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特許7430149樹脂成形装置および樹脂成形品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】樹脂成形装置および樹脂成形品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/72 20060101AFI20240202BHJP
   B29C 45/17 20060101ALI20240202BHJP
【FI】
B29C33/72
B29C45/17
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021028135
(22)【出願日】2021-02-25
(65)【公開番号】P2022129467
(43)【公開日】2022-09-06
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】390002473
【氏名又は名称】TOWA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧野 祐介
(72)【発明者】
【氏名】太田 哲生
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-1001090(KR,B1)
【文献】特開2000-114291(JP,A)
【文献】特開平05-278132(JP,A)
【文献】特開昭64-087235(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C
H01L 21/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
型締め機構と、
上型と前記上型に対向する下型とを含み、前記型締め機構により駆動されることで成形対象物を成形して樹脂成形品を作製する成形型と、
前記樹脂成形品に形成されている不要樹脂部分を前記樹脂成形品から除去する除去機構と、
前記樹脂成形品の表面に対して集塵を行なうクリーナと、
前記クリーナが前記樹脂成形品に対して前記集塵を行なっている際に前記樹脂成形品を押える押え機構と、を備え、
前記クリーナは、前記除去機構によって前記不要樹脂部分が除去される前および除去された後のうちの少なくとも一方の前記樹脂成形品に対して前記集塵を行ない、
前記樹脂成形品と前記クリーナとを第1方向に沿って相対移動させる搬送パレットをさらに備え、
前記押え機構は、前記第1方向に対して直交する第2方向における前記クリーナの側方に配置された押え部材を含む、
樹脂成形装置。
【請求項2】
前記押え部材は、平板形状である、
請求項に記載の樹脂成形装置。
【請求項3】
型締め機構と、
上型と前記上型に対向する下型とを含み、前記型締め機構により駆動されることで成形対象物を成形して樹脂成形品を作製する成形型と、
前記樹脂成形品に形成されている不要樹脂部分を前記樹脂成形品から除去する除去機構と、
前記樹脂成形品の表面に対して集塵を行なうクリーナと、
前記クリーナが前記樹脂成形品に対して前記集塵を行なっている際に前記樹脂成形品を押える押え機構と、を備え、
前記クリーナは、前記除去機構によって前記不要樹脂部分が除去される前および除去された後のうちの少なくとも一方の前記樹脂成形品に対して前記集塵を行ない、
前記樹脂成形品と前記クリーナとを第1方向に沿って相対移動させる搬送パレットをさらに備え、
前記押え機構は、前記第1方向における前記クリーナの片側または両側に配置された押え部材を含む
脂成形装置。
【請求項4】
前記除去機構は、載置部を含み、
前記樹脂成形品が前記載置部上に載置されている状態で、前記樹脂成形品に形成されている前記不要樹脂部分が前記除去機構によって前記樹脂成形品から除去され、
前記クリーナは、前記樹脂成形品が前記載置部上に載置されていない状態で、前記載置部に対して集塵を行なう、
請求項またはに記載の樹脂成形装置。
【請求項5】
前記押え部材は、ブラシ形状を有している、
請求項に記載の樹脂成形装置。
【請求項6】
前記押え部材は、前記載置部に対して清掃を行なう、
請求項に記載の樹脂成形装置。
【請求項7】
上型と前記上型に対向する下型とを含む成形型を型締め機構により駆動することで成形対象物を成形して樹脂成形品を作製する成形工程と、
前記樹脂成形品に形成されている不要樹脂部分を前記樹脂成形品から除去する除去工程と、
