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  • 特許-多軸モータ駆動装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】多軸モータ駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 5/52 20160101AFI20240202BHJP
【FI】
H02P5/52 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020548089
(86)(22)【出願日】2019-08-06
(86)【国際出願番号】 JP2019030796
(87)【国際公開番号】W WO2020066302
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】P 2018180285
(32)【優先日】2018-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健一
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-038662(JP,A)
【文献】特開2000-218487(JP,A)
【文献】特開昭63-295191(JP,A)
【文献】特開2005-059171(JP,A)
【文献】特開平08-336782(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 5/00-5/753
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工機に搭載され、測定ヘッドの位置を制御する複数軸のモータを制御する多軸モータ駆動装置であって、
測定開始位置から測定終了位置までの位置指令を生成する位置指令生成器と、
前記位置指令の軌跡と垂直な方向の力指令を生成する力指令生成器と、
前記位置指令と前記力指令と前記複数軸のモータの位置とを入力として前記複数軸のモータへの電流指令を生成する電流指令生成部と、
前記電流指令に基づき前記複数軸のモータを制御するモータ制御部と、
前記測定開始位置から前記測定終了位置までの前記複数軸のモータの位置を記憶するモータ位置記憶部とを備え、
前記測定ヘッドは、加工時に加工ヘッドに差し替えられ
前記位置指令生成器は、前記位置指令と、外部からの加工用位置指令との一方を選択的に出力する位置指令切替器を備え、
前記位置指令切替器は、測定時には前記位置指令を出力し、前記加工時に前記加工用位置指令を出力する
多軸モータ駆動装置。
【請求項2】
前記電流指令生成部は、
前記位置指令と前記力指令と前記複数軸のモータの位置とを入力として前記複数軸のモータの前記電流指令を生成するハイブリッド制御器を含む
請求項1記載の多軸モータ駆動装置。
【請求項3】
前記電流指令生成部は、
前記位置指令に基づき前記複数軸のモータに含まれる第1モータの位置制御を行う位置制御器と、
前記力指令に基づき、前記複数軸のモータに含まれる前記第1モータと異なる第2モータの力制御を行う力制御器とを含む
請求項1記載の多軸モータ駆動装置。
【請求項4】
前記多軸モータ駆動装置は、さらに、
前記複数軸のモータの位置から測定指標を生成する測定指標計算器を備える
請求項1~3のいずれか1項に記載の多軸モータ駆動装置。
【請求項5】
前記測定指標は、象限突起量又は表面粗さを示す
請求項4記載の多軸モータ駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数軸のモータを駆動する多軸モータ駆動装置による形状測定機能に関する。
【背景技術】
【0002】
高精度な加工を行うにあたって、測定は欠くべからざる技術である。しかし測定精度は加工精度より高くする必要があるため測定精度を向上させるためにはコストがかかる。また測定そのものは目に見えるものを作り出さないため測定の価値がわかりにくい。これらの理由で、測定精度の向上には投資が進みにくい傾向がある。これは特に発展途上の加工機メーカにおいて顕著である。例えば、加工装置の高剛性化及び高精度化には努力するが、加工結果の評価についてはいまだ目視という極端な例もある。これは、本当の加工精度を必要とする用途への参入がまだ少ないためもあるが、今後の歩留まり向上及び信頼性確保のため、測定への投資も増えていくものと思われる。
