IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士通フロンテック株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-カード取扱装置 図1
  • 特許-カード取扱装置 図2
  • 特許-カード取扱装置 図3
  • 特許-カード取扱装置 図4
  • 特許-カード取扱装置 図5
  • 特許-カード取扱装置 図6
  • 特許-カード取扱装置 図7
  • 特許-カード取扱装置 図8
  • 特許-カード取扱装置 図9
  • 特許-カード取扱装置 図10
  • 特許-カード取扱装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】カード取扱装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 13/14 20060101AFI20240202BHJP
   G06K 13/12 20060101ALI20240202BHJP
【FI】
G06K13/14 E
G06K13/12 E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021024711
(22)【出願日】2021-02-18
(65)【公開番号】P2022126557
(43)【公開日】2022-08-30
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】海谷 拓実
(72)【発明者】
【氏名】村瀬 武道
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-149374(JP,A)
【文献】特開2005-050076(JP,A)
【文献】特開平09-212595(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0010827(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 13/14
G06K 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を記憶するカードが挿入される挿入口が設けられた正面部と、
前記挿入口から前記カードを搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送された前記カードが集積されて収容されるカード収容部と、
前記カード収容部内に設けられ、前記搬送部によって搬送された前記カードの前端が衝突する衝突面を有するカード案内部材と、を備え、
前記カード案内部材は、前記衝突面に前記前端が衝突した前記カードを、前記カード収容部内における前記正面部側の空間へ跳ね返すように形成されている、カード取扱装置。
【請求項2】
前記カード案内部材は、前記カード収容部内における前記正面部側とは反対側に配置され、
前記カード案内部材の前記衝突面は、前記搬送部から前記カード収容部へ送られる前記カードの進行方向と直交する平面である、
請求項1に記載のカード取扱装置。
【請求項3】
前記カード案内部材の前記衝突面は、前記カード収容部の内面との間に空隙をあけて設けられ、前記衝突面の弾性力によって前記カードを跳ね返すように形成されている、
請求項1または2に記載のカード取扱装置。
【請求項4】
前記カード収容部の第1の高さは、前記正面部の第2の高さ以下である、
請求項1ないし3のいずれか1項に記載のカード取扱装置。
【請求項5】
前記カード案内部材の前記衝突面は、前記カード収容部の高さ方向に沿う平面である、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載のカード取扱装置。
【請求項6】
前記カード案内部材は、前記カード収容部に対して着脱可能に設けられている、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載のカード取扱装置。
【請求項7】
前記カード案内部材の前記衝突面には、摩擦係数を高める表面処理が施されている、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載のカード取扱装置。
【請求項8】
前記搬送部を制御する制御部を更に備え、
前記搬送部は、前記挿入口から搬送された前記カードの前記前端が前記衝突面に向かうように前記カードの進行方向を切り替える切り替え部材を有し、前記切り替え部材に沿って前記カードを前記カード収容部へ送り、
前記制御部は、前記カード収容部のカード収容量の変化に応じて、前記切り替え部材に沿って送られる前記カードの進行方向が変化するように、前記切り替え部材を制御する、
