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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】火災監視システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20240202BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20240202BHJP
【FI】
G08B17/00 C
G08B25/10 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020058844
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021157642
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 英聖
(72)【発明者】
【氏名】中村 貴臣
【審査官】大橋 達也
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-197994(JP,A)
【文献】特開2009-288899(JP,A)
【文献】特開2000-069580(JP,A)
【文献】特開平08-273082(JP,A)
【文献】特開平10-334377(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00-31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の火災警報器と、1以上の第2の火災警報器と、中継装置とを備える火災監視システムであって、
前記1以上の第2の火災警報器と前記中継装置は、登録スイッチを押下されると登録要求を送信する登録要求部を備え、
前記第1の火災警報器は、前記登録要求を受信すると、前記登録要求の送信元の機器IDを自機のメモリに記憶するとともに、火災監視グループを識別するグループIDを送信する第1登録部を備え、
前記1以上の第2の火災警報器と前記中継装置は、前記グループIDを受信すると、前記グループIDを自機のメモリに記憶する第2登録部を備え、
前記第1の火災警報器は、前記グループIDを含む無線信号を送信する無線信号送信部を備え、
前記1以上の第2の火災警報器と前記中継装置は、前記無線信号を受信すると、前記無線信号に含まれるグループIDが自機に記憶されているか否かを判定し、記憶されている場合には所定の処理を実行する処理実行部を備え、
前記中継装置は、前記グループIDを自機のメモリに記憶したことを契機として、消去要求を送信する消去要求部を備え、
前記第1の火災警報器は、前記消去要求を受信すると、前記中継装置の機器IDを自機のメモリから消去する消去部を備える
ことを特徴とする火災監視システム。
【請求項2】
前記中継装置は、前記無線信号を受信すると、前記火災監視システムとは異なる他のシステム又は前記火災監視グループとは異なる他の火災監視グループに、前記無線信号に対応する信号を送信することを特徴とする、請求項1に記載の火災監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の火災警報器を連動させる住宅用の火災監視システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。この火災監視システムを構成する複数の火災警報器は、親器に複数の子器を登録することで連動が可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-248230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この火災監視システムで検知された異常情報を他のシステムに通知したいというニーズがある。そのような通知を可能にするためには、親器に対して中継装置を登録する必要がある。しかし、親器に対して登録可能な機器の台数には制限がある。そのため、中継装置を親器に登録してしまうと、当該親器に登録可能な子器の台数が減ってしまう。