押え機構によって前記樹脂成形品を押えた状態でクリーナによって前記樹脂成形品の表面に対して集塵を行なう集塵工程と、を備え、
前記集塵工程は、前記成形工程と前記除去工程との間のタイミング、および、前記除去工程の後のタイミングのうち、少なくとも一方のタイミングで実施され
前記樹脂成形品と前記クリーナとは、搬送パレットによって第1方向に沿って相対移動され、
前記押え機構は、前記第1方向に対して直交する第2方向における前記クリーナの側方に配置された押え部材を含む、
樹脂成形品の製造方法。
【請求項8】
上型と前記上型に対向する下型とを含む成形型を型締め機構により駆動することで成形対象物を成形して樹脂成形品を作製する成形工程と、
前記樹脂成形品に形成されている不要樹脂部分を前記樹脂成形品から除去する除去工程と、
押え機構によって前記樹脂成形品を押えた状態でクリーナによって前記樹脂成形品の表面に対して集塵を行なう集塵工程と、を備え、
前記集塵工程は、前記成形工程と前記除去工程との間のタイミング、および、前記除去工程の後のタイミングのうち、少なくとも一方のタイミングで実施され
前記樹脂成形品と前記クリーナとは、搬送パレットによって第1方向に沿って相対移動され、
前記押え機構は、前記第1方向における前記クリーナの片側または両側に配置された押え部材を含む、
樹脂成形品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、樹脂成形装置および樹脂成形品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂成形装置においては、IC(Integrated Circuit)、トランジスタ、コンデンサなどの電子素子が接続された基板が、成形対象物として準備され、成形型に供給される。たとえば、トランスファモールド法、圧縮成形法(コンプレッションモールド法)および射出成形法(インジェクションモールド法)等を使用して樹脂成形を行なうことにより、基板上の電子素子が樹脂封止され、樹脂成形品が作製される。
【0003】
樹脂成形品が成形型から取り出された状態では、不要樹脂部分(余剰樹脂)が樹脂成形品に一体的に形成されている場合がある。樹脂成形装置に除去機構(ディゲート機構等とも称される)を設けて、樹脂成形品から不要樹脂部分を除去することが一般的に行われる。下記特許文献1に開示された除去機構(ディゲート機構)では、ディゲートピンにより、ランナゲートを突き落として樹脂成形品から除去することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-118012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
除去機構においては、不要樹脂部分を樹脂成形品から分離するという動作を行うことに伴って、微細な樹脂(樹脂粉、樹脂片または樹脂カスなどともいう)が発生し得る。このような微細な樹脂が樹脂成形品に付着すると、種々の工程において樹脂成形品に対して行われる処理に影響し、ひいては樹脂成形品の最終製品としての品質に影響を及ぼす可能性がある。
【0006】
本明細書は、樹脂成形品から不要樹脂部分を除去する場合であっても、従来技術に比べて高い品質を有する最終製品としての樹脂成形品を提供することが可能な樹脂成形装置および樹脂成形品の製造方法を開示することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
樹脂成形装置は、型締め機構と、上型と上記上型に対向する下型とを含み、上記型締め機構により駆動されることで成形対象物を成形して樹脂成形品を作製する成形型と、上記樹脂成形品に形成されている不要樹脂部分を上記樹脂成形品から除去する除去機構と、上記樹脂成形品の表面に対して集塵を行なうクリーナと、上記クリーナが上記樹脂成形品に対して上記集塵を行なっている際に上記樹脂成形品を押える押え機構と、を備え、上記クリーナは、上記除去機構によって上記不要樹脂部分が除去される前および除去された後のうちの少なくとも一方の上記樹脂成形品に対して上記集塵を行なう。
【0008】
樹脂成形品の製造方法は、上型と上記上型に対向する下型とを含む成形型を型締め機構により駆動することで成形対象物を成形して樹脂成形品を作製する成形工程と、上記樹脂成形品に形成されている不要樹脂部分を上記樹脂成形品から除去する除去工程と、上記樹脂成形品を押えた状態でクリーナによって上記樹脂成形品の表面に対して集塵を行なう集塵工程と、を備え、上記集塵工程は、上記成形工程と上記除去工程との間のタイミング、および、上記除去工程の後のタイミングのうち、少なくとも一方のタイミングで実施される。
