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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】開閉計数装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/20 20060101AFI20240202BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20240202BHJP
   B29C 45/17 20060101ALI20240202BHJP
   B22C 7/00 20060101ALI20240202BHJP
【FI】
B29C33/20
B29C45/26
B29C45/17
B22C7/00 112C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020027720
(22)【出願日】2020-02-21
(65)【公開番号】P2021130283
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2022-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000146054
【氏名又は名称】株式会社松井製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】東條 悟
(72)【発明者】
【氏名】松井 宏信
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-328458(JP,A)
【文献】特表2014-519999(JP,A)
【文献】実開平05-091811(JP,U)
【文献】特開2005-154201(JP,A)
【文献】登録実用新案第3137672(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/00-33/76
B29C 45/00-45/84
B22C 5/00- 9/30
B21J 1/00-13/14
B21J 17/00-19/04
B21K 1/00-31/00
G09G 5/00- 5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対的に移動されて開閉される第1金型と第2金型とを備えた金型の一方側に取り付けられ、該金型の開閉回数を計数する開閉計数装置であって、
前記第1金型及び前記第2金型のうちの他方側の対象面に対向するように配され、該対象面の金型移動方向に沿う相対的な変位を非接触状態で検出する開閉検出部と、前記対象面を構成する他方の金型側における一方の金型側に向く面に前記開閉検出部が対向するように、前記一方の金型の外周側面の被取付面に沿わせて当該開閉計数装置を取り付ける取付部と、前記開閉検出部による開閉の検出に基づいて計数された開閉回数を出力する出力部と、を備えていることを特徴とする開閉計数装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記開閉検出部は、前記対象面に向けて金型移動方向に沿ってレーザ光を出射する出射部と、前記対象面からの反射光を受光する受光部と、を備えていることを特徴とする開閉計数装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記出力部として開閉回数を表示する表示部を備えていることを特徴とする開閉計数装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、
前記金型を識別可能な識別情報表示部を備えていることを特徴とする開閉計数装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、
駆動電源が外部から供給される構成とされていることを特徴とする開閉計数装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項において、
前記取付部は、前記金型の被取付面に吸着する磁石を備えていることを特徴とする開閉計数装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項において、
前記出力部は、前記開閉回数を外部機器に出力する構成とされていることを特徴とする開閉計数装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型の開閉回数を計数する開閉計数装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、金型の開閉回数、つまり、成形回数を計数するショットカウンタ等の計数装置が知られている。
