(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240202BHJP
【FI】
A63F7/02 326Z
(21)【出願番号】P 2020079786
(22)【出願日】2020-04-28
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】100120592
【氏名又は名称】山崎 崇裕
(74)【代理人】
【識別番号】100184712
【氏名又は名称】扇原 梢伸
(74)【代理人】
【識別番号】100192223
【氏名又は名称】加久田 典子
(72)【発明者】
【氏名】古賀 健太
【審査官】辻野 安人
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-062251(JP,A)
【文献】特開2005-124942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段と、
前記表示手段に所定のコードを表示するための基本データを生成する生成手段と、
前記表示手段に前記所定のコードを表示する際の拡大率を記憶している記憶手段と、
前記表示手段に前記所定のコードを表示する場合、前記拡大率に基づいて前記基本データを増加させて拡大データとし、前記拡大データに基づいて前記所定のコードを表示する表示制御手段と
、を備え、
前記表示制御手段は、前記拡大率に基づいて前記基本データを増加させる場合、前記表示手段の縦方向及び横方向に対応するデータを、前記拡大率に応じて同数増加させ、
前記基本データは、ビット化され、所定のコマンドに含ませることが可能な最大ビット数よりも少ない特定数のビット数でまとめられ、前記所定のコマンドに格納されて前記生成手段から前記表示制御手段に送信されることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技を実行する遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、何かしらの外部要因(静電気や電波等)によって、本来の動作とは異なる動作モードに突入した場合でも、短時間毎に初期設定を行う技術を開示している。
特許文献2は、音声演出に使用される可能性のある音声プロセッサの全再生チャンネルについて、その再生音量を規定値に設定するリフレッシュ処理を設け、変動演出に対応して実行される音声演出では、原則として、リフレッシュ処理を先行実施する技術を開示している。
特許文献3は、エラーが発生したことを示す情報の二次元コードを表示部に表示する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-093895号公報
【文献】特開2017-124327号公報
【文献】特開2014-151214号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、いずれも似通った遊技機ばかりが提案されており、斬新な遊技機が望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、斬新な遊技機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため以下の解決手段を採用する。なお、以下の解決手段及び括弧書中の文言はあくまで例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。また、本発明は、以下の解決手段に示す各発明特定事項を少なくとも1つ含む発明とすることができる。さらに、以下の解決手段に示す各発明特定事項には、発明特定事項を限定する要素を追加して下位概念化することができ、発明特定事項を限定する要素を削除して上位概念化することもできる。
【0007】
〔ノイズ対策された送受信コマンドフォーマット〕
解決手段A1:本解決手段の遊技機は、第1基板と、所定のコマンドを用いて前記第1基板と通信可能な第2基板とを備え、前記所定のコマンドは、特定のビット、及び、前記特定のビット以外の非特定ビットを含み、前記特定のビットには、遊技の制御に必要となる遊技情報を通信する場合と通信の制御に必要となる通信情報を通信する場合とで、異なる値が格納されることを特徴とする遊技機である。
【0008】
本解決手段は、以下の構成を備えている。
(1)第1基板を備えている。第1基板は、例えば、サブ制御基板である。
(2)所定のコマンドを用いて上記(1)の第1基板と通信可能な第2基板を備えている。第2基板は、例えば、液晶基板である。
【0009】
(3)上記(2)の所定のコマンドは、特定のビット(最上位ビット)、及び、特定のビット以外の非特定ビット(最上位ビットの下のビット~最下位ビット)を含む。特定のビットは、最上位ビット以外のビットであってもよく、複数のビットであってもよい。
【0010】
(4)上記(3)の特定のビットには、遊技の制御に必要となる遊技情報を通信する場合と通信の制御に必要となる通信情報を通信する場合とで、異なる値が格納される。例えば、遊技の制御に必要となる遊技情報を通信する場合には「0」が格納され、通信の制御に必要となる通信情報を通信する場合には「1」が格納される。
【0011】
本解決手段によれば、特定のビットに関する通信のルールを統一しているため、ノイズ対策になりやすく(ノイズの発生を特定しやすく)、ノイズが発生する環境下でも正常にコマンド通信を行うことができ、結果として、斬新な遊技機を提供することができる。
【0012】
解決手段A2:本解決手段の遊技機は、上述したいずれかの解決手段において、前記遊技情報は、前記所定のコマンドの送信先に関する情報、前記所定のコマンドの数に関する情報、前記所定のコマンドの内容に関する情報、前記所定のコマンドの整合性に関する情報、前記所定のコマンドの応答に関する情報のうち少なくとも1つの情報を含むことを特徴とする遊技機である。
【0013】
本解決手段では、遊技情報は、所定のコマンドの送信先に関する情報(デバイス選択、パケット種別)、所定のコマンドの数に関する情報(コマンド数)、所定のコマンドの内容に関する情報(データ)、所定のコマンドの整合性に関する情報(サム)、所定のコマンドの応答に関する情報(成功、サムエラー、バッファオーバー、INCエラー、初期化完了、リセット発生)のうち少なくとも1つの情報を含む。
【0014】
本解決手段によれば、多くの情報を遊技情報としてまとめて扱うことができ、ノイズ対策を行いやすい情報体系とすることができる。
【0015】
解決手段A3:本解決手段の遊技機は、上述したいずれかの解決手段において、前記通信情報は、先頭のコマンドであることを示す情報、最終のコマンドであることを示す情報、データがないことを示す情報のうち少なくとも1つの情報を含むことを特徴とする遊技機である。
【0016】
本解決手段では、通信情報は、一連のコマンドのうち先頭のコマンドであることを示す情報(START)、一連のコマンドのうち最終のコマンドであることを示す情報(END)、データがないことを示す情報(データなし)のうち少なくとも1つの情報を含む。
【0017】
本解決手段によれば、多くの情報を通信情報としてまとめて扱うことができ、ノイズ対策を行いやすい情報体系とすることができる。
【0018】
〔液晶基板の通信リフレッシュ処理〕
解決手段B1:本解決手段の遊技機は、第1基板と、第1基板と通信可能な第2基板とを備え、前記第2基板は、前記第1基板と通信する際に、通信の受信の段階を管理する変数を更新しながら通信を行っており、前記第1基板との通信が終了した際に、前記変数を初期化する初期化処理を実行することを特徴とする遊技機である。
【0019】
本解決手段は、以下の構成を備えている。
(1)第1基板を備えている。第1基板は、例えば、サブ制御基板である。
(2)上記(1)の第1基板と通信可能な第2基板を備えている。第2基板は、例えば、液晶基板である。
【0020】
(3)上記(2)の第2基板は、上記(1)の第1基板と通信する際に、通信の受信の段階を管理する変数を更新しながら通信を行っており、上記(1)の第1基板との通信が終了した際に、変数を初期化する初期化処理(リフレッシュ処理)を実行する。
【0021】
本解決手段によれば、第2基板は、第1基板との通信が終了するたびに初期化処理を実行するため、通信終了時にノイズによる影響を除去することができ、ノイズが発生する環境下でも正常にコマンド通信を行うことができ、結果として、斬新な遊技機を提供することができる。
【0022】
解決手段B2:本解決手段の遊技機は、上述したいずれかの解決手段において、前記第2基板は、前記第1基板からコマンドを受信した場合、受信したコマンドに対してコマンドを返信し、コマンドの返信が終了した後に、前記初期化処理を実行することを特徴とする遊技機である。
【0023】
本解決手段では、第2基板は、第1基板からコマンドを受信した場合、受信したコマンドに対してコマンドを返信し(返信データ及び反転データを設定し)、コマンドの返信が終了した後に、初期化処理(リフレッシュ処理)を実行する。
【0024】
本解決手段によれば、コマンドの送受信に関する一連の処理が終了した後に初期化処理を実行するため、一連の処理の邪魔をすることなく初期化処理を実行したり、一連の処理が終了した後の余りの時間で初期化処理を実行したりすることができる。
【0025】
〔コード描画〕
解決手段C1:本解決手段の遊技機は、表示手段と、前記表示手段に所定のコードを表示するための基本データを生成する生成手段と、前記表示手段に前記所定のコードを表示する際の拡大率を記憶している記憶手段と、前記表示手段に前記所定のコードを表示する場合、前記拡大率に基づいて前記基本データを増加させて拡大データとし、前記拡大データに基づいて前記所定のコードを表示する表示制御手段とを備える遊技機である。
【0026】
本解決手段は、以下の構成を備えている。
(1)表示手段を備えている。表示手段は、例えば、液晶表示器である。
(2)上記(1)の表示手段に所定のコード(2次元コード)を表示するための基本データを生成する生成手段を備えている。
(3)上記(1)の表示手段に所定のコードを表示する際の拡大率(例えば1倍、2倍、3倍、4倍等)を記憶している記憶手段を備えている。
【0027】
(4)上記(1)の表示手段に所定のコードを表示する場合、上記(3)の拡大率に基づいて上記(2)の基本データを増加させて拡大データとし、拡大データに基づいて所定のコードを表示する表示制御手段を備えている。
【0028】
本解決手段によれば、拡大率に基づいて所定のコードを表示するため、表示手段のサイズに合わせた、かつ、携帯型情報処理端末で読み込みやすい所定のコードを表示することができ、結果として、斬新な遊技機を提供することができる。
【0029】
解決手段C2:本解決手段の遊技機は、上述したいずれかの解決手段において、前記表示制御手段は、前記拡大率に基づいて前記基本データを増加させる場合、前記表示手段の縦方向及び横方向に対応するデータを、前記拡大率に応じて同数増加させることを特徴とする遊技機である。
【0030】
本解決手段では、表示制御手段は、拡大率に基づいて基本データを増加させる場合、基本データにおける表示手段の縦方向及び横方向に対応するデータを拡大率に応じて同数増加させる。例えば、拡大率が2である場合、「1×1」のデータを「2×2」のデータとし、拡大率が3である場合、「1×1」のデータを「3×3」のデータとし、拡大率が4である場合、「1×1」のデータを「4×4」のデータとする。
【0031】
本解決手段によれば、表示手段の縦方向及び横方向に対応するデータを、拡大率に応じて同数増加させるため、統一された簡潔な処理によって基本データを増加させることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、斬新な遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図4】中央役物装置を左斜め上方から示した斜視図である。
【
図5】ルート振分部の構成の詳細及び第1振分動作部での振り分け動作について説明する図である。
【
図6】ルート振分部の構成の詳細及び第1振分動作部での振り分け動作について説明する図である。
【
図7】上昇装置誘導路の構成の詳細を示す図である。
【
図8】上昇装置の構成及び駆動機構の詳細を示す図である。
【
図9】上昇装置での遊技球の上昇の様子を示す図である。
【
図10】上昇装置での遊技球の上昇の様子を示す図である。
【
図11】第1展望台ステージでの振り分け動作について説明するための図である。
【
図12】第1展望台ステージの内部に位置しているタワー本体部の一部を抜き出して示した図である。
【
図13】第2展望台ステージでの振り分け動作について説明するための図である。
【
図14】第2展望台ステージの内部に位置しているタワー本体部の一部を抜き出して示した図である。
【
図15】遊技盤ユニットの一部を拡大して示す正面図である。
【
図16】パチンコ機に装備された各種の電子機器類を示すブロック図である。
【
図17】サブ制御基板の周辺のブロック図を示す図である。
【
図18】パチンコ機による遊技の流れを一例として示すゲームフロー図である。
【
図19】可動入球役物装置内で実行される1段階目の第1振分動作の流れを概略的に示すゲームフロー図である。
【
図20】可動入球役物装置内で実行される2段階目の第2振分動作の流れを概略的に示すゲームフロー図である。
【
図21】大当り後に移行される時間短縮状態での遊技の流れを概略的に示すゲームフロー図である。
【
図22】可動入球役物装置内で進行するゲームフローを通じて発生する各種状態の変化を示すタイミングチャートである。
【
図23】可動入球役物装置内で進行するゲームフローを通じて発生する各種状態の変化を示すタイミングチャートである。
【
図24】可動入球役物装置の動作の詳細を示す図である。
【
図25】リセットスタート処理の手順例を示すフローチャート(1/2)である。
【
図26】リセットスタート処理の手順例を示すフローチャート(2/2)である。
【
図27】電源断発生チェック処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図28】割込管理処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図29】スイッチ入力イベント処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図30】第1特別図柄記憶処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図31】第2特別図柄記憶処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図32】特別遊技管理処理の構成例を示すフローチャートである。
【
図33】「特別遊技管理ステータス」の値と、それぞれの値に対応した特別遊技の進行状況を一覧にして示した図である。
【
図34】特別図柄変動開始待ち処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図35】第1特別図柄停止図柄選択テーブルの構成列を示す図である。
【
図36】第2特別図柄停止図柄選択テーブルの構成列を示す図である。
【
図37】小当り時役物装置開放処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図38】小当り時役物装置閉鎖処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図39】小当り時役物装置作動終了処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図40】大当り時役物装置作動開始処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図41】大当り時役物装置開放処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図42】大当り時役物装置閉鎖処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図43】大当り時役物装置作動終了処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図44】時間短縮状態管理処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図45】リミッタ管理処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図46】ソレノイド制御処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図47】モータ管理処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図48】表示出力管理処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図49】「小当り図柄1」に該当した場合に実行される演出の例を示す図である。
【
図50】「小当り図柄2」に該当した場合に実行される演出の例を示す連続図である(1/2)。
【
図51】「小当り図柄2」に該当した場合に実行される演出の例を示す連続図である(2/2)。
【
図52】小当り時に開放した大入賞口に遊技球が入球した場合に実行される演出の例を示す図である。
【
図53】チャンス領域孔に遊技球が入球した場合に実行される演出の例を示す図である。
【
図54】遊技球が各種領域を通過した場合に実行される演出の例を示す図である。
【
図55】遊技球が各種領域を通過した場合に実行される演出の例を示す図である。
【
図56】「10ラウンド大当り」に該当した場合の大当り遊技中に実行される大役中演出を示す連続図である(1/4)。
【
図57】「10ラウンド大当り」に該当した場合の大当り遊技中に実行される大役中演出を示す連続図である(2/4)。
【
図58】「10ラウンド大当り」に該当した場合の大当り遊技中に実行される大役中演出を示す連続図である(3/4)。
【
図59】「10ラウンド大当り」に該当した場合の大当り遊技中に実行される大役中演出を示す連続図である(4/4)。
【
図60】演出制御装置におけるCPU初期化処理及び演出制御メイン処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図61】演出制御装置における割込処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図62】演出制御処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図63】可動入球役物装置作動時演出管理処理の構成例を示すフローチャートである。
【
図64】2次元コード管理処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図65】サブコマンド管理処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図66】サブコマンド受信時処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図67】受信フル割込発生時処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図68】2次元コード表示処理の手順例を示すフローチャートである。
【
図69】サブ制御基板から液晶基板に送信するサブコマンドの受信フォーマットを示す図である(1/2)。
【
図70】サブ制御基板から液晶基板に送信するサブコマンドの受信フォーマットを示す図である(2/2)。
【
図71】液晶基板からサブ制御基板に送信するサブコマンドの送信フォーマットを示す図である。
【
図72】サブ制御基板及び液晶基板のサブコマンドの送受信フロー(時系列)を示す図である。
【
図73】サブ制御基板及び液晶基板のサブコマンドの送受信フロー(状態遷移)を示す図である。
【
図74】クロック同期式シリアル通信の概要を示す図である。
【
図75】クロック同期式シリアル通信におけるリフレッシュ処理の概要を示す図である。
【
図76】2次元コードを表示する際の制御処理の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、パチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」と略称する。)1の正面図である。また、
図2は、パチンコ機1の背面図である。パチンコ機1は、遊技球を遊技媒体として用いるものであり、遊技者は、遊技場運営者から遊技球を借り受けてパチンコ機1による遊技を行う。なお、パチンコ機1における遊技において、遊技球はその1個1個が遊技価値を有した媒体であり、遊技の成果として遊技者が享受する特典(利益)は、例えば遊技者が獲得した遊技球の数に基づいて遊技価値に換算することができる。以下、
図1及び
図2を参照しつつ遊技機の全体構成について説明する。
【0035】
ここで、本明細書では、パチンコ機1に相対するようにして着席した遊技者から見て左側を左とし、遊技者から見て右側を右とし、遊技者から見て上側を上とし、遊技者から見て下側を下とし、遊技者から見て手前側を前とし、遊技者から見て奥側を後として説明している。
【0036】
〔遊技機の全体構成〕
パチンコ機1は、その本体として主に外枠アセンブリ2、ガラス枠ユニット4、受皿ユニット6及びプラ枠アセンブリ7(遊技機枠)を備えている。このうち外枠アセンブリ2は、木材を縦長の矩形状に組み合わせた構造体であり、この外枠アセンブリ2は、遊技場内の島設備(図示されていない)に対してねじ等の締結具を用いて固定されるものである。
【0037】
その他のガラス枠ユニット4や受皿ユニット6、プラ枠アセンブリ7は外枠アセンブリ2を介して島設備に取り付けられ、これらはそれぞれ図示しないヒンジ機構を介して開閉式に動作する。図示しないヒンジ機構の開閉軸線は、パチンコ機1の正面からみて左側端部に沿って垂直方向に延びている。
【0038】
図1中の正面からみてプラ枠アセンブリ7の右側縁部(
図2では左側縁部)には、その内側に統一錠ユニット9が設けられている。また、これに対応してガラス枠ユニット4及び外枠アセンブリ2の右側縁部(裏側)にも、それぞれ図示しない施錠具が設けられている。
図1に示されるように、外枠アセンブリ2に対してガラス枠ユニット4及びプラ枠アセンブリ7が閉じた状態で、その裏側にある統一錠ユニット9は施錠具とともにガラス枠ユニット4及びプラ枠アセンブリ7の開放を不能にしている。
【0039】
また、受皿ユニット6の右側縁部には鍵穴付きのシリンダ錠6aが設けられている。例えば、遊技場の管理者が専用キーを鍵穴に差し込んでシリンダ錠6aを時計回りに捻ると、統一錠ユニット9が作動してプラ枠アセンブリ7とともにガラス枠ユニット4及び受皿ユニット6の開放が可能な状態となる。これら全体を外枠アセンブリ2から前面側へ開放する(扉のように動かす)と、前面側にてパチンコ機1の裏側が露出することになる。
【0040】
一方、シリンダ錠6aを反時計回りに捻ると、プラ枠アセンブリ7は施錠されたままでガラス枠ユニット4の施錠だけが解除され、ガラス枠ユニット4が開放可能となる。ガラス枠ユニット4を前面側へ開放すると遊技盤ユニット8が直に露出し、この状態で遊技場の管理者が盤面内での球詰まり等の障害を取り除くことができる。また、ガラス枠ユニット4を開放すると、受皿ユニット6のロック機構(図示していない)が露出する。この状態でロック機構を解除すると、受皿ユニット6をプラ枠アセンブリ7に対して前面側へ開放することができる。
【0041】
また、パチンコ機1は、遊技用ユニットとして上記の遊技盤ユニット8を備えている。遊技盤ユニット8は、ガラス枠ユニット4の背後(内側)で上記のプラ枠アセンブリ7に支持されている。遊技盤ユニット8は、例えばガラス枠ユニット4を前面側へ開放した状態でプラ枠アセンブリ7に対して着脱可能である。ガラス枠ユニット4には、その中央部に縦長円形状の窓4aが形成されており、この窓4a内にガラスユニット(参照符号なし)が取り付けられている。ガラスユニットは、例えば窓4aの形状に合わせてカットされた2枚の透明板(ガラス板)を組み合わせたものである。ガラスユニットは、ガラス枠ユニット4の裏側に図示しないヒンジ機構を介して開閉式に取り付けられる。遊技盤ユニット8の前面には遊技領域8a(盤面)が形成されており、この遊技領域8aは窓4aを通じて前面側から遊技者に視認可能である。ガラス枠ユニット4が閉じられると、ガラスユニットの内面と盤面との間に遊技球が流下できる空間が形成される。
【0042】
受皿ユニット6は、全体的に外枠アセンブリ2から前面側へ突出した形状をなしており、その上面に上皿6bが形成されている。この上皿6bには、遊技者に貸し出された遊技球(貸球)や入賞により獲得した遊技球(賞球)を貯留することができる。また、受皿ユニット6には、上皿6bの下段位置に下皿6cが形成されている。この下皿6cには、上皿6bが満杯の状態でさらに払い出された遊技球が貯留される。なお、本実施形態のパチンコ機1は、CRユニットに接続する機種であり、遊技者が借り受けた遊技球は、賞球とは別に裏側の払出装置ユニット172から受皿ユニット6(上皿6b又は下皿6c)に払い出される。
【0043】
受皿ユニット6の上面には貸出操作部14が設けられており、この貸出操作部14には、球貸ボタン10及び返却ボタン12が配置されている。図示しないCRユニットに有価媒体(例えば磁気記録媒体、記憶IC内蔵媒体等)を投入した状態で球貸ボタン10を遊技者が操作すると、予め決められた度数単位(例えば5度数)に対応する個数(例えば125個)分の遊技球が貸し出される。このため貸出操作部14の上面には度数表示部(図示されていない)が配置されており、この度数表示部には、CRユニットに投入されている有価媒体の残存度数が表示される。なお、遊技者は、返却ボタン12を操作することで、度数が残存している有価媒体の返却を受けることができる。本実施形態のパチンコ機1は、CRユニットに接続する遊技機の例で説明しているが、現金機(CRユニットに接続しない遊技機)であってもよい。
【0044】
また、受皿ユニット6の前面には、上段位置にある上皿6bの手前に上皿球抜きレバー6dが設置されており、そして下皿6cの手前でその中央部には下皿球抜きボタン6eが設置されている。遊技者は上皿球抜きレバー6dを例えば左方向へスライドさせることで、上皿6bに貯留された遊技球を下皿6cへ流下させることができる。また、遊技者は、下皿球抜きボタン6eを例えば押し込み操作することで、下皿6cに貯留された遊技球を下方へ落下させて排出することができる。排出された遊技球は、例えば図示しない球受け箱等に受け止められる。
【0045】
受皿ユニット6の右下部には、グリップユニット16が設置されている。遊技者はこのグリップユニット16を操作することで発射制御基板セット174を作動させ、遊技領域8aに向けて遊技球を発射する(打ち込む)ことができる(球発射装置、球発射手段)。発射された遊技球は、遊技盤ユニット8の左側縁部に沿って上昇し、図示しない外バンドに案内されて遊技領域8a内に放り込まれる。遊技領域8a内には多数の障害釘(大部分は不図示)や風車(不図示)等が配置されており、放り込まれた遊技球は障害釘や風車により誘導・案内されながら遊技領域8a内を流下する。
【0046】
〔盤面の構成〕
遊技領域8a内の中央部には、比較的大型の可動入球役物装置30(可動入球装置、特別電動役物、可変入賞装置)が設置されている。可動入球役物装置30の左右には普通入賞口22,24が設置されている。その他に、可動入球役物装置30の左下方位置には左始動入賞口26が設置され、可動入球役物装置30の下方位置には中始動入賞口27が配置され、可動入球役物装置30の右側位置には始動ゲート20及び可変始動入賞装置28(右始動入賞口28b)が設置されている。なお、普通入賞口は、3つ以上配置してもよい。
【0047】
遊技領域8a内に放り込まれた遊技球は、その流下の過程で無作為に始動ゲート20を通過したり、普通入賞口22,24に入球したり、左始動入賞口26、中始動入賞口27に入球したり、作動時(開放時)の可変始動入賞装置28(右始動入賞口28b)に入球したり、作動時(開放時)の可動入球役物装置30に入球したりする。
【0048】
各入賞口に入球した遊技球は遊技板8b(遊技盤ユニット8を構成する合板材、
図3参照)に形成された貫通孔を通じて遊技盤ユニット8の裏側へ回収される。
【0049】
可変始動入賞装置28は、所定の作動条件が満たされた場合(普通図柄が当りの態様で停止表示された場合)に作動し、それに伴って右始動入賞口28bへの入球を可能にする(普通電動役物)。可変始動入賞装置28は、例えば左右一対の開閉部材28aを有しており、これら開閉部材28aは、例えば図示しないソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に沿って左右方向に往復動作する。左右の開閉部材28aは、各先端が上を向いた状態で閉鎖位置にあり、このとき右始動入賞口28bへの入球は困難(遊技球が入球できる隙間がない状態)となっている。一方、可変始動入賞装置28が作動すると、左右の開閉部材28aは、それぞれ閉鎖位置から開放位置に向けて変位(拡開)し、左右に開口幅を拡大して右始動入賞口28bを開放する。この間に可変始動入賞装置28は遊技球の入球が可能な状態となり、右始動入賞口28bへの入球を発生させることができる(可変始動入賞手段)。なお、このとき開閉部材28aは右始動入賞口28bへの遊技球の入球を案内する部材としても機能する。また、遊技盤ユニット8に設置されている障害釘の配列は、基本的に可変始動入賞装置28(開放時の右始動入賞口28b)へ向かう遊技球の流下を極端に阻害しない態様となっているが、遊技球が開放動作時の可変始動入賞装置28(右始動入賞口28b)に必ず入球するというわけではなく、あくまで入球は無作為に発生する。可変始動入賞装置28は、非時間短縮状態ではショート開放(0.06秒×1回開放)し、時間短縮状態ではロング開放(合計4.1秒の4回開放=0.5秒×1回開放+1.2秒×3回開放)する。なお、普通図柄の当選図柄は、複数設けてもよく、複数の当選図柄ごとに可変始動入賞装置28の動作パターンを異ならせてもよい。
【0050】
可動入球役物装置30は、遊技中に規定の条件(特別図柄が大当り又は小当りの態様で停止表示されたという条件、小当り遊技球中に遊技球が特定領域を通過したという条件)が満たされなければ遊技球の入球が困難となる閉鎖状態を維持し、規定の条件が満たされると閉鎖状態から遊技球の入球を容易とする開放状態へ移行する装置である。
【0051】
また、可動入球役物装置30は、遊技領域8aの上部位置に設けられた可動片30a(いわゆる羽根部材)を有しており、この可動片30aは、例えば図示しない大入賞口ソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に沿って所定角度だけ往復回転する。
【0052】
可動片30aは、略直立した状態で大入賞口30bを閉止した状態にあり、このため可動入球役物装置30への遊技球の流入は不能となっている。可動入球役物装置30が作動すると、可動片30aがその基端部を中心として遊技領域8a内の左右方向へ倒れるようにして変位し、大入賞口30bを開放することで可動入球役物装置30への遊技球の流入(大入賞口30bへの遊技球の入球)を可能にする。可動片30a及び大入賞口30bは遊技領域8a内の上部位置、特に遊技球が最初に打ち込まれる位置の近くにあることから、可動入球役物装置30の作動時に遊技領域8a内に打ち込まれた遊技球は、上部位置の障害釘に誘導されて容易に可動片30aに到達し、そのまま可動片30aに案内されて大入賞口30bに流入する。
【0053】
また、可動入球役物装置30の内部には、遊技球が通過可能な特定領域(特別領域)が設けられており、小当り遊技中に遊技球が特定領域を通過すると、大当りとなる。
【0054】
さらに、可動入球役物装置30の中央右側には、円形装飾ランプ51が設置されている。円形装飾ランプ51は、内蔵された発光器による演出動作を行うものであり、例えば、遊技球が特定領域を通過した際や大当り遊技の実行中に点灯する。
【0055】
可動入球役物装置30内に流入した遊技球は、さらにその内部で流下や転動、上昇等の過程を経て振り分け動作が行われた後に排出され、遊技盤ユニット8の裏側へ回収される。なお、可動入球役物装置30内での振り分け動作については、別の図面を参照しながら後述する。
【0056】
その他、遊技領域8a内にはアウト口32が形成されており、各始動口に入球しなかった遊技球は最終的にアウト口32を通じて遊技盤ユニット8の裏側へ回収される。また、可動入球役物装置30に入球した遊技球も含めて、遊技領域8a内に打ち込まれた全ての遊技球は遊技盤ユニット8の裏側へ回収される。回収された遊技球は、図示されていないアウト通路アセンブリを通じてパチンコ機1の裏側から枠外へ排出され、さらに図示しない島設備の補給経路に合流する。
【0057】
〔枠前面の構成〕
ガラス枠ユニット4には、演出用の構成要素としてガラス枠トップランプ46,48やガラス枠サイドランプ50がガラスユニット(参照符号なし)を取り巻くようにして複数の箇所に設置されている。また、受皿ユニット6には受皿ランプ52が設置されており、この受皿ランプ52とガラス枠トップランプ46,48及びガラス枠サイドランプ50とは、外見上、パチンコ機1の前面において一体的につながっているかのようにデザインされている。
【0058】
上述した各種ランプ46~52は、例えば内蔵するLEDの発光(点灯や点滅、輝度階調の変化、色調の変化等)により演出を実行する。また、ガラス枠ユニット4の上部には、左右一対のガラス枠上スピーカ54とその中央にガラス枠中スピーカ55が内蔵されており、そして受皿ユニット6には、下皿6cの右側に受皿スピーカ56が内蔵されている。これらスピーカ54,55,56は、効果音やBGM、音声等(音響全般)を出力して演出を実行するものである。
【0059】
また、受皿ユニット6の中央左側には、上皿6bの手前位置に演出切替ボタン45が設置されている。遊技者は、この演出切替ボタン45を操作することで、遊技中の演出内容(例えばBGMの種類)を切り替えることができる。
【0060】
〔液晶表示器〕
さらに、受皿ユニット6の中央には、上皿6bの手前位置に液晶表示器41が設置されている。液晶表示器41には、遊技に関する情報(遊技履歴に関する2次元コード、遊技の方法等)が表示される。液晶表示器41は、表示画面が上方側を向くように配置されている。
【0061】
〔可動体〕
可動入球役物装置30の右側には、演出用の可動体43とともに駆動源(例えば可動体モータ)が付属している。演出用の可動体43は、原点位置と可動位置との間で往復運動することが可能であり、例えば、小当り時や大当り時に動作する。
【0062】
〔裏側の構成〕
図2に示されているように、パチンコ機1の裏側には、電源制御ユニット162(電源制御手段)や主制御基板ユニット170、払出装置ユニット172、流路ユニット173、発射制御基板セット174、払出制御基板ユニット176、裏カバーユニット178等が設置されている。この他にパチンコ機1の裏側には、パチンコ機1の電源系統や制御系統を構成する各種の電子機器類(図示しない制御コンピュータを含む)や外部端子板160、電源コード(電源プラグ)164、アース線(アース端子)166、図示しない接続配線等が設置されている。なお、電子機器類については別のブロック図(
図16)に基づいて後述する。
【0063】
上記の払出装置ユニット172は、例えば賞球タンク172a及び賞球ケース(参照符号なし)を有しており、このうち賞球タンク172aはプラ枠アセンブリ7の上縁部(裏側)に設置された状態で、図示しない補給経路から補給された遊技球を蓄えることができる。賞球タンク172aに蓄えられた遊技球は、図示しない上側賞球樋を通じて賞球ケースに導かれる。流路ユニット173は、払出装置ユニット172から送り出された遊技球を前面側の受皿ユニット6に向けて案内する。
【0064】
また、上記の外部端子板160は、パチンコ機1を外部の電子機器(例えばデータ表示装置、ホールコンピュータ等)に接続するためのものであり、この外部端子板160からは、パチンコ機1の遊技進行状態やメンテナンス状態等を表す各種の外部情報信号(例えば賞球情報、扉開放情報、図柄確定回数情報、大当り情報、始動口情報、セキュリティエラー情報等)が外部の電子機器に向けて出力されるものとなっている。
【0065】
電源コード164は、例えば遊技場の島設備に設置された電源装置(例えばAC24V)に接続されることで、パチンコ機1の動作に必要な電源(電力)を確保するものである。また、アース線166は、同じく島設備に設置されたアース端子に接続されることで、パチンコ機1のアース(接地)を確保するものである。
【0066】
〔可動入球装置内部の構成〕
図3は、遊技盤ユニット8を単独で示した正面図である。ここでは、可動入球役物装置30の内部の構成と遊技球の振り分け動作の概要について説明する。
【0067】
可動入球役物装置30内には、上記の大入賞口30bを開放端として誘導通路30cが形成されている。誘導通路30cは、大入賞口30bから可動入球役物装置30内を鉛直下方に二股に延びた後その先で合流し、さらに屈曲されて左下方向に延びている。可動入球役物装置30の作動時に大入賞口30bを通じて流入した遊技球は、全て誘導通路30cを通じて可動入球役物装置30の内部に案内される。誘導通路30cの途中(例えば、二股に分かれた誘導路のそれぞれの通路)にはカウントスイッチ84が設けられており、可動入球役物装置30に流入した全ての遊技球は、ここでカウントスイッチ84により検出される(入球検出手段)。
【0068】
また、可動入球役物装置30内には、誘導通路30cに続いてルート振分部200が配置されている。ルート振分部200は、遊技球をノーマルルートに誘導するかスペシャルルートに誘導するかの振り分け動作を行う。遊技球がノーマルルートに誘導されれば、その後に大当りとなる確率は低いが、遊技球がスペシャルルートに誘導されれば、遊技球がノーマルルートに誘導された場合と比較してその後に大当りとなる確率が高くなる。なお、ルート振分部200の詳細は後述する。
【0069】
また、可動入球役物装置30内には、ルート振分部200に続いて第1振分動作部500(第1振分動作手段、振分動作手段)が配置されている。第1振分動作部500は、可動入球役物装置30の大入賞口に入球した遊技球を、特定領域に遊技球を誘導する可能性があるチャンス領域を通過させるか、もしくはチャンス領域を通過させることなく排出するかの振り分け動作を行う。
【0070】
ここで、「チャンス領域」は、遊技球が特定領域を通過する場合にはその前に必ず通過する領域となるため、遊技球がチャンス領域を通過すれば、遊技球は特定領域を通過する可能性がある。ただし、遊技球がチャンス領域を通過しても、遊技球が特定領域を通過しない場合もある。
【0071】
いずれにしても、この第1振分動作部500により、遊技球がチャンス領域を通過するか、遊技球がチャンス領域を通過することなく排出されるかの振り分け動作が行われる。なお、第1振分動作部500の詳細は後述する。
【0072】
また、第1振分動作部500の下流には、第2振分動作部600(第2振分動作手段、振分動作手段)が配置されている。第2振分動作部600は、可動入球役物装置30の右側部分の上端から下端までに配置された上昇装置610、可動入球役物装置30の中段部分に配置された第1展望台ステージ620及び可動入球役物装置30の上段部分に配置された第2展望台ステージ630等によって構成されている。
【0073】
そして、第2振分動作部600は、チャンス領域を通過した遊技球を、特定領域又はアウト通路を通過させた上で排出する振り分け動作を行う。すなわち、先の第1振分動作部500では、遊技球がチャンス領域を通過するか否かといった振り分け動作が行われたが、この第2振分動作部600では、チャンス領域を通過した遊技球に対し、遊技球が特定領域を通過するか否かといった振り分け動作が行われる。なお、第2振分動作部600の詳細は後述する。
【0074】
図4は、中央役物装置300を左斜め上方から示した斜視図である。なお、以下の図面では、理解を容易にするために、
図3で図示した部材の一部を省略して図示している箇所もある。
【0075】
中央役物装置300は、例えば建築物(大型のタワー)を模したタワー本体部400を含み、大きく分けて第1振分動作部500と、第2振分動作部600とに分けられる。第1振分動作部500での振り分け動作に成功した場合、遊技球は第2振分動作部600に進入することになる。
【0076】
〔第1振分動作部〕
第1振分動作部500は、回転ステージ510及び円形ステージ520(
図5参照)を有する。
回転ステージ510は、上方から見て反時計回りに回転可能なステージであり、その上面部分にY字形状の誘導溝512が形成されている。回転ステージ510の前方の中央部分には、遊技球が1つ入球できる程度の大きさのチャンス領域孔514が配置されており、チャンス領域孔514のさらに前方には、チャンス領域孔514よりも大きく開口したはずれ孔516が配置されている。チャンス領域孔514に入球した遊技球は、その後にチャンス領域を通過することになり、はずれ孔516に入球した遊技球は、その後に特定領域を通過することなく排出されることになる。
【0077】
ここで、チャンス領域には図示しない演出スイッチ(チャンス領域検出手段)が設けられており、チャンス領域を通過する遊技球は演出スイッチにより検出される。
また、可動入球役物装置30の下縁部にはアウト通路が形成されている。このため、チャンス領域孔514に入球せずに、はずれ孔516に入球した遊技球はアウト通路に導かれ、チャンス領域や特定領域を通過することなく可動入球役物装置30から排出される。そして、アウト通路(アウト領域、はずれ領域)には図示しない排出検知スイッチが設けられており、アウト通路を通過する遊技球は排出検知スイッチにより検出される。
【0078】
ここで、回転ステージ510には、タワー本体部400を支えるタワー脚部518が配置されており、回転ステージ510の回転に伴ってタワー本体部400も回転する。
【0079】
円形ステージ520(
図5参照)は、タワー脚部518の上方に形成された円形上のステージであり、ステージの中央部分には、円形ステージ520から回転ステージ510に遊技球を落下させるための落下孔522(