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、火災監視グループを構成する火災警報器の台数を減らすことなく、当該グループ内で検知された情報を、当該グループを構成しない他の装置に対して出力することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明に係る火災監視システムは、第1の火災警報器と、1以上の第2の火災警報器と、中継装置とを備える火災監視システムであって、前記1以上の第2の火災警報器と前記中継装置は、登録スイッチを押下されると登録要求を送信する登録要求部を備え、前記第1の火災警報器は、前記登録要求を受信すると、前記登録要求の送信元の機器IDを自機のメモリに記憶するとともに、火災監視グループを識別するグループIDを送信する第1登録部を備え、前記1以上の第2の火災警報器と前記中継装置は、前記グループIDを受信すると、前記グループIDを自機のメモリに記憶する第2登録部を備え、前記第1の火災警報器は、前記グループIDを含む無線信号を送信する無線信号送信部を備え、前記1以上の第2の火災警報器と前記中継装置は、前記無線信号を受信すると、前記無線信号に含まれるグループIDが自機に記憶されているか否かを判定し、記憶されている場合には所定の処理を実行する処理実行部を備え、前記中継装置は、前記グループIDを自機のメモリに記憶したことを契機として、消去要求を送信する消去要求部を備え、前記第1の火災警報器は、前記消去要求を受信すると、前記中継装置の機器IDを自機のメモリから消去する消去部を備えることを特徴とする。
【0007】
好ましい態様において、前記中継装置は、前記無線信号を受信すると、前記火災監視システムとは異なる他のシステム又は前記火災監視グループとは異なる他の火災監視グループに、前記無線信号に対応する信号を送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、火災監視グループを構成する火災警報器の台数を減らすことなく、当該グループ内で検知された情報を、当該グループを構成しない他の装置に対して出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】火災監視システムを示す図
図2】火災警報器1のハードウェア構成を示すブロック図
図3】中継装置2のハードウェア構成を示すブロック図
図4】登録処理を示すシーケンス図
図5】登録処理を示すシーケンス図
図6】火災連動処理を示すシーケンス図
図7】復旧処理を示すシーケンス図
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.実施形態
本発明の一実施形態に係る火災監視システムについて図面を参照して説明する。
1-1.構成
図1は、住宅Hに設置された火災監視システムを示す図である。同図に示す火災監視システムは、親器である火災警報器1A(以下、単に「親器1A」という。)と、子器である火災警報器1B(以下、単に「子器1B」という。)と、中継装置2を備える。以下の説明では、この親器1A及び子器1Bを総称して「火災警報器1」という。
【0011】
1-1-1.火災警報器
火災警報器1は、連動型の火災警報器である。図2は、この火災警報器1のハードウェア構成を示すブロック図である。同図に示す火災警報器1は、火災感知部11、警報部12、無線通信部13、操作受付部14、電源部15及び制御部16を備えている。
【0012】
この火災警報器1が備える構成要素のうち、火災感知部11は、火災に伴って発生する煙や熱を検知することで火災を感知する。警報部12は、警報音を出力し、表示灯を点灯させる。無線通信部13は、アンテナを介して無線信号を送受信する。操作受付部14は、利用者により操作されるスイッチであり、少なくとも登録スイッチと消去スイッチを含む。電源部15は、火災警報器1の各部に電池から電源を供給する。制御部16は、マイコンとメモリを備え、マイコンがメモリに記憶されているプログラムを実行することで、各種の機能が実現される。
【0013】
親器1Aの制御部16がプログラムを実行すると、登録処理部161、火災連動処理部162、復旧処理部163及び電波異常監視部164という機能が実現される。
【0014】
登録処理部161は、自機が子器1B又は中継装置2から登録要求を受信すると、この登録要求に含まれている機器IDを、自機のメモリ(機器ID記憶領域)に記憶する。この結果、この登録要求の送信元は、火災監視グループを構成する機器として登録されることになる。ただし、メモリに記憶可能な機器IDの数は、そのメモリの記憶容量により制限される。言い換えると、親器1Aに登録可能な機器の台数は、そのメモリの記憶容量により制限される。
【0015】
この登録処理部161は、機器IDをメモリに記憶後、上記の登録要求の送信元に対して登録情報を送信する。この登録情報には、火災監視グループを識別するグループIDが少なくとも含まれている。
【0016】
また、登録処理部161は、自機が子器1B又は中継装置2から消去要求を受信すると、この消去要求に含まれている機器IDを自機のメモリにおいて特定し、当該機器IDを削除する。この結果、機器ID記憶領域において、当該機器IDが格納されていた格納領域は、他の機器に対して再度割り当て可能となる。
【0017】
