(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】トレー
(51)【国際特許分類】
B65D 21/02 20060101AFI20240202BHJP
【FI】
B65D21/02 210
(21)【出願番号】P 2020040046
(22)【出願日】2020-03-09
【審査請求日】2022-09-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】棚橋 正裕
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3001495(JP,U)
【文献】実開昭55-134978(JP,U)
【文献】特開2014-156261(JP,A)
【文献】実開昭56-131333(JP,U)
【文献】特開2010-120694(JP,A)
【文献】実開昭64-014613(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容対象物を載置する収容部が複数設けられるとともに、薬剤を載置する少なくとも1つの窪み部が設けられる平面視略矩形の上面と、
前記上面の各側辺からそれぞれ下方に延びる側壁と、を有し、
前記窪み部は、前記側壁に接して設けられているとともに、前記側壁から内側に向けて傾斜し
、前記薬剤が載置される傾斜面を有し、
前記傾斜面における傾斜方向の
受け壁と、
前記傾斜面における傾斜方向と直交する方向に互いに対向する
横壁と、を更に有
し、
前記横壁は、前記傾斜面に載置された前記薬剤の前記傾斜方向と直交する方向への移動を規制することを特徴とするトレー。
【請求項2】
収容対象物を載置する収容部が複数設けられるとともに、薬剤を載置する少なくとも1つの窪み部が設けられる平面視略矩形の上面と、
前記上面の各側辺からそれぞれ下方に延びる側壁と、を有し、
前記窪み部は、前記側壁に接して設けられているとともに、前記側壁から内側に向けて傾斜した傾斜面を有し、
前記側壁に平行な面における前記傾斜面の少なくとも一部の断面形状は、中央が最も低くなる形状となっていることを特徴とするトレー。
【請求項3】
収容対象物を載置する収容部が複数設けられるとともに、薬剤を載置する少なくとも1つの窪み部が設けられる平面視略矩形の上面と、
前記上面の各側辺からそれぞれ下方に延びる側壁と、を有し、
前記窪み部は、前記側壁に接して設けられているとともに、前記側壁から内側に向けて傾斜した傾斜面を有したトレーであって、
前記トレーは、上下に段積みすることが可能であり、前記トレーが上下に段積みされた場合に、上側の前記トレーにおける側壁であって、下側の前記トレーにおける前記窪み部に対向する位置に、下側の前記トレーの前記窪み部に載置された前記薬剤の移動を規制する規制部を備えることを特徴とするトレー。
【請求項4】
前記窪み部は、前記傾斜面に凹部を備えることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載のトレー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はトレーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワークを収容し、上下に段積み可能なトレーが知られている。例えば、特許文献1には、基板用の包装であって、基板を収納する複数の基板収納部と、基板収納部により囲われた位置である包装の中央近傍に乾燥剤を格納する窪みと、を備える包装が開示されている。このような包装によれば、基板を包装に収納することができ、包装に収納された基板を湿気から保護することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている包装では、乾燥剤を格納する窪みが平面視における包装の中央近傍に設けられている。すなわち、包装を上下に段積みすると、下段の包装の上面に設けられた窪みは、上段の包装の底面により塞がれる。よって、包装を上下に段積みした後は、下段の包装に乾燥剤を格納することができない。
【0005】
また、窪みは包装の中央近傍に上下方向に設けられた中空円柱形状を成している。すなわち、乾燥剤は窪みの内周壁に囲われており、乾燥剤が外気に触れる表面積が狭い。ここで、一般的に、乾燥剤が格納された包装は、保管あるいは運搬の際に、包装が段積みされ、所定の数毎に収納袋に収められ、密封される。
【0006】
