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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】包装用容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/50 20060101AFI20240202BHJP
   B65D 1/36 20060101ALN20240202BHJP
【FI】
B65D85/50 100
B65D1/36
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021089542
(22)【出願日】2021-05-27
(65)【公開番号】P2022182158
(43)【公開日】2022-12-08
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】390041058
【氏名又は名称】シーピー化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】山本 敏之
(72)【発明者】
【氏名】山下 倫永
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3203353(JP,U)
【文献】特開2016-182988(JP,A)
【文献】特許第6876857(JP,B1)
【文献】特開2015-145275(JP,A)
【文献】特開2018-065618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/50
B65D 1/00- 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被収容物が載置される載置部を有する底面部と、前記底面部から上側に延びる周壁部と、を備えた包装用容器であって、
前記載置部は、
前記底面部から上側に隆起しており、
一方向に向かって傾斜する載置傾斜面と、
前記周壁部から内側に膨出しており、かつ前記被収容物を側壁部で支持可能な第1支持部と、
前記載置傾斜面の下端と前記側壁部との間に位置するリブ状の突起であり、かつ前記被収容物を支持可能な第2支持部と、を有しており、
前記底面部の接地面を含む平面から前記側壁部の第1上面までの第1高さが、前記平面から前記第2支持部の第2上面までの第2高さよりも高く、
前記周壁部と前記載置傾斜面とに連なっている連結部をさらに備え、
前記連結部は、
前記載置傾斜面の傾斜方向と同じ方向に向かって傾斜し、かつ前記載置傾斜面よりも幅が狭い連結傾斜面と、
当該連結部における前記載置傾斜面側の一端に位置し、前記連結傾斜面の位置を前記載置傾斜面よりも高くしている連結側壁部と、を有している包装用容器。
【請求項2】
前記側壁部は、前記被収容物と接触する側壁面が凸条形状となっており、
前記連結側壁部は、前記被収容物と接触する連結側壁面が凸条形状となっている請求項に記載の包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等を収容できる包装用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品のテイクアウト販売を行っている各種店舗等において、弁当、総菜等の各種食品が包装用容器に収容された状態で販売されている。ここで、包装用容器の底面部の載置面に食品を載置すると、食品が包装用容器内に沈み込んで見えてボリューム感がなくなり、食品の見栄えが悪くなるという問題があった。
【0003】
この問題を解決すべく、様々な研究開発が行われている。例えば特許文献1には、第一突出部と第二突出部とが形成された食品包装用容器が開示されている。第一突出部および第二突出部は、ともに底部の平面部の上面側に膨出形成されている。第一突出部に食品を立てて盛り付けることで食品が沈み込んで見えるのを防ぐことができ、第一突出部に盛り付けられた食品の下端を第二突出部に接触させることで、当該食品が外周部の前面側壁側にずれるのを防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-182988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された食品包装用容器に小さな食品を収容する場合、食品を第一突出部に盛り付けた時点では当該食品の下端と第二突出部とが離間することから、盛り付けられた食品が外周部の前面側壁側にずれてしまう。一方、前述の食品包装用容器に大きな食品を収容する場合、食品を第一突出部に盛り付けると当該食品の下端が第二突出部に接触するものの、第一突出部の頂部よりも上側に食み出る食品の部分が多くなって見た目のバランスが悪くなってしまう。そのため、前述の食品包装用容器において盛り付けられる食品の見栄えを良くしてずれを防ごうとすれば、当該食品包装用容器に収容可能な食品の大きさの範囲を狭くせざるを得ない。
【0006】
本発明の一態様は、前述の問題点に鑑みてなされたものであり、食品等の被収容物の見栄えを良くできるとともに、収容可能な被収容物の大きさの範囲が従来よりも広い包装用容器を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る包装用容器は、
被収容物が載置される載置部を有する底面部と、前記底面部から上側に延びる周壁部と、を備えた包装用容器であって、
前記載置部は、
前記底面部から上側に隆起しており、
一方向に向かって傾斜する載置傾斜面と、
前記周壁部から内側に膨出しており、かつ前記被収容物を側壁部で支持可能な第1支持部と、
前記載置傾斜面の下端と前記側壁部との間に位置するリブ状の突起であり、かつ前記被収容物を支持可能な第2支持部と、を有しており、
前記底面部の接地面を含む平面から前記側壁部の第1上面までの第1高さが、前記平面から前記第2支持部の第2上面までの第2高さよりも高い。
【0008】
前記構成によれば、載置傾斜面と第2支持部とで被収容物を支持できる。また、第1高さが第2高さよりも高いことから、被収容物を載置傾斜面に載置したときに当該被収容物が第2上面を乗り越えて周壁部側に食み出たとしても、載置傾斜面と第1支持部の側壁部とで被収容物を支持できる。これにより、包装用容器に収容できる被収容物の大きさの範囲が広くなり、従来の包装用容器よりも多くの種類の被収容物を収容できる。
