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特許7429931イメージセンサのスペクトルデータを処理する装置及びその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】イメージセンサのスペクトルデータを処理する装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/27 20060101AFI20240202BHJP
   G01J 3/51 20060101ALI20240202BHJP
【FI】
G01N21/27 B
G01J3/51
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022154528
(22)【出願日】2022-09-28
(65)【公開番号】P2023063240
(43)【公開日】2023-05-09
【審査請求日】2022-10-26
(31)【優先権主張番号】10-2021-0141643
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】314000442
【氏名又は名称】高麗大学校産学協力団
【氏名又は名称原語表記】KOREA UNIVERSITY RESEARCH AND BUSINESS FOUNDATION
【住所又は居所原語表記】145, Anam-ro Seongbuk-gu Seoul 02841, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】李 受 娟
(72)【発明者】
【氏名】朴 圭 煥
(72)【発明者】
【氏名】金 彦 庭
(72)【発明者】
【氏名】馬 賢 俊
【審査官】井上 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-204364(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108896499(CN,A)
【文献】特開2015-52663(JP,A)
【文献】特開2005-110089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-G01N 21/01
G01N 21/17-G01N 21/61
G01J 3/00-G01J 4/04
G01J 7/00-G01J 9/04
G06T 7/00-G06T 7/90
H04N 23/00
H04N 23/40-H04N 23/76
H04N 23/90-H04N 23/959
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージセンサのスペクトルデータを処理する方法において、
前記イメージセンサによって対象体から取得された光のスペクトルデータの波長別に区分されたチャネルに対応するスペクトル応答信号を取得する段階と、
前記取得されたスペクトル応答信号に対応し、前記チャネルの個数以下の基底を含む基底セットを決定する段階と、
前記決定された基底セットに基づき、前記チャネルの前記スペクトル応答信号に係わる基底変換を行う段階と、
疑似逆行列を利用し、前記基底変換されたスペクトル応答信号から再構成されたスペクトルデータを生成する段階と、を含み、
前記基底セットを決定する段階は、
前記取得されたスペクトル応答信号に対応する基底のうち、臨界値より小さい特異値を有する少なくとも1つの基底を決定する段階と、
前記決定された少なくとも1つの基底に係わる特異値を所定特異値で代替する段階と、をさらに含み、
前記臨界値は、前記取得されたスペクトル応答信号に対応する基底のうちいずれか1つに対応し、
前記基底セットは、前記所定特異値で代替された基底を含む、方法。
【請求項2】
前記基底セットを決定する段階は、
主成分分析(PCA)アルゴリズムを利用し、各チャネルのスペクトル応答信号に係わる主成分を取得することにより、前記基底セットを決定する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記所定特異値は、
前記臨界値、または前記臨界値以上の他基底の特異値のうち最も小さい値である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記生成された再構成されたスペクトルデータに基づき、超分光イメージを生成する段階をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記超分光イメージは、
カラーマッチング関数を利用し、前記再構成されたスペクトルデータからカラー変換されたRGBイメージを含む、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記イメージセンサは、少なくとも3以上のチャネルのスペクトルデータを取得する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
イメージセンサのスペクトルデータを処理する装置において、
対象体に光を照射する光源と、
前記対象体から取得された光のスペクトルデータの波長別に区分されたチャネルに対応するスペクトル応答信号を取得するイメージセンサと、
前記取得されたスペクトル応答信号に対応し、前記チャネルの個数以下の基底を含む基底セットを決定し、前記決定された基底セットに基づき、前記チャネルの前記スペクトル応答信号に係わる基底変換を行い、疑似逆行列を利用し、前記基底変換されたスペクトル応答信号から再構成されたスペクトルデータを生成するプロセッサと、を含み、
前記プロセッサは、
前記取得されたスペクトル応答信号に対応する基底のうち、臨界値より小さい特異値を有する少なくとも1つの基底を決定し、
前記決定された少なくとも1つの基底に係わる特異値を所定特異値で代替し、
前記臨界値は、前記取得されたスペクトル応答信号に対応する基底のうちいずれか1つに対応し、
前記基底セットは、前記所定特異値で代替された基底を含む、装置。
