(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】時計用ムーブメントおよび時計
(51)【国際特許分類】
G04C 3/00 20060101AFI20240202BHJP
G04C 3/14 20060101ALI20240202BHJP
【FI】
G04C3/00 E
G04C3/14 W
G04C3/14 C
(21)【出願番号】P 2020138000
(22)【出願日】2020-08-18
【審査請求日】2023-06-06
(31)【優先権主張番号】P 2019190283
(32)【優先日】2019-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502366745
【氏名又は名称】セイコーウオッチ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】河田 正幸
(72)【発明者】
【氏名】麦島 勝也
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 賢
(72)【発明者】
【氏名】田中 佑弥
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-233791(JP,A)
【文献】実開平04-130098(JP,U)
【文献】特開2020-134225(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04C 3/00, 3/14
H02P 8/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
指針を回転させるロータを有するステッピングモータと、
前記ロータの回転に基づいて回転する歯車を有する輪列群と、
を備え、
前記輪列群は、
第1歯車と、
第2歯車と、
前記第1歯車と噛み合うように配置され、前記第1歯車と噛み合う場合に前記ロータが受ける負荷に変動を与える第1基準負荷部を有し、前記ロータに対して第1の減速比で回転する第3歯車と、
前記第2歯車と噛み合うように配置され、前記第2歯車と噛み合う場合に前記ロータが受ける負荷に変動を与える第2基準負荷部を有し、前記ロータに対して前記第1の減速比よりも小さい第2の減速比で回転する第4歯車と、
を備える、
ことを特徴とする時計用ムーブメント。
【請求項2】
前記輪列群は、前記指針が取り付けられて前記ロータに対して第3の減速比で回転する車を有し、
前記第1の減速比は、前記第3の減速比の倍数である、
ことを特徴とする請求項1に記載の時計用ムーブメント。
【請求項3】
前記第1の減速比は、前記第2の減速比の倍数である、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の時計用ムーブメント。
【請求項4】
前記第2基準負荷部は、前記第4歯車の1つの歯に設けられ、
前記第4歯車を1回転させるのに要する前記ステッピングモータのステップ数は、前記第4歯車の歯数と等しい、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の時計用ムーブメント。
【請求項5】
前記輪列群は、前記ロータの回転を前記指針、および情報を表示する表示車の少なくともいずれか一方に伝達する輪列を有し、
前記輪列は、前記第3歯車および前記第4歯車を含む、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の時計用ムーブメント。
【請求項6】
前記輪列群は、前記ロータの回転を前記指針、および情報を表示する表示車の少なくともいずれか一方に伝達する輪列を有し、
前記第3歯車および前記第4歯車の少なくともいずれか一方は、前記輪列に含まれる歯車とは別に設けられている、
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の時計用ムーブメント。
【請求項7】
前記第1基準負荷部は、前記第1歯車に接触して弾性変形し、
前記第2基準負荷部は、前記第2歯車に接触して弾性変形する、
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の時計用ムーブメント。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の時計用ムーブメントを備えることを特徴とする時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時計用ムーブメントおよび時計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