【0009】
また前記構成によれば、被収容物が載置傾斜面に載置される。そのため、被収容物が例えば接地面と略平行な載置面に載置される場合に比べて、被収容物が消費者等の目に留まり易くなるとともに当該被収容物にボリューム感が出る。これにより、包装用容器内の被収容物の見栄えが良くなる。
【0010】
本発明の一態様として、
前記周壁部と前記載置傾斜面とに連なっている連結部をさらに備え、
前記連結部は、
前記載置傾斜面の傾斜方向と同じ方向に向かって傾斜し、かつ前記載置傾斜面よりも幅が狭い連結傾斜面と、
当該連結部における前記載置傾斜面側の一端に位置し、前記連結傾斜面の位置を前記載置傾斜面よりも高くしている連結側壁部と、を有していてもよい。
【0011】
前記構成によれば、被収容物が、載置傾斜面に載置された状態において当該載置傾斜面の側端を覆う程度の大きさだった場合、載置傾斜面、第1支持部または第2支持部のいずれか一方、および連結側壁部で被収容物を支持できる。また、被収容物が載置傾斜面に載置された状態において当該被収容物と連結側壁部との間に隙間ができた場合でも、被収容物の連結部側への移動が連結側壁部によって制限される。これらのことから、連結部がない場合に比べて被収容物を包装用容器内の中央寄りに収容易くなり、包装用容器内の被収容物の見栄えをさらに良くできる。
【0012】
また前記構成によれば、連結傾斜面が載置傾斜面と同方向に傾斜している。したがって、被収容物が、載置傾斜面に載置された状態において当該載置傾斜面の側端および第2面から食み出る程度の大きさだった場合、載置傾斜面および第1支持部に加えて連結傾斜面で被収容物を支持できる。これにより、包装用容器内に比較的大きな被収容物を収容するときに、連結部がない場合に比べて被収容物を安定的に支持することができ、包装用容器内において被収容物の見栄えの良さが維持され易くなる。
【0013】
さらに前記構成によれば、載置傾斜面よりも連結傾斜面の方が幅が狭い。したがって、被収容物が例えば油気または汁気のある食品であれば、載置傾斜面の幅と連結傾斜面幅とが略同一の場合に比べて各面に付着する油分または出汁の総量を少なくできる。これにより、載置傾斜面の幅と連結傾斜面幅とが略同一の場合に比べて多くの量の油分または出汁を周縁部と載置部との間の領域等に排出でき、包装用容器内の被収容物に再付着する油分または出汁の量を効率的に減らすことができる。
【0014】
本発明の一態様として、
前記側壁部は、前記被収容物と接触する側壁面が凸条形状となっており、
前記連結側壁部は、前記被収容物と接触する連結側壁面が凸条形状となっていてもよい。
【0015】
前記構成によれば、内側壁面および連結側壁面の少なくとも一方が凸条形状でない場合(例えば、平面形状または曲率が小さな曲面形状)に比べて、これらの面の合計面積、つまり被収容物との総接触面積が小さくなる。したがって、被収容物が例えば油気または汁気のある食品であれば、内側壁面および連結側壁面の少なくとも一方に付着する油分または出汁の総量を少なくできる。
【0016】
また、内側壁面および連結側壁面のそれぞれにおいて、被収容物の油分または出汁が凹条形状の部分に溜まるか、あるいは凹条形状の部分を通じて周縁部と載置部との間の領域等に流れ出る。これらのことから、内側壁面および連結側壁面の少なくとも一方が凸条形状でない場合に比べて、包装用容器内の被収容物に再付着する油分または出汁の量を効率的に減らすことができる。
【0017】
本発明の一態様として、
前記載置部は、前記載置傾斜面の上端から前記下端に向かう方向と反対方向に傾斜する非載置傾斜面をさらに有しており、
前記載置傾斜面には、当該載置傾斜面の傾斜方向に沿って延びる載置側傾斜溝が形成されており、
前記非載置傾斜面には、当該非載置傾斜面の傾斜方向に沿って延びる非載置側傾斜溝が形成されており、
前記載置側傾斜溝と前記非載置側傾斜溝とが連通していてもよい。
【0018】
前記構成によれば、被収容物が例えば油気または汁気のある食品であれば、被収容物の油分または出汁を載置側傾斜溝および非載置側傾斜溝の少なくとも一方に溜めることができる。あるいは、被収容物の油分または出汁を載置側傾斜溝および非載置側傾斜溝の少なくとも一方、被収容物の大きさ等によっては非載置傾斜面を通じて、周縁部と載置部との間の領域等に排出できる。これらのことから、非載置傾斜面、載置側傾斜溝および非載置側傾斜溝の少なくともいずれか1つがない場合に比べて、包装用容器内の被収容物に再付着する油分または出汁の量を効率的に減らすことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様によれば、被収容物の見栄えを良くできるとともに、収容可能な被収容物の大きさの範囲が従来よりも広い包装用容器を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る包装用容器の平面図である。
図2図1に示す包装用容器のII-II線矢視断面図である。
図3】符号301は、図1に示す包装用容器に第1の食品を収容した状態を示す平面図である。符号302は、符号301に示す図のIII-III線矢視断面図である。
図4】符号401は、図1に示す包装用容器に第2の食品を収容した状態を示す平面図である。符号402は、符号402に示す図のIV-IV線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について、図1図4を参照して詳細に説明する。本実施形態では、本発明の一態様に係る包装用容器として、弁当、惣菜等の食品を被収容物として収容する食品包装用容器であって、蓋体を備えていない食品包装用容器を例に挙げて説明する。ただし、本発明の一態様に係る包装用容器が収容する被収容物は、食品に限定されない。また、本発明の一態様に係る包装用容器は蓋体を備えていてもよい。
【0022】
〔包装用容器の構成〕
図1および図2を用いて、本発明の一実施形態に係る包装用容器1の構成について説明する。なお、説明の便宜上、図2では包装用容器1の断面形状のみを図示し、包装用容器1の断面よりも奥行側の各部については図示を省略している。このことは、図3の符号302および図4の符号402についても同様である。
【0023】
