(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】食器洗浄機
(51)【国際特許分類】
A47L 15/46 20060101AFI20240202BHJP
【FI】
A47L15/46 D
(21)【出願番号】P 2020155084
(22)【出願日】2020-09-16
【審査請求日】2023-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001117
【氏名又は名称】弁理士法人ぱてな
(72)【発明者】
【氏名】佐橋 敏男
【審査官】東 勝之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-202729(JP,A)
【文献】特開2017-153685(JP,A)
【文献】特開2004-097695(JP,A)
【文献】特開2020-092765(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/00 - 15/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面上に設置され、前後方向に延びる底部材と、前方が開放された筐体開口とを有する筐体と、
前記筐体に対して前後方向に移動可能に設けられ、被洗浄物を収容しつつ洗浄可能な洗浄空間が形成された洗浄槽と、
前記洗浄槽に設けられて前記筐体の内部に位置し、前記底部材に存在する水を検出することによって前記筐体の内部における水漏れを検出する検出装置とを備え、
前記洗浄槽は、前記筐体に対して最も前方に移動することにより開放位置となる一方、前記筐体に対して最も後方に移動することにより、前記洗浄空間の全てが前記筐体の内部に位置する収納位置となり、
前記検出装置は、前記洗浄槽の後部であって、かつ、前記洗浄槽が前記開放位置にあっても前記筐体の内部に位置する個所に配置されていることを特徴とする食器洗浄機。
【請求項2】
前記底部材は、前後方向及び左右方向に延びる底壁と、前記底壁の右端と接続して前後方向に延びるとともに上方に向かって延びる右側壁と、前記底壁の左端と接続して前後方向に延びるとともに上方に向かって延びる左側壁と、前記底壁、前記右側壁及び前記左側壁の各前端と接続する前壁と、前記底壁、前記右側壁及び前記左側壁の各後端と接続する後壁とを有し、
前記底壁は、本体部と、前記本体部と接続し、前記洗浄槽に臨みつつ前記洗浄槽が前記開放位置と前記収納位置とを間を移動する際の前記検出装置の軌跡を含むように前後方向に延び、内部に前記水を貯留可能な凹部とを有し、
前記凹部は、前記本体部と接続する上端縁を有し、
前記検出装置は、前記上端縁よりも上方に離隔している請求項1記載の食器洗浄機。
【請求項3】
前記底部材は、前後方向及び左右方向に延びる底壁と、前記底壁の右端と接続して前後方向に延びるとともに上方に向かって延びる右側壁と、前記底壁の左端と接続して前後方向に延びるとともに上方に向かって延びる左側壁と、前記底壁、前記右側壁及び前記左側壁の各前端と接続する前壁と、前記底壁、前記右側壁及び前記左側壁の各後端と接続する後壁とを有し、
前記底壁には、本体部と、前記本体部と連続し、前記洗浄槽に臨みつつ前記洗浄槽が前記開放位置と前記収納位置とを間を移動する際の前記検出装置の軌跡を含むように前後方向に延び、内部に前記水を貯留させる貯留部とが形成され、
前記検出装置は、前記貯留部に存在する前記水を検出可能に前記貯留部の内部に進入している請求項1記載の食器洗浄機。
【請求項4】
前記本体部は、前記本体部に存在する前記水を前記貯留部に案内可能に傾斜している請求項3記載の食器洗浄機。
【請求項5】
前記検出装置は、ケースと、前記ケースの内部に設けられて下方に向かって延び、前記水を検出可能なセンサとを有し、
前記ケースには、前記洗浄槽に係合させることで前記ケースを前記洗浄槽に固定可能な固定部が設けられている請求項1乃至4のいずれか1項記載の食器洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食器洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の食器洗浄機が開示されている。この食器洗浄機は、筐体と、洗浄槽と、検出装置とを備えている。筐体は床等の設置面上に設置されている。筐体は略矩形状に形成されており、底部材と、筐体開口とを有している。底部材は筐体の下部に位置しており、前後方向に延びている。筐体開口は筐体の前端に設けられており、筐体の前方を筐体の外部に開放している。
【0003】
洗浄槽は筐体に対して前後方向に移動可能に設けられている。洗浄槽には、被洗浄物を収容しつつ洗浄可能な洗浄空間が形成されている。洗浄槽は筐体に対して最も前方に移動することによって開放位置となる。また、洗浄槽は筐体に対して最も後方に移動することにより、洗浄空間の全てが筐体の内部に位置する収納位置となる。また、洗浄槽には、洗浄空間に給水を行う給水管と、洗浄空間の排水を行う排水管とが接続されている。検出装置は洗浄槽に設けられている。より具体的には、検出装置は、洗浄槽の下部において、前後方向の略中央となる位置に設けられている。
【0004】
この種の食器洗浄機では、筐体の内部において例えば給水管や排水管等からの水漏れが生じれば、その水は底部材に貯留される。しかし、このように底部材に貯留された水は食器洗浄機の使用者から見え難いことから、使用者が筐体の内部における水漏れを了知し難い問題がある。この点、特許文献1記載の食器洗浄機では、検出装置が底部材に存在する水を検出することによって筐体の内部における水漏れを検出する。これにより、この食器洗浄機では、使用者が筐体の内部における水漏れを了知し易く、食器洗浄機の修理等の対策を講じ易い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、筐体が設置される設置面は、必ずしも水平であるとは限らず、前後方向に僅かにでも傾斜している場合がある。また、設置面は、筐体が設置された当初は水平であったものの、時間の経過によって次第に前後方向に傾斜する場合もある。
【0007】
ここで、仮に設置面が後方に向かって下り傾斜となっている場合、設置面上に設置された筐体は、全体が後方に向かって下り傾斜の状態となる。このため、筐体の内部で水漏れが生じれば、その水は、底部材の後部に貯留される。しかし、上記従来の食器洗浄機では、検出装置が洗浄槽における前後方向の略中央となる位置に設けられている。このため、たとえ洗浄槽が収納位置にあっても、検出装置は底部材の前後方向の略中央部分においてのみ水を検出できるに過ぎず、底部材の後部に貯留された水を好適に検出することができない。
