(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】電源システム
(51)【国際特許分類】
H02P 9/04 20060101AFI20240202BHJP
H02J 9/08 20060101ALI20240202BHJP
【FI】
H02P9/04 K
H02J9/08
(21)【出願番号】P 2020038865
(22)【出願日】2020-03-06
【審査請求日】2023-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】邱 大偉
(72)【発明者】
【氏名】河崎 吉則
(72)【発明者】
【氏名】宇田 怜史
【審査官】保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-177666(JP,A)
【文献】特開2005-076507(JP,A)
【文献】特開2015-036623(JP,A)
【文献】特開2015-004656(JP,A)
【文献】特開2017-011874(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D43/00-45/00
G01F1/00-1/30
1/34-1/54
3/00-9/02
H02J3/00-5/00
9/00-13/00
H02P9/00-9/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電力系統から給電される負荷に接続された発電機を備えた需要家設備に配置される電源システムであって、
前記発電機から排出される排ガスの情報である排気情報を測定するセンサ部と、
前記センサ部により測定された前記排気情報に基づいて、前記発電機の
燃料消費量を算出し、該燃料消費量を燃料初期量から差し引くことで、燃料残量を算出する燃料残量算出部とを備え
、
前記燃料残量算出部は、前記発電機の稼働時間における前記排気情報のうち、前記排ガスの温度、気体成分濃度、又は排気粒子排出量の少なくとも1つを積算し、その積算値に稼働特性係数を乗じて前記燃料消費量を算出するものであり、
前記稼働特性係数は、前記燃料の種類、前記発電機の種類、又は前記発電機の稼働状態に対応する、電源システム。
【請求項2】
前記センサ部が、前記排ガスの温度、気体成分、気体成分濃度、排気粒子成分、又は排気粒子排出量の少なくとも1つを前記排気情報として測定する、請求項1記載の電源システム。
【請求項3】
前記燃料の種類、前記発電機の種類、又は前記発電機の稼働状態に応じて前記稼働特性係数を補正する補正部をさらに備える、請求項
1又は2に記載の電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、瞬低や停電や電力供給のピークなどに対応して安定的に電力を供給できる電源システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の電源システムとしては、瞬低や停電や電力供給のピークなどが生じた際に発電機からの電力を負荷に供給するように構成されたものがあり、特許文献1には、発電機の燃料残量を管理するべく、発電機の稼働時間に基づいて燃料消費量を算出し、さらに燃料残量を推定するものが記載されている。
【0003】
ところが、上述した構成であると、燃料管理を遠隔で行うことが難しく、また、需要家設備に既設されている発電機の燃料管理を行うためには、既設されている発電機の機種に合わせた様々なインターフェースが必要となり、製造コストが高くなってしまう。
【0004】
そこで、特許文献2には、発電機の機種に合わせたインターフェースを不要にするべく、発電機の燃料メータをカメラで撮像し、これにより得られた画像から燃料消費量を算出するものが記載されている。
【0005】
しかしながら、例えばピークカット動作時の無人運転において、燃料切れなどを回避するべく、燃料残量を常時管理しようとすると、上述したカメラを利用した構成では、例えば夜間や雨天などでは燃料メータを照らすための照明が必要となり、結局のところコストの増大を招来する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-11874号公報
