(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】基板作業システム、基板作業ライン用の電源スイッチおよび基板作業ラインの電源管理方法。
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20240202BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20240202BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2020077687
(22)【出願日】2020-04-24
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】吉田 秀太郎
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/129116(WO,A1)
【文献】特開2005-250520(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/04
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源の供給を受けて所定作業を基板に実行する複数の基板作業装置を有し、前記複数の基板作業装置に順番に前記基板を搬送しつつ前記基板作業装置に前記所定作業を実行させる基板作業ライン
が複数設けられた基板作業システムにおいて、
前記基板作業ライン毎に設けられた電源スイッチと
、
前記基板作業ライン毎に設けられた前記電源スイッチを一括して管理する集中管理装置と、
を備え、
前記電源スイッチは、前記基板作業ラインの前記複数の基板作業装置に対して、一括して電源を遮断する一括遮断状態から一括して電源を供給する一括供給状態へ切り換えるスイッチオンをオン指令の入力に応じて実行する一方、前記一括供給状態から前記一括遮断状態へ切り換えるスイッチオフをオフ指令の入力に応じて実行
し、
前記各電源スイッチは、作業者が前記オン指令および前記オフ指令を入力可能な入力操作部と、前記集中管理装置との通信を実行する通信部とを有し、前記通信部が前記集中管理装置から前記オン指令を受信すると、対応する前記基板作業ラインの前記複数の基板作業装置に対して前記スイッチオンを実行し、前記通信部が前記集中管理装置から前記オフ指令を受信すると、対応する前記基板作業ラインの前記複数の基板作業装置に対して前記スイッチオフを実行する基板作業システム。
【請求項2】
前記電源スイッチには電源ラインが接続され、
前記電源スイッチは、前記電源ラインから供給された電源を前記複数の基板作業装置に対して供給し、
前記集中管理装置は、前記各電源スイッチが電源を遮断している状態において、前記電源ラインから前記電源スイッチに供給される電源に電圧異常が発生しているか否かを前記各電源スイッチについて判定し、電圧異常が発生していない前記電源スイッチに対して前記オン指令を送信する一方、電圧異常が発生している前記電源スイッチに対しては前記オン指令を送信しない請求項
1に記載の基板作業システム。
【請求項3】
前記基板作業装置は、被駆動体と、前記被駆動体をサーボモータによって駆動する駆動部とを有し、
前記基板作業装置は、前記電源スイッチによる前記スイッチオンの実行に伴って前記電源スイッチからの電源の供給を受けると、前記電源スイッチから供給される電源の前記サーボモータへの供給を開始するモータオンを実行して、当該モータオンにより電源供給が開始された前記サーボモータによって
前記被駆動体を駆動する請求項
1ないし2のいずれか一項に記載の基板作業システム。
【請求項4】
前記基板作業ラインは、電源が遮断された前記基板作業装置における状況変化の発生を検知する検知部をさらに有し、
前記基板作業装置は、前記電源スイッチによる前記スイッチオンの実行に伴って前記電源スイッチからの電源の供給を受けると、前記検知部による検知結果に基づき前記状況変化の発生の有無を確認し、前記状況変化が発生していない場合には前記モータオンを実行する一方、前記状況変化が発生している場合には前記モータオンを禁止する請求項
3に記載の基板作業システム。
【請求項5】
前記基板作業装置は、ハウジングと、前記ハウジングを開閉するカバーを有し、
前記検知部は、前記カバーを開く動作を前記状況変化として検知する請求項
4に記載の基板作業システム。
【請求項6】
前記基板作業装置は、部品を供給するフィーダが着脱可能なフィーダ着脱部を有し、
前記検知部は、前記フィーダ着脱部へのフィーダの取り付けあるいは前記フィーダ着脱部からの前記フィーダの取り外しを前記状況変化として検知する請求項
4または5に記載の基板作業システム。
【請求項7】
前記基板作業装置は、当該基板作業装置における結露の発生を検知する結露センサを有し、
前記基板作業装置は、前記電源スイッチによる前記スイッチオンの実行に伴って前記電源スイッチからの電源の供給を受けると、前記結露センサにより結露の発生の有無を確認し、結露が発生していない場合には前記モータオンを実行する一方、結露が発生している場合には前記モータオンを禁止する請求項
3ないし6のいずれか一項に記載の基板作業システム。
【請求項8】
前記モータオンが禁止された場合、前記モータオンの禁止の原因を作業者に報知する第1報知部をさらに備えた請求項
4ないし7のいずれか一項に記載の基板作業システム。
【請求項9】
前記基板作業装置は、前記サーボモータによって前記被駆動体を原点位置に移動させる終了時原点復帰を、前記電源スイッチによる前記スイッチオフの前に実行し、
前記基板作業装置は、前記電源スイッチによる前記スイッチオンの実行に伴って前記電源スイッチからの電源の供給を受けると、前記スイッチオンの前に実行された前記終了時原点復帰が成功したか否かを確認し、前記終了時原点復帰が成功していない場合には、前記モータオンの実行後に前記サーボモータによって前記被駆動体を前記原点位置に移動させる開始時原点復帰を実行する請求項
3ないし8のいずれか一項に記載の基板作業システム。
【請求項10】
前記開始時原点復帰に失敗した場合、前記開始時原点復帰に失敗した旨を作業者に報知する第2報知部をさらに備えた請求項
9に記載の基板作業システム。
【請求項11】
前記複数の
基板作業装置は、前記基板に半田を印刷する印刷機、前記基板に部品を実装する部品実装機および部品が実装された前記基板を検査する基板検査機の少なくとも1つを含む請求項1ないし
10のいずれか一項に記載の基板作業システム。
【請求項12】
電源の供給を受けて所定作業を基板に実行する複数の基板作業装置を有し、前記複数の基板作業装置に順番に前記基板を搬送しつつ前記基板作業装置に前記所定作業を実行させる基板作業ライン用の電源スイッチであって、
オン指令およびオフ指令の入力を受け付ける入力
操作部と、
前記基板作業ラインの前記複数の基板作業装置に対して、一括して電源を遮断する一括遮断状態から一括して電源を供給する一括供給状態へ切り換えるスイッチオンをオン指令の入力に応じて実行する一方、前記一括供給状態から前記一括遮断状態へ切り換えるスイッチオフをオフ指令の入力に応じて実行する制御部と
、
前記基板作業ライン毎に設けられた前記電源スイッチを管理する集中管理装置との通信を実行する通信部と
を備え、
前記制御部は、前記通信部が前記集中管理装置から前記オン指令を受信すると、前記基板作業ラインの前記複数の基板作業装置に対して前記スイッチオンを実行し、前記通信部が前記集中管理装置から前記オフ指令を受信すると、前記基板作業ラインの前記複数の基板作業装置に対して前記スイッチオフを実行する基板作業ライン用の電源スイッチ。
【請求項13】
電源の供給を受けて所定作業を基板に実行する複数の基板作業装置を有し、前記複数の基板作業装置に順番に前記基板を搬送しつつ前記基板作業装置に前記所定作業を実行させる基板作業ラインに対応して設けられた電源スイッチが、前記基板作業ラインの前記複数の基板作業装置に対して、一括して電源を遮断する一括遮断状態から一括して電源を供給する一括供給状態へ切り換えるスイッチオンを実行する工程と、
