手方向端部は光学体上に変位可能であり、前部突起の長手方向端部は、前部軌道に沿って変位可能であり、光学体はプランジャによって挿入方向において変位可能である。
【0005】
ハンドルが第1の留め具と第2の留め具の両方を有する結果として、前部突起の長手方向端部及び/又は後部突起の長手方向端部の光学体上への変位について忘れることは不可能である。ハンドルの長手方向の変位の結果として後部突起の長手方向端部及び前部突起の長手方向端部が光学体上に変位されることによって、前部突起の長手方向端部及び後部突起の長手方向端部は、眼内レンズがプランジャによってインジェクタ先端部内に変位され、結果として折り畳まれるときに、光学体内に配置される。これにより前部突起及び後部突起が損傷する可能性が減る。したがって、眼内レンズを低エラー且つ再現可能な方法で眼球の嚢へ導入することができ、眼内レンズを低エラー且つ再現可能な方法で嚢内で展開することができる。
【0006】
前部変位機構は、好ましくは、前部突起の長手方向端部を格納状態において支え、前部突起の長手方向端部を前部軌道の方向において支持する支え壁と、前部突起が挿入方向に変位されるときに前部突起が第1の側壁に当接するように構成された第1の側壁とを有する。支え壁を変位する結果として、突起の長手方向端部を前部軌道に沿って変位することが可能である。前部突起が第1の側壁に当接することによって、光学体が変位されている間に挿入方向における前部突起の変位を遅らせることが可能であり、その結果、前部突起の長手方向端部は光学体に達することができる。
【0007】
前部変位機構は、好ましくは、挿入方向における光学体の変位の間に光学体が支え壁の遠く離れた側で前部突起の長手方向端部に達する地点まで、前部軌道に沿って支え壁を変位するように構成される。
【0008】
前部変位機構は、好ましくは、挿入方向における光学体の変位の間に前部突起の長手方向端部が光学体上に変位される地点まで、前部軌道に沿って前部突起の長手方向端部を変位するように構成される。
【0009】
前部変位機構は、好ましくは、前部軌道が実質的に円弧の形状を有するようにインジェクタ本体に回転可能に取り付けられたシャフトを有する回動装置を有する。前部軌道は実質的に円弧の形状を有する。それというのも、長手方向端部が回動装置の回転の間に回動装置に対してわずかに変位され得るという事実の結果として、円形の形状からの前部軌道のわずかな逸脱が生じ得るからである。回動装置は支え壁と第1の側壁を有することが特に好ましい。
【0010】
代替的に、前部変位機構は、好ましくは、前部軌道が実質的に直線状であるように長手方向に変位可能であるようにインジェクタ本体に取り付けられた機構スライダを有する。前部軌道は実質的に直線状である。それというのも、長手方向端部が機構スライダの変位の間に機構スライダに対してわずかに変位され得るという事実の結果として、直線形態からのわずかな逸脱が生じ得るからである。機構スライダは、特に好ましくは、光軸に平行に変位可能であり、その結果として、前部軌道は光軸に実質的に平行に向けられる。
【0011】
後部変位機構は好ましくはスライド面を有し、このスライド面に沿って、後部突起の長手方向端部は、プランジャが挿入方向に変位されるときにスライドするように構成され、スライド面は、後部軌道がプロセス中に光軸に平行な後部成分を有するように挿入方向と反対に傾斜を付けられる。ここで、後部成分は前部成分と同じ方向に向けられることが特に好ましい。結果として、前部突起の長手方向端部及び後部突起の長手方向端部は光学体の同じ側に変位する。
【0012】
プランジャは、好ましくは、光学体を変位するように構成されたラムと、後部変位機構の一部であり、後部突起の長手方向端部の領域において後部突起と接触し、その結果、後部突起を光学体上に変位するように構成された第1のスライダとを有する。第1のスライダを提供することにより、後部突起が後部突起の長手方向端部の領域において挿入方向と反対に曲がり、その結果、後部突起の長手方向端部は光学体上に変位できないという状況を回避することができる。結果として、インジェクタはエラーが特に少ない。
【0013】
インジェクタ本体は、好ましくは、内側の境界を定める側面を有し、側面に対して第1のスライダはプレストレスを与えられ、側面に沿って第1のスライダは、プランジャが挿入方向に変位されるときにスライドし、側面は、挿入方向と反対に傾斜を付けられ、それにより、プランジャが挿入方向にさらに変位されるとき、第1のスライダは後部突起の長手方向端部を光軸にさらに近づけるように変位する。これにより、第1のスライダは、プランジャが挿入方向にさらに変位されるときに後部突起の湾曲を増大する。
【0014】
ラムは、好ましくは、光学体に面するその端部にラム切欠きを有し、ラム切欠きは後部突起及び光学体を収容するように構成されている。これにより、眼内レンズがプランジャを通り過ぎてスライドすることを防止することができ、その結果として、プランジャは眼内レンズをインジェクタの外へ変位しない。
【0015】