【請求項8】
前記基底セットは、
主成分分析(PCA)アルゴリズムを利用し、各チャネルのスペクトル応答信号に係わる主成分を取得することによって決定される、請求項に記載の装置。
【請求項9】
前記所定特異値は、
前記臨界値、または前記臨界値以上の他基底の特異値のうち最も小さい値である、請求項に記載の装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、
前記生成された再構成されたスペクトルデータに基づき、超分光イメージを生成する、請求項に記載の装置。
【請求項11】
前記超分光イメージは、
カラーマッチング関数を利用し、前記再構成されたスペクトルデータからカラー変換されたRGBイメージを含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記イメージセンサは、少なくとも3以上のチャネルのスペクトルデータを取得するマルチスペクトルイメージセンサである、請求項に記載の装置。
【請求項13】
請求項1ないしのうちいずれか1項に記載の方法をコンピュータで実行させるためのプログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な、非一時的な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、イメージセンサのスペクトルデータを処理する装置及びその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超分光イメージング(hyperspectral imaging)技術は、分光分析法とイメージ処理技術とが組み合わされたものであり、測定対象に係わる空間(spatial)情報と分光(spectral)情報とを同時に取得する技術である。超分光イメージング装置は、超分光イメージセンサによって取得されたデータを介し、対象体の状態、構成、特徴、変異などを把握し、物質を識別し、製品欠陥程度などを測定することができる。ただし、超分光イメージングシステムは、イメージセンサのピクセルサイズが小さくなることによって生じるピクセル間のクロストーク(crosstalk)の影響により、イメージセンサの解像度(例えば、空間解像度または分光解像度)が低くなってしまう。従って、イメージセンサにおいて、高解像度のイメージデータを取得するために、クロストークの影響を補正する多様なイメージプロセッシング方法が試みられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする課題は、イメージセンサのスペクトルデータを処理する装置及びその方法を提供するところにある。本開示がなすべき技術的課題は、前述のような技術的課題に限定されるものではなく、以下の実施形態から他の技術的課題が類推されうる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様による、イメージセンサのスペクトルデータを処理する方法は、前記イメージセンサによって対象体から取得された光のスペクトルデータのチャネルに対応するスペクトル応答(spectrum response signal)信号を取得する段階と、前記取得されたスペクトル応答信号に対応する基底セット(basis set)を決定する段階と、前記決定された基底セットに基づき、前記チャネルの前記スペクトル応答信号に係わる基底変換を行う段階と、疑似逆行列(pseudo inverse)を利用し、前記基底変換されたスペクトル応答信号から再構成されたスペクトルデータを生成する段階と、を含む。
【0005】
また、前記基底セットを決定する段階は、主成分分析(PCA:principal component analysis)アルゴリズムを利用し、各チャネルのスペクトル応答信号に係わる主成分(principal component)を取得することにより、前記基底セットを決定する。
【0006】
また、前記基底セットは、前記チャネルの個数以下の基底を含む。
【0007】
また、前記方法は、前記取得されたスペクトル応答信号に対応する基底において、臨界値より小さい特異値(singular value)を有する少なくとも1つの基底を決定する段階と、前記決定された少なくとも1つの基底に係わる特異値を所定特異値で代替する段階と、をさらに含み、前記基底セットは、前記所定特異値で代替された基底を含む。
【0008】
また、前記所定特異値は、前記臨界値、または前記臨界値以上の他基底の特異値のうち最も小さい値でもある。
【0009】
また、前記方法は、前記生成された再構成されたスペクトルデータに基づき、超分光イメージを生成する段階をさらに含む。
【0010】
また、前記超分光イメージは、カラーマッチング関数を利用し、前記再構成されたスペクトルデータからカラー変換されたRGBイメージを含む。
【0011】
また、前記イメージセンサは、少なくとも3以上のチャネルのスペクトルデータを取得する。
【0012】
他の態様による、イメージセンサのスペクトルデータを処理する装置は、対象体に光を照射する光源と、前記対象体から取得された光のスペクトルデータのチャネルに対応するスペクトル応答信号を取得するイメージセンサと、前記取得されたスペクトル応答信号に対応する基底セットを決定し、前記決定された基底セットに基づき、前記チャネルの前記スペクトル応答信号に係わる基底変換を行い、疑似逆行列を利用し、前記基底変換されたスペクトル応答信号から再構成されたスペクトルデータを生成するプロセッサと、を含む。
【0013】
また、前記基底セットは、主成分分析(PCA)アルゴリズムを利用し、各チャネルのスペクトル応答信号に係わる主成分を取得することによって決定される。
【0014】
また、前記基底セットは、前記チャネルの個数以下の基底を含む。
【0015】
また、前記プロセッサは、前記取得されたスペクトル応答信号に対応する基底において、臨界値より小さい特異値を有する少なくとも1つの基底を決定し、前記決定された少なくとも1つの基底に係わる特異値を所定特異値で代替し、前記基底セットは、前記所定特異値で代替された基底を含む。
