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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】プラスチック容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 55/02 20060101AFI20240202BHJP
   B65D 43/08 20060101ALI20240202BHJP
【FI】
B65D55/02
B65D43/08 200
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019233201
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2021102442
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-06-10
(73)【特許権者】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】市橋 隆
(72)【発明者】
【氏名】平井 甫
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-302117(JP,A)
【文献】特開2019-172290(JP,A)
【文献】特開2004-075191(JP,A)
【文献】特開2017-124862(JP,A)
【文献】特開2016-033043(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0175334(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 55/02
B65D 43/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁部を有し、前記側壁部の上側の外周面に平面視正方形又は平面視長方形の被係合部が設けられている容器本体と、
前記容器本体の上部に嵌合する平面視正方形又は平面視長方形の蓋と、
前記蓋の前記外周面に対向する内面下側に位置し、前記被係合部と係合し前記蓋と前記容器本体とを係止する第1係合部を有する下部外周部と、
前記蓋と前記下部外周部とを連結するとともに、前記蓋と前記下部外周部とからの切り取りが可能である開封バンドと、
ユーザによって把持される把持バンドと、
前記把持バンドを前記容器本体に回動可能に取り付けるための支持部と、
を備え、
前記支持部による前記把持バンドの回動における、前記把持バンドの両端部の可動範囲が、前記開封バンドが設けられている位置よりも低くなるように、前記支持部が設けられ、且つ、前記把持バンドをユーザが持ち上げていない状態において、前記把持バンドの前記両端部は前記開封バンドが設けられている位置よりも低い位置とな
前記容器本体と、
前記蓋、前記開封バンド、および、前記下部外周部とは色が異なり、
前記被係合部は、
前記側壁部の上側の外周面から外側に向かって突出して、前記下部外周部の前記第1係合部と係合する第1被係合部と、
前記側壁部の前記第1被係合部よりも上側の外周面から外側に向かって突出して、前記蓋と係合する第2被係合部と、を有し
前記容器本体は、
前記第1係合部が前記第1被係合部に係合した前記下部外周部よりも下側の前記側壁部の外周面から、前記側壁部の周方向に沿って全周に亘って外側に延出された第1側壁リブを有し、
前記蓋は、
周方向全周に亘って設けられて、前記側壁部の上側の外周面に嵌合する上部外周部と、
前記上部外周部の内面下側から前記側壁部の外周面に向けて延出する突形状からなり、前記第2被係合部と係合する第2係合部と、を有し、
前記開封バンドは、前記上部外周部と前記下部外周部との間に位置し、上辺および下辺に沿って薄肉部により形成された溝またはミシン目を介して、前記上部外周部と前記下部外周部とを周方向全周に亘って連結し、
前記開封バンドを前記上部外周部と前記下部外周部とから切り取った場合、
前記蓋と前記下部外周部とは全周に亘って分離され、前記上部外周部と前記下部外周部との間から、前記蓋および前記下部外周部とは色が異なる前記容器本体の一部が周方向全周に亘って露出し、
前記下部外周部は、下端部が全周に亘って前記第1側壁リブに当接して、前記容器本体からの脱落を防止され、
前記蓋は、前記上部外周部の前記第2係合部を介して、前記容器本体の前記第2被係合部に着脱自在な状態で係止される、
ことを特徴とするプラスチック容器。
【請求項2】
前記容器本体と、