【文献】特開2019-187026号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決すべくなされたものであり、需要家設備に既設された発電機の機種に関わらず、しかもコストの増大を抑えつつ、発電機の燃料残量を常時管理できるようにすることをその主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に係る電源システムは、商用電力系統から給電される負荷に接続された発電機を備えた需要家設備に配置される電源システムであって、前記発電機から排出される排ガスの情報である排気情報を測定するセンサ部と、前記センサ部により測定された前記排気情報に基づいて、前記発電機の燃料残量を算出する燃料残量算出部とを備えることを特徴とするものである。
【0009】
このような電源システムであれば、発電機から排出される排ガスの排気情報に基づいて燃料残量を算出するので、既設された発電機にセンサ部さえ後付けすれば、夜間や雨天などにおいても燃料残量を算出することができる。その結果、需要家設備に既設された発電機の機種に関わらず、しかもコストの増大を抑えつつ、発電機の燃料残量を常時管理できるようになる。
【0010】
燃料残量を算出するための具体的な実施態様としては、前記センサ部が、前記排ガスの温度、気体成分、気体成分濃度、排気粒子成分、又は排気粒子排出量の少なくとも1つを前記排気情報として測定するものを挙げることができる。
【0011】
前記燃料残量算出部としては、前記排気情報に基づいて、前記発電機の燃料消費量を算出し、該燃料消費量を燃料初期量から差し引くことで、前記燃料残量を算出する態様を挙げることができる。
これならば、ユーザは燃料残量をより正確に知ることができる。これにより、例えば燃料残量に応じて適切なタイミングで燃料補給することによって燃料切れを防止することができたり、燃料の供給が滞る場合には、需要家設備の負荷における消費電力を調整することによって発電機の稼働時間を長くすることができたりする。
【0012】
前記燃料残量算出部が、前記発電機の稼働時間における前記排気情報を積算し、その積算値に所定の稼働特性係数を乗じて前記燃料消費量を算出する態様を挙げることができる。
これらならば、例えば既設の発電機の種類や燃料などに応じて定めた稼働特性係数を用いることで、種々の発電機に対して柔軟に対応することができる。
【0013】
燃料消費量や燃料残量より正確に算出するためには、前記燃料の種類、前記発電機の種類、又は前記発電機の稼働状態に応じて前記稼働特性係数を補正する補正部をさらに備えることが好ましい。
このような構成であれば、燃料の種類、発電機の種類、又は発電機の稼働状態の違いを加味して燃料消費量や燃料残量を算出することができ、算出精度の向上を図れる。
【発明の効果】
【0014】
このように構成した本発明によれば、需要家設備に既設された発電機の機種に関わらず、しかもコストの増大を抑えつつ、発電機の燃料残量を常時管理できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施形態の電源システムの構成を示す模式図である。
【
図2】同実施形態の電源システムの電圧補償動作を示す模式図である。
【
図3】同実施形態の電源システムのピークカット動作を示す模式図である。
【
図4】同実施形態のセンサ部の使用状態の一例を示す模式図である。
【
図5】発電機の稼働状態の違いによる排気流成分の比率の変化を示すグラフである。
【
図6】同実施形態の制御装置の動作を示すフローチャートである。
【
図7】同実施形態の制御装置の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る電源システムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
本実施形態の電源システム100は、
図1に示すように、商用電力系統200から給電される負荷301と当該負荷301に給電する発電機302とを有する需要家設備300に配置されるものである。そして、この電源システム100は、需要家設備300に既設の発電機302とともに商用電力系統10の電圧異常を補償する電圧補償動作と、商用電力系統200に対する需要家設備300の消費電力を抑制するピークカット動作とを行うものである。