【0008】
反対に、設置面が前方に向かって下り傾斜となっている場合には、筐体全体が前方に向かって下り傾斜の状態となるため、筐体の内部で水漏れが生じれば、その水は、底部材の前方に貯留される。このため、上記の食器洗浄機では、洗浄槽が収納位置にあるときには、検出装置は底部材の前方に貯留された水を好適に検出することができない。また、この食器洗浄機では、洗浄槽を開放位置に移動させた際には、洗浄槽とともに検出装置も筐体開口を越えて筐体の前方、つまり筐体の外部に移動してしまう。このため、たとえ、洗浄槽が開放位置にあっても、検出装置は底部材の前方に貯留された水を好適に検出することができない。これらのため、この食器洗浄機では、筐体の内部における水漏れを必ずしも好適に検出とはいえない。
【0009】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、筐体の内部における水漏れをより好適に検出可能な食器洗浄機を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の食器洗浄機は、設置面上に設置され、前後方向に延びる底部材と、前方が開放された筐体開口とを有する筐体と、
前記筐体に対して前後方向に移動可能に設けられ、被洗浄物を収容しつつ洗浄可能な洗浄空間が形成された洗浄槽と、
前記洗浄槽に設けられて前記筐体の内部に位置し、前記底部材に存在する水を検出することによって前記筐体の内部における水漏れを検出する検出装置とを備え、
前記洗浄槽は、前記筐体に対して最も前方に移動することにより開放位置となる一方、前記筐体に対して最も後方に移動することにより、前記洗浄空間の全てが前記筐体の内部に位置する収納位置となり、
前記検出装置は、前記洗浄槽の後部であって、かつ、前記洗浄槽が前記開放位置にあっても前記筐体の内部に位置する個所に配置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の食器洗浄機では、洗浄槽に設けられた検出装置が底部材に存在する水を検出する。これにより、検出装置は、筐体の内部における水漏れを検出する。ここで、検出装置は、洗浄槽の後部であって、かつ、洗浄槽が開放位置にあっても筐体の内部に位置する個所に配置されている。これにより、この食器洗浄機では、設置面が水平である場合だけでなく、設置面が前後方向に傾斜している場合であっても、検出装置は底部材に存在する水を好適に検出できる。
【0012】
すなわち、この食器洗浄機では、洗浄槽が収納位置に移動することで、検出装置は筐体の内部において、底部材の後部に近い位置に移動する。このため、たとえ設置面が後方に向かって下り傾斜となっており、筐体の内部で漏れた水が底部材の後部に貯留される場合であっても、洗浄槽が収納位置となれば、検出装置は底部材に貯留された水を検出することができる。
【0013】
また、この食器洗浄機では、洗浄槽が開放位置に移動しても、検出装置は筐体の外部まで移動することはなく、筐体の内部に位置する。このため、この食器洗浄機では、洗浄槽が開放位置となることで、検出装置は筐体の内部において、底部材の前方に近い位置に移動する。これにより、この食器洗浄機では、たとえ設置面が前方に向かって下り傾斜となっており、筐体の内部で漏れた水が底部材の前方に貯留される場合であっても、洗浄槽が開放位置となることで、検出装置は底部材の前方に貯留された水を検出することができる。
【0014】
したがって、本発明の食器洗浄機は、筐体の内部における水漏れをより好適に検出できる。
【0015】
底部材は、前後方向及び左右方向に延びる底壁と、底壁の右端と接続して前後方向に延びるとともに上方に向かって延びる右側壁と、底壁の左端と接続して前後方向に延びるとともに上方に向かって延びる左側壁と、底壁、右側壁及び左側壁の各前端と接続する前壁と、底壁、右側壁及び左側壁の各後端と接続する後壁とを有し得る。また、底壁は、本体部と、前記本体部と接続し、洗浄槽に臨みつつ洗浄槽が開放位置と収納位置とを間を移動する際の検出装置の軌跡を含むように前後方向に延び、内部に水を貯留可能な凹部とを有し得る。さらに、凹部は、本体部と接続する上端縁を有し得る。そして、検出装置は、上端縁よりも上方に離隔していることが好ましい。
【0016】
この場合、底部材では、底壁が右側壁、左側壁、前壁及び後壁によって囲われるため、凹部を含め、底壁に貯留された水が底部材、ひいては筐体の外部に漏れることが防止される。また、この食器洗浄機では、凹部は、洗浄槽が開放位置と収納位置とを間を移動する際の検出装置の軌跡を含むように前後方向に延びているため、検出装置は、凹部の上方を前後方向に移動しつつ底部材に貯留された水を検出する。
【0017】
ところで、この食器洗浄機では、洗浄空間において被洗浄物の洗浄を行う際に、洗浄空間から水が凹部に不可避的に落下する場合があり得る。また、この食器洗浄機では、例えば結露によって凹部に水滴が生じる場合があり得る。さらに、たとえ筐体の内部で水漏れが生じても、その水量が少なく、凹部に僅かに貯留されるに止まる場合もあり得る。このため、水漏れに起因せずに凹部に存在する水滴や、凹部から溢れ出ない程度に貯留されているに過ぎない水についても検出装置が検出してしまうと、検出装置は過剰に水漏れを検出する結果となってしまう。これにより、使用者は、検出装置による検出を却って煩わしく感じてしまうだけでなく、食器洗浄機の修理を行う必要があるか否かの判断が困難となってしまう。
【0018】
この点、この食器洗浄機では、検出装置が凹部の上端縁よりも上方に離隔しているため、凹部に点在する水滴の他、凹部に水が貯留していても、凹部から溢れ出ない程度の水量であれば、検出装置は、凹部に存在する水を検出することがない。つまり、この食器洗浄機では、水漏れに起因しない水が凹部に僅かに存在しているに過ぎない場合の他、たとえ筐体の内部で水漏れが生じていても、凹部から溢れ出ない程度の水量であれば、検出装置は、筐体の内部の水漏れを検出することがない。この一方で、底部材に存在する水の水位が凹部の上端縁を超えている場合、すなわち、凹部が完全に水に浸かってしまう以上に底壁に水が貯留される状態となることで、検出装置は、筐体の内部における水漏れを検出する。こうして、この食器洗浄機では、筐体の内部における水漏れを好適に検出しつつ、利便性も高くすることができる。
【0019】
