(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】生分解性で産業的に堆肥化可能な射出成形の微細軟質発泡体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 44/00 20060101AFI20240202BHJP
B29C 44/42 20060101ALI20240202BHJP
B29C 44/60 20060101ALI20240202BHJP
C08J 9/12 20060101ALI20240202BHJP
B29K 1/00 20060101ALN20240202BHJP
B29K 67/00 20060101ALN20240202BHJP
【FI】
B29C44/00 D
B29C44/42
B29C44/60
C08J9/12 CFD
C08J9/12 CEP
B29K1:00
B29K67:00
(21)【出願番号】P 2021516533
(86)(22)【出願日】2019-05-21
(86)【国際出願番号】 US2019033421
(87)【国際公開番号】W WO2019226719
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-11-16
(32)【優先日】2018-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520457203
【氏名又は名称】オーツー・パートナーズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】ファルケン,ロバート
【審査官】芦原 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-201301(JP,A)
【文献】特表2012-504166(JP,A)
【文献】特開2012-229416(JP,A)
【文献】特開2003-170432(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0116504(KR,A)
【文献】特開2007-245594(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 44/00-44/60,67/20
B29C 45/00-45/24,45/46-45/63,45/70-45/72,45/74-45/84
C08J 9/00-9/42
A43B
A43C
A43D
B29D 35/00-35/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生分解性で産業的に堆肥化可能な軟質発泡体成形製品を製造する方法であって、
発泡のために熱可塑性バイオポリマー混合マスタバッチを成形装置のバレルに導入する
ステップであって、前記熱可塑性バイオポリマー混合マスタバッチが、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(L-乳酸)(PLLA)、ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)(PBAT)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、アセチルセルロース(CA)、または、熱可塑性デンプン(TPS)のうちの1つまたは複数を含む、ステップと、
超臨界流体を生じさせるための温度および圧力条件下で前記バレルに流体を導入するステップであり、前記超臨界流体が、前記熱可塑性バイオポリマー混合マスタバッチに接触すると、熱可塑性発泡溶融物を生じさせる、流体を導入するステップと、
前記熱可塑性発泡溶融物を好適な金型形状の空洞に射出するステップと、
前記空洞にガス逆圧を印加するステップと、
前記空洞を冷却して、架橋されていない成形製品である生分解性で産業的に堆肥化可能な軟質発泡体成形製品を作製するステップとを含む、方法。
【請求項2】
前記熱可塑性バイオポリマーマスタバッチの1つまたは複数の前記導入が、スプルーブッシングを介して行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記熱可塑性バイオポリマー混合マスタバッチが、二軸スクリュー押出機を介して作製される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記熱可塑性バイオポリマー混合マスタバッチが
、ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)(PBAT
)を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項5】
前記流体が、計測ユニットを介して前記バレルに導入される、請求項
1に記載の方法。
【請求項6】
前記超臨界流体が、窒素および二酸化炭素のうちの1つまたは複数を含む、請求項
1に記載の方法。
【請求項7】
前記超臨界流体が、圧力が約150×10
5パスカル(150バール)~約300×10
5パスカル(300バール)の範囲であり、温度が約150℃~約350℃の範囲である、圧力および温度で導入される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記温度が、動的成形温度制御を介して制御される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ガス逆圧が、約5×10
5パスカル(5バール)~約50×10
5パスカル(50バール)の範囲であり、1秒~25秒の時間の長さにわたって印加される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記成形製品が、ソール、ミッドソール、およびインソールのうちの1つまたは複数を含むシューズ構成要素である、請求項
1に記載の方法。
【請求項11】
架橋されていない成形製品である生分解性で産業的に堆肥化可能な軟質発泡体成形製品を作製する射出成形装置であって、
複数の熱可塑性バイオポリマーが入れられ、当該複数の熱可塑性バイオポリマーを前記成形装置に導入するように構成されたホッパーであり、前記熱可塑性バイオポリマーが、混合されるマスタバッチを形成
し、前記熱可塑性バイオポリマーが、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(L-乳酸)(PLLA)、ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)(PBAT)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、アセチルセルロース(CA)、または、熱可塑性デンプン(TPS)のうちの1つまたは複数を含む、ホッパーと、
窒素および二酸化炭素のうちの1つまたは複数を含む流体を受け取り、導入時に超臨界流体を生じさせるための条件下で、前記受け取った流体を前記成形装置に導入するように構成された計測ユニットと、
バイオポリマー前記超臨界流体が第1の空洞内で前記混合熱可塑性バイオポリマーマスタバッチに接触すると、熱可塑性発泡溶融物が生じるように、前記成形装置に導入されたとき、前記混合熱可塑性バイオポリマーマスタバッチおよび前記流体を受け取るように構成された前記第1の空洞を有するバレルと、
前記バレルの前記第1の空洞と流体連通している第2の空洞を有する金型であり、前記第2の空洞が、前記発泡溶融物を受け取り、前記溶融物が冷却されると、前記軟質発泡体成形製品を作製するように構成される、金型と、
前記第2の空洞へガス逆圧を送達して前記発泡溶融物の膨張を制御するように構成されたガス逆圧送達ユニットと、
を備える射出成形装置。
【請求項12】
前記第1の空洞内で前記発泡溶融物を圧縮し、前記圧縮された発泡溶融物を前記金型の前記第2の空洞内へ運搬するように構成された往復スクリューをさらに備える、請求項11に記載の射出成形装置。
【請求項13】
前記バレルの前記第1の空洞と前記金型の前記第2の空洞との間に導管をさらに備え、前記導管がノズルを含み、前記ノズルが、前記バレルと前記金型との間に封止を形成するために、スプルーブッシングをさらに含む、請求項12に記載の射出成形装置。
【請求項14】
前記熱可塑性バイオポリマーが
、ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)(PBAT
)を含む、請求項
11に記載の射出成形装置。
【請求項15】
前記金型が、ソール、ミッドソール、およびインソールのうちの1つまたは複数を含むシューズ構成要素の成形製品を作製するための形状を有する、請求項
11に記載の射出成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2018年5月21日出願の「BIODEGRADABLE AND INDUSTRIALLY COMPOSTABLE INJECTION MOULDED MICROCELLULAR FLEXIBLE FOAMS, AND A METHOD OF MANUFACTURING THE SAME」という名称の米国特許仮出願第62/674,544号の優先権および利益を主張するものであり、これらの開示はあらゆる目的で全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本発明は、たとえばフットウェア構成要素、座席用構成要素、防具構成要素、およびウォータースポーツ用装備品で使用するために、生分解性で産業的に堆肥化可能な生物由来の熱可塑性樹脂から様々な軟質発泡組成物を射出成形微細発泡するプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]堆肥化による分解は、工業製品を生産するために使用される資源を再生するために重要なプロセスである。しかし、それらの工業製品が発泡体を含むとき、分解が問題となる。特に、従来知られている軟質発泡体の製造方法にはいくつかの欠点がある。たとえば、そのような欠点には、再生不能なポリマー、化学発泡剤、および化学添加剤の選択および使用が含まれ、これらの材料は、発泡製造業界およびそれに固有の処理手順で利用されるときに典型的に生分解されず、一般に環境に悪いと考えられている。このように生分解がないということは、多くの従来の軟質発泡材料およびそれらが含まれる製品が、最終的に数十年から数世紀にわたってどこかでごみ埋立地に埋められることを意味する。
【0004】
[0004]今日世界中でごみ埋立地の過剰使用が環境と経済の両方に直接的な悪影響を与えているため、これもまた問題となる。たとえば、ごみ埋立地は、米国で第3位のメタン排出源となっている。さらに、従来の軟質発泡体で使用される上述した生分解性のないポリマーおよび化学物質は、特に再生不能な資源に由来する。これらの材料は、生物由来原料の場合のように自然に再生可能ではなく、したがって、それらの材料は多くの場合、持続不能に取得、使用、次いで廃棄されるため、まさにその生成自体が環境にとって純損失である。さらに、従来知られている軟質発泡体製造方法で使用するために再生可能なポリマーが選択された場合でも、それらの方法による化学発泡剤および架橋結合は、生分解または堆肥化しない添加物で再生可能なポリマーを汚染する可能性が高いはずである。したがって、これはゼロ和の利得となる。さらに、バイオポリマーの架橋結合はまた、前駆体成分を分離することができず、それによってより多くの廃棄物が生成され、より多くの材料がごみ埋立地へ送られるため、生分解または堆肥化のためのあらゆる好適な寿命終了の解決策を妨害する可能性が高いはずである。
【0005】
[0005]したがって、堆肥化は再生可能かつ持続可能な将来を実現する上で重要なプロセスであるが、製造業界におけるその統合は非常に限定的である。しかし、製造材料を堆肥化可能にすることができた場合、たとえば環境にとって非常に有用なはずである。たとえば、軟質発泡材料の堆肥化および生分解は、廃棄物処理の機会をもたらし、これは環境および経済にとって純利益となる。たとえば、これらの材料を堆肥化することによって、ごみ埋立地および大量燃焼焼却炉へ送られる廃棄物の全体的な量を低減させることが可能になるはずである。
