(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】ハイブリッド推進システム及びこれを制御する方法
(51)【国際特許分類】
B60L 50/61 20190101AFI20240202BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20240202BHJP
B60W 10/06 20060101ALI20240202BHJP
B60W 10/26 20060101ALI20240202BHJP
B60W 20/12 20160101ALI20240202BHJP
B60W 20/20 20160101ALI20240202BHJP
B60W 30/00 20060101ALI20240202BHJP
B60W 30/188 20120101ALI20240202BHJP
B60W 30/192 20120101ALI20240202BHJP
B60W 40/02 20060101ALI20240202BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20240202BHJP
【FI】
B60L50/61
B60L58/12
B60W10/06 900
B60W10/26 900
B60W20/12 ZHV
B60W20/20
B60W30/00
B60W30/188
B60W30/192
B60W40/02
G01C21/34
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019226019
(22)【出願日】2019-12-14
【審査請求日】2022-12-02
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519447732
【氏名又は名称】トランスポーテーション アイピー ホールディングス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラベルトゥ,トーマス マイケル
(72)【発明者】
【氏名】アキンイェミ,オモウォレオラ チュクエメカ
(72)【発明者】
【氏名】サラザール,ビクター
(72)【発明者】
【氏名】プリムス,ロイ ジェームズ
【審査官】岩田 健一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0174484(US,A1)
【文献】特開2016-088440(JP,A)
【文献】特開2015-214294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 50/61
B60L 58/12
B60W 10/06
B60W 10/26
B60W 20/12
B60W 20/20
B60W 30/00
B60W 30/188
B60W 30/192
B60W 40/02
G01C 21/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを含む、ハイブリッド推進システムを制御するためのシステムであって、前記コンピュータは、
第1のエネルギー源及び第2のエネルギー源を含む前記ハイブリッド推進システムに対して予め決められた経路に関連付けられる高度及び地形の情報を得る、
前記ハイブリッド推進システムの前記予め決められた経路に関連付けられる周囲気候の情報
であって、前記予め決められた経路に沿ったいくつかの地点における現在気温、現在気圧、予測気温、および予測気圧を含む現在ならびに予測の周囲気候条件を含む周囲気候の情報を得る、
前記ハイブリッド推進システムの前記予め決められた経路に沿って前記高
度、前記地形
、及び前記周囲気候条件に関連付けられる前記ハイブリッド推進システムの動力要求及びトルク要求を決定する、
前記ハイブリッド推進システムが前記予め決められた経路に沿って移動するにつれて前記ハイブリッド推進システムの複数のパフォーマンスパラメータの少なくとも1つを最適化するために旅行計画を作成する、及び
前記ハイブリッド推進システムの前記動力要求及び前記トルク要求のうち少なくとも1つを送達するために前記旅行計画に基づいて前記第1のエネルギー源及び前記第2のエネルギー源のうち少なくとも1つを優先的に選択する
ようにプログラムされる、ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
少なくとも1つの前記パフォーマンスパラメータは、出力動力に応じた前記第1のエネルギー源及び前記第2のエネルギー源からのエネルギーの消費
、動力データ、車両トラクション変速のパフォーマンス、及び前記ハイブリッド推進システムの冷却特性を含む、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コンピュータは少なくとも1つの目的関数に基づいて前記旅行計画を作成するようにプログラムされる、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つの目的関数は、第1のエネルギー源利用システムの寿命、第2のエネルギー源利用システムの寿命、バッテリーの充電の状態、移動時間、最大動力設定、速度制限、及び前記ハイブリッド推進システムの排気ガスのうち少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項
3に記載のシステム。
【請求項5】
前記コンピュータは更に、前記ハイブリッド推進システムが第1の点から第2の点へと移動する間に生じる
前記周囲気候条件に基づいて前記旅行計画を修正させられる、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記コンピュータは、前記ハイブリッド推進システムから遠隔的に位置するコンピュータから前記高度、前記地形、及び前記周囲気候の情報を得るように構成される、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1のエネルギー源はエンジンであり、前記第2のエネルギー源はバッテリーのバンクである、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ハイブリッド推進システムは車両用である、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
ハイブリッド推進システムを制御する方法であって、該方法は、
第1のエネルギー源及び第2のエネルギー源を含む前記ハイブリッド推進システムが移動するための予め決められた経路の高度及び地形の情報を得る工程、
前記ハイブリッド推進システムの前記予め決められた経路に沿って
周囲気候の情報を得る工程であって、前記周囲気候の情報は、前記予め決められた経路に沿ったいくつかの地点における現在気温、現在気圧、予測気温、および予測気圧を含む現在ならびに予測の周囲気候条件を含む、周囲気候の情報を得る工程、
前記ハイブリッド推進システムの前記予め決められた経路に沿って前記高
度、前記地形
、及び前記周囲気候条件に関連付けられる前記ハイブリッド推進システムの動力要求及びトルク要求を決定する工程、
前記ハイブリッド推進システムが前記予め決められた経路に沿って移動するにつれて前記ハイブリッド推進システムの複数の操作パラメータを最適化する旅行計画を作成する工程、及び
前記ハイブリッド推進システムの前記動力要求及び前記トルク要求のうち少なくとも1つを送達するために前記旅行計画に基づいて前記第1のエネルギー源及び前記第2のエネルギー源のうち少なくとも1つを優先的に選択する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
前記複数の操作パラメータのうち少なくとも1つは、出力動力に応じた前記第1のエネルギー源及び前記第2のエネルギー源からのエネルギーの消費
、動力データ、車両トラクション変速のパフォーマンス、
または前記ハイブリッド推進システムの冷却特性を含む、ことを特徴とする請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記旅行計画を作成する工程は、少なくとも1つの目的関数に基づいて前記旅行計画を作成することを含む、ことを特徴とする請求項
9に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの目的関数は、前記ハイブリッド推進システムの、第1のエネルギー源利用システムの寿命、第2のエネルギー源利用システムの寿命、バッテリーの充電の状態、移動時間、最大電力設定、速度制限、及び排気ガスのうち少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記制御は、前記ハイブリッド推進システムが第1の点から第2の点へと移動する間に生じる
前記周囲気候条件に基づいて前記旅行計画を修正することを含む、ことを特徴と請求項
9に記載の方法。
【請求項14】
前記高度及び地形の情報を得る工程、及び、前記周囲気候の情報を得る工程は、前記ハイブリッド推進システムから遠隔的に位置するコンピュータから得ることを含む、ことを特徴とする請求項
9に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のエネルギー源はエンジンであり、前記第2のエネルギー源はバッテリーのバンクである、ことを特徴とする請求項
9に記載の方法。
【請求項16】
前記ハイブリッド推進システム
は車両である、ことを特徴とする請求項
9に記載の方法。
【請求項17】
推進システムであって、
送電線を介して前記推進システムを駆動させるべく動力を提供するためのハイブリッド動力源であって、内燃機関(IC)エンジン及び電気モーターを含んでおり、該ICエンジンは前記送電線に繋げられている、ハイブリッド動力源、
前記電気モーターに繋げられるバッテリーのバンク、
選択デバイスであって、選択的に前記電気モーターを前記送電線に繋げるように配置される、選択デバイス、及び
コンピュータを含み、該コンピュータは、
第1のエネルギー源
としての内燃機関(IC)エンジン及び第2のエネルギー源
としてのバッテリーのバンクを含
む推進システムに対して予め決められた経路に関連付けられる高度及び地形の情報を得る、
前
記推進システムの前記予め決められた経路に関連付けられる周囲気候の情報
であって、前記予め決められた経路に沿ったいくつかの地点における現在気温、現在気圧、予測気温、および予測気圧を含む現在ならびに予測の周囲気候条件を含む周囲気候の情報を得る、
前
記推進システムの
前記予め決められた経路に沿って前記高
度、前記地形
、及び前記周囲気候条件に関連付けられる前
記推進システムの動力要求及びトルク要求を決定する、
前
記推進システムが前記予め決められた経路に沿って移動するにつれて前
記推進システムの複数のパフォーマンスパラメータの少なくとも1つを最適化するために旅行計画を作成する、及び
前
記推進システムの前記動力要求及び前記トルク要求のうち少なくとも1つを送達するために前記旅行計画に基づいて前記第1のエネルギー源及び前記第2のエネルギー源のうち少なくとも1つを優先的に選択するように構成される、ことを特徴とする推進システム。
【請求項18】
少なくとも1つの前記パフォーマンスパラメータは、出力動力に応じた前記第1のエネルギー源及び前記第2のエネルギー源からのエネルギーの消費
、動力データ、車両トラクション変速のパフォーマンス、及び前
記推進システムの冷却特性を含む、ことを特徴とする請求項
17に記載の推進システム。
【請求項19】
前記コンピュータは、前
記推進システムの、第1のエネルギー源利用システムの寿命、第2のエネルギー源利用システムの寿命、バッテリーの充電の状態、移動時間、最大電力設定、速度制限、及び排気ガスのうち少なくとも1つに基づいて前記旅行計画を作成するようにプログラムされる、ことを特徴とする請求項
17に記載の推進システム。
【請求項20】
前記コンピュータは、
前記ハイブリッド推進システムが前記予め決められた経路に沿って移動するにつれて前記ハイブリッド推進システムの前記複数のパフォーマンスパラメータを最適化するために前記旅行計画を作成する、及び
前記ハイブリッド推進システムの前記動力要求及び前記トルク要求を送達するために前記旅行計画に基づいて前記第1のエネルギー源及び前記第2のエネルギー源のうち少なくとも1つを優先的に選択する
ようにプログラムされる、ことを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項21】
前記作成する工程は、前記ハイブリッド推進システムが前記予め決められた経路に沿って移動するにつれて前記複数の操作パラメータを最適化する前記旅行計画を作成することを含み、前記優先的に選択する工程は、前記ハイブリッド推進システムの前記動力要求及び前記トルク要求を送達するために前記旅行計画に基づいて前記第1のエネルギー源及び前記第2のエネルギー源のうち少なくとも1つを優先的に選択することを含む、ことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項22】
前記コンピュータは、前記推進システムが前記予め決められた経路に沿って移動するにつれて前記推進システムの前記複数のパフォーマンスパラメータを最適化するために旅行計画を作成する、及び
前記推進システムの前記動力要求及び前記トルク要求を送達するために前記旅行計画に基づいて前記第1のエネルギー源及び前記第2のエネルギー源のうち少なくとも1つを優先的に選択するように構成される、ことを特徴とする請求項17に記載の推進システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は一般的にハイブリッド車両、及びより具体的にはハイブリッド機関車エネルギー管理システム並びに当該システム制御及び/又は使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機関車などの車両の操作において、操作者が典型的に考慮する要因の一部には、環境条件、斜度又は傾斜、軌道又は経路の湾曲、速度制限、車両サイズ、積荷の重量、及びその重量の分配が挙げられる。車両の操作は、自動的に車両を加速且つ減速させるように構成された機関車制御システムによって部分的に決定され得る。
【0003】
例えば、旅行を最適化するシステムを備える機関車制御システムは、高度及び地形の詳細と位置などの軌道又は経路の特徴を描くデータベースから利益を得る場合がある。そのような特徴は、機関車、軌道特徴づけ要素、動作条件を測定するためのセンサなどの位置を決定するためにロケータ要素を含む最適化プログラムへと入力され得る。最適化プログラムは典型的に、機関車動力の説明、機関車トラクション変速のパフォーマンス、出力動力に応じたエンジン燃料からのエネルギーの消費、及びシステム性能がモデル化されるのを可能とする他のシステムパフォーマンス特性を含む。最適化プログラムは、例として、移動時間の最小化、動力設定(ノッチ)間の移行の最小化、及び排ガスの最小化を含み得る、目的関数についてのパフォーマンスを最適化するためにプロセッサ内に実装されるアルゴリズムであり得る。
【0004】