【0016】
また、前記所定特異値は、前記臨界値、または前記臨界値以上の他基底の特異値のうち最も小さい値でもある。
【0017】
また、前記プロセッサは、前記生成された再構成されたスペクトルデータに基づき、超分光イメージを生成する。
【0018】
また、前記超分光イメージは、カラーマッチング関数を利用し、前記再構成されたスペクトルデータからカラー変換されたRGBイメージを含む。
【0019】
また、前記イメージセンサは、少なくとも3以上のチャネルのスペクトルデータを取得するマルチスペクトルイメージセンサでもある。
【0020】
さらに他の態様によれば、コンピュータで読み取り可能な非一時的記録媒体は、前述の方法を実行する命令語を含む1以上のプログラムが記録された記録媒体を含むものでもある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】一実施形態によるイメージング装置の一例を示すブロック図である。
図2】一実施形態によるイメージ装置の概念図である。
図3図2の光源の概念図である。
図4図2のイメージセンサの概念図である。
図5図2のイメージセンサの一例を示す概念図である。
図6】一実施形態によるイメージング装置が動作する過程について説明するための概要図である。
図7】一実施形態による、イメージセンサのスペクトルデータを処理して再構成スペクトルデータを生成する方法のフローチャートである。
図8】一実施形態による、イメージセンサのスペクトルデータを処理して再構成スペクトルデータを生成する方法のフローチャートである。
図9】一実施形態による、再構成スペクトルデータの適用シミュレーション結果について説明するための図面である。
図10】一実施形態による、基底の個数が再構成スペクトルデータの性能に及ぼす影響について説明するための図面である。
図11】一実施形態による、基底の特異値による影響について説明するための図面である。
図12】一部実施形態による、再構成スペクトルデータのRGB変換について説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本実施形態で使用される用語は、本実施形態における機能を考慮しながら、可能な限り、現在汎用される一般的な用語を選択したが、それは、当技術分野における当業者の意図、判例、または新たな技術の出現などによっても異なる。また、特定の場合は、任意に選定された用語もあり、その場合、当該実施形態の説明部分において、詳細にその意味を記載する。従って、本実施形態で使用される用語は、単なる用語の名称ではなく、その用語が有する意味と、本実施形態の全般にわたる内容とを基に定義されなければならないのである。
【0023】
本実施形態に係わる説明において、ある部分が他部分と連結されているとするとき、それは、直接連結されている場合だけではなく、その中間に、他の構成要素を挟んで電気的に連結されている場合も含む。単数の表現は、文脈上、明白に異なって意味しない限り、複数の表現を含む。また、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、それは、特別に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含むものでもあるということを意味する。
【0024】
本実施形態で使用される「構成される」または「含む」というような用語は、明細書上に記載されたさまざまな構成要素、またはさまざまな段階を必ずしもいずれも含むものであると解釈されるものではなく、そのうちの一部構成要素または一部段階は、含まれず、または、さらなる構成要素または段階をさらに含むものでもあると解釈されなければならない。
【0025】
また、本明細書で使用される「第1」または「第2」というように、序数を含む用語は、多様な構成要素についての説明にも使用されるが、前記構成要素は、前記用語によって限定されるものではない。前記用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的にも使用される。
【0026】
以下の実施形態に係わる説明は、権利範囲を制限するものであると解釈されるものではなく、当該技術分野の当業者が容易に類推することができるところは、本実施形態の権利範囲に属すると解釈されなければならないのである。以下において添付された図面を参照しながら、単に例示のための実施形態について詳細に説明する。
【0027】
図1は、一部実施形態によるイメージング装置の一例を示すブロック図である。
【0028】
図1を参考すれば、イメージング装置10は、対象体の特性が分析したり、該対象体自体を識別したりする装置であるならば、制限なしに該当しうる。例えば、イメージング装置10は、超分光イメージングまたは多分光イメージング(hyperspectral imagingまたはmultispectral imaging)技術を利用するイメージングシステムに該当しうるが、必ずしもそれに制限されるものではない。なお、該対象体は、人、事物、地形、植物などを含むものでもあるが、イメージング装置10が利用される分野により、制限なしに変更されうる。
【0029】
図1を参照すれば、イメージング装置10は、少なくとも1つの光源110、少なくとも1つのイメージセンサ120、及び少なくとも1つのプロセッサ130を含むものでもある。ただし、図1に図示されたイメージング装置10には、本実施形態と係わる構成要素だけが図示されている。従って、イメージング装置10には、図1に図示された構成要素以外に、他の汎用的な構成要素がさらに含まれるものでもあるということは、当業者に自明であろう。例えば、イメージング装置10は、光源、メモリというようなハードウェア構成要素をさらに含むものでもある。
【0030】
さらに、図1に図示された構成要素のうち一部のみを含んでも、本開示の目的を達成することができる場合には、図1に図示された構成要素のうち一部のみを含む装置も、イメージング装置10に該当しうる。例えば、イメージング装置10は、少なくとも1つのイメージセンサ120だけ、及び少なくとも1つのプロセッサ130だけを含み、少なくとも1つの光源110は、イメージング装置10の外部にも配される。