請求項1ないし7のいずれか1項に記載のカード取扱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、宿泊施設で利用されるカードキー等のカードのように、利用者が一時的に使用したカードを回収するために用いられるカード取扱装置が知られている。この種のカード取扱装置には、カードを搬送する搬送部と、搬送部によって搬送されたカードが落下して収容されるカード収容部と、を有するものがある。
【0003】
カード取扱装置では、搬送部によって搬送されたカードが落下して積み重なるカード収容部内において、カードが落下する位置の直下にカードが片寄って積み重なり易く、カードが落下する位置から離れた位置にカードが到達し難いので、カード収容部内に空きスペースが生じ易い。このため、カード取扱装置では、カード収容部のカード収容量を増やすために、カード収容部内の空きスペースに向かって移動するようにカードを滑らせる傾斜面を有するガイド板を、カード収容部内に設ける構造が考えられる。しかし、この場合であっても、カード収容部内におけるガイド板の傾斜面の裏側に空きスペースが生じるので、カード収容部内にカードを効率的に収容することが困難である。
【0004】
そこで、関連技術のカード取扱装置としては、カード収容部内において搬送部からカードが落下する位置よりも、カードの搬送方向における奥側へ向かってカードを勢いよく滑らせる湾曲面を有する弾性変形部材が、カード収容部内に設けられた構造がある(特許文献1)。このカード取扱装置が備える弾性変形部材は、カード収容部に収容されたカードが、弾性変形部材の上に集積されたときに弾性変形し、弾性変形に伴って生じた空間を利用してカードを更に収容することが可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2020-149374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述したカード取扱装置では、カード収容部の高さが適正に確保されないと、ガイド板の傾斜面や弾性変形部材の湾曲面に沿ってカードを適正に滑らせることができず、ガイド板の上や弾性変形部材の上にカードが集積されてしまい、カード収容部内の空きスペースにカードを移動させることができない問題がある。
【0007】
一方で、例えば、精算機等のカード取扱装置が組み込まれる組み込み装置内のスペースの制約により、カード取扱装置を小型化した場合、カード収容部の高さを十分に確保できないおそれがある。このようにカード収容部の高さを適正に確保できない場合、上述のようにカードを滑らせる関連技術等では、カード収容部に空きスペースが生じてしまい、カード収容部のカード収容量を増やすことが困難である。
【0008】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、カード収容部の高さを適正に確保できない場合であっても、カード収容部のカード収容量を増やすことができるカード取扱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の開示するカード取扱装置の一態様は、情報を記憶するカードが挿入される挿入口が設けられた正面部と、前記挿入口から前記カードを搬送する搬送部と、前記搬送部によって搬送された前記カードが集積されて収容されるカード収容部と、前記カード収容部内に設けられ、前記搬送部によって搬送された前記カードの前端が衝突する衝突面を有するカード案内部材と、を備え、前記カード案内部材は、前記衝突面に前記前端が衝突した前記カードを、前記カード収容部内における前記正面部側の空間へ跳ね返すように形成されている。
【発明の効果】
【0010】
本願の開示するカード取扱装置の一態様によれば、カード収容部の高さを適正に確保できない場合であっても、カード収容部のカード収容量を増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施例のカード取扱装置を備える精算機を示す斜視図である。
図2図2は、実施例のカード取扱装置を示す斜視図である。
図3図3は、実施例のカード取扱装置を示す透視斜視図である。
図4図4は、実施例のカード取扱装置の縦断面を示す斜視図である。
図5図5は、実施例のカード取扱装置を示す分解斜視図である。
図6図6は、実施例のカード取扱装置におけるカード案内部材を示す斜視図である。
図7図7は、実施例において、カード収容部に収容されるカードの挙動を説明するための縦断面図である。
図8図8は、実施例において、カード収容部にカードが収容された状態を示す縦断面図である。
図9図9は、比較例において、カード収容部にカードが収容された状態を示す縦断面図である。
図10図10は、他の実施例のカード取扱装置が備えるカード案内部材の変形例を示す分解斜視図である。
