(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】旋回装置及び杭打機
(51)【国際特許分類】
E02D 13/00 20060101AFI20240202BHJP
E02D 7/00 20060101ALI20240202BHJP
E02D 7/18 20060101ALI20240202BHJP
【FI】
E02D13/00 Z
E02D7/00 A
E02D7/18
(21)【出願番号】P 2021110696
(22)【出願日】2021-07-02
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】521293512
【氏名又は名称】▲崎▼山 徳良
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】▲崎▼山 徳良
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-268557(JP,A)
【文献】特開2002-302947(JP,A)
【文献】実開平03-002039(JP,U)
【文献】実開昭49-095702(JP,U)
【文献】特開平08-003996(JP,A)
【文献】特開平08-041874(JP,A)
【文献】特開昭57-116829(JP,A)
【文献】特開2013-053495(JP,A)
【文献】実開平02-125043(JP,U)
【文献】特開昭63-019329(JP,A)
【文献】特開平09-095945(JP,A)
【文献】特開2006-169942(JP,A)
【文献】特開平11-013061(JP,A)
【文献】特開平09-328752(JP,A)
【文献】特開2000-336647(JP,A)
【文献】実開昭58-050140(JP,U)
【文献】特開昭53-080706(JP,A)
【文献】特開昭52-121905(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 13/00
E02D 7/00
E02D 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
杭打機が備えるリーダに昇降自在に装着される支持部と、
バイブロハンマの上方に連結される旋回部と、を備え、
前記旋回部は、前記支持部に旋回自在に連結され、
前記支持部はモータを備え、
前記旋回部は前記モータからの駆動力により前記支持部に対して旋回し、
前記旋回部の下端には一対のフランジが設けられ、前記一対のフランジを貫通する支持軸に前記バイブロハンマのシャックルが懸架されることにより前記旋回部は前記バイブロハンマに連結されることを特徴とする旋回装置。
【請求項2】
リーダと、
前記リーダに昇降自在に装着された旋回装置と、
前記旋回装置の下端に連結されたバイブロハンマと、を備え、
前記旋回装置は請求項1に記載の旋回装置であって、
前記バイブロハンマは前記旋回部と一体的に旋回することを特徴とする杭打機。
【請求項3】
前記バイブロハンマは、前記シャックルを有するハンガーと、ダンパ機構と、前記ハンガーにダンパ機構を介してつり下げられた起振機と、前記起振機の下部に取り付けられたチャックと、を備えることを特徴とする請求項2に記載の杭打機。
【請求項4】
前記リーダに昇降自在に装着されたアースオーガと、
巻上げウインチと、
補巻きウインチと、を更に備え、
前記支持部には前記巻上
げウインチから繰り出される巻上ワイヤが掛け回された第1の滑車が設けられ、
前記リーダの頂部に設けられた頭部部材には、前記巻上ワイヤが掛け回された第2の滑車と、前記補巻
きウインチから繰り出される補巻ワイヤが掛け回された第3の滑車が設けられ、
前記補巻ワイヤの先端には補巻フックが吊持されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の杭打機。
【請求項5】
前記リーダが搭載されたベースマシンを更に備え、
前記アースオーガは、前記リーダに沿って昇降自在に設けられたオーガ駆動機と、前記オーガ駆動機に連結されたオーガスクリュと、を備え、
前記リーダの外周面には、前記オーガ駆動機のピニオンに噛合する両面ラックが配設されており、
前記ピニオンが正逆回転することによって前記オーガ駆動機は前記両面ラックに倣って昇降し、
前記モータは油圧モータであって、前記ベースマシンが備える油圧源に接続されており、
前記支持部には、前記油圧モータと、前記油圧モータにより回転駆動されるウォームと、前記ウォームと噛み合わされたウォームホイールが収容されていることを特徴とする請求項4に記載の杭打機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旋回装置及び杭打機に関する。
【背景技術】
【0002】
