(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240202BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
A63F7/02 320
(21)【出願番号】P 2020056966
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2021-04-05
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】窪田 倫也
(72)【発明者】
【氏名】續木 清貴
(72)【発明者】
【氏名】市原 卓人
(72)【発明者】
【氏名】安藤 康晃
【合議体】
【審判長】藤田 年彦
【審判官】渋谷 知子
【審判官】▲高▼橋 祐介
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-228910(JP,A)
【文献】特開2015-167769(JP,A)
【文献】特開2003-236086(JP,A)
【文献】特開2020-014947(JP,A)
【文献】特開2010-263992(JP,A)
【文献】特開2014-033792(JP,A)
【文献】特開2015-027349(JP,A)
【文献】特開2013-158393(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正面視で遊技者が視認可能な表示領域を有する表示装置を備え、当該表示領域にてそれぞれが複数種の識別図柄を含む複数の識別図柄群が変動表示された後、当該複数の識別図柄群のそれぞれから選択された前記識別図柄の組み合わせが表示されることにより当否判定結果が遊技者に対し報知される遊技機であって、
遊技球が流下する遊技領域が前方に形成される遊技盤と、
第一位置および
当該第一位置よりも右側の第二位置に位置することが可能な可動体と、
を備え、
前記遊技領域は、前記可動体が前記第一位置に位置するときにおける当該可動体側の領域である第一遊技領域、および、前記可動体が前記第二位置に位置するときにおける当該可動体側の領域である第二遊技領域を含み、
遊技者が前記第一遊技領域を狙って遊技球を発射すべき状態においては前記可動体を前記第二位置に位置させ、遊技者が前記第二遊技領域を狙って遊技球を発射すべき状態においては前記可動体を前記第一位置に位置させ、
前記可動体が前記第一位置に位置するときにおいては当該可動体の
右側に前記表示領域が位置して当該表示領域にて複数の前記識別図柄群が変動表示され、前記可動体が前記第二位置に位置するときにおいては当該可動体の
左側に前記表示領域が位置して当該表示領域にて複数の前記識別図柄群が変動表示されることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技状態に応じて遊技球の発射態様を異ならせるよう遊技者に指示する遊技機が公知である(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、遊技者が行うべき遊技球の発射態様の変化を分かりやすく示すことが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、遊技球が流下する遊技領域が前方に形成される遊技盤と、第一位置および第二位置に位置することが可能な可動体と、を備え、前記遊技領域は、前記可動体が前記第一位置に位置するときにおける当該可動体側の領域である第一遊技領域、および、前記可動体が前記第二位置に位置するときにおける当該可動体側の領域である第二遊技領域を含み、遊技者が前記第一遊技領域を狙って遊技球を発射すべき状態においては前記可動体を前記第一位置および前記第二位置の一方に位置させ、遊技者が前記第二遊技領域を狙って遊技球を発射すべき状態においては前記可動体を前記第一位置および前記第二位置の他方に位置させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる遊技機は、遊技者が行うべき遊技球の発射態様の変化を分かりやすく示すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態にかかる遊技機の正面図である(第一位置に位置する可動体を点線で、第二位置に位置する可動体を実線で示す)。
【
図2】遊技状態と可動体の位置の関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
