(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】細菌感染の処置における使用のためのインダン誘導体
(51)【国際特許分類】
C07D 277/64 20060101AFI20240202BHJP
A61K 31/428 20060101ALI20240202BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240202BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240202BHJP
【FI】
C07D277/64 CSP
A61K31/428
A61P31/04
A61P29/00
(21)【出願番号】P 2021540369
(86)(22)【出願日】2019-07-25
(86)【国際出願番号】 EP2019070115
(87)【国際公開番号】W WO2020064173
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-07-25
(32)【優先日】2018-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2018-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515344978
【氏名又は名称】アンタビオ エスアーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100153693
【氏名又は名称】岩田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】レリス,シモン
(72)【発明者】
【氏名】デイビス,デイビッド トーマス
(72)【発明者】
【氏名】エバレット,マーティン
(72)【発明者】
【氏名】スプリンスキ,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ベイリア,リーハ
(72)【発明者】
【氏名】パリン,トーマス デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】クリッドランド,アンドリュー ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ブレンチ,トビー ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】エリオット,リチャード レオナルド
(72)【発明者】
【氏名】クラーク,デイビッド エドワード
【審査官】宮田 透
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-503431(JP,A)
【文献】特表2014-507372(JP,A)
【文献】国際公開第2018/172423(WO,A1)
【文献】米国特許第05457196(US,A)
【文献】国際公開第2010/001220(WO,A1)
【文献】特表2022-502485(JP,A)
【文献】George R. A. Cathcart et al.,Novel Inhibitors of the Pseudomonas aeruginosa Virulence Factor LasB: a Potential Therapeutic Approach for the Attenuation of Virulence Mechanisms in Pseudomonal Infection,ANTIMICROBIAL AGENTS AND CHEMOTHERAPY,2011年06月,Vol. 55, No. 6,pp. 2670-2678,doi:10.1128/AAC.00776-10
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D、A61K、A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)によるインダンである化合物または薬学的に許容されるその塩。
【化1】
[式中、
・ R
1は、
- NHOH、-OH、-OR
1a、および-OCH
2OC(O)R
1aから選択され、R
1aは、非置換のC
1~C
4アルキル基およびフェニルから選択され;
- 式(I)の化合物が、正に電荷を有する窒素原子を含有する場合、R
1は、
前記化合物が両性イオンを形成するようにO
-であってもよく;
・ R
2は、H、および非置換のC
1~C
2アルキルから選択され;
・ 各R
3基は、独立して、ハロゲン、-OH、-NH
2、メチル、および-CF
3から選択され;
・ nは、0から4までの整数であり;
・ R
4は、H、および非置換のC
1~C
2アルキルから選択され;
・ R
6は、非置換であるか、または-OH;-NR
10R
11;-N
+R
10R
11R
12;-OR
6a、および-NR
10R
6aから選択される基で置換されるC
2~C
4アルコキシであり、R
6aは、非置換であるか、またはOH;-NR
10R
11;-N
+R
10R
11R
12;-NR
10NR
11R
12;-NR
10N
+R
11R
12R
13;-N
+R
10R
11NR
12R
13;-NR
10C(NR
11)NR
12R
13;-NR
10C(N
+R
11R
12)NR
13R
14;-C(NR
10)NR
11R
12;および-C(N
+R
10R
11)NR
12R
13から選択される基で置換されるC
1~C
3アルキル基であり;
・ pは、0または1であり;
・ R
5は、-OMe、-OH、ハロゲン、-NR
10R
11;-N
+R
10R
11R
12、-CF
3から選択され;
・ R
10、R
11、R
12、R
13、およびR
14は、独立して、H、またはメチルであり;
ただし、式(I)のインダンは、
2-(2-(((4-エトキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)メチル)カルバモイル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)酢酸;
2-[2-[(6-エトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸;
2-[2-[[6-(2-ヒドロキシエトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸;
2-[2-[[6-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸;
2-[2-[[6-[2-(トリメチルアンモニオ)エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート;
2-[2-[[5-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸;
2-[2-[[5-[2-(トリメチルアンモニオ)エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート;
2-(2-(((5-(3-(ジメチルアミノ)プロポキシ)-6-メトキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)メチル)カルバモイル)-5,6-ジフルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)酢酸;
2-(5,6-ジフルオロ-2-(((6-メトキシ-5-(3-(トリメチルアンモニオ)プロポキシ)ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)メチル)カルバモイル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アセテート;および
2-(2-(((5-(2-(ジメチルアミノ)エトキシ)-6-メトキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)メチル)カルバモイル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)酢酸
以外のものである。]
【請求項2】
- R
1が、OHおよびNHOHから選択されるか;または式(I)の化合物が正の電荷を有する窒素原子を含有する場合、R
1が、
前記化合物が両性イオンを形成するようにO
-であってもよい、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項3】
- R
2が、Hであり;
- R
4が、Hである、
請求項1または請求項2に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項4】
nが、0から2までの整数であり、各R
3基が、ハロゲンである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項5】
nが、0から2までの整数であり、各R
3基が、フッ素である、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項6】
R
6が、非置換であるか、または-OH;-NR
10R
11;-N
+R
10R
11R
12;および-OR
6aから選択される基で置換されるC
2~C
4アルコキシであり、R
6aが、非置換であるか、またはOH;-NR
10R
11;および-N
+R
10R
11R
12から選択される基で置換されるC
1~C
3アルキル基である、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項7】
pが、1であり;R
6が、-NR
10R
11;-N
+R
10R
11R
12;および-OR
6aから選択される基で置換されるC
2~C
4アルコキシであり、R
6aが、非置換であるか、または-NR
10R
11;および-N
+R
10R
11R
12から選択される基で置換されるC
1~C
3アルキル基である、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項8】
R
6が、-OR
6aおよび-NR
10R
6aから選択される基で置換されるC
2~C
4アルコキシであり、R
6aが、非置換であるか、またはOH;-NR
10R
11;-N
+R
10R
11R
12;-NR
10NR
11R
12;-NR
10N
+R
11R
12R
13;-N
+R
10R
11NR
12R
13;-NR
10C(NR
11)NR
12R
13;-NR
10C(N
+R
11R
12)NR
13R
14;-C(NR
10)NR
11R
12;および-C(N
+R
10R
11)NR
12R
13から選択される基で置換されるC
1~C
3アルキル基で
ある、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項9】
R
6が、-OR
6a基で置換されるC
2~C
4アルコキシであり、R
6aが、非置換であるか、またはOH;-NR
10R
11;および-N
+R
10R
11R
12から選択される基で置換されるC
1~C
3アルキル基である、請求項1から5及び8のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項10】
- R
1
が、-OHであるか;または式(I)の化合物が、正に電荷を有する窒素原子を含有する場合、R
1
は、前記化合物が両性イオンを形成するようにO
-
であってもよく;
- R
2
が、Hであり;
- 各R
3
基が、独立して、フッ素であり;
- nが、0から2までの整数であり;
- R
4
が、Hであり;
- R
6
が、-NR
10
R
11
および-N
+
R
10
R
11
R
12
から選択される基で置換されるC
2
~C
4
アルコキシであり;
- pが、1であり;
- R
5
が、-OMeであり;
- R
10
、R
11
、およびR
12
が、独立して、H、またはメチルである、
請求項1に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項11】
- R
1
が、-OHであるか;または式(I)の化合物が、正に電荷を有する窒素原子を含有する場合、R
1
は、前記化合物が両性イオンを形成するようにO
-
であってもよく;
- R
2
が、Hであり;
- 各R
3
基が、独立して、フッ素であり;
- nが、0または2であり;
- R
4
が、Hであり;
- R
6
が、-N
+
R
10
R
11
R
12
で置換されるC
2
~C
4
アルコキシであり;
- pが、1であり;
- R
5
が、-OMeであり;
- R
10
、R
11
、およびR
12
が、独立して、メチルである、
請求項1に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項12】
2-[5,6-ジフルオロ-2-[[6-メトキシ-5-[2-[2-(トリメチルアンモニオ)エトキシ]エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテートまたは薬学的に許容されるその塩である、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項13】
2-[2-[[6-メトキシ-5-[3-(トリメチルアンモニオ)プロポキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテートまたは薬学的に許容されるその塩である、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項14】
2-[2-[[6-メトキシ-5-[2-[2-(トリメチルアンモニオ)エトキシ]エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテートまたは薬学的に許容されるその塩である、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項15】
2-[2-[[6-(3-ヒドロキシプロポキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸;
2-[2-[(6-プロポキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸;
2-[2-[[5-[3-(ジメチルアミノ)プロポキシ]-6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸;
2-[5,6-ジフルオロ-2-[[6-メトキシ-5-[2-(トリメチルアンモニオ)エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート;
2-(2-(((5-(4-(ジメチルアミノ)ブトキシ)-6-メトキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)メチル)カルバモイル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)酢酸;
2-(2-(((6-メトキシ-5-(4-(トリメチルアンモニオ)ブトキシ)ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)メチル)カルバモイル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アセテート;
または薬学的に許容されるその塩である、請求項1に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項16】
(i)請求項1から
15のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩、および(ii)少なくとも1つの薬学的に許容される担体または賦形剤を含み;ならびに、任意選択で(iii)抗生剤をさらに含む、医薬組成物。
【請求項17】
前記抗生剤が、トブラマイシン、ネオマイシン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、セフタジジム、チカルシリン、ピペラシリン、タゾバクタム、イミペネム、メロペネム、リファンピシン、シプロフロキサシン、アミカシン、コリスチン、アズトレオナム、アジスロマイシン、およびレボフロキサシンから選択される、請求項
16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
(i)請求項1から
15のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩、および(ii)抗生剤の組合せ
物。
【請求項19】
前記抗生剤が、トブラマイシン、ネオマイシン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、セフタジジム、チカルシリン、ピペラシリン、タゾバクタム、イミペネム、メロペネム、リファンピシン、シプロフロキサシン、アミカシン、コリスチン、アズトレオナム、アジスロマイシン、およびレボフロキサシンから選択される、請求項
18に記載の組合せ
物。
【請求項20】
請求項1から
15のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩;請求項
16または
17に記載の組成物、または、請求項
18または
19に記載の組合せ
物を含む、細菌感染の処置または予防剤。
【請求項21】
- 前記細菌感染が、バシラス属(Bacillus)、シュードモナス属(Pseudomonas)、スタフィロコックス属(Staphylococcus)、ストレプトコックス属(Streptococcus)、リステリア属(Listeria)、バークホルデリア属(Burkholderia)、もしくはエスケリキア属(Escherichia)、任意選択で緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に起因し;
- 前記剤が、肺炎の処置もしくは予防における使用のためのものであり;および/または
- 前記剤が、嚢胞性線維症に罹患している対象における細菌感染の処置または予防のためのものである、
請求項
20に記載の剤。
【請求項22】
請求項1から
15のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩;請求項
16または
17に記載の組成物、または、請求項
18または
19に記載の組合せ
物を含む、炎症の処置または予防剤。
【請求項23】
- 前記炎症が、気道炎症であり;
- 前記炎症が、細菌感染に起因し;ならびに/または
- 前記剤が、嚢胞性線維症;慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支拡張症、および/もしくは、人工呼吸器関連肺炎(VAP)に罹患している対象における細菌感染の処置または予防のためのものである、
請求項
22に記載の剤。
【請求項24】
細菌感染の処置または予防のための薬剤の製造における、請求項1から
15のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩;請求項
16または
17に記載の組成物、または、請求項
18または
19に記載の組合せ
物の使用。
【請求項25】
- 前記細菌感染が、バシラス属(Bacillus)、シュードモナス属(Pseudomonas)、スタフィロコックス属(Staphylococcus)、ストレプトコックス属(Streptococcus)、リステリア属(Listeria)、バークホルデリア属(Burkholderia)、もしくはエスケリキア属(Escherichia)、任意選択で緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)に起因し;
- 前記薬剤が、肺炎の処置もしくは予防における使用のためのものであり;および/または
- 前記薬剤が、嚢胞性線維症に罹患している対象における細菌感染の処置または予防のためのものである、
請求項
24に記載の使用。
【請求項26】
炎症の処置または予防のための薬剤の製造における、請求項1から
15のいずれか一項に記載の化合物または薬学的に許容されるその塩;請求項
16または
17に記載の組成物、または、請求項
18または
19に記載の組合せ
物の使用。
【請求項27】
- 前記炎症が、気道炎症であり;
- 前記炎症が、細菌感染に起因し;ならびに/または
- 前記薬剤が、嚢胞性線維症;慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支拡張症、および/もしくは、人工呼吸器関連肺炎(VAP)に罹患している対象における細菌感染の処置または予防のためのものである、
請求項
26に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細菌感染の予防または処置において使用される化合物に関する。本発明はまた、このような化合物それ自体、および、このような化合物を含む医薬組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
嚢胞性線維症(CF)は、世界中でおよそ70,000人の罹患者に影響を及ぼす、生命を脅かす疾患である。CFは、嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)遺伝子における突然変異に起因する、白色人種系集団において最も一般的で致死的な遺伝性疾患である。欧州におけるCFの有病率は、2,000~3,000人の出生当たり1人、北米では、3,500人の出生当たり約1人である。英国において、およそ9,800人のCF患者が存在する。
【0003】
