IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ TOWA株式会社の特許一覧

特許7430144クリーニング機構、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法
<>
  • 特許-クリーニング機構、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法 図1
  • 特許-クリーニング機構、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法 図2
  • 特許-クリーニング機構、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法 図3
  • 特許-クリーニング機構、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法 図4
  • 特許-クリーニング機構、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法 図5
  • 特許-クリーニング機構、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】クリーニング機構、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/72 20060101AFI20240202BHJP
   B29C 45/02 20060101ALI20240202BHJP
   H01L 21/56 20060101ALI20240202BHJP
【FI】
B29C33/72
B29C45/02
H01L21/56 T
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021009954
(22)【出願日】2021-01-26
(65)【公開番号】P2022113928
(43)【公開日】2022-08-05
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(72)【発明者】
【氏名】藤原 智人
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-135232(JP,A)
【文献】特開2001-334535(JP,A)
【文献】特開2002-11732(JP,A)
【文献】特開2002-313829(JP,A)
【文献】特開2016-168732(JP,A)
【文献】特開2020-131708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B08B 1/00
B08B 1/04
B29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形対象物を樹脂成形する成形型に接触して移動することでクリーニング可能なブラシと、
前記成形型の表面形状を測定する変位計と
を備え、
前記変位計は、成形動作の前に移動して前記表面形状を測定し、
前記変位計が測定した表面形状に応じて前記ブラシの移動速度を変更可能に構成されている、クリーニング機構。
【請求項2】
成形対象物を樹脂成形する成形型に接触して移動することでクリーニング可能なブラシと、
前記成形型の表面形状を撮影するカメラと
を備え、
前記カメラは、成形動作の前に移動して前記表面形状を撮像し、
前記カメラが撮像した表面形状に応じて前記ブラシの移動速度を変更可能に構成されている、クリーニング機構。
【請求項3】
前記ブラシを移動させるモータに供給する電力を変更可能な電力変更部をさらに備える、請求項1又は請求項2に記載のクリーニング機構
【請求項4】
前記ブラシが回転ブラシであり、前記ブラシの移動速度を変更するのに、前記回転ブラシの回転数を変更する、請求項1~3のいずれか1項に記載のクリーニング機構。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のクリーニング機構と
前記成形型と
を備える、樹脂成形装置。
【請求項6】
前記クリーニング機構は、成形対象物を搬送する搬送機構に備えられる、請求項5に記載の樹脂成形装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の樹脂成形装置で樹脂成形品を製造する方法であって、