時計において、指針の位置を検出する手法として、指針が基準位置に位置する際にステッピングモータのロータに負荷変動を生じるように輪列を形成し、ロータの回転状態を誘起電圧により検出して指針の基準位置を判断する技術がある。指針の基準位置に対応する負荷変動をモータに発生させる機構の一例として、指針に連動して回転する所定の歯車の1つの歯を他の歯とは異なる形状に形成する方法が開発されている。これにより、前記1つの歯が他の歯車と噛み合う際にロータに負荷変動が生じる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、負荷変動を生じさせる歯車がロータに対する減速比が比較的大きい歯車であると、負荷変動の開始から終了までに複数の運針ステップを要する場合がある。この場合には、モータの誘起電圧によって検出される負荷の大きさが、モータの駆動電圧や駆動パルスの大きさなどによってばらつき、指針の基準位置を検出することが困難となる場合がある。
【0005】
そこで本発明は、指針の基準位置を精度よく検出できる時計用ムーブメントおよび時計を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の時計用ムーブメントは、指針を回転させるロータを有するステッピングモータと、前記ロータの回転に基づいて回転する歯車を有する輪列群と、を備え、前記輪列群は、第1歯車と、第2歯車と、前記第1歯車と噛み合うように配置され、前記第1歯車と噛み合う場合に前記ロータが受ける負荷に変動を与える第1基準負荷部を有し、前記ロータに対して第1の減速比で回転する第3歯車と、前記第2歯車と噛み合うように配置され、前記第2歯車と噛み合う場合に前記ロータが受ける負荷に変動を与える第2基準負荷部を有し、前記ロータに対して前記第1の減速比よりも小さい第2の減速比で回転する第4歯車と、を備える、ことを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、第2基準負荷部を有する第4歯車は、第1基準負荷部を有する第3歯車よりも、ロータが1ステップ回転する毎に大きく回転する。このため、第2基準負荷部と第2歯車とが噛み合う頻度は、第1基準負荷部と第1歯車とが噛み合う頻度よりも高くなる。これにより、第2基準負荷部は、第1基準負荷部よりも高頻度でロータが受ける負荷変動を発生させる。
ここで、第1の減速比が比較的大きいことにより、第1基準負荷部がロータの複数ステップの回転にわたって第1歯車と噛み合う場合がある。この場合には、第1基準負荷部によるロータが受ける負荷の変動がロータの複数ステップの回転にわたって発生するため、第1基準負荷部による負荷変動だけでは、第3歯車と同期して回転する指針の基準位置の判断が困難となる可能性がある。
そこで、第1基準負荷部による低頻度の負荷変動に、第2基準負荷部による高頻度の負荷変動を組み合わせることで、指針の基準位置を正確に判断することが可能となる。
したがって、指針の基準位置を精度良く検出できる。
【0008】
上記の時計用ムーブメントにおいて、前記輪列群は、前記指針が取り付けられて前記ロータに対して第3の減速比で回転する車を有し、前記第1の減速比は、前記第3の減速比の倍数であってもよい。
【0009】
本発明によれば、第3歯車を整数周だけ回転させる毎に指針を1回転させることができる。よって、第1基準負荷部が第1歯車に噛み合ういずれのタイミングにおいても、指針が毎回同じ位置に位置するように構成できる。したがって、指針の基準位置を正確に判断することが可能となる。
【0010】
上記の時計用ムーブメントにおいて、前記第1の減速比は、前記第2の減速比の倍数であってもよい。
【0011】
本発明によれば、第4歯車を整数周だけ回転させる毎に第3歯車を1回転させることができる。このため、第1基準負荷部によって負荷変動が発生するタイミングに対して、第2基準負荷部によって負荷変動が発生するタイミングを固定的に設定することができる。よって、第1基準負荷部による負荷変動と、第2基準負荷部による負荷変動と、の組み合わせによって、容易に指針の基準位置を判断することが可能となる。
【0012】
上記の時計用ムーブメントにおいて、前記第2基準負荷部は、前記第4歯車の1つの歯に設けられ、前記第4歯車を1回転させるのに要する前記ステッピングモータのステップ数は、前記第4歯車の歯数と等しくてもよい。
【0013】
本発明によれば、第2基準負荷部が第2歯車と噛み合ってロータが受ける負荷に変動を与える期間がステッピングモータの略1ステップ分の期間となる。これにより第2基準負荷部は、第4歯車が1回転する間に、ステッピングモータの略1ステップ分の期間だけ負荷変動を発生させる。したがって、指針の基準位置をより正確に判断することが可能となる。また、輪列構成の自由度の向上を図ることができる。
【0014】
上記の時計用ムーブメントにおいて、前記輪列群は、前記ロータの回転を前記指針、および情報を表示する表示車の少なくともいずれか一方に伝達する輪列を有し、前記輪列は、前記第3歯車および前記第4歯車を含んでいてもよい。
【0015】
本発明によれば、指針および表示車の少なくともいずれか一方にロータの回転を伝達する歯車を第3歯車および第4歯車として用いることができる。よって、歯車の数を増やすことなく上述した作用効果を奏する時計用ムーブメントを形成できる。
【0016】
上記の時計用ムーブメントにおいて、前記輪列群は、前記ロータの回転を前記指針、および情報を表示する表示車の少なくともいずれか一方に伝達する輪列を有し、前記第3歯車および前記第4歯車の少なくともいずれか一方は、前記輪列に含まれる歯車とは別に設けられていてもよい。