ラムは、好ましくは、ラムの第1の歯を有し、ラムの第1の歯は、ラムの上昇フランクを有し、上昇フランク上で、後部突起は、プランジャが挿入方向に変位されているときにスライドするように構成される。上昇フランクは挿入方向と反対に傾斜を付けられ、それにより後部突起はラム切欠きの領域において光軸に平行に変位され、後部成分と同じ方向に変位される。その結果、上昇フランクは、後部突起の長手方向端部の光学体への変位を支援する。
【0016】
ラムは、好ましくは、ラムの第2の歯を有し、ラムの第2の歯はラム切欠きの上昇フランクの遠く離れた側でラム切欠きの境界を定める。
【0017】
プランジャは、好ましくは、スライダ装置を有し、スライダ装置は、第1のスライダと、スライダ装置に対して長手方向に変位可能であるようにラムが配置されるラム受け部とを有し、スライダ装置は第1の留め具に結合され、その結果として、第1の留め具はプランジャに結合される。スライダ装置はストッパを有し、ラムは、ラムが挿入方向と反対にスライダ装置に対して変位されるときにストッパに当接するように構成されたラム拡張部を有する。したがって、ストッパ及びラム拡張部は、挿入方向と反対のスライダ装置に対するラムの長手方向の変位を制限するように構成される。結果として、スライダ装置は、ラムに沿って移動し、その結果、ハンドルが変位されると、ラムを挿入方向に変位するように構成される。続いて、ラムは、ラムを開口部の方向に押す結果として、開口部の方向にさらに変位することができる。ラムはスライド装置に対して長手方向に変位可能であるように配置されているので、スライダ装置はプロセスの間静止したままであることができ、その結果として、スライダ装置をインジェクタ先端部に同様に変位することは不要である。
【0018】
スライダ装置は、好ましくは、留め具受け部を有し、第1の留め具をスライダ装置に結合するために、留め具受け部に第1の留め具は係合する。結果として、第1の留め具は、プランジャに解放可能に結合することができる。前部突起の長手方向端部及び後部突起の長手方向端部が光学体上に変位されると、第1の留め具は、留め具受け部から取り外されることによってプランジャから特に容易に切り離すことができる。
【0019】
前部突起及び/又は後部突起は好ましくはC字形又はJ字形である。
【0020】
インジェクタは格納状態において内側に配置された眼内レンズを有することが好ましい。
【0021】
本発明は、添付の概略図を参照して以下の本文においてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明によるインジェクタの第1の実施形態の第1の時点における平面図を示す。
図2図1の断面A-Aを示す。
図3図2の詳細を示す。
図4】第4の時点における図3を示す。
図5】本発明によるインジェクタの第2の実施形態の第1の時点における平面図を示す。
図6】第2の時点における図5を示す。
図7】第3の時点における図5を示す。
図8】第4の時点における図5を示す。
図9】第5の時点における図5を示す。
図10図5の断面B-Bを示す。
図11図8の断面C-Cを示す。
図12】インジェクタのハンドルの第1の実施形態を通る長手方向断面を示す。
図13】ハンドルの第2の実施形態を有するインジェクタの第3の実施形態を通る長手方向断面を示す。
図14】インジェクタのスライダ装置の斜視図を示す。
図15】インジェクタのラムの平面図を示す。
図16】インジェクタの第4の実施形態の一部の斜視図を示す。
図17】インジェクタの第5の実施形態の一部の斜視図を示す。
図18】インジェクタの第6の実施形態の一部の斜視図を示す。
図19】第6の実施形態を通る長手方向断面を示す。
図20】インジェクタの第7の実施形態の平面図を示す。
図21】インジェクタの第2のスライダの側面図を示す。
図22】インジェクタの第8の実施形態を通る長手方向断面を示す。
図23】第8の実施形態の斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1~11及び16~18から明らかなように、眼内レンズ2を眼球の嚢に挿入するためのインジェクタ1は、眼内レンズ2が収納状態で配置される内側7の境界を定めるインジェクタ本体6と、開口部20を有するインジェクタ先端部17と、開口部20に向かう挿入方向18のプランジャ19の長手方向の変位によって開口部20を経由して眼内レンズ2をインジェクタ1の外へ変位するように構成されたプランジャ19とを有する。眼内レンズ2は光学体3を有し、この光学体は光軸3aと、挿入方向18に関して後部突起5と、挿入方向18に関して前部突起4とを有する。さらに、インジェクタ1は後部変位機構100、130、160(図16~19参照)を有し、この後部変位機構は、後部突起5の光学体3遠位長手方向端部5aを、プランジャ19の変位によって後部軌道に沿って、光学体3上に変位するように構成されている。さらに、インジェクタ1は、前部変位機構21、31(図1~11参照)を有し、この前部変位機構は、前部突起4の光学体3遠位長手方向端部4aを、光軸3aに平行な前部成分を有する前部軌道に沿って変位するように構成されている。インジェクタ1は、ハンドル80、90、96(図12、13、22、及び23参照)を有し、このハンドルはインジェクタ1の外側から操作可能であるように構成されている。ハンドル80、90、96は、プランジャ19に結合され、ハンドル80、90、96の長手方向の変位によって挿入方向18にプランジャ19を連行するように構成された第1の留め具82、92、97と、前部変位機構21、31を連行するように構成された第2の留め具83、93とを有し、それにより、ハンドル80、90、96の長手方向の変位により、後部突起5の長手方向端部5aは光学体3上に変位可能であり、前部突起4の長手方向端部4aは、前部軌道に沿って変位可能であり、光学体3はプランジャ19によって挿入方向18に変位可能である。