図5参照)が形成されている。
【0080】
〔第2振分動作部〕
第2振分動作部600は、上昇装置610、第1展望台ステージ620(第1特殊振分部)及び第2展望台ステージ630(第2特殊振分部)を有する。
チャンス領域孔514に入球してその後に図示しないチャンス領域を通過した遊技球は、上昇装置610によって第1展望台ステージ620まで上昇され、そこで振り分け動作が行われる。また、第1展望台ステージ620での振り分け動作の結果、第1展望台ステージ620の内部の図示しない特殊領域(遊技球をさらに上昇させるための領域)を通過した遊技球は、上昇装置610によって第2展望台ステージ630まで再び上昇され、そこで再び振り分け動作が行われる。
【0081】
タワー本体部400の下部には、図示しない本体部モータが配置されている。本体部モータには、その出力軸に図示しない駆動ギヤが取り付けられており、この駆動ギヤに対して図示しない従動ギヤが噛み合わされている。駆動ギヤ及び従動ギヤは、歯車列を構成しており、本体部モータの回転に伴い、駆動ギヤから従動ギヤに動力が伝達される。
【0082】
従動ギヤには、従動ギヤと共に回転する図示しない回転軸が結合されており、回転軸には回転ステージ510が接続されている。このため、本体部モータが回転するとその動力によって回転ステージ510が回転し、さらに回転ステージ510に設置されているタワー本体部400も回転することになる。
【0083】
ここで、第1展望台ステージ620及び第2展望台ステージ630は、タワー本体部400の外枠となる環状のステージであるため、本体部モータ402が回転してもステージ自体は回転しない。すなわち、タワー本体部400は、中心部分のみが回転し外枠のステージ部分は回転しない。なお、タワー本体部400は、下端部よりも上端部が遊技盤ユニット8の前方に突出しており、頂上部分が手前側に傾斜している。このような傾斜により各ステージに進入した遊技球は、遊技盤ユニット8の前方に転動しやすい状態となる。
【0084】
また、回転軸の下端部には、図示しない原点位置検出機構が配置されている。原点位置検出機構は、タワー本体部400の回転に関する原点位置の検出を行う装置であり、インデックスセンサやロータリエンコーダ等を適用することができる。原点位置検出機構は、例えば、フォトセンサ及び回転板により構成することができる。
【0085】
フォトセンサは、光を照射する照射部及び光を受光する受光部を有し、照射部と受光部とは所定の間隔を空けて対向配置されている。
回転板は、フォトセンサの照射部と受光部との間に配置され、回転軸と一体に回転する回転体であり、回転板には原点位置に図示しない開口孔が設けられている。
【0086】
そして、回転板が回転し、図示しない開口孔が原点位置にあるとき、フォトセンサが非遮光状態となる。このため、主制御CPU72は、フォトセンサが非遮光状態であるときに(フォトセンサから遮光状態である旨の検出信号を受信していないときに)、回転板が原点位置にあると判断することができる。
【0087】
図5及び
図6は、ルート振分部200の構成の詳細及び第1振分動作部500での振り分け動作について説明する図である。
ここで、
図5は、遊技球がルート振分部200によってスペシャルルートに振り分けられ、第1振分動作部500に進入し、チャンス領域孔514に入球する例を示している。また、
図6は、遊技球がルート振分部200によってノーマルルートに振り分けられ、第1振分動作部500に進入し、はずれ孔516に入球する例を示している。
【0088】
ルート振分部200は、進入してきた遊技球をノーマルルートかスペシャルルートかに振り分ける振り分け動作を行う。また、ルート振分部200は、ルート振分部誘導路202、ルート振分体204、突出部206、ノーマルルート用孔208、スペシャルルート誘導路210、ノーマルルート誘導路212を有する。
【0089】
ルート振分部誘導路202は、誘導通路30c(
図3参照)からの遊技球をルート振分体204に誘導するための通路であり、盤面の奧方向へ延び、最奧の位置から折り返して手前側のルート振分体204まで延びている。
【0090】
ルート振分体204は、土台となる円形の回転部材204aと、回転部材204aの上に配置された構造体204b(小型のタワーを模した構造体)とを含む。回転部材204aは、例えば上方から見て反時計回りに回転可能であり、回転部材204aの回転に伴って構造体204bも回転する。構造体204bの脚部には四方に4つの逆U字型の貫通孔が形成されており、遊技球はその貫通孔を通り抜けることができる。本実施形態では、ルート振分体204は、パチンコ機1の電源投入時(電源OFF等の停電時以外)から電源遮断時まで回転を継続させている。
【0091】
突出部206は、ルート振分体204が配置されているベース部205aの前方側における先端の中央から、遊技盤ユニット8の前方方向に凸状に延長して形成されている。突出部206は、突出部206の上部を転動した遊技球をスペシャルルート誘導路210に案内する。なお、スペシャルルート誘導路210には、図示しないスペシャルルートスイッチを配置して、スペシャルルート誘導路210を通過する遊技球を検出することができる。
【0092】
ノーマルルート用孔208は、突出部206の両脇に2つ配置されており、ノーマルルート用孔208に入球した遊技球をノーマルルート誘導路212に案内する。
【0093】
スペシャルルート誘導路210は、突出部206から右方向に延びており、第1振分動作部500の円形ステージ520に向かっている。スペシャルルート誘導路210により、遊技球は、第1振分動作部500の円形ステージ520に誘導される。
【0094】
ノーマルルート誘導路212は、ノーマルルート用孔208から鉛直下方に延び、鉛直下方部分で2つのノーマルルート用孔208からのルートが合流し、合流した後に盤面奥方向に延びており、第1振分動作部500の回転ステージ510に向かっている。ノーマルルート誘導路212により、遊技球は、第1振分動作部500の回転ステージ510に誘導される。
【0095】
〔スペシャルルートへの振分動作〕
図5に示すように、遊技球が、ルート振分体204の脚部に形成された対向する2つの貫通孔204cを通り抜けると、遊技球は、突出部206の上部を転動し、スペシャルルート誘導路210に誘導され、第1振分動作部500の円形ステージ520に案内される。
【0096】
そして、円形ステージ520に案内された遊技球は、円形ステージ520の内部を回転し、回転速度の低下とともに中央の落下孔522に誘導され、下方の回転ステージ510に落下する。
【0097】
回転ステージ510には、Y字形状の誘導溝512が形成されており、遊技球は誘導溝512の中央部分に落下することになる。そして、図示のように、回転ステージ510の誘導溝512の延長線上にチャンス領域孔514があれば、遊技球は誘導溝512に誘導されてチャンス領域孔514に入球する。
【0098】
〔ノーマルルートへの振分動作〕
図6に示すように、遊技球が、ルート振分体204の脚部に弾かれると、遊技球は、ノーマルルート用孔208に入球し、ノーマルルート誘導路212に誘導され、第1振分動作部500の回転ステージ510に案内される。
【0099】
ノーマルルート誘導路212からの遊技球は、回転ステージ510の方向に放出されるが、回転ステージ510の誘導溝512に誘導されるとは限らない。回転ステージ510の誘導溝512にうまく誘導されなかった遊技球は、移動方向が変化せずにはずれ孔516に落下する。
【0100】
ここで、ノーマルルート誘導路212には、図示しないモータで上下動する昇降ステージを配置してもよい。この場合、遊技球は、昇降ステージに乗り上げて回転ステージ510に案内されることもあれば、昇降ステージに乗り上げずに昇降ステージの側面に弾かれて回転ステージ510に案内されることもある。このようにすれば、回転ステージ510に進入する遊技球の軌道を安定させることができる。
【0101】
図7は、上昇装置誘導路515の構成の詳細を示す図である。
上昇装置誘導路515は、可動入球役物装置30の内部に設けられた通路であって、チャンス領域孔514と上昇装置610とを結ぶ通路である。上昇装置誘導路515は、チャンス領域孔514から鉛直下方に延び、そこからさらに右側に屈曲して上昇装置610の下開口孔610a(
図8参照)まで延びている。
【0102】
チャンス領域孔514に入球した遊技球は、チャンス領域に配置された演出スイッチ800により検出され、上昇装置誘導路515によって上昇装置610まで案内される。
ここで、上昇装置誘導路515には、その途中にスライド部材517が配置されている。スライド部材517は、図示しない上昇装置誘導路ソレノイドによって図中左右方向にスライド可能である。
【0103】
図7中(A)に示すように、上昇装置誘導路ソレノイドが非作動(OFF)の状態であれば、スライド部材517は初期位置にあり、スライド部材517の上面を通過して、遊技球は上昇装置610に誘導される。
【0104】
一方、
図7中(B)に示すように、上昇装置誘導路ソレノイドが作動(ON)の状態であれば、スライド部材517は図中左側にスライドすることになり、遊技球は上昇装置610に誘導されず、可動入球役物装置30の内部のアウト通路に合流して排出検知スイッチにより検出されることになる。
【0105】
このように、チャンス領域孔514に入球した遊技球を上昇装置610に誘導したり、上昇装置610に誘導せずに排出したりする理由は、通常の振り分け動作を行っている場合は上昇装置610に遊技球を誘導する必要があるが、一旦大当り状態に突入すると、上昇装置610に遊技球を誘導する必要がないからである。
【0106】
図8は、上昇装置610の構成及び駆動機構の詳細を示す図である。
ここで、
図8中(A)は上昇装置610の平面図であり、
図8中(B)は上昇装置610の正面図であり、
図8中(C)は上昇装置610の右側面図である。なお、以下の図面では、理解を容易にするために、
図3とは異なる形状で部材を図示している箇所もある。
【0107】
上昇装置610は、チャンス領域を通過した遊技球を上昇させる装置であり、チャンス領域を通過した遊技球を第1展望台ステージ620まで上昇させる第1上昇装置と、第1展望台ステージ620に設けられた特殊領域を通過した遊技球を第2展望台ステージ630まで上昇させる第2上昇装置とによって構成され、第1上昇装置と第2上昇装置とは、同一の上昇装置の下側部分と上側部分とによって構成されている。
【0108】
また、上昇装置610は、筒状誘導路611、第1展望台ステージ用誘導路612、再突入誘導路613、第2展望台ステージ用誘導路614、駆動機構615及び原点位置検出機構616を有する。
【0109】
筒状誘導路611は、内部にスクリューコンベア617が配置された円筒形状の通路である。スクリューコンベア617は、筒状誘導路611と共に遊技球を上昇させるコンベアである。また、スクリューコンベア617は、可動入球役物装置30の内部に進入した遊技球の進行(転動)に影響を与える動作を行う可動体であるとともに、コンベアモータ214の回転力を利用して遊技球を上昇させる回転体である。
【0110】
第1展望台ステージ用誘導路612は、中央左開口孔610bから放出された遊技球を第1展望台ステージ620まで誘導する通路であり、筒状誘導路611から第1展望台ステージ620に向かって延びている。
【0111】
再突入誘導路613は、第1展望台ステージ620からの遊技球を、上昇装置610の中央右開口孔610cに誘導する通路であり、第1展望台ステージ620から筒状誘導路611に向かって延びている。
【0112】
第2展望台ステージ用誘導路614は、上開口孔610dから放出された遊技球を第2展望台ステージ630まで誘導する通路であり、筒状誘導路611から第2展望台ステージ630に向かって延びている。
【0113】
駆動機構615は、筒状誘導路611の下部背面に配置されたコンベアモータ214と、コンベアモータ214の回転可能な出力軸に取り付けられた駆動ギヤ618aと、駆動ギヤ404に噛み合わされた第1従動ギヤ618bと、第1従動ギヤ618bに噛み合わされた第2従動ギヤ618cと、第2従動ギヤ618cと共に回転し、スクリューコンベア617の回転中心となる回転軸618dとを有する。
【0114】
原点位置検出機構616は、スクリューコンベア617の回転に関する原点位置の検出を行う装置であり、先に説明したタワー本体部400の原点位置検出機構と同様の構成である。
【0115】
そして、駆動機構615によってスクリューコンベア617を回転駆動させることにより、下開口孔610aに入球した遊技球を中央左開口孔610bまで上昇させたり、中央右開口孔610cに入球した遊技球を上開口孔610dまで上昇させたりすることができる。
【0116】
図9及び
図10は、上昇装置610での遊技球の上昇の様子を示す図である。
ここで、
図9は、下開口孔610aに入球した遊技球を中央左開口孔610bまで上昇させる様子を示しており、
図10は、中央右開口孔610cに入球した遊技球を上開口孔610dまで上昇させる様子を示している。なお、図中、スクリューコンベア617及び遊技球以外の構成は理解を容易にするために破線で示している。
【0117】
図9に示すように、下開口孔610aに入球した遊技球は、スクリューコンベア617の回転に押し出されながら、筒状誘導路611の内壁に案内されて、筒状誘導路611の左側ルートを上昇する。そして、中央左開口孔610bまで上昇すると、第1展望台ステージ用誘導路612によって第1展望台ステージ620に誘導される。
【0118】
また、
図10に示すように、中央右開口孔610cに入球した遊技球は、スクリューコンベア617の回転に押し出されながら、筒状誘導路611の内壁に案内されて、最初は筒状誘導路611の右側ルートを上昇する。そして、中央左開口孔610bを超えた辺りで、遊技球を左側ルートに誘導するための誘導傾斜部619に接触する。
【0119】
誘導傾斜部619に接触した遊技球は、誘導傾斜部619の上縁部に案内されて誘導方向が変化し、筒状誘導路611の右側ルートから左側ルートに押し出される。そして、遊技球は、左側ルートをそのまま上昇していき、最終的には、左側ルートの上部に形成された上開口孔610dに到達する。そして、上開口孔610dに到達した遊技球は、第2展望台ステージ用誘導路614によって第2展望台ステージ630に誘導される。
【0120】
図11は、第1展望台ステージ620での振り分け動作について説明するための図である。
第1展望台ステージ用誘導路612によって第1展望台ステージ620に誘導されてきた遊技球は、その勢いによって第1展望台ステージ620を左右に転動する。第1展望台ステージ620は、ステージ自体が中心方向に傾斜している(すり鉢状である)ため、転動の勢いが失われた遊技球は、いずれは遊技球をタワー本体部400の内部に案内するための第1展望台ステージゲート622に進入する。
【0121】
図12は、第1展望台ステージ620の内部に位置しているタワー本体部400の一部を抜き出して示した図である。
図12中(A)に示すように、第1展望台ステージ620の内部に位置しているタワー本体部400の一部は、円柱形状となっており、その側面にはずれ用第1窪み部624と、再上昇用窪み部626とを有する。
【0122】
はずれ用第1窪み部624は、遊技球をアウト通路に誘導するための窪みであり、略長方形形状であって遊技球が1つ流入可能な程度の空間となっている。また、はずれ用第1窪み部624の上部には「×(バツ印)」の文字情報が表示されている。
【0123】
再上昇用窪み部626は、遊技球を再度、上昇装置610に誘導するための窪みであり、略正方形形状であってはずれ用第1窪み部624よりも鉛直方向の長さが長い空間となっている。また、再上昇用窪み部626の上部には「UP」の文字情報が表示されている。
【0124】
そして、タワー本体部400には、手前側の側面に2つのはずれ用第1窪み部624と、1つの再上昇用窪み部626とが形成されており、奥側の側面にも同様に2つのはずれ用第1窪み部624と、1つの再上昇用窪み部626とが形成されている。
このため、タワー本体部400には、全体として4つのはずれ用第1窪み部624と、2つの再上昇用窪み部626とが形成されていることになる。したがって、第1展望台ステージ620に進入した遊技球は、3分の1の確率で再上昇用窪み部626に入球し、残りの3分の2の確率ではずれ用第1窪み部624に入球することになる。
【0125】
〔再上昇用窪み部626への入球〕
ここで、遊技球が再上昇用窪み部626に入球した場合のその後の動作を説明する。
図12中(B)に示すように、第1展望台ステージ620の第1展望台ステージゲート622を通じて、再上昇用窪み部626に遊技球が入球すると、遊技球は再上昇用窪み部626の内部で下方に落下することになる。
【0126】
さらに、
図12中(C)に示すように、下方に落下した遊技球は、タワー本体部400の回転に伴って、左方向に移動していく。ここで、下方に落下した遊技球が配置される部分には、第1特殊開口孔628が形成されており、この時点で遊技球は、第1特殊開口孔628の正面に位置することになる。
【0127】
そして、
図12中(D)に示すように、遊技球は第1特殊開口孔628を通じて前方に転がり、そのまま再突入誘導路613(
図11参照)に案内されることになる。再突入誘導路613には図示しない特殊領域が設けられており、その特殊領域には特殊領域スイッチが設けられている。そして、特殊領域を通過する遊技球は特殊領域スイッチにより検出される。
【0128】
〔はずれ用第1窪み部624への入球〕
次に、遊技球がはずれ用第1窪み部624に入球した場合のその後の動作を説明する。
図12中(E)に示すように、第1展望台ステージ620の第1展望台ステージゲート622を通じて、はずれ用第1窪み部624に遊技球が入球すると、遊技球はその位置が維持される。
さらに、
図12中(F)に示すように、タワー本体部400の回転に伴って、はずれ用第1窪み部624に入球した遊技球はそのまま左方向に移動していく。
【0129】
そして、
図12中(G)に示すように、タワー本体部400の回転に伴って、はずれ用第1窪み部624に入球した遊技球は、遊技盤ユニット8のアウト通路に誘導されることになる。アウト通路には図示しない排出検知スイッチが設けられており、アウト通路を通過する遊技球は排出検知スイッチにより検出される。
【0130】
図13は、第2展望台ステージ630での振り分け動作について説明するための図である。
第2展望台ステージ用誘導路614によって第2展望台ステージ630に誘導されてきた遊技球は、その勢いによって第2展望台ステージ630を左右に転動する。第2展望台ステージ630は、ステージ自体が中心方向に傾斜している(すり鉢状である)ため、転動の勢いが失われた遊技球は、いずれは第2展望台ステージ開口孔631に進入する。
【0131】
図14は、第2展望台ステージ630の内部に位置しているタワー本体部400の一部を抜き出して示した図である。
図14中(A)に示すように、第2展望台ステージ630の内部に位置しているタワー本体部400の一部は、下側を頂点とする円錐形状の先端部分を取り除いた形状となっており、その側面にはずれ用第2窪み部634と、特定領域用窪み部635とを有する。
【0132】
はずれ用第2窪み部634は、遊技球をアウト通路に誘導するための窪みであり、略正方形形状であって遊技球が1つ流入可能な程度の空間となっている。また、はずれ用第2窪み部634の上部には「×(バツ印)」の文字情報が表示されている。
【0133】
特定領域用窪み部635は、特定領域に遊技球を誘導するための窪みであり、略正方形形状であってはずれ用第2窪み部634よりも鉛直方向の長さが長い空間となっている。また、特定領域用窪み部635の上部には「10R」の文字情報が表示されている。
【0134】
ここで、タワー本体部400には、はずれ用第2窪み部634と、特定領域用窪み部635とが交互に3つずつ形成されている。このため、第2展望台ステージ630に遊技球が辿りつけば、2分の1の確率ではずれ用第2窪み部634に遊技球が入球し、残りの2分の1の確率で特定領域用窪み部635に遊技球が入球することになる。
【0135】
〔はずれ用第2窪み部への入球〕
ここで、遊技球がはずれ用第2窪み部634に入球した場合のその後の動作を説明する。
図14中(B)に示すように、はずれ用第2窪み部634に遊技球が入球すると、遊技球はタワー本体部400の上方部分に停止する。
さらに、
図14中(C)に示すように、タワー本体部400の回転に伴って、はずれ用第2窪み部634に進入した遊技球はそのまま左方向に移動していく。
【0136】
そして、
図14中(D)に示すように、タワー本体部400の回転に伴って、はずれ用第2窪み部634に入球した遊技球は、遊技盤ユニット8のアウト通路に誘導されることになる。アウト通路には図示しない排出検知スイッチが設けられており、アウト通路を通過する遊技球は排出検知スイッチにより検出される。
【0137】
〔特定領域用窪み部への入球〕
次に、遊技球が特定領域用窪み部635に入球した場合のその後の動作を説明する。
図14中(E)に示すように、特定領域用窪み部635に遊技球が入球すると、遊技球は特定領域用窪み部635の内部で下方に落下することになる。
【0138】
さらに、
図14中(F)に示すように、下方に落下した遊技球は、タワー本体部400の回転に伴って、左方向に移動していく。
【0139】
そして、
図14中(G)に示すように、タワー本体部400の回転に伴って、特定領域用窪み部635に入球した遊技球は、遊技盤ユニット8の裏側へ回収され、遊技盤ユニット8の裏側にある特定領域を通過することになる。特定領域には図示しない特定領域スイッチが設けられており、特定領域スイッチを通過する遊技球は特定領域スイッチにより検出される。
【0140】
図15は、遊技盤ユニット8の一部(窓4a内の右下位置)を拡大して示す正面図である。
遊技盤ユニット8には、例えば窓4a内の右下位置に普通図柄表示装置33(普通図柄表示手段)及び普通図柄作動記憶ランプ33aが設けられている他、第1特別図柄表示装置34(第1図柄表示手段、図柄表示手段)、第2特別図柄表示装置35(第2図柄表示手段、図柄表示手段)、及び、遊技状態表示装置38が設けられている。
【0141】
このうち、普通図柄表示装置33は、例えば2つのランプ(LED)を交互に点灯させて普通図柄を変動表示し、そしてランプの点灯又は消灯により普通図柄を停止表示する。普通図柄作動記憶ランプ33aは、例えば2つのランプ(LED)の消灯又は点灯、点滅の組み合わせによって0~4個の記憶数を表示する。例えば、2つのランプをともに消灯させた表示態様では記憶数0個を表示し、1つのランプを点灯させた表示態様では記憶数1個を表示し、同じ1つのランプを点滅させた表示態様では記憶数2個を表示し、1つのランプの点滅に加えてもう1つのランプを点灯させた表示態様では記憶数3個を表示し、そして2つのランプをともに点滅させた表示態様では記憶数4個を表示する、といった具合である。なお、ここでは2つのランプ(LED)を使用することとしているが、4つのランプ(LED)を使用して普通図柄作動記憶ランプ33aを構成してもよい。この場合、点灯するランプの個数で作動記憶数を表示することができる。
【0142】
普通図柄作動記憶ランプ33aは、始動ゲート20を遊技球が通過すると、その都度、作動抽選の契機となる通過が発生したことを記憶する意味で1個ずつ増加後の表示態様へと変化していき(最大4個まで)、その通過を契機として普通図柄の変動が開始されるごとに1個ずつ減少後の表示態様へと変化していく。なお、本実施形態では、普通図柄作動記憶ランプ33aが未点灯(記憶数が0個)の場合、普通図柄が既に変動開始可能な状態(停止表示時)で始動ゲート20を遊技球が通過しても表示態様は変化しない。すなわち、普通図柄作動記憶ランプ33aの表示態様によって表される記憶数(最大4個)は、その時点で未だ普通図柄の変動が開始されていない通過の回数を表している。
【0143】
第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置35は、例えばそれぞれ7セグメントLED(ドット付き)により特別図柄の変動状態と停止状態とを表示することができる(図柄表示手段)。なお、本実施形態において特別図柄に対応する作動記憶ランプや作動記憶数表示装置は設けられていない。
【0144】
また、遊技状態表示装置38には、例えば、大当り種別表示ランプ38a、時短状態表示ランプ38e、発射位置指定表示ランプ38fにそれぞれ対応する3つのLEDが含まれている。なお、本実施形態では、上述した普通図柄表示装置33や普通図柄作動記憶ランプ33a、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35及び遊技状態表示装置38が1枚の統合表示基板89に実装された状態で遊技盤ユニット8に取り付けられている。なお、本実施形態では、大当りの種別が1つしかない(10ラウンド大当りしかない)ので、大当り種別表示ランプ38aを設けなくてもよい。
【0145】
〔制御上の構成〕
次に、パチンコ機1の制御に関する構成について説明する。
図16は、パチンコ機1に装備された各種の電子機器類を示すブロック図である。パチンコ機1は、制御動作の中枢となる主制御装置70を備えており、この主制御装置70は主に、パチンコ機1における遊技の進行を制御する機能を有している。なお、主制御装置70は、上記の主制御基板ユニット170に内蔵されている。
【0146】
また、主制御装置70には、中央演算処理装置である主制御CPU72を実装した回路基板(主制御基板)が装備されており、主制御CPU72は、図示しないCPUコアやレジスタとともにROM74、RAM(RWM)76等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。また、主制御装置70には、乱数発生器75やサンプリング回路77が装備されている。このうち乱数発生器75は、特別図柄抽選の大当り判定用(又は小当り判定用)や普通図柄抽選の当り判定用にハードウェア乱数(例えば10進数表記で0~65535)を発生させるものであり、ここで発生された乱数は、サンプリング回路77を通じて主制御CPU72に入力される。その他にも主制御装置70には、入出力(I/O)ポート79や図示しないクロック発生回路、カウンタ/タイマ回路(CTC)等の周辺ICが装備されており、これらは主制御CPU72とともに回路基板上に実装されている。なお、回路基板上(又は内層部分)には、信号伝送経路や電源供給経路、制御用バス等が配線パターンとして形成されている。
【0147】
始動ゲート20には、遊技球の通過を検出するためのゲートスイッチ78が一体的に設けられている。また、遊技盤ユニット8には、左始動入賞口26、中始動入賞口27、右始動入賞口28b及び可動入球役物装置30にそれぞれ対応して左始動入賞口スイッチ80、中始動入賞口スイッチ81、右始動入賞口スイッチ82及びカウントスイッチ84が装備されている。このうち左始動入賞口スイッチ80、中始動入賞口スイッチ81及び右始動入賞口スイッチ82は、それぞれの始動入賞口への遊技球の入球を検出するためのものである。また、カウントスイッチ84は、可動入球役物装置30(大入賞口30b)への遊技球の入球を検出し、その数をカウントするためのものである。
【0148】
また、遊技盤ユニット8には、特定領域及びチャンス領域にそれぞれ対応して特定領域スイッチ701(特定領域検出手段、特定領域通過後排出検出手段)及び演出スイッチ800が設けられている。これらの他にも、可動入球役物装置30内には排出検知スイッチ900が設けられている。排出検知スイッチ900は、可動入球役物装置30から排出された遊技球を検出し、その検出信号を出力するものである(排出検出手段)。
【0149】
各スイッチからの検出信号を受信すると、領域の通過の有無に関するフラグ(特定領域通過フラグ、チャンス領域通過フラグ、排出領域通過フラグ等)がONになるため、主制御CPU72は、フラグの内容に基づいて領域通過コマンドを演出制御装置124に送信する。
【0150】
同様に遊技盤ユニット8には、普通入賞口22,24への遊技球の入賞を検出する入賞口スイッチ86が装備されている。なお、入賞口スイッチ86は全ての普通入賞口22,24について共通のものを用いてもよいし、複数ある普通入賞口22,24のそれぞれに別々の入賞口スイッチ86を設置してもよい。
【0151】
いずれにしても、これらスイッチ類78,80~86,701,800,900の入賞検出信号は、図示しない入出力ドライバを介して主制御CPU72に入力される。なお、遊技盤ユニット8の構成上、本実施形態では左始動入賞口スイッチ80、中始動入賞口スイッチ81、右始動入賞口スイッチ82、特定領域スイッチ701からの検出信号は遊技者の利益に最も直接的に影響を及ぼす信号であるため特に中継物を介することなく主制御装置70に送信されており、その他の検出信号はパネル中継端子板87を中継して主制御装置70に送信されている。パネル中継端子板87には、それぞれの検出信号を中継するための配線パターンや接続端子等が設けられている。
【0152】
普通図柄表示装置33や普通図柄作動記憶ランプ33a、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35及び遊技状態表示装置38は、主制御CPU72からの制御信号に基づいて表示動作を制御されている。主制御CPU72は、遊技の進行状況に応じて普通図柄表示装置33や普通図柄作動記憶ランプ33a、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35及び遊技状態表示装置38に対する制御信号を出力し、各LEDの点灯状態を制御している。また、普通図柄表示装置33や普通図柄作動記憶ランプ33a、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35及び遊技状態表示装置38は、上記のように1枚の統合表示基板89に実装された状態で遊技盤ユニット8に設置されており、この統合表示基板89には上記のパネル中継端子板87を中継して主制御CPU72から制御信号が送信される。
【0153】
また、遊技盤ユニット8には、可変始動入賞装置28及び可動入球役物装置30にそれぞれ対応して普通電動役物ソレノイド88及び大入賞口ソレノイド90が設けられている。普通電動役物ソレノイド88及び大入賞口ソレノイド90は主制御CPU72からの制御信号に基づいて動作(励磁)し、それぞれ可変始動入賞装置28及び可動入球役物装置30を作動(開閉)させる。
さらに遊技盤ユニット8には、可動入球役物装置30の内部に上昇装置誘導路ソレノイド95が設けられている。上昇装置誘導路ソレノイド95は主制御CPU72からの制御信号に基づいて動作(励磁)し、大当り遊技中の排出動作を行う。なお、普通電動役物ソレノイド88、大入賞口ソレノイド90及び上昇装置誘導路ソレノイド95は、上記のパネル中継端子板87を中継して主制御CPU72から制御信号が送信される。
【0154】
さらに遊技盤ユニット8には、可動入球役物装置30の内部にあるルート振分体204やタワー本体部400、スクリューコンベア617にそれぞれ対応して振分体モータ213、本体部モータ402及びコンベアモータ214(駆動源)が設けられている。このうち振分体モータ213はルート振分体204を回転させるものである。また、本体部モータ402は、タワー本体部400を回転させるものである。コンベアモータ214は、スクリューコンベア617を回転駆動させるものである。これらのモータについても同様に、上記のパネル中継端子板87を中継して主制御CPU72から制御信号が送信される。
【0155】
本実施形態では、各モータ213,402,214に対し、主制御装置70(主制御CPU72)から一定動作用の駆動信号が出力される。また、各モータ213,402,214については、それぞれ図示しないインデックスセンサ等の原点検出機構を用いて回転に関する原点位置の検出を行っている。このため主制御装置70には、これら原点検出機構からの原点位置検出信号が入力されている。
【0156】
また、遊技盤ユニット8には、磁気センサ250や振動センサ252(振動検出手段)が設置されており、このうち磁気センサ250は、その設置位置で遊技盤ユニット8に飛来してくる磁束を検出し、その密度(磁気強度)に応じた検出信号を出力する。また、振動センサ252は、その設置位置で遊技盤ユニット8に伝わる加速度(振動)を検出し、その大きさに応じた検出信号を出力する。これら磁気センサ250や振動センサ252の検出信号は、それぞれパネル中継端子板87を通じて主制御装置70(主制御CPU72)に入力されている。
【0157】
その他に上記のガラス枠ユニット4にはガラス枠開放スイッチ91が設置されており、また、上記のプラ枠アセンブリ7にはプラ枠開放スイッチ93が設置されている。ガラス枠ユニット4が単独で開放されると、ガラス枠開放スイッチ91からの接点信号が主制御装置70(主制御CPU72)に入力され、また、外枠アセンブリ2からプラ枠アセンブリ7が開放されると、プラ枠開放スイッチ93からの接点信号が主制御装置70(主制御CPU72)に入力される。主制御CPU72は、これら接点信号からガラス枠ユニット4やプラ枠アセンブリ7の開放状態を検出することができる。なお、主制御CPU72は、ガラス枠ユニット4やプラ枠アセンブリ7の開放状態を検出すると、上記の外部情報信号として扉開放情報信号を生成する。
【0158】
パチンコ機1の裏側には、払出制御装置92が装備されている。この払出制御装置92(払出制御コンピュータ)は、上述した払出装置ユニット172の動作を制御する。払出制御装置92には、払出制御CPU94を実装した回路基板(払出制御基板)が装備されており、この払出制御CPU94もまた、図示しないCPUコアとともにROM96、RAM98等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。払出制御装置92(払出制御CPU94)は、主制御CPU72からの賞球指示コマンドに基づいて払出装置ユニット172の動作を制御し、要求された個数の遊技球の払出動作を実行させる。なお、主制御CPU72は賞球指示コマンドとともに、上記の外部情報信号として賞球情報信号を生成する。
【0159】
払出装置ユニット172の図示しない賞球ケース内には、払出モータ102(例えばステッピングモータ)とともに払出装置基板100が設置されており、この払出装置基板100には払出モータ102の駆動回路が設けられている。払出装置基板100は、払出制御装置92(払出制御CPU94)からの払出数指示信号に基づいて払出モータ102の回転角度を具体的に制御し、指示された数の遊技球を賞球ケースから払い出させる。払い出された遊技球は、流路ユニット173内の払出流路を通って上記の受皿ユニット6に送られる。
【0160】
また、例えば賞球ケースの上流位置には払出路球切れスイッチ104が設置されている他、払出モータ102の下流位置には払出計数スイッチ106が設置されている。払出モータ102の駆動により実際に賞球が払い出されると、その都度、払出計数スイッチ106からの計数信号が払出装置基板100に入力される。また、賞球ケースの上流位置で球切れが発生すると、払出路球切れスイッチ104からの接点信号が払出装置基板100に入力される。払出装置基板100は、入力された計数信号や接点信号を払出制御装置92(払出制御CPU94)に送信する。払出制御CPU94は、払出装置基板100から受信した信号に基づき、実際の払出数や球切れ状態を検知することができる。
【0161】
また、パチンコ機1には、例えば下皿6cの内部(パチンコ機1の正面からみて奧の位置)に満タンスイッチ161が設置されている。実際に払い出された賞球(遊技球)は上記の流路ユニット173を通じて上皿6bに放出されるが、上皿6bが遊技球で満杯になると、それ以上に払い出された遊技球は上述したように下皿6cへ流れ込む。さらに下皿6cが遊技球で満杯になると、それによって満タンスイッチ161がONになり、満タン検出信号が払出制御装置92(払出制御CPU94)に入力される。これを受けて払出制御CPU94は、主制御CPU72から賞球指示コマンドを受信してもそれ以上の賞球動作を一旦保留とし、未払出の賞球残数をRAM98に記憶させておく。なお、RAM98の記憶は電源断時にもバックアップが可能であり、遊技中に停電(瞬間的な停電を含む)が発生しても、未払出の賞球残数情報が消失してしまうことはない。
【0162】
また、パチンコ機1の裏側には、発射制御基板108とともに発射ソレノイド110が設置されている。また、受皿ユニット6内には球送りソレノイド111が設けられている。これら発射制御基板108、発射ソレノイド110及び球送りソレノイド111は上述した発射制御基板セット174を構成しており、このうち発射制御基板108には発射ソレノイド110及び球送りソレノイド111の駆動回路が設けられている。このうち球送りソレノイド111は、受皿ユニット6内に蓄えられた遊技球を1個ずつ、発射機ケース内で所定の発射位置に送り出す動作を行う。また、発射ソレノイド110は、発射位置に送り出された遊技球を打撃し、上記のように遊技領域8aに向けて遊技球を1個ずつ連続的(間欠的)に打ち出す動作を行う。なお、遊技球の発射間隔は、例えば0.6秒程度の間隔(1分間で100個以内)である。
【0163】
一方、パチンコ機1の表側に位置する上記のグリップユニット16には、発射レバーボリューム112、タッチセンサ114及び発射停止スイッチ116が設けられている。このうち発射レバーボリューム112は、遊技者による発射ハンドルの操作量(いわゆるストローク)に比例したアナログ信号を生成する。また、タッチセンサ114は、静電容量の変化から遊技者の身体がグリップユニット16(発射ハンドル)に触れていることを検出し、その検出信号を出力する。そして発射停止スイッチ116は、遊技者の操作に応じて発射停止信号(接点信号)を生成する。
【0164】
上記の受皿ユニット6には発射中継端子板118が設置されており、発射レバーボリューム112やタッチセンサ114、発射停止スイッチ116からの各信号は、発射中継端子板118を経由して発射制御基板108に送信される。また、発射制御基板108からの駆動信号は、発射中継端子板118を経由して球送りソレノイド111に印加される。遊技者が発射ハンドルを操作すると、その操作量に応じて発射レバーボリューム112でアナログ信号(エンコードされたデジタル信号でもよい)が生成され、このときの信号に基づいて発射ソレノイド110が駆動される。これにより、遊技者の操作量に応じて遊技球を打ち出す強さが調整されるものとなっている。なお、発射制御基板108の駆動回路は、タッチセンサ114からの検出信号がオフ(ローレベル)の場合か、もしくは発射停止スイッチ116から発射停止信号が入力された場合は発射ソレノイド110の駆動を停止する。この他に、発射中継端子板118には遊技球等貸出装置接続端子板120が接続されており、この遊技球等貸出装置接続端子板120に上記のCRユニットが接続されていない場合、同じく発射制御基板108の駆動回路は発射ソレノイド110の駆動を停止する。
【0165】
また、受皿ユニット6には度数表示基板122及び貸出及び返却スイッチ基板123が内蔵されている。このうち度数表示基板122には、上記の度数表示部の表示器(3桁分の7セグメントLED)が設けられている。また、貸出及び返却スイッチ基板123には球貸ボタン10や返却ボタン12にそれぞれ接続されるスイッチモジュールが実装されており、球貸ボタン10又は返却ボタン12が操作されると、その操作信号が貸出及び返却スイッチ基板123から遊技球等貸出装置接続端子板120を経由してCRユニットに送信される。また、CRユニットからは、有価媒体の残り度数を表す度数信号が遊技球等貸出装置接続端子板120を経由して度数表示基板122に送信される。度数表示基板122上の図示しない表示回路は、度数信号に基づいて表示器を駆動し、有価媒体の残り度数を数値表示する。また、CRユニットに有価媒体が投入されていなかったり、あるいは投入された有価媒体の残り度数が0になったりした場合、度数表示基板122の表示回路は表示器を駆動してデモ表示(有価媒体の投入を促す表示)を行うこともできる。
【0166】
また、パチンコ機1は制御上の構成として、演出制御装置124を備えている。この演出制御装置124は、パチンコ機1における遊技の進行に伴う演出の制御を行う。演出制御装置124にもまた、中央演算処理装置である演出制御CPU126(サブCPU)を実装した回路基板(サブ制御基板、演出制御基板)が装備されている。演出制御CPU126には、図示しないCPUコアとともにメインメモリとしてROM128やRAM130等の半導体メモリが内蔵されている。演出制御CPU126には、主制御CPU72よりも高速(高クロック周波数)で、データバス幅が広い(例えば64ビット)タイプのものを使用することができる。なお、演出制御装置124は、パチンコ機1の裏側で上記の裏カバーユニット178に覆われる位置に設けられている。
【0167】
また、演出制御装置124には、図示しない入出力ドライバや各種の周辺ICが装備されている他、ランプ駆動回路132や音響駆動回路134が装備されている。演出制御CPU126は、主制御CPU72から送信される演出用のコマンドに基づいて演出の制御を行い、ランプ駆動回路132や音響駆動回路134に指令を与えて各種ランプ46~52や盤面ランプ53を発光させたり、スピーカ54,55,56から実際に効果音や音声等を出力させたりする処理を行う。
【0168】
ランプ駆動回路132は、例えば図示しないPWM(パルス幅変調)ICやMOSFET等のスイッチング素子を備えており、このランプ駆動回路132は、LEDを含む各種ランプに印加する駆動電圧をスイッチング(又はデューティ切替)して、その発光・点滅等の動作を管理する。なお、各種ランプには、上記のガラス枠トップランプ46,48やガラス枠サイドランプ50,受皿ランプ52の他に、遊技盤ユニット8に設置された装飾・演出用の盤面ランプ53が含まれる。盤面ランプ53は可動入球役物装置30等に内蔵されるLEDに相当するものである。なお、ここでは受皿ランプ52がガラス枠電飾基板136に接続されている例を挙げているが、受皿ユニット6に受皿電飾基板を設置し、受皿ランプ52については受皿電飾基板を介してランプ駆動回路132に接続される構成であってもよい。
【0169】
また、音響駆動回路134は、例えば図示しないサウンドROMや音響制御IC、アンプ等を内蔵したサウンドジェネレータであり、この音響駆動回路134は、スピーカ54,55,56を駆動して音響出力を行う。
