(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】連結式フェンス及びそのジョイント部材
(51)【国際特許分類】
E01F 13/02 20060101AFI20240202BHJP
E01F 15/04 20060101ALI20240202BHJP
【FI】
E01F13/02 Z
E01F15/04 Z
(21)【出願番号】P 2020097569
(22)【出願日】2020-06-04
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】520203172
【氏名又は名称】株式会社トータス
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】▲吉▼田 護
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-162579(JP,A)
【文献】登録実用新案第3200670(JP,U)
【文献】特開2014-047535(JP,A)
【文献】米国特許第09038299(US,B1)
【文献】特開2019-167773(JP,A)
【文献】実開平05-016983(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 13/02
E01F 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の長さを有するパイプ部材と、前記パイプ部材の端部が挿入される被挿入部を複数有するジョイント部材と、を備え、複数の前記ジョイント部材を介して複数の前記パイプ部材が格子状に連結されて構成された連結式フェンスであって、
前記連結式フェンスの一方の面側が、他の前記連結式フェンスの他方の面側と対向して当接した状態において、前記連結式フェンスを構成する少なくとも1つの前記ジョイント部材の前記一方の面側は、当接する前記他の連結式フェンスを構成する他の前記ジョイント部材の前記他方の面側の部位と嵌合するよう構成されて
おり、
前記ジョイント部材の前記一方の面側に、前記他のジョイント部材の前記被挿入部の前記他方の面側の外表面に形成された凸状箇所が嵌合する凹部を設け、
前記ジョイント部材は、前記被挿入部を4つ有する略十字状に形成されると共に、前記一方の面側に、前記被挿入部の外表面がさらに外部側に突出して肉厚に形成された肉厚部を有し、
前記肉厚部に、前記凹部を設けた、
連結式フェンス。
【請求項2】
請求項
1に記載の連結式フェンスであって、
前記ジョイント部材の前記被挿入部は、前記パイプ部材が内部に挿入される略円筒形状に形成されており、
前記ジョイント部材の前記一方の面側に、前記他のジョイント部材の前記被挿入部の前記他方の面側の外表面に形成された円弧面である前記凸状箇所が嵌合する円弧面状の前記凹部を設けた、
連結式フェンス。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載の連結式フェンスであって、
前記連結式フェンスの外形は、略矩形であり、
前記連結式フェンスが立設された状態における下辺に複数の脚部を設け、
前記脚部は、前記連結式フェンスが立設された状態における幅方向の両側部からそれぞれ所定の距離だけ内側に位置する箇所に設けられている、
連結式フェンス。
【請求項4】
請求項
3に記載の連結式フェンスであって、
前記脚部は、前記連結式フェンスが立設された状態において地面に接地される所定の長さを有する接地部を有し、前記接地部が前記連結式フェンスにて形成される面に対して垂直に位置する状態と平行に位置する状態とになるよう、前記連結式フェンスの下辺に回転自在に連結して設けられている、
連結式フェンス。
【請求項5】
所定の長さを有するパイプ部材と、前記パイプ部材の端部が挿入される被挿入部を複数有するジョイント部材と、を備え、複数の前記ジョイント部材を介して複数の前記パイプ部材が格子状に連結されて構成された連結式フェンスに用いられる前記ジョイント部材であって、
前記連結式フェンスの一方の面側が、他の前記連結式フェンスの他方の面側と対向して当接した状態において、前記ジョイント部材の前記一方の面側は、当接する前記他の連結式フェンスを構成する他の前記ジョイント部材の他方の面側の部位と嵌合するよう構成されて
おり、
前記ジョイント部材の前記一方の面側に、前記他のジョイント部材の前記被挿入部の前記他方の面側の外表面に形成された凸状箇所が嵌合する凹部を設け、