CFを有する個体の臓器は、典型的には、著しく濃い分泌物を有する。これは、次に、病理学的問題の範囲をもたらし得る。例えば、CFを有する個体は、典型的には、障害性繊毛クリアランスを有し、このような個体の肺は、典型的には、早期の細菌によりコロニー形成され、感染している。このような細菌として、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenza)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、およびバークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)が挙げられる。緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(PA)は、CFを有する個体での慢性肺感染の最も一般的な原因であり、PAの慢性感染は、CFを有する、就学前の小児の9%、10~15歳の32%、および成人の大部分(59%と80%との間)で見られ、進行性の肺障害および早期死亡をもたらす。
【0004】
CFを有する個体の肺が、PAによりコロニー形成されるので、細菌の増殖パターンは変化し、生存能力は、改善する。慢性感染では、粘膜および上皮表面上の、または痰内のPA細菌は、バイオフィルムを形成することに加えて、貪食作用および抗生物質療法の有効性を低減する、大量のアルギン酸塩(いわゆる粘液性表現型)を生成する。これは、従来の抗生物質療法により除去されない、PAによる肺の慢性コロニー形成をもたらす。
【0005】
抗生物質は、抗菌活性を呈する広範囲の物質である。多数の抗生物質化合物は、知られており、広範囲の細菌に対する抗菌活性を呈すると示されている。しかし、現在利用可能な抗生物質は、いくつかの細菌感染を制御することはできない。これは、標的細菌が、例えば水平方向の遺伝子導入を介する抗生物質耐性を必要としているからであるか、または、標的細菌が、さらに高活性である抗生物質の有効性が低下する状態において見出されるからである。このような状態の1つは、細菌バイオフィルムである。
【0006】
バイオフィルム内の細菌は、自己生成する細胞外バイオポリマーマトリックスに封入され、多糖類、タンパク質、およびDNAを含み得る。バイオフィルム内の細菌は、典型的には、同一種の自由生活性細菌と異なる特性を呈する。このような特性は、典型的には、抗生物質および洗浄剤に対する高い耐性、ならびに、横方向の高い遺伝子導入を含む。例えば、バイオフィルム内の細菌は、典型的には、その単一細胞である浮遊性(自由生活性)対応物より、抗生物質攻撃に対して最大1,000倍高い寛容性を示す。抗菌性化合物の有効性におけるこの制限は、とりわけ、免疫不全または他の疾患もしくは状態を通して細菌感染に十分に対抗することができない個体に対して重要である。このような個体として、嚢胞性線維症に罹患しているものが挙げられる。
【0007】
PAがコロニー形成しているCF患者はまた、肺機能のより急激な低下、胸部X線撮影スコアのより急速な低下、体重増加不良、入院率の増加、および、抗生物質療法の必要性の増加を示す。生存率の中央値は低下し、死亡率は増加する(2.6倍の死亡リスク)。CFにおける疾患関連の罹患率および死亡率の多くは、慢性PA肺感染の作用およびPAバイオフィルムの持続性に主に関連する、細菌感染および気道炎症の結果としての進行性肺疾患に起因する。抗生物質の集中処置にもかかわらず、バイオフィルム形成のような適合機構により、PAは、免疫および抗生物質圧の両方に抵抗できるようになり、再発性の悪化および呼吸不全をもたらす。
【0008】
PAのような病原細菌は、CFの状況において重要であるだけではない。例えば、日和見病原体PAはまた、特に好中球減少患者において、敗血性ショックを起こし、気道、尿路、胃腸ネットワーク、および皮膚、ならびに軟組織の感染の原因となり得る。PAはまた、カテーテル、ネブライザーなどのような医療装置に頻繁にコロニー形成する。
【0009】
したがって、細菌感染を処置するために、新規の抗生物質化合物および組成物、ならびにアジュバント療法への明白な必要性が存在する。
【発明の概要】
【0010】
本発明者らは、驚くべきことに、式(I)の化合物が、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)由来のエラスターゼ酵素LasBの強力な阻害剤であり、これが、バイオフィルム形成を通して、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の病因および持続性において重要であることを見出した。
【0011】
分泌されたLasBが、多くの宿主免疫性タンパク質を分解し、組織損傷を起こすので、LasBは、細菌性疾患の病理に関係する。LasBは、プソイドリシンとしても知られるが、多くの宿主免疫性タンパク質(例えば、免疫グロブリン、サイトカイン、SP-A、抗菌性ペプチド(例としてTrappin2))、および組織タンパク質(例えば、エラスチン)をタンパク質分解により攻撃することができる、産生株の生物の環境に大量に分泌される。LasBの哺乳動物ホモログは存在しない。LasBが宿主タンパク質を攻撃する能力は、組織侵入および長期的なコロニー形成を促進しながら、免疫回避(例えば、SP-A媒介性の貪食作用の回避、および免疫グロブリンの分解、抗菌性ペプチド(例としてTrappin2)の分解)に寄与する。したがって、LasBの阻害は、免疫攻撃を対処する宿主をより良好に備えている。
【0012】
LasBはまた、より小さい活性型へとヌクレオシド二リン酸キナーゼ(NDK)を分裂する細菌細胞内部の重要な役割も有する。NDKの活性形態により、細胞内のGTPレベルが高められ、アルギン酸塩を増産させる。アルギン酸塩は、細胞外バイオフィルムマトリックスの主成分であり、swarming運動性を必要とする、多糖類である。これら2つの病原性の表現型は、免疫および抗生物質圧に応じる細菌の持続性に関連する。LasB活性はまた、ラムノリピド生成を上方制御することを示し、バイオフィルム形成/成熟に必要である。したがって、LasBの阻害は、バイオフィルム形成の障害、および確立されたバイオフィルムの破壊を助ける。次に、これは、現在使用されている抗生物質が、感染に効果的に対応することがより良好に可能となると考えられている。
【0013】
加えて、LasBは、インターロイキン-1-β(IL-1β)を直接活性化する。IL-1βは、ヒトタンパク質で、炎症反応の重要な開始剤である。この炎症性サイトカインは、炎症の臨床バイオマーカーであり、CF患者において、肺機能の急性増悪期に上方制御される。IL-1βは、病原体検出に応じて宿主細胞により不活性型(pro-IL-1β)として生成され、宿主カスパーゼ-1によるペプチド部分の加水分解除去を介して活性化される。最近の調査により、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(PA)分泌型エラスターゼLasBがまた、IL-1βを切断し、活性化することもできることが示されている。カスパーゼ-1由来の代替部位および異なる部位での切断により、この活性化は起こる。LasBが、pro-IL-1βの加水分解によりIL-1βを直接活性化するので、IL-1βは、インビトロおよびインビボの両方で、PA LasB活性に対するマーカーと見なすことができる。本発明者らは、IL-1βを活性化するLasBの能力が、炎症および関連する状態を処置する場合に、LasBの阻害剤の適用をもたらすことを認識している。
【0014】
したがって、本発明は、以下の態様を提供する。
【0015】
1. 式(I)によるインダンである化合物または薬学的に許容されるその塩
【0016】
【化1】
であって、式中、
・ R
1は、
- NHOH、-OH、-OR
1a、および-OCH
2OC(O)R
1aから選択され、R
1aは、非置換のC
1~C
4アルキル基およびフェニルから選択され;
- 式(I)の化合物が、正に電荷を有する窒素原子を含有する場合、R
1は、化合物が両性イオンを形成するようにO
-であってもよく;
・ R
2は、H、および非置換のC
1~C
2アルキルから選択され;
・ 各R
3基は、独立して、ハロゲン、-OH、-NH
2、メチル、および-CF
3から選択され;
・ nは、0から4までの整数であり;
・ R
4は、H、および非置換のC
1~C
2アルキルから選択され;
・ R
6は、非置換であるか、または-OH;-NR
10R
11;-N
+R
10R
11R
12;-OR
6a、および-NR
10R
6aから選択される基で置換されるC
2~C
4アルコキシであり、R
6aは、非置換であるか、またはOH;-NR
10R
11;-N
+R
10R
11R
12;-NR
10NR
11R
12;-NR
10N
+R
11R
12R
13;-N
+R
10R
11NR
12R
13;-NR
10C(NR
11)NR
12R
13;-NR
10C(N
+R
11R
12)NR
13R
14;-C(NR
10)NR
11R
12;および-C(N
+R
10R
11)NR
12R
13から選択される基で置換されるC
1~C
3アルキル基であり;
・ pは、0または1であり;
・ R
5は、-OMe、-OH、ハロゲン、-NR
10R
11;-N
+R
10R
11R
12、-CF
3から選択され;
・ R
10、R
11、R
12、R
13、およびR
14は、独立して、H、またはメチルであり;
ただし、式(I)のインダンは、
2-(2-(((4-エトキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)メチル)カルバモイル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)酢酸;
2-[2-[(6-エトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸;
2-[2-[[6-(2-ヒドロキシエトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸;
2-[2-[[6-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸;
2-[2-[[6-[2-(トリメチルアンモニオ)エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート;
2-[2-[[5-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸;
2-[2-[[5-[2-(トリメチルアンモニオ)エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート;
2-(2-(((5-(3-(ジメチルアミノ)プロポキシ)-6-メトキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)メチル)カルバモイル)-5,6-ジフルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)酢酸;
2-(5,6-ジフルオロ-2-(((6-メトキシ-5-(3-(トリメチルアンモニオ)プロポキシ)ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)メチル)カルバモイル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アセテート;および
2-(2-(((5-(2-(ジメチルアミノ)エトキシ)-6-メトキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)メチル)カルバモイル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)酢酸
以外のものである、前記化合物。
【0017】
2. R1が、-OHおよび-NHOHから選択されるか;または、式(I)の化合物が正の電荷を有する窒素原子を含有する場合、R1が、化合物が両性イオンを形成するようにO-であってもよい、態様1に記載の化合物。
【0018】
3. R2が、Hである、態様1または態様2に記載の化合物。
【0019】
4. R4が、Hである、態様1または態様2に記載の化合物。
【0020】
5. nが、0から2までの整数であり、各R3基が、ハロゲン、好ましくはフッ素である、態様1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【0021】
6. R5が、メトキシである、態様1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【0022】
7. R6が、非置換であるか、または-OH;-NR10R11;-N+R10R11R12;および-OR6aから選択される基で置換されるC2~C4アルコキシであり、R6aが、非置換であるか、またはOH;-NR10R11;および-N+R10R11R12から選択される基で置換されるC1~C3アルキル基である、態様1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【0023】
8. pが、1であり;R6が、-NMe2;-N+(Me)3;および-OR6aから選択される基で置換されるC2~C4アルコキシであり、R6aが、非置換であるか、または-NR10R11;および-N+R10R11R12から選択される基で置換されるC1~C3アルキル基である、態様1から7のいずれか一項に記載の化合物。
【0024】
9. R6が、-OR6aおよび-NR10R6aから選択される基で置換されるC2~C4アルコキシであり、R6aが、非置換であるか、またはOH;-NR10R11;-N+R10R11R12;-NR10NR11R12;-NR10N+R11R12R13;-N+R10R11NR12R13;-NR10C(NR11)NR12R13;-NR10C(N+R11R12)NR13R14;-C(NR10)NR11R12;および-C(N+R10R11)NR12R13から選択される基で置換されるC1~C3アルキル基である、態様1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【0025】
10. R6が、-OR6a基で置換されるC2~C4アルコキシであり、R6aが、非置換であるか、またはOH;-NR10R11;および-N+R10R11R12から選択される基で置換されるC1~C3アルキル基である、態様1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【0026】
11. 2-[5,6-ジフルオロ-2-[[6-メトキシ-5-[2-[2-(トリメチルアンモニオ)エトキシ]エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテートまたは薬学的に許容されるその塩である、態様1に記載の化合物。
【0027】
12. 2-[2-[[6-メトキシ-5-[3-(トリメチルアンモニオ)プロポキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテートまたは薬学的に許容されるその塩である、態様1に記載の化合物。
【0028】
13. 2-[2-[[6-メトキシ-5-[2-[2-(トリメチルアンモニオ)エトキシ]エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテートまたは薬学的に許容されるその塩である、態様1に記載の化合物。
【0029】
14.
2-[2-[[6-(3-ヒドロキシプロポキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸;
2-[2-[(6-プロポキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸;
2-[2-[[5-[3-(ジメチルアミノ)プロポキシ]-6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸;
2-[5,6-ジフルオロ-2-[[6-メトキシ-5-[2-(トリメチルアンモニオ)エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート;
2-(2-(((5-(4-(ジメチルアミノ)ブトキシ)-6-メトキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)メチル)カルバモイル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)酢酸;
2-(2-(((6-メトキシ-5-(4-(トリメチルアンモニオ)ブトキシ)ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)メチル)カルバモイル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アセテート;
または薬学的に許容されるその塩である、態様1に記載の化合物。
【0030】
15. (i)態様1から14のいずれか一項に記載の化合物、および(ii)少なくとも1つの薬学的に許容される担体または賦形剤を含み;ならびに、任意で、(iii)抗生剤をさらに含む、医薬組成物であって、
好ましくは、抗生剤が、トブラマイシン、ネオマイシン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、セフタジジム、チカルシリン、ピペラシリン、タゾバクタム、イミペネム、メロペネム、リファンピシン、シプロフロキサシン、アミカシン、コリスチン、アズトレオナム、アジスロマイシン、およびレボフロキサシンから選択される、前記医薬組成物。
【0031】
16. (i)態様1から14のいずれか一項に記載の化合物、および(ii)抗生剤の組合せであって、
好ましくは、抗生剤が、トブラマイシン、ネオマイシン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、セフタジジム、チカルシリン、ピペラシリン、タゾバクタム、イミペネム、メロペネム、リファンピシン、シプロフロキサシン、アミカシン、コリスチン、アズトレオナム、アジスロマイシン、およびレボフロキサシンから選択される、前記組合せ。
【0032】
17. 薬での使用のための、態様1から14のいずれか一項に記載の化合物;態様15に記載の組成物、または、態様16に記載の組合せ。
【0033】
18. 対象における細菌感染の処置または予防における使用のための、態様1から14のいずれか一項に記載の化合物;態様15に記載の組成物、または、態様16に記載の組合せ。
【0034】
19. 細菌感染が、バシラス属(Bacillus)、シュードモナス属(Pseudomonas)、スタフィロコックス属(Staphylococcus)、ストレプトコックス属(Streptococcus)、リステリア属(Listeria)、バークホルデリア属(Burkholderia)、もしくはエスケリキア属(Escherichia)に起因する、態様18に記載の使用のための化合物、使用のための組成物、または、使用のための組合せ。
【0035】
20. 肺炎の処置または予防における使用のためである、態様18または19に記載の使用のための化合物、使用のための組成物、または使用のための組合せ。
【0036】
21. 対象における炎症の処置または予防における使用のための、態様1から14のいずれか一項に記載の化合物;態様15に記載の組成物、または、態様16に記載の組合せ。
【0037】
22. 対象における気道炎症の処置または予防における使用のための、態様21に記載の使用のための化合物、使用のための組成物、または使用のための組合せ。
【0038】
23. 炎症が、細菌感染に起因する、態様21または態様22に記載の使用のための化合物、使用のための組成物、または使用のための組合せ。
【0039】
24. 対象が、嚢胞性線維症に罹患している、態様18から23のいずれか一項に記載の使用のための化合物、使用のための組成物、または使用のための組合せ。
【0040】
25. 対象が、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支拡張症、および/または人工呼吸器関連肺炎(VAP)に罹患している、態様18から24のいずれか一項に記載の使用のための化合物、使用のための組成物、または使用のための組合せ。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】wt型およびΔlasB突然変異PA株での感染7日後の、肺感染のマウスモデルにおける、死亡率対生存率、および慢性コロニー形成対細菌クリアランスの発生率を示す。結果は、実施例8で考察される。
**p<0.01。
【
図2】感染24時間後のマウスの肺における本発明の化合物での処置ありおよび処置なしでの、野生型およびΔlasB突然変異PAO1による感染に続く、肺における活性IL-1βの定量化を示す。結果は、実施例10で考察される。
**p<0.001、
****p<0.0001。RU=相対光量単位、本実験におけるIL-1βのレベルに比例。
【
図3】感染24時間後のマウスの肺における本発明の化合物での処置ありおよび処置なしでの、野生型およびΔlasB突然変異PAO1の全コロニー形成単位を示す。結果は、実施例10で考察される。
**p<0.01、
***p<0.001。
【発明を実施するための形態】
【0042】
定義
本明細書で使用する場合、C1~C4アルキル基は、1~4個の炭素原子を含有する、直鎖または分岐鎖アルキル基である。C1~C4アルキル基は、多くの場合、C1~C3アルキル基である。C1~C4アルキル基の例として、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、sec-ブチル、およびtert-ブチルが挙げられる。C1~C3アルキル基は、典型的には、C1~C2アルキル基である。C1~C2アルキル基は、メチルまたはエチルであり、典型的には、メチルである。疑問を回避するために、2つのアルキル基が存在する場合、アルキル基は、同一でも異なってもよい。
【0043】