図11図11は、カード案内部材の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本願の開示するカード取扱装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例によって、本願の開示するカード取扱装置が限定されるものではない。
【実施例
【0013】
(精算機の構成)
図1は、実施例1のカード取扱装置を備える精算機を示す斜視図である。図1に示すように、精算機1は、例えば、宿泊施設等の利用者が使用するものであり、情報を記憶するカードとしてのカードキー(ルームキー)3を取り扱うカード取扱部5と、紙幣入金口6a及び紙幣出金口6bを有する紙幣取扱部6と、硬貨入金口7a及び硬貨出金口7bを有する硬貨取扱部7と、各種情報を入力するための入力操作部8と、各種情報を表示すると共に各種操作を行うための表示操作部9と、を備える。
【0014】
また、精算機1は、精算内容等のレシートを発行する発行部10と、パスポート等を読み取る情報読取部11と、利用者を撮影するカメラ部12と、カード取扱部5、紙幣取扱部6、硬貨取扱部7等の各部をそれぞれ制御する制御部13と、を備える。本実施例では、制御部13が精算機1の内部に組み込まれているが、精算機1とは別体に設けられたコンピュータが制御部13として用いられてもよい。また、制御部13は、カード取扱部5(後述するカード取扱装置5)が備えてもよい。
【0015】
図1以降において、精算機1の奥行き方向をX方向とし、精算機1の幅方向をY方向とし、精算機1の高さ方向をZ方向として示す。
【0016】
カード取扱部5は、電子鍵を解錠する情報を記録するカードキー3を取り扱い、例えば、宿泊施設のチェックイン時のカードキー3の発行、チェックアウト時のカードキー3の回収を行うために用いられる。なお、カード取扱部5が取り扱うカードとしては、カードキー3に限定されず、例えば、情報を記憶するIC(Integrated Circuit)カード、磁気ストライプカード等のキャッシュカード、クレジットカード、マネーカード等が適用されてもよい。以下の実施例では、カードキー3をカード3と称する。
【0017】
以下、精算機1が備えるカード取扱部5について、カード取扱装置5に言い換えて説明する。本願が開示するカード取扱装置5は、精算機1に適用されるものに限定されず、例えば、各種の販売機や、回収専用のカード回収装置として用いられてもよい。
【0018】
(カード取扱装置の構成)
図2は、実施例のカード取扱装置5を示す斜視図である。図3は、実施例のカード取扱装置5を示す透視斜視図である。図4は、実施例のカード取扱装置5の縦断面を示す斜視図である。図5は、実施例のカード取扱装置5を示す分解斜視図である。
【0019】
図2図5に示すように、実施例のカード取扱装置5は、カード3が挿入及び排出されるカード挿脱口16a(本願の開示における挿入口)が設けられた正面部15と、カード挿脱口16aからカード3を搬送する搬送部17と、搬送部17によって搬送されたカード3が集積されて収容されるカード収容部18と、搬送部17によって搬送されるカード3の情報を読み取る情報読取部(図示せず)と、を備える。正面部15には、搬送部17に対して挿脱されるカード3を案内するガイド部材16が設けられており、カード挿脱口16aがガイド部材16に形成されている。
【0020】
そして、カード取扱装置5は、搬送部17によって搬送されたカード3の前端3aが衝突する平坦な衝突面20aを有するカード案内部材20を備える。カード案内部材20は、カード収容部18内に配置されている。衝突面20aは、前端3aが衝突面20aに衝突したカード3を、カード収容部18内における正面部15側の空間Sへ跳ね返すように形成されている(図7参照)。
【0021】
さらに、カード取扱装置5は、カード3を発行するカード発行部19を備えており、使用済みのカード3を回収するカード回収装置と、カード3を発行するカード発行装置と、を兼ねている。
【0022】
搬送部17は、カード3を搬送する搬送路17aを構成する搬送ローラ17b群と、カード3の回収時と発行時とで搬送路17aを切り換える切り替え機構17cと、有する。切り替え機構17cは、搬送路15aに対して回動する切り替え部材としての切り替え板17dを有しており、制御部13によって制御される。なお、制御部13は、切り替え機構17cの制御回路部として搬送部17に組み込まれてもよい。
【0023】
切り替え板17dは、カード収容部18の底面18aに対向する位置に配置されており、ガード挿脱口16aから搬送されたカード3の前端3aが、カード案内部材20の衝突面20aに向かうようにカード3の搬送経路を切り替える。切り替え機構17cは、切り替え板17dを回動させて、搬送路17aに沿う搬送方向に対して傾斜させることで、カード挿脱口16aから搬送されたカード3を切り替え板17dに沿って移動させて、カード3の搬送経路が切り替えられる。このように搬送経路が切り替えられて搬送ローラ17bによって送られたカード3は、カード3の前端3aが、カード案内部材20の衝突面20aに向かって移動するように落下する。このため、カード案内部材20は、衝突面20aによってカード3をカード収容部18内における正面部15側の空間Sへ安定して跳ね返すことができる。