前記電源スイッチが前記一括供給状態から前記一括遮断状態へ切り換えるスイッチオフを実行する工程と
を備え
、
前記基板作業ラインは、複数設けられ、
前記電源スイッチは、前記基板作業ライン毎に設けられ、前記スイッチオンをオン指令の入力に応じて実行する一方、前記スイッチオフをオフ指令の入力に応じて実行し、
前記各電源スイッチは、作業者が前記オン指令および前記オフ指令を入力可能な入力操作部と、前記基板作業ライン毎に設けられた前記電源スイッチを一括して管理する集中管理装置との通信を実行する通信部とを有し、前記通信部が前記集中管理装置から前記オン指令を受信すると、対応する前記基板作業ラインの前記複数の基板作業装置に対して前記スイッチオンを実行し、前記通信部が前記集中管理装置から前記オフ指令を受信すると、対応する前記基板作業ラインの前記複数の基板作業装置に対して前記スイッチオフを実行する基板作業ラインの電源管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源の供給を受けて所定作業を基板に実行する複数の基板作業装置を有し、複数の基板作業装置に順番に基板を搬送しつつ基板作業装置に所定作業を実行させる基板作業ラインの電源を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1~3に示されるように、基板へ部品を実装する実装作業を実行する部品実装機が知られている。かかる部品実装機は、外部から供給された電源によって動作するサーボモータによって実装ヘッド等の被駆動部を駆動することで実装作業を実行する。したがって、実装作業を開始するためには、部品実装機に対して電源供給を開始する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-133800号方向
【文献】特許第4487425号
【文献】WO2016/129116
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに対して、例えば特許文献3では、直列に並ぶ複数の部品実装機を備えた部品実装ラインが、複数の部品実装機に基板を順番に搬送しつつ、各部品実装機に実装作業を実行させる。このような部品実装ラインで基板への部品の実装を開始するためには、部品実装ラインが具備する複数の部品実装機に電源供給の開始、すなわち電源投入を実行する必要がある。そのため、電源投入のための作業者の作業負担が大きかった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、基板作業ラインが具備する複数の基板作業装置に対する電源投入の作業負担を軽減可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る基板作業システムは、電源の供給を受けて所定作業を基板に実行する複数の基板作業装置を有し、複数の基板作業装置に順番に基板を搬送しつつ基板作業装置に所定作業を実行させる基板作業ラインと、基板作業ラインに対応して設けられた電源スイッチとを備え、電源スイッチは、基板作業ラインの複数の基板作業装置に対して、一括して電源を遮断する一括遮断状態から一括して電源を供給する一括供給状態へ切り換えるスイッチオンをオン指令の入力に応じて実行する一方、一括供給状態から一括遮断状態へ切り換えるスイッチオフをオフ指令の入力に応じて実行する。
【0007】
本発明に係る基板作業ライン用の電源スイッチは、電源の供給を受けて所定作業を基板に実行する複数の基板作業装置を有し、複数の基板作業装置に順番に基板を搬送しつつ基板作業装置に所定作業を実行させる基板作業ライン用の電源スイッチであって、オン指令およびオフ指令の入力を受け付ける入力部と、基板作業ラインの複数の基板作業装置に対して、一括して電源を遮断する一括遮断状態から一括して電源を供給する一括供給状態へ切り換えるスイッチオンをオン指令の入力に応じて実行する一方、一括供給状態から一括遮断状態へ切り換えるスイッチオフをオフ指令の入力に応じて実行する制御部とを備える。
【0008】
本発明に係る基板作業ラインの電源管理方法は、電源の供給を受けて所定作業を基板に実行する複数の基板作業装置を有し、複数の基板作業装置に順番に基板を搬送しつつ基板作業装置に所定作業を実行させる基板作業ラインに対応して設けられた電源スイッチが、基板作業ラインの複数の基板作業装置に対して、一括して電源を遮断する一括遮断状態から一括して電源を供給する一括供給状態へ切り換えるスイッチオンを実行する工程と、電源スイッチが一括供給状態から一括遮断状態へ切り換えるスイッチオフを実行する工程とを備える。
【0009】
このように構成された本発明(基板作業システム、基板作業ライン用の電源スイッチ、基板作業ラインの電源管理方法)では、基板作業ラインに対応して電源スイッチが設けられている。そして、基板作業ラインの複数の基板作業装置に対して、一括して電源を遮断する一括遮断状態から一括して電源を供給する一括供給状態へ切り換えるスイッチオンを、電源スイッチが実行する。そのため、基板作業ラインの複数の基板作業装置のそれぞれに個別に電源投入を実行する必要がない。その結果、基板作業ラインが具備する複数の基板作業装置に対する電源投入の作業負担を軽減することが可能となっている。
【0010】
さらに、本発明では、一括供給状態から一括遮断状態へ切り換えるスイッチオフを、電源スイッチが実行する。そのため、基板作業ラインの複数の基板作業装置のそれぞれに個別に電源遮断を実行する必要がない。その結果、基板作業ラインが具備する複数の基板作業装置に対する電源遮断の作業負担を軽減することも可能となっている。
【0011】
また、電源スイッチは、作業者がオン指令およびオフ指令を入力可能な入力操作部を有するように、基板作業システムを構成してもよい。かかる構成では、作業者はオン指令を入力操作部に入力するだけで複数の基板作業装置に対して電源投入を実行できるとともに、オフ指令を入力操作部に入力するだけで複数の基板作業装置に対して電源遮断を実行できる。したがって、作業者の作業負担が軽減可能となっている。
【0012】
ところで、基板作業ラインは、単一とは限られず、複数設けられる場合もある。このように複数の基板作業ラインが存在する状況に対応するため、次のように構成してもよい。つまり、基板作業ラインが複数設けられた基板作業システムにおいて、集中管理装置をさらに備え、電源スイッチは基板作業ライン毎に設けられ、集中管理装置は、基板作業ライン毎に設けられた電源スイッチを一括して管理し、各電源スイッチは、集中管理装置からオン指令が入力されると、対応する基板作業ラインの複数の基板作業装置に対してスイッチオンを実行し、集中管理装置からオフ指令が入力されると、対応する基板作業ラインの複数の基板作業装置に対してスイッチオフを実行するように、基板作業システムを構成してもよい。かかる構成では、複数の基板作業ライン毎に電源スイッチが設けられ、集中管理装置がこれら電源スイッチを一括して管理する。そして、各電源スイッチは、集中管理装置からオン指令が入力されると、対応する基板作業ラインの複数の基板作業装置に対してスイッチオンを実行する。したがって、複数の基板作業ラインのそれぞれが具備する複数の基板作業装置に対する電源投入の作業負担を軽減することが可能となっている。また、各電源スイッチは、集中管理装置からオフ指令が入力されると、対応する基板作業ラインの複数の基板作業装置に対してスイッチオフを実行する。したがって、複数の基板作業ラインのそれぞれが具備する複数の基板作業装置に対する電源遮断の作業負担を軽減することが可能となっている。
【0013】
また、電源スイッチには電源ラインが接続され、電源スイッチは、電源ラインから供給された電源を複数の基板作業装置に対して供給し、集中管理装置は、各電源スイッチが電源を遮断している状態において、電源ラインから電源スイッチに供給される電源に電圧異常が発生しているか否かを各電源スイッチについて判定し、電圧異常が発生していない電源スイッチに対してオン指令を送信する一方、電圧異常が発生している電源スイッチに対してはオン指令を送信しないように、基板作業システムを構成してもよい。かかる構成では、電圧異常が発生している電源スイッチに対してはオン指令が送信されない。したがって、不安定な電源が基板作業装置に供給されるのを防止できる。
