(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】フローアッセイアナライザ
(51)【国際特許分類】
G01N 35/10 20060101AFI20240202BHJP
G01N 33/543 20060101ALI20240202BHJP
G01N 35/04 20060101ALI20240202BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20240202BHJP
【FI】
G01N35/10 C
G01N33/543 521
G01N35/04 B
G01N35/04 D
G01N37/00 101
(21)【出願番号】P 2021529719
(86)(22)【出願日】2019-12-20
(86)【国際出願番号】 CA2019051873
(87)【国際公開番号】W WO2020124255
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-12-09
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】521225845
【氏名又は名称】ケノタ インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100124039
【氏名又は名称】立花 顕治
(74)【代理人】
【識別番号】100176337
【氏名又は名称】杉本 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】ハーダー クリストファー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】マクムーリン デイブ
(72)【発明者】
【氏名】ブロンディール エリック
(72)【発明者】
【氏名】ヴー キエン
【審査官】佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】実開平06-080174(JP,U)
【文献】西独国実用新案公開第29806303(DE,U)
【文献】特開平03-120471(JP,A)
【文献】特開昭62-299768(JP,A)
【文献】特開昭58-102161(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0088141(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N35/00-37/00
G01N33/543
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アッセイデバイスアナライザであって、
横方向フローアッセイカートリッジを解放可能に係合するためのカートリッジステージであって、前記カートリッジステージが、アッセイカートリッジの底部の1つ以上の要素を解放可能に把持する
特徴を有するステージマウントを含み、前記アッセイカートリッジが、横方向フローアッセイ基板を収容する、カートリッジステージと、
複数の垂直に積層された横方向フローアッセイカートリッジを垂直に支持するための第1および第2の垂直支持構造であって、前記第1および第2の垂直支持構造が、
前記アッセイカートリッジを保持するために前記垂直支持構造の下部に特徴づけられた前記複数の垂直に積層された横方向フローアッセイカートリッジを支持し、
前記カートリッジステージ上の前記ステージマウントの上昇による前記垂直支持構造内の最下部アッセイカートリッジの係合、および、前記アッセイカートリッジの前記底部と前記ステージマウン
ト上の特徴との確実な係合を可能にする
ように前記底部に開口部を有する
ためのベース支持構造と、
前記アッセイカートリッジの前記底部が、前記垂直支持構造の側面を通って前記カートリッジステージ上の前記ステージマウントと係合した後、前記垂直支持構造の側方開口部を通って摺動することによって、前記各アッセイカートリッジを1つずつ個別に取り外すことができるように、前記ステージマウントとの前記最下部の前記アッセイカートリッジの係合後の前記垂直支持構造の内外への前記最下部の前記カートリッジの摺動、および前記側方開口部からの前記ステージマウントの並進を可能にするための
前記側方開口部と、
前記最下部アッセイカートリッジが前記カートリッジステージによって前記側方開口部外に移動されることを可能にしながら前記複数の垂直に積層された横方向フローアッセイカートリッジ
を静止状態に保持するように構成された保持機構、を含む、第1および第2の垂直支持構造と、
前記第1の垂直支持構造と第2の垂直支持構造との間に配置された流体計測デバイスと、前記第1および第2の垂直支持構造の下で、前記カートリッジステージの垂直方向の位置合わせおよび昇降のために前記カートリッジステージを軸z-z’上で上下に移動させるように前記カートリッジステージに連結された昇降調整機構と、
前記第1および第2の垂直支持構造ならびに前記流体計測デバイスに対する前記軸z-z’に垂直な並進軸x-x’に沿った前記カートリッジステージの並進方向の位置合わせのために前記カートリッジステージに連結された並進調整機構と、を含み、
前記ステージマウントが前記第1および第2の垂直支持構造のうちの1つにおいて前記アッセイカートリッジの前記底部と確実に係合されると、前記カートリッジステージが、前記x-x軸に沿って横方向に往復されて、前記側方開口部を通して前記垂直支持構造から前記アッセイカートリッジを摺動させることができる、アナライザ。
【請求項2】
前記流体計測デバイスが、前記アッセイカートリッジの様々な構成を収容するように位置調整され得る、請求項1に記載のアナライザ。
【請求項3】
検出デバイスをさらに含む、請求項1~2のいずれか一項に記載のアナライザ。
【請求項4】
2つ以上の検出デバイスを含む、請求項3に記載のアナライザ。
【請求項5】
前記検出デバイスが、蛍光光度計、分光光度計、比色計、カメラ、光増倍管(PMT)、電荷結合デバイス(CCD)カメラ、相補的金属酸化物半導体(CMOS)検出器を使用するデジタルカメラ、レーザ、またはフォトダイオードである、請求項3または4に記載のアナライザ。
【請求項6】
前記流体計測デバイスが、試料計測デバイス、流動流体計測デバイス、または洗浄液計測デバイスである、請求項1~5のいずれか一項に記載のアナライザ。
【請求項7】
1つ以上の追加の流体計測デバイスをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のアナライザ。
【請求項8】
前記アナライザが、ハウジング内に封入される、請求項1~7のいずれか一項に記載のアナライザ。
【請求項9】
前記ハウジングが、2つ以上のアッセイデバイスアナライザを含む、請求項8に記載のアナライザ。
【請求項10】
1つ以上の温度制御デバイスおよび湿度制御デバイスをさらに含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のアナライザ。
【請求項11】
前記垂直支持構造が、ホッパーである、請求項1~10のいずれか一項に記載のアナライザ。
【請求項12】
前記アナライザが、ポイントオブケアアナライザ、自動臨床アナライザ、またはそれらの組み合わせである、請求項1~11のいずれか一項に記載のアナライザ。
【請求項13】
電子制御システムをさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のアナライザ。
【請求項14】
品質チェック光学ユニットをさらに含む、請求項1~13のいずれか一項に記載のアナライザ。
【請求項15】
フローアッセイ分析のための方法であって、前記方法が、
底部開口部を有する垂直支持構造の下でカートリッジステージを位置合わせすることであって、前記垂直支持構造が、複数の垂直に配置されたアッセイカートリッジを保持し、各アッセイカートリッジが、検出領域を有するアッセイ基板を含み、前記カートリッジステージが、前記アッセイカートリッジ上の1つ以上の要素を解放可能に把持するためのステージマウントを含む、位置合わせすることと、
前記カートリッジステージを垂直軸z-z’上で昇降させて、前記カートリッジステージを、前記垂直支持構造の前記底部開口部を通して前記垂直支持構造内に保持される最下部アッセイカートリッジと係合させることであって、前記アッセイカートリッジ
は、
カートリッジ底部を有し、前記カートリッジ底部が前記ステージマウント上の特徴と確実に係合して、前記ステージマウント上の前記アッセイカートリッジの移送を支持す
ることと、
前記係合されたアッセイカートリッジを有する前記カートリッジステージを、前記軸z-z’に垂直な並進軸x-x’に沿って前記垂直支持構造内の側方開口部を通して、かつ前記垂直支持構造から離して、流体計測デバイスと位置合わせすることと、
前記流体計測デバイスから前記アッセイカートリッジ内の前記アッセイ基板上への流体を計測することと、
前記アッセイカートリッジをインキュベートすることと、
検出器によって前記アッセイ基板の検出領域上で試料の成分を検出することと、を含む、方法。
【請求項16】
前記アッセイカートリッジをインキュベートする前に、1つ以上の追加の試料、緩衝液、試薬、または検出成分を前記アッセイ基板上に分注することをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記
アッセイカートリッジの周囲の温度および湿度を制御することをさらに含む、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
前記流体計測デバイスおよび前記検出
器の位置を調整することをさらに含む、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記アッセイカートリッジが、前記カートリッジステージによって、インキュベーションのために第2の垂直支持構造に移動される、請求項15~18のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年12月21日に出願された米国仮特許出願第US62/784,065号の優先権を主張するものであり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、分析化学の分野に関し、より詳細には、複数の横方向フローアッセイデバイスでの同時診断検査をサポートする横方向フローアッセイデバイスアナライザに関する。本発明は、横方向フローアッセイ試料の高スループット調製および分析のための統合試料処理システムを提供するものである。
【背景技術】
【0003】