【0003】
これらの加工と測定を融合させる従来の技術として、加工精度測定器を追加した加工機がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
前記従来の構成は、複数のサーボモータを有する加工機に、被加工物の表面に低接触力で接触する測定子と、前記測定子の位置を測定する位置検出器とを備える形状測定器を、追加で搭載しており、加工後にエアシリンダで被加工物を測定子で倣って形状測定するものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-337148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この従来の構成では、通常は別装置である形状測定器の一部を加工機に搭載しており、測定子及びエアシリンダの追加などが加工機のコストアップになる。また加工機のコントローラにも形状測定機能を追加する必要があり、コントローラ開発への負担が大きかった。
【0007】
本開示は、前記従来の課題を解決するために、加工機としての追加コストを抑えつつ、形状測定機能を実現することができる多軸モータ駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る多軸モータ駆動装置は、加工機に搭載され、測定ヘッドの位置を制御する複数軸のモータを制御する多軸モータ駆動装置であって、測定開始位置から測定終了位置までの位置指令を生成する位置指令生成器と、前記位置指令の軌跡と垂直な方向の力指令を生成する力指令生成器と、前記位置指令と前記力指令と前記複数軸のモータの位置とを入力として前記複数軸のモータへの電流指令を生成する電流指令生成部と、前記電流指令に基づき前記複数軸のモータを制御するモータ制御部と、前記測定開始位置から前記測定終了位置までの前記複数軸のモータの位置を記憶するモータ位置記憶部とを備え、前記測定ヘッドは、加工時に加工ヘッドに差し替えられ、前記位置指令生成器は、前記位置指令と、外部からの加工用位置指令との一方を選択的に出力する位置指令切替器を備え、前記位置指令切替器は、測定時には前記位置指令を出力し、前記加工時に前記加工用位置指令を出力する
【発明の効果】
【0009】
本開示は、加工機としての付加コストを抑えつつ形状測定機能を実現できる多軸モータ制御装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施の形態1に係る多軸モータ駆動装置の制御ブロック図である。
図2図2は、実施の形態2に係る多軸モータ駆動装置の制御ブロック図である。
図3図3は、実施の形態3に係る多軸モータ駆動装置の制御ブロック図である。
図4図4は、実施の形態4に係る多軸モータ駆動装置の制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の一態様に係る多軸モータ駆動装置は、複数軸のモータを制御する多軸モータ駆動装置であって、測定開始位置から測定終了位置までの位置指令を生成する位置指令生成器と、前記位置指令の軌跡と垂直な方向の力指令を生成する力指令生成器と、前記位置指令と前記力指令と前記複数軸のモータの位置とを入力として前記複数軸のモータへの電流指令を生成する電流指令生成部と、前記電流指令に基づき前記複数軸のモータを制御するモータ制御部と、前記測定開始位置から前記測定終了位置までの前記複数軸のモータの位置を記憶するモータ位置記憶部とを備える。これにより、加工機としてのコストアップを低減しつつ、モータ位置記憶部から測定対象の形状情報を得ることが可能となる。よって、当該多軸モータ駆動装置は、加工機としての付加コストを抑えつつ形状測定機能を実現できる。
【0012】
例えば、前記電流指令生成部は、前記位置指令と前記力指令と前記複数軸のモータの位置とを入力として前記複数軸のモータの前記電流指令を生成するハイブリッド制御器を含んでもよい。これにより、ハイブリッド制御器を用いることで測定精度を向上できる。
【0013】
例えば、前記電流指令生成部は、前記位置指令に基づき前記複数軸のモータに含まれる第1モータの位置制御を行う位置制御器と、前記力指令に基づき、前記複数軸のモータに含まれる前記第1モータと異なる第2モータの力制御を行う力制御器とを含んでもよい。これにより、より簡単な制御構成で測定対象の形状測定が可能となる。
