(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】作業車両用表示制御装置及び作業車両
(51)【国際特許分類】
E02F 9/26 20060101AFI20240202BHJP
E02F 9/00 20060101ALI20240202BHJP
【FI】
E02F9/26 B
E02F9/00 C
(21)【出願番号】P 2020015816
(22)【出願日】2020-01-31
【審査請求日】2022-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 真
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-084838(JP,A)
【文献】特許第5482908(JP,B2)
【文献】特開平11-220802(JP,A)
【文献】特許第5938633(JP,B2)
【文献】特許第5912326(JP,B2)
【文献】特開2017-220091(JP,A)
【文献】実開昭59-050854(JP,U)
【文献】特開2018-061346(JP,A)
【文献】特許第5752532(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/42- 3/43
E02F 3/84- 3/85
E02F 9/00- 9/28
B60L 1/00- 3/12
B60L 7/00-13/00
B60L 15/00-15/42
H02J 7/00- 7/12
H02J 7/34- 7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置と、前記蓄電装置を充電するための複数の高電圧の充電系統とを有し、電動モータによる駆動力によって作業機又は走行装置の少なくとも一つが駆動される作業車両の作業車両用表示制御装置であって、
前記充電系統ごとの異常を検出する検出部と、
前記作業車両の作業又は走行の可否を判定する判定部と、
表示制御部と、
を備え、
前記表示制御部は、
前記作業車両が前記蓄電装置から前記電動モータへ電力を供給する稼働モードの際に、
前記検出部の検出結果に基づいて、前記充電系統ごとの異常の有無に応じて、前記充電系統ごとの異常の有無を示す充電可否表示が異なるように表示装置に表示させ、
前記判定部の判定結果に基づいて、作業又は走行の可否に応じて、作業又は走行の可否を示す動作可否表示が異なるように前記表示装置に表示させる、
作業車両用表示制御装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記充電系統ごとの温度、電圧及び電流の少なくともいずれかに基づいて、前記充電系統ごとの充電の可否を検出し、
前記表示制御部は、前記充電系統ごとの充電の可否に応じて、前記充電可否表示を異ならせる、
請求項1に記載の作業車両用表示制御装置。
【請求項3】
前記検出部は、前記充電系統への充電ケーブルの接続の有無を検出し、
前記表示制御部は、前記充電系統への充電ケーブルの接続の有無に応じて、前記充電可否表示を異ならせる、
請求項2に記載の作業車両用表示制御装置。
【請求項4】
前記検出部は、充電時に検出した前記検出結果を記憶部に保存し、
前記表示制御部は、前記作業車両の稼動時に、前記充電可否表示を表示させる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の作業車両用表示制御装置。
【請求項5】
前記判定部は、バッテリの温度、電圧及び電流、及び、放電系統の異常の有無、温度、電圧及び電流の少なくともいずれかに基づいて、前記電動モータの動作の可否を判定し、
前記表示制御部は、前記電動モータの動作の可否に応じて、前記動作可否表示を異ならせる、
請求項1から4のいずれか一項に記載の作業車両用表示制御装置。
【請求項6】
電動モータによる駆動力によって作業機又は走行装置の少なくとも一つが駆動される作業車両であって、
前記電動モータを駆動するための蓄電装置と、
前記蓄電装置を充電するための複数の高電圧の充電系統と、
表示装置と、
作業車両用表示制御装置と、
を備え、
前記作業車両用表示制御装置は、
前記充電系統ごとの異常を検出し、
前記作業車両が前記蓄電装置から前記電動モータへ電力を供給する稼働モードの際に、
検出結果に基づいて、前記充電系統ごとの異常の有無に応じて、前記充電系統ごとの異常の有無を示す充電可否表示が異なるように前記表示装置に表示させ、
前記作業車両の作業又は走行の可否を判定し、
判定結果に基づいて、作業又は走行の可否に応じて、作業又は走行の可否を示す動作可否表示が異なるように前記表示装置に表示させる、
作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業車両用表示制御装置及び作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、油圧ショベルなどの作業車両には、充電式のバッテリから供給される電力によって駆動するものがある。バッテリを複数の充電系統で充電するバッテリ駆動建設機械が知られている(例えば、特許文献1参照)。エンジン等の機器の状態を判定し、不調と判定されたときは、その不調をエネルギ表示画面に表示するハイブリッド式作業機が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-084838号公報
【文献】特開2015-017437号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の高電圧の充電系統を有する作業車両は、いずれかの充電系統において充電に支障がある異常が発生しても、充電に支障がない他の充電系統では充電可能である。ところが、いずれかの充電系統において充電に支障がある異常が発生した場合に、従来の作業車両においては「高電圧システムに異常がある」という表示がなされるだけであることが多いので、オペレータは故障の影響範囲を適切に認識することが難しい。このため、オペレータが、充電に支障がない他の充電系統で充電可能であると判断できずに、作業車両の運用を停止するおそれがある。
【0005】
本開示は、充電系統ごとの充電の可否、及び、作業又は走行の可否を表示させることができる作業車両用表示制御装置及び作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の態様に従えば、複数の高電圧の充電系統を有し、電動モータによる駆動力によって作業機又は走行装置の少なくとも一つが駆動される作業車両の作業車両用表示制御装置であって、前記充電系統ごとの異常を検出する検出部と、前記作業車両の作業又は走行の可否を判定する判定部と、前記検出部の検出結果に基づいて、前記充電系統ごとの異常の有無に応じて、前記充電系統ごとの異常の有無を示す充電可否表示を異ならさせ、前記判定部の判定結果に基づいて、作業又は走行の可否に応じて、作業又は走行の可否を示す動作可否表示を異ならせる表示制御部とを備える作業車両用表示制御装置が提供される。
【0007】