医療診断の研究機関では、試料の検査および分析に診断アナライザなどの診断器具が使用されている。医療従事者はまた、診療所および他の患者環境のポイントオブケアにおいて診断機器を利用している。典型的に、技術者またはオペレータによって、1つ以上の試料チューブまたは検査デバイスがラックまたはキャリアに配置され、アナライザに装填される。既知の診断アナライザでは、様々な液体および試薬を使用して診断分析手順が実行されている。分析アッセイは、例えば、人間の健康(例えば、血液検査および尿検査)、環境汚染(例えば、水質検査および土壌検査)、ならびに工業用食品および薬物調製(例えば、細菌汚染検査)における診断用途において有用であるが、しばしば、大規模で高価な実験器具および訓練を受けたオペレータが必要となる。
【0004】
免疫クロマトグラフィの原理に基づく横方向フロー検査片は、様々な標的分析物に対応している。初期の横方向フロー検査は、ヒト人間絨毛性ゴナドトロピンの検出のために行われるものであり、現在、排卵のモニタリング、感染性疾患生物の検出、薬物の乱用の分析、および人間生理学的に重要な他の分析物の測定のための免疫学的検査が市販されている。また、獣医学的検査、農業用途、環境検査、および製品品質評価のための横方向フローアッセイ製品も導入されている。初期の横方向フローアッセイ検査では、シグナルラインの有無に基づいて定性的結果が提示されるが、検査デザインは、ハンドヘルドリーダーおよび高スループットアナライザの統合によって、半定量的アッセイおよび定量的アッセイに向けて進歩している。大部分の横方向フロー検査片は、既存のイムノアッセイ形式に従ってモデル化されており、典型的に、サンドイッチ型のアッセイである。このサンドイッチ型のアッセイでは、対象となる抗原または化合物が、捕捉抗体および検出抗体の抗体の2つの層の間で固定化される。血清アッセイでは、抗体は、様々な疾患状態および免疫学的状態の指標として検出される。この抗体により、試料流中に遊離している検出器粒子と、検査ラインで膜に結合した捕捉試薬との間の複合体の形成が検出される。「μPAD」と称される他のマイクロ流体の紙ベースの分析デバイスにより、より複雑な検査を実行することができ、複数のフロー方向(すなわち、二次元および三次元、2Dおよび3D)で、より狭いフローチャネル寸法、ひいては、従来の一般的な紙片の検査よりも必要な試料体積が少ない並行多重検査を行うことができる。人間の健康のためのポイントオブケア検査など、大量に取得することが困難な試料を検査する場合には、より少量で作業できることが重要である。
【0005】
試料の所要時間を減少させ、一度に多数の横方向フローアッセイデバイスを処理して、多重検査を提供し、アッセイ検査および分析におけるスループットを改善する試みがなされている。一例として、Jakubowiczらの米国特許第US9,389,228号には、横方向フローアッセイデバイス上に試料を分注する計測機構、対応する複数の横方向フローアッセイデバイスを個別に受容するようにサイズ設定された複数の受容ステーションを有する半径方向インキュベータアセンブリ、および横方向フローアッセイデバイス上の検査結果を検出するための検出デバイスが記載されている。別の例として、Lemmeらの米国特許第US8,883,509号には、マイナーアークに配置された基板ホルダを有する複数の個々の基板支持生体試料の連続アクセス同時処理のための装置が記載されており、個々の基板支持ユニットは、別個の処理位置と別個のアクセス位置との間で自動的にかつ独立して移動可能である。
【0006】
横方向フローアッセイ検査および分析のための堅牢な高スループットアナライザが、依然として必要とされている。
【0007】
この背景情報は、本発明に関連し得ると出願人が想定する既知の情報を提供することを目的として提供される。先行情報のいずれかが本発明に対する従来技術を構成することを必ずしも意図するものではなく、また解釈されるべきではない。
【発明の概要】
【0008】
本発明の目的は、横方向フローアッセイ検査および分析のための高スループットアナライザを提供することである。本発明の別の目的は、高スループット横方向フロー分析のための組み合わせカートリッジシステム、アナライザ、および方法を提供することである。
【0009】
一態様では、アッセイカートリッジを解放可能に支持するためのカートリッジステージであって、アッセイカートリッジが、横方向フローアッセイ基板を収容する、アッセイカートリッジステージと、流体計測デバイスと、検出デバイスと、複数のアッセイカートリッジを垂直に支持するための少なくとも1つの垂直支持構造と、カートリッジステージの昇降の垂直方向の位置合わせのためにカートリッジステージに連結された昇降調整機構と、垂直支持構造および流体計測デバイスに対するカートリッジステージの並進方向の位置合わせのためにカートリッジステージに連結された並進調整機構と、を含む、アッセイデバイスアナライザが提供される。
【0010】
一実施形態では、昇降調整機構および並進調整機構は独立している。
【0011】
別の実施形態では、流体計測デバイスは、アッセイカートリッジの様々な構成を収容するように位置調整され得る。
【0012】
別の実施形態では、アナライザは、複数のアッセイカートリッジを垂直に支持するための第2の垂直支持構造をさらに含む。
【0013】
別の実施形態では、カートリッジステージは、アッセイカートリッジ上の1つ以上の要素を解放可能に把持するステージマウントを含む。
【0014】
別の実施形態では、アナライザは、検出デバイスを含む。
【0015】
別の実施形態では、アナライザは、2つ以上の検出デバイスを含む。
【0016】
別の実施形態では、検出デバイスは、蛍光光度計、分光光度計、比色計、カメラ、光増倍管(PMT)、電荷結合デバイス(CCD)カメラ、相補的金属酸化物半導体(CMOS)検出器を使用するデジタルカメラ、レーザ、またはフォトダイオードである。
【0017】
別の実施形態では、流体計測デバイスは、試料計測デバイス、流動流体計測デバイス、または洗浄液計測デバイスである。
【0018】
別の実施形態では、アナライザは、1つ以上の追加の流体計測デバイスをさらに含む。
【0019】
別の実施形態では、アナライザは、ハウジングに封入される。
【0020】
別の実施形態では、ハウジングは、2つ以上のアッセイデバイスアナライザを含む。
【0021】
別の実施形態では、アナライザは、1つ以上の温度制御デバイスおよび湿度制御デバイスをさらに含む。
【0022】
別の実施形態では、垂直支持構造は、ホッパーである。
【0023】
別の実施形態では、アナライザは、ポイントオブケアアナライザ、自動臨床アナライザ、またはそれらの組み合わせである。
【0024】
別の実施形態では、アナライザは、電子制御システムをさらに含む。
【0025】
別の実施形態では、アナライザは、品質チェック光学ユニットをさらに含む。
【0026】
別の態様では、フローアッセイ分析のための方法が提供され、この方法は、カートリッジステージを垂直支持構造の下で位置合わせすることであって、垂直支持構造が、複数の垂直に配置されたアッセイカートリッジを保持し、各アッセイカートリッジが、検出領域を有するアッセイ基板を含む、位置合わせすることと、カートリッジステージを昇降させて、カートリッジステージを垂直支持体内に保持されるアッセイカートリッジと係合させることと、係合されたアッセイカートリッジを有するカートリッジステージを垂直支持構造から離し、流体計測デバイスと位置合わせすることと、流体計測デバイスからアッセイカートリッジ内のアッセイ基板上への流体を計測することと、アッセイカートリッジをインキュベートすることと、アッセイ基板の検出領域上で試料の成分を検出することと、を含む。
【0027】
一実施形態では、方法は、アッセイカートリッジをインキュベートする前に、1つ以上の追加の試料、緩衝液、試薬、または検出成分をアッセイ基板上に分注することをさらに含む。
【0028】
別の実施形態では、本方法は、アナライザの周囲の温度および湿度を制御することをさらに含む。
【0029】
別の実施形態では、本方法は、流体計測デバイスおよび検出デバイスの位置を調整することをさらに含む。
【0030】
別の実施形態では、アッセイカートリッジは、カートリッジステージによって、インキュベーションのために第2の垂直支持構造に移動される。
【0031】
別の態様では、アッセイカートリッジを支持するためのカートリッジステージであって、アッセイデバイスが、当該支持体上に配置された少なくとも1つの試料添加領域、少なくとも1つの反応領域、少なくとも1つの検出領域、および少なくとも1つの横方向流体流路に沿って流体相互接続されたウィッキング領域を有する平面支持体を含む、カートリッジステージと、試料計測デバイスと、検出デバイスと、複数のアッセイカートリッジを保管するための装填ホッパーと、装填ホッパーに対するカートリッジステージの昇降を調整するためにカートリッジステージに連結された昇降調整機構と、装填ホッパー、試料計測デバイス、および検出デバイスに対してカートリッジステージを位置合わせするためにカートリッジステージに連結された並進調整機構と、を含む、アッセイデバイスアナライザが提供される。
【0032】
別の態様では、フローアッセイ分析のための方法が提供され、この方法は、昇降によって、装填ホッパーの下にカートリッジステージを位置合わせすることであって、装填ホッパーが、複数のアッセイデバイスを含む、位置合わせすることと、カートリッジステージをアッセイデバイスと係合させることであって、アッセイデバイスが、当該支持体上に配置された少なくとも1つの試料添加領域、少なくとも1つの反応領域、少なくとも1つの検出領域、および少なくとも1つの横方向流体流路に沿って流体相互接続されたウィッキング領域を有する平面支持体を含む、係合させることと、カートリッジステージを摺動させてホッパーから離し、試料計測デバイスと位置合わせすることと、試料計測デバイスからアッセイデバイスへの試料流体を計測することと、アッセイデバイスをインキュベートすることと、アッセイデバイス上で試料の成分を検出することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明、ならびに他の態様およびさらなる特徴のより良好な理解のために、添付の図面と併用して以下の説明が参照される。
【0034】
【
図1A】従来技術のフローアッセイカートリッジデバイスの斜視図である。
【
図1B】様々な従来技術のフローアッセイマイクロパッド型デバイスの図である。
【
図2】フローアッセイアナライザの正面斜視図である。
【
図3】分注および検出デバイスを示すフローアッセイアナライザの拡大斜視図である。
【
図4】アナライザの並進調整機構、昇降調整機構、およびカートリッジステージの正面斜視図である。
【