例えば、下記特許文献1には、固定型の側面に、近接スイッチやカウンタ、表示器を有したショットカウンタが合わせ面の近傍に位置して取り付けられ、可動型の側面に、被検出体としての突起が合わせ面の近傍に位置して設けられた成形用金型が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平7-2018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような構成とされた成形用金型においては、ショットカウンタ及び被検出体をそれぞれ合わせ面の近傍に位置させ、かつ互いに適切な位置となるように取り付ける必要があり、更なる改善が望まれる。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、金型の開閉回数の計数が可能でありながらも、取付自由度を向上し得る開閉計数装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明に係る開閉計数装置は、相対的に移動されて開閉される第1金型と第2金型とを備えた金型の一方側に取り付けられ、該金型の開閉回数を計数する開閉計数装置であって、前記第1金型及び前記第2金型のうちの他方側の対象面に対向するように配され、該対象面の金型移動方向に沿う相対的な変位を非接触状態で検出する開閉検出部と、前記対象面を構成する他方の金型側における一方の金型側に向く面に前記開閉検出部が対向するように、前記一方の金型の外周側面の被取付面に沿わせて当該開閉計数装置を取り付ける取付部と、前記開閉検出部による開閉の検出に基づいて計数された開閉回数を出力する出力部と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る開閉計数装置は、上述のような構成としたことで、金型の開閉回数の計数が可能でありながらも、取付自由度を向上させることがきる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る開閉計数装置を備えた金型管理システムの一例を模式的に示す概略システム図である。
図2】(a)、(b)は、同開閉計数装置の一例を金型に取り付けた状態の一例を模式的に示す概略斜視図である。
図3】(a)は、同開閉計数装置の概略正面図、(b)は、同開閉計数装置の概略側面図、(c)は、同開閉計数装置の概略制御ブロック図である。
図4】(a)、(b)は、同開閉計数装置の一例を金型に取り付けた状態の他例を模式的に示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
なお、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
図1図4は、本実施形態に係る開閉計数装置の一例及びこの開閉計数装置を含む金型管理システムの一例を模式的に示す図である。
【0010】
本実施形態に係る開閉計数装置は、図1及び図2に示すように、相対的に移動されて開閉される第1金型4と第2金型5とを備えた金型3の一方側に取り付けられ、金型3の開閉回数を計数する構成とされている。このような構成とすれば、金型3の開閉回数を計数することができる。
本実施形態では、この開閉計数装置は、出力部として金型3の開閉回数(成形回数)を表示する表示部11を備えた表示装置1を構成する。この表示装置1は、図1及び図3に示すように、金型3に取り付けられる。また、この表示装置1の表示部11は、金型3の管理に用いられる開閉回数を含む金型管理情報を取得する情報取得部13において取得される金型管理情報を書き換えて表示する構成とされている。このような構成とすれば、金型3の管理に用いられる成形回数を含む金型管理情報を、金型3に取り付けられた状態で表示することができる。
この表示装置1が取り付けられる金型3としては、種々の成形機6や加工機に設けられる金型3であってもよい。このような金型3としては、例えば、射出成形金型や、ブロー成形金型、圧縮成形金型、プレス金型、鍛造金型、鋳造金型等であってもよい。本実施形態では、金型3を、相対的に移動されて開閉される第1金型4と第2金型5とを備えた金型の一例として、成形機(射出成形機)6に設置される射出成形金型としている。
【0011】
この金型3の成形機6としては、金型3の固定型(例えば、第1金型4)と可動型(例えば、第2金型5)とによって形成されるキャビティー等に、シリンダ等で溶融させた成形材料としての合成樹脂をノズル等から射出して充填し、成形品を逐次、成形する構成とされたものでもよい。また、成形機6としては、射出成形機に限られず、上記のような種々の金型3に応じたものであればよく、また、種々の加工機であってもよい。また、金型3内に供給される成形材料としては、合成樹脂材料に、炭素繊維やガラス繊維等の強化繊維を含有させた繊維強化合成樹脂材料等であってもよく、ゴム材料や、金属材料であってもよい。
また、成形機6に成形材料を供給する材料供給部7としては、適宜の貯留槽や、配合装置等であってもよい。
【0012】