本明細書で使用する場合、アルコキシ基は、典型的には、酸素原子に結合する上記アルキル基である。ゆえに、C2~C4アルコキシ基は、酸素原子に結合するC2~C4アルキル基である。C1~C3アルコキシ基は、酸素原子に結合するC1~C3アルキル基である。C2~C4アルコキシ基の例として、エトキシ、n-プロポキシ、iso-プロポキシ、n-ブトキシ、sec-ブトキシ、およびtert-ブトキシが挙げられる。C1~C3アルコキシ基の例として、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、およびiso-プロポキシが挙げられる。典型的には、C1~C3アルコキシ基は、メトキシまたはエトキシ基のようなC1~C2アルコキシ基である。疑問を回避するために、2つのアルコキシ基が存在する場合、アルコキシ基は、同一でも異なってもよい。
【0044】
本明細書で使用する場合、ハロゲンは、典型的には、塩素、フッ素、臭素、またはヨウ素であり、好ましくは、塩素、臭素、またはフッ素、とりわけ、塩素(chorine)またはフッ素である。
【0045】
本明細書で使用する場合、薬学的に許容される塩は、薬学的に許容される酸または塩基との塩である。薬学的に許容される酸として、塩酸、硫酸、リン酸、二リン酸、臭化水素酸、または硝酸のような無機酸、および、シュウ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、コハク酸、酒石酸、パルミチン酸、安息香酸、酢酸、トリフェニル酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフテン酸、イセチオン酸、ベンゼンスルホン酸、またはp-トルエンスルホン酸のような有機酸の両方が挙げられる。薬学的に許容される塩基として、アルキル金属(例えばナトリウムまたはカリウム)、アルカリ土類金属(例えばカルシウムまたはマグネシウム)、および亜鉛塩基、例えば、水酸化物、炭酸塩、および炭酸水素塩、ならびに、アルキルアミン、アラルキル(すなわち、アリール置換アルキル、例としてベンジル)アミン、および複素環アミンのような有機塩基が挙げられる。
【0046】
式(I)の化合物が正の電荷を有する窒素原子を含有する場合、化合物は、両性イオンとして存在し得、R1がO-の場合、COO-基を残す。このような化合物はまた、薬学的に許容される塩の形態で提供され得る。好適な塩として、薬学的に許容される酸で形成されるものが挙げられ、これらは、陽子をCOO-基に提供し、第四級窒素原子で正の電荷と平衡させる対イオンを提供する。好適な薬学的に許容される酸として、塩酸、メタンスルホン酸およびトルエンスルホン酸を含むスルホン酸、アスコルビン酸、ならびにクエン酸が挙げられる。塩酸およびスルホン酸が好ましく、特に塩酸が好ましい。あるいは、両性イオンは、上述のような薬学的に許容される塩基、例えば、アルキル金属(例えばナトリウムまたはカリウム)水酸化物、およびアルカリ土類金属(例えばカルシウムまたはマグネシウム)水酸化物と組み合わせることができる。
【0047】
式(I)では、立体化学は制限されない。特に、1つまたは複数の立体中心(例えば、1つまたは複数のキラル中心)を含有する、式(I)の化合物は、エナンチオマー的もしくはジアステレオマー的に純粋な形態、または異性体の混合物の形態で、使用することができる。さらに、疑問を回避するために、本発明の化合物は、任意の互変異性体で使用することができる。典型的には、本明細書に記載の薬剤または物質は、エナンチオマー的もしくはジアステレオマー的に純粋である、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60、75%、90%、または95%の式(I)による化合物を含有する。ゆえに、化合物は、好ましくは、実質的に、光学的に純粋である。
【0048】
疑問を回避するために、用語「インダニル誘導体」および「インダン誘導体」は、互換的に使用することができ、別段の指示がない限り、式(I)の化合物のような本発明の化合物を指す。
【0049】
本発明の化合物
典型的には、R1は、OH、NHOH、およびOR1a、例えば、OHおよびOR1aから選択されるか、または、式(I)の化合物が正の電荷を有する窒素原子を含有する場合、R1は、化合物が両性イオンを形成するようにO-であってもよい。R1aは、典型的には、非置換のC1~C4アルキル基、例えば非置換のC1~C2アルキル基である。より好ましくは、R1aは、メチルまたはt-ブチルである。
【0050】
より好ましくは、R1は、OHもしくはNHOHであり、または、式(I)の化合物が正の電荷を有する窒素原子を含有する場合、R1は、化合物が両性イオンを形成するようにO-であってもよい。さらにより好ましくは、R1は、OHであるか、または、式(I)の化合物が正の電荷を有する窒素原子を含有する場合、R1は、化合物が両性イオンを形成するようにO-であってもよい。
【0051】
典型的には、R2は、H、およびメチルから選択される。最も好ましくは、R2は、Hである。R4は、典型的には、H、またはメチルである。好ましくは、R4は、Hである。最も好ましくは、R2およびR4は、独立して、Hまたはメチルであり、最も好ましくは、これらは両方ともにHである。
【0052】
各R3基は、典型的には独立して、ハロゲン;および-OH;および-NH2から選択される。より好ましくは、各R3基は、独立して、ハロゲン(例えば、フッ素または塩素)、および-OHから選択される。さらにより好ましくは、各R3基は、ハロゲンであり、最も好ましくはフッ素である。典型的には、nは、0から2までの整数であり;より好ましくは、nは、0または1であり;最も好ましくは、nは、0である。好ましくは、2つ以上のR3基が存在する場合、各R3は、同一である。例えば、いくつかの好ましい化合物では、nは、0であり;または、nは、1もしくは2であり、各R3は、独立して、ハロゲン、および-OHから選択される。いくつかのより好ましい化合物では、nは、0であり;または、nは、1もしくは2、好ましくは2であり、各R3は、独立して、ハロゲン、好ましくはフッ素である。
【0053】
好ましくは、式(I)では、R1は、OHおよびNHOHから選択されるか、または、式(I)の化合物が、正に電荷を有する窒素原子を含有する場合、R1は、COO-基が存在し、化合物が両性イオンを形成するように、O-であってもよく;R2は、H、およびメチルから選択され;各R3基は、独立して、ハロゲン(例えば、フッ素または塩素);および-OHから選択され;nは、0から2までの整数であり、R4は、Hである。
【0054】
より好ましくは、式(I)では、R1は、OHであるか、または、式(I)の化合物が、正に電荷を有する窒素原子を含有する場合、R1は、COO-基が存在し、化合物が両性イオンを形成するように、O-であってもよく;R2は、Hであり;各R3基は、独立して、ハロゲンから選択され、好ましくはフッ素であり;nは、0から2までの整数であり、R4は、Hである。
【0055】
R5は、好ましくはメトキシである。
【0056】
pは、0または1、好ましくは1である。
【0057】
したがって、いくつかの好ましい化合物では、R1は、OHであるか、または、式(I)の化合物が、正に電荷を有する窒素原子を含有する場合、R1は、COO-基が存在し、化合物が両性イオンを形成するように、O-であってもよく;nは、0であり;または、nは、1もしくは2、好ましくは2であり、各R3は、独立して、ハロゲンであり、好ましくはフッ素であり;pは、0または1であり、R5は、存在する場合、メトキシである。
【0058】
R6は、C2~C4アルコキシ、例えば、エトキシ、n-プロポキシ、またはn-ブトキシ、好ましくは、エトキシ、またはn-プロポキシであり、これらの各々は、非置換であるか、または置換され得る。
【0059】
典型的には、R6は、非置換であるか、または-OH;-NR10R11;-N+R10R11R12;および-OR6aから選択される基で置換される。一実施形態では、R6は、-OH;-NR10R11;-N+R10R11R12;-OR6a、および-NR10R6aから選択される基で置換されるC2~C4アルコキシである。好ましくは、R6は、-OH;-NR10R11;-N+R10R11R12;および-OR6aから選択される基で置換されるC2~C4アルコキシである。最も好ましくは、R6は、-NR10R11;-N+R10R11R12;および-OR6aから選択される基で置換されるC2~C4アルコキシである。最も好ましくは、R6は、-OR6a基で置換されるC2~C4アルコキシである。
【0060】
いくつかの好ましい化合物では、R6aは、非置換であるか、もしくはOH;-NR10R11;-N+R10R11R12;-NR10NR11R12;-NR10N+R11R12R13;-N+R10R11NR12R13;-NR10C(NR11)NR12R13;-NR10C(N+R11R12)NR13R14;-C(NR10)NR11R12;および-C(N+R10R11)NR12R13から選択される基で置換されるC1アルキル基であるか;または-NR10R11;-N+R10R11R12;-NR10NR11R12;-NR10N+R11R12R13;-N+R10R11NR12R13;-NR10C(NR11)NR12R13;-NR10C(N+R11R12)NR13R14;-C(NR10)NR11R12;および-C(N+R10R11)NR12R13から選択される基で置換されるC2~C3アルキル基である。他の好ましい化合物では、R6aは、-NR10R11;-N+R10R11R12;-NR10NR11R12;-NR10N+R11R12R13;-N+R10R11NR12R13;-NR10C(NR11)NR12R13;-NR10C(N+R11R12)NR13R14;-C(NR10)NR11R12;および-C(N+R10R11)NR12R13から選択される基で置換されるC1~C3アルキル基である。
【0061】
R6は、典型的には、非置換であるか、またはOH;-NR10R11;および-N+R10R11R12から選択される基で置換されるC1~C3アルキル基である。好ましくは、R6aは、非置換であるか、またはOH;-NMe2;および-N+Me3から選択される基で置換されるC1~C3アルキル基である。より好ましくは、R6aは、非置換であるか、またはOH;-NMe2;および-N+Me3から選択される基で置換されるC1~C2アルキル基である。
【0062】
ゆえに、好ましくは、R6は、非置換であるか、または-OH;-NR10R11;-N+R10R11R12;および-OR6aから選択される基で置換されるC2~C4アルコキシであり、R6aは、非置換であるか、またはOH;-NR10R11;および-N+R10R11R12から選択される基で置換されるC1~C3アルキル基である。より好ましくは、R6は、非置換であるか、または-OH;-NMe2;-N+Me3;および-OR6aから選択される基で置換されるC2~C4アルコキシであり、R6aは、非置換であるか、または-NMe2;および-N+(Me)3から選択される基で置換されるC1~C3アルキル基である。好ましくは、R6は、非置換であるか、または-OH;-NMe2;-N+(Me)3;および-OR6aから選択される基で置換されるC2~C4アルコキシであり、R6aは、-NMe2;および-N+(Me)3から選択される基で置換されるC1~C2アルキル基である。最も好ましくは、R6は、非置換であるか、または-OH;-NMe2;-N+(Me)3;-O(CH2)-NMe2;および-O(CH2)-N+(Me)3から選択される基で置換されるC2~C4アルコキシである。
【0063】
典型的には、R6は、以下の1として示される環位置で結合する。R5基が存在する場合、これは、典型的には、以下の2として示される位置に存在する。
【0064】
【0065】
ゆえに、式(I)のインダンは、典型的には、式(IA)のインダンである:
【0066】
【化3】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、n、およびpは、上で定義される通りである)。
【0067】
したがって、本発明の好ましい化合物は、式(I)または式(IA)のインダン、および薬学的に許容されるその塩であり、式中、
- R1は、OH、NHOH、およびOR1aから選択されるか、または、式(I)の化合物が、正に電荷を有する窒素原子を含有する場合、R1は、COO-基が存在し、化合物が両性イオンを形成するように、O-であってもよく;
- R2は、H、およびメチルから選択され;
- 各R3基は、独立して、ハロゲン(例えば、フッ素または塩素)、および-OHから選択され;
- nは、0から2までの整数であり;
- R4は、Hであり;
- R6は、非置換であるか、または-OH;-NR10R11;-N+R10R11R12;および-OR6aから選択される基で置換されるC2~C4アルコキシであり、R6aは、非置換であるか、またはOH;-NR10R11;および-N+R10R11R12から選択される基で置換されるC1~C3アルキル基であり;
- pは、0または1であり;
- R5は、メトキシであり;
- R10、R11、およびR12は、独立して、H、またはメチルであり;
- ただし、式(I)のインダンは、
2-(2-(((4-エトキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)メチル)カルバモイル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)酢酸;
2-[2-[(6-エトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸;
2-[2-[[6-(2-ヒドロキシエトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸;
2-[2-[[6-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸;
2-[2-[[6-[2-(トリメチルアンモニオ)エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート;
2-[2-[[5-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸;
2-[2-[[5-[2-(トリメチルアンモニオ)エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート;
2-(2-(((5-(3-(ジメチルアミノ)プロポキシ)-6-メトキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)メチル)カルバモイル)-5,6-ジフルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)酢酸;
2-(5,6-ジフルオロ-2-(((6-メトキシ-5-(3-(トリメチルアンモニオ)プロポキシ)ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)メチル)カルバモイル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アセテート;および
2-(2-(((5-(2-(ジメチルアミノ)エトキシ)-6-メトキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)メチル)カルバモイル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)酢酸
以外である。
【0068】
本発明のより好ましい化合物は、式(I)または式(IA)のインダン、および薬学的に許容されるその塩であり、式中、
- R1は、OHであるか、または、式(I)の化合物が、正に電荷を有する窒素原子を含有する場合、R1は、COO-基が存在し、化合物が両性イオンを形成するように、O-であってもよく;
- R2は、Hであり;
- 各R3基は、独立して、ハロゲンから選択され、好ましくはフッ素であり;
- nは、0から2までの整数であり;
- R4は、Hであり;
- R6は、非置換であるか、または-OH;-NMe2;-N+Me3;および-OR6aから選択される基で置換されるC2~C4アルコキシであり、R6aは、非置換であるか、または-NMe2;および-N+(Me)3から選択される基で置換されるC1~C3アルキル基であり;最も好ましくは、R6は、非置換であるか、または-OH;-NMe2;-N+(Me)3;-O(CH2)-NMe2;および-O(CH2)-N+(Me)3から選択される基で置換されるC2~C4アルコキシであり;
- pは、0または1であり;
- R5は、メトキシであり;
- R10、R11、およびR12は、独立して、H、またはメチルであり;
- ただし、式(I)のインダンは、
2-(2-(((4-エトキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)メチル)カルバモイル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)酢酸;
2-[2-[(6-エトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸;
2-[2-[[6-(2-ヒドロキシエトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸;
2-[2-[[6-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸;
2-[2-[[6-[2-(トリメチルアンモニオ)エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート;
2-[2-[[5-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸;
2-[2-[[5-[2-(トリメチルアンモニオ)エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート;
2-(2-(((5-(3-(ジメチルアミノ)プロポキシ)-6-メトキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)メチル)カルバモイル)-5,6-ジフルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)酢酸;
2-(5,6-ジフルオロ-2-(((6-メトキシ-5-(3-(トリメチルアンモニオ)プロポキシ)ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)メチル)カルバモイル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アセテート;および
2-(2-(((5-(2-(ジメチルアミノ)エトキシ)-6-メトキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)メチル)カルバモイル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)酢酸
以外である。
【0069】
本発明のさらに好ましい化合物は、式(I)または(IA)のインダン、および薬学的に許容されるその塩であり、式中、
- R1、R2、R3、R4、R5、およびnは、上で定義される通りであり;
- pは、1であり;
- R6は、-NR10R11;-N+R10R11R12;および-OR6aから選択される基で置換されるC2~C4アルコキシであり、R6aは、非置換であるか、または-NR10R11;および-N+R10R11R12から選択される基で置換されるC1~C3アルキル基であり;
- ただし、式(I)のインダンは、
2-(2-(((5-(3-(ジメチルアミノ)プロポキシ)-6-メトキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)メチル)カルバモイル)-5,6-ジフルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)酢酸;
2-(5,6-ジフルオロ-2-(((6-メトキシ-5-(3-(トリメチルアンモニオ)プロポキシ)ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)メチル)カルバモイル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アセテート;および
2-(2-(((5-(2-(ジメチルアミノ)エトキシ)-6-メトキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)メチル)カルバモイル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)酢酸
以外である。
【0070】
本実施形態では、好ましくは、R6は、-NMe2;-N+Me3;および-OR6aから選択される基で置換されるC2~C4アルコキシであり、R6aは、非置換であるか、または-NMe2;および-N+(Me)3から選択される基で置換されるC1~C3アルキル基である。好ましくは、R6は、-NMe2;-N+(Me)3;および-OR6aから選択される基で置換されるC2~C4アルコキシであり、R6aは、-NMe2;および-N+(Me)3から選択される基で置換されるC1~C2アルキル基である。最も好ましくは、R6は、-NMe2;-N+(Me)3;-O(CH2)-NMe2;および-O(CH2)-N+(Me)3から選択される基で置換されるC2~C4アルコキシである。
【0071】
本発明のさらに好ましい化合物は、式(I)または(IA)のインダン、および薬学的に許容されるその塩であり、式中、
- R1、R2、R3、R4、R5、n、およびpは、上で定義される通りであり;
- R6は、-OR6aおよび-NR10R6aから選択される基で置換されるC2~C4アルコキシであり、R6aは、非置換であるか、またはOH;-NR10R11;-N+R10R11R12;-NR10NR11R12;-NR10N+R11R12R13;-N+R10R11NR12R13;-NR10C(NR11)NR12R13;-NR10C(N+R11R12)NR13R14;-C(NR10)NR11R12;および-C(N+R10R11)NR12R13から選択される基で置換されるC1~C3アルキル基である。