前記蓋、前記開封バンド、および、前記下部外周部とは同じ材質で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック容器。
【請求項3】
前記下部外周部は、前記外周面の前記被係合部に対して、全周に亘って係合していることを特徴とする請求項1または2に記載のプラスチック容器。
【請求項4】
前記開封バンドは、
ユーザによって開封される場合に該ユーザがつまむためのつまみ部、
を備え、
前記つまみ部は、
前記開封バンドの延伸方向である第1方向に当該開封バンドを切り取るための第1つまみ部、および前記第1方向とは反対の第2方向に当該開封バンドを切り取るための第2つまみ部により構成されていることを特徴とする請求項1からの何れか一項に記載のプラスチック容器。
【請求項5】
前記開封バンドは、
ユーザによって開封される場合に該ユーザがつまむためのつまみ部、
を備えるとともに、
前記つまみ部の根元部分に折り曲げ部を有し、
前記折り曲げ部の厚みは、前記開封バンドにおける当該折り曲げ部以外の部分の厚みよりも薄くなっていることを特徴とする請求項1からの何れか一項に記載のプラスチック容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプラスチック容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体、固形物、半固形物、顆粒などを運搬したり保管したりするなどの用途に用いられる容器が知られている。
【0003】
特許文献1には、容器本体およびその上部に嵌合する合成樹脂製の蓋を備えた容器が開示されている。上記蓋は、周縁側面と、周縁側面の下部で容器本体に係合する鉤部とを備える。また、上記容器本体は、把手と、把手の両端部に挿通する軸と、を備える。
【0004】
該容器において、ユーザが周縁側面の一部を掴み、蓋の四周を巡りながら引き離すことで、鉤部が蓋周縁から引き離され、蓋が開封される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-302117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記容器では、次のような問題がある。上記容器は、周縁側面の下部に設けられた鉤部で容器本体と係合するため、周縁側面自体の剛性が高くなっている。すなわち、周縁側面の柔軟性が低いため、開封作業の途中で周縁側面の一部に過大な応力がかかり、その部分が破断することがある。この場合、周縁側面が部分的に残った状態となるため、蓋の取り外しが困難になるという問題が生じる。また、周縁側面の柔軟性が低い場合、ユーザによる周縁側面の取り外し動作がスムーズではなく、作業性が悪いという問題もある。
【0007】
本発明の一態様は、蓋の開封作業をより確実かつ容易にするプラスチック容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の態様1に係るプラスチック容器は、側壁部を有し、前記側壁部の上側の外周面に被係合部が設けられている容器本体と、前記容器本体の上部に嵌合する蓋と、前記蓋の前記外周面に対向する内面下側に位置し、前記被係合部と係合し前記蓋と前記容器本体とを係止する係合部を有する下部外周部と、前記蓋と前記下部外周部とを連結するとともに、前記蓋と前記下部外周部とからの切り取りが可能である開封バンドと、を備える構成である。
【0009】
上記の構成によれば、下部外周部により蓋と容器本体とを係止することが可能となる。また、ユーザが容器本体から蓋を取り外す際に、開封バンドは、蓋と下部外周部とからの切り取りが可能となる。下部外周部は、開口部の外周面に設けられた被係合部と係合する係合部を有し、容器本体と蓋との嵌合を担っている。すなわち、下部外周部は、剛性を高くする必要がある。一方、開封バンドは、係合部を有さないため、開封バンドの剛性を高くする必要は無い。よって、開封バンドの剛性を低くし、柔軟性を確保することができるため、ユーザの蓋の開封作業をより確実かつ容易にすることができる。
【0010】
本発明の態様2に係るプラスチック容器は、上記の態様1において、前記容器本体と、前記蓋、前記開封バンド、および、前記下部外周部とは同じ材質で構成されている構成としてもよい。
【0011】
上記の構成によれば、容器本体と、蓋、開封バンド、および下部外周部とは同じ材質となり、プラスチック容器を全て同じ材質とすることができる。例えば、容器本体と、蓋、開封バンド、および下部外周部とが異なる材質である場合、廃棄の際に材質ごとに分別する必要が生じる。すなわち、容器本体と、蓋、開封バンド、および下部外周部とを同じ材質とすることで、容器本体と、蓋、開封バンド、および下部外周部との分別は不要となる。よって、リサイクル時の手間を削減することが可能となる。