前記成形型で前記樹脂成形品を樹脂成形する樹脂成形工程と、
前記成形型をクリーニングするクリーニング工程とを含む、樹脂成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニング機構、樹脂成形装置及び樹脂成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、金型のクリーニング装置において、ロールブラシの回転速度を変化させることで、ブラシの回転で樹脂バリを撒き散らすことを防止する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-313829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1には、ブラシの回転で樹脂バリを撒き散らすことしか開示されておらず、ブラシの長寿命化が望まれているが、それについてはなんら記載されていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明のクリーニング機構は、成形型に接触して移動することでクリーニング可能なブラシを備え、前記成形型の表面形状に応じて前記ブラシの移動速度を変更可能に構成されている。
【0006】
本発明の樹脂成形装置は、成形対象物を樹脂成形する成形型と、成形型に接触して移動することでクリーニング可能なブラシを含むクリーニング機構と、前記成形型の表面形状に関するデータを取得するデータ取得部と、前記データ取得部によって取得した前記表面形状に関するデータに基づいて前記ブラシの移動速度を制御する制御部とを備える。
【0007】
本発明の樹脂成形品の製造方法は、前記成形型で前記樹脂成形品を樹脂成形する樹脂成形工程と、前記成形型をクリーニングするクリーニング工程とを含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ブラシの寿命を長くする技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の樹脂成形装置の構成を模式的に示す平面図である。
図2】本実施形態のクリーニング機構を模式的に示す平面図である。
図3】本実施形態のクリーニング機構を模式的に示す側面図である。
図4】本実施形態の樹脂成形部を模式的に示す側面図である
図5】本実施形態の成形型を模式的に示す上面図である。
図6】本実施形態の搬送機構及びクリーニング機構による動作の様子を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0011】
<樹脂成形装置100の全体構成>
本実施形態の樹脂成形装置100は、図1に示すように、トランスファモールド法を使用した樹脂成形装置である。この樹脂成形装置は、たとえば、半導体チップ等の電子素子が接続された基板を樹脂成形するものであり、樹脂材料として円柱状をなすタブレット状の熱硬化性樹脂(以下、「樹脂タブレット」という。)を使用するものである。この例では、基板が樹脂成形前の成形対象物に相当する。
【0012】
なお、「基板」としては、シリコンウェーハ等の半導体基板、プリント配線基板、金属製基板、樹脂製基板、ガラス製基板、セラミック製基板などの一般的な基板及びリードフレームを挙げることができる。また、基板は、FOWLP(Fan Out Wafer Level Packaging)、FOPLP(Fan Out Panel Level Packaging)に用いられるキャリアであってもよい。さらにいえば、配線がすでに施されているものでもよいし、未配線のものでもよい。
【0013】
具体的に樹脂成形装置100は、図1に示すように、樹脂封止前の基板Wおよび樹脂タブレットTを供給する供給モジュールAと、樹脂成形部に相当し樹脂成形する樹脂成形モジュールBと、封止済基板P(樹脂成形品)を搬送するための搬送モジュールCと、制御部COMとを、それぞれ構成要素として備えている。なお、構成要素である供給モジュールAと、樹脂成形モジュールBと、搬送モジュールCとは、それぞれ他の構成要素に対して互いに着脱されることができ、かつ、交換されることができる。また、樹脂成形モジュールBを2つまたは3つに増やすなど、各モジュールを増減することもできる。この例では、封止済基板Pが樹脂成形後の成形対象物に相当し、樹脂成形品にも相当する。
【0014】