【0170】
本実施形態ではガラス枠ユニット4の内面にガラス枠電飾基板136が設置されており、ランプ駆動回路132や音響駆動回路134からの駆動信号はガラス枠電飾基板136を経由して各種ランプ46~52やスピーカ54,55,56に印加されている。また、ガラス枠電飾基板136には、上記の演出切替ボタン45が接続されており、遊技者が演出切替ボタン45を操作すると、その接点信号がガラス枠電飾基板136を通じて演出制御装置124に入力される。なお、ここではガラス枠電飾基板136に演出切替ボタン45を接続した例を挙げているが、上記の受皿電飾基板を設置する場合、演出切替ボタン45は受皿電飾基板に接続されていてもよい。
【0171】
その他、遊技盤ユニット8にはパネル電飾基板138が設置されており、ランプ駆動回路132からの駆動信号がパネル電飾基板138を経由して盤面ランプ53に印加されている。
【0172】
上記のように可動入球役物装置30の内部には、特殊領域スイッチ901及びスペシャルルートスイッチ902が設けられている。なお、各種スイッチは、遊技球が近接したことを検出する検出スイッチであってもよい。特殊領域スイッチ901及びスペシャルルートスイッチ902は、遊技球の通過を契機として何らかの演出動作を発生させるための球検出器である。特殊領域スイッチ901及びスペシャルルートスイッチ902の検出信号はパネル電飾基板138を中継して送信され、図示しない入出力ドライバを介して演出制御CPU126に入力される。なお、ここでは特殊領域スイッチ901及びスペシャルルートスイッチ902を演出制御装置124に接続する形態を例に挙げているが、特殊領域スイッチ901及びスペシャルルートスイッチ902を主制御装置70に接続してもよい。この場合、主制御CPU72が特殊領域スイッチ901又はスペシャルルートスイッチ902からの検出信号を受信すると、それぞれについて演出コマンドを演出制御CPU126に送信すればよい。
【0173】
7セグ表示器42は、可動入球役物装置30の上方に設置されており、遊技盤ユニット8の前面からその表示画面が視認可能となっている。7セグ表示器42は、ダイナミック点灯が可能な表示器である。7セグ表示器42は、7セグ基板により制御される。また、液晶表示器41は、液晶基板により制御され、可動体モータ47及び可動体センサ49は可動体基板により制御される。可動体センサ49は、演出用の可動体43が原点位置にあるか可動位置にあるかを検知するセンサである。
【0174】
演出制御CPU126のROM128には、演出の制御に関する基本的なプログラムが格納されており、演出制御CPU126は、このプログラムに沿って演出の制御を実行する。演出の制御には、上記のように各種ランプ46~53等やスピーカ54,55,56を用いた演出の制御が含まれる他、液晶表示器41、7セグ表示器42、可動体43を用いた演出の制御が含まれる。演出制御CPU126は、これらの装置を制御する液晶基板、7セグ基板、可動体基板に対して演出に関する情報(コマンド)を送信し、各基板は受信した情報に基づいて液晶表示器41、7セグ表示器42、可動体43等を制御する。
【0175】
その他、プラ枠アセンブリ7の裏側には電源制御ユニット162が装備されている。この電源制御ユニット162はスイッチング電源回路を内蔵し、電源コード164を通じて島設備から外部電力(例えばAC24V等)を取り込むと、そこから必要な電力(例えばDC+34V、+12V等)を生成することができる。電源制御ユニット162で生成された電力は、主制御装置70や払出制御装置92、演出制御装置124に分配されている。さらに、払出制御装置92を経由して発射制御基板108に電力が供給されている他、遊技球等貸出装置接続端子板120を経由してCRユニットに電力が供給されている。また、演出制御装置124を経由して液晶表示器41、7セグ表示器42、可動体モータ47等にも電力が供給される。なお、ロジック用の低電圧電力(例えばDC+5V)は、各装置に内蔵された電源用IC(3端子レギュレータ等)で生成される。また、上記のように電源制御ユニット162は、アース線166を通じて島設備にアース(接地)されている。
【0176】
上記の外部端子板160は払出制御装置92に接続されており、主制御装置70(主制御CPU72)にて生成された各種の外部情報信号は、払出制御装置92を経由して外部端子板160から外部に出力されるものとなっている。主制御装置70(主制御CPU72)及び払出制御装置92(払出制御CPU94)は、外部端子板160を通じてパチンコ機1の外部に向けて外部情報信号を出力することができる。外部端子板160から出力される信号は、例えば遊技場のホールコンピュータ(図示していない)で集計される。なお、ここでは払出制御装置92を経由する構成を例に挙げているが、主制御装置70からそのまま外部情報信号が外部端子板160に出力される構成であってもよい。
【0177】
図17は、サブ制御基板の周辺のブロック図を示す図である。
サブ制御基板150には、7セグ基板151、液晶基板152及び可動体基板153が接続されている。なお、各基板は、CPU(IC)、ROM、RAM等を実装した基板とすることができる。
7セグ基板151には7セグ表示器42が接続され、液晶基板152には液晶表示器41が接続され、可動体基板153には可動体モータ47及び可動体センサ49が接続されている。
【0178】
サブ制御基板150から7セグ基板151までのラインは、ダイナミックLED通信ラインとなっており、サブ制御基板150から液晶基板152までのラインは、このダイナミックLED通信ラインと併用するようになっている。
【0179】
また、サブ制御基板150から可動体基板153までのラインは、可動体通信ラインとなっており、液晶基板152からサブ制御基板150までのラインは、この可動体通信ラインと併用するようになっている。
【0180】
そして、それぞれの基板同士は、クロック用の信号線とデータ用の信号線といった2本の信号線で接続されており(図中では1本の信号線のみ図示している)、クロック同期式シリアルの通信が可能となっている。
【0181】
〔遊技フロー〕
次に
図18は、本実施形態のパチンコ機1による遊技の流れを一例として示すゲームフロー図である。パチンコ機1による通常遊技は、遊技球を遊技領域8a内に打ち込む(発射する)ことで開始される。以下、遊技球の打ち出しを前提として遊技の流れについて説明する。
【0182】
〔F01:始動入賞口への入球〕
遊技球が遊技領域8a内を流下する過程で、左始動入賞口26、中始動入賞口27又は右始動入賞口28bのいずれかに入球すると、それぞれの始動入賞口に対応した左始動入賞口スイッチ80、中始動入賞口スイッチ81又は右始動入賞口スイッチ82によって遊技球の通過が検出され、これを契機として特別図柄抽選が行われる。なお、非時間短縮状態において、右始動入賞口28bに遊技球が入球することは困難である。
【0183】
特別図柄抽選は、可動入球役物装置30を作動させるか否かに関わる抽選である。なお、いずれの始動入賞口にも遊技球が入球しなかった場合、ゲームフローは終了となり、改めて始動入賞口への入球(F01)を目指すことになる。
【0184】
また、特に図示していないが、特別図柄抽選が行われると、第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35において特別図柄が所定の変動時間にわたり変動表示された後、抽選結果を表す態様で停止表示される。第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35による特別図柄の変動パターンに関しては、抽選によってランダムに変化させても、一定の変動パターンに固定してもよい。
【0185】
ここで、本実施形態では、左始動入賞口26又は中始動入賞口27への入球を契機として第1特別図柄抽選(内部抽選)が行われる一方、右始動入賞口28bへの入球を契機として第2特別図柄抽選(内部抽選)が行われる。
そして、特別図柄抽選の当り確率(小当り確率)は1(=略1/1)に設定されているため、遊技球がいずれかの始動入賞口に入球すると、そのまま小当りに該当することになる。したがって、特に主制御装置70において内部的に大当り決定乱数を取得する必要はないが、敢えて取得することとしてもよい。本実施形態では、特に各始動入賞口への入球を契機として直接的に大当り遊技が実行される当り(いわゆる直当り、直撃当り)を設けていないが、ここで取得した大当り決定乱数を用いて直当り判定を行ってもよい。
【0186】
また、本実施形態では、特別図柄に「はずれ」の表示態様がなく、第1特別図柄による抽選では「小当り図柄1」に該当し、第2特別図柄による抽選では「小当り図柄2」に該当することになっている。「小当り図柄1」と「小当り図柄2」の違いは、可動入球役物装置30の作動回数に関係しており、「小当り図柄1」に該当した場合は可動入球役物装置30が1回作動し、「小当り図柄2」に該当した場合は可動入球役物装置30が2回作動する。なお、特別図柄に「はずれ」の表示態様を設けてもよい。
【0187】
〔F02:可動入球役物装置作動〕
いずれにしても、第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35により特別図柄が小当りの態様で停止表示されると、これを契機として可動入球役物装置30が作動(開放動作)する。可動入球役物装置30の作動は、上記のように可動片30aを開放位置に変化させるものである。
【0188】
本実施形態では、「小当り図柄1」に該当した場合は、小当り図柄1用の規定の開放時間(例えば0.425秒程度)にわたり可動入球役物装置30を1回だけ開放し、「小当り図柄2」に該当した場合は、小当り図柄2用の規定の開放時間(例えば0.8秒×2回=1.6秒程度)にわたり可動入球役物装置30を2回開放する。なお、「小当り図柄2」に該当した場合、可動入球役物装置30を1回だけ開放してもよい(例えば1.6秒×1回開放)。
【0189】
〔F03:大入賞口入球判定〕
次に、可動入球役物装置30の作動時に、遊技球が大入賞口30bに入球したか否かが判定される。ここで遊技球が大入賞口30bに入球した場合、ゲームフローはさらに可動入球役物装置30内での振り分け動作に進行していくことになる。なお、可動入球役物装置30の大入賞口30bに遊技球が入球しなかった場合、ゲームフローは終了となり、改めて始動入賞口への入球(F01)を目指すことになる。
【0190】
〔F04:特定領域通過判定〕
ゲームフローが可動入球役物装置30内に進行すると、上記のように様々な遊技球の振り分け動作を経て、最終的に遊技球が特定領域を通過(V入賞)したか否かの判定が行われる。その結果、最終的に特定領域を通過することなく可動入球役物装置30から遊技球が排出された場合、残念ながらゲームフローはそこで終了となり、改めて始動入賞口への入球(F01)を目指すことになる。
【0191】
〔F05:大当り遊技実行〕
これに対し、可動入球役物装置30内で遊技球の特定領域通過(V入賞)が発生した場合、再び可動入球役物装置30が作動して、10ラウンド大当り遊技が実行される。具体的には、例えば所定の開放時間(例えば1秒)にわたり大入賞口が所定回数開放(例えば18回開放)するか、もしくは規定個数(例えば9個)の遊技球の入賞があるかのいずれかの条件が満たされるまでを1ラウンドとし、このラウンドを予め定められた連続作動回数にわたって繰り返すという特別遊技が実行される。
【0192】
本実施形態において、連続作動回数は、遊技球が特定領域を通過した場合は10回(1ラウンド目を除くと9回)に設定される。このような大当り遊技中(可動入球役物装置30の作動中)は、通常時に閉止状態にある大入賞口30bへの入球を短期間内に数多く発生させることができるため、その間に遊技者はまとまって多くの賞球を獲得することができる。なお、本実施形態では〔F02〕可動入球役物装置作動を1ラウンド目としている。
【0193】
〔可動入球装置内でのゲームフロー〕
次に、可動入球役物装置30内で進行するゲームフローについて説明する。ここで、本実施形態の可動入球役物装置30内では、2段階の振分動作が実行される。
1段階目の第1振分動作は、はずれ孔516かチャンス領域孔514に遊技球を振り分ける動作が該当する。2段階目の第2振分動作は、アウト通路か特定領域に遊技球を振り分ける動作が該当する。
【0194】
図19は、可動入球役物装置30内で実行される1段階目の第1振分動作の流れを概略的に示すゲームフロー図である。なお、ここでいう「ゲームフロー」は、遊技球の転動や振り分け動作を伴って進行するゲームの流れに相当する。
【0195】
〔F10:ルート振分部到達〕
可動入球役物装置30内に遊技球が流入すると、遊技球はまずルート振分部200に到達する。
【0196】
〔F11:ルート振り分け〕
ルート振分部200に到達した遊技球は、回転中のルート振分体204の内部を通過したり、回転中のルート振分体204に弾かれたりして、ルート振り分けが行われる。
【0197】
〔F12:ノーマルルート〕
ルート振分体204の脚部に遊技球が弾かれると、遊技球の進行方向が変化するため、遊技球はノーマルルート用孔208に入り、遊技球はノーマルルートに振り分けられる。
【0198】
〔F13:回転ステージ到達〕
ノーマルルートに振り分けられた遊技球は、ノーマルルート誘導路212に案内されて、回転ステージ510の左側から回転ステージ510に進入する。ただし、回転ステージ510に進入した遊技球は、回転ステージ510の誘導溝512にうまく乗る場合もあれば、うまく乗らずに回転ステージ510をそのまま通り抜ける場合もある。
【0199】
〔F14:スペシャルルート〕
一方、ルート振分体204の脚部に遊技球が弾かれずに、ルート振分体204の脚部の間を遊技球がうまく通り抜けると、遊技球は突出部206を転動し、遊技球はスペシャルルートに振り分けられる。
【0200】
〔F15:円形ステージ到達〕
スペシャルルートに振り分けられた遊技球は、スペシャルルート誘導路210に案内されて、円形ステージ520に到達する。
【0201】
〔F13:回転ステージ到達〕
円形ステージ520に到達した遊技球は、円形ステージ520の内部を回転しながら次第に回転速度を落とし、最終的には円形ステージ520の中央に設けられた落下孔522を通じて、回転ステージ510に落下する。
【0202】
ここで、本実施形態では、ノーマルルートを経由した場合も、スペシャルルートを経由した場合も、いずれは回転ステージ510に到達することになるが、スペシャルルートを経由した場合は遊技球が回転ステージ510の中央位置に落下するため、誘導溝512に誘導されやすい状態となり、それだけチャンス領域孔514に入球しやすい状態となる。
【0203】
〔F16:チャンス領域通過判定〕
第1振分動作の最終段階では、遊技球がチャンス領域孔514に入球してチャンス領域を通過したか否かの判定が行われる。遊技球がチャンス領域を通過したか否かは、演出スイッチ800からの検出信号により判断することができる。
その結果、最終的にチャンス領域を通過することなく可動入球役物装置30から遊技球が排出された場合、ゲームフローはそこで終了となり、改めて始動入賞口への入球(
図18中F01)を目指すことになる。
【0204】
〔F17:演出実行〕
これに対し、チャンス領域孔514に遊技球が入球すると、演出スイッチ800により遊技球がチャンス領域を通過したことが検出され、その旨を示す領域通過コマンドに基づいて、7セグ表示器42では遊技球がチャンス領域を通過した内容の演出が実行される。この演出は、例えば「これから第2振分動作が実行される」ということを教示する内容であり、それによって遊技球の行き先に遊技者の注意を惹き付けることができる。そしてこの後は、役物装置内での第2振分動作に進む。
【0205】
図20は、可動入球役物装置30内で実行される2段階目の第2振分動作の流れを概略的に示すゲームフロー図である。
【0206】
〔F21:上昇装置到達〕
チャンス領域を通過した遊技球は、上昇装置誘導路515に案内されて、上昇装置610に到達する。
【0207】
〔F22:第1展望台ステージ到達〕
上昇装置610に到達した遊技球は、下開口孔610aから筒状誘導路611に入り込み、スクリューコンベア617によって上昇され、中央左開口孔610bから放出されて第1展望台ステージ620に到達する。
【0208】
〔F23:アウト通路通過判定〕
第1展望台ステージ620での振り分け動作の結果、遊技球がはずれ用第1窪み部624に入球すると、排出検知スイッチ900により遊技球がアウト通路を通過したことが検出される。
【0209】
〔F24:はずれ演出〕
遊技球がアウト通路を通過したことが検出されると、はずれ演出が実行される。
【0210】
〔F25:特殊領域通過〕
一方、遊技球がアウト通路を通過しない場合(F23:No)、遊技球は特殊領域を通過することになる。ここで遊技球が特殊領域を通過すると、特殊領域スイッチ901により、遊技球が特殊領域を通過したことが検出される。
【0211】
〔F26:演出実行〕
特殊領域スイッチ901からの検出信号に基づき、7セグ表示器42では演出が実行される。この演出は、例えば「これから最後の振り分け動作が実行される」ということを教示する内容であり、それによって遊技球の行き先に遊技者の注意を惹き付けることができる。
【0212】
〔F27:上昇装置到達〕
特殊領域を通過した遊技球は、再突入誘導路613に案内されて、再び上昇装置610に到達する。
【0213】
〔F28:第2展望台ステージ到達〕
再び上昇装置610に到達した遊技球は、中央右開口孔610cから筒状誘導路611に入り込み、スクリューコンベア617によって上昇され、上開口孔610dから放出されて第2展望台ステージ630に到達する。
【0214】
〔F29:アウト通路通過判定〕
第2展望台ステージ630での振り分け動作の結果、遊技球がはずれ用第2窪み部634に入球すると、排出検知スイッチ900により遊技球がアウト通路を通過したことが検出される。
【0215】
〔F30:はずれ演出〕
遊技球がアウト通路を通過したことが検出されると、はずれ演出が実行される。
【0216】
〔F31:特定領域通過〕
一方、遊技球がアウト通路を通過しない場合(F29:No)、遊技球は特定領域を通過することになる。ここで遊技球が特定領域を通過すると、特定領域スイッチ701により、遊技球が特定領域を通過したことが検出される。
【0217】
〔F32:可動入球役物装置作動〕
遊技球が特定領域を通過したことが検出されると、可動入球役物装置30が作動して、10ラウンド大当り遊技が実行される。
【0218】
なお、特定領域の通過が検出されずに、排出検知スイッチ900により、可動入球役物装置30に入賞した全ての遊技球の排出が検出された場合、そこで可動入球役物装置30内でのゲームフローは終了となる。
【0219】
図21は、大当り後に移行される時間短縮状態での遊技の流れを概略的に示すゲームフロー図である。
本実施形態では、非時間短縮状態で10ラウンド大当りが実行されると、大当り遊技の終了後に、時間短縮状態に移行する。
【0220】
〔F31:始動入賞口への入球〕
時間短縮状態では、普通図柄抽選の当選確率が高確率になっているため、可変始動入賞装置28が高頻度で開放する。このため、遊技球は、右始動入賞口28bに入球しやすくなっている。そして、右始動入賞口28bに対応する右始動入賞口スイッチ82によって遊技球の通過が検出されると、これを契機として第2特別図柄抽選が行われる。なお、いずれの始動入賞口にも遊技球が入球しなかった場合、ゲームフローは終了となり、時間短縮状態において改めて始動入賞口への入球(F31)を目指すことになる。
【0221】
〔F32:可動入球役物装置作動〕
例えば、第2特別図柄表示装置35により第2特別図柄が「小当り図柄2」の態様で停止表示されると、これを契機として可動入球役物装置30が作動(開放動作)する。
【0222】
〔F33:大入賞口入球判定〕
次に、可動入球役物装置30の作動時に、遊技球が大入賞口30bに入球したか否かが判定される。ここで遊技球が大入賞口30bに入球した場合、ゲームフローはさらに可動入球役物装置30内での振り分け動作に進行していくことになる。なお、可動入球役物装置30の大入賞口30bに遊技球が入球しなかった場合、ゲームフローは終了となり、時間短縮状態において改めて始動入賞口への入球(F31)を目指すことになる。
【0223】
〔F34:特定領域通過判定〕
ゲームフローが可動入球役物装置30内に進行すると、上記のように様々な遊技球の振り分け動作を経て、最終的に遊技球が特定領域を通過(V入賞)したか否かの判定が行われる。その結果、最終的に特定領域を通過することなく可動入球役物装置30から遊技球が排出された場合、ゲームフローは終了となり、時間短縮状態において改めて始動入賞口への入球(F31)を目指すことになる。なお、時間短縮状態では、非時間短縮状態と比較して、遊技球が特定領域を通過しやすいようになっている。
【0224】
〔F35:大当り遊技実行〕
そして、可動入球役物装置30内で遊技球の特定領域通過(V入賞)が発生した場合、再び可動入球役物装置30が作動して、10ラウンド大当り遊技が実行される。
【0225】
〔F36:リミッタ到達判定〕
大当りの終了時には、リミッタ到達の判定処理が実行される。本実施形態では、初当りを含めて4回の大当りがワンセットとなる遊技性を採用している。
【0226】
〔F37:リミッタ到達〕
そして、リミッタ到達であると判定された場合には、大当り遊技の終了後に、非時間短縮状態に移行する。
【0227】
〔F38:リミッタ未到達〕
一方、リミッタ未到達であると判定された場合には、大当り遊技の終了後に、時間短縮状態に移行する。
【0228】
〔基本的制御動作〕
図22及び
図23は、可動入球役物装置内で進行するゲームフローを通じて発生する各種状態の変化を示すタイミングチャートである。
ここで、
図22は、可動入球役物装置30における振り分け動作の結果、遊技球がチャンス領域を通過することなく排出される例を示しており(はずれ時)、
図23は、可動入球役物装置30における振り分け動作の結果、遊技球がチャンス領域を通過し、その後に特定領域を通過して排出される例を示している(当り時)。
【0229】
また、各図中(A)は特別図柄の変動又は停止の変化を示し、各図中(B)は可動入球役物装置30の作動又は非作動を示している。各図中(C)は各種モータの作動又は非作動を示し、各図中(D)はカウントスイッチ84のON又はOFFの状態を示している。また、
図22中(E)は排出検知スイッチ900のON又はOFFの状態を示し、
図23中(F)は演出スイッチ800のON又はOFFの状態を示している。また、
図23中(G)は特定領域スイッチのON又はOFFの状態を示し、
図23中(H)は上昇装置誘導路ソレノイド95の作動又は非作動の状態を示している。
【0230】
〔はずれ時(振り分け失敗)〕
図22中(A):時刻t0において、特別図柄は変動中の状態である。ここでの特別図柄の変動は、第1特別図柄の変動であるものとする。時刻t0以前から開始された特別図柄の変動は時刻t1にて終了する。そして、時刻t1で特別図柄の変動が終了すると、時刻t1から時刻t2までの時間にわたって特別図柄が停止表示される。ここでの変動は、第1特別図柄による変動であるため、特別図柄は「小当り図柄1」に該当する態様で停止表示される。なお、第2特別図柄による変動であれば、特別図柄は「小当り図柄2」に該当する態様で停止表示される。
【0231】
図22中(B):時刻t2にて、特別図柄の停止表示時間が経過すると、特別図柄が小当りの態様で停止表示されたことを契機として、可動入球役物装置30が小当り時の作動を行う。可動入球役物装置30の小当り時の作動は、時刻t2から時刻t3までの間で行われる。そして、時刻t2から時刻t3までの間には、最初に開始時間(オープニング時間)が設定され、次に開放時間及び閉鎖時間が設定され、最後に終了時間(エンディング時間)が設定される。当選図柄別の開始時間(オープニング時間)の詳細は、
図24において後述する。なお、可動入球役物装置30が作動状態になるまでには、特別図柄の停止表示が終了した後に多少のタイムラグが発生することもある。
【0232】
図22中(C):また、時刻t2にて、可動入球役物装置30が小当り時の作動を開始したことを契機として、各種モータ(本体部モータ402)が作動を開始する。
【0233】
図22中(D):可動入球役物装置30が作動状態である間に(時刻t2から時刻t3までの間)に、遊技球が1つ大入賞口30bに入球することで、カウントスイッチ84から検出信号が主制御CPU72に入力される(図中括弧書きで(1)を付した波形)。
【0234】
図22中(E):そして、可動入球役物装置30における振り分け動作の結果、遊技球がはずれ孔516に入球すると、遊技球はアウト通路に導かれ、アウト通路に設けられた排出検知スイッチ900から検出信号が主制御CPU72に入力される(図中括弧書きで(2)を付した波形)。
【0235】
図22中(C):この場合、可動入球役物装置30に入球した遊技球の個数(入球数)と、可動入球役物装置30から排出された遊技球の個数(排出数)とが一致するため可動入球役物装置30内での遊技は終了となる。このため、各種モータ(本体部モータ402)は、非作動状態に制御される。なお、入球数と排出数とが一致しない場合は、可動入球役物装置30内での遊技を継続させたり、所定のエラー処理を行ったりすることができる。
【0236】
〔当り時(振り分け成功)〕
図23中(A):時刻t0において、特別図柄は変動中の状態である。ここでの特別図柄の変動は、第1特別図柄の変動であるものとする。時刻t0以前から開始された特別図柄の変動は時刻t1にて終了する。そして、時刻t1で特別図柄の変動が終了すると、時刻t1から時刻t2までの時間にわたって特別図柄が停止表示される。ここでの変動は、第1特別図柄による変動であるため、特別図柄は「小当り図柄1」に該当する態様で停止表示される。なお、第2特別図柄による変動であれば、特別図柄は「小当り図柄2」に該当する態様で停止表示される。
【0237】
図23中(B):時刻t2にて、特別図柄の停止表示時間が経過すると、特別図柄が小当りの態様で停止表示されたことを契機として、可動入球役物装置30が小当り時の作動を行う。可動入球役物装置30の小当り時の作動は、時刻t2から時刻t3までの間で行われる。そして、時刻t2から時刻t3までの間には、最初に開始時間(オープニング時間)が設定され、次に開放時間及び閉鎖時間が設定され、最後に終了時間(エンディング時間)が設定される。当選図柄別の開始時間(オープニング時間)の詳細は、
図24において後述する。
【0238】
図23中(C):また、時刻t2にて、可動入球役物装置30が小当り時の作動を開始したことを契機として、各種モータ(本体部モータ402)が作動を開始する。
【0239】
図23中(D):可動入球役物装置30が作動状態である間に(時刻t2から時刻t3までの間)に、遊技球が1つ大入賞口30bに入球することで、カウントスイッチ84から検出信号が主制御CPU72に入力される(図中括弧書きで(1)を付した波形)。ここまでは、はずれ時(振り分け失敗時)の流れと同様である。
【0240】
図23中(F):そして、可動入球役物装置30における振り分け動作の結果、遊技球がチャンス領域孔514に入球すると、遊技球はチャンス領域を通過するため、演出スイッチ800から検出信号が主制御CPU72に入力される(図中括弧書きで(2)を付した波形)。
【0241】
図23中(G):次に、可動入球役物装置30における振り分け動作の結果、遊技球が特定領域を通過すると、特定領域スイッチから検出信号が主制御CPU72に入力される(図中括弧書きで(3)を付した波形)。
【0242】
図23中(C):この場合、可動入球役物装置30に入球した遊技球の個数(入球数)と、可動入球役物装置30の内部で特定領域を通過した遊技球の個数(V入賞数)とが一致するため可動入球役物装置30内での遊技は終了となる。このため、各種モータ(本体部モータ402)は、非作動状態に制御される。
【0243】
図23中(H):また、時刻t4にて、上昇装置誘導路ソレノイドが作動状態に制御される。これにより、これ以降のタイミングでは上昇装置610に遊技球が誘導されない状態となる。
【0244】
図23中(B):そして、特定領域スイッチにより遊技球の通過が検出されたことを契機として、可動入球役物装置30が大当り時の作動を行う(時刻t5)。
【0245】
図24は、可動入球役物装置の動作の詳細を示す図である。
図24中(A)に示すように、第1特別図柄が小当り図柄1の態様で停止表示されると、小当り図柄1に対応した小当り遊技(例えば、
図22及び
図23の時刻t2から時刻t3までの可動入球役物装置30の作動)が実行される。
小当り図柄1に対応した小当り遊技では、オープニング時間(開始時間)が第1時間(例えば0.008秒)に設定されている。オープニング時間とは、特別図柄の停止時間が終了してから、可動片30aが開放を開始するまでの待ち時間のことである。
このため、第1時間経過後に、可動入球役物装置30が開放し、遊技球が可動入球役物装置30に入球すると、役物遊技(可動入球役物装置30の内部での遊技球を用いた遊技)が実行される。
【0246】
図24中(B)に示すように、第2特別図柄が小当り図柄2の態様で停止表示されると、小当り図柄2に対応した小当り遊技(例えば、
図22及び
図23の時刻t2から時刻t3までの可動入球役物装置30の作動)が実行される。
小当り図柄2に対応した小当り遊技では、オープニング時間が第2時間(例えば28.572秒)に設定されている。
このため、第2時間経過後に、可動入球役物装置30が開放し、遊技球が可動入球役物装置30に入球すると、役物遊技が実行される。
【0247】
第2時間は、第1時間よりも長い時間である。また、第2時間は、小当り図柄1に該当した場合の役物遊技が終了すると想定される最大時間(例えば20秒程度)よりも長い時間であることが好ましい。
【0248】
図24中(C)に示すように、第1特別図柄又は第2特別図柄が停止表示されている場合(停止中)は、本体部モータは、停止している状態である。
そして、小当り時の特別図柄の停止時間が終了すると、本体部モータは、一定の動作で可動し始める。
この場合、本体部モータは、第2時間経過前の前半部分では(例えば25秒が経過するまでは)、第1特別図柄用動作(困難動作)を行い、第2時間経過後の後半部分では(例えば25秒が経過した後は)、第2特別図柄用動作(容易動作)を行う。
【0249】
第1特別図柄用動作は、本体部モータの回転を継続する動作である。このため、第1特別図柄用動作の実行中においては、遊技球がチャンス領域を通過したり、遊技球が特定領域を通過したりすることは運次第という状態となる。
【0250】
一方、第2特別図柄用動作は、本体部モータの回転を停止したり、本体部モータの回転を再開したりする動作を繰り返す動作である。
例えば、第2特別図柄用動作は、タワー本体部400が原点位置で数秒(例えば5~10秒程度)停止するように、本体部モータを数秒停止させ、その後、タワー本体部400が数秒(例えば5~10秒程度)回転するように、本体部モータを数秒可動するといった動作を繰り返す動作である。
【0251】
タワー本体部400が原点位置で停止すると、回転ステージ510の誘導溝512がチャンス領域孔514に向かう方向で停止し、第1展望台ステージ620では正面位置に再上昇用窪み部626が位置するようになり、第2展望台ステージ630では正面位置に特定領域用窪み部635が位置するようになる。
【0252】
このため、第2特別図柄用動作の実行中においては、遊技球がチャンス領域を通過したり、遊技球が特殊領域を通過したり、遊技球が特定領域を通過したりすることが、第1特別図柄用動作よりも容易な状態となる。
【0253】
そして、本実施形態では、「小当り図柄2」に該当した場合、オープニング時間として第2時間が設定され、第2時間が終了した時点で本体部モータの第1特別図柄用動作が終了しているため、本体部モータの第2特別図柄用動作によって役物遊技を行うことができる。
そして、本体部モータの第2特別図柄用動作は、遊技球が特定領域を通過しやすい動作となっている。
このため、「小当り図柄2」に該当することが、「特定領域通過=大当り」に直結するという新たな遊技性を発揮することができる。
【0254】
このように、本体部モータによって可動するタワー本体部400は、可動入球役物装置30の内部に設けられ、特別図柄が小当りの態様で停止表示されると(所定の動作契機が発生すると)一定の動作を行うとともに、一定の動作として、遊技球が特定領域を通過することを困難とする困難動作、及び、困難動作の実行後に実行される動作であって遊技球が特定領域を通過することを困難動作よりも容易とする容易動作を行う可動体である。
【0255】
以上が本実施形態のパチンコ機1による遊技の流れであるが、このような遊技の進行やそれに伴う演出は、上記の主制御装置70及び演出制御装置124を中心とする電子機器によって制御されている。そこで、次に主制御装置70の主制御CPU72により実行される制御上の処理について説明する。
【0256】
〔リセットスタート(メイン)処理〕
パチンコ機1に電源が投入されると、主制御CPU72はリセットスタート処理を開始する。リセットスタート処理は、前回の電源遮断時に保存されたバックアップ情報を元に遊技状態を復旧(いわゆる復電)したり、逆にバックアップ情報をクリアしたりすることで、パチンコ機1の初期状態を整えるための処理である。また、リセットスタート処理は、初期状態の調整後にパチンコ機1の安定した遊技動作を保証するためのメイン処理(メイン制御プログラム)として位置付けられる。
【0257】
図25及び
図26は、リセットスタート処理の手順例を示すフローチャートである。以下、主制御CPU72が行う処理について、各手順を追って説明する。
【0258】
ステップS101:主制御CPU72は、先ずスタックポインタにスタック領域の先頭アドレスをセットする。
【0259】
ステップS102:続いて主制御CPU72は、ベクタ方式の割込モード(モード2)を設定し、デフォルトであるRST方式の割込モード(モード0)を修正する。これにより、以後、主制御CPU72は任意のアドレス(ただし最下位ビットは0)を割込ベクタとして参照し、指定の割込ハンドラを実行することができる。
【0260】
ステップS103:主制御CPU72は、ここでリセット時待機処理を実行する。この処理は、リセットスタート(例えば電源投入)時にある程度の待機時間(例えば数千ms程度)を確保しておき、その間に主電源断検出信号のチェックを行うためのものである。具体的には、主制御CPU72は待機時間分のループカウンタをセットすると、ループカウンタの値をデクリメントしながら主電源断検出信号の入力ポートをビットチェックする。主電源断検出信号は、例えば周辺デバイスである電源監視ICから入力される。そして、ループカウンタが0になる前に主電源断検出信号の入力を確認すると、主制御CPU72は先頭から処理を再開する。これにより、例えば図示しない主電源スイッチの投入と切断の操作が短時間(1~2秒程度)内に繰り返し行われた場合のシステム保護を図ることができる。
【0261】
ステップS104:次に主制御CPU72は、RAM76のワーク領域に対するアクセスを許可する。具体的には、ワーク領域のRAMプロテクト設定値をリセット(00H)する。これにより、以後はRAM76のワーク領域に対するアクセスが許可された状態となる。
【0262】
ステップS105:また、主制御CPU72、割り込みマスクを設定するためにマスクレジスタの初期設定を行う。具体的には、CTC割り込みを有効にする値をマスクレジスタに格納する。
【0263】
ステップS106:主制御CPU72は、先に退避しておいたRAMクリアスイッチからの入力信号を参照し、RAMクリアスイッチが操作(スイッチON)されたか否かを確認する。RAMクリアスイッチが操作されていなければ(No)、次にステップS107を実行する。
【0264】
ステップS107:次に主制御CPU72は、RAM76にバックアップ情報が保存されているか否か、つまり、バックアップ有効判定フラグがセットされているか否かを確認する。前回の電源遮断処理でバックアップが正常に終了し、バックアップ有効判定フラグ(例えば「A55AH」)がセットされていれば(Yes)、次に主制御CPU72はステップS108を実行する。
【0265】
ステップS108:主制御CPU72は、RAM76のバックアップ情報についてサムチェックを実行する。具体的には、主制御CPU72はRAM76のワーク領域(使用禁止領域及びスタック領域を含むユーザワーク領域)のうち、バックアップ有効判定フラグ及びサムチェックバッファを除く全ての領域をサムチェックする。サムチェックの結果が正常であれば(Yes)、次に主制御CPU72はステップS109を実行する。
【0266】
ステップS109:主制御CPU72は、バックアップ有効判定フラグをリセット(例えば「0000H」)する。
ステップS110:また、主制御CPU72は、前回の電源断発生直前に送信待ちであったコマンドをクリアする。
【0267】
ステップS111:次に主制御CPU72は、演出制御復帰処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は演出制御装置124に対し、復帰用のコマンド(例えば機種指定コマンド等)を送信する。これを受けて演出制御装置124は、前回の電源遮断時に実行中であった演出状態(例えば音響出力内容、各種ランプの発光状態等)を復帰させることができる。
【0268】
ステップS112:主制御CPU72は、状態復帰処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はバックアップ情報を元にRAM76のワーク領域に各種の値をセットし、前回の電源遮断時に実行中であった遊技状態(例えば、特別図柄の表示態様、作動記憶内容、各種フラグ状態、乱数更新状態等)を復帰させる。また、主制御CPU72は、バックアップされていたPCレジスタの値を復旧する。
【0269】
一方、電源投入時にRAMクリアスイッチが操作されていた場合(ステップS106:Yes)や、バックアップ有効判定フラグがセットされていなかった場合(ステップS107:No)、あるいは、バックアップ情報が正常でなかった場合(ステップS108:No)、主制御CPU72はステップS113に移行する。
【0270】
ステップS113:主制御CPU72は、RAM76の使用禁止領域以外の記憶内容をクリアする。これにより、RAM76のワーク領域及びスタックエリアは全て初期化され、有効なバックアップ情報が保存されていても、その内容は消去される。
ステップS114:また、主制御CPU72は、RAM76の初期設定を行う。
【0271】
ステップS115:主制御CPU72は、演出制御出力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72が初期設定後に演出制御装置124に送信するべきコマンド(演出制御に必要なコマンド)を出力する。
【0272】
ステップS116:主制御CPU72は、払出制御出力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は払出制御装置92に対して、賞球の払い出しを開始するための指示コマンドを出力する。
【0273】
ステップS117:主制御CPU72は、CTC初期設定処理を実行し、周辺デバイスであるCTC(カウンタ/タイマ回路)の初期設定を行う。この処理では、主制御CPU72は割込ベクタレジスタを設定し、また、CTCに割り込みカウント値(例えば4ms)を設定する。これにより、次にCTC割り込みが発生すると、主制御CPU72はバックアップされていたPCレジスタのプログラムアドレスから処理を続行することができる。
【0274】
リセットスタート処理において以上の手順を実行すると、主制御CPU72は
図26に示されるメインループに移行する(接続記号A→A)。
【0275】
ステップS118,ステップS119:主制御CPU72は割込を禁止した上で、電源断発生チェック処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は主電源断検出信号の入力ポートをビットチェックし、電源遮断の発生(供給電圧の低下)を監視する。電源遮断が発生すると、主制御CPU72は普通電動役物ソレノイド88及び大入賞口ソレノイド90に対応する出力ポートバッファをクリアし、RAM76のワーク領域のうちバックアップ有効判定フラグ及びサムチェックバッファを除く全体の内容をバックアップし、また、サムチェックバッファにサム結果値を保存する。そして主制御CPU72はバックアップ有効判定フラグ領域に上記の有効値(例えば「A55AH」)を格納し、RAM76のアクセスを禁止して処理を停止(NOP)する。一方、電源遮断が発生しなければ、主制御CPU72は次にステップS120を実行する。なお、このような電源断発生時の処理をマスク不能割込(NMI)処理としてCPUに実行させている公知のプログラミング例もある。
【0276】
ステップS120:主制御CPU72は、初期値更新乱数更新処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、各種のソフトウェア乱数の初期値を更新(変更)するための乱数をインクリメントする。本実施形態では、大当り決定乱数(ハードウェア乱数)及び普通図柄に対応する当り決定乱数(ハードウェア乱数)を除く各種の乱数(例えば、大当り図柄乱数、変動パターン決定乱数等)をプログラム上で発生させている。なお、特別図柄に対応する変動パターン決定乱数については、必要に応じて発生させることができ、使用しない場合は乱数発生の処理を省略することができる。いずれにしても、これらソフトウェア乱数は、別の割込処理(
図28中のステップS201)で所定範囲内のループカウンタにより更新されているが、この処理において乱数値が1巡するごとにループカウンタの初期値(全ての乱数が対象でなくてもよい)を変更している。初期値更新用乱数は、この初期値をランダムに変更するために用いられており、ステップS120では、その初期値更新用乱数の更新を行っている。なお、ステップS118で割込を禁止した後にステップS120を実行しているのは、別の割込管理処理(
図28中のステップS202)でも同様の処理を実行するため、これとの重複(競合)を防止するためである。なお、上記のように、本実施形態において大当り決定乱数は乱数発生器75により発生されるハードウェア乱数であり、その更新周期はタイマ割込周期(例えば数ms)よりもさらに高速(例えば数μs)であるため、大当り決定乱数の初期値を更新する必要はない。