家屋などの建築物を建設する際に、地盤に杭を打ち込む杭打工事を行うことがある。杭打工事には種々の工法があるが、プレボーリング工法による杭打工事の手順は例えば次の通りである。
【0003】
まず、アースオーガでオーガスクリュを回転させて地盤に孔を空け、杭(例えばH鋼杭)を挿入する。このとき、杭の向きがずれている場合には作業員がバールを用いて杭を回転させて向きを調整する。次に、ドロップハンマ等を杭頭に打ち付けて杭を打ち込んだり(打撃工法)、バイブロハンマの振動によって杭を打ち込んだりする(振動工法)(特許文献1、2参照)。
【0004】
アースオーガとドロップハンマの双方を装着した杭打機が提案されている一方で、バイブロハンマは移動式クレーンから吊り下げられたり油圧ショベルに取り付けられたりして用いられるのが一般的であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-225298号公報
【文献】特開平09-264021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の打撃工法では騒音が大きいという問題があった。バイブロハンマを用いた振動工法であれば打撃工法と比較して騒音が少ないが、アースオーガ用の重機とは別に、バイブロハンマ用の重機が必要となるという問題があった。特に、狭い作業現場では重機を複数台も利用できないという問題もあった。更に、いずれの場合においても杭の向きは作業員がバールを用いて人力で調整する必要があることから、体力的な負担が大きいことに加え、状況によっては周囲の壁等が障害物となってバールの扱いが難しいこともあった。
【0007】
本発明は、より容易に杭打を行うことのできる杭打機及びこれに用いる旋回装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る旋回装置は、杭打機が備えるリーダに昇降自在に装着される支持部と、バイブロハンマの上方に連結される旋回部と、を備え、前記旋回部は、前記支持部に旋回自在に連結され、前記支持部はモータを備え、前記旋回部は前記モータからの駆動力により前記支持部に対して旋回する。
【0009】
また、本発明に係る杭打機は、リーダと、上記旋回装置と、前記旋回装置の下端に連結されたバイブロハンマと、を備え、前記旋回装置は、前記リーダに昇降自在に装着され、前記バイブロハンマは前記旋回部と一体的に旋回する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る旋回装置は、リーダに昇降自在に装着される支持部と、バイブロハンマの上方に連結されて支持部に旋回自在に連結された旋回部と、を備えるので、バイブロハンマをリーダに装着して使用できる。よって、リーダを備える重機と別個にバイブロハンマ用の重機を用いる必要がない。また、バイブロハンマを旋回させることができるので、鉛直孔に挿入された既成杭の向きの調整をバイブロハンマを用いて行うことができる。
【0011】
本発明に係る杭打機は、上述の旋回装置を備えるので、上述したのと同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】
図1に示す杭打機が備える旋回装置を
図1の矢印A方向から見た正面図。
【
図3】
図2に示す旋回装置が備える支持部の内部構造を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態に係る杭打機について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る杭打機1は、ベースマシン2を備え、ベースマシン2は、クローラ式の走行体21と、走行体21に旋回可能に搭載された旋回体22と、旋回体22に設けられた運転席23と、を備える。
【0014】
杭打機1は更に、旋回体22に起伏可能に搭載されたリーダ3と、リーダ3に連結されて起立状態のリーダ3を後方から支持する左右一対のバックステー4と、リーダ3に沿って昇降自在に設けられたアースオーガ5と、バイブロハンマ6と、バイブロハンマ6を支持する旋回装置7と、を備える。リーダ3の頂部には、複数の滑車(図示せず)が配列された頭部部材31が設けられている。これらの滑車(第2の滑車,第3の滑車)にはそれぞれ、巻上ウインチ(図示せず)によって繰り出される巻上ワイヤW1や、補巻きウインチ(図示せず)によって繰り出される補巻ワイヤW2が掛け回されている。また、補巻ワイヤW2の先端には補巻フックHが吊持されている。
【0015】
アースオーガ5は、リーダ3に沿って昇降自在に設けられたオーガ駆動機(オーガ本体)51と、オーガ駆動機51に連結されたオーガスクリュ(図示せず)と、を備える。