【0024】
インジェクタ1は、格納状態で内側7に配置される眼内レンズ2を有することができる。
【0025】
前部軌道及び後部軌道は例えばインジェクタ本体6に対して延びることができる。
【0026】
図1及び5~9は、前部突起4及び後部突起5がC字形であり得ることを示す。前部突起4及び後部突起5は別の例ではJ字形であり得る。
【0027】
インジェクタ1は、第1のインジェクタ本体側壁12に留められ、内側7に突出する第1の保持突出部53a及び第2の保持突出部53bと、第2のインジェクタ本体側壁13に留められ、内側7に突出する第3の保持突出部53c及び第4の保持突出部53dとを有することが、特に図1及び5~9から明白である。格納状態にある光学体3は保持突出部53a、53b、53c、53dによってくさび留めされ得る。さらに、インジェクタ1は、第1の保持突出部53a及び第2の保持突出部53bを支持する第1の受け台51と、第3の保持突出部53c及び第4の保持突出部53dを支持する第2の受け台52とを有し得る。
【0028】
図1~11は、特に、インジェクタ本体6が第1のインジェクタ本体側壁12と第2のインジェクタ本体側壁13とを有し得、これら側壁は互いに遠く離れる内側7の側で内側7の境界を定め得ることを示す。この場合、格納状態において、前部突起4の長手方向端部4aは、第1のインジェクタ本体側壁12に面して配置され得、後部突起5の長手方向端部5aは、第2のインジェクタ本体側壁13に面して配置され得る(図1及び5~9参照)。さらに、前部突起4の長手方向端部4aは、第2のインジェクタ本体側壁13よりも第1のインジェクタ本体側壁12の近くに配置され得、後部突起5の長手方向端部5aは、第1のインジェクタ本体側壁12よりも第2のインジェクタ本体側壁13の近くに配置され得る。さらに、インジェクタ本体6は、インジェクタ本体ベース部14及び蓋15(図1及び18~20参照)を有し得、これらは互いに遠く離れる内側7の側で内側7の境界を定める。光軸3aはインジェクタ本体ベース部14に実質的に垂直に配置可能である。蓋ジョイント部16によって、蓋15は残りのインジェクタ本体6に対して回動可能に配置され得る。結果として、蓋15は、内側7にアクセスできる開状態(図1及び18参照)と、内側7にアクセスできず、蓋15が内側7の境界を定める閉状態(図19及び20参照)とを有し得る。
【0029】
図1~4及び13は、ハンドル80、90、96が挿入方向18に変位されると第2の留め具83、93が変位機構ストッパ30、95に当接するように構成された変位機構ストッパ30、95を前部変位機構21、31が有し得ることを示す。第2の留め具83、93は、ハンドル80、90、96のさらなる変位の場合に変位機構ストッパ30、95を変位し、その結果、前部変位機構21、31を連行するように構成される。
【0030】
図1~11は、前部変位機構21、31が、前部突起4の長手方向端部4aを格納状態において支え、前部軌道の方向において前部突起4の長手方向端部4aを支持する支え壁22、32と、前部突起4が挿入方向18に変位されると前部突起4が第1の側壁26、36に当接するように構成された第1の側壁26、36とを有し得ることを示す。さらに、前部変位機構21、31は、挿入方向18に対して垂直であり且つ光軸3aから離れる光軸3aに対して垂直である方向において、前部突起4の長手方向端部4aの変位を制限する第2の側壁27、37を有し得る。
【0031】
図1~4は、前部変位機構21が、例えば、前部軌道が実質的に円弧の形状を有するように、インジェクタ本体6に回転可能に取り付けられたシャフト23を有する回動装置29を有し得ることを示す。この場合、インジェクタ本体6、特に第1のインジェクタ本体側壁12は、シャフト23が例えば回転可能に取り付けられるインジェクタ本体切欠き28を有し得る。回動装置29は、支え壁22及び第1の側壁26及び特に第2の側壁27を有し得る。回動装置29は第1のアーム24を有し得、このアームはシャフト23に留められ、支え壁22及び第1の側壁26及び特に第2の側壁27を形成する。さらに、回動装置29は、第2のアーム25を有し得、このアームはシャフト23に留められ、変位機構ストッパ30を形成する。例として、第2のアーム25は、図1~4に示されるように、内側7に配置することができる。この場合、インジェクタ本体6は、スロットを有し得、これを介して、第2の留め具83はインジェクタ本体6の外側から内側7に延在する。代替的に、第2のアーム25がインジェクタ本体6の外側に配置されることも考えられる。