【0014】
例えば、前記多軸モータ駆動装置は、さらに、前記複数軸のモータの位置から測定指標を生成する測定指標計算器を備えてもよい。例えば、前記測定指標は、象限突起量又は表面粗さを示してもよい。これにより、多軸モータ駆動装置の記憶容量を削減しつつ、外部とのインターフェースを簡素化し、外部での測定指標管理を容易にできる。
【0015】
例えば、前記位置指令生成器は、前記位置指令と、外部からの加工用位置指令との一方を選択的に出力する位置指令切替器を備えてもよい。これにより、加工用の動作と形状測定用の動作を切り替えることができる。
【0016】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態に係る多軸モータ駆動装置1の制御ブロック図である。多軸モータ駆動装置1は、複数軸のモータを制御する。ここでは、多軸モータ駆動装置1は、A軸モータ2AとB軸モータ2Bとの2つのモータを制御する。
【0018】
A軸モータ2AにはA軸位置検出器3Aが接続されており、B軸モータ2BにはB軸位置検出器3Bが接続されている。A軸位置検出器3Aは、A軸モータ2Aのモータ位置であるA軸モータ位置31Aを検出し、検出したA軸モータ位置31Aを多軸モータ駆動装置1にフィードバックする。B軸位置検出器3Bは、B軸モータ2Bのモータ位置であるB軸モータ位置31Bを検出し、検出したB軸モータ位置31Bを多軸モータ駆動装置1にフィードバックする。
【0019】
A軸モータ2Aは、Y軸ボールねじ41を駆動し、B軸モータ2BはX軸ボールねじ42を駆動する。2軸のボールねじにより、測定ヘッド43をXY座標上の自由な位置に動かすことができる。
【0020】
多軸モータ駆動装置1は、力指令生成器11と、位置指令生成器12と、電流指令生成部13と、モータ制御部14と、モータ位置記憶部15とを備える。
【0021】
この機構を用いて、測定対象5の形状測定する場合の動作について説明する。まず、位置指令生成器12は、測定開始位置から測定終了位置までの位置指令121を生成する。具体的には、測定対象5の近傍を測定ヘッド43が動作するように、測定対象5から測定ヘッド43の半径分だけ外側を通るような位置指令軌跡6が実現される位置指令121が生成される。例えば、位置指令121はXY座標上の連続した値で表現される。この位置指令軌跡6に従い測定ヘッド43は測定対象5に沿った軌跡を描く。このとき、形状測定のためには確実に測定ヘッド43を測定対象5に押し付ける必要がある。
【0022】
この測定対象に加えられる加圧力7を制御するため、力指令生成器11は、位置指令の軌跡と垂直な方向の力指令111を生成する。通常、力指令111の値は一定値でよいが、力指令111の値は測定対象又は測定ヘッドの剛性に応じて調整可能である。
【0023】
電流指令生成部13は、位置指令121と、力指令111と、複数軸のモータの位置であるA軸モータ位置31A及びB軸モータ位置31Bとを入力として複数軸のモータへの電流指令であるA軸電流指令131AとB軸電流指令131Bとを生成する。この電流指令生成部13は、ハイブリッド制御器13aを含む。
【0024】
ハイブリッド制御器13aには、力指令111と位置指令121、及びA軸モータ位置31AとB軸モータ位置31Bとが入力される。ハイブリッド制御器13aは、これらの力指令111と位置指令121、及びA軸モータ位置31AとB軸モータ位置31Bを用いて、A軸電流指令131AとB軸電流指令131Bを生成する。ある方向に対する位置制御と、残りの方向に対する力制御とを同時に行う制御は、一般に力と位置のハイブリッド制御と呼ばれ、バリ取りロボットの倣い動作などに用いられている。具体的には、ハイブリッド制御器13aは、A軸モータ位置31AとB軸モータ位置31Bを位置指令121に追従するよう位置制御を行うための電流指令における位置指令軌跡6に平行な成分と、位置指令軌跡6に垂直な方向に力指令111を加えるための電流指令とを合成することで、A軸電流指令131AとB軸電流指令131Bを生成する。これにより位置と力のハイブリッド制御が実現できる。
【0025】
モータ制御部14は、A軸電流指令131AとB軸電流指令131Bに基づきA軸モータ2AとB軸モータ2Bを制御する。このモータ制御部14は、A軸電流制御器14Aと、B軸電流制御器14Bとを含む。