前記ジョイント部材は、前記被挿入部を4つ有する略十字状に形成されると共に、前記一方の面側に、前記被挿入部の外表面がさらに外部側に突出して肉厚に形成された肉厚部を有し、
前記肉厚部に、前記凹部を設けた、
ジョイント部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプ部材とジョイント部材とを連結して構成される連結式フェンスに関する。
【背景技術】
【0002】
公共の施設や競技場などのイベント会場のほか、マラソン、駅伝、催事などで利用される道路には、一度に多くの人が集まる。そして、このような場所において人の混雑を整理したり、人の流れを制御・誘導したりするために、空間を仕切るよう多数のフェンスを配置し、仮設的な誘導路を形成することが行われている。
【0003】
上述したようなフェンスは、例えば、特許文献1の
図7に示すように、複数のパイプをジョイント部材を介して格子状に連結して構成される。そして、主にパイプは円筒形状であり、ジョイント部材は、パイプの端部が挿入される円筒形状の被挿入部を複数有して構成されている。
【0004】
ここで、フェンスは、空間を仕切るために多数必要となり、かかるフェンスは事前に組み付けられ、運搬されることがある。このとき、フェンスは、当該フェンスにて形成される面が水平になるよう寝かされて、フェンス同士が面で接した状態で積み重ねられることとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、フェンスを寝かせ、面で接した状態で積み重ねる場合には、安定して積み重ねられない、という問題が生じる。これは、ジョイント部材の被挿入部が円筒形状であることから、かかる被挿入部の外表面である円弧面同士が積み重ねられることとなるためである。このため、フェンスの運搬時や、設置前の保管時において、積み重ねた状態を安定して維持することができない、という問題が生じる。
【0007】
このため、本発明の目的は、上述した課題である、パイプ部材とジョイント部材とを連結して構成された連結式フェンスにおいて、積み重ねた状態を安定して維持することができない、ことを解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一形態である連結式フェンスは、
所定の長さを有するパイプ部材と、前記パイプ部材の端部が挿入される被挿入部を複数有するジョイント部材と、を備え、複数の前記ジョイント部材を介して複数の前記パイプ部材が格子状に連結されて構成された連結式フェンスであって、
前記連結式フェンスの一方の面側が、他の前記連結式フェンスの他方の面側と対向して当接した状態において、前記連結式フェンスを構成する少なくとも1つの前記ジョイント部材の前記一方の面側は、当接する前記他の連結式フェンスを構成する他の前記ジョイント部材の前記他方の面側の部位と嵌合するよう構成されている。
【0009】
また、上記連結式フェンスでは、
前記ジョイント部材の前記一方の面側に、前記他のジョイント部材の前記他の面側に形成された凸状箇所又は凹状箇所と嵌合する凹部又は凸部を設けた、
という構成をとる。
【0010】
また、上記連結式フェンスでは、
前記ジョイント部材の前記一方の面側に、前記他のジョイント部材の前記被挿入部の前記他方の面側の外表面に形成された前記凸状箇所が嵌合する前記凹部を設けた、
という構成をとる。
【0011】
また、上記連結式フェンスでは、
前記ジョイント部材の前記被挿入部は、前記パイプが内部に挿入される略円筒形状に形成されており、
前記ジョイント部材の前記一方の面側に、前記他のジョイント部材の前記被挿入部の前記他方の面側の外表面に形成された円弧面である前記凸状箇所が嵌合する円弧面状の前記凹部を設けた、
という構成をとる。
【0012】
また、上記連結式フェンスでは、
前記ジョイント部材は、前記被挿入部を4つ有する略十字状に形成されると共に、前記一方の面側に、前記被挿入部の外表面がさらに外部側に突出して肉厚に形成された肉厚部を有し、
前記肉厚部に、前記凹部を設けた、
という構成をとる。
【0013】
また、上記連結式フェンスでは、
前記ジョイント部材の前記一方の面側に、前記他のジョイント部材の前記被挿入部の前記他方の面側の外表面と他の部位との間に形成された前記凹状箇所に嵌合する前記凸部を設けた、
という構成をとる。
【0014】
また、上記連結式フェンスでは、