【0277】
ステップS121,ステップS122:主制御CPU72は割込を許可し、その他乱数更新処理を実行する。この処理で更新される乱数は、ソフトウェア乱数のうち当選種類(当り種別)の判定に関わらない乱数(変動パターン決定乱数等)である。この処理は、メインループの実行中にタイマ割込が発生し、主制御CPU72が別の割込管理処理(
図28)を実行した場合の残り時間で行われる。なお、割込管理処理の内容については後述する。
【0278】
〔電源断発生チェック処理〕
図27は、上記の電源断発生チェック処理の手順例を具体的に示すフローチャートである。
ステップS130:ここでは先ず、主制御CPU72は、電源断発生チェックのための条件を設定する。このチェック条件は、例えば主電源断検出信号が継続して出力されていることを確認するためのオンカウンタ値として設定することができる。
【0279】
ステップS132:次に主制御CPU72は、主電源断検出スイッチ入力用ポートをリードし、主電源断検出信号が出力されているか否かを確認(特定のビットをチェック)する。特に図示していないが、主電源断検出スイッチは例えば主制御装置70に実装されており、この主電源断検出スイッチは、電源制御ユニット162から供給される駆動電圧を監視し、その電圧レベルが基準電圧を下回った場合に主電源断検出信号を出力する。なお、主電源断検出スイッチは電源制御ユニット162に内蔵されていてもよい。主制御CPU72は、現時点で主電源断検出信号が出力されていないことを確認すると(No)、この処理を抜けてリセットスタート処理に復帰する。一方、主電源断検出信号が出力されていることを確認した場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS134に進む。
【0280】
ステップS134:主制御CPU72は、上記のチェック条件を満たすか否かを確認する。具体的には、先のステップS130で設定したオンカウンタ値を例えば1減算し、その結果が0になったか否かを確認する。現時点で未だオンカウンタ値が0でなければ(No)、主制御CPU72はステップS132に戻って主電源断検出スイッチ入力用ポートを改めて確認する。そして、ステップS134からステップS132へのループを繰り返してチェック条件が満たされると(ステップS134:Yes)、主制御CPU72は次にステップS136に進む。
【0281】
ステップS136:主制御CPU72は、普通電動役物ソレノイド88及び大入賞口ソレノイド90に対応する出力ポートに加え、試験信号端子やコマンド制御信号に対応する出力ポートバッファをクリアする。
【0282】
ステップS138,ステップS140:次に主制御CPU72は、RAM76のワーク領域のうち、バックアップ有効判定フラグ及びサムチェックバッファを除く全体の内容を1バイト単位で加算し、全領域について加算を完了するまで繰り返す。
ステップS142:全領域についてサムの算出が完了すると(ステップS140:Yes)、主制御CPU72はサムチェックバッファにサム結果値を保存する。
【0283】
ステップS144:次に主制御CPU72は、上記のようにバックアップ有効判定フラグ領域に有効値を格納する。
ステップS146:また、主制御CPU72は、RAM76のプロテクト値にアクセス禁止を表す「01H」を格納し、RAM76のワーク領域(使用禁止領域及びスタック領域を含む)に対するアクセスを禁止する。
ステップS148:そして主制御CPU72は待機ループに入り、主電源断の遮断に備えて他の処理を全て停止する。主電源断の発生後は、図示しないバックアップ電源回路(例えば主制御装置70に実装された容量素子を含む回路)からバックアップ用電力が供給されるため、RAM76の記憶内容は主電源断後も消失することなく保持される。なお、バックアップ用電源回路は、例えば電源制御ユニット162に内蔵されていてもよい。
【0284】
以上の処理を通じて、バックアップ対象(サム加算対象)となるRAM76のワーク領域に記憶されていた情報は、全て主電源断の後もRAM76に記憶として保持されることになる。また、保持されていた記憶は、先のリセットスタート処理(
図25)でチェックサムの正常を確認した上で、電源断時のバックアップ情報として復元される。
【0285】
〔割込管理処理(タイマ割込処理)〕
次に、割込管理処理(タイマ割込処理)について説明する。
図28は、割込管理処理の手順例を示すフローチャートである。主制御CPU72は、カウンタ/タイマ回路からの割込要求信号に基づき、所定時間(例えば数ms)ごとに割込管理処理を実行する。以下、各手順を追って説明する。
【0286】
ステップS200:先ず主制御CPU72は、メインループの実行中に使用していたレジスタ(アキュムレータAとフラグレジスタF、汎用レジスタB~Lの各ペア)の値をRAM76の退避領域に退避させる。値を退避させた後のレジスタ(A~L)には、割込管理処理の中で別の値を書き込むことができる。
【0287】
ステップS201:次に主制御CPU72は、抽選乱数更新処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は抽選用の各種乱数を発生させるためのカウンタの値を更新する。各カウンタの値は、RAM76の乱数カウンタ領域にてインクリメントされ、それぞれ規定の範囲内でループする。各種乱数には、例えば大当り図柄乱数等が含まれる。
【0288】
ステップS202:主制御CPU72は、ここでも初期値更新乱数更新処理を実行する。処理の内容は、先に述べたものと同じである。
【0289】
ステップS203:主制御CPU72は、入力処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は入出力(I/O)ポート79から各種スイッチ信号を入力する(入賞検出情報生成手段)。具体的には、ゲートスイッチ78からの通過検出信号、左始動入賞口スイッチ80、中始動入賞口スイッチ81又は右始動入賞口スイッチ82からの入賞検出信号や特定領域スイッチ701又は演出スイッチ800からの通過検出信号の入力状態(ON/OFF)をリードする。
【0290】
ステップS204:ここで主制御CPU72は、セキュリティ管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は先の入力処理(ステップS203)でリードした入賞検出信号の入力状態(ON/OFF)に基づいて、不正な入賞が発生したか否かの判定を行う(入賞正否判定手段)。そして、不正な入賞が発生したと判定した場合、主制御CPU72は不正入賞エラーコマンドを生成し、不正入賞による入賞検出信号のビットをON→OFFへ書き換える。また、主制御CPU72は、上記の磁気センサ250や振動センサ252による不正行為の監視を行ったり、過度な入賞が発生しているか否かの判定を行ったりする。
【0291】
ステップS206:次に主制御CPU72は、スイッチ入力イベント処理を実行する。この処理では、先の入力処理で入力したスイッチ信号のうち、不正入賞として消去されずに維持されている信号に基づく処理を行う。例えば、主制御CPU72は、ゲートスイッチ78、左始動入賞口スイッチ80、中始動入賞口スイッチ81又は右始動入賞口スイッチ82からの入賞検出信号や特定領域スイッチ701又は演出スイッチ800からの通過検出信号に基づいて遊技中に発生した事象の判定を行い、それぞれ発生した事象に応じてさらに別の処理を実行する。なお、スイッチ入力イベント処理の具体的な内容については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
【0292】
本実施形態では、左始動入賞口スイッチ80又は中始動入賞口スイッチ81から入賞検出信号(ON)が入力されると、主制御CPU72は第1特別図柄に対応した内部抽選の契機(抽選契機)となる事象が発生したと判定する。また、右始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号(ON)が入力されると、主制御CPU72は第2特別図柄に対応した内部抽選の契機(抽選契機)となる事象が発生したと判定する。さらに、また、ゲートスイッチ78から通過検出信号(ON)が入力されると、主制御CPU72は普通図柄に対応した抽選契機となる事象が発生したと判定する。いずれかの事象が発生したと判定すると、主制御CPU72は、それぞれの発生事象に応じた処理を実行する。なお、主制御CPU72は、左始動入賞口スイッチ80、中始動入賞口スイッチ81及び右始動入賞口スイッチ82について、いずれのスイッチにて内部抽選の契機(抽選契機)となる事象が発生したのかを区別するためのスイッチ別入賞コマンドを演出制御CPU126に送信してもよい。
【0293】
ステップS207,ステップS207a:主制御CPU72は、割込管理処理中において特別遊技管理処理及び普通遊技管理処理を実行する。これら処理は、パチンコ機1における遊技を具体的に進行させるためのものである。このうち、特別遊技管理処理では、主制御CPU72は先に述べた特別図柄に対応する内部抽選の実行を制御したり、第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置35による変動表示や停止表示を制御したり、その表示結果に応じて可動入球役物装置30の作動を制御したりする。なお、特別遊技管理処理の詳細については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
【0294】
また、普通遊技管理処理(ステップS207a)では、主制御CPU72は先に述べた普通図柄表示装置33による変動表示や停止表示を制御したり、その表示結果に応じて可変始動入賞装置28の作動を制御したりする。例えば、主制御CPU72は先のスイッチ入力イベント処理(ステップS206)の中で始動ゲート20の通過を契機として取得した乱数(普通図柄抽選用の当り決定乱数)を記憶しておき、この普通遊技管理処理の中で記憶から乱数値を読み出し、所定の当り範囲内に該当するか否かの判定を行う(普通図柄抽選実行手段)。乱数値が当り範囲内に該当する場合、普通図柄表示装置33により普通図柄を変動表示させて所定の当り態様で普通図柄の停止表示を行った後、主制御CPU72は普通電動役物ソレノイド88を励磁して可変始動入賞装置28を作動させる。一方、乱数値が当り範囲外であれば、主制御CPU72は、変動表示の後にはずれの態様で普通図柄の停止表示を行う。この場合、主制御CPU72は普通電動役物ソレノイド88を励磁せず、可変始動入賞装置28を作動させない。
【0295】
〔賞球数及び獲得遊技球数について〕
第1特別図柄の始動口の賞球数及び第2特別図柄の始動口の賞球数は、それぞれ1個以上の規定数に設定されている。また、第1特別図柄の始動口と第2特別図柄の始動口とでは、賞球数を異ならせてもよい。さらに、特別図柄の当選確率や、総獲得遊技球数の期待値(初当りから時間短縮状態が終了するまでの一連の期間に得られる平均出球数)に基づいて、最低賞球数を設定してもよい。さらにまた、特別図柄の当選確率、総獲得遊技球数の期待値、大入賞口の開放回数、大入賞口の開放時間、大入賞口の最大入賞数、大入賞口の賞球数が所定の条件を満たした場合、1回の大当りによる獲得遊技球数が最大の獲得遊技球数の1/4未満となる大当りを設定してもよい。
【0296】
ステップS208:次に主制御CPU72は、賞球払出処理を実行する。この処理では、先の入力処理(ステップS203)において各種スイッチ80,81,82,84,86から入力された入賞検出信号に基づき、払出制御装置92に対して賞球個数を指示する賞球指示コマンドを出力する。また、主制御CPU72は、演出制御装置124に対する賞球数コマンドを生成し、これをコマンドバッファに格納する。
【0297】
ステップS209:主制御CPU72は、モータ管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は各種モータ(振分体モータ213、本体部モータ402及びコンベアモータ214等)の回転に関する原点位置を検出し、また、各種モータに対して駆動信号を出力する場合、その駆動信号を対応するポート出力要求バッファに格納する。主制御CPU72は、このモータ管理処理において各モータに対応する動作パターンに基づく駆動信号を生成する。なお、モータ管理処理の詳細については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
【0298】
ステップS210:次に主制御CPU72は、外部情報処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は外部端子板160を通じて遊技場のホールコンピュータに対して上記の外部情報信号(例えば賞球情報、扉開放情報、図柄確定回数情報、大当り情報、始動口情報、セキュリティエラー情報等)をポート出力要求バッファに格納する。
【0299】
なお、本実施形態では、各種の外部情報信号のうち、例えば大当り情報として「大当り1」~「大当り5」を外部に出力することで、パチンコ機1に接続された外部の電子機器(データ表示器やホールコンピュータ)に対して多様な大当り情報を提供することができる。すなわち、大当り情報を複数の「大当り1」~「大当り5」に分けて出力することで、これらの組み合わせから大当りの種別(当選種類)を図示しないホールコンピュータで集計・管理することが可能となる。また、大当り情報に基づき、例えば図示しないデータ表示装置によりパチンコ機1の台ごとに過去数営業日以内の大当り発生回数を計数及び表示したり、台ごとに現在大当り中であるか否かを認識したり、あるいは台ごとに現在図柄変動時間の短縮状態であるか否かを認識したりすることができる。この外部情報処理において、主制御CPU72は「大当り1」~「大当り5」のそれぞれの出力状態(ON又はOFFのセット)を詳細に制御する。
【0300】
ステップS211:また、主制御CPU72は、試験信号処理を実行する。この処理では、主制御CPU72が自己の内部状態(例えば、普通図柄遊技管理状態、特別図柄遊技管理状態、大当り中、小当り中、時間短縮機能作動中等)を表す各種の試験信号を生成し、これらをポート出力要求バッファに格納する。この試験信号により、例えば主制御装置70の外部で主制御CPU72の内部状態を試験することができる。
【0301】
ステップS212:次に主制御CPU72は、表示出力管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、普通図柄表示装置33、普通図柄作動記憶ランプ33a、第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35及び遊技状態表示装置38等の点灯状態を制御する。具体的には、先の特別遊技管理処理(ステップS207)や普通遊技管理処理(ステップS207a)においてポート出力要求バッファに格納されている駆動信号をポート出力する。なお、駆動信号は、各LEDに対して印加するバイトデータとしてポート出力要求バッファに格納されている。これにより、各LEDが所定の表示態様(図柄の変動表示や停止表示等を行う態様)で駆動されることになる。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いて後述する。
【0302】
ステップS213:また、主制御CPU72は、出力管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は先の外部情報処理(ステップS210)でポート出力要求バッファに格納された外部情報信号(バイトデータ)をポート出力する。また、主制御CPU72は、ポート出力要求バッファに格納されている普通電動役物ソレノイド88及び大入賞口ソレノイド90の各駆動信号、試験信号等を合わせてポート出力する。
【0303】
ステップS214:主制御CPU72は、演出制御出力処理を実行する。この処理では、コマンドバッファ内に主制御CPU72が演出制御装置124に送信するべきコマンド(演出制御に必要なコマンド)があるか否かを確認し、未送信コマンドがある場合は出力対象のコマンドをポート出力する。
【0304】
ステップS215:そして主制御CPU72は、今回のCTC割込で格納したポート出力要求バッファをクリアする。
【0305】
なお、本実施形態では、ステップS207~ステップS214の処理(遊技制御プログラムモジュール)をタイマ割込処理として実行する例を挙げているが、これら処理をCPUのメインループ中に組み込んで実行している公知のプログラミング例もある。
【0306】
ステップS216:以上の処理を終えると、主制御CPU72は割込終了を指定する値(01H)を割込プログラムカウンタ内に格納し、CTC割込を終了する。
【0307】
ステップS217,ステップS218:そして主制御CPU72は、退避しておいたレジスタ(A~L)の値を復帰し、次回のCTC割込を許可する。この後、主制御CPU72は、メインループ(スタックポインタで指示されるプログラムアドレス)に復帰する。
【0308】
〔スイッチ入力イベント処理〕
図29は、スイッチ入力イベント処理(
図28中のステップS206)の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順を追って説明する。
【0309】
ステップS11:主制御CPU72は、第1特別図柄に対応する左始動入賞口スイッチ80又は中始動入賞口スイッチ81から入賞検出信号が入力されたか否かを確認する。この入賞検出信号の入力が確認された場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS12に進んで第1特別図柄記憶更新処理を実行する。具体的な処理の内容については、別のフローチャートを用いて後述する。一方、入賞検出信号の入力がなかった場合(No)、主制御CPU72はステップS13に進む。
【0310】
ステップS13:次に主制御CPU72は、第2特別図柄に対応する右始動入賞口スイッチ82から入賞検出信号が入力されたか否かを確認する。この入賞検出信号の入力が確認された場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS14に進んで第2特別図柄記憶更新処理を実行する。ここでも同様に、具体的な処理の内容については別のフローチャートを用いて後述する。一方、入賞検出信号の入力がなかった場合(No)、主制御CPU72はステップS15に進む。
【0311】
ステップS15:主制御CPU72は、大入賞口30bに対応するカウントスイッチ84から入賞検出信号が入力されたか否かを確認する。この入賞検出信号の入力が確認された場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS16に進んで大入賞口カウント処理を実行する。大入賞口カウント処理では、主制御CPU72は可動入球役物装置30に入球した遊技球の数をカウントする。一方、入賞検出信号の入力がなかった場合(No)、主制御CPU72はステップS17に進む。
【0312】
ステップS17:主制御CPU72は、可動入球役物装置30の内部に設けられたチャンス領域に対応する演出スイッチ800から検出信号が入力されたか否かを確認する。この検出信号の入力が確認された場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS18に進んでチャンス領域通過フラグをONにセットする。チャンス領域通過フラグはRAM76に記憶されており、チャンス領域通過フラグがONにセットされると、遊技球がチャンス領域を通過したことを示している。なお、チャンス領域通過フラグは大当り遊技の終了後にOFFにセットされる。一方、検出信号の入力がなかった場合(No)、主制御CPU72はステップS19に進む。
【0313】
ステップS19:主制御CPU72は、可動入球役物装置30の内部に設けられた特定領域に対応する特定領域スイッチから検出信号が入力されたか否かを確認する。この検出信号の入力が確認された場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS20に進んで特定領域通過フラグをONにセットする。また、特定領域通過フラグはRAM76に記憶されており、特定領域通過フラグがONにセットされた場合、遊技球が特定領域を通過したことを示している。なお、特定領域通過フラグは大当り遊技の終了後にOFFにセットされる。一方、検出信号の入力がなかった場合(No)、主制御CPU72は、ステップS21を実行する。
【0314】
ステップS21:主制御CPU72は、普通図柄に対応するゲートスイッチ78から通過検出信号が入力されたか否かを確認する。この通過検出信号の入力が確認された場合(Yes)、主制御CPU72は次のステップS22に進んで普通図柄記憶更新処理を実行する。普通図柄記憶更新処理では、主制御CPU72は現在の普通図柄作動記憶数が上限数(例えば4個)未満であるか否かを確認し、上限数に達していなければ、普通図柄当り乱数を取得する。また、主制御CPU72は、普通図柄作動記憶数をインクリメントする。そして、主制御CPU72は、取得した普通図柄当り乱数値をRAM76の乱数記憶領域に記憶させる。一方、通過検出信号の入力がなかった場合(No)、主制御CPU72は割込管理処理(
図28)に復帰する。
また、スイッチ入力イベント処理において、主制御CPU72は、排出検知スイッチ900及び特定領域スイッチ701からの各検出信号に応じて排出球数カウンタの値を加算する処理を実行する。
【0315】
なお、このスイッチ入力イベント処理において、主制御CPU72は、排出検知スイッチ900から検出信号が入力されたか否かを確認し、この検出信号の入力が確認された場合、排出領域通過フラグをONにセットする処理を実行してもよい。なお、排出領域通過フラグは小当り遊技又は大当り遊技の終了後にOFFにセットされる。
【0316】
〔第1特別図柄記憶処理〕
図30は、第1特別図柄記憶処理の手順例を示すフローチャートである。以下、第1特別図柄記憶処理について、手順例に沿って説明する。
【0317】
ステップS30:ここでは先ず、主制御CPU72は特別図柄について作動記憶があるか否かを確認する。作動記憶の有無についての確認は、第1特別図柄及び第2特別図柄の両方について行い、いずれかの特別図柄に作動記憶があれば、特別図柄について作動記憶があると判断する。本実施形態では、特別図柄に2個以上の作動記憶を設けていないため、ここでは例えば、既にRAM76の乱数記憶領域に転送済みの大当り決定乱数(1個)があれば、主制御CPU72は特別図柄について作動記憶があると判断する(Yes)。既に作動記憶がある状態であれば(Yes)、主制御CPU72はスイッチ入力イベント処理(
図29)に復帰する。一方、作動記憶が特にない場合(No)、主制御CPU72は次のステップS32に進む。なお、制御プログラムの構成上、ここで特別図柄作動記憶数カウンタ(上限数1個)を用いることとしてもよい。この場合、主制御CPU72は特別図柄作動記憶数カウンタの値を参照し、作動記憶数が1である場合は作動記憶があると判断する(Yes)。また、作動記憶数が1でなければ(=0)、主制御CPU72は作動記憶がないと判断する(No)。
【0318】
ステップS32:先のステップS30で作動記憶がないと判断した場合(ステップS30:No)、主制御CPU72は、上記のサンプリング回路77を通じて乱数発生器75から第1特別図柄に対応する大当り決定乱数値を取得する。乱数値の取得は、乱数発生器75のピンアドレスを指定して行う。主制御CPU72が8ビットのデータバス幅を有する場合、アドレスの指定は上位及び下位で1バイトずつ2回に分けて行われる。主制御CPU72は、指定したアドレスから第1特別図柄に対応する大当り決定乱数値をリードすると、これを大当り決定乱数として転送先(乱数記憶領域)のアドレスにセーブする。
【0319】
ステップS33:次に主制御CPU72は、RAM76の大当り図柄乱数カウンタ領域から第1特別図柄に対応する大当り図柄乱数値を取得する。この乱数値の取得もまた、大当り図柄乱数カウンタ領域のアドレスを指定して行う。主制御CPU72は、指定したアドレスから大当り図柄乱数値をリードすると、これを第1特別図柄に対応する大当り図柄乱数として転送先のアドレスにセーブする。
【0320】
ステップS34:また、主制御CPU72は、RAM76の変動用乱数カウンタ領域から、第1特別図柄の変動条件に関する乱数値として、例えば変動パターン決定乱数を取得する。この乱数値の取得も同様に、変動用乱数カウンタ領域のアドレスを指定して行われる。そして主制御CPU72は、指定したアドレスから変動パターン決定乱数を取得すると、これを転送先のアドレスにセーブする。
【0321】
ステップS36:主制御CPU72は、セーブした大当り決定乱数、大当り図柄乱数及び変動パターン決定乱数をともに第1特別図柄及び第2特別図柄で共通して使用する乱数記憶領域(この時点で空き状態)に転送し、これら乱数をセットで記憶させる。
【0322】
ステップS38:そして主制御CPU72は、第1特別図柄に関して演出コマンド出力設定処理を実行する。この処理は、例えば始動口入賞音制御コマンドを演出制御装置124に対して送信する設定を行うためのものである。
【0323】
以上の手順を終えるか、もしくは特別図柄作動記憶が既にあった場合(ステップS30:Yes)、主制御CPU72はスイッチ入力イベント処理(
図29)に復帰する。
【0324】
〔第2特別図柄記憶処理〕
図31は、第2特別図柄記憶処理の手順例を示すフローチャートである。以下、第2特別図柄記憶処理について、手順例に沿って説明する。
【0325】
ステップS40:ここでは先ず、主制御CPU72は特別図柄について作動記憶があるか否かを確認する。作動記憶の有無についての確認は、第1特別図柄及び第2特別図柄の両方について行い、いずれかの特別図柄に作動記憶があれば、特別図柄について作動記憶があると判断する。本実施形態では、特別図柄に2個以上の作動記憶を設けていないため、ここでは例えば、既にRAM76の乱数記憶領域に転送済みの大当り決定乱数(1個)があれば、主制御CPU72は特別図柄について作動記憶があると判断する(Yes)。既に作動記憶がある状態であれば(Yes)、主制御CPU72はスイッチ入力イベント処理(
図29)に復帰する。一方、作動記憶が特にない場合(No)、主制御CPU72は次のステップS42に進む。
【0326】
ステップS42:先のステップS40で作動記憶がないと判断した場合(ステップS40:No)、主制御CPU72は、上記のサンプリング回路77を通じて乱数発生器75から第2特別図柄に対応する大当り決定乱数値を取得する。乱数値の取得は、乱数発生器75のピンアドレスを指定して行う。主制御CPU72が8ビットのデータバス幅を有する場合、アドレスの指定は上位及び下位で1バイトずつ2回に分けて行われる。主制御CPU72は、指定したアドレスから第2特別図柄に対応する大当り決定乱数値をリードすると、これを大当り決定乱数として転送先(乱数記憶領域)のアドレスにセーブする。
【0327】
ステップS43:次に主制御CPU72は、RAM76の大当り図柄乱数カウンタ領域から第2特別図柄に対応する大当り図柄乱数値を取得する。この乱数値の取得もまた、大当り図柄乱数カウンタ領域のアドレスを指定して行う。主制御CPU72は、指定したアドレスから大当り図柄乱数値をリードすると、これを第2特別図柄に対応する大当り図柄乱数として転送先のアドレスにセーブする。
【0328】
ステップS44:また、主制御CPU72は、RAM76の変動用乱数カウンタ領域から、第2特別図柄の変動条件に関する乱数値として、例えば変動パターン決定乱数を取得する。この乱数値の取得も同様に、変動用乱数カウンタ領域のアドレスを指定して行われる。そして主制御CPU72は、指定したアドレスから変動パターン決定乱数を取得すると、これを転送先のアドレスにセーブする。
【0329】
ステップS46:主制御CPU72は、セーブした大当り決定乱数、大当り図柄乱数及び変動パターン決定乱数を第1特別図柄及び第2特別図柄で共通して使用する乱数記憶領域(この時点で空き状態)に転送し、これら乱数をセットで記憶させる。
【0330】
ステップS48:そして主制御CPU72は、第2特別図柄に関して演出コマンド出力設定処理を実行する。この処理は、例えば始動口入賞音制御コマンドを演出制御装置124に対して送信する設定を行うためのものである。
【0331】
以上の手順を終えるか、もしくは特別図柄作動記憶が既にあった場合(ステップS40:Yes)、主制御CPU72はスイッチ入力イベント処理(
図29)に復帰する。
【0332】
〔特別遊技管理処理〕
次に、特別遊技管理処理の詳細について説明する。
図32は、特別遊技管理処理の構成例を示すフローチャートである。特別遊技管理処理は、特別遊技制御モジュール選択処理(ステップS1000)、特別図柄変動開始待ち処理(ステップS1500)、特別図柄変動中処理(ステップS2000)、特別図柄停止表示中処理(ステップS2500)、役物装置作動開始待ち処理(ステップS3000)、小当り時役物装置開放処理(ステップS3500)、小当り時役物装置閉鎖処理(ステップS4000)、小当り時役物装置作動終了処理(ステップS4500)、大当り時役物装置作動開始処理(ステップS5000)、大当り時役物装置開放処理(ステップS5500)、大当り時役物装置閉鎖有効処理(ステップS5550)、大当り時役物装置閉鎖処理(ステップS6000)、大当り時役物装置作動終了処理(ステップS6500)、残存球エラーコマンド設定処理(ステップS7000)及びソレノイド制御処理(ステップS7500)のサブルーチン群を含む構成である。ここでは先ず、各処理に沿って特別遊技管理処理の基本的な流れを説明する。
【0333】
ステップS1000:特別遊技制御モジュール選択処理において、主制御CPU72は次に実行するべき処理(ステップS1500~ステップS6500のいずれか)のジャンプ先を選択する。例えば、主制御CPU72は次に実行するべき処理のプログラムアドレスをジャンプ先のアドレスとし、また、戻り先のアドレスとして残存球エラーコマンド設定処理(ステップS7000)のプログラムアドレスを「ジャンプテーブル」にセットする。いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況によって異なる。例えば、未だ特別図柄が変動表示を開始していない状況であれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として特別図柄変動開始待ち処理(ステップS1500)を選択する。一方、既に特別図柄変動開始待ち処理が完了していれば、主制御CPU72は次のジャンプ先として特別図柄変動中処理(ステップS2000)を選択し、特別図柄変動中処理まで完了していれば、次のジャンプ先として特別図柄停止表示中処理(ステップS2500)を選択するといった具合である。なお、本実施形態ではジャンプ先のアドレスを「ジャンプテーブル」で指定して処理を選択しているが、このような選択手法とは別に、「プロセスフラグ」や「処理選択フラグ」等を用いてCPUが次に実行するべき処理を選択している公知のプログラミング例もある。
【0334】
また、上記のように主制御CPU72が次のジャンプ先を選択するにあたり、現在までの処理の進行状況は「特別遊技管理ステータス」の値で表されている。例えば、未だ特別図柄が変動表示を開始していない状況であれば、主制御CPU72は現在までの「特別遊技管理ステータス」の値を「00H」として設定している。一方、既に特別図柄変動開始待ち処理が完了していれば、主制御CPU72は現在までの「特別遊技管理ステータス」の値を「01H」に設定し、特別図柄変動中処理まで完了していれば、現在までの「特別遊技管理ステータス」の値を「02H」に設定するといった具合である。なお、このような「特別遊技管理ステータス」の値の設定については後述する。いずれにしても、主制御CPU72は特別遊技制御モジュール選択処理において「特別遊技管理ステータス」の値を参照し、その時点でジャンプ先となる処理(ステップS1500~ステップS6500のいずれか)を選択することができる。
【0335】
なお、特別遊技制御モジュール選択処理(ステップS1000)でジャンプ先として選択されるのは、上記のようにステップS1500~ステップS6500までであり、残存球エラーコマンド設定処理(ステップS7000)及びソレノイド制御処理(ステップS7500)はいずれも毎回の割り込みで実行される。
【0336】
ステップS1500:上記のように「特別遊技管理ステータス」の値が「00H」である場合、主制御CPU72は特別遊技管理処理において特別図柄変動開始待ち処理を実行する。この特別図柄変動開始待ち処理では、主制御CPU72は特別図柄の変動表示を開始するための条件を整える作業を行う。例えば主制御CPU72は特別図柄作動記憶数がない場合、特別図柄の当り決定乱数及び当り図柄乱数の記憶を共通記憶領域に保存する。また、主制御CPU72は、共通記憶領域に保存した当り決定乱数を当り値と比較し、当り判定を行う。なお、本実施形態では、特別図柄抽選の当り確率(いわゆる小当り確率)が略1分の1であるため、このときの当り判定は確認的な処理となる。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いて後述する。
【0337】
ステップS2000:「特別遊技管理ステータス」の値が「01H」である場合、主制御CPU72は特別遊技管理処理において特別図柄変動中処理を実行する。この特別図柄変動中処理では、主制御CPU72は変動タイマをカウントしつつ、第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35の駆動制御を行う。具体的には、2つある7セグメントLEDの各セグメント及びドット(0番~7番)に対してON又はOFFの駆動信号(1バイトデータ)を出力する。駆動信号のパターンは時間の経過に伴って変化し、それによって特別図柄の変動表示が行われる。この後、変動タイマのカウントが0になると、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「02H」に更新する。
【0338】
ステップS2500:「特別遊技管理ステータス」の値が「02H」に更新された場合、主制御CPU72は特別遊技管理処理において特別図柄停止表示中処理を実行する。この特別図柄停止表示中処理では、主制御CPU72は停止表示タイマをカウントしつつ、第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35の駆動制御を行う。ここでも同様に、2つある7セグメントLEDの各セグメント及びドットに対してON又はOFFの駆動信号を出力するが、駆動信号のパターンは一定であり、これにより特別図柄の停止表示が行われる。なお、このとき特別図柄の停止表示態様は、先の特別図柄変動開始待ち処理で決定された当選種類に対応している。この後、停止表示タイマのカウントが0になると、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「03H」に更新する。
【0339】
また、この特別図柄停止表示中処理において、主制御CPU72は、時短回数(時間短縮状態に関する回数切りカウンタ値)を減算する処理を実行する。本実施形態では、時間短縮状態に関する回数切りカウンタ値は所定の数値(例えば100回)に設定される。このため、時間短縮状態で100回の第1特別図柄又は第2特別図柄のはずれ変動(特定領域未通過となった場合はその際の小当り変動を含む。)が実行されると、時間短縮機能作動フラグがリセットされ、時間短縮状態が終了する。なお、時間短縮機能作動フラグは、特別図柄の停止表示時間が経過した際にリセットする例で説明しているが、特別図柄の変動時間終了時(停止表示時間計測開始前)や特別図柄の変動開始時にリセットしてもよい。
【0340】
ステップS3000:「特別遊技管理ステータス」の値が「03H」に更新された場合、主制御CPU72は特別遊技管理処理において役物装置作動開始待ち処理を実行する。この役物作動開始待ち処理では、主制御CPU72は特別遊技タイマとしてオープニング時間タイマのカウントダウンを実行する。なお、オープニング時間タイマの値は、「小当り図柄1」に該当した場合は「第1時間」に対応する値が設定され、「小当り図柄2」に該当した場合は「第2時間」に対応する値が設定される。この後、オープニング時間タイマのカウントが0になると、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「04H」に更新する。
【0341】
このような処理を実行することにより、主制御CPU72は、「小当り図柄2(第2当選種類)」に該当したことにより実行される小当り遊技(特別遊技)の実行中に計数される第2時間(第2数値)が規定の値(0)になると、遊技球が特定領域を通過する確率を高くする(変化可能とする)ことができる(制御手段)。
【0342】
また、このような処理を実行することにより、主制御CPU72は、「小当り図柄2(特別当選種類)」に該当したことにより実行される小当り遊技(特別遊技)の実行中に計数される第2時間(数値)が規定の値(0)になると、遊技球が特定領域を通過する確率を高くする(変化可能とする)ことができる(制御手段)。
【0343】
さらに、このような処理を実行することにより、主制御CPU72は、「小当り図柄1(第1当選種類)」に該当したことにより実行される小当り遊技(特別遊技)の実行中に計数される第1時間(第1数値)が第1カウンタ値に応じた値(0)になると、困難動作を行っているタワー本体部400(可動体)に遊技球を向かわせることを可能とし、「小当り図柄2(第2当選種類)」に該当したことにより実行される小当り遊技(特別遊技)の実行中に計数される第2時間(第2数値)が第2カウンタ値に応じた値(0)になると、容易動作を行っているタワー本体部400(可動体)に遊技球を向かわせることを可能とすることができる(制御手段)。
【0344】
さらにまた、このような処理を実行することにより、主制御CPU72は、「小当り図柄2(特別当選種類)」に該当したことにより実行される小当り遊技(特別遊技)の実行中に計数される第2時間(数値)が特別カウンタ値に応じた値(0)になると、容易動作を行っているタワー本体部400(可動体)に遊技球を向かわせることを可能とすることができる(制御手段)。
【0345】
ステップS3500:「特別遊技管理ステータス」の値が「04H」に更新された場合、主制御CPU72は特別遊技管理処理において小当り時役物装置開放処理を実行する。この小当り時役物装置開放処理では、主制御CPU72は可動入球役物装置30の開放動作を制御する。具体的には、主制御CPU72は大入賞口初回開放タイマをカウントしつつ、大入賞口30bから入賞した遊技球の個数をカウントし、大入賞口ソレノイド90に対する駆動信号を設定する。これにより、可動入球役物装置30の開放及び閉鎖の動作が行われる。また、可動入球役物装置30を開放した後に閉鎖する場合、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「05H」に更新する。なお、小当り時役物装置開放処理の詳細については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
【0346】
ステップS4000:「特別遊技管理ステータス」の値が「05H」に更新された場合、主制御CPU72は特別遊技管理処理において小当り時役物装置閉鎖処理を実行する。この小当り時役物装置閉鎖処理では、主制御CPU72は可動入球役物装置30の閉鎖に伴う各種の内部処理を実行する。各種の内部処理には、例えば可動入球役物装置30の開放時に入賞した遊技球の排出完了を確認したり、特定領域通過の有無を確認したりする処理が含まれる。これら処理を終了する場合、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「06H」に更新する。また、主制御CPU72は、この小当り時役物装置閉鎖処理において、遊技球が特定領域を通過したことを検出した場合の処理を実行する。なお、小当り時役物装置閉鎖処理の詳細については、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
【0347】
ステップS4500:「特別遊技管理ステータス」の値が「06H」に更新された場合、主制御CPU72は特別遊技管理処理において小当り時役物装置作動終了処理を実行する。この小当り時役物装置作動終了処理では、主制御CPU72は可動入球役物装置30の作動終了に伴う各種の内部処理を実行する。各種の内部処理には、例えば可動入球役物装置30の作動終了を確定させるエンディング時間の経過を確認したり、大当り状態移行コマンドを設定したりする処理が含まれる。ここで大当り状態移行コマンドを設定する場合、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「07H」に更新する。一方、大当り状態移行コマンドを設定しない場合、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」を初期値の「00H」に復帰させる(ステップS3000~S4500:特別遊技実行手段)。小当り遊技(特別遊技)は、最初に開始時間(オープニング時間)が設定され、次に開放時間及び閉鎖時間が設定され、最後に終了時間(エンディング時間)が設定される遊技である。このような処理を実行することにより、主制御CPU72は、特別図柄抽選(所定の抽選)の結果が小当り当選(当選)に該当し、小当りに対応する態様(所定の当選態様)で特別図柄が停止表示されると、小当り遊技の開始条件(規定の条件)が満たされたものとして、可動入球役物装置30を閉鎖状態から開放状態へ移行させる小当り遊技(特別遊技)を実行することができる(特別遊技実行手段)。なお、小当り時役物装置作動終了処理の詳細についても、さらに別のフローチャートを用いて後述する。
【0348】
ステップS5000:大当り時役物装置作動開始処理は、先の小当り時役物装置作動終了処理において「特別遊技管理ステータス」の値が「07H」に更新された場合に実行される。この大当り時役物装置作動開始処理では、主制御CPU72は可動入球役物装置30を再度作動させる際の前処理を実行する。すなわち、主制御CPU72は特別遊技タイマとして大当り開始待ち時間タイマのカウントダウンを実行し、タイマのカウントが0になると、可動入球役物装置30の作動条件(実行ラウンド数、ラウンドごとの開放時間及び開放回数、インターバル時間等)を設定する。また、主制御CPU72は、「特別遊技管理ステータス」の値を「08H」に更新する。以後、大当り遊技中は遊技の進行状況に応じて「特別遊技管理ステータス」の値が「08H」~「0BH」まで更新され、そのときの値に応じてステップS5500~ステップS6500が実行されることになる。また、大当り時役物装置作動開始処理の詳細については、別のフローチャートを用いて後述する。