本開示の態様に従えば、充電式の作業車両の表示部と、上記の作業車両用表示制御装置とを備える作業車両が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、充電系統ごとの充電の可否、及び、作業又は走行の可否を表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る作業車両を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、作業車両のシステム構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、作業車両の表示装置の一例を示す概略図である。
【
図4】
図4は、作業車両の作業車両用表示制御装置を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、表示部コントローラの処理手順を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、本実施形態に係るコンピュータシステムを示すブロック図である。
【
図7】
図7は、作業車両の表示装置の他の例を示す概略図である。
【
図8】
図8は、普通充電系統に関する表示の一例を説明する図である。
【
図9】
図9は、急速充電系統に関する表示の一例を説明する図である。
【
図10】
図10は、電動モータの動作に関する表示の一例を説明する図である。
【
図11】
図11は、普通充電系統に関する表示の他の例を説明する図である。
【
図12】
図12は、急速充電系統に関する表示の他の例を説明する図である。
【
図13】
図13は、普通充電系統に関する表示の他の例を説明する図である。
【
図14】
図14は、急速充電系統に関する表示の他の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照してこの発明の実施の形態について説明するが、本開示はこれに限定されない。以下で説明する各実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0011】
[作業車両]
図1は、本実施形態に係る作業車両1を示す斜視図である。
図2は、作業車両1のシステム構成を示すブロック図である。作業車両1は、充電式の蓄電装置である蓄電池、例えば駆動用バッテリ31を有し、駆動用バッテリ31から供給される電力によって駆動する。作業車両1は、電動モータ32によって駆動される油圧システム20によって駆動される。作業車両1は、複数の高電圧の充電系統を有する。本実施形態では、複数の高電圧の充電系統として、急速充電系統と普通充電系統とを含む。本実施形態では、作業車両1は、小型の油圧ショベルである。以下の説明においては、作業車両1を適宜、油圧ショベル1という。作業車両1は、充電式の作業車両である。
【0012】
油圧ショベル1は、履帯を含む下部走行体2と、上部旋回体3と、ブレード4と、作業機5とを備える。下部走行体2の上側に、上部旋回体3が旋回可能に配置されている。下部走行体2の前側には、ブレード4がリフト動作可能に配置されている。ブレード4は、油圧アクチュエータによってリフト動作可能である。作業機5は、上部旋回体3の前側に配置されている。作業機5は、ブームと、アームと、バケットとを有する。作業機5は、ブームと、アームと、バケットとをそれぞれ個別の油圧アクチュエータによって駆動させることで掘削作業などを行う。なお、ブレードを有していない油圧ショベルでもよい。
【0013】
上部旋回体3には、オペレータシート6と、作業機レバー7と、走行レバー8と、ブームスイング用の図示しない操作ペダルとが配置されている。オペレータシート6の左側と右側とにそれぞれ作業機レバー7が配置されている。オペレータシート6の前側には、一対の走行レバー8やブームスイング用の操作ペダルが配置されている。なお、ブームスイングあるいは、操作ペダルを有していない油圧ショベルでもよい。
【0014】
油圧ショベル1は、例えばキャノピー仕様である。オペレータシート6の上側には、上部旋回体3に立設された2本の支柱11によって支持されるルーフ12が配置されている。走行レバー8の側方には、フロアに立設された支持アーム13に支持された表示装置50が配置されている。表示装置50はオペレータシート6の右側にあるコンソールに配置されてもよい。表示装置50は、オペレータから視認できる範囲内に設けられている。表示装置50については後述する。
【0015】
[作業車両の油圧システム]
油圧ショベル1は、油圧ショベル1を駆動する油圧システム20を有する。油圧システム20は、下部走行体2と上部旋回体3と作業機5とを駆動する。油圧システム20は、上部旋回体3に設けられた電動モータ32で発生した駆動力により駆動するメインポンプ21、流路を介してメインポンプ21と接続されているメインバルブ22、及び、メインポンプ21から供給された作動油に基づいて駆動する旋回モータ25と作業機シリンダ26、及び、下部走行体2に設けられた走行モータ23と走行モータ24とを有する。本実施形態における油圧ショベルは、電動モータで油圧システムを駆動させ作業機を駆動する電動ショベルである。
【0016】
メインポンプ21は、走行モータ23と走行モータ24と旋回モータ25と作業機シリンダ26との動力源である。メインポンプ21は、電動モータ32の出力軸と接続され、電動モータ32で発生した駆動力により作動する。
【0017】
走行モータ23と走行モータ24とは、油圧ショベル1を走行させるためのモータである。走行モータ23は、下部走行体2の一方の履帯を作動させる。走行モータ24は、下部走行体2の他方の履帯を作動させる。走行モータ23と走行モータ24とが駆動することにより、油圧ショベル1が走行する。
【0018】
旋回モータ25は、上部旋回体3を旋回させるためのモータである。旋回モータ25が駆動することにより、上部旋回体3が旋回する。
【0019】
作業機シリンダ26は、作業機5を作動するための油圧シリンダである。作業機シリンダ26は、作動油の流量に基づいて伸縮する。作業機シリンダ26が伸縮することにより、作業機5が作動する。
【0020】
[作業車両の電気系]
電動モータ32は、駆動用バッテリ31から供給される電力によって駆動する。油圧システム20を介して下部走行体2と上部旋回体3と作業機5とが駆動される。油圧ショベル1は、上部旋回体3に、駆動用バッテリ31と、電動モータ32と、電動モータ32へ電力を供給するインバータ33と、電源分配部40とコントローラ60と表示装置50とインバータ33とに電力を供給する、12V又は24Vの補器用バッテリ35と、電源分配部40とを備える。
【0021】
駆動用バッテリ31は、油圧ショベル1の駆動に要する電力を供給する。すなわち、駆動用バッテリ31は、高電圧の駆動用バッテリである。駆動用バッテリ31は、補器用バッテリ35の電圧よりも高圧の高電圧である。駆動用バッテリ31は、繰り返して充電が可能であり、例えば、夜間などに充電される。駆動用バッテリ31は、電源分配部40によって充電と放電とが制御される。
【0022】