前記ジョイント部材は、前記被挿入部を複数有すると共に、前記一方の面側に、複数の前記被挿入部の間の箇所から外部側に突出し、前記他のジョイント部材の複数の前記被挿入部の間の前記他の面側に形成された前記凹状箇所に嵌合する前記凸部を設けた、
という構成をとる。
【0015】
また、上記連結式フェンスでは、
前記ジョイント部材は、相互に略直角を成して配置された前記被挿入部を2つ有すると共に、前記一方の面側に、2つの前記被挿入部の間の箇所から外部側に突出し、前記他のジョイント部材の2つの前記被挿入部の間の前記他の面側に形成された前記凹状箇所に嵌合する前記凸部を設けた、
という構成をとる。
【0016】
また、上記連結式フェンスでは、
前記連結式フェンスの外形は、略矩形であり、
前記連結式フェンスが立設された状態における下辺に複数の脚部を設け、
前記脚部は、前記連結式フェンスが立設された状態における幅方向の両側部からそれぞれ所定の距離だけ内側に位置する箇所に設けられている、
という構成をとる。
【0017】
また、上記連結式フェンスでは、
前記脚部は、前記連結式フェンスが立設された状態において地面に接地される所定の長さを有する接地部を有し、前記接地部が前記連結式フェンスにて形成される面に対して垂直に位置する状態と平行に位置する状態とになるよう、前記連結式フェンスの下辺に回転自在に連結して設けられている、
という構成をとる。
【0018】
また、本発明の一形態であるジョイント部材は、
所定の長さを有するパイプ部材と、前記パイプ部材の端部が挿入される被挿入部を複数有するジョイント部材と、を備え、複数の前記ジョイント部材を介して複数の前記パイプ部材が格子状に連結されて構成された連結式フェンスに用いられる前記ジョイント部材であって、
前記連結式フェンスの一方の面側が、他の前記連結式フェンスの他方の面側と対向して当接した状態において、前記ジョイント部材の前記一方の面側は、当接する前記他の連結式フェンスを構成する他の前記ジョイント部材の他方の面側の部位と嵌合するよう構成されている。
【0019】
そして、上記ジョイント部材では、
前記ジョイント部材の前記一方の面側に、前記他のジョイント部材の前記他の面側に形成された凸状箇所又は凹状箇所と嵌合する凹部又は凸部を設けた、
という構成をとる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、上述した構成により、パイプ部材とジョイント部材とを連結して構成された連結式フェンスにおいて、積み重ねた状態を安定して維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態1における連結式フェンスの構成を示し、地面に立設させるときの状態を示す図である。
【
図2】
図1に開示した連結式フェンスを積み重ねるときの状態を示す図である。
【
図3】
図1に開示した連結式フェンスを構成する第一のジョイント部材の構成を示す図である。
【
図4A】
図3に開示した第一のジョイント部材の斜視図である。
【
図4B】
図3に開示した第一のジョイント部材を積み重ねたときの様子を示す図である。
【
図5】
図1に開示した連結式フェンスを構成する第二のジョイント部材の構成を示す図である。
【
図6A】
図5に開示した第二のジョイント部材の斜視図である。
【
図6B】
図5に開示した第二のジョイント部材を積み重ねたときの様子を示す図である。
【
図7】
図1に開示した連結式フェンスを積み重ねるときの状態の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<実施形態1>
本発明の第1の実施形態を、
図1乃至
図6を参照して説明する。
図1乃至
図2は、連結式フェンスの全体構成を示す図である。
図3乃至
図6は、連結式フェンスを構成するジョイント部材の構成を示す図である。
【0023】
本実施形態における連結式フェンスは、施設、イベント会場、道路などにおいて、空間を仕切るために設置されるものである。例えば、連結式フェンスは、複数を配置することで、囲まれた空間や誘導路を形成するために利用される。
【0024】
図1は、連結式フェンスの全体構成を示す図であり、地面に立設されるときの様子を示す。この図に示すように、連結式フェンスは、複数のパイプ部材Pがジョイント部材1,2,3を介して格子状に連結されることで、外形が略矩形に形成される。そして、連結式フェンスの外形を形成する辺のうち、連結式フェンスが立設されるときに下方に位置する下辺には、地面に接地される2つの脚部Fが設けられる。
