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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 3/00 20060101AFI20240202BHJP
   B65D 43/04 20060101ALI20240202BHJP
【FI】
B65D3/00 B
B65D43/04
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020044081
(22)【出願日】2020-03-13
(65)【公開番号】P2021143015
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000145910
【氏名又は名称】株式会社尚山堂
(73)【特許権者】
【識別番号】000223193
【氏名又は名称】東罐興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 充広
(74)【代理人】
【識別番号】100171848
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 裕美
(72)【発明者】
【氏名】星川 豊宏
(72)【発明者】
【氏名】越智 亜希子
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-254806(JP,A)
【文献】特開平07-017554(JP,A)
【文献】米国特許第05588552(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 3/00
B65D 43/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙カップと、紙を基材として形成され前記紙カップの口部に着脱可能にセットされるカップ用蓋とを備える容器であって、
前記カップ用蓋は、
前記紙カップの前記口部の輪郭に略対応する輪郭形状を有する本体と、
前記本体に対して折り曲げ可能に接続され、前記本体を前記口部に対して前記口部を含む平面に沿った方向に位置合わせした状態で前記口部に取り付け可能にする複数の凸部と、
前記紙カップにセットされた前記本体を前記紙カップから外す際に外力を受ける引掛かり部と
を備え
前記複数の凸部は、前記本体から下側に延び前記口部の内側にはめ込まれる
容器
【請求項2】
前記引掛かり部は、前記本体の外周輪郭の外側に延びる拡張部であり、
前記拡張部は、前記紙カップに前記本体がセットされた場合に、前記口部を含む平面に沿った外方向に突出する、請求項1に記載の容器
【請求項3】
前記拡張部は、前記本体の外周輪郭に沿って複数個所に形成されている、請求項2に記載の容器
【請求項4】
前記拡張部は、前記複数の凸部のうち少なくとも1つの凸部の中に形成され、前記少なくとも1つの凸部を前記本体に対して折り曲げた際に前記外方向に突出する、請求項2及び3のいずれか一項に記載の容器
【請求項5】
前記引掛かり部は、前記本体の外周輪郭から内側に窪む凹部機能部である、請求項1に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙カップと、これに対して着脱可能なカップ用蓋とを備える容器に関し、特にカップ用蓋の着脱が簡単な容器に関する。
【背景技術】
【0002】
紙カップに対して着脱可能にした様々なカップ用蓋を含む容器が公知となっている(例えば特許文献1)。最近では、紙カップ中に具材を挿入し、プラスチック蓋で覆い、全体をシュリンクパックする製品も存在する。プラスチック蓋は、紙カップにしっかり固定されるという利点があるが、環境問題を配慮する観点で使用済み品の処理の負担が大きなものとなっている。
【0003】