また、樹脂成形装置100は、供給モジュールAにより供給される基板W及び樹脂タブレットTを樹脂成形モジュールBに一括して搬送する搬送機構1(以下、「ローダ1」という。)と、樹脂成形モジュールBにより樹脂成形された封止済基板Pを搬送モジュールCに搬送する搬送機構2(以下、「アンローダ2」という。)とを備えている。
【0015】
アンローダ2は、図2および3に示すように、封止済基板Pを保持する基板保持部21と、後述するようクリーニング機構3とを備えている。基板保持部21は、封止済基板Pを吸着する吸着部211と、封止済基板Pを掴む爪212を備えている。なお、基板保持部21は、吸着部211を備えず、爪212のみを備えてもよい。
【0016】
本実施形態の供給モジュールAは、図1に示すように、基板供給機構4および樹脂供給機構5を備えている。
【0017】
基板供給機構4は、基板送出部41と、基板供給部42を有している。基板送出部41は、基板供給部42に基板Wを送り出すものである。基板供給部42は、基板送出部41から基板Wを受け取り、受け取った基板Wを所定方向に整列させて、ローダ1に受け渡すものである。
【0018】
樹脂供給機構5は、樹脂送出部51と、樹脂供給部52とを有している。樹脂送出部51は、樹脂供給部52に樹脂タブレットTを送り出すものである。樹脂供給部52は、樹脂送出部51から樹脂タブレットTを受け取り、受け取った樹脂タブレットTを所定方向に整列させて、ローダ1に受け渡すものである。
【0019】
樹脂成形モジュールBは、成形型6と型締め機構(不図示)とを有している。成形型6は、図4に示すように、昇降可能な下型61と、下型61の上方に対向して固定された上型62と、下型61及び上型62を型締めするための型締め機構とを有している。下型61は、可動盤63の上面に固定されており、上型62は、上部固定盤64の下面に固定されている。型締め機構は、可動盤63を上下移動させることによって、上型62及び下型61を型締め又は型開きするものである。
【0020】
下型61には、ローダ1により搬送された基板Wが配置される上面611と、ローダ1により搬送された樹脂タブレットTが供給される複数のポット612が形成されている。また、下型61の上面611には、図5に示すように、キャビティ611a及び樹脂通路611bが形成されている。上型62にも、キャビティ62aが形成されている。
【0021】
また、下型61側には、図4に示すように、ポット612内の樹脂タブレットTを、下型61の樹脂通路611bおよびキャビティ611aと、上型62のキャビティ62aに注入するためのプランジャ613が設けられている。なお、樹脂成形品の設計に応じて、下型61又は上型62のいずれか一方のみにキャビティを形成してもよいし、上型62及び下型61の両方にキャビティを形成してもよい。
【0022】
下型61の寸法は、図5において、X軸方向の長さが200~400mm、Y軸方向の長さが100~350mmのものがある。また、下型61のキャビティ611aの寸法としては、X軸方向の長さL1が約50~100mm、Y軸方向の長さL2が約200~350mmで、Z軸方向の長さ(深さ)が約0.1~2.0mmのものがある。下型61に形成される樹脂通路611bの寸法としては、X軸方向の長さL3が約1.0~3.5mm、Z軸方向の長さ(深さ)が0.1mm~3.5mmのものがある。また、ポット612の寸法は、直径L4約10~30mmのものがある。なお、上型62および上型62に形成されたキャビティ62aの寸法は下型の寸法と同様で、上型に樹脂通路611bを形成する場合もこのような寸法となる。
【0023】
その他、上型62と下型61とには、それぞれヒータ等の加熱部65が埋め込まれている(図4参照)。この加熱部により上型62及び下型61は、通常は180℃程度に加熱される。
【0024】
搬送モジュールCは、図1に示すように、樹脂成形モジュールBにより樹脂封止された封止済基板Pを収容する基板収容部7を有している。
【0025】
制御部COMは、少なくともクリーニング機構3を制御するように構成されている。制御部COMは、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)等を含み、情報処理に応じて各構成要素の制御を行うように構成されている。なお、制御部COMは、樹脂成形装置全体を制御するように構成されてもよい。
【0026】
<樹脂成形装置100の樹脂成形動作>
以下、本実施形態の樹脂成形装置100の樹脂成形の基本動作を説明する。
【0027】