【0024】
カード収容部18は、底面18aを有する矩形の箱状に形成されており、搬送部17の直下に配置されている。カード収容部18は、例えば、搬送部17を水平面(X-Y平面)上に投影した投影面内にカード収容部18全体が重なるように配置されている。
【0025】
また、カード収容部18の底面18aに直交する方向(Z方向)、すなわち、カード収容部18の深さ方向に対する第1の高さH1は、図4及び図5に示すように、正面部15の第2の高さH2以下に形成されている。本実施例では、正面部15の第2の高さH2は、搬送部17の高さに相当する。カード収容部18の第1の高さH1は、例えば、150[mm]以下に形成されている。
【0026】
このようにカード収容部18の第1高さH1が低い場合であっても、本実施例では、カード案内部材20の衝突面20aによってカード収容部18内の空間Sへ跳ね返すことで、カード収容部18内にカード3を効率よく収容できる。言い換えると、本実施例は、カード収容部18の第1高さH1を適正に確保できない場合に、カード収容部18のカード収容量を効果的に増やせる。
【0027】
また、カード取扱装置5の情報読取部(図示せず)は、搬送路17aに対向する位置に配置されており、制御部13によって制御される。
【0028】
(カード案内部材)
図3及び図4に示すように、カード案内部材20は、カード収容部18内における正面部15側とは反対側に配置されている。言い換えると、カード案内部材20は、カード3の搬送方向(X方向)における奥側の、カード収容部18の内面に固定されて設けられている。カード案内部材20は、カード収容部18の底面18a等に、例えば、接着シート等によって固定されており、接着シートを剥がすことで容易に着脱可能とされている。このように、カード収容部18に対してカード案内部材20が着脱可能に設けられることで、例えば、搬送部17等の仕様変更に必要に応じて、搬送部17等に適切なカード案内部材に容易に交換できる。
【0029】
図6は、実施例のカード取扱装置5におけるカード案内部材20を示す斜視図である。図6に示すように、カード案内部材20は、例えば、樹脂材料、金属材料からなる平板材を折り曲げることで、断面形状が略台形状に形成されている。衝突面20aは、カード収容部18の底面18aに対して傾斜するように形成されている。
【0030】
衝突面20aは、カード収容部18の内面との間に空隙22をあけて設けられており、この空隙22によって衝突面20aが撓み、衝突面20aの弾性力によってカード3を跳ね返すように形成されている。これにより、衝突面20aの弾性力を利用して、カード収容部18内における正面部15側の空間Sに向かってカード3を勢いよく跳ね返すことができる。
【0031】
また、衝突面20aは、カード収容部18の上端から下端まで延ばされている。このため、カード収容部18内に収容されたカード3が衝突面20aに沿って集積された収容状態になったときも、衝突面20aに沿ってカード3をカード収容部18内へ案内し、カード収容部18内にカード3を適正に集積できる。
【0032】
また、カード案内部材20の衝突面20aは、搬送ローラ17bによって搬送部17からカード収容部18へ送られるカード3の前端3aの進行方向と直交する平面として形成されることが好ましい。これにより、衝突面20aに前端3aが衝突したカード3を、カード収容部18内における正面部15側の空間Sへ安定して跳ね返すことができる。
【0033】
また、衝突面20aには、摩擦係数を高める表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、ブラスト処理や高摩擦シートを貼り付けることを含む。この表面処理により、衝突面20aに衝突するカード3の前端3aと衝突面30aとの摩擦力が高められ、カード3の前端3aが衝突面20aに沿って滑ることが抑えられるので、衝突面30aでカード3を安定的に跳ね返すことができる。
【0034】
また、カード取扱装置5のカード発行部19は、発行する複数枚のカード3が集積されたカード保持部19aを有しており、カード保持部19aの下端が、搬送路17aの一端の近傍に配置されている。カード発行部19は、カード保持部19aの下端からカード3を1枚ずつ搬送路17aに繰り出し、カード3が搬送路15aに沿ってカード挿脱口16aに搬送される。このとき、切り替え板17dは、搬送路17aの搬送方向に沿う姿勢になるように回動されており、カード保持部19aから搬送路17aを通ってカード挿脱口16aへ向かうカード3の搬送が妨げられない。