【0014】
また、基板作業装置は、被駆動体と、被駆動体をサーボモータによって駆動する駆動部とを有し、基板作業装置は、電源スイッチによるスイッチオンの実行に伴って電源スイッチからの電源の供給を受けると、電源スイッチから供給される電源のサーボモータへの供給を開始するモータオンを実行して、当該モータオンにより電源供給が開始されたサーボモータによって非駆動体を駆動するように、基板作業システムを構成してもよい。
【0015】
この際、基板作業ラインは、電源が遮断された基板作業装置における状況変化の発生を検知する検知部をさらに有し、基板作業装置は、電源スイッチによるスイッチオンの実行に伴って電源スイッチからの電源の供給を受けると、検知部による検知結果に基づき状況変化の発生の有無を確認し、状況変化が発生していない場合にはモータオンを実行する一方、状況変化が発生している場合にはモータオンを禁止するように、基板作業システムを構成してもよい。かかる構成では、電源遮断時に基板作業装置に状況変化が発生した場合には、サーボモータによる被駆動体の駆動を禁止することができる。
【0016】
また、基板作業装置は、ハウジングと、ハウジングを開閉するカバーを有し、検知部は、カバーを開く動作を状況変化として検知するように、基板作業システムを構成してもよい。かかる構成では、電源遮断時に基板作業装置のカバーが開かれた場合には、サーボモータによる被駆動体の駆動を禁止することができる。
【0017】
また、基板作業装置は、部品を供給するフィーダが着脱可能なフィーダ着脱部を有し、検知部は、フィーダ着脱部へのフィーダの取り付けあるいはフィーダ着脱部からのフィーダの取り外しを状況変化として検知するように、基板作業システムを構成してもよい。かかる構成では、電源遮断時に基板作業装置のフィーダ着脱部に対してフィーダが着脱された場合には、サーボモータによる被駆動体の駆動を禁止することができる。
【0018】
また、基板作業装置は、当該基板作業装置における結露の発生を検知する結露センサを有し、基板作業装置は、電源スイッチによるスイッチオンの実行に伴って電源スイッチからの電源の供給を受けると、結露センサにより結露の発生の有無を確認し、結露が発生していない場合にはモータオンを実行する一方、結露が発生している場合にはモータオンを禁止するように、基板作業システムを構成してもよい。かかる構成では、基板作業装置に結露が発生している場合には、サーボモータによる被駆動体の駆動を禁止することができる。
【0019】
また、モータオンが禁止された場合、モータオンの禁止の原因を作業者に報知する第1報知部をさらに備えるように、基板作業システムを構成してもよい。かかる構成では、作業者は、第1報知部による報知を確認することで、サーボモータによる被駆動体の駆動が禁止された原因を把握でき、この原因を解消するための作業を実行することができる。
【0020】
また、基板作業装置は、サーボモータによって被駆動体を原点位置に移動させる終了時原点復帰を、電源スイッチによるスイッチオフの前に実行し、基板作業装置は、電源スイッチによるスイッチオンの実行に伴って電源スイッチからの電源の供給を受けると、スイッチオンの前に実行された終了時原点復帰が成功したか否かを確認し、終了時原点復帰が成功していない場合には、モータオンの実行後にサーボモータによって被駆動体を原点位置に移動させる開始時原点復帰を実行するように、基板作業システムを構成してもよい。かかる構成では、スイッチオフに伴う終了時原点復帰により被駆動体を原点位置に移動させるのに失敗した場合には、スイッチオンに伴う開始時原点復帰を実行して、被駆動体を原点位置に移動させることができる。
【0021】
また、開始時原点復帰に失敗した場合、開始時原点復帰に失敗した旨を作業者に報知する第2報知部をさらに備えるように、基板作業システムを構成してもよい。かかる構成では、第2報知部による報知を確認することで、開始時原点復帰により被駆動体を原点位置に移動させるのに失敗したことを把握でき、被駆動体を原点位置に移動させるための作業を実行することができる。
【0022】
また、複数の基板処理装置は、基板に半田を印刷する印刷機、基板に部品を実装する部品実装機および部品が実装された基板を検査する基板検査機の少なくとも1つを含むように、基板作業システムを構成してもよい。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明によれば、基板作業ラインが具備する複数の基板作業装置に対する電源投入の作業負担を軽減することが可能となっている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は本発明に係る基板処理システムの一例である基板生産システムを示すブロック図。
【
図2】基板生産ラインが備える印刷機を模式的に示す正面図である。
【
図3】
図2の印刷機が備える電気的構成を示すブロック図。
【
図4】基板生産ラインが備える部品実装機の一例の構成を模式的に示す平面図。
【
図5】
図4の部品実装機が備える電気的構成を示すブロック図。
【
図6】基板生産ラインが備える基板検査機の一例を模式的に示す正面図。
【
図7】印刷機、部品実装機および基板検査機が共通して具備する構成を模式的に示す図。
【
図8】電源スイッチが具備する電気的構成を示すブロック図。
【
図9】集中管理装置が実行する生産ライン起動処理の一例を示すフローチャート。
【
図10】電源供給を受けた基板処理装置によって実行される初期動作の一例を示すフローチャート。
【
図11】電源供給を受けた基板処理装置によって実行されるシャットダウン処理を含む基板生産動作の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は本発明に係る基板処理システムの一例である基板生産システムを示すブロック図である。基板生産システム1は、複数(
図1の例では3本)の基板生産ラインLを備え、各基板生産ラインLは、基板への半田の印刷、基板への部品の実装および部品が実装された基板の検査を順に実行することで、基板に印刷された半田に部品が実装された部品実装基板を生産して、当該部品実装基板を検査する。
【0026】
基板生産システム1では、電源スイッチ11が基板生産ラインL毎に設けられている。こうして、基板生産システム1は、複数の基板生産ラインLに一対一で対応して複数の電源スイッチ11を備え、各電源スイッチ11は、対応する基板生産ラインLへの電源の供給/遮断を担当する。基板生産システム1は、電源Pcを生成する主電源部12と、主電源部12に接続された電源ライン13とを備え、並列に配列された複数の電源スイッチ11のそれぞれが電源ライン13に接続されている。こうして、各電源スイッチ11には、主電源部12が出力する電源Pcが電源ライン13を介して供給される。
【0027】
複数の電源スイッチ11のそれぞれは、対応する基板生産ラインLに対して、電源供給と電源遮断とを選択的に実行する。電源供給では、電源スイッチ11は、電源ライン13と対応する基板生産ラインLとを接続して、電源ライン13から供給された電源Pcを対応する基板生産ラインLに対して供給する。電源遮断では、電源スイッチ11は、電源ライン13と対応する基板生産ラインLとを遮断して、電源ライン13から供給された電源Pcを対応する基板生産ラインLに対して遮断する。さらに、基板生産システム1は、複数の電源スイッチ11を管理する集中管理装置17を備える。集中管理装置17は、ディスプレイ等の出力機器およびマウスやキーボード等の入力機器を備えたコンピュータであり、複数の電源スイッチ11による電源供給および電源遮断といった動作を制御する。
【0028】
複数の基板生産ラインLのそれぞれは、対応する電源スイッチ11から供給された電源Pcによって動作することで、部品実装基板を生産する。複数の基板生産ラインLの構成は共通するため、ここでは1個の基板生産ラインLの構成を詳述する。
図1に示すように、基板生産ラインLは、基板に半田を印刷する印刷機2と、印刷機2によって半田が印刷された基板に部品を実装する複数(
