(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】眼科装置及びその作動方法
(51)【国際特許分類】
A61B 3/10 20060101AFI20240202BHJP
【FI】
A61B3/10
(21)【出願番号】P 2020048919
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】大木 拓也
【審査官】北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-348116(JP,A)
【文献】国際公開第2019/045750(WO,A1)
【文献】特開2006-333902(JP,A)
【文献】特開2008-061847(JP,A)
【文献】特開2004-046451(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0110374(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00 - 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼の前眼部像を取得する前眼部像取得部と、
前記前眼部像取得部が取得した前記前眼部像から前記被検眼の虹彩情報を検出する虹彩情報検出部と、
前記虹彩情報検出部が検出した前記虹彩情報に基づき、
予め定められた標準光源による照明下で得られた被検者ごとの左右眼の前記虹彩情報を予め記憶したデータベースを参照して、前記被検眼の前記左右眼の識別を実行する左右眼識別部と、
を備え
、
前記虹彩情報検出部が、前記前眼部像取得部が取得した前記前眼部像の色を、前記標準光源による照明下で前記前眼部像取得部が取得する前記前眼部像の色に補正し、補正後の前記前眼部像から前記虹彩情報を検出する眼科装置。
【請求項2】
前記被検眼が前記左右眼のいずれであるのかを予め選択した左右眼選択情報を受け付ける第1情報受付部と、
前記左右眼識別部による前記左右眼の識別結果と、前記第1情報受付部が受け付けた前記左右眼選択情報とに基づき、前記左右眼の取り違えの有無を判定する第1判定部と、
前記第1判定部の判定結果に基づき、前記左右眼の取り違えが発生している場合には、前記左右眼の取り違えを示す第1警告情報を出力する警告情報出力部と、
を備える請求項1に記載の眼科装置。
【請求項3】
前記被検者を予め選択した被検者選択情報を受け付ける第2情報受付部と、
前記虹彩情報検出部が検出した前記虹彩情報に基づき、前記データベースを参照して、前記被検者の識別を実行する被検者識別部と、
前記被検者識別部による前記被検者の識別結果と、前記第2情報受付部が受け付けた前記被検者選択情報とに基づき、前記被検者の取り違えの有無を判定する第2判定部と、
を備え、
前記警告情報出力部が、前記第2判定部の判定結果に基づき前記被検者の取り違えが発生している場合には、前記被検者の取り違えを示す第2警告情報を出力する請求項2に記載の眼科装置。
【請求項4】
前記第1判定部及び前記第2判定部の少なくとも一方の判定結果に基づき、前記左右眼の取り違え及び前記被検者の取り違えの少なくとも一方が発生している場合に、眼科装置本体の作動を停止させる停止制御部を備える請求項3に記載の眼科装置。
【請求項5】
前記被検眼に可視光を照射する可視光照射部を備え、
前記前眼部像取得部が、前記可視光が照射されている前記被検眼の前記前眼部像を取得する請求項1から4のいずれか1項に記載の眼科装置。
【請求項6】
前記被検眼の虹彩の照明を行う虹彩照明部を備える請求項1から5のいずれか1項に記載の眼科装置。
【請求項7】
前記前眼部像内の前記被検眼の虹彩に対応する領域を虹彩領域とした場合に、前記虹彩領域内において前記虹彩を識別不能な識別不能領域を検出する識別不能領域検出部を備え、
前記虹彩情報検出部が、前記識別不能領域検出部の検出結果に基づき、前記虹彩領域内の前記識別不能領域とは異なる識別可能領域から前記虹彩情報を検出する請求項1から6のいずれか1項に記載の眼科装置。
【請求項8】
前記識別不能領域検出部が、前記虹彩領域の中で前記虹彩とは異なる像が映っている領域を前記識別不能領域として検出する請求項7に記載の眼科装置。
【請求項9】
前記識別不能領域検出部が、前記虹彩領域の中で睫毛又は外乱光が映っている領域を前記識別不能領域として検出する請求項8に記載の眼科装置。
【請求項10】
前記前眼部像取得部が、前記被検眼を互いに異なる方向から撮影する複数のカメラから前記前眼部像を取得する請求項1から9のいずれか1項に記載の眼科装置。
【請求項11】
被検眼の前眼部像を取得する前眼部像取得ステップと、
前記前眼部像取得ステップで取得した前記前眼部像から前記被検眼の虹彩情報を検出する虹彩情報検出ステップと、
前記虹彩情報検出ステップで検出した前記虹彩情報に基づき、
予め定められた標準光源による照明下で得られた被検者ごとの左右眼の前記虹彩情報を記憶したデータベースを参照して、前記被検眼の前記左右眼の識別を実行する識別ステップと、
を有
し、
前記虹彩情報検出ステップでは、前記前眼部像取得ステップで取得した前記前眼部像の色を、前記標準光源による照明下で前記前眼部像取得ステップが取得する前記前眼部像の色に補正し、補正後の前記前眼部像から前記虹彩情報を検出する眼科装置の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、眼科装置及びその作動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
眼科では、眼科装置を用いて、被検眼の眼底撮影像、眼底断層像、眼屈折力、眼圧、角膜内皮細胞の数、及び角膜形状などの各種の眼特性の取得(測定、撮影、及び観察等)を眼科装置により行ったり、或いは被検眼の手術を行ったりする。例えば特許文献1には、被検眼の眼底撮影像及び眼底断層像を取得する眼科装置が開示されている。また、特許文献2には、被検眼の治療部位にレーザ光を照射して被検眼の治療を行う眼科装置(レーザ手術装置)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-248376号公報
【文献】特開2001-108906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1及び2に記載のように、各種眼科装置を用いて被検眼の眼特性の測定を行ったり或いは手術を行ったりする場合には、被検眼の左右眼の取り違え防止が必須である。この際に、眼科装置自体には左右眼の取り違えを警告する機能はないので、眼科での運用により左右眼の取り違えを回避しているのが実情である。また、近年では様々な生体認証技術を様々な装置に適用して個人の識別(特定)を行っているが、仮にこの技術を眼科装置に単純に適用したとしても被検者の取り違えの防止が可能になるだけであり、左右眼の取り違えを防止することができない。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、被検眼の左右眼の取り違えを防止可能な眼科装置及びその作動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的を達成するための眼科装置は、被検眼の前眼部像を取得する前眼部像取得部と、前眼部像取得部が取得した前眼部像から被検眼の虹彩情報を検出する虹彩情報検出部と、虹彩情報検出部が検出した虹彩情報に基づき、被検者ごとの左右眼の虹彩情報を予め記憶したデータベースを参照して、被検眼の左右眼の識別を実行する左右眼識別部と、を備える。