図5】閉鎖されたアッセイカートリッジの斜視図である。
【
図6】アッセイカートリッジの底部の斜視図である。
【
図7】開放されたアッセイカートリッジの斜視図である。
【
図8】昇降調整機構および装填ホッパー下の上昇したカートリッジステージの位置合わせの図である。
【
図9】カートリッジステージがカートリッジを保持し、分注および検出デバイスの下で並進する状態のフローアッセイアナライザの図である。
【
図10】カートリッジステージが上昇した状態で、分注および検出デバイスの下に位置合わせされた状態のアナライザの図である。
【
図11】カートリッジステージが下降した状態のアナライザの図である。
【
図12】カートリッジおよびステージがインキュベーションホッパーに並進された状態のアナライザの図である。
【
図13】インキュベーションホッパーに対してステージが上昇した状態のアナライザの図である。
【
図14】アナライザを使用する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
別段定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0036】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈上明確に別段の指示がない限り、複数形を含む。
【0037】
「含む」という用語は、本明細書で使用される場合、以下の列挙が網羅的ではなく、任意の他の追加の好適な項目、例えば、必要に応じて1つ以上のさらなる特徴(複数可)、構成要素(複数可)、および/または要素(複数可)を含んでもよいか、または含まなくてもよいことを意味すると理解されるであろう。
【0038】
本明細書で使用される「試料」という用語は、成分の有無、成分の濃度などのその特性または成分のいずれかの定性的決定または定量的決定に供されることを意図した、ある体積の液体、流体、溶液、または懸濁液を指す。本明細書に記載の本発明の文脈における典型的な試料は、血液、血漿、血清、リンパ液、尿、唾液、精液、羊水、胃液、痰、粘液、涙液、便などの人間または動物の体液に由来するが、これらに限定されない。他の種類の試料は、人間または動物の組織試料に由来しており、組織試料が液体、溶液、または懸濁液中に処理されて、検査のための特定の組織成分が明らかとなる。他の使用され得る試料の非限定的な例として、環境試料、食品産業試料、および農業試料が挙げられる。
【0039】
本明細書で使用される「検査デバイス」および「フローアッセイデバイス」という用語は、試料流体を受容する任意のデバイスを指す。デバイスには、流体輸送または流路が含まれ、それに沿って、様々な領域または部位が1つ以上の試薬、フィルタなどを支持するために提供され、それを通って、試料は毛細管作用または他の力の影響下で通過する。流体経路を横方向に配置するか、垂直に配置するか、または任意の所望の角度で配置して、最良の結果を達成することができる。検査デバイスには、限定されないが、薄膜または「乾燥スライド」検査要素、本明細書で一般的に「フローアッセイデバイス」と称される横方向フローアッセイデバイス、マイクロ流体の紙ベースの分析デバイス(μPAD)、垂直フローアッセイデバイス、およびクロマトグラフィデバイスが含まれる。
【0040】
「アナライザ」という用語は、本明細書で使用する場合、様々な分析検査またはフローアッセイデバイスの処理を可能にし、複数の検査デバイスを処理し得る任意の装置を指す。アナライザには、自動化または半自動化された様式で複数の分析検査要素を装填、インキュベート、検査、および評価するように構成された複数の構成要素がさらに含まれ、ここで、検査要素は、ユーザの介入なく実質的に自動的に分注および処理される。アナライザには、限定されないが、臨床診断装置およびポイントオブケア型デバイスが含まれる。
【0041】
「反応」という用語は、本明細書で使用する場合、試料の成分と、検査デバイスの基板上もしくは基板内に、またはそれに添加された少なくとも1つの試薬もしくは複数の試薬との間、または試料中に存在する2つ以上の成分との間で生じる任意の相互作用を指す。「反応」という用語は、分析物の定量的決定または定量的決定の一部として、検査デバイス上の分析物と試薬との間で生じる反応を定義するために使用される。
【0042】
「基板」または「支持体」という用語は、試料が添加されて、決定が実行されるか、または分析物と試薬との間の反応が行われる、担体またはマトリックスを指す。
【0043】
フローアッセイ試料を調製および分析するための横方向フローアッセイアナライザが本明細書に記載される。このアナライザにより、複数のフローアッセイデバイスでの同時診断検査がサポートされ、同時検査を伴う統合された堅牢な試料処理システムが提供される。アナライザは、複数のフローアッセイデバイスの使用をサポートするように設計され、複数の検査が同時にインキュベートおよび処理され得る。複数の検査デバイスの各々には、計測される量の試料を適用する試料計測デバイスが設けられている。各フローアッセイデバイスは、試料流体中の異なる成分について検査するための異なる結合反応物を有することもでき、その内容物を特定するためにラベル付けすることができる。本設計により、試料内の複数の成分を検査するためのシステムを提供しながら、アナライザのサイズを大幅に低減させ、全体的な設置面積が低減される。
【0044】
本システムの1つの利点は、本明細書に記載のフローアッセイアナライザでは、湿潤試薬を別個に添加する必要がないことである。特に、乾燥試薬を各フローアッセイデバイスの構造に予め組み込むことができ、その結果、試料流体が、任意選択で一緒に、または追加の流動流体もしくは緩衝液とともに順次添加され得、それによって自動化された多重検査処理が可能となる。横方向フローアッセイデバイスの室温保管が可能となり、保存期間を延長することもできる。追加的に、横方向フローデバイスおよびμPADは、非常に少量の試料および他の流体しか必要としないため、本アナライザとともに使用することができる。さらに、アナライザによって処理される各フローアッセイデバイスは、異なる試薬およびコンジュゲートを用いて調製されて、試料の異なる成分を検出する。これにより、多数の試料成分を同時に検査することが可能となり得る。また、本明細書に記載のフローアッセイデバイスを適用することには、全血を直接使用することが含まれてもよく、それによって、遠心分離を必要とせず、全体的な処理時間が低減される。他の使用方法では、試料は適切な緩衝液で希釈することができ、希釈試料を用いて高効率の検出方法を使用することができる。本明細書に記載のアナライザにフローアッセイデバイスを採用することによって、従来、1時間ほどの長時間であった標準的な非自動化デバイスにおける全反応時間を、好ましくは5~10分以内の範囲に効果的に短縮することができる。本明細書で説明される自動フローアッセイデバイスアナライザは、臨床およびポイントオブケア分析アプリケーションで使用され得、計装およびポイントオブケア試料処理における全体的なコストを低減することができる。さらに、単一のフローアッセイデバイス上において試料の多重化を有効にすることにより、単一のフローアッセイデバイス上で複数の反応物の検出を同時に実行することが可能となり、それにより、検査ごとにより低コストおよび極めて高い有効スループットをもたらすことができる。多重化は、有効多重化因子によってスループットを大幅に増加させ得、最大10倍(またはそれ以上)であり得る。
【0045】
記載されるフローアッセイデバイスアナライザにより、様々な内部制御および較正の組み込みが可能となり、それにより、較正、結果の品質、再現性、および経時的なアッセイ分解を追跡する能力を保証する手段が提供される。これらの特徴により、自動臨床アナライザに設けられる手段など、他のインテリジェント信頼性システムと組み込むための手段がさらに提供される。さらに別の利点は、工場出荷時較正または湿式較正の安定性のため、工場出荷時較正によりユーザ操作が簡素化され得ることである。また、本明細書で説明されるアナライザにより、典型的かつ一般的な化学的間隔まで較正間隔が増加し、ポイントオブケア(POC)とメインフレームアッセイとの間のフォーマットの共通性が提供され、改善した開発がもたらされる。したがって、両方(POCおよびメインフレーム)の種類のアプリケーションでアッセイを使用することができるようになり、より高い生産量および経済的規模がもたらされる。このように、上記は、POCおよびメインフレーム市場の両方における品質結果と同等の性能を保証するものである。薄膜要素およびフローアッセイカートリッジデバイスは、アナライザステージマウント、垂直支持構造、ならびに計測および検出器の位置決めの微調整を行って、アナライザ上で使用することができる。ここで、フローアッセイデバイスのフォームファクタにより、それらを、薄膜乾燥スライド要素および膨大な数の既存のフローアッセイデバイスと互換的に使用することが可能となる。本明細書に記載の薄膜分析検査要素、横方向フローアッセイデバイス、および従来の湿潤化学システムまたはその一部を単一のユニットに組み込み得るシステムを実現することができ、汎用性が著しく向上する。
【0046】
結合反応物に関して各カートリッジが固有であり、試料計測デバイス内の試料が同じであるというシナリオでは、アナライザが簡素化され、各カートリッジは、任意選択的に、識別検出ユニット、任意選択的に光学ユニットで検出可能なバーコードでラベル付けすることができる。この異なる結合コンジュゲートを有する各カートリッジの場合、単一の試料(血液など)を試料中の異なる成分を測定する各カートリッジとともに試料添加領域に添加することができ、カートリッジが乾燥から流動(インキュベーション)、分析までアナライザを通過する際に、カートリッジを光学的に追跡することができる。別の例では、試料を各カートリッジ上に事前に装填することができ、計測機構により、緩衝液または他の流動流体などの一定量の液体を各カートリッジに適用して、試料を溶出させることができる。例えば、バーコードリーダーなどのアナライザに、識別デバイスをさらに取り付けることができる。
【0047】