【0018】
なお、本明細書における発電機302とは、例えば補給可能な燃料タンク等に収容された液体、気体、或いは固体の燃料を燃焼させて発電するものである。かかる発電機302としては、例えばディーゼルエンジンなどを原動機として用いられたものを挙げることができ、この実施形態では、商用電力系統200の瞬低や停電時に用いられる非常用発電装置を構成するものである。
【0019】
<基本構成>
具体的に電源システム100は、例えば蓄電池等の蓄電装置2と、蓄電装置2の直流電力を交流電力に変換して負荷301に供給する例えば双方向型の電力変換装置3と、発電機302及び電力変換装置3を制御して電圧補償動作及びピークカット動作を行わせる制御装置4とを備えている。
【0020】
以下に制御装置4の基本機能とともに電源システム100の動作について、
図2及び
図3を参照しながら説明する。
【0021】
<電圧補償動作:
図2参照>
商用電力系統10側の系統電圧が整定値以下となった場合に、制御装置4の動作制御部41は、電力変換装置3を起動して蓄電装置2の直流電力を交流電力に変換して負荷301に供給する。
【0022】
また、動作制御部41は、発電機302を起動させて、発電機302の出力電圧が安定した場合に、蓄電装置2に代えて発電機302からの交流電力を負荷301に供給する。この切り替えの前において動作制御部41は、電力変換装置3を制御して、電力変換装置3から出力される交流電力を発電機302から出力される交流電力と同期させる。
【0023】
蓄電装置2から発電機302に切り替えた後、動作制御部41は、電力変換装置3を制御して発電機302からの交流電力を直流電力に変換して蓄電装置2に充電する。
【0024】
商用電力系統側の系統電圧が正常に戻った場合、動作制御部41は、電力変換装置3を制御して蓄電装置2の直流電力を交流電力に変換して負荷301に供給する。この時、発電機302は無負荷運転となる。
【0025】
そして、動作制御部41は、電力変換装置3を制御して、電力変換装置3から出力される交流電力を商用電力系統200からの交流電力と同期させる。
【0026】
その後、動作制御部41は、発電機302を停止させるとともに電力変換装置3を停止させる。これにより、負荷301には商用電力系統200から交流電力が供給される。
【0027】
<ピークカット動作:
図3参照>
電力需要のピーク時間帯に、制御装置4の動作制御部41は、電力変換装置3を起動して蓄電装置2の直流電力を交流電力に変換して負荷301に供給する。
【0028】
また、動作制御部41は、発電機302を起動させて、発電機302の出力電圧が安定した場合に、蓄電装置2に代えて発電機302からの交流電力を負荷301に供給する。この切り替えの前において動作制御部41は、電力変換装置3を制御して、電力変換装置3から出力される交流電力を発電機302から出力される交流電力と同期させる。
【0029】
蓄電装置2から発電機302に切り替えた後、動作制御部41は、電力変換装置3を制御して発電機302からの交流電力を直流電力に変換して蓄電装置2に充電する。
【0030】
ピークカット時間帯を経過した等のピークカットが不要となった場合に、動作制御部41は、電力変換装置3を制御して蓄電装置2の直流電力を交流電力に変換して負荷301に供給する。この時、発電機302は無負荷運転となる。
【0031】
そして、動作制御部41は、電力変換装置3を制御して、電力変換装置3から出力される交流電力を商用電力系統200からの交流電力と同期させる。
【0032】
その後、動作制御部41は、発電機302を停止させるとともに電力変換装置3を停止させる。これにより、負荷301には商用電力系統200から交流電力が供給される。
【0033】
<発電機302の燃料残量検出>
そして、本実施形態の電源システム100は、
図1及び
図4に示すように、発電機から排出される排ガスの情報である排気情報を測定するセンサ部5と、その排気情報に基づいて発電機の燃料残量を算出する燃料残量算出部42とをさらに備えている。なお、ここでの燃料残量算出部42は、制御装置4によりその機能が発揮されるものであるが、制御装置4とは別のコンピュータ等により発揮されるものであっても良い。また、制御装置4としては、発電機302の出力電圧や発電機302の出力電流を用いて発電機302の状態分析を行う装置分析部(不図示)としての機能をさらに備えていても良い。