【0006】
[0006]廃棄物を低減させることに加えて、堆肥化プロセスはまた、食物の栽培または庭の肥沃化のために不毛な土壌を改良するのに使用することができる栄養分が豊富な使用可能製品をもたらすはずである。したがって、軟質発泡体を堆肥化および生分解させるという本質的であるが新しい考え方が、いわゆる循環型経済の原理を守りながら、価値連鎖全体に大きな改革をもたらすことができる。産業的堆肥化および家庭内堆肥化という2つの典型的な堆肥化の形態がある。これらの堆肥化方法にはどちらも、利益および欠点がある。
【0007】
[0007]産業的堆肥化は、非常に大量の有機廃棄物を取り扱うように設計された大規模な堆肥化の形態である。これは大規模な設備において、50℃~60℃の温度で行われる。家庭内堆肥化は、1つの家庭からの有機廃棄物を取り扱う堆肥化の形態である。特に、家庭内堆肥化は、家庭の裏庭の堆肥置き場で見られるような比較的低い温度での堆肥化を指し、したがって「家庭内」と呼ばれる。産業的堆肥化とは対照的に、家庭内堆肥化は、庭ごみ、生ごみ、木くず、厚紙、および紙などの有機物質または廃棄物のより低温の好気的分解を伴う。家庭内堆肥化で扱う体積は、産業的堆肥化よりかなり小さく、堆肥は通常、各家庭の庭で使用される。このプロセスは典型的に、小規模のコンポスタおよび堆積物で行われる。この方法では、温度は典型的に、好冷性(0~20℃)から中温性(20~45℃)の範囲内(後述)である。したがって、異なる技術が存在するが、全般的な処理は同じであり、活性堆肥化に続いて熟成を行う制御されたプロセスである。
【0008】
[0008]活性堆肥化段階は典型的に、少なくとも21日間続く。これらの条件下では、有機廃棄物に微生物が成長し、有機廃棄物を栄養分として使用してそれをCO2および水に分解する。堆肥化中、有機廃棄物はパイル状に集められ、その結果、堆肥化エネルギーの一部が熱として解放される。堆肥化パイルの温度が上昇すると、微生物個体群が変化し、周囲温度に適した微生物、たとえば中温菌は、活動を停止して死に絶え、高温で生きるのに適した微生物、たとえば好熱菌に入れ替わる。衛生上の目的で、家庭内堆肥化の場合、病原性微生物を消滅させるために、温度は少なくとも1週間にわたって60℃超で維持されるべきである。対照的に、産業的堆肥化の熟成段階では、分解速度を一貫したペースまで遅くし、堆肥は40℃を下回るより低い中温性範囲の温度で熟成される。
【0009】
[0009]産業的堆肥化に伴う主な問題は、投入される原料が効果的に処理されるように適当に配置されるべきであることである。すなわち、適切な回収、分類、および産業的堆肥化設備への輸送が必要とされるという点で、物流の課題が障害となる。米国の堆肥化および資源回収転換率を組み合わせると約35%であり、これは、社会基盤の大部分で廃棄物転換に関する「ループを閉じる」には長い道のりがあることを示す。この欠点に打ち勝つ1つの方法は、最終使用者をさらに教育し、より大きい回収方式へ送り込む回収方式の地域ネットワークを確立することである。目標は、産業的堆肥化が標準化され、日常生活で存在し続けるのに十分な利便性および利用しやすさを創り出すことである。
【0010】
[0010]同様に、家庭内堆肥化で広く認められる欠点は、それに伴う労力の量である。必要とされる堆肥原材料はすべて、堆肥パイルへ運搬および/または伝達される必要がある。堆肥置き場がエネルギー、それによって熱の生成を開始するのに十分に大きければ、分解をより高速かつ徹底的にする必要があり、これは骨の折れる作業となる可能性がある。有機物質が十分に分解されたとき、家庭内堆肥は、土壌の改良に使用するために運び出されなければならない。家庭内堆肥化の別の欠点は、平均的な人が家庭環境で生成することができる使用可能な堆肥の量が限られていることである。生成される堆肥の量が限られることで、場合により使用が制限され、したがって家庭内堆肥化の労力に捧げるための平均的な人のやる気は低くなる可能性がある。
【0011】
[0011]これらの欠点のため、従来、製造業界は、生分解または堆肥化する可能性のある原料および前駆体成分の使用を避けてきた。加えて、これは従来、これらの材料の必要な技術的性能特性は、従来の生分解性のない堆肥不能な種々の材料のものより劣ることが多いために避けられてきた。たとえば、すべてではないがいくつかの堆肥化可能な前駆体成分の制約要因は、製品の使用可能な寿命の前にこれらの成分が分解する傾向である。この一例は、紫外線に感受性のある製品であり、それにより生分解性のある堆肥化可能な前駆体は、日光への露出が繰り返されることで攻撃されて弱くなり、最終的に、最終使用者が製品を処分してよいと考えるかなり前に製品の障害が生じる可能性がある。
【0012】
[0012]加えて、現代の製造に関する現在の問題は、排出および廃棄物に関して純中立であること、製造プロセスで使用される材料に関して持続可能であること、ならびに製品およびその材料の寿命終了に関して再生可能であることである。それによって、消費財製品の製造で使用するのに適当な材料を選ぶ際、最終製品の堆肥化可能性に加えて、CO2排出などに関する純中立性が重要になってきた。
【0013】
[0013]したがって、現在存在するより伝統的な製造プロセスと比較すると、本明細書に開示する本製造プロセスにとって、製造者が環境に配慮した最終製品を生産することが重要な推進力であり、それによって、上記最終製品の製造で使用される材料を慎重に考慮し、製品の意図される使用可能寿命に対してその均衡をとることが有用になる。生産中にこれらの問題に対処するべきであるが対処されていない困難な製品の一例は、家具などのための緩衝材の生産などにおける発泡体を利用する標準的な製品、および/またはランニングシューズの製造などのための発泡製品である。
【0014】
[0014]たとえば、ランニングシューズは、高度な技術を要する製品であり、相当量の時間にわたって、使用頻度に応じておそらく1~3年にわたって、衝撃、摩耗、およびあらゆる環境的露出などの繰返しの酷使に露出される。家具もしくはソール、ミッドソール向けの緩衝材、および/またはランニングシューズのインソール向けの緩衝材を製造する際に使用するための持続可能な材料について考慮するとき、上記の要件を考慮に入れることが重要である。障害を生じる前に繰返しの酷使に対処することができない材料は、満足のいくランニングシューズを作製することができないはずである。加えて、意図される寿命終了前の正常な製品使用中に障害点まで故障または脆弱化する可能性のあるあらゆる材料は、許容できないはずである。
【0015】
[0015]この問題を解決するためには、技術的性能特性と堆肥化可能性などの持続可能性の面との間で適正な均衡をとり、管理された寿命終了の解決策を有し、有害な排出に関して純中立(または負)である特殊な材料を探し求めなければならない。特に、家具用緩衝材は大きく、ランニングシューズは要求の厳しい製品であるため、家庭内堆肥化材料は、分解温度がより低いことで、家具またはランニングシューズがその意図される寿命終了よりかなり前に壊れやすくなるため、これらの作製で使用するのに好適な解決策にはならないはずである。この例では、産業的堆肥化材料は、より高い温度の難題に対処し、産業的に堆肥不能で生分解性のない材料にほぼ等しいまたは等しいさらなる技術的性能特性を提供することができるため、はるかに良好な選択肢である。本質的に、産業的に堆肥化可能な材料で製造された家具またはランニングシューズは、製品の使用可能寿命にわたって非常によく機能するはずであり、製品の使用可能寿命が終了して初めて、材料は、「閉ループ」の廃棄物転換のために産業的堆肥環境へ送られるという選択肢を有するはずである。
【0016】
[0016]したがって、可能な場合、製造プロセスに付随することの多い破壊的な足跡を低減させるために、材料および製造プロセスは、製品の寿命の終了後に即座の堆肥化を可能にするように構成されるべきである。しかし、上述したように、生分解性のある堆肥化可能な市販の前駆体が非常に限られているため、これは困難である。存在するものは、性能および長期的な有用性を組み合わせた難題のすべてを解決しながら、使用可能寿命が終了すると制御された環境で容易に堆肥化および生分解するように必ずしも設計されておらず、それが可能でない。上述した難題のうちのいくつかを解決するそれらの前駆体は、残りの難題を解決することができず、このため消費者に狼狽を引き起こし、それらの前駆体が含まれる製品の評価を悪くする可能性が高い。これらの顕著な欠点にもかかわらず、産業設備または家庭で堆肥化することができる材料は、理論的に、再生可能で持続可能な環境に優しい製造において有用な出発製品になるはずである。
【0017】
[0017]本製造プロセスの別の態様は、軟質発泡体の作製に関する。軟質発泡体は、ガスのポケットを液体または固体に閉じ込めることによって形成された一種の物体であり、それによってその結果得られる発泡体は、一部にはその展延性のため、軟質であると考えられる。軟質発泡体は典型的に、フットウェア、家具、寝具、および他のスポーツ用品などの緩衝材の用途で使用される。軟質発泡体は典型的に、独立気泡軟質熱可塑性ポリマー発泡体および連続気泡軟質ポリウレタン発泡体という2つのカテゴリに分けられる。これらの発泡体タイプは各々、非常に異なる製造方法を有する。
【0018】
[0018]独立気泡軟質熱可塑性ポリマー発泡体は、一般に乾式プロセスで作製され、このプロセスでは、好適な人工ポリマーが選択され、様々な化学添加剤、架橋剤、および化学発泡剤と混合されて「ドウ」をもたらし、次いでドウが練られて平坦なシート状に押し出される。次いでこれらのシートは互いに積み重ねられ、制御された圧力下で加熱されたプレス機に入れられる。材料および化学発泡剤のこの混合物は、加熱されたプレス機の空洞内で反応して膨張する。その結果、独立気泡軟質発泡体の「バン」または「ブロック」が得られ、次いで厚さが薄く切られる。対照的に、連続気泡軟質ポリウレタン発泡体は、一般に液体注入プロセスまたは液体成形プロセスで作製され、このプロセスでは、人工ポリオール化学物質、イソシアネート化学物質、および他の化学添加剤がともに反応しながら注入または射出されて「バン」または「ブロック」などの成形形状になる。その結果、連続気泡軟質発泡体が得られ、次いで厚さが薄く切られる。
【0019】
[0019]上記に一貫して、今日の市場で現在利用可能な軟質発泡体に伴う問題のうちの1つは、その製造において再生不能な材料および有害な化学物質をほぼ排他的に使用することである。さらに、一部には従来の軟質発泡体を製造する上述した方法で生じる化学架橋のため、それらの軟質発泡体の物理的構造を堆肥化、生分解、またはリサイクルすることはできない。これは、大部分において、その設計の化学組成のため、ならびに元の前駆体成分に再び分離することができないためである。すなわち、従来の軟質発泡体寿命が終了するとさらなる用途はなく、いかなる知られている商業的に実現可能な方法でも新しい材料にうまく再処理することができない。
【0020】
[0020]したがって、上記の点から、再生可能、持続可能、および/または環境的に責任のある最終製品を作製するために利用することができる軟質発泡体および製造プロセスが本明細書に提示され、これらの材料および最終製品はどちらも、故障なく持続的な使用が可能であるが、寿命終了後には急速に分解および堆肥化する。1つまたは複数の実施形態の詳細について、以下の添付の説明において、提示される図およびその特徴に関して記載する。他の特徴および利点は、説明、図、および特許請求の範囲の両者から明らかである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
[0021]本明細書は、生分解性で産業的に堆肥化可能な熱可塑性樹脂から様々な軟質発泡組成物を修正射出成形微細発泡するプロセスを提示する。現在、世界中で知られているほぼすべての軟質発泡体は、再生不能な原料に由来しており、すべてではないがほとんどは、生分解または産業的に堆肥化しない。本発明の目的は、最も少ない量の環境害を引き起こしながら、従来の生分解性のない石油化学軟質発泡体に等しいまたはそれ以上の顕著な技術的性能特性を誇る軟質発泡体を作製することである。バイオポリマーを作製するために工場由来原料を選択することによって、本発明は、温室効果ガスを大気から隔離することに寄与し、再生不能な石油への依存度を大幅に低減させ、毎年ごみ埋立地に埋められる生分解性のない廃棄物を大幅に低減させる。