【0072】
好ましくは、本実施形態では、R6は、-OR6a基で置換されるC2~C4アルコキシであり、R6aは、非置換であるか、またはOH;-NR10R11;および-N+R10R11R12から選択される基で置換されるC1~C3アルキル基である。より好ましくは、R6aは、非置換であるか、または-NMe2;および-N+(Me)3から選択される基で置換されるC1~C3アルキル基である。より好ましくは、R6aは、-NMe2;および-N+(Me)3から選択される基で置換されるC1~C2アルキル基である。最も好ましくは、R6aは、-O(CH2)-NMe2;または-O(CH2)-N+(Me)3である。
【0073】
本発明の好ましい化合物は、
2-[2-[[6-(3-ヒドロキシプロポキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸;
2-[2-[(6-プロポキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸;
2-[2-[[5-[3-(ジメチルアミノ)プロポキシ]-6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸;
2-[2-[[6-メトキシ-5-[3-(トリメチルアンモニオ)プロポキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート;
2-[2-[[6-メトキシ-5-[2-[2-(トリメチルアンモニオ)エトキシ]エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート;
2-[5,6-ジフルオロ-2-[[6-メトキシ-5-[2-[2-(トリメチルアンモニオ)エトキシ]エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート;
2-[5,6-ジフルオロ-2-[[6-メトキシ-5-[2-(トリメチルアンモニオ)エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート;
2-(2-(((5-(4-(ジメチルアミノ)ブトキシ)-6-メトキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)メチル)カルバモイル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)酢酸;
2-(2-(((6-メトキシ-5-(4-(トリメチルアンモニオ)ブトキシ)ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)メチル)カルバモイル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アセテート;
および薬学的に許容されるその塩である。
【0074】
本発明の特に好ましい化合物は、
2-[2-[[6-(3-ヒドロキシプロポキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸;
2-[2-[(6-プロポキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸;
2-[2-[[5-[3-(ジメチルアミノ)プロポキシ]-6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸;
2-[2-[[6-メトキシ-5-[3-(トリメチルアンモニオ)プロポキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート;
2-[2-[[6-メトキシ-5-[2-[2-(トリメチルアンモニオ)エトキシ]エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート;
2-[5,6-ジフルオロ-2-[[6-メトキシ-5-[2-[2-(トリメチルアンモニオ)エトキシ]エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート;
2-[5,6-ジフルオロ-2-[[6-メトキシ-5-[2-(トリメチルアンモニオ)エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート;
および薬学的に許容されるその塩である。
【0075】
最も好ましい化合物は、2-[5,6-ジフルオロ-2-[[6-メトキシ-5-[2-[2-(トリメチルアンモニオ)エトキシ]エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート;2-[2-[[6-メトキシ-5-[3-(トリメチルアンモニオ)プロポキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート;2-[2-[[6-メトキシ-5-[2-[2-(トリメチルアンモニオ)エトキシ]エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート、およびこれらの化合物の薬学的に許容される塩である。
【0076】
合成
【0077】
【化4】
本発明の化合物は、任意の好適な方法により調製することができる。例えば、以下により詳細に記載される通り、市販のエチルエステル(1)の強塩基(例えばナトリウムヘキサメチルジシラジド)との脱プロトン化と、続くアニオンのtert-ブチルブロモアセテートとのアルキル化により、ジエステル(2)が得られる(Bell,I.M.およびStump,C.A、国際公開第2006/29153号パンフレット;Robinson, R.P. et al, Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, 1996, 1719)。tert-ブチルエステルの存在下のエチルエステルの塩基性加水分解により、(3)が得られる。次いで、好適な2-アミノメチルベンゾチアゾールとのアミド形成と、続くtert-ブチルエステルを除去するTFAとの処置により、所望の酸が得られる。アミノ-メチルベンゾチアゾールの形成のための好適なプロトコルの例は、以下に示す。酸は、当業者に公知の技術により、エステル(R
1=OR
1a)、または他のプロドラッグ形態(R
1=OCH
2OC(O)R
1a)に変換することができる。
【0078】
ヒドロキサム酸を得る多くの方法が存在するが(概説としては、Ganeshpurkar, A., et al, Current Organic Syntheses, 2018, 15, 154-165を参照)、信頼性の高い手順は、ペプチド結合条件を使用して酸をO-(オキサン-2-イル)ヒドロキシルアミンと結合して、保護ヒドロキサム酸塩を得た後、TFAで脱保護してヒドロキサム酸を生成した(例えば、Ding, C., et al, Bioorg. Med. Chem. Lett, 2017, 25, 27-37を参照)。
【0079】
組成物および組合せ
本発明はまた、医薬組成物であって、薬学的に許容される担体または賦形剤と共に、本発明の化合物を含む、医薬組成物を提供する。典型的には、組成物は、最大で85wt%の本発明の化合物を含有する。より典型的には、最大で50wt%の本発明の化合物を含有する。好ましい医薬組成物は、無菌で発熱物質を含まない。さらに、本発明により提供される医薬組成物が、光学的に活性である本発明の化合物を含有する場合、本発明の化合物は、典型的には、実質的に純粋な光学異性体である。
【0080】
本発明の組成物は、キットが本明細書に記載の方法で使用することが可能になる説明書、または、どの対象に方法を使用することができるかについての詳細を含む、キットとして提供することができる。
【0081】
上で説明される通り、本発明の化合物は、細菌感染を処置または予防するのに有用である。特に、これらは、LasB、特に緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(PA)のLasBの阻害剤として有用である。化合物は、抗生剤の作用を向上するために、単独で使用することができるか、または、抗生剤との併用療法で使用することができる。したがって、本発明はまた、(i)本明細書に記載の本発明の化合物、および(ii)抗生剤を含む、組合せも提供する。組合せは、1つまたは複数の追加の活性剤をさらに含むことができる。本発明の化合物および抗生剤は、単一の製剤で提供することができるか、またはこれらを別個に製剤化することができる。別個に製剤化する場合、2つの薬剤は、同時にまたは別個に投与することができる。これらは、任意でその投与に対する説明書と共に、キットの形態で提供することができる。
【0082】
共に製剤化する場合、2つの活性剤は、(i)本明細書に記載の本発明の化合物、および(ii)さらなる抗菌性化合物;ならびに(iii)薬学的に許容される担体または賦形剤を含む、医薬組成物として提供することができる。
【0083】
好ましくは、抗生剤は、シュードモナス属(Pseudomonas)感染に対して有効である。最も好ましくは、抗生物質が、トブラマイシン、ネオマイシン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、セフタジジム、チカルシリン、ピペラシリン、タゾバクタム、イミペネム、メロペネム、リファンピシン、シプロフロキサシン、アミカシン、コリスチン、アズトレオナム、アジスロマイシン、またはレボフロキサシンである。より好ましくは、抗生物質が、トブラマイシン、ネオマイシン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、セフタジジム、チカルシリン、ピペラシリン、タゾバクタム、イミペネム、メロペネム、リファンピシン、シプロフロキサシン、アミカシン、コリスチン、アズトレオナム、またはレボフロキサシンである。
【0084】
本発明の化合物または組合せは、様々な剤形で投与することができる。ゆえに、これらは、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性もしくは油性懸濁剤、分散性散剤、または顆粒剤として経口投与することができる。これらはまた、非経口で、皮下、静脈内、筋肉内、胸骨内、経表皮、または注入技術のいずれかで、投与することができる。化合物または組合せはまた、坐剤として投与することができる。好ましくは、化合物または組合せは、吸入(エアゾール化)または静脈内投与、最も好ましくは、吸入(エアゾール化)投与を介して投与することができる。
【0085】
本発明の化合物または組合せは、典型的には、薬学的に許容される担体または賦形剤を含む投与用に製剤化される。例えば、固体経口形態は、活性化合物と共に、賦形剤、例えば、ラクトース、デキストロース、サッカロース、セルロース、トウモロコシデンプンまたはジャガイモデンプン;滑沢剤、例えばシリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムもしくはカルシウム、および/またはポリエチレングリコール;結合剤、例えばデンプン、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、またはポリビニルピロリジン;分解剤、例えばデンプン、アルギン酸、アルギン酸塩、またはグリコール酸デンプンナトリウム;飽和剤;顔料;甘味料;湿潤化剤、例えばレシチン、ポリソルベート、ラウリル硫酸塩;ならびに、一般に、医薬製剤で使用される、非毒性で薬理学的に不活性な物質を含有することができる。このような医薬調製物は、例えば、混合、造粒、錠剤化、糖衣、または膜コーティングのプロセスにより、公知の方法で製造することができる。
【0086】
本発明の化合物または組合せは、溶液剤または懸濁剤として吸入(エアゾール化)投与用に製剤化することができる。本発明の化合物または組合せは、定量噴霧式吸入器(MDI)、または電子式もしくはジェット式のネブライザーのようなネブライザーにより投与することができる。あるいは、本発明の化合物または組合せは、粉末薬物として吸入投与用に製剤化することができ、このような製剤は、乾燥粉末吸入器(DPI)から投与することができる。吸入投与用に製剤化する場合、本発明の化合物または組合せは、1~100μm、好ましくは1~50μm、より好ましくは1~20μm、例えば3~10μm、例として4~6μmの空気力学的質量中位径(MMAD)を有する粒子の形態で送達することができる。本発明の化合物または組合せを、噴霧化されたエアゾール剤として送達する場合、粒径での言及では、エアゾール剤の小滴のMMADを定義する。MMADは、レーザー回折のような任意の好適な技術により測定することができる。
【0087】
経口投与用の液体分散剤は、シロップ剤、乳剤、および懸濁剤であり得る。シロップ剤は、担体として、例えば、サッカロース、または、グリセリンおよび/もしくはマンニトールおよび/もしくはソルビトールを含むサッカロースを含有することができる。
【0088】
懸濁剤および乳剤は、担体として、例えば、天然ゴム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、またはポリビニルアルコールを含有することができる。筋肉内注射または吸入用の懸濁剤または溶液剤は、活性化合物と共に、薬学的に許容される担体、例えば、無菌水、オリーブ油、オレイン酸エチル、グリコール、例えばプロピレングリコール、および、所望により、適量の塩酸リドカインを含有することができる。
【0089】
吸入、注射、または注入用の溶液剤は、担体として、例えば、無菌水を含有するか、または、好ましくは、無菌、水性、等張食塩溶液剤の形態であり得る。針なし注射による、例えば経皮的な送達に好適な医薬組成物も使用することができる。
【0090】
治療有効性
本発明の化合物、組成物、および組合せは、治療的に有用である。したがって、本発明は、薬での使用のための、本明細書に記載の化合物、組成物、および組合せを提供する。本発明は、ヒトまたは動物の身体の処置における使用のための、本明細書に記載の化合物を提供する。疑問を回避するために、薬剤は、溶媒和物の形態で、本発明の化合物を含むことができる。
【0091】
本発明の化合物、組成物、および組合せは、細菌感染を処置または予防するのに有用である。したがって、本発明は、それを必要とする対象において細菌感染を処置または予防する方法での使用のための、本明細書に記載の化合物、組合せ、または組成物を提供する。また提供されるのは、それを必要とする対象において細菌感染を処置または予防する方法であって、上記対象に、有効量の本明細書に記載の化合物、組合せ、または組成物を投与することを含む、方法である。さらに提供されるのは、対象における細菌感染の処置または予防における使用のための医薬の製造における、本明細書に記載の化合物、組合せ、または組成物の使用である。
【0092】
本明細書に記載の化合物は、LasB、特に緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(PA)のLasBの阻害剤として有用である。細菌におけるLasBの阻害は、宿主組織および宿主免疫反応タンパク質を加水分解し、それにより細菌感染および炎症に対するその自然な反応において対象を支持することによって、細菌により分泌されるLasBを防止する。したがって、本明細書に記載の化合物は、抗菌療法、例えば化学療法レジメンにおける単独の補助剤として有用である。さらに、化合物は、バイオフィルム形成を阻害する、および/またはバイオフィルムを破壊するのに有用である。バイオフィルム形成の防止、または確立したバイオフィルムの破壊におけるこの活性により、抗生剤は、細菌感染を根絶しやすくなる。また、これにより、宿主自身の免疫系は、細菌感染を攻撃しやすくなる。したがって、化合物は、単独の抗菌剤として使用することができる。
【0093】
あるいは、本明細書に記載の化合物は、抗生剤の作用を向上するために、抗生剤と組み合わせて使用することができる。したがって、さらに提供されるのは、抗生剤との共投与により細菌感染を処置または予防する方法での使用のための、本明細書に記載の本発明の化合物である。また提供されるのは、それを必要とする対象において細菌感染を処置または予防する方法であって、上記対象に、有効量の本明細書に記載の化合物および抗生剤を共投与することを含む、方法である。また提供されるのは、抗生剤との共投与による細菌感染の処置または予防における使用のための医薬の製造における、本明細書に記載の化合物の使用である。
【0094】
一態様では、対象は、哺乳動物、特にヒトである。しかし、非ヒトであってもよい。好ましい非ヒト動物として、限定されないが、霊長類、例えばマーモセットまたはサル、商業用飼育動物、例えばウマ、ウシ、ヒツジまたはブタ、およびペット、例えばイヌ、ネコ、マウス、ラット、モルモット、フェレット、アレチネズミ、またはハムスターが挙げられる。対象は、細菌による感染が可能である、任意の動物であり得る。
【0095】
本明細書に記載の化合物、組成物、および組合せは、抗生物質処置に続く再発の後に起こる細菌感染の処置に有用である。したがって、化合物および組合せは、(同じエピソードの)細菌感染に対する抗生物質処置を予め受けた患者の処置に使用することができる。
【0096】
感染を起こす細菌は、LasBまたはその類似体を発現する、任意の細菌であり得る。典型的には、感染を起こす細菌は、LasBを発現する。細菌は、例えば、バイオフィルムを形成することができる、任意の細菌であり得る。細菌は、グラム陽性またはグラム陰性であり得る。好ましい例では、細菌は、グラム陰性である。細菌は、特に、病原細菌であり得る。
【0097】
細菌感染は、バシラス属(Bacillus)、シュードモナス属(Pseudomonas)、スタフィロコックス属(Staphylococcus)、ストレプトコックス属(Streptococcus)、リステリア属(Listeria)、エスケリキア属(Escherichia)、またはバークホルデリア属(Burkholderia)に起因し得る。例えば、細菌は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenza)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、およびバークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)から選択されるものであり得る。
【0098】
好ましい一例では、細菌は、シュードモナス科(Pseudomonadaceae)の細菌から選択されるものであり得る。例えば、細菌は、以下の属:シュードモナス属(Pseudomonas)、アゾモナス属(Azomonas)、アゾモノトリコン属(Azomonotrichon)、アゾリゾフィルス属(Azorhizophilus)、アゾトバクター属(Azotobacter)、セルビブリオ属(Cellvibrio)、メソフィロバクター属(Mesophilobacter)、リゾバクター属(Rhizobacter)、ルガモナス属(Rugamonas)、およびセルペンス属(Serpens)の1つから選択することができる。好ましくは、細菌は、特に処置される状態が肺炎である場合、シュードモナス属(Pseudomonas)である。細菌は、日和見病原体であり得る。細菌は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、シュードモナス・オリジハビタンス(Pseudomonas oryzihabitans)、およびシュードモナス・プレコグロスシキダ(Pseudomonas plecoglossicida)から選択され得、最も好ましくは、細菌は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(PA)である。
【0099】
本発明の化合物、組成物、または組合せは、上述の細菌の任意の1つまたは組合せに起因する感染および状態を処置または予防するのに使用することができる。特に、本発明の化合物または組合せは、肺炎の処置または予防に使用することができる。化合物または組合せはまた、敗血性ショック、尿路感染症、および胃腸管、皮膚、または軟組織の感染の処置に使用することができる。
【0100】
本明細書に記載の化合物、組成物、および組合せはまた、対象において、炎症を処置または予防するのに使用することができる。理論に拘束されることなく、このような有効性は、例えば、LasB酵素(例えばPA LasB)の活性を阻害して、カスパーゼ-1由来の異なる部位でpro-IL-1βの加水分解によりIL-1βを活性化することによって、炎症性サイトカイン、インターロイキン-1-β(IL-1β)の活性化を阻害する、化合物の活性から生じると考えられる。したがって、本明細書に記載の化合物、組成物、および組合せは、特に、対象において、IL-1β活性化に起因するか、またはそれに関連する炎症を処置するのに好適である。本明細書に記載の化合物、組成物、および組合せは、特に、感染を起こす細菌が、1つまたは複数のLasB酵素またはその類似体を発現する場合、対象において、IL-1β活性化に起因するか、またはそれに関連する細菌性炎症を処置または予防するのにとりわけ好適である。
【0101】
典型的には、本明細書に記載の化合物、組成物、および組合せは、とりわけ、対象において、気道炎症を処置または予防するのに好適である。気道炎症は、気道の任意の部分、特に、下気道の炎症(例えば、気管、気管支、または肺の炎症)であり得る。本明細書に記載の化合物は、特に、対象において、肺炎症を処置または予防するのに適している。気道炎症(例えば、肺炎症)は、典型的には、細菌感染に、とりわけ、上述の通り、1つまたは複数のLasB酵素またはその類似体を発現する細菌により起こる感染に起因する。いくつかの態様では、気道炎症(例えば、肺炎症)は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(PA)感染のような、シュードモナス科(Pseudomonadaceae)の細菌により起こる感染に起因する。
【0102】