つまり、包装における乾燥剤の役割は、収納袋の内部の密封空間での除湿あるいは吸湿である。よって、乾燥剤が外気に触れる面積が狭いと、収納袋の内部の密閉空間での乾燥剤の効果を十分に発揮できない。
【0007】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、収容対象物を収容したトレーを上下に段積みした後に薬剤を載置することができ、かつ、載置した薬剤が外気に触れる表面積を広く確保することにより、収納袋の内部の密閉空間での薬剤の効果を十分に発揮させることが可能なトレーを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様1に係るトレーは、収容対象物を載置する収容部が複数設けられるとともに、薬剤を載置する少なくとも1つの窪み部が設けられる平面視略矩形の上面と、前記上面の各側辺からそれぞれ下方に延びる側壁と、を有し、前記窪み部は、前記側壁に接して設けられているとともに、前記側壁から内側に向けて傾斜し、前記薬剤が載置される傾斜面を有し、前記傾斜面における傾斜方向の受け壁と、前記傾斜面における傾斜方向と直交する方向に互いに対向する横壁と、を更に有し、前記横壁は、前記傾斜面に載置された前記薬剤の前記傾斜方向と直交する方向への移動を規制する。
【0009】
上記の構成では、薬剤を載置する窪み部は、側壁に接して設けられているとともに、側壁から内側に向けて傾斜し、薬剤が載置される傾斜面を有する。すなわち、窪み部は、側壁に接して窪んでいるため、トレーの外壁の近傍に薬剤を載置できる。また、薬剤は載置されている状態において、少なくとも薬剤における上面は外気に触れる。よって、収容対象物を収容したトレーを上下に段積みした後に薬剤を載置することができ、かつ、載置した薬剤が外気に触れる表面積を広く確保することにより、薬剤の効果を十分に発揮させることが可能なトレーを実現することができる。
【0010】
本発明の態様2に係るトレーは、収容対象物を載置する収容部が複数設けられるとともに、薬剤を載置する少なくとも1つの窪み部が設けられる平面視略矩形の上面と、前記上面の各側辺からそれぞれ下方に延びる側壁と、を有し、前記窪み部は、前記側壁に接して設けられているとともに、前記側壁から内側に向けて傾斜した傾斜面を有し、前記側壁に平行な面における前記傾斜面の少なくとも一部の断面形状は、中央が最も低くなる形状となっている。
【0011】
上記の構成によれば、窪み部に載置した薬剤は、運搬時などの振動によって窪み部の中央に寄る。また、薬剤が湿気を吸湿することで丸みをおびて動きやすくなった場合においても、窪み部の中央が低いため、薬剤は窪み部に安定して留まる。
【0012】
本発明の態様3に係るトレーは、収容対象物を載置する収容部が複数設けられるとともに、薬剤を載置する少なくとも1つの窪み部が設けられる平面視略矩形の上面と、前記上面の各側辺からそれぞれ下方に延びる側壁と、を有し、前記窪み部は、前記側壁に接して設けられているとともに、前記側壁から内側に向けて傾斜した傾斜面を有したトレーであって、前記トレーは、上下に段積みすることが可能であり、前記トレーが上下に段積みされた場合に、上側の前記トレーにおける側壁であって、下側の前記トレーにおける前記窪み部に対向する位置に、下側の前記トレーの前記窪み部に載置された前記薬剤の移動を規制する規制部を備える。
【0013】
上記の構成によれば、トレーを上下に段積みした状態において、上側のトレーの側壁に設けられた規制部により、下側のトレーの薬剤載置部に載置された薬剤の移動を規制できる。
【0014】
本発明の態様4に係るトレーは、上記の態様1~3の何れか一項において、前記窪み部は、前記傾斜面に凹部を備える構成としてもよい。
【0015】
上記の構成によれば、窪み部に薬剤を載置した場合に、薬剤の載置面は凹部によって外気に触れる。よって、載置した薬剤が外気に触れる表面積をさらに広く確保することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の一態様によれば、収容対象物を収容したトレーを上下に段積みした後に薬剤を載置することができ、かつ、載置した薬剤が外気に触れる表面積を広く確保することにより、薬剤の効果を十分に発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施形態に係るケースの全体概要図である。
【
図2】トレーに収容物を収容し、窪み部に薬剤を載置したトレーの全体概要図である。