図1に示すように、基板送出部41は、マガジン内の基板Wを基板供給部42に送り出す。基板供給部42は、受け取った基板Wを所定の方向へ整列させて、ローダ1に引き渡す。これと並行して、樹脂送出部51は、樹脂タブレットTを樹脂供給部52に送り出す。樹脂供給部52は、受け取った樹脂タブレットTのうち必要な個数(図1では3個)をローダ1に引き渡す。
【0028】
次に、ローダ1が、受け取った2枚の基板Wと3個の樹脂タブレットTとを、成形型6へ同時に搬送する。ローダ1は、基板Wを下型61の上面611に、樹脂タブレットTを下型61に形成されたポット612の内部に、それぞれ供給する。
【0029】
その後、型締め機構を用いて上型62と下型61とを型締めする。そして、各ポット612内の樹脂タブレットTを加熱して溶融させて溶融樹脂を生成し、プランジャ613によって溶融樹脂を押圧する。これにより、溶融樹脂は、樹脂通路611bを通してキャビティ611a、62aの内部に注入される。引き続き、硬化に必要な所要時間だけ溶融樹脂を加熱することによって、溶融樹脂を硬化させて硬化樹脂を形成する。これにより、キャビティ611a、62a内の半導体チップとその周辺の基板とは、キャビティ611a、62aの形状に対応して成形された硬化樹脂(封止樹脂)内に封止される。
【0030】
次に、硬化に必要な時間の経過後において、上型62と下型61とを型開きして、樹脂成形品である封止済基板Pを離型する。その後、アンローダ2を使用して、樹脂成形モジュールBにより樹脂封止された封止済基板P(樹脂成形品)を、搬送モジュールCの基板収容部7に収容する。このとき、アンローダ2は、搬送モジュールCに封止済基板Pを搬送する前に、封止済基板Pを保持した状態で、アンローダ2に備えられたクリーニング機構3を用いて成形型6の表面を後述するようにクリーニングする。
【0031】
<クリーニング機構3の構成>
以下、本実施形態のクリーニング機構3の基本構成を説明する。
【0032】
クリーニング機構3は、図3に示すように、ブラシ31と、吸引機構32とを有している。
【0033】
ブラシ31は、成形型6に接触して移動することで、成形型6の上面をクリーニングする。ブラシ31は、たとえばモータを用いて動作する。ブラシ31の一例として、回転ブラシや板状ブラシが挙げられる。本実施形態では、ブラシ31は、回転ブラシを用い、モータにより回転させる構成としている。板状ブラシを用いた場合には、モータ等の駆動源を用いて長手方向で直線状に往復運動する構成とすることができる。
【0034】
吸引機構32は、成形型6に付着する樹脂の粉塵を吸引するものである。吸引機構32は、集塵機(不図示)に接続することで、樹脂の粉塵を吸引する。集塵機の動作を開始する(電源を入れる)ことで、吸引機構32から樹脂の粉塵を吸引して、集塵機の動作を停止することで吸引機構32から樹脂の粉塵を吸引することを停止する。吸引機構32は、ブラシの移動(回転)により、成形型から飛散された樹脂の粉塵を吸引可能な位置に配置されている。
【0035】
制御部COMは、クリーニング機構3を制御するように構成されている。制御部COMは、ブラシ31の移動速度を変更可能にするために、本実施形態ではブラシ31を回転させるモータを供給する電力を変更可能な電力変更部POWを含む。したがって、この電力変更部POWにより、ブラシ31の回転数を変更することになる。なお、電力変更部POWの一例として、回転制御用トリマや回転制御用ボリュームが挙げられる。
【0036】
また、制御部COMは、成形型6の表面形状データに基づいて、ブラシ31の移動速度(回転数)を変更するように構成されている。成形型6の表面形状データは、たとえば、変位計による測定データや、成形型6の図面に関するデータ、成形型6の画像データに基づいて生成される。なお、表面形状データは、たとえば、成形型6、キャビティ611aおよび樹脂通路611bの幅や深さなどの大きさが挙げられる。
【0037】
変位計による成形型6の測定データを生成する場合、たとえばクリーニング機構3に変位計を設け、クリーニング動作前に、成形型6上をクリーニング機構3が移動する。これにより、成形型6の立体的な表面形状を測定して表面形状データを取得することができる。なお、変位計の一例として、レーザ変位計が挙げられる。また、表面形状の測定は、クリーニング動作後に行ってもよい。
【0038】
成形型6の図面に関するデータを生成する場合、たとえば成形型6のCAD図面などの設計図面のデータから立体的な表面形状データを取得することができる。
【0039】