エンジン及びバッテリーにより供給された動力を備えた従来のハイブリッド機関車システムにおいて、制御システムは典型的に、移動の経路に沿った様々な異なる点での温度及び気圧などの周囲気候条件を考慮することなく、燃料消費量、NOx排出、バッテリーの充電の状態などの要因を最適化する。更に、従来の最適化プログラムは、ハイブリッド機関車システムの操作のために明白に作成されていない場合、移動の経路に沿った低温条件での安定した燃焼に対する動力及びトルクの要求を事前に把握することなくバッテリー及びエンジンを作動させるリスクがあり、これにより潜在的に大量の燃料消費及び/又は構成部品寿命の短縮が生じる。
【0005】
ハイブリッド車両最適化プログラムにおけるエネルギー効率の改善の余地が今尚存在する。
【発明の概要】
【0006】
本発明の主題の一態様に従い、ハイブリッド推進システムを制御するためのシステムは、第1のエネルギー源及び第2のエネルギー源を含むハイブリッド推進システムのための予め決められた経路に関連付けられる高度及び地形の情報を得るようにプログラムされた、コンピュータを含む。コンピュータはまた、前記ハイブリッド推進システムの前記予め決められた経路に関連付けられる現在及び予測の周囲気候情報を得る;ハイブリッド推進システムの予め決められた経路に沿って高度及び地形に関連付けられる前記ハイブリッド推進システムの動力要求及びトルク要求を決定する;前記ハイブリッド推進システムが前記予め決められた経路に沿って移動するにつれて前記ハイブリッド推進システムの複数のパフォーマンスパラメータの少なくとも1つを最適化するために旅行計画を作成する;及び旅行計画に基づいて第1のエネルギー源及び/又は第2のエネルギー源を選択するようにプログラムされる。
【0007】
本発明の主題の別の態様に従い、ハイブリッド推進システムを制御する方法は、第1のエネルギー源及び第2のエネルギー源を含む前記ハイブリッド推進システムが移動するための予め決められた経路の高度及び地形の情報を得る工程を含む。前記方法はまた、前記ハイブリッド推進システムの前記予め決められた経路に沿って周囲気候情報を得る工程、ハイブリッド推進システムの予め決められた経路に沿って高度及び地形に関連付けられる前記ハイブリッド推進システムの動力要求及びトルク要求を決定する工程、前記ハイブリッド推進システムが前記予め決められた経路に沿って移動するにつれて前記ハイブリッド推進システムの複数の操作パラメータを最適化する旅行計画を作成する工程、及び前記旅行計画に基づいて第1のエネルギー源及び/又は第2のエネルギー源を優先的に選択する工程を含む。
【0008】
本発明の主題のまた別の態様に従い、推進システムは、送電線を介して前記推進システムを駆動させるべく動力を提供するためのハイブリッド動力源であって、内燃機関(IC)エンジン及び電気モーターを含んでおり、該ICエンジンは送電線に繋げられている、ハイブリッド動力源;前記電気モーターに繋げられたバッテリーのバンク;選択デバイス;及びコンピュータを含む。選択デバイスは、選択的に前記電気モーターを前記送電線に繋げるように配置される。
【0009】
前記推進システムはまた、第1のエネルギー源及び第2のエネルギー源を含む前記ハイブリッド推進システムに対して予め決められた経路に関連付けられる高度及び地形の情報を得るように、及び前記ハイブリッド推進システムの前記予め決められた経路に関連付けられる周囲気候情報を得るように構成される、コンピュータを含む。前記コンピュータはまた、前記ハイブリッド推進システムの前記予め決められた経路に沿って高度及び地形に関連付けられる前記ハイブリッド推進システムの動力要求及びトルク要求を決定するように、前記ハイブリッド推進システムが前記予め決められた経路に沿って移動するにつれて前記ハイブリッド推進システムの複数のパフォーマンスパラメータの少なくとも1つを最適化するために旅行計画を作成するように、及び前記旅行計画に基づいて第1のエネルギー源及び/又は第2のエネルギー源を優先的に選択するように構成される。
【0010】
本発明の主題の一態様に従い、ハイブリッド推進システムを制御するためのシステムは、第1のエネルギー源及び第2のエネルギー源を含むハイブリッド推進システムのための予め決められた経路に関連付けられる高度及び地形の情報を得るようにプログラムされた、コンピュータを含む。前記コンピュータはまた、前記ハイブリッド推進システムの前記予め決められた経路に沿って高度及び地形に関連付けられる動力要求及びトルク要求を決定するように、前記ハイブリッド推進システムが前記予め決められた経路に沿って移動するにつれて前記ハイブリッド推進システムにおいて複数のパフォーマンスパラメータの少なくとも1つを制御し且つ安定した低温燃焼を可能にするために旅行計画を作成するように、及び前記ハイブリッド推進システムの前記動力要求及び前記トルク要求のうち少なくとも1つを送達するために前記旅行計画に基づいて前記第1のエネルギー源及び前記第2のエネルギー源のうち少なくとも1つを優先的に選択するようにプログラムされる。
【0011】
本発明の主題の別の態様に従い、ハイブリッド推進システムを制御する方法は、第1のエネルギー源及び第2のエネルギー源を含む前記ハイブリッド推進システムが移動するための予め決められた経路の高度及び地形の情報を得る工程を含む。前記方法はまた、前記ハイブリッド推進システムの前記予め決められた経路に沿って高度及び地形に関連付けられる動力要求及びトルク要求を決定する工程、前記ハイブリッド推進システムが前記予め決められた経路に沿って移動するにつれて前記ハイブリッド推進システムにおいて複数のパフォーマンスパラメータの少なくとも1つを制御し且つ安定した低温燃焼を可能にするために旅行計画を作成する工程、及び前記ハイブリッド推進システムの前記動力要求及び前記トルク要求のうち少なくとも1つを送達するために前記旅行計画に基づいて前記第1のエネルギー源及び前記第2のエネルギー源のうち少なくとも1つを優先的に選択する工程を含む。
【0012】
本発明の主題のまた別の態様に従い、ハイブリッド推進システムは、送電線を介して前記推進システムを駆動させるべく動力を提供するためのハイブリッド動力源であって、内燃機関(IC)エンジン及び電気モーターを含んでおり、該ICエンジンは送電線に繋げられている、ハイブリッド動力源;前記電気モーターに繋げられたバッテリーのバンク;選択デバイス;及びコンピュータを含む。選択デバイスは、選択的に前記電気モーターを前記送電線に繋げるように配置される。前記コンピュータは、第1のエネルギー源及び第2のエネルギー源を含む前記ハイブリッド推進システムに対して予め決められた経路に関連付けられる高度及び地形の情報を得るように、及び、前記ハイブリッド推進システムの前記予め決められた経路に沿って高度及び地形に関連付けられる動力要求及びトルク要求を決定するように、構成される。前記コンピュータはまた、前記ハイブリッド推進システムが前記予め決められた経路に沿って移動するにつれて前記ハイブリッド推進システムにおいて複数のパフォーマンスパラメータの少なくとも1つを制御し且つ安定した低温燃焼を可能にするために旅行計画を作成するように、及び、前記ハイブリッド推進システムの前記動力要求及び前記トルク要求のうち少なくとも1つを送達するために前記旅行計画に基づいて前記第1のエネルギー源及び前記第2のエネルギー源のうち少なくとも1つを優先的に選択するように構成される。
【0013】
様々な他の特徴が、以下の詳細な説明及び図面から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図面は、本発明の主題の実施形態を例示する。例示を容易にするために、機関車及び軌道システムが特定されているが、他の推進システム及び推進システム経路も、言語又は文脈がその他の点で示しているものを除いて含まれている。
【
図1】本発明の主題の実施形態を組み込む機関車トラクションシステムに配備されたハイブリッド推進システムを例示するブロック図である。
【
図2】本発明の主題の代替的な実施形態を組み込む機関車トラクションシステムに配備されたハイブリッド推進システムを例示するブロック図である。
【
図3】
図1のハイブリッド推進システムにおいて本発明の主題の実施形態を組み込むのに有用なブロック図である。
【
図4】本発明の主題に係る方法のフローチャートである。
【
図5】本発明の主題の実施形態を組み込む機関車トラクションシステムに配備された別のハイブリッド推進システムを例示するブロック図である。
【
図6】本発明の主題の代替的な実施形態を組み込む機関車トラクションシステムにおいて配備された別のハイブリッド推進システムを例示するブロック図である。
【
図7】
図5のハイブリッド推進システムにおいて本発明の主題の実施形態を組み込むのに有用なブロック図である。
【
図8】本発明の主題に係る方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の主題は、経路ナビゲーションシステムに関連する実施形態を含む。本発明の主題は、ハイブリッド推進システムに対して最適化された旅行を作成するための方法に関連する実施形態を含む。
【0016】
更に、本発明の主題は非限定的な例として機関車のハイブリッドエンジンに関して記載される。しかし、当業者は、本明細書に例示される実施形態及び方法が一般的にハイブリッド推進システムに広く適用され得ることを認識する。このようなハイブリッド推進システムの例は、標準の機関車の車両編成(consist)内の全てのバッテリー式機関車、即ち、バッテリー式電動機関車(BEL)設定を含み、そこではバッテリーが単一の機関車内に統合されていない。更に、「車両」は、本明細書全体に渡って、個々の統合ユニットとして、及び多数の機関車の集まりとして使用され、多数の機関車のうち1つ以上には、エンジン及びエネルギー貯蔵ユニットの両方を備えた1つの機関車に統合される又は統合されない場合があるエネルギー貯蔵装置が備わっている。「車両」の定義は付加的に大型トラックを指す場合があり、ここで、エネルギー貯蔵ユニットは、標準のカーゴトレーラー間でトラクターに接続されるトレーラーに配される場合があり、これにより実質的にトレーラーは「ロードトレイン」となる。言い換えれば、「ハイブリッド車両」の定義は、大型トラックの単一の動力ユニットに必ずしも統合される必要はなくむしろ別個の着脱可能な利点(assets)として存在できるエネルギー貯蔵ユニットを含む。更に、「車両」の定義は付加的に、トラック/OHV/自動車及び自律走行車を含む他の車両を指す場合がある。「高度及び地形」は、斜度、軌道の曲線半径(truck radius on curves)などの、機関車が典型的にその上を移動する軌道に関連付けられる詳細を指し、且つそれらを含む。
【0017】
図1は、典型的に電気駆動システムを含む本発明の主題の様々な実施形態に使用される単一の車両編成及び大型機器へと統合される機関車に対する代表的なレイアウトを例示する。電気式ディーゼル機関車の例を参照すると、電気モーターは常に、バッテリーを含む又は含まない推進システムの一部である。電気駆動システムの例は典型的に、オルタネータに接続されるエンジン(内燃機関エンジン又はICエンジンなど)を含み、前記オルタネータは、列車のホイールを回転するのに要求される原動力を供給する電気トラクションモーターに順に接続される。更に、後述のデバイス、システム、及び構成部品の様々な考えられ得る配置は、全ての予め決められた移動経路のための電気駆動の使用を反映する機関車又は大型オフロード車両の適用に典型的に関係する。
【0018】
図1を参照すると、本発明の主題の実施形態を組み込むハイブリッド推進システム(10)は、オルタネータ(17)に接続されるエンジン(16)を備えており、オルタネータ(17)は、機関車送電網上の電力を、多数の対応する送電線(12)及びスイッチング素子のバンク(20)を介して多数の電気(トラクション)モーター(18)に供給する。電気モーター(18)はまた、スイッチング素子のバンク(20)によりバッテリー又はバッテリー(22)のバンクに繋げられる。スイッチング素子のバンク(20)は、電気モーター(18)をエンジン(16)又はバッテリー(22)、或いはエンジン(16)及びバッテリー(22)の両方に選択的に繋げるスイッチ(24)(26)(28)のセットとして例示される。スイッチ(24)(26)(28)は、コンピュータ(32)に繋げられるコントローラ(30)によって選択的に制御される。
【0019】
図2は、車両編成内に別個のバッテリー式電動機関車を用いる代替的な実施形態である。本発明の主題のこの実施形態の例において、エンジン(16)は、例示されるように、送電線(12)によりオルタネータ(17)を介して電気モーター(18)に繋げられる。作動中、ハイブリッド推進システム(10)のスイッチ(24)(26)(28)は、電気モーター(18)を、オルタネータ(17)を介してエンジン(16)、バッテリー(22)のバンク、又はエンジン(16)とバッテリー(22)のバンクの両方に選択的に繋げることができる。故に、スイッチ(24)と(26)を閉じ且つスイッチ(28)を開くことにより、一例として、エンジン(16)は対応する電気モーター(18)に繋げられ、それに動力をもたらすことができる。独立的に、バッテリーコンパートメントにおいて、スイッチ(24)と(28)を閉じ且つスイッチ(26)を開くことにより、バッテリー(22)のバンクは対応する電気モーター(18)に繋げられ、そこから動力を直接引っ張ることができる。
【0020】
本発明の主題の別の代替的な実施形態において、例えば一部の乗用車では、エンジン駆動システムは機械駆動システムを用いる場合がある。本発明の主題の1つのそのような実施形態において、エンジン(16)は機械トランスミッションを介して電気モーター(18)に接続されてもよい。これらの実施形態において、スイッチ(24)(26)(28)は、電気モーター(18)に機械動力をもたらすように構成された機械クラッチやギヤトレーンなどである。
【0021】
図1と
図2は更に、ロケータ要素(34)、軌道特徴づけ要素(36)、及びセンサー(38)から情報を得るように構成されたコンピュータ(32)を例示する。制御アルゴリズム(40)がコンピュータ(32)内で作動し、本発明の主題の実施形態に従い旅行計画を作成するように構成される。ハイブリッド推進システム(10)は軌道(42)上に位置決めされ、中央の又は一例の路傍位置(44)から無線通信を介してハイブリッド推進システム(10)に情報が送信され得る。制御アルゴリズム(40)は、ハイブリッド推進システム(10)、軌道(42)、移動経路に沿った様々な点での温度及び気圧の予測などの気候予測条件の数、機関車の数、総合負荷などを含む、現行且つ予測の周囲気候条件とパラメータに基づいて、最適化された旅行計画を算出するために使用される。制御アルゴリズム(40)はまたミッションの目的を考慮し、前記ミッションは、様々な気候条件、移動時間、最大動力設定、最大速度制限、排気ガス、ハイブリッド推進システムのスロットル移行の量などの下での動力源の選択を含み得る。
【0022】
一例の実施形態において、旅行計画は、制御アルゴリズム(40)に設けられる仮定の単純化を伴う物理特性から導き出される非線形の微分方程式の解法として、ハイブリッド推進システム(10)が軌道(42)に沿って移動するにつれて列車挙動に対するモデルに基づいて確立される。制御アルゴリズム(40)は、ロケータ要素(34)、軌道特徴づけ要素(36)、予め決められた移動経路(52)(
図2)、温度予測モジュール(54)と気圧予測モジュール(56)とを備えた気候予測モジュール、及び/又はセンサー(38)からの情報にアクセスして、燃料消費を最小化する旅行計画を作成しつつ、排ガスを許容可能な基準内に維持して、望ましい旅行時間を確立し、及び/又は適切なクルー動作時間を確保する。
【0023】