【0017】
本発明によれば、指針および表示車の少なくともいずれか一方にロータの回転を伝達する歯車とは別に第3歯車および第4歯車の少なくともいずれか一方が設けられるので、従来の輪列の構成を変更することなく、上述した作用効果を奏する時計用ムーブメントを形成できる。
【0018】
上記の時計用ムーブメントにおいて、前記第1基準負荷部は、前記第1歯車に接触して弾性変形し、前記第2基準負荷部は、前記第2歯車に接触して弾性変形してもよい。
【0019】
本発明によれば、第1基準負荷部が第1歯車に接触して弾性変形することで、輪列群には弾性変形に伴うエネルギ損失が生じる。また、第2基準負荷部が第2歯車に接触して弾性変形することで、輪列群には弾性変形に伴うエネルギ損失が生じる。輪列群にエネルギ損失が生じることで、ロータが受ける負荷が増大する。よって、ロータが受ける負荷に変動を与える第1基準負荷部および第2基準負荷部を形成できる。
【0020】
本発明の時計は、上記の時計用ムーブメントを備えることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、指針の位置を正確に把握できる時計を提供できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、指針の基準位置を精度良く検出できる時計用ムーブメントおよび時計を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】第1実施形態のムーブメント表側の平面図である。
【
図3】第1実施形態のムーブメントの断面図である。
【
図4】第1実施形態のムーブメント裏側の平面図である。
【
図5】第1実施形態のムーブメントの一部を示す平面図であって、第1輪列群を表側から見た図である。
【
図6】第1実施形態に係る第2時中間車の斜視図である。
【
図7】第2実施形態のムーブメントの一部を示す平面図であって、第1輪列群を表側から見た図である。
【
図8】第3実施形態のムーブメントの一部を示す平面図であって、第1輪列群を表側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
【0025】
[第1実施形態]
一般に、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。このムーブメントに文字板、針を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。時計の基板を構成する地板の両側のうち、時計ケースのガラスのある方の側(すなわち、文字板のある方の側)をムーブメントの「裏側」と称する。また、地板の両側のうち、時計ケースのケース裏蓋のある方の側(すなわち、文字板と反対の側)をムーブメントの「表側」と称する。
【0026】
図1は、第1実施形態を示す時計の外観図である。
図1に示すように、本実施形態の時計1のコンプリートは、図示しないケース裏蓋およびガラス3からなる時計ケース2内に、ムーブメント4(時計用ムーブメント)と、目盛りを有する文字板5と、時針6(指針)、分針7、秒針8(指針)および24時針9と、を備えている。文字板5には、後述する日車46(表示車)に表示された日文字46aを明示させる日窓5aが開口している。これにより、時計1は、時刻に加え、日付を確認することが可能とされている。
【0027】
図2は、第1実施形態のムーブメント表側の平面図である。
図3は、第1実施形態のムーブメントの断面図である。
図2および
図3に示すように、ムーブメント4は、地板11と、輪列受12と、日車押さえ13と、二番受14と、第1モータ20Aと、第2モータ20Bと、第1輪列群30と、第2輪列群50と、を主に備える。
【0028】
図3に示すように、地板11は、ムーブメント4の基板を構成する。輪列受12は、地板11の表側に配置されている。日車押さえ13は、地板11の裏側に配置されている。二番受14は、地板11と輪列受12との間に配置されている。
【0029】
図2に示すように、第1モータ20Aおよび第2モータ20Bは、それぞれステータ21およびロータ22を有するステッピングモータである。ロータ22の磁極数は2である。第1モータ20Aおよび第2モータ20Bのそれぞれは、1ステップでロータ22を180°回転させる。第1モータ20Aは、時針6、24時針9および日車46(いずれも
図1参照)を回転させる動力を発生させる。第1モータ20Aは、1分毎にロータ22を1ステップ回転させる。第2モータ20Bは、分針7および秒針8(いずれも
図1参照)を回転させる動力を発生させる。第2モータ20Bは、1秒毎にロータ22を2ステップ回転させる。第1モータ20Aおよび第2モータ20Bそれぞれのロータ22には、かなが形成されている。
【0030】
図4は、第1実施形態のムーブメント裏側の平面図である。
図5は、第1実施形態のムーブメントの一部を示す平面図であって、第1輪列群を表側から見た図である。
図4および
図5に示すように、第1輪列群30は、第1モータ20Aのロータ22の回転に基づいて回転する歯車を有する。第1輪列群30は、第1モータ20Aのロータ22の回転を時針6に伝達する時輪列31と、第1モータ20Aのロータ22の回転を24時針9および日車46に伝達するカレンダ輪列41と、を備える。