【発明の効果】
【0009】
上記構成によれば、樹脂成形品から不要樹脂部分を除去する場合であっても、従来技術に比べて高い品質を有する最終製品としての樹脂成形品を提供することが可能な樹脂成形装置および樹脂成形品の製造方法が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】樹脂成形装置100の一例の機能ブロック図を示す。
図2】樹脂成形装置100の内部の要部構造を模式的に示す平面図である。
図3】除去機構70、クリーナ80および押え機構82を示す斜視図である。
図4】除去機構70の載置部77上に樹脂成形品10が載置されている状態を示す断面図である。
図5】クリーナ80および押え機構82を矢印B2方向(図3)から視た際の様子を示す側面図である。
図6】クリーナ80および押え機構82を矢印B1方向(図3)から視た際の様子を示す側面図である。
図7】樹脂成形品10の製造方法を示すフロー図である。
図8】基板押え73が樹脂成形品10の基板12に接触した状態を示す断面図である。
図9】パンチピン74が不要樹脂部分16に接触し、樹脂成形品10の基板12から不要樹脂部分16を分離した状態を示す断面図である。
図10】パンチホルダ71が上昇している状態を示す断面図である。
図11】不要樹脂部分16が除去された樹脂成形品10を示す断面図である。
図12】変形例にかかるクリーナ80および押え機構82を矢印B2方向(図3)から視た際の様子を示す側面図である。
図13】変形例にかかるクリーナ80および押え機構82を矢印B1方向(図3)から視た際の様子を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示の実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本開示の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本開示にとって必ずしも必須のものではない。同一の部品および相当部品には同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0012】
(樹脂成形装置100)
図1は、実施の形態における樹脂成形装置100の一例の機能ブロック図を示している。樹脂成形装置100は、制御部1、供給モジュール2、樹脂成形モジュール3、および成形品搬出モジュール6を備える。制御部1は、これらのモジュールを制御可能に構成される。供給モジュール2、樹脂成形モジュール3および成形品搬出モジュール6は、互いに着脱および交換可能である。これらのモジュールの個数も増減可能である。
【0013】
供給モジュール2は、成形前の成形対象物および樹脂材料を、樹脂成形モジュール3に供給可能なように構成される。樹脂成形モジュール3は、成形型を型締めして成形対象物を樹脂成形することによって樹脂成形品を作製する。成形品搬出モジュール6は、詳細は後述するが、樹脂成形品から不要樹脂部分を除去した後、アウトマガジン部に向けて樹脂成形品を搬出可能に構成される。
【0014】
図2は、樹脂成形装置100の内部の要部構造を模式的に示す平面図である。図2に主として示すように、樹脂成形装置100は、供給部20、成形型30、型締め機構40、搬出機構50、および排出部60を備える。
【0015】
図1および図2を参照して、供給モジュール2は、主として供給部20を含む。供給部20には成形前の成形対象物が配置される。成形対象物は一般的には半導体チップなどの電子素子が接続された基板である。基板としては、たとえばリードフレーム、プリント配線板、金属製基板、樹脂製基板、半導体基板、およびセラミック製基板が用いられる。
【0016】
樹脂成形装置100は不図示の搬送機構をさらに備え、搬送機構は、供給モジュール2と樹脂成形モジュール3との間を移動可能に構成される。搬送機構の退避位置は供給モジュール2にある。搬送機構により、基板が樹脂材料とともに供給部20から成形型30に搬入される。樹脂材料としては、たとえば粉末状の熱硬化性樹脂を押し固めることで形成されたタブレット状樹脂が用いられる。
【0017】
樹脂成形モジュール3は、成形型30および型締め機構40を含む。成形型30は、下型31(図2)と下型31に対向する不図示の上型とを有し、型締め機構40により駆動されることで、成形対象物を成形して樹脂成形品10(図4参照)を作製する。搬出機構50は、樹脂成形モジュール3と成形品搬出モジュール6との間を移動可能に構成されている。