【0007】
この眼科装置によれば、被検眼の左右眼の識別を自動且つ高精度に実行することができる。
【0008】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、被検眼が左右眼のいずれであるのかを予め選択した左右眼選択情報を受け付ける第1情報受付部と、左右眼識別部による左右眼の識別結果と、第1情報受付部が受け付けた左右眼選択情報とに基づき、左右眼の取り違えの有無を判定する第1判定部と、第1判定部の判定結果に基づき、左右眼の取り違えが発生している場合には、左右眼の取り違えを示す第1警告情報を出力する警告情報出力部と、を備える。これにより、検者に対して左右眼の取り違えを警告することができる。
【0009】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、被検者を予め選択した被検者選択情報を受け付ける第2情報受付部と、虹彩情報検出部が検出した虹彩情報に基づき、データベースを参照して、被検者の識別を実行する被検者識別部と、被検者識別部による被検者の識別結果と、第2情報受付部が受け付けた被検者選択情報とに基づき、被検者の取り違えの有無を判定する第2判定部と、を備え、警告情報出力部が、第2判定部の判定結果に基づき被検者の取り違えが発生している場合には、被検者の取り違えを示す第2警告情報を出力する。これにより、検者に対して被検者の取り違えを警告することができる。
【0010】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、第1判定部及び第2判定部の少なくとも一方の判定結果に基づき、左右眼の取り違え及び被検者の取り違えの少なくとも一方が発生している場合に、眼科装置本体の作動を停止させる停止制御部を備える。これにより、左右眼の取り違え及び被検者の取り違えの少なくとも一方が発生している状態で、眼科装置による被検眼の観察、撮影、各種眼特性の取得、及び各種手術等が実行されることが防止される。
【0011】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、被検眼に可視光を照射する可視光照射部を備え、前眼部像取得部が、可視光が照射されている被検眼の前眼部像を取得する。これにより、前眼部像内の虹彩領域の面積を拡大させることができるので、左右眼及び被検者の識別精度を向上させることができる。
【0012】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、被検眼の虹彩の照明を行う虹彩照明部を備える。これにより、前眼部像内の虹彩領域の明るさが適正に調整することができる。
【0013】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、前眼部像内の被検眼の虹彩に対応する領域を虹彩領域とした場合に、虹彩領域内において虹彩を識別不能な識別不能領域を検出する識別不能領域検出部を備え、虹彩情報検出部が、識別不能領域検出部の検出結果に基づき、虹彩領域内の識別不能領域とは異なる識別可能領域から虹彩情報を検出する。これにより、左右眼及び被検者の識別精度を向上させることができる。
【0014】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、識別不能領域検出部が、虹彩領域の中で虹彩とは異なる像が映っている領域を識別不能領域として検出する。
【0015】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、識別不能領域検出部が、虹彩領域の中で睫毛又は外乱光が映っている領域を識別不能領域として検出する。
【0016】
本発明の他の態様に係る眼科装置において、前眼部像取得部が、被検眼を互いに異なる方向から撮影する複数のカメラから前眼部像を取得する。
【0017】
本発明の目的を達成するための眼科装置の作動方法は、被検眼の前眼部像を取得する前眼部像取得ステップと、前眼部像取得ステップで取得した前眼部像から被検眼の虹彩情報を検出する虹彩情報検出ステップと、虹彩情報検出ステップで検出した虹彩情報に基づき、被検者ごとの左右眼の虹彩情報を記憶したデータベースを参照して、被検眼の左右眼の識別を実行する識別ステップと、を有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、被検眼の左右眼の取り違えを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1実施形態の眼科装置の構成の一例を示す概略図である。
【
図2】第1実施形態の眼科装置の演算制御ユニットの機能ブロック図である。
【
図3】虹彩情報検出部による前眼部像からの虹彩情報の検出を説明するための説明図である。
【
図4】警告情報出力部による第1警告情報及び第2警告情報の出力を説明するための説明図である。
【
図5】第1実施形態の眼科装置による被検眼の眼特性取得処理の流れ、特に左右眼及び被検者の取り違防止処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】第2実施形態の眼科装置による被検眼の眼特性取得処理の流れ、特に左右眼及び被検者の取り違防止処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】第2実施形態の視標表示部による被検眼への白色光の照射前及び照射中にそれぞれステレオカメラにより取得される前眼部像を示した説明図である。
【
図8】第3実施形態の眼科装置の演算制御ユニットの機能ブロック図である。
【
図9】NG領域検出部による虹彩領域内の睫毛に起因するNG領域の検出を説明するための説明図である。
【
図10】NG領域検出部による虹彩領域内の外乱光に起因するNG領域の検出を説明するための説明図である。
【
図11】第3実施形態の眼科装置による被検眼の眼特性取得処理の流れ、特に左右眼及び被検者の取り違防止処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の眼科装置10の構成の一例を示す概略図である。なお、図中のX方向は被検者を基準とした左右方向(被検眼Eの眼幅方向)であり、Y方向は上下方向であり、Z方向は被検者(被検眼E)に近づく前方向と被検者から遠ざかる後方向とに平行な前後方向(作動距離方向ともいう)である。
【0021】
図1に示すように、眼科装置10は、眼底カメラと、光コヒーレンストモグラフィ(Optical Coherence Tomography:OCT)を用いて眼底断層像であるOCT画像を得る光干渉断層計と、を組み合わせた複合機である。
【0022】
眼科装置10は、被検者の被検眼Eの前眼部Eaをステレオ撮影して前眼部像14(前眼部観察像ともいう)を取得すると共に、被検眼Eの眼特性としてその眼底Efの眼底撮影像15(
図2参照)及びOCT画像(図示は省略、以下同じ)を取得する。また、眼科装置10は、詳しくは後述するが、前眼部像14に基づき外部のデータベース12(
図2参照、サーバでも可)にアクセスして、被検者の識別と、被検眼Eが左右眼のいずれであるのかの識別と、を自動で行う。なお、被検者には患者が含まれ、且つ被検眼Eには患者眼が含まれるものとする。
【0023】