なお、グループIDは、例えば乱数等に基づいて、親器1Aによって生成される。また、機器IDは、火災警報器1、中継装置2の各機器で固有の機器識別符号である。
また、後述にて詳細に説明しない場合があるが、火災警報器1、中継装置2の各機器は、グループID登録処理後において、無線信号を送信する場合には、自己の属するグループを示すグループIDと、送信先を示す機器IDとを少なくとも付与して無線信号を送信するものとする。
【0018】
火災連動処理部162は、自機の火災感知部11が火災を感知すると、警報部12を起動して、警報音を出力し、表示灯を点灯させる。また、火災連動処理部162は、火災連動信号を送信する。この火災連動信号には、自機のメモリに記憶されているグループIDと、送信元を示す自己の機器IDが含まれている。
【0019】
また、火災連動処理部162は、自機が子器1Bから火災連動信号を受信すると、この火災連動信号に含まれるグループIDが、自機のメモリに記憶されているか否かを判定する。言い換えると、この火災連動信号の送信元が自機と同じ火災監視グループに属するか否かを判定する。この判定の結果、そのグループIDが自機のメモリに記憶されている場合には、警報部12を起動して、警報音を出力し、表示灯を点灯させる。また、送信元の機器IDをメモリの火元ID記憶領域に格納する。加えて、上記の火災連動信号を転送送信する。これは、同じ火災監視グループの属する各機器の連動をより確実にするためである。一方、そのグループIDが自機のメモリに記憶されていない場合には、警報部12を起動せず、火災連動信号の転送送信も行わない。
【0020】
復旧処理部163は、火災監視グループを構成する子器1Bから復旧通知が受信されると復旧連動信号を送信する。火災検出を行ったすべての子器1Bからの復旧通知を受信し、かつ、自機の火災感知部11が火災を感知しなくなったと判定すると、自機の警報部12の動作を停止させる。つまり、復旧処理部163は、自己のグループIDを含む復旧通知を受信すると、メモリの火元ID記憶領域から、復旧通知の送信元の機器IDを削除する。そして、火元ID格納領域において、機器IDが存在しなくなった場合に、火災監視グループを構成するすべての機器が火災を感知しなくなったと判断する。そして、復旧連動信号を送信する。
【0021】
電波異常監視部164は、火災監視グループに属するいずれかの子器1Bから所定の期間以上、試験信号を受信していないと判定すると、電波異常を通知するために、警報部12を起動して、警報音を出力し、表示灯を点灯させる。
【0022】
次に、子器1Bの制御部16がプログラムを実行すると、登録処理部165、火災連動処理部166、復旧処理部167及び電波異常監視部168という機能が実現される。
【0023】
登録処理部165は、利用者により自機の登録スイッチが押下されると、親器1Aに対して登録要求を送信する。この登録要求には、自機のメモリに記憶されている機器IDが含まれている。登録要求の送信後、自機が親器1Aから登録情報を受信すると、この登録情報に含まれるグループIDなどの情報を自機のメモリに記憶する。
【0024】
また、登録処理部165は、利用者により自機の消去スイッチが押下されると、親器1Aに対して消去要求を送信する。この消去要求には、グループIDと自機の機器IDが含まれている。
【0025】
火災連動処理部166は、自機の火災感知部11が火災を感知すると、警報部12を起動して、警報音を出力し、表示灯を点灯させる。また、火災連動処理部162は、火災連動信号を送信する。この火災連動信号には、自機のメモリに記憶されているグループIDと、送信元を示す自己の機器IDが含まれている。
【0026】
また、火災連動処理部166は、自機が親器1A又は他の子器1Bから火災連動信号を受信すると、この火災連動信号に含まれるグループIDが、自機のメモリに記憶されているか否かを判定する。言い換えると、この火災連動信号の送信元が自機と同じ火災監視グループに属するか否かを判定する。この判定の結果、そのグループIDが自機のメモリに記憶されている場合には、警報部12を起動して、警報音を出力し、表示灯を点灯させる。一方、そのグループIDが自機のメモリに記憶されていない場合には、警報部12を起動しない。
【0027】
復旧処理部167は、自機の監視区域において火災が鎮火し、自機の火災感知部11が火災を感知しなくなると、親器1Aに対して復旧通知を送信する。復旧通知には、送信元を示す機器IDが付与されている。この復旧通知を送信後、自機が親器1Aから復旧連動信号を受信すると、この復旧連動信号に含まれるグループIDが、自機のメモリに記憶されているか否かを判定する。言い換えると、この復旧連動信号の送信元が自機と同じ火災監視グループに属するか否かを判定する。この判定の結果、そのグループIDが自機のメモリに記憶されている場合には、警報部12の動作を停止させる。一方、そのグループIDが自機のメモリに記憶されていない場合には、警報部12の動作を停止させない。