また、底部材は、前後方向及び左右方向に延びる底壁と、底壁の右端と接続して前後方向に延びるとともに上方に向かって延びる右側壁と、底壁の左端と接続して前後方向に延びるとともに上方に向かって延びる左側壁と、底壁、右側壁及び左側壁の各前端と接続する前壁と、底壁、右側壁及び左側壁の各後端と接続する後壁とを有し得る。さらに、底壁には、本体部と、前記本体部と連続し、洗浄槽に臨みつつ洗浄槽が開放位置と収納位置とを間を移動する際の検出装置の軌跡を含むように前後方向に延び、内部に水を貯留させる貯留部とが形成され得る。そして、検出装置は、貯留部に存在する水を検出可能に貯留部の内部に進入していることも好ましい。
【0020】
この場合には、貯留部に貯留された水が少ない場合であっても、検出装置は、その水を検出することができるため、筐体の内部における水漏れを早期に検出することができる。
【0021】
また、この場合、本体部は、本体部に存在する水を貯留部に案内可能に傾斜していることが好ましい。これにより、筐体の内部において、貯留部から離れた個所で水漏れが生じることで本体部に貯留される水についても、貯留部に集めることが可能となる。これにより、検出装置は、筐体の内部における水漏れをより好適に検出することができる。
【0022】
検出装置は、ケースと、ケースの内部に設けられて下方に向かって延び、水を検出可能なセンサとを有し得る。そして、ケースには、洗浄槽に係合させることでケースを洗浄槽に固定可能な固定部が設けられていることが好ましい。この場合には、洗浄槽に検出装置を容易に設けることが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の食器洗浄機は、筐体の内部における水漏れをより好適に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、実施例1の食器洗浄機を示す模式断面図である。
【
図2】
図2は、実施例1の食器洗浄機を示す模式断面図である。
【
図3】
図3は、実施例1の食器洗浄機に係り、底部材を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、実施例1の食器洗浄機に係り、
図3のA-A断面を示す断面図である。
【
図5】
図5は、実施例1の食器洗浄機に係り、洗浄槽及び検出装置を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、実施例1の食器洗浄機に係り、洗浄槽及び検出装置を示す分解斜視図である。
【
図7】
図7は、実施例1の食器洗浄機に係り、筐体の内部における凹部と検出装置との位置関係を示す要部拡大断面図である。
【
図8】
図8は、実施例1の食器洗浄機に係り、筐体の内部における凹部と検出装置との位置関係を示す要部拡大断面図である。
【
図9】
図9は、実施例1の食器洗浄機に係り、収納位置にある洗浄槽等を示す要部拡大断面図である。
【
図10】
図10は、実施例1の食器洗浄機に係り、開放位置にある洗浄槽等を示す要部拡大断面図である。
【
図11】
図11は、実施例1の食器洗浄機に係り、設置面が後方に向かって下り傾斜している場合における底部材及び洗浄槽等を示す要部拡大断面図である。
【
図12】
図12は、実施例1の食器洗浄機に係り、設置面が前方に向かって下り傾斜している場合における底部材及び洗浄槽等を示す要部拡大断面図である。
【
図13】
図13は、実施例2の食器洗浄機に係り、筐体の内部における貯留部と検出装置との位置関係等を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を具体化した実施例1、2を図面を参照しつつ説明する。
【0026】
(実施例1)
図1及び
図2に示すように、実施例1の食器洗浄機1は、システムキッチン100に組み込まれており、システムキッチン100の天板CT1の下方に設置されている。これにより、食器洗浄機1は、システムキッチン100の一部を構成している。食器洗浄機1は、筐体3と、洗浄槽5と、検出装置7とを備えている。
【0027】
本実施例では、
図1及び
図2に示す各矢印によって、食器洗浄機1の前後方向及び上下方向を規定している。また、
図3では、
図1及び
図2に示す各矢印によって、食器洗浄機1の前後方向及び上下方向を規定している他、食器洗浄機1の左右方向、すなわち幅方向を規定している。そして、
図4以降では、
図1~
図3に対応して、食器洗浄機1の前後方向、上下方向及び左右方向を規定している。なお、システムキッチン100の前後方向、上下方向及び左右方向は、食器洗浄機1の前後方向、上下方向及び左右方向と対応している。
【0028】
図1及び
図2に示すように、筐体3やシステムキッチン100は、床面200上に設置されている。床面200は、本発明における「設置面」の一例である。床面200は、前後方向に水平となっている。これにより、床面200上に設置された筐体3、ひいては食器洗浄機1の他、システムキッチン100は、前後方向に水平な状態となっている。
【0029】
筐体3は、底パネル31、前方パネル32、後方パネル33、上方パネル34、右方パネル(図示略)及び左方パネル(図示略)とを有している。底パネル31は、本発明における「底部材」の一例である。また、筐体3は、筐体開口3hと蓋体35とを有している。なお、
図1及び
図2では、説明を容易にするため、筐体3及び洗浄槽5等の各形状を簡略化及び誇張化して図示している他、検出装置7を二点鎖線で示している。
【0030】
底パネル31は、筐体3の下部、すなわち、筐体3の底部分を構成している。
図3及び
図4に示すように、底パネル31は、所定の板厚を有する金属板にプレス加工を施すことによって形成されており、底壁31aと、右側壁31bと、左側壁31cと、前壁31dと、後壁31eとを有している。底壁31aは、前後方向及び左右方向に延びる略矩形状をなしており、本体部311と、凹部313と、4つの脚部315とを有している。
【0031】
本体部311は、底壁31aにおいて、凹部313及び各脚部315を除いた部分である。本体部311は平坦に形成されており、上下方向に凹凸が存在していない。なお、本体部311に対して、底壁31aの剛性を確保するためのリブ等を設けても良い。
【0032】
凹部313は、本体部311と連続しており、本体部311に対して略直角で下方に向かうように凹設されている。より具体的には、凹部313は、
図7及び
図8に示すように、自己の上端に位置する第1上端縁313aを有している。第1上端縁313aは、本発明における「上端縁」の一例である。第1上端縁313aは、凹部313を一周しており、本体部311と接続している。