【0031】
該メモリは、イメージング装置10内で処理される各種データを保存するハードウェアであり、例えば、該メモリは、イメージング装置10で処理されたデータ、及び処理されるデータを保存することができる。また、該メモリは、イメージング装置10によって駆動されるアプリケーション、ドライバなどを保存することができる。
【0032】
該メモリは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)のようなRAM(Random Access Memory);ROM(Read-Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、CD-ROM(Compact Disc Read-Only Memory)、ブルーレイ、または他の光学ディスクストレージ;HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive);またはフラッシュメモリを含み、または、イメージング装置10にアクセスされうる外部の他ストレージデバイスを含むものでもある。
【0033】
少なくとも1つの光源110は、光を対象体に照射するための装置を意味しうる。少なくとも1つの光源110は、複数の互いに異なる波長帯域の光を対象体に照射することができる。例えば、少なくとも1つの光源110は、第1波長帯域の光、及び第1波長帯域(例えば、400nmないし700nmの範囲)と異なる第2波長帯域(例えば、250nmないし400nmの範囲)の光を選択的に対象体に照射することができる。ただし、該波長帯域は、多様にも設定される。
【0034】
少なくとも1つの光源110は、可視光帯域のブロードな(broad)光を照射するLED(Light Emitting Diode)または蛍光灯でもあり、短波長の高強度の光を照射するレーザダイオードでもある。ただし、それらに必ずしも制限されるものではない。少なくとも1つの光源110は、対象体に係わる情報を取得するのに適する波長帯域の光を放出することができる。
【0035】
また、少なくとも1つの光源110は、複数の互いに異なる波長帯域の光を選択的に対象体に照射することができる単一の光源でもある。ただし、それに制限されるものではなく、少なくとも1つの光源110は、それぞれが、1つの波長帯域の光を照射する複数の光源を含むものでもある。また、少なくとも1つの光源110は、複数の互いに異なる波長帯域の光を、選択的に対象体に照射することができる光源を複数個含むものでもある。
【0036】
少なくとも1つのイメージセンサ120は、対象体から、散乱(scattering)、放出(emission)または反射(reflection)されるか、あるいは対象体によって吸収(absorption)される光から、スペクトルデータを取得するための装置を意味しうる。ただし、それに必ずしも制限されるものではなく、イメージセンサ120は、対象体を介して伝達(transmission)されたり屈折(refraction)されたりする光から、スペクトルデータを取得することもできる。一例において、光源110によって生成された光または自然光が、対象体に照射されれば、該対象体は、光を吸収、散乱、放出または反射させることができ、イメージセンサ120は、該対象体が、吸収、散乱、放出または反射させる光のスペクトルデータを測定することができる。該対象体を構成する物質の種類により、スペクトルデータが異なりうるので、測定されたスペクトルデータが分析すれば、対象体を構成する物質の種類を推定できる。
【0037】
イメージセンサ120によって取得されたスペクトルデータは、波長別に区分された複数チャネルのスペクトルデータ(または、スペクトル信号)を含みうる。ここで、それぞれの波長の帯域幅、チャネルの個数は、多様にも設定される。例えば、イメージセンサ120は、少なくとも3以上のチャネルのスペクトルデータを取得するマルチスペクトルイメージセンサでありうる。
【0038】
一部実施形態によれば、イメージセンサ120によって取得されるスペクトルデータは、ラマン(Raman)スペクトル、可視(visible)スペクトル、蛍光スペクトル、マイクロ波スペクトル、赤外線スペクトル、X線スペクトルのような多様なスペクトルのうち少なくとも一つを含むものでもある。ただし、それに必ずしも制限されるものではない。ここで、該ラマンスペクトルは、レーザダイオードのような光源を利用し、短波長の高強度の光を対象体に照射した後、光源の波長帯域と異なる波長帯域でもって対象体から散乱または放出される光を測定したときに取得されるスペクトルを意味しうる。
【0039】
なお、図1においては、単一のイメージセンサ120だけがイメージング装置10に含まれるように図示されているが、イメージング装置10は、2個以上のイメージセンサを含みうる。イメージング装置10が2以上のイメージセンサを含む場合、各イメージセンサによって取得されるスペクトルデータの類型は、互いに異なりうる。
【0040】
イメージセンサ120は、格子(grating)及びフィルタアレイ(filter array)のうち少なくとも一つを利用し、スペクトルデータを取得することができる。該格子は、光の屈折、反射または回折を利用し、分光を行う素子に該当し、該フィルタアレイは、特定の波長や波長範囲を選択的に透過または遮断するフィルタを利用して分光を行う素子にも該当する。
【0041】
イメージセンサ120は、例えば、300nmないし700nmの範囲の波長帯域の光を測定することにより、対象体に係わる可視イメージまたは超分光イメージを取得することができる。ただし、それに必ずしも制限されるものではなく、少なくとも1つのイメージセンサ120は、対象体に係わる情報を取得するのに適する任意の波長帯域の光を測定することができる。
【0042】