【0025】
ここで、本実施形態における連結式フェンスは、後述するように運搬されるときや保管されるときには、
図2に示すように脚部Fが下辺に対して回転され、連結式フェンスにて形成される面が水平方向に沿うよう寝かせられた状態で、複数の連結式フェンスが面で接した状態で積み重ねられることとなる。そして、複数の連結式フェンスが積み重ねられた状態では、連結式フェンス同士の同一箇所に位置するジョイント部材1,2,3同士が当接することとなる。このため、本実施形態における連結式フェンスは、以下に説明するように、積み重ねられたときに当接しうるジョイント部材1,2同士が相互に安定して当接するように構成されている。
【0026】
なお、本実施形態における連結式フェンスは、必ずしも
図1に示すような外形や格子の形状に形成されることに限定されず、連結されるパイプ部材Pの長さや数によって外形や格子の形状がいかなる形状に形成されてもよい。以下、主にパイプ部材Pとジョイント部材1,2,3の構成について詳述する。
【0027】
上記パイプ部材Pは、所定長さの略円筒形状の部材で構成され、その端部が、ジョイント部材1,2,3に設けられた被挿入部に挿入されることとなる。そして、本実施形態では、パイプ部材Pは、長さが異なる複数種類のものが用意されており、自身の長さに応じて連結式フェンスの予め設定された箇所に配置され、ジョイント部材1,2,3に連結される。
【0028】
上記ジョイント部材1,2,3は、上述したパイプ部材Pの端部が挿入される被挿入部を複数有して構成される。本実施形態では、ジョイント部材1,2,3は、被挿入部の数が異なる複数種類のものが用意されている。例えば、ジョイント部材として、被挿入部を4つ有する第一のジョイント部材1と、被挿入部を2つ有する第二のジョイント部材2と、被挿入部を3つ有する第三のジョイント部材3、といった3種類がある。以下、各種のジョイント部材1,2,3の構造について詳述する。
【0029】
まず、
図3乃至
図4を参照して、第一のジョイント部材1の構成について説明する。なお、
図3(a)は、第一のジョイント部材1を表面側から見た図であり、
図3(b)は、その裏面側から見た図であり、
図3(c)は、その側方から見た図である。
図4Aは、第一のジョイント部材1の斜視図であり、
図4Bは、第一のジョイント部材1を積み重ねたときの様子を示す図である。
【0030】
第一のジョイント部材1は、上述したパイプ部材Pの端部が挿入される被挿入部11を4つ有し、各被挿入部11が隣り合う他の被挿入部11と相互に略直角を成して配置されている。つまり、第一のジョイント部材1は、
図3(b)に示すように裏面側(他方の面側)から見て、4つの被挿入部11がそれぞれ90度ずつ間隔をあけて外側に開口部を向けて配置されることで、略十字状に形成されている。ここで、被挿入部11は、略円筒形状であるパイプ部材Pの端部が内部に挿入可能な大きさの略円筒形状に形成されている。このため、第一のジョイント部材1の裏面側は、
図3(b)に示すよう、各被挿入部11の外表面つまり略円筒形状の外側面が、略十字状に配置された形状に形成されている。このとき、各被挿入部11の外側面は略円弧面にて形成されていることから、第一のジョイント部材1の裏面側には、十字状の略円弧面による凸状箇所が形成されていることとなる。
【0031】
一方で、第一のジョイント部材1の上述した
図3(b)に示す裏面側とは反対面側である
図3(a)に示す表面側には、十字状の被挿入部11の中心部分の外表面がさらに外部側つまり表面側に突出して肉厚に形成された肉厚部12が形成されている。そして、肉厚部12のさらに表面側には、
図3(a)及び
図4Aに示すように、略円筒形状の外側面が略十字状に配置された形状の凹部13、つまり、略十字状に配置された略円弧面状の凹部13が形成されている。この十字状の凹部13は、第一のジョイント部材1の裏面側に形成された上述した十字状の凸状箇所が嵌合する形状となっている。
【0032】
図4Bは、上述した第一のジョイント部材1を積み重ねたときの様子を示している。つまり、上述したように複数の連結式フェンスを積み重ねたときに、連結式フェンス同士の同一箇所に位置する第一のジョイント部材1同士が当接して積み重ねられたときの様子を示している。このとき、下側に位置する第一のジョイント部材1の表面側(一方の面側)に形成された十字状の凹部13に、上側に位置する他の第一のジョイント部材1の裏面側(他方の面側)に形成された十字状の凸状箇所が対向して配置され、凹部13と凸状箇所が嵌合することとなる。このため、第一のジョイント部材1同士の積み重ね状態が安定する。