眼科装置10は、眼底カメラユニット10a、OCTユニット10b、ステレオカメラ20、周辺照明部21、及び演算制御ユニット22等を備える。なお、図中の符号OAは対物レンズ43の光軸である。なお、図示は省略するが、眼科装置10には、被検者の顔(顎等)を支持する顎受けが設けられている。
【0024】
眼底カメラユニット10aは、従来の眼底カメラとほぼ同様の光学系を有しており、対物レンズ43を通して、被検眼Eの前眼部Ea及び眼底Efの各種観察像を取得(撮影)すると共に、被検眼Eの眼特性として眼底Efの眼底撮影像15(
図2参照)を取得する。また、OCTユニット10bは、対物レンズ43及び眼底カメラユニット10aの一部の光学系を通して、被検眼Eの眼特性として眼底EfのOCT画像(OCT検出信号16、
図2参照)を取得する。なお、眼底カメラユニット10a及びOCTユニット10bは、本発明の眼科装置本体として機能する。
【0025】
演算制御ユニット22は、眼科装置10の筐体内に収容されており、各種の演算処理及び制御処理等を実行するパーソナルコンピュータ等の演算処理装置である。
【0026】
<眼底カメラユニット>
眼底カメラユニット10aは、照明光学系30及び撮像光学系50を備える。
【0027】
照明光学系30は、眼底Efに対して照明光を照射する。撮像光学系50は、眼底Efで反射された照明光の眼底反射光を、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型又はCCD(Charge Coupled Device)型の撮像素子57,60に導く。また、撮像光学系50は、OCT光学系80(OCTユニット10b)から出力された信号光を眼底Efに導くと共に、眼底Efを経由した信号光をOCT光学系80に導く。
【0028】
照明光学系30は、観察光源31、反射ミラー32、集光レンズ33、可視カットフィルタ34、撮影光源35、ミラー36、リレーレンズ37,38、絞り39、リレーレンズ40、孔開きミラー41、ダイクロイックミラー42、及び対物レンズ43等を備える。
【0029】
撮像光学系50は、既述の対物レンズ43、ダイクロイックミラー42、及び孔開きミラー41の他に、合焦レンズ51、ミラー52、ハーフミラー53、視標表示部54、ダイクロイックミラー55、集光レンズ56、撮像素子57、ミラー58、集光レンズ59、及び撮像素子60等を備える。
【0030】
観察光源31は、例えばハロゲンランプ又はLED(light emitting diode)等が用いられ、観察照明光を出射する。観察光源31から出射された観察照明光は、反射ミラー32により反射され、集光レンズ33を経由して可視カットフィルタ34を透過することにより近赤外光となる。可視カットフィルタ34を透過した観察照明光は、撮影光源35の近傍にて一旦集束し、ミラー36により反射され、リレーレンズ37,38、絞り39、及びリレーレンズ40を経由する。そして、観察照明光は、孔開きミラー41の周辺部(孔部の周囲の領域)にて反射された後、ダイクロイックミラー42を透過し、さらに対物レンズ43により屈折されて眼底Efを照明する。
【0031】
観察照明光の眼底反射光は、対物レンズ43により屈折され、ダイクロイックミラー42、孔開きミラー41の中心領域に形成された孔部、及び合焦レンズ51を経由した後、ミラー52により反射される。さらに、この眼底反射光は、ハーフミラー53を透過した後、ダイクロイックミラー55により反射されることで、集光レンズ56により撮像素子57の受光面に結像される。撮像素子57は、眼底反射光を撮像(受光)して撮像信号を後述の演算制御ユニット22へ出力する。演算制御ユニット22は、撮像素子57から出力された撮像信号に基づく観察像をモニタ23に表示させる。なお、撮像光学系50のピントが被検眼Eの前眼部Eaに調整されている場合には前眼部Eaの観察画像がモニタ23に表示され、撮像光学系50のピントが眼底Efに調整されている場合には眼底Efの観察像がモニタ23に表示される。
【0032】
撮影光源35は、例えばキセノンランプ又はLED光源等が用いられ、撮影照明光を出射する。撮影光源35から出射された撮影照明光は、既述の観察照明光と同様の経路を通って眼底Efに照射される。撮影照明光の眼底反射光は、観察照明光の眼底反射光と同様の経路を通ってダイクロイックミラー55まで導かれ、このダイクロイックミラー55を透過した後、ミラー58により反射されることで、集光レンズ59により撮像素子60の受光面に結像される。
【0033】
撮像素子60は、眼底反射光を撮像(受光)して眼底撮影像15(画像データ)を後述の演算制御ユニット22へ出力する。演算制御ユニット22は、撮像素子60から出力された眼底撮影像15をモニタ23に表示させる。なお、撮像素子57により撮像された各種観察像を表示するモニタ23と、撮像素子60により撮像された眼底撮影像15を表示するモニタ23とは、同一のものであってもよいし、互いに異なるものであってもよい。
【0034】
視標表示部54は、対物レンズ43を通して被検眼Eに固視標(輝点像)の固視光を投射する内部固視に用いられるものであり、例えばドットマトリクス液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)及びマトリクス発光ダイオード(LED)などが用いられる。この視標表示部54は固視標を表示する。また、視標表示部54は、固視標の表示態様(形状等)及び表示位置を任意に設定可能である。
【0035】
視標表示部54に表示された固視標の固視光は、その一部がハーフミラー53にて反射された後、ミラー52、合焦レンズ51、ダイクロイックミラー55、孔開きミラー41の孔部、ダイクロイックミラー42、及び対物レンズ43を経て被検眼Eに投射される。これにより、対物レンズ43を通して、被検眼Eに対して固視標及び視力測定用視標などが提示される。
【0036】
眼底カメラユニット10aは、フォーカス光学系70を備える。フォーカス光学系70は、眼底Efに対してフォーカス(ピント)を合わせるためのスプリット指標を生成する。フォーカス光学系70は、既述の対物レンズ43、ダイクロイックミラー42、及び孔開きミラー41の他に、LED71、リレーレンズ72、スプリット指標板73、二孔絞り74、ミラー75、集光レンズ76、及び反射棒77を備える。
【0037】
反射棒77の反射面は、フォーカス光学系70によるフォーカス調整が行われる場合に照明光学系30の光路上にセットされる。LED71から出射されたフォーカス光は、リレーレンズ72を通過し、スプリット指標板73により2つの光束に分離された後、二孔絞り74、ミラー75、及び集光レンズ76を経て反射棒77の反射面に一旦結像され、この反射面にてリレーレンズ40に向けて反射される。さらにフォーカス光は、リレーレンズ40、孔開きミラー41、ダイクロイックミラー42、及び対物レンズ43を経て眼底Efに投射される。
【0038】
フォーカス光の眼底反射光は、対物レンズ43、ダイクロイックミラー42、及び孔開きミラー41の孔部を経由し、その一部がダイクロイックミラー55を透過した後、合焦レンズ51、ミラー52、ハーフミラー53、ダイクロイックミラー55、及び集光レンズ56を経て撮像素子57により撮像される。撮像素子57は、フォーカス光の眼底反射光を撮像して撮像信号を出力する。これにより、モニタ23に観察画像と共にスプリット指標が表示される。後述の演算制御ユニット22は、従来と同様に、スプリット指標の位置を解析して合焦レンズ51等を移動させてピント合わせを自動で行う。また、モニタ23に表示されるスプリット指標に基づき検者が手動でピント合わせを行ってもよい。