コントローラ(30)は、旅行計画に従うように、制御アルゴリズム(40)に従いスイッチ(24)(26)(28)を制御し、電気モーター(18)をエンジン(16)に係合させ且つエンジン(16)から離脱させ、及び/又は電気モーター(18)をバッテリー(22)のバンクに係合させ且つバッテリー(22)のバンクから離脱させる。本発明の主題の一実施形態において、コントローラ(30)が自動的に列車動作決定を行い、別の実施形態において、操作者が列車を旅行計画に従わせることに関与する場合がある。
【0024】
本発明の主題の一実施形態に従い、旅行計画は、実行中にリアルタイムで修正されてもよい。故に、初期の計画は長距離が伴う場合に決定されるが、計画最適化制御アルゴリズム(40)の複雑性及び条件の変更に起因して、初期の計画が適宜修正される場合がある。制御アルゴリズム(40)はまた、中間地点で分割され得るミッションを区分けするために使用され得る。1つの制御アルゴリズム(40)のみを説明してきたが、当業者は、1より多くの制御アルゴリズム(40)が連続して又は並行して使用され得ることを容易に認識する。
【0025】
図3は、ハイブリッド推進システム(10)(
図1)を制御するためのシステム(50)のブロック図の例を例示する。本発明の主題の一実施形態において、ハイブリッド推進システムは機関車である。ハイブリッド推進システム(10)は第1のエネルギー源(16)及び第2のエネルギー源(22)を含む。本発明の主題の実施形態の一例において、第1のエネルギー源はエンジン(16)であり、第2のエネルギー源はバッテリー(22)のバンクである。システム(50)は更に、ハイブリッド推進システム(10)に対して予め決められた経路(52)に関連付けられる高度及び地形の情報を得るようにプログラムされたコンピュータ(32)の例を含む。コンピュータ(32)は更に、ハイブリッド推進システムの予め決められた経路(52)に関連付けられる周囲気候情報を得るようにプログラムされる。周囲気候情報は温度情報(54)及び気圧情報(56)を含む。周囲温度情報は現在の温度条件及び/又は予測の温度条件であり得る。同様に、周囲気圧情報は現在の気圧条件及び/又は予測の気圧条件であり得る。
【0026】
コンピュータ(32)は更に、ハイブリッド推進システムが予め決められた経路(52)に沿って移動するにつれてハイブリッド推進システム(10)の多数のパフォーマンスパラメータを最適化する旅行計画(62)を作成し、且つ旅行計画(62)に基づいてエンジン又はバッテリーのバンク或いはその両方のいずれかを優先的に選択するようにプログラムされる。更に、コンピュータ(32)は、目的関数に基づいて旅行計画を作成するようにプログラムされ、前記目的関数は、予め決められた経路(52)に沿った動力要求(64)及びトルク要求(66)、ハイブリッド推進システム(10)の動力要求及びトルク要求のためのエネルギー源としてエンジン燃料を利用する第1のエネルギー利用システムの実施形態の一例としてのエンジンの寿命、ハイブリッド推進システム(10)の動力要求及びトルク要求のためのエネルギー源としてバッテリーの第2のエネルギー利用システムの実施形態の一例としてのバッテリーの寿命、バッテリーのバンクの充電の状態、移動時間、最大電力設定、速度制限、及びハイブリッド推進システム(10)に規定される排気ガス制限などの、目的とする因数を含む。本発明の主題の別の実施形態において、出力動力に応じたエンジン燃料及びバッテリー充電からのエネルギーの消費、機関車動力データ、推進システム牽引トラクション変速のパフォーマンス、及びハイブリッド推進システム(10)の冷却特性などの他の様々なパフォーマンスパラメータが、旅行計画(62)を最適化する間に考慮され得る。
【0027】
本発明の主題の別の実施形態において、コンピュータ(32)に、推進システムが第1の点から第2の点へと移動する間に生じる周囲気候条件に基づいて旅行計画(62)を修正させることができる。コンピュータ(32)は、ハイブリッド推進システムから遠隔的に位置するコンピュータから、高度、地形、及び気候の情報を得るように構成される。
【0028】
例示されるように、命令は、搭乗中に、又は命令を携えた運行指令センターなどの遠隔地から、旅行を計画するのに特異的に入力される。そのような入力情報は、限定されないが、列車位置、車両編成の説明(即ち、連続する1つ以上の機関車)、機関車動力の説明、回生制動特徴、機関車トラクション変速のパフォーマンス、出力動力に応じたエンジン燃料からのエネルギー消費、冷却特性、意図した旅行経路(標準の鉄道慣習に従う湾曲を反映するマイル標柱又は「有効な等級の」構成部品に応じた有効な線路等級及び湾曲)、車の組立て及び有効な抵抗係数と共に負荷をかけることにより表される列車、開始時刻及び位置、終了位置、望ましい移動時間、クルー(ユーザー及び/又は操作者)識別、クルーシフト満了時間、及び経路を含むがこれらに限定されない望ましい旅行パラメータを含む。
【0029】
このデータは、操作者により搭載ディスプレイを介してハイブリッド推進システム(10)へとデータを手動で入力すること、データを含むハードカード及び/又はUSBドライブなどのメモリデバイスを機関車に搭載されたレセプタクルに挿入すること、又は、軌道信号装置及び/又は路傍デバイスなどの中央或いは路傍位置(44)(
図1に例示)から無線通信を介して情報をハイブリッド推進システム(10)に送信することなどであるがこれらに限定されない、多数の方法でハイブリッド推進システム(10)に提供され得る。ハイブリッド推進システム(10)の負荷特性(例えば抗力)は、経路(例えば、高度、周囲温度、及びレール及び軌道車の条件を伴う)にわたり変化する場合があり、計画は、必要に応じて機関車/列車条件のリアルタイムの自動収集などにより前記変化を反映するように更新され得る。これは例えば、ハイブリッド推進システム(10)に搭載された又はその外部にあるモニタリング設備によって検出されたハイブリッド推進システム(10)の特徴の変化を含む。
【0030】
仕様データに基づいて、望ましい出発時間と終了時間を伴う、経路に沿って、速度制限の制約、排ガス制限、ハイブリッド推進システムの動力要求とトルク要求のためのエネルギー源としてエンジン燃料を利用する第1のエネルギー利用システムの実施形態の一例としてのエンジンの寿命、ハイブリッド推進システムの動力要求とトルク要求のためのエネルギー源としてのバッテリーの第2のエネルギー利用システムの実施形態の一例としてのバッテリーのバンクの寿命、バッテリーのバンクの充電の状態などを受けて、燃料の使用を最小限に抑える最適な計画は、旅行動力源選択スケジュールを作成するために算出される。旅行動力源選択スケジュールは、本発明の主題の好ましい実施形態に従い、且つ後に説明されるように、動力源の優先的な選択が、ハイブリッド推進システム(10)の移動経路に沿った温度及び気圧の条件により例証される気候条件の事前の把握を偶然にも利用するように助長される期間を含む。計画は、最大ノッチ動力及び制動設定、位置に応じた速度限界、及び予測される燃料使用と排ガス生成を含むがこれらに限定されない、距離及び/又は時間に応じて表される列車が従うべき最適速度及び動力(ノッチ)の設定、並びにそのような列車の動作限界と共に、エンジンとバッテリーとの間に選択スケジュールを含む。
【0031】
別の実施形態において、従来の別個のノッチ動力設定で作動する代わりに、コンピュータ(32)は、選択された動力源選択スケジュールに最適なものとして決定された連続動力設定を選択することができる。故に、最適な電源選択スケジュールが、ノッチ設定7で作動する代わりに従来のノッチ設定、例えば有効なノッチ6.8の間にある動力設定を特定する場合、ハイブリッド推進システム(10)は、その効率を更に改善するために有効なノッチ6.8と一致する動力で作動することができる。
【0032】
最適な動力源選択スケジュールを算出するために使用される手順は、パワーシーケンスを算出するための任意数の方法であり、前記パワーシーケンスは、機関車動作条件、ハイブリッド推進システム(10)の動力要求とトルク要求のためのエネルギー源としてエンジン燃料を利用する第1のエネルギー利用システムの実施形態の一例としてのエンジンの寿命、ハイブリッド推進システム(10)の動力要求とトルク要求のためのエネルギー源としてのバッテリーの第2のエネルギー利用システムの実施形態の一例としてのバッテリーのバンクの寿命、バッテリーのバンクの充電の状態、排ガス、スケジュールの制約などを受けて燃料を最小限に抑えるようにハイブリッド推進システム(10)を駆動させる。場合によっては、最適な動力源選択スケジュールは、列車構成、経路、及び環境の条件の類似性に起因して、以前に決定されたものに十分に近い場合がある。これらの場合、前記スケジュールは、以前に実施された旅行計画のデータベース内の駆動軌道を調査し、それを辿るのに十分であり得る。以前に算出された計画が利用可能でない又は適切でないと、新たな計画を算出するための方法は、限定されないが、列車の動作の物理特性に近似する微分方程式モデルを用いた最適な動力源選択スケジュールの直接的な算出を含む。セットアップは、例として、量的目的関数の選択、或いは移動時間に相当するモデル変数の加重和(積分)、燃料消費率、最大動力設定、速度制限、排ガス生成、加えて、過度のスロットルの変動又は駆け引き(jockeying)を不利にするための項目を含む。
【0033】
任意の時点での目的の計画に応じて、この問題は、例として、排ガス及び速度の制限の制約を受けて燃料を最小限に抑える、或いは、燃料使用及び到達時間の制約を受けて排ガスを最小限に抑えるために柔軟にセットアップされ得る。例えば、総合的な排ガス又は燃料使用の制約なしに総移動時間を最小限に抑えるための目標をセットアップすることも可能であり、ここで、そのような制約の緩和は、ミッションに対して許容され又は必要とされる。
【0034】
このモデルを用いて、最適制御の公式化(formulation)が、速度制限及び最小と最大の動力(スロットル)設定を含むがこれらに限定されない制約を受けて量的目的関数を最小限に抑えるようにセットアップされる。任意の時点での目的の計画に応じて、この問題は、排ガス及び速度の制限の制約を受けて燃料を最小限に抑える、或いは、燃料使用及び到達時間の制約を受けて排ガスを最小限に抑えるように柔軟にセットアップされ得る。
【0035】
作動中、制御戦略は、ハイブリッド推進システム(10)が、周囲条件(温度及び気圧)に少なくとも部分的に基づいて、エンジン(16)又はバッテリー(22)或いはその両方の何れかにより、その動力に加えてトルク要求を供給するのに適している。前もって周囲条件を把握することで、旅行計画(62)は、消費燃料を減らし且つエンジン及び/又はバッテリーの寿命を延ばすためにバッテリー及び/又はエンジンの動力を優先的に使用する場所に導入することができる。
【0036】
特に、例となるコンピュータ(32)は、エンジン(16)及びバッテリー(22)から動力を使用する方法を優先的に選択するために、近く行われる旅行及び周囲気候条件を把握するようにプログラムされる。例えば、旅行に関連付けられる特異的な標高又は高度の要件を把握することで、典型的に予め決められた経路(52)に沿った周囲気圧の徴候を示すことができる。本発明の主題の一実施形態において、関連する制御戦略は、より高い標高でエンジンを比較的あまり動かさず、且つ故に同じ条件でバッテリーを保存することを選択し得る。この結果、より高い標高がターボチャージャー及び他の構成部品に更に圧力をかけることからエンジン構成部品の摩耗が減少し得る。更に、エンジンの効率は典型的により高い標高で減少し、それ故、エンジンに対するバッテリーの使用は燃料消費量の改善をもたらすことができる。同様のトレードオフが、周囲温度条件の変動に対して行われ得る。例えば、制御戦略の一例は、高い周囲温度でバッテリーをあまり消費させずに、その寿命を延ばすことであり得る。言い換えれば、必要とされる場合及び/又は温度が高すぎず又は低すぎない場合にのみ、所定の旅行はバッテリーを消費することができる。
【0037】
本発明の主題の一実施形態の状況での排ガスへの言及は、窒素酸化物(NOx)、未燃炭化水素、微粒子などの形態で生成された漸増的な排ガスへと向けられる。旅行ミッション中の重要な目的が総合的な排ガスを削減することである場合、制御アルゴリズム(40)は、全体的な燃料効率の改善と合わせてこの旅行目的を考慮するように生成又は補正され得る。最適化セットアップにおける重要な順応性は、旅行目的の何れか又は全てが地理的領域又はミッションごとに変動し得るということである。例えば、最優先列車について、最小時間は、高優先トラヒックであることから1つの経路上での唯一の目的であり得る。別の例において、排ガス出力は、計画された列車経路に沿って状態ごとに変動し得る。
【0038】
更に
図3を参照すると、一旦最適化された旅行計画(62)が作成されると、動力コマンドが計画を進めるために作成される。動作のセットアップに応じて、本発明の主題の一実施形態において、1つのコマンドは、機関車が最適な速度を達成するように最適化された動力コマンドに従うためのものである。本発明の主題は、ハイブリッド推進システム(10)の機関車編成からの実際の速度及び動力の情報を得る。最適化のために使用されるモデルにおける不可避の近似値に起因して、最適化された動力への校正の閉ループ計算が所望の最適な速度を追跡するために得られる。そのような列車動作限界の校正は、自動的に、又は、従来から列車の最終的な制御を行う操作者により行うことができる。
【0039】
作動中、制御アルゴリズム(40)は、更新により旅行パフォーマンスが改善される場合は常に、システム効率を連続してモニタリングし、且つ実際に測定された効率に基づいて旅行計画を連続的に更新する。既存の旅行計画の修正、又は完全な再計画の計算は、機関車内で全体的に実施され、或いは、無線技術がハイブリッド推進システム(10)へと計画を通信するために使用される運行指令センター又は路傍の処理施設などの遠隔位置へと完全に又は部分的に動かされ得る。本発明の主題はまた、効率伝達関数に関する機関車フリートデータを開発するために使用可能な効率動向を作成することができる。フリートワイドデータは、初期の旅行計画を決定するときに使用され、及び、複数の列車の位置を考慮する際にネットワーク規模の最適化トレードオフに対して使用され得る。
【0040】
日常動作における多数の事象が、現在実行中の計画を作成又は修正する必要性に通じる場合があり、その場合、同じ旅行目的を維持することが望ましく、ある列車が予定されていた別の列車との接続又は通過待ちのために運行に乱れがあるときに、時間を埋め合わせる必要がある。機関車の実際の速度、動力、及び位置を用いて、旅行計画の残りの部分に基づいて、計画された到達時間と現在推定(予測)された到達時間とを比較する。時間差の他、(運行指令センター又は操作者により検出又は変更される)パラメータの差に基づいて、計画は調整される。この調節は、そのような計画からの逸脱がどのように対処されるべきかに関する鉄道会社の要望に従って自動又は手動で行われ得る。計画が、限定されないが到達時間などに対して更新される場合は常に、付加的な変化は、例えば、本来の計画を回復させる実現可能性に影響を及ぼし得る新たな将来の速度制限の変化に同時に織り込まれ得る。そのような場合、本来の旅行計画を維持できない、即ち言い換えれば、列車が本来の旅行計画目的を満たすことができない場合、本明細書で議論されるように、他の旅行計画が操作者及び/又は遠隔施設、或いは運行指令センターに提示され得る。
【0041】