紙カップに対して内容物を充填後に落し蓋式の紙蓋で覆い、使用時には、紙蓋に設けた把手を引っ張って紙蓋を紙カップから外すものが存在する(特許文献2)。このような紙蓋は、それ自体で紙カップ内に安定して支持されるものではなく、内容物がアイスクリームのような固形物又は半固形物の場合以外には使用に適さない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実用新案登録第3154695号公報
【文献】昭54-126960号公報
【発明の概要】
【0005】
本発明は、上記背景技術に鑑みてなされたものであり、紙カップと、これに対して安定して固定することができ簡易に取り外すことができるカップ用蓋備える容器を提供することを目的とする。
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る容器は、紙カップと、紙を基材として形成さ紙カップの口部に着脱可能にセットされるカップ用蓋とを備える容器であって、紙カップの口部の輪郭に略対応する輪郭形状を有する本体と、本体に対して折り曲げ可能に接続され、本体を口部に対して口部を含む平面に沿った方向に位置合わせした状態で口部に取り付け可能にする複数の凸部と、紙カップにセットされた本体を紙カップから外す際に外力を受ける引掛かり部とを備え、複数の凸部は、本体から下側に延び口部の内側にはめ込まれる
【0008】
上記容器では、カップ用蓋によって紙カップの口部を覆う際に、複数の凸部が紙カップの口部の内側に当接して、カップ用蓋の口部を含む平面に沿った方向に本体を位置合わせし、本体に対してカップ用蓋をセットする作業が容易になる。また、カップ用蓋を紙カップから外す際には、引掛かり部に指を当てて本体を口部から引き離すことで、カップ用蓋の口部からの分離が容易になる。
【0009】
本発明の具体的な側面によれば、上記容器において、引掛かり部は、本体の外周輪郭の外側に延びる拡張部であり、拡張部は、紙カップに本体がセットされた場合に、口部を含む平面に沿った外方向に突出する。この場合、引掛かり部は、紙カップの口部の外側にはみ出す突起であり、指をかけてカップ用蓋を外す作業が容易になる。
【0010】
本発明の別の側面によれば、拡張部は、本体の外周輪郭に沿って複数個所に形成されている。この場合、本体を掴むように外すことができ、外す際の作業性が高まる。
【0011】
本発明のさらに別の側面によれば、拡張部は、複数の凸部のうち少なくとも1つの凸部の中に形成され、少なくとも1つの凸部を本体に対して折り曲げた際に上記外方向に突出する。この場合、凸部が本体を紙カップの口部に位置合わせしている箇所に拡張部が形成され、拡張部に指を当てて本体を口部から引き離す作業が安定する。
【0012】
本発明のさらに別の側面によれば、引掛かり部は、本体の外周輪郭から内側に窪む凹部機能部である。この場合、凹部機能部を凹部にしてこの凹部に指先を差し込んで本体とともに引き抜くようにしてカップ用蓋を外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態の容器の外観を説明する斜視図である。
図2】(A)は、シュリンクラップを除いた容器の平面図であり、(B)は、(A)に示す容器の側面図である。
図3】(A)は、容器の側面図であり、(B)は、(A)に示す容器の底面図である。
図4】(A)は、カップ用蓋の平面図であり、(B)は、カップ用蓋の側面図であり、(C)は、カップ用蓋の底面図である。
図5】(A)は、カップ用蓋の展開図であり、(B)は、紙カップの一部破断側面図である。
図6】(A)は、第2実施形態の容器の平面図であり、(B)は、容器の側面図である。
図7】(A)は、カップ用蓋の平面図であり、(B)は、カップ用蓋の側面図であり、(C)は、カップ用蓋の底面図である。
図8】(A)は、凹部を形成したカップ用蓋の平面図であり、(B)は、凹部を形成したカップ用蓋の側面図である。
図9】カップ用蓋の展開図である。
図10】(A)は、第3実施形態のカップ用蓋の展開図であり、(B)は、(A)に示すカップ用蓋の変形例を説明する展開図である。
図11】第4実施形態のカップ用蓋の展開図である。
図12】(A)は、図11に示すカップ用蓋の変形例を説明する展開図であり、(B)は、(A)に示すカップ用蓋の使用状態を説明する側面図である。