【0039】
ダイクロイックミラー42は、眼底撮影用の光路からOCT光学系80の光路を分岐させている。ダイクロイックミラー42は、OCT計測に用いられる波長帯の光を反射し、眼底撮影用の光を透過させる。このOCT光学系80の光路には、OCTユニット10b側から順に、コリメータレンズユニット81と、光路長変更部82と、ガルバノスキャナ83と、合焦レンズ84と、ミラー85と、リレーレンズ86と、が設けられている。
【0040】
光路長変更部82は、例えばコーナーキューブと、これを移動する機構と、を含む。光路長変更部82は、図中に示す矢印の方向に移動可能とされ、OCT光学系80の光路長を変更する。この光路長の変更は、被検眼Eの眼軸長に応じた光路長の補正、及び干渉状態の調整などに利用される。
【0041】
ガルバノスキャナ83は、OCT光学系80の光路を通過する信号光の進行方向を変更する。これにより、眼底Efを信号光で走査することができる。ガルバノスキャナ83は、たとえば、信号光をX方向に走査するガルバノミラーと、Y方向に走査するガルバノミラーと、これらを独立に駆動する機構とを含む。これにより、信号光をXY平面上の任意の方向に走査することができる。
【0042】
<OCTユニット>
OCTユニット10bは、OCT画像(OCT検出信号16、
図2参照)の取得に用いられる干渉光学系を備える。このOCTユニット10bは、公知のOCT装置と同様に、低コヒーレンス光を参照光と信号光に分割し、眼底Efを経由した信号光と参照光路を経由した参照光とを干渉させて干渉光を生成し、この干渉光のスペクトル成分を検出する。OCTユニット10bによる検出結果(検出信号)であるOCT検出信号16は、演算制御ユニット22へ出力される。なお、OCTユニット10bの具体的な構成については公知技術(例えば上記特許文献1参照)であるので、ここでは具体的な説明は省略する。
【0043】
<ステレオカメラ>
ステレオカメラ20は、本発明の複数のカメラに相当するものであり、例えば赤外線カメラ(カラー撮影可能なカメラでも可)が用いられる。このステレオカメラ20は、一対のカメラ20a及びカメラ20bを備える。カメラ20a及びカメラ20bは、対物レンズ43をその左右から挟み込むように配置されており、前眼部Eaを互いに異なる方向、本実施形態では左右方向から同時(略同時を含む)に撮影する。なお、図中の符号OBは、カメラ20a及びカメラ20bの撮影光軸である。
【0044】
カメラ20a,20bは左右方向から前眼部Eaをそれぞれ撮影して、前眼部Eaの観察像である前眼部像14(
図2参照)を演算制御ユニット22に出力する。各前眼部像14は、被検眼Eに対する眼科装置10のオートアライメントと、被検眼Eが左右眼のいずれであるのかの識別と、被検者の識別とに用いられる。前眼部Eaをステレオカメラ20(カメラ20a,20b)で撮影することにより、各前眼部像14に基づき前眼部Ea(特に虹彩)の立体的な情報が得られるので、左右眼及び被検者の識別の精度を向上させることができる。
【0045】
<周辺照明部>
周辺照明部21は、本発明の虹彩照明部に相当するものであり、被検眼Eの虹彩を照明する。この周辺照明部21は、ステレオカメラ20で撮像可能な照明光を出射する光源である。例えばステレオカメラ20が赤外線カメラである場合には、周辺照明部21として赤外線光源が用いられる。
【0046】
周辺照明部21は、対物レンズ43を挟み込むように複数配置されており、前眼部Ea(特に虹彩)に対して互いに異なる方向から照明光(例えば赤外光)を照射する。この照明光の光量を調整することで、前眼部像14内の虹彩領域A1(
図3参照)の明るさを適切に調整することができるので、後述の被検眼Eの左右眼の識別精度及び被検者の識別精度を向上させることができる。なお、図中の符号OCは、周辺照明部21の照明光軸である。また、周辺照明部21の数及び配置については、
図1に示した例に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
【0047】
[演算制御ユニット]
図2は、第1実施形態の眼科装置10の演算制御ユニット22の機能ブロック図である。
図2に示すように、演算制御ユニット22は、眼科装置10の各部の動作を統括制御する。この演算制御ユニット22の機能は、各種のプロセッサ(Processor)を用いて実現される。各種のプロセッサには、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、及びプログラマブル論理デバイス[例えばSPLD(Simple Programmable Logic Devices)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、及びFPGA(Field Programmable Gate Arrays)]等が含まれる。なお、演算制御ユニット22の各種機能は、1つのプロセッサにより実現されてもよいし、同種または異種の複数のプロセッサで実現されてもよい。
【0048】
演算制御ユニット22には、既述の眼底カメラユニット10a、OCTユニット10b、ステレオカメラ20、周辺照明部21、及びモニタ23の他に、操作部24が接続されている。また、演算制御ユニット22には、不図示の通信インタフェースを介してデータベース12が外部接続されている。
【0049】
操作部24は、検者による各種の入力操作、例えば測定開始操作、手動アライメント操作、及び各種設定操作等を受け付ける。また、操作部24は、眼特性の測定対象の被検者[被検者の固有識別情報でも可]を選択する被検者選択操作を受け付けると共に、この眼特性の測定対象の被検眼Eが左右眼のいずれであるのかを選択する左右眼選択操作を受け付ける。さらに、操作部24は、データベース12への後述の虹彩情報18の登録操作を受け付ける。
【0050】
データベース12は、被検者(個人)ごとに、被検者の固有識別情報である患者ID(identification)等のID情報17と、被検者の左右眼の虹彩の虹彩情報18と、を関連付けて記憶している。また、データベース12は、眼科装置10或いは他の虹彩認証装置(システム)から新たに入力された被検者のID情報17及び左右眼の虹彩情報18を記憶する。
【0051】
虹彩情報18は、詳しくは後述するが、眼の虹彩の虹彩パターン(虹彩模様、虹彩紋理)を表わすデジタルデータであり、虹彩ID、虹彩コード、又は虹彩特徴データともいう。公知の通り、虹彩パターンは人ごとに異なっており、さらに同一人であってもその左右眼の虹彩パターンは異なっている。このため、虹彩情報18に基づき、被検者の識別とその左右眼の識別とを行うことができる。
【0052】
演算制御ユニット22は、不図示の記憶部内の制御プログラムを実行することで、光学系制御部100、前眼部像取得部102、虹彩情報検出部104、識別部106、情報受付部108、判定部110、警告情報出力部112、OCT画像形成部114、眼特性取得制御部116、及び登録部118として機能する。なお、演算制御ユニット22の「~部」として説明するものは「~回路」、「~装置」、又は「~機器」であってもよい。すなわち、「~部」として説明するものは、ファームウェア、ソフトウェア、及びハードウェアまたはこれらの組み合わせのいずれで構成されていてもよい。
【0053】