【0349】
ステップS5500:「特別遊技管理ステータス」の値が「08H」に更新された場合、主制御CPU72は大当り時役物装置開放処理を実行する。この大当り時役物装置開放処理では、主制御CPU72は可動入球役物装置30の開閉動作を制御する。これにより、大当り遊技の1ラウンド分が実行されることになる。1ラウンド分の大当り遊技を終了して可動入球役物装置30を閉鎖する場合、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「09H」に更新する。大当り時役物装置開放処理の詳細についても、別のフローチャートを用いて後述する。
【0350】
ステップS5550:「特別遊技管理ステータス」の値が「09H」に更新されると、主制御CPU72は次の大当り時役物装置閉鎖有効処理を実行する。この大当り時役物装置閉鎖有効処理では、主制御CPU72は大入賞口閉鎖有効時間タイマのカウントダウンを実行し、タイマのカウントが0になると、「特別遊技管理ステータス」の値を「0AH」に更新する。なお、この処理は可動入球役物装置30の開放から閉鎖に伴う時間を調整するために実行されるものである。
【0351】
ステップS6000:「特別遊技管理ステータス」の値が「0AH」に更新されると、主制御CPU72は次の大当り時役物装置閉鎖処理を実行する。この大当り時役物装置閉鎖処理では、主制御CPU72は可動入球役物装置30の閉鎖完了に伴う内部処理を実行する。この内部処理において、主制御CPU72はこれまでに実行したラウンド数を確認し、実行済みのラウンド数が設定したラウンド数(連続作動回数)に達していなければ「特別遊技管理ステータス」の値を「08H」に復帰させる。この場合、次回の特別遊技制御モジュール選択処理(ステップS1000)において先の大当り時役物装置開放処理(ステップS5500)が再度選択されることになる。一方、既に実行済みのラウンド数が設定したラウンド数に達した場合、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「0BH」に更新する。なお、大当り時役物装置閉鎖処理の詳細については、別のフローチャートを用いて後述する。
【0352】
ステップS6500:「特別遊技管理ステータス」の値が「0BH」に更新された場合、主制御CPU72は大当り時役物装置作動終了処理を実行する。この大当り時役物装置作動終了処理では、主制御CPU72は大当りエンディング時間タイマのカウントダウンを実行する。タイマのカウントが0になると、「特別遊技管理ステータス」を初期値の「00H」に復帰させる(ステップS5000~S6500:特別遊技実行手段)。このような処理を実行することにより、主制御CPU72は、特別図柄抽選(所定の抽選)の結果が大当り当選(当選)に該当し、大当りに対応する態様(所定の当選態様)で特別図柄が停止表示されると、又は、小当り遊技中に遊技球が特定領域を通過すると、大当り遊技の開始条件(規定の条件)が満たされたものとして、可動入球役物装置30を閉鎖状態から開放状態へ移行させる大当り遊技(特別遊技)を実行することができる(特別遊技実行手段)。これにより、以後は特別図柄の変動(又は作動記憶数の追加)が可能な状態となる。なお、大当り時役物装置作動終了処理の詳細についても、別のフローチャートを用いて後述する。
【0353】
また、主制御CPU72は、以下の手順を「特別遊技管理ステータス」の値にかかわらず実行する。
ステップS7000:主制御CPU72は、残存球エラーコマンド設定処理を実行する。この残存球エラーコマンド設定処理では、主制御CPU72は、可動入球役物装置30の作動終了後に排出球不足エラーの監視を行うとともに、排出球不足エラー時の報知用コマンドを設定する。主制御CPU72は、例えば「特別遊技管理ステータス」の値が「04H」に更新されてから、次に「05H」に更新されるまでの間にカウントした入賞球数と、排出時間内にカウントした排出球数とが一致するかを確認する。また、主制御CPU72は、例えば「特別遊技管理ステータス」の値が「08H」に更新されてから、次に「09H」に更新されるまでの間にカウントした入賞球数と、排出時間内にカウントした排出球数とが一致するかを確認する。その結果、入賞球数と排出球数とが一致する場合は排出球不足状態フラグをリセット(00H)し、この処理を終了する。これに対し、両者が一致しない場合、主制御CPU72は排出球不足状態フラグをセット(01H)し、排出球不足エラー状態コマンドを設定する。ここで設定した排出球不足エラー状態コマンドは、演出制御出力処理(
図28中のステップS214)で演出制御装置124に送信される。
【0354】
ステップS7500:主制御CPU72は、ソレノイド制御処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は上昇装置誘導路ソレノイド95の作動状態(ON又はOFF)を制御する。また、主制御CPU72は、特にこの処理において大当り遊技中の排出処理を実行することができる。ソレノイド制御処理の詳細については、別のフローチャートを用いて後述する。
【0355】
〔特別遊技進行状況〕
図33は、特別遊技管理処理の実行に伴い変化していく「特別遊技管理ステータス」の値と、それぞれの値に対応した特別遊技の進行状況を一覧にして示した図である。本実施形態において特別遊技(特別図柄に対応する遊技)は、例えば(1)「特別図柄変動待ち状態」を初期状態として開始される。そこから左始動入賞口26、中始動入賞口27又は右始動入賞口28bのうちいずれかの始動口に遊技球が入球すると、これを契機として特別遊技の進行状況は次の(2)「特別図柄変動表示中状態」に遷移し、さらに(3)「特別図柄停止図柄表示中状態」を経て(4)「小当り時役物装置作動開始演出中状態」に進み、(5)「小当り時役物装置開放状態」、(6)「小当り時役物装置開放後閉鎖状態」、(7)「小当り時役物装置作動終了演出中状態」へと遷移していく。
【0356】
このとき、可動入球役物装置30(役物装置)内で特定領域の通過(V入賞)が発生しなかった場合、特別遊技の進行状況は(1)「特別図柄変動待ち状態」に戻り、そこから繰り返しとなる。一方、(5)「小当り時役物装置開放状態」以降に可動入球役物装置30(役物装置)内で特定領域の通過(V入賞)が発生すると、特別遊技の進行状況は(8)大当り開始演出中状態に遷移し、そこから(9)「大当り時役物装置開閉動作中状態」、(10)「大当り時役物装置開放後閉鎖状態」、(11)「大当り時役物装置閉鎖時間中状態」、(12)「大当りエンディング演出中状態」へと遷移していく。そして(12)「大当りエンディング演出中状態」まで終了すると、特別遊技の進行状況は(1)「特別図柄変動待ち状態」に戻り、そこから繰り返しとなる。以下、より具体的に説明する。
【0357】
(1)「特別図柄変動待ち状態」
パチンコ機1による遊技の開始初期において、特別遊技の進行状況は(1)「特別図柄変動待ち状態」にある。この状態は、特別図柄の始動条件が満たされていることを意味し、例えば特別図柄が変動中でなく、前回の変動表示が行われた場合は特別図柄の停止表示が既に確定している。この状態で、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「00H」に設定しており、特別遊技管理処理において特別図柄変動開始待ち処理(ステップS1500)が選択される。
【0358】
(2)「特別図柄変動表示中状態」
上記の(1)「特別図柄変動待ち状態」で左始動入賞口26、中始動入賞口27又は右始動入賞口28bのうちいずれかの始動口に遊技球が入球した場合、特別図柄の変動表示が開始されて進行状況が(2)「特別図柄変動表示中状態」に遷移する。この状態は、第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35において特別図柄が変動表示中であることを意味する。この間、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「01H」に設定しており、特別遊技管理処理において特別図柄変動中処理(ステップS2000)が選択される。
【0359】
(3)「特別図柄停止図柄表示中状態」
特別図柄の変動時間が経過して特別図柄が停止表示されると、進行状況が(3)「特別図柄停止図柄表示中状態」に遷移する。この状態は、第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35において特別図柄が停止表示中であることを意味する。この間、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「02H」に設定しており、特別遊技管理処理において特別図柄停止表示中処理(ステップS2500)が選択される。
【0360】
(4)「小当り時役物装置作動開始演出中状態」
特別図柄の停止表示時間が経過することにより特別図柄の停止表示が確定すると、進行状況が(4)「小当り時役物装置作動開始演出中状態」に遷移する。この状態は、特別図柄の当選(小当りに該当)を契機とした可動入球役物装置30の作動開始待ちであることを意味する。この間、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「03H」に設定しており、特別遊技管理処理において役物装置作動開始待ち処理(ステップS3000)が選択される。
【0361】
(5)「小当り時役物装置開放状態」
可動入球役物装置30が作動すると、進行状況が(5)「小当り時役物装置開放状態」に遷移する。この状態は、可動入球役物装置30の作動に伴う大入賞口30bの開放中であることを意味する。この間、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「04H」に設定しており、特別遊技管理処理において小当り時役物装置開放処理(ステップS3500)が選択される。また、主制御CPU72は、「特別遊技管理ステータス」の値が「04H」に更新されたことを契機として、モータ管理処理(
図28中のステップS209)においてモータの駆動制御を開始する。
【0362】
(6)「小当り時役物装置開放後閉鎖状態」
大入賞口30bが閉止されると、進行状況が(6)「小当り時役物装置開放後閉鎖状態」に遷移する。この状態は、可動入球役物装置30において大入賞口30bの閉止中であることを意味する。この間、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「05H」に設定しており、特別遊技管理処理において小当り時役物装置閉鎖処理(ステップS4000)が選択される。
【0363】
(7)「小当り時役物装置作動終了演出中状態」
大入賞口30bの閉止後、さらに進行状況が(7)「小当り時役物装置作動終了演出中状態」に遷移する。この状態は、可動入球役物装置30内での遊技球の振り分け動作を用いた遊技を終了させる期間にあることを意味する。この間、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「06H」に設定しており、特別遊技管理処理において小当り時役物装置作動終了処理(ステップS4500)が選択される。なお、可動入球役物装置30内で特定領域の通過(V入賞)が発生しなかった場合、進行状況は(1)「特別図柄変動待ち状態」に復帰する。
【0364】
(8)「大当り開始演出中状態」
可動入球役物装置30内で特定領域の通過(V入賞)が発生すると、進行状況は(8)「大当り開始演出中状態」に遷移する。この状態は、再度の可動入球役物装置30の作動開始待ち期間であることを意味する。この間、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「07H」に設定しており、特別遊技管理処理において大当り時役物装置作動開始処理(ステップS5000)が選択される。
【0365】
(9)「大当り時役物装置開閉動作中状態」
可動入球役物装置30が再び作動を開始すると、進行状況は(9)「大当り時役物装置開閉動作中状態」に遷移する。この状態は、大入賞口30bの開放中であることを意味する。この間、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「08H」に設定しており、特別遊技管理処理において大当り時役物装置開放処理(ステップS5500)が選択される。
【0366】
(10)「大当り時役物装置開放後閉鎖状態」
可動入球役物装置30により大入賞口が閉止されると、進行状況は(10)「大当り時役物装置開放後閉鎖状態」に遷移する。この状態は、ラウンドの終了に伴い大入賞口が閉止された直後の状態であることを意味する。このとき主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「09H」に設定しており、特別遊技管理処理において大当り時役物装置閉鎖有効処理(ステップS5550)が選択される。
【0367】
(11)「大当り時役物装置閉鎖時間中状態」
可動入球役物装置30の閉止後、進行状況は(11)「大当り時役物装置閉鎖時間中状態」に遷移する。この状態は、ラウンド終了後の待機状態(ラウンド間インターバル)にあることを意味する。このとき主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「0AH」に設定しており、特別遊技管理処理において大当り時役物装置閉鎖処理(ステップS6000)が選択される。なお、大当り中のラウンド数を全て消化していない場合、この後の進行状況は(9)「大当り時役物装置開閉動作中状態」に復帰する。
【0368】
(12)「大当りエンディング演出中状態」
大当り最終ラウンド終了後の待機時間が経過すると、進行状況は(12)「大当りエンディング演出中状態」に遷移する。この状態は、大当りエンディング演出状態にあることを意味する。このとき主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「0BH」に設定しており、特別遊技管理処理において大当り時役物装置作動終了処理(ステップS6500)が選択される。
【0369】
以上のように、特別遊技管理処理(
図32)において主制御CPU72は、特別遊技の進行状況の変化に応じて「特別遊技管理ステータス」の値を「00H」~「0BH」に変化させ、そのときの進行状況に応じた特別遊技制御モジュールを選択することができる。また、主制御CPU72は、特別遊技管理ステータスの値を更新した場合、その値を反映させた特別遊技管理ステータスコマンドを生成する。特別遊技管理ステータスコマンドは、演出制御出力処理(
図28中ステップS214)において演出制御装置124に送信される。
【0370】
〔特別図柄変動開始待ち処理〕
図34は、特別図柄変動開始待ち処理の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順に沿って説明する。
【0371】
ステップS2100:先ず主制御CPU72は、第1特別図柄作動記憶数又は第2特別図柄作動記憶数が残存しているか(0より大であるか)否かを確認する。この確認は、RAM76に記憶されている作動記憶数カウンタの値を参照して行うことができる。第1特別図柄及び第2特別図柄の両方の作動記憶数が0であった場合(No)、主制御CPU72はステップS2502のデモ設定処理を実行する。
【0372】
ステップS2502:この処理では、主制御CPU72は客待ち指定コマンドを生成する。客待ち指定コマンドは、上記の演出制御出力処理(
図28中のステップS214)において演出制御装置124に出力される。デモ設定処理を実行すると、主制御CPU72は特別図柄遊技処理に復帰する。なお、復帰時は、上記のように末尾アドレスに復帰する(以降も同様)。
【0373】
これに対し、第1特別図柄又は第2特別図柄のいずれかの作動記憶数カウンタの値が0より大きければ(Yes)、主制御CPU72は次にステップS2300を実行する。
【0374】
ステップS2300:主制御CPU72は、大当り判定処理(内部抽選、所定の抽選)を実行する(抽選実行手段)。この処理では、先ず主制御CPU72は、RAM76の乱数記憶領域に記憶されている抽選用乱数(大当り決定乱数、大当り図柄乱数)を読み出す。読み出した乱数は、例えば別の一時記憶領域に保存され、乱数記憶領域からは作動記憶が消去(消費)される。次に主制御CPU72は、大当り値の範囲を設定し、この範囲内に読み出した乱数値が含まれるか否かを判断する。そして、このとき読み出した乱数値が大当り値の範囲内に含まれていれば、主制御CPU72は大当りフラグ(01H)をセットし、次にステップS2400に進む。ここで、各始動入賞口への入球を契機として直接的に大当り遊技が実行される当り(いわゆる直当り、直撃当り)を設ける場合は本処理が必要となるが、直当りを設定しなければ本処理を省略してもよい。
【0375】
上記の大当りフラグをセットしない場合、主制御CPU72は同じ大当り判定処理において、次に小当り値の範囲を設定し、この範囲内に読み出した乱数値が含まれるか否かを判断する(抽選実行手段)。ここでいう「小当り」は、非当選(はずれ)以外であるが、「大当り」とは異なる性質のものである。すなわち、「大当り」は大当り遊技を発生させるものであるが、「小当り」はそのような契機を発生しない。ただし「小当り」は、「大当り」と同様に可動入球役物装置30を作動させる条件を満たすものとして位置付けられている。そして、読み出した乱数値が小当り値の範囲内に含まれていれば、主制御CPU72は小当りフラグをセットし、次にステップS2400に進む。
【0376】
ステップS2400:主制御CPU72は、先の大当り判定処理で大当りフラグに値(01H)がセットされたか否かを判断する。大当りフラグに値(01H)がセットされていなければ(No)、主制御CPU72は次にステップS2402を実行する。
【0377】
ステップS2402:主制御CPU72は、先の大当り判定処理で小当りフラグに値(01H)がセットされたか否かを判断する。小当りフラグに値(01H)がセットされていなければ(No)、主制御CPU72は次にステップS2404を実行する。ただし、本実施形態では小当り確率を1に設定しているため、以下のステップS2404及びステップS2405が実行されることはない。ただし、小当り確率を完全な1ではなく、「略1」に設定している場合は稀に非当選となる場合もあるため、以下のステップS2404及びステップS2405が実行される。
【0378】
ステップS2404:主制御CPU72は、はずれ時停止図柄決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35によるはずれ時の停止図柄番号データをセットする。また、主制御CPU72は、演出制御装置124に送信するための停止図柄コマンド及び抽選結果コマンド(はずれ時)を生成する。これらコマンドは、演出制御出力処理(
図28中のステップS214)において演出制御装置124に送信される。
【0379】
なお、本実施形態では、第1特別図柄表示装置34や第2特別図柄表示装置35に7セグメントLEDを用いているため、例えば、はずれ時の停止図柄の表示態様を1つのセグメント(中央のバー「-」)の点灯表示だけにしておき、停止図柄番号データを1つの値(例えば64H)に固定することができる。この場合、プログラム上で使用する記憶容量を削減し、主制御CPU72の処理負荷を軽減して処理速度を向上することができる。
【0380】
ステップS2405:次に主制御CPU72は、はずれ時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、特別図柄について、はずれ時の変動パターン番号を決定する。変動パターン番号は、特別図柄の変動表示の種類(パターン)を区別したり、変動表示にかかる変動時間に対応したりするものである。変動パターンには、変動時間が異なる様々な変動パターンが含まれている(大当り時や小当り時も同様)。選択された特別図柄の変動パターンに関する情報は、変動パターンコマンドとして演出制御装置に送信される。なお、はずれ時の図柄の停止表示時間は変動パターンに関わらず一定(例えば0.5秒程度)である。主制御CPU72は、決定した変動時間(はずれ時)の値を変動タイマにセットするとともに、はずれ時の停止表示時間の値を停止図柄表示タイマにセットする。
【0381】
以上のステップS2404,ステップS2405は、大当り判定結果がはずれ時(非当選以外の場合)の制御手順であるが、判定結果が大当り(ステップS2400:Yes)又は小当り(ステップS2402:Yes)の場合、主制御CPU72は以下の手順を実行する。先ず、大当りの場合について説明する。
【0382】
ステップS2410:主制御CPU72は、大当り時停止図柄決定処理を実行する(当選種類決定手段)。この処理では、主制御CPU72は大当り図柄乱数に基づき、特別図柄別(第1特別図柄又は第2特別図柄)に今回の当選図柄の種類(大当り時停止図柄番号)を決定する。大当り図柄乱数値と当選図柄の種類との関係は、大当り時停止図柄選択テーブルで規定されている(当選種類規定手段)。このため主制御CPU72は、大当り時停止図柄決定処理において大当り時停止図柄選択テーブルを参照し、その記憶内容から大当り図柄乱数に基づいて当選図柄の種類を決定することができる。
【0383】
ステップS2412:次に主制御CPU72は、大当り時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、変動パターン決定乱数に基づいて第1特別図柄又は第2特別図柄の変動パターン(変動時間と停止表示時間)を決定する。また、主制御CPU72は、決定した変動時間の値を変動タイマにセットするとともに、停止表示時間の値を停止図柄表示タイマにセットする。特別図柄の変動時間については、一定の変動時間(例えば0.5秒)を有する変動パターンに固定して選択してもよいが、可動入球役物装置30が開放するまでの時間にばらつきを持たせるために、異なる変動時間(例えば0.4~2.1秒)を有する変動パターンを選択的に決定してもよい。
【0384】
ステップS2414:次に主制御CPU72は、大当り時その他設定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は大当り時停止図柄番号に基づいて第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35による停止図柄(大当り図柄)の表示態様を決定する。合わせて主制御CPU72は、上記の停止図柄コマンド(大当り時)とともに抽選結果コマンド(大当り時)を生成する。これら停止図柄コマンド及び抽選結果コマンドもまた、演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。
【0385】
次に、小当り時の処理について説明する。
ステップS2407:主制御CPU72は、小当り時停止図柄決定処理を実行する(当選種類決定手段)。この処理では、主制御CPU72は大当り図柄乱数に基づき、小当り時の当選図柄の種類(小当り時停止図柄番号)を決定する。ここでも同様に、大当り図柄乱数値と小当り時の当選図柄の種類との関係が予め小当り時停止図柄選択テーブル(第1特別図柄停止図柄選択テーブル及び第2特別図柄停止図柄選択テーブル)で規定されている(当選種類規定手段)。なお、本実施形態では、主制御CPU72の負荷を軽減するために大当り図柄乱数を用いて小当り時の当選図柄を決定しているが、別途専用の乱数を用いてもよい。
【0386】
ここで、本実施形態では特別図柄の当選種別として「小当り図柄1」と「小当り図柄2」の2種類が設けられており、主制御CPU72は、いずれの当選種別に該当するかを決定する。具体的には、第1特別図柄に基づく抽選である場合、「小当り図柄1」に該当するものと決定し、第2特別図柄に基づく抽選である場合、「小当り図柄2」に該当するものと決定する。なお、ここで決定した当り時停止図柄(「小当り図柄1」又は「小当り図柄2」)に基づいて、可動入球役物装置30の可動片30aの開放回数が決定されることになる。
【0387】
ただし、本実施形態では特別図柄抽選での当選がそのまま大当りではなく、あくまで可動入球役物装置30の開放契機(=小当り)であり、実際に大当りに進むためには(再び可動入球役物装置30を開放させるためには)、可動入球役物装置30内で特定領域に遊技球を通過させる必要がある。
【0388】
〔小当り時の当選図柄〕
そして、本実施形態では、小当り時の当選図柄として2種類の図柄が用意されており、具体的な図柄は、1回開放の「小当り図柄1」と、2回開放の「小当り図柄2」とである。
【0389】
〔第1特別図柄停止図柄選択テーブル〕
図35は、第1特別図柄停止図柄選択テーブルの構成列を示す図である。主制御CPU72は、今回の抽選結果が第1特別図柄に対応する場合、本テーブルを参照して当選図柄の種類を決定する。
【0390】
第1特別図柄停止図柄選択テーブル中、左カラムには当選図柄別の振分値が示されており、振分値「100」は分母を100とした場合の割合に相当する。また、左から2番目のカラムには、振分値に対応する「小当り図柄1」が示されている。すなわち、第1特別図柄に対応する当り時には、「小当り図柄1」が選択される割合は100分の100(=100%)である。したがって、第1特別図柄での当選時には100%の割合で、「小当り図柄1」が選択されることになる。
【0391】
今回の大当りの結果が第1特別図柄に対応する場合、主制御CPU72は大当り図柄乱数に基づいて選択抽選を行い、第1特別図柄停止図柄選択テーブルに示される選択比率で当選図柄を選択的に決定する。また、第1特別図柄停止図柄選択テーブルには、左から3番目のカラムに示されるように当選時の停止図柄コマンドとして例えば2バイトのコマンドデータが規定されている。停止図柄コマンドは、例えばMODE値-EVENT値の組み合わせで記述されており、このうち上位バイトのMODE値「B1H」は、今回の当選図柄が第1特別図柄の当り時に選択されたものであることを表している。また、下位バイトのEVENT値「01H」は、選択テーブル中で対応する当選図柄の種類を表している。このため、今回の当りの結果が第1特別図柄に対応するものであり、当選図柄として「小当り図柄1」が選択された場合、当選時の停止図柄コマンドは「B1H01H」で記述されることになる。
【0392】
以上のように、主制御CPU72は第1特別図柄停止図柄選択テーブルから当選図柄を選択すると、そのときの停止図柄コマンドを生成する。生成した停止図柄コマンドは、例えば上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。また、主制御CPU72は、選択した当選図柄に基づいて第1特別図柄についての小当り時停止図柄番号を決定する。
【0393】
〔オープニング時間〕
第1特別図柄停止図柄選択テーブルの右から2番目のカラムには、小当り遊技の開始時に設定されるオープニング時間の値が示されている。「小当り図柄1」に該当した場合、オープニング時間は第1時間(例えば0.008秒)に設定される。
【0394】
〔時短回数〕
第1特別図柄停止図柄選択テーブルの右側のカラムには、小当り遊技中に遊技球が特定領域を通過して大当り遊技が実行された場合、大当り遊技の終了後に付与される時短回数の値が示されている。本実施形態では、「小当り図柄1」に該当して大当り遊技が実行された場合、リミッタ未到達時には、時短回数は100回付与され、リミッタ到達時には、時短回数は0回付与される(付与されない)。
【0395】
〔第2特別図柄停止図柄選択テーブル〕
図36は、第2特別図柄停止図柄選択テーブルの構成列を示す図である。主制御CPU72は、今回の抽選結果が第2特別図柄に対応する場合、本テーブルを参照して当選図柄の種類を決定する。
【0396】
第2特別図柄停止図柄選択テーブルにおいても、その左カラムには当選図柄別の振分値が示されており、振分値「100」は分母を100とした場合の割合に相当する。同様に左から2番目のカラムには、振分値に対応する「小当り図柄2」が示されている。すなわち、第2特別図柄に対応する当り時においては、「小当り図柄2」が選択される割合は100分の100(=100%)である。したがって、第2特別図柄についても、当選時には100%の割合で、「小当り図柄2」が選択されることになる。
【0397】
今回の抽選結果が第2特別図柄に対応する場合、主制御CPU72は大当り図柄乱数に基づいて選択抽選を行い、第2特別図柄停止図柄選択テーブルに示される選択比率で当選図柄を選択的に決定する。同様に第2特別図柄停止図柄選択テーブルにも、その左から3番目のカラムに示されるように当選時の停止図柄コマンドとして例えば2バイトのコマンドデータが規定されている。ここでも停止図柄コマンドは、上記のMODE値-EVENT値の組み合わせで記述されており、このうち上位バイトのMODE値「B2H」は、今回の当選図柄が第2特別図柄の小当り時に選択されたものであることを表している。また、下位バイトのEVENT値「01H」は、それぞれ選択テーブル中で対応する当選図柄の種類を表している。このため例えば、今回の小当りの結果が第2特別図柄に対応するものであり、当選図柄として「小当り図柄2」が選択された場合、停止図柄コマンドは「B2H01H」で記述されることになる。
【0398】
以上のように、主制御CPU72は第2特別図柄停止図柄選択テーブルから当選図柄を選択すると、そのときの停止図柄コマンドを生成する。生成した停止図柄コマンドは、例えば上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。また、主制御CPU72は、選択した当選図柄に基づいて第2特別図柄についての小当り時停止図柄番号を決定する。
【0399】
〔オープニング時間〕
第2特別図柄停止図柄選択テーブルの右から2番目のカラムには、小当り遊技の開始時に設定されるオープニング時間の値が示されている。「小当り図柄2」に該当した場合、オープニング時間は第2時間(例えば28.572秒)に設定される。
【0400】
〔時短回数〕
第2特別図柄停止図柄選択テーブルの右側のカラムには、小当り遊技中に遊技球が特定領域を通過して大当り遊技が実行された場合、大当り遊技の終了後に付与される時短回数の値が示されている。本実施形態では、「小当り図柄2」に該当して大当り遊技が実行された場合、リミッタ未到達時には、時短回数は100回付与され、リミッタ到達時には、時短回数は0回付与される(付与されない)。
【0401】
このように、第1特別図柄停止図柄選択テーブル及び第2特別図柄停止図柄選択テーブルでは、特別図柄抽選(所定の抽選)で得られる当選時の結果について、「小当り図柄1(第1当選種類)」及び「小当り図柄2(第2当選種類)」を含む複数の当選種類(小当り図柄1、小当り図柄2)を規定している(当選種類規定手段)。
【0402】
また、第1特別図柄停止図柄選択テーブル及び第2特別図柄停止図柄選択テーブルでは、特別図柄抽選(所定の抽選)で得られる当選時の結果について、「小当り図柄2(特別当選種類)」を含む複数の当選種類(小当り図柄1、小当り図柄2)を規定している(当選種類規定手段)。
【0403】
第1特別図柄停止図柄選択テーブル及び第2特別図柄停止図柄選択テーブルでは、オープニング時間を計時するためのカウンタ値であり、「小当り図柄1(第1当選種類)」に応じた第1時間(第1カウンタ値)、及び、「小当り図柄2(第2当選種類)」に応じた第2時間(第2カウンタ値)を規定している(カウンタ値規定手段)。
【0404】
また、第1特別図柄停止図柄選択テーブル及び第2特別図柄停止図柄選択テーブルでは、オープニング時間を計時するためのカウンタ値であり、「小当り図柄2(特別当選種類)」に応じた第2時間(特別カウンタ値)を規定している(カウンタ値規定手段)。
【0405】
第1特別図柄停止図柄選択テーブル及び第2特別図柄停止図柄選択テーブルでは、「小当り図柄1(第1当選種類)」と「小当り図柄2(第2当選種類)」とで、オープニング時間(開始時間)を異ならせるためのカウンタ値(第1時間及び第2時間)を規定している(カウンタ値規定手段)。
【0406】
また、第1特別図柄停止図柄選択テーブル及び第2特別図柄停止図柄選択テーブルでは、「小当り図柄2(特別当選種類)」と「小当り図柄1(特別当選種類以外の当選種類)」とで、オープニング時間(開始時間)を異ならせるためのカウンタ値(第1時間及び第2時間)を規定している(カウンタ値規定手段)。
【0407】
本実施形態では、第1特別図柄に1つの当選種類があり、第2特別図柄に1つの当選種類がある例で説明しているが、第1特別図柄に複数の当選種類があってもよく、第2特別図柄に複数の当選種類があってもよい。
【0408】
〔
図34:特別図柄変動開始待ち処理参照〕
ステップS2408:次に主制御CPU72は、小当り時変動パターン決定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は変動パターン決定乱数に基づいて第1特別図柄の変動パターン(変動時間と停止表示時間)を決定する(変動パターン決定手段、変動時間決定手段)。また、主制御CPU72は、決定した変動時間の値を変動タイマにセットし、停止表示時間の値を停止図柄表示タイマにセットする。
【0409】
ステップS2409:次に主制御CPU72は、小当り時その他設定処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は小当り時停止図柄番号に基づき、第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35による停止図柄(小当り図柄)の表示態様を決定する。合わせて主制御CPU72は、演出制御装置124に送信する停止図柄コマンド及び抽選結果コマンド(小当り時)を生成する。これら停止図柄コマンド及び抽選結果コマンドもまた、演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。
【0410】
ステップS2415:次に主制御CPU72は、特別図柄変動開始処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は変動パターン番号(はずれ時/当り時)に基づいて変動パターンデータを選択する。合わせて主制御CPU72は、RAM76のフラグ領域に特別図柄の変動開始フラグをセットする。そして主制御CPU72は、演出制御装置124に送信する変動開始コマンドを生成する。この変動開始コマンドもまた、上記の演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。以上の手順を終えると、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「01H」に更新し、特別図柄遊技処理に復帰する。
【0411】
〔小当り時役物装置開放処理〕
図37は、小当り時役物装置開放処理(
図32中のステップS3500)の手順例を示すフローチャートである。上記のように小当り時役物装置開放処理は、特別遊技管理処理において特別図柄の変動表示が行われ、特別図柄が小当り(当選確率略1/1)の態様で停止表示された後、役物装置作動開始待ち処理(
図32中のステップS3000)によるオープニング時間タイマのカウントダウンを経て実行される。この場合、「特別遊技管理ステータス」の値は「04H」に更新されている。以下、手順例に沿って説明する。
【0412】
ステップS3501:小当り時役物装置開放処理において先ず主制御CPU72は、大入賞口ソレノイドONフラグをセットする。このフラグは、例えばRAM76のフラグセット領域に格納される。
【0413】
ステップS3502:次に主制御CPU72はスイッチ入力イベント処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はカウントスイッチ84からの入賞検出信号に基づき、可動入球役物装置30(大入賞口30b)への入賞球数カウンタを更新する。入賞球数カウンタの値は、例えばRAM76のカウント数領域に記憶されている。また、スイッチ入力イベント処理においては、主制御CPU72は排出検知スイッチ900及び特定領域スイッチ701からの各検出信号も合わせて確認する。なお、本モジュールを最初に呼び出した時点で大入賞口ソレノイド90は非作動であり、大入賞口30bは未だ開放していないので、初回に入賞球数カウンタが加算されることはない。
【0414】
ステップS3504:次に主制御CPU72は、入賞球数カウンタの値が最大個数(例えば5個)に達したか否かを確認する。上記のように本モジュールの初回呼び出し時にカウンタは加算されていないので(No)、主制御CPU72は次にステップS3506に進む。
【0415】
ステップS3506:この場合、初回開放タイマカウントダウン処理を実行する。なお、本モジュールの初回呼び出し時であれば、主制御CPU72はここで初回開放タイマを初期値(例えば1秒)に設定する。また、初回以降の呼び出し時であれば、主制御CPU72は設定済みの初回開放タイマの値をデクリメントする。
【0416】
ステップS3508:そして主制御CPU72は、大入賞口初回開放時間が終了したか否かを確認する。初回開放タイマの値が0よりも大きい値である場合(No)、主制御CPU72はステップS3514に進む。
【0417】
ステップS3514:この場合、主制御CPU72はRAM76のフラグセット領域から大入賞口ソレノイドONフラグを読み込み、その値に基づいて大入賞口ソレノイド90の制御信号として「作動(ON)」を設定する。これにより、大入賞口ソレノイド90が励磁されて大入賞口30bが開放された状態となる。
【0418】
そして、次回以降に本モジュールが呼び出され、実際に大入賞口30bへの入賞が発生すると、スイッチ入力イベント処理(ステップS3502)において入賞球数カウンタの値が加算されることになる。
【0419】
入賞球数カウンタの値が最大個数に達するか(ステップS3504:Yes)、もしくは初回開放タイマの値が0になった場合(ステップS3508:Yes)、主制御CPU72は次にステップS3509を実行する。
【0420】
ステップS3509:この場合、主制御CPU72は大入賞口ソレノイドOFFフラグをセットする。これにより、RAM76のフラグセット領域にセットされていたONフラグがOFFフラグに書き換えられる。
【0421】
ステップS3510:そして主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「05H」に設定する。これにより、次回以降の本モジュールの呼び出しはされなくなり、特別遊技進行状況が次段階へ以降することになる。ただし、第2特別図柄での抽選で「小当り図柄2」に該当した場合、大入賞口30bは2回開放されることになるため、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を再度「04H」に設定する。これにより、もう一度、本モジュールでの一連の処理が実行されることになる。
【0422】
ステップS3512:また、主制御CPU72は、役物装置閉鎖コマンドを設定する。このコマンドは、可動入球役物装置30の閉鎖を演出制御装置124(演出制御CPU126)に通知するためのものである。ここで設定されたコマンドは、演出制御出力処理(
図28中のステップS214)において演出制御装置124に送信される。
【0423】
ステップS3514:主制御CPU72は、RAM76のフラグセット領域にセットされている大入賞口ソレノイドOFFフラグの値に基づき、大入賞口ソレノイド90の制御信号として「非作動(OFF)」を設定する。これにより、大入賞口ソレノイド90の励磁が停止されて大入賞口30bが閉鎖された状態となる。
【0424】
以上の手順を実行すると、主制御CPU72は残存球エラーコマンド設定処理(ステップS7000)のプログラムアドレスに復帰する。また、上記のように、これ以降は「特別遊技管理ステータス」の値が「05H」に更新されているため、ひとまず(次回の特別図柄変動まで)本モジュールの呼び出しはされなくなる。
【0425】
〔小当り時役物装置閉鎖処理〕
次に
図38は、小当り時役物装置閉鎖処理(
図32中のステップS4000)の手順例を示すフローチャートである。上記のように小当り時役物装置閉鎖処理は、「特別遊技管理ステータス」の値が「05H」に更新された場合に実行される。以下、手順例に沿って説明する。
【0426】
ステップS4002:先ず主制御CPU72は、スイッチ入力イベント処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は主に排出検知スイッチ900からの検出信号を確認し、排出球数カウンタの値を加算する。排出球数カウンタの値は、例えばRAM76のカウント数領域に格納されている。また、主制御CPU72は、この処理において特定領域スイッチ701からの通過検出信号の有無を確認する。特定領域スイッチ701の有効時間内に通過検出信号が入力された場合(例えば特定領域通過フラグがONである場合)、ここで主制御CPU72は大当りフラグの値(01H)をセットする。
【0427】
また、主制御CPU72は、大当りフラグの値(01H)をセットした場合、大当り種別ステータスの値もセットする。具体的には、特定領域スイッチ701から通過検出信号が入力された場合(例えば特定領域通過フラグがONである場合)、大当り種別ステータスに「01H(10ラウンド大当りであることを示す値)」をセットする。また、主制御CPU72は、大当り種別ステータスの値を設定した場合、その値を反映させた大当り種別コマンド(例えば10ラウンド大当りに対応させたコマンド)を生成する。大当り種別コマンドは、演出制御出力処理(
図28中ステップS214)において演出制御装置124に送信される。これを受けて演出制御装置124(演出制御CPU126)は、大当り時の演出の実行を制御することができる。
【0428】
このような処理を実行することにより、主制御CPU72は、小当り遊技(特別遊技)の実行中に遊技球が特定領域(特別領域)を通過すると、小当り遊技(所定の遊技状態)と比較して有利な条件が適用された大当り遊技状態(有利遊技状態)に移行させることができる(有利遊技状態移行手段)。
【0429】