この表示装置1は、図3(c)に示すように、情報取得部13として金型3の開閉回数を計数する開閉計数部を構成する開閉検出部14を備えている。このような構成とすれば、図3(a)に示すように、当該表示装置1において、金型管理情報として、金型3の開閉回数、つまり、累積成形回数(累積ショット回数)を表示させることができる。また、表示装置1自体に開閉計数部を設けた構成としているので、別途に設けたものと比べて、取扱性を向上させることができる。また、金型3の開閉を検出することができるので、当該表示装置1において、金型管理情報として、金型3の開閉毎の時間、つまり、サイクルタイムを表示させることもできる。このサイクルタイムは、例えば、開閉検出部14によって検出される金型3の型閉(型締)から次の型閉までの時間を後記する制御部20の計時部によってカウントし、出力部(表示部11)において出力されるものであってもよい。また、サイクルタイムは、過去複数回の成形サイクルの移動平均値を元に補正、更新されるものであってもよい。サイクルタイムを、このように移動平均値とした場合には、例えば、外乱要因を除く等のために、成形機6の起動初期の複数回については除外するようにしてもよい。
【0013】
この開閉検出部14は、図3(c)に示すように、信号線等を介して開閉計数部を構成する後記する制御部20に接続されている。
また、この開閉検出部14は、図2及び図3(b)に示すように、第1金型4及び第2金型5のうちの他方側の対象面5aに対向するように配され、対象面5aの金型移動方向に沿う相対的な変位を非接触状態で検出する構成とされている。このような構成とすれば、接触式の開閉検出部14を設けたものと比べて、損傷等を抑制することができる。また、開閉検出部14が第1金型4及び第2金型5のうちの他方側の対象面5aに向くように、当該表示装置1を第1金型4及び第2金型5のうちの一方側のみに取り付ければよく、近接スイッチや被検出体を設けたものと比べて、取付自由度を向上させることができる。これにより、周辺部材との位置関係の制約から埋込状に設けたりする必要もなく、金型3の外周側面に付設状に取り付けることができ、また、比較的に小型の金型(またはその周辺部材)への取付も可能となる。表示部11は、開閉検出部14による開閉の検出に基づいて計数された開閉回数を出力する出力部を構成し、金型3の開閉回数(成形回数)を表示する。
【0014】
この開閉検出部14としては、対象面5aに向くように配されて対象面5aを撮像し、この対象面5aの変位を検出する撮像部であってもよい。本実施形態では、開閉検出部14を、第1金型4及び第2金型5のうちの他方側の反射対象面5aに向けて金型移動方向に沿って検出信号としてのレーザ光を出射する発信部を構成する出射部15と、反射された検出信号としての反射光を受信(受光)する受信部を構成する受光部16と、を備えた構成としている。このような構成とすれば、検出信号としての超音波を出射する構成としたものと比べて、応答速度が速く、また、熱による影響を受け難く、検出精度を向上させることができる。また、開閉検出部14を、上記のような撮像部としたものと比べて、装置構成の簡素化を図ることができ、また、塵埃等による影響を受け難く、検出精度を向上させることができる。
【0015】
このようなレーザ式の開閉検出部14としては、赤色または赤外のレーザ光を出射する半導体レーザを光源として備えたものであってもよい。また、このような開閉検出部14としては、位相差測距方式やパルス伝播方式、三角測距方式等の種々の方式を用いて当該開閉検出部14が設けられた表示装置1に対する対象面5aの相対的な変位を検出するレーザー式変位センサであってもよい。
また、この開閉検出部14は、金型3の相対的な移動を伴って、図2(a)に示す型開状態から対象面5aとの距離が最小となる図2(b)に示す型閉状態となったことを検出する構成とされていてもよい。つまり、この開閉検出部14を含む開閉計数部は、型閉回数を計数するものであってもよい。また、計数された成形回数は、後記する記憶部21に記憶されて累積的に加算されるものでもよく、適宜の操作部や外部からの操作によってリセット可能とされていてもよい。
表示装置1には、この開閉検出部14の出射部15から出射されたレーザ光及び対象面5aからの反射光を透過させる透過口が設けられている。図例では、略直方体状とされた表示装置1の本体部10の四周側面のうちの一側面に透過口を設けた例を示している。
【0016】
また、図2では、表示装置1を、金型3の一方側としての固定側の第1金型4の被取付面4aに取り付けた例を示している。また、第1金型4の被取付面4aを、略水平方向に移動される金型3の移動方向及び上下方向に直交する方向に向く一方の側面とした例を示している。また、他方側の対象面5aを、第2金型5の基端側に、金型移動方向及び上下方向に直交する方向に向けて突出するように設けられた突片部の第1金型4側に向く面とした例を示している。なお、図例では、開閉検出部14からのレーザ光が対象面5aに対して垂直方向(法線方向)に照射されたような例を示しているが、開閉検出部14の検出範囲内であれば、対象面5aに対して傾斜方向に照射されてもよい。換言すれば、表示装置1の透過口が設けられた一側面と対象面5aとが互いに平行状に対向するように表示装置1を設置する必要はなく、一方が他方に対して傾斜していてもよい。
【0017】
この表示装置1は、金型3の任意の被取付面4aに沿うように着脱可能に取り付けられる構成とされている。本実施形態では、表示装置1は、図3(b)に示すように、金型3の被取付面4aに吸着する磁石24を備えている。このような構成とすれば、金型3に対して埋込状に設けられたり、ねじ等によって固定される表示装置と比べて、当該表示装置1を金型3に対して容易に取り付けることができ、また、金型3から容易に脱離させることもできる。