臨床的、分析的、および/またはポイントオブケア環境において、本明細書に記載の自動フローアッセイアナライザとともに、多種多様なアッセイ基板を有する多種多様なフローアッセイデバイスを使用することができる。上記の目的のために、本明細書に記載の本発明の概念が、他の多数のフローアッセイデバイスの設計、ならびに他の様々な種類の自動アナライザおよびポイントオブケア診断臨床アナライザでの使用に等しく適用可能であることは、当業者には容易に明らかであろう。なおさらに、本明細書に記載の自動アナライザは、例えば、スタンドアロンのアセンブリとして乾燥スライド分析要素を別個に含める必要なく、多種多様なフローアッセイデバイスを処理するように構成することができる。代替的に、従来の湿式化学システムまたはクロマトグラフィ分析システムなど、本明細書に記載の横方向フローアッセイデバイスの処理のための分析システムに加えて、他の分析システムを含むように構成することができる。本明細書に記載のアナライザは、例えば、クロマトグラフィもしくはスライド、垂直フローアッセイデバイス、紙ベースのマイクロ流体分析デバイス(μPAD)、ブロットアッセイ、マイクロ流体カートリッジなどの液体追加の横方向フロー処理および検出を使用する多種多様なカートリッジスタイルの高スループットデバイスを収容するように適合することができ、また、従来のイムノアッセイ、化学アッセイ、ならびに薄膜分析検査要素の検査を処理するためにも装備することができる。アッセイデバイスの形状およびサイズは、特に制限されず、目的の用途に好適な任意の形状およびサイズであってもよい。アナライザは、アッセイデバイスの任意のサイズまたは形状を収容するように適合されてもよい。複数の横方向フローアッセイデバイスは、横方向フローアッセイアナライザと併用することができる。横方向フローアッセイデバイスのセットは、アナライザにおいて交換可能であり得、複数の横方向フローアッセイデバイスを含むセットは、アナライザによる並列処理のために、アナライザに容易に装填することができる。
【0048】
横方向フローデバイスを使用するアッセイデザインは、マトリックスまたは基板物質および構成、液体成分および添加の順序、ならびにアッセイのタイミングに基づいて高度に変化し得る。当業者は、視覚化種、検出要素、標識または標識結合種、共役種、界面活性剤、ブロッキング試薬、分析物、酵素、結合パートナー、捕捉要素、対照種、および他の検出可能な物質を含むが、これらに限定されない、複数の種類の種を横方向フローアッセイに使用することができることを認識するであろう。横方向フローデバイスはまた、必須ではないが、イムノアッセイに使用されることが最も多く、一般に、1つ以上の抗体および抗原を含む。アッセイ中の種の各々は、固体マトリックスに添加するために液体中に懸濁され得るか、または添加の液体による溶解もしくは懸濁がマトリックスに沿った種の移動および他の種との結合を促進するように固体マトリックスに適用され得る。アッセイ種の各々の場所および配合を変化させた多数のアッセイデザインが知られている。固体マトリックス上では、種は、流路に沿った様々な場所に、かつ様々なドット構成またはライン構成で配置することができ、液体中で任意選択に事前混合し、マトリックスに添加し、使用前にマトリックスを乾燥させることで、個別に配置するか、または他の構成要素と混合させることができる。種はまた、アッセイデザインに基づいて適切なタイミングで固体マトリックスに添加するために、フロー緩衝液または他の液体製剤中に配合することができる。液体または試薬の添加の種類およびタイミング、ならびにマトリックス上の固体成分の相対的な位置もまた、アッセイの結果および感度に大きく影響し得る。結合アッセイデザインの多種多様な構成および組み合わせは、当該技術分野で既知であり、アッセイ最適化のためのオプションとして当業者に利用可能である。
【0049】
以下の例示的な実施形態は、本明細書に記載の自動横方向フローアッセイアナライザで使用するための横方向フローアッセイデバイスの構成および設計に関する。
図1Aは、例示的な横方向フローアッセイデバイス100を示している。本実施形態による横方向フローアッセイデバイス100は、平面基板102によって画定されており、平面基板102は、好ましくはキャピラリ様フローを支持する表面特性を有する好適な多孔質物質または非多孔質物質から作製される。いくつかの実施形態では、平面基板102は、フローチャネルを含み得、フローチャネルは、任意選択的に、基板表面中で切断される。横方向フローアッセイデバイス100の一方の側の試料添加領域104は、少なくとも1つの検出領域110、好ましくはウィッキング領域106に延在する。横方向フローアッセイデバイス100の一端に配置された試料添加領域104は、検出コンジュゲートまたは他の試薬を含有する検出領域110を通って延在する流体流路の一部を形成し、試料内の1つ以上の成分との反応を検出する。流体流路の反対側の端部にあるウィッキング領域106は、フローアッセイデバイス100に沿って所望の方向に試料流体を引き出す。任意選択的に、流体流路には、試薬または検出コンジュゲートを含む追加の別個の領域、ならびに試料およびその結合成分または非結合成分の洗浄に使用され得る、この経路に沿った他の領域または部位も含まれ得る。試料は、試料ポート108を通して検査デバイスに添加され得、結果または反応は、結果ポート114を通して検出され得る。画定された流体流路は、任意選択的に少なくとも部分的に開放したウィッキング領域106に延在する試料添加領域104から作成される。別の実施形態では、流路は完全に開放されている。「開放」とは、平面アッセイ基板の上の場所に蓋またはカバーがないことを意味する。したがって、流路の物理的保護として蓋が存在する場合、蓋は、流路内のキャピラリフローに寄与する必要はない。別の実施形態では、平面基板102はカートリッジ112またはハウジングによってほぼ完全に封止されており、これにより、試料添加領域104での試料添加およびカートリッジ蓋内の開口部を介した検出領域110での反応の検出が可能となる。カートリッジ112は、フローアッセイデバイス100を収容および保護し、アナライザ内のフローアッセイデバイス100の輸送および移動のための堅牢性をもたらし得る。固体カートリッジ112はさらに、平面基板102および内部の検出領域を損傷することなく、アナライザの移動機構によって移動させることができる。カートリッジ112には、カートリッジ底部、カートリッジ側壁、およびカートリッジ端壁が含まれており、横方向フローアッセイデバイスにさらなる固体性および耐久性を提供することができる。任意選択的に、カバーまたは蓋を含むことができる。カートリッジ内の結果ポート114は、検出領域110の周囲に位置決めされて、1つ以上の検出器により検出領域110内の反応を検出することが可能となる。横方向フローアッセイデバイスの様々な構成が知られており、これには、デバイス寸法、材料、基板の多孔性、基板上の形状的特徴の有無、チャネル形状および構成、ならびにチャネルの製造方法の変形例が含まれるが、これらに限定されない。特定の横方向フローアッセイデバイス100が例示的な実施形態の観点から本明細書全体を通して言及されるが、本明細書で論じられるように、他のデバイス設計およびこれらの設計の可能な変形例もまた、臨床アナライザにおける相互関係のために同様に構成され得ることが容易に明らかになるであろう。
【0050】
横方向フローアッセイデバイス100は、試料添加領域104を含む平面基板102によって画定され、試料添加領域104は、液体ディスペンサまたは試料計測デバイスから試料を受容する。横方向フローアッセイデバイス100がカートリッジ112またはカートリッジハウジングによって封止される場合、液体ディスペンサからの試料は、試料ポート108を介して試料添加領域104上に配置される。試料は、典型的に、試料添加領域104の上部に堆積され、試料添加領域104は、試料がコンジュゲートパッド122を介して試薬領域に堆積された時点から液体試料を輸送することができる。試料添加領域104に、または試料添加領域104の上流に流体が添加されると、平面基板により、試料添加領域104とウィッキング領域106との間に画定された流体流路に沿った自発的な横方向キャピラリフローが促進される。横方向フローアッセイデバイスはまた、任意選択のフィルタ物質(図示せず)を含み得る。フィルタ物質を試料添加領域104内に配置して、試料からの粒子を濾過するか、または血液から血液細胞を濾過することができ、血漿がデバイスを通過することができる。試料が試料添加領域104に送達されると、試料はコンジュゲートパッド122に到達する。試料がコンジュゲートパッド122を通って流れ、かつ任意選択的に試薬添加領域と相互作用した後、試料および試薬プルームは、流体フローに含有される。試薬プルームには、コンジュゲートパッド122に溶解された試薬物質、または任意選択の試薬添加領域を通して添加された試薬物質のうちのいずれかが含有され得る。試薬プルームは、検出要素および結合パートナーの両方を有するコンジュゲートを含み得、その場合、試薬プルームはしばしばコンジュゲートプルームと称される。流体経路に沿った検出領域110から下流は、検出領域と流体連通しているウィッキング領域106である。ウィッキング領域106は、アッセイデバイス100の一領域であり、例えば、未結合試薬、洗浄液などの液体試料および流路内の任意の他の物質を受容する能力を有する。ウィッキング領域106により、液体試料をアッセイデバイスの検出領域を通過させて出すための毛管力が与えられる。ウィッキング領域は、例えば、ニトロセルロースなどの多孔質物質を含み得る。ウィッキング領域は、例えば蒸発加熱を使用した非キャピラリ流体駆動手段をさらに含み得る。任意選択的に、親水性箔または層をウィッキング領域106の少なくとも一部分の上に直接位置決めして、フローアッセイデバイスに適用される試料の全体的な流速または処理時間を向上させることができる。
【0051】
本明細書に記載のデバイスの他の部分からの個別部品の有無にかかわらず、デバイスの物理構造などのフローアッセイデバイスの構成要素は、例えば、コポリマー、ブレンド、積層体、金属化箔、金属化フィルムもしくは金属、ワックス、接着剤、または当業者に既知の他の好適な物質から調製することができる。代替的に、デバイスの構成要素は、パラフィン、ポリオレフィン、ポリエステル、スチレン含有ポリマー、ポリカーボネート、アクリルポリマー、塩素含有ポリマー、アセタールのホモポリマーおよびコポリマー、セルロースおよびそのエステル、硝酸セルロース、フッ素含有ポリマー、ポリアミド、ポリイミド、ポリメチルメタクリレート、硫黄含有ポリマー、ポリウレタン、シリコン含有ポリマー、他のポリマー、ガラス、ならびにセラミック素材のうちのいずれか1つまたはその組み合わせに堆積したコポリマー、ブレンド、積層体、金属化箔、金属化フィルム、または金属から調製することができる。代替的に、フローアッセイデバイスの構成要素は、プラスチック、エラストマー、ラテックス、シリコンチップ、または金属で作製され得る。一例では、エラストマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリレート、シリコンエラストマー、またはラテックスを含み得る。代替的に、デバイスの構成要素は、ラテックス、ポリスチレンラテックス、または疎水性ポリマーから調製することができる。一例では、疎水性ポリマーは、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはポリエステルを含み得る。代替的に、デバイスの構成要素には、テフロン(登録商標)、ポリスチレン、ポリアクリレート、またはポリカーボネートが含まれ得る。代替的に、デバイスの構成要素は、エンボス加工、ミル加工、もしくは射出成形が可能なプラスチックから作製することができるか、または様々な長鎖アルカンチオールを吸着し得る銅、銀および金フィルムの表面から作製することができる。カートリッジハウジングなどのミル加工または射出成形が可能なプラスチックの構造には、例えば、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、またはシクロオレフィンポリマーが含まれ得る。