既存の旅行計画の修正、又は完全な再計画は、本来の目的を変更することが望ましい場合にも行うことができる。そのような計画の修正、又は完全な再計画は、事前に計画された固定時間に、操作者又は運行指令者の判断時に手動で、或いは、列車動作限界などの予め定めた制限が超過した場合に自動的に行うことができる。例えば、現在の計画実行が、一例として30分など、特定の閾値よりも多く遅れてなされている場合、本発明の主題の一実施形態において、新たなパラメータのセットに基づき、旅行の残りの部分に対する総燃料消費の最小化に再び基づく遅延を適応させるべく旅行を再計画することができる。再計画に対する他の要因も、動力編成の調子に基づいて想定することができ、これには、仮定された列車の負荷などにおける、到達時間、機器の故障及び/又は機器の一時的な不良(過度の高温又は低温での動作など)による馬力の損失、及び/又は全体のセットアップエラーの検出が含まれるが、これらに限定されない。即ち、変化が現在の旅行のための機関車パフォーマンスの障害を反映する場合、これらは、最適化に使用されるモデル及び/又は方程式へ織り込まれ得る。
【0042】
計画目的の変化はまた、1台の列車に対する計画が、別の列車が異なるレベルで目的及び仲裁を満たす能力を損なう、例えば運行指令センターのオフィスが必要な事象を調整する必要性から生じる場合がある。例えば、接続(meet)及び通過待ち(pass)の調整は更に、列車間の通信を介して最適化され得る。故に、一例として、列車が接続及び/又は通過待ちのための位置への到着に遅れていると把握する場合、他の列車からの通信は遅延した列車(及び/又は運行指令センター)に通知を行うことができる。その後、操作者は、コンピュータ(32)に遅延に関する情報を入力することができ、ここで、制御アルゴリズム(40)は列車の旅行計画を再計算し、燃料消費を再び最適化及び最小化しつつ、計画された回生制動を利用することになる。制御アルゴリズム(40)はまた、高レベル又はネットワークレベルで使用することができ、予定されていた接続及び/又は通過待ちの時間の制約が満たされていない場合に、運行指令センターにどの列車を減速又は加速させるべきかを決定させることを可能にする。本明細書で議論されるように、このことは、各列車がどのようにしてその計画目的を変更すべきかを優先させるべく運行指令センターにデータを送信する列車によって達成される。選択は、状態に応じて、スケジュール又は燃料節約の利益のいずれかに依存し得る。
【0043】
手動又は自動的に開始された再計画の何れかに対して、制御アルゴリズム(40)は操作者に1より多くの旅行計画を提示することができる。本発明の主題の実施形態の一例において、制御アルゴリズム(40)は典型的に、操作者に現在の異なる動力源選択スケジュールを提示し、操作者が到達時間を選択し且つ対応する燃料及び/又は排ガスの影響を理解するのを可能にする。そのような情報はまた、代替案の単純リスト又は複数のトレードオフ曲線の何れかとして、同様の考慮のために運行指令センターに提供され得る。
【0044】
本発明の主題の一実施形態において、現在の計画及び/又は将来の計画に組み込むことができる列車及び動力の編成における主要な変化に対して学習し且つ適合する能力が依然として存在する。例えば、上述の要因の1つは馬力の損失である。経時的に馬力を構築すると、馬力の損失の後、又は旅行の開始時に、トランジション論理を利用して所望の馬力がいつ達成されるのかを判定する。
【0045】
確立された目的関数の組み合わせ、及び旅行計画を最適化するために使用されるハイブリッド推進システムのパフォーマンスパラメータの組み合わせにもかかわらず、総合的な燃料効率は、経路の一部の間に回生制動が生じるのを促すことによって改善され得る。故に、旅行動力源選択スケジュールを計画する場合、既存の旅行計画の修正又は完全な再計画の時に、最適化された旅行動力源選択スケジュールが
図3に概説されるように得ることができる。
【0046】
ここで
図4を参照すると、ハイブリッド推進システムを制御する方法が、本発明の主題の1つの好ましい実施形態に従い方法(70)として例示される。方法(70)は、
図1及び
図2に例示されるように、ハイブリッド推進システム(10)に対して予め決められた経路(52)の高度及び地形の情報(72)を得ることによって始まる。方法(70)は更に、ハイブリッド推進システム(10)の予め決められた経路(52)に沿った周囲気候情報(74)を得る工程を含む。周囲気候情報は、予め決められた経路(52)に沿った温度及び気圧の値に関連する現在及び/又は予測の情報を含む。
【0047】
方法(70)は更に、ハイブリッド推進システム(10)が予め決められた経路(52)に沿って移動するにつれてハイブリッド推進システム(10)の多数の操作パラメータを最適化する旅行計画(76)を作成する工程を含む。旅行計画は典型的に、バッテリーの寿命、エンジンの寿命、バッテリーのバンクの充電の状態(SOC)、移動時間、最大動力設定、速度制限、及びハイブリッド推進システムの排気ガスなどのパラメータを含む目的関数に基づいて作成される。
【0048】
本発明の主題の一実施形態において、方法(70)は、最適化を制限する目的旅行基準を得る工程を含む。目的旅行基準は、限定されないが、移動時間、最大動力設定、速度制限、及びハイブリッド推進システムの排気ガスを含み得る。旅行計画はまた、バッテリーに貯蔵された動力を最適化するべく回生制動が生じるのを促す又は促進することによって、作成及び最適化され得る。そのような最適化は、旅行期間中のハイブリッド推進システム(10)の運動量又は制動要件に関係なく、本発明の主題に従って行われ得る。最適化された旅行計画はまた、回生制動期間の前にバッテリーに適切な貯蔵容量が利用可能となるように、旅行の一部の間にバッテリーを引き下げる工程を含み得る。故に、旅行全体が燃料消費量に対して最適化され、燃料効率全体は、回生制動が伴わない旅行の一部の間に回生制動が生じるのを促す旅行計画を作成することにより改善することができ、一方で最優先の目的旅行基準を満たすことができる。
【0049】
方法(70)は更に、最適化された旅行計画(62)に基づいて工程(78)におけるようにエンジン及び/又はバッテリーの使用を優先的に選択する工程を含む。多数のパフォーマンスパラメータが旅行計画を最適化する間に考慮される。例となる及び非限定的なパフォーマンスパラメータは、出力動力に応じた第1の燃料と第2の燃料からのエネルギーの消費、機関車動力データ、推進システムトラクション変速のパフォーマンス、及びハイブリッド推進システムの冷却特性を含む。更に、方法(70)は、機関車の数や総合負荷などを含むがこれらに限定されない車両関連情報を得る工程を含み得る。パフォーマンスパラメータは、例として、機関車動力データ、回生制動特徴、機関車トラクション変速のパフォーマンス、出力動力に応じたエンジン燃料からのエネルギーの消費、及びハイブリッド推進システムの冷却特性を含み得るがこれらに限定されない。得られた経路データは、第1の点から第2の点に単一の区間、或いは点間の複数の区間を含み得る。得られた経路データは、高度及び地形、或いは、本発明の主題により旅行計画を最適化するために抽出され且つ使用される等級情報を含み得る。
【0050】
方法(70)におけるようなハイブリッド推進システム(10)の制御は、推進システム(10)がその予め決められた経路(52)に沿って点間を移動する間に生じる周囲条件に基づいて、既存の旅行計画を修正する又は旅行計画を完全に再計画することを含む。本発明の主題の一実施形態において、ハイブリッド推進システム(10)は機関車であり、制御方法(70)は適宜調整され得る。
【0051】
作動中、運行指令センターなどの遠隔施設は、本発明の主題の一実施形態に従い情報を提供することができ、それによって、工程(72)におけるような高度及び地形の情報及び工程(74)におけるような周囲気候情報は、ハイブリッド推進システムから遠隔的に位置するコンピュータから得ることができる。例示されるように、そのような情報はコントローラ(30)に提供される。
【0052】
加えて、コントローラ(30)には、機関車モデリング情報データベース、軌道データベースからの情報、例えば限定されないが、軌道等級情報及び速度制限情報、推定列車パラメータ、例えば限定されないが、列車重量及び抵抗係数、燃料比推定器からの燃料比テーブル、及び、例えば回生制動中のバッテリー効率とエネルギーの回復を示す電池モデルが提供される。
【0053】
実際、典型的には、コントローラ(30)は計画者に情報を提供し、旅行計画が適宜算出される。一旦旅行計画が算出されると、計画は運転アドバイザー、運転手、又はコントローラ(30)に提供される。コントローラ(30)は、コントローラ(30)により実行されるような旅行計画に従いバッテリー(22)のバンクの蓄電と放電を制御するバッテリー管理モジュールに繋げられる。旅行計画はまた、他の新たなデータが提供された時に旅行を比較できるように、コントローラ(30)に提供される。
【0054】
本発明の主題の一実施形態において、コントローラ(30)は、ノッチ動力、即ち、事前に確立されたノッチ設定又は最適な連続ノッチ動力の何れかを自動的に設定できる。ハイブリッド推進システム(10)の速度コマンドの提供に加えて、操作者が計画者により推奨されたものを観察できるようにディスプレイが設けられる。操作者はまた制御パネルにアクセスする。制御パネルを介して、操作者は、推奨されたノッチ動力を適用すべきかどうかを決定できる。この終わりに向かい、操作者は標的とされ且つ推奨された動力を制限し得る。即ち、いついかなる時も、機関車編成が作動するどんな動力設定をも上回る最終的な権威を、操作者が常に有している。このことは、冷たい又は熱い領域における動作などの様々な気候条件下でエンジン又はバッテリーからハイブリッド推進システム(10)に必要な動力を供給すべきかを決定することを含む。更に、路傍設備からの情報が列車に直接情報を送信することができず、及び代わりに操作者が路傍設備から視覚信号を確認する場合、操作者は、軌道データベース及び路傍設備からの視覚信号に含まれる情報に基づいてコマンドを入力する。
【0055】
ハイブリッド推進システム(10)がどのように機能するかに基づいて、燃料測定に関する情報が燃料比推定器に提供される。燃料の流れの直接測定は典型的に機関車編成では利用可能ではないため、旅行中の消費燃料に関する情報、及び将来の以下の最適な計画への予測は、最適な計画の開発に使用されるものなどの校正された物理特性モデルを使用して実行される。例えば、そのような予測は、限定されないが、測定された総合馬力、及び累積的な燃料の使用を導くための既知の燃料特徴の使用を含む。
【0056】
本発明の主題の一実施形態において、ハイブリッド推進システム(10)は、GPSセンサなどのロケータ要素の例を備えていてもよく、位置情報は列車パラメータ推定器に提供され得る。そのような情報は、限定されないが、GPSセンサデータ、牽引力/制動力データ、制動状況データ、速度、及び速度データの任意の変化を含み得る。等級に関する情報及び速度制限情報と共に、列車重量及び抵抗係数の情報がコントローラ(30)に提供される。
【0057】
本発明の主題により、最適化計画及び閉ループ制御実施の全体にわたる連続的に変動する動力の使用も可能となる。従来の機関車において、動力は典型的に8つの離散レベルに量子化される。現代の機関車は、前述の最適化方法へと組み込まれ得る、馬力における連続変動を実現することができる。連続的な動力により、ハイブリッド推進システム(10)は更に、例えば補助負荷及び送電欠損の最小化、及び最適効率のエンジン馬力領域の微調整によって、又は排ガスマージンが増加する点まで、動作条件を最適化することができる。例として、限定されないが、冷却システム欠損の最小化、オルタネータ電圧の調整、エンジン速度の調整、及び動力供給された車軸の数の減少が挙げられる。更に、ハイブリッド推進システム(10)は、標的燃料消費量/排ガスに対する最適効率を提供するべく補助負荷及び送電欠損を最小限に抑えるために、軌道データベース、及び予測されたパフォーマンス要件を使用することができる。例として、限定されないが、平らな地形上の動力供給された車軸の数の減少、及びトンネルに入る前の機関車エンジンの事前冷却が挙げられる。
【0058】
本発明の主題はまた、機関車パフォーマンスを調整するために、例えば列車が丘及び/又はトンネルに近づく場合に十分な速度であることを確保するために、軌道データベース及び予測されたパフォーマンスを使用する場合がある。例えば、このことは、最適な計画の一部となる特定の位置での速度制約として表すことができる。加えて、制御アルゴリズム(40)は、列車取り扱いの規則、例えば限定されないが、牽引力ランプレート、最大制動力ランプレートを組み込む場合がある。これらは、最適な旅行動力源選択スケジュールのための公式化へと直接組み込むことができ、或いは代替的に、目標速度を達成するべく動力の適用を制御するために使用される閉ループレギュレータへと組み込むことができる。
【0059】
好ましい実施形態において、制御アルゴリズム(40)は単に、列車編成の先頭の機関車にのみ設置される。しかし、多数の列車との相互作用は妨げられず、2つ以上の独立して最適化された列車が本発明の主題に従い制御され得る。
【0060】
分散動力源システムを有する列車が、様々な異なるモードで動作することができる。1つのモードは、列車中の全ての機関車が同じノッチコマンドに作動させるものである。故に、先頭の機関車が運転N8を命じる場合、列車のユニットは全て運転N8の動力を生成するように命じられる。別の動作モードは「独立」制御である。このモードにおいて、列車全体にわたり分配される機関車又は機関車のセットは、異なる運転又は制動の動力にて動作することができる。例えば、列車が山頂に達すると、(山の下り坂にある)先頭の機関車は制動状態となり、一方で(山の上り坂にある)列車の中間又は端部にある機関車は運転状態となり得る。これを行うことで、鉄道車両及び機関車を接続する機械カプラに対する引張力が最小限に抑えられる。従来、「独立」モードでの分散動力源システムの作動は、操作者が先頭の機関車におけるディスプレイを介して各遠隔の機関車又は機関車のセットに手動で命令を送ることを必要としていた。物理特性ベースの計画モデル、列車セットアップ情報、搭乗中の軌道データベース、搭乗中の動作規則、位置決定システム、リアルタイムの閉ループ動力/制動の制御、及びセンサーフィードバックを使用して、システムは「独立」モードで分散動力源システムを自動的に操作する。
【0061】
分散動力源での作動時、先頭の機関車にいる操作者は、分散動力源制御要素などの制御システムを介して、遠隔車両編成で遠隔の機関車の作動機能を制御することができる。故に、分散動力源での作動時、操作者は、異なるノッチ動力レベルで動作するよう各機関車編成に命じることができ(或いは、1つの構成が運転状態となり、その他が制動状態となる)、ここで、機関車編成の個々の機関車はそれぞれ、同じノッチ動力で作動する。実施形態の一例において、列車に設置される制御アルゴリズム(40)により、好ましくは分散動力源制御要素と通信した状態で、遠隔の機関車編成に対するノッチ動力レベルが最適化された旅行計画により推奨されるように望まれると、制御アルゴリズム(40)は、実施のために遠隔の機関車編成にこの動力設定を通信する。同じことが制動に関しても言える。
【0062】
制御アルゴリズム(40)は、機関車が連続していない、例えば、1つ以上の機関車が最前にあり、その他が列車に対して中間及び後方にあるという車両編成と共に使用され得る。そのような構成は分散動力源と呼ばれ、ここで、機関車間の標準の接続は、機関車を外部に繋げるための無線リンク又は補助ケーブルにより置き換えられる。