【課題を解決するための手段】
【0022】
[0022]様々な実施形態では、本発明によって作製される軟質発泡体は、家庭内堆肥化ではなく産業的堆肥化向けに構成することができるが、いくつかの事例では、市場に応じて家庭内堆肥化を使用することもできることが考えられる。様々な事例では、産業的堆肥化は、軟質発泡体がその中に機能化されたその結果得られる製品の使用可能寿命を継続させ、最終商品内で使用途中に故障または崩壊しないことを確実にするために有用である。たとえば、本発明の軟質発泡体から作られた靴を購入したが、靴の使用可能寿命の終了前の正常な使用中に発泡体が分解する結果となることは好ましくないはずである。
【0023】
[0023]したがって、一態様では、連続気泡であるか、または独立気泡であるかにかかわらず、生分解性で産業的に堆肥化可能な軟質発泡体を製造するプロセスを本明細書に提供することができ、このプロセスは、発泡のために熱可塑性バイオポリマー混合マスタバッチを作製するステップと、不活性窒素ガスによって熱可塑性バイオポリマー混合物を好適な金型形状に射出成形するステップと、動的成形温度制御を使用して最適の気泡構造を確保するステップと、望ましい軟質発泡体が形成されるようにバイオポリマー溶融物、圧力、および時間を制御するステップと、射出成形プロセスでガス逆圧を利用して、発泡部品の外側に最少量の表面欠陥および皆無かそれに近い可塑性の外殻を有する最適の発泡構造を確保するステップとのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0024】
[0024]本開示の製造プロセスは、慎重に選択された生物由来の再生可能な原料と合わせて、環境に優しい閉ループプロセスへの門戸を開く。この閉ループプロセスは、適切な材料の選択から始まる。たとえば、第3者によって堆肥化可能であると認定された不活性の急速に再生可能なポリマー原料の選択により、循環型経済の原理の順守が追求されることが確実になる。これらの目的で、選択された急速に再生可能なポリマー原料は、再生可能な植物または鉱物質の形態でその寿命を開始する。好適なポリマーに変換された後、これらの環境的に責任のある前駆体を、他の環境的に責任のある前駆体および成分と組み合わせて、開示する製造プロセスで利用することができるカスタムのバイオポリマー化合物に機能化することができる。
【0025】
[0025]特に、好適なバイオポリマー化合物が製作された後、これは、化学物質を使用しない本開示の製造方法で処理される。その結果得られる軟質発泡体は架橋されておらず、多くの事例では、たとえば全体的に生分解性で堆肥化可能である。したがって、使用可能寿命が終了すると、これらの作製された発泡体を小片に慎重に粉砕し、組成物のたとえば100%を使用可能なバイオマスに再び分解するための認可された設備で産業的に堆肥化することができる。次いで、この使用可能なバイオマスを使用して、より多くの不活性の急速に再生可能なポリマー原材料を成長させることができ、このプロセスは、無限ループで継続する。したがって、本明細書は、生分解性で産業的に堆肥化可能な微細軟質発泡体およびその製造方法について記載する。発泡体は、独立気泡発泡体とすることができるが、場合により連続気泡発泡体として形成することもできる。
【0026】
[0026]様々な実装形態では、生分解性で産業的に堆肥化可能な軟質発泡体は、従来の石油化学エチレン酢酸ビニル(EVA)発泡体などと同一の特性および特徴を有しながら、高い割合のバイオマス炭素含有量を含むようにすることができる。たとえば、軟質EVA発泡体は、今日業界で使用されているどこにでもある材料である。EVA発泡体をそれほど普及させているものは、所与の製品に対する概して許容できる技術的性能特性を維持しながら、そのコストが比較的低く、容易に処理できることである。使用されているEVA発泡体には欠点も多い。材料は一般に再生不能な原料に由来し、軟質発泡体を作製するために化学発泡剤と化学的に架橋されており、これは容易に生分解可能、堆肥化可能、またはリサイクル可能でない。
【0027】
[0027]本明細書に提示する進歩をそれほど有用にした1つの要因は、生成された発泡体およびそれによって作製された製品がEVAと同様に機能的に働き、それによって技術的性能特性が、化学添加剤および架橋結合を含まないEVAのものに類似していることである。その結果、商業的に許容できる軟質発泡体は、どこにでもあるEVAに対する簡単な代替品となることができる一方で、大幅に低減された環境への影響および環境的に責任のある管理された寿命終了の解決策を提供する。
【0028】
[0028]したがって、一態様では、生分解性で産業的に堆肥化可能な軟質発泡体成形製品を製造する方法が提供される。様々な事例では、この方法は、以下のステップのうちの1つまたは複数を含むことができる。たとえば、この方法は、発泡のために熱可塑性バイオポリマー混合マスタバッチを成形装置のバレルに導入するステップを含むことができる。この方法は、超臨界流体を生じさせるための温度および圧力条件下でバレルに流体を導入するステップをさらに含むことができ、この超臨界流体は、熱可塑性バイオポリマー混合マスタバッチに接触すると、熱可塑性発泡溶融物を生じさせる。さらに、この方法は、熱可塑性発泡溶融物を好適な金型形状の空洞に射出するステップと、空洞にガス逆圧を印加するステップとを含むことができる。最後に、空洞を冷却して、成形製品を作製することができる。
【0029】
[0029]様々な事例では、熱可塑性バイオポリマーマスタバッチの1つまたは複数の導入は、スプルーブッシングを介して行われ、熱可塑性バイオポリマー混合マスタバッチは、二軸スクリュー押出機を介して作製される。一実施形態では、熱可塑性バイオポリマー混合マスタバッチは、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、アセチルセルロース(CA)、デンプン、および石油由来熱可塑性物質のうちの1つまたは複数を含む。様々な事例では、流体は、計測ユニットを介してバレルに導入される。特定の事例では、超臨界流体は、窒素および二酸化炭素のうちの1つまたは複数を含む。超臨界流体は、圧力が約150×105パスカル(150バール)~約300×105パスカル(300バール)の範囲であり、温度が約150℃~約350℃の範囲である、圧力および温度で導入することができる。同様に、ガス逆圧は、約5×105パスカル(5バール)~約50×105パスカル(50バール)の範囲であり、1秒~25秒の時間の長さにわたって印加される。特定の事例では、温度は、動的成形温度制御を介して制御することができる。
【0030】
[0030]加えて、別の態様では、生分解性で産業的に堆肥化可能な軟質発泡体成形製品を作製する射出成形装置が提供される。様々な事例では、射出成形装置は、以下の1つまたは複数を含むことができる。ホッパーを含むことができ、ホッパーは、複数の熱可塑性バイオポリマーを受け取って成形装置に導入するように構成され、熱可塑性バイオポリマーは、混合されるマスタバッチを形成する。計測ユニットを含むことができ、計測ユニットは、流体を受け取り、導入時に超臨界流体を生じさせるための条件下で、受け取った流体を成形装置に導入するように構成される。成形装置は、混合熱可塑性バイオポリマーマスタバッチおよび流体を受け取るように構成された第1の空洞を有するバレルを含むことができ、したがってこれらがバレルに導入されたとき、超臨界流体がバレルの空洞内で混合熱可塑性バイオポリマーマスタバッチに接触すると、熱可塑性発泡溶融物が生じる。ガス逆圧送達ユニットも含むことができ、GCPは、第1の空洞へガス逆圧を送達して発泡溶融物の膨張を制御するように構成される。また、バレルの空洞と流体連通している空洞を有する金型も含むことができ、金型の空洞は、発泡溶融物を受け取り、溶融物が冷却されると軟質発泡体成形製品を作製するように構成される。
【0031】
[0031]様々な実施形態では、射出成形装置は、バレルの空洞内で発泡溶融物を圧縮し、圧縮された発泡溶融物を金型の空洞内へ運搬するように構成された往復スクリューを含むことができる。したがって、バレルの空洞と金型の空洞との間に導管が存在することができ、導管は、バレルと金型との間に封止を形成するために、スプルーブッシングを有するノズルを含む。
【0032】
[0032]したがって、射出成形装置は、熱可塑性材料が小さいペレットの形態で成形機へ供給されるホッパーを含むことができる。射出成形機上のホッパーは、これらのペレットを保持する。ペレットは、ホッパーからホッパー口を通ってバレルおよびスクリューアセンブリへ重力送りすることができる。バレルも含むことができ、射出成形機のバレルは、往復可塑化スクリューを支持しており、電気ヒーターバンドによって加熱することができる。往復スクリューも存在することができ、往復スクリューは、溶融物を圧縮して材料を運搬するために使用される。往復スクリューは、送り区間、圧縮(または遷移)区間、および計測区間という3つの区間を含むことができる。ノズルも存在することができ、ノズルは、バレルを金型のスプルーブッシングに連結し、バレルと金型との間に封止を形成する。ノズルの温度は、材料の溶融温度またはその少し下に設定することができる。バレルがその完全に前向きの処理位置にあるとき、ノズルの半径は、位置決めリングによってスプルーブッシングの凹面の半径内に入れ子にして封止することができる。バレルのパージ中、バレルは、スプルーから後退して出ることができ、したがってパージ化合物は、ノズルから自由に落下することができる。
【0033】
[0033]加えて、成形および油圧システムも提供することができる。成形システムは、タイバー、静止盤および可動盤、ならびに成形プレート(ベース)を含むことができ、成形プレートは、空洞、スプルーランナーシステム、突出しピン、加熱チャネルおよび冷却チャネル、ならびに温度センサおよび圧力センサを収容する。金型は、本質的に熱交換器であり、溶融した熱可塑性物質が、空洞によって画定された所望の形状および寸法詳細に凝固する。射出成形機上には、金型を開放および閉鎖し、型締めトン数を構築および保持し、往復スクリューを回し、往復スクリューを駆動し、突出しピンおよび可動金型コアに通電するための電力を提供するための油圧システムも存在することができる。この電力を提供するために複数の油圧構成要素が必要とされ、それにはポンプ、バルブ、油圧モータ、油圧付属品、油圧管材、および油圧リザーバが含まれる。
【0034】
[0034]制御システムも提供することができる。制御システムは、機械動作に一貫性および反復性を提供するように構成することができる。制御システムは、温度、圧力、SCF投与量、射出速度、スクリューの速度および位置、ならびに油圧位置を含む処理パラメータを監視および制御する。プロセス制御装置は、最終部品の品質およびプロセスの経済面に直接影響を与えることができる。プロセス制御システムは、簡単なリレーのオン/オフ制御から極めて高度なマイクロプロセッサに基づく閉ループ制御にまで及ぶことができる。
【0035】
[0035]型締めシステムも提供することができる。型締めシステムは、金型を開放および閉鎖し、金型の構成部品を支持および保持し、金型が開くのを防止するのに十分な力を生成するように構成することができる。型締め力は、機械(トグル)ロック、油圧ロック、またはこれら2つの基本的なタイプの組合せによって生成することができる。送達システムも提供することができる。機械ノズルから部品空洞への溶融プラスチックのための通路を提供する送達システムは、概して、スプルー、コールドスラグウエル、主ランナー、支流ランナー、ゲートなどを含む。
【0036】