【0012】
本発明の態様3に係るプラスチック容器は、上記の態様1または2において、前記下部外周部は、前記外周面の前記被係合部に対して、全周に亘って係合している構成としてもよい。
【0013】
例えば、従来からある容器では、開封バンドと下部外周部は一体に成形され、容器本体に係合する。また、開封バンドの一部は、開封動作がスムーズに行なえるように一部が切り欠かれているなどにより、途切れている。よって、開封バンドが途切れている部分は、容器本体と係合していないため、蓋が容器本体から外れる恐れがある。一方、本発明に係るプラスチック容器は、上記の構成により、下部外周部は、外周面の被係合部に対して、全周に亘って係合することができる。よって、開封バンドを蓋と下部外周部とから切り取る前の状態、すなわち、プラスチック容器の開封前の状態において、従来の容器に比べ、蓋が容器本体から外れ難くなる。
【0014】
本発明の態様4に係るプラスチック容器は、上記の態様1から3の何れか一項において、前記プラスチック容器は、ユーザによって把持される把持バンドと、前記把持バンドを前記容器本体に回動可能に取り付けるための支持部と、を備え、前記支持部による前記把持バンドの回動における、前記把持バンドの両端部の可動範囲が、前記開封バンドが設けられている位置よりも低くなるように、前記支持部が設けられている構成としてもよい。
【0015】
上記の構成によれば、ユーザは、プラスチック容器を持ち運ぶ時、あるいはプラスチック容器を傾倒させながら内容部物を排出する時などに、把持バンドを使用してプラスチック容器を持ち上げることができる。また、把持バンドの両端部の可動範囲が、開封バンドが設けられている位置よりも低くなるように、支持部が設けられている。すなわち、ユーザが開封バンドを蓋から切り取る時に、把持バンドが開封バンドに引っ掛かるという状態を抑制できる。よって、蓋の開封作業をより確実かつ容易にすることができる。
【0016】
本発明の態様5に係るプラスチック容器は、上記の態様1から4の何れか一項において、前記開封バンドは、ユーザによって開封される場合に該ユーザがつまむためのつまみ部、を備え、前記つまみ部は、前記開封バンドの延伸方向である第1方向に当該開封バンドを切り取るための第1つまみ部、および前記第1方向とは反対の第2方向に当該開封バンドを切り取るための第2つまみ部により構成されている構成としてもよい。
【0017】
上記の構成によれば、第1方向と第2方向とに開封バンドのつまみ部を設けることで、ユーザは、第1つまみ部と第2つまみ部とのどちらからでもプラスチック容器の蓋を開封することが可能となる。よって、ユーザは、例えば利き手に応じて開封動作を行いやすいつまみ部を適宜選択することができる。更に、第1つまみ部と第2つまみ部とのどちらか一方が、開封時に破断した場合であっても、他方のつまみ部を使用することでプラスチック容器の蓋を開封することが可能となる。
【0018】
本発明の態様6に係るプラスチック容器は、上記の態様1から5の何れか一項において、前記開封バンドは、ユーザによって開封される場合に該ユーザがつまむためのつまみ部、を備えるとともに、前記つまみ部の根元部分に折り曲げ部を有し、前記折り曲げ部の厚みは、前記開封バンドにおける当該折り曲げ部以外の部分の厚みよりも薄くなっている構成としてもよい。
【0019】
上記の構成によれば、つまみ部の根元部分である折り曲げ部の肉厚が薄くなっているので、つまみ部の根元部分を支点として開封バンドのつまみ部の引き起こし動作が容易になる。よって、ユーザは、開封バンドの取り外し動作をより容易に行うことができる。
【0020】
本発明の態様7に係る容器は、上記の態様1から6の何れか一項において、前記容器本体と、前記蓋、前記開封バンド、および、前記下部外周部とは色が異なる構成としてもよい。
【0021】
上記の構成によれば、ユーザが蓋から開封バンドを切り取ると、開封バンドによって覆われていた、蓋、開封バンド、下部外周部とは色が異なる容器本体の一部が露出する。そのため、ユーザは、蓋、開封バンド、下部外周部とは色が異なる容器本体の一部が露出していることをもって、蓋が開封されたと一目で判断することが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一態様によれば、蓋の開封作業をより確実かつ容易にするプラスチック容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係るプラスチック容器の全体斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係るプラスチック容器から蓋を外した状態の容器本体の斜視図、該容器本体に示す破線部分の部分拡大図、蓋の表面を示す斜視図および蓋の裏面を示す斜視図である。
