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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20240202BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
A63F7/02 334
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021192744
(22)【出願日】2021-11-29
(65)【公開番号】P2023079327
(43)【公開日】2023-06-08
【審査請求日】2023-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 淳平
(72)【発明者】
【氏名】中西 貴
(72)【発明者】
【氏名】折原 健介
(72)【発明者】
【氏名】門田 智明
【審査官】小河 俊弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-137730(JP,A)
【文献】特開2001-079188(JP,A)
【文献】特開2014-158729(JP,A)
【文献】特開2021-023622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
初期位置と、前記初期位置より下方の可動位置とに、上下方向に移動可能な可動体と、
前記可動位置にある前記可動体と当接する当接部と、
を備え、
前記可動体は、前記可動位置に移動することにより前記当接部に上側から当接し、
前記当接部の周囲には、遊技球の直径よりも短い隙間が形成されており、
前記隙間は、前記当接部に対して左右方向に間隔を空けて設けられる部材と、前記当接部との間に形成されており、
遊技球が前記隙間に嵌った状態で前記可動体が前記可動位置に移動した場合に、前記隙間に嵌った遊技球のうち頂部に対してずれた位置に前記可動体が当接し、当該遊技球が前記隙間から押し出されることを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機として、例えば、特許文献1に開示されているように、初期位置と可動位置とに移動可能な可動体である可動役物を備えるものがある。可動役物は、各種演出において用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-192066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、可動役物を備える遊技機では、可動役物の可動範囲内へ遊技球が入り込むことで、可動役物の適切な動作が妨げられる場合がある。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑み、遊技機を適切に動作させることが可能な遊技機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の遊技機は、初期位置と、前記初期位置より下方の可動位置とに、上下方向に移動可能な可動体と、前記可動位置にある前記可動体と当接する当接部と、を備え、前記可動体は、前記可動位置に移動することにより前記当接部に上側から当接し、前記当接部の周囲には、遊技球の直径よりも短い隙間が形成されており、前記隙間は、前記当接部に対して左右方向に間隔を空けて設けられる部材と、前記当接部との間に形成されており、遊技球が前記隙間に嵌った状態で前記可動体が前記可動位置に移動した場合に、前記隙間に嵌った遊技球のうち頂部に対してずれた位置に前記可動体が当接し、当該遊技球が前記隙間から押し出される
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、遊技機を適切に動作させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】参考例に係る扉が開放された状態を示す遊技機の斜視図である。
図2】参考例に係る遊技機の正面図である。
図3】実施例に係る遊技機の遊技盤ユニットに遊技盤が取り付けられた状態の正面図である。
図4】実施例に係る遊技機の遊技盤ユニットから遊技盤が取り外された状態の正面図である。
図5】第1可動役物が可動位置に移動した状態の正面図である。
図6】第2可動役物が可動位置に移動した状態の正面図である。
図7】第1可動役物が初期位置に位置している状態を示す部分断面図である。
図8】第1可動役物が可動位置に移動した状態を示す部分断面図である。
図9】第1可動役物の本体が想定姿勢に対して傾いた姿勢で可動位置に停止している状態を示す斜視図である。
図10】第1可動役物が図9の状態から上昇して初期位置に到達した状態を示す斜視図である。
図11】第1可動役物を示す拡大斜視図である。
図12】第1可動役物の本体の姿勢が図10の状態から想定姿勢に戻った状態を示す斜視図である。
図13】第2可動役物を示す断面図である。
図14】第1可動役物が初期位置に位置している状態を示す拡大図である。
図15】第1可動役物が可動位置に移動した状態を示す拡大図である。
図16】制御装置が行うイニシャル動作における処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本発明に係る好適な実施例について詳細に説明する。かかる実施例に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0010】
本発明の実施例の理解を容易にするため、まず、参考例に係る遊技機の構成を説明する。次に、本発明の実施例として、参考例と異なる構成について具体的に説明する。
【0011】
<参考例>
【0012】
図1は、参考例に係る遊技機100の斜視図であり、扉が開放された状態を示している。図示のように、遊技機100は、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成される外枠102と、この外枠102にヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた中枠104と、この中枠104に、ヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられた前枠106と、を備えている。
【0013】