イメージセンサ120は、対象体の色相または形状のような外観に係わる可視イメージを取得することができるフォトダイオードアレイ、CCD(Charge Coupled Device)センサまたはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサを含むものでもある。また、イメージセンサ120は、対象体から放出される蛍光に係わる情報を含む超分光イメージまたは多分光イメージを取得することができる。対象体内の所定の指標物質は、光源110から光が照射されることにより、蛍光を放出することができ、所定の指標物質の含量を示すパラメータは、超分光イメージからも取得される。一方、以下の説明においては、超分光イメージングについて例示的に説明するが、それに制限されるものではなく、本実施形態は、多分光、極超分光のイメージング技術についても適用される。
【0043】
少なくとも1つのプロセッサ130は、イメージング装置10を制御するための全般的な機能を遂行する役割を行う。例えば、少なくとも1つのプロセッサ130は、少なくとも1つの光源110、及び少なくとも1つのイメージセンサ120の動作を制御することができる。一方、少なくとも1つのプロセッサ130は、多数の論理ゲートのアレイによっても具現され、汎用的なマイクロプロセッサと、該マイクロプロセッサで実行されうるプログラムが保存されたメモリとの組み合わせによっても具現される。
【0044】
少なくとも1つのプロセッサ130は、少なくとも1つのイメージセンサ120から取得される可視イメージに基づき、対象体に係わる第1情報を取得し、取得された第1情報、及びイメージセンサ120から取得された超分光イメージに基づき、対象体に係わる第2情報を取得することができる。そのように、プロセッサ130は、超分光イメージの分析を介して取得された情報のみを利用して第2情報を取得せず、可視イメージの分析を介して取得された情報を総合的に考慮し、第2情報を取得するが、該対象体に係わる第2情報の正確度が増大されうる。
【0045】
例えば、該第1情報は、対象体の外観に係わる情報を含み、該第2情報は、対象体の物質パラメータに係わる情報を含むものでもある。ただし、それに必ずしも制限されるものではない。
【0046】
図2は、一実施形態によるイメージ装置の概念図である。図3は、図2の光源の概念図である。図4は、図2のイメージセンサの概念図である。図5は、図2のイメージセンサの一例を示す概念図である。
【0047】
図2ないし図5を参照すれば、光源110、イメージセンサ120及びプロセッサ130を含むイメージング装置10が提供され、イメージング装置10は、対象体OBJのイメージングを行うことができる。
【0048】
光源110は、対象体OBJと対向しうる。光源110は、対象体OBJに検査光ILa,ILbを照射することができる。図3に図示されているように、光源110は、第1光源アレイ1101、第2光源アレイ1102及び透過窓1103を含むものでもある。第1光源アレイ1101と第2光源アレイ1102は、透過窓1103を挟み、互いに離隔されうる。第1光源アレイ1101及び第2光源アレイ1102のそれぞれは、一方向に沿って配列される複数の光源1100を含むものでもある。例えば、複数の光源1100は、透過窓1103に沿っても配列される。第1光源アレイ1101及び第2光源アレイ1102のそれぞれの複数光源1100が2列を形成するように図示されたが、それは、限定的なものではない。例えば、複数光源1100は、LEDを含むものでもある。
【0049】
検査光ILa,ILbに曝露される対象体OBJは、蛍光OLを放出しうる。蛍光OLは、透過窓1103を通過し、イメージング装置10内部にも提供される。透過窓1103は、透明な材質を含むものでもある。例えば、透過窓1103は、透明プラスチックまたはガラスでもある。一例において、透過窓1103は、低温に対する耐久性が高い材質を含むものでもある。蛍光OLは、イメージセンサ120にも提供される。例えば、蛍光OLの光路は、蛍光OLがイメージセンサ120に提供されるように、光経路調節要素1140によっても調節される。イメージセンサ120は、超分光カメラを含むものでもある。
【0050】
一例において、イメージセンサ120は、図4に図示されているように、分散要素230を含むものでもある。イメージセンサ200aは、スリット要素210、コリメーティングレンズ220、分散要素230、集光レンズ240及びセンサ250を含むものでもある。スリット要素210は、蛍光OLの要求される部分を抽出するためにも使用される。一例において、スリット要素210を通過した蛍光OLは、発散しうる。コリメーティングレンズ220は、蛍光OLが、平行光または収斂光になるように、蛍光OLの大きさを調節することができる。例えば、コリメーティングレンズ220は、凸状レンズを含むものでもある。分散要素230は、コリメーティングレンズ220から提供される蛍光OLを分光させることができる。分散要素230が格子であるように図示されているが、それは、限定的なものではない。他の例示的な実施形態において、分散要素230は、プリズムでもある。分光された蛍光OLは、集光レンズ240を経て、センサ250にも提供される。例えば、集光レンズ240は、凸状レンズを含むものでもある。分光された蛍光OLは、波長により、センサ250の互いに異なる位置にも提供される。センサ250は、分散要素230から提供される分光された蛍光OLを測定することができる。センサ250は、蛍光OLのスペクトル信号を生成することができる。センサ250は、スペクトル信号をプロセッサ130に提供することができる。
【0051】