1)遊技機の基本構成
以下、本発明にかかる遊技機1(ぱちんこ遊技機)の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。なお、以下の説明にて画像というときは、動画および静止画の両方を含むものとする。
【0009】
遊技機1は遊技盤20を備える。遊技盤20は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域21に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
表示装置50の表示領域51は、遊技盤20に形成された開口201を通じて視認可能な部分である(表示領域51は、遊技機1に正対する遊技者が視認可能な領域をいうものとする)。本実施形態における表示装置50は動かないように遊技機1の本体側に対し固定されたものである。
【0011】
遊技領域21には、始動領域904、大入賞領域906、アウト口などが設けられている。また、遊技領域21には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域21を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0012】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域21に向けて遊技球を発射する。遊技領域21を流下する遊技球が、始動領域904や一般入賞領域20、大入賞領域906等の入賞領域に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0013】
なお、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0014】
大当たりの抽選は、図示されない制御基板に設けられた当否判定手段が始動領域904への遊技球の入賞を契機として実行する。本実施形態では、始動領域904として、第一始動領域904a(いわゆる「特
図1」の始動入賞領域)と第二始動領域904b(いわゆる「特
図2」の始動入賞領域)が設けられている。始動領域904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(当否判定情報)が取得され、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、当該数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される(いわゆる変動が開始される)こととなるが、未だ当否判定結果の報知が完了していない当否判定情報が存在する場合には、新たに取得された当否判定情報は保留情報として図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。記憶手段に保留情報が記憶されていることは、保留図柄70として表示される。
【0015】
本実施形態では、保留図柄70として、当否判定結果を報知する報知演出(識別図柄80(識別図柄群80g)の変動開始から、当否判定結果を示す組み合わせで完全に停止するまでの演出、いわゆる一変動中分の演出をいう)は開始されているものの、当否判定結果の報知は完了していない情報(以下、変動中保留情報と称することもある)に対応する変動中保留図柄71(いわゆる「当該変動保留」の存在を示す図柄)と、当否判定結果を報知する報知演出が開始されていない情報(以下、変動前保留情報と称することもある)に対応する変動前保留図柄72が表示される(
図2参照)。本実施形態では、変動中保留図柄71と変動前保留図柄72の基本的な形態は同じであり、両者を区別するために変動中保留図柄71の方が変動前保留図柄72よりも大きく表示される。変動中保留図柄71と変動前保留図柄72の基本的な形態が全く異なるものとしてもよい。
【0016】
変動前保留情報の最大の記憶数は上限が決められている。本実施形態では、第一始動領域904aに入賞することによって得られる「特
図1」の変動前保留情報の最大の記憶数は四つであり、第二始動領域904bに入賞することによって得られる「特
図2」の変動前保留情報の最大の記憶数は四つである。したがって、特
図1および特
図2の一方に相当する保留図柄70に関していえば、一つの変動中保留図柄71と、最大四つの変動前保留図柄72が表示されることがある(