【
図3】トレーの全体構成を示す斜視図および平面図である。
【
図4】同一形状のトレーを段積みした状態を示す斜視図、破線部における部分拡大図、およびE-E矢視断面図である。
【
図5】トレーの上面側の斜視図、およびトレーの底面側の斜視図である。
【
図6】トレーに乾燥剤とワークとを載置した様子を示す斜視図、ワークを載置したトレーを段積みした状態を示す斜視図、および、F-F矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係るケースの全体概要図である。
図1の上側は上面視の斜視図である。
図1の下側は底面視の斜視図である。
図2は、トレー100に収容対象物(以下、ワークWという。)を収容し、窪み部2に薬剤Mを載置したトレー100の全体概要図である。
図2の中段はC-C矢視断面図である。
図2の下段は、D-D矢視断面の窪み部2の部分拡大図である。
【0019】
なお、以下の説明において、薬剤Mの一例として乾燥剤Mを挙げて説明をするが、薬剤Mは乾燥剤Mに限られるものではなく、保温剤、保湿剤、脱臭剤、芳香剤、防虫剤、防腐剤、防錆剤など、収容空間に好適な薬剤Mを適宜使用することができる。
【0020】
≪トレー100の概要≫
図1に示すとおり、トレー100は、ワークWを載置する収容部1が複数設けられている。また、トレー100は、乾燥剤Mを載置する少なくとも1つの窪み部2が設けられている。
【0021】
トレー100は、上面Tの各側辺からそれぞれ下方に延びる側壁3を有している。窪み部2は、側壁3に接して設けられているとともに、側壁3から内側に向けて傾斜した傾斜面4を有している。
【0022】
トレー100は、平面視略矩形の形状であり、例えば、ポリプロピレンからなら樹脂製である。また、トレー100は、収容部1にワークWを収容し保管あるいは運搬するものである。
【0023】
収容部1は、トレー100の上面Tに複数設けられている。収容部1は、ワークWを収容する。
図1の収容部1は略円形の窪み形状を成している。なお、収容部1の形状はこれに限られるものではなく、楕円、四角形、三角形、棒状など、ワークWの形状に適した形状で成形することができる。
【0024】
窪み部2は、側壁3に接して設けられている。具体的には、
図1に示すとおり、窪み部2は、収容部1が配置されている領域を挟むように側壁3にそれぞれ接するように一対設けられている。本実施形態においては、窪み部2は2つであるが、その数は限定されるものではなく、1つであっても、3つ以上であってもよい。
【0025】
側壁3は、トレー100の上面Tの各側辺からそれぞれ下方に延びる壁である。側壁3は、
図1に示すとおり、載置縁3aを有する。該載置縁3aは、同一形状のトレー100を重ねて収納する、いわゆるネスティングした状態において、上側のトレー100の側壁3の下面に対向する位置に設けられている。
【0026】
載置縁3aは、同一形状のトレー100をネスティングした場合、上側のトレー100は、載置縁3aの位置で下方向への移動が規制される。
【0027】
よって、トレー100は、側壁3に載置縁3aを有することで、同一形状のトレー100をネスティングした場合、載置縁3aの位置より下方向へトレー100が入り込むことを抑制できるため、トレー100同士の離間が容易となる。
【0028】
傾斜面4は、窪み部2に設けられている。傾斜面4は、側壁3から内側に向けて傾斜している。傾斜面4は、
図2の下段に示すとおり、側壁3に平行な面における傾斜面4において、その断面形状は、中央が最も低くなる形状となっている。
【0029】
該形状により、窪み部2に載置した乾燥剤Mは、運搬時などの振動によって窪み部2の中央に寄る。また、薬剤Mが湿気を吸湿することで丸みをおびて動きやすくなった場合において、窪み部2の中央が底面B側に低くなっているため、乾燥剤Mは窪み部2に安定して留まる。
【0030】
傾斜面4は、凹部5を備えている。
図1に示すとおり、凹部5は、側壁3から内側に向けて延在している。窪み部2に乾燥剤Mを載置した場合に、乾燥剤Mの載置面は凹部5によって外気に触れる。よって、載置した乾燥剤Mが外気に触れる表面積をさらに広く確保することができる。
【0031】
なお、本実施形態において、凹部5は、側壁3から内側に向けて延在しているが、これに限られるものではない。例えば、側壁3から内側の方向と直交する方向、すなわち、窪み部2が設けられている側壁3において、該側壁3に平行となる方向に設けられてもよい。また、凹部5は所定間隔に複数設けられているが、一つであってもよいし、凹部5の数は適宜に変更することができる。