図3図1に示すA-A線矢視断面図および該A-A線矢視断面図に示す破線部分の部分拡大図である。
図4図2の下側の蓋に示す破線部分を正面から見た場合の部分拡大図および図4に示すB-B線矢視断面図である。
図5図1に示す破線部分の部分拡大図である。
図6】本発明の一実施形態に係るプラスチック容器から開封バンドを切り取った状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係るプラスチック容器100ついて、詳細に説明する。まず、本発明の一実施形態に係るプラスチック容器100の概要について、図1図2および図3に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るプラスチック容器100の全体斜視図である。図2は、本発明の一実施形態に係るプラスチック容器100について、プラスチック容器100から蓋20を外した状態の容器本体1の斜視図、該容器本体1に示す破線部分の部分拡大図、蓋20の表面を示す斜視図、および蓋20の裏面を示す斜視図である。図3は、図1に示すA-A線矢視断面図および該A-A線矢視断面図に示す破線部分の部分拡大図である。
【0025】
<プラスチック容器の概要>
プラスチック容器100は、液体、固体、固形物、顆粒などを保管あるいは運搬するために用いられる。プラスチック容器100は、図1に示すとおり、容器本体1、蓋20、下部外周部30、開封バンド40、および把持バンド50を備える。
【0026】
≪容器本体≫
容器本体1は、図1および図2に示すとおり、底壁部2、側壁部3、開口部4、第1側壁リブ5、第1被係合部6、第2側壁リブ7、第2被係合部8、および支持部9、を備える。
【0027】
容器本体1は、四周に亘り側壁部3を有し、上部から下部に向かうにつれ、徐々に内側に向かって外形を狭めるテーパ形状を成している。
【0028】
底壁部2は、平面視略正方形であり、プラスチック容器100の底部に位置する。底壁部2は、後述の側壁部3の下端から連続して平面状に形成される。
【0029】
側壁部3は、底壁部2のそれぞれの辺から上方に延びている。側壁部3は、底壁部2から上方に延びるにつれ、容器本体1の外側方向へ緩やかに傾斜している。
【0030】
開口部4は、図2に示すとおり、底壁部2のそれぞれの辺から上方に延びている側壁部3の上辺(以下、周縁という。)によって形成されている。
【0031】
第1側壁リブ5は、図1に示すとおり、容器本体1の側壁部3の外周面の上側に設けられている。第1側壁リブ5は、周方向に沿って容器本体1の外側に延出している。第1側壁リブ5は、図3に示すとおり、断面L字形に形成されている。
【0032】
第1側壁リブ5は、容器本体1に対して四周に亘り形成されており、隣り合う辺と辺の間には湾曲した角部を形成している。
【0033】
第1側壁リブ5は、開封バンド40が蓋20から切り離された後、容器本体1に残る下部外周部30の脱落を防止する。また、第1側壁リブ5は、支持部9が取り付けられる基礎としての役割も果たすため、容器本体1の外側に延出する断面L字形のリブ構造とすることで剛性を高めている。なお、開封バンド40、下部外周部30および支持部9は後ほど詳細に説明する。
【0034】
また、容器本体1は、図2の左上および図2の右上に示すとおり、第1側壁リブ5よりも上方に、第1側壁リブ5から側壁部3の上端に向かうにつれて、順に第1被係合部6、第2側壁リブ7、第2被係合部8を設けている。
【0035】
第1被係合部6は、側壁部3の上側の外周面に設けられている。具体的には、側壁部3から外側に向かって底壁部2と平行に延出して側壁部3に設けられている。第1被係合部6は、後述する第1係合部31と係合することで容器本体1に開封バンド40と下部外周部30とを介して蓋20を係止する。
【0036】
第2側壁リブ7は、側壁部3の上側の外周面に設けられている。具体的には、側壁部3から外側に向かって底壁部2と並行に延出して側壁部3に2つ設けられている。なお、第2側壁リブ7の数は2つに限定されるものではなく、1つであってもよいし、3つであってもよく、その数は限定されない。
【0037】