光学系制御部100は、照明光学系30、撮像光学系50、フォーカス光学系70、及びOCT光学系80を制御する。光学系制御部100は、眼底撮影像15の撮影時には、後述の眼特性取得制御部116の制御の下、照明光学系30、撮像光学系50、及びフォーカス光学系70を作動させて、撮影光源35による眼底Efの照明、ピント合わせ、及び撮像素子60による眼底反射光の撮像(眼底撮影像15の取得)を実行させる。
【0054】
また、光学系制御部100は、OCT画像の取得時には、後述の眼特性取得制御部116の制御の下、OCT光学系80を作動させて、光路長変更部82による光路長の変更、及びガルバノスキャナ83による信号光の走査などを実行させる。
【0055】
前眼部像取得部102は、カメラ20a,20bを制御して前眼部Eaの撮影をそれぞれ実行させると共に、カメラ20a,20bから前眼部像14を取得する。これにより、前眼部像取得部102は、左右眼及び被検者の識別用(以下、左右眼等識別用という)の前眼部像14を取得する。なお、前眼部像取得部102により取得された前眼部像14は、不図示のアライメント制御部による眼科装置10のアライメント検出及びオートアライメントにも用いられる。
【0056】
また、前眼部像取得部102は、カメラ20a,20bによる前眼部Eaの撮影に合せて周辺照明部21による前眼部Eaの照明を開始させる。
【0057】
図3は、虹彩情報検出部104による前眼部像14からの虹彩情報18の検出を説明するための説明図である。
図3の符号3A,3Bに示すように、虹彩情報検出部104は、前眼部像取得部102が取得したカメラ20a,20bごとの前眼部像14から被検眼Eの虹彩に対応する虹彩領域A1(虹彩像)をエッジ検出等の虹彩紋理検出処理で検出し、この虹彩領域A1を公知の手法で数値化(二値化)することで被検眼Eの虹彩パターンを表わす虹彩情報18(虹彩紋理情報)を検出する。なお、虹彩領域A1及び虹彩情報18の検出方法については公知技術であるので、ここでは具体的な説明は省略する(例えば特開2018-45437号公報、特許第3307936号公報参照)。
【0058】
ここで本実施形態では、ステレオカメラ20(カメラ20a,20b)により前眼部像14を取得しているので、被検眼Eの虹彩の立体的な虹彩領域A1の情報が得られる。その結果、被検眼Eの虹彩の立体的な虹彩パターンを表わす虹彩情報18が得られる。さらに眼科装置10は、OCT撮影機能を有するので、OCTユニット10b等を用いて被検眼Eの虹彩の断層像(虹彩の表面下画像)を取得することができる。これにより、被検眼Eの虹彩領域A1と虹彩断層像とに基づき、虹彩の3次元構造を示す虹彩情報18が得られる(例えば特表2019-519024号公報参照)。
【0059】
図2に戻って、識別部106は、本発明の左右眼識別部及び被検者識別部として機能する。識別部106は、虹彩情報検出部104が検出した被検眼Eの虹彩情報18に基づき、データベース12を参照して、被検眼Eの左右眼の識別と被検者の識別とを実行する。
【0060】
具体的には識別部106は、被検眼Eの虹彩情報18と、データベース12内の被検者ごとの左右眼の虹彩情報18とを照合(比較)して、被検眼Eの虹彩情報18に一致するデータベース12内の虹彩情報18を検出(検索)する。なお、虹彩情報18の照合方法については公知技術であるので、ここでは具体的な説明は省略する(例えば特開2000-194853号公報参照)。このように本実施形態では、被検眼Eの虹彩情報18に基づきデータベース12を参照することで、被検眼Eの左右眼の識別と被検者の識別とを自動で行うことができる。
【0061】
情報受付部108は、本発明の第1情報受付部及び第2情報受付部に相当する。この情報受付部108は、操作部24を介して、眼特性の測定対象の被検眼Eが左右眼のいずれであるのかを予め選択した左右眼選択情報を受け付けると共に、眼科装置10において眼特性の測定を行う被検者を予め選択した被検者選択情報を受け付ける。これにより、眼科装置10により眼特性が測定されるべき被検眼Eが左眼及び右眼のいずれであるのかと、眼科装置10により眼特性が測定されるべき被検者と、を判別することができる。
【0062】
判定部110は、本発明の第1判定部及び第2判定部に相当する。判定部110は、識別部106による左右眼の識別結果と、情報受付部108が受け付けた左右眼選択情報とに基づき、左右眼の取り違えの有無を判定する。また、判定部110は、識別部106による被検者の識別結果と、情報受付部108が受け付けた被検者選択情報とに基づき、被検者の取り違えの有無を判定する。そして、判定部110は、左右眼及び被検者の取り違えの有無の判定結果を、警告情報出力部112と眼特性取得制御部116とに出力する。
【0063】
図4は、警告情報出力部112による第1警告情報119A及び第2警告情報119Bの出力を説明するための説明図である。警告情報出力部112は、判定部110により左右眼又は被検者の取り違えが発生と判定されるまでは待機状態となる。そして、
図4の符号4Aに示すように、警告情報出力部112は、判定部110が左右眼の取り違え発生と判定した場合に、左右眼の取り違えを示す第1警告情報119Aをモニタ23に出力する。これにより、モニタ23に第1警告情報119Aが表示される。
【0064】
また、
図4の符号4Bに示すように、警告情報出力部112は、判定部110が被検者の取り違え発生との判定した場合に、被検者の取り違えを示す第2警告情報119Bをモニタ23に出力する。これにより、モニタ23に第2警告情報119Bが表示される。
【0065】
なお、第1警告情報119A及び第2警告情報119Bをモニタ23に表示する代わりに或いはモニタ23に表示するのと同時に、不図示のスピーカから第1警告情報119A及び第2警告情報119Bを音声出力してもよい。
【0066】
図2に戻って、OCT画像形成部114は、OCTユニット10bと共に眼特性取得部を構成するものであり、OCTユニット10bから入力されるOCT検出信号16を解析して眼底EfのOCT画像を形成する。なお、OCT画像の具体的な形成方法は、従来のOCT装置と同様であるのでここでは説明は省略する。
【0067】
眼特性取得制御部116は、判定部110が左右眼及び被検者の取り違え無しと判定した場合に、眼科装置10の各部を制御して、被検眼Eの眼特性(眼底撮影像15及びOCT画像)の取得を実行する。具体的には眼特性取得制御部116は、光学系制御部100を介して眼底カメラユニット10aの照明光学系30、撮像光学系50、及びフォーカス光学系70を制御して、眼底撮影像15を取得する。また、眼特性取得制御部116は、光学系制御部100を介して眼底カメラユニット10aのOCT光学系80を制御すると共に、OCTユニット10b及びOCT画像形成部114を制御して、OCT画像を取得する。
【0068】
一方、眼特性取得制御部116は、判定部110が左右眼及び被検者の少なくとも一方の取り違え発生と判定した場合に、光学系制御部100を介して眼底カメラユニット10aの作動を停止させると共に、OCTユニット10bの作動を停止させる。このように眼科装置10の眼科装置本体(眼底カメラユニット10a及びOCTユニット10b)の作動を停止させることで、左右眼或いは被検者の取り違えが発生している状態での被検眼Eの眼特性の取得が防止される。この場合に、眼特性取得制御部116は本発明の停止制御部として機能する。
【0069】
登録部118は、操作部24にて入力された虹彩情報18の登録操作に応じて、虹彩情報検出部104が検出した虹彩情報18を被検者別且つ左右眼別にデータベース12に登録させる。これにより、データベース12内の被検者ごとの左右眼の虹彩情報18が追加又は更新される。