【0052】
本明細書に記載の(デバイス100を含む)アッセイデバイスの画定された流路には、流体流路に沿って流体流を誘導するための開放経路または閉鎖経路、チャネル、溝、およびキャピラリが含まれ得る。任意選択的に、コンジュゲートパッド122を試料添加領域104と検出領域110との間に配置して、これらの要素を流体接続することができる。また、試料添加領域104と検出領域110との間の任意選択の試薬添加領域により、デバイスから外部に試薬を添加することが可能となり得る。例えば、試薬添加領域を使用して、中断試薬を添加してもよく、中断試薬を使用して、試料および流体流路に存在する他の非結合成分をウィッキング領域106に洗い流すことができる。試薬は、使用前に試薬領域に添加し、試薬領域で潜在的に乾燥させるか、アナライザ上の試薬計測デバイスを使用して使用直前に試薬領域に添加するか、またはその両方を行うことができる。試薬は、任意選択の試薬計測デバイスを介して添加することもできる。試薬としては、限定されないが、イムノアッセイのための抗体または抗原等の結合パートナー、共鳴エネルギー伝達(RET)およびそれぞれの標的分析物を伴うか、または伴わないDNAおよびRNAアプタマー、酵素アッセイ用基質、分子診断アッセイ用プローブ、ならびに補助物質、例えば、統合試薬を安定化させる物質、干渉反応を抑制する物質などが挙げられる。概して、反応に有用な試薬のうちの1つは、本明細書で論じられる検出可能なシグナルを有する。一部の場合では、試薬は、直接分析物と反応して、または一連の反応を通じて分析物と反応して、着色分子または蛍光分子などの検出可能なシグナルを形成し得る。1つの好ましい実施形態では、試薬領域にはコンジュゲート物質が含まれる。「コンジュゲート」という用語は、検出要素および結合パートナーの両方を有する任意の部分を意味する。使用中、流体試料は、デバイス内の試料添加領域104に導入され、流体流動領域内で1つ以上の検出領域または検査領域110に流れる。検出領域または検査領域には、試料領域内の標的成分と反応するか、またはそれを検出するのに有用な1つ以上の試薬が含まれる。
【0053】
本明細書の目的において、検出要素は、その物理的分布および/またはそれが送達するシグナルの強度に関して検出可能な物質である。本明細書に記載のアッセイデバイスとともに使用するための好適な検出要素の例としては、限定されないが、蛍光剤、蛍光剤、化学発光剤、生物発光剤などの発光分子、着色分子、反応時に色を生成する分子、酵素、放射性同位体、および特異的結合を示すリガンドなどが挙げられる。検出要素は、標識とも称され、好ましくは、発色団、フルオロフォア、放射性標識、および酵素から選択される。好適な標識は、抗体、タンパク質、および核酸の標識のための幅広い染料を提供する市販の業者から入手可能である。例えば、ほぼ可視スペクトルおよび赤外線スペクトル全体に及ぶフルオロフォアが存在する。好適な蛍光標識またはリン蛍光標識としては、例えば、限定されないが、フルオレセイン、Cy3、Cy5などが挙げられる。好適な化学発光標識には、限定されないが、ルミナール、サイリュームなどが含まれる。放射性標識は、同様に市販されており、検出要素は放射性標識を組み込むように合成することができる。好適な放射性標識として、限定されないが、放射性ヨウ素およびリン、例えば、125Iおよび32Pが挙げられる。好適な酵素標識として、限定されないが、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、ベータガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼなどが挙げられる。いくつかの他の検出可能な物質の例として、限定されないが、コロイド金、酵素コンジュゲート、他のコロイド金属、蛍光粒子、および磁気粒子が挙げられる。例えば、複数の分析物またはマーカーが検出されている場合、2つ以上の標識が使用されてもよい。結合パートナーは、複合体を形成し得る物質であり、この複合体を使用して、分析物の存在または量を判断することができる。例えば、「サンドイッチ」型のアッセイにおいて、コンジュゲート中の結合パートナーは、分析物およびコンジュゲートを含む複合体を形成することができ、その複合体は、検出領域に組み込まれた別の結合パートナー(捕捉要素とも称される)にさらに結合することができる。競合イムノアッセイでは、分析物は、コンジュゲート中の結合パートナーの、検出領域に組み込まれた別の結合パートナー(捕捉要素とも称される)への結合を妨害する。コンジュゲートに含まれる例示的な結合パートナーとして、例えば、抗体、抗原、分析物または分析物模倣物、および他のタンパク質が挙げられる。
【0054】
検出領域110において、検査ライン118および制御ライン120上の任意の検出可能なシグナルを読み取ることができる。検出領域110内の流路の幅は、典型的に、0.044~4mm程度であり、好ましくは約2mm程度であるが、他のものは、好適な検出器具において十分なシグナルを読み取ることが可能であれば、約1mm程度で調製することができる。上記のように、検出領域110内の捕捉要素により、コンジュゲートまたはコンジュゲートを含有する複合体について結合パートナーが保持され得る。例えば、分析物が特定のタンパク質である場合、コンジュゲートは、蛍光プローブなどの検出要素にそのタンパク質を特異的に結合する抗体であり得る。次いで、捕捉要素は、そのタンパク質にも特異的に結合する別の抗体であり得る。別の例では、マーカーまたは分析物がDNAである場合、捕捉分子は、限定されないが、合成オリゴヌクレオチド、その類似体、または特異的抗体であり得る。他の好適な捕捉要素としては、検出される分析物に特異的な抗体、抗体断片、アプタマー、および核酸配列が挙げられる。好適な捕捉要素の非限定的な一例は、アビジン官能基を有する分子であり、アビジン官能基は、ビオチン官能基を含有するコンジュゲートに結合し得る。検出領域はまた、複数の検出領域を含み得、1つ以上のマーカーを含み得る。
【0055】
図1Bは、様々な従来技術の横方向フローアッセイマイクロ紙ベースの分析デバイス(マイクロパッド(μPAD)型デバイスとも称される)の図であり、これは、本アナライザとともに使用され得る一種の横方向フローアッセイデバイスである。μPADアッセイデバイスは、試料添加ゾーンまたは領域を有しており、試料の1つ以上の成分を検出するための1つ以上の反応ゾーンを有し得る。μPAD基板により小型化および少量の試料に適した安価で使いやすい分析プロセスが提供されるため、μPAD基板は、分析化学において広く使用されている。複数の検出領域の場合、捕捉要素は、第1の捕捉要素および第2の捕捉要素などの複数の捕捉要素を含み得る。コンジュゲートは、試薬領域内のコーティングなどにより、アッセイデバイス上に事前に堆積させることができる。同様に、捕捉要素は、検出領域上のアッセイデバイス上に事前に堆積させることができる。好ましくは、検出要素および捕捉要素の両方が、アッセイデバイス上に、または反応領域および検出領域上にそれぞれ事前に堆積される。捕捉要素(検出領域内の抗体(コーティングなど)および分析物の濃度の決定を可能にする反応にも関与し得る、標識されたコンジュゲート物質など)は、好ましくは、試料添加領域104の下流のデバイス上に堆積され、標識されたコンジュゲート物質により、検出領域内で検出するための標識が担持される。
【0056】
本明細書に記載のアナライザの適用の例として、限定されないが、生物医学的診断、例えば、妊娠検査、グルコース検査、バイオマーカー検査、環境検査、例えば、微生物または他の汚染物質(例えば、ヒ素)のための水質検査が挙げられる。本デバイスを使用して分析され得る流体試料としては、様々な供給源(例えば、水道、井戸、池/湖、廃水、雨水など)からの水または含水試料、ならびに血液、尿、唾液、汗、涙、または羊水などの体液が挙げられるが、これらに限定されない。本アナライザに使用される試料の体積は、変動し得る。特に、アナライザおよびデバイスは、1000μL未満の試料、および10μL未満の試料(1μL未満の試料を含む)などの、マイクロリットル範囲内の試料サイズを収容するようなサイズであり得る。
【0057】
免疫クロマトグラフィ検査で使用される抗体は、完成品の性能要件を達成するのに十分な感度、特異度、純度、および安定性を有する必要がある。アッセイデザインに応じて、抗体は、検査ラインでの捕捉試薬として、検出器粒子上のコンジュゲートとして、またはその両方として使用され得る。精製ならびに供給の一貫性も重要である。抗体が膜および検出器粒子に結合し得るため、タンパク質は結合部位について競合する。ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体のどちらを使用するかの判断も存在する。最低限、抗体調製物は、アフィニティ精製する必要がある。検出器粒子が膜上の捕捉試薬に架橋される、任意のリガンド認識システムを使用することができる。
【0058】
図2は、並進可能なカートリッジステージ202、流体計測デバイス204、および検出デバイス206を含む、フローアッセイアナライザ200の正面斜視図である。並進調整機構216は、カートリッジステージ202に機能的に接続され、アナライザ構成要素の平面内の軸x-x’に沿ってカートリッジステージを移動させる。また、示されるようにx-x’軸およびz-z’軸に対して垂直なy軸に沿ったカートリッジステージ202の並進を提供するために、さらなる並進調整機構および関連する機械構成要素を統合し得ることもまた想定される。並進調整機構216は、油圧アクチュエータ、ワーム駆動歯車システムと組み合わせた電動モータ、可動軌道および歯車、電動サーボモータ、または当業者に既知の任意の他の並進機構から構成され得る。昇降調整機構および並進調整機構は、昇降および並進を独立して制御する、独立した機構であり得る。代替的に、昇降調整機構および並進調整機構は、カートリッジステージの並進移動および昇降移動の両方を制御し得る、単一の機構であり得る。