中枠104は、外枠102と同様に、略矩形状に組まれた四辺によって囲繞空間が形成されており、この囲繞空間に遊技盤108が保持されている。また、前枠106には、ガラス製または樹脂製の透過板110が保持されている。そして、これら中枠104および前枠106を外枠102に対して閉じると、遊技盤108と透過板110とが所定の間隔を維持して略平行に対面するとともに、遊技機100の正面側から、透過板110を介して遊技盤108が視認可能となる。
【0014】
遊技盤108の背面側には、背面カバーBCが取り付けられている。中枠104と、遊技盤108と、背面カバーBCとを含んで遊技盤ユニットGUが構成される。また、前枠106と、透過板110とを含んで前扉FDが構成される。遊技盤ユニットGUが、外枠102にヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられており、前扉FDが、遊技盤ユニットGUにヒンジ機構によって開閉自在に取り付けられている。
【0015】
図2は、参考例に係る遊技機100の正面図である。この図に示すように、前枠106の下部には、遊技機100の正面側に突出する操作ハンドル112が設けられている。この操作ハンドル112は、遊技者が回転操作可能に設けられており、遊技者が操作ハンドル112を回転させて発射操作を行うと、当該操作ハンドル112の回転角度に応じた強度で、不図示の発射機構によって遊技球が発射される。このようにして発射された遊技球は、遊技盤108に設けられたレール114a、114b間を上昇して遊技領域116に導かれることとなる。
【0016】
遊技領域116は、遊技盤108と透過板110との間隔に形成される空間であって、遊技球が流下または転動可能な領域である。遊技盤108には、多数の釘や風車が設けられており、遊技領域116に導かれた遊技球が釘や風車に衝突して、不規則な方向に流下、転動するようにしている。
【0017】
遊技領域116は、発射機構の発射強度に応じて遊技球の進入度合いを互いに異にする第1遊技領域116aおよび第2遊技領域116bを備えている。第1遊技領域116aは、遊技機100に正対した遊技者から見て遊技領域116の左側に位置し、第2遊技領域116bは、遊技機100に正対した遊技者から見て遊技領域116の右側に位置している。レール114a、114bが遊技領域116の左側にあることから、発射機構によって所定の強度未満の発射強度で発射された遊技球は第1遊技領域116aに進入し、所定の強度以上の発射強度で発射された遊技球は第2遊技領域116bに進入することとなる。
【0018】
また、遊技領域116には、遊技球が入球可能な一般入賞口118、第1始動口120、第2始動口122が設けられており、これら一般入賞口118、第1始動口120、第2始動口122に遊技球が入球すると、それぞれ所定の賞球が遊技者に払い出される。なお、賞球数は1個以上であれば何個でもよく、また、一般入賞口118、第1始動口120、第2始動口122のそれぞれで払い出す賞球数を異ならせてもよいし、同じ賞球数に設定してもよい。このとき、第1始動口120に遊技球が入球して払い出す賞球数を、第2始動口122に遊技球が入球して払い出す賞球数よりも少なく設定することも可能である。
【0019】
なお、詳しくは後述するが、第1始動口120内には第1始動領域が設けられ、また、第2始動口122内には第2始動領域が設けられている。そして、第1始動口120または第2始動口122に遊技球が入球して第1始動領域または第2始動領域に遊技球が進入すると、予め設けられた複数の特別図柄の中からいずれか1の特別図柄を決定するための抽選が行われる。各特別図柄には、遊技者にとって有利な大役遊技または小当たり遊技の実行可否や、以後の遊技状態をどのような遊技状態にするかといった種々の遊技利益が対応付けられている。したがって、遊技者は、第1始動口120または第2始動口122に遊技球が入球すると、所定の賞球を獲得するのと同時に、種々の遊技利益を受ける権利獲得の機会を獲得することとなる。
【0020】
第1始動口120は、遊技領域116の下部であって、第1遊技領域116aを流下する遊技球のみが入球可能であるか、もしくは、第1遊技領域116aに進入した遊技球の方が、第2遊技領域116bに進入した遊技球よりも進入しやすい位置に配置されている。
【0021】
また、第2始動口122は、第2遊技領域116bに位置しており、第2遊技領域116bを流下する遊技球のみが入球可能であるか、もしくは、第2遊技領域116bに進入した遊技球の方が、第1遊技領域116aに進入した遊技球よりも進入しやすい位置に配置されている。この第2始動口122は、可動片122bを有する可変始動口(始動可変入賞装置)によって構成されており、第2始動口122への遊技球の進入容易性が可変するようになっている。
【0022】
具体的には、第2始動口122は、可動片122bが開閉可能に設けられており、この可動片122bが閉状態にあるときには、第2始動口122への遊技球の進入が不可能もしくは困難となっている。なお、第2始動口122の具体的な構成は特に限定されないが、ここでは、可動片122bは、閉状態において、遊技盤108の背面側に没入し、開状態において、遊技盤108の正面側に突出するものとする。可動片122bが没入した閉状態では、第2始動口122が閉鎖され、第2始動口122の前面側を遊技球が流下する。
【0023】
これに対して、第1遊技領域116aおよび第2遊技領域116bに設けられたゲート124を遊技球が通過するか、または、第2遊技領域116bに設けられた普図作動口125に遊技球が入球すると、第2始動口122が開放される補助遊技の実行有無が決定され、補助遊技の実行が決定された場合に、第2始動口122が開閉制御される補助遊技が実行される。より詳細には、ゲート124を遊技球が通過したこと、または、普図作動口125に遊技球が入球したことを条件として、後述する普通図柄の抽選が行われ、この抽選によって当たりに当選すると、可動片122bが所定時間、開状態に制御される。
【0024】
可動片122bが突出した開状態では、第2始動口122の前面側を流下する遊技球が可動片122b上に落下する。可動片122b上に落下した遊技球は、可動片122bに案内されて第2始動口122に導かれる。このように、可動片122bが開状態になると、当該可動片122bが遊技球を第2始動口122に導く受け皿として機能し、第2始動口122への遊技球の入球が容易となる。
【0025】