【0063】
実施形態の一例において、列車に設置される本発明の主題により、好ましくは分散動力源制御要素と通信した状態で、遠隔の機関車編成に対するノッチ動力レベルが旅行計画により推奨されるように望まれると、制御アルゴリズム(40)は典型的に、実施のために遠隔の機関車編成にこの動力設定を通信する。同じことが制動に関しても言える。分散動力源で作動すると、前述の最適化問題は、遠隔のユニットの各々が先頭のユニットから独立して制御され得るという点で、付加的な自由度を可能にするべく改善され得る(enhanced)。この価値は、列車内の力を反映するモデルも含まれることを仮定すると、列車内の力に関する付加的な目的又は制約がパフォーマンス機能に組み込まれ得るというものである。故に、本発明の主題は、列車内の力に加えて燃料消費と排ガスをより良く管理するための複数のスロットル制御の使用を含み得る。そのような実施形態において、気候を組み込んだ旅行の最適化は、例えば、エンジンから1つの機関車に動力を供給し、一方で同時に1つのバッテリーから別のバッテリーへと供給することによって全体的な燃料効率を向上させる。
【0064】
車両編成管理器(consist manager)を利用する列車において、機関車編成における先頭の機関車は、同じ車両編成における他の機関車とは異なるノッチ動力設定で動作することができる。車両編成中の他の機関車は同じノッチ動力設定で動作する。本発明の主題は、車両編成中の機関車に対してノッチ動力設定及び回生制動コマンドを命じるために車両編成管理器と組み合わせて利用され得る。故に、本発明の主題に基づいて、及び一例として、車両編成管理器が機関車編成を2つの群、即ち先頭ユニットとトレール(trail)ユニットとに分割することから、先頭の機関車は特定のノッチ動力で動作するよう命じられ、トレール機関車は別の特定のノッチ動力で動作するよう命じられる。実施形態の一例において、分散動力源制御要素は、この動作が収容されるシステム及び/又は装置であり得る。
【0065】
同様に、車両編成オプティマイザーが機関車と共に使用されると、制御アルゴリズム(40)は、機関車編成における各機関車のノッチ動力を決定するために車両編成オプティマイザーと組み合わせて使用することができ、それにより、全体的に要求される正味出力をもたらすことができる。例えば、機関車編成に対して4のノッチ動力設定を旅行計画が推奨すると仮定する。列車の位置に基づいて、車両編成オプティマイザーはこの情報を得て、その後、車両編成における各機関車のノッチ動力設定を決定する。この実施において、列車内の通信チャネルにわたるノッチ動力設定の効率が改善される。更に、上述のように、この構成の実施は分散制御システムを利用して実行され得る。
【0066】
加えて、本発明の主題の一実施形態において、本明細書に記載される旅行オプティマイザーアルゴリズムは、旅行の期間にわたって、エンジンがあまり効率の良くないモード(バッテリーの引き抜き(drawing)と合わせた内燃機関エンジンのピーク動力など)で動作することを強制し得る。そのような動作は、損失時間を補うこと、或いは、内燃機関エンジン単独により提供され得る付加的な加速性能を提供することであり得る。しかし、そのような実施形態において、短期間での効率の減少が生じ得るが、全体的な効率は、旅行オプティマイザーが計画された旅行中に効率の組み合わせを十分に考慮することから、改善される。
【0067】
更に、前述のように、制御アルゴリズムは、来たる対象のアイテム、例えば限定されないが、踏切、等級変化、接近側線(approaching siding)、接近デポヤード(depot yard)、及び、車両編成における各機関車は異なる制動オプションを要求し得る接近燃料ステーションに基づいて列車編成がいつどの動力源を使用するのかに関して、既存の旅行計画の連続的な校正及び修正、或いは完全な再計画のために使用される。例えば、列車が(起こり得る例外を除いて、より高い高度及びより低い温度において)丘に近づきつつある場合、先頭の機関車にはバッテリーから動力が供給され得る一方で、丘の頂上に達していない遠隔の機関車は動作状態のままであり且つエンジンから動力を供給されなければならない。
【0068】
開示された方法及び装置に対する技術的な貢献は、ハイブリッド推進システムを作動し且つナビゲーションデータベースシステムにアクセスするように構成されたコンピュータ、及び前記システムを使用する方法を提供することである。
【0069】
本発明の主題の一実施形態に従い、ハイブリッド推進システムを制御するためのシステムは、第1のエネルギー源及び第2のエネルギー源を含むハイブリッド推進システムのための予め決められた経路に関連付けられる高度及び地形の情報を得るようにプログラムされた、コンピュータを含む。コンピュータはまた、前記ハイブリッド推進システムの前記予め決められた経路に関連付けられる現在及び予測の周囲気候情報を得る;ハイブリッド推進システムの予め決められた経路に沿って高度及び地形に関連付けられる前記ハイブリッド推進システムの動力要求及びトルク要求を決定する;前記ハイブリッド推進システムが前記予め決められた経路に沿って移動するにつれて前記ハイブリッド推進システムの複数のパフォーマンスパラメータの少なくとも1つを最適化するために旅行計画を作成する;及び旅行計画に基づいて第1のエネルギー源及び/又は第2のエネルギー源を選択するようにプログラムされる。
【0070】
本発明の主題の別の実施形態に従い、ハイブリッド推進システムを制御する方法は、第1のエネルギー源及び第2のエネルギー源を含む前記ハイブリッド推進システムが移動するための予め決められた経路の高度及び地形の情報を得る工程を含む。前記方法はまた、前記ハイブリッド推進システムの前記予め決められた経路に沿って周囲気候情報を得る工程、ハイブリッド推進システムの予め決められた経路に沿って高度及び地形に関連付けられる前記ハイブリッド推進システムの動力要求及びトルク要求を決定する工程、前記ハイブリッド推進システムが前記予め決められた経路に沿って移動するにつれて前記ハイブリッド推進システムの複数の操作パラメータを最適化する旅行計画を作成する工程、及び前記旅行計画に基づいて第1のエネルギー源及び/又は第2のエネルギー源を優先的に選択する工程を含む。
【0071】
本発明の主題のまた別の実施形態に従い、推進システムは、送電線を介して前記推進システムを駆動させるべく動力を提供するためのハイブリッド動力源であって、内燃機関(IC)エンジン及び電気モーターを含んでおり、該ICエンジンは送電線に繋げられている、ハイブリッド動力源;前記電気モーターに繋げられたバッテリーのバンク;選択デバイス;及びコンピュータを含む。選択デバイスは、選択的に前記電気モーターを前記送電線に繋げるように配置される。
【0072】
前記推進システムはまた、第1のエネルギー源及び第2のエネルギー源を含む前記ハイブリッド推進システムに対して予め決められた経路に関連付けられる高度及び地形の情報を得るように、及び前記ハイブリッド推進システムの前記予め決められた経路に関連付けられる周囲気候情報を得るように構成される、コンピュータを含む。前記コンピュータはまた、前記ハイブリッド推進システムの前記予め決められた経路に沿って高度及び地形に関連付けられる前記ハイブリッド推進システムの動力要求及びトルク要求を決定するように、前記ハイブリッド推進システムが前記予め決められた経路に沿って移動するにつれて前記ハイブリッド推進システムの複数のパフォーマンスパラメータの少なくとも1つを最適化するために旅行計画を作成するように、及び前記旅行計画に基づいて第1のエネルギー源及び/又は第2のエネルギー源を優先的に選択するように構成される。
【0073】
本発明の主題は、経路ナビゲーションシステムに関連する実施形態を含む。本発明の主題は、ハイブリッド推進システムに対して最適化された旅行を作成するための方法に関連する実施形態を含む。
【0074】
更に、本発明の主題は非限定的な例として機関車のハイブリッドエンジンに関して記載される。しかし、当業者は、本明細書に例示される実施形態及び方法が一般的にハイブリッド推進システムに広く適用され得ることを認識する。このようなハイブリッド推進システムの例は、標準の機関車の車両編成内の全ての-バッテリー式機関車、即ち、バッテリー式電動機関車(BEL)設定を含み、そこではバッテリーが単一の機関車内に統合されていない。更に、「車両」は、本明細書全体に渡って、個々の統合ユニットとして、及び多数の機関車の集まりとして使用され、多数の機関車のうち1つ以上には、エンジン及びエネルギー貯蔵ユニットの両方を備えた1つの機関車に統合される又は統合されない場合があるエネルギー貯蔵装置が備わっている。「車両」の定義は付加的に大型トラックを指す場合があり、ここで、エネルギー貯蔵ユニットは、標準のカーゴトレーラー間でトラクターに接続されるトレーラーに配される場合があり、これにより実質的にトレーラーは「ロードトレイン」となる。言い換えれば、「ハイブリッド車両」の定義は、大型トラックの単一の動力ユニットに必ずしも統合される必要はなくむしろ別個の着脱可能な利点として存在できるエネルギー貯蔵ユニットを含む。更に、「車両」の定義は付加的に、トラック/OHV/自動車及び自律走行車を含む他の車両を指す場合がある。「高度及び地形」は、斜度、軌道の曲線半径などの、機関車が典型的にその上を移動する軌道に関連付けられる詳細を指し、且つそれらを含む。
【0075】
図5は、典型的に電気駆動システムを含む本発明の主題の様々な実施形態に使用される単一の車両編成及び大型機器へと統合される機関車に対する代表的なレイアウトを例示する。電気式ディーゼル機関車の例を参照すると、電気モーターは常に、バッテリーを含む又は含まない推進システムの一部である。電気駆動システムの例は典型的に、オルタネータに接続されるエンジン(内燃機関エンジン又はICエンジンなど)を含み、前記オルタネータは、列車のホイールを回転する(tum)のに要求される原動力を供給する電気トラクションモーターに順に(in tum)接続される。更に、後述のデバイス、システム、及び構成部品の様々な考えられ得る配置は、全ての予め決められた移動経路のための電気駆動の使用を反映する機関車又は大型オフロード車両の適用に典型的に関係する。
【0076】
図5を参照すると、本発明の主題の実施形態を組み込むハイブリッド推進システム(510)は、オルタネータ(517)に接続されるエンジン(516)を備えており、オルタネータ(517)は、機関車送電網上の電力を、多数の対応する送電線(512)及びスイッチング素子のバンク(520)を介して多数の電気(トラクション)モーター(18)に供給する。電気モーター(518)はまた、スイッチング素子のバンク(20)によりバッテリー又はバッテリー(22)のバンクに繋げられる。スイッチング素子のバンク(520)は、電気モーター(518)をエンジン(516)又はバッテリー(522)、或いはエンジン(516)及びバッテリー(522)の両方に選択的に繋げるスイッチ(524)(526)(528)のセットとして例示される。スイッチ(524)(526)(528)は、コンピュータ(532)に繋げられるコントローラ(538)によって選択的に制御される。
【0077】
図6は、車両編成内に別個のバッテリー式電動機関車を用いる代替的な実施形態である。本発明の主題のこの実施形態の例において、エンジン(516)は、例示されるように、送電線(512)によりオルタネータ(517)を介して電気モーター(518)に繋げられる。作動中、ハイブリッド推進システム(510)のスイッチ(524)(526)(528)は、電気モーター(518)を、オルタネータ(518)を介してエンジン(516)、バッテリー(522)のバンク、又はエンジン(516)とバッテリー(522)のバンクの両方に選択的に繋げることができる。故に、スイッチ(524)と(526)を閉じ且つスイッチ(528)を開くことにより、一例として、エンジン(516)は対応する電気モーター(518)に繋げられ、それに動力をもたらすことができる。独立的に、バッテリーコンパートメントにおいて、スイッチ(524)と(528)を閉じ且つスイッチ(526)を開くことにより、バッテリー(522)のバンクは対応する電気モーター(518)に繋げられ、そこから動力を直接引っ張ることができる。
【0078】
本発明の主題の別の代替的な実施形態において、例えば一部の乗用車では、エンジン駆動システムは機械駆動システムを用いる場合がある。本発明の主題の1つのそのような実施形態において、エンジン(516)は機械トランスミッションを介して電気モーター(518)に接続されてもよい。これらの実施形態において、スイッチ(524)(526)(528)は、電気モーター(518)に機械動力をもたらすように構成された機械クラッチやギヤトレーンなどである。
【0079】
図5と
図6は更に、ロケータ要素(534)、軌道特徴づけ要素(536)、及びセンサー(538)から情報を得るように構成されたコンピュータ(532)を例示する。制御アルゴリズム(540)がコンピュータ(532)内で作動し、本発明の主題の実施形態に従い旅行計画を作成するように構成される。ハイブリッド推進システムシステム(510)は軌道(542)上に位置決めされ、中央の又は路傍位置(544)から無線通信を介してハイブリッド推進システム(510)に情報が送信され得る。制御アルゴリズム(540)は、ハイブリッド推進システム(510)の計画された経路に沿った高度及び地形の情報に基づいて最適化された旅行計画を算出するために使用される。具体的に、本発明の主題の一実施形態において、制御アルゴリズムは、所定の総旅行時間を維持するために予め決められた移動経路に沿った所定の位置に関連付けられる、動力要求及びトルク要求を決定する。制御アルゴリズム(540)は、軌道(542)、移動経路に沿った様々な点での動力要求とトルク要求などの多数の低温燃焼条件、機関車の数、総合負荷などにも基づいて、最適化された旅行計画を算出する。制御アルゴリズム(540)はまた、ミッションの他の様々な目的を考慮し、前記ミッションは、様々な低温燃焼条件、総旅行時間、最大動力設定、最大速度制限、排気ガス、ハイブリッド推進システムのスロットル移行の量などの下での動力源の選択を含み得る。
【0080】
一例の実施形態において、旅行計画は、制御アルゴリズム(540)に設けられる仮定の単純化を伴う物理特性から導き出される非線形の微分方程式の解法として、ハイブリッド推進システム(510)が軌道(542)に沿って移動するにつれて列車挙動に対するモデルに基づいて確立される。制御アルゴリズム(540)は、ロケータ要素(534)、軌道特徴づけ要素(536)、予め決められた移動経路(552)(
図6)、動力要求モジュール(554)とトルク要求モジュール(556)、及び/又はセンサー(38)からの情報にアクセスして、燃料消費を最小限に抑える旅行計画を作成しつつ、排ガスを許容可能な基準内に維持して、望ましい旅行時間を確立し、及び/又は適切なクルー動作時間を確保する。
【0081】