図13】(A)~(D)は、図11(A)に示すカップ用蓋のさらなる変形例を説明する展開図である。
図14】(A)及び(B)は、変形例のカップ用蓋を説明する側面図である。
図15】変形例の容器を説明する側面図である。
図16】変形例のカップ用蓋を説明する平面図である。
図17】変形例の容器を説明する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔第1実施形態〕
以下、図面を参照して、第1実施形態に係る容器及びこれを構成するカップ用蓋について説明する。
【0017】
図1に示すように、容器100は、飲み物の器状の外形を有する紙カップ10と、その開口10aを覆うカップ用蓋20とを備え、透明なシュリンクラップ30内に全体が封入されている。つまり、シュリンクラップ30は、紙カップ10とカップ用蓋20とを包みこんで一体化するように固定している。シュリンクラップ30は、容器100内を衛生面で良好な状態に保つ。
【0018】
図2(B)、図3(B)等に示すように、紙カップ10は、紙製であり、下端に向かって狭まるテーパー状の外側面を有する胴部12と、胴部12の下端側に固定された平坦な円形の底紙14とを有する。胴部12の下端部12aは、底紙14と連結・接合されて円筒状又は高台状となっている。胴部12や底紙14は、紙製であり原料紙を打ち抜いた型紙から形成したものである。胴部12や底紙14は、紙を基材として形成されたものであればよく、例えば片面又は内側面に樹脂フィルムを張り付けて形成することもできる。胴部12の側面には、印刷領域PA1が設けられているが、印刷領域PA1は、必須のものではない。
【0019】
図2(A)、図2(B)等に示すように、カップ用蓋20は、紙カップ10の口部10bに着脱可能にセットされている。カップ用蓋20は、平面視で、紙カップ10の口部10bに対応する略円形の輪郭を有し、側面視で、紙カップ10の口部10bと略同じ高さ位置に延びる薄板状である。カップ用蓋20において、外観上に現れている主な部分は、紙カップの口部10bの輪郭に略対応する輪郭形状を有する本体28である。本体28は、紙カップの口部10bの上端に載ったような状態となっており、後述する4つの支持凸部22を口部10bの内側に嵌め込むようにして取り付けられている。本体28の大きさは、支持凸部22を口部10b内に嵌め込むことが可能であれば、紙カップ10の口部10bの内径より多少大きくてもよい。なお、カップ用蓋20には、外周の4箇所において、細い弓型の凹所又は隙間20aが形成されており、4つの取付用の支持凸部22に対応する。また、カップ用蓋20には、外周の1箇所において、湾曲した細い帯状の拡張部24が形成されている。拡張部24は、本体28の外周輪郭CO1の外側に延びている。拡張部24は、本体28が延びるXY平面の方向又は横方向において、紙カップ10の口部10bの外側に張り出した状態となっているが、紙カップ10の口部内径よりも大きく、シュリンクラップ30を破らない程度に紙カップ10のカール部31cからはみ出していればよい。
【0020】
図4(A)~4(C)を参照して、カップ用蓋20の詳細について説明する。カップ用蓋20は、紙製であり原料紙を打ち抜いた型紙から形成したものである。カップ用蓋20は、紙を基材として形成されたものであればよく、紙のみで形成することができるが、表裏に樹脂フィルムを張り付けて形成することもできる。カップ用蓋20は、紙カップ10の口部10bの輪郭に略対応する円形に近い輪郭形状を有する本体28と、本体28の外周の4箇所から下側(-Z側)に延びる略四角形の4つの支持凸部22と、本体28の外周において隣接する2つの支持凸部22の間に形成され、本体28が延びるXY平面の方向に帯状で一定の幅を有する円弧状の拡張部24とを備える。拡張部24の周方向の長さに制限はないが、開封する利用者の指がかかる程度以上の広さは機能上必要ない。本体28の上面には、利用者に情報を提供するための印刷領域PA2が設けられているが、印刷領域PA2は、必須のものではない。
【0021】