【0032】
また、窪み部2は、囲い壁6に少なくとも部分的に囲われている。囲い壁6は、傾斜面4の側壁3に接する辺を除く各辺からそれぞれ上面Tの方向に延びて立設する壁である。
【0033】
囲い壁6は、傾斜面4における傾斜方向の壁(受け壁6a)と、傾斜面4における傾斜方向と直交する方向の互いに対向する壁(横壁6b)とにより構成されている。
【0034】
受け壁6aは、傾斜面4における傾斜方向への乾燥剤Mの移動を規制し、横壁6bは、傾斜面4における傾斜方向と直交する方向への乾燥剤Mの移動を規制している。
【0035】
つまり、トレー100に載置された乾燥剤Mは、窪み部2に設けられた囲い壁6と傾斜面4とにより運搬時などに生じる振動による移動が規制される。
【0036】
≪トレー100の段積み≫
次に、トレー100を段積みする場合について説明する。トレー100を段積みする場合、トレー100の上面Tに板状の仕切り部材(不図示)を置き、該仕切り部材の上にトレー100を積み上げるように、トレー100を段積みする。
【0037】
つまり、従来のトレーは、板状の仕切り部材がトレーの上面に置かれた状態、および、トレーが段積みされた状態において、乾燥剤をトレーに載置することは困難である。
【0038】
一方、本実施形態に係るトレー100は、窪み部2が側壁3に接して窪んでいるため、トレー100の外壁の近傍に乾燥剤Mを載置できる。よって、ワークWを収容したトレー100を上下に段積みした後に乾燥剤Mを載置することができる。
【0039】
なお、トレー100は、仕切り部材がなくとも、上下に段積み可能とする構成にしてもよい。例えば、側壁3が交わるコーナー部に、載置部(不図示)を設ける構成でもよい。
【0040】
載置部を設ける構成とした場合、載置部には、トレー100を積み上げたときに、上側のトレー100の底面B側であって、載置部に対向する位置に設けられた篏合部(不図示)が篏合されることにより、トレー100を積み上げる。
【0041】
あるいは、篏合部のほか、トレー100を積み上げたときに、上側のトレー100の底面B側であって、載置部に対向する位置に設けられた載置突起(不図示)が載置されることにより、トレー100を積み上げる構成としてもよい。
【0042】
≪トレー100に設けられた溝7≫
次に、トレー100に設けられた溝7の役割について説明する。
図1に示すとおり、トレー100は、複数の溝7を形成してなる。溝7は、窪み部2と収容部1との間を連通するように設けられている。
【0043】
また、溝7は、隣り合う収容部1の間を連通するように設けられている。すなわち、トレー100は、窪み部2と収容部1とが溝7を介して連通している。
【0044】
よって、トレー100に設けられた溝7は、該溝7を介して窪み部2に載置された乾燥剤Mの除湿および吸湿効果をそれぞれの収容部1に行き渡らせる役割を担っている。
【0045】
また、トレー100の上面Tに仕切り部材が置かれ、その上にトレー100が積み上げられた状態、あるいは、トレー100が上下に段積みされた状態においても、溝7を介して収容部1は繋がっている。
【0046】
よって、窪み部2に載置された乾燥剤Mの除湿および吸湿効果をそれぞれの収容部1に行き渡らせることができる。
なお、同一形状のトレー100同士が段積みされたのち、積み上げられた複数のトレー100を一つの纏まりとして収容袋に収容する場合がある。
【0047】
積み上げられた複数のトレー100を一つの纏まりとして収容袋に収容する場合においても、窪み部2に載置された乾燥剤Mは、外気に触れる表面積が広い。
【0048】
よって、乾燥剤Mが外気に触れる表面積を広く確保することにより、収納袋の内部の密閉空間での除湿および吸湿にも効果を十分に発揮させることができる。
≪トレー100の効果≫
以上のとおり、乾燥剤Mを載置する窪み部2は、側壁3に接して設けられているとともに、側壁3から内側に向けて傾斜した傾斜面4を有する。すなわち、窪み部2は、側壁3に接して窪んでいるため、トレー100の外壁の近傍に乾燥剤Mを載置できる。
【0049】
さらに、窪み部2は、トレー100の収容部1の配置の関係上、生じ得る上面Tのデッドスペースを上手く活用することで、側壁3に接して設けられている。
【0050】
また、乾燥剤Mは載置されている状態において、少なくとも乾燥剤Mにおける上面は外気に触れる。
【0051】