包装用容器1は、収容可能な食品の種類に特段の制限はないものの、油気または汁気がある食品を収容するのに好適である。油気がある食品としては、揚げ物、ハンバーグ、ステーキ、焼魚等が挙げられる。汁気がある食品としては、マリネ、酢の物等が挙げられる。本実施形態では、包装用容器1に収容される食品として第1の食品70および第2の食品80を例に挙げる(図3および図4参照;詳細は後述)。ただし、この欄の説明では、第1の食品70および第2の食品80を纏めて単に「食品」と表記する。
【0024】
また本実施形態では、包装用容器1は、シート厚が0.1mm~4mm、好ましくは0.15mm~2.5mmの樹脂シートを熱成形することによって形成されている。樹脂シートとしては、例えばポリオレフィン系樹脂シート、ポリスチレン系樹脂シート、ポリエステル系樹脂シート等の熱可塑性樹脂シートを用いることができる。これらの樹脂シートは、発砲シートであってもよいし、非発泡シートであってもよい。また、樹脂シートとして積層シートを用いることもできる。積層シートとしては、例えば、発泡シートにフィルムをラミネートしたフィルムラミネート発泡シート、共押出ラミネートシート、押出ラミネートシートを用いることができる。熱成形の方法としては、例えば真空成形、厚空成形、真空圧空成形、熱板成形が挙げられる。
【0025】
さらに本実施形態では、包装用容器1の色は白色単色である。ただし、包装用容器1の色はこれに限られず、いかなる色であってもよい。また、包装用容器1に模様が付されてもよい。例えば包装用容器1は、ベースカラーが黒色であり、少なくとも一部に金色または赤色等の模様が付されていてもよい。
【0026】
包装用容器1は、図1に示すように、平面視での形状が矩形状である。ここで、「矩形状」とは、包装用容器1を全体として見たときに矩形状と見做すことができる形状、つまり略矩形状を意味する。したがって、例えば、包装用容器1の外縁の一部に突出部分が設けられていてもよいし、直線状の辺を成す部分が含まれていてもよい。このことは、矩形状以外の形状(例えば円形状)についても当てはまり、また、包装用容器1を構成する各部のそれぞれをあらゆる方向から見たときの形状についても当てはまる。
【0027】
包装用容器1は、図1および図2に示すように、底面部2、周壁部3、連結部4およびフランジ部5を備えている。底面部2は、包装用容器1の底部を成している。周壁部3は、底面部2から上側に延びている部分である。連結部4は、周壁部3と後述の載置傾斜面221cとに連なっている部分である。フランジ部5は、周壁部3の上端から外側に延びている部分である。
【0028】
<底面部>
底面部2は、図1および図2に示すように、底面本体部21、載置部22および底溝部23を有している。底面本体部21は、平板状の部分であり、平面視での外形が矩形状となっている。底面本体部21の4隅は丸みを帯びた形状になっている。
【0029】
載置部22は、食品が載置される部分であり、底面部21から上側に隆起している部分である。載置部22は、載置本体部220、第2支持部24および第1支持部25を有している。載置本体部220は、底面本体部21の上面から上側に隆起している部分であり、横方向に延びている三角柱形状の部分である。本明細書において、横方向は、包装用容器1における外縁端部55(詳細は後述)の一方の短辺部552から他方の短辺部552に向かう方向を指す(図1参照)。載置本体部220は、載置壁部221、非載置壁部222および載置側側壁部223を有している。
【0030】
載置壁部221は、板状かつ平面視で矩形状の部分であり、頂壁221aと傾斜壁221bとを有している。頂壁221aは、載置壁部221の上端に位置し、後述の接地面233と略平行な平板部分である。傾斜壁221bは、その上端が頂壁221aにおける長手側の端部の一方と連なっている平板部分である。傾斜壁221bは、その上端から下端にかけて第1の方向X(一方向)に向かって傾斜している。第1の方向Xは、図1および図2に示すように、傾斜壁221bの上端から外縁端部55の長辺部551の一方に向かう方向である。傾斜壁221bの下端は、後述の第2支持部24における傾斜壁221b側の根元と連なっている。
【0031】
包装用容器1に収容される食品は、当該食品の大きさに応じて、(i)頂壁221aの上面、(ii)頂壁221aと傾斜壁221bとの連結部分の上面、または(iii)傾斜壁221bの載置傾斜面221cのいずれかに載置される。以下、頂壁221aと傾斜壁221bとの連結部分の上面を「連結上面」と称する。載置傾斜面221cは、傾斜壁221bの上面である。
【0032】
非載置壁部222は、図1および図2に示すような矩形の平板形状の部分であり、その上端が頂壁221aにおける長手側の端部の他方と連なっている。非載置壁部222は、その上端から下端にかけて第2の方向Yに向かって傾斜している。第2の方向Yは、図1および図2に示すように、非載置壁部222の上端から外縁端部55の長辺部551の他方に向かう方向である。つまり、第2の方向Yは、第1の方向Xの反対方向である。この「反対方向」は厳密な意味で反対方向を要求するものではなく、略反対方向を許容する概念である。
【0033】
包装用容器1に収容される食品は、基本的には、非載置壁部222の非載置傾斜面222aには載置されない。ただし、例えば包装用容器1に収容される食品が軟らかくて大きく、載置傾斜面221c等に載置された状態において、食品の一部が頂壁221aからはみ出して非載置傾斜面222aと接触することはある。つまり、包装用容器1に収容される食品の一部が、非載置傾斜面222aに意図せず載置されるような場合はある。非載置傾斜面222aは、非載置壁部222の上面である。
【0034】
なお、傾斜壁221b(つまり載置傾斜面221c)の傾斜方向である第1の方向X、および非載置壁部222(つまり非載置傾斜面222a)の傾斜方向である第2の方向Yは、あくまで一例である。非載置傾斜面222aの傾斜方向が載置傾斜面221cの傾斜方向の反対方向でさえあれば、これらの面の各傾斜方向は、載置本体部220の形状、底面本体部21と傾斜壁221bおよび非載置壁部222との各位置関係等に応じて任意に変更できる。
【0035】
載置側側壁部223は、図1および図2に示すような三角形状の平板部分である。載置側側壁部223は、頂壁221a、傾斜壁221bおよび非載置壁部222のそれぞれにおける短手側の端部と連なっている。つまり、載置側側壁部223は、頂壁221a、傾斜壁221bおよび非載置壁部222によって取り囲まれた空間を横側から塞いている。本明細書において、横側は、包装用容器1における外縁端部55の短辺部552側を指す。載置側側壁部223の下端は、底面本体部21の上面と連なっている。