また、本実施形態では、表示装置1は、本体部10の金型3側に、シート状の機能層23を設けた構成としている。この機能層23は、断熱性及び防振性(衝撃吸収性)のうちの両方または一方を有した層であってもよい。このような構成とすれば、表示装置1の故障等を抑制することができる。このような機能層23としては、例えば、不織布等の布シートや、ゲル状シート、発泡樹脂シート等であってもよい。図例では、本体部10の被取付面4a側に向く背面に機能層23を介してシート状の磁石24を設けた例を示している。
【0018】
なお、表示装置1の取付態様としては、図2に示すような態様に限られず、図4に示すような態様としてもよい。
図4では、表示装置1の取付対象となる金型3の一方側を、可動側の第2金型5としている。また、この第2金型5の被取付面5bを、上方側に向く面とした例を示している。また、図4では、他方側の対象面6aを、第1金型4の周辺部材としての成形機6の固定部の第2金型5側に向く面とした例を示している。上記構成とされた表示装置1は、このように金型3やその周辺部材の任意の見易い位置や邪魔にならない位置の被取付面4a,5bに取付可能で、かつ開閉検出部14が対向される金型3やその周辺部材の任意の開閉検出部14の検出範囲内の面を対象面5a,6aとすることができる。
【0019】
なお、磁石24としては、本体部10の背面に概ね応じた形状とされたシート状とされたものに限られず、円盤状等とされ背面側の複数箇所に間隔を空けて設けられたものであってもよい。
また、当該表示装置1を金型3に対して着脱可能に取り付ける取付部としては、磁石24に限られず、粘着シートや面ファスナー等であってもよい。また、このように表示装置1を金型3の任意の被取付面4a,5bに対して着脱可能とした態様に代えて、当該表示装置1が金型3に対してねじ等によって予め定められた箇所に固定されるものでもよく、容易には脱離不能に埋込状に設けられるものであってもよい。
また、開閉検出部14としては、上記のようなレーザ式変位センサに限られず、他の光センサーであってもよく、または、検出信号としての超音波を出射する発信部及び受信する受信部を有した超音波式変位センサであってもよい。
【0020】
また、表示装置1は、図3(c)に示すように、本実施形態では、情報取得部13として周囲温度、周囲湿度及び周囲気圧のうちの少なくとも一つを検出する環境値検出部17を備えている。このような構成とすれば、図3(a)に示すように、金型3によって成形される製品の品質に影響を及ぼす可能性のある環境値を表示部11において表示させることができる。また、表示装置1自体に環境値検出部17を設けた構成としているので、別途に設けたものと比べて、取扱性を向上させることができる。この環境値検出部17は、本体部10内に内蔵されていてもよく、また、本体部10に検出部を露出させる適宜の窓部が設けられていてもよい。また、図3(c)に示すように、この環境値検出部17は、信号線等を介して後記する制御部20に接続されている。
本実施形態では、図3(a)に示すように、環境値として周囲温度、周囲湿度及び周囲気圧の表示を可能としている。つまり、本実施形態では、表示装置1に、環境値検出部17として、周囲温度を検出する温度センサと、周囲湿度を検出する湿度センサと、周囲気圧を検出する気圧センサと、を設けた構成としている。なお、このような態様に代えて、表示装置1に、温度センサ、湿度センサ及び気圧センサのうちの少なくとも一つを設けた構成としてもよい。
【0021】
また、表示装置1は、図3(c)に示すように、本実施形態では、情報取得部13として金型3の表面温度を検出する表面温度検出部18を備えている。このような構成とすれば、図3(a)に示すように、金型3の表面温度を表示部11において表示させることができる。これにより、例えば、金型3の温度を概ね一定に維持する金型温度調節装置等が金型3に接続されているような場合において、金型3の表面温度に異常上昇や異常降下等があれば、金型温度調節装置に不具合等が生じていることをユーザーに認識させるようなこともできる。
この表面温度検出部18は、検出部が金型3の表面に当接または近接するように本体部10の背面側等に設けられていてもよい。また、この表面温度検出部18は、図3(c)に示すように、信号線等を介して後記する制御部20に接続されている。なお、このような表面温度検出部18に代えて、または加えて、情報取得部13として金型3の内部温度を検出する金型内温度検出部を設けた構成としてもよい。
【0022】
表示部11は、表示内容を書き換える際には電力を消費する一方、表示の維持には電力を消費しない構成とされている。このような構成とすれば、金型3が設置される成形機6や加工機の稼働停止状態や、成形機6や加工機から金型3が脱離されて保管状態とされ、外部電源との接続が切断されたり、電池等の内部電源の残量が消失したりした場合にも、直前に書き換えられた金型管理情報の表示を維持することができる。