コントローラ(530)は、旅行計画に従うように、制御アルゴリズム(540)に従いスイッチ(524)(526)(528)を制御し、エンジン(516)を送電線(512)及び電気モーター(518)に係合させ且つ送電線(512)及び電気モーター(518)から脱離させ、及び/又は、バッテリー(522)のバンクを送電線(512)に係合させ且つ送電線(512)から脱離させる。本発明の一実施形態において、コントローラ(530)が自動的に列車動作決定を行い、別の実施形態において、操作者が列車を旅行計画に従わせることに関与する場合がある。本発明の主題の一実施形態において、コントローラ(530)は典型的に、エンジンが一定の吸気条件と共に一定速度及び/又は動力で動作するような方法でバッテリーを利用する。一定速度及び/又は動力でのエンジンの1つの例となる及び非限定的な動作は更に、エンジン中の安定した低温燃焼を可能にする。
【0082】
本発明の主題の一実施形態に従い、旅行計画は、実行中にリアルタイムで修正されてもよい。故に、初期の計画は長距離が伴う場合に決定されるが、計画最適化制御アルゴリズム(540)の複雑性及び条件の変更に起因して、初期の計画が適宜修正される場合がある。制御アルゴリズム(540)はまた、中間地点で分割され得るミッションを区分けするために使用され得る。1つの制御アルゴリズム(540)のみを説明したが、1より多くの制御アルゴリズム(540)を連続して又は平行して使用してもよい。
【0083】
作動時、ハイブリッド推進システム(510)がその予め決められた経路に沿って移動すると、上記システムは、移動の経路に関連付けられる高度及び地形に応じて時々、低温燃焼条件に遭遇することもある。燃焼境界条件のわずかな変化がエンジンの不安定な操作を引き起こすため、低温燃焼条件は、エンジンの操作の正確な制御に対していくつかの課題を突きつける。燃焼境界条件の起こりうる変化は、圧力及び/又は温度及び/又は配合などの吸気条件の変化を含む。燃焼境界条件のさらなる変化は、燃料比及び回転速度などのエンジン動作条件の変化を含み得る。本発明の主題の一実施形態では、低温燃焼下のバッテリーを有するハイブリッドエンジンの制御戦略の一例は、旅行を事前に把握しておくこと、及び、旅行中にエンジンとバッテリーによって供給された動力及びトルクの対応する要求を把握しておくことを含む。旅行は低温燃焼の期間中に安定したエンジン操作を可能にするように計画及び制御され得る。
【0084】
本発明の主題の別の実施形態では、コンピュータ(532)によって取り入れられた制御戦略は、安定した低温燃焼を可能とする。典型的には、旅行に関する把握は、均質なチャージ、圧縮点火(HCCI)エンジンなどにおいて低温燃焼を安定化させるために、エンジン及びバッテリーの優先的な選択と組み合わされる。具体的には、安定した点で燃焼境界条件を維持するための制御戦略を用いることで、安定した低温燃焼を可能にすることができる。言い換えれば、バッテリーと共に旅行を事前に把握しておくことで、必要とされる電力及びトルクの変動に耐えて、所定の設定点でエンジンを作動させることができる。これにより、安定的なエンジン境界条件と、燃料供給、吸気温度、及び吸気圧力の正確な制御が可能となる。
【0085】
様々な先行技術の出版物は、複数のパラメーターがHCCIエンジンの燃焼の開始に影響を及ぼすことを認めている。このような認識されたパラメーターとしては、以下が挙げられる:燃料タイプ、圧縮比、吸気温度、給気中の酸素濃度、当量比、給気密度、及びブースト圧力。しかしながら、ハイブリッド推進システムのための予め決められた経路に関連付けられる高度及び地形の情報と一体化してHCCIエンジンにおける燃焼の開始を制御するためのシステム及び方法は、先行技術には存在しない。予め決められた経路の複数の位置に関連付けられる動力要求及びトルク要求を有効に決定し、ならびに、安定した低温燃焼及び/又は一定の総旅行時間を確実なものとするためにエンジンとバッテリー間で移行するためシステム及び方法も先行技術には存在しない。本発明の革新的な主題は、上記や先行技術の他の欠陥を排除するHCCI燃焼を用いるエンジンの操作の新しいシステム及び方法を提供する。
【0086】
図7は、ハイブリッド推進システム(510)(
図5)を制御するためのシステム(550)のブロック図の例を例示する。本発明の主題の一実施形態において、ハイブリッド推進システムは機関車である。ハイブリッド推進システム(510)は第1のエネルギー源(516)及び第2のエネルギー源(522)を含む。本発明の主題の実施形態の一例において、第1のエネルギー源はエンジンであり、第2のエネルギー源はバッテリーのバンクである。システム(550)は更に、ハイブリッド推進システム(510)に対して予め決められた経路(552)に関連付けられる高度及び地形の情報を得るようにプログラムされたコンピュータ(532)を含む。コンピュータ(532)は更に、ハイブリッド推進システムの予め決められた経路(552)に関連付けられる低温燃焼情報を得るようにプログラムされる。低温燃焼情報は動力要求(554)及びトルク要求(556)を含む。低温燃焼条件に関連付けられる動力要求(554)は、現在の動力要求であってもよく、同様に動力要求を予測するものであってもよい。同様に、低温燃焼条件に関連付けられるトルク要求(554)は現在のトルク要求であってもよく、同様にトルク要求(556)を予測するものであってもよい。
【0087】
コンピュータ(532)は更に、ハイブリッド推進システムが予め決められた経路(552)に沿って移動する際にハイブリッド推進システム(510)の多数のパフォーマンスパラメータを最適化する旅行計画(558)を作成し、且つ旅行計画(558)に基づいてエンジン又はバッテリーのバンク或いはその両方のいずれかを優先的に選択するようにプログラムされる。更に、コンピュータ(532)は、目的関数に基づいて旅行計画を作成するようにプログラムされ、多くの所望の因子、例えば、予め決められた経路(552)に沿った動力要求(554)及びトルク要求(556)、ハイブリッド推進システム(510)の動力要求及びトルク要求のためのエネルギー源としてエンジン燃料を利用する第1のエネルギー利用システムの実施形態の一例としてのエンジンの寿命、ハイブリッド推進システム(510)の動力要求及びトルク要求のためのエネルギー源としてバッテリーの第2のエネルギー利用システムの実施形態の一例としてのバッテリーのバンクの寿命、バッテリーのバンクの充電の状態、総旅行時間、最大電力設定、速度制限、及びハイブリッド推進システム(510)に規定される排気ガス制限などの決定に基づいて旅行プランを生成するようにプログラムされる。
【0088】
本発明の主題の一実施形態では、実施例及び非限定的なパフォーマンスパラメータは、総旅行時間(564)、燃料供給率(566)、及びエンジン速度(568)を含むエンジン動作条件(562)を含む。さらに、本発明の主題の別の実施形態では、パフォーマンスパラメータは、吸気条件(572)、例えば、吸気組成(574)、吸気圧力(576)、吸気温度(578)などを含むこともある。本発明の主題のさらに別の実施形態では、パフォーマンスパラメータはさらに、例として、限定されないが、機関車動力データ、回生制動特徴、機関車トラクション変速のパフォーマンス、出力動力に応じたエンジン燃料の消費、及びハイブリッド推進システムの冷却特性を含み得る。
【0089】
旅行計画(558)は、パラメータ、例えば、エンジンからの動力出力の割合、バッテリーのバンクからの動力出力の割合、組み合わされた動力出力に応じた両方の割合、機関車動力データ、車両トラクション変速のパフォーマンス、ハイブリッド推進システムの冷却特性、ハイブリッド推進システム(510)の動力要求及びトルク要求のためのエネルギー源としてエンジン燃料を利用する第1のエネルギー利用システムの実施形態の一例としてのエンジンの寿命、ハイブリッド推進システム(510)の動力要求及びトルク要求のためのエネルギー源としてのバッテリーの第2のエネルギー利用システムの実施形態の一例としてのバッテリーのバンクの寿命、バッテリーの充電の状態、総移動時間、最大電力設定、速度制限、及びハイブリッド推進システムの排気ガスなどを含む目的関数に基づいて典型的に生成される。
【0090】
本発明の主題の別の実施形態において、推進システムが第1の点から第2の点へと移動する間に生じる低温燃焼条件に基づいて、コンピュータ(532)に、旅行計画(558)を修正させることができる。コンピュータ(532)は、ハイブリッド推進システムから遠隔的に位置するコンピュータから、高度、地形、及び低温燃焼情報を得るように構成される。
【0091】
例示されるように、命令は、搭乗中に、又は命令を伴う配送センターなどの遠隔地から、旅行の計画に特異的に入力される。そのような入力情報は、限定されないが、列車位置、構成の説明(即ち、連続する1つ以上の機関車)、機関車動力の説明、回生制動特徴、機関車トラクション変速のパフォーマンス、出力動力に応じたエンジン燃料の消費、冷却特性、意図した旅行経路(標準の鉄道慣習に従う湾曲を反映するマイル標柱又は「有効な等級の」構成部品に応じた有効な線路等級及び湾曲)、車の組立て及び有効な抵抗係数と共に負荷をかけることにより表される列車、開始時刻及び位置、終了位置、望ましい総旅行時間、クルー(ユーザー及び/又は操作者)識別、クルーシフト満了時間、及び経路を含むがこれらに限定されない望ましい旅行パラメータを含む。
【0092】
このデータは、限定されないが、操作者により搭載ディスプレイを介してハイブリッド推進システム(510)へとデータを手動で入力すること、データを含むハードカード及び/又はUSBドライブなどのメモリデバイスを機関車に搭載されたレセプタクルに挿入すること、又は軌道信号装置及び/又は路傍デバイスなどの中央或いは路傍位置(544)(
図5に例示)から無線通信を介して情報をハイブリッド推進システム(510)に送信することなどの多くの方法でハイブリッド推進システム(510)に提供され得る。ハイブリッド推進システム(510)の負荷特性(例えば、抗力)は、経路(例えば、高度、低温燃焼、及びレール及び軌道車の条件を伴う)にわたり変化する場合があり、計画は、必要に応じて機関車/列車条件のリアルタイムの自動収集などにより前記変化を反映するように更新され得る。これは例えば、ハイブリッド推進システム(510)に搭載された又はその外部にあるモニタリング設備によって検出されたハイブリッド推進システム(510)の特徴の変化を含む。
【0093】
仕様データに基づいて、望ましい出発時間と終了時間を伴う、経路に沿って、速度制限の制約、排ガス制限、ハイブリッド推進システムの動力要求とトルク要求のためのエネルギー源としてエンジン燃料を利用する第1のエネルギー利用システムの実施形態の一例としてのエンジンの寿命、ハイブリッド推進システムの動力要求とトルク要求のためのエネルギー源としてのバッテリーの第2のエネルギー利用システムの実施形態の一例としてのバッテリーのバンクの寿命、バッテリーのバンクの充電の状態などを受けて燃料の使用を最小限に抑える最適な計画は、(48)の旅行動力源選択スケジュールを作成するために算出される。旅行動力源選択スケジュールは、本発明の主題の好ましい実施形態に従って、及び、後で説明されるように、動力源の優先的な選択が、ハイブリッド推進システム(510)の移動の経路に関連付けられる高度及び地形の予備的知識と、移動の経路に沿った動力要求及びトルク要求によって例示された対応する予想される低温燃焼条件とを活用することが偶然にも推奨される期間を含む。計画は、最大ノッチ動力及び制動設定、位置に応じた速度限界、及び予測される燃料使用と排ガス生成を含むがこれらに限定されない、距離及び/又は時間に応じて表される列車が従うべき最適速度及び動力(ノッチ)の設定、並びにそのような列車の動作限界と共に、エンジンとバッテリーとの間の選択スケジュールを含む。
【0094】
最適な動力源選択スケジュールを算出するために使用される手順は、パワーシーケンスを算出するための任意数の方法であり、前記パワーシーケンスは、機関車動作条件、ハイブリッド推進システムシステム(510)の動力要求とトルク要求のためのエネルギー源としてエンジン燃料を利用する第1のエネルギー利用システムの実施形態の一例としてのエンジンの寿命、ハイブリッド推進システムシステム(510)の動力要求とトルク要求のためのエネルギー源としてのバッテリーの第2のエネルギー利用システムの実施形態の一例としてのバッテリーの貯蔵所の寿命、バッテリーの貯蔵所の電荷の状態、排ガス、スケジュールの制約などを受けて燃料を最小限に抑えるようにハイブリッド推進システムシステム(510)を駆動させる。場合によっては、最適な動力源選択スケジュールは、列車構成、経路、及び環境の条件の類似性に起因して、以前に決定されたものに十分に近い場合がある。これらの場合、前記スケジュールは、以前に実施された旅行計画のデータベース内の駆動軌道を調査し、それを辿るのに十分であり得る。以前に算出された計画が利用可能でない又は適切でないと、新たな計画を算出するための方法は、限定されないが、列車の動作の物理特性に近似する微分方程式モデルを用いた最適な動力源選択スケジュールの直接的な算出を含む。セットアップは、例として、量的目的関数の選択、或いは総移動時間に相当するモデル変数の加重和(積分)、燃料消費率、最大動力設定、速度制限、排ガス生成、加えて、過度のスロットルの変動又は駆け引きを不利にするための項目を含む。
【0095】
任意の時点での目的の計画に応じて、この問題は、例として、排ガス及び速度の制限の制約を受けて燃料を最小限に抑える、或いは、燃料使用及び到達時間の制約を受けて排ガスを最小限に抑えるために柔軟にセットアップされ得る。例えば、総合的な排ガス又は燃料使用の制約なしに総移動時間を最小限に抑えるための目標をセットアップすることも可能であり、ここで、そのような制約の緩和は、ミッションに対して許容されるか、又は必要とされる。
【0096】
このモデルを用いて、最適制御の公式化が、速度制限及び最小と最大の動力(スロットル)設定を含むがこれらに限定されない制約を受けて量的目的関数を最小限に抑えるようにセットアップされる。任意の時点での目的の計画に応じて、この問題は、排ガス及び速度の制限の制約を受けて燃料を最小限に抑える、或いは、燃料使用及び到達時間の制約を受けて排ガスを最小限に抑えるように柔軟にセットアップされ得る。
【0097】
作動中、制御戦略は、ハイブリッド推進システム(510)が、低温燃焼条件(動力及びトルク)に少なくとも部分的に基づいて、エンジン(516)又はバッテリー(522)或いはその両方の何れかにより、その動力ならびにトルク要求を供給するのに適している。低温燃焼条件を前もって把握することで、消費燃料を減らし且つエンジン及び/又はバッテリーの寿命を延ばすためにバッテリー及び/又はエンジンの動力を優先的に使用する場所に導入することができる。
【0098】
特に、例示的なコンピュータ(532)は、来たる旅行及び移動経路に沿った予想される低温燃焼条件の知識を用いて、エンジン(516)及び/又はバッテリー(522)からの動力源及び/又はトルクを優先的に選択するようにプログラムされる。例えば、旅行に関連付けられる特定の標高又は高度の要件を把握することで、典型的に予め決められた経路(522)に沿った周囲気圧の指標を示すことができる。本発明の主題の一実施形態において、関連する制御戦略は、より高い標高でエンジンを比較的あまり動かさず、故に同じ条件でバッテリーを保存することを選択し得る。この結果、より高い標高がターボチャージャー及び他の構成部品に更に圧力をかけることからエンジン構成部品の摩耗が減少し得る。更に、エンジンは典型的により高い標高では効率的ではなく、それ故、エンジンよりバッテリーを使用することで結果的に燃料消費量を向上することができる。同様のトレードオフが、低温燃焼条件の変動に対して行われ得る。
【0099】