本明細書に記載の化合物、組成物、および組合せは、それを必要とする対象において、炎症を処置または予防するのに有用である。下記により詳細に記載する通り、本明細書に記載の化合物、組成物、および組合せは、嚢胞性線維症に罹患している患者の処置に有用である。本明細書に記載の化合物、組成物、および組合せはまた、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支拡張症、および/または人工呼吸器関連肺炎(VAP)のような、細菌性炎症に関連する他の状態に罹患している患者の処置に有用である。
【0103】
化合物および組合せは、特に、嚢胞性線維症に罹患している患者の処置に有用である。好ましくは、本発明の化合物または組合せは、嚢胞性線維症に罹患している対象において、肺炎の処置または予防に使用することができる。例えば、対象は、6つのCFTR突然変異クラスのいずれかを有し得る、および/または、PAに感染するか、もしくはPAにより慢性的にコロニー形成することができる。本発明の化合物および組合せはまた、好中球減少患者の処置に使用することができる。
【0104】
本発明の化合物または組合せは、細菌感染の1つまたは複数の症状の発症または再発を予防するために、対象に投与することができる。これは、予防である。本実施形態では、対象は、無症候性であり得る。対象は、典型的には、細菌に曝露しているものである。予防有効量の薬剤または製剤は、このような対象に投与される。予防有効量は、細菌感染の1つまたは複数の症状の発症を予防する量である。
【0105】
本発明の化合物または組合せは、細菌感染の1つまたは複数の症状を処置するために、対象に投与することができる。本実施形態では、対象は、典型的には、症候性である。治療有効量の薬剤または製剤は、このような対象に投与される。治療有効量は、障害の1つまたは複数の症状を改善するのに有効な量である。
【0106】
治療または予防有効量の本発明の化合物は、対象に投与される。用量は、様々なパラメーターにより、とりわけ、使用される化合物;処置される対象の年齢、体重、および状態;投与の経路;ならびに、所望のレジメンにより決定することができる。再び、医師は、任意の特定の対象に対して、所望の投与の経路および投与量を決定することができる。典型的な1日用量は、特定の阻害剤の活性、処置される対象の年齢、体重、および状態、疾患の種類および重症度、ならびに投与の頻度および経路により、体重1kg当たり約0.01~100mg、好ましくは、約0.1mg/kg~50mg/kg、例えば、約1~10mg/kgである。好ましくは、1日投与量レベルは、5mg~2gである。
【0107】
他の使用
本明細書に記載の化合物の抗菌性とは、これらがまた、インビトロでの細菌感染の処置に有用であり、すなわち、ヒトまたは動物対象の処置以外で有用であることを意味する。ゆえに、本明細書にさらに記載されるのは、式(I)のインダン誘導体またはその塩を含む、洗浄組成物である。洗浄組成物は、例えば、洗浄剤、界面活性剤(イオン性および非イオン性界面活性剤を含む)、賦形剤、漂白剤(次亜塩素酸ナトリウムもしくは次亜塩素酸カルシウムのような次亜塩素酸塩、塩素、二酸化塩素、過酸化水素もしくはその付加物、過ホウ酸ナトリウム、および過炭酸ナトリウムを含む)、アルコール(例えば、エタノールもしくはイソプロパノール)、または消毒剤をさらに含むことができる。典型的には、消毒剤は、ベンジル-4-クロロフェノール、アミルフェノール、フェニルフェノール、グルタルアルデヒド、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、アルキルジメチルエチルベンジルアンモニウム塩化物、ヨウ素、過酢酸、および二酸化塩素から選択することができる。典型的には、洗浄剤は、水酸化ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、もしくは炭酸ナトリウムのようなアルカリ性洗浄剤、または、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、クエン酸、または酒石酸のような酸性洗浄剤であり得る。
【0108】
本明細書にさらに記載されるのは、インビトロでの細菌汚染の予防または処置のための、本明細書に記載の式(I)のインダン誘導体の使用である。このような使用は、本発明の化合物または組合せを伴う物体の処置のステップを含む、細菌感染の予防または処置のためのインビトロの方法であり得る。このような使用は、非治療的使用であり、例えば、留置医療デバイスの表面のような表面、または臨床環境で使用される物体での、細菌汚染の予防または処置に関与し得る。表面は、カテーテル、ネブライザー、人工呼吸器、またはフェイスマスクの表面であり得る。典型的には、細菌汚染は、本明細書に記載の任意の細菌に起因する。好ましくは、細菌は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)である。
【0109】
以下の実施例は、本発明を説明する。しかし、これは、いかなる場合でも本発明を制限しない。この場合、実施例の項で使用される特定のアッセイが、生物学的活性を示すためだけに設計されていることを理解することは重要である。生物学的活性を決定するのに利用可能な多くのアッセイがあるので、いずれか1つの特定のアッセイでの負の結果は、限定的ではない。
【0110】
実験の詳細
一般的な合成方法
下記に記載する通り、本発明の化合物を合成する、2つの合成方法がある。
【0111】
方法A. 重要な中間体(3)の位置特異的合成
【0112】
【化5】
市販のエチルエステル(1)の強塩基(例えばナトリウムヘキサメチルジシラジド)との脱プロトン化と、続くアニオンのtert-ブチルブロモアセテートとのアルキル化により、公知のジエステル(2)が得られる(Bell,I.M.およびStump,C.A、国際公開第2006/29153号パンフレット;Robinson, R.P. et al, Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, 1996, 1719)。tert-ブチルエステルの存在下のエチルエステルの塩基性加水分解により、(3)が得られる。次いで、好適な2-アミノメチルベンゾチアゾールとのアミド形成と、続くtert-ブチルエステルを除去するTFAとの処置により、所望の酸が得られる。酸は、当業者に公知の技術により、エステル(R
1=R
1a)、または他のプロドラッグ形態(R
1=CH
2OC(O)R
1a)に変換することができる。
【0113】
この方法は、インダン環の置換基に適合することができる。
【0114】
【化6】
例えば、市販のジオール[4,5-ジフルオロ-2-(ヒドロキシメチル)フェニル]メタノール(4)は、ビスブロモメチル類似体に、HBr(国際公開第2008/151211号パンフレット)または三臭化リン(米国特許出願公開第2006/223830号明細書)のいずれかで変換することができ、これはマロン酸ジエチルとさらに反応してインダン(5)を得ることができる(スキーム2)。エステルと、続くモノ脱カルボキシル化の両方の標準加水分解により、エステル化することができる一酸(国際公開第2006/125511号パンフレット)を得て、(1)のジフルオロ類似体である(6)を得る。次いで、(1)に適用する同じ方法を使用することにより、重要な酸(7)である、中間体(3)のジフルオロ類似体を得る。同様の化学反応を、インダン環上の異なる置換基を有する対応する類似体に適用することができる。
【0115】
ヒドロキサム酸を得る多くの方法が存在するが(概説としては、Ganeshpurkar, A., et al, Current Organic Syntheses, 2018, 15, 154-165を参照)、信頼性の高い手順は、ペプチド結合条件を使用して酸(64)をO-(オキサン-2-イル)ヒドロキシルアミンと結合して、保護ヒドロキサム酸塩(65)を得た後、TFAで脱保護してヒドロキサム酸(66)を生成した(例えば、Ding, C., et al, Bioorg. Med. Chem. Lett, 2017, 25, 27-37を参照)。
【0116】
方法B. 保護2-アミノメチルベンゾチアゾールの合成
【0117】
【化7】
ベンゾチアゾールを構築する多くの方法がある(概説としては、Seth, S; "A Comprehensive Review on Recent advances in Synthesis & Pharmacotherapeutic potential of Benzothiazoles", Anti-Inflammatory & Anti-Allergy Agents in Medicinal Chemistry, 2015, 14, 98-112を参照)。しかし、多くの方法により、追加の官能基の操作を必要とする、C2位置でアルキル置換基を得て、本発明で必要とする所望のアミノメチル置換基を得る。1980年代、Takagiおよび共同研究者の先駆的な研究により、官能化メチル基を直接生成するパラジウム触媒方法がもたらされる(式1、スキーム3;Takagi, K. et al, Chemistry Letters, 1987, 16, 839-840を参照)。この化学反応は、最近、保護アミノメチル基をベンゾチアゾールのコア(8)に導入する方法に適合させた、ムタビリスの科学者により再発見された(式2、スキーム3;Desroy, N., et al, Journal of Medicinal Chemistry, 2013, 56, 1418-1430を参照)。本方法の適用により、本発明の保護2-アミノメチルベンゾチアゾールを得る。
【0118】
方法C. 保護アミノメチルベンゾチアゾールにおける官能基の操作
多くの場合、フェニル環上の所望の置換基パターンを、標準的な官能基変換を使用して、ベンゾチアゾール形成の前に確立することができる。ある特定の場合、ベンゾチアゾール形成の後に官能基変換を実施するのが好ましい。
【0119】
【化8】
例えば、ベンゾチアゾール上にフェノール中間体を得るために、一方法(スキーム4)では、ブロモ置換基(9)でベンゾチアゾールを構築した後、ビス(ピナコラート)ジボロンおよび触媒性Pd(dppf)Cl
2.CH
2Cl
2を使用して臭化物を置換え、ボロン酸エステル(10)を得る(関連する実施例としては、Malinger, A. et al, Journal of Medicinal Chemistry, 2016, 59, 1078-1101を参照)。ボロン酸エステルのフェノール(11)への酸化は、過酸化水素で達成することができる(Liu, J. et al, Tetrahedron Letters, 2017, 58, 1470-1473を参照)。フェノール基のさらなる誘導体化は、当業者によく知られている標準的なアルカリ化反応により達成することができる。
【0120】
方法D. 実施例を合成する最終段階
【0121】
【化9】
合成の最終段階は、一般に、(8)からBOC基を酸触媒で除去して遊離アミン(12)を生成し、続いて、通常は標準的なペプチド結合試薬HATUで、タイプ(3)の酸と結合することに関与する(無数の利用可能なペプチド結合試薬の包括的な概説として、Valeur, E. and Bradley, M, Chem. Soc. Rev., 2008, 28, 606-631を参照)。最終的に、TFAでのさらなる酸処理で、t-ブチルエステルを除去して、本発明の実施例を得る。
【0122】
方法E. アミノメチルベンゾチアゾールおよびインダニル部分のアミド結合後の官能基の操作
【0123】
【化10】
このアプローチの例として、tert-ブチルN-[(5-ヒドロキシ-6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)メチル]カルバメートの3-クロロ-N,N-ジメチルプロパン-1-アミンとのアルキル化、tert-ブトキシカルボニル保護基の除去、および酸(3)との結合により、N,N-ジメチルアミノプロピルオキシ中間体(15)を生成することができる。次いで、ヨードメタンのようなアルキル化剤との反応により、対応する第四級アンモニウム塩(16)を生成し、最終的に、tert-ブチルエステルを除去すると、カルボン酸を生成し、正の電荷および負の電荷の両方を含有する両性イオン(17)を生成する。
【0124】
これら合成経路が、排他的ではなく、官能基の相互転換が、フェニル前駆体の段階、保護アミノメチルベンゾチアゾールの段階、および結合後のアミドの段階で可能であることは理解される。
【実施例】
【0125】
1H NMRスペクトルは、参照標準(2.50ppm)としてDMSO-d5を使用するDMSO-d6溶液(ppmでのδ)において、または、参照標準(7.26ppm)としてクロロホルムを使用するCDCl3溶液において、300、400、または500MHzで報告されている。ピークの多重度を報告する場合、以下の略語:s(一重項)、d(二重項)、t(三重項)、m(多重項)、bs(幅広の一重項)、bd(幅広の二重項)、dd(二重項の二重項)、dt(三重項の二重項)、q(四重項)が使用される。結合定数は、示す場合、ヘルツ(Hz)で報告する。
【0126】
用語「prep hplc(MDAP)により精製する」とは、水/ACN中の0.1%のFAで溶出し、Quadrupole LC/MSで検出する、XSelect CHS Prep C18カラムを備えたAgilent1260無限機器の質量分離自動精製システムを使用する、化合物精製を指す。
【0127】
略語
【0128】
【0129】
【0130】
[実施例1]
2-[2-[[6-(3-ヒドロキシプロポキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸
【0131】
【0132】
a. tert-ブチルN-[(6-ブロモ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)メチル]カルバメート
【0133】
【化12】
4-ブロモ-2-ヨード-アニリン(3g、10.13mmol)およびtert-ブチル(2-アミノ-2-チオキソエチル)カルバメート(1.92g、10.13mmol)のDMF(30mL)中の撹拌溶液に、室温で、CuO(0.8g、10.13mmol)を添加し、反応混合物を、アルゴンで15分間脱気した。次いで、dppf(280mg、0.50mmol)およびPd
2(dba)
3(185.4mg、0.20mmol)を添加し、得られた反応混合物を、アルゴンでさらに5分間脱気した。反応混合物を、60℃で3時間、封管内で撹拌した後、セライトパッドでろ過し、パッドをEtOAc(50mL)で洗浄した。ろ液を、水(2×30mL)で洗浄し、減圧下で濃縮した。粗化合物を、石油エーテル中の22%のEtOAcで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、黄色固体(5g、72%)を得た。M/z 343(M+H)
+。
【0134】
b. tert-ブチルN-[[6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチル]カルバメート
【0135】
【化13】
tert-ブチルN-[(6-ブロモ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)メチル]カルバメート(1.3g、3.80mmol)、およびビス(ピナコラート)ジボロン(1.44g、5.70mmol)の1,4-ジオキサン(15mL)中の撹拌溶液に、室温で、KOAc(745mg、7.60mmol)を添加し、反応混合物を、アルゴンで15分間パージした。次いで、PdCl
2(dppf).DCM(155mg、0.190mmol)を添加し、反応混合物を、アルゴンでさらに5分間パージした。反応混合物を、封管内で12時間、還流で撹拌した後、セライトパッドでろ過し、EtOAc(50mL)で洗浄した。ろ液を、水(2×30mL)で洗浄し、有機層を、硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過し、減圧下で濃縮して、褐色固体(1.5g、粗生成物)を得た。M/z 391.2(M+H)
+。
【0136】
c. tert-ブチルN-[(6-ヒドロキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)メチル]カルバメート
【0137】
【化14】
tert-ブチルN-[[6-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチル]カルバメート(1.5g、3.84mmol)のTHF(15mL)中の撹拌溶液に、0℃で、1NのNaOH(3.84mL、3.84mmol)を添加し、10分間撹拌した。次いで、H
2O
2(H
2O中の30%、0.21mL、8.84mmol)を、0℃で添加し、反応混合物を、室温で1時間撹拌した。反応混合物を、酢酸エチル(100mL)と水(70mL)との間で分配した。水性相を、酢酸エチル(2×100mL)で抽出し、合わせた有機抽出物を、ブラインで洗浄し、Na
2SO
4で乾燥し、ろ過し、蒸発させた。粗生成物を、石油エーテル中の40%のEtOAcで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、白色固体(1.0g、93.4%)を得た。M/z 281.1(M+H)
+。
【0138】
d. tert-ブチルN-[[6-(3-ヒドロキシプロポキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチル]カルバメート
【0139】
【化15】
tert-ブチルN-[(6-ヒドロキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)メチル]カルバメート(300mg、1.07mmol)のDMF(5mL)中の溶液に、室温で、K
2CO
3(222mg、1.60mmol)、3-ブロモプロパン-1-オール(224mg、1.60mmol)を添加し、80℃で2時間加熱した。反応混合物を、水(20mL)で希釈し、EtOAc(2×30mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥し、ろ過し、蒸発させた。粗生成物を、石油エーテル中の45~60%のEtOAcで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、黄色固体(210mg、58%)を得た。M/z=338.9(M+H)
+。
【0140】
e. 3-[[2-(アミノメチル)-1,3-ベンゾチアゾール-6-イル]オキシ]プロパン-1-オール塩酸塩
【0141】
【化16】
tert-ブチルN-[[6-(3-ヒドロキシプロポキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチル]カルバメート(210mg、0.62mmol)のジオキサン(5mL)中の溶液に、室温で、ジオキサン(2mL)中の4MのHClに添加し、3時間撹拌した。反応混合物を蒸発させ、得られた残留物を、ジエチルエーテル(20mL)で粉砕し、オフホワイト固体(165mg、粗生成物)を得た。M/z=238.9(M+H)
+。
【0142】
f. メチルインダン-2-カルボキシレート
【0143】
【化17】
2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-カルボン酸(20g、123mmol)のメタノール(200mL)中の撹拌溶液に、室温で濃H
2SO
4(10mL、185mmol)を滴下し、80℃で16時間撹拌した。反応混合物を蒸発させて、残留物を得た。残留物を、水(100mL)中に溶解し、EtOAc(2×100mL)で抽出した。有機層を、飽和炭酸水素ナトリウム、ブラインで洗浄し、蒸発させ、淡褐色液体(20g、92%)を得た。M/z 177.1(M+H)
+。
【0144】
g. メチル2-(2-(tert-ブトキシ-2-オキソ-エチル)インデン-2-カルボキシレート
【0145】
【化18】
メチル2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-カルボキシレート(5g、28.3mmol)のTHF(100mL)中の溶液に、アルゴン下の-78℃で、NaHMDS(21mL、42.5mmol、THF中に2M)を添加し、-78℃で1時間撹拌した。次いで、THF(30mL)中のtert-ブチル2-ブロモアセテート溶液(6.4mL、42.5mmol)を、-78℃で15分間滴下し、同温度で2時間撹拌した。反応混合物を、-78℃で飽和塩化アンモニウム溶液(50mL)でクエンチし、室温で30分間撹拌させた。有機層を分離し、水層をEtOAc(2×100mL)で抽出し、合わせた有機層を蒸発させて、粗化合物を得た。粗化合物を、-78℃で、n-ペンタン(50mL)で粉砕し、同温度で15分間撹拌した。得られた固体をろ過し、真空下で乾燥し、オフホワイト固体(3.7g、45%)を得た。M/z=313.0(M+Na)
+。
【0146】
h. 2-(2-(tert-ブトキシ-2-オキソ-エチル)インデン-2-カルボン酸
【0147】
【化19】
メチル2-(2-(tert-ブトキシ)-2-オキソエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-カルボキシレート(430g、1.48mol)のTHF(2.15L)およびエタノール(2.15L)中の撹拌溶液に、室温で、0.5MのLiOH.H
2O(6.8L、2.96mol)を滴下し、同温度で2時間撹拌した。反応混合物を蒸発させて、残留物を得、その残留物をH
2O(1L)で希釈し、ジエチルエーテルで抽出した。水層を、1NのHClでpH3~4に酸性化した。得られた沈殿物をろ過し、水、n-ペンタンで洗浄し、真空下で乾燥し、白色固体(254.5g、62%)を得た。M/z 275.2(M-H)
-。
1H NMR (300 MHz, DMSO-d
6): δ 12.4 (1H, bs), 7.18-7.10 (4H, m), 3.39 (2H, d, J = 16.2 Hz), 2.92 (2H, d, J = 16.2 Hz), 2.64 (2H, s), 1.37 (9H, s).