図1の例では2台)の部品実装機4と、部品実装機4によって部品が実装された基板を検査する基板検査機6とを備える。
【0029】
図2は基板生産ラインが備える印刷機を模式的に示す正面図である。
図3は
図2の印刷機が備える電気的構成を示すブロック図である。
図2および以下の図では、Z方向を鉛直方向とし、X方向およびY方向を水平方向とするXYZ直交座標軸を適宜示す。印刷機2は、基板Bに半田を印刷する印刷作業を実行する。この印刷機2は、マスクMを水平に保持するマスク保持ユニット21と、マスクMの上方に配置された印刷ヘッド22と、印刷ヘッド22を駆動するヘッド駆動機構23と、マスクMの下方に配置された基板駆動機構24とを備える。さらに、印刷機2は、プロセッサ等で構成された主制御部201と、HDD(Hard Disk Drive)等で構成された記憶部202とを備える。そして、主制御部201が記憶部202に記憶される印刷プログラムに従って、各駆動機構23、24を制御することで、基板駆動機構24に保持される基板BをマスクMに下方から対向させつつ印刷ヘッド22のスキージ221の先端をマスクMの上面にY方向へ摺動させる。これによって、マスクMの上面に供給された半田が、マスクMを貫通するパターン孔を介して基板Bの上面に印刷される。
【0030】
また、印刷機2は、装置に設けられた可動部の動作を制御する駆動制御部203を備え、主制御部201は、駆動制御部203により駆動機構23、24の駆動を制御する。さらに、印刷機2は、例えば液晶ディスプレイ等で構成された表示ユニット204と、キーボードやマウスといった入力機器で構成された入力ユニット205とを備える。したがって、作業者は、表示ユニット204の表示内容を確認することで印刷機2の稼働状況を確認したり、入力ユニット205を操作することで印刷機2に指令を入力したりできる。なお、表示ユニット204および入力ユニット205はタッチパネルにより一体的に構成しても構わない。また、印刷機2は、印刷機2内における結露の発生を検知する結露センサ206を備える。
【0031】
ヘッド駆動機構23は、印刷ヘッド22をY方向に駆動するY軸モータM22yと、印刷ヘッド22をZ方向に駆動するZ軸モータM22zと、スキージ221を回動させる回動モータM221とを有する。これらモータM22y、M22z、M221はサーボモータである。そして、駆動制御部203は、回動モータM221によってスキージ221の角度を調整しつつ、Z軸モータM22zによって印刷ヘッド22をマスクMに向けて下降させて、スキージ221をマスクMの上面に接触させる。さらに、駆動制御部203は、Y軸モータM22yによって印刷ヘッド22をY方向に駆動することで、スキージ221をマスクMの上面に摺動させる。
【0032】
基板駆動機構24は、マスク保持ユニット21に保持されたマスクMの下方に配置され、マスクMに対して基板Bの位置を合わせる機能を担う。この基板駆動機構24は、基板BをX方向に搬送する一対のコンベア241と、コンベア241から受け取った基板Bを保持する基板保持部242と、コンベア241および基板保持部242を支持する平板形状の可動テーブル243とを有する。
【0033】
一対のコンベア241はY方向に間隔を空けつつX方向に平行に配置されており、それぞれの上面で基板BのY方向の両端を下方から支持する。また、基板駆動機構24には、これらコンベア241を駆動するコンベアモータM241が設けられている。そして、駆動制御部203からの指令を受けたコンベアモータM241が各コンベア241を駆動すると、各コンベア241がX方向に基板Bを搬送して、印刷機2に対する基板Bの搬入あるいは搬出を実行する。
【0034】
基板保持部242は、平板形状の昇降テーブル244と、可動テーブル243に対してZ方向にスライド可能なスライド支柱245とを有し、昇降テーブル244がスライド支柱245の上端に支持されている。また、昇降テーブル244の上面にはZ方向に立設された複数のバックアップピン246がX方向およびY方向に間隔を空けて並ぶ。さらに、基板保持部242にはバックアップモータM246が設けられており、駆動制御部203からの指令を受けたバックアップモータM246がスライド支柱245を昇降させることで、昇降テーブル244とともにバックアップピン246を昇降させる。例えばコンベア241の基板Bの搬入時は、バックアップモータM246は、各バックアップピン246の上端をコンベア241の上面より下方に位置させる。そして、コンベア241がバックアップピン246の直上に基板Bを搬入すると、バックアップモータM246はバックアップピン246を上昇させることで、バックアップピン246の上端をコンベア241の上面より上方へ突出させる。これによって、コンベア241の上面から各バックアップピン246の上端へ基板Bが受け渡される。
【0035】
また、基板保持部242は、一対のコンベア241の上方でY方向に間隔を空けて配置された一対のクランププレート247を有する。そして、駆動制御部203がバックアップピン246上の基板Bを一対のクランププレート247の間に上昇させた状態で、これらクランププレート247が相互に近接することで、基板Bがクランプされる。具体的には、基板Bの上面の高さをクランププレート247の上面の高さに一致させるバックアップモータM246の回転角度を示す上昇制御データが記憶部202に格納されている。そして、バックアップモータM246は上昇制御データが示す上昇幅だけ基板Bを上昇させる。
【0036】
さらに、基板駆動機構24は、可動テーブル243を昇降させるボールネジ248と、ボールネジ248を回転させることで可動テーブル243をZ方向に駆動する昇降モータM248とを有する。したがって、駆動制御部203は、昇降モータM248を制御することで、可動テーブル243に配置されたコンベア241および基板保持部242をZ方向に駆動することができる。例えば搬入された基板BをマスクMに対して位置決めする際には、駆動制御部203は、クランププレート247にクランプされた基板Bの位置を昇降モータM248によりZ方向に調整する。これによって、クランププレート247および基板Bそれぞれの上面がマスクMの下面に接触する。
【0037】
図4は基板生産ラインが備える部品実装機の一例の構成を模式的に示す平面図である。
図5は
図4の部品実装機が備える電気的構成を示すブロック図である。部品実装機4は、基板Bに部品Eを実装する実装作業を実行する。この部品実装機4は、
図5に示すように、装置全体を統括的に制御するコントローラ400を備える。コントローラ400はプロセッサ等で構成された主制御部401と、HDD等で構成された記憶部402と、部品実装機4の駆動系を制御する駆動制御部403とを有する。そして、主制御部401は記憶部402に記憶されるプログラムに従って駆動制御部403を制御することで、プログラムが規定する手順で部品実装を実行する。また、部品実装機4には、表示/操作ユニット404が設けられており、主制御部401は、部品実装機4の稼働状況を表示/操作ユニット404に表示したり、表示/操作ユニット404に入力された作業者からの指令を受け付けたりする。また、部品実装機4は、部品実装機4内における結露の発生を検知する結露センサ405を備える。
【0038】
図4に示すように、部品実装機4は、基板BをX方向(基板搬送方向)に搬送する搬送部41を備える。この搬送部41は、X方向に並列に配置された一対のコンベア411を有し、コンベア411によって基板BをX方向に搬送する。これらコンベア411の間隔は、X方向に直交するY方向(幅方向)に変更可能であり、搬送部41は、搬送する基板Bの幅に応じてコンベア411の間隔を調整する。この搬送部41は、基板搬送方向であるX方向の上流側から所定の作業位置(
図4の基板Bの位置)に搬入するとともに、作業位置で部品Eが実装された基板Bを作業位置からX方向の下流側に搬出する。
【0039】