【0033】
また、
図3に示すように、凹部313は、底壁31aにおいて左右方向の中央よりもやや左寄りとなる個所に配置されている。これにより、凹部313は、筐体3の内部で洗浄槽5に臨んでいる(
図7~
図10参照。)。そして、
図3に示すように、凹部313は、底壁31aにおいて、略前端となる位置からから、略後端となる位置まで前後方向に直線状に延びている。これにより、凹部313は、洗浄槽5が開放位置と収納位置とを間を移動する際の検出装置7の軌跡L1を含む形状であって、上面視で底壁31aの前後方向に延びる略矩形状をなしている。ここで、洗浄槽5が開放位置と収納位置とを間を移動する際の検出装置7の軌跡L1とは、より具体的には、洗浄槽5が開放位置と収納位置とを間を移動する際の第1センサ73及び第2センサ75の軌跡L1である。そして、
図3では、洗浄槽5が開放位置にある際の第1センサ73及び第2センサ75の位置と、洗浄槽5が収納位置にある際の第1センサ73及び第2センサ75検出装置7の位置とを二点鎖線で示している。また、同図の白色矢印で示すように、洗浄槽5が開放位置と収納位置とを間を移動する際の検出装置7の軌跡L1、すなわち、洗浄槽5が開放位置と収納位置とを間を移動する際の第1センサ73及び第2センサ75の軌跡L1は、前後方向に延びる直線である。なお、第1センサ73及び第2センサ75の他、洗浄槽5における開放位置及び収納位置についての詳細は後述する。
【0034】
各脚部315は、それぞれ底壁31aの四隅に配置されており、下方に向かって、略円柱状に延びている。
図1及び
図2各脚部315は、筐体3が床面200上に設置されることにより、床面200と当接する。ここで、
図9及び
図11に示すように、各脚部315は、凹部313よりも下方に向かって長く延びている。このため、各脚部315が床面200と当接しても、凹部313は床面200と当接することはない。なお、各脚部315の個数や形状は適宜設計可能である。
【0035】
図3及び
図4に示すように、右側壁31bは、底壁31aの右端と一体をなしており、底壁31aの右端から上方に向かって略直角に延びている。また、右側壁31bは、底壁31aの前端から後端まで延びている。左側壁31cは、底壁31aの左端と一体をなしている。右側壁31bと同様、左側壁31cについても底壁31aから上方に向かって略直角に延びているとともに、底壁31aの前端から後端まで延びている。
【0036】
前壁31dは、底壁31a、右側壁31b及び左側壁31c各前端と一体をなしている。前壁31dは、底壁31aから上方に向かって略直角に延びている。また、前壁31dは、右側壁31bから左方に向かって延びているとともに、左側壁31cから右方に向かって延びている。
図3に示すように、後壁31eは、底壁31a、右側壁31b及び左側壁31c各後端と一体をなしている。後壁31eは、前壁31dと同様、底壁31aから上方に向かって略直角に延びている。そして、後壁31eは、右側壁31bから左方に向かって延びているとともに、左側壁31cから右方に向かって延びている。こうして、底壁31aは、右側壁31b、左側壁31c、前壁31d及び後壁31eによって周囲が囲われている。
【0037】
図10に示すように、前方パネル32は、筐体3の前方に位置しており、底パネル31の前壁31dと接続している。
図9に示すように、後方パネル33は、筐体3の後方に位置しており、底パネル31の後壁31eと接続している。図示を省略するものの、右方パネルは、前方パネル32と後方パネル33との間に位置しており、前方パネル32、後方パネル33及び底パネル31の右側壁31bと接続している。左方パネルは、前方パネル32と後方パネル33との間に位置しており、前方パネル32、後方パネル33及び底パネル31の左側壁31cと接続している。
図1及び
図2に示すように、上方パネル34は、筐体3の上方に位置しており、前方パネル32、後方パネル33、右方パネル及び左方パネルの各上端と接続している。これらの底パネル31、前方パネル32、後方パネル33、上方パネル34、右方パネル及び左方パネルにより、筐体3は、略矩形の箱状をなしている。
【0038】
筐体開口3hは、前方パネル32に形成されており、筐体3の内部と筐体3の外部とを連通させている。筐体開口3hは、前方パネル32において、上下方向及び左右方向に延びる矩形状に開口しており、洗浄槽5が前後方向で通過可能となっている。
【0039】
蓋体35は、筐体3の内部において、洗浄槽5の上部となる位置に配置されている。蓋体35は、後述する洗浄槽5の洗浄空間5hを閉塞及び開放可能である。
【0040】
また、筐体3の内部には、給水管P1、給水電磁弁37及び排水管P2が設けられている。給水管P1は、食器洗浄機1の外部に設けられた図示しない給水源から洗浄槽5に水300を供給する。給水電磁弁37は、給水管P1を開閉して洗浄槽5への水の供給と停止とを切り替える。排水管P2は、洗浄槽5内の洗浄水を食器洗浄機1の外部に排水する。なお、洗浄水については後述する。
【0041】
洗浄槽5には、洗浄空間5h、排気通路5a、貯水室51及びヒータ室52が形成されている。洗浄空間5hは、洗浄槽5における前後方向及び左右方向の略中央に位置している。洗浄空間5hは上部が開放されており、内部に食器TW1を収容可能であるとともに、収容された食器TW1の洗浄を行う。食器TW1は、本発明における「被洗浄物」の一例であり、例えば、茶碗、皿、グラス等の飲食用器の他、箸、スプーン、フォーク等の飲食用具等である。また、洗浄空間5hの内部には、食器かご50が配置されている。食器かご50には、食器TW1が載置される。洗浄空間5hには、給水管P1が接続されている。
【0042】
排気通路5aは、後端で洗浄空間5hと連通しつつ、洗浄槽5の内部を前方に向かって延びており、洗浄槽5の前面に開口している。これにより、排気通路5aは、洗浄空間5hと洗浄槽5の外部、すなわち食器洗浄機1の外部とを連通している。
【0043】
貯水室51は、洗浄空間5hの下部と連通している。貯水室51は、洗浄水を貯留可能となっている。また、貯水室51は、下部で排水管P2と接続している。ここで、洗浄水は、給水管P1から洗浄空間5hに給水された水300のみで構成される場合の他、給水管P1から洗浄空間5hに給水された水300に対して洗剤等の処理剤が混合されることで構成される。換言すれば、本実施例において、水300には、給水管P1によって洗浄空間5hに給水されるものに加えて、洗浄水も含まれる。
【0044】