【0036】
載置壁部221には、頂壁221aの上面から載置傾斜面221cの下端に亘って載置側傾斜溝221dが形成されている。載置側傾斜溝221dは、載置傾斜面221cの傾斜方向、つまり第1の方向Xに沿って延びている溝である。本実施形態では、図1に示すように、載置壁部221に4本の載置側傾斜溝221dが形成されている。
【0037】
4本の載置側傾斜溝221dのうちの2本は、載置壁部221の短手側の両端部付近に形成されており、他の2本は、載置壁部221の中央付近に形成されている。載置壁部221の短手側の両端部付近に形成されている2本の載置側傾斜溝221dは、ともに不図示の第1中心軸を基準として対称となる位置に形成されている。第1中心軸は、載置壁部221の中心軸のことであり、具体的には、載置壁部221を載置傾斜面221cと直交する方向から見たときに第1の方向Xに沿って延びている中心軸のことを指す。また、載置壁部221の中央付近に形成されている2本の載置側傾斜溝221dも、第1中心軸を基準として対称となる位置に形成されている。
【0038】
非載置壁部222には、非載置傾斜面222aの上端から下端に亘って非載置側傾斜溝222bが形成されている。非載置側傾斜溝222bは、非載置傾斜面222aの傾斜方向、つまり第2の方向Yに沿って延びている溝である。本実施形態では、図1に示すように、非載置壁部222に4本の非載置側傾斜溝222bが形成されている。
【0039】
4本の非載置側傾斜溝222bのうちの2本は、非載置壁部222の短手側の両端部付近に形成されており、他の2本は、非載置壁部222の中央付近に形成されている。非載置壁部222の短手側の両端部付近に形成されている2本の非載置側傾斜溝222bは、不図示の第2中心軸を基準として対称となる位置に形成されている。第2中心軸は、非載置壁部222の中心軸のことであり、具体的には、非載置壁部222を非載置傾斜面222aと直交する方向から見たときに第2の方向Yに沿って延びている中心軸のことを指す。また、非載置壁部222の中央付近に形成されている2本の非載置側傾斜溝222bも、第2中心軸を基準として対称となる位置に形成されている。
【0040】
4本の載置側傾斜溝221dおよび4本の非載置側傾斜溝222bは、食品の油分または出汁が各溝の下端に向けて流れる流路として機能し、油分または出汁を後述の油だまり234に排出する役割を果たす。本実施形態では、2本の載置側傾斜溝221dが載置壁部221の短手側の両端部付近に位置し、かつ2本の非載置側傾斜溝222b非載置壁部222の短手側の両端部付近に位置していることから、油分または出汁を油だまり234に効率的に排出できる。
【0041】
4本の載置側傾斜溝221dのそれぞれは、平面視における横方向の形成位置が同一の非載置側傾斜溝222b(以下、「対応する非載置側傾斜溝222b」)と連通している。具体的には、載置側傾斜溝221dと対応する非載置側傾斜溝222bとは、頂壁221aと非載置壁部222との連結箇所で連通している。ここで、「平面視における横方向の形成位置が同一」とは、平面視における形成位置が完全に同一である場合に限定することを意味するものではなく、視認レベルで同一と見做すことができる略同一を包含する概念である。載置側傾斜溝221dと対応する非載置側傾斜溝222bとが前述の連結箇所で連通していることから、頂壁221aの上面に付着した食品の油分または出汁を両溝の連通部分から載置側傾斜溝221dおよび非載置側傾斜溝222bに効率的に流すことができる。
【0042】
第2支持部24は、図1および図2に示すように、載置傾斜面221cの下端と後述の側壁部61との間に位置するリブ状の突起である。具体的には、第2支持部24は、図2に示すように、底面本体部21の上面における、載置傾斜面221cの下端と側壁部61との間の領域から上側に突出している。また、第2支持部24は、図1に示すように横方向に延びており、4本の載置側傾斜溝221dのそれぞれにおける下端側の開口部を塞いでいる。
【0043】
第2支持部24の両端面は、上側に向かうにつれて第2支持部24の中央側により傾くように傾斜している。そのため、載置壁部221の短手側の両端部付近に形成されている2本の載置側傾斜溝221dの上部から流れてきた食品の油分または出汁が、当該2本の載置側傾斜溝221dの下端から溢れ出たときに、油分または出汁が油だまり234に導かれ易くなる。第2支持部24は、載置部22に載置された食品を支持可能な部分であり、小さな食品を支持するのに好適である。第2支持部24による食品の支持態様等の詳細については後述する。
【0044】
底溝部23は、底面本体部21の外縁を取り囲むように形成された環状の部分であり、当該外縁と連なっている。底溝部23は、図2に示すように、底面本体部21の上面から下側に凹んでいる。言い換えれば、底溝部23は、底面本体部21の裏面から下側に突出しており、包装用容器1の脚部を成している。
【0045】
第1支持部25は、図1および2に示すような、周壁部3から内側に膨出している部分であり、食品を後述の第1側壁部分251で支持可能な部分である。本明細書において、内側は、包装用容器1の中央側を指す。具体的には、第1支持部25は、図1に示すように、第1周壁部31における2つの第1周壁部分311のうち、第2支持部24と対向する側の第1周壁部分311の内面から内側に膨出している。
【0046】
第1支持部25は、図1および図2に示すような、横方向に延びている四角柱形状であり、横方向の長さが第2支持部24と略同一である。本実施形態では、第1支持部25の側壁部は、図1に示すように第1側壁部分251と2つの第2側壁部分252とで構成されている。第2側壁部分252は、第1支持部25の横側の端に位置する側壁部分であり、第1周壁部31の内面から内側に突出している。本実施形態では、第2側壁部分252と第1周壁部31の内面との成す角度が略90°になっている。第2側壁部分252の下端部は、その下端が底溝部23の平坦部232まで延びており、底溝側壁部231および平坦部232と連なっている。
【0047】