本体28は、平坦な板状の部分である。4つの支持凸部22は、本体28に対して折り曲げ可能に接続されている。具体的には、4つの支持凸部22は、本体28から一体的に下方向(紙カップ10の中心軸に平行なZ方向)に延びており、本体28を含む型紙を4つの折り目線FLの個所で直角程度に折り曲げたものである。4つの支持凸部22は、4等配で形成され、互いに90°ずれた配置とされている。4つの支持凸部22は、口部10bを含む平面に沿った方向(XY平面に平行な方向)に位置合わせした状態でカップ用蓋20を口部10bに取り付け可能にする。図示の例では、支持凸部22の傾斜角αが90°未満となるようにしているが、傾斜角αは、90°前後で適度に設定できる。傾斜角αが90°より大きい場合、支持凸部22をより折り曲げるようにして、支持凸部22を押し込むようにしてカップ用蓋20を紙カップ10にセットすることができ、カップ用蓋20の紙カップ10に対する固定を安定化させるバネ効果を持たせることができる。拡張部24は、本体28の外縁部28aを口部10bを含む平面に沿った方向(XY平面に平行な方向)に拡張したものであり、拡張部24は、紙カップ10に本体28や支持凸部22がセットされた場合に、口部10bの外周から口部10bを含む平面に沿った外方向に突出する。拡張部24は、紙カップ10に本体28がセットされている場合において、本体28を紙カップ10から外す際に、利用者の指から外力を受ける引掛かり部26である。つまり、拡張部24は、紙カップ10に本体28がセットされた場合に、口部10bを含む平面に沿った外方向に僅かに突出する。拡張部24が紙カップ10の口部10bの外側にはみ出す突起であることから、利用者の指をかけてカップ用蓋20を外す作業が容易になる。本体28の半径方向又は外方向に関する拡張部24の幅は、利用者の指が掛かれば足り、拡張部24の幅が過度に大きくなることを防止することにより、シュリンクラップ30の損傷防止を配慮しつつ容器100のサイズが大型化することを防止できる。
【0022】
図5(A)は、カップ用蓋20を展開した型紙を示している。各支持凸部22は、図4(B)に示すように折り目線FLに沿って直角程度に折り曲げられる。各支持凸部22の根元部22aに関して、本体28の外周輪郭CO1に沿った元幅W1は、複数の支持凸部22の外周輪郭CO1に沿った間隔W2よりも狭い。この場合、複数の支持凸部22を紙カップ10の口部10b内に収める作業が容易になり、複数の支持凸部22によって紙カップ10の口部10b周辺の変形を抑えることができる。支持凸部22の径方向の長さについては、カップ用蓋20の固定を安定させるようなものであれば足り、支持凸部22の径方向の長さを支持凸部22の周方向の長さより長くする必要はない。
【0023】
図5(B)は、紙カップ10を部分的に破断した側面図を示している。紙カップ10は、容器部31と外筒32とで構成されている。容器部31は、胴紙31aに底紙14を固定した一般的な紙コップと同様の構造を有する。外筒32は、胴紙31aとともに胴部12を構成し、上端及び下端において胴紙31aに固定されている。外筒32と胴紙31aとの間には、空間SPが形成され、紙カップ10内に充填した熱湯のその他の材料からの熱が利用者の指に伝わりにくくなっている。容器部31の上端には、カール部31cが形成され、口部10bを構成している。紙カップ10内の収納空間CSには、包装され或いは露出した状態の具材や調味料である、飲食物FDが収納されている。容器部31の内壁面31iには、浅い環状の窪み又は突起として、給湯指示線LHが形成されている。仮想線で示すカップ用蓋20に形成された支持凸部22の突出長さD1は、口部10bから内側の給湯指示線LHまでの高さ幅D2よりも短い。この場合、紙カップ10にお湯を注いだ後にカップ用蓋20を再度嵌め込んでも支持凸部22が湯に浸かることを防止できる。
【0024】
図2(A)に戻って、カップ用蓋20のうち本体28の外周輪郭CO1は、紙カップ10に本体28がセットされた場合に、複数の支持凸部22を除いた部分において、紙カップ10の口部10bに設けられたカール部31cの外径より内側に収まるとともに、紙カップ10の口部10b又はその頂部と略同じ形状以上に広がる。この場合、カップ用蓋20が紙カップ10の口部10bの奥に入り込むことを防止することができる。具体例では、外周輪郭CO1の円は、カール部31cの頂部TLの円と同程度のサイズに設定されている。