【0032】
図5~11は、前部軌道が実質的に直線状であるように長手方向に変位可能であるようにインジェクタ本体6に取り付けられた機構スライダ33を前部変位機構31が有し得ることを示す。機構スライダ33は、光軸3aに平行に長手方向に変位可能であり、その結果、前部軌道は光軸3aに平行に向けられる。機構スライダ33をインジェクタ本体6上で長手方向に変位可能に支えるために、インジェクタ本体6、特に第1のインジェクタ本体側壁12は、インジェクタ本体切欠き38を有し得、ここに機構スライダ33は配置される。例として、機構スライダ33はインジェクタ本体6の外側に延在可能であり、そこに接触面94を有し得、この接触面は変位機構ストッパ95によって形成され、ハンドル90が変位されると第2の留め具93はそれに当接する(図13参照)。図13は、接触面94が挿入方向18に対して傾斜した状態で配置され得ることをさらに示す。
【0033】
図5は機構スライダ33を有するインジェクタ1の第1の時点の平面図、図6は第2の時点の平面図、図7は第3の時点の平面図、図8は第4の時点の平面図、図9は第5の時点の平面図を示し、この順番に沿って時間が進んでいる。図10は、図5のインジェクタ1の第1の時点における長手方向断面図、図11は、図8のインジェクタ1の第4の時点における長手方向断面図を示す。図3図10の長手方向断面図に類似する長手方向断面図を示し、図4図11の長手方向断面図に類似する長手方向断面図を示し、それぞれ回動装置29を有するインジェクタ1の実施形態について示している。眼内レンズ2は、第1の時点では収納状態である。図2、3、及び10は、収納状態において、前部突起4及び後部突起5を、光軸3aに垂直な方向に実質的に真っ直ぐに配置できることを示す。特に、前部突起4及び後部突起5は、機械的な応力から実質的に解放されて配置されることができる。前部突起4及び後部突起5が機械的応力から実質的に自由である結果、眼内レンズ2の格納状態における格納期間が長い場合であっても、前部突起4及び後部突起5の塑性変形を回避することが可能である。
【0034】
第1の時点(図1~3、5及び10参照)を起点として、ハンドル80、90、96を変位することによってプランジャ19を挿入方向18に変位させることができる。プランジャ19は、最初、後部突起5の長手方向端部5aを光学体3上に変位する。これは図6の第2の時点において示される。光軸3aの方向において見ることができるように、後部突起5の長手方向端部5aは、光学体3の領域に配置される。第2の時点において、光学体3は、第1の時点と同じ位置に依然として配置されることができる(図5及び6参照)。
【0035】
ハンドル80、90、96のさらなる変位、及びそれによって引き起こされるプランジャ19の変位の結果として、光学体3は、光学体3上に配置された後部突起5の長手方向端部5aとともに挿入方向18に変位される。これは図7の第3の時点において示される。この場合、前部突起4は、前部突起4の長手方向端部4aの領域において第1の側壁36に当接することができ、その結果、前部突起4の変位は制限され、前部突起4の長手方向端部4aは光学体3に接近する。
【0036】
ハンドル80、90、96のさらなる変位の結果として、第2の留め具83は、前部変位機構21、31に沿って移動し、その結果、前部突起4の長手方向端部4aは前部軌道に沿って変位される。結果として、光軸に垂直な方向において見られるように前部突起4の湾曲は第4の時点において増大する(図4及び11参照)。前部変位機構21、31は、挿入方向18に光学体3が変位する間に前部突起4の長手方向端部4aが光学体3上に変位される地点まで、前部軌道に沿って前部突起4の長手方向端部4aを変位するように構成可能である(図4及び11は前部軌道の端部を示す)。このため、前部変位機構21、31は、挿入方向18における光学体3の後続の変位の間に光学体3が支え壁22、32の遠く離れた側で前部突起4の長手方向端部4aに達する地点まで、前部軌道に沿って支え壁22、32を変位するように構成可能である。その結果、第4の時点と第5の時点の間に、前部突起4の長手方向端部4aと光学体3が互いに離れる方を向く支え壁22、32の側に配置される時点が生じ得る。第5の時点である図9は、第4の時点を起点にして、光学体3がハンドル80、90、96の、ひいては光学体3のさらなる変位の結果として挿入方向18において第1の側壁36を越え、その結果、前部突起4の長手方向端部4aは光軸3aの方向において見ることができるように光学体3の領域に配置されることを示す。
【0037】
前部突起4の長手方向端部4aが変位し始める時点は、第2の留め具83と第1の留め具82の間の距離を変えることによって調整可能である。図4~9及び11は、前部突起4の長手方向端部4aが変位し始める時点が、光学体3が変位し始める時点の後であることを示す。しかしながら、前部突起4の長手方向端部4aが変位し始める時点が、光学体3が変位し始める時点と同時又はその前であることも同様に考えられる。