図2参照)。本実施形態では、特
図1の保留図柄70(
図2(a)参照)と特
図2の保留図柄70(
図2(b)参照)は、その基本的形態および表示位置が異なるものとされる。
【0017】
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置50の表示領域51に表示される識別図柄80(
図2参照)の組み合わせによって当否判定結果を遊技者に報知する。具体的には、複数種の識別図柄80を含む識別図柄群80g(左識別図柄群80gL、中識別図柄群80gC、右識別図柄群80gR)が変動を開始し、最終的に各識別図柄群80gから一の識別図柄80が選択されて停止する。大当たりに当選している場合には各識別図柄群80gから選択されて停止した識別図柄80の組み合わせは所定の組み合わせ(例えば、同じ識別図柄80の三つ揃い)となる。はずれである場合にはそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)の組み合わせとなる。識別図柄80は、数字とキャラクタ等が組み合わされたものとしてもよい。
【0018】
本実施形態では、遊技状態として、通常遊技状態と特別遊技状態が設定されている。特別遊技状態は、通常遊技状態に比して遊技者に有利な遊技状態である。通常遊技状態は、大当たりに当選する確率が低い低確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しにくい低ベース状態(低確率・低ベース)である。特別遊技状態としては、第一特別遊技状態と第二特別遊技状態が設定されている。第一特別遊技状態は、大当たりに当選する確率が高い高確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しやすい高ベース状態(高確率・高ベース)である。第二特別遊技状態は、大当たりに当選する確率が低い低確率遊技状態であり、かつ、始動領域904に遊技球が入賞しやすい高ベース状態(低確率・低ベース)である。通常遊技状態においては、遊技者は、第一始動領域904a(特
図1)を狙って遊技球を発射させる。本実施形態では、遊技領域21における表示装置50の左側(以下、第一遊技領域211と称することもある)を遊技球が流下するように遊技球を発射させる。つまり、いわゆる「左打ち」を行う。特別遊技状態は、第二始動領域904b(特
図1)を狙って遊技球を発射させる。本実施形態では、遊技領域21における表示装置50の右側(以下、第二遊技領域212と称することもある)を遊技球が流下するように遊技球を発射させる。つまり、いわゆる「右打ち」を行う。極めてイレギュラーな遊技球の動きが生じない限り、第一遊技領域211に進入した遊技球は第二遊技領域212に進入せず、第二遊技領域212に進入した遊技球は第一遊技領域211に進入しないように設定されている。特別遊技状態は、普通始動領域905に遊技球が進入することを契機とした第二始動領域904bの開放抽選に当選しやすい状態であるため、比較的容易に第二始動領域904bに遊技球が入賞する。
【0019】
2)可動体
本実施形態にかかる遊技機1は、所定範囲を動作することが可能な可動体10を備える(
図1等参照)。可動体10の前面には、所定の装飾(図面においてはハッチングで示す)が施されている。本実施形態における可動体10は、前後方向に直交する平面方向に沿って移動する(平面方向に沿ってスライドする)ことが可能なものである。可動体10を移動させるための駆動機構(駆動源および動力伝達構造)はどのようなものであってもよいから説明を省略する。可動体10は、表示装置50よりも上下に長く、表示装置50よりも左右に短い形状を呈する。可動体10の前後方向位置は、表示装置50(表示面)よりも前である。したがって、可動体10と表示装置50が重なる場合、可動体10に表示装置50の一部が覆われることになる(可動体10に覆われていない部分が表示領域51となる)。
【0020】
図示しないが、表示装置50の上側には左右方向に延びる上レールが、下側には左右方向に延びる下レールが設けられており、可動体10は両レールに誘導されることで左右にスライドする。本実施形態における可動体10は、上下方向における位置は変化しない。
【0021】
可動体10は、少なくとも、第一位置(
図2(b)参照)および第二位置(
図2(a)参照)に位置することが可能である。遊技者視点で、第一位置は左側、第二位置は右側の位置である。具体的には、第一位置に位置する可動体10側に上述した第一遊技領域211(左側の遊技領域)が位置し、第二位置に位置する可動体10側に上述した第二遊技領域212(右側の遊技領域)が位置するということである。なお、
