(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】座席予約システム、座席予約方法、および座席予約プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/02 20120101AFI20240202BHJP
G07B 1/00 20060101ALI20240202BHJP
【FI】
G06Q10/02
G07B1/00 C
(21)【出願番号】P 2019180763
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】519353639
【氏名又は名称】雙田 飛鳥
(73)【特許権者】
【識別番号】519354223
【氏名又は名称】松野 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100111707
【氏名又は名称】相川 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】雙田 飛鳥
(72)【発明者】
【氏名】松野 裕司
【審査官】小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-018369(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0249685(US,A1)
【文献】特開2001-028030(JP,A)
【文献】特開2013-030049(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G07B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークによりつながれた端末とサーバとを含み、始発地から終着地までの間の複数の区間を移動して利用者を運び、2以上の座席が隣り合って並ぶ隣席座席群を複数備える移動車両の座席予約システムであって、
前記端末は、前記移動車両の情報を前記利用者に表示し、前記利用者が乗車区間を入力して座席を予約するために操作される表示操作部を有し、
前記サーバは、
前記複数の区間毎の各座席の予約の有無を示す予約情報を格納する予約情報格納部と、
前記複数の区間の各々について、前記移動車両の移動に関する移動時間値を格納する区間移動時間値格納部と、
前記利用者が乗車区間を入力した場合に、前記予約情報格納部に格納された情報に基づき、空席を抽出する空席抽出部と、
前記利用者が2以上の区間にわたる乗車区間を入力した場合に、当該乗車区間、前記予約情報、および前記移動時間値に基づき、前記空席抽出部により抽出された空席の隣席が予約済みである時間に関する隣席時間値を算出する隣席時間値算出部と、
前記隣席時間値算出部の算出結果に基づき、前記空席抽出部により抽出された空席から予約座席を決定する予約座席決定部と
を有することを特徴とする座席予約システム。
【請求項2】
請求項1記載の座席予約システムであって、
前記移動時間値は、前記複数の区間の各々の移動時間または移動距離に関する値、若しくは前記複数の区間の各々に割り当てられた同一の数値であることを特徴とする座席予約システム。
【請求項3】
請求項1または2のいずれか記載の座席予約システムであって、
前記空席抽出部により、3つの座席が隣り合って並ぶ隣席座席群に含まれる3つの座席のうち真ん中の座席が空席として抽出された場合、前記隣席時間値算出部は、当該隣席座席群の両端の2つの座席のそれぞれを隣席としてみなして2つの隣席時間値を算出し、それらを合算した値を当該空席の隣席時間値として算出することを特徴とする座席予約システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか記載の座席予約システムであって、
前記空席抽出部により、3つの座席が隣り合って並ぶ隣席座席群に含まれる3つの座席のうち真ん中の座席が空席として抽出された場合、前記隣席時間値算出部は、当該隣席座席群の両端の2つの座席が同時に予約済みである時間、または当該2つの座席のうちの少なくとも一方が予約済みである時間に関する隣席時間値を算出することを特徴とする座席予約システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか記載の座席予約システムであって、
前記表示操作部を通じて前記利用者が前記隣席座席群における所定の位置の座席の指定を行った場合、前記予約座席決定部は、当該指定に基づいて予約座席を決定することを特徴とする座席予約システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか記載の座席予約システムであって、
前記予約座席決定部は、前記隣席時間値算出部により算出された隣席時間値が最も短い空席を予約座席として決定することを特徴とする座席予約システム。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか記載の座席予約システムであって、
前記予約座席決定部は、前記隣席時間値算出部により算出された隣席時間値が最も長い空席を予約座席として決定することを特徴とする座席予約システム。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか記載の座席予約システムであって、
前記予約座席決定部は、3つの座席が隣り合って並ぶ隣席座席群に含まれる3つの座席の両端の2つの座席のいずれかが空席である場合、3つの座席が隣り合って並ぶ隣席座席群に含まれる3つの座席のうち真ん中の座席を予約座席として決定しないことを特徴とする座席予約システム。
【請求項9】
始発地から終着地までの間の複数の区間を移動して利用者を運び、2以上の座席が隣り合って並ぶ隣席座席群を複数備える移動車両の座席予約システムにおける座席予約方法であって、
前記座席予約システムは、ネットワークによりつながれた、前記移動車両の情報を利用者に表示し前記利用者が乗車区間を入力して座席を予約するために操作される表示操作部を有する端末と、サーバとを含み、
前記サーバは、
前記複数の区間毎の各座席の予約の有無を示す予約情報を格納する予約情報格納部と、
前記複数の区間の各々について、移動車両の移動に関する移動時間値を格納する区間移動時間値格納部と、を有し、
前記サーバが行う、
前記利用者が2以上の区間にわたる乗車区間を入力した場合に、当該乗車区間、前記予約情報、および前記移動時間値に基づき、空席抽出工程により抽出された空席の隣席が予約済みである時間に関する隣席時間値を算出する隣席時間値算出工程と
前記隣席時間値算出工程の算出結果に基づき、前記空席抽出工程により抽出された空席から予約座席を決定する予約座席決定工程と
を有することを特徴とする座席予約方法。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか1項に記載の座席予約システムにおける前記サーバとしてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座席予約システム、座席予約方法、および座席予約プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、下記特許文献1に記載された列車の座席予約システムでは、多種多様な条件が付随する列車座席の希望条件の中から、自分の条件にあった座席を、短時間で簡単にしかもコストをかけずに探すためのシステムが提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載されたシステムでは、予約を希望する座席の周囲の実際の個別状況を考慮したものではない。
【0005】
一般に、列車、バス、飛行機などの移動手段は、輸送効率を高めるために座席間の前後左右の空間的な余裕度はあまり大きく設けられておらず、隣席に乗客がいない場合には、座席の足元をより広く利用したり、肘掛を自由に利用したりすることができる。
【0006】
また、その場合、隣席の乗客を気にせず自由にトイレなどへ行くことができ、あるいは隣席の乗客が通路に出るための空間を作るために仮眠や読書やパソコン作業などを中断して姿勢を変えたりする必要がない。
【0007】
その一方で、移動手段は、通常、常に満席ということはなく、季節、曜日、時間帯あるいは区間によって、乗客の混み具合が異なるのが一般的である。
【0008】