本発明の主題の一実施形態では、例示的な制御戦略は、高低温燃焼条件でバッテリーをそれほど動かさないことで、バッテリーの寿命を延ばすことであり得る。言い換えれば、必要とされる場合及び/又は温度が高すぎずない、あるいは低すぎない場合にのみ、所定の旅行はバッテリーを消費することができる。本発明の主題の別の実施形態では、採用される戦略は、吸気条件が一定のままである間、エンジンが一定速度及び/又は一定の電力で作動するように、バッテリーを動かすことであり得る。別の実施形態において、従来の別個のノッチ動力設定で作動する代わりに、コンピュータ(532)は、選択された動力源選択スケジュールに最適なものとして決定された連続動力設定を選択することができる。したがって、例えば、最適な動力源選択スケジュールが、ノッチ設定7で作動する代わりに6.8のノッチ設定を特定する場合、ハイブリッド推進システム(510)は、その効率をさらに改善するために6.8で作動することができる。
【0100】
本発明の主題の一実施形態の状況での排ガスへの言及は、窒素酸化物(NOx)、未燃炭化水素、微粒子などの形態で生成された漸増的な排ガスへと向けられる。旅行ミッション中の重要な目的が総合的な排ガスを削減することである場合、制御アルゴリズム(540)は、全体的な燃料効率の改善と合わせてこの旅行目的を考慮するように生成又は補正され得る。最適化セットアップにおける重要な順応性は、旅行目的の何れか又は全てが地理的領域又はミッションごとに変動し得るということである。例えば、優先度の高い列車について、最小時間は、優先度の高いトラヒックであることから1つの経路上での唯一の目的であり得る。別の例において、排ガス出力は、計画された列車経路に沿って状態ごとに変動し得る。
【0101】
更に
図7を参照すると、一旦最適化された旅行計画(558)が作成されると、動力コマンドが計画を進めるために作成される。動作のセットアップに応じて、本発明の主題の一実施形態において、1つのコマンドは、機関車が最適な速度を達成するように最適化された動力コマンドに従うためのものである。本発明の主題は、ハイブリッド推進システム(510)から成る機関車の車両編成からの実際の速度及び動力の情報を得る。最適化のために使用されるモデルにおける不可避の近似値に起因して、最適化された動力への校正の閉ループ計算が所望の最適な速度を追跡するために得られる。そのような列車動作限界の校正は、自動的に、又は、従来から列車の最終的な制御を行う操作者により行うことができる。
【0102】
作動中、制御アルゴリズム(510)は、更新により旅行パフォーマンスが改善される場合は常に、システム効率を連続してモニタリングし、且つ実際に測定された効率に基づいて旅行計画を連続的に更新する。既存の旅行計画の修正、又は完全な再計画の計算は、機関車内で完全に実施されるか、或いは、無線技術が計画をハイブリッド推進システム(510)に伝達するために使用される、運行指令センター又は路傍の処理施設などの遠隔地へと完全に又は部分的に移され得る。本発明の主題はまた、効率伝達関数に関する機関車フリートデータを開発するために使用可能な効率動向を作成することができる。フリート-ワイドデータは、初期の旅行計画を決定するときに使用され、及び、複数の列車の位置を考慮する際にネットワーク-ワイドの最適化トレードオフに対して使用され得る。
【0103】
日常動作における多数の事象が、現在実行中の計画を作成又は修正する必要性につながることもあり、その場合、同じ旅行目的を維持することが望ましく、列車が、別の列車との計画された接触又は通過に関して予定通りではない場合、遅れた時間を取り戻す必要がある。機関車の実際の速度、動力、及び位置を用いて、旅行計画の残りの部分に基づいて、計画された到達時間と現在の推定(予測)された到達時間とを比較する。時間差、ならびに(運行指令センター又は操作者により検出又は変更される)パラメータの差に基づいて、計画は調整される。この調整は、そのような計画からの逸脱がどのように対処されるべきかに関する鉄道会社の要望に従って、自動又は手動で行われ得る。計画が、限定されないが到達時間などに対して更新される場合は常に、付加的な変化は、例えば、元の計画を回復させる実現可能性に影響を及ぼし得る新たな将来の速度制限の変化において、同時に織り込まれる。そのような場合、元の旅行計画を維持できないか、即ち言い換えれば、列車が元の旅行計画目的を満たすことができない場合、本明細書で議論されるように、他の旅行計画が操作者及び/又は遠隔施設、或いは運行指令センターに提示され得る。
【0104】
既存の旅行計画の修正、又は完全な再計画は、本来の目的を変更することが望ましい場合にも行うことができる。そのような計画の修正、又は完全な再計画は、事前に計画された固定時間に、操作者又は運行指令センターの判断時に手動で、或いは、列車動作限界などの予め定めた制限が超過した場合には自動的に行うことができる。例えば、現在の計画実行が、特定の閾値、一例として30分など、を超えて遅れてなされている場合、本発明の主題の一実施形態において、新たなパラメータのセットに基づき、旅行の残りの部分に対する総燃料消費の最小化に再び基づく遅延を適応させるべく旅行を再計画することができる。再計画に対する他の要因も、動力編成の調子に基づいて想定することができ、これには、仮定された列車の負荷などにおける、到達時間、機器の故障及び/又は機器の一時的な不良(過度の高温又は低温での動作など)による馬力の損失、及び/又は全体のセットアップエラーの検出が含まれるが、これらに限定されない。即ち、変化が現在の旅行のための機関車パフォーマンスの障害を反映する場合、これらは、最適化に使用されるモデル及び/又は方程式へと織り込まれる。
【0105】
計画目的の変化はまた、1台の列車に対する計画が、別の列車が異なるレベルで目的及び仲裁を満たす能力を損なう、例えば、運行指令センターオフィスが必要な事象を調整する必要性から生じる場合がある。例えば、接触及び通過の調整は更に、列車間の通信を介して最適化され得る。故に、一例として、列車が接触及び/又は通過のための位置への到着に遅れていると把握する場合、他の列車からの通信は遅延した列車(及び/又は運行指令センター)に通知を行うことができる。その後、操作者は、コンピュータ(532)に遅延に関する情報を入力することができ、ここで、制御アルゴリズム(540)は列車の旅行計画を再計算し、計画された回生制動を利用しながら燃料消費を再び最適化及び最小化する。制御アルゴリズム(540)はまた、高レベル又はネットワーク-レベルで使用することができ、予定された接触及び/又は通過待ちの時間の制約が満たされていない場合に、運行指令センターにどの列車を減速又は加速させるべきかを決定させることができる。本明細書で議論されるように、このことは、各列車がどのようにしてその計画目的を変更すべきかを優先させるべく運行指令センターにデータを送信する列車によって達成される。選択は、状態に応じて、スケジュール又は燃料節約の利益のいずれかに依存し得る。
【0106】
手動又は自動的に開始された再計画の何れかについて、制御アルゴリズム(540)は操作者に1より多くの旅行計画を提示することができる。本発明の主題の実施形態の一例において、制御アルゴリズム(540)は典型的に、操作者に異なる動力源選択スケジュールを提示し、操作者が到達時間を選択し且つ対応する燃料及び/又は排ガスの影響を理解するのを可能にする。そのような情報はまた、代替案の単純リスト又は複数のトレードオフ曲線の何れかとして、同様の考慮のために運行指令センターに提供され得る。
【0107】
本発明の主題の一実施形態において、現在の計画及び/又は将来の計画に組み込むことができる列車及び動力の構成における主要な変化に対して学習し且つ適合する能力が依然として存在する。例えば、上述の要因の1つは馬力の損失である。経時的に馬力を構築すると、馬力の損失の後、又は旅行の開始時に、トランジション論理を利用して所望の馬力がいつ達成されるのかを判定する。
【0108】
確立された目的関数の組み合わせ、及び旅行計画を最適化するために使用されるハイブリッド推進システムのパフォーマンスパラメータの組み合わせにもかかわらず、総合的な燃料効率は、経路の一部の間に回生制動が生じるのを促すことによって改善され得る。したがって、旅行動力源選択スケジュールを計画する際、あるいは、既存の旅行計画を修正するか、完全に再計画する際、あるいは計画を調整する際、
図7において概説されるように、最適化された旅行動力源選択スケジュールが得られることもある。
【0109】
ここで
図8を参照すると、ハイブリッド推進システムを制御する方法は、本発明の主題の1つの好ましい実施形態に従って、方法(580)として例示される。方法(580)は、
図5及び
図6において例示されるように、ハイブリッド推進システム(510)について予め決められた経路(552)の高度及び地形の情報(582)を得ることによって始まる。上記方法(580)はさらに、ハイブリッド推進システム(510)の予め決められた経路(552)に沿って低温燃焼状態に関連付けられる動力要求及びトルク要求(584)を決定する工程を含む。具体的には、旅行の予め決められた経路に沿って所定の位置に関連付けられる能力要求及びトルク要求は、所定の総旅行時間を維持するように決定される。低温燃焼状態に関連付けられる動力要求は、現在の動力要求であってもよく、同様に動力要求を予測するものであってもよい。同様に、低温燃焼状態に関連付けられるトルク要求は現在のトルク要求であってもよく、同様にトルク要求を予測するものであってもよい。
【0110】
方法(580)は更に、ハイブリッド推進システム(510)が予め決められた経路(552)に沿って移動するにつれてハイブリッド推進システムシステム(510)における低温燃焼条件を安定させるために多数のパフォーマンスパラメータを最適化する旅行計画(586)を作成する工程を含む。方法(580)は、旅行計画を最適化する間に多数のパフォーマンスパラメータを管理し且つ考慮する工程を含む。一例の及び非限定的なパフォーマンスパラメータの管理は、吸気組成、吸気圧力、及び吸気温度を含む吸気条件(588)を管理することを含む。更に、同様の様式において、管理パフォーマンスパラメータは、総旅行時間、燃料比、及びエンジン速度を含むエンジン作動条件(592)を管理することを含む。
【0111】
本発明の主題の別の実施形態において、パフォーマンスパラメータの管理は更に、例として、機関車動力データ、回生制動特徴、機関車トラクション変速のパフォーマンス、出力動力に応じたエンジン燃料からの消費、及びハイブリッド推進システムの冷却特性の管理を含み得るがこれらに限定されない。得られた経路データは、第1の点から第2の点に単一の区間、或いは点間の複数の区間を含み得る。得られた経路データは、高度及び地形、或いは、本発明の主題により旅行計画を最適化するために抽出され且つ使用される等級情報を含み得る。
【0112】
旅行計画は典型的に、パラメータ、例えば、エンジンからの動力出力の割合、バッテリーのバンクからの動力出力の割合、組み合わせた動力出力に応じた割合、機関車動力データ、車両トラクション変速のパフォーマンス、ハイブリッド推進システムの冷却特性、ハイブリッド推進システムの動力要求とトルク要求のためのエネルギー源としてエンジン燃料を利用する第1のエネルギー利用システムの例の実施形態の一例としてのエンジンの寿命、ハイブリッド推進システム(10)の動力要求とトルク要求のためのエネルギー源としてバッテリーの第2のエネルギー利用システムの実施形態の一例としてのバッテリーの寿命、バッテリーの充電の状態、総旅行時間、最大動力設定、速度制限、及びハイブリッド推進システムの排気ガスなどを含む、目的関数に基づいて作成される。
【0113】
本発明の主題の一実施形態において、方法(580)は、最適化を制限する多くの目的旅行基準を得る工程を含む。目的旅行基準は、限定されないが旅行時間、最大動力設定、速度制限、排気ガス、及びハイブリッド推進システムのスロットルの駆け引きを含み得る。旅行計画はまた、バッテリーに貯蔵された動力を最適化するべく回生制動が生じるのを促す又は促進することによって、作成及び最適化され得る。そのような最適化は、旅行期間中のハイブリッド推進システムシステム(510)の運動量又は制動要件に関係なく、本発明の主題に従って行われ得る。言い換えれば、最適化された旅行計画は、例えば経路に沿った下り坂(downslopes or downgrades)の間にエネルギーが再生的に回復し得るように、ICエンジンを介して経路の平坦な部分での加速を要求し、あるいはICエンジンを介して丘を上って加速を要求し得る。最適化された旅行計画はまた、回生制動期間の前にバッテリーに適切な貯蔵容量が利用可能となるように、旅行の一部の間にバッテリーを引き下げる工程を含み得る。故に、旅行全体が燃料消費量に対して最適化され、燃料効率全体は、回生制動が伴わない旅行の一部の間に回生制動が生じるのを促す旅行計画を作成することにより改善することができ、一方で最優先の目的旅行基準を満たすことができる。
【0114】
方法(580)は更に、最適化された旅行計画(558)に基づいて要求された動力及び/又はトルクの潜在的なソースとして、工程(594)におけるようなエンジン及び/又はバッテリーを優先的に選択する工程を含む。本発明の主題の一実施形態において、バッテリーのバンクは、エンジンが一定速度及び/又は一定動力で作動することを可能にし、一方で吸気条件は一定のままである。別の実施形態において、従来の別個のノッチ動力設定で作動する代わりに、コンピュータ(532)は、選択された動力源選択スケジュールに最適なものとして決定された連続動力設定を選択することができる。故に、上述されたように、最適な動力源選択スケジュールが、ノッチ設定7で作動する代わりに6.8のノッチ設定を特定する場合、ハイブリッド推進システム(510)はその効率を更に改善するために6.8のノッチ設定で作動することができる。
【0115】
方法(580)におけるようなハイブリッド推進システムシステム(510)の制御は、推進システム(510)がその予め決められた経路(552)に沿って点間を移動する間に生じる低温燃焼条件に基づいて、既存の旅行計画を修正する又は旅行計画を完全に再計画することを含む。本発明の主題の一実施形態において、ハイブリッド推進システム(510)は機関車であり、制御方法(80)は適宜調整され得る。
【0116】
作動中、運行指令センターなどの遠隔施設は、本発明の主題の一実施形態に従い情報を提供することができ、それによって、工程(582)におけるような高度及び地形の情報及び工程(584)におけるような低温燃焼情報は、ハイブリッド推進システムから遠隔的に位置するコンピュータから得ることができる。例示されるように、そのような情報はコントローラ(530)に提供される。
【0117】
加えて、コントローラ(530)には、機関車モデリング情報データベース、軌道データベースからの情報、例えば限定されないが、軌道等級情報及び速度制限情報、推定列車パラメータ、例えば限定されないが、列車重量及び抵抗係数、燃料比推定器からの燃料比テーブル、及び、例えば回生制動中のバッテリー効率とエネルギーの回復を示す電池モデルが提供される。
【0118】
実際、典型的には、コントローラ(530)は計画者に情報を提供し、旅行計画が適宜算出される。一旦旅行計画が算出されると、計画は運転アドバイザー、運転手、又はコントローラ(530)に提供される。コントローラ(530)は、コントローラ(530)により実行されるような旅行計画に従いバッテリー(522)のバンクの蓄電と放電を制御するバッテリー管理モジュールに繋げられる。旅行計画はまた、他の新たなデータが提供された時に旅行を比較できるように、コントローラ(530)に提供される。