【0059】
1つ以上の垂直支持構造は、アッセイアナライザ内の複数のアッセイカートリッジを垂直に支持するように構成される。垂直支持構造に対する最低限の要件として、アッセイカートリッジが一度に1つの垂直支持構造から取り外され得るような様態でカートリッジの位置を維持すること、および所望の数のカートリッジのみがスタックから取り外されるか、またはカートリッジステージの所望のシャッタ運動でスタックに追加されることを保証する機能を提供することが挙げられる。垂直支持構造は、例えば、ホッパーなどの垂直支持エンクロージャ、カートリッジの垂直位置を誘導するための1つ以上のレールと組み合わせた1つ以上のプレート、および少なくとも、カートリッジスタックを位置決めするためのベースプレートまたはベース支持構造、ならびにカートリッジスタックを静止しながら所望のカートリッジをカートリッジステージによって移動させることを可能にし、誘導する保持機構であり得る。任意選択的に、アナライザは、単一の垂直支持構造を含んでもよく、アッセイステージの移動により、カートリッジを垂直支持構造内のカートリッジスタックの上部に追加することが可能となり得、これにより、第1のカートリッジは、スタック内のカートリッジの全てがアナライザおよび1つ以上の垂直支持構造を通ってサイクルされた後に、底部に戻る。アッセイアナライザは、関連する並進機構および昇降機構を有する1つ以上の追加の往復機構またはカートリッジステージをさらに有し得る。1つ以上の垂直支持構造は、アッセイカートリッジがより容易に装填および/または取り外され得るように、アッセイアナライザから任意選択的に解放可能または可逆的に係合可能である。垂直支持構造はまた、技術者による容易な取り扱いのためにアッセイカートリッジを事前に装填することができ、任意選択的に、使い捨てであり得る。説明される実施形態では、垂直支持構造はホッパーと称されるが、本明細書に記載の実施形態では、説明される垂直支持構造の他の構成が置き換えられ得ることを理解されたい。垂直支持構造として機能する装填ホッパー212が、アナライザで使用するための複数のアッセイデバイスカートリッジを垂直方向に保管し、それにより、カートリッジステージ202を垂直支持構造の底部に位置合わせすることもでき、または、装填ホッパーおよびステージマウント220が、単一のフローアッセイデバイスカートリッジを解放可能に把持し、カートリッジを摺動させて装填ホッパー212から出すこともできる。ステージマウントは、例えば、1つ以上のガイド、ポスト、クリップ、摩擦デバイス、またはアッセイカートリッジ210の底部への可逆的取り付けを可能にする、任意の他の特徴を含み得る。他の実施形態では、カートリッジステージ202は、2つ以上のアッセイカートリッジ210を受容するように適合され得る。
【0060】
流体計測デバイス204は、流体試料のアリコートをアッセイカートリッジ210内のアッセイ基板上に計測するための、ポンプ、例えば、適切な計測ギアまたは移動デバイスまたは流体計測ポンプを有する油圧もしくは電気モータまたはサーボモータを備えたシリンジから構成され得る。試料は、試料流体のエアロゾル化を防止するために、接触しないか、または最小限の接触で制御された機械的作動によって操作されるシリンジによって試料領域において計測されることが好ましい。流体計測デバイス204は、好ましくは、付属の計測先端部を有し、計測先端部は、昇降調整機構218を使用してカートリッジステージ202の高さを調整することによって、アッセイカートリッジ210の試料ポートと位置合わせすることができる。示される昇降調整機構および並進調整機構は独立しているが、それらはまた、カートリッジステージの並進調整および昇降調整の両方を実行し得る単一の並進デバイスであってもよい。流体計測デバイス204は、計測先端部を任意選択的に取り付けることができ、この計測先端部は、任意選択的に使い捨てである。アナライザ200はまた、必要に応じて、第2の流体をアッセイデバイス、または複数の計測デバイスに計測するための、1つ以上の追加のもしくは二次計測デバイス208を任意選択的に有し得る。アッセイ基板上で計測され得る流体および流体成分の例としては、限定されないが、試料、希釈試料、緩衝液、試薬、結合剤、染料などが挙げられる。アッセイデバイスアナライザはまた、2つ以上の液体計測先端部を含むことができ、それぞれが同じまたは異なる液体リザーバまたは液体供給部に接続されており、各リザーバまたは供給部は、固体マトリックスまたはアッセイ基板に添加するための同じまたは異なる液体組成物を含有する。各液体計測先端部は、例えば、1つ以上の成分を含み、任意選択的に1つ以上のアッセイ種をさらに含むアッセイ溶液を送達するように構成され得る。各計測先端部は、液体成分または組成物を所望の時間に横方向フローアッセイデバイスに送達することができる。先に論じたように、多種多様な固体マトリックスアッセイの設計および構成が可能であり、本明細書に記載のフローアッセイアナライザによって収容することができる。
【0061】
アッセイデバイスアナライザ内のマイクロコントローラ、またはアッセイデバイスアナライザに接続されたマイクロコントローラを含む電子制御システムはまた、フローアッセイアナライザの電子制御、モータ、およびポンプのうちの1つ以上を制御するように構成することができ、この制御には、構成要素の移動および位置の制御、液体成分の添加順序、添加した液体の体積、移動または液体添加のタイミング、移動速度、液体添加、ならびに検出パラメータを含む検出デバイス制御が含まれるが、これらに限定されない。制御システムは、ローカルまたはリモートユーザーインターフェースまたは制御デバイスを使用して、さらに制御または設定することができる。この制御システムは、所望のアッセイデザインに従ってアッセイデバイスへの流体の添加を制御することが可能であり、アッセイデザインおよび条件に関するデータを受信および記憶するためのメモリおよび入力デバイスを含み得る。制御システムは、制御システムに接続することにより、1つ以上のユーザインターフェースと通信するように構成することができる。当該ユーザインターフェースとして、リモート端末、デスクトップ、ラップトップ、タブレット、スマートフォン、またはスマート電子デバイスが挙げられるが、これらに限定されない。制御システムは、例えば、Wi-Fi対応接続デバイス、Bluetooth接続デバイス、または他の通信対応デバイスなどの有線接続または無線接続を介して通信ネットワークにさらに接続され得る。電子制御システムはまた、任意選択的に、検出デバイスに接続された、有線または無線のプロセッサとさらに通信することができる。流体計測デバイス204および1つ以上の二次計測デバイス208の各々は、さらに、アッセイマトリックス上またはアッセイデバイス上への流体の添加の体積、タイミング、および位置のうちの1つ以上を制御するために、電子制御システムに接続され得る。試料が流体計測デバイス204によってアッセイカートリッジ210に添加されると、並進調整機構216は、インキュベーションホッパー214の下でカートリッジステージ202を並進的に位置合わせし、インキュベーションホッパー214は、第2の垂直支持構造としての役割を果たし、インキュベーション中にアッセイカートリッジデバイスを保管することができる。単一の垂直支持構造が存在する実施形態では、並進調整機構および昇降調整機構は、アッセイカートリッジを移動させてその単一の垂直支持構造内に戻すことができ、好ましくは、垂直支持構造の上部に堆積させて、次のアッセイカートリッジをその垂直支持構造の下部から取り外すことができる。本明細書で使用される場合、「インキュベーション」という用語は、平面基板への試料または流動流体の添加から検出可能な成分が検出領域と結合した時間を指す。インキュベーション時間はまた、試料および/または緩衝液を添加してからアッセイデバイスの結果が得られるまでの必要な時間とみなすことができる。インキュベーション時間は、使用する平面基板およびフローアッセイデバイス材料、厚さ、およびサイズの大きさおよび性質に応じて変動する。
【0062】
インキュベーション後、検出器具に取り付けられた検出デバイス206により、フローアッセイデバイスの検出領域の認識可能な信号が検出され、フローアッセイの結果が可視化され得る。検出デバイス206は、隣接する検査領域内に位置決めされたフローアッセイデバイスの検査領域を走査するように配置され、位置合わせされる。検出デバイス206は、画像処理のためにプロセッサに電子的に接続されることが好ましい。他の検出デバイスは、本アナライザとともに使用することができ、その例として、蛍光光度計、分光光度計、比色計、カメラ、光増倍管(PMT)、電荷結合デバイス(CCD)カメラ、相補的金属酸化物半導体(CMOS)検出器を使用するデジタルカメラ、レーザ、およびフォトダイオードが挙げられるが、これらに限定されない。一例では、単一または一連のLEDを備えたカメラを使用して、流体流路の一部に沿って、デバイスが一度に光学的に走査される。より好ましくは、試料添加領域と、ウィッキング領域と、検出領域を含有し、この要素の構造に応じて、検査ラインおよびまた好ましくは制御ラインを含む少なくとも1つの反応領域と、を分離するフローチャネルの直線部分に沿って、光学的に走査される。これらの検出方法は、特に、例えば、レンズ、光学フィルタ、もしくは検出信号の信号性の改善、または信号対ノイズの比を改善するための任意選択の他の光学方法と併用することができる。
【0063】