駆動用バッテリ31には、センサ31sが配置されている。センサ31sは、駆動用バッテリ31の温度、電圧及び電流を検出する。センサ31sは、稼働モード又は普通充電モード又は急速充電モードである場合に、駆動用バッテリ31の情報であるバッテリ情報を検出可能である。センサ31sは、検出した駆動用バッテリ31の温度、電圧及び電流のバッテリ情報をコントローラ60へ出力する。
【0023】
電動モータ32は、メインポンプ21を駆動する駆動力を発生する。電動モータ32は、インバータ33から出力される電力により駆動する。電動モータ32の出力軸には、メインポンプ21が連結されている。
電動モータ32には、図示しないセンサが設置されている。センサは、検出した電動モータ32の温度、電圧、電流、回転数などの放電系統の情報をコントローラ60に出力する。放電系統の情報とは、放電を行なうのに関連する情報である。
【0024】
インバータ33は、電源分配部40を介して、駆動用バッテリ31から出力された直流電圧を交流電圧に変換して電動モータ32へ出力する。
インバータ33には、図示しないセンサが設置されている。センサは、検出したインバータ33の温度、電圧、電流などの放電系統の情報をコントローラ60に出力する。
【0025】
電源分配部40は、図示しないコンタクタなどのスイッチを有している。電源分配部40は、コントローラ60からの制御信号によりコンタクタを開閉し、駆動用バッテリ31の充電と放電のための高電圧回路の切替を制御する。電源分配部40には、駆動用バッテリ31を充電する充電回路と、駆動用バッテリ31から出力された電力をインバータ33へ供給する高電圧回路とを有する。充電回路は、急速充電モードにおいて急速充電を行う急速充電用高電圧回路と、普通充電モードにおいて普通充電を行う普通充電用高電圧回路とを含む。
【0026】
電源分配部40は、急速充電モードである場合、急速充電器111より駆動用バッテリ31に電力を供給し駆動用バッテリ31を急速充電できるように高電圧回路を形成する。電源分配部40は、急速充電インレット113iと駆動用バッテリ31との間に、急速充電用高電圧回路を開閉する急速充電用のコンタクタが配置されている。駆動用バッテリ31が急速充電される場合、急速充電用のコンタクタは、コントローラ60によって導通状態(閉じた状態又はON状態)とされる。駆動用バッテリ31が急速充電されない場合、急速充電用のコンタクタ66は、コントローラ60によって非導通状態(開いた状態又はOFF状態)とされる。
【0027】
電源分配部40は、普通充電モードである場合、商用電源100から普通充電器41を介して駆動用バッテリ31に電力を供給し駆動用バッテリ31を普通充電できるように高電圧回路を形成する。電源分配部40は、普通充電インレット102iと駆動用バッテリ31との間に、普通充電用高電圧回路を開閉する普通充電用のコンタクタが配置されている。駆動用バッテリ31が普通充電される場合、普通充電用のコンタクタは、コントローラ60によって導通状態とされる。駆動用バッテリ31が普通充電されない場合、普通充電用のコンタクタ66は、コントローラ60によって非導通状態とされる。
【0028】
電源分配部40は、稼働モードである場合、駆動用バッテリ31からインバータ33を介して電動モータ32へ電力を供給する。電源分配部40は、駆動用バッテリ31とインバータ33との間に、放電用高電圧回路を開閉する放電用のコンタクタが配置されている。駆動用バッテリ31から放電する場合、放電用のコンタクタは、コントローラ60によって導通状態とされる。駆動用バッテリ31から放電しない場合、放電用のコンタクタ66は、コントローラ60によって非導通状態とされる。
【0029】
電源分配部40には、種々のセンサ40sが配置されている。センサ40sは、急速充電用高電圧回路、普通充電用高電圧回路、及び、放電用高電圧回路のそれぞれにおいて、コンタクタの開閉状態を検出する開閉センサ、電圧を検出する電圧センサ、電流を検出する電流センサを有する。
【0030】
センサ40sは、急速充電用高電圧回路における開閉器としてのコンタクタの開閉状態、電圧及び電流を監視することによって、急速充電系統の高電圧回路の状態を検出する。センサ40sは、検出した急速充電系統の高電圧回路の情報をコントローラ60へ出力する。
【0031】
センサ40sは、普通充電用高電圧回路における開閉器としてのコンタクタの開閉状態、電圧及び電流を監視することによって、普通充電系統の高電圧回路の状態を検出する。センサ40sは、検出した普通充電系統の高電圧回路の情報をコントローラ60へ出力する。
【0032】
センサ40sは、放電用高電圧回路における開閉器としてのコンタクタの開閉状態、電圧及び電流を監視することによって、放電系統の高電圧回路の状態を検出する。センサ40sは、検出した放電系統の高電圧回路の情報をコントローラ60へ出力する。
【0033】
コントローラ60は、センサ等からの信号を受ける入力部601と、充電・動作判定部602と、出力部603と、記憶部604とを有する。入力部601は、センサ40s、センサ113s、センサ102s、普通充電器41、及び、急速充電器111などからの信号が入力される。充電・動作判定部602と、出力部603と、記憶部604とについては、後述する。
【0034】
[作業車両の充電]
油圧ショベル1は、複数の高電圧の充電系統を有する。本実施形態では、油圧ショベル1は、普通充電系統と、急速充電系統とを有する。より詳しくは、油圧ショベル1は、車体内に搭載された充電部である充電器、例えば普通充電器41による普通充電と、車外に設置された急速充電器111による急速充電とが可能である。なお、普通充電器41を車両の外に設けるようにしてもよいし、急速充電器111を車両内に設けてもよい。
【0035】
普通充電器41は、駆動用バッテリ31を普通充電する。普通充電器41は、電源分配部40に含まれる。なお、普通充電器41は、電源分配部40に含まれてなくてもよく、車両内に設けられていてもよい。また、普通充電器41は、車両の外に設けられていてもよい。普通充電器41は、普通充電インレット102iに、普通充電ケーブル102の普通充電コネクタ102cが接続されると、配電盤101と商用電源100とに接続される。配電盤101は、商用電源100から入力される単相200Vの電力を分配して、その一部の電力を普通充電ケーブル102を介して普通充電器41に供給する。普通充電器41は、入力される単相200Vの交流電力を駆動バッテリ31の充電に適した直流電力に変換する。普通充電器41は、駆動用バッテリ31を充電する。
普通充電器41には、図示しないセンサが設置されている。普通充電器41は、センサで検出した普通充電器41の温度、電圧、電流などの、普通充電を行うのに関連する情報である普通充電系統の情報をコントローラ60に出力する。
【0036】
普通充電インレット102iには、センサ102sが接続されている。センサ102sは、普通充電インレット102iへの、普通充電ケーブル102の普通充電コネクタ102cの接続の有無を検出する。センサ102sは、普通充電インレット102iにおける電圧、電流を監視することによって、普通充電系統の異常の有無や電力の供給の有無の状態を監視する情報を検出する。センサ102sは、電圧を検出する電圧センサ、電流を検出する電流センサを有する。センサ102sは、温度を検出する温度センサを有してもよく、この場合、普通充電インレット102iにおける温度を検出する。センサ102sは、検出した普通充電系統の情報をコントローラ60へ出力する。