【0070】
[第1実施形態の眼科装置の作用]
図5は、本発明の眼科装置の作動方法に相当するものであり、第1実施形態の眼科装置10による被検眼Eの眼特性取得処理の流れ、特に左右眼及び被検者の取り違防止処理の流れを示すフローチャートである。
【0071】
最初に検者は、操作部24に対して被検者選択操作及び左右眼選択操作の入力を行う(ステップS1)。これにより、演算制御ユニット22の情報受付部108が被検者選択情報及び左右眼選択情報を受け付けることで、眼科装置10において眼特性が測定されるべき被検者とその左右眼の一方とが選択される。なお、ステップS1は、後述のステップS5までの間の任意のタイミングで実行してもよい。
【0072】
被検者の顔が不図示の顎受けに支持された後、検者が操作部24に対して被検眼Eの眼特性の取得開始操作が入力すると、或いは被検眼Eの眼特性の取得準備が完了すると、前眼部像取得部102が周辺照明部21による前眼部Ea(虹彩)の照明を開始させる。これにより、虹彩領域A1の明るさが適正に調整されるため、虹彩情報検出部104による虹彩情報18の検出と、識別部106による識別とを高精度に実行することができる。
【0073】
前眼部Eaの照明開始後、前眼部像取得部102が、カメラ20a,20bを制御して前眼部Eaの撮影をそれぞれ実行させると共に、カメラ20a,20bから左右眼等識別用の前眼部像14を取得する(ステップS2、本発明の前眼部像取得ステップに相当)。
【0074】
前眼部像取得部102が左右眼等識別用の前眼部像14を取得すると、既述の
図3に示したように、虹彩情報検出部104がカメラ20a,20bごとの前眼部像14からの虹彩領域A1の取り出しと、各虹彩領域A1に基づく虹彩情報18の検出と、を行う(ステップS3、本発明の虹彩情報検出ステップに相当)。
【0075】
次いで、識別部106が、虹彩情報検出部104による虹彩情報18の検出結果に基づき、データベース12を参照して、被検眼Eの左右眼の識別と被検者の識別とを実行する(ステップS4、本発明の識別ステップに相当)。これにより、被検眼Eの左右眼の識別と被検者の識別とを自動且つ高精度に行うことができるので、検者による左右眼の確認及び被検者の氏名の確認の手間を省くことができる。
【0076】
そして、判定部110は、識別部106による左右眼及び被検者の識別結果と、情報受付部108が受け付けた左右眼選択情報及び被検者選択情報とに基づき、左右眼の取り違えの有無と被検者の取り違えの有無とを判定する(ステップS5)。
【0077】
判定部110が左右眼及び被検者の取り違えが発生していないと判定した場合、眼底カメラユニット10a、OCTユニット10b、及びOCT画像形成部114等を制御して、被検眼Eの眼特性(眼底撮影像15及びOCT画像)の取得を実行する(ステップS6でNO、ステップS7)。
【0078】
一方、判定部110が左右眼或いは被検者の取り違えの発生有と判定した場合に、既述の
図4に示したように、警告情報出力部112が第1警告情報119A或いは第2警告情報119Bをモニタ23に出力して表示させる(ステップS6でYES、ステップS8)。これにより、検者に対して左右眼の取り違え又は被検者の取り違えを警告することができる。
【0079】
また同時に、眼特性取得制御部116が、眼底カメラユニット10a及びOCTユニット10bの作動を停止させる(ステップS9)。これにより、左右眼又は被検者の取り違えが発生している状態での眼科装置10による眼特性の取得が防止される。
【0080】
[第1実施形態の効果]
以上のように第1実施形態の眼科装置10では、被検眼Eの虹彩情報18を取得してデータベース12内の各虹彩情報18と照合することにより、被検眼Eの左右眼の識別と被検者の識別とを自動且つ高精度に実行することができる。これにより、被検眼Eの左右眼の取り違え及び被検者の取り違えの発生を防止することができる。
【0081】
さらに左右眼の取り違え又は被検者の取り違えの少なくとも一方が発生した場合には検者に警告すると共に、眼科装置10の各部(眼科装置本体)の作動を停止させることができる。その結果、検者に取り違えの発生を報知すると共に、この取り違えが発生した状態で眼科装置10による眼特性の取得が実行されることが防止される。このため、被検眼Eの左右眼の取り違え及び被検者の取り違えの発生をより確実に防止することができる。
【0082】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態の眼科装置10について説明を行う。第2実施形態の眼科装置10は、ステレオカメラ20により左右眼等識別用の前眼部像14を撮影する場合に、視標表示部54から被検眼Eに対して白色光(可視光)を照射させる。なお、第2実施形態の眼科装置10は、上記第1実施形態の眼科装置10と基本的に同じ構成であり、上記第1実施形態と機能又は構成上同一のものについては同一符号を付してその説明は省略する。
【0083】
図6は、第2実施形態の眼科装置10による被検眼Eの眼特性取得処理の流れ、特に左右眼及び被検者の取り違防止処理の流れを示すフローチャートである。
【0084】
図6に示すように、第2実施形態の眼科装置10では、上記第1実施形態(
図5参照)と同様に、ステップS1(被検者選択操作及び左右眼選択操作)が実行された後、光学系制御部100が、視標表示部54を作動させて、この視標表示部54から被検眼Eに対して白色光を照射させる(ステップS1A)。この場合に、視標表示部54は本発明の可視光照射部として機能する。なお、光学系制御部100は、視標表示部54を制御することで、被検眼Eに照射される可視光の光量を調整する光量調整部として機能する。
【0085】
図7は、第2実施形態の視標表示部54による被検眼Eへの白色光の照射前(符号7A参照)及び照射中(符号7B参照)にそれぞれステレオカメラ20により取得される前眼部像14を示した説明図である。なお、
図7(後述の
図9、
図10等も同様)では図面の煩雑化を防止するため、ステレオカメラ20(カメラ20a,20b)の一方で撮影された前眼部像14のみを図示し、他方で撮影された前眼部像14については図示を省略している。
【0086】
図7の符号7A及び符号7Bに示すように、視標表示部54から被検眼Eに対して白色光を照射することで、被検眼Eの瞳孔を縮小させることができる。これにより、前眼部像14内において、被検眼Eの虹彩に対応する虹彩領域A1の面積を拡大し且つ被検眼Eの瞳孔に対応する瞳孔領域A2の面積を縮小することができる。なお、被検眼Eの瞳孔を縮小可能であれば、視標表示部54から白色光以外の各種可視光を被検眼Eに照射してもよい。また、視標表示部54の代わりに各種の可視光照射部を用いて被検眼Eに対して可視光を照射してもよい。
【0087】
図6に戻って、被検眼Eへの白色光の照射が開始されると、前眼部像取得部102が、上記第1実施形態と同様に、ステレオカメラ20のカメラ20a,20bを制御して前眼部Eaの撮影を実行させると共に、カメラ20a,20bから左右眼等識別用の前眼部像14を取得する(ステップS2)。以下、上記第1実施形態と同様に、ステップS3からステップS9の処理が繰り返し実行される。
【0088】
以上のように第2実施形態では、ステレオカメラ20による左右眼等識別用の前眼部像14の撮影時に、被検眼Eに対して白色光を照射することで前眼部像14内の虹彩領域A1の面積を拡大させることができる。その結果、識別部106による左右眼及び被検者の識別精度を向上させることができる。