ステップS4014:主制御CPU72は、残存球排出チェック処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は上述した入賞球数カウンタの値と排出球数カウンタの値とを比較する。なお、排出球数カウンタの値には、排出検知スイッチ900によりそれぞれ検出された遊技球の数を合計した値のほか、特定領域スイッチ701により検出された遊技球の数も含まれる。また、特定領域スイッチ701の下流に排出検知スイッチ900が配置されているような構造の場合には、排出球数カウンタの値に、特定領域スイッチ701により検出された遊技球の数を含めないようにしてもよい(以下の残存球排出チェック処理でも同様である)。
【0430】
ステップS4016:そして主制御CPU72は、上記の比較結果に基づいて有効球の排出が完了したか否かを判断する。すなわち、入賞球数カウンタの値より排出球数カウンタの値が小さければ、主制御CPU72は未だ有効球の排出が完了していないと判断する(No)。この場合、主制御CPU72は本モジュールを終了して特別遊技管理処理に復帰する。これに対し、入賞球数カウンタの値より排出球数カウンタの値が小さくなければ(両者が一致した場合)、主制御CPU72は有効球の排出が完了したと判断し(Yes)、次のステップS4028に進む。
【0431】
ステップS4028:ここで主制御CPU72は、「特別遊技管理ステータス」の値を「06H」に設定する。これにより、正規の入賞球数と排出球数とが一致したこと(ステップS4016:Yes)を条件として役物ゲームが一旦終了となる。
【0432】
ステップS4030:また、主制御CPU72は、大当りフラグの値(01H)がセットされているか否かを確認する。特に大当りフラグの値がセットされていなければ(No)、主制御CPU72は特別遊技管理処理に復帰する。一方、大当りフラグの値がセットされている場合(Yes)、主制御CPU72はステップS4032を実行する。
【0433】
ステップS4032:この場合、主制御CPU72は大当り状態指定コマンドを設定する。以上の手順を終えると、主制御CPU72は特別遊技管理処理に復帰する。
【0434】
〔小当り時役物装置作動終了処理〕
次に
図39は、小当り時役物装置作動終了処理(
図32中のステップS4500)の手順例を示すフローチャートである。上記のように小当り時役物装置作動終了処理は、「特別遊技管理ステータス」の値が「06H」に更新された場合に実行される。以下、手順例に沿って説明する。
【0435】
ステップS4502:主制御CPU72は、エンディング時間タイマカウントダウン処理を実行する。この処理では、主制御CPU72はエンディング時間タイマに初期値を設定し、その後、時間の経過に伴って(本モジュールの呼び出しごとに)タイマをカウントダウンする。また、7セグ表示器42の表示部では、この「エンディング時間」を利用して、可動入球役物装置30内でのゲームフローを終了させるエンディング演出が行われる。
【0436】
ステップS4504:次に主制御CPU72は、エンディング時間が終了したか否かを確認する。具体的には、エンディング時間タイマの値が未だ0になっていなければ、主制御CPU72はエンディング時間が終了していないと判断する(No)。この場合、主制御CPU72は本モジュールを終了して特別遊技管理処理に復帰する。
【0437】
この後、時間の経過に伴ってエンディング時間タイマの値が0になると、主制御CPU72はエンディング時間が終了したと判断し(Yes)、ステップS4506以降を実行する。
【0438】
ステップS4506:主制御CPU72は、上記の大当り状態指定コマンドの値(01H)がセットされているか否かを確認する。特に大当り状態指定コマンドの値がセットされていない場合(No)、主制御CPU72はステップS4512に進む。これに対し、大当り状態指定コマンドの値がセットされていれば(Yes)、主制御CPU72はステップS4508に進む。
【0439】
ステップS4508:この場合、主制御CPU72は大当り状態移行コマンドを設定する。
【0440】
大当り状態指定コマンドの値がセットされていないか(ステップS4506:No)、もしくは大当り状態指定コマンドの値がセットされている場合(ステップS4506:Yes)にステップS4508を実行すると、主制御CPU72はステップS4512を実行する。
【0441】
ステップS4512:ここで主制御CPU72は、エンディング時間終了コマンドを設定する。このエンディング時間終了コマンドは、演出制御装置124(演出制御CPU126)に対して小当り時の可動入球役物装置30内でのゲームフローが終了したことを通知するためのものである。ここで設定したエンディング時間終了コマンドは、演出制御出力処理(
図28中のステップS214)で演出制御装置124に送信される。
【0442】
ステップS4514:そして主制御CPU72は、大当り状態移行コマンドの値に基づいて「特別遊技管理ステータス」の値を設定する。すなわち、ここでは大当り状態移行コマンドの値(01H)が設定されているか否かによって結果が異なる。具体的には、先のステップS4508で大当り状態移行コマンドを設定した場合、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「07H」に設定(更新)する。この場合、上記のように特別遊技管理処理において大当り時役物装置作動開始処理(
図32中のステップS5000)が実行されることになる。
【0443】
これに対し、ステップS4508を実行していない(大当り状態移行コマンドを設定していない)場合、主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「00H」に復帰させる。この場合、以後の特別遊技管理処理において大当り時役物装置作動開始処理(
図32中のステップS5000)は選択されず、特別図柄変動開始待ち処理(
図32中のステップS1500)が実行されることになる。いずれにしても、以上の手順を実行すると主制御CPU72は特別遊技管理処理に復帰する。
【0444】
〔大当り時役物装置作動開始処理〕
図40は、大当り時役物装置作動開始処理(
図32中のステップS5000)の手順例を示すフローチャートである。以下、大当り状態移行コマンドが設定された場合(「特別遊技管理ステータス」の値が「07H」に更新された場合)の処理について説明する。
【0445】
ステップS5002:先ず主制御CPU72は、大当り開始待ち時間タイマカウントダウン処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は大当り開始待ち時間タイマに初期値を設定し、その後、時間の経過に伴って(本モジュールの呼び出しごとに)タイマをカウントダウンする。大当り開始待ち時間タイマの初期値は、小当り時の可動入球役物装置30の作動終了時から可動入球役物装置30を再び作動させるまでの待ち時間(例えば数秒程度)として設定される。また、7セグ表示器42の表示部では、この「大当り開始待ち時間」を利用して、例えば大当り遊技の開始前演出が行われる。
【0446】
ステップS5004:次に主制御CPU72は、大当り開始待ち時間が経過したか否かを確認する。すなわち、大当り開始待ち時間タイマの値が未だ0になっていなければ、主制御CPU72は大当り開始待ち時間が経過していないと判断する(No)。この場合、主制御CPU72は本モジュールを終了して特別遊技管理処理に復帰する。
【0447】
この後、時間の経過に伴って大当り開始待ち時間タイマの値が0になると、主制御CPU72は大当り開始待ち時間が経過したと判断し(Yes)、ステップS5006以降を実行する。
【0448】
ステップS5006:この場合、主制御CPU72は実行ラウンド数を設定する。本実施形態では、設定される実行ラウンド数(連続作動回数)は「10ラウンド」の1通りである。どのような実行ラウンド数を設定するかについては、大当り種別ステータスを確認することで実行ラウンド数を設定することができる。ただし、上述したように可動入球役物装置30の初回開放(小当りの動作)が1ラウンド目に相当する。したがって、ここでは実行ラウンド数として残りの「9ラウンド」を設定することとする。ここで設定した実行ラウンド数は、プログラム上で対応する値として、RAM76のバッファ領域に格納される。
【0449】
ステップS5008:次に主制御CPU72は、大当り時開放タイマを設定する。ここで設定したタイマの値は、可動入球役物装置30を作動する際の1回あたりの開放時間となる。本実施形態では、大当り時開放タイマの値として1ラウンド分のトータル開放時間(例えば29.0秒程度)が設定される。この程度の開放時間であれば、その間に充分な数(例えば9個程度)の遊技球を大入賞口に入賞させることができる。
【0450】
ステップS5010:そして主制御CPU72は、大当り時インターバルタイマ(大入賞口閉鎖時間タイマ)を設定する。ここで設定したタイマの値は、大当り中のラウンド間での待機時間、又は最終ラウンド終了時の待機時間となる。なお、タイマの値は、例えば2~3秒程度に設定される。
【0451】
ステップS5012:そして主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「08H」に更新し、特別遊技管理処理に復帰する。
【0452】
〔大当り時役物装置開放処理〕
図41は、大当り時役物装置開放処理(
図32中のステップS5500)の手順例を示すフローチャートである。先の大当り時役物装置作動開始処理(
図40中のステップS5012)で「特別遊技管理ステータス」の値が「08H」に更新されると、以後は大当り時役物装置開放処理が実行される。この処理は主に、大当り遊技(特別遊技)中の動作として可動入球役物装置30の開閉動作を制御するためのものである。以下、手順例に沿って説明する。
【0453】
ステップS5502:主制御CPU72は、大入賞口30bを開放させる。具体的には、大入賞口ソレノイド90に対して印加する駆動信号を出力する。これにより、可動入球役物装置30が作動して閉止状態から開放状態に移行する。
【0454】
ステップS5504:次に主制御CPU72は、開放タイマカウントダウン処理を実行する。この処理では、先の大当り時役物装置作動開始処理(
図40中のステップS5008)で設定した開放タイマのカウントダウンを実行する。
【0455】
ステップS5506:続いて主制御CPU72は、開放時間が終了したか否かを確認する。具体的には、カウントダウン処理後の開放タイマの値が0以下であるか否かを確認し、未だ開放タイマの値が0以下になっていなければ(No)、主制御CPU72は次にステップS5508を実行する。
【0456】
ステップS5508:主制御CPU72は、入賞球数カウント処理を実行する。この処理では、開放時間内に可動入球役物装置30(開放中の大入賞口30b)に入賞した遊技球の個数をカウントする。具体的には、主制御CPU72は開放時間内にカウントスイッチ84から入力された入賞検出信号に基づいて、カウント数の値をインクリメントする。
【0457】
ステップS5510:次に主制御CPU72は、現在のカウント数が所定数(9個)未満であるか否かを確認する。この所定数は、上記のように開放1回(大当り中の1ラウンド、小当り時の1回)あたりに許容する入賞球数の上限(賞球数の上限)を定めたものである。未だカウント数が所定数に達していなければ(Yes)、主制御CPU72は特別遊技管理処理に復帰する。そして、次に特別遊技管理処理を実行すると、現段階ではジャンプ先が大当り時役物装置開放処理に設定されているので、主制御CPU72は上記のステップS5502~ステップS5510の手順を繰り返し実行する。
【0458】
上記のステップS5506で開放時間が終了したと判断するか(Yes)、もしくはステップS5510でカウント数が所定数に達したことを確認すると(No)、主制御CPU72は次にステップS5512を実行する。
【0459】
ステップS5512:主制御CPU72は、大入賞口30bを閉止させる。具体的には、大入賞口ソレノイド90に印加していた駆動信号の出力を停止する。これにより、可動入球役物装置30が開放状態から閉止状態に復帰する。
【0460】
ステップS5514:次に主制御CPU72は、インターバル待機処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は上記の大当り時役物装置作動開始処理(
図40中のステップS5010)で設定したインターバルタイマのカウントダウンを実行する。そして、インターバルタイマの値が0以下になると、次に主制御CPU72はステップS5518に進む。なお、ここでは特に図示していないが、インターバル時間が経過するまでの間(インターバルタイマ値が0になるまでの間)、割り込み毎に主制御CPU72はステップS5514から呼び出し元である特別遊技管理処理の末尾アドレスに復帰する。そして、次回の呼び出しで大当り時役物装置開放処理が実行されると、先頭のステップS5502からではなく直にステップS5514を実行する。
【0461】
ステップS5518:主制御CPU72は、開放回数カウンタの値をインクリメントする。なお、開放回数カウンタの値は、例えば初期値を0としてRAM76のカウント領域に記憶されている。
【0462】
ステップS5520:主制御CPU72は、インクリメント後の開放回数カウンタの値が現ラウンド内で設定した回数に達しているか否かを確認する。ここで、「現ラウンド内で設定した回数」を判断しているのは、「大当り中の1ラウンド内で可動入球役物装置30を複数回にわたり開放動作させる」という開放パターンに対応するためである。本実施形態では、1ラウンドに18回開放する開放パターンを採用しているので、「現ラウンド内で設定した回数」は、各ラウンドで18回に設定されている。そして、インクリメント後の開放回数カウンタの値が設定した回数(例えば「18」)に達した場合(Yes)、主制御CPU72は次にステップS5522に進むことになる。
【0463】
なお、1回の開放終了時に未だカウンタ値が設定した回数に達していない場合(ステップS5520:No)、主制御CPU72は特別遊技管理処理に復帰し、現段階ではジャンプ先が大当り時役物装置作動開始処理に設定されているので、上記のステップS5502~ステップS5520までの手順を繰り返し実行する。その結果、ステップS5518で開放回数カウンタのインクリメントが進み、そして、カウンタ値が設定した回数に達すると(Yes)、主制御CPU72は次にステップS5522に進むことになる。
【0464】
ステップS5522:ここで主制御CPU72は、特別遊技管理ステータスの値を「09H」に設定し、特別遊技管理処理に復帰する。このため、次に主制御CPU72が特別遊技管理処理を実行すると、ジャンプ先として次の大当り時役物装置閉鎖有効処理(
図32中のステップS5550)が選択されることになる。
【0465】
特に図示していないが、上記のように大当り時役物装置閉鎖有効処理は、可動入球役物装置30の開放から閉鎖に伴う時間を調整するために実行されるものである。この処理で主制御CPU72は「特別遊技管理ステータス」の値を「0AH」に更新し、特別遊技管理処理に復帰する。そして、次に主制御CPU72が特別遊技管理処理を実行すると、ジャンプ先として次の大当り時役物装置閉鎖処理(
図32中のステップS6000)が選択される。
【0466】
〔大当り時役物装置閉鎖処理〕
図42は、大当り時役物装置閉鎖処理の手順例を示すフローチャートである。この大当り時役物装置閉鎖処理は、上記のように可動入球役物装置30の閉鎖有効時間が経過した後、次の動作に移る前の内部状態を整えるためのものである。以下、具体的に説明する。
【0467】
ステップS6002:先ず主制御CPU72は、大入賞口閉鎖時間タイマカウントダウン処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は先の大当り時役物装置作動開始処理(
図40中のステップS5010)で設定した大当り時インターバルタイマ(大入賞口閉鎖時間タイマ)のカウントダウンを実行する。
【0468】
ステップS6004:続いて主制御CPU72は、閉鎖時間(インターバル時間)が終了したか否かを確認する。具体的には、カウントダウン処理後の大当り時インターバルタイマの値が0以下であるか否かを確認し、未だタイマの値が0以下になっていなければ(No)、主制御CPU72はここで大当り時役物装置閉鎖処理を終了し、特別遊技管理処理に復帰する。そして、次に特別遊技管理処理を実行すると、現段階では特別遊技管理ステータスが「0AH」に設定されているため、主制御CPU72は大当り時役物装置閉鎖処理を選択し、上記のステップS6002及びステップS6004の手順を繰り返し実行する。そして、ステップS6004で閉鎖時間が終了したと判断すると(Yes)、主制御CPU72は次にステップS6006を実行する。
【0469】
ステップS6006:主制御CPU72は、ラウンド数カウンタの値をインクリメントする。なお、ラウンド数カウンタの値は、例えば初期値を0としてRAM76のカウント領域に記憶されている。
【0470】
ステップS6008:主制御CPU72は、インクリメント後のラウンド数カウンタの値が設定した実行ラウンド数に達しているか否かを確認する。なお、実行ラウンド数は、先の大当り時役物装置作動開始処理(
図40中のステップS5006)で設定されたものである。このとき、ラウンド数カウンタの値が未だ実行ラウンド数に達していなければ(No)、主制御CPU72は次にステップS6014に進む。
【0471】
〔最終ラウンド終了前〕
ステップS6014:この場合、主制御CPU72は、現在のラウンド数カウンタの値に基づき、ラウンド数コマンドを設定する。ここで設定したラウンド数コマンドは、演出制御出力処理(
図28中のステップS214)で演出制御装置124に送信される。演出制御装置124は、受信したラウンド数コマンドに基づいて現在のラウンド数を認識し、その結果を大当り中の演出制御に反映させることができる。
【0472】
ステップS6016:そして主制御CPU72は、特別遊技管理ステータスの値を「0AH」から変更して「08H」に設定する。これにより、次に主制御CPU72が特別遊技管理処理を実行すると、主制御CPU72は再び大当り時役物装置開放処理(
図42)を選択し、次のラウンドでの可動入球役物装置30の開放動作が実行されることになる。
【0473】
ステップS6018:また、主制御CPU72は、今回のラウンド内でカウントした入賞球数カウンタをリセットする。これにより、再び大当り時役物装置開放処理(
図42)が実行された場合、次回のラウンド内での入賞球数が0からカウントされることになる。
【0474】
〔最終ラウンド終了時〕
この後、ステップS6008でラウンド数カウンタの値が設定した実行ラウンド数に達したことを確認すると(ステップS6008:Yes)、主制御CPU72は次にステップS6010に進む。
【0475】
ステップS6010:この場合、主制御CPU72は今回の大当りで用いたラウンド数カウンタをリセットする。
【0476】
ステップS6012:そして主制御CPU72は、特別遊技管理ステータスの値を「0AH」から「0BH」に更新して設定する。
ステップS6018:また、主制御CPU72は、最終ラウンド内でカウントした入賞球数カウンタをリセットする。
【0477】
最終ラウンド終了時に以上の手順を実行すると、主制御CPU72は特別遊技管理処理に復帰する。これにより、次に主制御CPU72が特別遊技管理処理を実行すると、ジャンプ先として次に大当り時役物装置作動終了処理(
図32中のステップS6500)が選択されることになる。
【0478】
〔大当り時役物装置作動終了処理〕
図43は、大当り時役物装置作動終了処理の手順例を示すフローチャートである。この大当り時役物装置作動終了処理は、大当りエンディング時間の経過等を確認するとともに、大当り遊技終了後の内部状態(特別図柄状態)を整えるためのものである。以下、具体的に説明する。
【0479】
ステップS6502:先ず主制御CPU72は、スイッチ入力イベント処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は主に排出検知スイッチ900からの検出信号を確認し、排出球数カウンタの値を加算する。排出球数カウンタの値は、例えばRAM76のカウント数領域に格納されている。
【0480】
ステップS6504:主制御CPU72は、残存球排出チェック処理を実行する(球数判定手段)。この処理では、主制御CPU72は上述した入賞球数カウンタの値と排出球数カウンタの値とを比較する。
【0481】
ステップS6506:そして主制御CPU72は、上記の比較結果に基づいて有効球の排出が完了したか否かを判断する。すなわち、入賞球数カウンタの値より排出球数カウンタの値が小さければ、主制御CPU72は未だ有効球の排出が完了していないと判断する(No)。この場合、主制御CPU72は次にステップS6524を実行する。これに対し、入賞球数カウンタの値より排出球数カウンタの値が小さくなければ(両者が一致した場合)、主制御CPU72は有効球の排出が完了したと判断し(Yes)、ステップS6508を実行する。
【0482】
ステップS6508:主制御CPU72は、大役終了コマンドが設定済みであるか否かを確認する。大役終了コマンドが設定済みであるか否かの判断は、大役終了コマンドの設定時にONにセットされる大役終了コマンド設定済みフラグにより実現することができる。
その結果、大役終了コマンドが設定済みであることを確認した場合(Yes)、主制御CPU72は、以下のステップS6510~ステップS6514をスキップして、ステップS6516を実行する。一方、大役終了コマンドが設定済みでないことを確認した場合(No)、主制御CPU72はステップS6510を実行する。
【0483】
ステップS6510:主制御CPU72は、大当りエンディング時間タイマカウントダウン処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は予め「大当りエンディング時間(エンディング演出時間)」として設定されている大当りエンディング時間タイマのカウントダウンを実行する。具体的には、本モジュールの初回呼び出し時であれば、主制御CPU72はここで大当りエンディング時間タイマの値に初期値を設定し、初回以降の呼び出し時であれば、主制御CPU72は設定済みの大当りエンディング時間タイマの値をデクリメントする。このときの「大当りエンディング時間」を利用して、7セグ表示器42の表示部内では大当り遊技のエンディング演出が実行される。
【0484】
ステップS6512:主制御CPU72は、大当りエンディング時間が経過したか否かを確認する。具体的には、カウントダウン処理後の大当りエンディング時間タイマの値が0以下であるか否かを確認する。未だタイマの値が0以下になっていなければ(No)、主制御CPU72はここで特別遊技管理処理(
図32)に復帰する。そして、次に特別遊技管理処理を実行すると、現段階では特別遊技管理ステータスが「0BH」に設定されているため、主制御CPU72は大当り時役物装置作動終了処理を選択し、上記のステップS6510及びステップS6512の手順を繰り返し実行する。そして、ステップS6512で大当りエンディング時間が経過したと判断すると(Yes)、主制御CPU72は次にステップS6514を実行する。
【0485】
ステップS6514:主制御CPU72は、大役終了コマンドを設定する(特別遊技終了情報通知手段)。このコマンドは、大当りエンディング時間が経過したことを演出制御装置124(演出制御CPU126)に通知するためのものである。ここで設定されたコマンドは、演出制御出力処理(
図28中のステップS214)において演出制御装置124に送信される。なお、主制御CPU72は、大役終了コマンドを設定した場合、大役終了コマンド設定済みフラグをONにセットする。大役終了コマンド設定済みフラグは、通常遊技に復帰した場合にOFFにセットされる。
【0486】
ステップS6515a:主制御CPU72は、時間短縮状態管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、時間短縮状態に関する制御を実行する。なお、処理の詳細は後述する。
ステップS6515b:主制御CPU72は、リミッタ管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は、リミッタに関する制御を実行する。なお、処理の詳細は後述する。
【0487】
ステップS6515c:主制御CPU72は、状態指定コマンドを生成する。具体的には、大役終了にともなって大当りフラグをリセットする。また、時間短縮機能作動フラグがセットされていなければ、遊技状態として「通常中」を表す状態指定コマンドを生成し、時間短縮機能作動フラグがセットされていれば、遊技状態として「時間短縮中」を表す状態指定コマンドを生成する。これら状態指定コマンドは、演出制御出力処理において演出制御装置124に送信される。
【0488】
ステップS6516:主制御CPU72は、客待ちタイマカウントダウン処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は予め「客待ち時間(大役終了コマンドを設定してから客待ち演出を実行するまでの時間;例えば5秒程度)」として設定されている客待ちタイマのカウントダウンを実行する。具体的には、本モジュールの初回呼び出し時であれば、主制御CPU72はここで客待ちタイマの値に初期値を設定し、初回以降の呼び出し時であれば、主制御CPU72は設定済みの客待ちタイマの値をデクリメントする。
【0489】
ステップS6518:主制御CPU72は、客待ち時間が経過したか否かを確認する。具体的には、カウントダウン処理後の客待ちタイマの値が0以下であるか否かを確認する。未だタイマの値が0以下になっていなければ(No)、主制御CPU72はここで特別遊技管理処理に復帰する。そして、次に特別遊技管理処理を実行すると、現段階では特別遊技管理ステータスが「0BH」に設定されているため、主制御CPU72は大当り時役物装置作動終了処理を選択し、上記のステップS6516及びステップS6518の手順を繰り返し実行する。そして、ステップS6518で客待ち時間が経過したと判断すると(Yes)、主制御CPU72は次にステップS6520を実行する。
【0490】
ステップS6520:次に主制御CPU72は、客待ち指定コマンドを設定する。このコマンドは、大役終了コマンド設定後から一定時間が経過したことを演出制御装置124(演出制御CPU126)に通知するためのものである。ここで設定されたコマンドは、演出制御出力処理(
図28中のステップS214)において演出制御装置124に送信される。
【0491】
ステップS6522:そして主制御CPU72は、特別遊技管理ステータスの値を「00H」に初期設定する。これにより、特別図柄に対応する遊技の進行状況が「変動待ち」の状態(始動条件を満たす状態)に遷移する。したがって、この状態に遷移することにより、各始動入賞口への新たな入賞を契機として作動記憶を追加し、特別図柄を変動(始動)させることが可能となる。
【0492】
一方、ステップS6506にて未だ有効球の排出が完了していないと判断した場合(No)、主制御CPU72は以下の処理を実行する。
【0493】
ステップS6524:主制御CPU72は、排出タイマカウントダウン処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は予め「排出時間(入球数と排出球数とが一致しているか否かを確認するための最大限の時間;例えば1分程度)」として設定されている排出タイマのカウントダウンを実行する。具体的には、本モジュールの初回呼び出し時であれば、主制御CPU72はここで排出タイマの値に初期値を設定し、初回以降の呼び出し時であれば、主制御CPU72は設定済みの排出タイマの値をデクリメントする。
【0494】
ステップS6526:主制御CPU72は、排出時間が経過したか否かを確認する。具体的には、カウントダウン処理後の排出タイマの値が0以下であるか否かを確認する。未だタイマの値が0以下になっていなければ(No)、主制御CPU72はここで特別遊技管理処理に復帰する。そして、次に特別遊技管理処理を実行すると、現段階では特別遊技管理ステータスが「0BH」に設定されているため、主制御CPU72は大当り時役物装置作動終了処理を選択し、上記のステップS6524及びステップS6526の手順を繰り返し実行する。そして、ステップS6526で排出時間が経過したと判断すると(Yes)、主制御CPU72は次にステップS6528を実行する。なお、排出タイマのカウントダウンの最中に、ステップS6506にて有効球の排出が完了したと判断された場合は(ステップS6506:Yes)、制御処理は本ループを抜けることになるので、ステップS6528は実行されない。
【0495】
ステップS6528:主制御CPU72は、排出球不足エラー状態コマンドを設定する(非終了情報通知手段)。このコマンドは、一定時間内に有効球の排出が完了しなかったことを演出制御装置124(演出制御CPU126)に通知するためのものである。ここで設定されたコマンドは、演出制御出力処理(
図28中のステップS214)において演出制御装置124に送信される。
【0496】
ステップS6522又はステップS6528の手順を終えると、主制御CPU72は特別遊技管理処理(
図32)に復帰し、残存球エラーコマンド設定処理(ステップS7000)及びソレノイド制御処理(ステップS7500)を実行した後、割込管理処理(
図28)に復帰する。これにより、以後の特別遊技管理処理では、特別図柄変動開始待ち処理(
図32中のステップS1500)が選択されることになる。
【0497】
〔時間短縮状態管理処理〕
図44は、時間短縮状態管理処理の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順に沿って説明する。
【0498】
ステップS6540:主制御CPU72は、今回の当選図柄が時間短縮状態に移行させる当選図柄であるか否かを確認する。本実施形態では、時間短縮状態に移行させる当選図柄は、「小当り図柄1」及び「小当り図柄2」である。なお、「小当り図柄1」を「小当り図柄1a」と「小当り図柄1b」に分け、「小当り図柄1a」を時間短縮状態に移行させる当選図柄とし、「小当り図柄1b」を時間短縮状態に移行させない当選図柄としてもよい。
【0499】
その結果、今回の当選図柄が時間短縮状態に移行させる当選図柄であることを確認した場合、主制御CPU72は、ステップS6542を実行する。一方、今回の当選図柄が時間短縮状態に移行させる当選図柄であることを確認できない場合、主制御CPU72は、大当り時役物装置作動終了処理(
図43)に復帰する。
【0500】
ステップS6542:主制御CPU72は、時短回数を設定する処理を実行する。設定する時短回数の値は、
図35及び
図36で説明した通りである。設定した時短回数の値は、時間短縮状態に関する回数切りカウンタ値として、RAM76の時短カウント領域に格納される。ここで設定した時短回数は、時間短縮状態での第1特別図柄又は第2特別図柄を変動させることができる上限回数となる。また、この処理において、主制御CPU72は、RAM76のフラグ領域にある遊技状態フラグとしての時間短縮機能作動フラグをON(01H)にセットする(時間短縮状態移行手段、時間短縮機能作動手段)。
【0501】
そして、大当り遊技を終了すると、主制御CPU72は遊技状態フラグ(時間短縮機能作動フラグ)に基づいて、遊技状態を時間短縮状態に移行させる(時間短縮状態移行手段)。「時間短縮状態」では時間短縮機能が作動し、普通図柄の作動抽選の当選確率が通常確率(低確率:例えば6万分の1)から高確率(例えば略1分の1)に設定され、また、普通図柄の変動時間が短縮されるとともに可変始動入賞装置28の開放時間が延長され、開放回数が増加する(いわゆる電チューサポートが行われる)。
なお、いわゆる2種遊技機の要素を含む遊技機(例えば、1種2種混合機や2種遊技機、すなわち、小当り遊技中に遊技球が特定領域を通過することによって大当り遊技が実行される遊技機)においては、普通図柄の作動抽選の当選確率を高確率状態に移行させないようにしてもよい。この場合、普通図柄の作動抽選の当選確率は、時間短縮機能の作動の有無に関わらずに一定の確率(例えば略1分の1)とし、可変始動入賞装置28の開放パターンで入賞の容易さと困難さを調整することができる。
【0502】
〔リミッタ管理処理〕
図45は、リミッタ管理処理の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順に沿って説明する。
【0503】
ステップS6600:主制御CPU72は、今回の当選が非時間短縮状態での当選であるか否かを確認する。具体的には、主制御CPU72は、当選時の内部状態をRAM76に記憶しておくことにより、当選時の内部状態を確認することができる。
【0504】
その結果、今回の当選が非時間短縮状態での当選であることを確認した場合、主制御CPU72は、ステップS6602を実行する。一方、今回の当選が非時間短縮状態での当選であることを確認できない場合、主制御CPU72は、ステップS6604を実行する。
【0505】
ステップS6602:主制御CPU72は、リミッタ回数をリセットする(0を設定する)処理を実行する。ここで、リミッタ回数は、特別遊技(大当り遊技)を連続して実行することが可能な連続回数を示している。本実施形態では、4回(=初当り1回+時短中3回)の大当り遊技をワンセットとする遊技仕様を採用しており、リミッタ回数の値の初期値は「0」である。リミッタ回数の値は、「0」、「1」、「2」又は「3」のいずれかの値をとる。
本処理を終えると、主制御CPU72は、大当り時役物装置作動終了処理(
図43)に復帰する。
【0506】
ステップS6604:主制御CPU72は、リミッタ回数を加算(+1)する処理を実行する。
【0507】
ステップS6606:主制御CPU72は、「リミッタ回数」の値と、規定値(上限値;例えば「3」)とが一致しているか否かを確認する。
【0508】
その結果、「リミッタ回数」の値と、規定値とが一致していることを確認した場合(Yes)、主制御CPU72は、ステップS6608を実行する。一方、「リミッタ回数」の値と、規定値とが一致していることを確認できない場合、主制御CPU72は、大当り時役物装置作動終了処理(
図43)に復帰する。
【0509】
ステップS6608:主制御CPU72は、非時間短縮状態への移行処理を実行する。
本処理において、主制御CPU72は、時間短縮状態への移行に係わる制限を行う規定値到達時処理を実行する(規定値到達時処理実行手段)。具体的には、主制御CPU72は、時短回数が設定されていたとしてもその時短回数を0に設定する処理を実行したり、時間短縮機能作動フラグをOFFにセットしたりする処理を実行する。これにより、リミッタ到達時には非時間短縮状態に強制的に移行される。
【0510】
そして、以上の処理を終えると、主制御CPU72は、大当り時役物装置作動終了処理(
図43)に復帰する。
【0511】
〔ソレノイド制御処理〕
図46は、ソレノイド制御処理の手順例を示すフローチャートである。このソレノイド制御処理は、上記のように「特別遊技管理ステータス」の値にかかわらず、毎回の割り込みにおいて実行される。以下、手順例に沿って説明する。
【0512】
ステップS7502:主制御CPU72は、現在の「特別遊技管理ステータス」の値が「07H」~「0BH」のいずれかであるか否かを確認する。ここで、「特別遊技管理ステータス」の値が「07H」~「0BH」のいずれかに設定されるのは、遊技フロー上で大当り時に可動入球役物装置30が作動している状態である。
【0513】
その結果、「特別遊技管理ステータス」の値が「07H」~「0BH」のいずれかであることを確認した場合、主制御CPU72は、ステップS7504を実行する。一方、「特別遊技管理ステータス」の値が「07H」~「0BH」のいずれでもないことを確認した場合、主制御CPU72は、ステップS7506を実行する。
【0514】
ステップS7504:主制御CPU72は、上昇装置誘導路ソレノイド95を作動させる。これにより、大当り遊技中は、上昇装置610に遊技球が誘導されることなく排出される。
【0515】
ステップS7506:主制御CPU72は、上昇装置誘導路ソレノイド95を非作動(OFF)にする。これにより、大当り遊技中以外の場合は、上昇装置610に遊技球が誘導される。
【0516】
〔モータ管理処理〕
図47は、割込管理処理の中で実行されるモータ管理処理(
図28中のステップS209)の手順例を示すフローチャートである。以下、手順例に沿って説明する。
【0517】
ステップS2800:先ず主制御CPU72は、原点監視処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は各種モータ(振分体モータ213、本体部モータ402及びコンベアモータ214)の原点位置を監視する必要があるか否かを確認し、監視する必要があれば、各原点検出機構からの検出信号を取得する。
【0518】
ステップS2802:次に主制御CPU72は、各種モータについて電源投入時動作が完了しているか否かを確認する。このときパチンコ機1の電源投入直後であり、未だ各種モータについて電源投入時の動作が完了していなければ(No)、主制御CPU72はステップS2804を実行する。
【0519】
ステップS2804:この場合、主制御CPU72は電源投入時動作処理を実行する。これにより、例えば各種モータ(振分体モータ213、本体部モータ402及びコンベアモータ214)は、それぞれ一定方向に一定速度で回転を開始する。そして、本体部モータ402は、所定の電源投入時動作パターンを実行した後に原点位置で停止する。また、振分体モータ213及びコンベアモータ214は、パチンコ機1の電源投入時(電源OFF等の停電時以外)から電源遮断時まで一定の動作パターンに基づいて動作する。この後、電源投入時動作が完了すると、先のステップS2802で動作完了(Yes)と判定されるため、以後はステップS2804がスキップされる。
【0520】
ステップS2806:主制御CPU72は、可動入球役物装置30の小当り時の作動に備えて「特別遊技管理ステータス」の値が「04H」であるか否かを監視する。「特別遊技管理ステータス」の値が「04H」以外であれば、主制御CPU72はステップS2808をスキップする。一方、「特別遊技管理ステータス」の値が「04H」であれば、可動入球役物装置30の小当り時の作動契機が発生したものとして、主制御CPU72はステップS2808を実行する。
【0521】
ステップS2808:主制御CPU72は、小当り時モータ管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は例えば小当り時における本体部モータ402の駆動状態を制御する。具体的には、主制御CPU72は、可動入球役物装置30が作動を開始してから(小当り時の特別図柄の停止時間が終了してから)、一定の速度かつ一定の時間で、本体部モータ402を動作させる動作パターン(例えば、
図24中(C)に示す本体部モータの動作パターン)により、本体部モータ402を可動する。これにより、本体部モータ402による正常な振り分け動作を実現することができる。
【0522】
ステップS2810:主制御CPU72は、可動入球役物装置30の大当り時の作動に備えて「特別遊技管理ステータス」の値が「07H」~「0BH」であるか否かを監視する。「特別遊技管理ステータス」の値が「07H」~「0BH」以外であれば、主制御CPU72はステップS2812をスキップする。一方、「特別遊技管理ステータス」の値が「07H」~「0BH」の範囲内であれば、可動入球役物装置30の大当り時の作動契機が発生したものとして、主制御CPU72はステップS2812を実行する。
【0523】
ステップS2812:主制御CPU72は、大当り時モータ管理処理を実行する。この処理では、主制御CPU72は例えば大当り中における本体部モータ402の駆動状態を制御する。具体的には、主制御CPU72は、一定の速度かつ一定の時間で、大当り遊技中に本体部モータ402を動作させる動作パターンにより、本体部モータ402を制御する。これにより、大当り遊技中には、本体部モータ402が回転を継続し、タワー本体部400を継続して回転させることができる。なお、大当り遊技中は、本体部モータ402の動作を停止してもよい。
以上の手順を終えると、主制御CPU72は割込管理処理(
図28)に復帰する。
【0524】
〔表示出力管理処理〕
図48は、割込管理処理の中で実行される表示出力管理処理(
図28中のステップS212)の手順例を示すフローチャートである。表示出力管理処理は、特別図柄表示設定処理(ステップS1200)、普通図柄表示設定処理(ステップS1210)、状態表示設定処理(ステップS1220)、作動記憶表示設定処理(ステップS1230)、連続作動回数表示設定処理(ステップS1240)のサブルーチン群を含む構成である。
【0525】
特別図柄表示設定処理(ステップS1200)、普通図柄表示設定処理(ステップS1210)及び作動記憶表示設定処理(ステップS1230)では、上述したように第1特別図柄表示装置34、第2特別図柄表示装置35、普通図柄表示装置33及び普通図柄作動記憶ランプ33aの各LEDに対して印加する駆動信号を生成及び出力する処理を実行する。
【0526】
状態表示設定処理(ステップS1220)及び連続作動回数表示設定処理(ステップS1240)では、遊技状態表示装置38の各LEDに対して印加する駆動信号を生成及び出力する処理を実行する。
【0527】
このうち、状態表示設定処理では、主制御CPU72は、時間短縮機能作動フラグの値に応じて時短状態表示ランプ38eの点灯を制御する。例えば、時間短縮機能作動フラグに値(01H)がセットされていれば、主制御CPU72は時短状態表示ランプ38e及び発射位置指定表示ランプ38fに対応するLEDに対して点灯信号を出力する。
【0528】
一方、連続作動回数表示設定処理では、主制御CPU72は、大当り遊技中に、大当り種別表示ランプ38aの点灯を制御する。本実施形態では、「10ラウンド大当り遊技」しかないので、主制御CPU72は「10ラウンド(10R)」を表すランプ38aに対して点灯信号を出力する。
【0529】
以上のように本実施形態のパチンコ機1では、主制御CPU72による制御処理の実行に伴って特別図柄遊技の進行状況が遷移していく。さらに特別図柄遊技では、可動入球役物装置30内での遊技球の振り分け動作の結果に応じて大当り遊技又は通常遊技へと進行状況が大きく分岐することになる。