【0037】
急速充電器111は、駆動用バッテリ31を急速充電する。急速充電器111は、例えば急速充電の開始操作と停止操作とを受け付ける、図示しない操作スイッチを有する。急速充電器111は、配電盤112と商用電源110とに接続される。配電盤112は、商用電源110から入力される3相200Vの電力を急速充電器111に供給する。急速充電器111は、急速充電ケーブル113の急速充電コネクタ113cが、油圧ショベル1の急速充電インレット113iに接続された状態で、急速充電の開始操作を受け付けると、入力される3相200Vの交流電力を急速充電に適した直流電力に変換して供給する。急速充電器111は、駆動用バッテリ31を充電する。
【0038】
急速充電インレット113iには、センサ113sが接続されている。センサ113sは、急速充電インレット113iへの、急速充電ケーブル113の急速充電コネクタ113cの接続の有無を検出する。センサ113sは、急速充電インレット113iにおける電圧、電流を監視することによって、急速充電系統の異常の有無や電力の供給の有無の状態を監視する情報を検出する。センサ113sは、電圧を検出する電圧センサ、電流を検出する電流センサを有する。センサ113sは、温度を検出する温度センサを有してもよく、この場合、急速充電インレット113iにおける温度を検出する。センサ113sは、検出した急速充電系統の情報をコントローラ60へ出力する。急速充電系統の情報は、急速充電を行うのに関連する情報である。
【0039】
[普通充電時の作業車両の制御系]
コントローラ60は、普通充電ケーブル102の普通充電コネクタ102cが普通充電器41へ接続されている普通充電インレット102iに接続されたことを検出すると、普通充電モードとなり、普通充電器41を起動して、普通充電器41から駆動用バッテリ31への普通充電を開始させる。なお、普通充電の開始は、オペレータによる図示しないスイッチの操作によって行うようにしてもよい。コントローラ60は、普通充電ケーブル102の普通充電コネクタ102cが普通充電インレット102iから取り外されたこと、又は駆動用バッテリ31が所定量に充電されたとき、例えば満充電になったこと、又は充電中に異常が発生したことを検出されたとき、又はオペレータによって充電をオフするときなどの場合、充電を停止する。なお、所定の充電時間が完了したことで充電を停止してもよい。
【0040】
[急速充電時の作業車両の制御系]
コントローラ60は、例えば急速充電ケーブル113の急速充電コネクタ113cが油圧ショベル1の急速充電インレット113iに接続された状態で、急速充電の開始操作を受け付けたことを検出すると、急速充電モードとなり、急速充電器111から駆動用バッテリ31への急速充電を開始させる。コントローラ60は、急速充電の停止操作を受け付けたこと、又は所定の充電時間が完了したこと、又は充電中に異常を検出すると、急速充電を停止させる。又は駆動用バッテリ31が所定量に充電されたとき、例えば満充電になったことで充電を停止してもよい。また、コントローラ60は、急速充電器111から急速充電ケーブル113を介して充電停止指令を通信や信号線で受信したことによって充電を停止してもよい。
【0041】
[作業車両の制御系]
油圧ショベル1は、コントローラ60によって制御される。コントローラ60には、キースイッチ34と、電源分配部40と、表示装置50とが接続されている。油圧ショベル1は、急速充電コネクタ113cと普通充電コネクタ102cが接続されていない状態でキースイッチ34をキーON(通電)すると、稼働モードで起動する。コントローラ60には、例えば作業機レバー7又は走行レバー8などから操作量が入力される。コントローラ60には、例えば電動モータ32に流れる電流値や、駆動用バッテリ31の電圧や温度、作動油温度などを検出する複数のセンサが接続されている。コントローラ60は、作業機レバー7又は走行レバー8などの操作レバーの操作量、センサが検出した検出値などに基づいて、電源分配部40を介して電動モータ32を作動させることにより、油圧ポンプのメインポンプ21を駆動制御する。メインポンプ21からの油圧により、下部走行体2を走行させたり、上部旋回体3を旋回させたり、作業機5などが各操作レバーの操作量に応じて作動する。なお、各操作レバーは操作量を電気信号で出力する電気式の操作レバーであってもよく、また油圧式の操作レバーでもよい。なお、油圧式の操作レバーにおいては、操作に応じてバルブを駆動し、メインポンプ21からの油を走行モータ23、走行モータ24や、旋回モータ25、作業機シリンダ26に供給するようにしてもよい。
【0042】
[作業車両の表示装置]
図3は、油圧ショベル1の表示装置50の一例を示す概略図である。表示装置50は、有機EL、液晶ディスプレイ画面などを用いて実現される。表示装置50は、油圧ショベル1の稼働中にモニタに表示される情報である稼働情報を含む各種情報を表示する表示画面としての表示部51と、オペレータによって各種の指示又は情報が入力される操作部52と、CPUなどを用いて実現され、表示装置50を制御する表示部コントローラ53とを有する。表示装置50には、コントローラ60が稼働モード又は普通充電モード又は急速充電モードである場合、補器用バッテリ35より電力が供給される。なお、操作部52はコンソール等、表示部コントローラ53はコントローラ60等のように表示装置50とは異なる箇所に設けられていてもよい。
【0043】
表示部51は、油圧ショベル1が稼働モードである場合、バックライトが常時点灯し、稼働情報を表示する。稼働情報は、例えば、累積稼働時間を示すサービスメータ、駆動用バッテリ31に関する稼働情報の駆動用バッテリ31の温度、バッテリ残量、推定稼働可能時間、作動油温度計、走行速度段モニタ、電気システム警告モニタ、モータ出力などである。これらの稼働情報は、コントローラ60から取得可能である。
【0044】
表示部51は、油圧ショベル1の普通充電モード又は急速充電モードである場合、充電中にモニタに表示される情報である充電情報を表示する。充電情報は、例えば、バッテリ残量、充電に関する経過時間や残り時間、普通充電中又は急速充電中であることを示す情報、充電の進捗を示す情報などである。充電情報は、コントローラ60から取得可能である。また、オペレータは操作部52を操作することで詳細情報、例えば駆動用バッテリ31の電圧や温度もしくは電流などを表示し確認することができる。
【0045】
なお、普通充電モード又は急速充電モードである場合とは、実際に充電している時間だけでなく、普通充電コネクタ102c又は急速充電コネクタ113cが充電インレットに接続されている時間も含んでもよい。また、普通充電コネクタ102c又は急速充電コネクタ113cを充電インレットから抜いて充電終了してからシャットダウンするまでの時間も含んでもよい。すなわち、オペレータが油圧ショベル1の作業機5等を稼働させて作業する以外の時間全体を含んでもよい。
【0046】