【0025】
図1等に示す容器100の製造方法について説明する。まず、紙カップ10を準備する。紙カップ10の製法は一般的なものであり、ここでは説明を省略する。次に、カップ用蓋20の用紙を準備し、表面に印刷を行って図5(A)に示すような輪郭形状に打ち抜いて型紙を得る。その後、カップ用蓋20の型紙の支持凸部22を機械又は手作業で折り曲げて、内容物たる飲食物FDを充填した紙カップ10の開口10aを塞ぐように口部10bにセットする。最後に、紙カップ10及びカップ用蓋20の連結体をシュリンクラップ30の素材で包み、熱による接着、収縮、及び溶断によってシュリンクラップ30によって紙カップ10及びカップ用蓋20を包みこんで一体化するように固定する。これにより、容器100が完成する。使用時又は開封時には、利用者がシュリンクラップ30を破断するようにはがし、紙カップ10からカップ用蓋20を外す。その後、飲食物FDの具材に熱湯を注いで調理の完了を待つ。この際、紙カップ10にカップ用蓋20を再度嵌め込んでもよいが、紙カップ10の口部10bを開放したままとしてもよい。
【0026】
以上で説明した第1実施形態のカップ用蓋20では、カップ用蓋20によって紙カップ10の口部10bを覆う際に、複数の凸部が紙カップ10の口部10bに当接して、カップ用蓋20の口部10bを含む平面に沿った方向に本体28を位置合わせし、本体28に対してカップ用蓋20をセットする作業が容易になる。また、カップ用蓋20を紙カップ10から外す際には、引掛かり部26に指を当てて本体28を口部10bから引き離すことで、カップ用蓋20の口部からの分離が容易になる。
【0027】
〔第2実施形態〕
以下、第2実施形態に係る容器及びこれを構成するカップ用蓋について説明する。第2実施形態に係るカップ用蓋等は、第1実施形態のカップ用蓋等を部分的に変更したものであり、特に説明しない部分は、第1実施形態の場合と同様である。
【0028】
図6(A)及び6(B)は、第2実施形態の容器100を説明する平面図及び側面図である。第2実施形態の容器100は、カップ用蓋20の本体28に変更を加えたものとなっている。
【0029】
図7(A)~7(C)を参照して、第2実施形態の場合、カップ用蓋20において、図2(A)等に示す拡張部24代えて、本体28の外周部に凹部機能部25を設けている。凹部機能部25は、本体28の外周輪郭CO1の内側において一対の平行に延びる切り目線25i,25jと、それらの根元を繋ぐ折り目線25kと、切り目線25i,25j及び折り目線25kに囲まれた折込み部25pとを有する。
【0030】
凹部機能部25は、利用者が指先FGで折込み部25pを押し込むことにより、図7(A)に示す状態から図8(A)に示す状態に変化し、本体28の外周輪郭CO1から内側に窪んだ凹部124になる。凹部124は、紙カップ10に本体28がセットされている場合において、本体28を紙カップ10から外す際に、利用者の指から外力を受ける引掛かり部26である。折込み部25pは、本体28を紙カップ10から外す前に凹部124越しに紙カップ10の内部が露出することを避ける役割を有する。
【0031】
図9は、カップ用蓋20を展開した型紙を示している。4つの支持凸部22は、本体28の外周において4等配で形成され、隣接する2つの支持凸部22の間に凹部機能部25が形成されている。
【0032】
図示の凹部機能部25の形状やサイズは単なる例示であり、カップ用蓋20において、様々な形状やサイズを有する凹部機能部25を設けることができる。つまり、凹部機能部25を本体28の外周部に限らず、中央部に設けることができ、本体28の外周部と中央部との間に一か所以上設けることもできる。
【0033】
本実施形態では、折込み部25pを押し込んで凹部124を形成したが、折込み部25pを省略して、カップ用蓋20の本体28に当初から凹部124を設けることもできる。この場合、折込み部25pのない凹部124が凹部機能部25となる。