【0034】
センサ部5は、
図4に示すように、例えば発電機302を構成する原動機Xの排気口X1から直接或いは配管部材等を介して排ガスが導かれるものである。
【0035】
このセンサ部5は、排ガスの温度測定、排ガスに含まれる気体成分の定性分析や気体成分の濃度等の定量分析、或いは、排ガスに含まれる排気粒子成分の定性分析や排気粒子排出量(質量や個数)等の定量分析をするものである。なお、センサ部5としては、これらの種々の分析のうちの複数を行うものを用いても良いし、複数種類のセンサ部5を設けて種々の分析を行うようにしても良い。これにより、センサ部5は、排ガスの温度、気体成分、気体成分濃度、排気粒子成分、又は排気粒子排出量の少なくとも1つを排気情報として測定する。
【0036】
燃料残量算出部42は、センサ部5により測定された排気情報を取得するとともに、該排気情報に基づいて発電機302の燃料消費量や燃料残量などを算出するものである。
【0037】
以下では、燃料残量算出部42の一例として、例えばベンゾピレン(BaP)や一酸化窒素(NO)などの排気粒子の排出量に基づいて燃料消費量や燃料材料を算出するものについて説明する。
【0038】
この燃料残量算出部42は、例えば制御装置のメモリに記憶された所定の算出式やルックアップテーブル等を用いて燃料消費量などを算出するように構成されており、この実施形態では下記の式(1)を用いるものである。すなわち、本実施形態の燃料残量算出部42は、排気粒子の排出量Gnoを原動機の稼働時間tで積分し、その積算値に所定の稼働特性係数Sを掛け合わせることで、燃料消費量Qcを算出するように構成されている。
Qc=S×∫Gno・dt・・・(1)
【0039】
ここで、
図5に示すように、発電機302の稼働状態、すなわち原動機Xの稼働状態に応じて排気粒子(例えばBaP及びNO)の成分比率が変動する。そこで、本実施形態では、
図1及び
図4に示すように、上述した稼働特性係数Sを、発電機302に関するパラメータを用いて補正する補正部43としての機能をさらに制御装置4に備えさせている。
【0040】
発電機302に関するパラメータとしては、例えば原動機Xの稼働状態を挙げることができる。具体的には、原動機Xの稼働状態が「起動」、「軽負荷運転」、「重負荷運転」、及び「停止」の4つの稼働状態に区別される場合、補正部43は、原動機Xの稼働状態を示す稼働状態信号(例えば発電機302からの出力電圧や出力電流など)を取得するとともに、それぞれの稼働状態に応じて上述した式(1)の稼働特性係数を補正する。補正後の稼働特性係数(以下、S起動、S軽負荷、S重負荷、S停止とする)は互いに異なる値であり、例えば、補正前の稼働特性係数Sにそれぞれの稼働状態に応じた所定の補正値を四則演算等して求められるものである。
【0041】
これにより、本実施形態の燃料残量算出部42は、上述したように区別された稼働状態それぞれに応じて補正された補正後の稼働特性係数S起動、S軽負荷、S重負荷、S停止を用いて、下記の式(2)により燃料消費量Qcを算出する。すなわち、燃料残量算出部42は、排気粒子の排出量Gnoを稼働状態毎に稼働時間tで積分し、その積算値に補正後の稼働特性係数S起動、S軽負荷、S重負荷、S停止を掛け合わせ、それらを各稼働状態に亘って合算したものを燃料消費量Qcとして算出する。
Qc=S起動×∫起動Gno・dt+S軽負荷×∫軽負荷Gno・dt+S重負荷×∫重負荷Gno・dt+S停止×∫停止Gno・dt・・・(2)
なお、稼働状態は必ずしも4つに区別される必要はなく、より多い又はより少ない稼働状態に区別して、それぞれの稼働状態に応じて稼働特性係数を補正しても良い。
【0042】
そして、燃料残量算出部42は、下記の式(3)を用いて、燃料初期量Qsから上述した燃料消費量Qcを差し引くことで、燃料残量Qeを算出する。
Qe=Qs-Qc・・・(3)
【0043】
このように構成された制御装置4のより具体的な動作について、
図6のフローチャートを参照しながら説明する。
【0044】