貯水室51には、ノズル53及びフィルタ54が設けられている。ノズル53は、複数の吐出孔を有しており、各吐出孔から洗浄空間5h内に洗浄水を噴射可能である。ここで、ノズル53における洗浄水の噴射方向は、食器TW1を洗浄可能であるとともに、洗浄空間5hの内壁面や食器かご50を洗浄可能となるように、様々な方向に変化可能となっている。フィルタ54は、洗浄水に混入した残菜等の異物を除去する。
【0045】
ヒータ室52は、洗浄槽5の後方下部に配置されている。より具体的には、
図5に示すように、ヒータ室52は、洗浄槽5の後方下部であって、洗浄槽5の左右方向の略中央よりも左寄りとなる位置に配置されている。こうして、
図1及び
図2に示すように、ヒータ室52は、洗浄槽5において、洗浄空間5hよりも下方に位置している。ヒータ室52の内部には、ヒータ52aが設けられている。ヒータ52aは、洗浄水や洗浄空間5h内の空気を所定の温度に加熱可能である。
【0046】
また、洗浄槽5には、ポンプ55、水位検知槽56及び乾燥ファン57が設けられている。ポンプ55は、貯水室51の下部に組み付けられている。ポンプ55は、正転作動時には、貯水室51内でフィルタ54を通過した洗浄水をノズル53に供給する。一方、ポンプ55は、逆転作動時には、貯水室51内でフィルタ54を通過した洗浄水を排水管P2に流通させる。
【0047】
水位検知槽56は、貯水室51の前方に配置されている。水位検知槽56は、連通管P3を介して貯水室51と接続されており、内部に洗浄水の一部が流入可能となっている。また、水位検知槽56には、フロート式の水位センサ56aが設けられている。水位センサ56aは、水位検知槽56内に流入した洗浄水を通じて、洗浄空間5h内の洗浄水の水位を検知する。
【0048】
乾燥ファン57は、回転作動することにより、食器洗浄機1の外部から空気を導入し、その空気を洗浄空間5h内に供給可能である。乾燥ファン57によって洗浄空間5h内に供給された空気は、食器TW1を乾燥させながら洗浄空間5h内を流通した後、排気通路5aから洗浄槽5の外部に排出される。
【0049】
さらに、
図5に示すように、洗浄槽5には、ブラケット58が形成されている。ブラケット58は、洗浄槽5において、ヒータ室52の下部に配置されている。つまり、ブラケット58は、洗浄槽5の後方下部であって、洗浄槽5の左右方向の略中央よりも左寄りとなる位置に配置されている。
【0050】
ブラケット58は、ヒータ室52の下部に接続しつつ洗浄槽5の下方に向かって垂直に延びる第1壁58aと、第1壁58aの下端と接続しつつ洗浄槽5の後方に向かって水平に延びる第2壁58bと、第1壁58a及び第2壁58bに接続して第1壁58a及び第2壁58bの補強を行う第3壁58cとを有している。
【0051】
図6に示すように、第2壁58bには、第1係止孔581と、第2係止孔582と、切欠き部583とが形成されている。第1係止孔581は、第2壁58bにおける左方に配置されており、第2係止孔582は、第2壁58bにおける右方に配置されている。つまり、第1係止孔581と第2係止孔582とは、第3壁58cを挟んで第2壁58bの左右に配置されている。切欠き部583は、第2壁58bの左後端に設けられている。
【0052】
また、
図1及び
図2に示すように、洗浄槽5の前部の上端には、把持部5gが設けられている他、操作部40及び報知部41が設けられている。操作部40は、食器洗浄機1の使用者が食器洗浄機1の操作を行う。具体的には、使用者は操作部40を通じて、洗浄運転の種類の選択や洗浄運転の時間の選択等を行う。報知部41は、液晶パネルや警告灯によって構成されている。報知部41は、使用者が選択した洗浄運転の種類や時間等を液晶パネルに表示する他、筐体3の内部で水漏れが生じた際、その情報を液晶パネルや警告灯を通じて使用者に視覚的に報知する。なお、報知部41は、水漏れが生じた際、その情報を警告音によって報知しても良い。
【0053】
さらに、洗浄槽5の前部であって、把持部5gよりも下方となる位置には、洗剤自動投入装置60と、制御部C1とが設けられている。洗剤自動投入装置60は、洗浄空間5hにおける前方の内壁面に隣接している。洗剤自動投入装置60は、内部に洗剤が貯留されており、貯留された洗剤を所定のタイミングで洗浄空間5hに自動で投入する。
【0054】
制御部C1は、食器洗浄機1の作動制御を行うための制御プログラムを記憶している。制御部C1は、操作部40、報知部41及び洗剤自動投入装置60と電気的に接続されている他、給水電磁弁37、ヒータ52a、ポンプ55、水位センサ56a及び乾燥ファン57と電気的に接続されている。制御部C1は、制御プログラムに基づいて洗剤自動投入装置60等の制御を行い、食器洗浄機1を作動させる。
【0055】
洗浄槽5は、筐体3の内部に設けられたスライドレール機構(図示略)に連結されており、筐体3に対して前後方向に移動となっている。これにより、洗浄槽5は、
図1に示す収納位置と、
図2に示す開放位置との間で移動可能となっている。具体的には、
図1に示す収納位置は、洗浄槽5が筐体3に対して最も後方に移動した位置である。収納位置では、洗浄空間5hの全てが筐体3の内部に位置する。一方、
図2に示す開放位置は、洗浄槽5が筐体3に対して最も前方に移動した位置である。開放位置では、洗浄空間5hの全てが筐体3の外部に位置する。
【0056】
また、蓋体35は、このような筐体3に対する洗浄槽5の前後方向に連動して筐体3の内部で上下に移動する。これにより、
図1に示すように、蓋体35は、洗浄槽5が収納位置にあるときには、下方に移動して洗浄空間5hの上部を閉鎖する。そして、蓋体35は、洗浄槽5が
図2に示す開放位置にあるときを含め、洗浄槽5が収納位置よりも前方に移動することによって、上方に移動する。これにより、蓋体35は、洗浄空間5hの上部を開放するとともに、洗浄槽5の前方への移動を許容する。
【0057】
図5及び
図6に示すように、検出装置7は、ケース71と、第1センサ73と、第2センサ75とを有している。第1センサ73及び第2センサ75は、本発明における「センサ」の一例である。
【0058】
図6に示すように、ケース71は、前後方向に延びる第1部分71aと、第1部分71aの後端と接続しつつ下方に向かって延びる第2部分71bとを有している。また、第1部分71aには、第1係止爪711と、第2係止爪712と、当接片713とが形成されている。第1係止爪711及び第2係止爪712は、本発明における「固定部」の一例である。第1係止爪711は、第1部分71aの左端に位置しており、上方に向かって延びている。第2係止爪712は、第1部分71aの右端に位置しており、上方に向かって延びている。当接片713は、第1部分71aの左後端に位置しており、上方に向かって延びている。