さらに、遊技領域116の下部には、第1大入賞口126および第2大入賞口128が設けられている。第1大入賞口126および第2大入賞口128は、少なくとも第2遊技領域116bを流下する遊技球が入球可能な位置に配置されている。第1大入賞口126には、開閉扉126bが開閉可能に設けられており、通常、開閉扉126bが第1大入賞口126を閉鎖して、第1大入賞口126への遊技球の入球が不可能となっている。これに対して、前述の小当たり遊技が実行されると、開閉扉126bが開放されて、開閉扉126bが受け皿として機能し、第1大入賞口126への遊技球の入球が可能となる。そして、第1大入賞口126に遊技球が入球すると、所定の賞球が遊技者に払い出される。
【0026】
また、第2大入賞口128には、開閉扉128bが開閉可能に設けられており、通常、開閉扉128bが第2大入賞口128を閉鎖して、第2大入賞口128への遊技球の入球を不可能となっている。これに対して、前述の大役遊技が実行されると、開閉扉128bが開放されて、開閉扉128bが受け皿として機能し、第2大入賞口128への遊技球の入球が可能となる。そして、第2大入賞口128に遊技球が入球すると、所定の賞球が遊技者に払い出される。
【0027】
なお、遊技領域116の最下部には、一般入賞口118、第1始動口120、第2始動口122、第1大入賞口126、第2大入賞口128のいずれにも入球しなかった遊技球を、遊技領域116から遊技盤108の背面側に排出する排出口130が設けられている。
【0028】
そして、遊技機100には、遊技の進行中等に演出を行う演出装置として、液晶表示装置からなる演出表示装置200、可動装置からなる演出役物装置202、さまざまな点灯態様や発光色に制御されるランプからなる演出照明装置204、スピーカからなる音声出力装置206、遊技者の操作を受け付ける演出ボタン208が設けられている。
【0029】
演出表示装置200は、画像を表示する画像表示部からなるメイン演出表示部200aおよびサブ演出表示部201aを備えている。メイン演出表示部200aは、遊技盤108の略中央部分において、遊技機100の正面側から視認可能に配置されている。このメイン演出表示部200aには、図示のように演出図柄210a、210b、210cが変動表示され、これら各演出図柄210a、210b、210cの停止表示態様によって大役抽選結果が遊技者に報知される変動演出が実行されることとなる。また、サブ演出表示部201aは、メイン演出表示部200aの上方に設けられており、変動演出中に補助的な演出画像が表示される。
【0030】
演出役物装置202は、メイン演出表示部200aよりも前面に配置され、通常、遊技盤108の背面側に退避しているが、上記の演出図柄210a、210b、210cの変動表示中などに、メイン演出表示部200aの前面まで可動して、遊技者に大当たりの期待感を付与するものである。
【0031】
演出照明装置204は、演出役物装置202や遊技盤108等に設けられており、メイン演出表示部200aに表示される画像等に合わせて、さまざまに点灯制御される。
【0032】
音声出力装置206は、前枠106の上部位置や外枠102の最下部位置に設けられ、メイン演出表示部200aに表示される画像等に合わせて、遊技機100の正面側に向けてさまざまな音声を出力する。
【0033】
演出ボタン208は、遊技者の押下操作を受け付けるボタンで構成され、遊技機100の幅方向略中央位置であって、かつ、透過板110よりも下方位置に設けられている。この演出ボタン208は、メイン演出表示部200aに表示される画像等に合わせて有効化されるものであり、操作有効時間内に遊技者の操作を受け付けると、当該操作に応じて、さまざまな演出が実行される。
【0034】
十字キー209は、遊技者の押下操作を受け付ける上ボタン、下ボタン、左ボタン、右ボタンの4つのボタンで構成され、演出ボタン208の近傍に設けられている。演出ボタン208および十字キー209は、各種の設定を行う際に用いられることもある。
【0035】
なお、図中符号132は、遊技機100から払い出される賞球や、遊技球貸出装置から貸し出される遊技球が導かれる上皿であり、この上皿132が遊技球で一杯になると、遊技球は下皿134に導かれることとなる。また、この下皿134の底面には、当該下皿134から遊技球を排出するための球抜き孔(不図示)が形成されている。この球抜き孔は、通常、開閉板(不図示)によって閉じられているが、第2操作受付手段である球抜きつまみ134aを押し込ませることにより、当該球抜きつまみ134aと一体となって開閉板がスライドし、球抜き孔から下皿134の下方に遊技球を排出することが可能となっている。
【0036】
また、遊技盤108には、遊技領域116の外方であって、かつ、遊技者が視認可能な位置に、第1特別図柄表示器160、第2特別図柄表示器162、第1特別図柄保留表示器164、第2特別図柄保留表示器166、普通図柄表示器168、普通図柄保留表示器170、右打ち報知表示器172が設けられている。これら各表示器160~172は、遊技に係る種々の状況を表示するための装置である。
【0037】
<実施例>
次に、本発明の実施例を説明する。なお、以下では、上記の参考例からの変更点について説明する。以下に説明する実施例において、特に断りのない場合は、上記の参考例と同じであり、上記の参考例と同一の構成ならびに処理については、参考例と同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。したがって、実施例では、上記の参考例で説明した構成のうち、以下に説明する変更点以外の構成を全て備えるものである。
【0038】
図3は、実施例に係る遊技機100Aの遊技盤ユニットGUに遊技盤108が取り付けられた状態の正面図である。図4は、実施例に係る遊技機100Aの遊技盤ユニットGUから遊技盤108が取り外された状態の正面図である。以下では、遊技機100Aの前面方向、背面方向、左方向、右方向、上方向および下方向のそれぞれを、単に前面方向、背面方向、左方向、右方向、上方向および下方向とも呼ぶ。
【0039】
図3および図4に示すように、実施例に係る遊技機100Aは、初期位置と可動位置とに移動可能な可動体である可動役物として、第1可動役物302と、第2可動役物304とを備える。各可動役物は、基本的に初期位置に位置しており、演出時に可動位置に移動する。図3および図4では、第1可動役物302および第2可動役物304が初期位置に位置している状態が示されている。