利用者に対してより快適な座席空間を提供することが可能な座席予約システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の座席予約システムの第1の態様では、ネットワーク(例えば、後述のネットワーク39)によりつながれた端末(例えば、後述の自動発券機端末33a、駅窓口端末33b、ユーザ端末33c)とサーバ(例えば、後述の座席予約サーバ31a,31e)とを含み、始発地から終着地までの間の複数の区間を移動して利用者を運び、2以上の座席が隣り合って並ぶ隣席座席群(例えば、後述の同一行のx、y、z列の3座席からなる座席群、同一行のa、b列の2座席からなる座席群)を複数備える移動車両の座席予約システム(例えば、後述の座席予約システム29)であって、端末は、移動車両の情報(例えば、列車番号、始発駅と終着駅の情報、停車駅の情報、駅からの発車時刻など)を利用者に表示し、利用者が乗車区間を入力して座席を予約するために操作される表示操作部(例えば、後述の表示装置41および入力装置43)を有し、サーバは、複数の区間毎の各座席の予約の有無を示す予約情報を格納する予約情報格納部(例えば、後述の予約情報格納部87)と、複数の区間の各々について、移動車両の移動に関する移動時間値(例えば、後述の各停車駅間の所要時間など)を格納する区間移動時間値格納部(例えば、後述の区間所要時間テーブルを格納する運行情報格納部89)と、利用者が乗車区間を入力した場合(例えば、後述の
図14のS1の処理が行われた場合)に、予約情報格納部に格納された情報に基づき、空席を抽出する空席抽出部(例えば、後述の予約情報抽出部81)と、利用者が2以上の区間にわたる乗車区間を入力した場合(例えば、後述の
図14のS4の判別が“YES”である場合)に、その乗車区間、予約情報、および移動時間値に基づき、空席抽出部により抽出された空席の隣席が予約済みである時間に関する隣席時間値(例えば、後述の隣席時間)を算出する隣席時間値算出部(例えば、後述の隣席時間算出部83)と、隣席時間値算出部の算出結果に基づき、空席抽出部により抽出された空席から予約座席を決定する予約座席決定部(例えば、後述の座席自動選択部85)とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明の座席予約システムの第2の態様では、移動時間値は、複数の区間の各々の移動時間(例えば、後述の区間所要時間テーブルに格納された情報)または移動距離(例えば、後述の区間距離テーブルに格納された情報)に関する値、若しくは複数の区間の各々に割り当てられた同一の数値(例えば、1)であることを特徴とする。
【0011】
本発明の座席予約システムの第3の態様では、空席抽出部により、3つの座席が隣り合って並ぶ隣席座席群(例えば、後述の同一行のx、y、z列の3座席からなる座席群)に含まれる3つの座席のうち真ん中の座席(例えば、後述のy列の座席)が空席として抽出された場合、隣席時間値算出部は、その隣席座席群の両端の2つの座席(例えば、後述のx列およびy列の座席)のそれぞれを隣席としてみなして2つの隣席時間値を算出し、それらを合算した値をその空席の隣席時間値として算出する(例えば、後述の
図14のS6の処理を行う)ことを特徴とする。
【0012】
本発明の座席予約システムの第4の態様では、空席抽出部により、3つの座席が隣り合って並ぶ隣席座席群に含まれる3つの座席のうち真ん中の座席が空席として抽出された場合、隣席時間値算出部は、その隣席座席群の両端の2つの座席が同時に予約済みである時間、またはその2つの座席のうちの少なくとも一方が予約済みである時間に関する隣席時間値を算出することを特徴とする。
【0013】
本発明の座席予約システムの第5の態様では、表示操作部を通じて利用者が隣席座席群における所定の位置の座席の指定を行った場合(例えば、後述の
図15のS21の判別が“NO”である場合)、予約座席決定部は、その指定に基づいて予約座席を決定する(例えば、後述の
図15のS26またはS27の処理を行う)ことを特徴とする。
【0014】
本発明の座席予約システムの第6の態様では、予約座席決定部は、隣席時間値算出部により算出された隣席時間値が最も短い空席を予約座席として決定することを特徴とする。
【0015】
本発明の座席予約システムの第7の態様では、予約座席決定部は、隣席時間値算出部により算出された隣席時間値が最も長い空席を予約座席として決定することを特徴とする。
【0016】
本発明の座席予約システムの第8の態様では、予約座席決定部は、3つの座席が隣り合って並ぶ隣席座席群に含まれる3つの座席の両端の2つの座席のいずれかが空席である場合、3つの座席が隣り合って並ぶ隣席座席群に含まれる3つの座席のうち真ん中の座席を予約座席として決定しない(例えば、後述の
図15のS22の指定に基づく決定を行う)ことを特徴とする。
【0017】
本発明の座席予約方法では、ネットワークによりつながれた、移動車両の情報を利用者に表示し利用者が乗車区間を入力して座席を予約するために操作される表示操作部を有する端末と、サーバとを含み、始発地から終着地までの間の複数の区間を移動して利用者を運び、2以上の座席が隣り合って並ぶ隣席座席群を複数備える移動車両の座席予約システムにおける座席予約方法であって、サーバは、複数の区間毎の各座席の予約の有無を示す予約情報を格納する予約情報格納部と、複数の区間の各々について、移動車両の移動に関する移動時間値を格納する区間移動時間値格納部と、を有し、サーバが行う、利用者が2以上の区間にわたる乗車区間を入力した場合に、当該乗車区間、予約情報、および移動時間値に基づき、空席抽出工程により抽出された空席の隣席が予約済みである時間に関する隣席時間値を算出する隣席時間値算出工程と隣席時間値算出工程の算出結果に基づき、空席抽出工程により抽出された空席から予約座席を決定する予約座席決定工程とを有することを特徴とする。
【0018】
本発明の座席予約プログラムでは、座席予約システムの第1~8の態様の座席予約システムにおけるサーバとしてコンピュータを機能させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の座席予約システムでは、隣席時間値算出部は、空席抽出部により抽出された空席の隣席が予約済みである時間に関する隣席時間値を算出する。予約座席決定部は、隣席時間値算出部の算出結果に基づき、空席抽出部により抽出された空席から予約座席を決定する。隣席時間値は利用者の快適さに影響を与える指標の一つであるため、利用者に対してより快適な座席空間を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る編成車両の各号車情報画面である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る座席選択画面の例である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る座席選択画面である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る座席予約システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る自動発券機端末、駅窓口端末およびユーザ端末のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る自動発券機端末、駅窓口端末およびユーザ端末の詳細を示した図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る座席予約サーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係る座席予約サーバの詳細を示した図である。
【
図9】本発明の第1実施形態に係る1号車の予約情報テーブルである。
【
図10】本発明の第1実施形態に係る5号車の予約情報テーブルである。
【
図11】本発明の第1実施形態に係る区間所要時間テーブルである。
【
図12】本発明の第1実施形態に係る1号車の時間情報テーブルである。
【
図13】本発明の第1実施形態に係る5号車の時間情報テーブルである。
【
図14】本発明の第1実施形態に係る端末および座席予約サーバの動作を示すフローチャートである。
【
図15】本発明の第1実施形態に係る座席予約サーバによる座席自動選択処理の動作を示すフローチャートを示す。
【
図16】本発明の第2実施形態に係る座席選択画面の例である。
【
図17】本発明の第2実施形態に係る座席選択画面の例である。
【
図18】本発明の第2実施形態に係る1号車の時間情報テーブルである。
【
図19】本発明の第2実施形態に係る5号車の時間情報テーブルである。
【
図20】本発明の第3実施形態に係る各号車情報画面である。
【
図21】本発明の第3実施形態に係る座席選択画面の例である。
【
図22】本発明の第3実施形態に係る座席選択画面の例である。
【
図23】本発明の第3実施形態に係る座席予約サーバの詳細を示した図である。
【
図24】本発明の第3実施形態に係る1号車の優先順位決定テーブルである。
【
図25】本発明の第3実施形態に係る5号車の優先順位決定テーブルである。
【
図26】本発明の第3実施形態に係る端末および座席予約サーバの動作を示すフローチャートである。
【