【0119】
本発明の主題の一実施形態において、コントローラ(530)は、ノッチ動力、即ち、事前に確立されたノッチ設定又は最適な連続ノッチ動力の何れかを自動的に設定できる。ハイブリッド推進システムシステム(510)への速度コマンドの提供に加えて、操作者が計画者により推奨されたものを観察できるようにディスプレイが設けられる。操作者はまた制御パネルにアクセスする。制御パネルを介して、操作者は、推奨されたノッチ動力を適用すべきかどうかを決定できる。この終わりに向かい、操作者は標的とされ且つ推奨された動力を制限し得る。即ち、いついかなる時も、機関車編成が作動するどんな動力設定をも上回る最終的な権威を、操作者が常に有している。このことは、冷たい又は熱い領域における動作から生じる様々な低温燃焼条件下でエンジン又はバッテリーからハイブリッド推進システム(510)に必要な動力及び/又はトルクを供給すべきかを決定することを含む。更に、路傍設備からの情報が列車に直接情報を送信することができず、及び代わりに操作者が路傍設備から視覚信号を確認する場合、操作者は、軌道データベース及び路傍設備からの視覚信号に含まれる情報に基づいてコマンドを入力する。
【0120】
ハイブリッド推進システム(510)がどのように機能するかに基づいて、燃料測定に関する情報が燃料比推定器に提供される。燃料の流れの直接測定は典型的に機関車編成では利用可能ではないため、旅行中の消費燃料に関する情報、及び将来の以下の最適な計画への予測は、最適な計画の開発に使用されるものなどの校正された物理特性モデルを使用して実行される。例えば、そのような予測は、限定されないが、測定された総合馬力、及び累積的な燃料の使用を導くための既知の燃料特徴の使用を含む。
【0121】
本発明の主題の一実施形態において、ハイブリッド推進システム(510)は、GPSセンサなどのロケータ要素の例を備えていてもよく、位置情報は列車パラメータ推定器に提供され得る。そのような情報は、限定されないが、GPSセンサデータ、牽引力/制動力データ、制動状況データ、速度、及び速度データの任意の変化を含み得る。等級に関する情報及び速度制限情報と共に、列車重量及び抵抗係数の情報がコントローラ(530)に提供される。
【0122】
本発明の主題により、最適化計画及び閉ループ制御実施の全体にわたる連続的に変動する動力の使用も可能となる。従来の機関車において、動力は典型的に8つの離散レベルに量子化される。現代の機関車は、前述の最適化方法へと組み込まれ得る、馬力における連続変動を実現することができる。連続的な動力により、ハイブリッド推進システム(510)は更に、例えば補助負荷及び送電欠損の最小化、及び最適効率のエンジン馬力領域の微調整によって、又は排ガスマージンが増加する点まで、動作条件を最適化することができる。例として、限定されないが、冷却システム欠損の最小化、オルタネータ電圧の調整、エンジン速度の調整、及び動力供給された車軸の数の減少が挙げられる。更に、ハイブリッド推進システム(10)は、標的燃料消費量/排ガスに対する最適効率を提供するべく補助負荷及び送電欠損を最小限に抑えるために、軌道データベース、及び予測されたパフォーマンス要件を使用することができる。例として、限定されないが、平らな地形上の動力供給された車軸の数の減少、及びトンネルに入る前の機関車エンジンの事前冷却が挙げられる。
【0123】
本発明の主題はまた、機関車パフォーマンスを調整するために、例えば列車が丘及び/又はトンネルに近づく場合に十分な速度であることを確保するために、軌道データベース及び予測されたパフォーマンスを使用する場合がある。例えば、このことは、最適な計画の一部となる特定の位置での速度制約として表すことができる。加えて、制御アルゴリズム(540)は、列車取り扱いの規則、例えば限定されないが、牽引力ランプレート、最大制動力ランプレートを組み込む場合がある。これらは、最適な旅行動力源選択スケジュールのための公式化へと直接組み込むことができ、或いは代替的に、目標速度を達成するべく動力の適用を制御するために使用される閉ループレギュレータへと組み込むことができる。
【0124】
好ましい実施形態において、制御アルゴリズム(540)は単に、列車編成の先頭の機関車にのみ設置される。しかし、多数の列車との相互作用は妨げられず、2つ以上の独立して最適化された列車が本発明の主題に従い制御され得る。
【0125】
分散動力源システムを有する列車が、様々な異なるモードで動作することができる。1つのモードは、列車中の全ての機関車が同じノッチコマンドに作動させるものである。故に、先頭の機関車が運転NSにコマンドを命じる場合、列車のユニットは全て運転NSの動力を生成するように命じられる。別の動作モードは「独立」制御である。このモードにおいて、列車全体にわたり分配される機関車又は機関車のセットは、異なる運転又は制動の動力にて動作することができる。例えば、列車が山頂に達すると、(山の下り坂にある)先頭の機関車は制動状態となり、一方で(山の上り坂にある)列車の中間又は端部にある機関車は運転状態となり得る。これを行うことで、鉄道車両及び機関車を接続する機械カプラに対する引張力が最小限に抑えられる。従来、「独立」モードでの分散動力源システムの作動は、操作者が先頭の機関車におけるディスプレイを介して各遠隔の機関車又は機関車のセットに手動で命令を送ることを必要としていた。物理特性ベースの計画モデル、列車セットアップ情報、搭乗中の軌道データベース、搭乗中の動作規則、位置決定システム、リアルタイムの閉ループ動力/制動の制御、及びセンサーフィードバックを使用して、システムは「独立」モードで分散動力源システムを自動的に操作する。
【0126】
分散動力源での作動時、先頭の機関車にいる操作者は、分散動力源制御要素などの制御システムを介して、遠隔車両編成で遠隔の機関車の作動機能を制御することができる。故に、分散動力源での作動時、操作者は、異なるノッチ動力レベルで動作するよう各機関車編成に命じることができ(或いは、1つの構成が運転状態となり、その他が制動状態となる)、ここで、機関車編成の個々の機関車はそれぞれ、同じノッチ動力で作動する。実施形態の一例において、列車に設置される制御アルゴリズム(540)により、好ましくは分散動力源制御要素と通信した状態で、遠隔の機関車編成に対するノッチ動力レベルが最適化された旅行計画により推奨されるように望まれると、制御アルゴリズム(540)は、実施のために遠隔の機関車編成にこの動力設定を通信する。同じことが制動に関しても言える。
【0127】
制御アルゴリズム(540)は、機関車が連続していない、例えば、1つ以上の機関車が最前にあり、その他が列車に対して中間及び後方にあるという車両編成と共に使用され得る。そのような構成は分散動力源と呼ばれ、ここで、機関車間の標準の接続は、機関車を外部に繋げるための無線リンク又は補助ケーブルにより置き換えられる。分散動力源での作動時、先頭の機関車にいる操作者は、分散動力源制御要素などの制御システムを介して、車両編成中の遠隔の機関車の作動機能を制御することができる。特に、分散動力での作動時、操作者は、異なるノッチ動力レベルで作動するよう各機関車編成に命じることができ(或いは、1つの構成が運転状態となり、その他が制動状態となる)、ここで、機関車編成の個々の機関車はそれぞれ、同じノッチ動力で作動する。
【0128】
本発明の主題の実施形態の一例において、遠隔の機関車編成に対するノッチ動力レベルが旅行計画により推奨されるように望まれると、制御アルゴリズム(540)は典型的に、実施のために遠隔の機関車編成にこの動力設定を通信する。同じことが制動に関しても言える。分散動力源で作動すると、前述の最適化問題は、遠隔のユニットの各々が先頭のユニットから独立して制御され得るという点で、付加的な自由度を可能にするべく改善され得る。この価値は、列車内の力を反映するモデルも含まれることを仮定すると、列車内の力に関する付加的な目的又は制約がパフォーマンス機能に組み込まれ得るというものである。故に、本発明の主題は、列車内の力に加えて燃料消費と排ガスをより良く管理するための複数のスロットル制御の使用を含み得る。そのような実施形態において、低温燃焼条件に対する許容を組み込む旅行最適化アルゴリズムは、例えば、エンジンから1つの機関車に動力を供給し、一方で同時に1つのバッテリーから別のバッテリーへと供給することによって全体的な燃料効率を向上させる。
【0129】
車両編成管理器を利用する列車の一例において、機関車編成における先頭の機関車は、同じ車両編成における他の機関車とは異なるノッチ動力設定で動作することができる。車両編成中の他の機関車は同じノッチ動力設定で動作する。本発明の主題は、車両編成中の機関車に対してノッチ動力設定及び回生制動コマンドを命じるために車両編成管理器と組み合わせて利用され得る。故に、本発明の主題に基づいて、及び一例として、車両編成管理器が機関車構成を2つの群、即ち先頭ユニットとトレールユニットとに分割することから、先頭の機関車は特定のノッチ動力で動作するよう命じられ、トレール機関車は別の特定のノッチ動力で動作するよう命じられる。実施形態の一例において、分散動力源制御要素は、この動作が収容されるシステム及び/又は装置であり得る。
【0130】
同様に、車両編成オプティマイザーが機関車と共に使用されると、制御アルゴリズム(540)は、機関車編成における各機関車のノッチ動力を決定するために車両編成オプティマイザーと組み合わせて使用することができ、それにより、全体的に要求される正味出力をもたらすことができる。例えば、機関車編成に対して4のノッチ動力設定を旅行計画が推奨すると仮定する。列車の位置に基づいて、車両編成オプティマイザーはこの情報を得て、その後、車両編成における各機関車のノッチ動力設定を決定する。この実施において、列車内の通信チャネルにわたるノッチ動力設定の効率が改善される。更に、上述のように、この構成の実施は分散制御システムを利用して実行され得る。
【0131】
加えて、本発明の主題の一実施形態において、本明細書に記載される旅行オプティマイザーアルゴリズムは、旅行の期間にわたって、エンジンがあまり効率の良くないモード(バッテリーの引き抜きと合わせた内燃機関エンジンのピーク動力など)で動作することを強制し得る。そのような動作は、損失時間を補うこと、或いは、内燃機関エンジン単独により提供され得る付加的な加速性能を提供することであり得る。しかし、そのような実施形態において、短期間での効率の減少が生じ得るが、全体的な効率は、旅行オプティマイザーが計画された旅行中に効率の組み合わせを十分に考慮することから、改善される。
【0132】
更に、前述のように、制御アルゴリズムは、来たる対象のアイテム、例えば限定されないが、踏切、等級変化、接近側線、接近デポヤード、及び、車両編成における各機関車は異なる制動オプションを要求し得る接近燃料ステーションに基づいて列車編成がいつどの動力源を使用するのかに関して、既存の旅行計画の連続的な校正及び修正、或いは完全な計画のために使用される。例えば、列車が(起こり得る例外を除いて、より高い高度及びより低い温度において)丘に近づきつつある場合、先頭の機関車にはバッテリーから動力が供給され得る一方で、丘の頂上に達していない遠隔の機関車は動作状態のままであり且つエンジンから動力を供給されなければならない。
【0133】
開示された方法及び装置に対する技術的な貢献は、ハイブリッド推進システムを作動し且つナビゲーションデータベースシステムにアクセスするように構成されたコンピュータ、及び前記システムを使用する方法を提供することである。
【0134】
本発明の主題の一態様に従い、ハイブリッド推進システムを制御するためのシステムは、第1のエネルギー源及び第2のエネルギー源を含むハイブリッド推進システムのための予め決められた経路に関連付けられる高度及び地形の情報を得るようにプログラムされた、コンピュータを含む。前記コンピュータはまた、前記ハイブリッド推進システムの前記予め決められた経路に沿って高度及び地形に関連付けられる動力要求及びトルク要求を決定するように、前記ハイブリッド推進システムが前記予め決められた経路に沿って移動するにつれて前記ハイブリッド推進システムにおいて複数のパフォーマンスパラメータの少なくとも1つを制御し且つ安定した低温燃焼を可能にするために旅行計画を作成するように、及び前記ハイブリッド推進システムの前記動力要求及び前記トルク要求のうち少なくとも1つを送達するために前記旅行計画に基づいて前記第1のエネルギー源及び前記第2のエネルギー源のうち少なくとも1つを優先的に選択するようにプログラムされる。
【0135】
本発明の主題の別の態様に従い、ハイブリッド推進システムを制御する方法は、第1のエネルギー源及び第2のエネルギー源を含む前記ハイブリッド推進システムが移動するための予め決められた経路の高度及び地形の情報を得る工程を含む。前記方法はまた、前記ハイブリッド推進システムの前記予め決められた経路に沿って高度及び地形に関連付けられる動力要求及びトルク要求を決定する工程、前記ハイブリッド推進が前記予め決められた経路に沿って移動するにつれて前記ハイブリッド推進システムにおいて複数のパフォーマンスパラメータの少なくとも1つを最適化し且つ安定した低温燃焼を可能にするために旅行計画を作成する工程、及び前記ハイブリッド推進システムの前記動力要求及び前記トルク要求のうち少なくとも1つを送達するために前記旅行計画に基づいて前記第1のエネルギー源及び前記第2のエネルギー源のうち少なくとも1つを優先的に選択する工程を含む。
【0136】
本発明の主題のまた別の態様に従い、ハイブリッド推進システムは、送電線を介して前記推進力システムを駆動させるべく動力を提供するためのハイブリッド動力源であって、内燃機関(IC)エンジン及び電気モーターを動力源含んでおり、該ICエンジンは送電線に繋げられている、ハイブリッド動力源;前記電気モーターに繋げられたバッテリーのバンク;選択デバイス;及びコンピュータを含む。選択デバイスは、選択的に前記電気モーターを前記送電線に繋げるように配置される。前記コンピュータは、第1のエネルギー源及び第2のエネルギー源を含む前記ハイブリッド推進システムに対して予め決められた経路に関連付けられる高度及びの情報を得るように、及び、前記ハイブリッド推進システムの前記予め決められた経路に沿って及び地形に関連付けられる動力要求及びトルク要求を決定するように、構成される。前記コンピュータはまた、前記ハイブリッド推進システムが前記予め決められた経路に沿って移動するにつれて前記ハイブリッド推進システムにおいて複数のパフォーマンスパラメータの少なくとも1つを制御し且つ安定した低温燃焼を可能にするために旅行計画を作成するように、及び、前記ハイブリッド推進システムの前記動力要求及び前記トルク要求のうち少なくとも1つを送達するために前記旅行計画に基づいて前記第1のエネルギー源及び前記第2のエネルギー源のうち少なくとも1つを優先的に選択するように構成される。
【0137】
本発明の主題は限定的な数の実施形態のみに関して詳細に記載されているが、本発明の主題はそのような開示された実施形態に制限されていないことは、容易に理解されるに違いない。むしろ、本発明の主題は、以前記載されていないが本発明の主題の趣旨と範囲に相応する、任意数の変形、変化、置換、又は同等物の構成を組み込むように修正することができる。加えて、本発明の主題の様々な実施形態が記載されてきたが、本発明の主題の態様は記載の実施形態の一部のみを含み得ることを、理解されたい。従って、本発明の主題は前述の説明によって制限されないが、添付の特許請求項の範囲によってのみ制限される。