【0031】
図3および
図5に示すように、時輪列31は、第1時中間車32と、第2時中間車33と、第3時中間車34と、筒車35と、を有する。
第1時中間車32は、地板11と輪列受12とにより回転可能に支持されている。第1時中間車32は、第1時中間歯車32aと第1時中間かな32bとを有する。第1時中間歯車32aは、地板11と輪列受12との間で第1モータ20Aのロータ22のかなと噛み合っている。第1時中間車32は、ロータ22に対して減速比6で回転する。すなわち、第1時中間車32は、第1モータ20Aのロータ22が6回転する毎に1回転する。
【0032】
第2時中間車33は、地板11と輪列受12とにより回転可能に支持されている。第2時中間車33は、第2時中間歯車33aと第2時中間かな33bとを有する。第2時中間歯車33aは、地板11と輪列受12との間で第1時中間車32の第1時中間かな32bと噛み合っている。第2時中間車33は、第1時中間車32に対する従動歯車である。第2時中間車33は、第1時中間車32に対して減速比7.5で回転する。すなわち、第2時中間車33は、第1モータ20Aのロータ22に対して減速比45で回転する。
【0033】
第3時中間車34は、地板11と日車押さえ13との間で地板11により回転可能に支持されている。第3時中間車34は、第3時中間歯車34aと第3時中間かな34bとを有する。第3時中間歯車34aは、地板11の裏側で第2時中間車33の第2時中間かな33bと噛み合っている。第3時中間車34は、第2時中間車33に対する従動歯車である。第3時中間車34は、第2時中間車33に対して減速比8で回転する。すなわち、第3時中間車34は、第1モータ20Aのロータ22に対して減速比360で回転する。
【0034】
筒車35は、地板11の裏側において中心パイプ15に回転可能に外挿されている。中心パイプ15は、地板11に保持されている。中心パイプ15は、地板11から裏側へ突出している。筒車35は、日車押さえ13に裏側から針座を介して押さえられている。筒車35の裏側の端部は、日車押さえ13から裏側へ突出している。筒車35の裏側の端部には、時針6(
図1参照)が取り付けられる。筒車35は、筒歯車35aを有する。筒歯車35aは、第3時中間車34の第3時中間歯車34aと噛み合っている。筒車35は、第3時中間車34に対する従動歯車である。筒車35は、第3時中間車34に対して減速比1で回転する。すなわち、筒車35は、第1モータ20Aのロータ22に対して減速比360で回転する。
【0035】
図5に示すように、カレンダ輪列41は、上述した第1時中間車32、第2時中間車33および第3時中間車34と、24時車42と、日回し中間車43と、を備える。
24時車42は、地板11と日車押さえ13との間で地板11により回転可能に支持されている。24時車42の軸部は、日車押さえ13から裏側へ突出している。軸部の裏側の端部には、24時針9(
図1参照)が取り付けられる。24時車42は、24時歯車42aを有する。24時歯車42aは、地板11の裏側で第3時中間車34の第3時中間かな34bと噛み合っている。24時車42は、第3時中間車34に対する従動歯車である。24時車42は、第3時中間車34に対して減速比2で回転する。すなわち、24時車42は、第1モータ20Aのロータ22に対して減速比720で回転する。
【0036】
日回し中間車43は、地板11と日車押さえ13との間で地板11により回転可能に支持されている。日回し中間車43の回転中心は、24時車42の回転中心回りに、第3時中間車34の回転中心から180°未満の角度ずれた位置に設けられている。つまり、日回し中間車43の回転中心は、平面視で24時車42の回転中心および第3時中間車34の回転中心を通る直線上から外れた位置に設けられている。日回し中間車43は、日回し中間歯車43aと円板車43bとを有する。日回し中間歯車43aは、地板11の裏側で24時歯車42aと噛み合っている。日回し中間車43は、24時車42に対する従動車である。日回し中間車43は、24時車42に対して減速比1で回転する。すなわち、日回し中間車43は、第1モータ20Aのロータ22に対して減速比720で回転する。円板車43bは、日回し中間歯車43aに重なっている。円板車43bは、送り歯43cを備える。送り歯43cは、円板車43bの外周面から径方向外側に突出している。
【0037】
日回し車44は、地板11と日車押さえ13との間で地板11により回転可能に支持されている。日回し車44は、日回し歯車44aを有する。日回し歯車44aは、日回し中間車43の送り歯43cと噛み合い可能に形成されている。日回し車44は、日回し中間車43の送り歯43cが日回し歯車44aの回転軌跡に進入して噛み合うことで回転する。このため、日回し車44は、日回し中間車43の回転によって間欠的に回転する。日回し車44は、日車46を回転させる。
【0038】
日車46は、地板11に対して回転可能に取付けられたリング状の部材である。日車46は、日車押さえ13によって裏側から押さえられている(
図4参照)。日車46の裏面には、周方向に沿って日付情報である日文字46a(