図27】本発明の第3実施形態に係る座席予約サーバによる優先順位決定処理を示すフローチャートである。
【
図28】本発明の第4実施形態に係る各号車情報画面である。
【
図29】本発明の第4実施形態に係る座席選択画面の例である。
【
図30】本発明の第4実施形態に係る座席選択画面の例である。
【
図31】本発明の第5実施形態に係る座席選択画面である。
【
図32】本発明の第6実施形態に係る座席選択画面である。
【
図33】本発明の第7実施形態に係る座席選択画面である。
【
図34】本発明の第8実施形態に係る区間距離テーブルである。
【
図35】本発明の第8実施形態に係る距離情報テーブルである。
【
図36】本発明の第9実施形態に係る区間数情報テーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本願が開示する座席予約システム等の実施形態を説明する。以下の各実施形態における説明および各図は、本発明を限定するものではなく一例を示すものに過ぎない。以下の各実施形態は、本発明の技術思想の範囲内かつ整合する範囲内で、適宜、一部または全部を組合せることができる。
【0022】
なお、以下の説明において、既出の実施形態と重複する後出の実施形態の説明を省略すると共に、同一もしくは類似の構成および処理に対して同一符号を付与して後出の説明を省略する。
【0023】
以下、公共交通機関が運行する移動手段の利用者によって、移動手段が備える座席の予約を行う際に利用される座席予約システム29(システムの構成は
図4を参照して後述する)について説明する。以下では、移動手段として、軌道上を走行する編成車両を例に挙げて説明するが、これに限らず、自動車や、航空機、船舶などであっても良い。
【0024】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態を
図1~
図15を用いて説明する。
【0025】
図1は、編成車両の各号車情報画面1aを示す。本実施形態では、各号車情報画面1aがタッチパネルを備えたディスプレイに表示される例を説明する。また、本実施形態では、編成車両は、1~5号車を連結しているとするが、1号車のみ、もしくは6号車以上を連結していても良い。各号車情報画面1aは、利用者(指定席券、乗車券を購入する顧客)が座席予約を行う際に、指定座席を選択する過程において、後述の自動発券機端末33a、駅窓口端末33b、ユーザ端末33c(以下、これらを「端末」と総称する)に表示される、編成列車の号車ごとの情報を表示する画面である。
【0026】
各号車情報画面1aの上部には、座席指定を行う利用者によって入力された列車の運行日、列車名、予約人数、乗車駅および降車駅を含む乗車区間の座席指定条件が表示されている。号車情報表示領域3aには、指定座席を選択する操作の開始時における1号車~5号車の各号車の空席数および最小隣席時間が表示されている。利用者はこの最小隣席時間値を参考にして号車を選択することが可能になる。
【0027】
隣席時間は、利用者の乗車区間において、空席の隣席が予約されている時間、すなわち隣席に乗客がいる時間を指す。最小隣席時間は、各号車の空席の隣席時間のうち、最小の時間を指す。なお、列車の空席率が60%以下でない場合、最小隣席時間は表示されない。空席率は、全車両における全座席のうち、利用者の乗車区間の全区間において空席である座席が占める割合であり、例えば60%はその一例である。
【0028】
各号車情報画面1aの下部には、「1号車を見る」ボタン5a~「5号車を見る」ボタン5eが設けられている。これらのボタン5a~5eはタッチ操作することができ、タッチ操作を行うことにより対応する号車について後述の座席選択画面7a,7bを表示することができる。「1号車を見る」ボタン5aをタッチすると、後述の
図2に示す座席選択画面7aが表示され、「5号車を見る」ボタン5eをタッチすると、後述の
図3に示す座席選択画面7bが表示される。
【0029】
図2、
図3は、座席選択画面7a,7bを示す。
図2は1号車が選択されている場合の座席選択画面で7aあり、
図3は5号車が選択されている場合の座席選択画面7bである。これらの座席選択画面7a,7bには、座席指定選択領域9a,9bおよび座席自動選択領域11が設けられている。
【0030】
座席指定選択領域9a,9bは、利用者が各車両の座席の予約の有無などを確認しながら自分で座席選択するための領域である。座席自動選択領域11は、利用者が自動的に座席を選択してもらうための領域である。座席指定条件が同一の場合、端末33a~33cに表示される座席選択画面7a,7bにおいて、座席指定選択領域9a,9bの表示内容は選択されている号車の座席予約状況によって異なり、座席自動選択領域11の表示内容は同一となる。
【0031】
座席指定選択領域9a,9bには、「前の号車」ボタン13、「後の号車」ボタン15、座席タッチ選択領域17a,17bが設けられている。「前の号車」ボタン13、「後の号車」ボタン15をタッチ操作することにより、座席タッチ選択領域17a,17bの情報が、前の号車、後の号車の情報に更新される。
【0032】
座席タッチ選択領域17a,17bには、車両の各座席の配置が表示されるとともに、既に予約済みの座席19が灰色で表示され、予約が可能な空席21が枠付きの白色で表示されている。空席21には、隣席時間が表示されている。
【0033】
ここで、各車両は、01~18行の全18行、x列、y列、z列、a列、b列の全5列で座席が配置されているが、x列、z列の座席の隣席は、同一行のy列の座席である。y列の座席の隣席は、同一行のx列およびz列の座席である(その隣席座席群の両端の2つの座席のそれぞれが隣席としてみなされる)。また、a列の座席の隣席は、同一行のb列の座席であり、b列の座席の隣席は、同一行のa列の座席である。
【0034】
例えば、
図2の座席タッチ選択領域17aの“02行y列”の空席には隣席時間として230が表示され、A駅からD駅までの区間において、“02行x列”および“02行z列”が予約されている時間の合計が230分であることを示している。
【0035】
なお、後述のように、同行のx列、z列の座席の両方が予約済みである場合、そのx列の座席の隣席時間、z列の座席の隣席時間をそれぞれ算出し、その2つの隣席時間を足し合わせた値を、空席であるy列の座席の隣席時間とする。
【0036】
図3の座席タッチ選択領域17bの“01行z列”の空席には隣席時間として0が表示され、A駅からD駅までの区間において、“01行y列”が予約されている時間の合計が0分である、すなわち空席であることを示している。また、座席タッチ選択領域17bの“01行a列”の空席には140が表示され、A駅からD駅までの区間において、“01行b列”の座席が予約されている時間の合計が140分であることを示している。
【0037】
座席選択画面7a,7bの右側の座席自動選択領域11には、座席列指定領域23、「どの席でもよい」ボタン25、および二次的条件指定領域27が設けられている。ここで、座席指定条件が同一の場合、端末33a~33cに表示される座席自動選択領域11の内容は同一となる。
【0038】
座席列指定領域23には、枠付きの白色の「x席から」ボタン、「y席から」ボタン、「z席から」ボタン、「a席から」ボタン、「b席から」ボタンが設けられている。これらのボタンをタッチすることにより、対応する列の全車両の空席のうち、隣席時間が最小の座席を予約することができる。枠付きの白色はその列に空席があることを示している。なお、図示しないが、全車両でいずれかの列に空席がない場合、その列に対応するボタンの箇所が灰色になり、タッチ操作ができないことが示される。
【0039】
「どの席でもよい」ボタン25は、それをタッチすることにより、全車両の空席のうち、隣席時間が最小の座席を予約することができる。ただし、予約しようとする座席が1席である場合、y列以外の席が空席である場合には、y列の席が予約されることはない。
【0040】
二次的条件指定領域27は、予約する座席について、車両の進行方向で前方、中央、後方のいずれを優先するか、車両内の前方、中央、後方のいずれを優先するか、および喫煙室に近いと遠いのどちらを優先するかを選択するための領域である。この二次的条件指定領域27において選択を行う場合、その選択は、座席列指定領域23でのタッチまたは「どの席でもよい」ボタン25のタッチの前に行うようにしているが、適宜このようにせずにそのタッチの後にも行うようにすることができる。
【0041】
図4は、座席予約システム29の概略構成を示すブロック図である。座席予約システム29は、列車の予約情報などを管理する座席予約サーバ31aと、利用者が操作を行う自動発券機端末33a、駅窓口端末33b、およびスマートフォンなどのユーザ端末33cとが、ネットワーク39を通じて接続され、情報の授受を行うことができるように構成されている。これらの端末33a~33cは、実際はそれぞれが複数存在するものであるが、ここでは、これらを一つずつ示している。