【0026】
A軸電流制御器14Aは、A軸電流指令131AにA軸モータ2Aの電流が追従するようA軸モータ2Aの電流を制御する。B軸電流制御器14Bは、B軸電流指令131BにB軸モータ2Bの電流が追従するようB軸モータ2Bの電流を制御する。
【0027】
モータ位置記憶部15は、複数軸のモータ位置であるA軸モータ位置31AとB軸モータ位置31Bとを逐次記憶する。つまり、モータ位置記憶部15は、測定開始位置から測定終了位置までの複数軸のモータの位置を記憶する。また、モータ位置記憶部15は、記憶した複数軸のモータ位置を表示する、あるいは図示しない外部装置に転送する。
【0028】
この構成により、加工機に搭載された多軸モータ駆動装置1をそのまま形状測定に使用することができる。これにより、加工機としての追加コストを抑えつつ、形状測定機能を実現することができる。また、測定ヘッド43は加工時に加工ヘッドに差し替えられる。例えば、ツールチェンジャーを装備していれば、ヘッド交換を自動化することも可能である。
【0029】
(実施の形態2)
図2は、本実施の形態に係る多軸モータ駆動装置1Aの制御ブロック図である。図2に示す多軸モータ駆動装置1Aは、図1に示す多軸モータ駆動装置1に対して、電流指令生成部13Aの構成が電流指令生成部13と異なる。電流指令生成部13Aは、力制御器13bと位置制御器13cを備える。
【0030】
力制御器13bには、力指令111とA軸モータ位置31Aが入力される。力制御器13bは、入力された力指令111とA軸モータ位置31Aを用いてA軸電流指令131Aを生成する。位置制御器13cには、位置指令121とB軸モータ位置31Bが入力される。位置制御器13cは、入力された位置指令121とB軸モータ位置31Bを用いてB軸電流指令131Bを生成する。つまり、位置制御器13cは、位置指令121に基づき複数軸のモータに含まれるB軸モータ2B(第1モータ)の位置制御を行う。力制御器13bは、力指令111に基づき、複数軸のモータに含まれるA軸モータ2A(第2モータ)の力制御を行う。このように、各軸の電流が独立に制御される。
【0031】
この制御構成は、測定対象5の一部を測定する場合に適用できる。例えば図2の右下に示すようにX軸方向の直線部分の表面粗さを測定する場合である。この例では、位置制御を必要とする軸がX軸であり、力制御を必要とする軸がY軸である。つまり、位置制御を必要とする軸と力制御を必要とする軸とが完全に分離している。このような場合に、本実施の形態の制御構成を適用できる。ここで、実際に加工と測定を常に同じ姿勢で行う必要はなく、特定の部分の測定のみが必要なケースもあり、このようなケースに本実施の形態の構成を適用できる。
【0032】
このように、本実施の形態の構成は、実施の形態1の構成に対して、形状測定の方向に制限が生じるものの、複雑な座標変換を伴うハイブリッド制御器13aを用いる場合よりシンプルな制御で位置制御と力制御を実現できる。これにより、多軸モータ駆動装置1Aの開発コスト及び製品コストを下げることができる。
【0033】
(実施の形態3)
図3は、本実施の形態に係る多軸モータ駆動装置1Bの制御ブロック図である。図3に示す多軸モータ駆動装置1Bは、図1に示す構成に加え、測定指標計算器16を備える。測定指標計算器16は、モータ位置記憶部15に記憶されている測定対象5の形状を示す多数のデータを用いて測定指標を算出する。ここで、例えば、測定指標のデータ量は、モータ位置記憶部15に記憶されている元のデータのデータ量の少ない。
【0034】
具体的には、測定指標は、加工精度を示す情報であり、例えば、象限突起量である。この場合、測定指標計算器16は、2軸のモータ位置が描くべき円軌跡に対する実際のモータ位置の半径方向のずれ量を計算し、特定角度範囲におけるずれ量の最大値及び最小値を算出することで象限突起量を算出する。
【0035】
また、位置指令軌跡6が直線である場合には、測定指標は、加工面の表面粗さであってもよい。この場合は、測定指標計算器16は、力制御方向のモータ位置の変動から断面曲線を生成し、断面曲線の低周波数成分であるうねり曲線又は高周波数成分の粗さ曲線から、最大山高さ、最大谷高さ、又は十点平均粗さなどのパラメータを測定指標として算出する。
【0036】