このような表示部11としては、表示内容を書き換える際に電力を要する一方、表示の維持には電力が不要な電子ペーパーやメモリー性液晶ディスプレイなどの不揮発性表示部であってもよい。この表示部11は、表示内容を書き換えるとき以外は電力を消費しない構成とされていてもよい。
上記のような電子ペーパーとしては、例えば、帯電粒子を電界によって移動させる電気泳動方式や、粉体移動方式、ツイストボール方式、コレステリック液晶方式、エレクトロクロミック方式、エレクトロウェッティング方式等の公知の方式とされたものの採用が可能である。なお、表示部11としては、表示内容を書き換える際には電力を消費する一方、表示の維持には電力を消費しない構成とされたものに限られず、表示の維持にも電力を要する液晶ディスプレイ等であってもよく、その他、種々の構成とされたものであってもよい。
【0023】
また、本実施形態では、図3(a)に示すように、この表示部11に、上記のような種々の金型管理情報に加えて、現在時刻を表示可能な構成としている。この現在時刻は、本体部10に内蔵され標準電波を受信する電波時計によって表示されるものであってもよい。また、図例では、本体部10の磁石24が設けられた側の背面に平行とされた表面の大部分を占めるように表示部11を設けた例を示しているが、このような態様に代えて、四周側面のうちのいずれかに表示部11を設けた態様等としてもよい。
この表示部11は、図3(c)に示すように、信号線等を介して後記する制御部20に接続されている。
なお、表示部11において表示させる金型管理情報としては、上記のような情報に代えて、または加えて金型3の累積成形時間(累積稼働時間)や、金型3の位置情報等であってもよい。金型3の位置情報を金型管理情報とする場合には、適宜のGPSユニットを設けた構成としてもよい。また、金型管理情報は、上記のような表示装置1に設けられた各種検出部14,17,18の検出に基づいて取得されるものに限られず、当該表示装置1が備える後記する入出力部22を介して成形機6や外部機器8から取得されるものであってもよく、また、成形条件や金型3の保守等に用いられる情報であってもよい。つまりは、成形機6や外部機器8が情報取得部を構成するものであってもよい。
【0024】
また、本実施形態では、表示装置1は、図3(a)に示すように、金型3を識別可能な識別情報表示部12を備えている。このような構成とすれば、当該表示装置1が取り付けられた金型3を、表示装置1の識別情報表示部12によって特定することができ、管理性を向上させることができる。これにより、金型3が成形機6から脱離されて保管状態等の際にも金型3を容易に特定することができる。
この識別情報表示部12において表示される識別情報は、金型管理情報を構成するものであってもよい。また、このような識別情報表示部12としては、型番やシリアルナンバー等でもよく、好ましくは、携帯電話等の携帯情報端末の読取機能によって読み取ることで、金型3の詳細や金型管理情報等を携帯情報端末において確認可能な構成とされたバーコード等の一次元コードや二次元コードであってもよい。
図例では、この識別情報表示部12を、上記した表示部11とは別途に設けた例を示しているが、表示部11内に設けた構成としてもよい。また、この識別情報表示部12において表示される識別情報は、書き換え不能に設けられたものに限られず、後記する入出力部22を介して書き換え可能とされたものでもよい。また、識別情報表示部12としては、識別情報が埋め込まれたいわゆるRFタグ等のICタグであってもよい。なお、このような識別情報表示部12を表示装置1に設けていない構成としてもよい。
【0025】
また、本実施形態では、表示装置1は、駆動電源が外部から供給される構成とされている。このような構成とすれば、当該表示装置1の小型化及び軽量化を図ることができる。この表示装置1には、図3(c)に示すように、外部の電源供給部9に対して接離自在に接続され、各部に駆動電源を供給する電源部19が設けられている。このような電源部19としては、変圧回路や整流回路、電源回路等を含んだ構成とされていてもよい。また、電源部19としては、内蔵型に限られず、適宜の電源コードを介して設けられた電源アダプターであってもよい。
外部の電源供給部9としては、外部の商用電源でもよく、また、成形機6や材料供給部7、外部機器8等に設けられた電源であってもよい。
なお、表示装置1の駆動電源としては、外部から供給されるものに限られず、表示装置1に設けられたものであってもよい。この場合は、例えば、表示装置1に、二次電池(蓄電池)や乾電池等の一次電池の収容部を設けたり、発電部及び蓄電部を設けたりしてもよい。このような構成とすれば、外部からの駆動電源の供給が困難な場合や、金型3の保管状態においても環境値等を表示させたり、後記するように外部機器8に金型管理情報を出力したりすることができる。発電部としては、太陽電池や、熱電変換素子、振動発電素子、マイクロ波発電素子等を用いたものであってもよい。
【0026】