図1以外の図面においては、表示装置50と可動体10の位置関係を大まかに示す。
【0022】
可動体10が第一位置に位置するときには、可動体10の右側に表示領域51が位置する(
図2(b)参照)。可動体10が第二位置に位置するときには、可動体10の左側に表示領域51が位置する(
図2(a)参照)。可動体10が第一位置に位置するときと、第二位置に位置するときとでは、表示装置50における可動体10が重なる部分が異なるため、可動体10が第一位置に位置するときにおける表示領域51(以下、第一表示領域511と称することもある)と、可動体10が第二位置に位置するときにおける表示領域51(以下、第二表示領域512と称することもある)が占める範囲は完全に一致しない。換言すれば、遊技機全体(遊技機の外縁)を基準とした第一表示領域511の位置と、第二表示領域512の位置は一致しない。可動体10が第一位置に位置するときには第一表示領域511に演出用の各種画像が表示され、可動体10が第二位置に位置するときには第二表示領域512に演出用の各種画像が表示される。
【0023】
3)遊技状態と可動体
本実施形態では、遊技状態に応じ、可動体10の位置を異ならせる。具体的には、通常遊技状態が設定されているときには可動体10を第二位置に位置させる(
図2(a)参照)。特別遊技状態が設定されているときには可動体10を第一位置に位置させる(
図2(b)参照)。つまり、第一遊技領域211を狙って遊技球を発射すべき状態(「左打ち」を行うべき状態)においては可動体10を第二位置に位置させ、第二遊技領域212を狙って遊技球を発射すべき状態(「右打ち」を行うべき状態)においては可動体10を第一位置に位置させる。なお、通常遊技状態が基準となる遊技状態である(確率通りであれば、通常遊技状態にある時間の方が特別遊技状態にある時間よりも長い)とすれば、可動体10の第二位置が原位置であるということがいえる。
【0024】
第二位置に位置する可動体10は、第一遊技領域211よりも第二遊技領域212に近い。したがって、可動体10が第二位置に位置するときには、遊技者は、可動体10が第二遊技領域212を圧迫し、第一遊技領域211を開放しているような印象を受ける。ゆえに、可動体10が第二位置に位置するときには、第一遊技領域211に向かって遊技球を発射すべき状態であることが分かりやすい。一方、第一位置に位置する可動体10は、第二遊技領域212よりも第一遊技領域211に近い。したがって、可動体10が第一位置に位置するときには、遊技者は、可動体10が第一遊技領域211を圧迫し、第二遊技領域212を開放しているような印象を受ける。ゆえに、可動体10が第一位置に位置するときには、第二遊技領域212に向かって遊技球を発射すべき状態であることが分かりやすい。つまり、本実施形態にかかる遊技機1は、可動体10を利用して、遊技者が行うべき遊技球の発射態様(「左打ち」or「右打ち」)を分かりやすく示すことが可能である。また、遊技状態(遊技球の発射態様)に応じて、遊技盤面(盤面レイアウト)が変化するという面白みのあるものである。
【0025】
また、本実施形態では、可動体10が第一位置に位置するときにおいては可動体10の右側に表示領域51(第一表示領域511)が位置し、可動体10が第二位置に位置するときにおいては可動体10の左側に表示領域51(第二表示領域512)が位置する。つまり、単に可動体10の位置が変化するのみならず、可動体10と表示領域51の位置関係が変化するという構成であるため、遊技球の発射態様の変化が分かりやすくなる。
【0026】
遊技者は、通常遊技状態を経て特別遊技状態に至る(特別遊技状態は遊技者に有利な遊技状態であるから、特別遊技状態で空台となっていることはほぼない。したがって通常であれば通常遊技状態にて遊技を開始する)。そのため、可動体10が第二位置に位置する状況(
図2(a)に示す状況)を経験した後、可動体10が第一位置に位置する状況(
図2(b)に示す状況)を経験することになる。可動体10が第二位置に位置する状況との比較で、可動体10が第一位置に位置する状況は、第二遊技領域212が開放されているという印象を与えるものであるといえる。
【0027】