【0059】
第2部分71bの内部には、収容室714が形成されている。収容室714は、第2部分71bの内部を上下方向に延びており、第2部分71bの下端に開口している。収容室714は、内部に第1センサ73及び第2センサ75を収容しつつ、第1センサ73及び第2センサ75を保持可能となっている。なお、
図6等では、説明を容易にするため、収容室714の形状を簡略化して図示している。
【0060】
第1センサ73は、保持部701と、中央部702と、先端部703とを有している。保持部701は、第1センサ73の上部に位置しており、所定の形状に屈曲しつつ上下方向に延びている。中央部702は、保持部701の下端に接続しており、下方に向かって略円柱状に延びている。先端部703は、中央部702の下端に設けられており、略半球状をなしている。つまり、先端部703は、第1センサ73の下端に位置している。第2センサ75は、第1センサ73と同様の構成であり、保持部701と、中央部702と、先端部703とを有している。
【0061】
図6~
図8に示すように、第1センサ73及び第2センサ75は、それぞれ保持部701を上方に向けた状態で収容室714に収容されている。そして、第1センサ73及び第2センサ75は、保持部701が収容室714の内壁に保持されることにより、収容室714の内部、ひいては、ケース71に収容されつつ固定される。こうして、第1センサ73及び第2センサ75は、収容室714の内部において、互いに左右方向に離隔しつつ下方に向かって延びる状態で配置されている。
【0062】
また、検出装置7では、ケース71がブラケット58の下部に固定されている。具体的には、ケース71では、
図6に示す当接片713をブラケット58の切欠き部583に当接させることで、ブラケット58に対する位置決めを行う。そして、この状態で第1係止爪711をブラケット58の第1係止孔581に挿通させつつ、第1係止孔581に係合させる。同様に、第2係止爪712をブラケット58の第2係止孔582に挿通させつつ、第2係止孔582に係合させる。こうして、ケース71がブラケット58の下部に固定され、
図5に示すように、検出装置7は、洗浄槽5の後方下部であって、洗浄槽5の左右方向の略中央よりも左寄りとなる位置に固定されている。
【0063】
そして、
図7~
図10に示すように、検出装置7は、洗浄槽5が筐体3の内部に設けられることにより、凹部313の第1上端縁313aよりも一定程度上方に離隔した状態で配置される。つまり、検出装置7は、凹部313の内部に進入していない。さらに、
図9及び
図10に示すように、検出装置7は、洗浄槽5が収納位置と開放位置との間で移動することに伴い、凹部313の第1上端縁313aよりも一定程度上方に離隔した状態を維持しつつ、凹部313に対して前後方向に移動する。
【0064】
ここで、
図9に示すように、洗浄槽5が収納位置となることにより、検出装置7は、凹部313の略後端となる位置まで移動する。一方、
図10に示すように、洗浄槽5が開放位置となることにより、検出装置7は、凹部313の略前端となる位置まで移動する。このように、検出装置7は、洗浄槽5が開放位置に移動した場合であっても、筐体開口3hを越えて筐体3の外部に移動することはない。つまり、この食器洗浄機1において、検出装置7は、洗浄槽5の後部であって、かつ、洗浄槽5が開放位置にあっても筐体3の内部に位置する個所に配置されている。
【0065】
また、詳細な図示を省略するものの、検出装置7では、第1センサ73及び第2センサ75は、
図1及び
図2に示す制御部C1に電気的に接続されている。これにより、第1センサ73及び第2センサ75は、収容室714の内部で通電されている。第1センサ73と第2センサ75とは、互いの間における電気抵抗の大きさの変化に基づき、底パネル31の底壁31a上に存在する水300の検出を行う。
【0066】
以上のように構成された食器洗浄機1では、食器TW1の洗浄を開始するに当たって、使用者は把持部5gを把持しつつ、手動操作で洗浄槽5を
図1に示す収容位置から、
図2に示す開放位置まで移動させる。これにより、洗浄槽5では、洗浄空間5hの全てが筐体開口3hよりも筐体3の外部に位置する。この状態で使用者は、洗浄空間5h内の食器かご50に食器TW1を収容する。その後、使用者は、操作部40の操作を行うとともに、洗浄槽5を
図1に示す収容位置に移動させる。これにより、制御部C1は、制御プログラムに基づき、給水電磁弁37、ポンプ55及び洗剤自動投入装置60等の各種作動制御を行い、食器TW1の洗浄運転を開始する。
【0067】
食器TW1の洗浄運転を開始が開始されることにより、給水電磁弁37が開弁し、給水管P1によって洗浄空間5h内に水300が供給される。さらに、洗剤自動投入装置60によって、洗剤が洗浄空間5h内に適宜投入される。これにより、洗浄空間5h内において、洗浄水による食器TW1の洗浄が所定の時間で行われる。また、食器TW1の洗浄が行われている間、水位検知槽56は、洗浄空間5h内の洗浄水の水位を検知する。そして、制御部C1は、水位検知槽56が検知した洗浄水の水位に基づき、給水電磁弁37等の作動制御を適宜行う。
【0068】
そして、食器TW1の洗浄が終了した後には、乾燥ファン57によって、食器TW1の乾燥が行われる。また、洗浄水は、排水管P2によって筐体3の外部、ひいては、食器洗浄機1の外部に排出される。こうして、食器TW1の洗浄運転が終了する。なお、食器TW1の洗浄運転が終了した後、使用者は、洗浄槽5を開放位置に移動させることで洗浄空間5hから食器TW1を取り出すことができる他、洗浄空間5h内に食器TW1を引き続き収容して保管することもできる。
【0069】
また、この食器洗浄機1では、例えば経年劣化によって給水電磁弁37が故障したり、給水管P1や排水管P2が損傷したりすれば、筐体3の内部で水漏れが生じる。こうして筐体3の内部に漏れ出た水300(洗浄水を含む)は、
図7及び
図8に示すように、底パネル31、より具体的には、凹部313を含め、底壁31a上に貯留される。ここで、この食器洗浄機1では、
図8に示すように、底壁31a上に貯留された水300の水位が一定値を超えることにより、検出装置7において、第1センサ73及び第2センサ75の各先端部703が水300に接触する。これにより、第1センサ73と第2センサ75との間の電気抵抗が予め設定されている閾値よりも小さくなる。この結果、検出装置7は、筐体3の内部で水漏れを検出し、制御部C1は、報知部41を通じて使用者に筐体3の内部での水漏れを報知する。こうして、この食器洗浄機1では、使用者が底壁31a上に貯留された水300を直接視認できなくても、筐体3の内部における水漏れを了知し易くなっており、食器洗浄機1の修理等の対策を講じ易くなっている。