【0033】
次に、
図5乃至
図6を参照して、第二のジョイント部材2の構成について説明する。なお、
図5(a)は、第二のジョイント部材2を表面側から見た図であり、
図5(b)は、その裏面側から見た図であり、
図5(c)は、その側方から見た図である。
図6Aは、第二のジョイント部材2の斜視図であり、
図6Bは、第二のジョイント部材2を積み重ねたときの様子を示す図である。
【0034】
第二のジョイント部材2は、上述したパイプ部材Pの端部が挿入される被挿入部21を2つ有し、2つの被挿入部21が相互に略直角を成して配置されている。つまり、第二のジョイント部材2は、
図5(b)に示すように裏面側(他方の面側)から見て、2つの被挿入部21が90度の間隔をあけて外側に開口部を向けて配置されることで、曲折した略鉤状に形成されている。ここで、被挿入部21は、略円筒形状であるパイプ部材Pの端部が内部に挿入可能な大きさの略円筒形状に形成されている。このため、第二のジョイント部材1の裏面側は、
図5(b)に示すよう、各被挿入部21の外表面の間つまり略円筒形状部分の外側面の間に、凹状箇所が形成される。
【0035】
一方で、第二のジョイント部材2の上述した
図5(b)に示す裏面側とは反対面側である
図5(a)に示す表面側には、
図6Aに示すように、2つの被挿入部21の間の箇所から外部側つまりさらに表面側に突出する凸部22が形成されている。この凸部22は、第二のジョイント部材2の裏面側に形成された、上述した凹状箇所に嵌合する形状となっている。
【0036】
図6Bは、上述した第二のジョイント部材2を積み重ねたときの様子を示している。つまり、上述したように複数の連結式フェンスを積み重ねたときに、連結式フェンス同士の同一箇所に位置する第二のジョイント部材2同士が当接して積み重ねられたときの様子を示している。このとき、下側に位置する第二のジョイント部材2の表面側(一方の面側)に形成された凸部22に、上側に位置する他の第二のジョイント部材2の裏面側(他方の面側)に形成された凹状箇所が対向して配置され、凸部22と凹状箇所が嵌合することとなる。このため、第二のジョイント部材2同士の積み重ね状態が安定することとなる。
【0037】
次に、第三のジョイント部材3の構成について説明する。
図1に示すように、第三のジョイント部材3は、上述したパイプ部材Pの端部が挿入される被挿入部を3つ有し、1つの被挿入部と、当該1つの被挿入部に対して両隣にそれぞれ位置する他の被挿入部とが、それぞれ略直角を成して配置されている。つまり、第三のジョイント部材3は、略T字状に形成されている。そして、被挿入部は、略円筒形状であるパイプ部材Pの端部が内部に挿入可能な大きさの略円筒形状に形成されている。
【0038】
次に、脚部Fについて説明する。まず、脚部Fは、
図1乃至
図2に示すように、連結式フェンスの外形を形成する辺のうち、当該連結式フェンスが立設されるときに下方に位置する下辺に設けられる。このとき、脚部Fは、連結式フェンスの下辺において、当該連結式フェンスの外形の幅方向における両側部よりも所定の距離だけ内側に位置して配置されている第一のジョイント部材1に設けられる。具体的に、脚部Fは、下辺に設けられた第一のジョイント部材1に対してさらに下方に延びるパイプ部材Pを連結し、かかるパイプ部材Pの下端に第三のジョイント部材3を連結し、さらにかかる第三のジョイント部材3に水平方向に沿って所定の長さのパイプ部材Pを連結することで構成される。なお、第三のジョイント部材3に対して水平に連結されるパイプ部材Pは、地面に接地される接地部となる。
【0039】
上述した構成の脚部Fは、連結式フェンスの下辺からさらに下方に延びるパイプ部材Pに第三のジョイント部材3を連結することで構成されているため、第三のジョイント部材3が
図1に示す状態から
図2に示す状態に回転自在に連結している。このため、第三のジョイント部材3に接地部を形成するパイプ部材Pを連結した状態で当該第三のジョイント部材3を下辺に対して回転させることで、当該パイプ部材Pを、
図1に示すように連結式フェンスにて形成される面に対して垂直に位置する状態と、
図2に示すように連結式フェンスにて形成される面に対して平行に位置する状態と、にすることができる。