なお、通常遊技状態や特別遊技状態(第一特別遊技状態、第二特別遊技状態)以外の状態においても、同様の観点で可動体10の位置を制御する。当否判定結果が大当たりとなったときに実行される大当たり遊技状態では可動体10が第一位置に位置させられる。本実施形態では、「右打ち」で大入賞領域906を狙うことになる(大入賞領域906が第二遊技領域212に設けられている)からである。逆に、「左打ち」で大入賞領域906を狙う遊技性であるのであれば、大当たり遊技状態では可動体10が第二位置に位置させられるようにする。また、いわゆる小当たりラッシュ等が搭載されている場合においても、狙うべき領域が設けられている箇所に応じて(当該領域を「左打ち」で狙うか「右打ち」で狙うかに応じて)、当該状態における可動体10の位置が制御されるようにする。
【0028】
3)以下、上記実施形態にかかる遊技機1を改良、具体化、変形等した具体例について説明する。なお、可能な限りにおいて、以下の具体例を用いて説明する技術を複数組み合わせて適用した構成としてもよい。また、各具体例を説明する図面は、説明を分かりやすくするため、適宜、変形、簡略化等しているものもある。
【0029】
〇第一具体例
遊技盤20における第一遊技領域211および第二遊技領域212の少なくともいずれか一方を構成する部分が光透過性を有する材料で形成された光透過部であるとする。例えば、第二遊技領域212を構成する部分の少なくとも一部が光透過部であるとする。本例では、遊技盤20における第二遊技領域212を構成する部分の全体が光透過部であり、当該光透過部は無色透明な部分である。第二遊技領域212の後方に位置する部材等は、第二遊技領域212(光透過部)を通じて視認可能となる。
【0030】
第一遊技領域211を狙って遊技球を発射すべき状態(「左打ち」すべき状態)であるとき、可動体10は第二遊技領域212側の第二位置に位置する(
図3(a)参照)。本例では、第二位置に位置する可動体10は、第二遊技領域212を形成する光透過部の少なくとも一部に重なるように、当該光透過部の後方に位置する。したがって、第二位置に位置する可動体10の少なくとも一部は光透過部を通じて視認可能な状態にある。別の味方をすれば、第二遊技領域212に可動体10が重なり、第二遊技領域212が可動体10により閉鎖されているかのように見える。したがって、可動体10が第二位置に位置するときには、第二遊技領域212を狙って遊技すべき状況ではないことを遊技者は把握することができる。
【0031】
一方、第二遊技領域212を狙って遊技球を発射すべき状態(「右打ち」すべき状態)であるとき、可動体10は第一遊技領域211側の第一位置に位置する(
図3(b)参照)。したがって、可動体10は光透過部に重ならない。つまり、第二遊技領域212が開放されているかのように見えるため、第二遊技領域212を狙って遊技することができる状況であることを遊技者は把握することができる。
【0032】
〇第二具体例
第一具体例と逆の設定である。つまり、第一遊技領域211を狙って遊技球を発射すべき状態においては可動体10を第一位置に位置させ(
図4(a)参照)、第二遊技領域212を狙って遊技球を発射すべき状態においては可動体10を第二位置に位置させる(
図4(b)参照)。つまり、第二遊技領域212の光透過部を通じて可動体10の少なくとも一部が視認される状況が、第二遊技領域212を狙って遊技球を発射させるべき状態である設定とする。
【0033】
本例のようにする場合、可動体10により狙うべき領域(対象領域25)が強調されるようにするとよい。例えば、大当たり遊技状態は大入賞領域906が対象領域25であるところ、可動体10に強調部15を設け、可動体10が第二位置に位置するときには、大入賞領域906(少なくとも一部が光透過部とされる)と強調部15が重なるようにする。これにより、強調部15により大入賞領域906が目立つ状態とされるため、遊技者は当該領域を狙うべき状況であることを把握することができる。図示しないが、特別遊技状態であれば、第二始動領域904b(特
図2の始動領域)が対象領域25として設定されるようにすればよい。
【0034】
例えば、一または複数の光源から構成される発光部を強調部15として設定することが考えられる。つまり、可動体10が第二位置に位置するときには、当該発光部を発光させることで、対象領域25が設けられた箇所が目立つことになる(
図4(b)参照)。可動体10が第一位置に位置するときには、当該発光部を発光させないようにすることが好ましい(
図4(a)参照)。可動体10を第二位置に位置させたときの発光部の発光がより目立つからである。このように、可動体10が第二位置に位置するときの方が、第一位置に位置するときよりも、強調部15が目立つ態様とされるとよい。