【0070】
ところで、筐体3やシステムキッチン100が設置される床面200は、
図1及び
図2に示すような水平である場合に限らず、前後方向に僅かにでも傾斜している場合がある。また、床面200は、時間の経過によって次第に前後方向に傾斜する場合もある。
【0071】
ここで、
図11に示すように、床面200が後方に向かって下り傾斜となっている場合、床面200上に設置された筐体3は、全体が後方に向かって下り傾斜の状態となる。このため、筐体3の内部で水漏れが生じれば、その水300は、底壁31aの後部、つまり、底パネル31の後部に貯留される。この点、この食器洗浄機1では、洗浄槽5が収納位置に移動することで、検出装置7は筐体3の内部において、凹部313の略後端、ひいては底壁31aの略後端となる位置まで移動する。このため、たとえ床面200が後方に向かって下り傾斜となっており、筐体3の内部で漏れた水300が底パネル31の後部に貯留される場合であっても、洗浄槽5が収納位置となることによって、検出装置7は底パネル31の後方に貯留された水300を検出することが可能となっている。
【0072】
反対に、
図12に示すように、床面200が前方に向かって下り傾斜となっている場合、筐体3は、全体が前方に向かって下り傾斜の状態となるため、筐体3の内部で水漏れが生じれば、その水300は、底壁31aの前方に貯留される。しかし、この場合であっても、この食器洗浄機1では、洗浄槽5が開放位置に移動することで、検出装置7は筐体3の内部において、凹部313の略前端、ひいては底壁31aの略前端となる位置まで移動する。そして、この食器洗浄機1では、洗浄槽5が開放位置に移動しても、検出装置7は筐体3の外部まで移動することはなく、筐体3の内部に位置する。これにより、この食器洗浄機1では、たとえ床面200が前方に向かって下り傾斜となっており、筐体3の内部で漏れた水300が底パネル31の前方に貯留される場合であっても、洗浄槽5が開放位置となること、すなわち、食器TW1の洗浄を開始する際や洗浄空間5hに収容された食器TW1を取り出す際に、検出装置7は底パネル31の前方に貯留された水300を検出することが可能となっている。
【0073】
したがって、実施例1の食器洗浄機1は、筐体3の内部における水漏れをより好適に検出できる。
【0074】
特に、この食器洗浄機1では、底パネル31の底壁31aが凹部313を有しており、凹部313は、洗浄槽5が開放位置と収納位置とを間を移動する際の第1センサ73及び第2センサ75の軌跡L1を含むように前後方向に延びている。そして、筐体3の内部において、検出装置7は、凹部313の第1上端縁313aよりも上方に離隔している。これにより、検出装置7は、洗浄槽5の前後方向の移動に伴って、凹部313の上方を前後方向に移動しつつ底パネル31の底壁31aに貯留された水300を検出する。つまり、この食器洗浄機1では、検出装置7は、凹部313の内部に進入した状態とはなっていない。
【0075】
このため、この食器洗浄機1では、食器TW1の洗浄運転時に洗浄空間5hから凹部313に不可避的に落下した水滴等、水漏れに起因せず、凹部313に僅かに水300が存在しているに過ぎない場合には、検出装置7はその水300を検出することがない。また、この食器洗浄機1では、たとえ筐体3の内部で水漏れが生じても、その水量が少なく、
図7に示すように、凹部313に貯留された水300が凹部313から溢れ出ない程度である場合には、検出装置7はその水300を検出することがない。すなわち、この食器洗浄機1では、
図8に示すように、凹部313が完全に水に浸かってしまう水位以上に底壁31aに水300が貯留され、その水300が第1、2センサ73、75の各先端部703に接触することによって、検出装置7は、初めて筐体3の内部における水漏れを検出する。換言すれば、この食器洗浄機1では、底壁31aに貯留される水300の水量が第1、2センサ73、75の各先端部703に達するまでは、たとえ筐体3の内部で水漏れが生じても、その水漏れを許容する構成となっている。こうして、この食器洗浄機では、筐体3の内部における水漏れを好適に検出しつつ、検出装置7による過剰な水漏れの検出を防止できるため、利便性も高くなっている。
【0076】
また、この食器洗浄機1では、底パネル31において、底壁31aが右側壁31b、左側壁31c、前壁31d及び後壁3eによって囲われるため、底壁31aに貯留された水300が底パネル31、ひいては筐体3の外部に漏れることが防止されている。ここで、
図11及び
図12に示すように、床面200が前後方向に傾斜している場合には、底壁31aの後方や前方に貯留された水300の水位が高くなり易いものの、この場合であっても、この食器洗浄機1では、底壁31aに貯留された水300が筐体3の外部に漏れ難くなっている。
【0077】
さらに、この食器洗浄機1では、ブラケット58の第1、2係止孔581、582に対してケース71の第1、2係止爪711、712をそれぞれ係合させることによって、ブラケット58の下部にケース71を容易に固定することが可能となっている。これにより、この食器洗浄機1では、ブラケット58に対してケース71をねじ止めする場合等に比べて、洗浄槽5に検出装置7を容易に設けることが可能となっている。また、この食器洗浄機1では、ケース71の当接片713をブラケット58の切欠き部583に当接させることにより、ブラケット58に対するケース71の位置決めも容易となっている。この点においても、この食器洗浄機1では、洗浄槽5に検出装置7を容易に設けることが可能となっている。
【0078】
(実施例2)
図13に示すように、実施例2の食器洗浄機2では、底壁31aに対して、凹部313に換えて貯留部314が形成されている。また、この食器洗浄機2では、底壁31aの本体部311が第1部位311aと第2部位311bとを有している。
【0079】
詳細な図示を省略するものの、貯留部314は、凹部313と同様の形状である。つまり、貯留部314についても、底壁31aにおいて左右方向の中央よりもやや左寄りとなる個所に配置されており、筐体3の内部で洗浄槽5に臨んでいる。そして、貯留部314は、底壁31aにおいて、略前端となる位置からから、略後端となる位置まで前後方向に直線状に延びており、洗浄槽5が開放位置と収納位置とを間を移動する際の検出装置7の軌跡L1、つまり、第1センサ73及び第2センサ75の軌跡L1を含む形状となっている。また、貯留部314は、自己の上端に位置する第2上端縁314aを有している。第2上端縁314aは、凹部313の第1上端縁313aと同様、貯留部314を一周している。