【0040】
遊技機100Aでは、正面視において、演出表示装置200が中央に配置されており、演出表示装置200を囲むように遊技盤108および各種意匠部材が配置されている。第1可動役物302の初期位置は、正面視において、演出表示装置200の上部と重なる位置である。第2可動役物304の初期位置は、正面視において、演出表示装置200よりも下方の位置である。第2可動役物304が初期位置に位置する時に、第2可動役物304の大部分が、正面視において、第2可動役物304よりも前面側の意匠部材によって隠されている。
【0041】
遊技機100Aは、制御装置400を備える。制御装置400は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)、CPUが使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する記憶素子であるROM(Read Only Memory)、および、CPUの実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する記憶素子であるRAM(Random Access Memory)等を含む。制御装置400は、遊技機100A内の各装置の動作を制御する。
【0042】
特に、制御装置400は、各可動役物の動作を制御する。各可動役物は、各可動役物を駆動する駆動部が制御されることによって動作する。なお、図3および図4に示すように、遊技盤ユニットGUの内部には、第1可動役物302を駆動する駆動部306が設けられている。駆動部306の詳細については、後述する。
【0043】
図5は、第1可動役物302が可動位置に移動した状態の正面図である。なお、図5では、第2可動役物304は、初期位置に位置している。第1可動役物302は、初期位置から下方に移動可能である。第1可動役物302の可動位置は、第1可動役物302の初期位置よりも下方の位置である。第1可動役物302の可動位置は、正面視において、演出表示装置200の中央側と重なる位置である。
【0044】
図6は、第2可動役物304が可動位置に移動した状態の正面図である。なお、図6では、第1可動役物302は、初期位置に位置している。第2可動役物304は、初期位置から右上方に移動可能である。第2可動役物304の可動位置は、第2可動役物304の初期位置よりも右上方の位置である。第2可動役物304の可動位置は、正面視において、演出表示装置200の下部と重なる位置である。
【0045】
ところで、可動役物を備える遊技機では、移動可能という可動役物特有の性質に起因して、各種の課題が生じ得る。遊技機100Aでは、そのような課題を解決するための工夫が施されている。以下、遊技機100Aに施されている各種の工夫について、図7図16を参照して説明する。
【0046】
まず、図7および図8を参照して、遊技機100Aのメンテナンス性の向上を実現するための工夫について説明する。
【0047】
図7は、第1可動役物302が初期位置に位置している状態を示す部分断面図である。図8は、第1可動役物302が可動位置に移動した状態を示す部分断面図である。図7および図8において示される断面は、図4中のX-X断面である。図7および図8では、駆動部306、および、その周囲の構成の一部のX-X断面が示されている。
【0048】
図7および図8に示すように、第1可動役物302は、ガイド部材308に沿って上下方向に移動可能となっている。例えば、ガイド部材308は、上下方向に延材する丸棒であり、第1可動役物302を上下方向に貫通している。第1可動役物302は、ガイド部材308に対して摺動することによって、上下方向に移動可能となっている。
【0049】
図7および図8には、第1可動役物302を駆動する駆動部306が示されている。駆動部306は、第1可動役物302を初期位置から可動位置に移動させる。駆動部306は、可動部306aと、係止部306bとを有する。可動部306aは、上下方向に進退可能である。例えば、可動部306aは、ソレノイドの可動プランジャであり、非通電時に下方に突出して図7の状態になり、通電時に上方に引き上げられて図8の状態になる。係止部306bは、第1可動役物302の被係止部302aを係止する。被係止部302aは、遊技機100Aの左右方向(つまり、図7および図8中の紙面に直交する方向)に延在する。係止部306bは、遊技機100Aの左右方向の中心軸まわりに回動可能である。
【0050】
図7に示すように、第1可動役物302が初期位置に位置している時には、可動部306aが下方に突出している。この場合、係止部306bが可動部306aによって図7中で時計回り方向に押され、第1可動役物302の被係止部302aが係止部306bによって下方から支えられるように係止される。それにより、第1可動役物302が初期位置に保持される。
【0051】
そして、駆動部306が通電され、可動部306aが上方に引き上げられると、図8に示すように、可動部306aによる係止部306bの押圧が解除され、係止部306bが図8中で反時計回り方向に回動する。それにより、係止部306bによる被係止部302aの係止が解除され、第1可動役物302が自重によって、下方に落下する。このようにして、第1可動役物302が可動位置に移動する。
【0052】
ここで、図3図7および図8に示すように、遊技盤108のうち駆動部306と対向する位置には、貫通孔108aが設けられている。図3の例では、貫通孔108aは、円形状を有する。ただし、貫通孔108aの形状は、円形状以外の形状(例えば、矩形状等)であってもよい。図7に示すように、遊技機100Aの管理者は、前扉FDを開けた状態で、棒状の工具Tを遊技盤108の前面側から貫通孔108aに挿通させることによって、工具Tを介して駆動部306に接触することができる。例えば、駆動部306が異常になり、図7に示す非通電の状態に維持されてしまっている時に、遊技機100Aの管理者は、工具Tを用いて、駆動部306の可動部306aを強制的に上方に引き上げることができる。
【0053】
上記のように、遊技機100Aでは、遊技盤108(つまり、遊技盤ユニットGUの前面)は、駆動部306の近傍に設けられる貫通孔108aを有する。それにより、遊技盤ユニットGU自体を分解せずに、駆動部306をメンテナンスすることができる。ゆえに、遊技機100Aのメンテナンス性を向上させることができる。
【0054】