成形型6の画像データを生成する場合、たとえばクリーニング機構3にカメラを設け、クリーニング動作前に、成形型6上をクリーニング機構3が移動することで、成形型6の表面形状を撮像することで、表面形状データを取得することができる。なお、カメラの一例として、ステレオカメラなどが挙げられる。また、1つのカメラで撮像位置を変更して成形型6の立体形状のデータを取得することもできる。また、表面形状の撮像は、クリーニング動作後に行ってもよい。
【0040】
<クリーニング機構3の動作>
以下、本実施形態のクリーニング機構3の基本動作を説明する。ここで説明する動作は、制御部COMで制御する。
【0041】
上型62と下型61とを型開きして、樹脂成形品である封止済基板Pを離型する。その後、アンローダ2を用いて、図6に示すように、樹脂封止された封止済基板Pを保持する。
【0042】
次に、クリーニング機構3のブラシ31を成形型6に接触させるようにY軸方向に繰り返し回転移動させるとともに、吸引機構32によって樹脂の粉塵を吸引する。これにより、成形型6の樹脂の粉塵を除去することができる。具体的には、ブラシ31によって除去された樹脂の粉塵を吸引機構32から集塵機(不図示)が吸引することで、効率的に樹脂の粉塵を除去することができる。
【0043】
このとき、制御部COMが、成形型6の表面形状データに基づいて、ブラシ31の移動速度を変更するように制御する。具体的には、制御部COMが、図5で示したようなキャビティ611aおよび樹脂通路611bのような凹凸が形成された部分と、凹凸形状がない平らな部分(キャビティが形成されていない部分)とで、ブラシ31の移動速度(回転数)を変更するように制御する。ブラシ31の移動速度を成形型6の表面形状によって変更することで、ブラシの摩耗を抑制することができる。
【0044】
クリーニング機構3による成形型6のクリーニングが終わると、アンローダ2は、搬送モジュールCの収容部7に封止済基板Pを搬送する。なお、クリーニング機構3でクリーニングする前に、アンローダ2で搬送モジュールCの収容部7に封止済基板Pを搬送してもよい。
【0045】
表面形状データを生成するための成形型6に対する測定動作又は撮像動作は、少なくとも最初の成形動作の前に行うことが好ましい。最初の成形動作の前に表面形状データを生成しておけば、最初のクリーニング動作から、ブラシ31の移動速度(回転数)を制御することができる。さらに、表面形状データを生成するための成形型6に対する測定動作又は撮像動作は、必要に応じて、一定の成形回数又は期間が経過した後に行ってもよい。
【0046】
<他の実施形態>
上記実施形態の思想は、以上で説明された実施の形態に限定されない。以下、上記実施形態の思想を適用できる他の実施の形態の一例について説明する。
【0047】
上記実施形態では、下型61の上面をクリーニングする例について説明した。しかし、クリーニング機構3をアンローダ2の上方に設けて、上記実施形態と同様に上型62の下面をクリーニングするように構成してもよい。また、クリーニング機構3をアンローダ2の上方および下方の両方に設けて、上型62および下型61の両方を同時にクリーニングするように構成してもよい。
【0048】
上記実施形態のクリーニング機構3において、搬送機構(アンローダ2)に設けたが、クリーニング機構3を搬送機構(アンローダ2)に設けず、搬送機構(ローダ1)に設けてもよい。また、クリーニング機構3を搬送機構(アンローダ2)に設けず、クリーニング機構3を別途設けてもよい。
【0049】
上記実施形態において、変位計やカメラを、クリーニング機構3に設けたが、ローダ1又はアンローダ2に取り付けてもよい。また、成形型6の測定位置又は撮像位置に搬送可能な搬送機構を樹脂成形装置100に別途設けて、この搬送機構に変位計やカメラを取り付けてもよい。
【0050】
上記実施形態の樹脂成形装置100において、搬送機構(ローダ1)と搬送機構(アンローダ2)とを別途設けていたが、搬送機構が搬送機構の機能を備えて、搬送機構により搬送と搬送との両方の動作を行われせるように構成してもよい。
【0051】
上記実施形態では、「表示形状に関するデータ」が表示形状データ自体である例について説明した。しかし、「表示形状に関するデータ」としては、表示形状データ自体でなくてもよい。たとえば、成形型の製造者が表面形状データに基づいてブラシの移動速度(回転ブラシの回転数)を制御するための制御データを生成し、その制御用データを使用者に提供する場合であれば、制御用データが「表示形状に関するデータ」に相当する。
【0052】
<実施形態の構成およびその効果>