カートリッジステージ202は、少なくとも1つのフローアッセイデバイスを受容することができる。カートリッジステージ202は、ステージマウント220内の特徴を介してアッセイデバイスを把持および保持し、インキュベーションおよび分析中に、フローアッセイデバイスを試料計測デバイス、検出デバイス、および垂直支持構造物と位置合わせする。ステージマウント220はまた、多種多様なカートリッジ構成を収容するように設計することができ、またはカートリッジステージ202上で交換可能として、様々な異なるカートリッジを解放可能に係合し得るように設計することができる。横方向フローアッセイカートリッジは、ステージマウント220と解放可能に係合することによって、装填ホッパー212の下部開口部から分注され、アッセイアナライザ内で輸送するために、カートリッジステージ202上のステージマウント220内か、またはステージマウント220の上に確実に保持される。ステージマウント220は、解放可能に把持し、並進可能に移動するために、アッセイカートリッジ210の底面および/もしくは側面または横方向縁部に係合し得る。ステージマウントおよびアッセイカートリッジの任意の物理的構成を使用することができ、ここで、ステージマウントは、アッセイカートリッジを解放可能かつ確実に保持し得る。この構成には、スナップ、摺動、または把持係合のための特徴が含まれるが、これらに限定されない。アッセイカートリッジは、並進調整機構によって、カートリッジステージ202上で計測領域および検出領域内に前後に往復され、アッセイカートリッジは、好ましくは一度に1つずつ装填ホッパー212から計測領域202に移動する。昇降調整機構218は、カートリッジステージ202に機能的に接続され、カートリッジステージを軸z-z’に沿って上下に移動させて、カートリッジステージ202およびステージマウント220を装填ホッパー212、インキュベーションホッパー214と位置合わせする。これにより、ステージマウント220は、各アッセイカートリッジと係合および係合解除され得、アッセイカートリッジを、1つ以上の試料計測デバイスおよび1つ以上の検出デバイスによって位置合わせする。カートリッジステージに隣接して位置するホッパー212および214により、複数の保管された横方向フローアッセイデバイスを保持することが可能となる。複数のホッパーおよび/または他の垂直支持構造もまた、必要に応じて使用され得る。ステージ、リザーバ、検出デバイス、および他の特徴に対する計測デバイスの位置、ならびに計測デバイスおよび検出デバイスの相対的な位置は、異なる横方向フローアッセイデバイス構成、ならびに試料添加領域と検出領域との間の異なる距離、ならびにデバイス幅および長さなどのカートリッジまたはデバイス寸法に対応するように調整され得る。アナライザは、2つ以上の試料、試薬、緩衝液、または他の流体をデバイスに送達する1つ以上の計測デバイスを含み得る。計測デバイスによって送達される流体には、任意の水性流体または非水性流体が含まれ得、これには、任意選択的に試料、緩衝液、試薬、および/または検出成分が含まれる。フローアッセイアナライザは、温度制御および/または湿度制御を提供するハウジングにさらに収容され得、ハウジングは、1つ以上のヒーター、クーラー、および/または湿度制御デバイスをさらに含み得る。ハウジングはまた、1つまたは2つ以上のフローアッセイアナライザデバイスを収容することができる。
【0064】
図3は、アナライザの計測領域および検出領域の周囲を拡大した、分注および検出デバイスを示すフローアッセイアナライザの拡大斜視図である。垂直支持構造は、複数の垂直に積層されたアッセイカートリッジを保管し、アッセイカートリッジ210の底部が、垂直支持構造の側面を通ってカートリッジステージ202上のステージマウント220と係合した後、垂直支持構造の側方開口部222を通って摺動することによって、各アッセイカートリッジ210を1つずつ個別に取り外すことができる。ステージマウント220は、各アッセイカートリッジ210の底部と解放可能に相互作用して保持する特徴を有する。これにより、アッセイカートリッジは、並進機構を使用して、並進軸x-x’に沿って摺動して垂直支持構造から出ることができる。
図3に示されるように、アナライザが使用されているとき、アッセイカートリッジはステージマウント220と係合され、並進調整機構を介して垂直支持構造から摺動的に取り外される。その後、カートリッジステージ202は、軸x-x’に沿って並進的に位置合わせされ、軸z-z’に沿って垂直に位置合わせされ、昇降調整機構により、アッセイカートリッジの試料ポートが流体計測デバイス204と位置合わせされ、試料が試料ポートを通してアッセイカートリッジ210に適用される。任意選択の二次計測デバイス208は、動作中の個々のアッセイに必要な二次流体をアッセイカートリッジに分注するための流体分注システムを提供し、任意選択的に、アッセイカートリッジ上の二次計測ポートと位置合わせされ得る。検出デバイス206は、流体計測デバイス204に隣接して位置決めされて示されているが、効果的な検出のために、アッセイカートリッジが並進調整機構および昇降調整機構によって位置決めされて位置合わせされ得るような、任意の場所にあり得る。
【0065】
図4は、アナライザの並進調整機構216、昇降調整機構218、およびカートリッジステージ202の一例の正面斜視図である。昇降調整機構218は、モータまたは他の機構を有しており、モータまたは他の機構は、昇降ステム230との機能的接続によって、ステージマウント220を有するカートリッジステージ202を軸z-z’に沿って上下に移動させる。任意選択の位置合わせ用ポスト232aおよび232bは、カートリッジステージ202の垂直方向の位置合わせを制御し、カートリッジステージ202のx-x
'軸からの位置合わせ不良を防止するのに役立つ。昇降調整機構218のためのハウジングは、位置合わせ用ポスト232aおよび232bならびに昇降ステム230の上下運動ならびに位置合わせを誘導するためのスロット、穴、または細長い開口部の形態のさらなるガイドを提供して、アナライザにおけるカートリッジステージ202の正確な位置決めを維持することができる。
【0066】
図5は、本明細書に記載のアナライザとともに使用される一例の閉鎖されたアッセイカートリッジ250の斜視図である。アッセイカートリッジ250は、底面および側壁を有するカートリッジ本体260を含み、カートリッジ本体260は、薄膜分析検査要素または基板を装填し得る。示されるアッセイカートリッジは、任意選択的に解放可能なカートリッジ蓋258を有しており、カートリッジ蓋258には、流体試料を受容するための試料ポート252、(アッセイの要件に基づいて、任意選択で)二次流体ポート254、およびアッセイ結果を検出器によって検出し得る開口部を提供するための結果ポート256が含まれる。アッセイカートリッジ250はまた、1つ以上の任意選択のバーコード262を有し得、バーコード262は、光学リーダーによって読み取り可能な画像として記憶される任意のデジタルデータであり得る。代替的に、アッセイカートリッジは、1つ以上の他の識別タグ、例えば、RFIDタグまたは電磁ラベルを有し得る。
【0067】
図6は、カートリッジ本体260を有するアッセイカートリッジ250の底部の斜視図である。アッセイカートリッジの底部の特徴により、アッセイカートリッジを保持するためにステージマウントと係合することが可能となり、これにより、カートリッジステージは、アッセイカートリッジデバイスを試料計測デバイスおよび検出デバイスと位置合わせされ得る。示される実施形態では、アッセイカートリッジは、ステージマウントと係合する2つの可撓性アームを有しており、カートリッジを所定の位置にスナップすることを可能にする。また、これらの同一の可撓性アームにより、カートリッジをステージマウントの上または下に摺動させることが可能である。
【0068】
図7は、開放されたアッセイカートリッジ250の斜視図であり、任意選択のバーコード262を有するカートリッジ本体260に対してカートリッジ蓋258が開放され角度付けされている。カートリッジ蓋には、試料ポート252、任意選択の二次流体ポート254、および結果ポート256も示されている。
【0069】
アッセイアナライザ200内の少なくとも1つの横方向フローアッセイデバイスの検査を含む1つの例示的な方法が、本明細書に記載される。
図8~
図13は、アッセイカートリッジが保管から試料の分注、インキュベーション、分析までアナライザを通して往復する際の、この例示的な方法におけるアナライザの移動を順次示している。方法は、昇降機構および装填ホッパーの下における上昇したカートリッジステージの位置合わせの拡大図である
図8から開始する。ここで、並進調整機構により、アッセイカートリッジを装填した装填ホッパーの下にカートリッジステージが位置合わせされる。位置合わせが完了すると、昇降調整機構は、z-z
'軸に沿って昇降ステムを上昇させることによってカートリッジステージの高さを調整し、矢印によって示されるように、カートリッジ上のステージマウントが、装填ホッパー内の最下部アッセイカートリッジの底部と位置合わせされる。アッセイカートリッジの底部は、ステージマウント220上の特徴と正に係合し、アナライザ内のアッセイカートリッジの移動を通してステージマウント220上のアッセイカートリッジの輸送を支持する。アッセイカートリッジは、装填ホッパーの下側開口部から分注され、カートリッジステージ上のステージマウント内に保持される。
【0070】
図9は、カートリッジステージがカートリッジを保持し、分注および検出デバイスの下を並進するアナライザの拡大図である。
図9に示すように、ステージマウントがアッセイカートリッジの底面と正に係合すると、カートリッジステージ202は、矢印によって示される方向に、x-x
'軸に沿って横方向に往復され、ホッパーの側方開口部222を通してアッセイカートリッジを摺動させて装填ホッパーから出る。アッセイカートリッジは、x-x
'軸に沿って並進的に前後に往復され、アッセイカートリッジは好ましくは、装填ホッパー212からカートリッジステージ202に一度に1つずつ移動される。装填ホッパーには、アナライザの計測領域が隣接しており、計測領域には、流体計測デバイス204が含まれ、任意選択的に1つ以上の二次計測デバイスが含まれる。並進調整機構216により、カートリッジステージ202上の横方向フローアッセイデバイスカートリッジが計測領域内で往復され、アッセイカートリッジが試料添加領域の範囲内に位置決めされ、カートリッジの試料ポートが流体計測デバイス204と位置合わせされる。次いで、計測先端部内に含有される試料の体積部分が乾燥スライド検査要素上に分注され、フローアッセイデバイス内の流動が開始される。
【0071】
図10は、カートリッジステージが上昇した状態で、分注および検出デバイスの下に位置合わせされた状態のアナライザの拡大図である。計測領域の下で位置合わせされると、アッセイカートリッジは、所定の位置に移動され、昇降調整機構によって提供されるカートリッジステージ202への昇降調整により、試料計測デバイスとz-z
'軸に沿って位置合わせされる。次いで、所定の体積の試料を、横方向フローアッセイデバイスの試料添加領域上に堆積させる。横方向フローアッセイデバイスの設計に基づいて、画定された流路に沿って分注された患者試料の横方向のキャピラリフローを自発的に誘導するか、または追加の流動流体を添加することで、試料添加領域への試料の適用を開始することができる。次いで、アッセイデバイスでは、試料は、基板上の反応領域を通って延在する流路に沿って作成された毛管力の下で、試料添加領域から流れる。
【0072】
図11は、試料添加後にカートリッジステージが下降したアナライザの拡大図である。流体試料が最初に検出コンジュゲートまたは他の試薬に係合すると、試料はこのコンジュゲートを溶解し始め、それによって、プロセスフローを示す認識可能なプルーム、例えばコンジュゲートプルームが作成される。次いで、昇降調整機構により、カートリッジステージ202がz-z