【0080】
第1部位311aは、平坦に形成されており、右側壁31b、左側壁31c、前壁31d及び後壁31eとそれぞれ一体をなしている。第2部位311bは、第1部位311aと貯留部314との間に位置しており、第1部位311aと第2上端縁314aとに接続している。ここで、第2部位311bは、第1部位311aから貯留部314に向かって下り傾斜しつつ第2上端縁314aに接続している。このように、この食器洗浄機2では、本体部311は、第2部位311bの部分において、貯留部314に向かって下り傾斜となる形状となっている。
【0081】
また、この食器洗浄機2では、実施例1の食器洗浄機1に比べて、ブラケット58の第1壁58a及び第3壁58cが洗浄槽5の下方に向かってより長く延びている。これにより、この食器洗浄機2では、ブラケット58を通じて洗浄槽5に検出装置7が取り付けられることにより、検出装置7は、洗浄槽5の後部であって、洗浄槽5のより下部となる位置に設けられることになる。このため、検出装置7では、ケース71の下端及び第1、2センサ73、75の各先端部703が貯留部314の内部に進入した状態となっている。この食器洗浄機2における他の構成は実施例1の食器洗浄機1と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して構成に関する詳細な説明を省略する。
【0082】
この食器洗浄機2においても、筐体3の内部で水漏れが生じれば、その水300が底壁31a上に貯留される。ここで、この食器洗浄機2では、本体部311の第2部位311bが貯留部314に向かって下り傾斜となっている。これにより、この食器洗浄機2では、筐体3の内部において、貯留部314から離れた個所で水漏れが生じた場合を含め、貯留部314ではなく本体部311に貯留されるような水300についても、本体部311の第2部位311bによって貯留部314に案内される。こうして、この食器洗浄機2では、筐体3の内部で漏れた水300を貯留部314に積極的に集めつつ貯留させることが可能となっている。
【0083】
そして、この食器洗浄機2では、洗浄槽5が収納位置と開放位置との間で移動することに伴い、検出装置7は、貯留部314の内部に進入した状態で、貯留部314に対して前後方向に移動する。これにより、この食器洗浄機2では、貯留部314に貯留された水300が少ない場合であっても、検出装置7は、その水300を検出することで筐体3の内部における水漏れを検出することができる。また、この食器洗浄機2では、筐体3の内部において、貯留部314から離れた個所で水漏れが生じた場合であっても、検出装置7が水漏れを検出し易くなっている。こうして、この食器洗浄機2では、実施例1の食器洗浄機1に比べて、筐体3の内部における水漏れを早期に検出することが可能となっている。この食器洗浄機2における他の作用は実施例1の食器洗浄機1と同様である。
【0084】
以上において、本発明を実施例1、2に即して説明したが、本発明は上記実施例1、2に制限されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0085】
例えば、実施例1の食器洗浄機1では、筐体3を床面200上に設置しているが、これに限らず、システムキッチン100の天板CT1上に設置しても良い。実施例2の食器洗浄機2についても同様である。
【0086】
また、実施例1の食器洗浄機1では、凹部313が上面視で底壁31aの前後方向に延びる略矩形状をなしている。しかしこれに限らず、凹部313は、洗浄槽5が開放位置と収納位置とを間を移動する際の第1センサ73及び第2センサ75の軌跡、ひいては、洗浄槽5が開放位置と収納位置とを間を移動する際の検出装置7の軌跡L1を含む形状であれば、上面視で円形状をなしていても良く、前後方向の径が左右方向の径よりも長い楕円形等をなしていても良い。実施例2の食器洗浄機2における貯留部314についても同様である。
【0087】
さらに、実施例1の食器洗浄機1では、検出装置7が第1センサ73と第2センサ75とを有しており、第1センサ73と第2センサ75との間における電気抵抗の変化に基づいて水300、ひいては筐体3の内部における水漏れを検出している。しかし、これに限らず、第1センサ73及び第2センサ75は、他の手段によって水300を検出しても良い。実施例2の食器洗浄機2についても同様である。
【0088】
また、実施例1の食器洗浄機1において、ケース71の収容室714内に第1センサ73又は第2センサ75のみを設ける構成としても良く、収容室714内に第1、2センサ73、75に加えて他のセンサを設ける構成としても良い。実施例2の食器洗浄機2についても同様である。
【0089】
また、実施例1の食器洗浄機1において、ブラケット58に対してケース71をねじ止めしたり、接着したりすることによってブラケット58にケース71を固定しても良い。また、ブラケット58を介さずに、ケース71を洗浄槽5の後方下部に直接固定することによって、洗浄槽5に検出装置7を設ける構成としても良い。実施例2の食器洗浄機2についても同様である。
【0090】
さらに、実施例2の食器洗浄機2において、本体部311は、本体部311に存在する水300を貯留部314に案内可能に全体が貯留部314に向かって下り傾斜となる形状であっても良い。
【0091】
また、実施例1、2の食器洗浄機1、2では、洗浄槽5が開放位置となることにより、洗浄空間5hの全てが筐体3の外部に位置している。しかしこれに限らず、洗浄槽5が開放位置にあるときに、洗浄空間5hの一部が筐体3の内部に位置していても良い。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、食器洗浄機、食器洗浄乾燥機又は厨房設備等に利用可能である。
【符号の説明】
【0093】
1、2…食器洗浄機
3…筐体
3h…筐体開口
5…洗浄槽
5h…洗浄空間
7…検出装置
31…底パネル(底部材)
31a…底壁
31b…右側壁
31c…左側壁
31d…前壁
31e…後壁
71…ケース
73…第1センサ(センサ)
75…第2センサ(センサ)
200…床面(設置面)
300…水
311…本体部
313…凹部
313a…第1上端縁(上端縁)
314…貯留部
TW1…食器(被洗浄物)