まず、制御装置4は、本電源システム100が所定の稼働条件を満たすか否か、すなわち上述した電圧補償動作或いはピークカット動作を開始するか否か判断する(S1)。
【0045】
所定の稼働条件を満たし、電圧補償動作或いはピークカット動作を開始する場合、動作制御部41は、電力変換装置3を介して、蓄電装置2を動作させて、電力を負荷301に出力する(S2)。
【0046】
その後、制御装置4は、発電機302の状態を分析して発電機302が正常であるか否かを判断し(S3)、正常であると判断した場合、発電機302を起動させて、蓄電装置2に代わって発電機302から電力を負荷301に供給する(S4)。なお、発電機302が正常であるか否かの判断としては、例えば発電機302からの出力電圧と出力電流との一方又は両方に基づいて判断する態様を挙げることができる。
【0047】
そして、発電機302が稼働すると、発電機302からの排ガスがセンサ部5に導かれ、センサ部5は、上述したように種々の排気情報の1又は複数を例えばリアルタイムに測定する(S5)。
【0048】
センサ部5により測定された排気情報は、
図7に示すように、例えば発電機の出力電圧や出力電流とともに、制御装置4の入力インターフェースを介して、該制御装置4に入力される。なお、この実施形態の制御装置4は、入力された出力電圧、出力電流、排気情報の1又は複数を用いて原動機Xの状態(例えば正常か異常かなど)を識別するようにしてある(S6)。
【0049】
次いで、センサ部5から入力された排気情報に基づき、燃料残量算出部42が、燃料消費量を算出し、燃料の初期量から燃料消費量を差し引くことで燃料残量を例えばリアルタイムに算出する(S7)。なお、燃料消費量の算出方法の一例は上述した通りであり、ここでは詳細な説明を省略する。また、この実施形態の制御装置4は、
図7に示すように、燃料残量算出部42が算出した燃料消費量や燃料残量を記憶部44に記憶するとともに、これらの情報に基づく種々の制御信号を出力インターフェースを介して出力する。
【0050】
燃料残量算出部42は、燃料残量を算出した後、その燃料残量と所定の補充喚起値とを比較する(S8)。そして、燃料残量が補充喚起値を下回った場合には、そのことを示す報知信号を生成して、例えば携帯端末やラップトップなどのユーザ端末6に送信する(S9)。報知信号を取得したユーザ端末6は、警告メッセージや警告音を発する。これにより、ユーザは、燃料を補充するタイミングであることを知ることができる。
【0051】
本実施形態の燃料残量算出部42は、上述したS9における報知後に、算出した燃料残量と、上述した補充喚起値よりも低量の警戒値とを比較する(S10)。
【0052】
S10において、燃料残量が警戒値以上であると判断した場合、商用電力系統200が正常状態に戻ったか否か、言い換えれば所定の回復条件を満たすか否かを判断する(S11)。
【0053】
S11において、商用電力系統200が正常状態に戻っていないと判断した場合、引き続き発電機302を稼働した状態を維持しながらS5~S11までの動作を繰り返す。
【0054】
一方、S11において、商用電力系統200が正常状態に戻ったと判断し場合、制御装置4は、発電機302を停止し(S12)、蓄電装置2を停止する(S13)。
【0055】
また、S10において、燃料残量が警戒値を以上にない場合、すなわち燃料残量が警戒値を下回っている場合には、本電源システム100がピークカット動作を行っているか否かを判断する(S14)。
【0056】
S14において、ピークカット動作が行われていると判断した場合、制御装置4は、発電機302を停止して(S12)、蓄電装置2を停止する(S13)。
【0057】
一方、S14において、ピークカット動作を行っていない場合、すなわち電圧補償動作を行っている場合は、S11における判断、すなわち商用電力系統200が正常状態に戻ったか否かを判断する。
【0058】
<本実施形態の効果>
このように構成した本実施形態の電源システム100によれば、発電機302から排出される排ガスの排気情報に基づいて燃料残量を算出するので、例えば既設された発電機302にセンサ部5さえ後付けすれば、夜間や雨天などにおいても燃料残量を算出することができ、様々な現場において資するものとなる。これにより、需要家設備300に既設された発電機302の機種に関わらず、しかもコストの増大を抑えつつ、発電機302の燃料残量を常時管理できるようになる。