[0036]したがって、さらなる態様では、生分解性で産業的に堆肥化可能な軟質発泡体成形製品を作製するシステムが提供される。システムは、上述した生分解性で産業的に堆肥化可能な軟質発泡体成形製品を作製する射出成形装置を含むことができる。システムは、流体を受け取り、導入時に超臨界流体を生じさせるための条件下で、受け取った流体をバレルの第1の空洞に導入するように構成された超臨界ガス投与システムをさらに含むことができ、超臨界流体は、超臨界流体が第1の空洞内で混合熱可塑性バイオポリマーマスタバッチに接触すると、発泡溶融物を生じさせる。システムは、第1および第2の空洞のうちの1つまたは複数内で温度を制御するように構成された動的温度制御システムをさらに含むことができる。第1の空洞へガス逆圧を送達して発泡溶融物の膨張を制御するように構成されたガス逆圧送達ユニットも含むことができる。加えて、1つまたは複数のマイクロプロセッサを有する制御ユニットを含むことができ、制御ユニットは、1つまたは複数のシステムパラメータに従って、射出成形装置、超臨界ガス投与システム、動的温度制御システム、およびガス逆圧送達ユニットのうちの1つまたは複数を制御するように構成される。
【0037】
[0037]特に、システム構成要素は、部品をうまく成形するようにともに機能する上述した1群の構成要素を含む射出成形機システムを含むことができる。それらの部品は、ホッパー、バレル、往復スクリュー、ノズル、成形システム、油圧システム、制御システム、型締めシステム、および送達システムである。SCFガス投与システムを含むことができ、SCFガス投与システムは、窒素などの不活性ガスのタンクと、空気圧縮器と、SCF計測および制御デバイスと、SCF射出機と、特別設計の往復スクリューおよび前後両方の逆止め弁とを含む。動的温度制御システムも提供することができ、動的温度制御システムは、加熱ユニット、冷却ユニット、連続弁、およびコンピュータ制御装置を含む。加えて、金型の本体内には加熱要素および冷却チャネルが位置し、これは動的温度制御システムによって供給され、これらを通って加熱媒体または冷却媒体が循環する。これらの機能は、金型表面の温度の調節である。また、ガス逆圧システムを提供することができ、ガス逆圧システムは、ガス、たとえば窒素などの不活性ガスのタンクと、空気圧縮器と、ガスポンプと、ガスリリーフ弁と、ガス圧力センサと、コンピュータ制御装置とを含む。
【0038】
[0038]システムおよび/またはそのあらゆるサブシステムは、温度、圧力、加速度計、ジャイロスコープ、および方向センサなどを含む1つまたは複数のセンサを含むことができ、1つまたは複数のセンサは、射出成形装置の1つまたは複数の空洞内などの射出成形デバイスの他の構成要素のうちの1つまたは複数と通信して位置決めされるように構成される。様々な実施形態では、これらのセンサは、スマートセンサとすることができ、無線通信を実行するためにネットワーク接続などを有する通信モジュールを含むことができる。したがって、システムおよび/またはその様々な部品はいずれも、制御モジュール、超臨界ガス投与システム、動的制御温度システム、およびガス逆圧制御ユニットのうちの1つまたは複数に結合することができる通信モジュールを含むことができ、通信モジュールは、WIFI、Bluetooth、Low Energy Blue Tooth、ならびに3G、4G、および5Gセルラー通信を含む1つまたは複数の無線通信プロトコルを実行するように構成される。
【0039】
[0039]1つまたは複数の実施形態の詳細について、以下の添付の説明に記載する。他の特徴および利点は、説明および特許請求の範囲から明らかになる。
[0040]上記その他の態様について、以下の図面を参照して次に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】[0041]本開示の一実装形態による発泡フットウェア構成要素、すなわちシューズミッドソールを示す図である。
【
図2】[0042]フットウェアに好適な生分解性で産業的に堆肥化可能な軟質発泡体を作製する射出成形微細軟質発泡システムの概略図である。
【
図3】[0043]生分解性で産業的に堆肥化可能な射出成形の微細軟質発泡体を製造する方法の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
[0044]様々な図面における同様の参照記号は、同様の要素を指す。
[0045]本明細書は、生分解性で産業的に堆肥化可能な微細軟質発泡体およびその製造方法について記載する。発泡体は、好ましくは独立気泡発泡体であるが、場合により連続気泡発泡体として形成することもできる。様々な実装形態では、生分解性で産業的に堆肥化可能な軟質発泡体は、従来の石油化学エチレン酢酸ビニル(EVA)発泡体などと同一の特性および特徴を有しながら、高い割合のバイオマス炭素含有量を含むようにすることができる。
【0042】
[0046]本開示は、生分解性で産業的に堆肥化可能な微細軟質発泡体を作製するプロセスおよびその製造方法に関する。上記で論じたように、発泡は、ガスのポケットを液体または固体に閉じ込めることを伴うプロセスを指す。概して、業界では、軽量のポリマー材料を作製するために発泡を使用している。発泡材料は、とりわけ柔軟な緩衝、快適さ、および衝撃保護などの多数の付加価値を与えるため、これは多くのタイプの製品にとって有利な解決策である。
【0043】
[0047]様々な事例では、発泡材料は微細発泡体であることが有用である。微細発泡体は、製造プラスチックの形態であり、非常に多くの、たとえば数十億の細かい気泡を含むように特に製作されており、これらの気泡は、約50ミクロン未満のサイズとすることができる。このタイプの発泡体は、様々なタイプのポリマーに高い圧力下でガスを溶解させて気泡の均一の配置を得ることによって形成され、これは通常、核形成と呼ばれる。微細発泡体の密度を制御および調整するための主な推進力は、微細発泡体を生じさせるために使用されるガスである。使用されるガスに応じて、発泡体の密度は、前処理済みバイオプラスチックの約5%~約99%の範囲とすることができる。
【0044】
[0048]したがって、様々な事例では、発泡体が独立気泡発泡体であることが有用である。独立気泡発泡体は概して、その壁によって完全に密閉されており、したがって他の気泡と相互接続されない気泡として知られている。このタイプの材料は、液体および気体の流れが気泡を通過することを実際上低減させるために有用である。本明細書に開示する方法によって作製されるような独立気泡発泡体は、緩衝材、フットウェア、船舶、HVAC、および自動車用途などの液体抵抗が重要な業界にとって有用である。
【0045】
[0049]しかし、様々な事例では、発泡体が連続気泡発泡体であることが有用となることができる。連続気泡発泡体は通常、その気泡の2分の1超が開いており、他の気泡と相互接続されているとき、「連続気泡」として分類される。本明細書に開示する方法で作製して利用することができるこのタイプの発泡体は、独立気泡発泡体よりばねのように機能し、圧縮後にその元の状態に容易に戻るという点で有用となることができる。「ばね性」は、無制限の空気の動きおよび化学構造によって引き起こされる。
【0046】
[0050]特定の事例では、記載する方法によって生成された発泡体およびそこから作製された製品は、軟質エチレン酢酸ビニル(EVA)発泡体と同様に機能する。特に、軟質EVA発泡体は、今日製造業界で使用されているどこにでもある材料である。EVA発泡体をそれほど普及させているものは、所与の製品に対する概して許容できる技術的性能特性を維持しながら、そのコストが比較的低く、容易に処理できることである。したがって、本明細書に開示するように作製された発泡体は、許容できるだけでなく多くの場合は優れた技術的性能製品を維持しながら、同時に環境に優しいものとして、比較的低いコストで、容易な製造によって作製することができる。
【0047】
[0051]より詳細には、上述したように、使用されているEVA発泡体には欠点も多い。材料は再生不能な原料に由来し、化学発泡剤と化学的に架橋されており、これは容易に生分解可能、堆肥化可能、またはリサイクル可能でない。しかし、軟質EVA発泡体とは異なり、本開示の生分解性で産業的に堆肥化可能な軟質発泡体は化学物質または架橋剤を含んでおらず、適当な生物由来ポリマーが製造に使用されると、容易に生分解性で産業的に堆肥化可能である。
【0048】
[0052]たとえば、様々な実装形態では、従来の石油化学エチレン酢酸ビニル(EVA)発泡体などと類似の特性および特徴を有しながら、高い割合のバイオマス炭素含有量を含むようにすることができる生分解性で産業的に堆肥化可能な軟質発泡体が本明細書に提示される。特に、様々な実施形態では、生分解性で産業的に堆肥化可能な軟質発泡体を環境に優しく作る際に、生分解性で純中立の産業的に堆肥化可能な発泡体前駆体が使用される。これらの目標を実現するために、任意の数の好適な生物由来の熱可塑性原料を使用のために選択することができ、典型的には動物の飼料または人間の食物と競合しない急速に再生可能な原料から調達することができる。有利には、上述したように、慎重に選択された生物由来の熱可塑性発泡体前駆体は、従来使用されているEVAのものにほぼ均等または均等の技術的性能特性を有する。
【0049】
[0053]従来の再生不能EVAにほぼ均等または均等の技術的性能特性を有する本開示の生分解性で産業的に堆肥化可能な軟質発泡体を作る際に使用するのに好適なそのような熱可塑性原料の非限定的な例は、本明細書に後述するように、生物由来のPBATコポリエステルである。したがって、様々な事例では、本デバイス、システム、およびそれらの使用方法を利用して、生分解性で産業的に堆肥化可能な生物由来の熱可塑性樹脂から生成することができる生分解性で産業的に堆肥化可能な微細軟質発泡体を作製することができる。
【0050】
[0054]より詳細には、開示する方法によって有用な発泡体前駆体は、急速に再生可能な原料から作製された生物由来の熱可塑性樹脂または生物由来の熱可塑性化合物などの任意の好適なタイプの熱可塑性樹脂とすることができる。そのような熱可塑性樹脂は、形のできていない原料のままのポリマーであり、加熱されると溶融して液体になり、冷却されると硬化して固体になる。
【0051】
[0055]熱可塑性物質の生成は、簡単な作業ではない。最終製品を作るには、複雑な化学反応および機械的プロセスが必要とされる。その最も簡単な形態では、熱可塑性物質はポリマーから構成され、それらのポリマーは化合物から構成される。ポリマーを作り、次いで熱可塑性物質を作るために必要とされる化合物を作製するために、異なるタイプの分子を分解して分離しなければならない。典型的に、発泡体前駆体は、好適な射出成形機に顆粒状で供給することによって使用される。顆粒は射出成形機によって処理され、液化されて、事前に形成された金型空洞内へ投入される。投入完了後、成型部品が冷却されて、金型から固体状態で排出される。本実施形態で実施されるこのプロセスについては、本明細書に以下でより詳細に論じる。
【0052】
[0056]生物由来熱可塑性物質は、クラスごとに説明することができる。普及しているクラスのバイオベースの熱可塑性物質前駆体およびバイオマスがある。ポリ乳酸(PLA)およびポリヒドロキシアルカノエート(PHA)という2つのタイプのバイオポリエステルがある。PLAは、細菌の発酵によって作られるタイプの熱可塑性物質である。PLAは、実際には、多くの乳酸分子の長鎖である。ほんの数例を挙げると、サトウキビ、トウモロコシ、テンサイ、およびリグニン木材廃棄物など、PLAを作製するための多くの異なる生物由来の原料がある。PHAは概して、自然に発生する細菌および食物廃棄物によって作製される。ポリヒドロキシ酪酸(PHB)と呼ばれるPHAのサブクラスがあり、これも広く利用可能なPHAの一種である。
【0053】