第1側壁部分251は、第2支持部24と対向する側壁部分であり、2つの第2側壁部分252のそれぞれにおける内側の端部と連なっている。また、第1側壁部分251の下端部は、底面本体部21における長手側の端部の一方(第2支持部24と近接している側の端部)と連なっている。第1支持部25による食品の支持態様等の詳細については後述する。
【0048】
底溝部23は、底溝側壁部231と平坦部232とを有している。底溝側壁部231は、底面本体部21の裏面から下側に延びている部分であり、底溝部23の側壁を成している。本実施形態では、底溝側壁部231における外側の側壁部分の内面が、上下方向に延びる細長い凸状の領域が略全面に亘って複数形成された凸条形状となっている。平坦部232は、底溝側壁部231の下端と連なっている板状の部分であり、その裏面が接地面233を成している。
【0049】
底面部2が底溝部23を有することで、包装用容器1の接地面が接地面233となり、包装用容器1の接地面の面積を小さくできる。これにより、包装用容器1に収容された食品が接地面233と接する場所の温度よりも暖かいものまたは冷たいものである場合、その食品が前述の場所の温度に影響され難くなる。ここで、「接地面233と接する場所」としては、例えば包装用容器1が載置されるテーブルを挙げることができる。
【0050】
底溝側壁部231と平坦部232とで取り囲まれた空間は、油だまり234を成している。油だまり234は、食品の油分および出汁を溜めておく場所であり、例えば、4本の載置側傾斜溝221dの下端および4本の非載置側傾斜溝222bの下端から流れ出た油分および出汁を溜めておく。油だまり234が形成されていることにより、載置側傾斜溝221dおよび非載置側傾斜溝222bから流れ出た油分または出汁が、底面本体部21の上面に滞留して食品に再付着することを低減できる。
【0051】
底面部2の構成は本実施形態の例に限定されない。例えば、非載置壁部222は底面本体部21と直交していてもよい。ここで、「底面本体部21と直交」とは、非載置壁部222が底面本体部21と完全に直交する場合に限定することを意味するものではなく、視認レベルで直交と見做すことができる略直交を包含する概念である。また例えば、載置側傾斜溝221dと非載置側傾斜溝222bとが連通していなくてもよく、載置側傾斜溝221dおよび非載置側傾斜溝222bの各本数および各形成位置も任意に変更してよい。さらには、載置側傾斜溝221dおよび非載置側傾斜溝222bの少なくとも一方が形成されていなくてもよい。また例えば、底面部2が底溝部23を有していなくてもよい。この場合、底面本体部21の裏面が接地面を成す。
【0052】
<周壁部>
周壁部3は、図1および図2に示すような、底溝部23の外縁から上側に延びている枠状の部分であり、包装用容器1の周壁を成している。また、底面部2と周壁部3とで取り囲まれた空間が、包装用容器1における食品の収容空間を成している。周壁部3は、図2に示すように、第1周壁部31、延在部32および第2周壁部33を有している。
【0053】
第1周壁部31は、底溝側壁部231における外側の側壁部分の上端から上側に延びている枠状の部分であり、上側に向かうにつれて外側に広がるように形成されている。第1周壁部31は、図1に示すように、2つの第1周壁部分311と2つの第2周壁部分312とを有している。第1周壁部分311は、第1周壁部31における長手側の周壁部分であり、第2周壁部分312は、第1周壁部31における短手側の周壁部分である。
【0054】
第1周壁部31の内面は、上下方向に延びる細長い凸状の領域が略全面に亘って複数形成された凸条形状となっている。第1周壁部31の内面に形成された凸状の領域は、底溝側壁部231における外側の側壁部分の内面に形成された凸状の領域と連なっている。これにより、包装用容器1に収容された食品が例えば底面部2の全体を覆う程度の大きさの場合に、食品から流れ出た油分または出汁を互いに隣り合う2つの凸状の領域の間に形成された溝に溜めることができ、食品に油分または出汁が再付着するのを低減できる。なお、第1周壁部31の内面および底溝側壁部231における外側の側壁部分の内面は、それぞれ凸条形状でなくてもよく、例えば平面形状であってもよい。
【0055】
延在部32は、第1周壁部31の上端の全周から外側に延びている板状の部分である。延在部32は、平面視において、図1に示すような環状となっている。第2周壁部33は、図2に示すように、延在部32における外側の端部から上側に延びている枠状の部分である。本実施形態では、延在部32と第2周壁部33との成す角度が略90°になっている。なお、周壁部3は、延在部32および第2周壁部33を有していなくてもよい。
【0056】
<連結部>
連結部4は、図1に示すように、第1周壁部31における2つの第2周壁部分312のそれぞれから内側に延びている部分であり、内側の端部が載置側側壁部223および載置傾斜面221cと連なっている。本実施形態では、連結部4は、第1連結部分41と第2連結部分42とを有している。
【0057】
第1連結部分41は、第2周壁部分312における下側の周壁部分から内側に延びている部分であり、内側の端部が載置側側壁部223と連なっている。第1連結部分41における2つの側壁部分は、下端部の下端が底溝部23の平坦部232まで延びており、底溝側壁部231および平坦部232と連なっている。
【0058】
第2連結部分42は、第1連結部分41の上面から上側に隆起している部分である。第2連結部分42は、外側の端部が第2周壁部分312における上側の周壁部分と連なっており、内側の端部が載置側側壁部223および載置傾斜面221cと連なっている。第2連結部分42における内側の端部は、連結側壁部421を含んでいる。連結側壁部421は、第2連結部分42における載置傾斜面221c側の一端に位置し、載置傾斜面221cにおける短手側の端部領域から上側に突出している側壁部分である。連結側壁部421は、頂壁221a側に向かうにつれて内側に傾斜するように形成されている。また、連結側壁部421は、載置傾斜面221cとの連結箇所から連結傾斜面424(詳細は後述)側の端部に向かうにつれて、外側に傾斜するように形成されている。
【0059】
連結側壁部421の側壁面である連結側壁面422は、包装用容器1に収容される食品の大きさによっては当該食品と接触する面である。連結側壁面422は、上下方向に延びる細長い凸状の領域が略全面に亘って複数形成された凸条形状となっている。なお、連結側壁面422は凸条形状でなくてもよく、例えば平面形状であってもよい。