図1参照)が表示されている。日車46は、文字板5の日窓5aを通じて日文字46aを露出させることで、日付情報を表示する。日車46の内周縁には、全周に亘って複数の内歯46bが形成されている。内歯46bは、日回し歯車44aと噛み合っている。日車46は、日回し車44の回転に連動して回転する。このため、日車46は、日回し中間車43の回転によって間欠的に回転する。日車46は、ジャンパ47によって回転方向の位置を規正されている。ジャンパ47は、先端の爪を日車46の内歯46bに係合させることで日車46の回転を規制する。
【0039】
図2および
図3に示すように、第2輪列群50は、第2モータ20Bのロータ22の回転に基づいて回転する歯車を有する。第2輪列群50は、第2モータ20Bのロータ22の回転を秒針8および分針7(いずれも
図1参照)に伝達する表輪列51を備える。表輪列51は、四番中間車52と、四番車53と、三番車54と、二番車55と、を備える。
【0040】
四番中間車52は、地板11により回転可能に支持されている。四番中間車52は、四番中間歯車52aと四番中間かな52bとを有する。四番中間歯車52aは、地板11と輪列受12との間で第2モータ20Bのロータ22のかなと噛み合っている。四番中間車52は、第2モータ20Bのロータ22に対して減速比6で回転する。
【0041】
四番車53は、輪列受12により回転可能に支持されている。四番車53は、四番真53aと、四番真53aに組み付けられた四番歯車53bと、四番真53aに形成された四番かな53cと、を有する。四番真53aは、後述する二番真55aの内側に挿入されている。四番真53aは、二番真55aよりも裏側に突出している。四番真53aの裏側の端部は、秒針8(
図1参照)が取り付けられる。四番歯車53bは、四番中間かな52bと噛み合っている。四番車53は、四番中間車52に対する従動歯車である。四番車53は、四番中間車52に対して減速比10で回転する。すなわち、四番車53は、第2モータ20Bのロータ22に対して減速比60で回転する。
【0042】
三番車54は、地板11と輪列受12とにより回転可能に支持されている。三番車54は、三番歯車54aと三番かな(不図示)と、を備える。三番歯車54aは、四番かな53cと噛み合っている。三番車54は、四番車53に対する従動歯車である。三番車54は、四番車53に対して減速比20で回転する。すなわち、三番車54は、第2モータ20Bのロータ22に対して減速比400で回転する。
【0043】
二番車55は、二番受14と中心パイプ15により回転可能に支持されている。二番車55は、二番真55aと、二番真55aに組み付けられた二番歯車55bと、を有する。二番真55aは、円筒状に形成され、中心パイプ15の内側に挿入されている。二番真55aは、筒車35よりも裏側へ突出している。二番真55aの裏側の端部には、分針7(
図1参照)が取り付けられる。二番歯車55bは、三番かなと噛み合っている。二番車55は、三番車54に対する従動歯車である。二番車55は、三番車54に対して減速比9で回転する。すなわち、二番車55は、第2モータ20Bのロータ22に対して減速比3600で回転する。
【0044】
図5に示すように、第1輪列群30に含まれる複数の歯車のうち2つの歯車には、基準負荷部60が設けられている。24時歯車42aは、第1基準負荷部60Aを有する。第2時中間歯車33aは、第2基準負荷部60Bを有する。なお、第1基準負荷部60Aおよび第2基準負荷部60Bは、それぞれ同様に形成されているので、以下では第2基準負荷部60Bについて説明し、第1基準負荷部60Aの構成に関する詳細な説明は省略する。
【0045】
図6は、第1実施形態に係る第2時中間車の斜視図である。
図6に示すように、第2時中間歯車33aは、複数の歯61と、弾性部65と、を有する。複数の歯61は、標準歯62と、第2基準負荷部60Bとしての弾性歯63と、を含む。標準歯62は、複数の歯61のうち弾性歯63を除く全ての歯である。標準歯62は、一般的な歯車の歯であって、円弧歯形やインボリュート歯形、サイクロイド歯形等に形成された歯である。弾性歯63は、第2時中間歯車33aの有する複数の歯61のうち1つの歯である。弾性歯63は、弾性的に変位可能に形成されている。
【0046】
弾性部65は、先端に弾性歯63を有し、撓み変形可能に形成された片持ち梁である。弾性部65は、第2時中間歯車33aに形成された第1スリット67および第2スリット68の間の部分である。第1スリット67は、弾性歯63に隣接する一方の歯溝から径方向内側に向かって延びた後、周方向の一方側に向かって延びている。第2スリット68は、弾性歯63に隣接する他方の歯溝から第1スリット67に沿って延びている。これにより、弾性部65は、略一定の幅で延在し、先端の弾性歯63を径方向に変位させるように弾性変形可能に形成されている。
【0047】
基準負荷部60の作用について説明する。
図5および