【0040】
なお、第三のジョイント部材3に連結された接地部としてのパイプ部材Pの長さは、
図2に示すように連結式フェンスにて形成される面に対して平行に位置する状態にしたときに、その端部が連結式フェンスの側部から外側に突出しない長さに形成されている。
【0041】
次に、以上のように構成された連結式フェンスを使用するときの動作を説明する。まず、複数種類の複数のパイプ部材Pを、3種類の複数のジョイント部材1,2,3を用いて、
図1、
図2に示すように格子状に連結すると共に、外形が略矩形となるよう連結し、さらに下辺に脚部Fを連結して、連結式フェンスを構成する。そして、連結式フェンスを地面に立設して使用する際には、
図1に示すように脚部Fを回転させて、接地部となるパイプ部材Pが連結式フェンスにて形成される面に対して垂直に位置する状態とする。
【0042】
一方、連結式フェンスを使用せず、保管したり運搬する際には、まず、
図2に示すように脚部Fを回転させて、接地部となるパイプ部材Pが連結式フェンスにて形成される面に対して平行に位置する状態とする。これにより、脚部Fを含めた連結式フェンス全体がほぼ平面上に位置する平板形状となり、また、脚部Fが連結式フェンスの外形の側部から突出しない状態となる。そして、平板形状とした連結式フェンスを水平にして寝かせた状態で、複数を積み重ねた際には、連結式フェンス同士の同一箇所に位置するジョイント部材1,2,3同士が当接することとなる。このとき、第一のジョイント部材1は、連結式フェンス同士の同一箇所において、同一面側(表面側あるいは裏面側)に凹部13を向けるよう配置されることで、
図4Bに示すように積み重ねられることとなる。つまり、第一のジョイント部材1の凹部13が、当接する他の第一のジョイント部材1の凹部13が形成された面とは反対面側に形成された凸状箇所に嵌合することとなる。同様に、第二のジョイント部材2は、連結式フェンス同士の同一箇所において、同一面側(表面側あるいは裏面側)に凸部22を向けるよう配置されることで、
図6Bに示すように積み重ねられることとなる。つまり、第二のジョイント部材2の凸部22が、当接する他の第二のジョイント部材2の凸部22が形成された面とは反対面側に形成された凹状箇所に嵌合することとなる。このため、積み重ねられるジョイント部材1,2同士は安定して当接するようになり、連結式フェンス自体の積み重ね状態も安定することとなる。
【0043】
なお、第一のジョイント部材1と第二のジョイント部材2とは、連結式フェンスの配置箇所によって、以下のようにそれぞれ異なる向きで配置されてもよい。例えば、第一のジョイント部材1は、
図7の符号1aに示す箇所では紙面の表面側に凹部13を向けるよう配置され、
図7の符号1bに示す箇所では紙面の裏面側に凹部13を向けるよう配置されてもよい。つまり、連結式フェンスにおいて、ある対角に位置する第一のジョイント部材1(1a)同士は凹部13が表面側に向くよう配置され、他の対角に位置する第一のジョイント部材1(1b)同士は凹部13が裏面側に向くよう配置されてもよい。同様に、第二のジョイント部材2は、
図7の符号2aに示す箇所では紙面の表面側に凸部22を向けるよう配置され、
図7の符号2bに示す箇所では紙面の裏面側に凸部22を向けるよう配置されてもよい。つまり、連結式フェンスにおいて、ある対角に位置する第二のジョイント部材2(2a)同士は凸部22が表面側に向くよう配置され、他の対角に位置する第二のジョイント部材2(2b)同士は凸部22が裏面側に向くよう配置されてもよい。このようにすることで、連結式フェンス同士の表裏を気にすることなく安定して積み重ねることができる。
【0044】
なお、上述した連結式フェンス自体の形状や各ジョイント部材1,2,3の形状は一例であり、いかなる形状であっても、例えば、第一のジョイント部材1及び第二のジョイント部材2に設けた凹部13や凸部22、凸状箇所や凹状箇所は、上述した形状に限定されず、いかなる形状であってもよい。
【0045】
以上、上記実施形態等を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明の範囲内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0046】
1 第一のジョイント部材
11 被挿入部
12 肉厚部
13 凹部
2 第二のジョイント部材
21 被挿入部
22 凸部
3 第三のジョイント部材
P パイプ部材