表示部51は、表示画面の上部に、普通充電系統の状態を通知する表示灯51aと、急速充電系統の状態を通知する表示灯51bと、電動モータ32の状態を通知する表示灯51cとを含む。表示灯51aと表示灯51bと表示灯51cとは、例えば、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)である。表示灯51aと表示灯51bと表示灯51cとは、表示部コントローラ53によって、点灯と非点灯とが制御される。表示灯51aは、例えば、普通充電が可能であるか否かを、発光する色を変えて通知する。表示灯51aは、普通充電系統の充電系統の異常の有無を示す充電可否表示を表示する。表示灯51bは、例えば、急速充電が可能であるか否かを、発光する色を変えて通知する。表示灯51bは、急速充電系統の充電系統の異常の有無を示す充電可否表示を表示する。表示灯51cは、例えば、電動モータ32が動作可能であるか否かを、発光する色を変えて通知する。表示灯51cは、電動モータ32の作業又は走行の可否を示す動作可否表示を表示する。また、各充電系統に異常がない場合や電動モータ32が動作可能である場合には、表示灯51a、表示灯51b、表示灯51cを点灯させず、各充電系統の充電に支障に異常がある場合や電動モータ32が動作可能でない場合には、表示灯51a、表示灯51b、表示灯51cを点灯させるようにしてもよい。またその逆でもよい。
【0047】
操作部52は、例えば表示部51の下側と右側とに配置された、液晶ディスプレイ上に重ねて配置されたタッチパネルである。
【0048】
表示部コントローラ53には、表示部51と操作部52とが接続されている。表示部コントローラ53は、操作部52に対する操作を検出した場合、操作情報を取得してコントローラ60へ出力する制御を行う。表示部コントローラ53は、油圧ショベル1が稼働モードである場合、コントローラ60を介して取得した稼働情報を表示部51に表示させる制御を行う。表示部コントローラ53は、油圧ショベル1が普通充電モード又は急速充電モードである場合、コントローラ60から取得した充電情報を表示部51に表示させる制御を行う。
【0049】
図4は、作業車両の作業車両用表示制御装置を示すブロック図である。作業車両用表示制御装置は、表示部コントローラ53と、コントローラ60(より詳しくは、充電・動作判定部602)とを含む。
【0050】
表示部コントローラ53は、操作部52と、コントローラ60から通知される、充電系統の異常の有無、及び、作業又は走行の可否の判定結果に応じて、表示を変えるように制御する。表示部コントローラ53は、表示情報取得部531と、表示制御部532とを有する。
【0051】
コントローラ60(より詳しくは、充電・動作判定部602)は、充電系統ごとの異常を検出する検出部、及び、作業又は走行の可否を判定をする判定部としての機能を実装する。言い換えると、充電・動作判定部602は、図示を省略するが、充電系統ごとの異常を検出する検出部と、作業又は走行の可否を判定をする判定部とを含む。
【0052】
コントローラ60(より詳しくは、充電・動作判定部602)は、充電系統ごとの充電情報に基づいて、充電系統の充電の可否を判定する。
【0053】
コントローラ60(より詳しくは、充電・動作判定部602)は、入力部601を介して受信したセンサ40sやセンサ113s、急速充電器111からの情報などからなる急速充電系統の情報に基づいて、急速充電系統の充電の可否を判定する。コントローラ60は、入力部601を介して受信したセンサ40s、センサ102s、普通充電器41からの情報などからなる普通充電系統の情報に基づいて、普通充電系統の充電の可否を判定する。
【0054】
急速充電系統の充電の可否とは、急速充電系統の情報が、急速充電に支障がある異常が発生したことを示す場合、急速充電系統による急速充電ができないとする。例えば、急速充電系統の温度、電圧及び電流の少なくともいずれかが、急速充電モードにおける許容される範囲から外れた場合、急速充電に支障がある異常が発生したとする。急速充電系統の情報が、急速充電に支障がある異常が発生していないことを示す場合、急速充電系統による急速充電が可能である。急速充電に支障がある異常が発生した後に、異常の発生が解消された場合、急速充電に支障がある異常が発生していない(解消した)ことが検出される。
【0055】
普通充電系統の充電の可否とは、普通充電系統の情報が、普通充電に支障がある異常が発生したことを示す場合、普通充電系統による普通充電ができないとする。例えば、普通充電系統の温度、電圧及び電流の少なくともいずれかが、普通充電モードにおける許容される範囲から外れた場合、普通充電に支障がある異常が発生したとする。普通充電系統の情報が、普通充電に支障がある異常が発生していないことを示す場合、普通充電系統による普通充電が可能である。普通充電に支障がある異常が発生した後に、異常の発生が解消された場合、普通充電に支障がある異常が発生していない(解消した)ことが検出される。
【0056】
コントローラ60(より詳しくは、充電・動作判定部602)の判定結果は、普通充電モード又は急速充電モードにおいてのみ判定され、稼働モードでは判定されない場合がある。例えば、普通充電モードにおいてのみ使用される普通充電用のコンタクタの異常については、普通充電モードにおいてのみ検出可能で、急速充電モード及び稼働モードでは検出できない場合がある。このため、オペレータが無人である場合が多い普通充電モード又は急速充電モードにおいてのみ検出できるような異常の情報について、稼働モードでオペレータに確実に伝達するために、コントローラ60(より詳しくは、充電・動作判定部602)は、判定結果を記憶部604に記憶してもよい。
【0057】
充電・動作判定部602は、コントローラ60が取得したバッテリ情報、放電系統の情報に基づいて、油圧ショベル1の作業又は走行の可否を判定する。充電・動作判定部602は、コントローラ60が取得したバッテリ情報、放電系統の情報に基づいて、電動モータ32の動作の可否を判定する。充電・動作判定部602は、駆動用バッテリ31の温度、電圧及び電流、及び、放電系統の温度、電圧及び電流、の少なくともいずれかに基づいて、電動モータ32の動作の可否を判定する。普通充電インレット102iへ普通充電コネクタ102cが接続されているかいなか、もしくは急速充電インレット113iへの急速充電コネクタ113cが接続されているかいなかを、放電系統の情報としてもよい。すなわち、普通充電インレット102iへの普通充電コネクタ102cの接続の有無の情報、もしくは急速充電インレット113iへの急速充電コネクタ113cの接続の有無の情報にも基づいて、電動モータ32の動作の可否を判定してもよい。充電・動作判定部602は、判定結果を記憶部604に記憶してもよい。
【0058】
油圧ショベル1の作業又は走行の可否は、電動モータ32の動作の可否によって決まる。電動モータ32が動作ができない場合、油圧ショベル1は、作業又は走行できない。電動モータ32が動作ができない場合とは、駆動用バッテリ31の異常、又は、例えばコンタクタの動作不良を含む高電圧回路の異常、又は物理的には電動モータ32は動作可能であっても作業機レバーの入力に異常がある場合など安全上電動モータを動作させることが許容できない場合などである。例えば、バッテリ情報、充電情報、又は放電情報の少なくともいずれかが、稼働モードにおける許容される範囲から外れた場合、電動モータ32が動作ができないこととする。電動モータ32が動作ができないと判定された後に、原因が解消された場合、電動モータ32が動作できる(解消した)と判定される。