搬送部41のY方向の両側それぞれでは2つの部品供給部42がX方向に並んでおり、各部品供給部42では、複数のテープフィーダ421がX方向に並ぶ。部品供給部42では、X方向に並ぶ複数の部品供給箇所422が設けられており、各部品供給箇所422に供給すべき部品Eを供給するテープフィーダ421が、各部品供給箇所422に対応付けられて着脱可能に装着される。つまり、各テープフィーダ421に対しては、集積回路、トランジスタ、コンデンサ等の小片状の部品Eを所定間隔おきに収容したキャリアテープが巻き付けられた部品供給リールが配置されており、各テープフィーダ421は部品供給リールから引き出されたキャリアテープを間欠的に送り出すことで、その先端部の部品供給箇所422に部品Eを供給する。
【0040】
また、部品実装機4では、Y方向に延びる一対のY軸レール43と、Y方向に延びるY軸ボールネジ44と、Y軸ボールネジ44を回転駆動するY軸モータM44(サーボモータ)とが設けられ、X軸レール45が一対のY軸レール43にY方向に移動可能に支持された状態でY軸ボールネジ44のナットに固定されている。X軸レール45には、X方向に延びるX軸ボールネジ46と、X軸ボールネジ46を回転駆動するX軸モータM46(サーボモータ)とが取り付けられており、ヘッドユニット47がX軸レール45にX方向に移動可能に支持された状態でX軸ボールネジ46のナットに固定されている。したがって、駆動制御部403は、Y軸モータM44によりY軸ボールネジ44を回転させてヘッドユニット47をY方向に移動させ、あるいはX軸モータM46によりX軸ボールネジ46を回転させてヘッドユニット47をX方向に移動させることができる。
【0041】
ヘッドユニット47は、X方向に直線状に並ぶ複数の実装ヘッド48を有する。各実装ヘッド48に対しては、当該実装ヘッド48をZ方向に駆動するZ軸モータM48(サーボモータ)が設けられている。駆動制御部403は、Z軸モータM48によって実装ヘッド48を部品供給箇所422の部品Eに向けて下降させることで、実装ヘッド48の下端のノズルを部品Eに接触させる。この状態で、実装ヘッド48はノズルに負圧を発生させて、部品Eを吸着する。さらに、駆動制御部403は、部品Eをノズルに吸着する実装ヘッド48を基板Bに向けて下降させることで、部品Eを基板Bに接触させる。この状態で実装ヘッド48は、ノズルに正圧を発生させて、部品Eを基板Bに実装する。
【0042】
図6は基板生産ラインが備える基板検査機の一例を模式的に示す正面図である。基板検査機6は基板Bに接合された半田Sの外観に基づきその良否を判断する検査作業を実行する。この基板検査機6は、主制御部601およびユーザーインターフェース602を備える。主制御部601はプロセッサ等で構成され、基板Bに接合された半田Sの検査を制御する。ユーザーインターフェース602は、例えばタッチパネルで構成され、ユーザーはユーザーインターフェース602を介して半田Sの検査条件を設定したり、半田Sの検査結果を確認したりすることができる。また、基板検査機6は、基板検査機6内における結露の発生を検知する結露センサ603を備える。
【0043】
さらに、基板検査機6は、基板Bを搬送する基板搬送部62と、基板Bに上方から対向する検査ヘッド63と、検査ヘッド63を駆動する駆動部64とを備える。基板搬送部62は、例えば一対のコンベアで構成され、外部から搬入した基板Bを所定の保持位置(
図6の基板Bの位置)に固定したり、基板Bを保持位置から外部へ搬出したりする。基板Bの表面Bsには部品Eが半田Sにより取り付けられており、基板搬送部62は、基板Bの表面Bsを水平に保持した状態で、基板Bを保持位置に固定する。検査ヘッド63は、個体撮像素子631によって撮像を行うカメラである。駆動部64はXYロボットであり、X軸モータM64xにより検査ヘッド63をX方向に駆動するとともに、Y軸モータM64yにより検査ヘッド63をY方向に駆動する。これらモータM64x、M64yはサーボモータである。
【0044】
主制御部601は、X軸モータM64xおよびY軸モータM64yによって、検査ヘッド63と基板Bとの位置関係をX方向およびY方向に調整しつつ、基板Bの検査対象位置(半田Sの位置)を検査ヘッド63によって撮像する。そして、主制御部601は、検査ヘッド63によって撮像された画像に基づき、基板B上の半田Sの良否を検査する。
【0045】
図7は印刷機、部品実装機および基板検査機が共通して具備する構成を模式的に示す図である。印刷機2、部品実装機4および基板検査機6といった基板処理装置Aは、ハウジングAhを備える。印刷機2は、
図2および
図3に示す構成をハウジングAh内に収容し、部品実装機4は、
図4および
図5に示す構成をハウジングAh内に収容し、基板検査機6は、
図6に示す構成をハウジングAh内に収容する。ただし、
図2~
図6に示す構成のうち、作業者とのインターフェースとして機能する一部の構成(表示ユニット204、入力ユニット205、表示/操作ユニット404およびユーザーインターフェース602)は、ハウジングAhの外部に露出していても構わない。また、基板処理装置Aは、ハウジングAhを開閉するカバーAc(扉)を備える。カバーAcの開閉操作は、ハウジングAhに設けられたボタンへの作業者の操作によって実行されてもよいし、カバーAcに対する作業者の直接の手作業によって実行されてもよい。
【0046】
また、各基板生産ラインLは、それに属する基板処理装置Aの状況変化を監視する検知部Adを各基板処理装置Aについて備える。検知部Adは、基板処理装置Aの状況変化を検知するセンサAd1と、センサAd1による検知結果を記憶する記憶部Ad2とを有する。この検知部Adは、電源スイッチ11とは別系統から電源の供給を受けて動作する。したがって、電源スイッチ11が基板生産ラインLの各基板処理装置Aに対して電源Pcを遮断している場合においても、検知部Adは電源供給を受けて動作する。かかる検知部Adを設けることで、電源遮断中において、センサAd1が基板処理装置Aに生じた状況変化を検知して、記憶部Ad2がセンサAd1により検知された状況変化を記憶することができる。
【0047】
なお、検知部Adへの電源供給は、例えば主電源部12と検知部Adとを接続することにより実行してもよいし、主電源部12とは別の電源と検知部Adとを接続することにより実行してもよい。また、この別の電源は、主電源部12からの電力を蓄電する蓄電池であってもよい。
【0048】
図8は電源スイッチが具備する電気的構成を示すブロック図である。電源スイッチ11は、スイッチ111と、スイッチ111を開閉する開閉制御部112と、集中管理装置17との通信を実行する通信部113と、作業者による入力操作を受け付ける入力操作部114とを有する。スイッチ111の入力端子111aは電源ライン13に接続され、スイッチ111の出力端子111bは、対応する基板生産ラインLの印刷機2、2台の部品実装機4および基板検査機6のそれぞれに接続されている。また、開閉制御部112、通信部113および入力操作部114は、主電源部12からの電源の供給を受けて以下に説明する動作を実行する。
【0049】
開閉制御部112は、オン指令Conを受けるとスイッチ111を閉じて(スイッチオン)、印刷機2、2台の部品実装機4および基板検査機6のそれぞれと電源ライン13とを接続して、対応する基板生産ラインLの印刷機2、2台の部品実装機4および基板検査機6のそれぞれに一括して電源Pcを供給する(一括供給状態)。したがって、印刷機2、2台の部品実装機4および基板検査機6のそれぞれは、供給された電源Pcによって印刷作業、実装作業および検査作業を実行する。一方、開閉制御部112は、オフ指令Coffを受けるとスイッチ111を開いて(スイッチオフ)、対応する基板生産ラインLの印刷機2、2台の部品実装機4および基板検査機6のそれぞれと電源ライン13との接続を解除して、印刷機2、2台の部品実装機4および基板検査機6のそれぞれを一括して電源Pcから遮断する(一括遮断状態)。このように、電源スイッチ11は、対応する(換言すれば電源管理を担当する)基板生産ラインLの全ての基板処理装置Aに対して、一括して電源Pcを供給する動作と(一括供給状態)、一括して電源Pcを遮断する動作と(一括遮断状態)を選択的に実行する。
【0050】