図6に示すように、第2時中間歯車33aの複数の歯61のうち、第1時中間かな32bに係合する歯が標準歯62から弾性歯63に交替する際、弾性歯63には第1時中間かな32bの歯が接触する。その後、第1時中間かな32bがさらに回転すると、弾性歯63が弾性部65の弾性変形を伴いながら径方向の内側に変位する。これにより、第1輪列群30には、弾性部65の弾性変形に伴うエネルギ損失が生じる。よって、弾性歯63は、第1時中間かな32bと噛み合う場合に、標準歯62が第1時中間かな32bと噛み合う場合よりも第1モータ20Aのロータ22が受ける負荷を増大させる。つまり、第2基準負荷部60Bは、第2時中間車33が1回転する毎に1度、第1モータ20Aのロータ22が受ける負荷を変動させる。
【0048】
第1基準負荷部60Aは、24時歯車42aに設けられているので、第1基準負荷部60Aに第3時中間かな34bの歯が接触する場合に、第1モータ20Aのロータ22が受ける負荷を増大させる。つまり、第1基準負荷部60Aは、24時車42が1回転する毎に1度、第1モータ20Aのロータ22が受ける負荷を変動させる。また、24時車42は筒車35が2回転する毎に1回転するので、第1基準負荷部60Aは時針6が2回転する毎に1度、第1モータ20Aのロータ22が受ける負荷を変動させる。
【0049】
第2時中間車33は、第1モータ20Aのロータ22に対して、24時車42の減速比よりも小さい減速比で回転する。このため、第2基準負荷部60Bは、第1基準負荷部60Aよりも高頻度で第1モータ20Aのロータ22が受ける負荷を変動させる。特に、24時車42の減速比は、第2時中間車33の減速比の整数倍となっている。このため、第2基準負荷部60Bは、第1基準負荷部60Aの整数倍の頻度で第1モータ20Aのロータ22が受ける負荷を変動させる。
【0050】
なお、24時歯車42aは、第3時中間かな34bに加えて、日回し中間歯車43aとも噛み合っている。24時歯車42aは、第3時中間かな34bに対する従動歯車であるのに対し、日回し中間歯車43aに対する駆動歯車となっている。このため、第1基準負荷部60Aに日回し中間歯車43aの歯が接触する場合の負荷変動は、第1基準負荷部60Aに第3時中間かな34bの歯が接触する場合の負荷変動よりも十分に小さい。よって、第3時中間かな34bとの噛み合いによる負荷変動を、日回し中間歯車43aとの噛み合いによる負荷変動と区別して判別することができる。
【0051】
しかも、日回し中間車43の回転中心は、平面視で24時車42の回転中心および第3時中間車34の回転中心を通る直線上から外れた位置に設けられている。このため、第3時中間かな34bとの噛み合いによる負荷変動が生じるタイミングと、日回し中間歯車43aとの噛み合いによる負荷変動が生じるタイミングと、の関係に基づいて、第3時中間かな34bとの噛み合いによる負荷変動を、日回し中間歯車43aとの噛み合いによる負荷変動と区別して判別することができる。
【0052】
なお、
図2に示すように、第2輪列群50においても、2つの歯車に基準負荷部60が設けられている(
図2では一方の基準負荷部60のみ図示している)。本実施形態では、二番歯車55bおよび四番歯車53bのそれぞれに基準負荷部60が設けられている。四番車53は、第2モータ20Bのロータ22に対して、二番車55の減速比よりも小さい減速比で回転する。このため、四番車53に設けられた基準負荷部60は、二番車55に設けられた基準負荷部60よりも高頻度で第2モータ20Bのロータ22が受ける負荷を変動させる。
【0053】
以上に説明したように、本実施形態では、ムーブメント4の第1輪列群30は、第3時中間かな34bに噛み合うように配置され、第3時中間かな34bと噛み合う場合に第1モータ20Aのロータ22が受ける負荷に変動を与える第1基準負荷部60Aを有し、第1モータ20Aのロータ22に対して減速比720で回転する24時歯車42aと、第1時中間かな32bと噛み合うように配置され、第1時中間かな32bと噛み合う場合に第1モータ20Aのロータ22が受ける負荷に変動を与える第2基準負荷部60Bを有し、第1モータ20Aのロータ22に対して減速比45で回転する第2時中間歯車33aと、を備える。
【0054】
この構成によれば、第2基準負荷部60Bを有する第2時中間歯車33aは、第1基準負荷部60Aを有する24時歯車42aよりも、第1モータ20Aのロータ22が1ステップ回転する毎に大きく回転する。このため、第2基準負荷部60Bと第1時中間かな32bとが噛み合う頻度は、第1基準負荷部60Aと第3時中間かな34bとが噛み合う頻度よりも高くなる。これにより、第2基準負荷部60Bは、第1基準負荷部60Aよりも高頻度で第1モータ20Aのロータ22が受ける負荷変動を発生させる。ここで、24時歯車42aの減速比が比較的大きいことにより、第1基準負荷部60Aが第1モータ20Aのロータ22の複数ステップの回転にわたって第3時中間かな34bと噛み合う場合がある。この場合には、第1基準負荷部60Aによる第1モータ20Aのロータ22が受ける負荷の変動がロータ22の複数ステップの回転にわたって発生するため、第1基準負荷部60Aによる負荷変動だけでは、第3時中間かな34bと同期して回転する時針6の基準位置の判断が困難となる可能性がある。そこで、第1基準負荷部60Aによる低頻度の負荷変動に、第2基準負荷部60Bによる高頻度の負荷変動を組み合わせることで、時針6の基準位置を正確に判断することが可能となる。したがって、時針6の基準位置を精度良く検出できる。