なお、上記では、遊技盤108が、駆動部306の近傍に設けられる貫通孔108aを有する第1部材の一例に相当する。ただし、第1部材は、遊技盤108以外の部材であってもよい。第1部材は、駆動部306を覆う部材(つまり、駆動部306との間に他の部材が介在せずに駆動部306と対向する部材)であってもよく、このような部材としては、例えば、遊技盤108の他に、背面カバーBC等が挙げられる。また、第1部材は、遊技盤108や背面カバーBCのように、駆動部306の可動部306aに対して遊技盤108の前面側または背面側に並設される部材であってもよく、他の方向に並設される部材であってもよい。これらの場合にも、上記の例と同様に、遊技機100Aのメンテナンス性を向上させることができる。
【0055】
なお、貫通孔108aは、駆動部306(例えば、可動部306a)に対して遊技盤108の前面側または背面側に対向してもよく、他の方向に対向してもよい。遊技盤ユニットGUの開閉時に、第1部材は駆動部306と一体に移動するので、貫通孔108aも駆動部306と一体に移動する
【0056】
ここで、図3に示すように、貫通孔108aは、遊技盤108のうち遊技領域116の外側に設けられている。それにより、前扉FDが閉じている状態において、貫通孔108aは、前扉FDの前枠106と対向し、前枠106によって覆われるので、外部から視認不可能となる。ゆえに、遊技機100Aの遊技中において、貫通孔108aが遊技者によって視認されることがなくなる。よって、遊技機100Aの美観が損なわれること、および、セキュリティ性が低下することが抑制される。
【0057】
なお、上記の例において、前扉FDの前枠106が、貫通孔108aに対向する第1位置(具体的には、前扉FDが閉じている状態の位置)と、第1位置よりも貫通孔108aから離隔する第2位置(具体的には、前扉FDが開いている状態の位置)とに移動可能な第2部材の一例に相当する。
【0058】
ただし、第2部材は、前枠106以外の部材であってもよい。例えば、第1部材としての背面カバーBCに貫通孔108aが設けられる場合、外枠102に保持されている被保持部材が第2部材に相当し得る。この場合、遊技盤ユニットGUが閉じている状態の上記被保持部材の位置が第1位置に相当し、遊技盤ユニットGUが開いている状態の上記被保持部材の位置が第2位置に相当する。具体的には、遊技盤ユニットGUが閉じている状態において、貫通孔108aは、上記被保持部材と対向し、上記被保持部材によって覆われるので、外部から視認不可能となる。ゆえに、遊技機100Aの美観が損なわれること、および、セキュリティ性が低下することが抑制される。なお、背面カバーBCに貫通孔108aが設けられる場合において、遊技盤ユニットGUの外部から貫通孔108aを覆う部材が、第2部材として、背面カバーBCに脱着可能に取り付けられてもよい。
【0059】
なお、上記では、第1可動役物302を駆動する駆動部306に対して貫通孔108aが設けられる例を説明した。ただし、駆動部306は、可動体を駆動する駆動部の一例に過ぎず、第1可動役物302以外の可動体を駆動する駆動部に対して貫通孔108aと同様の貫通孔が設けられてもよい。
【0060】
続いて、図9図12を参照して、第1可動役物302に関する意匠性の低下を抑制するための工夫について説明する。
【0061】
図9は、第1可動役物302の本体302bが想定姿勢APに対して傾いた姿勢で可動位置に停止している状態を示す斜視図である。第1可動役物302は、本体302bと、アーム部302cとを有する。本体302bは、第1可動役物302のうち装飾性が特に高い部分である。例えば、本体302bには、遊技機100Aのタイトル等を示すロゴが表記されている。本体302bは、アーム部302cに取り付けられている。アーム部302cは、本体302bに対して左右に延びている。アーム部302cが上述したガイド部材308に対して摺動することによって、第1可動役物302が上下方向に移動する。
【0062】
本体302bの姿勢は、変化可能となっている。例えば、本体302bは、遊技機100Aの前後方向に沿った軸であり本体302bの中心を通る軸まわりに回転可能となっている。第1可動役物302を用いた演出では、本体302bの姿勢を変化させる演出が行われる。本体302bの姿勢を変化させる演出としては、例えば、本体302bを回転させる演出が挙げられる。以下では、本体302bを回転させる演出が用いられる例を説明する。ただし、本体302bの姿勢を変化させる演出は、本体302bを回転させる演出に限定されず、例えば、本体302bを回動させて揺動させる演出等であってもよい。本体302bの回転は、例えば、不図示のモータによって実現される。
【0063】
第1可動役物302を用いた演出時に、第1可動役物302が初期位置から可動位置に移動した後に、本体302bが回転する。演出終了時には、本体302bの回転が終了し、第1可動役物302は可動位置から初期位置に戻される。想定姿勢APは、演出が終了して本体302bの回転が終了する際に、本体302bがとる姿勢として想定される姿勢である。想定姿勢APは、例えば、本体302bに表記されている文字の向きが遊技機100Aの左右方向に沿う姿勢である。しかしながら、本体302bの回転の終了時には、本体302bに作用する慣性力等に起因して、本体302bが想定姿勢APに対して傾いた姿勢で停止する場合がある。図9は、そのような場合を示す。図9の例では、本体302bの右側が左側よりも下方に位置するように、本体302bが傾いている。
【0064】
図10は、第1可動役物302が図9の状態から上昇して初期位置に到達した状態を示す斜視図である。本体302bは、回転終了後、姿勢を保ったまま、上昇する。ゆえに、図10の例においても、図9の例と同様に、本体302bの右側が左側よりも下方に位置するように、本体302bが傾いている。
【0065】
図11は、第1可動役物302を示す拡大斜視図である。図11に示すように、第1可動役物302には、突出部302d、302eが設けられている。突出部302d、302eは、第1可動役物302から突出する。具体的には、突出部302d、302eは、第1可動役物302の本体302bのうち上側(つまり、可動位置に対する初期位置側)に設けられている。突出部302dは、第1可動役物302の本体302bのうち左上側に設けられており、突出部302eは、第1可動役物302の本体302bのうち右上側に設けられている。
【0066】