【0530】
このため本実施形態では、実際の遊技の進行状況に応じて主に7セグ表示器42を用いた演出を行い、遊技者に進行状況の遷移を分かりやすく伝達している。以下、7セグ表示器42を用いた演出について例を挙げて説明する。
【0531】
〔演出例〕
7セグ表示器42は、3つの(3桁の)7セグメントLED(ドット付き)により各種演出を表示することができる(演出実行手段)。3つの7セグメントLEDのうち、2つの7セグメントLEDは、7セグ表示器42の左側領域に配置され、残りの1つの7セグメントLEDは、7セグ表示器42の右側領域に配置されている。
【0532】
〔小当り時演出〕
図49は「小当り図柄1」に該当した場合に実行される演出の例を示す図である。また、
図50及び
図51は、「小当り図柄2」に該当した場合に実行される演出の例を示す連続図である。
本実施形態では、特別図柄抽選での小当り当選を契機として可動入球役物装置30の大入賞口30bを開放させているため、大入賞口30bが開放している際には遊技球を大入賞口30bに入賞させることを促すために以下の演出を実行している。
【0533】
〔演出開始前〕
図49中(A):パチンコ機1において遊技を開始した段階では、7セグ表示器42ではこれといった演出が行われていない。ただし、一定期間、遊技が実行されていなければ、客待ち指定コマンドに基づいて図示しないデモ演出を実行することができる。そして、遊技者はグリップユニット16を操作して遊技領域に遊技球を打ち出す。
【0534】
〔左始動入賞口への入球〕
図49中(B):遊技球が左始動入賞口26に入球すると、第1特別図柄が変動を開始する。第1特別図柄の変動時間は、極端に短い時間(例えば、0.5秒程度)に設定されている。また、第1特別図柄抽選の小当り確率は略1分の1であるため、第1特別図柄が変動を開始すると、「小当り図柄1」に対応する態様により、第1特別図柄がすぐさま停止表示される。そして、第1特別図柄が「小当り図柄1」に対応する態様で停止表示されたことを契機として可動入球役物装置30が1回だけ作動し、大入賞口30bを1回開放する。そして、7セグ表示器42では、この1回開放を教示するための演出(例えば、「1」の文字情報を表示する演出)が実行されている。
【0535】
〔可動入球役物装置の作動終了〕
図49中(C):可動入球役物装置30が小当り図柄1に該当した場合の規定の開放時間(例えば0.425秒)にわたって開放すると、可動入球役物装置30は大入賞口30bを閉じて作動を終了する。
【0536】
〔演出開始前〕
図50中(A):遊技者が、グリップユニット16を操作して遊技球を右打ちしたものとする。このような状況が発生するのは、主に、時間短縮状態で遊技を実行する場合である。そして、遊技球が始動ゲート20を通過すると、普通図柄が変動を開始し、普通図柄が当選の態様で停止表示されると、可変始動入賞装置28が開放する。
【0537】
〔右始動入賞口への入球〕
図50中(B):遊技球が右始動入賞口28bに入球すると、第2特別図柄が変動を開始する。第2特別図柄の変動時間も、極端に短い時間(例えば、0.5秒程度)に設定されている。また、第2特別図柄抽選の小当り確率は略1分の1であるため、第2特別図柄が変動を開始すると、「小当り図柄2」に対応する態様により、第2特別図柄がすぐさま停止表示される。そして、第2特別図柄が「小当り図柄2」に対応する態様で停止表示されたことを契機として可動入球役物装置30が2回作動し、大入賞口30bを2回開放する。そして、7セグ表示器42では、この2回開放を教示するために、「2」の表示がなされている。
【0538】
〔可動入球役物装置の1回目の作動終了〕
図50中(C):可動入球役物装置30が規定の開放時間(例えば0.8秒)にわたって開放すると、可動入球役物装置30は大入賞口30bを閉じて1回目の作動を終了する。
【0539】
〔可動入球役物装置の2回目の作動開始〕
図51中(D):第2特別図柄が「小当り図柄2」に対応する態様で停止表示された場合、可動入球役物装置30は、2回開放することになる。そして、1回目の作動が終了し、1回目の作動と2回目の作動との間にあるインターバル時間が経過したことを契機として、可動入球役物装置30が再び作動を開始し、大入賞口30bを開放する。ここでも同様に、7セグ表示器42では、この2回開放を教示するために、「2」の表示が継続されている。
【0540】
〔可動入球役物装置の2回目の作動終了〕
図51中(E):可動入球役物装置30が規定の開放時間(例えば0.8秒)にわたって開放すると、可動入球役物装置30は大入賞口30bを閉じて2回目の作動を終了する。
【0541】
〔大入賞口入球時演出〕
図52は、小当り時に開放した大入賞口30bに遊技球が入球した場合に実行される演出の例を示す図である。
【0542】
〔大入賞口開放〕
図52中(A):第1特別図柄が「小当り図柄1」に対応する態様で停止表示されたことを契機として可動入球役物装置30の大入賞口30bが開放している。そして、図示の例では、可動入球役物装置30の大入賞口30bに遊技球が入球している。
【0543】
〔遊技球検出〕
図52中(B):可動入球役物装置30の大入賞口30bに遊技球が入球すると、遊技球は可動入球役物装置30の内部に進入し、カウントスイッチ84により遊技球の通過が検出される。カウントスイッチ84により遊技球の通過が検出されると、7セグ表示器42では入球演出が実行される。入球演出は、例えば7セグ表示器42の表示領域で小さな丸印を上下に移動させる演出である。
【0544】
〔入球演出継続〕
図52中(C):カウントスイッチ84を通過した遊技球は、この後、可動入球役物装置30内で特定領域を通過して排出されるか、特定領域を通過しないで排出されるかの振分動作が行われる。7セグ表示器42での入球演出は、次に遊技球が演出スイッチ800により検出されるか、排出検知スイッチ900により検出されるまで継続される。
【0545】
〔チャンス領域孔入球時演出〕
図53は、チャンス領域孔に遊技球が入球した場合に実行される演出の例を示す図である。
チャンス領域孔514は、第1振分動作に成功した場合に遊技球が入球する孔であり、チャンス領域孔514に遊技球が入球すると、役物遊技が継続することになる。この場合、役物遊技継続演出を実行することにしている。
【0546】
〔回転ステージ到達〕
図53中(A):図示の例では、回転ステージ510に遊技球が到達しており、さらに遊技球は回転ステージ510の誘導溝512に乗っている。ここでは、7セグ表示器42の表示領域で小さな丸印を上下に移動させる入球演出が継続されている。
【0547】
〔演出スイッチでの遊技球検出〕
図53中(B):そして、回転ステージ510から運良くチャンス領域孔514に遊技球が入球すると、遊技球はチャンス領域孔514からさらに可動入球役物装置30の内部に進入し、チャンス領域孔514の下流にある演出スイッチ800により遊技球の通過が検出される。演出スイッチ800により遊技球の通過が検出されると、7セグ表示器42では役物遊技継続演出が実行される。役物遊技継続演出としては、例えば7セグ表示器42の表示領域に、役物遊技が継続することを強調する演出(例えば、goの文字を表示する演出)が実行される。
【0548】
〔特定領域等通過時演出〕
図54及び
図55は、遊技球が各種領域(特定領域や特殊領域等)を通過した場合に実行される演出の例を示す図である。
【0549】
〔スペシャルルート〕
図54中(A):ルート振分部200での振り分け動作の結果、遊技球がスペシャルルート誘導路210を通過すると、スペシャルルートスイッチ902により遊技球の通過が検出される。この場合、7セグ表示器42では、遊技球がスペシャルルートに進んだことを示すスペシャルルート移行演出(例えば、スペシャルルートの頭文字である「SP」の文字を表示する演出)が実行される。
【0550】
〔アウト通路通過〕
図54中(B):第1展望台ステージ620での振り分け動作の結果、遊技球がアウト通路を通過し、排出検知スイッチ900により遊技球の通過が検出されると、はずれ演出が実行される。はずれ演出は、7セグ表示器42において、はずれに対応する情報を表示する演出(例えば、「-(バー)」を表示する演出)である。なお、このようなはずれ演出は、遊技球がはずれ孔516に入球した場合や、第2展望台ステージ630での振り分け動作の結果、遊技球がアウト通路を通過し、排出検知スイッチ900により遊技球の通過が検出された場合にも同様に実行される。
【0551】
〔特殊領域通過〕
図55中(C):第1展望台ステージ620での振り分け動作の結果、遊技球が特殊領域を通過し、特殊領域スイッチ901により遊技球の通過が検出されると、遊技上では第1展望台ステージ620から第2展望台ステージ630に遊技球を上昇させる動作が実行される。このとき、7セグ表示器42では、遊技球の上昇に合わせて上昇中演出(例えば、上昇を意味する「UP」の文字を表示する演出)が実行される。
【0552】
〔特定領域通過〕
図55中(D):第2展望台ステージ630での振り分け動作の結果、遊技球が特定領域を通過し、特定領域スイッチ701により遊技球の通過が検出されると、遊技上では10ラウンド大当り遊技が実行される。このとき、7セグ表示器42では、10ラウンド大当り遊技の実行に合わせて大当り遊技中演出(例えば、「10」の文字を表示する演出)が実行される。
【0553】
〔大役中演出〕
図56~
図59は、「10ラウンド大当り」に該当した場合の大当り遊技中に実行される大役中演出を示す連続図である。
【0554】
〔2ラウンド開始時〕
図56中(A):遊技球が特定領域を通過すると、10ラウンド大当り遊技が開始される。そして10ラウンド大当り遊技が開始されたことにより、可動入球役物装置30の大入賞口30bが開放している。なお、大当り遊技は、小当り遊技での可動入球役物装置30の作動が1ラウンド目に該当するため、2ラウンド目から開始される。
【0555】
そして、大当り遊技の2ラウンド目が開始されると、7セグ表示器42の左側の表示領域では、現在のラウンド数を示す「2」の表示がなされている。また、図示の例では、遊技球が未だ1つもカウントされていない状態であるため、7セグ表示器42の右側の表示領域では、遊技球のカウント数を示す「0」の表示がなされている。
【0556】
図56中(B):大当り遊技の2ラウンド目の実行中に、可動入球役物装置30の大入賞口30bに遊技球が入球する。入球した遊技球は可動入球役物装置30の内部に進入し、カウントスイッチ84により遊技球の通過が検出される。カウントスイッチ84により遊技球の通過が検出されると、7セグ表示器42ではカウント数の更新演出が実行される。具体的には、7セグ表示器42の右側の表示領域に表示されている「0」の表示が「1」の表示に変更される。なお、可動入球役物装置30は、大入賞口が所定回数開放(例えば18回開放)するか、もしくは規定個数(例えば9個)の遊技球の入球があるかのいずれかの条件が満たされるまで1回のラウンドを継続する。そして、ここでは、可動入球役物装置30は、大入賞口30bを閉じて閉鎖している。
なお、特に図示はしていないが、遊技球のカウント数の更新演出に付随して、各種ランプ46~52や盤面ランプ53等を徐々に点灯させていく演出を実行してもよい。
【0557】
図56中(C):大当り遊技の2ラウンド目の実行中に、再び可動入球役物装置30の大入賞口30bに遊技球が入球する。入球した遊技球は可動入球役物装置30の内部に進入し、カウントスイッチ84により遊技球の通過が検出される。カウントスイッチ84により遊技球の通過が検出されると、7セグ表示器42ではカウント数の更新演出が実行される。具体的には、7セグ表示器42の右側の表示領域に表示されている「1」の表示が「2」の表示に変更される。
【0558】
図57中(D):そして、大当り遊技の2ラウンド目の実行中に、9個目の遊技球が可動入球役物装置30の大入賞口30bに入球し、入球した遊技球がカウントスイッチ84により検出される。カウントスイッチ84により遊技球の通過が検出されると、7セグ表示器42ではカウント数の更新演出が実行される。具体的には、7セグ表示器42の右側の表示領域に表示されている表示が「9」に変更される。この場合、可動入球役物装置30は、規定個数(例えば9個)の遊技球の入球があったという条件を満たしたものとして、可動片30aを閉じて2ラウンド目を終了させる。
【0559】
〔大入賞口閉鎖演出〕
図57中(E):2ラウンド目が終了したことを契機として大入賞口閉鎖演出が実行される。大入賞口閉鎖演出は、例えば7セグ表示器42の表示領域で小さな丸印を上下に移動させる演出である。
また、遊技球のカウント数の更新演出に付随して、各種ランプ46~52や盤面ランプ53等を徐々に点灯させていく演出を実行している場合は、それらを消灯させる演出(更新演出をリセットする演出)も合わせて実行する。
【0560】
〔大入賞口閉鎖演出継続〕
図57中(F):7セグ表示器42での大入賞口閉鎖演出は、大入賞口の閉鎖時間が終了するまで継続される。図示の例では、7セグ表示器42の表示領域で小さな丸印を上下に移動させる演出が継続されている。
【0561】
〔3ラウンド目〕
図58中(G):2ラウンド目の大入賞口の閉鎖時間が終了すると、10ラウンド大当り遊技の3ラウンド目が開始される。そして3ラウンド目が開始されたことにより、可動入球役物装置30の可動片30aが開いて大入賞口30bが開放している。
【0562】
そして、大当り遊技の3ラウンド目が開始されると、7セグ表示器42の左側の表示領域では、現在のラウンド数を示す「3」の表示がなされている。また、図示の例では、大当り遊技の3ラウンド目において、遊技球が未だ1つもカウントされていない状態であるため、7セグ表示器42の右側の表示領域では、遊技球のカウント数を示す「0」の表示がなされている。
【0563】
〔10ラウンド目〕
図58中(H):その後、順調に大当り遊技が進行し、最終の10ラウンド目に移行している。図示の例では、7セグ表示器42の左側の表示領域では、現在のラウンド数を示す「10」の表示がなされている。また、図示の例では、最終の10ラウンドにおいて既に遊技球が8つカウントされており、7セグ表示器42の右側の表示領域では、遊技球のカウント数を示す「8」の表示がなされている。
【0564】
図58中(I):そして、大当り遊技の10ラウンド目の実行中に、9個目の遊技球が可動入球役物装置30の大入賞口30bに入球し、入球した遊技球がカウントスイッチ84により検出される。カウントスイッチ84により遊技球の通過が検出されると、7セグ表示器42ではカウント数の更新演出が実行される。具体的には、7セグ表示器42の右側の表示領域に表示されている表示が「8」から「9」に変更される。この場合、可動入球役物装置30は、規定個数(例えば9個)の遊技球の入球があったという条件を満たしたものとして、可動片30aを閉じて10ラウンド目を終了させる。
【0565】
〔大入賞口閉鎖演出〕
図59中(J):10ラウンド目が終了したことを契機として大入賞口閉鎖演出が実行される。大入賞口閉鎖演出は、例えば7セグ表示器42の表示領域で小さな丸印を上下に移動させる演出である。なお、10ラウンド目の大入賞口閉鎖演出は、2ラウンドの終了後に実行される大入賞口閉鎖演出と同様の内容である。
【0566】
〔大入賞口閉鎖演出継続〕
図59中(K):7セグ表示器42での大入賞口閉鎖演出は、大入賞口の閉鎖時間が終了するまで継続される。図示の例では、7セグ表示器42の表示領域で小さな丸印を上下に移動させる演出が継続されている。
【0567】
〔大役終了演出〕
図59中(L):大当り遊技の最終ラウンド(10ラウンド)での大入賞口閉鎖演出が終了すると、大入賞口閉鎖演出が開始されてから一定時間経過後(例えば1.5秒経過後)に、大役終了演出が実行される。図示の例では、7セグ表示器42の左側の表示領域に英語の「En」の文字が表示され、右側の表示領域に英語の「d」の文字が表示される。これにより、「End」の文字が完成することになり、遊技者に対して大当り遊技が終了したということを教示することができる。そして、この時点で大役終了演出は終了となる。
【0568】
なお、特に図示はしていないが、大役終了演出においては、各種ランプ46~52や盤面ランプ53等を全て消灯させたり、中央役物装置300のタワー本体部400に内蔵されているLEDを点灯させたりして、大当り遊技が終了したということを強調する演出を実行してもよい。
【0569】
次に、演出制御装置124の演出制御CPU126により実行される制御上の処理について説明する。
【0570】
〔演出制御装置におけるCPU初期化処理(メイン)処理〕
図60は、演出制御装置におけるCPU初期化処理及び演出制御メイン処理の手順例を示すフローチャートである。
【0571】
CPU初期化処理は、演出制御装置124内の各種情報のクリア等を行ってパチンコ機1の初期状態を整える処理であり、演出制御装置124の起動時(より具体的には、パチンコ機1への電源投入時や、何らかの要因又はサブリセットにより演出制御装置124が再起動された場合等)に演出制御CPU126により実行される。CPU初期化処理が実行されることにより、パチンコ機1における安定した演出の実現が保証される。
【0572】
図60中(A)は、演出制御装置124におけるCPU初期化処理の手順例を示すフローチャートである。以下、手順例に沿って説明する。
【0573】
ステップS300:演出制御CPU126は、CPUのリセットを解除する。演出制御CPU126は、演出制御装置124における正常な動作を保証するために、演出制御装置124への電源投入後にCPUにリセットをかけ、出力電圧が動作保証レベルまで正常に立ち上がり周辺回路が安定するまでの間、リセット状態を継続させる。こうすることにより、演出制御装置124が安定していない状態でプログラムが作動するのを回避することができる。CPUのリセットが解除されると、これを契機として演出制御装置124における制御プログラムの実行が開始される。
【0574】
ステップS310:演出制御CPU126は、システム初期化処理を実行する。システム初期化処理においては、演出制御の実体に相当する各種の割込処理が開始される前に必要となる初期設定として、ハードウェアに関する初期設定やシステムの動作設定等が行われる。システム初期化処理では、例えば、演出制御CPU126の各レジスタやI/Oポート、演出制御CPU126に接続される各デバイスへのアクセスに関する設定の他、RAM130(メインメモリ)やコマンドバッファのクリア等が行われる。
【0575】
ステップS320:演出制御CPU126は、タスク実行前処理を実行する。ここで「タスク」とは、割込の発生に起因して実行される個々の処理のことをいう。タスク実行前処理では、タスクを実行するための事前準備が行われる。例えば、演出制御装置124にはパチンコ機1の裏側から視認可能な複数のLEDランプ(以下、「ステータスLED」と称する。)が設けられており、これらのLEDランプを用いて演出制御装置124の内部状態が複数の点灯パターンにより報知されるが、このステータスLEDの初期状態の設定はタスク実行前処理の中で行われる。その他にも、主制御装置70から送信される演出コマンドを受信する上で必要となるコマンド入出力ポートに対する周波数の設定や、RTC184のセットアップ、割込の許可等が行われる。タスク実行前処理が終了すると、ステータスLEDが初期化処理の完了を示す態様で点灯し、各種演出コマンドの受信が可能となるとともに、各種の割込が発生し得る状態に移行する。
【0576】
なお、演出制御装置124では、予め設定された時間間隔で発生するタイマ割込や、演出制御装置124上で所定のイベントが発生したことに起因して発生するイベント割込等、種類の異なる多様な割込が発生し得る。以降の説明においては、一定の間隔で定期的に発生する割込(例えば、タイマ割込や一定の周期で発生するイベント割込等)のことを「定期割込」と称する。個々の割込には優先順位が予め設定されており、割込が発生すると、演出制御CPU126はこれを優先順位に従って制御しつつ対応する割込処理を実行することとなる。
【0577】
ステップS330:演出制御CPU126は、演出制御メイン処理を実行する。演出制御メイン処理においては、遊技の進行に伴い実行される制御のうち、各種タスクでは実行されないその他の処理が実行される。
【0578】
図60中(A)に示されるように、演出制御メイン処理は無限ループの中に組み込まれており、演出制御CPU126は、演出制御メイン処理を1回実行し終えると所定の実行間隔を置いてから次の演出制御メイン処理の実行を再び開始する。したがって、パチンコ機1への電力供給が維持されており、かつ演出制御装置124が再起動されない限り、演出制御CPU126は演出制御メイン処理を繰り返し実行し続ける。また、演出制御メイン処理の実行中には、様々な要因を契機として各種の割込が発生し、演出制御CPU126は発生した個々の割込に応じた処理を実行する。これらの処理において、液晶表示器41や7セグ表示器42への表示制御、スピーカ54,55,56への音声出力制御、ランプ46~53や可動体モータ47の駆動制御等が行われて、演出制御装置124に接続された各デバイスが制御されることにより、演出内容が構築され演出が具現化される。
【0579】
このように、
図60中(A)の無限ループは演出制御装置124におけるメインループに相当し、演出制御メイン処理は、演出制御装置124において実行されるメイン処理として位置づけられる。
【0580】
図60中(B)は、演出制御装置124においてCPU初期化処理のメインループ中に実行される演出制御メイン処理の手順例を示すフローチャートである。以下、手順例に沿って説明する。
【0581】
ステップS340:演出制御CPU126は、電圧制御監視処理を実行する。電圧制御監視処理においては、演出制御CPU126は、外部ドライバに供給している5V信号の遮断を一定時間で解除するための監視処理を行う。ランプや可動体等に対し同時に電圧が印可されると、突入電流によりランプや可動体等が過剰に発熱して誤作動や故障につながるおそれがある。そこで、電圧を印加するタイミング(信号の解除タイミング)をずらして突入電流を分散させ、ランプや可動体等を発熱から保護している。
【0582】
ステップS350:演出制御CPU126は、ウォッチドッグクリア処理を実行する。
例えば、演出制御装置124には、演出制御CPU126に接続されたウォッチドッグタイマや演出制御CPU126の内蔵機能を利用したウォッチドッグタイマ、制御プログラムによりるウォッチドッグタイマを実装することができる。この場合、演出制御装置124では、3種類のウォッチドッグタイマが作動しており、各ウォッチドッグタイマが異なる監視時間により、定期割込が正常に発生しているか(定期割込の発生を契機として実行される定期割込処理が正常に実行されているか)否かを監視することができる。ウォッチドッグクリア処理においては、演出制御CPU126は、定期割込処理が正常に実行された場合に全てのウォッチドッグタイマのクリア等を実行する。なお、ウォッチドッグタイマは3種類未満であってもよく、4種類以上であってもよい。
【0583】
以上の手順を終えると、演出制御CPU126は、CPU初期化処理のメインループ(
図60中(A))に復帰して、再び演出制御メイン処理を実行する。なお、演出制御メイン処理は、演出制御装置124が正常な状態においては、ほぼ一定の間隔で実行される。例えば、正常時には演出制御メイン処理は、別途実行される割込処理から復帰している間にフレーム割込を契機として33.3ms毎(16.6ms間隔で発生するフレーム割込が2回発生する毎)に呼び出され、その間に各ステップの処理が一巡する。したがって、演出制御メイン処理の各ステップS340,S350が遅滞なく一巡した場合には、演出制御CPU126は、次回の演出制御メイン処理を呼び出すまでの残り時間に待機処理を行い、その間はスタート処理を待機(スリープ)状態に遷移させる。残り時間の消化に伴い、演出制御CPU126は待機処理を終了してメインループに復帰し、次回の演出制御メイン処理を呼び出すこととなる。
【0584】
〔演出制御装置における割込処理〕
図61は、演出制御装置における割込処理の手順例を示すフローチャートである。
なお、フレーム割込処理及びフェーズ割込処理は、タイマ割込処理であり、DMA終了割込処理は、イベント割込処理である。
【0585】
演出制御CPU126は、
図60中(A)のメインループの実行中に発生する各種割込に応じた割込処理を実行する。以下、割込処理毎に手順例に沿って説明する。
【0586】
図61中(A):フレーム割込処理の手順例を示すフローチャートである。フレーム割込は、16.6ms間隔で1回ずつ(1秒間に60回)発生する割込である。演出制御CPU126は、フレーム割込の発生を契機としてフレーム割込処理を実行する。
【0587】
ステップS1310:演出制御CPU126は、フレーム割込監視フラグをセットし、フラグ値を「1」にする。フレーム割込監視フラグは、フレーム割込が正常に発生しているか否かを確認するために用いるフラグであり、RAM130に記憶される。
【0588】
ステップS1312:演出制御CPU126は、フレーム割込制御処理を実行する。フレーム割込制御処理においては、フレーム割込処理に起因して実行される様々なタスクの制御が実行される。
【0589】
以上の手順を終えると、演出制御CPU126はメインループ(
図60中(A))に復帰する。
【0590】
図61中(B):フェーズ割込処理の手順例を示すフローチャートである。フェーズ割込は、演出制御装置124の内部デバイスを制御するための割込であり、520μs間隔で1回ずつ(1秒間に1920回)発生する。演出制御CPU126は、フェーズ割込の発生を契機としてフェーズ割込処理を実行する。
【0591】
ステップS1320:演出制御CPU126は、フェーズ割込監視フラグをセットし、フラグ値を「1」にする。フェーズ割込監視フラグは、フェーズ割込が正常に発生しているか否かを確認するために用いるフラグであり、RAM130に記憶される。
【0592】
ステップS1322:演出制御CPU126は、フェーズ割込制御処理を実行する。フェーズ割込制御処理においては、フェーズ割込に起因して実行される様々なタスクの制御が行われる。例えば、様々なタスクの1つとして、液晶基板152から送信されたコマンドの受信処理(1ms×複数回の読み込み処理)が実行される。
【0593】
以上の手順を終えると、演出制御CPU126はメインループ(
図60中(A))に復帰する。
【0594】
図61中(C):DMA終了割込処理の手順例を示すフローチャートである。DMA終了割込は、DMA(ダイレクトメモリアクセス)によるデータの転送が終了した際に発生する割込である。演出制御CPU126は、DMAによってコマンドを液晶基板152に転送しており、DMAによるデータの転送が終了すると、DMA終了割込が発生する。
そして、演出制御CPU126は、DMA終了割込の発生を契機としてDMA終了割込処理を実行する。
【0595】
ステップS1330:演出制御CPU126は、DMA終了割込監視フラグをセットし、フラグ値を「1」にする。DMA終了割込監視フラグは、DMA終了割込が正常に発生しているか否かを確認するために用いるフラグであり、RAM130に記憶される。
【0596】
ステップS1332:演出制御CPU126は、DMA終了割込制御処理を実行する。DMA終了割込制御処理においては、DMA終了割込に起因して実行される様々なタスクの制御が行われる。
【0597】
以上の手順を終えると、演出制御CPU126はメインループ(
図60中(A))に復帰する。
【0598】
このように、いずれの割込処理においても、先ず、各割込処理用の監視フラグをセットがされ、その上で、割込に起因して実行される各種タスクの制御が行われる。
【0599】
続いて、演出を具体的に実現するための制御手法の例について説明する。上記の演出例に沿って説明した演出は、いずれも演出制御装置124で実行される以下の制御処理を通じて制御されている。
【0600】
〔演出制御処理〕
図62は、演出制御CPU126により実行される演出制御処理の手順例を示すフローチャートである。演出制御処理は、フレーム割込制御処理(
図61中のステップS1312)の実行中に呼び出される。演出制御処理は、フレーム割込の発生を契機として、フレーム割込制御処理が16.6ms毎に実行されるうちの1回おきに、すなわち、33.3ms毎に1回実行される。
【0601】
演出制御処理は、メインコマンド受信処理(ステップS400)、可動入球役物装置非作動時演出管理処理(ステップS403)、可動入球役物装置作動時演出管理処理(ステップS404)、表示管理処理(ステップS405)、ランプ管理処理(ステップS406)、音響管理処理(ステップS408)、演出乱数更新処理(ステップS410)、可動体管理処理(ステップS412)、2次元コード管理処理(ステップS414)及びサブコマンド管理処理(ステップS416)のサブルーチン群を含む構成である。以下、各処理に沿って演出制御処理の基本的な流れを説明する。
【0602】
ステップS400:メインコマンド受信処理において、演出制御CPU126は主制御CPU72から送信される演出用のコマンドを受信する。また、演出制御CPU126は受信したコマンドを解析し、それらを種類別にRAM130のコマンドバッファ領域に保存する。なお、主制御CPU72から送信される演出用のコマンドには、例えば機種指定コマンド、始動口入賞音制御コマンド、抽選結果コマンド、変動パターンコマンド、変動開始コマンド、停止図柄コマンド、役物装置閉鎖コマンド、大当り状態指定コマンド、大当り種別コマンド、大当り状態移行コマンド、ラウンド数コマンド、大役終了コマンド、客待ち指定コマンド、特別遊技管理ステータスコマンド、不正入賞エラーコマンド、残存球エラーコマンド、排出球不足エラー状態コマンド、領域通過コマンド、状態指定コマンド等がある。
【0603】
ステップS403:可動入球役物装置非作動時演出管理処理において、演出制御CPU126は可動入球役物装置30が作動していない状態での演出を制御する。具体的には、演出制御CPU126は、RAM130のコマンドバッファ領域にアクセスし、主制御CPU72から客待ち指定コマンドが保存されているか否かを確認する。そして、客待ち指定コマンドが保存されていることを確認した場合、演出制御CPU126はデモ演出パターンを選択するデモ選択処理を実行する。デモ演出パターンは、パチンコ機1がいわゆる客待ち状態であることを表す演出の内容を規定したものである。
【0604】
また、この処理において、演出制御CPU126は、内部状態が時間短縮状態であるか否かを確認する。具体的には、演出制御CPU126はRAM130のコマンドバッファ領域にアクセスし、状態指定コマンドを確認することにより、内部状態を確認することができる。そして、内部状態が時間短縮状態であることを確認した場合、演出制御CPU126は、時間短縮状態に対応した演出パターンを選択する処理を実行する。
【0605】
ステップS404:可動入球役物装置作動時演出管理処理において、演出制御CPU126は特別図柄抽選で小当りに該当(「小当り図柄1」又は「小当り図柄2」に該当)した後の演出を制御する。
【0606】
ステップS405:表示管理処理では、演出制御CPU126は、先のステップS403やステップS404において決定された演出に対応する演出パターン(表示パターン)を選択する処理を実行する。選択された演出パターンは、以下のステップS416でサブコマンドに変換され、液晶基板や7セグ基板等に対して送信される。これにより、液晶基板や7セグ基板は、指示された演出パターンに基づいて液晶表示器41や7セグ表示器42を制御する。例えば、液晶タスクを起床させることにより、液晶表示器41に関する演出パターンが選択され、LEDタスクを起床させることにより、7セグ表示器42に関する演出パターンが選択される。
【0607】
ステップS406:ランプ管理処理では、演出制御CPU126は、先のステップS403やステップS404において決定された演出に対応する演出パターン(点灯パターン)を選択する処理を実行する。選択された演出パターンは、以下のステップS416でサブコマンドに変換され、ランプ駆動回路132に対して送信される。これにより、ランプ駆動回路132は、指示された演出パターンに基づいて各種ランプ46~52や盤面ランプ53等を駆動(点灯又は消灯、点滅、輝度階調変化等)する。
【0608】
ステップS408:音響管理処理では、演出制御CPU126は、先のステップS403やステップS404において決定された演出に対応する演出パターン(音響パターン)を選択する処理を実行する。選択された演出パターンは、以下のステップS416でサブコマンドに変換され、音響駆動回路134に対して送信される。これにより、スピーカ54,55,56から演出内容に応じた音(例えば可動入球役物装置30の開放動作中のBGM、可動入球役物装置30内での振り分け動作中のBGM、大当り演出中のBGM等)が出力される。
【0609】
ステップS410:演出乱数更新処理では、演出制御CPU126はRAM130のカウンタ領域において各種の演出乱数を更新する。演出乱数には、例えば演出内容が複数用意されている場合の演出選択用の乱数等がある。
【0610】
ステップS412:可動体管理処理では、演出制御CPU126は、先のステップS403やステップS404において決定された演出に対応する演出パターン(動作パターン)を選択する処理を実行する。選択された演出パターンは、以下のステップS416でサブコマンドに変換され、可動体基板153(駆動用IC等)に対して送信される。これにより、演出用の可動体43は、可動体モータ47等の駆動源によって動作する。なお、可動体センサ49からの情報は、本処理で受信することができ、受信した情報に基づいて演出用の可動体43を可動させることもできる。
【0611】
ステップS414:2次元コード管理処理では、演出制御CPU126は、必要に応じて、2次元コードを表示するための2次元コード用データを生成する処理を実行する。
【0612】
ステップS416:サブコマンド管理処理では、演出制御CPU126は、これまでの処理で選択された演出パターンや2次元コード用データに対応するサブコマンドを各種基板に送信(データ出力)したり、各種基板からサブコマンドを受信(データ入力)したりする処理を実行する。
以上の処理を終えると、演出制御CPU126は、呼び出し元に復帰する。
【0613】
〔可動入球役物装置作動時演出管理処理〕
図63は、可動入球役物装置作動時演出管理処理の構成例を示すフローチャートである。可動入球役物装置作動時演出管理処理は、例えば実行選択処理(ステップS500)、小当り時演出選択処理(ステップS502)、役物内遊技時演出選択処理(ステップS504)、領域通過時演出選択処理(ステップS506)、大当り時演出選択処理(ステップS508)のサブルーチン群を含む構成である。以下、各処理に沿って演出制御処理の基本的な流れを説明する。
【0614】
ステップS500:実行選択処理において、演出制御CPU126は次に実行するべき処理(ステップS502~ステップS508のいずれか)のジャンプ先を選択する。例えば、演出制御CPU126は次に実行するべき処理のプログラムアドレスをジャンプ先のアドレスとし、また、戻り先のアドレスとして可動入球役物装置作動時演出管理処理の末尾を「ジャンプテーブル」にセットする。いずれの処理を次のジャンプ先として選択するかは、これまでに行われた処理の進行状況によって異なる。例えば、演出制御CPU126は最初のジャンプ先として小当り時演出選択処理(ステップS502)を選択する。一方、既に小当り時演出選択処理が完了していれば、演出制御CPU126は次のジャンプ先として役物内遊技時演出選択処理(ステップS504)を選択し、役物内遊技時演出選択処理まで完了していれば、次のジャンプ先として領域通過時演出選択処理(ステップS506)を選択する。なお、大当り時演出選択処理(ステップS508)は、主制御CPU72において大当り時役物装置作動開始処理(
図32中のステップS5000)が選択された場合にのみ、以降のジャンプ先として選択される。この場合、ステップS502~ステップS506は実行されない。
【0615】
ステップS502:小当り時演出選択処理では、演出制御CPU126は可動入球役物装置30を作動させる場合の演出パターン(
図49、
図50、
図51等)を選択する。このような演出を実行することで、遊技者が漫然と遊技を消化するのを防止し、目的意識を再確認させて遊技意欲の低下を防止することができる。
【0616】
ステップS504:役物内遊技時演出選択処理において、演出制御CPU126は上記の入球演出(
図52中(B)(C)、
図53中(A)等)に該当する演出パターンを選択する。これにより、可動入球役物装置30内での遊技の流れを遊技者に対して訴求させることができる。
【0617】
ステップS506:領域通過時演出選択処理では、演出制御CPU126は遊技球が特定領域や特殊領域、アウト通路等を通過した際に実行される演出(
図53中(B)、
図54、
図55等)の演出パターンを選択する。これにより、各種領域を通過した際に、遊技を盛り上げることができる。
【0618】
ステップS508:大当り時演出選択処理では、演出制御CPU126は大当り中の演出内容を制御する。例えば、演出制御CPU126は7セグ表示器42に表示する演出内容として大当り中に専用の演出パターン(
図56~
図59等の演出パターン)を選択する。これにより、7セグ表示器42の表示画面では大当り中に専用の演出が表示されるとともに、ラウンドの進行に伴って演出内容が変化していくことになる。
以上の手順を終えると、演出制御CPU126は演出制御処理(
図62)に復帰する。
【0619】
〔2次元コード管理処理〕
図64は、2次元コード管理処理の手順例を示すフローチャートである。本処理は、サブ制御基板150の演出制御CPU126が実行する。以下、手順例に沿って説明する。
【0620】
ステップS650:演出制御CPU126は、2次元コードの表示条件を満たすか否かを確認する。演出制御CPU126は、例えば、デモ演出の実行中に、演出切替ボタン45が長押しされた場合(一定時間以上継続して押下され続けた場合)、2次元コードの表示条件を満たすと判断することができる。
【0621】
その結果、2次元コードの表示条件を満たすことを確認した場合(Yes)、演出制御CPU126は、ステップS652を実行する。一方、2次元コードの表示条件を満たすことを確認できない場合(No)、演出制御CPU126は、演出制御処理(
図62)に復帰する。
【0622】
ステップS652:演出制御CPU126は、2次元コード用データ生成処理を実行する。具体的には、演出制御CPU126は、2次元コードの基本データを生成する処理を実行する(生成手段)。また、演出制御CPU126は、拡大率及び表示位置を記憶しているROM128(記憶手段)から拡大率及び表示位置を読み出す処理を実行する。拡大率は、搭載する液晶表示器41の表示画面の大きさに応じて予め定められている。例えば、小型の液晶表示器41であれば、小さい拡大率となり、大型の液晶表示器41であれば大きな拡大率となる。
【0623】
そして、演出制御CPU126は、基本データ、拡大率、及び、表示位置を含めた2次元コード用データを生成する。
【0624】
基本データは、液晶表示器41(表示手段)に2次元コード(所定のコード)を表示するためのデータである。例えば、基本データには、変動回数、小当り回数、大当り回数等の情報を含めることができる。これらの情報は、演出制御CPU126が、遊技中に更新して記憶している。
【0625】
拡大率は、液晶表示器41(表示手段)に2次元コード(所定のコード)をどのようなサイズで表示するかについての値を示している。つまり、拡大率は、基本データを何ピクセル(1ピクセル~4ピクセル)で表示するかを示すデータである。
例えば、拡大率が「1」である場合、基本データは1倍(等倍)で表示され、拡大率が「2」である場合、基本データは2倍で表示され、拡大率が「3」である場合、基本データは3倍で表示され、拡大率が「4」である場合、基本データは4倍で表示される。
【0626】
表示位置は、2次元コードを液晶表示器41のいずれの位置に表示するかを示すデータである。例えば、液晶表示器41の左下位置を原点とし、座標(横方向位置X、縦方向位置Y)によるデータで表示位置を表現することができる。
以上の処理を終えると、演出制御CPU126は、演出制御処理(
図62)に復帰する。
【0627】
〔サブコマンド管理処理〕
図65は、サブコマンド管理処理の手順例を示すフローチャートである。以下、手順例に沿って説明する。
【0628】
ステップS660:演出制御CPU126は、サブコマンド構築処理を実行する。具体的には、演出制御CPU126は、これまでの処理で選択された演出パターンや2次元コード用データに対応するサブコマンドを構築する処理を実行する。構築されたサブコマンドは、送信用のバッファに格納される。
【0629】
サブコマンドの通信制御方法については、様々な方法があるが、例えば、コマンドの状態をコマンド変数(CMD:)で管理し、通信の状態を通信変数(TRNS:)で管理することができる。この場合、コマンド変数が待機状態であれば(CMD:==IDLE)、本処理を実行することができる。本処理が終了した場合、コマンド変数に、保存終了状態に対応する値を格納することができる(CMD:=SAVE_END)。
【0630】
ステップS662:演出制御CPU126は、サブコマンド送信処理を実行する。具体的には、演出制御CPU126は、ステップS660の処理で生成されて送信用のバッファに格納されたサブコマンドを、各基板(各デバイス)に送信する処理(例えば、クロック用の信号線でクロックを発生させながら、データ用の信号線でデータを送信する処理)を実行する。
【0631】
例えば、通信変数が返答正常状態であり(TRNS:==REP_OK)、かつ、コマンド変数が保存終了状態であれば(CMD:==SAVE_END)、本処理を実行することができる。本処理が終了した場合、通信変数に、実行状態に対応する値を格納することができる(TRNS:=EXEC)。
【0632】
ステップS664:演出制御CPU126は、サブコマンド受信処理を実行する。具体的には、演出制御CPU126は、各基板から送信されてきたサブコマンドを受信する処理(例えば、クロック用の信号線でクロックを発生させながら、データ用の信号線でデータを受信する処理)を実行する。
【0633】
例えば、通信変数が終了状態であり(TRNS:==END)、受信したコマンドが「成功」を示している場合、通信変数に、返答正常状態に対応する値を格納することができる(TRNS:=REP_OK)。