また、表示装置1は、上記した各種検出部14,17,18に接続され、表示部11を制御する制御部20と、記憶部21と、を備えている。制御部20は、MPU(Micro Processing Unit)やCPU(Central Processing Unit)等の制御回路によって構成され、上記した開閉検出部14及び記憶部21とによって開閉計数部を構成する。この制御部20によって表示部11において表示させる各種金型管理情報が最新の情報に書き換えられる。表示部11における金型管理情報の書き換えは、上記したような種々の情報取得部13において取得される金型管理情報が更新される毎になされるものでもよく、定期的になされるものでもよく、その他、種々のタイミングで書き換えられるものであってもよい。記憶部21は、ROMやRAM等の各種のメモリー等によって構成され、各種検出部14,17,18において検出された検出値を含む金型管理情報や制御プログラム等を格納する。
表示装置1は、駆動電源の供給が開始されれば、制御部20による制御によって開閉検出部14の検出による型閉回数をカウントし、表示部11において成形回数やサイクルタイムを表示させたり、上記したような環境値や金型表面温度等を表示部11において表示させる態様とされていてもよい。なお、このような態様に代えて、当該表示装置1を起動及び停止(ON/OFF)する操作部が設けられていてもよい。
【0027】
また、本実施形態では、表示装置1は、図3(c)に示すように、開閉回数を含む金型管理情報を、外部機器8(図1参照)に出力する出力部を構成する入出力部22を備えている。このような構成とすれば、当該表示装置1の情報取得部13において取得される金型管理情報を、外部機器8に出力することができる。これにより、外部機器8において金型管理情報を収集し、データベース化することができ、管理者による管理台帳の記載や入力等を不要にすることもできる。
このような入出力部22としては、無線通信や有線通信を可能とする通信部であってもよく、このような通信部に代えて、記憶部21に格納された金型管理情報を入出力可能なUSBポート等であってもよい。また、入出力部22は、制御部20による制御によって金型管理情報を定期的に、または更新がなされる毎に外部機器8に出力する構成とされていてもよい。また、外部機器8からの入力に基づいて、入出力部22及び制御部20によって、成形回数のリセットや、金型3の識別情報や当該表示装置1固有の識別情報等の書き換えがなされるものでもよい。なお、金型管理情報を外部機器8に出力する出力部としては、このような外部機器8を介した入力機能を備えていない構成としてもよい。
【0028】
また、外部機器8としては、図1に示すように、LANやインターネットを介して表示装置1に接続されたサーバ8Aであってもよい。また、外部機器8としては、表示装置1に直接的にまたはサーバ8Aを介して接続される携帯電話等の携帯情報端末やPC等の情報端末8Bであってもよい。図例では、表示装置1に、サーバ8Aを介して情報端末8Bを接続した例を示している。これら表示装置1、サーバ8A及び情報端末8Bによって金型管理システム2を構成してもよい。このような構成とすれば、サーバ8Aにおいて金型管理情報をデータベース化したり、遠隔の情報端末8Bにおいて金型管理情報を確認や監視したり、利用したりすることができる。また、この金型管理システム2においては、金型管理情報を収集し記憶する外部機器8において、金型3のメンテナンス情報を記録し、稼働状況に応じてメンテナンス時期を報知する構成とされていてもよい。
【0029】
また、図例では、情報端末8Bにサーバ8Aを介して成形機6及び材料供給部7をも接続した例を示している。これら成形機6及び材料供給部7を含んで成形システムを構成してもよい。このような構成とすれば、金型3を用いた成形に関する成形管理情報(上記した金型管理情報や、金型3の名称、成形材料、成形品名、金型3のメンテナンス記録、メンテナンス間隔等)を一元的に管理することもできる。
なお、表示装置1に接続される外部機器8としては、上記のようなサーバ8Aや情報端末8Bに限られず、成形機6や材料供給部7、金型3の温度を調整する金型温度調節装置等であってもよい。
【0030】
また、表示装置1の本体部10としては、上記のような直方体状とされたものに限られず、多角柱状や円柱状等とされたものでもよく、その他、種々の形状とされたものであってもよい。また、単一の本体部10に、表示部11や、制御部20や記憶部21、入出力部22等を含む制御盤、各種検出部14,17,18を設けた構成に代えて、複数に分離されていてもよい。
また、本実施形態では、開閉計数装置を、表示部11を備えた表示装置1とした例を示しているが、表示部11を備えていない構成としてもよい。この場合は、上記した種々の金型管理情報のうちの少なくとも開閉回数を外部機器8に出力する上記したような入出力部22を備えた構成としてもよい。
また、本実施形態に係る開閉計数装置を構成する各部の構成は、上記した例に限られず、その他、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0031】
1 表示装置(開閉計数装置)
11 表示部(出力部)
12 識別情報表示部
14 開閉検出部
15 出射部
16 受光部
22 入出力部(出力部)
24 磁石
3 金型
4 第1金型
5 第2金型
4a,5b 被取付面
5a,6a 対象面
8 外部機器
図1
図2
図3
図4