【0089】
[第3実施形態]
図8は、第3実施形態の眼科装置10の演算制御ユニット22の機能ブロック図である。第3実施形態の眼科装置10では、識別部106による左右眼及び被検者の識別精度を向上させるために、虹彩領域A1内で虹彩とは異なる像が映っている領域を検出し、この検出結果に基づき虹彩情報18の検出を行う。
【0090】
図8に示すように、第3実施形態の眼科装置10は、演算制御ユニット22の虹彩情報検出部104がNG領域検出部105として機能する点を除けば、上記各実施形態の眼科装置10と基本的に同じ構成である。このため、上記各実施形態と機能又は構成上同一のものについては同一符号を付してその説明は省略する。
【0091】
NG領域検出部105は、本発明の識別不能領域検出部に相当するものであり、前眼部像取得部102が取得した左右眼等識別用の前眼部像14に基づき、前眼部像14の虹彩領域A1内から虹彩(虹彩紋理)を識別不能な識別不能領域であるNG領域120(
図9及び
図10参照)を検出し、前眼部像14に対してNG領域120を設定する。
【0092】
図9は、NG領域検出部105による虹彩領域A1内の睫毛に起因するNG領域120の検出を説明するための説明図である。
図10は、NG領域検出部105による虹彩領域A1内の外乱光に起因するNG領域120の検出を説明するための説明図である。なお、
図9及び
図10中の符号122は、虹彩領域A1内で虹彩を識別可能な識別可能領域であるOK領域である。
【0093】
図9及び
図10に示すように、NG領域検出部105は、虹彩情報検出部104による虹彩領域A1の検出結果に基づき、この虹彩領域A1の中で虹彩とは異なる像が映っている領域をNG領域120として検出する。このNG領域120としては、例えば
図9の符号9Aに示すような睫毛が映っている(睫毛によりケラレている)領域、及び
図10の符号XAに示すような外乱光が映っている領域などが挙げられる。
【0094】
具体的にはNG領域検出部105は、虹彩領域A1内の各画素の色及び輝度に基づき色及び輝度が類似している画素同士をクラスタリングして画素集合を形成することで、前眼部像14の虹彩領域A1内からNG領域120を検出する(例えば特開2018-206239号参照)。また、NG領域検出部105が、公知の独立成分分析処理を用いたり、或いは「“The Measurement of Highlights in Color Images”, GUDRUN J. KLINKER, STEVEN A. SHAFER, AND TAKEO KANADE」に開示されている映り込み除去手法を用いたりすることで、虹彩領域A1内からNG領域120を検出してもよい。さらに他の公知の画像解析法(映り込み除去手法)を用いてNG領域120を検出してもよい。
【0095】
次いで、
図9の符号9B及び
図10の符号XBに示すように、NG領域検出部105は、虹彩領域A1内からNG領域120が検出された場合にはその検出元の前眼部像14に対してNG領域120の設定を行う。このNG領域120の設定とは、例えば、NG領域120の位置及び形状に関する情報を前眼部像14の付帯情報に付加したり、前眼部像14内のNG領域120をマスク処理或いは除去処理したりすることである。
【0096】
図8に戻って、虹彩情報検出部104は、NG領域検出部105によるNG領域120の設定結果に基づき、虹彩領域A1内のNG領域120とは異なるOK領域122から虹彩情報18の検出を行う。
【0097】
[第3実施形態の眼科装置の作用]
図11は、第3実施形態の眼科装置10による被検眼Eの眼特性取得処理の流れ、特に左右眼及び被検者の取り違防止処理の流れを示すフローチャートである。
図11に示すように、ステップS2までの処理は、
図6に示した上記第2実施形態と基本的に同じであるので、ここでは具体的な説明は省略する。
【0098】
前眼部像取得部102が左右眼等識別用の前眼部像14を取得すると(ステップS2)、最初に虹彩情報検出部104が前眼部像14から虹彩領域A1を検出する。次いで、既述の
図9及び
図10に示したように、NG領域検出部105が虹彩領域A1内からのNG領域120の検出と、虹彩領域A1に対するNG領域120の設定と、を実行する(ステップS2A)。そして、虹彩情報検出部104が、NG領域検出部105によるNG領域120の設定結果に基づき、OK領域122のみから虹彩情報18の検出を行う(ステップS3)。
【0099】
以下、上記第1実施形態と同様に、ステップS4からステップS9の処理が繰り返し実行される。
【0100】
以上のように第3実施形態では、虹彩領域A1内のNG領域120を検出することで、虹彩領域A1内のOK領域122のみから検出した虹彩情報18に基づき、識別部106による左右眼及び被検者の識別を実行することができる。これにより、虹彩領域A1内に睫毛及び外乱光等が映り込んでいたとしても、識別部106による左右眼及び被検者の識別を高精度に実行することができる。
【0101】
[第4実施形態]
図12は、第4実施形態の眼科装置10の概略図である。上記各実施形態では眼科装置10として眼底カメラ及び光干渉断層計の複合機を例に挙げて説明を行ったが、第4実施形態の眼科装置10は、被検眼Eに対してレーザ手術を行うレーザ手術装置である。
【0102】
図12に示すように、第4実施形態の眼科装置10は、眼底カメラユニット10a及びOCTユニット10bの代わりにレーザ光源10cを備え、且つ演算制御ユニット22がOCT画像形成部114及び眼特性取得制御部116の代わりに光源制御部140として機能する点を除けば上記各実施形態の眼科装置10と基本的に同じ構成である。なお、第4実施形態の操作部24は公知のフットスイッチを含む。
【0103】
レーザ光源10cは、本発明の眼科装置本体を構成するものであり、操作部24(フットスイッチ)に対する足操作に応じて、被検眼Eの治療部位を光凝固させる治療用のレーザ光を被検眼Eに対して出射する。また、レーザ光源10cは、操作部24の足操作に応じて治療用のレーザ光を出射可能な作動モードになった場合に、照準用のレーザ光を被検眼Eに対して出射する。
【0104】
光源制御部140は、判定部110が左右眼及び被検者の取り違えが発生していないと判定した場合に、レーザ光源10cによる治療用のレーザ光及び照準用のレーザ光の出射を制御する。また、光源制御部140は、判定部110が左右眼或いは被検者の取り違えが発生したと判定した場合に、レーザ光源10cの作動を停止させる。この場合に、光源制御部140は本発明の停止制御部として機能する。
【0105】
以上のように第4実施形態の眼科装置10においても、上記各実施形態と同様に被検眼Eの左右眼の取り違え及び被検者の取り違えの発生を防止することができる。さらに、左右眼及び被検者の少なくとも一方の取り違えが発生している状態で、被検眼Eのレーザ手術が誤って実行されることが防止される。
【0106】
[第5実施形態]
上記各実施形態では、ステレオカメラ20により撮影された左右眼等識別用の前眼部像14を前眼像取得部102が取得しているが、この前眼部像14の取得タイミングに応じて、前眼部像14内の虹彩領域A1及び瞳孔領域A2の大きさ(すなわち被検眼Eの瞳孔径)が、標準としている大きさから変わる場合がある。また、同一の被検者であっても、前眼部像14の取得タイミングに応じて虹彩領域A1及び瞳孔領域A2の大きさが変わる場合がある。この場合に、データベース12に記憶されている各虹彩情報18が標準の大きさの虹彩領域A1から検出されたものであると、識別部106による左右眼及び被検者の識別の精度に影響を及ぼすおそれがある。