【0059】
さらに、センサ部5が排気情報をリアルタイムに測定するので、燃料残量をリアルタイムに算出することができ、これにより得られた燃料残量等の情報を例えばデジタル化して記録することで、多様な現場に適応することができ、費用の低減を図れる。しかも、このようにデジタル化して記録しておくことで、例えば発電機302の稼働状態も記録しておけば、イベント発生時の情報を事後解析することができ、イベントの発生原因等を究明することができる。
【0060】
そのうえ、制御装置4又はユーザ端末6としては、燃料残量算出部42により算出された燃料残量の例えば時系列データなどに基づいて、発電機302の運営・点検計画を作成し、ユーザに提案しても良い。これにより、安定性と稼働時間の向上を実現できる。具体的ンには、発電機302の状態に応じたスムーズな点検を行うことにより、発電機302の故障を防止し、信頼性の向上を図れる。
【0061】
また、燃料残量算出部42が、稼働特性係数を用いて燃料残量を算出するので、ユーザは燃料残量をより正確に知ることができる。これにより、例えば燃料残量に応じて適切なタイミングで燃料補給することによって燃料切れを防止することができたり、燃料の供給が滞る場合には、需要家設備300の負荷における消費電力を調整することによって発電機302の稼働時間を長くすることができたりする。
【0062】
加えて、補正部43が例えば原動機Xの稼働状態に応じて稼働特性係数を補正するので、例えば稼働状態の違いによる排気粒子の成分比率などを加味して燃料消費量を算出することができ、ひいては燃料残量をより正確に算出することができる。
【0063】
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0064】
例えば、補正部43としては、発電機302の種類及び/又は燃料の種類などに基づいて稼働特性係数Sを補正するものであっても良い。
さらには、補正部43は、発電機に関わるパラメータとは別の周囲環境に係るパラメータに基づいて稼働特性係数Sを補正しても良い。このような周囲環境パラメータとしては、気温、季節、空気の状態などを挙げることができる。
【0065】
また、前記実施形態では、補正部43が稼働特性係数を補正していたが、例えば発電機302の稼働状態、発電機302の種類、又は燃料の種類などに応じた所定の稼働特性係数をメモリに予め記憶させておいても良い。
このようにすれば、燃料残量算出部42は、発電機302の稼働状態、発電機の種類、又は燃料の種類を示す信号を受け付け、それらに対応する稼働特性係数をメモリから取得して、その稼働特性係数を用いて燃料消費量や燃料残量を算出しても良い。この場合、稼働特性係数を補正する補正部43としての機能を不要にすることができる。
【0066】
さらに、前記実施形態の燃料残量算出部42が、排気粒子の排出量に基づいて燃料消費量や燃料残量を算出するように構成されていたが、排ガスの温度、気体成分、気体成分濃度、又は排気粒子成分の1又は複数に基づいて燃料消費量や燃料残量を算出するように構成されていても良い。
【0067】
センサ部5に導かれる排ガスは、例えば空気などの希釈ガスにより希釈された状態で導かれても良い。
【0068】
また、燃料残量算出部42は、例えばセンサ部5の位置、具体的には原動機Xの排気口X1に対する相対的な位置などに基づいて、算出された燃料消費量や燃料残量を補正するように構成されていても良い。
さらに、燃料残量算出部42は、発電機の出力電圧や出力電流、或いは、発電機の稼働時間や寿命などに基づいて、算出された燃料消費量や燃料残量を補正するように構成されていても良い。
【0069】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0070】
100・・・電源システム
200・・・商用電力系統
300・・・需要家設備
301・・・負荷
302・・・発電機
X ・・・原動機
X1 ・・・排気口
2 ・・・蓄電装置
3 ・・・電力変換装置
4 ・・・制御装置
41 ・・・動作制御部
42 ・・・燃料残量算出部
43 ・・・補正部
5 ・・・センサ部