第2側壁リブ7は、容器本体1の側壁部3と蓋20および開封バンド40との間にクリアランスを設けるためのスペーサとなる。第2側壁リブ7を設けることにより、蓋20および開封バンド40の外周部が内側に撓むことを抑制できる。
【0038】
第2被係合部8は、側壁部3の上側の外周面に設けられている。具体的には、側壁部3から外側に向かって底壁部2と平行に延出して側壁部3に設けられている。第2被係合部8は、後述する第2係合部22と係合することで、開封バンド40が蓋20から切り取られた後であっても、容器本体1に蓋20を着脱自在な状態で係止する。
【0039】
支持部9は、後述する把持バンド50の両端部に設けられた挿通孔52に挿通させる軸である。支持部9は、把持バンド50を回動可能に取り付ける。支持部9は、第1側壁リブ5により形成される角部の対角線上であって、第1側壁リブ5の側面に設けられる。
【0040】
支持部9を対角線上の角部に設けることにより、支持部9が設けられていない側の角部における開口部4は、容器本体1に充填された内容物の注ぎ出し口となる。また、支持部9を対角線上の角部に設けることにより、後述の把持部51を持ちながら容器本体1を傾倒させ、注ぎ出し口から内容物を外部へ排出し易くなる。
【0041】
≪蓋≫
次に、容器本体1に嵌合させる蓋20について図2および図3を用いて説明する。
【0042】
蓋20は、容器本体1の上部に嵌合することで容器本体1の開口部4を封止する。蓋20は、上部外周部21、第2係合部22、規制壁23、およびパッキン24を備える。
【0043】
上部外周部21は、図3に示すとおり、開口部4の周縁から続く外面に沿って、周方向にて四周に亘り設けられている。上部外周部21は、外面から内面に向けて、開口部4の周縁を跨ぐようにして後述の規制壁23へと連続して形成されている。
【0044】
第2係合部22は、図3に示すとおり、上部外周部21の内面下側に設けられている。第2係合部22は、上部外周部21の内面から側壁部3の外周面に向けて延出する突形状から成る。第2係合部22は、第2被係合部8と第2側壁リブ7との間で、第2被係合部8と係合する。
【0045】
第2係合部22は、第2被係合部8と係合することにより、後述の開封バンド40が蓋20から切り取られた後であっても、容器本体1に蓋20を着脱自在な状態で係止する。
【0046】
規制壁23は、図3に示すとおり、開口部4の周縁から続く内面に沿って、周方向にて四周に亘り設けられている。規制壁23は、内面から外面に向けて、開口部4の周縁を跨ぐようにして上部外周部21へと連続して形成されている。
【0047】
この様に、蓋20は、図3に示すとおり、上部外周部21と規制壁23とが互いに開口部4の周縁を跨ぐように連続して形成されている。また、蓋20の内面には、開口部4の周縁の上面に対向する位置に断面U字形状の凹部26(以下、単に凹部26という。)が形成されている。
【0048】
規制壁23は、蓋20を容器本体1に嵌合する際、開口部4の周縁を凹部26へ案内する。
【0049】
パッキン24は、凹部26に設けられる。パッキン24は、弾性材料から成り、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴム系の材料が用いられる。
【0050】
パッキン24は、蓋20が容器本体1に嵌合している場合、容器本体1の開口部4の周縁である側壁部3の上端に隙間なく密着し、内容物の外部への漏洩を防止する。
【0051】
≪下部外周部≫
次に、下部外周部30について、図2および図3を用いて説明する。図2および図3に示すとおり、下部外周部30は、周方向の四周に亘って形成されている。下部外周部30は、第1側壁リブ5と第1被係合部6との間で、蓋20と容器本体1とを係止する第1係合部31を備える。下部外周部30は、第1被係合部6に対して、全周に亘って係合している。
【0052】
下部外周部30は、第1被係合部6に対して、全周に亘って係合しているため、係合する力を確保するために、後述の開封バンド40よりも剛性が高い。
【0053】
第1係合部31は、下部外周部30の内面から側壁部3の外周面に向けて延出する突形状から成る。第1係合部31は、下部外周部30の内面に位置し、蓋20を開封する前の状態において、第1被係合部6と係合し開封バンド40を介して蓋20と容器本体1とを係止する。すなわち、第1係合部31は、開封バンド40が切り取られると、蓋20から分離される。よって、容器本体1に蓋20を着脱自在に係止するものではない。
【0054】