通信部113は、集中管理装置17からオン指令Conを受信すると、このオン指令Conを開閉制御部112に与える一方、集中管理装置17からオフ指令Coffを受信すると、このオフ指令Coffを開閉制御部112に与える。また、入力操作部114は、作業者の操作によりオン指令Conが入力されると、このオン指令Conを開閉制御部112に与える一方、作業者の操作によりオフ指令Coffが入力されると、このオフ指令Coffを開閉制御部112に与える。このように、開閉制御部112にオン指令Conおよびオフ指令Coffを与える指令系統として2系統が設けられている。
【0051】
図9は集中管理装置が実行する生産ライン起動処理の一例を示すフローチャートである。
図9の生産ライン起動処理の開始前は、基板生産システム1が具備する複数の電源スイッチ11の全てが一括遮断状態にある。作業者の操作に応じて集中管理装置17の電源が投入されると(ステップS101)、集中管理装置17は電源管理ソフトウエア(アプリケーション)を起動する(ステップS102)。
【0052】
集中管理装置17は、電源管理ソフトウエアの機能によって、各電源スイッチ11の電源状態を確認する。具体的には、集中管理装置17は、電源状態通知指令を各電源スイッチ11に送信する。各電源スイッチ11は、通信部113によって電源状態通知指令を受信すると、当該電源スイッチ11に入力される電源Pcの電圧を確認する。具体的には、スイッチ111の入力端子111aの電圧が開閉制御部112によって確認される。そして、開閉制御部112は、電源Pcの電圧が所定の低側電圧未満であると、電源スイッチ11に供給される電源Pcに電圧低下が発生していると判断する一方、電源Pcの電圧が当該低側電圧以上であると、電源スイッチ11に供給される電源Pcに電圧低下が発生していないと判断する。また、開閉制御部112は、電源Pcの電圧が所定の高側電圧(低側電圧より高い電圧)より高いと、電源スイッチ11に供給される電源Pcに電圧上昇が発生していると判断する一方、電源Pcの電圧が当該高側電圧以下であると、電源スイッチ11に供給される電源Pcに電圧上昇が発生していないと判断する。そして、通信部113は、電源スイッチ11によって確認した電圧異常(電圧低下あるいは電圧上昇)の発生の有無を集中管理装置17に送信する。これによって、集中管理装置17は、複数の電源スイッチ11のそれぞれについて、電圧異常の発生の有無を確認できる。なお、電圧低下の発生要因としては、例えば瞬低あるいは停電等が挙げられ、電圧上昇の発生要因としては、短絡による過電流の発生が挙げられる。
【0053】
ステップS104では、集中管理装置17は、基板生産システム1に設けられた複数の電源スイッチ11のうちの電源投入対象である電源スイッチ11のうち、電圧異常が発生していない正常状態の電源スイッチ11にオン指令を送信する一方、電圧異常が発生している異常状態の電源スイッチ11にオン指令を送信しない。その結果、正常状態の電源スイッチ11が一括遮断状態から一括供給状態への切り換えを実行して(スイッチオン)、当該電源スイッチ11に対応する基板生産ラインLの各基板処理装置A(印刷機2、部品実装機4、基板検査機6)に一括して電源Pcが供給される。一方、異常状態の電源スイッチ11は一括遮断状態を維持して、当該電源スイッチ11に対応する基板生産ラインLの各基板処理装置Aには電源Pcが供給されない。なお、電源投入対象は、複数の電源スイッチ11のうちの全部あるいは一部であり、例えば集中管理装置17に対する作業者の入力操作によって予め指定されている。
【0054】
図10は電源供給を受けた基板処理装置によって実行される初期動作の一例を示すフローチャートである。
図10のフローチャートは、各基板処理装置A(印刷機2、部品実装機4および基板検査機6)に概ね共通し、各基板処理装置Aの主制御部201、401および601により実行される。ステップS201では、基板処理装置A(印刷機2、部品実装機4、基板検査機6)への電源供給が電源スイッチ11により遮断されている電源遮断期間に、当該基板処理装置Aに状況変化が発生したか否かが、検知部Adの検知結果を参照して確認される。具体的には、主制御部201、401、601は、それぞれが属する基板処理装置Aに対して設けられた検知部Adへの記憶部Ad2に記憶されている検知結果を参照して、状況変化の検知の有無を確認する。ちなみに、印刷機2、部品実装機4および基板検査機6に対して設けられた検知部Adは、電源遮断期間におけるカバーAcを開く動作を状況変化として検知する。さらに、部品実装機4に対して設けられた検知部Adは、電源遮断期間における部品供給部42に対するテープフィーダ421の取り付けあるいは取り外しを状況変化として検知する。
【0055】
状況変化の発生が検知された場合(ステップS201で「YES」の場合)、電源スイッチ11から基板処理装置Aに供給された電源Pcのモータへの供給(モータオン)が禁止される(ステップS202)。印刷機2では、主制御部201は、Y軸モータM22y、Z軸モータM22z、回動モータM221、コンベアモータM241、バックアップモータM246および昇降モータM248への電源Pcの供給を禁止し、これらのモータを動作させない。部品実装機4では、主制御部401は、Y軸モータM44、X軸モータM46およびZ軸モータM48への電源Pcの供給を禁止し、これらのモータを動作させない。基板検査機6では、制御部601は、X軸モータM64xおよびY軸モータM64yへの電源Pcの供給を禁止し、これらのモータを動作させない。なお、ここで例示列挙した以外のモータが搭載されている場合には、当該モータへの電源Pcの供給も同様に禁止される。
【0056】
そして、各基板処理装置Aでは、モータオンが禁止された原因が作業者に報知される(ステップS203)。印刷機2の場合、電源遮断期間にカバーAcが開かれたためにモータオンが禁止された旨が表示ユニット204に表示される。部品実装機4の場合には、電源遮断期間にカバーAcが開かれたために、あるいは電源遮断期間に部品供給部42に対してテープフィーダ421が着脱されたためにモータオンが禁止された旨が表示/操作ユニット404に表示される。基板検査機6の場合には、電源遮断期間にカバーAcが開かれたために、モータオンが禁止された旨がユーザーインターフェース602に表示される。
【0057】
電源遮断期間の状況変化がない場合(ステップS201で「NO」の場合)、結露センサ206、405、603が該当する基板処理装置A(印刷機2、部品実装機4、基板検査機6)のハウジングAh内に結露が発生しているか否かを確認する(ステップS204)。結露の発生が確認されると(ステップS204で「YES」)、電源スイッチ11から供給された電源Pcのモータへの供給(モータオン)が禁止される(ステップS202)。そして、各基板処理装置A(印刷機2、部品実装機4、基板検査機6)では、結露の発生のためにモータオンが禁止された旨が報知部(表示ユニット204、表示/操作ユニット404、ユーザーインターフェース602)によって作業者に報知される。
【0058】
結露が発生していないと判断されると(ステップS204で「NO」)、電源スイッチ11から基板処理装置Aに供給された電源Pcのモータへの供給(モータオン)が実行される(ステップS205)。印刷機2では、Y軸モータM22y、Z軸モータM22z、回動モータM221、コンベアモータM241、バックアップモータM246および昇降モータM248へ電源Pcが供給され、これらのモータが動作可能となる。部品実装機4では、Y軸モータM44、X軸モータM46およびZ軸モータM48へ電源Pcが供給され、これらのモータが動作可能となる。基板検査機6では、X軸モータM64xおよびY軸モータM64yへ電源Pcが供給され、これらのモータが動作可能となる。なお、ここで例示列挙した以外のモータが搭載されている場合には、当該モータへも同様に電源Pcが供給される。
【0059】
ステップS206では、原点復帰が必要であるか否かが判断される。印刷機2では、印刷ヘッド22が原点位置(ホームポジション)に位置するか否かが判断され、印刷ヘッド22が原点位置からずれている場合(ステップS206で「YES」の場合)には、Y軸モータM22yおよびZ軸モータM22zにより印刷ヘッド22を原点位置に移動させる原点復帰が実行される(ステップS207)。一方、印刷ヘッド22が原点位置に位置する場合(ステップS206で「NO」の場合)には、ステップS207を実行せずに、ステップS209に進む。