一例において、図5に図示されているように、スペクトルフィルタ232を含むイメージセンサ200bが提供されうる。イメージセンサ200bは、スリット要素210、コリメーティングレンズ220、スペクトルフィルタ232、集光レンズ240及びセンサ250を含むものでもある。スリット要素210、コリメーティングレンズ220、集光レンズ240及びセンサ250は、図4を参照して説明されたところと実質的に同一でもある。スペクトルフィルタ232は、互いに異なる波長帯域の光をそれぞれ通過させるフィルタの集合でもある。スペクトルフィルタ232は、コリメーティングレンズ220から提供される蛍光OLが、空間的に互いに異なる波長を有するように、フィルタリングすることができる。すなわち、スペクトルフィルタ232の互いに異なる領域を通過した蛍光の部分は、互いに異なる波長を有しうる。スペクトルフィルタ232によって分光された蛍光OLは、集光レンズを経て、センサ250にも提供される。センサ250は、蛍光OLにつき、スペクトル信号を生成することができる。センサ250は、スペクトル信号をプロセッサ130に提供することができる。
【0052】
プロセッサ130は、スペクトル信号に基づき、対象体OBJの超分光イメージを生成することができる。プロセッサ130は、対象体OBJの超分光イメージを利用し、対象体OBJの状態を判別することもできる。
【0053】
図6は、一実施形態によるイメージング装置が動作する過程について説明するための概要図である。
【0054】
図6を参照すれば、イメージセンサ120は、フィルタアレイを利用し、対象体に係わるスペクトルデータ(または、スペクトル信号)を取得することができる。
【0055】
イメージセンサ120によって取得されるスペクトルデータは、例えば、N+1個の波長λ10,…,λ1Nにおける光の強度に係わる情報を含むものでもある。イメージング装置10のプロセッサ130は、取得されたスペクトルデータに対するイメージプロセッシング620を行うことができる。ここで、イメージプロセッシング620は、対象体に係わる超分光イメージ630を取得するためのイメージデータを処理することを意味しうる。さらには、イメージプロセッシング620は、入力スペクトルデータから、再構成(reconstructed)スペクトルデータを生成するためのスペクトル復元(spectrum reconstruction)プロセスを含むものでもある。
【0056】
イメージセンサ120は、複数のピクセルを含むものでもある。複数のピクセルのそれぞれは、複数の波長帯域にそれぞれ対応するピクセルであるか、または複数の波長帯域にそれぞれ対応する複数のサブピクセルを含むものでもある。例えば、第1サブピクセルは、第1波長帯域の光を測定することができ、第2サブピクセルは、第1波長帯域と異なる第2波長帯域の光を測定することができる。
【0057】
イメージセンサ120の解像度(例えば、空間(spatial)解像度または分光(spectral)解像度)を高めるためには、ピクセルサイズを小さく具現することが望ましいのである。しかしながら、イメージセンサ120のピクセルサイズが小さくなることにより、隣接ピクセル間においては、クロストーク(crosstalk)の影響が生じてしまう。そのために、適切な解像度のイメージングのためには、そのようなクロストークの影響を補正しなければならないのである。特に、超分光イメージングのためのイメージセンサ120においては、空間解像度と分光解像度とが反比例する関係にある。それにより、イメージセンサ120において、適切な空間解像度と分光解像度とを有する超分光イメージングを行うためには、クロストークの影響を補正するための方法が必須でもある。
【0058】
図7は、一実施形態による、イメージセンサのスペクトルデータを処理して再構成スペクトルデータを生成する方法のフローチャートである。図7のスペクトルデータ処理方法は、前述のイメージング装置10によって実行される方法である。
【0059】
701段階において、プロセッサ130は、イメージセンサ120によって取得されたスペクトルデータの各チャネルに対応するスペクトル応答信号(spectrum response signalまたはspectrum response function)を取得する。
【0060】
イメージセンサ120によって取得されたスペクトルデータは、波長別に区分された複数のチャネルのスペクトルデータ(または、スペクトル信号)を含むものでもあり、該スペクトルデータは、各チャネルに対応するスペクトル特性を示すスペクトル応答信号を含むものでもある。
【0061】
具体的には、各チャネルのスペクトル応答信号は、以下のような数式1によっても表される。
【0062】
【数1】
【0063】
数式1を参照すれば、f(λ)、I(λ)、Dは、それぞれフィルタのスペクトル、入射する光のスペクトル、検出された光の強度に該当する。また、スペクトルデータのチャネルは、L個である。
【0064】
各チャネルのスペクトル応答信号に係わる数式1を、行列形態で表せば、下記数式2のようにも表される。
【0065】
【数2】
【0066】
702段階において、プロセッサ130は、スペクトル応答信号に対応する基底セット(basis set)を決定する。このとき、プロセッサ130は、主成分分析(PCA:principal component analysis)アルゴリズムを利用することができる。具体的には、プロセッサ130は、主成分分析(PCA)を利用し、各チャネルのスペクトル応答信号に係わる主成分(principal component)を取得し、取得された主成分に基づき、チャネルに係わる基底セットを決定することができる。
【0067】
決定された基底セットには、スペクトルのチャネル個数と同等個数の基底が含まれるものでもある。他の例として、決定された基底セットには、スペクトルのチャネル個数より少ない個数の基底が含まれうる。基底の個数が多くなれば、分光解像度が高くなってしまうが、ノイズに敏感になるのである。一方、基底個数を少なくなれば、相対的にノイズに鈍感である代わりに、分光解像度が低くなってしまう。従って、イメージング装置の特性により、基底セットに含まれる基底個数を最適化させることにより、再構成スペクトルデータの性能が調整されうる。
【0068】
703段階において、プロセッサ130は、決定された基底セットに基づき、チャネルのスペクトル応答信号に係わる基底変換を行う。各チャネルに対するスペクトル応答信号に係わる基底変換が行われることにより、各チャネルのスペクトル応答信号は、直交(orthogonal)特性を有することにもなる。それにより、各チャネル間のクロストーク影響が低減されうるので、その後に行われる疑似逆行列(pseudo inverse)を利用したスペクトル復元における誤差が低減されうる。