【0038】
図12、13、22、及び23は、ハンドル80、90、96がプランジャ19及び前部変位機構21、31を連行するために挿入方向18に変位されるように構成可能であることを示す。さらに、図12、13、22及び23は、ハンドル80、90、96がインジェクタ本体6の外側に配置された外部スリーブ81、91、99aを有し得ることを示す。例として、外部スリーブ81、91、99aは、挿入方向18に関して円周方向にインジェクタ本体6を完全に封入することができる。ハンドル80、90、96がキャップの形態であることも考えられる(図22及び23参照)。キャップによって、インジェクタ先端部17を格納状態において、特に汚染から保護することが可能である。キャップはキャップ側壁99b(図22及び23参照)を有し得、この側壁は外部スリーブ81、91、99aに固定され、外部スリーブ81、91、99aの内側の、外部スリーブ81、91、99aによって画定された穴を完全に覆う。この場合、キャップ側壁99bは、挿入方向18において開口部20から距離を取って配置される。
【0039】
図12、13、22、23から明らかなように、第1の留め具82、92、97は、外部スリーブ81、91、99aから内側に突出する突出部によって形成することができる。第1の留め具82、92、97はスロットを介して延在し得、このスロットを経由して第2の留め具83、93もインジェクタ本体6の外側から内側7に延在する。代替的に、インジェクタ本体6がさらなるスロット98(図22参照)を有し、それを介して第1の留め具82、92、97がインジェクタ本体6の外側から内側7に延在することも考えられる。第1の留め具82、92、97をプランジャ19に結合するために、プランジャ19は、第1の留め具82、92、97が係合する切欠きの形態の留め具受け部64(特に図22参照)を有し得、その結果、第1の留め具82、92、97はプランジャ19に解放可能に結合される。
【0040】
第2の留め具83、93は、外部スリーブ81、91、99aから内側に突出する突出部によって形成することができる。図12は、突出部が、この順序で互いにすぐに隣接する第1のフランク84、第2のフランク85、及び第3のフランク86を有し得ることを示す。第1のフランク84及び第3のフランク86は、挿入方向18に対して実質的に平行に配置され得、第2のフランク85は、挿入方向18に対して傾斜して配置され得、その結果、第2の留め具83を形成し得る。
【0041】
後部突起5の長手方向端部5aが光学体3上に変位され、前部突起4の長手方向端部4aが前部軌道に沿って変位され、光学体3がプランジャ19によって挿入方向18に変位されると、ハンドル80、90、96は、残りのインジェクタ1から分離されるように構成可能である。開口部20に向かう、また開口部20を経由してインジェクタ1から出る眼内レンズ2のさらなる変位は、プランジャ19のさらなる変位によって、例えば、プランジャ19が挿入方向18に押されることによって、実行可能である。このため、プランジャ19は、挿入方向18と反対にインジェクタ本体6の外側まで延在可能であり、手によってそこで押されるように構成可能である。代替的に、インジェクタ1が挿入方向18と反対にインジェクタ本体6の外側まで延在するさらなるプランジャを有することも考えられる。プランジャ19及びさらなるプランジャは、切り離された状態(プランジャ19及びさらなるプランジャは互いに対して長手方向に変位可能である)又は結合された状態(プランジャ19及びさらなるプランジャは挿入方向18において互いに固く結合される)のどちらかである。プランジャ19及びさらなるプランジャは、ハンドル80、90、96でプランジャ19を変位することによって、結合された状態にすることができる。結果として、インジェクタ1は、さらなるプランジャが提供されない場合と比較して、全体的により短い実施形態を有し得る。
【0042】
図16~18及び20から明らかなように、後部変位機構100、130、160は、スライド面117、147、177、207を有することができ、それに沿って後部突起5の長手方向端部5aは、プランジャ19が挿入方向18に変位されるとスライドするように構成され、スライド面は、後部軌道が光軸3aに平行な後部成分をそのプロセスにおいて有するように挿入方向18と反対に傾斜される。ここでは、後部成分は前部成分と同じ方向に向けられ得る。後部突起5の長手方向端部5aがスライド面117、147、177、207に沿ってスライドすることによって、光軸3aに垂直な方向において見ることができるように、後部突起5の湾曲は増大する。後部突起5の長手方向端部5aがスライド面117、147、177、207に沿って変位した後、後部突起5の長手方向端部5aは光学体3に達する(図6参照)。
【0043】