【0059】
出力部603は、充電・動作判定部602の判定結果を、表示装置50の表示情報取得部531へ出力する。
【0060】
表示情報取得部531は、コントローラ60から、充電・動作判定部602の判定結果を取得する。表示情報取得部531は、コントローラ60からさらに複数の高電圧の充電系統への充電ケーブルの接続の有無の情報を取得してもよい。
【0061】
表示制御部532は、表示情報取得部531で取得されたコントローラ60の判定結果に基づいて、充電系統の異常の有無、及び、作業又は走行の可否に応じて、表示を異ならせる。表示制御部532は、充電系統の充電の可否に応じて、充電系統ごとの充電可否表示を異ならせる。より詳しくは、表示制御部532は、表示情報取得部531が取得した充電・動作判定部602の判定結果に基づいて、充電系統の異常の有無に応じて、充電可否表示である表示灯51a、表示灯51bを異ならせる。また、表示制御部532は、表示情報取得部531が取得した充電・動作判定部602の判定結果に基づいて、電動モータ32の動作の可否に応じて、動作可否表示である表示灯51cを異ならせる。
【0062】
表示制御部532は、普通充電系統の充電に支障がある場合と、支障がない場合とで、表示灯51aの表示態様である点灯状態を変えて表示する。表示制御部532は、普通充電系統の充電に支障がある場合、例えば、表示灯51aを赤色に点灯させて、普通充電できないことを表示する。表示制御部532は、普通充電系統の充電に支障がない場合、例えば、表示灯51aを緑色に点灯させて、普通充電可能であることを表示する。
【0063】
表示制御部532は、急速充電系統の充電に支障がある場合と、支障がない場合とで、表示灯51bの表示態様である点灯状態を変えて表示する。表示制御部532は、急速充電系統の充電に支障がある場合、例えば、表示灯51bを赤色に点灯させて、急速充電できないことを表示する。表示制御部532は、急速充電系統の充電に支障がない場合、例えば、表示灯51bを緑色に点灯させて、急速充電可能であることを表示する。
【0064】
表示制御部532は、充電系統の充電の可否と、さらに接続状態とに応じて、充電系統ごとの充電可否表示を異ならせてもよい。
【0065】
表示制御部532は、電動モータ32の動作が可能である場合と、可能ではない場合とで、表示灯51cの表示態様である点灯状態を変えて表示する。表示制御部532は、電動モータ32の動作ができない場合、例えば、表示灯51cを赤色に点灯させて、動作できないことを表示する。表示制御部532は、電動モータ32の動作が可能である場合、例えば、表示灯51cを緑色に点灯させて、動作できることを表示する。
【0066】
表示制御部532は、電動モータ32の動作の可否と、さらに動作状態とに応じて、動作可否表示を異ならせてもよい。電動モータ32の動作ができない場合、例えば表示灯51cを赤色に点灯させて動作できないことを示し、電動モータ32の動作が可能である場合、例えば、表示灯51cを緑色に点灯させて動作が可能であることを示し、さらに電動モータ32が動作中の場合、例えば、表示灯51cを緑色で点滅表示させて動作中であることを示してもよい。または、電動モータ32の動作ができない場合、例えば表示灯51cを赤色に点灯させて動作できないことを示し、電動モータ32の動作が可能である場合、例えば、表示灯51cを点灯させずに異常がないこと(動作が可能であること)を示し、さらに電動モータ32が動作中の場合、例えば、表示灯51cを緑色に点灯させて動作中であることを示してもよい。なお、これらの表示灯51cによる表示は一例であって、限定されるものではない。
【0067】
表示制御部532は、表示情報取得部531の取得結果に基づいて、充電系統ごとの充電の可否、及び、作業又は走行の可否に応じた表示をさせる。
【0068】
[表示装置における処理]
油圧ショベル1における、表示装置50の表示部コントローラ53による処理について説明する。
図5は、表示部コントローラ53の処理手順を示すフローチャートである。油圧ショベル1が稼働モードである場合、
図5に示す処理が実行される。
【0069】
表示部コントローラ53は、表示情報取得部531の取得結果に基づいて、電動モータ32の動作に支障がある異常があるか否かの表示を切り替えを判断する(ステップS101)。より詳しくは、表示部コントローラ53は、コントローラ60から通知された判定結果が「電動モータ32の動作に支障がある異常がある」であった場合(ステップS101でYes)、ステップS102に進む。表示部コントローラ53は、コントローラ60から通知された判定結果が「電動モータ32の動作に支障がある異常がない」であった場合(ステップS101でNo)、ステップS103に進む。
【0070】
コントローラ60から通知された判定結果が「電動モータ32の動作に支障がある異常がある」であった場合(ステップS101でYes)、表示部コントローラ53は、表示制御部532によって、電動モータ32の動作に支障があることを表示させる(ステップS102)。より詳しくは、表示制御部532によって、表示灯51cを赤色に点灯させて、動作できないことを表示させる。オペレータは表示灯51cの点灯状態によって、電動モータ32を動作できないことを確認可能である。表示部コントローラ53は、ステップS104に進む。
【0071】
コントローラ60から通知された判定結果が「電動モータ32の動作に支障がある異常がない」であった場合(ステップS101でNo)、表示部コントローラ53は、表示制御部532によって、電動モータ32の動作に支障がないことを表示させる(ステップS103)。より詳しくは、表示制御部532によって、表示灯51cを緑色に点灯させて、動作できることを表示させる。オペレータは表示灯51cの点灯状態によって、電動モータ32が動作できることを確認可能である。表示部コントローラ53は、ステップS104に進む。
【0072】
表示部コントローラ53は、表示情報取得部531の取得結果に基づいて、急速充電系統の充電に支障がある異常があるか否かの表示を切り替えを判断する(ステップS104)。より詳しくは、表示部コントローラ53は、コントローラ60から通知された判定結果が「急速充電系統の充電に支障がある異常がある」であった場合(ステップS104でYes)、ステップS105に進む。表示部コントローラ53は、コントローラ60から通知された判定結果が「急速充電系統の充電に支障がある異常がない」であった場合(ステップS104でNo)、ステップS106に進む。
【0073】
コントローラ60から通知された判定結果が「急速充電系統の充電に支障がある異常がある」であった場合(ステップS104でYes)、表示部コントローラ53は、表示制御部532によって、急速充電系統の充電に支障があることを表示させる(ステップS105)。より詳しくは、表示制御部532によって、表示灯51bを赤色に点灯させて、急速充電できないことを表示させる。オペレータは表示灯51bの点灯状態によって、急速充電できないことを確認可能である。表示部コントローラ53は、ステップS107に進む。