本体302bが想定姿勢APとなっている場合、左側の突出部302dの上下方向の位置と、右側の突出部302eの上下方向の位置とは、略一致する。図11の例では、突出部302d、302eは、背面側に突出している。具体的には、突出部302dは、第1可動役物302の本体302bの背面のうち左上側の部分から当該部分よりも背面側に突出している。突出部302eは、第1可動役物302の本体302bの背面のうち右上側の部分から当該部分よりも背面側に突出している。ただし、突出部302d、302eの突出方向は、背面方向以外(例えば、上方向)であってもよい。図11の例では、突出部302d、302eは、遊技機100Aの前後方向に延在する円柱形状を有する。ただし、突出部302d、302eの形状は、円柱形状以外の形状であってもよい。
【0067】
また、図9および図10に示すように、遊技機100Aには、非可動の被当接部310a、310bが設けられている。被当接部310a、310bは、後述するように、第1可動役物302が初期位置に位置する時に、突出部302d、302eと当接する部分である。被当接部310a、310bは、演出表示装置200よりも上方の意匠部材に設けられている。
【0068】
左側の被当接部310aの左右方向の位置は、左側の突出部302dの左右方向の位置と略一致し、右側の被当接部310bの左右方向の位置は、右側の突出部302eの左右方向の位置と略一致する。左側の被当接部310aの上下方向の位置と、右側の被当接部310bの上下方向の位置とは、略一致する。図9および図10の例では、被当接部310a、310bは、周囲の部材に対して前面側に突出している。ただし、被当接部310a、310bの突出方向は、前面方向以外であってもよく、被当接部310a、310bが周囲の部材に対して突出していなくてもよい。
【0069】
図10の例では、本体302bの右側が左側よりも下方に位置するように、本体302bが傾いているので、左側の突出部302dが左側の被当接部310aと当接し、右側の突出部302eは右側の被当接部310bから離隔した状態となる。この状態で、第1可動役物302がさらに上方へ引き上げられる。それにより、図12に示すように、本体302bが左側の突出部302dを中心として図12中で反時計まわりに回動する。そして、右側の突出部302eが右側の被当接部310bと当接すると、本体302bの回動が終了し、図12の状態となる。それにより、図12に示すように、第1可動役物302の本体302bの姿勢が、想定姿勢APに戻る。
【0070】
上記のように、遊技機100Aでは、第1可動役物302から突出する突出部302d、302eは、第1可動役物302のうち可動位置に対する初期位置側に設けられており、初期位置において、非可動の被当接部310a、310bと当接可能である。それにより、本体302bが想定姿勢APに対して傾いた姿勢で可動位置に停止した場合に、第1可動役物302を可動位置から初期位置に戻す動作の過程で、本体302bの姿勢を想定姿勢APに戻すことができる。ゆえに、初期位置において、本体302bの姿勢が想定姿勢APに対して傾くことによる意匠性の低下を抑制できる。また、第1可動役物302を可動位置から初期位置に戻す動作とは別に本体302bの姿勢を戻す動作が行われる場合と比較して、本体302bの姿勢を想定姿勢APに円滑に戻すことができる。
【0071】
なお、上記では、第1可動役物302に対して突出部302d、302eが設けられる例を説明した。ただし、第1可動役物302は、可動体の一例に過ぎず、第1可動役物302以外の可動体に対して突出部302d、302eと同様の突出部が設けられてもよい。
【0072】
続いて、図13を参照して、第2可動役物304に関する意匠性の低下を抑制するための工夫について説明する。
【0073】
図13は、第2可動役物304を示す断面図である。図13は、図6中のY-Y断面における断面図である。図13の例では、第2可動役物304は可動位置に位置している。図13に示すように、第2可動役物304の外面は、塗装部304aと、非塗装部304bとを有する。塗装部304aは塗装が施されている部分であり、非塗装部304bは塗装が施されていない部分である。
【0074】
塗装部304aの塗装は、美観を向上させるために施されている。ゆえに、塗装部304aは、第2可動役物304の外面のうち、遊技者から視認され得る箇所に配置される。具体的には、第2可動役物304が可動位置に位置する際に、第2可動役物304の背面以外の外面のうち他の部材により隠れていない部分が、塗装部304aとなっている。具体的には、塗装部304aは、第2可動役物304のうちの、前面における下部を除く部分と、左右の側面における下部を除く部分と、上面とを含む部分である。非塗装部304bは、第2可動役物304のうちの、前面における下部と、左右の側面における下部と、下面とを含む部分である。
【0075】
ここで、図13に示すように、第2可動役物304には、突出部304cが設けられている。突出部304cは、第2可動役物304から突出する。具体的には、突出部304cは、第2可動役物304のうち非塗装部304bに設けられている。つまり、突出部304cには、塗装が施されていない。ただし、突出部304cのうち少なくとも先端部に塗装が施されていなければよく、突出部304cの一部に塗装が施されていてもよい。
【0076】
突出部304cは、前面側に突出している。具体的には、突出部304cは、第2可動役物304の前面よりも突出している。図13の例では、突出部304cは、第2可動役物304の前面における下部に設けられる非塗装部304bから前面側に突出している。例えば、突出部304cは、遊技機100Aの左右方向に間隔を空けて複数設けられる。ただし、突出部304cの数は、特に限定されず、例えば、単数であってもよい。また、非塗装部304bにおける突出部304cの配置は、図13の例に限定されず、例えば、第2可動役物304の下面から前面側に突出していてもよい。
【0077】
また、遊技機100Aには、非可動の被当接部312が設けられている。被当接部312は、第2可動役物304の突出部304cと当接し得る部分である。被当接部312は、第2可動役物304よりも遊技機100Aの前面側に設けられており、第2可動役物304の突出部304cと対向する。図13の例では、第2可動役物304よりも前面側の意匠部材が被当接部312に相当し、当該意匠部材が、可動位置に位置する第2可動役物304の突出部304cと前後方向に対向している。第2可動役物304が初期位置と可動位置との間のいずれの位置に存在する場合においても、被当接部312と突出部304cとが対向する。ただし、第2可動役物304が初期位置と可動位置との間の一部の位置に存在する場合において、被当接部312と突出部304cとが対向しなくてもよい。