図1、5~9及び14~18は、プランジャ19が、光学体3を変位するように構成されたラム8と、後部変位機構100、130、160の一部であり且つ後部突起5の長手方向端部5aの領域において後部突起5と接触し、その後前記後部突起を光学体3上に変位するように構成された第1のスライダ10、61、101、131、161とを有することできることを示す。この場合、第1のスライダ10、61、101、131、161は、ラム8と第2のインジェクタ本体側壁13との間に、挿入方向18に垂直且つ光軸3aに垂直に向けられた横方向に配置されることができる。
【0044】
インジェクタ本体6は、内側7の境界を定める側面118、148、178、208を有することができ(図16~18及び20参照)、それに対して第1のスライダ10、61、101、131、161はプレストレスを与えられ、それに沿って第1のスライダ10、61、101、131、161はプランジャ19が挿入方向18に変位されるとスライドし、側面は挿入方向18と反対に傾斜を付けられ、それにより、プランジャ19が挿入方向18にさらに変位されると、第1のスライダ10、61、101、131、161は後部突起5の長手方向端部5aを光軸3aにさらに近づけるように変位する。側面118、148、178、208はスライド面117、147、177、207に直接隣接することができる。例として、側面148、178、208は、挿入方向18に垂直且つ光軸3aに垂直に向けられた横方向においてスライド面147、177、207の外側に配置されることができ(図17、18及び20参照)、又は、例として、側面118は横方向においてスライド面117の外側に配置することができる(図16参照)。プランジャ19はジョイント部(図示せず)、特にリビングヒンジを有し得、それによって第1のスライダ10、61、101、131、161は、残りのプランジャ19に回動可能に留められる。したがって、第1のスライダ10、61、101、131は、側面118、148、178、208に沿ってスライドするときに、特に容易に内側に変位されることができる。ジョイント部の回転軸は、例えば、光軸3aに実質的に平行であることができる。
【0045】
図16~18は、特に、ラム8が光学体3に面するその端部にラム切欠き9を有することができ、前記ラム切欠きは後部突起5及び光学体3を収容するように構成されることを示す。この状況において、ラム8はラム8の第1の歯105、135、165を有することができ、ラム8の第1の歯105、135、165は、ラム8の上昇フランク108、138、168を有し、その上を後部突起5は、プランジャ19が挿入方向18に変位されるときにスライドするように構成され、その上昇フランクは挿入方向18と反対に傾斜を付けられ、それにより後部突起5はラム切欠き9の領域において光軸3aに平行に変位され、後部成分と同じ方向に変位される。さらに、ラム8はラム8の第2の歯106、136、166を有することができ、ラム8の第2の歯106、136、166はラム切欠き9の上昇フランク108、138、168の遠く離れた側でラム切欠き9の境界を定める。
【0046】
第1のスライダ101、131は、第1のスライダ101、131のスライダ切欠き103、133を有することができる(図16及び17参照)。図16によれば、第1のスライダ101は、第1のスライダ101の第1の歯109と第1のスライダ101の第2の歯110とを有することができ、これらの歯は、光軸3aに平行な方向において互いに遠く離れた側で第1のスライダ101のスライダ切欠き103の境界を定める。第1のスライダ101の第1の歯109は、側面118に接触するように構成することができる(図16及び17参照)。さらに、第1のスライダ101の第1の歯109は、第1のスライダ101の上昇フランク112を有することができ、この上昇フランクに対して、プランジャ19が挿入方向18に変位されると後部突起5がスライドするように構成され、この上昇フランクは、挿入方向18と反対に傾斜を付けられ、それにより、後部突起5は第1のスライダ101のスライダ切欠き103の領域で光軸3aに平行に変位され、後部成分と同じ方向に変位される。図17によれば、第1のスライダ131は、第1のスライダ131の第1の歯139を有することができ、この歯は、挿入方向18に垂直且つ光軸3aに垂直に向けられた横方向において第1のスライダ131のスライダ切欠き133の境界を定める。
【0047】
図16~18は、プランジャ19が第2のスライダ102、132、162を有することができ、この第2のスライダは、挿入方向18に垂直且つ光軸3aに垂直に向けられた横方向においてラム8と第1のインジェクタ本体側壁12との間に配置されることを示す。第2のスライダ102、132、162は、第2のスライダ102、162の第1の歯113、143、173と、第2のスライダ102、162の第2の歯114、174とを有することができ、これらの歯は、光軸3aに平行な方向において互いに遠く離れた側で第2のスライダ102、162のスライダ切欠き104、134、164の境界を定める。第2のスライダ102、162の第1の歯113、143、173は、第2のスライダ102、162の上昇フランク116、146、176を有することができ、これに対して、後部突起5は、プランジャ19が挿入方向18に変位されるときにスライドするように構成され、この上昇フランクは挿入方向18と反対に傾斜を付けられ、それにより後部突起5は第2のスライダ102、162のスライダ切欠き104、134、164の領域において光軸3aに平行に変位され、後部成分と同じ方向に変位される。