【0060】
第2連結部分42の上面は、連結部4の上面を成しており、連結頂面423と連結傾斜面424とを有している。連結頂面423は、第2周壁部分312の上端部と連なっている平面視で三角形状の面であり、接地面233と略平行になっている。連結傾斜面424は、載置傾斜面221cの傾斜方向である第1の方向Xと同じ方向に向かって傾斜している面であり、第2周壁部分312の上端部および連結側壁部421の両方と連なっている。連結傾斜面424の上端領域は、連結頂面423と連なっている。前述のような連結傾斜面424と連結側壁部421との位置関係から、連結側壁部421は、連結傾斜面424の位置を載置傾斜面221cよりも高くしていると言える。
【0061】
本実施形態では、連結傾斜面424の傾斜角度が載置傾斜面221cの傾斜角度θ(図2参照)と略同一になっている。傾斜角度θは、載置傾斜面221cの下端を含む、接地面233と平行な仮想の平面と、載置傾斜面221cとの成す角度である。ただし、連結傾斜面424は、第1の方向Xと同じ方向に向かって傾斜してさえいれば、その傾斜角度が載置傾斜面221cの傾斜角度θと視認レベルで異なっていてもよい。
【0062】
連結傾斜面424は、横方向の幅W41が載置傾斜面221cの横方向の幅W21よりも狭くなっている。また、連結傾斜面424は、傾斜方向の幅W42が載置傾斜面221cの傾斜方向の幅W22よりも狭くなっている。つまり、連結傾斜面424の面積が載置傾斜面221cの面積よりも小さくなっている。これにより、連結傾斜面424に付着する食品の油分または出汁の量が少なくなり、少なくなった量の分だけ油だまり234に排出されることから、油分または出汁を油だまり234に効率的に排出できる。
【0063】
なお、連結傾斜面424は、その面積が載置傾斜面221cの面積よりも小さくなってさえいればよく、幅W41および42の両方が載置傾斜面の対応する幅よりも狭くなっている必要はない。また、連結部4は、連結傾斜面424の面積が載置傾斜面221cの面積よりも小さくなってさえいれば、どのような形状であってもよい。ただし、食品の油分または出汁を油だまり234に効率的に排出する観点からは、少なくとも幅W41が幅21よりも狭くなっているのが好ましい。さらには、包装用容器1は連結部4を備えていなくてもよい。
【0064】
<フランジ部>
フランジ部5は、図2に示すような、第2周壁部33の上端から外側に延びている部分である。フランジ部5は、内側フランジ壁51、内周フランジ部52、外側フランジ壁53、外周フランジ部54および外縁端部55を有している。内側フランジ壁51は、第2周壁部33の上端の全周から上側に延びている板状の部分である。内側フランジ壁51は、上側に向かうにつれて外側に広がるように形成されている。内周フランジ部52は、内側フランジ壁51の上端から外側に延びている枠状の部分である。内周フランジ部52の上面は、包装用容器1の上端面を成している。
【0065】
外側フランジ壁53は、内周フランジ部52の外端の全周から下側に延びている部分である。外側フランジ壁53は、下側に向かうにつれて外側に広がるように形成されている。外周フランジ部54は、外側フランジ壁53の下端の全周から外側に延びている板状の部分である。外周フランジ部54は、外側に向かうにつれて下側により傾くように形成されている。すなわち、フランジ部5は、内周側に内周フランジ部52を有し、外周側に外周フランジ部54を有する2段構造のフランジ部となっている。
【0066】
第2周壁部33、内側フランジ壁51、内周フランジ部52および外側フランジ壁53で構成される、平面視で環状の凸部は、不図示の蓋体が内嵌合部を有する場合の当該内嵌合部と嵌合させることができる。すなわち、包装用容器1は、蓋体と内嵌合可能に構成されている。
【0067】
外縁端部55は、外周フランジ部54の下端から下側に延びている枠状の部分である。外縁端部55の下端部は、先端が全周に亘って外側を向くように屈曲している。外縁端部55の下端部は、図1に示すように、2つの長辺部551と2つの短辺部552とを有している。長辺部551は、外縁端部55の下端部における長手側の部分であり、短辺部552は、外縁端部55の下端部における短手側の部分である。長辺部551と短辺部552との連結部分は、平面視において丸みを帯びた形状になっている。外縁端部55の下端部の先端は、平面視において包装用容器1の外形を成している。また、外周フランジ部54と外縁端部55との連結部分56は、図2に示すように、全周に亘って外側に突出している。
【0068】
外縁端部55は、不図示の蓋体が外嵌合部を有する場合に、外嵌合部に外側から覆われて当該外嵌合部の内面と当接することで、外嵌合部と外嵌合することができる。すなわち、包装用容器1は、蓋体と外嵌合可能に構成されている。このように、包装用容器1は、蓋体と内嵌合可能にも外嵌合可能にも構成されていることから、収容される食品の大きさ等に応じて適切な嵌合態様の蓋体を包装用容器1に嵌合させることができる。また、連結部分56が外側に突出していることから、包装用容器1に外嵌合させた蓋体が当該包装用容器1から外れ難くなり、蓋体を包装用容器1に安定して固定できる。
【0069】
外縁端部55は、図1に示すように、下端部に2つの受け片57を有している。具体的には、1つの受け片57が、下端部の4隅のうちの1つから外側に延びて形成されている。もう1つの受け片57は、下端部の4隅のうち、前述の1つの受け片57が形成されている隅と平面視で対角の位置関係にある隅から外側に延びて形成されている。受け片57は、平板状の部分であり、平面視で先端が丸みを帯びている。2つの受け片57は、隆起部571を有している。隆起部571は、受け片57の上面から上側に凸となるように隆起しており、受け片57の先端付近に形成されている。
【0070】
不図示の摘み部が外嵌合部を有する蓋体の周壁に形成されている場合、この蓋体を包装用容器1に外嵌合させるときに、受け片57と摘み部とが平面視で重なり合うようにすることができる。受け片57と摘み部とが重なり合うことで、開蓋部が形成される。開蓋部は、前述の蓋体を包装用容器1から取り外すときに摘むための部分である。この場合、受け片57が隆起部571を有していることから、摘み部には、受け片57と摘み部とが重なり合った状態において隆起部を収容するための収容部が形成されている。前述の蓋体が包装用容器1に外嵌合した状態において収容部が隆起部571を収容していることから、前述の蓋体が外縁端部55の外面に沿って位置ズレするのを低減でき、前述の蓋体と包装用容器1との嵌合状態を安定させることができる。