図1に示す例では、オーガ駆動機51のピニオン(図示せず)に噛合する両面ラック32がリーダ3の外周面に配設されており、オーガ駆動機51は、ピニオンを正逆回転させることによって両面ラック32に倣ってリーダ3の長手方向へ昇降可能に構成されている。オーガスクリュはオーガ駆動機51により回転駆動され、施工対象領域の地盤を掘削する。なお、アースオーガ5の具体的構成は公知であるので詳細な説明は省略する。また、アースオーガ5の昇降機構は上述したものに限定されず、両面ラック32やピニオンを利用しないものであっても構わない。
【0016】
バイブロハンマ6は、シャックル61aを有するハンガー61と、ダンパ機構62と、ハンガー61にダンパ機構62を介して吊り下げられた起振機63と、起振機63の下部に取り付けられて既成杭(図示せず)を把持するための下向きのチャック64と、を備え、起振機63で発生する上下方向の起振力によって既成杭を振動させて打ち込む。バイブロハンマ6の構成は公知であるため詳細な説明は省略する。なお、バイブロハンマ6の種類は問わず、電動式のものであっても油圧式のものであっても構わない。
【0017】
バイブロハンマ6は、旋回装置7を介してリーダ3に装着されている。より具体的に、
図2に示すように、リーダ3にはリーダ3の長手方向に沿って平行に延びる一対のガイドレール33が設けられており、旋回装置7は、一対のガイドレール33に上下摺動自在に嵌合された支持部71と、支持部71の下方に位置する旋回部72と、を備える。旋回部72は支持部71に対して水平方向に旋回自在であり、バイブロハンマ6は旋回部72の下端に連結されている。
【0018】
支持部71には、
図3に示す油圧モータMと、油圧モータMにより回転駆動されるウォームギアGが収容されており、ウォームギアGは水平方向に延びて油圧モータMにより回転駆動されるウォームG1と、ウォームG1と噛み合わされて水平方向に回転するウォームホイールG2と、を有し、油圧モータMはベースマシン2が備える油圧源(図示せず)に接続されている。旋回部72はウォームホイールG2の出力軸に連結されており、油圧モータMが駆動されると、旋回部72は支持部71に対して旋回軸線Cを中心にウォームホイールG2の出力軸と一体的に水平方向に旋回する。
【0019】
図2を参照して、旋回部72の下端には一対のフランジ72aが設けられ、一対のフランジ72aを貫通する支軸72bにバイブロハンマ6のシャックル61aが懸架されることにより、バイブロハンマ6は旋回部72と一体的に旋回するように旋回部72に連結されている。
【0020】
また、支持部71の上面には、巻上ワイヤW1が掛け回された滑車(第1の滑車)73が設けられ、巻上ウインチ(図示せず)により巻上ワイヤW1を巻き取り又は繰り出すと、旋回装置7はバイブロハンマ6と共にリーダ3に沿って昇降する。
【0021】
次に、本実施形態に係る杭打機1を用いた杭打方法について説明する。まず、アースオーガ5により地盤を所定深さまで掘削して鉛直孔を形成する。アースオーガ3による鉛直孔の形成は周知の方法で行うことができる。次に、既成杭(例えばH鋼(図示せず))を補巻フックHに玉掛して補巻きウインチ(図示せず)で吊り上げ、鉛直孔に挿入する。ベースマシン2の旋回体22を旋回させてバイブロハンマ6が既成杭の上方に位置するように位置調整を行い、バイブロハンマ6(旋回装置7)を降下させ、チャック64で既成杭の上端部(例えば、H鋼の場合にはウェブの上端部)を把持する。このとき、既成杭の向きがずれている場合には、バイブロハンマ6と共に旋回部72を水平方向に旋回させて既成杭の向きを調整する。そして、バイブロハンマ6を所要の通りに起動させて既成杭を所定深さまで打ち込む。
【0022】
このように、本実施形態における杭打機1によれば、アースオーガ5を用いた掘削工程とバイブロハンマ6を用いた打込工程とを、一台の重機(杭打機1)のみで行うことができるので、複数台の重機を用いる必要がない。
【0023】
また、鉛直孔に挿入された既成杭の向きの調整もバイブロハンマ6を用いて行うことができるので、バールを用いた人力による場合と比較して作業者の負担を軽減できる。
【0024】
以上、本発明の実施形態に係る杭打機について添付の図面を参照して説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されず、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形、修正が可能である。
【0025】
例えば、上記実施形態においては杭打機として三点式杭打機を例に説明したが、杭打機の種類に制限はなく、例えば懸垂式杭打機であっても良い。また、上記実施形態における旋回装置7は油圧式に限定されず、油圧モータに変えて電動モータ等を備えるものであっても構わない。
【符号の説明】
【0026】
1 杭打機
2 ベースマシン
3 リーダ
5 アースオーガ
6 バイブロハンマ
7 旋回装置
22 旋回体
71 支持部
72 旋回部