【0034】
〔第3実施形態〕
以下、第3実施形態に係る容器及びこれを構成するカップ用蓋について説明する。第3実施形態に係るカップ用蓋等は、第1実施形態のカップ用蓋等を部分的に変更したものであり、特に説明しない部分は、第1実施形態の場合と同様である。
【0035】
図10(A)は、第3実施形態のカップ用蓋20の展開図である。この場合、カップ用蓋20において、本体28の略円形の外周輪郭CO1の外側に、3つの支持凸部22が3等配で形成され、本体28の中心を基準として互いに120°ずれた配置とされている。隣接する2つの支持凸部22の間には、引掛かり部26として拡張部24が形成されている。各支持凸部22は、使用に際して、図示を省略するが、折り目線FLに沿って直角程度に折り曲げられる。支持凸部22が3つであっても、カップ用蓋20を紙カップ10にセットする作業性は大きく変わらず、紙カップ10に対するカップ用蓋20の取付安定性も良好なものとなる。
【0036】
図10(B)は、図10(A)に示すカップ用蓋20を変形したカップ用蓋の展開図である。この場合も、カップ用蓋20は、本体28の略円形の外周輪郭CO1の外側に、3つの支持凸部22を有する。隣接する2つの支持凸部22の間には、引掛かり部26として凹部機能部25が形成されている。各支持凸部22は、使用に際して、図示を省略するが、折り目線FLに沿って直角程度に折り曲げられる。
【0037】
〔第4実施形態〕
以下、第4実施形態に係る容器及びこれを構成するカップ用蓋について説明する。第4実施形態に係るカップ用蓋等は、第1実施形態のカップ用蓋等を部分的に変更したものであり、特に説明しない部分は、第1実施形態の場合と同様である。
【0038】
図11は、第4実施形態のカップ用蓋20の展開図である。この場合、カップ用蓋20において、本体28の略円形の外周輪郭CO1の外側に、2つの支持凸部22が本体28を挟んで反対側に形成され、2つの支持凸部22の間の2箇所には、引掛かり部26として円弧状の拡張部24が形成されている。各支持凸部22は、使用に際して、図示を省略するが、折り目線FLに沿って直角程度に折り曲げられる。支持凸部22が2つの場合、カップ用蓋20を紙カップ10にセットする作業が楽になり、支持凸部22の周方向の幅がある程度確保されていれば、紙カップ10に対するカップ用蓋20の取付安定性も比較的良好なものとなる。
【0039】
図12(A)及び12(B)は、図11に示すカップ用蓋20を変形したカップ用蓋の展開図及び使用状態図である。この場合、カップ用蓋20において、本体28の略円形の外周輪郭CO1の外側に、2つの支持凸部22が本体28を挟んで反対側に形成され、2つの支持凸部22の間の2箇所には、引掛かり部26として円弧状の拡張部24が形成されている。さらに、支持凸部22において、根元側には、両端に配置される一対の折り目線FLと、一対の折り目線FLをつなぐ切り目線CLとが形成されている。図12(B)に示すように、支持凸部22を折り目線FL沿って折り曲げた場合、切り目線CLの内側に対応する拡張部424が本体28からはみ出す状態となる。つまり、拡張部424は、支持凸部22の中に形成され、支持凸部22を本体28に対して折り曲げた際に外方向(つまり本体28の半径方向外側)に突出する。この場合、2種類の拡張部24,424、合計で4つの引掛かり部26によって、カップ用蓋20のセット時には、カップ用蓋20の上下方向に関する支持が達成され、カップ用蓋20を取り外す際には、4つの引掛かり部26の1つ以上を掴めばよい。また、支持凸部22と拡張部424とは、横方向の位置決めと縦方向の位置決めを兼用する複合的な位置決め部材404となっている。複合的な位置決め部材404では、支持凸部22が本体28を紙カップ10の口部10bに位置合わせしている箇所に拡張部424が形成され、拡張部424に指を当てて本体28を口部10bから引き離す作業が安定する。
【0040】