【0035】
(カードの収容動作)
図7は、実施例において、カード収容部18に収容されるカード3の挙動を説明するための縦断面図である。図7に示すように、カード挿脱口16aから挿入されたカード3は、搬送部17の搬送ローラ17b群によって搬送路17aに沿って搬送され、切り替え板17dが回動されることにより、切り替え板17dによってカード3の搬送経路が切り替えられる。このとき、カード3は、切り替え板17dによって搬送経路が切り替えられて送られるカード3は、前端3aがカード案内部材20の衝突面20aに衝突するように搬送部7から落下する。
【0036】
搬送部17から落下するカード3は、前端3aがカード案内部材20の衝突面20aに衝突し、衝突面20aによってカード3が、カード収容部18内における正面部15側の空間Sに向かって跳ね返される。このようにカード収容部18において、カード3は空間S側から収容されて集積される。このため、カード収容部18内における正面部15側の空間Sが有効利用されて、正面部15側の空間Sに空きスペースが生じることが抑えられるので、カード収容部18内にカード3を効率的に収容して、カード収容部18のカード収容量を増やすことができる。
【0037】
(カード収容量の比較)
図8は、実施例において、カード収容部18にカード3が収容された状態を示す縦断面図である。図9は、比較例において、カード収容部18にカード3が収容された状態を示す縦断面図である。図8及び図9に示すように、参考例のカード取扱装置105は、カード案内部材20を備えない点を除き、実施例のカード取扱装置5と構造が同一である。
【0038】
図8に示すように、実施例のカード取扱装置5では、カード収容部18が満杯になるまでカード3を収容したとき、カード収容部18内に230枚程度のカード3を収容することができる。一方、図9に示すように、比較例のカード取扱装置105では、カード収容部18が満杯になるまでカード3を収容したとき、カード収容部18内に150枚程度のカード3を収容することができる。したがって、実施例のカード取扱装置5は、カード案内部材20を備えることにより、比較例のカード取扱装置105と比べて、カード収容部18のカード収容量を150%程度、増やすことができる。
【0039】
(カード案内部材の変形例)
以下、カード案内部材の変形例について説明する。図10は、他の実施例のカード取扱装置が備えるカード案内部材の変形例を示す分解斜視図である。図11は、カード案内部材の変形例を示す斜視図である。他の実施例のカード取扱装置は、カード案内部材を除いて実施例のカード取扱装置5と同一の構成であるので、実施例と同一の構成部材には実施例と同一の符号を付けて説明を省略する。
【0040】
図10及び図11に示すように、他の実施例のカード取扱装置25のカード案内部材30は、平坦な衝突面30aの向きが、上述した実施例におけるカード案内部材20と異なる。カード案内部材30は、平板材を折り曲げることで、断面形状が略長方形状に形成されている。カード案内部材30の衝突面30aは、カード収容部18の高さ方向(Z方向)に沿う平面、すなわち、カード収容部18の底面18aに直交する平面として形成されている。
【0041】
衝突面30aは、上述したカード案内部材20と同様に、カード収容部18の内面との間に空隙22をあけて設けられており、衝突面30aの弾性力によってカード3を勢いよく跳ね返すように形成されている。カード案内部材30によれば、カード収容部18の内部にカード案内部材30が占める空間を減らし、カード収容部18のカード収容量を高められる。
【0042】
なお、上述した実施例では、切り替え板17dによってカード3の搬送経路が切り替えられるが、切り替え板17dに沿って送られたカード3の前端3aが、カード案内部材20の衝突面20aに衝突するように送られてもよい。この構造の場合、搬送部17は、切り替え板17dによって、カード挿脱口16aから搬送されたカード3の前端3aが衝突面20aに向かうようにカード3の進行方向を切り替えて、切り替え板17dに沿ってカード3をカード収容部18へ送る。
【0043】
(切り替え板の制御)
また、切り替え板17dに沿ってカードをカード収容部18へ送る場合、カード取扱装置5の制御部13は、カード収容部18のカード収容量の変化に応じて、切り替え板17dによって切り替えられるカード3の進行方向が変化するように、切り替え板17dを制御してもよい。このように切り替え板17dが制御されることにより、カード収容部18内のカード収容量の変化に伴う収容状態に合わせて、カード案内部材20の衝突面20aやカード収容部18内に向かってカード3を適切な向きに送ることが可能になる。このため、カード収容部18内に空きスペースが生じることを更に抑制し、カード収容部18内にカード3を更に効率的に収容することが可能になる。