よって、ワークWを収容したトレー100を上下に段積みした後に乾燥剤Mを載置することができる。また、載置した乾燥剤Mが外気に触れる表面積を広く確保することにより、薬剤Mの効果を十分に発揮させることができる。さらに、ワークWの収容効率を向上させることができる。
【0052】
≪変形例≫
〈第1変形例〉
本発明の第1変形例について、
図3および
図4を用いて以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態において説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0053】
図3は、トレーの全体構成を示す斜視図および平面図である。
図4は、同一形状のトレーを段積みした状態を示す斜視図、破線部における部分拡大図、およびE-E矢視断面図である。
【0054】
図3に示すように、トレー200の窪み部20は、トレー100の窪み部2とは形状が異なる。具体的には、
図2のC-C矢視断面図に示すとおり、トレー100の窪み部2に設けられた乾燥剤Mを載置する面(傾斜面4)は、底面Bに対して、傾斜角が45°より小さくなるように設けられている。すなわち、乾燥剤Mを平置きに近い状態で載置できる構造である。
【0055】
一方、トレー200の窪み部20は、
図4のE-E矢視断面図に示すとおり、乾燥剤Mを載置する面(傾斜面21)は、底面Bに対して、傾斜角が45°より大きくなるように設けられている。
【0056】
また、
図3の平面図に示すとおり、窪み部20の
図3における上下の幅は狭い。すなわち、トレー200の窪み部20に乾燥剤Mが載置されると、乾燥剤Mは、底面Bに対して、傾斜角が45°より大きくなるように設けられた傾斜面21に沿うように、窪み部20に載置される。
【0057】
また、
図4のE-E矢視断面図に示すとおり、トレー200を上下に段積みした状態において、窪み部20に載置された乾燥剤Mの上下方向の長さは、少なくとも、上段に載置されたトレー200の規制部23に届く長さとなる。また、窪み部20に載置された乾燥剤Mの上下方向の長さは、上段に載置されたトレー200の規制部23の高さを超えて、上段に載置されたトレー200の上面から突出する長さであってもよい。
【0058】
また、トレー200の収容部22は、トレー100の収容部1とは形状が異なる。トレー200の収容部22は、略円形ではなく、円柱状のワークを載置するのに適した形状をしている。すなわち、トレー200の収容部22は、円柱状のワークの外周面に沿うように成形されている。
【0059】
また、トレー200は、トレー100とは異なり、規制部23を備えている。規制部23は、
図3に示すとおり、側壁3からトレーの内側に向けて一段凹んだ形状である。規制部23は、側壁3に沿って設けられている。規制部23は、トレー200を段積みした場合、下側のトレー200の窪み部20に載置された乾燥剤Mの移動を規制する。
【0060】
また、規制部23は、
図3の示すとおり、平面視において窪み部20と対向する位置に設けられている。すなわち、平面視において、対向する辺の一方に窪み部20が設けられており、他方の辺に規制部23が設けられている。
【0061】
トレー200を段積みする場合、同一形状のトレー200を積み上げる。トレー200は、積み上げる時に下側のトレー200の向きを180度回転させて積み上げる。
【0062】
具体的には、平面視におけるトレー200の中心位置を回転支点として、上側のトレー200を180度回転させて、下側のトレー200の上に段積みする。
【0063】
この様に、下側のトレー200の向きから180度回転させて、下側のトレー200の上にトレー200を段積みすると、上側のトレー200における側壁であって、下側のトレー200における窪み部20に対向する位置に規制部23を配置できる。
【0064】
規制部23は、該配置において、下側のトレー200の窪み部20に載置された乾燥剤Mの移動を規制する。
【0065】
以上のとおり、トレー200の傾斜面21は、トレー200の底面Bに対して、傾斜角が45°より大きくなるように設けられている。
【0066】
また、トレー200は、トレー200を段積みした状態において、上側のトレー200における側壁3であって、下側のトレー200における窪み部20に対向する位置に規制部23を配置する。
【0067】
よって、トレー200は、運搬時などの振動により、窪み部20に載置された乾燥剤Mの側壁3からトレー200の内側方向への倒れこみを規制することができる。