【0074】
コントローラ60から通知された判定結果が「急速充電系統の充電に支障がある異常がない」であった場合(ステップS104でNo)、表示部コントローラ53は、表示制御部532によって、急速充電系統の充電に支障がないことを表示させる(ステップS106)。より詳しくは、表示制御部532によって、表示灯51bを緑色に点灯させて、急速充電できることを表示させる。オペレータは表示灯51bの点灯状態によって、急速充電できることを確認可能である。表示部コントローラ53は、ステップS107に進む。
【0075】
表示部コントローラ53は、表示情報取得部531の取得結果に基づいて、普通充電系統の充電に支障がある異常があるか否かの表示を切り替えを判断する(ステップS107)。より詳しくは、表示部コントローラ53は、コントローラ60から通知された判定結果が「普通充電系統の充電に支障がある異常がある」であった場合(ステップS107でYes)、ステップS108に進む。表示部コントローラ53は、コントローラ60から通知された判定結果が「普通充電系統の充電に支障がある異常がない」であった場合(ステップS107でNo)、ステップS109に進む。
【0076】
コントローラ60から通知された判定結果が「普通充電系統の充電に支障がある異常がある」であった場合(ステップS107でYes)、表示部コントローラ53は、表示制御部532によって、普通充電系統の充電に支障があることを表示させる(ステップS108)。より詳しくは、表示制御部532によって、表示灯51aを赤色に点灯させて、普通充電できないことを表示させる。オペレータは表示灯51aの点灯状態によって、普通充電できないことを確認可能である。表示部コントローラ53は、処理を終了する。
【0077】
コントローラ60から通知された判定結果が「普通充電系統の充電に支障がある異常がない」であった場合(ステップS107でNo)、表示部コントローラ53は、表示制御部532によって、普通充電系統の充電に支障がないことを表示させる(ステップS109)。より詳しくは、表示制御部532によって、表示灯51aを緑色に点灯させて、普通充電できることを表示させる。オペレータは表示灯51aの点灯状態によって、普通充電できることを確認可能である。表示部コントローラ53は、処理を終了する。
【0078】
[コンピュータシステム]
図6は、本実施形態に係るコンピュータシステム1000を示すブロック図である。上述のコントローラ60は、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。上述のコントローラ60の機能は、プログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、プログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、プログラムに従って上述の処理を実行する。なお、プログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0079】
このように、油圧ショベル1は、複数の高電圧の充電系統のうちのどの充電系統に異常が発生したのか判別できるように、充電系統ごとに通常とは異なる表示をさせる。油圧ショベル1は、作業又は走行の可否を判別できるように、作業又は走行が可能な場合、作業又は走行が不可能な場合などとは異なる表示をさせる。
【0080】
[効果]
本実施形態では、充電系統ごとに充電に支障がある異常の有無を検出する。本実施形態によれば、表示装置50に、充電系統ごとの充電の可否を表示させることができる。本実施形態では、表示装置50に、充電に支障がある充電系統は、通常とは異なる表示をさせることができる。本実施形態によれば、オペレータが、複数の高電圧の充電系統のうちのどの充電系統に充電に支障がある異常が発生したかを適切に確認することができる。本実施形態によれば、オペレータは、複数の高電圧の充電系統のうちの充電に支障がある異常が発生していない充電系統を使用して、油圧ショベル1を充電することができる。
【0081】
本実施形態は、作業又は走行が可能な場合、作業又は走行が不可能な場合などとは異なる表示を表示装置50にさせることができる。本実施形態によれば、オペレータは、表示装置50の表示を確認することによって、作業又は走行が可能か否かを容易に判断することができる。
【0082】
このように、本実施形態は、複数の高電圧の充電系統のうち1つの充電系統に異常が発生した場合、他の充電系統の異常の有無、及び、油圧ショベル1の作業又は走行の可否を確認することができる。本実施形態は、オペレータが故障の影響範囲を適切に確認することができる。本実施形態によれば、例えば、充電可能な充電系統によって充電しながら、油圧ショベル1を運用することができる。本実施形態によれば、例えば、油圧ショベル1が走行可能で、かつ、駆動用バッテリ31の電池残量が残っている場合、油圧ショベル1を走行させて、現場作業に支障がない位置まで移動させることができる。
【0083】
これに対して、複数の高電圧の充電系統のうち1つの充電系統に異常が発生した場合に、他の充電系統の異常の有無、及び、油圧ショベル1の作業又は走行の可否を確認することができない場合、油圧ショベル1の故障の影響範囲を適切に確認できない。このような場合、オペレータは、実際には他の充電系統によって充電可能であったり、油圧ショベル1が作業又は走行可能であったとしても、油圧ショベル1をすぐに運用休止する可能性が高い。このようにして、油圧ショベル1が現場から移動せずに運用休止した場合、油圧ショベル1が大きく重いので、修理のための搬出には、クレーン車、トラックなどのような、さらに大きな機材を要する。また、油圧ショベル1を搬出するまでの間、作業現場において他の車両や人の交通の妨げになったり他の作業に支障をきたしたりすることで、工期を遅延させる原因となる。このように、油圧ショベル1のような作業車両は、電気自動車などとは異なり、現場で作業を行う際に広範な関係者の作業に影響を与える。油圧ショベル1が不必要に休止することによって、広範な関係者の作業にも遅れを生じ、工期の遅延による経済的な損失も大きくなる。
【0084】
本実施形態によれば、稼働モードで油圧ショベル1を起動している際に、記憶部に保存された検出結果及び判定結果に基づいて、充電系統ごとの充電の可否、及び、作業又は走行の可否に応じた表示をさせることができる。稼働モードで、記憶部に保存された検出結果に基づいた充電系統ごとの充電の可否を確認できることで、稼働モードで運用しバッテリ残量が低下した後充電しようとした際に、当該の充電モードでの充電ができないことが発覚し、かつ使用可能な他方の充電系統での充電をおこなうためのバッテリ残量も残っていない、という状況に陥るおそれを防ぐことができる。
【0085】
<変形例1>
図7は、油圧ショベル1の表示装置50の他の例を示す概略図である。
図8は、普通充電系統に関する表示の一例を説明する図である。
図9は、急速充電系統に関する表示の一例を説明する図である。