【0028】
電波異常監視部168は、親器1Aから所定の期間以上、試験信号を受信していないと判定すると、電波異常を通知するために、警報部12を起動して、警報音を出力し、表示灯を点灯させる。
【0029】
1-1-2.中継装置
中継装置2は、火災監視システムにおいて検知された情報を、この火災監視システムとは別のシステムに通知するための装置である。ここで、火災監視システムとは別のシステムとは、例えば、住宅Hに設置された防犯システム(図示略)である。より具体的には、住宅Hで発生する盗難、施錠忘れ、ガス漏れなどを感知して警報を鳴らしたり、警備会社へ通報したりするシステムである。図3は、この中継装置2のハードウェア構成を示すブロック図である。同図に示す中継装置2は、無線通信部21、操作受付部22、電源部23及び制御部24を備えている。
【0030】
この中継装置2が備える構成要素のうち、無線通信部21は、アンテナを介して無線信号を送受信する。操作受付部22は、利用者により操作されるスイッチであり、少なくとも登録スイッチを含む。電源部23は、中継装置2の各部にAC電源等の電源から電力を供給する。制御部24は、マイコンとメモリを備え、マイコンがメモリに記憶されているプログラムを実行することで、登録処理部241、火災連動処理部242、復旧処理部243及び電波異常監視部244という機能が実現される。以下、各機能について説明する。
【0031】
登録処理部241は、利用者により自機の登録スイッチが押下されると、親器1Aに対して登録要求を送信する。この登録要求には、自機のメモリに記憶されている機器IDが含まれている。登録要求の送信後、自機が親器1Aから登録情報を受信すると、この登録情報に含まれるグループID等の情報を自機のメモリに記憶する。加えて、このグループID等の記憶を契機として、親器1Aに対して消去要求を送信する。この消去要求には、自機に割り当てられた機器IDが含まれている。
【0032】
火災連動処理部242は、自機が親器1A又は他の子器1Bから火災連動信号を受信すると、この火災連動信号に含まれるグループIDが、自機のメモリに記憶されているか否かを判定する。言い換えると、この火災連動信号の送信元が自機と同じ火災監視グループに属するか否かを判定する。この判定の結果、そのグループIDが自機のメモリに記憶されている場合には、防犯システム等に対して火災発生信号を出力する。一方、そのグループIDが自機のメモリに記憶されていない場合には、防犯システム等に対して火災発生信号を出力しない。
【0033】
復旧処理部243は、自機が親器1Aから復旧連動信号を受信すると、この復旧連動信号に含まれるグループIDが、自機のメモリに記憶されているか否かを判定する。言い換えると、この復旧連動信号の送信元が自機と同じ火災監視グループに属するか否かを判定する。この判定の結果、そのグループIDが自機のメモリに記憶されている場合には、防犯システム等に対して復旧信号を出力する。一方、そのグループIDが自機のメモリに記憶されていない場合には、防犯システム等に対して復旧信号を出力しない。
【0034】
電波異常監視部244は、親器1Aから所定の期間以上、試験信号を受信していないと判定すると、防犯システム等に対して電波異常信号を出力する。
【0035】
1-2.動作
火災監視システムの動作について説明する。具体的には、登録処理、火災連動処理、復旧処理及び電波異常監視処理について説明する。
【0036】
1-2-1.登録処理
図4は、子器1Bを親器1Aに登録するための処理を示すシーケンス図である。
子器1Bを親器1Aに登録するにあたり、利用者は親器1Aの登録スイッチを押下する(ステップSa1)。この登録スイッチが押下されると、親器1Aは登録モードに移行する(ステップSa2)。次に、利用者は、子器1Bの登録スイッチを押下する(ステップSa3)。この登録スイッチが押下されると、子器1Bの登録処理部165は、親器1Aに対して登録要求を送信する(ステップSa4)。この登録要求には、この子器1Bのメモリに記憶されている機器IDが含まれている。この登録要求を親器1Aが受信すると、親器1Aの登録処理部161は、この登録要求に含まれている機器IDを、自機のメモリの機器ID記憶領域に記憶する(ステップSa5)。この結果、子器1Bは、火災監視グループを構成する機器として登録されることになる。
【0037】
機器IDをメモリに記憶すると、登録処理部161は、子器1Bに対して登録情報を送信する(ステップSa6)。この登録情報には、上記の火災監視グループのグループIDが含まれている。この登録情報を子器1Bが受信すると、子器1Bの登録処理部165は、この登録情報に含まれるグループIDを自機のメモリに記憶する(ステップSa7)。この結果、この子器1Bは、親器1Aとの連動が可能になる。