【0018】
搬出機構50は、たとえば本体部51,52を含む。本体部51の矢印A1方向の移動と、本体部52の矢印A2方向の移動とによって、樹脂成形品10(図4参照)が成形型30から排出される。成形品搬出モジュール6は排出部60を含む。樹脂成形品10は、搬出機構50により排出部60に送られる。
【0019】
排出部60は、除去機構70、クリーナ80、押え機構82、およびアウトマガジン部90を含む。除去機構70においてディゲート処理が行なわれ、樹脂成形品に形成されている不要樹脂部分が樹脂成形品から除去され、樹脂成形品はアウトマガジン部90に最終的に格納される。以下、より詳細に説明する。
【0020】
(除去機構70)
図3は、除去機構70、クリーナ80および押え機構82を示す斜視図である。図4は、除去機構70の載置部77上に樹脂成形品10が載置されている状態を示す断面図である。
【0021】
図4に主として示すように、樹脂成形品10は、成形型30(図2)から取り出された状態では、基板12および樹脂封止部分14に加えて、不要樹脂部分16を一体的に備えている。追って図9を参照して説明するとおり、不要樹脂部分16は最終的には除去機構70によって基板12から除去される。
【0022】
除去機構70は、パンチホルダ71、弾性部材72(図4)、基板押え73、パンチピン74(74a,74b)、および搬送パレット76を備える。パンチホルダ71は矢印B3方向(図4)に昇降可能である。基板押え73は、弾性部材72を介してパンチホルダ71の下方位置に保持されている。基板押え73には複数の貫通孔73Hが設けられている。パンチピン74は、パンチホルダ71から垂れ下がるように保持されている。パンチピン74のうちの一つは中央に配置された太いパンチピン74aであり、不要樹脂部分16のうち、基板12と基板12との間に形成されたカル部16aを突き落とす。パンチピン74のうちの複数の細いパンチピン74bは、不要樹脂部分16のうち、基板12の裏面に形成されるランナー部16bを突き落とす。また、複数の細いパンチピン74bは、複数の貫通孔73Hに挿入可能な位置に配置されている。
【0023】
搬送パレット76の上部には、樹脂成形品10(図4)の形状に対応する載置部77が設けられ、搬送パレット76の載置部77の中央には、空間76Hが形成されている。空間76Hは、基板12から除去された不要樹脂部分16のカル部16aを落下させて排出するための空間である。
【0024】
図3図4に示す形態では、2つの載置部77(図3)が矢印B2方向において間隔をあけて配置されており、一方の載置部77上に配置された基板12(図4内の左側)と他方の載置部77上に配置された基板12(図4内の右側)とが、不要樹脂部分16を介してつながっている(図9図11も参照)。搬出機構50(図2)は、成形型30から取り出した樹脂成形品10を搬送パレット76の載置部77上に供給する。搬送パレット76は、パンチホルダ71の下方位置まで樹脂成形品10を搬送することができる。
【0025】
(クリーナ80および押え機構82)
図5は、クリーナ80および押え機構82を矢印B2方向(図3)から視た際の様子を示す側面図であり、図6は、クリーナ80および押え機構82を矢印B1方向(図3)から視た際の様子を示す側面図である。
【0026】
図3図5および図6に示すように、クリーナ80は、ダクト機能を有する中空形状であり、矢印B2方向に沿って延びるように配置されている。クリーナ80は不図示の負圧発生装置に接続されている。クリーナ80の下端に、吸引孔80Hが形成されている。吸引孔80Hを通してクリーナ80は集塵を行うことができる。クリーナ80は、除去機構70によって不要樹脂部分16が除去される前および除去された後のうちの少なくとも一方の樹脂成形品10に対して集塵を行なう(詳細は後述する)。
【0027】
本実施の形態においては、載置部77上に載置された樹脂成形品10が搬送パレット76によりレール78(図3)に沿って、クリーナ80に対して相対移動可能に構成されており、載置部77上に載置された樹脂成形品10とクリーナ80とが相対移動する方向が、矢印B1方向(第1方向)に相当している。矢印B2方向(第2方向)は矢印B1方向(第1方向)および矢印B3方向に直交する方向である。
【0028】