[0057]いくつかの事例では、任意選択で、デンプンまたはセルロース充填材などをバイオポリエステル混合物の形態で含むことができ、これらを含むことで、混合物がより経済的になり、いくつかの事例では、これらの使用により、分解速度が向上する。追加のタイプの生物由来熱可塑性物質は、アセチルセルロース(CA)として知られている。CAは、工場の各部で見られるセルロースに由来する合成製品である。CAを作るために現在使用されている原料は、ほんの数例を挙げると、綿、木材、および農作物廃棄物である。さらに、デンプンもまた、別のタイプの熱可塑性材料である。典型的に、デンプンは、熱可塑性物質を作製するために、熱、水、および可塑剤によって処理される。強度を与えるために、デンプンは通常、他の材料から作られた充填材と組み合わせられる。デンプンを作製するために現在利用可能な原料は、トウモロコシ、小麦、ジャガイモ、およびキャッサバである。生分解性を有することができるいくつかの石油由来熱可塑性物質も知られている。一般的なタイプは、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリカプロラクトン(PCL)、およびポリブチレートアジペートテレフタレート(PBAT)、ならびにポリビニルアルコール(PVOH/PVA)である。上述した石油由来熱可塑性物質は、生物由来の変種で作製することができる。PBS、PCL、PBAT、およびPVOH/PVAを作製するための新しい生物由来原料が作製されており、技術的な進歩および発展のおかげでますます市販されるようになっている。これらの前駆体のうちの1つまたは複数は、本明細書に開示する方法によって生成および利用することができる。
【0054】
[0058]前駆体が生成された後、前駆体を発泡させることができ、これを使用して、本明細書に開示するように、射出成形プロセスなどを介して1つまたは複数の最終製品を作ることができる。たとえば、様々な事例では、生物由来の熱可塑性物質前駆体を発泡させ、射出成形などによって最終製品作製プロセスで利用することができる。直接射出膨張発泡体成形としても知られている従来の発泡体射出成形では、熱可塑性ポリマーが最初に溶融される。熱可塑性ポリマーが均一に溶融されたとき、ポリマー溶融物中に化学発泡剤が分散されて、射出化合物が発泡可能になる。
【0055】
[0059]次いで、この均質のポリマー化合物が金型内へ射出されて、発泡製品が作られる。典型的に、射出されたポリマー化合物は、加熱された金型空洞内の吸熱反応が化学発泡剤を活性化し、その結果として膨張した発泡体部品が得られて初めて、発泡体として分類される。したがって、金型空洞のサイズは、最終部品のサイズより小さくしなければならない。実際の部品の膨張は、熱可塑性ポリマー処方の範囲内で生じ、したがってその部品が金型から排出されたとき、必要とされる部品サイズに成長する。
【0056】
[0060]必要とされる部品サイズが実現された後、この部品はまた冷めるにつれて縮小または収縮し、これには多くの場合、正確な冷却部品サイズを得るために、2次成形動作が必要とされる。その結果、従来の射出成形発泡体の膨張収縮を管理するプロセスは、長く時間がかかり複雑であると考えることができる。本明細書に論じるように、そのような射出成形技術を利用して、前駆体および発泡体、ならびにそれによって作製された製品を作製することができる。しかし、特定の事例では、本明細書に開示するように、従来の射出成形機を修正して、家具用緩衝材、シューズ構成要素、スポーツ用品などの発泡製品を作製するために利用することができる環境に優しい発泡体を生成するために修正されたプロセスで利用することができる生分解性のある純中立の発泡体前駆体の使用をより良好に達成することができる。
【0057】
[0061]したがって、従来のプロセスは、発泡製品を作製するのに有用となることができるが、特定の事例では、特に堆肥化可能な微細軟質発泡体の作製に関して、いくつかの欠点を有する可能性がある。たとえば、様々な事例では、堆肥化可能な生物由来の熱可塑性樹脂を使用して堆肥化可能な軟質発泡体を作製するとき、典型的な射出成形プロセスは様々な異なる形で不十分になる可能性がある。たとえば、上述した従来の修正されていない発泡体射出成形プロセスは、生分解性のある堆肥化可能な軟質発泡体を作製するのに不十分で不適当になる可能性がある。この主な理由は、ポリマー化合物が製造中に架橋されるという従来の修正されていない発泡体射出成形の本質に由来する。
【0058】
[0062]上述したように、架橋は、ランダムに生じるいくつかのポリマー鎖の部分をともに保持する共有結合の形成として説明することができる。その結果、発泡体マトリックス内に相互連結された鎖のランダムな3次元網が生じる。この架橋された発泡体は、容易に架橋解除することができず、したがって、様々な前駆体成分を再び個々のタイプに容易に分離して生分解または堆肥化することはできない。その結果、本明細書に開示する利点は、製造の際に発泡装置およびその使用方法を変更することなく、容易に実現可能ではないはずである。したがって、射出成形プロセスで非架橋前駆体を利用するのに好適に発泡体を生成するための製造機械およびその使用プロセスが本明細書に提示される。
【0059】
[0063]したがって、一態様では、新しい射出成形機が本明細書に提示される。成形機械は、生物由来の熱可塑性物質前駆体を含む様々な軟質発泡組成物を利用するように構成することができ、この様々な軟質発泡組成物を、前駆体を新しい射出成形機に加えることを介して、堆肥化可能な微細軟質発泡体構造を作製するように発泡させることができ、次いでこの堆肥化可能な微細軟質発泡体構造を使用して、1つまたは複数の軟質発泡製品を作製することができる。したがって、一態様では、新しい射出成形機が本明細書に提供される。
【0060】
[0064]本開示の製造機械を際立たせる要因のいくつかは、標準的な射出成形機に取り付けることができ、それによって標準的な射出成形機を修正および改善することができる微細ガス投与システムに結合された特殊な補助機器の使用である。本質的に、本明細書に提示するように、標準的な射出成形機は、本開示による使用に好適に機能するように分解修理および再整備されている。修正のための一般的な方法は、窒素、CO2、ならびに/または非反応性および/もしくは不活性ガスなどの超臨界不活性ガスを取り扱うことが可能になるように、射出成形機上の射出成形スクリューを変換することから始まる。
【0061】
[0065]次いで、温度制御された金型空洞への射出の前などに、適切なガスを適当な量でスクリュー内のポリマー溶融物中へ投与するために、射出成形機にガス投与システムを装備することができる。加えて、特殊な金型空洞を利用することができ、金型の熱温度サイクルにより、その結果得られる発泡体の外殻のテキスチャおよび外殻の厚さをより良好に制御し、ならびに部品作製のためのサイクル時間を低減させることができる。さらに、不活性ガスを金型内へ戻して、金型内へ投入される液体ポリマー溶融物を抑制するために、射出成形機に補助ガス逆圧システムを装備することができる。
【0062】
[0066]この逆圧は、溶融物の射出投入が、完全ではない場合は実質上、金型空洞を充填し、部品の反りおよび収縮を防止することを確実にし、ならびに気泡分布および気泡密度を制御するのに有用である。さらに、適当な逆圧は、部品の外殻のテキスチャおよび外殻の厚さに有益な影響を与える。したがって、部品が金型空洞から排出されたとき、認識できる収縮はなく、成形発泡体部品をすぐに使用するために2次ステップは必要とされない。発泡体の作製において好適な生物由来のポリマー化合物が使用されることを条件として、部品は架橋されず、その結果、生分解または堆肥化することができることが有益である。
【0063】
[0067]上記の点から、一態様では、本開示は、生分解性のあるたとえば産業的に堆肥化可能な微細軟質発泡体構造を作製することを対象とする。特に、一実施形態では、プロセスは、好適なバイオポリマーまたはバイオポリマー混合物から始まる。たとえば、様々な事例では、バイオポリマーは、生物材料から化学的に合成されたか、または生体から完全に生合成されたかにかかわらず、天然源から作製されたものなど、1つまたは複数のポリマーとすることができる。
【0064】
[0068]主に2つのタイプのバイオポリマーがあり、1つは生体から得られたものであり、もう1つは再生可能な資源から作製されるが、重合を必要とする。生体によって作製されたものには、タンパクおよび炭水化物が含まれる。合成ポリマーとは異なり、バイオポリマーは、明確な構造を有する。このタイプのポリマーは、化学構造に基づいて区別される。本開示のバイオポリマーを特に有用にするものは、技術的性能特性の点で再生不能なEVAに非常によく似ていることである。
【0065】
[0069]同様に、特定の事例では、発泡体構造を生成する際にバイオポリマー混合物を利用することができ、バイオポリマー混合物は、2つ以上のバイオポリマーからなるカスタム化合物とすることができる。いくつかの非限定的なタイプのバイオポリマーは、糖ベースのバイオポリマー、デンプンベースのバイオポリマー、合成材料ベースのバイオポリマー、およびセルロースベースのバイオポリマーである。バイオポリマーが混合された組合せの典型的な比は、製造される製品のタイプおよびその結果得られる部品の必要とされる技術的特性に依存するはずである。
【0066】
[0070]より詳細には、特定の実施形態では、発泡体前駆体として使用することができるバイオポリマー混合物には、硬化後などに溶融物に加えてポリマーを形成することができる1つまたは複数の固体または粘性の材料などの複数の樹脂が含まれる。したがって、重合または硬化後、樹脂はポリマーを形成する。たとえば、好適な樹脂は、脂肪族および脂肪族-芳香族コポリエステル由来のうちの1つまたは複数とすることができる。概して、脂肪族または脂肪族化合物は、炭素原子が芳香環ではなく開鎖を形成する有機化合物に関し、またはそれを意味する。同様に、好適な脂肪族-芳香族化合物は、概して、炭素原子の開鎖(脂肪族部分)および原子の1つまたは複数の安定環(芳香族部分)のランダムな組合せである。
【0067】
[0071]典型的に、鎖内の芳香族酸の量は49%未満であるが、最近の技術的進歩により、これを増大させて生分解をさらに支援することが多いに期待されている。脂肪族-芳香族の一例は、任意の数の再生不能および再生可能な原料から作製することができる脂肪族-芳香族コポリエステル(AAPE)であるが、再生可能に調達されるAAPEが特に有用である。したがって、様々な実施形態では、これらの脂肪族および/または脂肪族のうちの1つまたは複数は、コポリエステルに由来することができる。そのようなコポリエステルは、ポリエステルが改質されたときに作製される。たとえば、コポリエステルは、2つ以上の二塩基酸またはジオールが重合プロセスで使用されるときに作製される。脂肪族-芳香族コポリエステルの場合、前駆体変化の組合せは、重合プロセスで脂肪族-芳香族鎖を本質的に混成または「ブリッジ」し、2つ以上の追加の前駆体を組み合わせるようになされる。
【0068】
[0072]好適なバイオポリマー混合物の非限定的な例は、ポリ乳酸(PLA)およびポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)(PBAT)である。ポリ乳酸(PLA)は、再生可能なバイオマスに由来する生分解性の熱可塑性脂肪族ポリエステルである。PLAの作製で使用される典型的な原料には、トウモロコシ、キャッサバ、サトウキビ、テンサイパルプ、およびそれほどではないがリグニン木材廃棄物などの発酵された植物デンプンが含まれる。同様に、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)は、生分解性のランダム共重合体であり、特に一般にアジピン酸、1,4-ブタンジオール、およびテレフタル酸に由来するコポリエステルである。再生不能な石油源から調達されるPBATではなく、再生可能に調達されるPBATを使用することが有利である。様々な事例では、これらの構成要素のうちの1つまたは複数を混合することができる。
【0069】
[0073]2つ以上の熱可塑性バイオポリマーの混合物は、単独重合体または共重合体では見られない特性および価値の組合せを提供する。バイオポリマーをともにうまく混合するには複数の方法がある。一般的な方法は、二軸スクリュー押出を使用して、2つ以上のバイオポリマー樹脂をともに溶融し、次いで溶融したバイオポリマー樹脂混合物をストランドに押し出し、これを冷却してペレタイザへ送り、マスタバッチと呼ばれる造粒片のアレイを作製する。バイオポリマー樹脂混合の別の方法は、相溶化剤を使用して、異なる化学的性質をバイオポリマー混合物内でともにつなぎ合わせることである。一般に、これもまた、上述したプロセスにおいて、二軸スクリュー押出などを使用して、相溶化剤および2つ以上のバイオポリマーをともに溶融させる。