以上が、子器1Bを親器1Aに登録するための処理についての説明である。
【0038】
次に、中継装置2を親器1Aに登録するための処理について説明する。図5は、この登録処理を示すシーケンス図である。
中継装置2を親器1Aに登録するにあたり、利用者は親器1Aの登録スイッチを押下する(ステップSb1)。この登録スイッチが押下されると、親器1Aは登録モードに移行する(ステップSb2)。次に、利用者は、中継装置2の登録スイッチを押下する(ステップSb3)。この登録スイッチが押下されると、中継装置2の登録処理部241は、親器1Aに対して登録要求を送信する(ステップSb4)。この登録要求には、この中継装置2のメモリに記憶されている機器IDが含まれている。この登録要求を親器1Aが受信すると、親器1Aの登録処理部161は、この登録要求に含まれている機器IDを、自機のメモリの機器ID記憶領域に記憶する(ステップSb5)。この結果、中継装置2は、火災監視グループを構成する機器として登録されることになる。
【0039】
機器IDをメモリに記憶すると、登録処理部161は、中継装置2に対して登録情報を送信する(ステップSb6)。この登録情報には、上記の火災監視グループのグループIDが含まれている。この登録情報を中継装置2が受信すると、中継装置2の登録処理部241は、この登録情報に含まれるグループIDを自機のメモリに記憶する(ステップSb7)。この結果、この中継装置2は、親器1Aとの連動が可能になる。
【0040】
グループIDを記憶後、登録処理部241は、親器1Aに対して消去要求を送信する(ステップSb8)。この消去要求には、中継装置2に割り当てられたグループIDと機器IDが含まれている。この消去要求を親器1Aが受信すると、親器1Aの登録処理部161は、この消去要求に含まれている機器IDを自機のメモリの機器ID記憶領域において特定し、該当する機器IDを削除する(ステップSb9)。この結果、機器ID記憶領域において、当該機器IDが格納されていた格納領域は、他の機器に対して再度割り当て可能となる。
以上が、中継装置2を親器1Aに登録するための処理についての説明である。
【0041】
この登録処理では、中継装置2は、グループIDを自機のメモリに記憶した後に、自動的に消去要求を送信する。そして、この消去要求を受信した親器1Aは、この中継装置2の機器IDを自機のメモリの機器ID記憶領域から削除する。そのため、この登録処理によれば、火災監視グループを構成する子器1Bの台数を減らすことなく、当該グループ内で検知された情報を中継装置2に提供することが可能になる。
なお、消去要求に対して、親器1Aから中継装置2に対して消去情報送信を行うことで、確実に消去されたことを確認できるようにしてもよい。
【0042】
1-2-2.火災連動処理
図6は、火災連動処理を示すシーケンス図である。
子器1Bの監視区域において火災が発生すると、この子器1Bの火災感知部11は、この火災を感知する(ステップSc1)。火災感知部11が火災を感知すると、この子器1Bの火災連動処理部166は、警報部12を起動して、警報音を出力し、表示灯を点灯させる(ステップSc2)。また、火災連動処理部166は、火災連動信号を送信する(ステップSc3)。この火災連動信号には、自機のメモリに記憶されているグループIDと、送信元の機器IDが含まれている。
【0043】
この火災連動信号を他の子器1Bが受信すると、子器1Bの火災連動処理部166は、この火災連動信号に含まれるグループIDが、自機のメモリに記憶されているか否かを判定する(ステップSc4)。この判定の結果、そのグループIDが自機のメモリに記憶されている場合には、警報部12を起動して、警報音を出力し、表示灯を点灯させる(ステップSc5)。一方、そのグループIDが自機のメモリに記憶されていない場合には、警報部12を起動しない。
【0044】
上記の火災連動信号を他の中継装置2が受信すると、中継装置2の火災連動処理部166は、この火災連動信号に含まれるグループIDが、自機のメモリに記憶されているか否かを判定する(ステップSc6)。この判定の結果、そのグループIDが自機のメモリに記憶されている場合には、防犯システム等に対して火災発生信号を出力する(ステップSc7)。一方、そのグループIDが自機のメモリに記憶されていない場合には、防犯システム等に対して火災発生信号を出力しない。
【0045】