【0068】
さらに、従来の包装では、包装の中央近傍に乾燥剤を格納する窪みが設けられているため、乾燥剤の上下方向の長さが包装の上下方向の長さよりも長い場合、乾燥剤が包装から飛び出し、上に包装を段積みすることが困難となる。
【0069】
また、上に包装を段積みしたとしても、乾燥剤が上に段積みされた包装に当たるなどして、破れる可能性がある。つまり、乾燥剤の上下方向の長さは限定される。
【0070】
一方、本実施形態におけるトレー200は、窪み部20が側壁3に沿って設けられている。窪み部20に載置された乾燥剤Mの上下方向の長さは、上段に載置されたトレー200の規制部23の高さを超えて、上段に載置されたトレー200の上面から突出する長さであってもよい。よって、乾燥剤の上下方向の長さが限定されることはない。
〈第2変形例〉
次に
図5および
図6を用いて、本発明の第2変形例について説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態および上記第1変形例において説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0071】
図5は、トレー300の上面側の斜視図、およびトレー300の底面側の斜視図である。
図6は、トレー300に乾燥剤MとワークXとを載置した様子を示す斜視図、ワークXを載置したトレー300を段積みした状態を示す斜視図、および、F-F矢視断面図である。
【0072】
図5に示すとおり、トレー300は、受部30を備えている。また、トレー300は、傾斜面31の底面B側に、傾斜面31に設けられた凹部32を延伸させて形成される規制部33を備えている。
【0073】
受部30は、トレー300に収容されるワークXの表面形状に沿って成形される。受部30は、トレー300の底面B側であり、トレー300を段積みした状態において、下側のトレー300に収容されたワークXの上面と対向する位置に設けられる。
【0074】
受部30は、
図6に示すとおり、収容部34にワークXを載置した状態において、トレー300を段積みした場合に、下側のトレー300に載置されたワークXの上面を載置面として、ワークXを受容する。
【0075】
受部30は、下側のトレー300に載置されたワークXの上面を載置面としてワークXを受容することにより、トレー300の段積みを可能とする。
【0076】
規制部33は、
図6に示すとおり、トレー300を段積みした状態において、下側のトレー300の窪み部35に載置された乾燥剤Mの側壁3からトレー300の内側方向への移動を規制する。規制部33は、
図5および
図6に示すとおり、窪み部35の裏側に設けられている。
【0077】
ここで、
図3および
図4に示すトレー200は、下側のトレーにおける窪み部20に対向する位置に規制部23が設けられている構成である。一方、トレー300の規制部33は、下側のトレー300と同方向にトレー300を段積みした場合に、下側のトレー300の窪み部35に対向する位置に規制部33が設けられている。
【0078】
すなわち、トレー300は、上側のトレー300を回転させることなく、上下に段積みしたトレー300において、窪み部35に対向する位置に規制部33が配置される。
【0079】
以上のとおり、トレー300は受部30を備える。また、トレー300は、下側のトレーにおける窪み部35に対向する位置に規制部33が設けられている。
【0080】
よって、トレー300は、ワークXを介して段積みすることが可能であり、且つ、運搬時などの振動により、窪み部35に載置された乾燥剤Mの側壁3からトレー300の内側方向への倒れこみを規制することができる。
【0081】
さらに、第1変形例と同様、窪み部35が側壁3に沿って設けられている。該窪み部35に載置された乾燥剤Mの上下方向の長さは、上段に載置されたトレー300の規制部33の高さを超えて、上段に載置されたトレー300の上面から突出する長さであってもよい。よって、乾燥剤の上下方向の長さが限定されることはない。
【0082】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0083】
1、22、34 収容部
3 側壁
4、21、31 傾斜面
5、32 凹部
6a 受け壁
6b 横壁
23、33 規制部
30 受部
100、200、300 トレー
B 底面
T 上面
M 薬剤、乾燥剤
W、X 収容物、ワーク