【0048】
図21は、第2のスライダ222の実施形態を示す。第2のスライダ222は、第2のスライダ222の上昇面236と、光学体当接面241と、突起レスト面243と、第2のスライダ222の端面235とを有し、これらはこの順番に挿入方向18と反対に互いに隣接して配置される。後部突起5はプランジャ19が挿入方向18に変位されるときに第2のスライダ222の上昇面236に沿ってスライドするように構成され、前記上昇面は挿入方向18と反対に傾斜を付けられ、それにより後部突起5は第2のスライダ222の領域において光軸3aに平行に変位され、後部成分と同じ方向に変位される。光学体当接面241の法線は挿入方向18に実質的に平行に向けられ、光学体3の変位中に光学体3が当接するように提供される。第2のスライダ222の端面235の法線は、挿入方向18に実質的に平行に向けられ、光学体3の変位中に後部突起5が当接するように提供される。突起レスト面243は第2のスライダ222の端面235に実質的に垂直に配置される。
【0049】
図16~18は、ラム8がラム8の端面107、137、167を有することができ、この端面は挿入方向18においてラム切欠き9の境界を定めることを示す。第1のスライダ101、131、161は、第1のスライダ101、131、161の端面111、141、171を有することができ、この端面は挿入方向18において第1のスライダ101、131、161のスライダ切欠き103、133、163の境界を定める。第2のスライダ102、132、162は第2のスライダ102、162の端面115、145、175を有することができ、この端面は挿入方向18において第2のスライダ102、162のスライダ切欠き104、134、164の境界を定める。ラム8の端面107、137、167、第1のスライダ101、131、161の端面111、141、171、及び任意選択的に第2のスライダ102、162の端面115、145、175は、この場合、挿入方向18の異なる位置に配置することができる。挿入方向18における位置を選択することによって、後部突起5のどの領域がどのような順序で光学体3に対して変位されるかを設定することが可能である。
【0050】
図18及び19は、第1のスライダ161の実施形態を示し、ここで第1のスライダ161は光軸3aに平行な方向及び前部成分と同じ方向においてプレストレスを与えられている。その結果、第1のスライダ161は蓋15の閉状態において蓋15に対してプレストレスを与えられる。蓋15は、プランジャ19が挿入方向18に変位されるときに第1のスライダ161が蓋突出部181に沿ってスライドするように構成された蓋突出部181を有する。蓋突出部181は第1の突出部フランク182を有し、それに沿って第1のスライダ161はスライドし、このフランクは挿入方向18と反対に傾斜を付けられた状態で配置され、その結果、第1のスライダ161は光軸3aに平行且つ前部成分と反対の成分を有する方向に変位される。第1のスライダ161は、歯169を有し、この歯は後部突起5を収容するように構成されたスライダ切欠き163の境界を定める。蓋突出部181は、第3の突出部フランク184を有し、このフランクは挿入方向18において第1の突出部フランク182の前に配置され、挿入方向18と反対に傾斜を付けられた状態で配置され、その結果、第1のスライダ161は、光軸3aに平行な成分を有する方向及び前部成分と同じ方向に変位される。この場合、歯169は、後部突起5を、光軸3aに平行な成分を有する方向及び前部成分と同じ方向に変位するように構成される。さらに、蓋突出部181は、第2の突出部フランク183を有することができ、これは挿入方向18において第1の突出部フランク182と第3の突出部フランク184との間に配置される。さらに、第1のスライダ161は、スライダ突出部186を有することができ、これは蓋15の閉状態において蓋15に向かう方向に残りの第1のスライダ161から突出する。蓋15は心取りピン179及び心取り切欠き180の一方を有することができ、第1のインジェクタ本体側壁12又は第2のインジェクタ本体側壁13は心取りピン179及び心取り切欠き180の他方を有することができ、心取りピンは閉状態において心取り切欠きに係合する。結果として、蓋突出部181は、第1のスライダ161に対して非常に正確に配置されることができる。
【0051】
図20から明らかなように、蓋15は蓋ガイド209を有し得、これは挿入方向18において側面208の前に配置され、第1のスライダ101、131、161が蓋ガイド209に沿ってスライドするように構成される。蓋ガイド209を提供する結果として、後部突起5の長手方向端部5aは、蓋ガイド209が提供されない場合よりも光軸3aの近くに変位されることができる。
【0052】