【0035】
〇第三具体例
表示装置50が移動するものとする。具体的には、表示装置50は、少なくとも所定位置(
図5(a)参照)および別位置(
図5(b)参照)に位置することが可能であるとする。所定位置の方が別位置よりも左側である。したがって、所定位置に位置する表示装置50よりも、別位置に位置する表示装置50の方が第一遊技領域211から離れた状態にある。逆の味方をすれば、別位置に位置する表示装置50よりも、所定位置に位置する表示装置50の方が第二遊技領域212から離れた状態にある。本例では、表示装置50の上下方向位置(高さ位置)、前後方向位置は変化しない。つまり、表示装置50は左右にスライドすることで所定位置と別位置との間を往復する。また、可動体10は表示装置50よりも前方に位置する。このように動作させることができるものであれば表示装置50の駆動機構はどのようなものであってもよいから説明を省略する。
【0036】
可動体10が第二位置に位置するときには、表示装置50は所定位置に位置させられる。つまり、第一遊技領域211を狙って遊技球を発射させるべき(左打ちすべき)状況のときには、可動体10を第二位置に、表示装置50を所定位置に位置させる(
図5(a)参照)。可動体10が第一位置に位置するときには、表示装置50は別位置に位置させられる(
図5(b)参照)。つまり、第二遊技領域212を狙って遊技球を発射させるべき(右打ちすべき)状況のときには、可動体10を第一位置に、表示装置50を別位置に位置させる。換言すれば、可動体10および表示装置50はいずれも相対的に左側の位置および右側の位置に位置することが可能であるものであるところ、可動体10が第二位置(右側の位置)に位置するときには表示装置50を所定位置(左側の位置)に位置させ、可動体10が第一位置(左側の位置)に位置するときには表示装置50を別位置(右側の位置)に位置させる(可動体10と表示装置50を入れ違いに移動させる)ということである。
【0037】
本例のようにすることで、表示装置50と可動体10が重なる範囲の大きさを小さくすること(
図5に示すように可動体10と表示装置50が全く重ならない態様を含む)ができる。具体的には、可動体10が第一位置および第二位置のいずれに位置するときにおいても表示装置50における可動体10に覆われる範囲が小さくなるから、画像を表示することが可能な領域の無駄を小さくすることができる。また、可動体10だけでなく、表示装置50の位置も変化するから、発射態様の変化に応じた遊技盤面(盤面レイアウト)の変化が大きくなる。
【0038】
〇第四具体例
報知演出を構成する一つの演出として、可動体10を利用した演出(以下、可動演出と称する)が発生しうるものとしてもよい。例えば、可動体10は、第一位置および第二位置の間の位置(以下、演出位置と称する)に位置することが可能であるとする。報知演出における所定のタイミングで、第一位置または第二位置に位置している可動体10(
図6(a)参照)が、演出位置に位置した場合(
図6(b)参照)の方が、位置しなかった場合(図示せず)よりも、対応する当否判定結果が大当たりとなる蓋然性(大当たり信頼度)が高いといった設定(可動演出がいわゆるチャンスアップ演出とされた設定)とすることが考えられる。
【0039】
第一位置や第二位置は、遊技状態(遊技者が行うべき遊技球の発射態様)に応じた位置である。これら第一位置や第二位置とは異なる演出位置を設定しておけば、報知演出中に当該演出位置に移動する可動演出を発生させることができる。演出位置は第一位置や第二位置とは異なるのであるから、遊技状態(遊技者が行うべき遊技球の発射態様)によらず可動演出を発生させることができる。
【0040】
可動体10が第一位置および第二位置の一方に位置する状態にて、可動演出として他方に移動することが可動演出として発生してもよい。例えば、第二遊技領域212を狙って遊技球を発射させるべき状態(上記実施形態では特別遊技状態)のときには可動体10が第一位置に位置させられるところ、当該状態にて可動体10が第二位置に変位する可動演出が発生しうる(
図2(b)に示した状態で、
図2(a)に示す位置に可動体10が移動する可動演出が発生しうる)ものとしてもよい。同様に、第一遊技領域211を狙って遊技球を発射させるべき状態(上記実施形態では通常遊技状態)のときには可動体10が第二位置に位置させられるところ、当該状態にて可動体10が第一位置に変位する可動演出が発生しうる(