【0069】
704段階において、プロセッサ130は、疑似逆行列を利用し、基底変換されたスペクトル応答信号から再構成されたスペクトルデータを生成する。すなわち、プロセッサ130は、イメージセンサ120によって取得されたスペクトルデータに対する基底変換、及び疑似逆行列を利用することにより、入力スペクトルデータから、クロストークの影響が補正された再構成スペクトルデータ(reconstructed spectrum data)を生成することができる。
【0070】
図8は、一実施形態による、イメージセンサのスペクトルデータを処理して再構成スペクトルデータを生成する方法のフローチャートである。図8の方法は、図7の702段階ないし704段階にも適用される。
【0071】
801段階において、プロセッサ130は、主成分分析(PCA)アルゴリズムを利用し、各チャネルのスペクトル応答信号に係わる主成分を取得し、取得された主成分に基づき、チャネルのスペクトル応答信号に対応する基底(basis)を取得する。
【0072】
802段階において、プロセッサ130は、取得された基底において、有意味(または、最適)な基底だけ選択して基底変換を行うために、以下のようなプロセッシング方式を遂行することができる。
【0073】
具体的には、有意味な基底だけ選択するために、行列Fは、数式3のように、特異値分解(SVD:singular value decomposition)によっても表される。
【0074】
【数3】
【0075】
数式3を参照すれば、Σは、次元(dimension)の対角行列(diagonal matrix)であり、U,Vは、それぞれN×N,L×Lサイズのユニタリ行列(unitary matrix)であり、特異値分解(SVD)は、任意の行列Fにつき、常時に可能である。
【0076】
唯一の(unique)特異値分解(SVD)を決定するために、普通行列Σの対角成分は、大きさが小さくなる順に配列され、該対角成分の値は、特異値(singular value)と定義することができる。
【0077】
ユニタリ行列(U,V)に変換された基底において、スペクトル応答信号は、以下の数式4のように表現されうる。
【0078】
【数4】
【0079】
なお、小さい特異値は、逆行列を取るとき、ノイズを増幅させうる。従って、小さい特異値を排除するために、所定サイズ以上を有するいくつかの特異値だけを利用することがさらに望ましいのである。それにより、ノイズを誘発しうる小さい特異値を除去するための切断行列(truncation matrix)が利用されうる。
【0080】
下記数式5のような従来の主成分分析(PCA)方式は、小さい特異値をいずれも0で代替し、それに該当する固有ベクトル(singular eigenvector)を除去する次元縮小(dimensional reduction)方式である。
【0081】
【数5】
【0082】
しかしながら、本実施形態においては、従来の主成分分析(PCA)(すなわち、数式5)を変形した数式6の切断行列を利用し、特異値を0と見なす代わりに、以前の最も小さい値で同一に代替し、次元縮小を行わない方式を活用する。それにより、従来の方式(すなわち、数式5)対比で、本実施形態の方式は、次元縮小によって損失される情報を最小化させることができる。
【0083】
【数6】
【0084】
プロセッサ130は、前述のようなプロセッシング方式を遂行することにより、801段階で取得された基底において、既設定の臨界値以上を有すると判断されたいくつかの基底、及び当該基底の特異値を決定し、基底セットを決定することができる。
【0085】
他の例として、プロセッサ130は、特異値が臨界値以下である基底が存在する場合、当該基底の特異値を臨界値で代替するか、あるいは臨界値以上の特異値のうち最低値で代替し、基底セットを決定することもできる。
【0086】
すなわち、プロセッサ130は、取得されたスペクトル応答信号に対応する基底において、臨界値より小さい特異値を有する少なくとも1つの基底を決定し、決定された少なくとも1つの基底に係わる特異値を、所定特異値で代替することができる。従って、該基底セットは、所定特異値で代替された基底を含むものでもある。該所定特異値は、臨界値、または臨界値以上の他基底の特異値のうち最も小さい値でもある。
【0087】
803段階において、プロセッサ130は、決定された基底セットに基づき、チャネルのスペクトル応答信号に係わる基底変換を行い、疑似逆行列を利用し、基底変換されたスペクトル応答信号から再構成されたスペクトルデータを生成する。すなわち、プロセッサ130は、イメージセンサ120によって取得されたスペクトルデータに対する基底変換、及び疑似逆行列を利用することにより、入力スペクトルデータからクロストークの影響が補正された再構成スペクトルデータを生成することができる。
【0088】
プロセッサ130は、数式7のような疑似逆行列を利用し、入射する光のスペクトルI(λ)を取得することができる。
【0089】
【数7】
【0090】
804段階において、プロセッサ130は、再構成スペクトルデータDに基づき、超分光イメージデータを生成することができる。例えば、再構成スペクトルデータDは、CIE色空間(color space)のXYZカラーマッチング関数(color matching function)である数式8を利用し、XYZ色空間の値にも変換される。
【0091】
【数8】
【0092】
また、XYZ色空間の値は、数式9を利用し、RGB色空間の値にも変換される。
【0093】
【数9】
【0094】
プロセッサ130は、再構成スペクトルデータを、所定の色空間値に変換することにより、超分光イメージを構成するイメージピクセルデータを取得することができる。
【0095】