図14は、プランジャ19がスライダ装置60を有することができ、スライダ装置60は、第1のスライダ61と、スライダ装置60に対して長手方向に変位可能であるようにラム8が配置されるラム受け部63とを有し得、スライダ装置60は第1の留め具82、92、97に結合され、結果として、第1の留め具82、92、97はプランジャ19に結合され、スライダ装置はまたストッパ65を有し、ラム8は、ラム8が挿入方向18と反対にスライダ装置60に対して変位されるときにストッパ65に当接するように構成されたラム拡張部66(図15参照)を有することを示す。スライダ装置60は留め具受け部64を有することができ、ここに第1の留め具82、92、97は第1の留め具82、92、97をスライダ装置60に結合するために係合し、その結果として、第1の留め具82、92、97はプランジャ19に解放可能に結合される。第1の留め具82、92、97が留め具受け部64から出ることによって、第1の留め具82、92、97はプランジャ19から切り離されることができる。このプロセスにおいて、ハンドル80、90、96が結果として残りのインジェクタ1から分離できることも考えられる。
【符号の説明】
【0053】
1 インジェクタ
2 眼内レンズ
3 光学体
3a 光軸
4 前部突起
4a 前部突起の長手方向端部
5 後部突起
5a 後部突起の長手方向端部
6 インジェクタ本体
7 内側
8 ラム
9 ラム切欠き
10 第1のスライダ
12 第1のインジェクタ本体側壁
13 第2のインジェクタ本体側壁
14 インジェクタ本体ベース部
15 蓋
16 蓋ジョイント部
17 インジェクタ先端部
18 挿入方向
19 プランジャ
20 開口部
21 前部変位機構
22 支え壁
23 シャフト
24 第1のアーム
25 第2のアーム
26 第1の側壁
27 第2の側壁
28 インジェクタ本体切欠き
29 回動装置
30 変位機構ストッパ
31 前部変位機構
32 支え壁
33 機構スライダ
36 第1の側壁
37 第2の側壁
38 インジェクタ本体切欠き
51 第1の受け台
52 第2の受け台
53a 第1の保持突出部
53b 第2の保持突出部
53c 第3の保持突出部
53d 第4の保持突出部
60 スライダ装置
61 第1のスライダ
62 第2のスライダ
63 ラム受け部
64 留め具受け部
65 ストッパ
66 ラム拡張部
80 ハンドル
81 外部スリーブ
82 第1の留め具
83 第2の留め具
84 第1のフランク
85 第2のフランク
86 第3のフランク
90 ハンドル
91 外部スリーブ
92 第1の留め具
93 第2の留め具
94 接触面
95 変位機構ストッパ
96 ハンドル
97 第2の留め具
98 スロット
100 後部変位機構
101 第1のスライダ
102 第2のスライダ
103 第1のスライダのスライダ切欠き
104 第2のスライダのスライダ切欠き
105 ラムの第1の歯
106 ラムの第2の歯
107 ラムの端面
108 ラムの上昇フランク
109 第1のスライダの第1の歯
110 第1のスライダの第2の歯
111 第1のスライダの端面
112 第1のスライダの上昇フランク
113 第2のスライダの第1の歯
114 第2のスライダの第2の歯
115 第2のスライダの端面
116 第2のスライダの上昇フランク
117 スライド面
118 側面
130 後部変位機構
131 第1のスライダ
132 第2のスライダ
133 第1のスライダのスライダ切欠き
134 第2のスライダのスライダ切欠き
135 ラムの第1の歯
136 ラムの第2の歯
137 ラムの端面
138 ラムの上昇フランク
139 第1のスライダの第1の歯
141 第1のスライダの端面
143 第2のスライダの第1の歯
145 第2のスライダの端面
146 第2のスライダの上昇フランク
147 スライド面
148 側面
160 後部変位機構
161 第1のスライダ
162 第2のスライダ
163 第1のスライダのスライダ切欠き
164 第2のスライダのスライダ切欠き
165 ラムの第1の歯
166 ラムの第2の歯
167 ラムの端面
168 ラムの上昇フランク
169 第1のスライダの歯
171 第1のスライダの端面
173 第2のスライダの第1の歯
174 第2のスライダの第2の歯
175 第2のスライダの端面
176 第2のスライダの上昇フランク
177 スライド面
178 側面
179 心取りピン
180 心取り切欠き
181 蓋突出部
182 第1の突出部フランク
183 第2の突出部フランク
184 第3の突出部フランク
186 スライダ突出部
207 スライド面
208 側面
209 蓋ガイド
222 第2のスライダ
235 第2のスライダの端面
236 第2のスライダの上昇面
241 光学体当接面
243 突起レスト面
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
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図20
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図23