図10は、電動モータ32の動作に関する表示の一例を説明する図である。充電可否表示には、充電系統ごとの充電の可否の表示に加えて、充電コネクタへの充電ケーブルの接続状態を同時に表示する。
【0086】
表示部51は、表示画面の左側部に、普通充電系統の状態を通知する表示部51dと、急速充電系統の状態を通知する表示部51eと、電動モータ32の状態を通知する表示部51fとを含む。表示部51dと表示部51eと表示部51fとは、表示部コントローラ53によって、表示が制御される。表示部51dは、充電可否表示を表示する。表示部51dは、例えば、普通充電が可能であるか否かを、普通充電アイコンの表示態様を変えて表示する。表示部51eは、充電可否表示を表示する。表示部51eは、例えば、急速充電が可能であるか否かを、急速充電アイコンの表示態様を変えて表示する。表示部51fは、動作可否表示を表示する。表示部51fは、例えば、電動モータ32が動作可能であるか否かを、電動モータアイコンの表示態様を変えて表示する。
【0087】
図8を用いて、普通充電アイコンの表示態様の変化の一例について説明する。普通充電アイコンは、充電に支障のある異常がある状態では、例えば、普通充電コネクタを模した画像に×を重畳した画像である。普通充電アイコンは、充電に支障がある異常がなく、充電ケーブルが接続されている状態では、普通充電コネクタを模した画像である。充電に支障がある異常がなく、充電ケーブルが接続されていない状態では、普通充電アイコンを表示しない。
【0088】
図9を用いて、急速充電アイコンの表示態様の変化の一例について説明する。急速充電アイコンは、充電に支障のある異常がある状態では、例えば、急速充電コネクタを模した画像に×を重畳した画像である。急速充電アイコンは、充電に支障がある異常がなく、充電ケーブルが接続されている状態では、急速充電コネクタを模した画像である。充電に支障がある異常がなく、充電ケーブルが接続されていない状態では、急速充電アイコンを表示しない。
【0089】
図10を用いて、電動モータアイコンの表示態様の変化の一例について説明する。電動モータアイコンは、電動モータ32の動作に支障のある異常がある状態では、例えば、電動モータ32を模した画像に×を重畳した画像である。電動モータアイコンは、電動モータ32の動作に支障がある異常がなく、電動モータ32の動作中は、電動モータ32を模した画像である。電動モータ32の動作に支障がある異常がなく、電動モータ32の停止中は、電動モータアイコンを表示しない。
【0090】
<変形例2>
図11は、普通充電系統に関する表示の他の例を説明する図である。
図12は、急速充電系統に関する表示の他の例を説明する図である。表示部51は、変形例1と同様に構成される。
【0091】
図11を用いて、普通充電アイコンの表示態様の変化の一例について説明する。普通充電アイコンは、充電に支障のある異常があり、充電ケーブルが接続されている状態では、例えば、普通充電コネクタを模した画像に×を重畳した画像である。普通充電アイコンは、充電に支障のある異常があり、充電ケーブルが接続されていない状態では、例えば、普通充電を示す文字は表示したまま普通充電コネクタを薄く表示した画像に×を重畳した画像である。普通充電アイコンは、充電に支障がある異常がない状態では、充電ケーブルが接続されていても、接続されていなくても、
図8と同様の態様である。
【0092】
図12を用いて、急速充電アイコンの表示態様の変化の一例について説明する。急速充電アイコンは、充電に支障のある異常があり、充電ケーブルが接続されている状態では、例えば、急速充電コネクタを模した画像に×を重畳した画像である。急速充電アイコンは、充電に支障のある異常があり、充電ケーブルが接続されていない状態では、例えば、急速充電を示す文字は表示したまま急速充電コネクタを薄く表示した画像に×を重畳した画像である。急速充電アイコンは、充電に支障がある異常がない状態では、充電ケーブルが接続されていても、接続されていなくても、
図9と同様の態様である。
【0093】
<変形例3>
図13は、普通充電系統に関する表示の他の例を説明する図である。
図14は、急速充電系統に関する表示の他の例を説明する図である。表示部51は、変形例1と同様に構成される。
【0094】
図13を用いて、普通充電アイコンの表示態様の変化の一例について説明する。普通充電アイコンは、充電に支障のある異常がある状態では、例えば、普通充電コネクタを模した画像に×を重畳した画像である。充電に支障がある異常がない状態では、普通充電アイコンを表示しない。
【0095】
図14を用いて、急速充電アイコンの表示態様の変化の一例について説明する。急速充電アイコンは、充電に支障のある異常がある状態では、例えば、急速充電コネクタを模した画像に×を重畳した画像である。充電に支障がある異常がない状態では、急速充電アイコンを表示しない。
【0096】
<その他の変形例>
油圧ショベル1は、キャノピー仕様に限定されず、窓やドアを有するキャブが搭載されたキャビン仕様にも適用可能である。
【0097】
また、上述した実施の形態では、作業車両の一例として油圧ショベル1について説明したが、本実施の形態を油圧ショベル以外の中型や大型の油圧ショベル、ホイールローダ、ブルドーザなど、他の作業車両に適用してもよい。なお、作業車両は走行装置及びバケット、ブレードなどの作業機を有している。
【0098】
なお、充電の実施形態について、上述では普通充電と急速充電の2種類の充電方式が可能と記載しているが、本開示はこれに限定されない。上述では商用電源について、普通充電では単相200V、急速充電では3相200Vと記載しているが、本開示はこれに限定されない。
【0099】
上記では、表示部コントローラ53、コントローラ60は別々のものとして記載されているが、本開示はこれに限定されない。表示部コントローラ53、コントローラ60が一体であってもよい。
【0100】
なお、作業車両は、作業機、走行モータ、旋回モータは少なくとも一部が油圧システムを介さずに電動アクチュエータのみで駆動される作業車両でもよい。この場合、電動アクチュエータには、駆動用バッテリ31から電力が供給される。作業車両は電動作業車両である。
【符号の説明】
【0101】
1…油圧ショベル(作業車両)、2…下部走行体、3…上部旋回体、4…ブレード、5…作業機、6…オペレータシート、7…作業機レバー、8…走行レバー、11…支柱、12…ルーフ、13…支持アーム、20…油圧システム、21…メインポンプ、22…メインバルブ、23…走行モータ、24…走行モータ、25…旋回モータ、26…作業機シリンダ、31…駆動用バッテリ、32…電動モータ、33…インバータ、34…キースイッチ、35…補器用バッテリ、40…電源分配部、41…普通充電器、50…表示装置、51…表示部、51a…表示灯(充電可否表示)、51b…表示灯(充電可否表示)、51c…表示灯(動作可否表示)、52…操作部、53…表示部コントローラ(作業車両用表示制御装置)、531…表示情報取得部、532…表示制御部、60…コントローラ(作業車両用表示制御装置)、601…入力部、602…充電・動作判定部(検出部、判定部)、603…出力部、604…記憶部、111…急速充電器。