【0148】
i. tert-ブチル2-[2-[[6-(3-ヒドロキシプロポキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート
【0149】
【化20】
2-(2-(tert-ブトキシ)-2-オキソエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-カルボン酸(150mg、0.54mmol)のDMF(6mL)中の溶液に、室温で、Et
3N(0.2mL、1.62mmol)、EDC.HCl(125mg、0.65mmol)、HOBt(74mg、0.54mmol)、および3-[[2-(アミノメチル)-1,3-ベンゾチアゾール-6-イル]オキシ]プロパン-1-オール塩酸塩(164mg、0.59mmol)を添加し、12時間撹拌した。反応混合物を、氷水(20mL)で希釈し、EtOAc(2×30mL)で抽出し、蒸発させた。粗生成物を、DCM中の3~5%のMeOHを用いたシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、黄色固体(125mg、46%)を得た。M/z=497.2(M+H)
+。
【0150】
j. 2-[2-[[6-(3-ヒドロキシプロポキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸
tert-ブチル2-[2-[[6-(3-ヒドロキシプロポキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート(110mg、0.22mmol)のDCM(5mL)中の溶液に、0℃で、TFA(2mL)を添加し、室温で2時間撹拌した。混合物を蒸発させ、残留物を、ジエチルエーテル(15mL)で粉砕した。粗化合物を、分取HPLC[HPLC[SYMMETRY-C8(300*19mm)、7u、移動相:A:H2O中の0.1%のギ酸、B:MeCN]により精製し、表題化合物をオフホワイト固体(20mg、20%)として得た。M/z 441.1(M+H)+。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 12.12 (1H, bs), 8.69 (1H, t, J = 6 Hz), 7.79 (1H, d, J = 9 Hz), 7.57 (1H, d, J = 2.5 Hz), 7.22-7.19 (2H, m), 7.15-7.13 (2H, m), 7.06 (1H, dd, J = 9 Hz, J = 2.5 Hz), 4.60 (2H, d, J = 6 Hz), 4.55 (1H, t, J = 5 Hz), 4.08 (2H, t, J = 6.5 Hz), 3.57 (2H, td, J = 6 Hz, J = 5 Hz), 3.44 (2H, d, J = 16 Hz), 3.00 (2H, d, J = 16 Hz), 2.73 (2H, s), 1.89-1.86 (2H, m).
【0151】
[実施例2]
2-[2-[(6-プロポキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸
【0152】
【化21】
これを、ステップdにおいて、1-ブロモプロパンを使用して、実施例1と同様の方法で、調製した。表題化合物を、白色固体(37mg、38%)として単離した。M/z 425.1(M+H)
+。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d
6): δ 12.14 (1H, bs), 8.97 (1H, bs), 7.78 (1H, d, J = 9 Hz), 7.56 (1H, d, J = 2.5 Hz), 7.21-7.20 (2H, m), 7.14-7.12 (2H, m), 7.06 (1H, dd, J = 9.0 Hz, J= 2.5 Hz), 4.60 (2H, d, J = 5.5 Hz), 3.98 (2H, t, J = 6.5 Hz), 3.47 (2H, d, J = 16.5 Hz), 3.00 (2H, d, J = 16 Hz), 2.70 (2H, s), 1.77-1.72 (2H, m), 1.00 (3H, t, J = 7.5 Hz).
【0153】
[実施例3]
2-[2-[[5-[3-(ジメチルアミノ)プロポキシ]-6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸
【0154】
【化22】
a. 4-ブロモ-5-メトキシ-2-ニトロアニリン
【0155】
【化23】
5-メトキシ-2-ニトロアニリン(100g、595mmol)のアセトニトリル(2.5L)中の撹拌溶液に、室温でNBS(106g、595mmol)を滴下した。混合物を、0℃に冷却し、TFA(46mL、595mmol)を30分間滴下し、室温で16時間撹拌させた。反応混合物を、水(1L)で希釈し、1NのNaOHでpHを約8に調節した。得られた沈殿物をろ過し、水(500mL)で洗浄し、真空下で乾燥し、黄色固体(105g、72%)を得た。M/z 247(M+H)
+。
【0156】
b. 1-ブロモ-4-ヨード-2-メトキシ-5-ニトロベンゼン
【0157】
【化24】
4-ブロモ-5-メトキシ-2-ニトロアニリン(50g、203mmol)のアセトニトリル(750mL)中の撹拌溶液に、-10℃で濃H
2SO
4(24mL、457mmol)を滴下した。次いで、水(175mL)中のNaNO
2(28g、406mmol)を、-10℃で15分間滴下し、同温度で30分間撹拌した。次いで、水(175mL)中のKI溶液(135g、813mmol)を、-10℃で20分間滴下し、同温度で30分間撹拌した。反応混合物を、-10℃~0℃で1時間、水(1.6L)中のメタ重亜硫酸ナトリウム溶液(309g、1.62mmol)でクエンチした。次いで、水(1L)を添加し、室温で30分間撹拌させた。得られた沈殿物をろ過し、水(1L)で洗浄し、真空下で乾燥し、黄色固体(60g、82%)を得た。M/z 357.8(M+H)
+。
【0158】
c. 5-ブロモ-2-ヨード-4-メトキシアニリン
【0159】
【化25】
EtOH:H
2O(800mL:200mL)中の1-ブロモ-4-ヨード-2-メトキシ-5-ニトロベンゼン(106g、296mmol)の撹拌溶液に、室温でFe(49.7g、890mmol)、NH
4Cl(80g、1.48mmol)を添加し、90℃で2時間撹拌した。次いで、反応混合物を、60℃に冷却し、追加量のFe(33g、593mmol)、NH
4Cl(80g、1.48mmol)を添加し、90℃で30分間撹拌した。反応混合物を、セライトパッドでろ過し、パッドをメタノール(1L)で洗浄し、ろ液を濃縮して、残留物を得た。残留物を、冷水(1L)で希釈し、1NのNaOHでpHを約8に調節した。得られた沈殿物をろ過し、真空下で乾燥し、淡褐色固体(90g、92%)を得た。M/z 327.8(M+H)
+。
【0160】
d. tert-ブチルN-[(5-ブロモ-6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)メチル]カルバメート
【0161】
【化26】
5-ブロモ-2-ヨード-4-メトキシアニリン(50g、152mmol)のアセトニトリル(560mL)中の撹拌溶液に、tert-ブチル(2-アミノ-2-チオキソエチル)カルバメート(35g、183mmol)、CaO(17g、305mmol)を添加し、アルゴンで20分間脱気した。次いで、Pd
2(dba)
3(14g、15.2mmol)、dppf(25.4g、15.8mmol)を添加し、アルゴンでさらに5分間パージし、反応混合物を、80℃で4時間撹拌した。反応混合物を、セライトパッドでろ過し、パッドをEtOAc(300mL)で洗浄した。ろ液を、水で洗浄し、蒸発させて、粗化合物を得た。粗化合物を、アセトニトリル(200mL)に溶解し、1時間放置することで固体を析出させた。得られた固体をろ過し、アセトニトリル(50mL)で洗浄し、真空下で乾燥し、オフホワイト固体(34g、60%)を得た。M/z 372.9(M+H)
+。
【0162】
e. tert-ブチルN-[[6-メトキシ-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチル]カルバメート
【0163】
【化27】
tert-ブチル((5-ブロモ-6-メトキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)メチル)カルバメート(5g、13.44mmol)のジオキサン(100mL)中の撹拌溶液に、BPin(6.8g、26.8mmol)、KOAc(4.6g、47.0mmol)を添加し、アルゴンで15分間パージした。次いで、Pd
2Cl
2(dppf).DCM(1.1g、1.34mmol)を添加し、アルゴンでさらに5分間パージした。反応混合物を、100℃で16時間加熱した。反応混合物を、セライトパッドでろ過し、パッドをEtOAc(50mL)で洗浄した。ろ液を、水、ブラインで洗浄し、蒸発させて、白色固体(12g、粗生成物)を得た。M/z 339(M+H)
+。
【0164】
f. tert-ブチルN-[(5-ヒドロキシ-6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)メチル]カルバメート
【0165】
【化28】
tert-ブチルN-[[6-メトキシ-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチル]カルバメート(12g、35.5mmol)のTHF(180mL)中の撹拌溶液に、0℃で1NのNaOH(35mL、35.5mmol)、30%のH
2O
2(6.2mL、81.6mmol)を添加し、同温度で30分間撹拌した。反応混合物を、水とEtOAcとの間で分配した。有機層を分離し、水、ブラインで洗浄し、蒸発させて、粗化合物を得た。粗化合物を、石油エーテル中の30%のEtOAcで溶出するシリカのクロマトグラフィーにかけ、オフホワイト固体(2.5g、54%)を得た。M/z 311.0(M+H)
+。
1H NMR (500 MHz, CDCl
3): δ 7.50 (1H, s), 7.25 (1H, s), 5.76 (1H, s), 5.30 (1H, s), 4.68 (2H, d, J = 5.5 Hz), 3.97 (3H, s), 1.54 (9H, s).M/z 311.0(M+H)
+。
【0166】
g. tert-ブチルN-[[5-[3-(ジメチルアミノ)プロポキシ]-6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチル]カルバメート
【0167】
【化29】
tert-ブチルN-[(5-ヒドロキシ-6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)メチル]カルバメート(750mg、2.41mmol)のDMF(5mL)中の溶液に、K
2CO
3(1g、7.25mmol)、3-クロロ-N,N-ジメチルプロパン-1-アミン(355mg、2.90mmol)を、室温で添加し、80℃で4時間加熱した。反応混合物を、水(25mL)で希釈し、EtOAc(2×30mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥し、ろ過し、蒸発させ、淡褐色液体(1g、粗生成物)を得た。M/z 395.8(M+H)
+。
【0168】
h. 3-[[2-(アミノメチル)-6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-5-イル]オキシ]-N,N-ジメチルプロパン-1-アミン塩酸塩
【0169】
【化30】
tert-ブチルN-[[5-[3-(ジメチルアミノ)プロポキシ]-6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチル]カルバメート(1g、2.53mmol)のジオキサン(5mL)中の溶液に、室温で、ジオキサン(6mL)中の4MのHClを添加し、6時間撹拌した。反応混合物を蒸発させ、得られた残留物を、ジエチルエーテル(25mL)で粉砕し、淡黄色固体(0.92g、粗生成物)を得た。M/z 296.2(M+H)
+。
【0170】
i. tert-ブチル2-[2-[[5-[3-(ジメチルアミノ)プロポキシ]-6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート
【0171】
【化31】
3-[[2-(アミノメチル)-6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-5-イル]オキシ]-N,N-ジメチルプロパン-1-アミン塩酸塩(450mg、1.52mmol)のDMF(6mL)中の溶液に、Et
3N(1.1mL、7.62mmol)を添加し、10分間撹拌した。次いで、室温で、2-(2-(tert-ブトキシ)-2-オキソエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-カルボン酸(463mg、1.67mmol)、EDC.HCl(440mg、2.28mmol)、およびHOBt(210mg、1.52mmol)を添加し、16時間撹拌した。反応混合物を、氷水(30mL)で希釈し、EtOAc(2×40mL)で抽出し、蒸発させて、粗化合物を得た。粗生成物を、DCM中の10~12%のMeOHで溶出するシリカのクロマトグラフィーにかけ、黄色固体(310mg、56%)を得た。M/z 554.2(M+H)
+。
【0172】
j. 2-[2-[[5-[3-(ジメチルアミノ)プロポキシ]-6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸
tert-ブチル2-[2-[[5-[3-(ジメチルアミノ)プロポキシ]-6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート(120mg、0.21mmol)のDCM(5mL)中の溶液に、0℃で、TFA(2mL)を添加し、室温で2時間撹拌した。混合物を蒸発させ、残留物を、ジエチルエーテル(15mL)で粉砕した。粗化合物を、分取HPLC[YMC-TRIART(150×25mm)、10u、移動相:A:H2O中の0.1%のギ酸、B:MeCN]により精製し、表題化合物をオフホワイト固体(32mg、30%)として得た。M/z 498.1(M+H)+。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 9.00 (1H, bs), 7.55 (1H, s), 7.43 (1H, s), 7.21-7.20 (2H, m), 7.14-7.12 (2H, m), 4.60 (2H, d, J = 6 Hz), 4.04 (2H, t, J = 6.5 Hz), 3.81 (3H, s), 3.45 (2H, d, J = 16 Hz), 2.98 (2H, d, J = 16 Hz), 2.69 (2H, s), 2.40 (2H, t, J = 7 Hz), 2.17 (6H, s), 1.91-1.85 (2H, m).
【0173】
[実施例4]
2-[2-[[6-メトキシ-5-[3-(トリメチルアンモニオ)プロポキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート
【0174】
【化32】
a. 3-[[2-[[[2-(2-tert-ブトキシ-2-オキソエチル)インダン-2-カルボニル]アミノ]メチル]-6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-5-イル]オキシ]プロピル-トリメチル-アンモニウムヨウ化物
【0175】
【化33】
tert-ブチル2-[2-[[5-[3-(ジメチルアミノ)プロポキシ]-6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート(200mg、0.36mmol)のアセトニトリル(5mL)中の溶液に、0℃で、MeI(1mL)を添加し、室温で16時間撹拌した。混合物を蒸発させ、得られた残留物を、DCM中の15~20%の7MのNH
3/MeOHで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、淡黄色固体(100mg、49%)を得た。M/z 568.3(M)
+。
【0176】
b. 2-[2-[[6-メトキシ-5-[3-(トリメチルアンモニオ)プロポキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート
3-[[2-[[[2-(2-tert-ブトキシ-2-オキソエチル)インダン-2-カルボニル]アミノ]メチル]-6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-5-イル]オキシ]プロピル-トリメチル-アンモニウムヨウ化物(90mg、0.15mmol)のDCM(5mL)中の溶液に、0℃で、TFA(1.5mL)で処理し、室温で4時間撹拌した。混合物を蒸発させ、残留物を、ジエチルエーテル(10mL)で粉砕した。粗化合物を、分取HPLC[X-BRIDGE-C18(150*30)、5u、移動相:A:H2O中の0.1%のギ酸、B:MeCN]により精製し、表題化合物をオフホワイト固体(8.2mg、10%)として得た。M/z 512.3(M+H)+。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): 12.27 (1H, bs), 7.64 (1H, s), 7.53 (1H, s), 7.17-7.15 (2H, m), 7.11-7.09 (2H, m), 4.61 (2H, d, J = 5.5 Hz), 4.12 (2H, t, J = 6 Hz), 3.82 (3H, s), 3.51-3.49 (2H, m), 3.40 (2H, d, J = 16 Hz), 3.10 (9H, s), 2.90 (2H, d, J = 16 Hz), 2.40 (2H, s), 2.24-2.21 (2H, m).