【0044】
なお、この場合、制御部13は、例えば、搬送部17によって搬送されるカード3の枚数をカウントすることでカード収容部18のカード収容量の増加を検知し、カード収容量の増加に伴って、カード3の搬送方向(Y方向)に対する切り替え板17dの傾斜角を変化させるように制御を行ってもよい。これにより、例えば、カード収容部18のカード収容量に応じて、カード案内部材20の衝突面20aでカード3を跳ね返す向きを徐々に変化させることが可能になり、カード収容量を高めることが可能になる。
【0045】
(実施例の効果)
上述したように実施例のカード取扱装置5は、搬送部17によって搬送されたカード3の前端3aが衝突する衝突面20aを有するカード案内部材20を備える。カード案内部材20は、衝突面20aに前端3aが衝突したカード3を、カード収容部18内における正面部15側の空間Sへ跳ね返すように形成されている。カード収容部18内における正面部15側の空間Sが有効利用され、空間Sに空きスペースが生じることが抑えられる。このため、カード収容部18の第1高さH1が適正に確保できない場合であっても、カード収容部18のカード収容量を増やすことができる。したがって、カード取扱装置5によれば、カード収容部18の第1高さH1の大きさに依存せずにカード収容部18内にカード3を効率的に収容することが可能になる。
【0046】
また、実施例のカード取扱装置5において、カード案内部材20の衝突面20aは、搬送部17からカード収容部18へ送られるカード3の進行方向と直交する平面である。これにより、衝突面20aに前端3aが衝突したカード3を、カード収容部18内における正面部15側の空間Sへ安定して跳ね返すことができる。
【0047】
また、実施例のカード取扱装置5において、カード案内部材20の衝突面20aは、カード収容部18の内面との間に空隙22をあけて設けられており、衝突面20aの弾性力によってカード3を跳ね返すように形成されている。これにより、衝突面20aの弾性力を利用して、カード収容部18内における正面部15側の空間Sに向かってカード3を勢いよく跳ね返すことができる。
【0048】
また、実施例のカード取扱装置5において、カード収容部18の第1の高さH1は、正面部15の第2の高さH2以下である。このようにカード収容部18の第1高さH1が低い場合であっても、カード案内部材20の衝突面20aによってカード収容部18内の空間Sへ跳ね返すことで、カード収容部18内にカード3を効率よく収容できる。つまり、本実施例は、カード収容部18の第1高さH1を適正に確保できない場合に、カード収容部18のカード収容量を効果的に増やすことができる。
【0049】
また、実施例のカード取扱装置5において、カード案内部材20は、カード収容部18に対して着脱可能に設けられている。このように、カード収容部18に対してカード案内部材20が着脱可能に設けられることで、例えば、搬送部17等の仕様変更に必要に応じて、搬送部17等に適切なカード案内部材に容易に交換できる。
【0050】
また、実施例のカード取扱装置5におけるカード案内部材20の衝突面20aには、摩擦係数を高める表面処理が施されている。これにより、衝突面20aに衝突するカード3の前端3aと衝突面30aとの摩擦力を高められ、カード3の前端3aが衝突面20aに沿って滑ることが抑えられるので、衝突面30aでカード3を安定的に跳ね返すことができる。
【0051】
また、実施例のカード取扱装置5における搬送部17は、カード挿脱口16aから搬送されたカード3の前端3aが衝突面20aに向かうようにカード3の進行方向を切り替える切り替え板17dを有しており、切り替え板17dに沿ってカード3をカード収容部18へ送る。制御部13は、カード収容部18のカード収容量の変化に応じて、切り替え板17dによって送られるカード3の進行方向が変化するように、切り替え板17dを制御する。これにより、カード収容部18内のカード収容量の変化に伴う収容状態に合わせて、カード案内部材20の衝突面20aやカード収容部18内に向かってカード3を適切な向きに送ることが可能になる。このため、カード収容部18内に空きスペースが生じることを更に抑制し、カード収容部18内にカード3を更に効率的に収容することが可能になる。
【符号の説明】
【0052】
1 精算機
3 カード
3a 前端
5 カード取扱装置
13 制御部
15 正面部
16a カード挿脱口(挿入口)
17 搬送部
17d 切り替え板(切り替え部材)
18 カード収容部
18a 底面
20 カード案内部材
20a 衝突面
22 空隙
30 カード案内部材
30a 衝突面
H1 第1の高さ
H2 第2の高さ
S 空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11