図2(a)に示した状態で、
図2(b)に示す位置に可動体10が移動する可動演出が発生しうる)ものとしてもよい。
【0041】
〇第五具体例
遊技者が行うべき遊技球の発射態様が同じ状態であっても、可動体10の位置が一致しないことがある設定とする。例えば、第一特別遊技状態(高確率・高ベース)および第二特別遊技状態(低確率・高ベース)は、いずれも、第二遊技領域212を狙って遊技球を発射すべき状態(右打ちすべき状態)であるが、第一特別遊技状態において可動体10は第一位置に位置する(
図7(a)参照)ものの、第二特別遊技状態において可動体10は第一位置に位置しない(例えば第二位置に位置する)(
図7(b)参照)設定とする。第二特別遊技状態よりも第一特別遊技状態の方が遊技者にとって有利な遊技状態であるから、それを強調するため、第一特別遊技状態においては可動体10が第一位置に位置するようにする。ただし、その逆の設定、第二特別遊技状態において可動体10は第一位置に位置するものの、第一特別遊技状態において可動体10は第一位置に位置しない設定とすることを否定するわけではない。
【0042】
同様の考え方で、当否判定結果が大当たりとなることを目指して遊技する複数種の遊技状態(右打ちすべき状態)のうち、遊技者に最も有利な遊技状態が設定されているときに限り、可動体10を第一位置に位置させるといった設定としてもよい。例えば、右打ちすべき状態として、「高確率・高ベース・小当たりラッシュ有」(第一状態)、「高確率・高ベース・小当たりラッシュ無」(第二状態)、「低確率・高ベース・小当たりラッシュ無」(第三状態)の三つが設定されているのであれば、第一状態が設定されている場合に可動体10を第一位置に位置させ、第二状態や第三状態が設定されているときには可動体10を第一位置に位置させないようにする。
【0043】
〇第六具体例
可動体10が、第一位置に位置するときに顕在化される第一指示部181、第二位置に位置するときに顕在化される第二指示部182を有するものとする。ここでいう顕在化とは、顕在化されている状態が、顕在化されていない状態よりも目立つような態様をいう。可動体10が第一位置に位置するときには第二指示部182は顕在化されず、可動体10が第二位置に位置するときには第一指示部181は顕在化されない。第一指示部181および第二指示部182は遊技者に対し発射態様をより分かりやすく示す機能を発現するものである。可動体10が第二位置に位置するときには第一遊技領域211を狙って左右打ちすべき状況であるから、第二指示部182は当該状況を示すものとされる(
図8(a)参照)。可動体10が第一位置に位置するときには第二遊技領域212を狙って右打ちすべき状況であるから、第一指示部181は当該状況を示すものとされる(
図8(b)参照)。
【0044】
第一指示部181および第二指示部182としては、「矢印」の形状を呈する発光部を一例として挙げることができる。可動体10が第二位置に位置するときには、第一遊技領域211側(左側)を指し示す「矢印」である発光部(第二指示部182)が点灯する(
図8(a)参照)。可動体10が第一位置に位置するときには、第二遊技領域212側(右側)を指し示す「矢印」である発光部(第一指示部181)が点灯する(
図8(b)参照)。なお、一方の発光部(指示部)が点灯している際には、他方の発光部(指示部)は点灯しない(
図8では点灯していない状態を点線で示す)。これとは別の例として、「右打」「左打」といった文字が浮かび上がる発光部を第一指示部181や第二指示部182として設けることも考えられる。なお、上記第一指示部181や第二指示部182を表示可能な表示器を設けた構成としてもよい。第一指示部181や第二指示部182は、遊技者に視認される要素であり、通常状態および当該通常状態よりも目立つ状態(顕在化した状態)に変化することが可能なものであればよい。
【0045】
〇第七具体例
第一遊技領域211を狙って遊技球を発射すべき状況(左打ちすべき状況)においては可動体10を第一位置(
図2(b)に示す位置)に位置させ、第二遊技領域212を狙って遊技球を発射すべき状況(右打ちすべき状況)においては可動体10を第二位置(
図2(a)に示す位置)に位置させるものとする。つまり、上記実施形態とは真逆の設定とする(遊技者の視点でいえば、遊技球を発射すべき領域側に可動体10が位置するものとする)。遊技球を発射すべき遊技領域を示すに際し、対応する遊技領域側に可動体10を位置させた方が分かりやすいと考えるのであれば本例のような設定とすることが好ましい。