図12(A)の例では、2つの支持凸部22と2つの拡張部24とを設けているが、拡張部24に代えて、支持凸部22及び拡張部424を含む位置決め部材404を設けてもよい。この際、4つの位置決め部材404を設ける必要はなく、3つの位置決め部材404又は5つ以上の位置決め部材404を設けることができる。
【0041】
〔変形例その他〕
以上、実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態等に限定されるものではない。例えば、カップ用蓋20の支持凸部22を本体28に対して折り曲げるための切り目線CLは、様々なものとすることができる。
【0042】
図13(A)~13(D)は、カップ用蓋20に形成する折り目線FLの変形例を示している。図13(A)に示す支持凸部22用の折り目線FLは、本体28の輪郭に対応する円周の弧に沿ったものとなっている。この場合、支持凸部22の折り曲げ後に支持凸部22の復帰する力が強くなり、カップ用蓋20の紙カップ10に対するセットの安定性が高まる。図13(B)に示す支持凸部22用の折り目線FLは、本体28の輪郭に対応する円周の弦又は弧に沿っているが、中央で分離されたものとなっている。図13(C)に示す支持凸部22用の折り目線FLは、本体28の輪郭に対応する円周の弧又は弦に沿ったものと、弧に対して垂直な半径方向に延びるものとを複合したものとなっている。図13(D)に示す支持凸部22用の折り目線FLも、本体28の輪郭に対応する円周の弧又は弦に沿ったものと、弧又は弦に対して垂直な半径方向に延びるものとを複合したものとなっている。
【0043】
図14(A)に示す例では、支持凸部22を先端側で幅広になるようにしており、カップ用蓋20を紙カップ10にセットした後にカップ用蓋20が抜けにくくなるといえる。図14(B)に示す例では、支持凸部22を先端側で幅狭くなるようにしており、カップ用蓋20を紙カップ10にセットする作業が比較的容易になるといえる。
【0044】
図15に示す例では、複数の支持凸部622を紙カップ10の内側に収納するのではなく、紙カップ10の上端外周を囲むように露出した状態としている。この場合、複数の支持凸部622によって、カップ用蓋20を紙カップ10に対して横方向及び縦方向に位置決めすることができ、カップ用蓋20を取り外する際には、拡張部24の1つ以上を掴めばよい。
【0045】
図16に示す例は、図4(A)に示す形状を変更したものである。この例では、カップ用蓋20の本体28に窓WDを設けている。図示した窓WDの配置、数、及び形状は、単なる例示であり、用途に応じて適宜変更することができる。
【0046】
図17に示す例では、シュリンクラップ30として、紙カップ10の上端部と、カップ用蓋20の外周部のみを覆うような帯状のものを付加して、紙カップ10に対するカップ用蓋20の固定を確実にしている。つまり、シュリンクラップ30は、紙カップ10とカップ用蓋20とを全体的に覆うようなものでなくてもよい。
【0047】
以上では、紙カップ10の口部10bが円形である場合について説明したが、紙カップ10の口部10bは、四角形であっても楕円形であってもよい。さらに、6角形等の多角形であってもよい。これらの場合、紙カップ10の口部10bの輪郭形状に合わせて、カップ用蓋20の本体28の輪郭形状を、四角形、楕円形、多角形等に設定すればよい。
【符号の説明】
【0048】
10…紙カップ、 10a…開口、 10b…口部、 12…胴部、 14…底紙、 20…カップ用蓋、 20a…隙間、 22,622…支持凸部、 24,424…拡張部、 25…凹部機能部、 25i,25j…切り目線、 25k…折り目線、 25p…折込み部、 26…引掛かり部、 28…本体、 30…シュリンクラップ、 31…容器部、 31a…胴紙、 31c…カール部、 31i…内壁面、 32…外筒、 100…容器、 124…凹部、 CL…切り目線、 CO1…外周輪郭、 CS…収納空間、 FD…飲食物、 FL…折り目線、 LH…給湯指示線、 PA…印刷領域、 PA2…印刷領域、 SP…空間、 TL…頂部、 WD…窓
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