すなわち、プロセッサ130は、イメージセンサ120によって取得された入力スペクトルデータの代わりに、再構成スペクトルデータに基づき、クロストークの影響が減少した超分光イメージデータを生成することにより、改善された解像度(例えば、空間解像度または分光解像度)を有するイメージングプロセッシングを行うことができる。
【0096】
図9は、一実施形態による、再構成スペクトルデータの適用シミュレーション結果について説明するための図面である。
【0097】
図9を参照すれば、本実施形態による、再構成されたスペクトルデータに係わるシミュレーション結果と、再構成方式が適用されていないスペクトルデータに係わるシミュレーション結果を比較するためのグラフが図示されている。
【0098】
グラフ901,902、903は、マクベス(Macbeth)カラーチャート(color chart)のブルーパッチ(blue patch)、グリーンパッチ(green patch)及びレッドパッチ(red patch)を、蛍光灯照明下で測定した後、本実施形態による再構成されたスペクトルデータに係わるグラフである。測定されたスペクトルは、15個のフィルタを透過した信号を、それぞれフィルタの中心波長について表現したものである。
【0099】
グラフ911,912,913は、マクベスカラーチャートのブルーパッチ、グリーンパッチ及びレッドパッチを、蛍光灯照明下で測定したスペクトルデータに係わるグラフである。すなわち、グラフ911,912,913は、本実施形態による再構成方式が適用されていないスペクトルデータに基づくものである。同様に、測定されたスペクトルは、15個のフィルタを透過した信号を、それぞれフィルタの中心波長について表現したのである。
【0100】
グラフ901,902、903とグラフ911,912,913とを比較すれば、本実施形態による再構成スペクトルデータに基づくグラフは、レファレンススペクトル(ref:reference spectrum)に近いように測定されているので、クロストークの影響が低減されたということが分かる。
【0101】
図10は、一実施形態による、基底の個数が再構成スペクトルデータの性能に及ぼす影響について説明するための図面である。
【0102】
図10を参考すれば、グラフ1001ないし1006の図面参照番号順に、さらに多くの基底個数を利用して再構成されたスペクトルデータのシミュレーション結果を示す。グラフ1001ないし1006によれば、基底個数が多くなるほど、分光解像度が高くなりうるが、ノイズには、敏感になりうるという点が図示されている。一方、基底個数が少なくなるほど、ノイズには、鈍感になるが、分光解像度が低くなってしまうという点が図示されている。従って、イメージング装置の特性により、基底セットに含まれる基底個数を最適化させることにより、再構成スペクトルデータの性能が調整されうる。
【0103】
図11は、一実施形態による、基底の特異値による影響について説明するための図面である。
【0104】
図11を参考すれば、グラフ1101,1102,1103,1104それぞれは、総数14個の基底において、最大サイズ、5番目サイズ、9番目サイズ、13番目サイズを有する基底の特異値でもって臨界値を設定し、スペクトル再構成を行った結果を示すグラフである。
【0105】
本来の特異値を維持している基底の個数が多いほど、分光解像度が高く維持されうるが、代わりに、ノイズに敏感になりうる。反対に、元来の特異値を維持している基底の個数が少なくなるほど、分光解像度が低くなりうるが、代わりに、ノイズによる歪曲が減りうる。
【0106】
図12は、一実施形態による、再構成スペクトルデータのRGB変換について説明するための図面である。
【0107】
図12を参考すれば、原本イメージ1200につき、本実施形態による、再構成スペクトルデータからカラー変換されたRGBイメージ1201と、再構成なしに、R,G,B波長に該当するチャネルを用いて表現されたRGBイメージ1202と、が図示されている。比較すれば、本実施形態による、再構成スペクトルデータからカラー変換されたRGBイメージ1201がRGB1202に比べ、さらに向上されたカラー表現が可能であるという点を知ることができる。
【0108】
なお、前述の方法は、その方法を実行する命令語を含む1以上のプログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な非一時的(non-transitory)記録媒体にも記録される。該コンピュータで読み取り可能な可能記録媒体の例には、ハードディスク、フロッピィーディスク及び磁気テープのような磁気媒体(magnetic media);CD-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)のような光記録媒体(optical media);フロプティカルディスク(floptical disk)のような磁気・光媒体(magneto-optical media);及びROM、RAM、フラッシュメモリのようなプログラム命令を保存して遂行するように特別に構成されたハードウェア装置;が含まれる。該プログラム命令語の例には、コンパイラによって作われるような機械語コードだけではなく、インタープリタなどを使用し、コンピュータによって実行されうる高級言語コードを含む。
【0109】
以上、本実施形態について詳細に説明したが、本開示の権利範囲は、それらに限定されるものではなく、請求の範囲で定義している本開示の基本概念を利用した当業者のさまざまな変形及び改良形態も、本開示の権利範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0110】
10 イメージング装置
110,1100 光源
120,200a,200b イメージセンサ
130 プロセッサ
210 スリット要素
220 コリメーティングレンズ
230 分散要素
232 スペクトルフィルタ
240 集光レンズ
250 センサ
1140 経路調整要素
OBJ 対象体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12