【0078】
上記のように、遊技機100Aでは、第2可動役物304から突出する突出部304cは、非可動の被当接部312と対向する。また、突出部304cのうち少なくとも先端部には、塗装が施されていない。ゆえに、第2可動役物304が動いて周囲の部材と当接する場合において、塗装が施されていない突出部304cの先端部が被当接部312と当接する。例えば、上記の例において、第2可動役物304が前後方向にがたつく場合(例えば、第2可動役物304が可動位置から初期位置に移動する場合等)に、突出部304cの先端部が被当接部312に当接する。それにより、第2可動役物304のうち塗装が施されている部分(例えば、塗装部304a)が周囲の部材と当接することが抑制される。ゆえに、第2可動役物304の移動に伴い第2可動役物304の塗装が剥がれることを抑制できるので、意匠性の低下を抑制できる。
【0079】
なお、上記では、突出部304cが遊技機100Aの前側に突出している例を説明した。この場合、第2可動役物304よりも前側の部材に第2可動役物304が当接する場合の塗装の剥がれが抑制される。ただし、突出部304cの突出方向は、前方向以外であってもよい。
【0080】
なお、上記では、第2可動役物304に対して突出部304cが設けられる例を説明した。ただし、第2可動役物304は、可動体の一例に過ぎず、第2可動役物304以外の可動体に対して突出部304cと同様の突出部が設けられてもよい。
【0081】
続いて、図14図16を参照して、遊技機100Aを適切に動作させるための工夫について説明する。
【0082】
図14は、第1可動役物302が初期位置に位置している状態を示す拡大図である。図15は、第1可動役物302が可動位置に移動した状態を示す拡大図である。図14および図15は、図4中の領域Rを拡大して示す図であり、第1可動役物302の右部を前面側から覆っている意匠部材DMを取り外した状態を示す。なお、図14および図15では、右側のガイド部材308の周囲の構成が示されているが、左側のガイド部材308の周囲の構成も同様である。
【0083】
上述したように、第1可動役物302のアーム部302cがガイド部材308に対して摺動することによって、第1可動役物302が上下方向に移動する。具体的には、ガイド部材308は、アーム部302cの先端の摺動部302fを上下方向に貫通しており、摺動部302fが、ガイド部材308に対して摺動する。摺動部302fは、例えば、略直方体形状を有する。ただし、摺動部302fの形状は、略直方体形状以外の形状であってもよい。
【0084】
図14および図15では、第1可動役物302から右側に延びるアーム部302cの先端に設けられ、右側のガイド部材308に対して摺動する右側の摺動部302fのみが示されている。ただし、図示は省略するが、第1可動役物302から左側に延びるアーム部302cの先端には、左側のガイド部材308に対して摺動する左側の摺動部302fが、右側の摺動部302fと同様に設けられている。
【0085】
遊技機100Aには、可動位置にある第1可動役物302と当接する衝撃吸収材314が設けられている。具体的には、衝撃吸収材314は、ガイド部材308の下方に設けられている。ゆえに、図15に示すように、第1可動役物302が可動位置に移動した時に、ガイド部材308に沿って落下した摺動部302fが、衝撃吸収材314に対して上側から当接する。例えば、衝撃吸収材314は、上下方向に直交する平板形状を有する。衝撃吸収材314は、弾性変形可能な部材であり、衝撃吸収材314に対して上側から他の部材(例えば、遊技球Bまたは摺動部302f等)が当接した場合、上下方向に縮み、左右方向に伸びるように変形する。なお、衝撃吸収材314は、可動位置にある第1可動役物302と当接する当接部の一例に相当する。当接部は、可動位置にある第1可動役物302と当接すればよく、衝撃吸収材314に限定されない。例えば、当接部は、衝撃吸収材314のように弾性変形可能でなくてもよく、落下した摺動部302fの衝撃を吸収する機能を有しなくてもよい。
【0086】
衝撃吸収材314の周囲には、棒部材316が設けられている。棒部材316は、衝撃吸収材314に対して遊技機100Aの左右方向に間隔を空けて設けられている。棒部材316は、例えば、ビスが取り付けられる部材である。棒部材316は、衝撃吸収材314よりも遊技機100Aの左右方向の中央側に位置する。棒部材316は、遊技機100Aの前後方向に延在している。衝撃吸収材314と棒部材316との間の隙間318の左右方向の幅Wは、遊技球Bの直径よりも短い。このように、衝撃吸収材314の周囲には、遊技球Bの直径よりも短い隙間318が形成されている。ゆえに、図14に示すように、遊技中に、遊技球Bが隙間318に嵌ってしまう場合がある。なお、衝撃吸収材314に対して上側から遊技球Bが当接し、衝撃吸収材314が左右方向に伸びるように変形した場合においても、衝撃吸収材314と棒部材316とは互いに接触せず、隙間318が形成されている状態が維持される。
【0087】
ここで、遊技機100Aでは、遊技球Bが隙間318に嵌った状態で第1可動役物302が可動位置に移動した場合に、隙間318に嵌った遊技球Bのうち頂部P1(図14を参照)に対してずれた位置P2(図14を参照)に第1可動役物302が当接する。具体的には、第1可動役物302の右側の摺動部302fの左下端部は、隙間318に嵌った遊技球Bの頂部P1よりも右側に位置する。ゆえに、遊技球Bが隙間318に嵌った状態で第1可動役物302が可動位置に移動した場合に、隙間318に嵌った遊技球Bのうち頂部P1に対して右側にずれた位置P2に右側の摺動部302fの左下端部が当接する。それにより、図15に示すように、当該遊技球Bが隙間318から押し出される。具体的には、当該遊技球Bは、隙間318から左側に押し出され、排出口130(図2を参照)を介して、遊技領域116(図2を参照)から遊技盤108の背面側に排出される。
【0088】