上記実施形態のクリーニング機構は、成形型に接触して移動することでクリーニング可能なブラシを備え、前記成形型の表面形状に応じて前記ブラシの移動速度を変更可能に構成されている。このクリーニング機構によれば、ブラシの移動速度を成形型の表面形状によって変更することで、ブラシの摩耗を抑制して、ブラシの寿命を長くすることができる。
【0053】
また、具体的なクリーニング機構の構成として、前記ブラシを移動させるモータに供給する電力を変更可能な電力変更部をさらに備える。この構成であれば、ブラシの駆動源であるモータに供給する電力を変更することで、ブラシの移動速度を容易に変更することができる。
【0054】
また、具体的なクリーニング機構の構成として、前記成形型の表面形状に関するデータに基づいて、前記ブラシの移動速度を制御する制御部をさらに備える。この構成であれば、ブラシの移動速度を成形型の表面形状に関するデータに基づいて変更でき、ブラシの摩耗を抑制して、ブラシの寿命を長くすることができる。
【0055】
また、具体的なクリーニング機構の構成として、前記表面形状に関するデータは、変位計による測定データ、前記成形型の図面に関するデータ及び画像データの少なくとも1つに基づいて生成される。このデータから、成形型の表面形状に関するデータを容易に取得することができる。したがって、成形型の表面形状に関するデータに基づいて、ブラシの移動速度を容易に変更することができる。
【0056】
また、具体的なクリーニング機構の構成として、前記ブラシが回転ブラシであり、前記ブラシの移動速度を変更するのに、前記回転ブラシの回転数を変更するように構成されている。このクリーニング機構であれば、ブラシの回転数を成形型の表面形状によって変更することで、ブラシの摩耗を抑制してブラシの寿命を長くすることができる。
【0057】
上記実施形態の樹脂成形装置は、成形対象物を樹脂成形する成形型と、前記クリーニング機構とを備える。この樹脂成形装置であれば、クリーニング機構のブラシの移動速度を成形型の表面形状によって変更することで、ブラシの摩耗を抑制して、ブラシの寿命を長くすることができる。
【0058】
また、具体的な樹脂成形装置として、前記クリーニング機構は成形対象物を搬送する搬送機構に備えられる。この構成であれば、クリーニング機構と成形対象物を搬送する搬送機構とを同じ機構に設けることで、装置を簡素化することができる。
【0059】
上記実施形態の樹脂成形装置は、成形対象物を樹脂成形する成形型と、成形型に接触して移動することでクリーニング可能なブラシを含むクリーニング機構と、前記成形型の表面形状に関するデータを取得するデータ取得部と、前記データ取得部によって取得した前記表面形状に関するデータに基づいて前記ブラシの移動速度を制御する制御部とを備える。この樹脂成形装置であれば、クリーニング機構のブラシの移動速度を成形型の表面形状によって変更することで、ブラシの摩耗を抑制して、ブラシの寿命を長くすることができる。
【0060】
上記実施形態の樹脂成形品の製造方法は、前記成形型で前記樹脂成形品を樹脂成形する樹脂成形工程と、前記成形型をクリーニングするクリーニング工程とを含む。この樹脂成形品の製造方法であれば、クリーニング機構のブラシの移動速度を成形型の表面形状によって変更することで、ブラシの摩耗を抑制して、ブラシの寿命を長くすることができる。
【0061】
以上、本発明の実施形態について例示的に説明した。すなわち、例示的な説明のために、詳細な説明および添付の図面が開示された。よって、詳細な説明および添付の図面に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須でない構成要素が含まれることがある。したがって、それらの必須でない構成要素が詳細な説明および添付の図面に記載されているからといって、それらの必須でない構成要素が必須であると直ちに認定されるべきではない。
【0062】
また、上記実施形態は、あらゆる点において本発明の例示にすぎない。上記実施の形態は、本発明の範囲内において、種々の改良や変更が可能である。すなわち、本発明の実施にあたっては、実施形態に応じて具体的構成を適宜採用することができる。
【符号の説明】
【0063】
100・・・樹脂成形装置
1・・・搬送機構(ローダ)
2・・・搬送機構(アンローダ)
3・・・クリーニング機構
31・・・ブラシ
32・・・吸引機構
6・・・成形型
A・・・供給モジュール
B・・・樹脂成形モジュール
C・・・搬送モジュール
W・・・基板(成形対象物)
P・・・封止済基板(成形対象物)

図1
図2
図3
図4
図5
図6