【0055】
また、第1輪列群30は、時針6が取り付けられて、第1モータ20Aのロータ22に対して減速比360で回転する筒車35を備える。24時歯車42aの減速比は、筒車35の減速比の倍数となっている。この構成によれば、24時歯車42aを整数周だけ回転させる毎に時針6を1回転させることができる。よって、第1基準負荷部60Aが第3時中間かな34bに噛み合ういずれのタイミングにおいても、時針6が毎回同じ位置に位置するように構成できる。したがって、時針6の基準位置を正確に判断することが可能となる。
【0056】
また、24時歯車42aの減速比は、第2時中間歯車33aの減速比の倍数である。この構成によれば、第2時中間歯車33aを整数周だけ回転させる毎に24時歯車42aを1回転させることができる。このため、第1基準負荷部60Aによって負荷変動が発生するタイミングに対して、第2基準負荷部60Bによって負荷変動が発生するタイミングを固定的に設定することができる。よって、第1基準負荷部60Aによる負荷変動と、第2基準負荷部60Bによる負荷変動と、の組み合わせによって、容易に時針6の基準位置を判断することが可能となる。
【0057】
また、第1輪列群30は、第1モータ20Aのロータ22の回転を時針6に伝達する時輪列31と、第1モータ20Aのロータ22の回転を24時針9および日車46に伝達するカレンダ輪列41と、を有する。時輪列31およびカレンダ輪列41は、24時歯車42aおよび第2時中間歯車33aを含んでいる。この構成によれば、時針6、24時針9および日車46の少なくともいずれか1つに第1モータ20Aのロータ22の回転を伝達する歯車を、第1基準負荷部60Aおよび第2基準負荷部60Bを有する歯車として用いることができる。よって、歯車の数を増やすことなく上述した作用効果を奏するムーブメント4を形成できる。
【0058】
また、第1基準負荷部60Aは、第3時中間かな34bに接触して弾性変形する。第2基準負荷部60Bは、第1時中間かな32bに接触して弾性変形する。この構成によれば、第1基準負荷部60Aが第3時中間かな34bに接触して弾性変形することで、第1輪列群30には弾性変形に伴うエネルギ損失が生じる。また、第2基準負荷部60Bが第1時中間かな32bに接触して弾性変形することで、第1輪列群30には弾性変形に伴うエネルギ損失が生じる。第1輪列群30にエネルギ損失が生じることで、第1モータ20Aのロータ22が受ける負荷が増大する。よって、第1モータ20Aのロータ22が受ける負荷に変動を与える第1基準負荷部60Aおよび第2基準負荷部60Bを形成できる。
【0059】
そして、本実施形態の時計1は、上述したムーブメント4を備えるので、時針6の位置を正確に把握された時計とすることができる。
【0060】
なお、以上の説明では、第1輪列群30における第1基準負荷部60Aおよび第2基準負荷部60Bの作用効果について説明したが、第2輪列群50における一対の基準負荷部60についても同様の作用効果を奏する。すなわち、四番歯車53bおよび二番歯車55bがそれぞれ基準負荷部60を有するので、第2モータ20Bのロータ22が受ける負荷の変動に基づいて、分針7および秒針8の基準位置を正確に判断することが可能となる。
【0061】
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態のムーブメントの一部を示す平面図であって、第1輪列群を表側から見た図である。
図5に示す第1実施形態では、第1基準負荷部60Aおよび第2基準負荷部60Bの両方が時輪列31およびカレンダ輪列41の少なくともいずれか一方の歯車に設けられている。これに対して、
図7に示す第2実施形態では、第2基準負荷部60Bが時輪列31およびカレンダ輪列41とは異なる歯車に設けられている点で、第1実施形態と異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
【0062】
図7に示すように、本実施形態の第1輪列群30Aは、第1実施形態の第1輪列群30に対して専用歯車36を追加し、かつ第2基準負荷部60Bを第2時中間歯車33aではなく専用歯車36に設けた構成を有する。専用歯車36は、第1時中間車32の第1時中間かな32bのみと噛み合っている。専用歯車36は、第1時中間車32に対する従動歯車である。専用歯車36は、第1輪列群30Aにおける第1モータ20Aのロータ22のトルク伝達経路のうち、時針6、24時針9および日車46のいずれにもトルクを伝達しない経路上に配置されている。専用歯車36は、第1時中間車32に対して減速比7.5で回転する。すなわち、専用歯車36は、第1モータ20Aのロータ22に対して減速比45で回転する。
【0063】
上述したように、専用歯車36は、第2基準負荷部60Bを有する。このため、第1実施形態の第2時中間歯車33aと同様に、第2基準負荷部60Bは、専用歯車36が1回転する毎に1度、第1モータ20Aのロータ22が受ける負荷を変動させる。そして、専用歯車36は、第1モータ20Aのロータ22に対して、24時車42の減速比よりも小さい減速比で回転する。このため、第2基準負荷部60Bは、第1基準負荷部60Aよりも高頻度で第1モータ20Aのロータ22が受ける負荷を変動させる。特に、24時車42の減速比は、専用歯車36の減速比の整数倍となっている。このため、第2基準負荷部60Bは、第1基準負荷部60Aの整数倍の頻度で第1モータ20Aのロータ22が受ける負荷を変動させる。