上記の火災連動信号を親器1Aが受信すると、親器1Aの火災連動処理部162は、この火災連動信号に含まれるグループIDが、自機のメモリに記憶されているか否かを判定する(ステップSc8)。この判定の結果、そのグループIDが自機のメモリに記憶されている場合には、警報部12を起動して、警報音を出力し、表示灯を点灯させる(ステップSc9)。また、送信元の機器IDをメモリの火元ID記憶領域に格納する。加えて、火災連動処理部162は、上記の火災連動信号を転送送信する(ステップSc10)。これは、同じ火災監視グループの属する各機器の連動をより確実にするためである。この火災連動信号を受信した子器1Bは、火元の子器1Bからの火災連動信号を受信していない場合には、ステップSc4及びSc5を実行し、この火災連動信号を受信した中継装置2は、火元の子器1Bからの火災連動信号を受信していない場合には、ステップSc6及びSc7を実行する。一方、親器1Aの火災連動処理部162は、そのグループIDが自機のメモリに記憶されていない場合には、警報部12を起動せず、火災連動信号の転送送信も行わない。
【0046】
なお、上記は子器1Bからの火災連動信号受信にて他の子器1Bが動作する例を記載しているが、他の子器1Bは親器1Aからの転送信号受信時のみ火災連動信号を送信してもよい。この場合はシステム内の火災警報器1の状態情報を親器1Aに集中させることができるため、中継装置2の処理を軽減することができる。
以上が、火災連動処理についての説明である。
【0047】
1-2-3.復旧処理
図7は、復旧処理を示すシーケンス図である。
子器1Bの監視区域において火災が鎮火し、自機の火災感知部11が火災を感知しなくなると(ステップSd1)、子器1Bの復旧処理部167は、親器1Aに対して復旧通知を送信する。この復旧通知には、送信元を示す復旧元の機器IDが含まれる(ステップSd2)。親器1Aの復旧処理部163は、火災監視グループを構成するすべての子器1B(ただし、火災を感知していた子器1B)から復旧通知が受信され、かつ、自機の火災感知部11が火災を感知しなくなったと判定すると(ステップSd3)、自機の警報部12の動作を停止させる(ステップSd4)。加えて、復旧連動信号を送信する(ステップSd5)。
【0048】
より具体的には、親器1Aの復旧処理部163は、自己のグループIDを含む復旧通知を受信すると、メモリの火元ID記憶領域から、復旧通知の送信元の機器IDを削除する。そして、火元ID格納領域において、機器IDが存在しなくなった場合に、火災監視グループを構成するすべての機器が火災を感知しなくなったと判断すると(ステップSd3)、自機の警報部12の動作を停止させる(ステップSd4)。加えて、復旧連動信号を送信する(ステップSd5)。
【0049】
この復旧連動信号を子器1Bが受信すると、子器1Bの復旧処理部167は、この復旧連動信号に含まれるグループIDが、自機のメモリに記憶されているか否かを判定する(ステップSd6)。この判定の結果、そのグループIDが自機のメモリに記憶されている場合には、警報部12の動作を停止させる(ステップSd7)。一方、そのグループIDが自機のメモリに記憶されていない場合には、警報部12の動作を停止させない。
【0050】
上記の復旧連動信号を中継装置2が受信すると、中継装置2の復旧処理部243は、この復旧連動信号に含まれるグループIDが、自機のメモリに記憶されているか否かを判定する(ステップSd8)。この判定の結果、そのグループIDが自機のメモリに記憶されている場合には、防犯システム等に対して復旧信号を出力する(ステップSd9)。一方、そのグループIDが自機のメモリに記憶されていない場合には、防犯システム等に対して復旧信号を出力しない。
以上が、復旧処理についての説明である。
【0051】
1-2-4.電波異常監視処理
親器1Aは定期的に試験信号を送信する。この試験信号にはグループIDが含まれている。このグループIDをメモリに記憶する子器1Bの電波異常監視部168は、親器1Aから所定の期間以上、試験信号を受信していないと判定すると、電波異常を通知するために、警報部12を起動して、警報音を出力し、表示灯を点灯させる。また、このグループIDをメモリに記憶する中継装置2の電波異常監視部244は、親器1Aから所定の期間以上、試験信号を受信していないと判定すると、防犯システム等に対して電波異常信号を出力する。
【0052】
上記の例では中継装置2が親器1Aからの試験信号を受信しない場合について述べたが、親器1Aが子器1Bからの試験信号を受信しないことによる電波異常状態を中継装置2に送信することで、防犯システム等に対して電波異常信号を出力させるようにしてもよい。
【0053】
子器1Bもまた、定期的に試験信号を送信する。この試験信号にはグループIDが含まれている。このグループIDをメモリに記憶する親器1Aの電波異常監視部164は、火災監視グループに属するいずれかの子器1Bから所定の期間以上、試験信号を受信していないと判定すると、電波異常を通知するために、警報部12を起動して、警報音を出力し、表示灯を点灯させる。
以上が、電波異常監視処理についての説明である。
【0054】
2.変形例