以上のとおり、ユーザが容器本体1に内容物を充填し、蓋20を閉めると、下部外周部30が第1側壁リブ5の上面近傍まで進み、更にユーザが下方向に蓋20を押し込むと、パッキン24の反発力を受けながら第1係合部31と第1被係合部6とが係合する。そして、第1係合部31と第1被係合部6が係合すると、第2係合部22と第2被係合部8とが係合し、容器本体1は、開封バンド40と下部外周部30とを介して蓋20によって封止される。
【0055】
≪開封バンド≫
次に、開封バンド40について、図2図3、および図4を用いて説明する。図4は、図2の下側の蓋に示す破線部分を正面から見た場合の部分拡大図および図4に示すB-B線矢視断面図である。
【0056】
開封バンド40は、容器本体1の開封時に使用するものである。開封バンド40は、図2の下側および図3に示すとおり、上部外周部21と下部外周部30との間に位置し、上部外周部21を含む蓋20と下部外周部30とを、薄肉部により形成された溝41を介して連結している。溝41は、図2の下側および図3に示すとおり、開封バンド40の上辺および下辺に沿って、四周に亘って形成されている。開封バンド40は、上部外周部21と下部外周部30との間に溝41を有することにより、上部外周部21を含む蓋20と下部外周部30とからの切り取りが可能となっている。
【0057】
なお、開封バンド40と、上部外周部21および下部外周部30との間の接続構造は、ユーザによって容易に切り離すことが可能な構造であればよく、溝41の代わりに、例えばミシン目が設けられていてもよい。
【0058】
開封バンド40は、図2および図4に示すとおり、つまみ部42、および折り曲げ部4を備える。
【0059】
つまみ部42は、蓋20を開封する際に、ユーザの指によってつまむためのものである。ユーザは、つまみ部42をつまみながら開封バンド40を開封することにより、スムーズに開封作業が行なえる。
【0060】
なお、本実施形態に係るプラスチック容器100は、蓋と容器本体とがヒンジ連結されている容器とは異なり、開封バンド40が蓋20および下部外周部30と同じように、全周に亘り形成されている。従って、ユーザが開封バンド40を切り取ると、全周に亘り形成された開封バンド40は完全に切り離され、蓋20と容器本体1とが完全に切り離される。
【0061】
また、蓋と容器本体とがヒンジ連結されている容器の場合、開封バンドが全周に亘って形成されておらず、一部(半周程度)にのみ形成されている。この構成の場合、開封バンドが切り取られた後に、ユーザが蓋を外す際には、開封バンドが形成されていない部分を引きちぎるような力をユーザが加える必要がある。これに対して、本実施形態に係るプラスチック容器100によれば、開封バンド40が全周に亘り形成されているので、開封バンド40が切り取られた後の蓋20の取り外し動作がより容易になる。
【0062】
本実施形態の開封バンド40は、図2図4に示すとおり、つまみ部42を2つ備えている。そこで、一方のつまみ部42を第1つまみ部42a、他方のつまみ部42を第2つまみ部42bとして説明する。
【0063】
第1つまみ部42aは、開封バンド40の延伸方向である第1方向に当該開封バンド40を切り取るためのものである。第2つまみ部42bは、第1方向とは反対の第2方向に当該開封バンド40を切り取るためのものである。具体的には、容器を地面などの平面に置いた場合に、開封バンド40の延伸方向は水平方向となる。水平方向の右方向を第1方向とすると、第2方向は水平方向の左方向となる。すなわち、ユーザは、右方向から蓋20を開封することも可能であるし、左方向から蓋20を開封することも可能である。
【0064】
なお、ここではつまみ部42を2つ備える構成について説明したが、当該構成は一例に過ぎず、つまみ部42は1つであってもよいし、3つ以上備える構成であってもよい。
【0065】
つまみ部42は、図4に示すとおり、つまみ部42の根元部分に折り曲げ部43を有している。折り曲げ部4は、開封バンド40における当該折り曲げ部4以外の部分の厚みよりも薄くなるように構成されている。該構成によれば、つまみ部42の根元部分を支点として開封バンド40のつまみ部42を引き起こし易くなり、ユーザは、プラスチック容器100の蓋20を開封し易くなる。つまり、蓋20の開封作業をより確実かつ容易にすることができる。
【0066】
なお、上述の容器本体1と蓋20、開封バンド40、および下部外周部30とは同じ材質で構成されていてもよい。材質としては、例えば、ポリプロピレン樹脂を用いることができる。なお、ポリエチレン樹脂など、公知の熱可塑性樹脂を用いることもできる。
【0067】