たとえば、搬送パレット76により樹脂成形品10がクリーナ80の吸引孔80Hの下方位置にまで搬送される。クリーナ80は、樹脂成形品10の表面に対して集塵を行うことが可能なように構成される。押え機構82は、クリーナ80が樹脂成形品10に対して集塵を行っている際に、樹脂成形品10を押える。クリーナ80による吸引力を樹脂成形品10が受けたとしても、樹脂成形品10が載置部77上の所望の位置からずれてしまうことは抑制される。
【0029】
本実施の形態では、押え機構82は、矢印B1方向(第1方向)におけるクリーナ80の両側に配置された押え部材84,86を含む(図5参照)。矢印B1方向において、押え部材84と押え部材86との間にクリーナ80の吸引孔80Hが位置している。押え部材84,86は、ブラシ形状を有し、矢印B2方向に延びるように配置されている。
【0030】
樹脂成形品10が載置部77上で位置ずれすることを押え部材84,86のブラシによって防止しながら、クリーナ80は樹脂成形品10に対して集塵することができる。集塵動作は、たとえば、樹脂成形品10とクリーナ80とが相対移動をし続けながら行われる。このような連続的な集塵動作に限定されず、集塵動作は間欠的に行われてもよい。たとえば、樹脂成形品10が相対移動と停止とを繰り返すように構成され、樹脂成形品10がクリーナ80に対する相対移動を停止しているタイミングで、クリーナ80による樹脂成形品10に対する集塵が行われてもよい。
【0031】
(樹脂成形品の製造方法)
図7は、樹脂成形品10の製造方法を示すフロー図であり、当該製造方法は、工程S1~S8を含んでいる。工程S1において、成形前の成形対象物および樹脂材料が、樹脂成形モジュール3の成形型30(下型31)に供給される。工程S2(成形工程)において、上型と上型に対向する下型31とを含む成形型30を型締め機構40により駆動することで、成形対象物を成形して樹脂成形品10を作製する。
【0032】
工程S3において、樹脂成形品10が搬出機構50によって成形型30から取り出され、搬送パレット76の載置部77上にセットされる。このタイミングで、除去機構70の清掃が行われるとよい。具体的にはたとえば、基板押え73およびパンチピン74によるパンチ動作が行われる前に、基板押え73やパンチピン74が不図示のブラシや吸引機構によって清掃される。工程S3の除去機構70の清掃は、省略してもよい。
【0033】
工程S4(第1の集塵工程)において、搬送パレット76によって樹脂成形品10がクリーナ80に対向する位置にまで搬送され、クリーナ80の樹脂成形品10に対する集塵が行われる。ここでは、押え機構82が樹脂成形品10を押えた状態でクリーナ80によって樹脂成形品10の表面に対して集塵を行なう。樹脂成形品10が位置ずれすることを押え機構82によって防止しながら、クリーナ80は樹脂成形品10に対して集塵することができる。ここでは、押え機構82が、ブラシから構成された押え部材84,86を有しており、押え部材84,86によっても、樹脂成形品10の表面に対する清掃が行われる。これにより、樹脂成形品10の表面に付着した樹脂も適切に除去することができる。
【0034】
工程S5(除去工程)において、搬送パレット76によって樹脂成形品10がパンチピン74に対向する位置にまで搬送される。図8に示すように、パンチホルダ71が下降することによって、基板押え73が樹脂成形品10の基板12に接触する。パンチホルダ71がさらに下降することで、樹脂成形品10は、基板押え73と搬送パレット76の載置部77との間で挟まれる。
【0035】
図9に示すように、パンチホルダ71がパンチピン74とともにさらに下降することによって、パンチピン74が不要樹脂部分16に接触し、樹脂成形品10の基板12から不要樹脂部分16を分離する。樹脂成形品10が載置部77上に載置されている状態で、樹脂成形品10に形成されている不要樹脂部分16が除去機構70によって樹脂成形品10から除去される。
【0036】
図10に示すように、パンチホルダ71が上昇することによって、パンチピン74も上昇し、基板押え73も基板12から離間する。不要樹脂部分16が樹脂成形品10から除去されることによって、基板12に設けられていた開口部12Hが露出する。図11に示すように、不要樹脂部分16が除去された樹脂成形品10が得られる。ここでは、一方の載置部77上に配置された基板12を含む樹脂成形品10(図11内の左側)と、他方の載置部77上に配置された基板12を含む樹脂成形品10(図11内の右側)とが、互いに分離して得られることとなる。
【0037】