【0042】
図5は、自動発券機端末33a、駅窓口端末33bおよびユーザ端末33cのハードウェア構成を示すブロック図である。これらの端末33a~33cは、通信装置40、ディスプレイ等の表示装置41、タッチパネル、キーボード等の入力装置43、発券装置45、プログラム制御を行うCPU47、メモリ49、記憶装置51、カードリーダライタであるカード処理装置53を含んで構成されている。なお、ユーザ端末33cの場合、ハードウェアとしての発券装置45、カード処理装置53は備えていない。
【0043】
図6は、自動発券機端末33a、駅窓口端末33bおよびユーザ端末33cの詳細を示した図である。通信制御部55は、座席予約サーバ31aとの間の通信制御を行う。表示制御部57は、ディスプレイ(図示しない表示部であり、この表示部は入力受付部59とともに表示操作部を構成する)の表示制御を行う。入力受付部59は、利用者のタッチ操作などの入力を受付ける。入力処理部61は、入力受付部59で受付けた情報を処理する。発券部63は、紙の切符の発券、電子切符の発券を行う。なお、ユーザ端末33cの場合、発券部63はプログラムにより実現される。
【0044】
図7は、座席予約サーバ31aのハードウェア構成を示すブロック図である。座席予約サーバ31aは、通信装置65、ディスプレイ等の表示装置67、タッチパネル、キーボード等の入力装置69、プログラム制御を行うCPU71、メモリ73、記憶装置75を含んで構成されている。
【0045】
図8は、座席予約サーバ31aの詳細を示した図である。座席予約サーバ31aは、各端末33a~33cとの通信制御を行う通信制御部77、予約情報更新部79、予約情報抽出部81、隣席時間算出部83、座席自動選択部85、予約情報格納部87、運行情報格納部89、運賃情報格納部91を含んで構成されている。
【0046】
予約情報格納部87には、各列車の座席の予約情報、例えば、後述の
図9、
図10に示す予約情報テーブルが格納されている。運行情報格納部89には、各列車の運行情報、後述の
図11に示す区間所要時間テーブルが格納されている。運賃情報格納部91には、各列車の運賃に関する情報などが格納されており、通信制御部77により各端末33a~33cにその情報が送信される。
【0047】
予約情報更新部79は、ある列車のある乗車区間における座席の予約および予約キャンセルが端末33a~33cの操作により行われて、ネットワーク39を介して送信されたキャンセル情報が座席予約サーバ31aによって受信されると、予約情報格納部87に格納されている予約情報テーブルの情報を更新する。
【0048】
予約情報抽出部81は、利用者が乗車を希望する列車の乗車区間の各席が予約済みか空席かの情報を予約情報格納部87から抽出する(空席を抽出する)。抽出された情報は、通信制御部77により端末33a~33cに送信される。
【0049】
隣席時間算出部83は、予約情報抽出部81により抽出された情報、および運行情報格納部89に格納された後述の
図11に示す区間所要時間テーブルに基づき、利用者が乗車を希望する区間における全車両での空席率が例えば60%以下である場合に各空席の隣席時間を算出する。具体的には、後述の
図12、
図13に示すような時間情報テーブルを作成する。算出された各空席の隣席時間の情報(時間情報テーブルの情報)は、通信制御部77により端末33a~33cに送信される。座席自動選択部85は、端末33a~33cの操作により送信された指示情報に基づき、後述の
図15に示す座席自動選択処理を行う。
【0050】
図9、
図10は、予約情報テーブルの例を示す。予約情報テーブルは、各列車の各車両の全座席が、列車の始発駅(始発地)から終着駅(終着地)までの各区間(ある停車駅と隣の停車駅との間が一区間)で予約済みか空席かの情報を有している。予約情報テーブルの情報は、座席の予約が完了する毎に、予約情報更新部79により更新される。なお、後述のように乗車区間としてA駅からD駅が利用者により指定されたケースにおいて、
図9の予約情報テーブルである場合には、端末33a~33cに
図2の画面が表示され、
図10の予約情報テーブルである場合には、端末33a~33cに
図3の画面が表示される。
【0051】
具体的には、予約情報テーブルは、列車の各号車毎に、座席ID、区間IDに対応して予約済みの席であることを示す“1”または空席であることを示す“0”の情報を有している。座席IDは、座席の行の番号と列のアルファベットとを組み合わせた情報であり、車両における座席を識別するための情報である。例えば、01行のx列の座席の座席IDは、“01x”である。
【0052】
区間IDは、列車の始発駅から終着駅までの各停車駅間の区間を識別する情報である。列車が始発駅であるA駅から、B駅、C駅、D駅に停車した後、終着駅であるE駅に到着する場合において、A駅とB駅の間の区間の区間IDは“AB”、B駅とC駅の間の区間の区間IDは“BC”、C駅とD駅の間の区間の区間IDは“CD”、D駅とE駅の間の区間の区間IDは“DE”である。
【0053】
図9は、1号車の予約情報テーブルである。座席IDが“01x”である座席では、いずれの区間IDの場合も“1”であるため、始発駅であるA駅から終着駅であるE駅までの全区間において予約済みであることがわかる。ここで、利用者が乗車区間を指定した際、空席と判断される座席は、その乗車区間の全区間において空席である座席である。
【0054】
図9の予約情報テーブルでは、x列、z列、a列、b列のいずれの座席においても、区間IDが“AB”、“BC”、“CD”のすべてが“0”である座席は存在しないため、乗車区間としてA駅からD駅が利用者により指定された場合、x列、z列、a列、b列には空席が存在しないと判断される。y列の座席については、区間IDが“AB”、“BC”、“CD”のすべてが“0”である座席は、座席IDが“02y”、“04y”~“06y”、“08y”~“10y”、“15y”~“18y”の座席であり、これらの座席のみが空席と判断される。
【0055】
図10は、5号車の予約情報テーブルである。例えば、座席IDが“03a”である座席では、区間IDが“AB”、“BC”、“CD”のすべてが“0”であり、A駅からD駅で空席であることがわかる。また、座席IDが“03b”である座席では、区間IDが“AB”、“CD”の場合に“1”、“BC”、“DE”の場合に“0”であり、A駅とB駅の間の区間、C駅とD駅の間の区間が予約済みであり、B駅とC駅の間の区間、D駅とE駅の間の区間が空席であることがわかる。このため、乗車区間としてA駅からD駅が利用者により指定された場合、座席IDが“03a”である座席は空席、“03b”である座席は予約済みと判断される。
【0056】
図11は、区間所要時間テーブルの例を示す。区間所要時間テーブルは、列車毎に対応して運行情報格納部89に格納されており、各停車駅間の所要時間(移動に要する時間)の情報を有している。具体的には、区間ID毎に所要時間の情報を有している。この区間所要時間テーブルの情報は、隣席時間を算出することに用いられる。
【0057】
図11の例では、A駅からB駅への移動の所要時間が10分、B駅からC駅への移動の所要時間が90分、C駅からD駅への移動の所要時間が40分、D駅からE駅への移動の所要時間が20分であることがわかる。
【0058】
図12、
図13は、時間情報テーブルの例を示す。時間情報テーブルは、利用者が乗車を希望する列車と乗車区間を指定した際に空席である各座席の座席IDに対応して、隣席時間の情報を有している。時間情報テーブルは、利用者により指定された乗車区間の情報、予約情報テーブルの情報、および区間所要時間テーブルの情報に基づき、隣席時間算出部83によって作成する。ここで、
図12、
図13に示す時間情報テーブルが作成された場合、端末33a~33cの表示画面は、それぞれ
図2、
図3のようになる。
【0059】
図12は、1号車の時間情報テーブルであり、乗車区間としてA駅からD駅が利用者により指定され、予約情報テーブルが
図9に示す状況である場合において、
図11の区間所要時間テーブルを用いて作成されたテーブルである。前述のように、空席は座席IDが“02y”、“04y”~“06y”、“08y”~“10y”、“15y”~“18y”の座席であり、それぞれに対応して時間情報として隣席時間が示されている。
【0060】
図12の座席IDが“02y”には時間情報として230が表示されている。座席IDが“02y”の座席の隣席は、座席IDが“02x”、“02z”の座席である。利用者によって乗車区間としてA駅からD駅までが指定された場合、
図9の予約情報テーブルに基づくと、座席ID“02x”の座席はA駅からD駅までの区間が予約済みであり、座席ID“02z”の座席はB駅からC駅までの区間が予約済みである。
【0061】