【0177】
[実施例5]
2-[2-[[6-メトキシ-5-[2-[2-(トリメチルアンモニオ)エトキシ]エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート
【0178】
【0179】
c. tert-ブチルN-[[5-[2-(2-クロロエトキシ)エトキシ]-6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチル]カルバメート
【0180】
【化35】
tert-ブチルN-[(5-ヒドロキシ-6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)メチル]カルバメート(600mg、1.93mmol)のアセトニトリル(10mL)中の溶液に、室温で、Cs
2CO
3(692mg、2.12mmol)、および1-クロロ-2-(2-クロロエトキシ)エタン(304mg、2.12mmol)を添加した。混合物を、70℃で16時間加熱した後、セライトパッドでろ過し、パッドをEtOAc(15mL)で洗浄した。ろ液を、濃縮し、残留物を、石油エーテル中の25%のEtOAcで溶出するシリカのクロマトグラフィーにかけ、オフホワイト固体(250mg、32%)を得た。M/z 417.1(M+H)
+。
【0181】
d. tert-ブチルN-[[5-[2-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]エトキシ]-6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチル]カルバメート
【0182】
【化36】
tert-ブチル((5-(2-(2-クロロエトキシ)エトキシ)-6-メトキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)メチル)カルバメート(250mg、0.60mmol)のアセトン(5mL)中の溶液に、0℃で、Cs
2CO
3(293mg、0.90mmol)、およびジメチルアミン(2mL、THF中に2M)を添加した。混合物を、90℃で20時間、封管内で加熱した。反応混合物を、セライトパッドでろ過し、パッドをEtOAc(15mL)で洗浄した。ろ液を、濃縮し、残留物を、DCM中の10~20%のMeOHで溶出するシリカのクロマトグラフィーにかけ、淡黄色固体(210mg、84%)を得た。M/z 426.2(M+H)
+。
【0183】
e. 2-(2-((2-(アミノメチル)-6-メトキシベンゾ[d]チアゾール-5-イル)オキシ)エトキシ)-N,N-ジメチルエタン-1-アミン塩酸塩
【0184】
【化37】
tert-ブチル((5-(2-(2-(ジメチルアミノ)エトキシ)エトキシ)-6-メトキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)メチル)カルバメート(200mg、0.47mmol)のジオキサン(4mL)中の溶液を、ジオキサン(5mL)中の4MのHClに、室温で添加した。混合物を、室温で4時間撹拌し、減圧下で濃縮した。残留物を、ジエチルエーテル(10mL)で粉砕し、オフホワイト固体(180mg、粗生成物)を得た。M/z 326.1(M+H)
+。
【0185】
f. tert-ブチル2-[2-[[5-[2-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]エトキシ]-6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート
【0186】
【化38】
2-(2-((2-(アミノメチル)-6-メトキシベンゾ[d]チアゾール-5-イル)オキシ)エトキシ)-N,N-ジメチルエタン-1-アミン塩酸塩(300mg、0.92mmol)のDMF(8mL)中の溶液を、Et
3N(0.4mL、2.76mmol)を添加し、10分間撹拌した。次いで、2-(2-(tert-ブトキシ)-2-オキソエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-カルボン酸(280mg、1.01mmol)およびT3P(0.9mL、1.38mmol)を、室温で添加し、16時間撹拌した。反応混合物を、水(15mL)とEtOAc(30mL)との間で分配した。有機層を、蒸発させ、得られた粗化合物を、DCM中の10%~20%のMeOHで溶出するシリカのクロマトグラフィーにかけ、オフホワイト固体(200mg、38%)を得た。M/z 584.2(M+H)
+。
【0187】
g. 2-[2-[[2-[[[2-(2-tert-ブトキシ-2-オキソエチル)インダン-2-カルボニル]アミノ]メチル]-6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-5-イル]オキシ]エトキシ]エチル-トリメチル-アンモニウム
【0188】
【化39】
tert-ブチル2-(2-(((5-(2-(2-(ジメチルアミノ)エトキシ)エトキシ)-6-メトキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)メチル)カルバモイル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アセテート(200mg、0.34mmol)のアセトニトリル(5mL)中の溶液を、0℃で、MeI(1mL)に添加し、室温で8時間撹拌した。混合物を蒸発させ、残留物を、DCM中の10%のMeOHで溶出する分取TLCにより精製し、オフホワイト固体(60mg、30%)を得た。M/z 598.1(M)
+。
【0189】
h. 2-[2-[[6-メトキシ-5-[2-[2-(トリメチルアンモニオ)エトキシ]エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート
2-(2-((2-((2-(2-(tert-ブトキシ)-2-オキソエチル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-カルボキシアミド)メチル)-6-メトキシベンゾ[d]チアゾール-5-イル)オキシ)エトキシ)-N,N,N-トリメチルエタン-1-アミニウム(120mg、0.20mmol)のDCM(5mL)中の溶液を、0℃で、TFA(1mL)で処理し、室温で4時間撹拌した。混合物を蒸発させ、残留物を、ジエチルエーテル(10mL)で粉砕した。粗化合物を、分取HPLC[X-BRIDGE-C18(150*30)、5u、移動相:A:H2O中の0.1%のギ酸、B:MeCN]により精製し、凍結乾燥し、表題生成物をオフホワイト固体(46mg、43%)として得た。M/z 542.2(M+H)+。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 9.85 (1H, bs), 7.58 (1H, s), 7.49 (1H, s), 7.20-7.18 (2H, m), 7.13-7.11 (2H, m), 4.60 (2H, d, J = 5.0 Hz), 4.20 (2H, t, J = 4 Hz), 3.94 (2H, bs), 3.85 (2H, t, J = 4 Hz), 3.82 (3H, s), 3.53 (2H, t, J = 4.5 Hz), 3.43 (2H, d, J = 16 Hz), 3.10 (9H, s), 2.96 (2H, d, J = 16 Hz), 2.62 (2H, s).
【0190】
[実施例6]
2-[5,6-ジフルオロ-2-[[6-メトキシ-5-[2-[2-(トリメチルアンモニオ)エトキシ]エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート
【0191】
【化40】
a. ジメチル4,5-ジフルオロフタレート
【0192】
【化41】
4,5-ジフルオロフタル酸(11.9g、58.9mmol)のMeOH(250mL)中の氷冷溶液に、20℃未満の温度を維持しながら、濃H
2SO
4(40mL、0.75mol)を添加した。混合物を、65℃で4時間撹拌した。冷却した反応混合物を、減圧下で濃縮した後、残留物を、EtOAcおよびNaHCO
3水溶液に注意深く添加した。水性相をEtOAcで抽出し、合わせた有機抽出物を、NaHCO
3水溶液と、続くブラインで洗浄し、乾燥し(Na
2SO
4)、ろ過し、減圧下で濃縮して、表題化合物を無色油状物(12.98g、96%)として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ 7.56 (2H, t, J = 8.7 Hz), 3.91 (6H, s).
【0193】
b. (4,5-ジフルオロ-1,2-フェニレン)ジメタノール
【0194】
【化42】
水素化アルミニウムリチウム(THF中の1M、226mL、0.226mol)の氷冷溶液に、12℃未満の温度を維持しながら30分間にわたって、ジメチル4,5-ジフルオロフタレート(12.98g、56.4mmol)のTHF(100mL)中の溶液を添加した。混合物を、氷浴で30分間、続いてRTで1時間撹拌した。反応混合物を、0℃に冷却した後、注意深く、水(8.5mL)、15%のNaOH水溶液(8.5mL)、および水(26mL)を、順次、15℃未満の温度を維持しながら添加した。セライトを添加し、混合物を、RTで1時間撹拌した後、セライトパッドでろ過し、より多くのTHFで洗浄した。ろ液を、減圧下で濃縮して、表題化合物を白色固体(9.52g、97%)として得た。
1H NMR (d6-DMSO) δ 7.36 (2H, t, J = 10.1 Hz), 5.29 (2H, t, J = 5.5 Hz), 4.47 (4H, d, J = 5.4 Hz).
【0195】
c. 1,2-ビス(ブロモメチル)-4,5-ジフルオロベンゼン
【0196】
【化43】
(4,5-ジフルオロ-1,2-フェニレン)ジメタノール(9.52g、54.7mmol)および48%の臭化水素酸(68.5mL)の混合物を、110℃で1時間撹拌した。冷却した反応混合物を、水で希釈した後、Et
2Oで抽出した。水性相をEt
2Oで抽出し、合わせた有機抽出物を、水と、続くブラインで洗浄し、乾燥し(Na
2SO
4)、ろ過し、減圧下で濃縮して、残留物を残す。FCC(ヘキサン中1~10%のEtOAc)により、表題化合物を無色油状物(15.2g、93%)として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ 7.20 (2H, t, J = 9.1 Hz), 4.55 (4H, s).
【0197】
d. ジエチル5,6-ジフルオロ-1,3-ジヒドロ-2H-インデン-2,2-ジカルボキシレート
【0198】
【化44】
水酸化ナトリウム(油中60%、4.46g、112mmol)を、20℃未満の温度を維持しながら、15分にわたって、1,2-ビス(ブロモメチル)-4,5-ジフルオロベンゼン(15.2g、50.7mmol)およびマロン酸ジエチル(9.74g、60.8mmol)のTHF(200mL)中の混合物に添加した。混合物を、RTで4時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウムを添加した。混合物を、減圧下で濃縮した後、EtOAcで2回抽出した。合わせた有機抽出物を、ブラインで洗浄し、乾燥し(Na
2SO
4)、ろ過し、減圧下で濃縮して、残留物を残す。FCC(ヘキサン中5~25%のEtOAc)により、表題化合物を無色油状物(9.95g、66%)として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ 6.97 (2H, t, J = 8.7 Hz), 4.21 (4H, q, J = 7.1 Hz), 3.52 (4H, s), 1.26 (6H, t, J = 7.1 Hz).
【0199】
e. 5,6-ジフルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-カルボン酸
【0200】
【化45】
ジエチル5,6-ジフルオロ-1,3-ジヒドロ-2H-インデン-2,2-ジカルボキシレート(9.94g、33.3mmol)のジオキサン(130mL)中の溶液に、水(130mL)および濃HCl(140mL)を添加した。混合物を、23時間還流した。冷却した反応混合物を、水で希釈し、Et
2O(×3)で抽出した。合わせた有機抽出物を、水と、続くブラインで洗浄し、乾燥し(Na
2SO
4)、ろ過し、減圧下で濃縮して、表題化合物を無色固体(6.6g、定量的)として得た。M/z 197(M-H)
-。
【0201】
f. メチル5,6-ジフルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-カルボキシレート
【0202】
【化46】
5,6-ジフルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-カルボン酸(6.6g、33.3mmol)のMeOH(200mL)中の氷冷溶液に、20℃未満の温度を維持しながら、濃H
2SO
4(40mL、0.75mol)を添加した。混合物を、65℃で1時間撹拌した。冷却した反応混合物を、減圧下で濃縮した後、残留物を、EtOAcおよびNaHCO
3水溶液に注意深く添加した。水性相をより多くのEtOAcで抽出し、合わせた有機抽出物を、ブラインで洗浄し、乾燥し(Na
2SO
4)、ろ過し、減圧下で濃縮して、残留物を残す。FCC(ヘキサン中5~25%のEtOAc)により、表題化合物を淡黄色固体(5.97g、84%)として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ 6.98 (2H, t, J = 8.8 Hz), 3.73 (3H, s), 3.39 (1H, m), 3.24-3.12 (4H, m).
【0203】
g. メチル2-(2-(tert-ブトキシ)-2-オキソエチル)-5,6-ジフルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-カルボキシレート
【0204】
【化47】
-78℃に冷却したメチル5,6-ジフルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-カルボキシレート(5.97g、28.2mmol)のTHF(120mL)中の溶液に、15分にわたって、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(THF中の1M、42.2mL、42.2mol)を添加した。混合物を、-78℃で45分間撹拌した後、tert-ブチルブロモアセテート(8.24g、42.2mmol)のTHF(15mL)中の溶液を、10分間にわたって添加した。反応混合物を、-10℃に1時間にわたって加温した。飽和塩化アンモニウムを添加し、混合物を、減圧下で濃縮した。残留物をEtOAcで2回抽出し、合わせた有機抽出物を、ブラインで洗浄し、乾燥し(Na
2SO
4)、ろ過し、減圧下で濃縮して、残留物を残す。FCC(ヘキサン中5~20%のEtOAc)により、表題化合物を黄色ゴム状物(8.78g、96%)として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ 6.96 (2H, t, J = 8.9 Hz), 3.72 (3H, s), 3.47 (2H, d, J = 16.2 Hz), 2.90 (2H, d, J = 16.2 Hz), 2.71 (2H, s), 1.42 (9H, s).
【0205】
h. 2-[(tert-ブトキシ)カルボニル]-5,6-ジフルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-カルボン酸
【0206】
【化48】
メチル2-(2-(tert-ブトキシ)-2-オキソエチル)-5,6-ジフルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-カルボキシレート(0.834g、2.56mmol)のTHF(25mL)およびMeOH(10mL)中の溶液に、水酸化リチウム(水中0.5M、10.2mL、5.1mmol)を添加した。混合物を、RTで2.5時間撹拌した後、減圧下で濃縮した。残留溶液を、EtOAcで積層させ、6MのHClの添加により酸性化した。水性相をより多くのEtOAcで抽出し、合わせた有機抽出物を、ブラインで洗浄し、乾燥し(Na
2SO
4)、ろ過し、減圧下で濃縮して、残留物を残す。FCC(DCM中2~6%のMeOH)により、表題化合物をクリーム色固体(0.59g、74%)として得た。
1H NMR (d6-DMSO) δ 12.47 (1H, bs), 7.26 (2H, t, J = 9.2 Hz), 3.33 (2H, d, J = 16.4 Hz), 2.91 (2H, d, J = 16.4 Hz), 2.67 (2H, s), 1.37 (9H, s). M/z 311(M-H)
-。
【0207】
i. 2-[5,6-ジフルオロ-2-[[6-メトキシ-5-[2-[2-(トリメチルアンモニオ)エトキシ]エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート
これを、ステップdにおいて、2-[(tert-ブトキシ)カルボニル]-5,6-ジフルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-カルボン酸を使用して、実施例5と同様の方法で、調製した。表題化合物を、橙色固体(58.5mg)として単離した。M/z 578.5(M+H)+。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6): δ 13.05 (1H, bs), 7.60 (1H, s), 7.61 (1H, s), 7.22-7.21 (1H, m), 7.17-7.14 (1H, m), 4.62 (2H, d, J = 6 Hz), 4.21 (2H, m), 3.93 (2H, m), 3.87 (2H, s), 3.82 (3H, s), 3.58 (2H, m), 3.36 (2H, m), 3.10 (9H, s), 2.89-2.81 (2H, m), 2.32 (2H, m).
【0208】
[実施例7]
2-[5,6-ジフルオロ-2-[[6-メトキシ-5-[2-(トリメチルアンモニオ)エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート
【0209】
【化49】
これを、ステップaにおいて、2-クロロ-N,N-ジメチルエチルアミン塩酸塩、および、ステップdにおいて、2-[(tert-ブトキシ)カルボニル]-5,6-ジフルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-カルボン酸を使用して、実施例5と同様の方法で、調製した。表題化合物を、白色固体(13mg、12%)として単離した。M/z 534.3(M+H)
+。
1H NMR (500 MHz, DMSO-d
6): δ 13.16 (1H, bs), 7.69 (1H, s), 7.63 (1H, s), 7.22-7.21 (1H, m), 7.17-7.14 (1H, m), 4.61 (2H, m), 4.53 (2H, m), 3.82 (5H, m), 3.32 (2H, m), 3.21 (9H, s), 2.89-2.81 (2H, m), 2.32 (2H, m).