工程S6(第2の集塵工程)において、搬送パレット76によって樹脂成形品10がクリーナ80に対向する位置にまでふたたび搬送され、クリーナ80の樹脂成形品10に対する集塵が行われる。ここでは、押え機構82が樹脂成形品10を押えた状態でクリーナ80によって樹脂成形品10の表面に対して集塵を行なう。樹脂成形品10が位置ずれすることを押え機構82によって防止しながら、クリーナ80は樹脂成形品10に対して集塵することができる。ここでは、押え機構82が、ブラシから構成された押え部材84,86を有しており、押え部材84,86によっても、樹脂成形品10の表面に対する清掃が行われる。これにより、樹脂成形品10の表面に付着した樹脂も適切に除去することができる。
【0038】
工程S7において、樹脂成形品10は不要樹脂部分16が除去された状態で、搬送パレット76の載置部77上からアウトマガジン部90(図2)に排出される。工程S8において、搬送パレット76の載置部77に対する清掃および集塵が行われる。ここでは、レール78に沿って搬送パレット76がクリーナ80に対向する位置にまで移動し、クリーナ80の載置部77に対する集塵が行われる。クリーナ80は、樹脂成形品10が載置部77上に載置されていない状態で、載置部77に対して集塵を行なう。押え機構82が、ブラシから構成された押え部材84,86を有しており、押え部材84,86によっても、載置部77の表面に対する清掃が行われる。これにより、載置部77に付着した樹脂も適切に除去することができる。
【0039】
(作用および効果)
冒頭で述べたとおり、除去機構(ディゲート機構)においては、不要樹脂部分16を樹脂成形品から分離するという動作を行うことに伴って、微細な樹脂(樹脂粉、樹脂片または樹脂カスなどともいう)が発生し得る。たとえば、不要樹脂部分16のカル部16aを除去する際は、パンチピン74aをカル部に押し付けることで不要樹脂部分16のカル部16aを除去する。しかし、不要樹脂部分16のランナー部16bを除去する際は、パンチピン74bを基板12の開口部12Hに貫通させて、開口部12Hに充填された樹脂を突き落とすため、基板12の開口部12H(図10)からパンチピン74bを抜くときに、開口部12Hの中に残留している樹脂がパンチピン74bによって跳ね上げられることで微細な樹脂が発生し得る。
【0040】
このような微細な樹脂が、たとえばディゲート処理後の樹脂成形品10の上面上に付着したとする。特段の対策が施されない場合には、微細な樹脂はそのまま最終製品としての樹脂成形品10上に残留する可能性があり、樹脂成形品10の品質に影響を及ぼす可能性がある。また、このような微細な樹脂は、パンチピン74bに一時的に付着して、その結果、次にディゲート処理が行われる(ディゲート処理前の)樹脂成形品10の上面上に付着することも考えられる。
【0041】
樹脂成形品10の上面上に付着した微細な樹脂は、ディゲート処理時に、基板押え73によって基板12の上面上に押し付けられ、樹脂成形品10の上面にキズをつけたり、樹脂成形品10の上面に強く付着したりすることが考えられ、微細な樹脂はそのまま最終製品としての樹脂成形品10上に残留する可能性があり、品質に影響を及ぼす可能性がある。
【0042】
本実施の形態においては、クリーナ80が、除去機構70によって不要樹脂部分16が除去される前および除去された後のうちの少なくとも一方の樹脂成形品10に対して集塵を行なう。換言すると、樹脂成形品10に対する集塵(工程S4,S6)は、成形工程(工程S2)と除去工程(工程S5)との間のタイミング、および、除去工程(工程S5)の後のタイミングのうち、少なくとも一方のタイミングで実施される。
【0043】
除去機構70によって不要樹脂部分16が除去される前の樹脂成形品10に対して集塵が行われる場合には、ディゲート処理時に、基板押え73によって基板12の上面上に微細な樹脂が押し付けられることを抑制可能となり、ひいては、樹脂成形品10の上面にキズをつけたり、樹脂成形品10の上面に微細な樹脂が強く付着したりすることを抑制可能となる。
【0044】
一方で、除去機構70によって不要樹脂部分16が除去された後の樹脂成形品10に対して集塵が行われる場合には、微細な樹脂はそのまま最終製品としての樹脂成形品10上に残留する可能性を効果的に低減でき、樹脂成形品10の品質向上を図ることが可能となる。
【0045】
すなわち、クリーナ80が、除去機構70によって不要樹脂部分16が除去される前および除去された後のうちの少なくとも一方の樹脂成形品10に対して集塵を行なうことによって、従来技術に比べて高い品質を有する最終製品としての樹脂成形品を提供することが可能となる。
【0046】