【0071】
受け片57は、隆起部571を有していなくてもよい。また、受け片57の個数および形成位置は任意に設計変更できる。さらには、外縁端部55は、受け片57を有していなくてもよい。フランジ部5は、本実施形態のように、蓋体が内嵌合用および外嵌合用のいずれの場合でも対応可能な形状になっている必要はなく、内嵌合用または外嵌合用の蓋体のいずれか一方に対応可能な形状になっていればよい。あるいは、フランジ部5の形状が、内嵌合用および外嵌合用の蓋体のいずれにも対応していなくてもよい。
【0072】
〔第1の食品の収容態様〕
図3を用いて、第1の食品70の包装用容器1内での収容態様について説明する。第1の食品70は、図3の符号301に示すような、包装用容器1に収容された状態において2つの連結傾斜面424の両方を略全部覆う程度の大きさであり、比較的大きな部類の食品である。また第1の食品70における長手側の長さは、当該第1の食品70が包装用容器1に収容された状態において、第1支持部25と、底面本体部21における長手側かつ非載置壁部222側の端部との間の空間に収まる程度の長さになっている。第1の食品70としては、ジャンボコロッケ、ジャンボヒレカツ、ハンバーグ、鯵のフライ等が想定される。
【0073】
第1の食品70を包装用容器1に収容する場合、第1の食品70を載置部22に載置するとともに第1支持部25によって支持する。このようにして第1の食品70を収容すると、第1の食品70は包装用容器1内で図3に示すような収容態様になる。具体的には、第1の食品70における長手側の端部の一方が、図3の符号302に示すように、連結上面に載置された状態になる。また、第1の食品70は、長手側の端部の他方が第1側壁部分251の側壁面251aに当接することで、第1支持部25により支持された状態になる。さらに、第1の食品70は、第2支持部24の第2上面241の一部に当接することで、第2支持部24によっても支持された状態になる。以下、図3に示す第1の食品70の収容態様を「第1の収容態様」と称する。
【0074】
ここで、包装用容器1は、頂壁221aの高さHt、第1側壁部分251の第1高さH1および第2支持部24の第2高さH2のうち、高さHtが最も高くなっており、第2高さH2が最も低くなっている。高さHtは、平面Pから頂壁221aの上面までの最短距離である。第1高さH1は、平面Pから第1側壁部分251の第1上面251bまでの最短距離である。第2高さH2は、平面Pから第2支持部24の第2上面241までの最短距離である。平面Pは、接地面233を含む仮想的な平面である。
【0075】
連結上面の高さHt´は、高さHtと略同一であり、高さHtよりも若干低くなっている。高さHt´は、仮想的な平面Pから連結上面の重心までの最短距離である。したがって、高さHt´、第1高さH1および第2高さH2の中では、高さHt´が最も高くなっている。
【0076】
高さHt´、第1高さH1および第2高さH2が前述のような関係にあることから、第1の収容態様下にある第1の食品70は、第1の方向X(図1参照)と同じ方向に傾斜した状態が第1支持部25によって維持される。そして、第1の収容態様下では、第1の食品70を載置傾斜面221cと対向する方向から見た場合に、第1の食品70が包装用容器1内で浮き上がったように見える。この状態も、第1支持部25によって維持される。これにより、包装用容器1内の第1の食品70にボリューム感が出てその見栄えが良くなる。
【0077】
本実施形態では、側壁面251aが上側に向かうにつれて外側に広がるように傾斜している。また、側壁面251aは、第1の収容態様下において第1の食品70の当接面と側壁面251aとの成す角度が略90°になるような傾斜角度になっている。第1の食品70の当接面は、第1の収容態様下において、第1の食品70における連結上面および第2上面241の一部と当接する側の面である。これにより、第1の収容態様下において第1側壁部分251の支持力が第1の食品70に効率良く作用し、第1の収容態様が安定する。また、本実施形態では、図3の符号301に示すように、平面視において第1側壁部分251と第2支持部24とが略平行になっている。これによっても、第1の収容態様が安定する。
【0078】
さらに、本実施形態では、第1支持部25の上面について、第1上面251bが他の上面部分よりも高くなっている段差形状になっている。これにより、第1の食品70から流れ出た油分または出汁を他の上面部分に溜める、あるいは他の上面部分における横側の端から油だまり234に排出でき、第1の食品70に油分または出汁が再付着するのをより低減できる。
【0079】
側壁面251aは、上下方向に延びる細長い凸状の領域が略全面に亘って複数形成された凸条形状となっている。この凸状の領域は、上端が第1側壁部分251の第1上面251bまで延びており、下端が第1側壁部分251と底面本体部21との連結箇所まで延びている。これにより、第1の収容状態下において第1の食品70から流れ出た油分または出汁を、互いに隣り合う2つの凸状の領域の間に形成された溝、あるいは油だまり234により効率的に溜めることができる。よって、第1の食品70に油分または出汁が再付着するのを効果的に低減できる。
【0080】
また、第1の収容態様下では、図3の符号301に示すように、第1の食品70における短手側の両端部が連結傾斜面424の上側の領域に載置された状態になる。言い換えれば、第1の食品70は、第1の収容態様下において連結部4によっても支持されている。これにより、第1の収容態様がさらに安定する。
【0081】
前述した第1の収容態様および第1支持部25の構成等はあくまで一例である。包装用容器1に第1の食品70のような比較的大きな部類の食品を収容する場合でも、その大きさおよび形状に応じて、食品が載置される連結部4および載置部22の各面、ならびに食品と当接する側壁面251a中の領域および第2上面241中の領域は異なる。
【0082】