上記のように、遊技機100Aでは、遊技球Bが隙間318に嵌った状態で第1可動役物302が可動位置に移動した場合に、隙間318に嵌った遊技球Bのうち頂部P1に対してずれた位置P2に第1可動役物302が当接し、当該遊技球Bが隙間318から押し出される。それにより、遊技球Bが第1可動役物302の可動範囲内に入り込んでしまった場合であっても、遊技球Bを押し出して排出できる。ゆえに、可動役物の可動範囲内へ遊技球Bが入り込むことが抑制され、遊技機100Aを適切に動作させることができる。
【0089】
上述したように、図14および図15では、図4中の意匠部材DMの図示が省略されている。意匠部材DMは、第1可動役物302の摺動部302fの可動範囲、衝撃吸収材314、棒部材316、および、隙間318を遊技機100Aの前面側から覆っている。ゆえに、意匠部材DMは、隙間318に嵌った遊技球Bに対して前面側から対向する。ここで、意匠部材DMは、非透過性を有する。ゆえに、隙間318に嵌った遊技球Bは、遊技者によって視認されることはない。それにより、遊技者は隙間318に嵌った遊技球Bを認識することなく遊技を行うことができ、遊技者に不要な違和感が与えられることが抑制される。
【0090】
また、遊技機100Aでは、隙間318を形成する衝撃吸収材314および棒部材316の後方には、壁部材320が設けられている。壁部材320は、隙間318に嵌った遊技球Bに対して後方から対向する。それにより、第1可動役物302によって押し出された遊技球Bが後方に飛び、演出表示装置200の液晶画面に衝突して液晶画面が損傷することが抑制される。ここで、図14および図15に示すように、アーム部302cは、摺動部302fから本体302bに向かう過程で、左方向に延在した後、湾曲して左下方に延在する。ゆえに、第1可動役物302によって押し出された遊技球Bが仮にアーム部302cに当たった場合、当該遊技球Bは、アーム部302cによって左下方に案内され、排出口130(図2を参照)に適切に送られる。
【0091】
図16は、制御装置400が行うイニシャル動作における処理の流れの一例を示すフローチャートである。図16に示す制御フローは、遊技機100Aの電源投入後に行われる。具体的には、イニシャル動作は、遊技機100Aの電源投入が行われる度に一度実行される。
【0092】
図16に示す制御フローが開始すると、ステップS101において、制御装置400は、第1可動役物302を動作させる。具体的には、ステップS101では、制御装置400は、第1可動役物302を初期位置から可動位置まで移動させた後、再度初期位置まで移動させる。なお、図16に示す制御フローの開始時点で第1可動役物302が初期位置以外の位置にある場合、制御装置400は、ステップS101において、上記の処理の前に、第1可動役物302を初期位置に戻す。
【0093】
次に、ステップS102において、制御装置400は、第2可動役物304を動作させ、図16に示す制御フローは終了する。具体的には、ステップS102では、制御装置400は、第2可動役物304を初期位置から可動位置まで移動させた後、再度初期位置まで移動させる。なお、図16に示す制御フローの開始時点で第2可動役物304が初期位置以外の位置にある場合、制御装置400は、ステップS102において、上記の処理の前に、第2可動役物304を初期位置に戻す。
【0094】
図16に示すように、制御装置400は、電源投入後、第1可動役物302を動作させた後に、第1可動役物302より下方に配置される第2可動役物304を動作させる。それにより、遊技球Bが隙間318に嵌った状態でイニシャル動作が実行された場合に、当該遊技球Bを第1可動役物302により隙間318から押し出した後に、第2可動役物304を動作させることができる。ゆえに、イニシャル動作において、隙間318から押し出された遊技球Bが、動作中の第2可動役物304に衝突することが抑制される。さらに、第1可動役物302によって隙間318から押し出された遊技球Bが非動作状態の第2可動役物304に仮に衝突した場合(または、仮に干渉している場合)であっても、第1可動役物302の動作確認の後に、第2可動役物304の動作確認を続けざまに行うことができる。
【0095】
なお、イニシャル動作が行われていない遊技中において、制御装置400は、第1可動役物302の落下時に、第2可動役物304の動作を禁止してもよい。それにより、隙間318から押し出された遊技球Bが、動作中の第2可動役物304に衝突することが抑制される。
【0096】
なお、上記の例では、第1可動役物302が第1可動体に相当し、第2可動役物304が第1可動体より下方に配置される第2可動体に相当する。そして、上記では、第1可動役物302の可動範囲内へ遊技球Bが入り込むことを抑制するための工夫が施される例を説明した。ただし、第1可動体が第1可動役物302以外の可動体であってもよい。つまり、第1可動役物302以外の可動体に対して上記と同様の工夫が施されて、当該可動体の可動範囲内へ遊技球Bが入り込むことが抑制されてもよい。また、第2可動体が第2可動役物304以外の可動体であってもよい。
【0097】
なお、第1可動役物302の可動範囲内へ遊技球Bが入り込むことを抑制するための工夫が施される例として説明した上記の例において、隙間318に嵌った遊技球Bに対して前面側から対向する意匠部材DMが設けられなくてもよい。また、上記の例において、隙間318に嵌った遊技球Bに対して後方から対向する壁部材320が設けられなくてもよい。また、上記の例において、イニシャル動作における処理は、図16の処理例と異なっていてもよい。
【0098】
上記では、遊技機100Aのメンテナンス性の向上を実現するための工夫と、第1可動役物302に関する意匠性の低下を抑制するための工夫と、第2可動役物304に関する意匠性の低下を抑制するための工夫と、遊技機100Aを適切に動作させるための工夫とをそれぞれ説明した。ただし、遊技機100Aにおいて、上記の複数種類の工夫のうち、全種類の工夫が施されてもよく、一部の工夫のみが施されてもよい。
【0099】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施例について説明したが、本発明はかかる実施例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0100】
302 第1可動役物(第1可動体)
304 第2可動役物(第2可動体)
314 衝撃吸収材(当接部)
318 隙間
400 制御装置
B 遊技球
DM 意匠部材
P1 頂部
P2 位置
図1
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図16