樹脂成形品10に対して集塵を行なうクリーナ80が、搬送パレット76の載置部77に対しても集塵を行うように構成することで、樹脂成形品10と載置部77とで別々にクリーナを設ける場合に比べて部品点数およびコストの面や、装置の小型化といった点でメリットが得られる。
【0047】
集塵時に樹脂成形品10を押える押え機構82が、ブラシから構成されており、樹脂成形品10や載置部77に対して清掃を行うように構成することで、押え目的と清掃目的とで別々に押え機構82を設ける場合に比べて、部品点数およびコストの面や、装置の小型化といった点でメリットが得られる。
【0048】
本実施の形態では、押え機構82が、矢印B1方向(第1方向)におけるクリーナ80の両側に配置された押え部材84,86を含む。押え部材84,86によって樹脂成形品10が安定的に保持されながら、クリーナ80による樹脂成形品10に対する集塵を行うことが可能である。矢印B1方向(第1方向)におけるクリーナ80の片側にのみ押え部材84が配置されていてもよい。
【0049】
図10を参照して、パンチピン74bの先端を先細りのテーパー形状にすることで、基板12の開口部12H(図10)からパンチピン74bを抜くときに、開口部12Hの中に残留している樹脂がパンチピン74bによって跳ね上げられることを抑制し、ひいては微細な樹脂が樹脂成形品10に付着することを抑制してもよい。
【0050】
[実施の形態の変形例]
図12は、実施の形態の変形例にかかるクリーナ80および押え機構82を矢印B2方向(図3)から視た際の様子を示す側面図であり、実施の形態の図5に対応している。図13は、実施の形態の変形例にかかるクリーナ80および押え機構82を矢印B1方向(図3)から視た際の様子を示す側面図であり、実施の形態の図6に対応している。
【0051】
図12および図13に示すように、押え機構83は、平板形状の押え部材85,87から構成されていてもよい。押え部材85,87は、たとえば実施の形態の押え部材84(ブラシ)に加えて、あるいは押え部材84に代えて、用いられることができる。押え部材85,87は、矢印B1方向に対して直交する矢印B2方向におけるクリーナ80の側方に配置されている。具体的には、押え部材85,87(平板形状)は、矢印B1方向に対して直交する矢印B2方向におけるクリーナ80の両側に配置されており、矢印B2方向における基板12の側方(両側)上面を押える。このように、基板12の側方上面の両側を押えることにより、樹脂成形品10が傾くことなくクリーナ80は集塵することができる。
【0052】
押え部材85,87は、たとえば、MCナイロン(登録商標)やテフロン(登録商標)から形成することができる。押え部材85,87は、適度な押圧力を樹脂成形品10に付与することができる。樹脂成形品10が搬送される際、樹脂成形品10と押え部材85,87とが相互に接触した状態で移動しながら、クリーナ80は樹脂成形品10に対して連続的にまたは間欠的に集塵を行うことができる。
【0053】
押え部材85,87が樹脂成形品10を押えていることにより、クリーナ80による吸引力を樹脂成形品10が受けたとしても、樹脂成形品10が載置部77上の所望の位置からずれてしまうことは抑制される。押え部材85,87は、樹脂成形品10における最終製品として利用されない部分を押えるように構成されていてもよい。これにより、樹脂成形品10における最終製品となる部分を押圧することなく、樹脂成形品10を押えることができるので、最終製品となる部分に傷や変形が生じること等を抑制することができる。
【0054】
以上、本開示の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0055】
1 制御部、2 供給モジュール、3 樹脂成形モジュール、6 成形品搬出モジュール、10 樹脂成形品、12 基板、12H 開口部、14 樹脂封止部分、16 不要樹脂部分、20 供給部、30 成形型、31 下型、40 型締め機構、50 搬出機構、51,52 本体部、60 排出部、70 除去機構、71 パンチホルダ、72 弾性部材、73 基板押え、73H 貫通孔、74,74a,74b パンチピン、76 搬送パレット、76H 空間、77 載置部、78 レール、80 クリーナ、80H 吸引孔、82 押え機構、84,85,86,87 押え部材、90 アウトマガジン部、100 樹脂成形装置、S1,S2,S3,S4,S5,S6,S7,S8 工程。
図1
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