【0070】
[0074]したがって、本明細書では、上述した混合熱可塑性バイオポリマー樹脂が、本開示の最適の微細軟質発泡体構造を形成する際に有利な技術的特性を示すと判定した。強化された技術的特性のいくつかには、他の利益のなかでも、許容できる劣化特性、優れた伸長性、および並外れた圧縮ひずみが含まれる。たとえば、本明細書に開示するバイオポリマー混合物を使用する利点は、所与のバイオポリマー混合物の形成および使用に起因する強化された技術的性能特性である。具体的には、ほんの数例を挙げると、改善された伸長性、引っ張り強度、衝撃強度、および溶融流れなどの強化された特性はすべて、バイオポリマーおよび/またはバイオポリマー-相溶化剤混合物の正しい組合せが実現されたときに実現することができる。
【0071】
[0075]したがって、本明細書に開示する方法および機械によれば、起泡剤を作製するためにこれらの樹脂を利用することができる。したがって、一態様では、本開示は、発泡プロセスを対象とする。上述したように、本明細書に開示する機械およびプロセスは、発泡動作を実行するように構成することができ、それによってガスのポケットが液体または固体に閉じ込められ、この発泡を使用して、軽量のポリマー材料を作製することができる。発泡材料は、とりわけ柔軟な緩衝、快適さ、シューズ構成要素を含む専門的な運動用具、および衝撃保護などの多数の付加価値を与えるため、これは多くのタイプの製品にとって有利な解決策である。しかし、様々な事例では、上述した最適の脂肪族および脂肪族-芳香族コポリエステルのバイオポリマーまたはバイオポリマー混合物は単独で、軟質発泡体を作製するのに有用であり、様々な事例では、発泡プロセス内に好適な起泡剤を含むことによって、軟質発泡体の作製におけるこれらの使用を強化することができる。
【0072】
[0076]たとえば、今日使用されている広く知られた起泡剤は、アゾジカルボンアミド(ADA)と呼ばれる化学物質である。アゾジカルボンアミドは、典型的に、従来の射出成形発泡プロセスで使用するために石油化学熱可塑性マスタバッチ樹脂に事前に含浸されている。特に、ADAなどの化学発泡剤の事前含浸は、典型的に、発泡前にバイオプラスチック混合物に含まれる。この理由は、従来の射出成形発泡では発泡体成形の可変性のカスタマイズが可能でないため、ADAなどの化学発泡剤の事前含浸が必要とされることである。すなわち、ADAなどの化学発泡剤は、製造中に発泡プロセスの物理的態様に修正または影響を与えるその能力が制限される。
【0073】
[0077]逆に、本開示の特殊な発泡プロセスは、窒素などの希ガスまたは不活性ガスが提供する物理的発泡から利益を得ている。このプロセスでは、バイオポリマー溶融物中の濃度に関してガス、たとえば窒素の投与量を調整することができ、これは発泡結果に直接の影響を与え、これは、結果として得られる発泡体の特有の態様をカスタマイズする主な利点として見ることができる。PBATコポリエステルなど、生分解性で産業的に堆肥化可能であることが知られているいくつかの石油化学由来の熱可塑性物質が存在するが、純PBATコポリエステルのラインなど、再生可能に調達される原料を使用することが有利である。
【0074】
[0078]たとえば、起泡剤を作製する際、所与の製品タイプに対して所与のタイプの生分解性で産業的に堆肥化可能な軟質発泡体を作製するように調整されたバイオプラスチック混合物などのカスタムのマスタバッチを最初に作製することが有用となることができる。たとえば、異なるタイプの製品用途に対して、異なるタイプのカスタムのマスタバッチ化合物を作製することができる。これについては、靴の中の特定のタイプの発泡体を作るために機能するものが、たとえば、家具を作る際に使用するためのものなど、特定のタイプの発泡体を作るために必要とされるものとは異なることがあることを示すことによって説明することができる。さらに、カスタムのマスタバッチはそれぞれ、所与の製品用途に対して異なる着色剤を含むことができる。この場合も、異なる製品タイプは異なるカスタマイズ態様を必要とし、一意に異なるマスタバッチを作製する能力は、これらの特定の用途にとって非常に有利である。
【0075】
[0079]残念ながら、ADAは環境に優しくなく、人間の健康にとって発癌物質であることが疑われている。したがって、本方法およびそれによって作製される製品におけるADAの使用は、その利点が制限される。さらに、従来の石油化学熱可塑性マスタバッチ樹脂は、生分解可能でも産業的に堆肥化可能でもなく、したがって、これらの利点も制限される。マスタバッチの作製に対するADAおよび従来の石油化学物質の使用におけるこれらの欠陥の点から、生分解性で産業的に堆肥化可能な微細軟質発泡体を生成するためのマスタバッチを作製するために使用することができる生分解性の産業的に堆肥化可能な熱可塑性バイオポリマー樹脂が、本明細書に提示される。
【0076】
[0080]様々な事例では、上記で論じたように、たとえば環境的にエミッションニュートラルに、成形最終製品を製造する際に使用するためのより最適の生分解性で産業的に堆肥化可能な軟質発泡体を実現するために、超臨界流体をシステムによって成形プロセスへ射出することができる。具体的には、超臨界流体は、その臨界温度(Tc)および臨界圧力(Pc)を上回る状態にある物質(液体または気体)である。この臨界点では、気体および液体が共存し、超臨界流体は、たとえば標準的な条件下で、液体または気体のものとは異なる独特の特性を示す。窒素、CO2、He、Ne、Ar、Xe、および他のそのような不活性ガスなどの不活性の超臨界流体を超臨界流体状態などで使用することが有利であり、これらの気体は、本明細書に開示する方法によれば、発泡プロセスで発泡剤として利用することができる。
【0077】
[0081]上述した超臨界流体は、射出成形機バレル内のポリマーマトリックスで可溶化することによって機能する。特殊な射出成形プロセスにより、制御された圧力および温度下で液体のバイオプラスチック化合物を射出金型空洞内へ射出すると、気体がポリマー溶融物を金型空洞の最大限度まで完全に膨張させる。このプロセスでは、発泡プロセス内のポリマーマトリックスの気泡構造を最大化するのに気体が有用である。こうした特殊な発泡プロセスの最大化により、最終発泡部品内の望ましくないひけマークまたは反りが最小になることが確実になる。従来の発泡剤は同じタイプの超臨界状態または圧力を受けず、したがって従来どおり作製された発泡体には最終発泡部品に一貫性がなく、望ましくないひけマークおよび反りを含む可能性があるという点で、これは従来の化学発泡剤によって作製される軟質発泡体とは大きく異なる。
【0078】
[0082]より詳細には、様々な事例では、窒素または二酸化炭素などの不活性ガスは、超臨界流体状態で構成することができ、次いで本明細書に論じる新規な射出成形機およびプロセスなどにおいて、物理的起泡剤として使用することができる。そのような事例では、開示する修正された物理的発泡プロセスは、好適な熱可塑性バイオポリマーまたは混合バイオポリマーマスタバッチと合わせて利用することができ、したがってバイオポリマーまたはバイオポリマー混合物および起泡剤は、最適の生分解性で産業的に堆肥化可能な軟質発泡体を作製するように調和して機能する。
【0079】
[0083]本開示の好適なバイオポリマー、バイオプラスチック、およびバイオプラスチック混合物は、動物の飼料および人間の食物と競合しないもの、ならびに再生可能資源の廃棄物処理の流れに由来するものなど、再生可能資源に由来することができる。バイオポリマーまたはバイオポリマー混合物を作製する際に使用される好適なバイオポリマーの非限定的な例は、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(L-乳酸)(PLLA)、ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)(PBAT)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、および熱可塑性デンプン(TPS)からなる。本開示の好適なバイオポリマー混合物は、上記に挙げたバイオポリマーおよびバイオプラスチックタイプの任意の組合せであり、ならびにあらゆるハイブリッドバイオポリマー混合物は、バイオマスを含むポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)(PBAT)からなる。この非限定的な例は、リグニンを含むPBAT混合物であり、リグニンは木材廃棄物から調達され、PBATは再生可能資源から調達される。
【0080】
[0084]したがって、様々な実施形態では、本明細書に開示する射出成形デバイスおよびその使用方法は、均質な気泡核形成を有する発泡体を作製するのに有用である。論じたように、本明細書に開示する装置およびその使用方法を使用して、均質の気泡核形成を作製し、発泡体を作製することができ、それによって発泡体の核がランダムかつ自発的に生成され、したがって最小からゼロの不純物を有する単相溶液系内で不可逆的に成長する。たとえば、本明細書に以下で述べるように、一態様では、軟質および/または硬質の発泡体を製造するプロセスが提供される。この方法は、連続気泡または独立気泡発泡体を導出するように実施することができ、発泡体は、固有の堆肥化可能な抗微生物および/または耐燃特性を有する。
【0081】
[0085]特定の事例では、この方法は、1つまたは複数の樹脂、たとえば共重合体キャリア樹脂および様々な発泡成分を混合するステップなどを含む、マスタバッチを形成するステップのうちの1つまたは複数を含むことができる。後続のステップで、この方法は、抗微生物性化合物を追加することを含むことができ、発泡体材料は、抗微生物性、抗菌性、および/または抗ウイルス性のフットウェア構成要素、家具構成要素、ヨガマット、衣料品、スポーツ用品構成要素、医療デバイス、および/または耐燃性製品の作製、ならびに他の好適な用途で使用することができる。特に、本明細書に開示する方法によれば、製品は、広範囲の用途で使用することができ、概してその作製方法は、3つの異なる段階に分類することができる。第1に、バルクポリマー製品が作られる。次に、ポリマーが様々な処理ステップに露出される。最後に、ポリマーは、衣類、抗微生物性カーペット、家具、車の構成要素、ヨガマット、ソール、ミッドソール、インソールを含むシューズ構成要素などのその最終製品に変換される。
【0082】
[0086]特に、この単相溶液を利用して核形成箇所を作製することができ、そこで気泡が成長し、気泡へのガスの拡散によって膨張する。本明細書に開示する機械およびプロセスは、小さい気泡が発泡体マトリックス内で均一に分散されるように均質の気泡核形成の生成をもたらす発泡プロセスを開始するのに特に有用である。具体的には、従来の発泡とは異なり、本開示の超臨界流体によって形成された軟質発泡体は、小さい気泡サイズに直接起因することができる大幅に改善された機械特性から利益を得る。より具体的には、本明細書に開示するデバイスおよび方法は、100ミクロン以上~約1ミクロン以下程度、たとえば約50ミクロン~約10ミクロン以下、たとえば約20~約40ミクロン、約30ミクロンを含む気泡直径を作製するように構成され、これらの気泡は、すべて発泡体の生成における従来の化学発泡剤の使用ではなく、熱力学的不安定性の使用によって作製される。
【0083】
[0087]たとえば、特定の実施形態では、システムは、本明細書に開示する新規な射出成形機を使用して、バイオポリマーまたはバイオポリマー混合物および超臨界流体(SCF)の単相溶液が射出ゲートを通過して射出成形機の金型空洞に入るときに発生することができる均質な気泡核形成を有する生分解性で産業的に堆肥化可能な微細軟質発泡体を作製するように構成することができる。具体的には、本明細書に以下でより詳細に説明するように、本射出成形機は、最終部品または構成要素部品を作製するための成形前駆体を金型内へ射出することなどによって、溶融材料を作製するように構成される。射出成形機は、材料ホッパー、射出ラム、またはスクリュー型プランジャ、および加熱ユニットを含むことができる。そのような射出成形機は、トン数の点から格付けされ、トン数は、その機械が作用させることができる型締め力の量を表す。