【0064】
以上に説明したように、本実施形態では、ムーブメント4の第1輪列群30Aは、第1基準負荷部60Aを有する24時歯車42aと、第2基準負荷部60Bを有する専用歯車36と、を備えるので、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0065】
また、専用歯車36は、時輪列31およびカレンダ輪列41に含まれる歯車とは別に設けられている。この構成によれば、時針6、24時針9および日車46の少なくともいずれか一方に第1モータ20Aのロータ22の回転を伝達する歯車とは別に専用歯車36が設けられるので、従来の輪列の構成を変更することなく、上述した作用効果を奏するムーブメント4を形成できる。
【0066】
[第3実施形態]
図8は、第3実施形態のムーブメントの一部を示す平面図であって、第1輪列群を表側から見た図である。
図8に示す第3実施形態では、第2時中間車33は、第1モータ20Aのロータ22に対して減速比36で回転する点で、第1実施形態と異なる。なお、以下で説明する以外の構成は、第1実施形態と同様である。
【0067】
図8に示すように、本実施形態の第1輪列群30Bは、第1実施形態の第1輪列群30に対し、第2時中間車33の第1モータ20Aのロータ22に対する減速比を変更している。第2時中間車33の第2時中間歯車33aの歯数は72である。第2時中間車33は、第1時中間車32に対して減速比6で回転する。すなわち、第2時中間車33は、第1モータ20Aのロータ22に対して減速比36で回転する。第3時中間車34は、第2時中間車33に対して減速比10で回転する。すなわち、第3時中間車34は、第1モータ20Aのロータ22に対して減速比360で回転する。
【0068】
本実施形態では、第1モータ20Aのロータ22の磁極数が2である。このため、第2基準負荷部60Bが設けられた第2時中間歯車33aを1回転させるのに要する第1モータ20Aのステップ数は、第2時中間歯車33aの歯数と等しい72となる。
【0069】
本実施形態によれば、第2基準負荷部60Bが第1時中間かな32bと噛み合ってロータ22が受ける負荷に変動を与える期間が第1モータ20Aの略1ステップ分の期間となる。これにより第2基準負荷部60Bは、第2時中間歯車33aが1回転する間に、第1モータ20Aの略1ステップ分の期間だけ負荷変動を発生させる。したがって、基準負荷部が第1モータ20Aの複数ステップ分の期間にわたって負荷変動を発生させる構成と比較して、時針6の基準位置をより正確に判断することが可能となる。また、輪列構成の自由度の向上を図ることができる。
【0070】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、第1輪列群30において基準負荷部60が第2時中間歯車33aおよび24時歯車42aに設けられているが、他の歯車に基準負荷部を設けられていてもよい。ただし、基準負荷部は、互いに噛み合う一対の歯車のうち従動側の歯車に設けることが望ましい。これにより、基準負荷部を駆動側の歯車に設ける構成と比較して、ロータ22が受ける負荷を増大させることができる。
【0071】
また、上記実施形態では、第1基準負荷部60Aがカレンダ輪列41に含まれる歯車に設けられているが、第1基準負荷部60Aは時輪列31およびカレンダ輪列41に含まれない歯車に設けられていてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では基準負荷部60は歯車の1つの歯を弾性的に変位可能とすることにより形成されているが、これに限定されない。例えば、基準負荷部は、歯車の1つの歯を他の歯とは異なる形状とすることにより形成されていてもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、情報を表示する表示車として日車46を例に挙げて説明したが、日車46に限定されるものではない。例えば、情報として曜日を表示する曜車を表示車として適用してもよい。
【0074】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した各実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1…時計 4…ムーブメント(時計用ムーブメント) 6…時針(指針) 8…秒針(指針) 20A…第1モータ(ステッピングモータ) 20B…第2モータ(ステッピングモータ) 22…ロータ 30,30A,30B…第1輪列群(輪列群) 31…時輪列(輪列) 32b…第1時中間かな(第1歯車) 33a…第2時中間歯車(第4歯車) 34b…第3時中間かな(第2歯車) 35…筒車(車) 41…カレンダ輪列 42a…24時歯車(第3歯車) 46…日車(表示車) 50…第2輪列群(輪列群) 60A…第1基準負荷部 60B…第2基準負荷部