【0107】
そこで、第5実施形態の眼科装置10では、その虹彩情報検出部104が、前眼部像取得部102が取得した左右眼等識別用の前眼部像14を画像処理して、瞳孔領域A2の瞳孔径を予め定められた大きさに補正する瞳孔径補正部として機能する。なお、第5実施形態の眼科装置10は、上記各実施形態の眼科装置10と基本的に同じ構成であるので、上記各実施形態と機能又は構成上同一のものについては同一符号を付してその説明は省略する。
【0108】
例えば虹彩情報検出部104は、前眼部像取得部102が取得した前眼部像14に対して公知のアフィン変換処理を施すことにより、前眼部像14内の瞳孔領域A2の瞳孔径を予め定められた大きさに補正する。また、虹彩情報検出部104は、眼の瞳孔散大筋及び瞳孔括約筋の一般的な動き解析した解析結果に基づき、前眼部像14内の虹彩領域A1の各画素に対して座標変換処理を施すことにより、瞳孔領域A2の瞳孔径を予め定められた大きさに補正してもよい。なお、このような前眼部像14の補正は、虹彩領域A1の虹彩情報18に影響を及ぼさない方式で実行される。
【0109】
そして、虹彩情報検出部104は、補正後の前眼部像14の虹彩領域A1から虹彩情報18の検出を行う。これにより、識別部106による左右眼及び被検者の識別の精度を向上させることができる。
【0110】
なお、ステレオカメラ20がカラーの前眼部像14を撮影し且つデータベース12に記憶されている各虹彩情報18に虹彩の色情報が含まれている場合には、眼科装置10で取得される前眼部像14と、データベース12内の各虹彩情報18の基となる前眼部像14とが同一光源による照明下で撮影されたかのように色補正されていることが好ましい。
【0111】
この場合に、虹彩情報検出部104は、前眼部像取得部102が取得した前眼部像14の色を、予め定められた標準光源による被検眼Eの照明下でステレオカメラ20により撮影される前眼部像14の色に色補正(色変換)する色補正部として機能する。
【0112】
例えば、虹彩情報検出部104には、公知の標準光源(ハロゲン電球光源或いはD65光源)のスペクトルである標準光源スペクトル情報と、公知の観察光源31(ハロゲンランプ又はLED)のスペクトルである光源スペクトル情報と、が入力されている。また、光のスペクトルから画像(画素)のRGB値を演算する方法も公知である。このため、虹彩情報検出部104は、光源スペクトル情報が示す補正元の観察光源31のスペクトルと、標準光源スペクトル情報が示す補正先の標準光源のスペクトルと、に基づき、前眼部像14の各画素のRGB値を変換することで、前眼部像14の色補正を実行する。
【0113】
そして、虹彩情報検出部104は、補正後の前眼部像14の虹彩領域A1から虹彩情報18の検出を行う。なお、データベース12内の各虹彩情報18も同様にして検出されている。これにより、識別部106による左右眼及び被検者の識別の精度を向上させることができる。
【0114】
[その他]
上記各実施形態では、ステレオカメラ20のカメラ20a,20bにより被検眼Eの前眼部Eaを撮影して前眼部像14を取得しているが、3以上の複数のカメラで前眼部Eaの撮影を行ってもよい。
【0115】
上記各実施形態では、ステレオカメラ20のカメラ20a,20bにより前眼部Eaを撮影して前眼部像14を取得し、各前眼部像14に基づき虹彩情報18の検出を行っているが、カメラ20a,20bのいずれか一方により撮影された前眼部像14に基づき虹彩情報18の検出を行ってもよい。また、この場合には、撮像光学系50が対物レンズ43を通して取得した前眼部像14に基づき虹彩情報18の検出を行ってもよい。
【0116】
上記各実施形態では、左右眼或いは被検者の取り違えが発生した場合に、第1警告情報119A或いは第2警告情報119Bを外部出力しているが、識別部106による左右眼及び被検者の識別結果のみをモニタ23等に外部出力してもよい。この場合にも検者は左右眼或いは被検者の取り違えを認識することができる。
【0117】
上記各実施形態では、識別部106による左右眼及び被検者の識別を行っているが、左右眼の識別のみを行ってもよい。この場合には、第1警告情報119Aのみを外部出力する。
【0118】
上記各実施形態では、第1警告情報119A及び第2警告情報119Bをモニタ23及びスピーカ等に外部出力しているが、検者(術者)に対して警告可能であればその態様は特に限定されるものではなく、例えば、警告灯を点灯させたり、眼科装置10の一部或いは検者の座っている椅子等を振動させたりしてもよい。
【0119】
上記各実施形態では、データベース12に1つの眼科装置10が接続されているが、複数(同種又は多種)の眼科装置10がデータベース12に接続されていてもよい。また、データベース12が眼科装置10内に設けられていてもよい。
【0120】
上記各実施形態では、眼科装置10内に前眼部像取得部102、虹彩情報検出部104、識別部106、情報受付部108、判定部110、及び警告情報出力部112の機能が設けられているが、これらの機能を有する制御装置が眼科装置本体(眼底カメラユニット10a及びOCTユニット10b等)の外部(遠隔地を含む)に配置されていてもよい。この場合にはこの制御装置が本発明の眼科装置に相当する。これにより、遠隔診療(診断)に用いられる各種眼科装置(眼科システム)にも本発明を適用することができる。
【0121】
上記各実施形態では、眼科装置10として眼底カメラ、光干渉断層計、及びレーザ手術装置を例に挙げて説明を行ったが、被検眼Eの観察、撮影、各種眼特性の取得、及び各種手術を行う眼科装置10にも本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0122】
10 眼科装置
10a 眼底カメラユニット
10b OCTユニット
10c レーザ光源
12 データベース
14 前眼部像
15 眼底撮影像
16 OCT検出信号
17 ID情報
18 虹彩情報
20 ステレオカメラ
20a,20b カメラ
21 周辺照明部
22 演算制御ユニット
23 モニタ
24 操作部
30 照明光学系
31 観察光源
32 反射ミラー
33 集光レンズ
34 可視カットフィルタ
35 撮影光源
36 ミラー
37 リレーレンズ
38 リレーレンズ
39 絞り
40 リレーレンズ
41 孔開きミラー
42 ダイクロイックミラー
43 対物レンズ
50 撮像光学系
51 合焦レンズ
52 ミラー
53 ハーフミラー
54 視標表示部
55 ダイクロイックミラー
56 集光レンズ
57 撮像素子
58 ミラー
59 集光レンズ
60 撮像素子
70 フォーカス光学系
71 LED
72 リレーレンズ
73 スプリット指標板
74 二孔絞り
75 ミラー
76 集光レンズ
77 反射棒
80 OCT光学系
81 コリメータレンズユニット
82 光路長変更部
83 ガルバノスキャナ
84 合焦レンズ
85 ミラー
86 リレーレンズ
100 光学系制御部
102 前眼部像取得部
104 虹彩情報検出部
105 NG領域検出部
106 識別部
108 情報受付部
110 判定部
112 警告情報出力部
114 OCT画像形成部
116 眼特性取得制御部
118 登録部
119A 第1警告情報
119B 第2警告情報
120 NG領域
122 OK領域
140 光源制御部
A1 虹彩領域
A2 瞳孔領域
E 被検眼
Ea 前眼部
Ef 眼底