【0084】
[0088]したがって、プロセスは、押されたラムによって顆粒状バイオプラスチック化合物がホッパーから加熱バレル内へ送られることから始まることができる。特殊な往復スクリュー型プランジャによって顆粒がゆっくりと前方へ動かされるにつれて、スクリューに流れ込む射出成形装置に直接接続することができる別個の超臨界計測補助機械によって、超臨界流体が射出機を通って導入される。したがって、超臨界流体は、スクリューの回転中にバイオポリマー溶融物内で飽和し、これが単相溶液を生じさせる。
【0085】
[0089]溶融混合物は次いで、高い背圧によって加熱チャンバ内へ押し込まれ、そこでコンピュータインターフェースによって制御された温度で溶融される。プランジャが前進するにつれて、溶融バイオプラスチック化合物は、金型に支えられているノズルを通過し、ゲートを通って金型空洞に入ることが可能になる。したがって、本発泡プロセスは、ポリマー材料を機械的または物理的プロセスにかけるように構成することができ、それによって発泡剤の存在下で熱および圧力がポリマー材料に印加される。発泡剤は、従来の独立気泡EVA発泡と同様に、化学物質に由来することができ、または本開示の生分解性で産業的に堆肥化可能な軟質発泡体と同様に、不活性物質に由来することができる。したがって、上記の点から、溶液が金型に入ると圧力は降下し、SCFが溶液から出て気泡核を生成する。
【0086】
[0090]特に、超臨界流体は、スクリューの回転中にバイオポリマー溶融物内で飽和し、これが特定の温度および圧力下で単相溶液を生じさせる。溶融混合物は、高い背圧によって加熱成形チャンバ内へ押し込まれ、単相溶液の圧力は微細プロセス圧力から大気圧まで降下し、したがって急速な圧力アンロードが生じる。核形成現象は、ガスが混合物から分離することによって生じる。この時点で、核は安定した気泡に成長する。気泡サイズは、飽和、微細プロセス圧力、および混合温度によって決定され、これらはすべて、本システムおよび方法によって制御することができる。したがって、数百万の核が生成され、これらの核が安定したとき、気泡成長が開始する。
【0087】
[0091]気泡の形態は、SCF濃度ならびに射出成形プロセスパラメータによって決定される。したがって、これらのパラメータは、システムによる制御により有用および/または所定の気泡の形態を作製するように選択することができる。部品の成形が終わると、金型が冷却されて溶融温度が低下し、溶融物は凍結および凝固させられる。この場合も、これらのパラメータは、作製される最終製品などに応じて、システムによって厳重に制御することができる。具体的には、この時点で、気泡は成長を止め、その結果得られた部品の形状が固定される。気泡は次いで、材料が金型を充填し、SCFの膨張能力が費えるまで成長する。
【0088】
[0092]したがって、このプロセスで、溶融バイオポリマーおよびSCF混合物が、加熱金型空洞内へ制御可能に投入され、突然の圧力降下を受ける。数百万の小さな気泡が核成長から作製され、これらの気泡は、溶融混合物を金型空洞の最大限度まで物理的に膨張させる。溶融混合物が物理的に可能な最大限まで膨張すると、材料は金型内で急速に冷却され、気泡は形成を止め、溶融混合物は膨張を止め、最終凝固部品が形成される。これらのタスクはすべて、射出成形システム内において数秒程度で行われる。
【0089】
[0093]上述したように、この製造プロセスは、上述した射出成形機で実行され、計測、送達、混合、温度、圧力、射出、速度などを細かく制御するように修正されている。たとえば、補助計測ユニットを使用して、ポリマー溶融物への正確なSCFガス投与量を送達するように計測を制御することができる。具体的には、好適なガス投与補助機械は、不活性ガスを超臨界流体状態に変換し、コンピュータ制御機構などによって、射出成形機へのSCF送達の投与量を計測するように構成することができる。
【0090】
[0094]たとえば、操作者または好適に構成されたマイクロコントローラが、ガス投与補助機械を所定のSCFガス投与量にプログラムすることができる。本質的に、ガス投与補助機械は、射出成形機に電子的および/または物理的に結合することができるSCF送達システムである。特に、本開示で使用するのに好適なSCFガス投与補助機械は、産業グレードの窒素または他の不活性ガスを超臨界流体に変換するように設計されたガス投与システムのラインを作製するように構成することができる。ガス投与装置は、最大275×105パスカル(275バール)およびさらにはそれを超える圧力で、SCFを射出成形機内へ精密に投与および射出するように構成することができる。
【0091】
[0095]ガス投与装置を動作させるために、操作者は、投与装置などのシステム装置およびそれぞれの制御パラメータを制御するためのグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を作製するように構成されたデスクトップまたはラップトップコンピューティングデバイスなどの関連するコンピューティングデバイスを利用することができる。たとえば、操作者は、選択されたパラメータ、たとえば所望のSCFガス投与投入パラメータをGUIに入力することができる。システムの処理要素は次いで、すべての補助パラメータを実時間で計算し、射出成形機へのSCF送達を最適化する。したがって、システムの制御ユニットは、ガス投与システムおよび射出成形機がコンピュータ制御装置のネットワークなどを通じてともに共生的に機能することを確実にする。したがって、このガス投与システムは、従来の軟質発泡体で使用される化学反応性の高い発泡剤の代わりに、本開示の生分解性で産業的に堆肥化可能な軟質発泡体を作製するための物理的発泡剤として、超臨界不活性ガスを難なく使用することができるため、本開示の独特の特性である。こうしてバイオポリマーへのSCFの混合を制御することは、単相溶液を生成するのに有用である。
【0092】
[0096]さらに、本開示の射出成形プロセス中、SCFがポリマー溶融物中へ射出される。射出成形機スクリューおよびバレル内の明確な温度および圧力下で、単相のポリマーSCFが混合した溶液が得られる。温度および圧力は、可変的に制御可能とすることができ、作製されている軟質発泡体のタイプおよびどのタイプの用途に最終製品が使用されるかに直接関係する。この段階で、飽和、微細プロセス圧力、および混合温度によって、SCFの濃度が決定される。発泡家具、自動車、運動、および/または靴の部品、具体的にはシューズミッドソールを作る際に使用するための本開示の生分解性で産業的に堆肥化可能な軟質発泡体を作るための一例を提供することができる。この非限定的な例で使用するのに好適なバイオポリマー混合物の非限定的な例は、バイオポリマー化合物に形成される急速に再生可能なPBATバイオポリエステルである。
【0093】
[0097]したがって、顆粒状のバイオポリマー化合物はまず、ホッパーを介して射出成形機内へ送られる。次に、バイオポリマーは、射出成形機スクリューおよびバレルを通ってゆっくりと進み、この時点で溶融しているバイオポリマー化合物に、特有のSCFガス投与量が導入されて均質に混合され、このバイオポリマー化合物を完全に飽和させる。溶融したバイオポリマー化合物およびSCFは、ここで単相溶液となる。最初のSCFガス濃度の非限定的な例は、176℃~250℃の溶融温度範囲、より好ましくは180℃の範囲で、Co=0.25%とすることができる。
【0094】
[0098]加えて、様々な実施形態では、金型内の温度は、動的成形温度制御(DMTC)プロトコルなどにおいて、圧力とともに細かく制御することができる。たとえば、DMTCプロセスを利用して、膨張するバイオポリマー溶融物内で一貫した気泡構造を確保することができる。特に、DMTCは、射出充填段階中の金型温度および/または圧力の急速な変化および制御を含むように構成することができる。それによって、圧力にかかわらず、高温および低温両方の熱サイクルの点から、金型温度および/または圧力を動的に制御する。
【0095】
[0099]たとえば、システムの制御モジュールは、射出充填段階中の金型温度を制御するように構成することができ、たとえばそのような事例では、動的成形温度制御を利用することができる。より詳細には、従来知られている射出成形プロセスと比較して、本明細書で利用する動的成形温度制御の重要な特徴は、金型温度自体を動的に制御することができることである。単相溶液の溶融物の射出前に、金型をまず、事前設定された上限まで加熱することができる。溶融物充填段階中、溶融物の早すぎる凝固を防止するために、金型空洞表面の温度を上限より高く維持することができる。溶融物充填プロセスが終わると、金型は下限(排出温度)まで迅速に冷却され、次いで成形された発泡体部品が、金型空洞から排出される。
【0096】
[00100]本明細書で実施する動的成形温度制御(DMTC)は、急速な電気ロッド加熱および急速な水冷却に基づく制御方法に依拠する。具体的には、本開示によって利用されるDMTCは、空気圧縮器、バルブ交換デバイス、コンピュータ制御式の金型温度制御ユニット、電気加熱式の金型、および冷却塔という5つの主要な構成要素からなる。冷却塔は、十分な水冷却を金型に供給するために使用することができる。空気圧縮器は、空気弁の駆動ガスとして圧縮空気を生じさせ、残留冷却水が冷却後に金型に入らないようにするために使用される。バルブ交換デバイスは、高温および低温熱サイクルなど、管路から金型へ異なる媒体を伝達するようにバルブを切り換えるために使用される。
【0097】
[00101]したがって、様々な事例では、本明細書の機械およびプロセスは、反応材料を通過させるためのパイプおよび他の導管を含むことができ、これらの導管には、反応物質が導管およびパイプ内へ圧送されてかつ/または導管およびパイプを通過するときに反応物質を加熱および/または冷却するために、1つまたは複数の熱交換ユニットが付随する。そのような事例では、交換器は、温度を反応レベルに調整するように制御することができる。パイプの一方の端部には、分注ヘッドを含むことができ、分注ヘッドには、1つまたは複数のバルブが付随することができる。さらに、分注ヘッドは、処理ラインへ連結することができる。電気加熱式の金型は、発泡部品の最終形状を成形するために使用される。金型温度制御の機能は、金型の加熱および冷却を制御することであり、これはすべて、コンピュータ制御装置によって射出成形機と協働させられる。
【0098】
[00102]同様に、上述したように、圧力はまた、ガス逆圧(GCP)プロトコルなどを介して細かく制御することができる。たとえば、製造プロセスでGCPプロトコルを利用して、最終製品の最適の発泡構造をより良好に確保し、その結果得られる軟質発泡体には皆無かそれに近い外殻しかないようにそれを行うことができる。たとえば、このGCPプロセスを使用して、加圧された金型空洞にSCFを射出することができ、SCFは、単独および共同で、溶融物内のガスの膨張を抑制するように機能することができる。特に、逆圧が解放されると、従来なら表面を突破するはずの気泡が内側に閉じ込められ、平滑な外殻を生じさせる。
【0099】
[00103]このガス逆圧プロセスにより、発泡部品が形成されるときに気泡が発泡材料の表面に接触して表面を突破することを防止する。これは、溶融した単相溶液射出の投入および保持時間と同時またはその前後に、GCPシステムによって金型空洞内へ抑制圧力が印加されることによって実現される。不活性ガスの気泡は大きな力を受け、したがって溶融した単相溶液は、形成されている間に閉じ込められた気泡を発泡構造の外側へ解放する機会が与えられない。その結果、成形された発泡体部品では、表面的に平滑な外殻が部品の外側に形成される。
【0100】