上記の実施形態は以下のように変形してもよい。以下に記載する変形例は互いに組み合わせてもよい。
【0055】
2-1.変形例1
中継装置2の通知先は、防犯システム等以外のシステムであってもよい。通知先のシステムは、中継装置2から出力される信号を利用可能なシステムであれば、いずれのシステムであってもよい。
【0056】
2-2.変形例2
中継装置2の通知先は、上記の火災監視グループとは異なる別の火災監視グループであってもよい。より具体的には、別の火災監視グループを構成する中継装置であってもよい。
【0057】
2-3.変形例3
親器1Aは、上記の登録処理のステップSb5において、中継装置2の機器ID(又は、新たに付与したダミー機器ID)を、自機のメモリの機器ID記憶領域以外の領域に記憶するようにしてもよい。より具体的には、親器1Aの登録処理部161は、中継装置2から登録要求を受信したときに、この登録要求に含まれている機器IDから送信元の種類を判定し、中継装置であると判定した場合には、その機器ID(又は、新たに付与したダミー機器ID)を自機のメモリの機器ID記憶領域以外の領域に記憶するようにしてもよい。ここで、ダミー機器IDとは、子器1Bに付与されている正式な機器IDとは異なる機器IDである。このように中継装置2の機器ID(又はダミー機器ID)を機器ID記憶領域以外の領域に記憶することで、親器1Aは、火災監視グループを構成する子器1Bの台数を減らすことなく、中継装置2に対して連動信号(各種無線信号)を提供することができる。
この場合、機器IDには、機器種類(種別)を示すデータが含まれているものとする。
【0058】
2-4.変形例4
親器1Aは、上記の登録処理のステップSb5において、自機のメモリへの中継装置2の機器IDの記憶を省略してもよい。より具体的には、親器1Aの登録処理部161は、中継装置2から登録要求を受信したときに、この登録要求に含まれている機器IDから送信元の種類を判定し、中継装置であると判定した場合には、その機器IDを自機のメモリに記憶することを省略してもよい。このように中継装置2の機器IDの記憶を省略することで、親器1Aは、火災監視グループを構成する子器1Bの台数を減らすことなく、中継装置2に対して連動信号を提供することができる。
この場合、機器IDには、機器種類(種別)を示すデータが含まれているものとする。
【0059】
2-5.変形例5
親機1Aは、火災監視グループを構成する自機又は子器1Bのいずれかにおいて火災以外の機器異常(例えば、電池切れ)が発生した場合に、当該機器異常を通知する信号を中継装置2に転送し、機器異常が発生したことを示す信号を外部のシステムに出力させてもよい。
【0060】
2-6.変形例6
子器1Bの登録処理部241は、上記の登録処理のステップSa7で親器1Aから受信したグループIDをメモリに記憶した後に、中継装置2と同様に、親器1Aに対して消去要求を送信してもよい。この消去要求を親器1Aが受信すると、親器1Aの登録処理部161は、この消去要求に含まれている機器IDを自機のメモリの機器ID記憶領域において特定して削除する。その結果、機器ID記憶領域において当該機器IDが格納されていた格納領域は、他の機器に対して再度割り当て可能となる。
【0061】
その場合に、子器1Bの登録処理部241は、親器1Aから受信したグループIDとは異なるグループIDがすでにメモリに記憶されていることを検知した場合にのみ、上記の消去要求を送信するようにしてもよい。この2つのグループIDをメモリに記憶した子器1Bは、2つの火災監視グループから信号を受信することができる。
【0062】
2-7.変形例7
親器1Aに子器1Bの登録処理部165の機能を追加し、当該機能を追加した複数の親器1Aと中継装置2のみで火災監視システムを構成するようにしてもよい。言い換えると、親器1Aと子器1Bを区別しないようにしてもよい。その場合、登録処理では、複数の親器1Aのうち、最初に登録スイッチが押下された親器1Aが、図4に示す「親器1A」として動作し、その後、所定時間内に登録スイッチが押下された親器1Aが、同図に示す「子器1B」として動作することになる。
【符号の説明】
【0063】
1、1A、1B…火災警報器、2…中継装置、11…火災感知部、12…警報部、13…無線通信部、14…操作受付部、15…電源部、16…制御部、21…無線通信部、22…操作受付部、23…電源部、24…制御部、161…登録処理部、162…火災連動処理部、163…復旧処理部、164…電波異常監視部、165…登録処理部、166…火災連動処理部、167…復旧処理部、168…電波異常監視部、241…登録処理部、242…火災連動処理部、243…復旧処理部、244…電波異常監視部、H…住宅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7