上記の構成によれば、容器本体1と、蓋20、開封バンド40、および下部外周部30とが同じ材質となり、プラスチック容器100の全てを同じ材質とすることができる。すなわち、容器本体1と、蓋20、開封バンド40、および下部外周部30とが異なる材質である場合、廃棄の際に材質ごとに分別する必要が生じる。よって、容器本体1と、蓋20、開封バンド40、および下部外周部30とを同じ材質とすることで、容器本体1と、蓋20、開封バンド40、および下部外周部30との分別は不要となり、リサイクル時の手間を削減することが可能となる。
【0068】
≪把持バンド≫
次に、把持バンド50について、図1図2および図5を用いて説明する。図5図1に示す破線部分の部分拡大図である。
【0069】
把持バンド50は、ユーザがプラスチック容器100を持ち上げる際に手で持つためのものである。図1および図2に示すとおり、把持バンド50は、容器本体1の外側面の形状に沿うように略L字形に形成されている。把持バンド50は、把持部51、挿通孔52、および把持バンド端部53を備える。
【0070】
把持部51は、図1および図2に示すとおり、把持バンド50の中心部分に位置し、把持部51以外の部分に比べて肉厚に構成されている。
【0071】
挿通孔52は、把持バンド50に支持部9を挿通させるために設けられた孔である。挿通孔52は長孔によって、支持部9の頭部を挿入および脱着しやすくしている。把持バンド端部53は、図5に示すとおり、把持バンド50の端に位置し、円弧上に形成されている部分である。
【0072】
<開封バンドと支持部との位置関係>
次に、図1図5とを用いて、開封バンド40と支持部9との位置関係について詳細に説明する。図1に示すとおり、把持部51は、把持バンド50をユーザが持ち上げていない状態において、容器本体1に当接する位置まで下がる。
【0073】
該状態において、支持部9は、図5に示すとおり把持バンド端部53が、支持部9を回動支点とした場合に、把持バンド端部53の可動範囲が、開封バンド40が設けられている位置よりも低くなるように設けられている。よって、ユーザが開封バンド40を蓋20から切り取る時に、把持バンド50が開封バンド40に引っ掛かるという状態を抑制できる。すなわち、蓋20の開封作業をより確実かつ容易にすることができる。
【0074】
<容器本体と蓋および下部外周部とが異なる色で構成されている点について>
次に、図6を用いて、容器本体1と蓋20および下部外周部30とが異なる色で構成されている点について詳細に説明する。図6は、本発明の一実施形態に係るプラスチック容器100から開封バンド40を切り取った状態を示す斜視図である。図6では、蓋20と下部外周部30とを薄墨で示し、容器本体1との色の差異を表現している。図6で示すとおり、開封バンド40が切り取られると、容器本体1の側壁部3の上側には、蓋20と下部外周部30が残る。そして、開封バンド40によって覆われていた、容器本体1の一部が露出する。
【0075】
すなわち、容器本体1と蓋20および下部外周部30とは、色が異なるため、ユーザは、開封後のプラスチック容器100を見ると、蓋20が開封されたと一目で判断することが可能となる。
【0076】
<変形例>
本発明の変形例について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態において説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0077】
第1の変形例として、容器本体1は、開口部4から底壁部2に向かって垂直な側壁部3を形成してもよい。
【0078】
上記の構成であっても、実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0079】
第2の変形例として、底壁部2は、円形であってもよいし、長方形であってもよい。底壁部2が円形である場合、側壁部3は円形の底壁部2に沿って円弧上の側壁を形成する。
【0080】
上記の構成であっても、実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0081】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0082】
1 容器本体
2 底壁部
3 側壁部
4 開口部
5 第1側壁リブ
6 第1被係合部
7 第2側壁リブ
8 第2被係合部
9 支持部
21 上部外周部
22 第2係合部
23 規制壁
24 パッキン
26 凹部
30 下部外周部
31 第1係合部
40 開封バンド
42 つまみ部
42a 第1つまみ部
42b 第2つまみ部
43 折り曲げ部
50 把持バンド
51 把持部
52 挿通孔
53 把持バンド端部
100 プラスチック容器
図1
図2
図3
図4
図5
図6