【0060】
部品実装機4では、ヘッドユニット47が原点位置(ホームポジション)に位置するか否かが判断され、ヘッドユニット47が原点位置からずれている場合(ステップS206で「YES」の場合)には、Y軸モータM44およびX軸モータM46によりヘッドユニット47を原点位置に移動させる原点復帰が実行される(ステップS207)。一方、ヘッドユニット47が原点位置に位置する場合(ステップS206で「NO」の場合)には、ステップS207を実行せずに、ステップS209に進む。
【0061】
基板検査機6では、検査ヘッド63が原点位置(ホームポジション)に位置するか否かが判断され、検査ヘッド63が原点位置からずれている場合(ステップS206で「YES」の場合)には、X軸モータM64xおよびY軸モータM64yにより検査ヘッド63を原点位置に移動させる原点復帰が実行される(ステップS207)。一方、検査ヘッド63が原点位置に位置する場合(ステップS206で「NO」の場合)には、ステップS207を実行せずに、ステップS209に進む。
【0062】
ステップS207で原点復帰が実行されると、この原点復帰の実行が成功したか否か、すなわち印刷ヘッド22、ヘッドユニット47、検査ヘッド63が原点位置に移動したか否かが、印刷機2、部品実装機4および基板検査機6のそれぞれにおいて確認される(ステップS208)。そして、原点復帰が失敗している場合(ステップS208で「NO」の場合)には、原点復帰に失敗した旨が報知部(表示ユニット204、表示/操作ユニット404、ユーザーインターフェース602)によって作業者に報知される。一方、原点復帰が成功している場合(ステップS208で「YES」の場合)には、ステップS209に進む。
【0063】
ステップS209では、作業者が基板生産ラインLでの基板生産に必要となる作業(段取り作業)を実行し、ステップS210では、基板生産ラインLが生産スタンバイ状態(生産開始指令に応じて生産を開始できる状態)となる。
【0064】
図11は電源供給を受けた基板処理装置によって実行されるシャットダウン処理を含む基板生産動作の一例を示すフローチャートである。ステップS301では、基板処理装置A(印刷機2、部品実装機4、基板検査機6)は、それぞれ担当する所定作業(印刷作業、実装作業、検査作業)を実行する。そして、所定作業を終了すると(ステップS302でYES))、シャットダウン処理303を実行する(ステップS303)。このシャットダウン処理では、各基板処理装置Aは、上記と同じ要領で原点復帰を実行するとともに、原点復帰を実行したことを示す原点復帰通知を集中管理装置17へ送信する。そして、集中管理装置17は、電源スイッチ11に対応する基板生産ラインLの全基板処理装置Aから原点復帰通知を受信したかを、各電源スイッチ11について確認し、全基板処理装置Aから原点復帰通知を受信した電源スイッチ11に対してオフ指令Coffを送信する。ステップS304では、集中管理装置17からオフ指令Coffを受信した電源スイッチ11が対応する基板生産ラインLの各基板処理装置Aに対して一括して電源Pcを遮断する(スイッチオフ)。
【0065】
以上に説明した実施形態では、基板生産ラインLに対応して電源スイッチ11が設けられている。そして、基板生産ラインLの複数の基板処理装置A(印刷機2、部品実装機4、基板検査機6)に対して、一括して電源Pcを遮断する一括遮断状態から一括して電源Pcを供給する一括供給状態へ切り換えるスイッチオンを、電源スイッチ11が実行する(ステップS104)。そのため、基板生産ラインLの複数の基板処理装置Aのそれぞれに個別に電源投入を実行する必要がない。その結果、基板生産ラインLが具備する複数の基板処理装置Aに対する電源投入の作業負担を軽減することが可能となっている。
【0066】
さらに、一括供給状態から一括遮断状態へ切り換えるスイッチオフを、電源スイッチ11が実行する(ステップS304)。そのため、基板生産ラインLの複数の基板処理装置Aのそれぞれに個別に電源遮断を実行する必要がない。その結果、基板生産ラインLが具備する複数の基板処理装置Aに対する電源遮断の作業負担を軽減することも可能となっている。
【0067】
また、電源スイッチ11は、作業者がオン指令Conおよびオフ指令Coffを入力可能な入力操作部114を有する。かかる構成では、作業者はオン指令Conを入力操作部114に入力するだけで複数の基板処理装置Aに対して一括して電源投入を実行できるとともに、オフ指令Coffを入力操作部114に入力するだけで複数の基板処理装置Aに対して一括して電源遮断を実行できる。したがって、作業者の作業負担が軽減可能となっている。このような作業者による電源投入/電源遮断は、複数の基板生産ラインLのうち、1本の基板生産ラインLのみで部品実装基板を生産するような場合に特に有効である。
【0068】
また、複数の基板生産ラインLを一括して管理する集中管理装置17が設けられている。そして、各電源スイッチ11は、集中管理装置17からオン指令Conが入力されると、対応する基板生産ラインLの複数の基板処理装置Aに対してスイッチオンを実行し(ステップS104)、集中管理装置17からオフ指令Coffが入力されると、対応する基板生産ラインLの複数の基板処理装置Aに対してスイッチオフを実行する(ステップS304)。したがって、複数の基板生産ラインLのそれぞれが具備する複数基板処理装置Aに対する電源投入の作業負担を軽減することが可能となっているとともに、これら複数の基板処理装置Aに対する電源遮断の作業負担を軽減することが可能となっている。
【0069】
また、電源スイッチ11には電源ライン13が接続され、電源スイッチ11は、電源ライン13から供給された電源Pcを複数の基板処理装置Aに対して供給する。そして、集中管理装置17は、各電源スイッチ11が電源Pcを遮断している状態において、電源ライン13から電源スイッチ11に供給される電源Pcに電圧異常が発生しているか否かを各電源スイッチ11について判定し(ステップS103)、電圧異常が発生していない電源スイッチ11に対してオン指令Conを送信する一方、電圧異常が発生している電源スイッチ11に対してはオン指令Con送信しない(ステップS104)。かかる構成では、電圧異常が発生している電源スイッチ11に対してはオン指令Conが送信されないため、不安定な電源Pcが基板処理装置Aに供給されるのを防止できる。
【0070】
また、基板処理装置Aは、被駆動体(印刷ヘッド22、ヘッドユニット47、検査ヘッド63)を、サーボモータ(Y軸モータM22y、Z軸モータM22z、Y軸モータM44、X軸モータM46、X軸モータM64x、Y軸モータM64y)によって駆動する。そして、基板処理装置Aは、電源スイッチ11によるスイッチオンの実行に伴って電源スイッチ11からの電源Pcの供給を受けると、電源スイッチ11から供給される電源Pcのサーボモータへの供給を開始するモータオンを実行して(ステップS205)、当該モータオンにより電源供給が開始されたサーボモータによって非駆動体を駆動する。
【0071】
これに対して、基板生産ラインLは、電源Pcが遮断された基板処理装置Aにおける状況変化の発生を検知する検知部Adを有する。これに対して、基板処理装置Aは、電源スイッチ11によるスイッチオンの実行に伴って電源スイッチ11からの電源Pcの供給を受けると、検知部Adによる検知結果に基づき状況変化の発生の有無を確認し(ステップS201)、状況変化が発生していない場合にはモータオンを実行する(ステップS205)一方、状況変化が発生している場合にはモータオンを禁止する(ステップS202)かかる構成では、電源遮断時に基板処理装置Aに状況変化が発生した場合には、サーボモータによる被駆動体の駆動を禁止することができる。
【0072】
また、基板処理装置A(印刷機2、部品実装機4、基板検査機6)は、ハウジングAhと、ハウジングAhを開閉するカバーAcを有し、検知部Adは、カバーAcを開く動作を状況変化として検知する。かかる構成では、電源遮断時に基板処理装置AのカバーAcが開かれた場合には、サーボモータによる被駆動体の駆動を禁止することができる。