【0046】
本例のようにする場合、上記第六具体例にて説明した指示部(第一指示部181、第二指示部182)を設けることが有効である。なぜなら、可動体10が狙うべき遊技領域に近い位置にあるからである。第一位置に位置する可動体10は第一遊技領域211に近いから、第一指示部181により第一遊技領域211を狙うべき状況であることを示す効果に優れる(
図9(a)参照)。同様に、第二位置に位置する可動体10は第二遊技領域212に近いから、第二指示部182により第二遊技領域212を狙うべき状況であることを示す効果に優れる(
図9(b)参照)。
【0047】
4)以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0048】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
【0049】
・手段1
遊技球が流下する遊技領域が前方に形成される遊技盤と、第一位置および第二位置に位置することが可能な可動体と、を備え、前記遊技領域は、前記可動体が前記第一位置に位置するときにおける当該可動体側の領域である第一遊技領域、および、前記可動体が前記第二位置に位置するときにおける当該可動体側の領域である第二遊技領域を含み、遊技者が前記第一遊技領域を狙って遊技球を発射すべき状態においては前記可動体を前記第一位置および前記第二位置の一方に位置させ、遊技者が前記第二遊技領域を狙って遊技球を発射すべき状態においては前記可動体を前記第一位置および前記第二位置の他方に位置させることを特徴とする遊技機。
上記遊技機によれば、第一遊技領域を狙うべき状態か第二遊技領域を狙うべき状態かに応じて可動体の位置が異なることになるため、遊技者が行うべき遊技球の発射態様の変化が分かりやすい。
【0050】
・手段2
遊技者が前記第一遊技領域を狙って遊技球を発射すべき状態においては前記可動体を前記第二位置に位置させ、遊技者が前記第二遊技領域を狙って遊技球を発射すべき状態においては前記可動体を前記第一位置に位置させることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
上記のような設定とした場合、可動体が離れており開放されているように見える側の遊技領域を狙って遊技球を発射すればよいことになる。
【0051】
・手段3
前記遊技盤における前記第一遊技領域および前記第二遊技領域の一方を形成する部分の一部または全部は、光透過性を有する材料で形成された光透過部であり、前記第一遊技領域および前記第二遊技領域の他方を狙って遊技球を発射すべき状態であるとき、前記第一遊技領域および前記第二遊技領域の一方を形成する前記光透過部に前記可動体が重なり当該光透過部を通じて前記可動体が視認される状態にあり、前記第一遊技領域および前記第二遊技領域の一方を狙って遊技球を発射すべき状態であるとき、前記第一遊技領域および前記第二遊技領域の一方を形成する前記光透過部に前記可動体が重ならない状態にあることを特徴とする手段2に記載の遊技機。
可動体が重なっていない遊技領域は開放されたかのように見えるため、遊技球を発射すべき領域には可動体が重ならないように制御すればよい。
【0052】
・手段4
正面視で遊技者が視認可能な表示領域を有する表示装置を備え、前記可動体が前記第一位置に位置するときにおいては当該可動体の一方側に前記表示領域が位置し、前記可動体が前記第二位置に位置するときにおいては当該可動体の他方側に前記表示領域が位置することを特徴とする手段1から手段3のいずれかに記載の遊技機。
このようにすれば、遊技者が行うべき発射態様に応じ、可動体と表示領域の位置関係が変化するから、発射態様の把握が容易になる。
【0053】
・手段5
前記表示装置は、所定位置および当該所定位置よりも前記第一遊技領域から離れた別位置に位置することが可能であり、前記可動体が前記第一位置に位置するときには、前記表示装置は前記別位置に位置し、前記可動体が前記第二位置に位置するときには、前記表示装置は前記所定位置に位置することを特徴とする手段4に記載の遊技機。
このようにすることで、可動体が第一位置および第二位置のいずれに位置するときにおいても、表示装置における可動体に覆われる部分が小さくなる。
【符号の説明】
【0054】
1 遊技機
10 可動体
20 遊技盤
21 遊技領域
211 第一遊技領域
212 第二遊技領域
50 表示装置
51 表示領域
904 始動領域
904a 第一始動領域
904b 第二始動領域