図11の区間所要時間テーブルの所要時間の情報を参照すると、A駅からD駅の区間が予約済みの場合はその座席は140分間(10+90+40)在席(指定済み)であり、B駅からC駅の区間が予約済みの場合はその座席は90分間在席である。このため、
図12の座席IDが“02y”には時間情報として230(140+90)が表示されている、すなわち、2つの隣席時間値を算出し、それらを合算した値をその空席の隣席時間値としている。
【0062】
図13は、5号車の時間情報テーブルであり、乗車区間としてA駅からD駅が利用者により指定され、予約情報テーブルが
図10に示す状況である場合において、
図11の区間所要時間テーブルを用いて作成されたテーブルである。
【0063】
図13の座席IDが“07a”には時間情報として10が表示されている。これは、座席IDが“07a”の座席の隣席は、座席IDが“07b”の座席であり、この座席は、
図10の予約情報テーブルに基づき、A駅からB駅の区間が予約済みであり、
図11の区間所要時間テーブルに基づき、A駅からB駅への移動の所要時間が10分だからである。
【0064】
図14は、端末33a~33cおよび座席予約サーバ31aの動作を示すフローチャートである。
【0065】
ステップ(以下、「S」と略記する)1では、端末33a~33cは、入力装置43を通じて、乗車日時、列車番号、乗車人数(予約人数)、乗車区間の入力を受付ける。S2では、端末33a~33cは、入力の受付に基づき、空席情報および各空席の隣席時間を要求する。具体的には、端末33a~33cは、受付けた乗車日時、列車番号、乗車人数、乗車区間の情報を座席予約サーバに送信してその要求を行う。
【0066】
S3では、座席予約サーバは、乗車の日付、および列車番号に基づき予約情報テーブルを読み出す。例えば、乗車日:2020年8月8日、列車:特急X123号、乗車駅:A駅、降車駅:D駅の条件の場合、例えば、
図9、
図10に示すテーブルなどが読み出される。
【0067】
S4では、座席予約サーバは、全車両の範囲で空席率が60%以下かつ2区間以上の乗車であるか否かを判断する。すなわち、予約済みの席が40%を超えるか否かを判断する。この判別が“YES”のときはS6に移り、“NO”のときはS5に移る。S5では、端末33a~33cに対して空席情報を回答し、S8に移る。S6では、乗車区間、区間所要時間テーブル、および予約情報テーブルに基づき、各空席の隣席時間を算出(時間情報テーブルを作成)し、S7に移る。S7では、座席予約サーバは、空席情報、各車両の最小隣席時間、および各空席の隣席時間を回答し、S8に移る。
【0068】
S8では、端末33a~33cは、受け取った回答に基づき、各号車情報画面1a、座席選択画面7a,7bを表示する。このS8により、端末33a~33cには、例えば、
図1~
図3のような画面が表示される。続いて、S9では、座席の自動選択の受付があるか否かを判別する。具体的には、座席自動選択領域11の「x席から」ボタン、「y席から」ボタン、「z席から」ボタン、「a席から」ボタン、「b席から」ボタン、「どの席でもよい」ボタン25のいずれかが操作されたか否かを判別する。この判別が“YES”のときはS10に移り、“NO”のとき、すなわち、座席タッチ選択領域17a,17bのいずれかの予約が可能な空席がタッチされたとき、S12に移る。
【0069】
S10では、端末33a~33cは、自動選択の条件を座席予約サーバへ送信する。具体的には、S9の判別に関わるボタンのうち、操作されたボタンに関する情報を送信する。S12では、端末33a~33cは、受付けた座席の情報、すなわち、タッチされた予約が可能な空席の情報を送信する。ここで、乗車人数が複数の場合、複数の座席が受け付けられることになる。
【0070】
S11では、座席予約サーバは、後で
図15を参照して説明する座席自動選択処理を行い、S13に移る。S13では、座席を予約座席として確定し、予約情報テーブルの情報を更新する。すなわち、座席タッチ選択領域17a,17bで選択された座席、または座席自動選択領域11の操作を通じて自動的に選択された座席が予約座席として確定されるとともに、予約情報テーブルの情報が最新のものに更新される。
【0071】
S14では、座席予約サーバは、予約完了を端末33a~33cに通知する。S15では、端末33a~33cは、発券手続きを行う。具体的には、自動発券機端末33a、駅窓口端末33bは、紙での発券を行い、ユーザ端末33cは、電子での発券を行う。続いて、端末33a~33cは、S16において発券完了の通知を行う。S17では、座席予約サーバは、発券完了の登録を行う。
【0072】
図15は、座席予約サーバ31aによる座席自動選択処理の動作を示すフローチャートを示す。
【0073】
S21では、端末33a~33cから送信された情報に基づき、「どの席でもよい」ボタン25の指定(タッチ)が行われたか否かを判別する。この判別が“YES”のときは、S22に移り、“NO”のときは、S23に移る。
【0074】
S22では、所定の優先順位に基づき、各列の空席の有無を確認し、列を指定する。ここで、所定の優先順位とは、例えば、座席のx列、y列、z列、a列、b列の全5列について付された順位であり、1位をb列、2位をx列、3位をa列、4位をz列、5位をy列に定めるものである。
【0075】
1位から順に空席の有無を判断し、空席のある最上位の列が指定される。すなわち、x列またはz列の座席が空席である場合、優先順位が低いy列の座席が指定されないようになっている。なお、所定の優先順位として、1位をx列、z列、a列、b列、2位をy列として、このS22で複数の列を指定することもできる。
【0076】
S23では、指定された列の空席について、隣席時間を算出する。続いて、S24では、隣席時間が最小の空席を抽出する。隣席時間が最小の空席が複数ある場合、その複数の空席(隣席時間が同一の複数の空席)が抽出される。
【0077】
ここで、本実施形態では、一度の端末操作の最大の予約人数は3であり、一度に最大で3席を予約することができる。予約人数が1である場合、x列、z列、a列、b列のいずれかの座席が空席である場合、y列の席は抽出されない。
【0078】
予約人数が2である場合、まずいずれかの行においてa列、b列の座席の隣席時間の合計がゼロであれば、その行のa列、b列の席が抽出される。その合計がゼロの行がない場合、同一行のx列とy列の席の隣席時間の合計、および同一行のy列とz列の席の隣席時間の合計を算出し、その合計が最小の2つの座席が抽出される。
【0079】
なお、その合計が算出できない場合、つまり、同一行のx列とy列の座席、および同一行のy列とz列の座席に空席がない場合、隣席時間が最小の2つの座席が選択される。この場合、2つの座席の隣席時間が異なる、すなわち一つは最小の隣席時間の座席、もう一つは隣席時間が2番目に小さい座席であることがある。
【0080】
予約人数が3である場合、いずれかの行においてx列、y列、z列の座席の隣席時間の合計がゼロであれば、その行のx列、y列、z列の座席が抽出される。その合計がゼロの行がない場合、予約人数が1である処理、および予約人数が2である場合の2つの処理を行い、3つの座席を抽出する。
【0081】
S25では、2次的条件の指定があるか否かを判別する。具体的には、二次的条件指定領域27での選択の有無を判別する。この判別が“YES”のときは、S26に移り、“NO”のときは、S27に移る。
【0082】
S26では、指定された2次的条件および規定の規則に基づき、指定座席を決定する。すなわち、S24において複数の空席が抽出された場合、指定された2次的条件を満たす空席の中からランダムに予約人数分の指定座席が決定される。また、S24において一の空席が抽出された場合、その空席が指定座席として決定される。
【0083】
S27では、規定の規則に基づき、指定座席を決定する。すなわち、予約人数が1の状況でS24において複数の空席が抽出された場合、空席の中からランダムに指定座席が決定され、その空席が指定座席として決定される。予約人数が2以上の状況では、抽出された座席の中から、同一車両に予約人数分の座席を優先的に収めるという規則に基づいて指定座席が決定される。
【0084】
ここで、ある利用者Xが、座席の予約時にタッチ操作を通じて或いは座席自動選択処理(
図15)により、隣席隣席時間が最も短い座席を指定したが、その後の別の利用者Yの座席の指定により、利用者Xの座席の隣席時間が変化することがある。例えば、利用者XがA駅からD駅の区間の座席を予約した後、その利用者XがA駅とB駅の間を移動中に、別の利用者Yが同一列車のC駅からD駅の座席を予約するというケースが想定される。
【0085】
このようなケースでは、利用者Xの座席の隣席時間が変化する、例えばより大きな隣席時間に変化することがあり得るが、上記のような構成により、利用者Xが座席の選択、指定の際において隣席時間が最大の座席を選択してしまうという状況を防止することができ、より快適な乗車を実現することが可能になる。