【0210】
[実施例8]
LasB阻害活性の測定
LasBのPA感染への関連性は、WT PA(LasBを発現する)、およびLasBを発現しないPA(ΔlasB PA)の突然変異形態との感染に続く、慢性肺感染のラットモデルにおいて、肺負荷量を測定する実験で示される。感染後、野生型株が、少なくとも14日間持続することができる一方、LasB欠損株は、第5日を超えて持続できなかったことが明白に分かる。LasBのPAバイオフィルムの発生への関連性もまた示した。PA26のwt株およびPA26のlasB欠失株の両方により3日後に形成されたバイオフィルムを、共焦点画像および続く(Comstatソフトウェアでの)分析により調査した。本試験により、PA26のlasB欠失株により形成されたバイオフィルムが、PAバイオフィルムの発生においてLasBの重要な役割を示す、wt株と比較して厚さおよびバイオマスを大幅に低減することを示した。
【0211】
LasBの緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)(PA)感染への関連性は、
図1に示され、これは、肺感染のマウスモデルにおける、死亡率対生存率、および慢性コロニー形成対細菌クリアランスの発生率を示す。感染の慢性化は、感染7日後、10^3のCFUより高い、PA肺負荷量で定義される。この感染モデルでは、野生型株(LasBを発現;「wt RP45」)および同質遺伝子型lasB欠失株(LasBを発現しない;「突然変異RP45」)の両方は、同様の死亡率の原因である(感染したマウスの約40%)が、慢性コロニー形成の発生率は、wtの対応物と比較して、突然変異株に対して著しく低かった(wtに対して87%、対、lasB欠失株に対して43%;フィッシャー直接確率検定p<0.01)。この知見により、慢性コロニー形成の確立におけるLasBの役割が示される。
【0212】
したがって、(1)精製した緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)LasB酵素に対する、本発明の化合物の阻害の強度を測定する実験を行い、また、(2)LasB触媒エラスチンの分解を阻害する、本発明の化合物の能力を測定する実験を行った。第1のアッセイは、市販の蛍光性の合成ペプチドおよび精製したLasB酵素を使用する。LasB加水分解動力学を測定し、阻害剤のIC50およびKiを決定し、第2は、酵素の供給源として透析した緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の上清、およびその天然基質、エラスチンを使用する、より生理学的なアッセイである。これは、1つの特定時間点および阻害剤濃度に対して、各化合物によりLasB阻害の百分率を決定する「エンドポイントアッセイ」である。技術的な詳細は、下記に記載される:
【0213】
Kiに決定する蛍光アッセイ
このアッセイは、市販の基質(Peptide International製のAbz-Ala-Gly-Leu-Ala-p-ニトロ-ベンジル-アミド(Ex:340nm、Em:415nm)、および緑膿菌(P.aeruginosa)由来の精製したLasBタンパク質(MerckまたはCharles River Laboratories製)を使用する。LasBエラスターゼ活性を決定し、96ウェルプレート形式での化合物の阻害を評価するために実施する。式(I)の全ての化合物を、下記に記載する方法を使用して評価した。
【0214】
方法:10~140ng/mlの精製したLasBを、37℃で、50mMのトリス-HCl pH7.4、2.5mMのCaCl2、0.01%のTriton X100において、250μMのAbz-Ala-Gly-Leu-Ala-p-ニトロ-ベンジル-アミドでインキュベートした。LasB活性(基質加水分解により誘発される蛍光発光に対応する)を、Perkin Elmer Envisionまたは類似のもののような蛍光プレートリーダーで、37℃で30分間にわたって測定する。異なる範囲の阻害剤濃度を、IC50を決定するために、0.0016~200μM(2倍の連続希釈)の阻害剤強度に応じて、定期的に評価する。
【0215】
IC50からKiを計算するために使用される式は、下記:Ki=IC50/(1+([S]/Km))(式中、[S]=250μMおよびKm=214μM)である。
【0216】
%阻害を決定するエラスチンアッセイ
エラスチンアッセイは、供給源として緑膿菌(P.aeruginosa)のPAO1由来の透析した上清、および基質としてElastin Congo-Redを使用する。天然LasB基質、エラスチンを、コンゴレッド色素(Elastin Congo-Red、ECR)で複合体化する。培養上清からの弾性線維溶解活性は、エラスチンを分解し、コンゴレッド色素を上清に放出する。この赤色色素放出は、分光測光器で測定することができる。
【0217】
式(I)の全ての化合物を、下記に記載する方法を使用して評価した。
【0218】
方法:LasBエラスターゼ活性を決定し、化合物の阻害を評価するために、緑膿菌(P.aeruginosa)株のPAO1の終夜培養を、LB培地で希釈する。OD600nmが0.6を達成した後、この培養を希釈し、振とう型インキュベーターでさらに18~24時間インキュベートする。培養上清を、遠心分離により回収し、0.22μMのフィルターでろ過する。これら上清を、4℃で24時間、撹拌しながら、50mMのトリス-HCl pH7.4、2.5mMのCaCl2溶液に透析する(ろ過分子<20kDa)。次いで、透析した上清を、DMSO(陽性対照)の存在下、および/または、化合物の異なる濃度(定期的に50~1.56μM)で、Triton X100(最終濃度0.01%)で捕捉されたECR懸濁剤(1mMのCaCl2が捕捉された100mMのトリス-HCl pH7.4の緩衝液中の20mg/mLのECR)で、体積/体積で混合する。陰性対照として、透析した上清を、トリス-HCl溶液(50mMのトリス-HCl pH7.4、2.5mMのCaCl2)で置き換える。次いで、混合した反応物を、振とう型インキュベーターで、37℃で終夜インキュベートする。反応上清を、遠心分離により回収し、コンゴレッドの放出を、495nmでのその吸光度(OD495nm)により測定する。
【0219】
阻害の百分率を、以下の式を使用して決定する:
((陽性対照のOD495nm値-陰性対照のOD495nm値)-(処置した上清のOD495nm値-陰性対照のOD495nm値))/(陽性対照のOD495nm値-陰性対照のOD495nm値)×100。
【0220】
結果は、以下の表に示し、両アッセイに対してA、B、およびCに分類する。Ki値は、A(Ki=0.00~0.050μM)、B(Ki=0.05~0.1μM)、およびC(Ki=0.1~10.00μM)として、グループ分けする。同様に、エラスターゼ加水分解アッセイに対して、値を、全て25μMの阻害剤濃度で、A(>75%の阻害)、B(60~75%の阻害)、およびC(10~60%の阻害)にグループ化する。(n.d.未決定)。
【0221】
【0222】
[実施例9]
LasB媒介性IL-1β活性の阻害
pro-IL-1βのIL-1βへのLasB媒介性加水分解を阻害する、本発明の化合物の活性を、精製したLasBおよびレポーター基質(LasBのIL-1β切断部位を模倣するFRETペプチド)を使用する、酵素性インビトロアッセイを使用して示した。このFRETペプチドの加水分解を、各種濃度の本発明の化合物の存在下、励起355nmおよび発光450nmで、Victorマルチモードプレートリーダー(Perkin Elmer)を使用して、継続的にモニタリングした。阻害定数(Ki)を、拮抗阻害剤モデルを使用して、本発明のある特定の化合物(少なくとも2つの独立した複製)に対して決定した。結果は、下記の表に示す。
【0223】
【0224】
[実施例10]
本発明の化合物のインビボ有効性
実験は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の肺感染のマウスモデルの処置における、本発明の化合物の有効性を示すために行った。
【0225】
マウスを、PA(PAO1)の鼻腔内接種により投与した後、24時間後に屠殺した。肺での感染の程度を、細菌数(CFU決定、コロニー形成単位)、および炎症性IL-1βのレベルにより定量化した。両方の読取での統計分析を、Dunnettポスト検定のANOVAで実施した。
【0226】
化合物を、2つの異なる用量(10および30mg/kg)で、2用量レジメン(感染の1時間および2時間後)で静脈内投与した。
図2に示す通り、実施例4の化合物は、lasB欠失突然変異(ΔlasB)と同様のレベルで、野生型PA(PA01)により感染したマウスにおけるIL-1βの生成および活性化を阻害し、LasBを生成することはできない。
図3に示す通り、実施例4の化合物は、CFUレベルにより決定するように、LasB欠失突然変異(ΔlasB)のレベルに肺での感染の程度を低減した。
以下に、本願の当初の特許請求の範囲に記載の発明を列挙する。
[発明1]
式(I)によるインダンである化合物または薬学的に許容されるその塩。
【化1】
[式中、
・ R
1
は、
- NHOH、-OH、-OR
1a
、および-OCH
2
OC(O)R
1a
から選択され、R
1a
は、非置換のC
1
~C
4
アルキル基およびフェニルから選択され;
- 式(I)の化合物が、正に電荷を有する窒素原子を含有する場合、R
1
は、化合物が両性イオンを形成するようにO
-
であってもよく;
・ R
2
は、H、および非置換のC
1
~C
2
アルキルから選択され;
・ 各R
3
基は、独立して、ハロゲン、-OH、-NH
2
、メチル、および-CF
3
から選択され;
・ nは、0から4までの整数であり;
・ R
4
は、H、および非置換のC
1
~C
2
アルキルから選択され;
・ R
6
は、非置換であるか、または-OH;-NR
10
R
11
;-N
+
R
10
R
11
R
12
;-OR
6a
、および-NR
10
R
6a
から選択される基で置換されるC
2
~C
4
アルコキシであり、R
6a
は、非置換であるか、またはOH;-NR
10
R
11
;-N
+
R
10
R
11
R
12
;-NR
10
NR
11
R
12
;-NR
10
N
+
R
11
R
12
R
13
;-N
+
R
10
R
11
NR
12
R
13
;-NR
10
C(NR
11
)NR
12
R
13
;-NR
10
C(N
+
R
11
R
12
)NR
13
R
14
;-C(NR
10
)NR
11
R
12
;および-C(N
+
R
10
R
11
)NR
12
R
13
から選択される基で置換されるC
1
~C
3
アルキル基であり;
・ pは、0または1であり;
・ R
5
は、-OMe、-OH、ハロゲン、-NR
10
R
11
;-N
+
R
10
R
11
R
12
、-CF
3
から選択され;
・ R
10
、R
11
、R
12
、R
13
、およびR
14
は、独立して、H、またはメチルであり;
ただし、式(I)のインダンは、
2-(2-(((4-エトキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)メチル)カルバモイル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)酢酸;
2-[2-[(6-エトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸;
2-[2-[[6-(2-ヒドロキシエトキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸;
2-[2-[[6-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸;
2-[2-[[6-[2-(トリメチルアンモニオ)エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート;
2-[2-[[5-[2-(ジメチルアミノ)エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸;
2-[2-[[5-[2-(トリメチルアンモニオ)エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート;
2-(2-(((5-(3-(ジメチルアミノ)プロポキシ)-6-メトキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)メチル)カルバモイル)-5,6-ジフルオロ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)酢酸;
2-(5,6-ジフルオロ-2-(((6-メトキシ-5-(3-(トリメチルアンモニオ)プロポキシ)ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)メチル)カルバモイル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アセテート;および
2-(2-(((5-(2-(ジメチルアミノ)エトキシ)-6-メトキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)メチル)カルバモイル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)酢酸
以外のものである。]
[発明2]
- R
1
が、OHおよびNHOHから選択されるか;または式(I)の化合物が正の電荷を有する窒素原子を含有する場合、R
1
が、化合物が両性イオンを形成するようにO
-
であってもよい、発明1に記載の化合物。
[発明3]
- R
2
が、Hであり;
- R
4
が、Hである、発明1または発明2に記載の化合物。
[発明4]
nが、0から2までの整数であり、各R
3
基が、ハロゲン、好ましくはフッ素である、発明1から3のいずれか一つに記載の化合物。
[発明5]
R
6
が、非置換であるか、または-OH;-NR
10
R
11
;-N
+
R
10
R
11
R
12
;および-OR
6a
から選択される基で置換されるC
2
~C
4
アルコキシであり、R
6a
が、非置換であるか、またはOH;-NR
10
R
11
;および-N
+
R
10
R
11
R
12
から選択される基で置換されるC
1
~C
3
アルキル基である、発明1から4のいずれか一つに記載の化合物。
[発明6]
pが、1であり;R
6
が、-NR
10
R
11
;-N
+
R
10
R
11
R
12
;および-OR
6a
から選択される基で置換されるC
2
~C
4
アルコキシであり、R
6a
が、非置換であるか、または-NR
10
R
11
;および-N
+
R
10
R
11
R
12
から選択される基で置換されるC
1
~C
3
アルキル基である、発明1から5のいずれか一つに記載の化合物。
[発明7]
R
6
が、-OR
6a
および-NR
10
R
6a
から選択される基で置換されるC
2
~C
4
アルコキシであり、R
6a
が、非置換であるか、またはOH;-NR
10
R
11
;-N
+
R
10
R
11
R
12
;-NR
10
NR
11
R
12
;-NR
10
N
+
R
11
R
12
R
13
;-N
+
R
10
R
11
NR
12
R
13
;-NR
10
C(NR
11
)NR
12
R
13
;-NR
10
C(N
+
R
11
R
12
)NR
13
R
14
;-C(NR
10
)NR
11
R
12
;および-C(N
+
R
10
R
11
)NR
12
R
13
から選択される基で置換されるC
1
~C
3
アルキル基であり、好ましくは、R
6
が、-OR
6a
基で置換されるC
2
~C
4
アルコキシであり、R
6a
が、非置換であるか、またはOH;-NR
10
R
11
;および-N
+
R
10
R
11
R
12
から選択される基で置換されるC
1
~C
3
アルキル基である、発明1から4のいずれか一つに記載の化合物。
[発明8]
2-[5,6-ジフルオロ-2-[[6-メトキシ-5-[2-[2-(トリメチルアンモニオ)エトキシ]エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテートまたは薬学的に許容されるその塩である、発明1に記載の化合物。
[発明9]
2-[2-[[6-メトキシ-5-[3-(トリメチルアンモニオ)プロポキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテートまたは薬学的に許容されるその塩である、発明1に記載の化合物。
[発明10]
2-[2-[[6-メトキシ-5-[2-[2-(トリメチルアンモニオ)エトキシ]エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテートまたは薬学的に許容されるその塩である、発明1に記載の化合物。
[発明11]
2-[2-[[6-(3-ヒドロキシプロポキシ)-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸;
2-[2-[(6-プロポキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル)メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸;
2-[2-[[5-[3-(ジメチルアミノ)プロポキシ]-6-メトキシ-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]酢酸;
2-[5,6-ジフルオロ-2-[[6-メトキシ-5-[2-(トリメチルアンモニオ)エトキシ]-1,3-ベンゾチアゾール-2-イル]メチルカルバモイル]インダン-2-イル]アセテート;
2-(2-(((5-(4-(ジメチルアミノ)ブトキシ)-6-メトキシベンゾ[d]チアゾール-2-イル)メチル)カルバモイル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)酢酸;
2-(2-(((6-メトキシ-5-(4-(トリメチルアンモニオ)ブトキシ)ベンゾ[d]チアゾール-2-イル)メチル)カルバモイル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-2-イル)アセテート;
または薬学的に許容されるその塩である、発明1に記載の化合物。
[発明12]
(i)発明1から11のいずれか一つに記載の化合物、および(ii)少なくとも1つの薬学的に許容される担体または賦形剤を含み;ならびに、任意で、(iii)抗生剤をさらに含む、医薬組成物であって、
好ましくは、前記抗生剤が、トブラマイシン、ネオマイシン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、セフタジジム、チカルシリン、ピペラシリン、タゾバクタム、イミペネム、メロペネム、リファンピシン、シプロフロキサシン、アミカシン、コリスチン、アズトレオナム、アジスロマイシン、およびレボフロキサシンから選択される、
前記医薬組成物。
[発明13]
(i)発明1から11のいずれか一つに記載の化合物、および(ii)抗生剤の組合せであって、
好ましくは、前記抗生剤が、トブラマイシン、ネオマイシン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、セフタジジム、チカルシリン、ピペラシリン、タゾバクタム、イミペネム、メロペネム、リファンピシン、シプロフロキサシン、アミカシン、コリスチン、アズトレオナム、アジスロマイシン、およびレボフロキサシンから選択される、
前記組合せ。
[発明14]
薬での使用のための、発明1から11のいずれか一つに記載の化合物、発明12に記載の組成物、または、発明13に記載の組合せ。
[発明15]
対象における細菌感染の処置または予防における使用のための、発明1から11のいずれか一つに記載の化合物;発明12に記載の組成物、または、発明13に記載の組合せであって、
好ましくは
- 前記細菌感染が、バシラス属(Bacillus)、シュードモナス属(Pseudomonas)、スタフィロコックス属(Staphylococcus)、ストレプトコックス属(Streptococcus)、リステリア属(Listeria)、バークホルデリア属(Burkholderia)、もしくはエスケリキア属(Escherichia)に起因し;
- 前記使用のための化合物、使用のための組成物、もしくは使用のための組合せが、肺炎の処置もしくは予防における使用のためであり;および/または
- 前記対象が、嚢胞性線維症に罹患している、
前記使用のための化合物、前記使用のための組成物、または前記使用のための組合せ。
[発明16]
対象における炎症の処置または予防における使用のための、発明1から11のいずれか一つに記載の化合物;発明12に記載の組成物、または、発明13に記載の組合せであって、
好ましくは
- 前記炎症が、気道炎症であり;
- 前記炎症が、細菌感染に起因し;ならびに/または
- 前記対象が、嚢胞性線維症;慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気管支拡張症、および/もしくは、人工呼吸器関連肺炎(VAP)に罹患している、
前記使用のための化合物、前記使用のための組成物、または前記使用のための組合せ。