【0073】
また、部品実装機4(基板処理装置A)は、部品Eを供給するテープフィーダ421が着脱可能な部品供給部42(フィーダ着脱部)を有し、検知部Adは、部品供給部42へのテープフィーダ421の取り付けあるいは部品供給部42からのテープフィーダ421の取り外しを状況変化として検知する。かかる構成では、電源遮断時に部品実装機4の部品供給部42に対してテープフィーダ421が着脱された場合には、サーボモータによる被駆動体の駆動を禁止することができる。
【0074】
また、基板処理装置A(印刷機2、部品実装機4、基板検査機6)は、当該基板処理装置Aにおける結露の発生を検知する結露センサ206、405、603を有する。そして、基板処理装置Aは、電源スイッチ11によるスイッチオンの実行に伴って電源スイッチ11からの電源Pcの供給を受けると、結露センサ206、405、603により結露の発生の有無を確認し、結露が発生していない場合にはモータオンを実行する(ステップS205)一方、結露が発生している場合にはモータオンを禁止する(ステップS202)。かかる構成では、基板処理装置Aに結露が発生している場合には、サーボモータによる被駆動体の駆動を禁止することができる。
【0075】
また、モータオンが禁止された場合、モータオンの禁止の原因を作業者に報知する表示ユニット204、表示/操作ユニット404およびユーザーインターフェース602(第1報知部)が具備されている。かかる構成では、作業者は、表示ユニット204、表示/操作ユニット404およびユーザーインターフェース602による報知を確認することで、サーボモータによる被駆動体の駆動が禁止された原因を把握でき、この原因を解消するための作業を実行することができる。
【0076】
また、基板処理装置A(印刷機2、部品実装機4、基板検査機6)は、サーボモータによって被駆動体を原点位置に移動させる終了時原点復帰(ステップS303)を、電源スイッチ11によるスイッチオフ(ステップS304)の前に実行する。また、基板処理装置Aは、電源スイッチ11によるスイッチオンの実行に伴って電源スイッチ11からの電源の供給を受けると(ステップS104)、スイッチオンの前に実行された終了時原点復帰(ステップS303)が成功したか否かを確認し(ステップS206)、終了時原点復帰が成功していない場合には、モータオンの実行後にサーボモータによって被駆動体を原点位置に移動させる開始時原点復帰を実行する(ステップS207)。かかる構成では、スイッチオフに伴う終了時原点復帰により被駆動体を原点位置に移動させるのに失敗した場合には、スイッチオンに伴う開始時原点復帰を実行して、被駆動体を原点位置に移動させることができる。
【0077】
また、開始時原点復帰に失敗した場合(ステップS208で「NO」の場合)、その旨を作業者に報知する報知部(表示ユニット204、表示/操作ユニット404、ユーザーインターフェース602)が具備されている。したがって、作業者は、かかる報知を確認することで、開始時原点復帰(ステップS207)による被駆動体の原点復帰に失敗したことを把握でき、被駆動体を原点位置に移動させるための作業を実行することができる。
【0078】
以上に説明したように、本実施形態では、基板生産システム1が本発明の「基板作業システム」の一例に相当し、印刷機2が本発明の「印刷機」の一例に相当し、部品実装機4が本発明の「部品実装機」の一例に相当し、部品供給部42が本発明の「フィーダ着脱部」の一例に相当し、テープフィーダ421が本発明の「フィーダ」の一例に相当し、基板検査機6が本発明の「基板検査機」の一例に相当し、印刷機2、部品実装機4および基板検査機6等の基板処理装置Aが本発明の「基板作業装置」の一例に相当し、電源スイッチ11が本発明の「電源スイッチ」および「基板作業ライン用の電源スイッチ」の一例に相当し、開閉制御部112が本発明の「制御部」の一例に相当し、通信部113が本発明の「入力部」の一例に相当し、入力操作部114が本発明の「入力操作部」および「入力部」の一例に相当し、電源ライン13が本発明の「電源ライン」の一例に相当し、集中管理装置17が本発明の「集中管理装置」の一例に相当し、印刷ヘッド22、ヘッドユニット47および検査ヘッド63のそれぞれが本発明の「被駆動体」の一例に相当し、表示ユニット204、表示/操作ユニット404、ユーザーインターフェース602が本発明の「第1報知部」および「第2報知部」の一例に相当し、結露センサ206、405、603が本発明の「結露センサ」の一例に相当し、検知部Adが本発明の「検知部」の一例に相当し、カバーAcが本発明の「カバー」の一例に相当し、ハウジングAhが本発明の「ハウジング」の一例に相当し、オン指令Conが本発明の「オン指令」の一例に相当し、オフ指令Coffが本発明の「オフ指令」の一例に相当し、部品Eが本発明の「部品」の一例に相当し、基板生産ラインLが本発明の「基板作業ライン」の一例に相当し、電源Pcが本発明の「電源」の一例に相当し、印刷作業、実装作業、検査作業のそれぞれが本発明の「所定作業」の一例に相当する。
【0079】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、電源スイッチ11に入力操作部114を設ける必要は必ずしもない。
【0080】
また、基板生産システム1が単一の基板生産ラインLを備える場合には、集中管理装置17を設ける必要は必ずしもない。
【0081】
また、基板生産システム1は、
図1に示した印刷機2、部品実装機4および基板検査機6以外の機構を備えることができる。例えば、印刷機2と部品実装機4との間で基板Bを搬送するコンベア、部品実装機4と部品実装機4との間で基板Bを搬送するコンベアあるいは部品実装機4と基板検査機6との間で基板Bを搬送するコンベアが具備されていてもよい。この場合、基板処理装置Aとコンベアとに対して、一括して電源Pcの供給/遮断を実行してもよいし、基板処理装置Aに対する電源Pcの供給/遮断とは別に、コンベアに対して電源Pcの供給/遮断を実行してもよい。
【0082】
あるいは、基板生産ラインLは、印刷機2、部品実装機4および基板検査機6のそれぞれを具備する必要は必ずしもない。したがって、印刷機2あるいは基板検査機6を具備しないように基板生産ラインLを構成してもよい。
【0083】
また、上では詳述しなかったが、一括遮断状態から一括供給状態への切り換えにおいて、複数の基板処理装置Aに対して同時に電源Pcの供給を開始する必要はなく、複数の基板処理装置Aそれぞれへの電源Pcの供給開始のタイミングに多少の差があっても構わない。要するに、電源スイッチ11へのオン指令Conの入力をきっかけに、当該電源スイッチ11が対応する基板生産ラインLの全基板処理装置Aに対する電源Pcの供給が作業者の作業によらずに開始されるように構成すればよい。一括供給状態から一括遮断状態への切り換えについても同様である。
【産業上の利用可能性】
【0084】
この発明は、電源の供給を受けて所定作業を基板に実行する複数の基板作業装置を有する基板作業ラインの電源を管理する技術全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0085】
1…基板生産システム
2…印刷機(基板処理装置)
22…印刷ヘッド(被駆動体)
4…部品実装機(基板処理装置)
42…部品供給部(フィーダ着脱部)
421…テープフィーダ(フィーダ)
47…ヘッドユニット(被駆動体)
6…基板検査機(基板検査機、基板処理装置)
11…電源スイッチ(基板作業ライン用の電源スイッチ)
112…開閉制御部(制御部)
113…通信部(入力部)
114…入力操作部(入力部)
13…電源ライン
17…集中管理装置
63…検査ヘッド(被駆動体)
204…表示ユニット(第1および第2報知部)
404…表示/操作ユニット(第1および第2報知部)
602…ユーザーインターフェース(第1および第2報知部)
206…結露センサ
405…結露センサ
603…結露センサ
A…基板処理装置
Ac…カバー
Ad…検知部
Ah…ハウジング
Con…オン指令
Coff…オフ指令
E…部品
L…基板生産ライン
Pc…電源