【0086】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態を
図16~
図19を用いて説明する。第2実施形態のハードウェアの構成、フローチャートの内容は、基本的に第1実施形態の構成と同じである。
【0087】
図16、
図17は、第2実施形態の座席選択画面7c,7dを示す。第2実施形態では、隣席時間は、空席の隣席である既に予約済みの座席に表示される。
【0088】
図18、
図19は、第2実施形態の時間情報テーブルの例を示す。
図18、
図19では、利用者が乗車を希望する列車と乗車区間を指定した際に空席である各座席の隣席の座席IDに対応して、隣席時間の情報を有している。
【0089】
図18の時間情報テーブルは、1号車の時間情報テーブルであり、乗車区間としてA駅からD駅が利用者により指定され、予約情報テーブルが第1実施形態の
図9に示す状況である場合において、第1実施形態の
図11の区間所要時間テーブルを用いて作成されたテーブルである。また、
図18の時間情報テーブルに基づき、
図16の座席選択画面7cでは、座席指定選択領域9cにおける座席タッチ選択領域17cの表示態様となる。
【0090】
前述のように、第1実施形態の
図9に示す予約情報テーブルでは、空席は座席IDが“02y”、“04y”~“06y”、“08y”~“10y”、“15y”~“18y”の座席であり、
図18の時間情報テーブルでは、それらの座席の隣席に対応する座席IDの欄に時間情報として隣席時間が示されている。
【0091】
図18の座席IDが“02x”には時間情報として140が表示されている。座席IDが“02x”の座席は、
図9の予約情報テーブルに基づき、A駅からB駅、B駅からC駅およびC駅からD駅の区間が予約済みである。
図11の区間所要時間テーブルの所要時間の情報を参照すると、A駅からD駅の区間が予約済みの場合はその座席は140分間(10+90+40)在席であるため、
図18の座席IDが“02x”には時間情報として140が表示されているのである。
【0092】
図19の時間情報テーブルは、5号車の時間情報テーブルであり、乗車区間としてA駅からD駅が利用者により指定され、予約情報テーブルが第1実施形態の
図10に示す状況である場合において、第1実施形態の
図11の区間所要時間テーブルを用いて作成されたテーブルである。また、
図19の時間情報テーブルに基づき、
図17の座席選択画面7dでは、座席指定選択領域9dにおける座席タッチ選択領域17dの表示態様となる。
【0093】
図19の座席IDが“03b”には時間情報として50が表示されている。座席IDが“03b”の座席は、
図10の予約情報テーブルに基づき、A駅からB駅およびC駅からD駅の区間が予約済みである。
図11の区間所要時間テーブルの所要時間の情報を参照すると、A駅からB駅およびC駅からD駅の区間が予約済みの場合はその座席は50分間(10+40)在席であるため、
図19の座席IDが“03b”には時間情報として50が表示されているのである。
【0094】
第2実施形態の時間情報テーブルは、第1実施形態と同様に、利用者により指定された乗車区間の情報、予約情報テーブルの情報、および区間所要時間テーブルの情報に基づき、隣席時間算出部83が作成する(
図14のS6)。
【0095】
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態を
図20~
図27を用いて説明する。第3実施形態のハードウェアの基本的な構成は第1実施形態の構成と同じであるが、フローチャートの内容が一部異なる。
【0096】
第3実施形態では、第1実施形態、第2実施形態のように空席に隣席時間の情報を直接的に表示するのではなく、その隣席時間に基づく各車両内の相対的な優先順位の情報を空席に表示する。なお、複数車両全体での優先順位を決定し、その情報を空席に表示するようにしてもよい。
【0097】
第3実施形態では、優先順位の基礎となる各空席の隣席時間は、次のように決定する。
【0098】
空席であるa列、b列の座席の隣席時間について、a列の座席の隣席を同行のb列の座席とし、b列の座席の隣席を同行のa列の座席とし、隣席時間を決定する。
【0099】
空席であるx列、z列の座席の隣席時間について、同行のy列の座席が予約済みである場合、その予約済みのy列の座席を隣席とし、隣席時間を決定する。同行のy列の座席が空席である場合、空席であるx列の座席の隣席を同行のz列の座席とみなし、空席であるz列の座席の隣席を同行のx列の座席とみなし、隣席時間を決定する(以下、「みなし決定」という)。
【0100】
ここで、例えば、同一行のx列の座席が予約済みでありy列およびz列の座席が空席である場合は、そのz列の座席を指定した際、x列の座席の乗客が通路に出るときに姿勢を変える必要などがある可能性がある。
【0101】
また、例えば、同一行のz列の座席が予約済みでありx列およびy列の座席が空席である場合は、そのx列の座席を指定した際、通路に出るときにz列の座席の乗客に気を使わなければならない可能性がある。
【0102】
このため、「みなし決定」を行うことにより、利用者のより快適な乗車を実現することが可能になる。
【0103】
空席であるy列の座席の隣席時間について、同行のx列、z列の座席を隣席として、隣席時間を決定する。同行のx列、z列の座席の両方が予約済みである場合、そのx列の座席の隣席時間、z列の座席の隣席時間をそれぞれ算出し、その2つの隣席時間を足し合わせた値を、空席であるy列の座席の隣席時間とする。
【0104】
優先順位は、空席の隣席時間が短いほど高くなる(その数字が小さくなる)ように決定する。ただし、x列、z列、a列、b列のいずれかが空席であり、y列が予約済みの行とy列が空席の行とが並存している場合、予約済みのy列と同行のx列、z列の空席の優先順位を隣席時間にかかわらず最下位に変更する(最下位変更)。なお、x列、z列、a列、b列のいずれかが空席である場合、y列の空席には優先順位は付されない。
【0105】
図20は、第3実施形態の各号車情報画面1eを示す。この画面では、号車情報表示領域3eの最小隣席時間の欄に数字が示されている。この数字は、1号車~5号車の各号車の最小隣席時間に対して順位付けをしたものであり、5号車の欄に“1”が示され、5号車の最小隣席時間が最も小さいことを表している。また、1号車の欄に“2”が示され、1号車の最小隣席時間が2番目に小さいことを表している。
【0106】
図21、
図22は、第3実施形態の座席選択画面7e,7fを示す。座席指定選択領域9e,9fの座席タッチ選択領域17e,17fには、車両の各座席の配置が表示されるとともに、既に予約済みの座席19が灰色で表示され、予約が可能な空席21が枠付きの白色で表示されている。空席には、優先順位を示す丸囲みの数字が示されている。なお、列車の空席率が60%以下でない場合、隣席時間は表示されない。
【0107】
図21の座席タッチ選択領域17eでは、“08行y列”の空席に優先順位として“1(丸囲みの1)”が付され、1号車において隣席時間が最も少ないことが示されている。
【0108】
図22の座席タッチ選択領域17fでは、“02行x列”、“02行z列”、“06行a列”、“06行b列”の空席に優先順位として“1(丸囲みの1)”が付され、5号車において隣席時間が最も少ないことが示されている。
【0109】
図23は、第3実施形態の座席予約サーバ31eの詳細を示した図であり、
図8の構成に対してさらに優先順位決定部93が加えられている。優先順位決定部93は、後述の
図27に示す優先順位決定処理を行う。すなわち、後述の
図24、
図25に示す優先順位情報テーブルを作成する。具体的には、優先順位決定部93は、予約情報抽出部81により抽出された情報、および隣席時間算出部83の算出結果に基づいて、各空席の優先順位を決定する。
【0110】
図24、
図25は、優先順位決定テーブルの例を示す。優先順位決定テーブルは、利用者が乗車を希望する列車と乗車区間を指定した際に空席である各座席の座席IDに対応して、優先順位の情報を有している。なお、
図24の優先順位テーブルの場合、端末33a~33cには
図21の座席選択画面7eが表示され、
図25の優先順位テーブルの場合、端末33a~33cには
図22の座席選択画面7fが表示される。
【0111】
図24は、1号車の優先順位決定テーブルであり、乗車区間としてA駅からD駅が利用者により指定され、予約情報テーブルが第1実施形態の
図9に示す状況である場合において、第1実施形態の
図11の区間所要時間テーブルを用いて作成されたテーブルである。
【0112】
第1実施形態の
図9の予約情報テーブル(1号車)では、乗車区間としてA駅からD駅が利用者により指定されている場合、空席はy列の座席のみであり、そのy列の時間情報は、第1実施形態の