なお、測定指標計算器16は、測定対象に応じて、計算する測定指標の種別(象限突起量又は表面粗さ等)を切り替えてもよい。
【0037】
このように、測定指標を生成することで、形状測定結果のデータの圧縮を実現できる。これにより、多軸モータ駆動装置1Bのリソースを削減できる。また、外部コントローラにデータを伝えるインターフェースを簡易な手段で実現できる。また、測定指標を用いることで、測定結果を判断する作業者は、判断を容易に行うことができる。
【0038】
(実施の形態4)
図4は、本実施の形態に係る多軸モータ駆動装置1Cの制御ブロック図である。図4に示す多軸モータ駆動装置1Cは、図1に示すモータ駆動装置1に対して、位置指令生成器12Aの構成が位置指令生成器12と異なる。位置指令生成器12Aは、内部位置指令生成器12a、外部位置指令受信器12b、及び位置指令切替器12cを備える。
【0039】
内部位置指令生成器12aは、図1に示す位置指令生成器12と同様の機能を有し、測定用の位置指令軌跡6が実現される内部位置指令を生成する。外部位置指令受信器12bは、図示しない外部コントローラから、例えば加工時の位置指令軌跡を受信し、当該位置指令軌跡に対応する外部位置指令を生成する。位置指令切替器12cはこれら内部位置指令と外部位置指令の一方を位置指令121として選択的に出力する。具体的には、位置指令切替器12cは、測定時には内部位置指令を位置指令121として出力し、加工時には外部位置指令を位置指令121として出力する。なお加工時には、ハイブリッド制御器13aにおける力制御を無効としたうえで全ての軸の位置制御が行われてもよい。
【0040】
この構成により、多軸モータ駆動装置1Cは、加工時には外部コントローラからの外部位置指令軌跡に従い位置制御を行い、測定時には内部位置指令軌跡に従い形状測定を行うことが可能となる。このように、単一の多軸モータ駆動装置1Cにより、加工と測定とを適切に行える。
【0041】
以上のように、本開示に係る多軸モータ駆動装置は、加工に用いる多軸サーボシステムをそのまま形状測定用に用いることで、加工機としての付加コストを抑えつつ形状測定機能を実現することができる。
【0042】
なお、上記実施の形態では、複数軸を2軸としているが、3軸以上でもこの形状測定機能を実現できる。そのため、本開示の手法は、加工機だけでなく産業用ロボットへの適用も可能と考える。
【0043】
また、形状測定機能の精度として加工精度と同等の精度が得られると考えるが、さらに測定精度を求める場合には、定期的に基準となる校正用測定物を用いて形状測定を行い、その誤差分を校正値として用いて本測定を行う。これにより、さらに高精度な形状測定が可能となる。
【0044】
当然、この形状測定結果を加工機のコントローラにフィードバックして、次回以降の加工での指令補正などに使用することも可能である。
【0045】
以上、本実施の形態に係る多軸モータ駆動装置について説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0046】
例えば、本開示は、多軸モータ駆動装置により実行される制御方法等として実現されてもよい。
【0047】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0048】
以上、一つまたは複数の態様に係る多軸モータ駆動装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本開示は、多軸モータ駆動装置等に適用できる。
【符号の説明】
【0050】
1、1A、1B、1C 多軸モータ駆動装置
11 力指令生成器
111 力指令
12 位置指令生成器
12a 内部位置指令生成器
12b 外部位置指令受信器
12c 位置指令切替器
121 位置指令
13、13A 電流指令生成部
13a ハイブリッド制御器
13b 力制御器
13c 位置制御器
131A A軸電流指令
131B B軸電流指令
14 モータ制御部
14A A軸電流制御器
14B B軸電流制御器
15 モータ位置記憶部
16 測定指標計算器
2A A軸モータ
2B B軸モータ
3A A軸位置検出器
3B B軸位置検出器
31A A軸モータ位置
31B B軸モータ位置
41 Y軸ボールねじ
42 X軸ボールねじ
43 測定ヘッド
5 測定対象
6 位置指令軌跡
7 加圧力
図1
図2
図3
図4