'軸に沿ってインキュベーションホッパーのレベル未満に下降し、並進調整機構により、インキュベーションホッパーの下にカートリッジステージ202が摺動することが可能となる。
【0073】
図12は、カートリッジおよびステージがx-x
'軸に沿ってインキュベーションホッパーに並進したアナライザの拡大図である。インキュベーション中、試料および関連物質は、アッセイデバイスの検出領域およびウィッキング領域に向かって前進する。流体試料は、流路に沿って、および任意の中間反応領域に沿って流れ続け、それにより反応が起こり得る。この反応は、検出デバイスによって検出することができる。試料は、ウィッキング領域へと前進し続ける。ウィッキング領域は、分注された流体の量を受容するようにサイズ設定されている。次いで、フローアッセイデバイスは、フローアッセイデバイスおよび実施されるアッセイに基づいて所定時間インキュベートされる。
【0074】
図13は、ステージがインキュベーションホッパーに対してz-z
'軸に沿って上昇した状態のアナライザの拡大図であり、読み取りのためにアッセイカートリッジが取り外されるまで、アッセイカートリッジはインキュベーションホッパーに収納される。インキュベーションホッパーの底部の開口部により、アッセイカートリッジが下から受容され、インキュベーションホッパーの下部の特徴により、アッセイカートリッジが保持される。アッセイカートリッジは、アッセイデバイス上で実行される検査の数および種類、ならびにアッセイに必要な溶出または検出時間に応じて、所定の滞留時間またはインキュベーション時間にわたってインキュベーションホッパー中に保持される。所定のインキュベーション時間(例えば、5分、10分など)の後、アナライザは、カートリッジステージおよびステージマウントをインキュベーションホッパー内の最も低いアッセイカートリッジに位置合わせし、装填ホッパーに関して
図8および
図9に示されるのと同様の方法で、インキュベーションホッパー内の側方開口部を通ってアッセイカートリッジをインキュベーションホッパーから摺動的に取り外す。アッセイカートリッジが検出デバイスの下で並進的に調整されると、結果が読み取られ、アッセイデバイスの検出領域を位置合わせする流路の一部に沿って含有される試料および反応物の検出走査が可能となる。任意選択的に、昇降調整機構を使用して、アッセイカートリッジ上の検出領域での検出のための最適な位置にアッセイカートリッジを位置合わせすることができる。検出が完了すると、カートリッジは、さらなるアッセイカートリッジの処理のためにカートリッジステージから取り出される。一例では、アッセイデバイスは、カートリッジステージから摺動させ、垂直に配置された出口シュート(図示せず)を通して落下させて、廃棄することができる。適切な検出デバイスを用いたアッセイ検査の計装により、アッセイの結果を決定することができ、結果には、試料溶液中の分析物の存在および/または濃度が含まれ得る。したがって、分析検査または検出結果を可能にする検出デバイスを用いた分析物検出が、リアルタイムで提供され得る。任意選択的に予測アルゴリズムを使用したさらなる分析を、オンボードまたは接続されたコンピュータで処理することができる。
【0075】
図14は、アナライザを使用する方法のフローチャートである。まず、カートリッジステージ上のステージマウントが昇降して、装填ホッパー302に保管されたアッセイカートリッジの底部と係合する。係合されると、係合されたアッセイカートリッジを有するカートリッジステージは、摺動して装填ホッパーの側面から出て、試料計測デバイス304と位置合わせされる。次いで、試料をアッセイカートリッジ306上に計測し、既知の量または体積の試料がアッセイマトリックスまたは基板要素上に堆積される。次いで、アッセイカートリッジを、アッセイ308に応じて、所定時間インキュベートさせる。インキュベートされると、アッセイカートリッジが検出デバイス310と位置合わせされ、アッセイの結果が検出デバイス312で検出される。ここで、検査の計装により、結果(分析物濃度、検出など)が決定される。他のカートリッジが試料を装填されている間、1つ以上のアッセイカートリッジのインキュベーションを行うことができ、同じ期間に複数のアッセイを実行する合理化された方法が提供される。本実施形態では、インキュベーション中のカートリッジを第2のホッパーに装填することができ、試料が全てのカートリッジに追加されると、全てのカートリッジを第1のホッパーに戻して、各カートリッジを取り外し、結果を、試料を添加した順序で検出器によって読み取ることができる。
【0076】
本明細書に記載のフローアッセイアナライザはまた、品質チェック(QC)光学デバイスユニットを含み得る。品質チェック光学デバイスは、自動フローアッセイアナライザにおいて多種多様な目的で使用することができる。これには、固有のアッセイカートリッジの識別および/または検証、ならびに正しい量および品質の試料および/または試薬がフローアッセイ基板に添加されたことの確認が含まれるが、これらに限定されない。品質チェック用の光学ユニットは、検出デバイスから独立して、または検出デバイスと連携して使用して、アッセイ結果、ならびに分析デバイスもしくはその一部の進行、またはアッセイカートリッジのアナライザを通る移動を検出することができる。品質チェック光学ユニットには、フローアッセイプロセスの態様の光学的調査および検出のための1つ以上の光学検出デバイスが含まれ得、これには、1つ以上のカメラ、スキャナ、ならびに高スループットフローアッセイアナライザによって実施される様々なステップを監視および品質チェックするための検出手段が含まれる。いくつかの非限定的な例では、光学ユニットは、例えば、1つ以上のフォトレジスタ、フォトダイオード、フォトトランジスタ、相補的金属酸化物半導体(CMOS)イメージセンサ、および/または電荷結合デバイス(CCD)イメージセンサを含む、個々の光検出器または光検出器のアレイを有し得る。光学ユニットは、1つ以上の光源、例えば、1つ以上の発光ダイオード(LED)、電球、水銀ランプ、およびレーザをさらに含み得る。データリーダーLEDはまた、バーコードデータ、QR(クイックレスポンス)コードデータ、または他の識別マークなどのアッセイカートリッジ上で符号化されたデジタルデータを検出および読み取るための光学データリーダーとして使用して、アッセイカートリッジハウジングを明確に識別することもできる。QC光学デバイスはまた、アッセイカートリッジがアナライザ内にある間、カートリッジ処理に関連するデータを記憶し、読み取ることができる。データには、試料および試薬の添加、緩衝液の添加、添加および分析時間の容量データが含まれるが、これらに限定されない。この収集されたデータは、例えば、試薬および試料バッチ情報、患者情報、アッセイおよび基板構成、ならびに/または設定情報、ならびにアッセイに関連する他の情報などの他のデータと相関付けて、各アッセイに追加の品質データを提供することができる。光学ユニットはまた、任意選択的に、1つ以上の受動光学部品、例えば、1つ以上のレンズアセンブリ、ミラー、プリズム、拡散器、光ファイバ、導波路、コリメータ、ビームスプリッタ、光学格子、偏光子、および1つ以上の光学フィルタ、例えば、ショートパス、バンドパス、ロングパス、バンドリジェクト、ノッチフィルタ、または他の光学フィルタなどを含み得る。QCユニットはまた、フローアッセイアナライザ内の1つ以上の物体またはデバイスに対してプロセスチェックを行うことができ、これには、試料シリンジ、二次シリンジもしくは試薬シリンジ、シリンジキャップ、シリンジプランジャ、シリンジ内の試料品質または量、検査カートリッジの位置決めもしくは状態、カートリッジ上のバーコード、試料もしくは試薬ディスペンサ試料液滴のサイズおよび物理的特徴、ならびに上述の構成要素を保持するハウジング/固定具が含まれるが、これらに限定されない。一例では、光学ユニットは、流体色、濁度、反射率、体積、および液滴サイズまたは形状のうちの1つ以上を測定することによって、試料および/または試薬流体の変化を検出することができる。QCユニットを使用して、試料シリンジの存在、シリンジキャップおよび/またはプランジャの存在および位置、シリンジニードルホルダーの存在、試料もしくは流体計測デバイス、または任意の追加の試料もしくは流体計測デバイス内の気泡および/または気隙の存在、位置および/または体積、試料の体積、試料の色および/または色の均一性、分注試料液滴の存在および体積、分注試薬の存在および体積、カートリッジの存在および位置、ならびにカートリッジ上のバーコード情報を判定することもできる。流体計測デバイスと近接した位置にある光学ユニットにより、アナライザ内の計測デバイス内の流体状態について監視、検出、記録、および潜在的にフィードバックを提供することができる。1つの例示的な構成では、QC光学ユニットは、光学経路の端部にある1つ以上の光源および1つ以上の光学検出器から構成され、チェックされる対象またはデバイスは、光学経路に沿って光源と光学検出器との間に位置する。光学検出器により、物体によって反射され、かつ/または物体によって透過され、かつ/または生成された光源から、光子を検出することができる。光学経路は、光源および光学検出器の性質に応じて、様々なシーケンスおよび/または組み合わせで、自由空間またはその内部もしくは表面にあるか、受動光学部品によって反射されるか、または偏向される。光源および光学検出器の様々な組み合わせも使用することができる。
光学ユニットはまた、流体計測デバイスを監視して、流体または液滴のサイズおよび/または特性、ならびに気隙(複数可)および/または気泡などの流体計測デバイス内の一般的な流体流量を監視することによって流体分注を監視することができる。ここで、気隙(複数可)および/または気泡などは、シリンジ型計測デバイスで発生し得、不十分な試料がアッセイ基板上に計測される場合、アッセイにおいて偽陰性をもたらす。高スループットを可能にするために使用される試料の濃度および体積が小さい場合、計測の誤差は、結果が悪化ならびに品質および再現性の欠如につながり得る。試薬計測システムまたはデバイス、および任意の流動流体または緩衝液計測デバイスの気泡または気隙から、同様の事象が生じる可能性がある。このため、品質制御光学ユニットにより、送達される流体のうちの1つ以上を監視して、正しい品質および量の流体を確保し、結果の再現性および信頼性を改善することができる。
【0077】
本明細書で言及される全ての刊行物、特許および特許出願は、本発明が関連する当業者の技術水準を示しており、参照により本明細書に組み込まれる。したがって、説明される本発明は、多くの点で変化変形し得ることが明らかであろう。かかる変形は、本発明の範囲から逸脱していると見なされず、当業者に明らかな全てのかかる修正は、以下の特許請求の範囲内に含まれることが意図される。