図12の時間情報テーブルの時間情報と同一である。
【0113】
すなわち、
図24の優先順位情報テーブルは、
図12の時間情報テーブルにおいて時間情報“20”が示された座席IDの優先順位を“1”、“90”が示された座席IDの優先順位を“2”、“100”が示された座席IDの優先順位を“3”、“130”が示された座席IDの優先順位を“4”、“180”が示された座席IDの優先順位を“5”、“190”が示された座席IDの優先順位を“6”、“230”が示された座席IDの優先順位を“7”、“260”が示された座席IDの優先順位を“8”、“280”が示された座席IDの優先順位を“9”としたものである。
【0114】
図25は、5号車の優先順位決定テーブルであり、乗車区間としてA駅からD駅が利用者により指定され、予約情報テーブルが第1実施形態の
図10に示す状況である場合において、第1実施形態の
図11の区間所要時間テーブルを用いて作成されたテーブルである。
【0115】
ここで、第2実施形態の
図19の時間情報テーブル(5号車)は、乗車区間としてA駅からD駅が利用者により指定され、予約情報テーブルが第1実施形態の
図10に示す状況である場合において、第1実施形態の
図11の区間所要時間テーブルを用いて作成されたテーブルである。また、
図19の時間情報テーブル(5号車)は、空席である各座席の隣席の座席IDに対応して、隣席時間の情報を有している。
【0116】
このため、第3実施形態の5号車のa列の各空席の優先順位の基礎となる時間情報は、
図19の時間情報テーブル(5号車)のb列の対応する席の時間情報になる。また、第3実施形態の5号車のb列の各空席の優先順位の基礎となる時間情報は、
図19の時間情報テーブル(5号車)のa列の対応する席の時間情報になる。
【0117】
第3実施形態の5号車のx列、y列、z列の各空席の優先順位の基礎となる時間情報について、y列が予約済みの行は08行のみであり、前述のように同行のy列の座席が空席である場合、「みなし決定」が行われる。
【0118】
このため、08行を除き、5号車のx列の各空席の優先順位の基礎となる時間情報は、
図19の時間情報テーブル(5号車)のy列の対応する席の時間情報になる。また、第3実施形態の5号車のy列の各空席の優先順位の基礎となる時間情報は、
図19の時間情報テーブル(5号車)のx列の対応する席の時間情報になる。
【0119】
図19の時間情報テーブル(5号車)では、“0”、“10”、“40”、“50”、“90”、“100”、“130”、“140”の時間情報があり、それらの時間情報には優先順位“1”~“8”が対応し、
図25における各座席の優先順位になる。
【0120】
前述の08行では、y列の座席(座席IDは08y)が予約済みであるため、その隣席であり空席のz列の席(座席IDは08z)の優先順位は最下位である“9”となっている(最下位変更)。なお、第1実施形態の
図10の予約情報テーブルでは、乗車区間としてA駅からD駅が利用者により指定された場合、x列、z列、a列、b列のいずれかが空席であるため、
図25のy列の空席には優先順位は付されない。
【0121】
図26は、第3実施形態の端末33a~33cおよび座席予約サーバ31eの動作を示すフローチャートである。第1実施形態と同一の動作については、
図14と同じステップ番号を付しており、説明を省略する。
【0122】
端末33a~33cは、S1の後、入力の受付に基づき、空席情報および各空席の優先順位情報を座席予約サーバ31eに要求する(S200)。座席予約サーバ31eは、S4の判別が“YES”である場合、優先順位決定処理(後述の
図27)を行い(S600)、S700に進む。S700では、空席情報、各車両の最小隣席時間、および各空席の優先順位情報を端末33a~33cに回答し、S8に移る。S8では、端末33a~33cは、例えば、
図20~
図22に示す画面を表示する。
【0123】
図27は、座席予約サーバ31eによる優先順位決定処理を示すフローチャートである。
【0124】
S51では、x列、z列、a列、b列のいずれかの座席が空席であるか否かを判別する。この判別が“YES”のときはS52に移り、“NO”のときはS55に移る。S52では、a列またはb列の座席に空席があるか否かを判別する。この判別が“YES”のときはS53に移り、“NO”のときはS54に移る。
【0125】
S53では、a列の座席の隣席を同一行のb列の座席とし、b列の座席の隣席を同一行のa列の座席としてa列、b列の各空席の隣席時間を決定し、S54に移る。S54では、同行のy列の座席が空席の場合、x列の座席の隣席をz列とみなし、z列の座席の隣席をx列とみなし、同行のy列の座席が予約済みの場合、x列およびz列の座席の隣席をy列の座席とし、x列、z列の各空席の隣席時間を決定し、S57に移る。
【0126】
S55では、y列のいずれかの座席が空席であるか否かを判断する。この判別が“YES”のときはS56に移り、“NO”のときは優先順位決定処理を終了する。S56では、x列の座席とz列の座席の両方を隣席としてy列の各空席の隣席時間を決定し、S57に移る。S57では、各空席の隣席時間(時間情報)に基づき、車両毎に各空席の優先順位情報を決定し、S58に移る。
【0127】
S58では、y列の座席が予約済みの行とy列の座席が空席の行とが同一車両内において並存しているか否かを判別する。この判別が“YES”のときはS59に移り、“NO”のときは優先順位決定処理を終了する。S59では、隣席がy列の行のx列、z列の空席の座席の優先順位を最下位に変更(最下位変更)し、優先順位決定処理を終了する。
【0128】
<第4実施形態>
本発明の第4実施形態を
図28~
図30を用いて説明する。第4実施形態のハードウェアの基本的な構成、フローチャートの内容は第3実施形態の構成と同じである。
【0129】
第4実施形態の座席指定選択領域9g,9hでは、第3実施形態のようにすべての空席に対して丸囲みの数字により優先順位を示すのではなく、優先順位が上位3位までの座席に対して記号を示すようにしている。その記号は、3重丸、2重丸、丸であり、その中で3重丸の優先順位が最も高く、丸の優先順位が最も低いものとしている。
【0130】
図28は、第4実施形態の各号車情報画面1gを示す。この画面では、第1実施形態と異なり、5つの号車のうち、最小隣席時間が短い上位3つの号車にのみ、その最小隣席時間の順位付けの数字が示されている。
【0131】
図29、
図30は、第4実施形態の座席選択画面7g,7hを示す。座席指定選択領域9g,9hの座席タッチ選択領域17g,17hには、車両の各座席の配置が表示されるとともに、既に予約済みの座席19が灰色で表示され、予約が可能な空席21が枠付きの白色で表示されている。一部の空席には、優先順位を示す3重丸、2重丸、丸の記号が示されている。
【0132】
図29、
図30では、第3実施形態の
図21、
図22の座席指定選択領域9e,9fの空席のうち、“1(丸囲みの1)”が付された空席に3重丸、“2(丸囲みの2)”が付された空席に2重丸、“3(丸囲みの3)”が付された空席に丸の記号が付され、“4(丸囲みの4)”~“9(丸囲みの9)”が付された空席には記号が付されていない。このように表示することにより、優先順位の高い座席をより速やかに把握することが可能になる。
【0133】
<第5実施形態>
本発明の第5実施形態を
図31を用いて説明する。第5実施形態のハードウェアの基本的な構成、フローチャートの内容は第1実施形態の構成と同じである。
【0134】
第5実施形態では、第1実施形態のように、同行のx列、z列の座席の両方が予約済みである場合、そのx列の座席の隣席時間、z列の座席の隣席時間をそれぞれ算出し、その2つの隣席時間を足し合わせた値を、空席であるy列の座席の隣席時間とするのではなく、y列の座席の隣席時間を、x列およびy列が同時に予約済みである時間としている。
【0135】
図31は、第5実施形態の座席選択画面7iを示す。この座席選択画面7iは、利用者が乗車区間としてA駅からD駅の乗車を指定した際、
図9に示す予約情報テーブルおよび
図11に示す区間所要時間テーブルに基づいて表示された画面である。なお、本実施形態では、時間情報テーブルの図示を省略している。
【0136】
例えば、
図9に示す予約情報テーブルでは、“04行x列”の座席は、A駅からB駅の区間およびC駅からD駅の区間が予約済みである。“04行z列”の座席は、C駅からD駅の区間が予約済みである。“04行x列”の座席および“04行z列”の座席が同時に予約済みである区間はC駅からD駅の区間である。
図11に示す区間所要時間テーブルでは、C駅からD駅の区間の所要時間は“40分”である。このため、
図31の座席タッチ選択領域17iの“04行y列”の空席には“40”が表示されている。
【0137】
また、