【0634】
例えば、通信変数が終了状態であり(TRNS:==END)、受信したコマンドが「サムエラー」、「バッファオーバー」又は「INCエラー」を示している場合、通信変数に、返答異常状態に対応する値を格納することができる(TRNS:=REP_NG)。
【0635】
例えば、通信変数が終了状態であり(TRNS:==END)、かつ、受信なしを一定時間(5×33.333ms)検知した場合、再送フラグをセットすることができる。
以上の処理を終えると、演出制御CPU126は、演出制御処理(
図62)に復帰する。
【0636】
〔サブコマンド受信時処理〕
図66は、サブコマンド受信時処理の手順例を示すフローチャートである。本処理は、液晶基板152がサブコマンドを受信した際に実行される。以下、手順例に沿って説明する。
【0637】
ステップS750:液晶基板152のCPU(IC)は、サブ制御基板150から、データを1ビット受信したか否かを確認する。
【0638】
その結果、データを1ビット受信したことを確認した場合、液晶基板152のCPUは、ステップS751を実行する。一方、データを1ビット受信したことを確認できない場合、液晶基板152のCPUは、呼び出し元に復帰する。
【0639】
ステップS751:液晶基板152のCPUは、受信した1ビットのデータを受信バッファのビットNに格納する処理を実行する。受信バッファは、ビット7(最上位ビット)~ビット0(最下位ビット)の8ビット(1バイト)のバッファである。なお、N=「7-受信ビット数」である。受信ビット数の初期値は0である。このため、最初の1ビット目は、受信バッファのビット7に格納される。
ステップS752:液晶基板152のCPUは、受信ビット数をインクリメント(+1)する処理を実行する。
【0640】
ステップS753:液晶基板152のCPUは、受信ビット数が8であるか否かを確認する。これにより、8ビット分のデータを受信したか否かを確認することができる。
【0641】
その結果、受信ビット数が8であることを確認した場合、液晶基板152のCPUは、ステップS754を実行する。一方、受信ビット数が8であることを確認できない場合、液晶基板152のCPUは、呼び出し元に復帰する。
【0642】
ステップS754:液晶基板152のCPUは、8ビット分のデータを転送バッファ(コマンドバッファ)に移動(転送、コピー)する処理を実行する。受信バッファは1バイト(8ビット)分の領域であるが、転送バッファは16バイト分の領域である(16段のバッファとなっている)。
【0643】
例えば、液晶基板152のCPUは、最初の8ビット(1バイト)分のデータを受信すると、1段目の転送バッファにデータを移動し、次の8ビット(1バイト)分のデータを受信すると、2段目の転送バッファにデータを移動する。このような処理は、16段目まで実行可能であり、16段目までデータを移動した場合には、最初に戻り1段目の転送バッファにデータを移動する。
【0644】
ステップS755:液晶基板152のCPUは、受信ビット数をリセットする(0クリアする)処理を実行する。これにより、液晶基板152は、再び受信バッファの1ビット目からデータを受信可能な状態となる。
【0645】
ステップS756:液晶基板152のCPUは、受信フル割込を発生させる処理を実行する。受信フル割込とは、8ビット(1バイト)分のデータの受信が完了した際に発生する割込である。
【0646】
ステップS756:液晶基板152のCPUは、受信インデックス更新処理を実行する。サブコマンドは、通常時コマンドであれば、START(0)、デバイス種別(1)、パケット種別(2)、・・・、の順に送信されるが、受信インデックスはその0や1等を示している。例えば、液晶基板152のCPUは、サブコマンドとしてSTARTを受信したと判断した場合には、受信インデックスに「0」を格納し、サブコマンドとしてデバイス種別を受信したと判断した場合には、受信インデックスに「1」を格納する。なお、初期化時コマンドであるか通常時コマンドであるかは、処理を実行する場面の違いで判断することができる。例えば、初期化後一定時間内は、初期化時コマンドであると判断し、初期化後一定時間後は、通常時コマンドであると判断することができる。
以上の処理を終えると、液晶基板152のCPUは、呼び出し元に復帰する。
【0647】
〔受信フル割込発生時処理〕
図67は、受信フル割込発生時処理の手順例を示すフローチャートである。本処理は、液晶基板152において受信フル割込が発生した際に実行される。以下、手順例に沿って説明する。
【0648】
ステップS760:液晶基板152のCPUは、受信コマンド内容判定処理を実行する。具体的には、液晶基板152のCPUは、サブ制御基板150から受信したコマンドの内容を判定する処理を実行する。
【0649】
ステップS761:液晶基板152のCPUは、再送フラグ判定処理を実行する。具体的には、液晶基板152のCPUは、サブ制御基板150から受信したコマンドの再送フラグがONであり、かつ、Inc値が前回と同一である場合には、受信したコマンド(受信データ)を破棄する処理を実行する。なお、液晶基板152のCPUは、前回のサブコマンドに含まれているInc値を、次のサブコマンドを受信するまでRAM等に記憶させている。
【0650】
ステップS762:液晶基板152のCPUは、返信データ設定処理を実行する。具体的には、液晶基板152のCPUは、ステップS760の判定結果に基づく返信データを設定する処理を実行する。返信データとしては、「データなし」、「成功」、「サムエラー」、「バッファオーバー」、「INCエラー」、「初期化完了」、「リセット発生」等がある。
【0651】
ステップS763:液晶基板152のCPUは、反転データ設定処理を実行する。具体的には、液晶基板152のCPUは、ステップS761の返信データを反転させた反転データを設定する処理を実行する。例えば、返信データが「成功」に対応する「100000001」である場合、反転データは、「0」と「1」を反転させて、「011111110」とする。
【0652】
ステップS764:液晶基板152のCPUは、リフレッシュ処理を実行する。リフレッシュ処理の詳細は、後述する。
以上の処理を終えると、液晶基板152のCPUは、呼び出し元に復帰する(割込が発生した際に実行していた箇所に復帰する)。
【0653】
〔2次元コード表示処理〕
図68は、2次元コード表示処理の手順例を示すフローチャートである。本処理は、液晶基板152が、2次元コード用データを受信した際に実行される。以下、手順例に沿って説明する。
【0654】
ステップS770:液晶基板152のCPUは、基本データ及び拡大率に基づく拡大データの生成処理を実行する。例えば、拡大率が「1」である場合、基本データを「1倍」にした拡大データを生成し、拡大率が「2」である場合、基本データを「2倍」にした拡大データを生成し、拡大率が「3」である場合、基本データを「3倍」にした拡大データを生成し、拡大率が「4」である場合、基本データを「4倍」にした拡大データを生成する。
【0655】
ステップS771:液晶基板152のCPUは、拡大データに基づく2次元コードを、液晶表示器41の指定された表示位置に表示する処理を実行する。
以上の処理を終えると、液晶基板152のCPUは、呼び出し元に復帰する。
【0656】
このような処理を実行することにより、液晶基板152のCPUは、液晶表示器41(表示手段)に2次元コード(所定のコード)を表示する場合、拡大率に基づいて基本データを増加させて拡大データとし、拡大データに基づいて2次元コードを表示することができる(表示制御手段)。
【0657】
図69及び
図70は、サブ制御基板から液晶基板に送信するサブコマンドの受信フォーマットを示す図である。
図69は、初期化時のコマンド体系を示しており、
図70は、通常時のコマンド体系を示している。
〔基本情報〕
通信方式は、クロック同期式シリアル通信である。通信ラインは、ダイナミックLED通信ラインと併用している(
図17参照)。
通信速度は、600kbpsである。
通信周期は、33.33ms〔30fps〕である。
ビット数は、8bitである。
【0658】
初期化時コマンド体系は、以下の通りである(
図69)。
〔START〕
名称:START。「START」は、先頭のサブコマンドであることを示す。
ビット位置:bit7(最上位ビット)~bit0(最下位ビット)に「1」を格納する。
分類:START
値:0xFF(固定)
【0659】
〔デバイス選択〕
名称:デバイス選択。「デバイス選択」は、サブコマンドの送信先を示す。
ビット位置:bit7に「0」を格納し、bit6~4に「1」を格納し、bit3~0に「1101」を格納する。
分類:bit7はSP(スペース)を示し、bit6~4はデバイスIDを示し、bit3~0はスレーブアドレスを示す。
値:bit7は0(固定)であり、bit6~4は0x7(固定)であり、bit3~0は0xD(固定)である。
【0660】
〔検査用データ1〕
名称:検査用データ1。「検査用データ1」は、検査用の第1のデータであることを示す。
ビット位置:bit7に「0」を格納し、bit6~0に「1010101」を格納する。
分類:bit7はSPを示し、bit6~0は検査用データ1を示す。
値:bit7は0(固定)であり、bit6~0は0x55(固定)である。
【0661】
〔検査用データ2〕
名称:検査用データ2。「検査用データ2」は、検査用の第2のデータであることを示す。
ビット位置:bit7に「0」を格納し、bit6~0に「0101010」を格納する。
分類:bit7はSPを示し、bit6~0は検査用データ2を示す。
値:bit7は0(固定)であり、bit6~0は0x1A(固定)である。
【0662】
〔サム〕
名称:サム。「サム」は、STARTとENDを除いたサム値(サブコマンドの合計値)を示している。
ビット位置:bit7に「0」を格納し、bit6~0に「1101100」を格納する。
分類:bit7はSPを示し、bit6~0はサム値を示す。
値:bit7は0(固定)であり、bit6~0は0x6C(固定)である。
【0663】
〔END〕
名称:END。「END」は、最終のサブコマンドであることを示す。
ビット位置:bit7~bit0に「1」を格納する。
分類:END
値:0xFF(固定)
【0664】
通常時コマンド体系は、以下の通りである(
図70)。
〔START〕
名称:START。「START」は、先頭のサブコマンドであることを示す。
ビット位置:bit7~bit0に「1」を格納する。
分類:START
値:0xFF(固定)
【0665】
〔デバイス選択〕
名称:デバイス選択。「デバイス選択」は、サブコマンドの送信先を示す。
ビット位置:bit7に「0」を格納し、bit6~4に「1」を格納し、bit3~0に「1110」を格納する。
分類:bit7はSPを示し、bit6~4はデバイスIDを示し、bit3~0はスレーブアドレスを示す。
値:bit7は0(固定)であり、bit6~4は0x7(固定)であり、bit3~0は0xE(固定)である。
【0666】
〔パケット種別〕
名称:パケット種別。「パケット種別」は、サブコマンドの送信先を示す。「デバイス選択」及び「パケット種別」により、サブコマンドの送信先を詳細に設定することができる。
ビット位置:bit7に「0」を格納し、bit6~0に「0」又は「1」(=X)を格納する。
分類:bit7はSPを示し、bit6は完了フラグを示し、bit5は再送フラグを示し、bit4~0はInc値を示す。
値:bit7は0(固定)であり、bit6は「0」又は「1」であり、bit5は「0」又は「1」であり、bit4~0は「0~31」である。
【0667】
〔コマンド数〕
名称:コマンド数。「コマンド数」は、サブコマンドに含まれるデータの数を示す。
ビット位置:bit7に「0」を格納し、bit6~0に「0」又は「1」を格納する。
分類:bit7はSPを示し、bit6~0はコマンド数を示す。
値:bit7は0(固定)であり、bit6~0は「0~127」である。
【0668】
〔データ(n)〕
名称:データ(n)。「データ(n)」は、n番目のサブコマンドの内容を示す。なお、この「データ(n)」には、演出パターン(演出パターンに対応する番号)や2次元コード用データが含まれている。以下の「データ(n+1)」「データ(n+2)」等についても同様である。
ビット位置:bit7に「0」を格納し、bit6~0に「0」又は「1」を格納する。
分類:bit7はSPを示し、bit6~0はデータ(1番目のデータ)を示す。
値:bit7は0(固定)であり、bit6~0は「0~127」である。
【0669】
〔データ(n+1)〕
名称:データ(n+1)。「データ(n+1)」は、n+1番目のサブコマンドの内容を示す。
ビット位置:bit7に「0」を格納し、bit6~0に「0」又は「1」を格納する。
分類:bit7はSPを示し、bit6~0はデータ(2番目のデータ)を示す。
値:bit7は0(固定)であり、bit6~0は「0~127」である。
【0670】
〔データ(n+2)〕
名称:データ(n+2)。「データ(n+2)」は、n+2番目のサブコマンドの内容を示す。
ビット位置:bit7に「0」を格納し、bit6~0に「0」又は「1」を格納する。
分類:bit7はSPを示し、bit6~0はデータ(3番目のデータ)を示す。
値:bit7は0(固定)であり、bit6~0は「0~127」である。
【0671】
〔サム〕
名称:サム。「サム」は、STARTとENDを除いたサム値(サブコマンドの合計値)を示している。
ビット位置:bit7に「0」を格納し、bit6~0に「0」又は「1」を格納する。
分類:bit7はSPを示し、bit6~0はサム値を示す。
値:bit7は0(固定)であり、bit6~0は「0~127」である。
【0672】
〔END〕
名称:END。「END」は、最終のサブコマンドであることを示す。
ビット位置:bit7~bit0に「1」を格納する。
分類:END
値:0xFF(固定)
【0673】
図71は、液晶基板からサブ制御基板に送信するサブコマンドの送信フォーマットを示す図である。
〔基本情報〕
通信方式は、クロック同期式シリアル通信である。通信ラインは、可動体通信ラインと併用している(
図17参照)。
通信速度は、700kbpsである。
通信周期は、1ms×2度読みである。
ビット数は、9bitである。
【0674】
サブコマンドの内容は、以下の通りである。
〔データなし〕
名称:データなし。「データなし」は、返信データがないことを示す。このサブコマンドは、サブ制御基板150からサブコマンドを受信していない場合であっても、送信することができる。
値:0x000
2進:bit8(最上位ビット)~bit0(最下位ビット)に「000000000」を格納する。
【0675】
〔成功〕
名称:成功。「成功」は、サブコマンドを正常に受信したことを示す。
値:0x101
2進:bit8~bit0に「100000001」を格納する。
【0676】
〔サムエラー〕
名称:サムエラー。「サムエラー」は、サム値が異常であることを示す。
値:0x102
2進:bit8~bit0に「100000010」を格納する。
【0677】
〔バッファオーバー〕
名称:バッファオーバー。「バッファオーバー」は、受信バッファや転送バッファの容量を超えたことを示す。
値:0x103
2進:bit8~bit0に「100000011」を格納する。
【0678】
〔INCエラー〕
名称:INCエラー。「INCエラー」は、Inc値が異常であることを示す。
値:0x104
2進:bit8~bit0に「100000100」を格納する。
【0679】
〔初期化完了〕
名称:初期化完了。「初期化完了」は、液晶基板152の初期化が完了したことを示す。このサブコマンドは、サブ制御基板150からサブコマンドを受信していない場合であっても、送信することができる。
値:0x105
2進:bit8~bit0に「100000101」を格納する。
【0680】
〔リセット発生〕
名称:リセット発生。「リセット発生」は、液晶基板152にリセットが発生したことを示す。このサブコマンドは、サブ制御基板150からサブコマンドを受信していない場合であっても、送信することができる。
値:0x106
2進:bit8~bit0に「100000110」を格納する。
【0681】
サブ制御基板150は、第1の基板である。
液晶基板152は、サブコマンド(所定のコマンド)を用いてサブ制御基板150と通信可能な第2基板である。
【0682】
サブコマンドは、最上位ビット(特定のビット)、及び、最上位ビット以外のビット(非特定ビット)を含む。
【0683】
最上位ビットには、遊技の制御に必要となる遊技情報を通信する場合と通信の制御に必要となる通信情報を通信する場合とで、異なる値が格納される。具体的には、遊技の制御に必要となる遊技情報を通信する場合には「1」が格納され、通信の制御に必要となる通信情報を通信する場合には「0」が格納される。
【0684】
遊技情報は、サブコマンドの送信先に関する情報(デバイス選択、パケット種別)、サブコマンドの数に関する情報(コマンド数)、サブコマンドの内容に関する情報(データ)、サブコマンドの整合性に関する情報(サム)、サブコマンドの応答に関する情報(成功、サムエラー、バッファオーバー、INCエラー、初期化完了、リセット発生)、検査に関する情報(検査用データ1,2)のうち少なくとも1つの情報を含む。
【0685】
通信情報は、先頭のサブコマンドであることを示す情報(START)、最終のサブコマンドであることを示す情報(END)、データがないことを示す情報(データなし)のうち少なくとも1つの情報を含む。
【0686】
図72は、サブ制御基板及び液晶基板のサブコマンドの送受信フロー(時系列)を示す図である。
フレーム割込(フレームタイマ割込)が発生すると、サブ制御基板150は、液晶タスクを起床させ、液晶タスクは液晶コマンド(液晶表示器を動作させるためのサブコマンド)を設定する(S1)。なお、フレーム割込は、16.66msの2回に1回、つまり、33.33msに1回発生する。
また、フレーム割込が発生すると、サブ制御基板150は、LEDタスクを起床させ、LEDタスクはLED輝度変換等の処理を実行する(S2)。
【0687】
そして、これらの処理が終了すると、サブ制御基板150は、DMAを開始し、DMAによるデータの転送中の状態となる(S3)。これにより、サブ制御基板150から液晶基板152に対してサブコマンドが送信される。そして、DMAが終了すると、DMA終了割込が発生する(S4)。
【0688】
一方、液晶基板152は、(S3)の転送中の状態からサブコマンドの受信を開始する。
1バイト(8ビット)分のデータを受信すると、受信フル割込が発生する。受信フル割込は、1バイト(8ビット)分のデータを受信することにより発生する1段トリガとなっている。
【0689】
受信フル割込が発生すると、液晶基板152は、返信データを設定し、その後、反転データを設定する。返信データ及び反転データは、「520μs×8回=4ms」の間にわたり設定し続ける。
その後、液晶基板152は、リフレッシュ処理を実行する(S6)。
【0690】
サブ制御基板150は、フェーズ割込を利用として、返信データ及び反転データを、1mの間、かつ、少なくとも2回読み込む処理(1ms×2度読み)を実行する(S4)。
本処理を終えると、サブ制御基板150は、次のフレーム割込まで待ち状態となる(S5)。
【0691】
〔最大の処理速度(処理時間)〕
上記(S1)の処理速度は、最大で0.138msである。
上記(S2)の処理速度は、最大で7msである。
上記(S3)の処理速度は、最大で3.546msである(※)。
上記(S4)の処理速度は、最大で8msである。
上記(S5)の処理速度は、最大で14.6493msである。
(※)については、(133Byte〔LED〕+133Byte〔液晶〕)×13.333・・・μs〔600kbps×8bit〕として算出している。
上記(S1)~上記(S4)の合計時間は、18.684msである。
【0692】
〔リフレッシュ処理の詳細〕
液晶基板152のCPUは、上記(S6)のタイミング(期間)でリフレッシュ処理を実行する。
リフレッシュ処理は、(A)ポートのリフレッシュ処理と、(B)受信インデックスの初期化処理とが含まれる。
(A)ポートのリフレッシュ処理は、通信無効→通信有効とする処理(受信ビット数をクリアする処理)である。これは、ビット残り対策に該当する。
(B)受信インデックスの初期化処理は、受信インデックスをクリアする処理である。これは、通信遮断対策に該当する。
リフレッシュ処理は、上記(S6)の期間において、所定時間(例えば、520μs×2回=1ms)にわたりサブコマンドの受信がない場合に実行することが好ましい。
【0693】
図73は、サブ制御基板及び液晶基板のサブコマンドの送受信フロー(状態遷移)を示す図である。
【0694】
〔通信成功時〕
まず、通信成功時の処理の流れについて説明する。なお、通信成功時の処理の流れは、図中、実線の矢印で示している。また、サブ制御基板150側の処理において、斜線のハッチングで示した楕円の図形は、液晶タスクにより実行され、網点で示した楕円の図形は、フェーズ割込が発生した際に実行されることを示している。ただし、処理の主体や処理の実行タイミングはこれに限定されるものではない。
【0695】
〔X1〕サブ制御基板150は、コマンド状態が待機状態である場合(CMD:==IDLE)、コマンド構築を行い、構築したサブコマンドをコマンドバッファCBに格納し、コマンド状態を保存終了状態に設定する(CMD:=SAVE_END)。なお、コマンドバッファCBに向かう矢印は、コマンドバッファCBにサブコマンドを格納していることを示している。
【0696】
〔X2〕サブ制御基板150は、通信状態が返答正常状態であり(TRNS:==REP_OK)、かつ、コマンド状態が保存終了状態である場合(CMD:==SAVE_END)、サブコマンドの送信を行い、通信状態を実行状態に設定する(TRNS:=EXEC)。なお、コマンドバッファCBから出る矢印は、コマンドバッファCBからサブコマンドを送信していることを示している。また、コマンドバッファCBが2段になっている理由は、サブコマンドの送信中もサブ制御基板150のCPUが動作しているので、格納したサブコマンドを上書きしないようにするためである。よって、次回のサブコマンドは、今回使用した上側のコマンドバッファCBとは異なる下側のコマンドバッファCBに構築して、下側のコマンドバッファCBから送信する。
【0697】
〔X3〕DMA送信割込が発生すると、サブ制御基板150は、通信状態を終了状態に設定する(TRNS:=END)。なお、DMA送信割込とは、DMAによるサブコマンドの送信が開始された際に発生する割込である。
【0698】
〔X4〕液晶基板152は、サブコマンドを受信し、〔X5〕サブコマンドの受信が成功である場合、〔X6〕サブコマンドの解析を行い、〔X7〕サブコマンドに基づく描画処理を実行する。
また、〔X4〕液晶基板152は、サブコマンドを受信し、〔X5〕サブコマンドの受信が成功である場合、〔X8〕サブ制御基板150に対して、受信成功のサブコマンド(
図71の「成功」)を送信する。
【0699】
〔X9〕受信成功のサブコマンドを受信し、通信状態が終了状態(TRNS:=END)である場合、サブ制御基板150は、サブコマンドの送信に成功したものとして、通信状態を返答正常状態(TRNS:=REP_OK)に設定する。
【0700】
〔X10〕サブ制御基板150は、Inc値をインクリメント(+1)し、〔X2〕に移行する。
通信成功時は、このような処理が繰り返し実行される。
【0701】
〔通信失敗時〕
次に、通信失敗時の処理の流れについて説明する。なお、通信失敗時の処理の流れは、図中、点線の矢印で示している。
〔X1〕から〔X3〕までの流れは、通信成功時と同様である。
〔X4〕液晶基板152は、サブコマンドを受信し、〔Y1〕サムエラー、バッファオーバー、INCエラー等の原因により、サブコマンドの受信が失敗であると判断した場合、〔Y2〕サブ制御基板150に対して、受信失敗のサブコマンド(
図71の「サムエラー」、「バッファオーバー」、又は、「INCエラー」)を送信する。
【0702】
〔Y3〕受信失敗のサブコマンドを受信し、通信状態が終了状態(TRNS:==END)である場合、サブ制御基板150は、サブコマンドの送信に失敗したものとして、通信状態を返答異常状態(TRNS:=REP_NG)に設定する。
【0703】
〔Y4〕サブ制御基板150は、通信状態が返答異常状態(TRNS:=REP_NG)である場合、サブコマンドの再送を行い、通信状態を実行状態に設定し(TRNS:=EXEC)、〔X3〕に移行する。
通信失敗時は、このような処理が繰り返される。そして、このような処理を繰り返している途中でエラー等が解消した場合には、通信成功時の流れに移行する。
【0704】
〔通信不達時〕
最後に、通信不達時の処理の流れについて説明する。なお、不達とは、サブコマンドの受信ができないことではなく、正しいサブコマンドが受信できなことを意味する。なお、通信不達時の処理の流れは、図中、二点鎖線の矢印で示している。
【0705】
〔Z1〕サブ制御基板150は、通信状態が終了状態(TRNS:=END)であるにも関わらず、一定時間(例えば、5×33.333ms)にわたり、液晶基板152からサブコマンドを受信しない場合、〔Z2〕再送フラグをセットし、〔X2〕に移行する。
〔X2〕及び〔X3〕の流れは、通信成功時と同様である。
【0706】
〔X4〕液晶基板152は、サブコマンドを受信し、〔Z3〕受信したサブコマンドの再送フラグがONであり、かつ、受信したサブコマンドのInc値が前回の値と同一である場合、〔Z4〕正しいサブコマンドが受信できていないものとして、受信データを破棄し、〔X8〕に移行する。そして、これ以降の処理の流れ(〔X8〕→〔X9〕→〔X10〕→〔X2〕までの流れ)は、通信成功時と同様である。
【0707】
図74は、クロック同期式シリアル通信の概要を示す図である。
サブ制御基板150と液晶基板152とは、
図74中(A)に示すように、クロック用の信号線と、データ用の信号線とにより接続されている。
【0708】
液晶基板152では、受信バッファの中のいずれのビットまでデータを受信したかを示す受信ビット数と、いずれの種類のサブコマンドまでを受信したかを示す受信インデックスとにより、受信状況を管理している。現時点では、受信ビット数=0であり、受信インデックス=0である。
【0709】
そして、ここでは、クロック用の信号線で8個の波形が送信され、データ用の信号線で、通常時コマンド体系のデバイス選択(
図70参照)に対応する8ビット分の「01111110」のデータが送信されたものとする。
【0710】
この場合、
図74中(B)に示すように、液晶基板152の受信バッファには、「01111110」のデータが格納される。
そして、データを8ビット受信したことにより、受信ビット数=8となっている。
【0711】
図74中(C)に示すように、液晶基板152は、1バイト(8ビット)分のデータの受信が完了した場合、1バイト分のデータを転送バッファに移動する。転送バッファは、16バイト分(16段)のデータを格納可能である。
そして、転送バッファに、デバイス選択に対応する1バイト分のデータを移動すると、受信インデックス=1となる。
【0712】
図75は、クロック同期式シリアル通信におけるリフレッシュ処理の概要を示す図である。
図75中(A)に示すように、クロック用の信号線で8個の波形を送信したがノイズ等の影響により9個の波形が送信され、データ用の信号線でもノイズ等の影響により9ビット分の「011111101」のデータが送信されたものとする。
【0713】
この場合、
図75中(B)に示すように、液晶基板152の受信バッファには、9ビットのデータのうち先頭の8ビットの「01111110」のデータが格納される。
そして、データを8ビット受信したことにより、受信ビット数=8となっている。
【0714】
図75中(C)に示すように、液晶基板152は、1バイト(8ビット)分のデータの受信が完了した場合、1バイト分のデータを転送バッファに移動する。
そして、転送バッファに、デバイス選択に対応する1バイト分のデータを移動すると、受信インデックス=1となる。
【0715】
次に、
図75中(D)に示すように、液晶基板152の受信バッファには、9ビットのデータのうち残りの1ビットの「1」のデータがビット7に格納される。なお、図示の例では、ビット6~0については、前回の受信時のデータが残ったままの状態となっているが、今回のデータの受信開始時や、前回のデータの受信終了時にクリアするようにしてもよい。
そして、データを1ビット受信したことにより、受信ビット数=1となっている。なお、受信インデックスは、「1」のままである。
【0716】
このように、ノイズ等の影響で本来のデータよりも多くのデータを受信した場合、受信ビット数が正しい数値からずれた状態となる。この点は、本来のデータよりも少ないデータを受信した場合も同様である。また、受信インデックスについても、ずれる可能性もある。
【0717】
そこで、
図75中(E)に示すように、本実施形態では、このような状況を回避するために、リフレッシュ処理を実行している。
リフレッシュ処理では、(1)ポートのリフレッシュ処理と、(2)受信インデックスの初期化処理を実行している。
具体的には、(1)ポートのリフレッシュ処理で受信ビット数を0に初期化し、(2)受信インデックスの初期化処理で、受信インデックスを0に初期化する。リフレッシュ処理は、一連のサブコマンドの受信が終了した後(例えば、ENDのデータを受信した後)に実行することが好ましい。
【0718】
このような処理を実行することにより、液晶基板152のCPU(第2基板)は、サブ制御基板150(第1基板)と通信する際に、通信の受信の段階を管理する変数(受信ビット数や受信インデックス)を更新しながら通信を行っており、サブ制御基板150との通信が終了した際に、この変数(受信ビット数や受信インデックス)を初期化するリフレッシュ処理(初期化処理)を実行することができる。
【0719】
また、このような処理を実行することにより、液晶基板152のCPU(第2基板)は、サブ制御基板150からサブコマンドを受信した場合、受信したサブコマンドに対してサブコマンドを返信し、サブコマンドの返信が終了した後に、リフレッシュ処理(初期化処理)を実行することができる。
【0720】
図76は、2次元コードを表示する際の制御処理の概要を示す図である。
〔基本情報〕
通信方式は、クロック同期式シリアル通信である。通信ラインは、ダイナミックLED通信ラインと併用している(
図17参照)。
通信速度は、600kbpsである。
通信周期は、33.33ms〔30fps〕である。
ビット数は、8bitである。
【0721】
図76中(A)に示すように、サブ制御基板150のCPUは、液晶表示器41に2次元コードを表示するための基本データを生成する。
図76中(B)は、基本データの左上付近を拡大して示した図である。
【0722】
〔Bit化〕
図76中(C)に示すように、サブ制御基板150のCPUは、2次元コードをBit化する処理を実行する。具体的には、「0」及び「1」のデータに変換する処理を実行する。例えば、黒色の部分は「0」とし、白色の部分は「1」とする。
【0723】
〔7Bit化〕
図76中(D)に示すように、サブ制御基板150のCPUは、Bit化したデータを7Bit化する処理を実行する。具体的には、Bit化したデータを7ビットずつのデータに分ける処理を実行する(データD1,D2)。7Bit化する理由は、データの送信時に、先頭ビットに0を格納するためである(
図70のデータ(n)等参照)。
そして、サブ制御基板150のCPUは、液晶基板152に対して、7Bit化したデータを送信する。
【0724】
〔描画順序〕
液晶基板152のCPUは、受信したデータに基づいて描画処理を実行する。描画順序は、以下の通りである。
〔1ドットあたり1Pixel時(拡大率=1)〕
1ドットあたり1Pixel時は、
図76中(E)に示すように、液晶基板152のCPUは、1段目の左側から順番に描画用のデータを構築していき(「1」~「8」)、8ビット分のデータ構築が終了すると、2段目の左側から順番に描画用のデータを構築していく(「9」~「16」)。
そして、このような処理を受信したデータの分だけ繰り返して実行し、最終的には、描画用のデータ及び表示位置に基づいて、液晶表示器41に2次元コードを描画する。この点は、2~4Pixel時も同様である。
【0725】
〔1ドットあたり2Pixel時(拡大率=2)〕
1ドットあたり2Pixel時は、
図76中(F)に示すように、1ドットあたり1Pixel時の「1」のデータを縦横2倍にして、「1」~「4」の描画用データとし、1ドットあたり1Pixel時の「2」のデータを縦横2倍にして、「5」~「8」の描画用データとする。
【0726】
〔1ドットあたり3Pixel時(拡大率=3)〕
1ドットあたり3Pixel時は、
図76中(G)に示すように、1ドットあたり1Pixel時の「1」のデータを縦横3倍にして、「1」~「9」の描画用データとし、1ドットあたり1Pixel時の「2」のデータを縦横3倍にして、「10」~「18」の描画用データとする。
【0727】
〔1ドットあたり4Pixel時(拡大率=4)〕
1ドットあたり4Pixel時は、
図76中(H)に示すように、1ドットあたり1Pixel時の「1」のデータを縦横4倍にして、「1」~「16」の描画用データとし、1ドットあたり1Pixel時の「2」のデータを縦横4倍にして、「17」~「32」の描画用データとする。
【0728】
このような処理を実行することにより、液晶基板152のCPUは、拡大率に基づいて基本データを増加させる場合、液晶表示器41(表示手段)の縦方向及び横方向に対応するデータを、拡大率に応じて同数増加させることができる(表示制御手段)。
【0729】
図77は、2次元コードの利用方法を示す図である。
2次元コードは、受皿ユニット6の上部中央に配置された液晶表示器41に表示される。
そして、遊技者は、携帯型情報処理端末310を用いて、2次元コードを読み取ることにより、遊技履歴を取得したり、自らダウンロードしたアプリケーションとの連携を楽しんだりすることができる。
【0730】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下のような効果がある。なお、以下に記載している課題や効果はあくまで副次的なものであり、主となる課題や効果はあくまで「斬新な遊技機の提供」である。
【0731】
〔ノイズ対策された送受信コマンドフォーマット〕
(1)本実施形態によれば、最上位ビット(特定のビット)に関する通信のルールを統一しているため、ノイズ対策になりやすく(ノイズの発生を特定しやすく)、ノイズが発生する環境下でも正常にコマンド通信を行うことができ、結果として、斬新な遊技機を提供することができる。
【0732】
(2)本実施形態によれば、多くの情報を遊技情報としてまとめて扱うことができ、ノイズ対策を行いやすい情報体系とすることができる。
【0733】
(3)本実施形態によれば、多くの情報を通信情報としてまとめて扱うことができ、ノイズ対策を行いやすい情報体系とすることができる。
【0734】
(4)〔課題〕ノイズに強いコマンドフォーマット(体系)の設計が求められる。そこで、本実施形態では、以下の構成を採用している。
(a)パチンコ機1は、サブ制御基板(VDPなし演出制御CPU)と液晶基板(低スペック小型液晶描画用CPU)とを搭載し、基板間で相互にコマンド通信をしている。
(b)サブ制御基板から送信する初期化コマンド体系、通常時コマンド体系の最上位ビット(先頭ビット)において、STARTとENDは「1」とし、それ以外は「0」としている(
図69のA1及び
図70のA2参照)。
【0735】
(c)サブ制御基板から送信する通常時コマンド体系のパケット種別において、「再送フラグ」を設けている(
図70参照)。
(d)液晶基板から送信するコマンド体系の最上位ビットにおいて、データなしは「0」とし、それ以外は「1」としている(
図71のA3参照)。
(e)液晶基板からサブ制御基板へは2度読みできる時間分でサブコマンドを出力しており、サブ制御基板は、サブコマンド送信後のフェーズ割込で2度読みする(
図71の通信周期参照)。
【0736】
〔効果〕このような構成を採用することにより、ノイズが発生する環境下でも正常にコマンド通信を行うことができる。
【0737】
〔液晶基板の通信リフレッシュ処理〕
(1)本実施形態によれば、液晶基板152(第2基板)は、サブ制御基板150(第1基板)との通信が終了するたびにリフレッシュ処理(初期化処理)を実行するため、通信終了時にノイズによる影響を除去することができ、ノイズが発生する環境下でも正常にコマンド通信を行うことができ、結果として、斬新な遊技機を提供することができる。
【0738】
(2)本実施形態によれば、サブコマンドの送受信に関する一連の処理が終了した後にリフレッシュ処理を実行するため、一連の処理の邪魔をすることなくリフレッシュ処理を実行したり、一連の処理が終了した後の余りの時間でリフレッシュ処理を実行したりすることができる。
【0739】
(3)〔課題〕ノイズに強いサブコマンドの送受信フローの設計が求められる。そこで、本実施形態では、以下の構成を採用している。
(a)パチンコ機1は、サブ制御基板(VDPなし演出制御CPU)と液晶基板(低スペック小型液晶描画用CPU)とを搭載し、基板間で相互にコマンド通信をしている。
(b)液晶基板は、サブ制御基板からのサブコマンドに対して、正常か否か等をサブ制御基板に返信し、その後、リフレッシュ処理を行う(
図72の(S6)参照)。
(c)リフレッシュ処理では、具体的に、通信を一旦無効にして再び有効にする「ポートのリフレッシュ(※1)」と、1コマンドのどこまでデータを受信したかを示す受信インデックスを初期化する「受信インデックスの初期化(※2)」とを行う。
【0740】
(※1)サブ制御基板から液晶基板へのサブコマンドは、クロック同期式シリアルで通信を行っており、サブコマンドのうち1カテゴリ(STARTやデバイス選択等)は、全て8bitを1つのデータ単位として、正常であれば8bit分をラッチして読み込みレジスタに移動している。伝送経路でノイズ等の影響により受信側がクロック信号を誤認識してしまうと、送信側と受信側のデータ区切りが合わなくなり、以降の通信が正常に行えなくなる。このため、8bit分をカウントする値(やその内容)を定期的にクリアする。
(※2)上述したように、通常時コマンドであれば、START(0)、デバイス種別(1)、パケット種別(2)、・・・、の順に送信されるが、受信インデックスはその0や1等を示している。
〔効果〕このような構成を採用することにより、ノイズが発生する環境下でも正常にコマンド通信を行うことができる。
【0741】
〔コード描画〕
(1)本実施形態によれば、拡大率に基づいて2次元コード(所定のコード)を表示するため、液晶表示器41のサイズに合わせた、かつ、携帯型情報処理端末310で読み込みやすい2次元コードを表示することができ、結果として、斬新な遊技機を提供することができる。
【0742】
(2)本実施形態によれば、液晶表示器41の縦方向及び横方向に対応するデータを、拡大率に応じて同数増加させるため、統一された簡潔な処理によって基本データを増加させることができる。
【0743】
(3)〔課題〕液晶パネルの解像度(ピクセル数)に合わせて二次元コードを表示し、正しく読み込めるようにしたい。そこで、本実施形態では、以下の構成を採用している。
(a)パチンコ機1は、サブ制御基板(VDPなし演出制御CPU)と液晶基板(低スペック小型液晶描画用CPU)を搭載し、基板間で相互にコマンド通信をしている。
(b)液晶表示器41の表示画面に二次元コードを表示する場合、演出制御CPUから液晶基板のCPUに対し、通常時コマンドのデータ部(データ(n)、データ(n+1)等)に、二次元コードのデータを左上から順に7bitごとに分割(7bit化)したものを送信する。
(c)液晶基板のCPUが二次元コードを描画する際、1ドットあたりのピクセル数が2~4であれば、受信したデータの1ドットに対して、縦横のドットを増加させるようにする。例えば、ピクセル数が2であれば、元の1ピクセルを縦横2倍ずつして計4ピクセルとする(
図76参照)。
【0744】
〔効果〕このような構成を採用することにより、どのような大きさの液晶表示器であっても、2次元コードを正しく表示しつつ、読み込みやすい2次元コードを表示することができる。
【0745】
本発明は、上述した実施形態に制約されることなく、各種の変形を採用することができる。
【0746】
上述した実施形態の遊技機は、遊技球が特定領域を通過した場合に大当りとなる遊技機(いわゆる羽根物、旧2種遊技機)の例で説明したが、内部的な抽選で当選の結果が得られた場合に大当りとなる遊技機(いわゆるデジタルパチンコ、旧1種遊技機)であってもよい。この場合、いわゆるループタイプ(確変回数に実質的な上限を設定しないタイプ)の遊技機としてもよく、STタイプ(確変回数に実質的な上限を設定するタイプ)の遊技機としてもよく、確変領域を有しない遊技機としてもよく、確変領域を有する遊技機としてもよく、「第1特別図柄及び第2特別図柄の同時回し」を採用していない遊技機としてもよく、同時回しを採用している遊技機としてもよい。また、遊技機は、いわゆる1種2種混合機であってもよい。さらに、遊技機は、設定付きの遊技機や性能表示モニタを有する遊技機であってもよい。
【0747】
本発明は、パチンコ機だけでなく、パチスロ機にも適用可能である。
第1基板は、サブ制御基板であり、第2基板は、液晶基板である例で説明したがこれに限定されるものではない。例えば、第1基板は、主制御基板や液晶基板であってもよく、第2基板は、サブ制御基板や主制御基板であってもよい。
サブ制御基板は、VDPが搭載された基板であってもよい。
遊技情報には、通信の制御に必要となる通信情報が含まれていてもよい。
通信情報には、遊技の制御に必要となる遊技情報が含まれていてもよい。
【0748】
その他、パチンコ機1の構造や盤面構成等は図示のものも含めて好ましい例示であり、これらを適宜に変形可能である。
【符号の説明】
【0749】
1 パチンコ機
8 遊技盤ユニット
8a 遊技領域
30 可動入球役物装置
34 第1特別図柄表示装置
35 第2特別図柄表示装置
42 演出用表示装置
70 主制御装置
72 主制御CPU
74 ROM
76 RAM
124 演出制御装置
126 演出制御CPU