また、第1支持部25の側壁部は、本実施形態のように第1側壁部分251と2つの第2側壁部分252とで構成されていなくてもよく、例えば平面視で楕円の円弧形状の第1側壁部分251で構成されていてもよい。この場合、第1支持部25の側壁部の側壁面は、第1側壁部分251の側壁面251aで構成されることになる。さらには、第1高さH1は、高さHtより低くなくてもよく、高さHt以上であってもよい。ただし、第1高さH1が高さHt以上になると、場合によっては、第1の食品70における第1支持部25が支持している側の端部付近が当該第1支持部25によって見え難くなる虞がある。このようなことを考慮すれば、第1高さH1は高さHtよりも低い方が好ましい。
【0083】
さらに、第1支持部25の側壁部は、例えば第1上面251bが正面視で凹凸状になっている第1側壁部分251で構成されていてもよい。この場合、平面Pから第1上面251bまでの高さが、当該第1上面251bにおける凸状の領域と凹状の領域とで異なることになる。この場合、平面Pから第1上面251bにおける最も上側に位置する面までの最短距離を、第1高さH1とすればよい。「第1上面251bにおける最も上側に位置する面」とは、具体的には、第1上面251bにおける凸状の領域の上面部分である。
【0084】
〔第2の食品の収容態様〕
図4を用いて、第2の食品80の包装用容器1内での収容態様について説明する。第2の食品80は、図4の符号401に示すような、載置部22に複数個載置できる程度の大きさであり、比較的小さな部類の食品である。また第2の食品80における長手側の長さは、当該第2の食品80が包装用容器1に複数個収容された状態において、第2支持部24と、非載置傾斜面222aの下端との間の空間に収まる程度の長さになっている。第2の食品80としては、ミニコロッケ、ミニヒレカツ、ミニハンバーグ等が想定される。なお、図4の例では、第2の食品80が載置部22に5個載置されているが、この個数はあくまで一例である。
【0085】
第2の食品80を包装用容器1に収容する場合、複数個の第2の食品80を載置部22に載置するとともに第2支持部24によって支持する。このようにして第2の食品80を収容すると、第2の食品80は包装用容器1内で図4に示すような収容態様になる。具体的には、図4の符号402に示すように、載置傾斜面221cの略全面が第2の食品80に当接した状態になる。また、第2の食品80は、短手側の端部の一方が第2支持部24の側壁面242に当接することで、第2支持部24により支持された状態になる。以下、図4に示す第2の食品80の収容態様を「第2の収容態様」と称する。
【0086】
第2の収容態様下では、図4の符号402に示すように、第2の食品80の先端が、頂壁221aと非載置壁部222との連結部分よりも外側に突出した状態になっている。また、複数個の第2の食品80のうち、最も外側に収容された2つの第2の食品80は、図4の符号401に示すように、長手側の端部の一方が連結側壁面422の一部に当接した状態になっている。さらに、複数個の第2の食品80は、互いに隣り合う2つの第2の食品80同士が長手方向の端部において接触した状態になっている。
【0087】
本実施形態では、側壁面242が上側に向かうにつれて外側に広がるように傾斜している。また、側壁面242は、第2の収容態様下において第2の食品80の当接面と側壁面242との成す角度が略90°になるような傾斜角度になっている。第2の食品80の当接面は、第2の収容態様下において、第2の食品80における載置傾斜面221cと当接する側の面である。これにより、第2の収容態様下において第2支持部24の支持力が第2の食品80に効率良く作用し、第2の収容態様が安定する。
【0088】
また、本実施形態では、図4の符号301に示すように側壁面242が平面形状になっている。これにより、第2の食品80と側壁面242との接触面積が増加することから、第2の収容態様がより安定する。ここで、側壁面242は、例えば上下方向に延びる細長い凸状の領域が略全面に亘って複数形成された凸条形状となっていてもよい。この場合、第2の収容状態下において第2の食品80から流れ出た油分または出汁を、互いに隣り合う2つの凸状の領域の間に形成された溝に溜める、あるいは第2支持部24の両端から油だまり234に効率的に排出することができる。よって、第2の食品80に油分または出汁が再付着するのを効果的に低減できる。
【0089】
前述した第2の収容態様および第2支持部24の構成等はあくまで一例である。例えば、第2の収容態様下において、最も外側に収容された2つの第2の食品80は、長手側の端部の一方が連結側壁面422と離間していてもよい。また例えば、第2の収容態様下において、互いに隣り合う2つの第2の食品80同士が長手方向の端部において接触していなくてもよい。これらのような収容態様でも、複数個の第2の食品80が横方向に意図せず移動するのを2つの連結側壁部421によって規制できる。ただし、第2の収容態様を安定化させる観点からは、複数個の第2の食品80が図4に示す例のように収容されるのが好ましい。
【0090】
以上のように、包装用容器1は、第1の食品70のような大きな被収容物から第2の食品80のような小さな被収容物まで、幅広い大きさの被収容物を収容できる。特に、コロッケ、ヒレカツ、ハンバーグ等の同一種類で大小のサイズがある食品に好適である。そのため、被収容物の大きさに応じて数多くの種類の包装用容器を製造する必要がなくなり、包装用容器の在庫を減らすことができる。これにより、プラスチックごみを減らすことができ、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献できる。例えば、包装用容器1は、「SDGs17の目標」のうち、「3 すべての健康と福祉を」、「14 海の豊かさを守ろう」および「15 陸の豊かさも守ろう」の3つの目標の達成に貢献できる。
【0091】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0092】
1 包装用容器
2 底面部
3 周壁部
4 連結部
24 第2支持部
25 第1支持部
70 第1の食品(被収容物)
80 第2の食品(被収容物)
221c 載置傾斜面
221d 載置側傾斜溝
222a 非載置傾斜面
222b 非載置側傾斜溝
233 接地面
241 第2上面
251 第1側壁部分(側壁部)
251a 側壁面
251b 第1上面
421 連結側壁部
422 連結側壁面
424 連結傾斜面
H1 第1高さ
H2 第2高さ
P 平面
W41、W42 幅
図1
図2
図3
図4