図9に示す予約情報テーブルでは、“10行x列”の座席は、B駅からC駅の区間が予約済みである。“10行z列”の座席は、C駅からD駅の区間が予約済みである。“10行x列”の座席および“10行z列”の座席が同時に予約済みである区間はない。このため、
図31の座席タッチ選択領域17iの“10行y列”の空席には“0”が表示されている。
【0138】
<第6実施形態>
本発明の第6実施形態を
図32を用いて説明する。第6実施形態のハードウェアの基本的な構成、フローチャートの内容は第3実施形態の構成と同じである。
【0139】
第6実施形態では、優先順位の決定の基礎となる情報である隣席時間の算出の際、y列の座席の隣席時間について第5実施形態と同様に、y列の座席の隣席時間を、x列およびy列が同時に予約済みである時間としている。
【0140】
図32は、第6実施形態の座席選択画面7jを示す。この座席選択画面7jの空席には、第5実施形態の
図31の座席選択画面7iの座席タッチ選択領域17iに示された隣席時間に対応して、優先順位の表示がなされている。
【0141】
<第7実施形態>
本発明の第7実施形態を
図33を用いて説明する。第7実施形態のハードウェアの基本的な構成、フローチャートの内容は第1実施形態の構成と同じである。
【0142】
第7実施形態では、第1実施形態のように、同行のx列、z列の座席の両方が予約済みである場合、そのx列の座席の隣席時間、z列の座席の隣席時間をそれぞれ算出し、その2つの隣席時間を足し合わせた値を、空席であるy列の座席の隣席時間とするのではなく、y列の座席の隣席時間を、x列およびy列の座席のうちの少なくとも一方が予約済みである時間としている。
【0143】
図33は、第7実施形態の座席選択画面7kを示す。この座席選択画面7kは、利用者が乗車区間としてA駅からD駅の乗車を指定した際、
図9に示す予約情報テーブルおよび
図11に示す区間所要時間テーブルに基づいて表示された画面である。なお、本実施形態では、時間情報テーブルの図示を省略している。
【0144】
例えば、
図9に示す予約情報テーブルでは、“06行x列”の座席は、C駅からD駅の区間が予約済みである。“06行z列”の座席は、B駅からC駅の区間が予約済みである。“06行x列”の座席および“06行z列”の座席のうちの少なくとも一方が予約済みである区間はB駅からC駅およびC駅からD駅の区間である。
図11に示す区間所要時間テーブルでは、B駅からC駅、C駅からD駅の区間の所要時間はそれぞれ“90分”、“40分”である。このため、
図33の座席タッチ選択領域17kの“06行y列”の空席には“130”が表示されている。
【0145】
<第8実施形態>
本発明の第8実施形態を
図34、
図35を用いて説明する。第1~第7実施形態では、
図11に示す区間所要時間テーブルを用いているが、第8実施形態では、その区間所要時間テーブルに代えて
図34に示す区間距離テーブルが用いられる。また、第8実施形態では、時間情報テーブルに代えて
図35に示す距離情報テーブルが用いられる。
【0146】
図34は、区間距離テーブルの例を示す。区間距離テーブルは、列車毎に対応して運行情報格納部89に格納されており、各停車駅間の距離の情報を有している。具体的には、区間ID毎に所要距離の情報を有している。この区間距離テーブルの情報は、隣席距離を算出することに用いられる。隣席距離は、利用者の乗車区間において、空席の隣席が予約されている距離、すなわち隣席に乗客がいる距離を指す。
【0147】
図35は、距離情報テーブルの例を示す。この
図35の距離情報テーブルは、
図12に示す時間情報テーブルに対応するものであり、予約情報テーブルが
図9に示す状況である場合において、
図34の区間距離時間テーブルを用いて作成されたテーブルである。この区間距離時間テーブルの情報に基づき、図示しない座席タッチ選択領域には隣席距離が表示される。
【0148】
<第9実施形態>
本発明の第9実施形態を
図36を用いて説明する。第9実施形態では、第1実施形態の時間情報テーブルに代えて
図36に示す区間数情報テーブルを用いている。すなわち、複数の区間の各々に“1”が割り当てられており、隣席が予約されている区関数が用いられる。
【0149】
第9実施形態では、予約情報テーブルが
図9に示す状況である場合において、
図36の座席IDが“02y”には区間数情報として“4”が表示されている。座席IDが“02y”の座席の隣席は、座席IDが“02x”、“02z”の座席である。利用者によって乗車区間としてA駅からD駅までが指定された場合、
図9の予約情報テーブルに基づくと、座席ID“02x”の座席はA駅からD駅までの“3”つの区間が予約済みであり、座席ID“02z”の座席はB駅からC駅までの“1”つの区間が予約済みである。
図36の座席ID“02y”に対応して示されている“4”は、この“3”と“1”の加算結果である。
【0150】
なお、図示しないが、
図36の区間数情報テーブルの情報は、第1実施形態と同様に端末33a~33cに表示される。
【0151】
同一の内容を表示する領域、同一の機能を有するボタンには、<第1実施形態>と同一の符号を用いている。
【0152】
ここで、第1~第7実施形態では、時間情報テーブル、優先順位決定テーブルが用いられ、端末33a~33cの座席タッチ選択領域において、空席の位置に隣席時間(その算出方法は、実施形態毎に異なる)が表示されたり、予約済みの座席の位置に隣席時間が表示されたり、空席の位置に優先順位の情報が表示されたりする。すなわち、座席タッチ選択領域の表示態様は7種類ある。
【0153】
そして、
図23の座席予約サーバの隣席時間算出部83から通信制御部77に隣席時間の情報を送るように構成して、さらに、座席指定選択領域上に表示態様切替ボタンを設け、そのボタンをタッチすることにより、第1~第7実施形態に示した7種類の座席タッチ選択領域の表示態様を切り替えて表示するようにしてもよい。この場合、端末33a~33cには座席予約サーバ31eから複数種類の時間情報テーブルおよび優先順位決定テーブルが送信され、端末33a~33cの表示制御部57は、その表示態様切替ボタンの操作に基づき座席タッチ選択領域の表示態様を切り替える。
【0154】
また、端末33a~33cの座席タッチ選択領域における隣席時間に関する表示をするか否かを利用者が選択するための表示非表示選択ボタンを設けることができる。その表示非表示選択ボタンの操作に基づき、表示制御部57が表示態様を切り替えるように制御を行う。
【0155】
さらに、座席予約サーバ31a,31eの入力装置69を通じて、端末33a~33cの座席タッチ選択領域における隣席時間に関する表示を許可するか否かの設定をする、或いはその許可の条件を設定することができるように構成してもよい。具体的には、
図14のS3の直後に「隣席時間に関する表示は許可されているか?」という判別のステップを追加し、この判別が“YES”のときはS4に移り、“NO”のときはS5に移るようにしてもよい。このようにすることで、例えば、その隣席時間に関する表示を特定の利用者のみにその特典を付与した場合には、サービス向上につなげることが可能になる。
【0156】
また、入力装置69を通じて、隣席時間に関する表示が行われることになる空席率を設定することができる。具体的には、
図14のS4において「空席率は設定された比率以下かつ2区間以上の乗車?」という判別が行われることになる。
【0157】
さらに、座席予約サーバ31a,31eの入力装置69を通じて、端末33a~33cの座席タッチ選択領域における隣席時間に関する表示が行われることになる空席率を設定することができるように構成してもよい。この場合、
図14のS4において「空席率は設定された値以下かつ2区間以上の乗車?」という判別を行うことになる。
【0158】
本実施形態では、隣席時間が最小の空席を抽出(
図15のS24)しているが、隣席時間が最大の空席を抽出してもよい。また、隣席時間が長いほど、優先順位を高くすることもできる。移動車両の利用目的が旅行である場合、旅行の目的の一つには旅行者同士の新たな出会いや交流である。このため、このようにすることで、その出会いや交流の機会を増やすことが可能になる。
【0159】
以上、実施形態を説明したが、上述した内容により本願開示が限定されるものではない。また、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、上述した構成や処理に対して、当業者が容易に行い得る変更、追加、省略、削除、置換、組合せ、統合、分散、入れ替えなどが加えられた構成や処理も、本願開示の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0160】
17a 座席タッチ選択領域
29 座席予約システム
31a 座席予約サーバ
33a 自動発券機端末
33b 駅窓口端末
33c ユーザ端末
39 ネットワーク
41 表示装置
43 入力装置
83 隣席時間算出部
87 予約情報格納部
89 運行情報格納部