[00104]したがって、本明細書で実施するように、システムのコントローラは、発泡体射出成形の溶融物射出段階で異なるガス圧力を印加することによって発泡プロセスの制御を改善するように構成されたガス逆圧(GCP)手順を実施することができる。たとえば、システムの様々な構成要素を制御することによって、制御システムは、適切な投入サイズ、投入保持時間、溶融温度、および金型温度などと合わせて、スクリューに含まれる可変のSCF単相溶液圧力およびGCP圧力を印加するように構成することができる。
【0101】
[00105]このようにして、システム全体が、高品質で商業的に許容できる生分解性で産業的に堆肥化可能な軟質発泡体部品を作製することができるように作られる。具体的には、GCP圧力のわずかな変化が、発泡体の表面品質に影響する。たとえば、GCPを使用しない場合、金型空洞内に位置するポリマー溶融物内に形成される気泡が解放される可能性があり、その結果得られる発泡部品の表面的な外観は、許容できなくなるおそれがある。加えて、GCPを使用しない場合、金型内へ膨張するときに溶融単相溶液の急速な冷却を抑制する逆圧が存在しないため、外殻の厚さが望ましくないほど厚くなる可能性がある。特に、単相溶液は、射出投入中に鋼の金型境界に当たり、即座に凝固して、ほとんどの商業的用途では許容できないほど望ましくない厚い外殻が生じるはずである。要約すると、プロセスパラメータは、最終部品の品質に明らかな影響を与える。したがって、これらの方法では、このGCPプロセスは、表面品質、発泡体構造、外殻厚さなどのうちの1つまたは複数などによって、発泡を制御するように実施することができる。
【0102】
[00106]したがって、様々な実施形態では、システムは、SCFを作製して単相溶液を形成するように構成することができる。特に、様々な実施形態では、単相溶液が生成され、SCFは、溶融したバイオポリマー中で完全に溶解させ、均一に分散させることができ、これは慎重に制御されたプロセス条件下で、射出バレル内で行われる。たとえば、論じたように、単相溶液の形成は、本開示の一貫した大量生産可能な成形発泡体部品を作製するのに重要である。
【0103】
[00107]したがって、射出成形システムプロセスは、非常に一貫して制御可能かつ繰返し可能になるように構成されるべきである。これを実現するために、第1の防御線は、バイオポリマー化合物およびSCFが単相溶液内へ均質に混合されることを確実にすることであり、単相溶液は、射出成形機バレル内のバイオポリマー溶融物内に完全に飽和されて分散される。単相溶液が実現された後、システムは、時間最適化された大量生産可能な形で、無限に再現可能な成形発泡体部品をカスタマイズするために、所望の投入量、投入保持時間、およびGCPガス投与量を確実に入力することができる。
【0104】
[00108]それによって、SCFは、固定量の時間にわたって、バイオポリマー内へ正確に質量流量計測されるべきである。たとえば、システム制御モジュールは、投与量期間中にバレル内で温度、圧力、および剪断力の正しい条件が確立されるように構成することができる。同様に、システムの1つまたは複数の制御要素によって、背圧、スクリュー速度、およびバレル温度を細かく制御することができる。加えて、SCF送達システムは、最適の単相溶液をもたらすプロセス条件を確立するように変調することができる。
【0105】
[00109]たとえば、上記で論じたように、制御モジュールは、システムの1つまたは複数の導管、たとえばチューブを通って進む流体の質量流量を測定するように構成されたシステムに付随する質量流量計測デバイスに通信可能に結合することができる。質量流量は、固定点を越えて進む流体の単位時間当たりの質量である。本開示に属するように、質量流量計測の原理は、発泡体成形プロセスにおいて一貫した反復性を確保するように実施される。具体的には、上述したように、システムのプロセッサのコンピュータ制御式プログラミングによって制御することが可能な特別設計の射出機が、射出成形バレルに結合される。したがって、システムは、バイオポリマー溶融物への特有のSCFガス投与量送達を実施するように構成することができ、コンピュータ制御式のプログラムは、1つまたは複数のシステムセンサからのフィードバックなどによって、質量流量からの1群の実時間データに基づいて送達を最適化することができる。こうした質量流量計測の使用は、本発明の単相溶液の最適のプロセス制御を確実にする。
【0106】
[00110]したがって、投与期間中、バレル内などのシステム全体の温度は、バレル内で100℃~600℃、たとえば200℃~500℃、たとえば300℃~400℃、より詳細には320℃~380℃の範囲、360℃~380℃を含む範囲になるように制御することができる。同様に、SCF送達圧力は、70.31~562.5kg/cm2(1,000~8,000PSI)、たとえば105.5~421.9kg/cm2(1,500~6,000PSI)、たとえば140.6~386.7kg/cm2(2,000~5,500PSI)、特に210.9~281.3kg/cm2(3,000~4,000PSI)、より詳細には182.8~196.9kg/cm2(2,600~2,800PSI)の範囲内になるように細かく制御することができる。
【0107】
[00111]このようにして、制御モジュールは、温度および圧力が、バイオポリマー溶融物およびその結果得られる発泡マトリックス内に最適の核およびその結果得られる気泡を生成するように合わせて機能するように構成することができる。加えて、剪断力に関して、剪断力は、溶融バイオポリマー層が互いに対して流れるときにバレル内で確立される。したがって、射出中、溶融バイオポリマー化合物は、バレルノズルの溶融物送達チャネルを通ってから、液体貯蔵容器のような金型に入ることができる。
【0108】
[00112]剪断は、回転スクリューと静止バレルとの間のバイオポリマーの伸張であり、材料内に熱が発生する。したがって、射出成形プロセスでは、剪断力が制御されるべきである。したがって、システムの1つまたは複数の制御ユニットは、所与の射出成形機サイズならびに所与の射出成形機スクリューおよびバレルサイズによって、射出速度、充填時間、および公差を制御して、所与のバイオポリマー化合物を作製するために正しい条件を実現するように構成することができる。
【0109】
[00113]背圧も制御することができる。たとえば、背圧は、バイオポリマーが金型内へ射出されたときにバイオポリマーが作用させる射出成形機内の圧力である。具体的には、背圧は、射出スクリューが元に戻って金型内へ投入される次のバイオポリマーを装填するときに射出スクリューに印加される抵抗である。上述したように、システムの様々なパラメータは、背圧を制御および/または調整するように構成することができる。
【0110】
[00114]さらに、システムのコントローラは、スクリュー速度を制御および調整するように構成することができる。スクリュー速度は、コンピュータ制御装置によって制御することができる。上述したように、射出成形動作の最初の段階中、スクリューはバレル内で回転して、溶融バイオポリマー化合物混合物をSCFガスと合わせて均質化する。本開示のスクリュー速度の非限定的な例は、1または5または10~75または100または200rpm、たとえば20、25、または30~40、50、または60rpmとすることができる。
【0111】
[00115]システムは、バレル内の温度を制御するために、バレルに付随することができる加熱および/または冷却制御ユニットを含むことができる。したがって、制御モジュールは、バレル温度を制御するように構成することができる。したがって、バレル温度は、発泡プロセスに対する必要に応じてバレル内の温度がより高温または低温になるように制御することができる。
【0112】
[00116]したがって、上記の点から、SCF送達システムは、SCF送達圧力およびSCF投与重量の組合せを制御するように構成された制御ユニットを含むことができ、SCF投与重量は典型的に、グラム単位で測定される。SCF圧力および投与量は、単相溶液に影響するように制御することができる。すなわち、SCF投与量が小さければ小さいほど、バイオポリマー溶融物内でより少ないSCF飽和が必要とされ、SCFが大きければ大きいほど、より多くのSCF飽和が溶融物内で必要とされる。同様に、SCF送達圧力が小さければ小さいほど、飽和の吸収量も小さくなり、したがって成長して溶融バイオポリマー溶融物内に気泡を形成することができる核の成長も小さくなる。また、SCF送達圧力が大きければ大きいほど、飽和の吸収量も大きくなり、したがって成長して溶融物内に気泡を形成することができる核の成長も大きくなる。
【0113】
[00117]飽和に関して、システムおよび装置は、スクリューの回転中などに超臨界流体が形成されてバイオポリマー溶融物内で飽和するような温度および圧力下で、溶融チャンバへガスを送達するように構成される。したがって、制御された温度および圧力下で、単相溶液が生成される。具体的には、本明細書では、射出成形機スクリューおよびバレル内の明確な温度および圧力下で、単相のポリマーSCFが混合した溶液を得ることができる。より具体的には、システムコントローラは、作製されている軟質発泡体のタイプおよびどのタイプの最終製品が作製されているかに応じて、温度および圧力を可変的に制御することができる。
【0114】
[00118]この段階で、フィードバックループなどによって、SCFの濃度を決定および制御することができ、それによってセンサなどを介して飽和量が決定され、センサは、飽和プロセスの進行を評価し、次いで飽和レベルに対する決定された設定点を実現することに基づいて、微細プロセス圧力および混合温度を調整する。そのような事例では、超臨界流体(SCF)は、スクリューの回転中にバイオポリマー溶融物内で制御可能に飽和し、これにより、明確な温度および圧力下で単相溶液を生成する。SCFは、2つの部分からなる溶融したバイオポリマー化合物混合物の一部であり、本射出成形において明確な圧力および温度の存在下で物理的発泡剤として使用される。
【0115】
[00119]したがって、上記の点から、一態様では、生分解性で産業的に堆肥化可能な微細軟質発泡体を作製するための機械およびその使用方法が、本明細書に提供される。特に、1つの事例では、発泡体は、微細射出成形(MuCell)プロセス、たとえばMuCell製造などを介して、発泡製品の作製で作製および/または使用される。MuCell製造は、上述したように超臨界流体を利用し、超臨界流体は、後述するように、製造工具のスクリューバレル内で極度の圧力にかけられてポリマー溶融物に溶解され、製造工具は、液体状態にまで加熱された溶融バイオポリマー溶融物を生成する目的で、SCF投与量を最適化するように構成される。
【0116】
[00120]したがって、射出成形機の中心は、射出成形機バレルおよびその中に含まれるスクリューであり、どちらも一般に、工具鋼から作られる。バレルは、本単相溶液のための主送達入口であり、その後溶液は計測され、次いで動的温度制御式の金型構成要素内へ押圧または「投入」される。したがって、バイオポリマー溶融物は、射出成形機ホッパーを通ってバレル内へ送達される。また、システムコントローラは、射出成形機動作における最初のステップのうちの1つとして、所与の量の顆粒状バイオプラスチックペレットをホッパー内へ送り込む。
【0117】
[00121]具体的には、射出中、SCFは蒸発して気泡になり、たとえば、最終成形部品の形態で発泡する。気泡はミクロンサイズに到達するため、プロセスは微細発泡をもたらす。本明細書に記載するプロセスは、その結果得られる製品が、より少ない収縮、軽量の製品、少ないひけマーク、および低コストの前駆体によって生成することができることのうちの1つまたは複数を証明しているため、従来の射出技術より有利である。より具体的には、より少ない収縮に関しては、すべてのポリマーに影響する熱収縮によって体積収縮が引き起こされることを理解することによって、収縮を制御することができ、したがって、システムセンサを介して収縮の進行を追跡し、収縮プロセスを調整するようにバレル条件を細かく制御することによって、収縮を回避することができる。
【0118】
[00122]本質的に、収縮は、材料が液体から固体へ変化するにつれて体積を変化させる程度を示す。従来の射出成形では、金型は、圧力によって温度制御されておらず、したがって従来の方法によって使用される溶融ポリマーは、射出金型の低温の工具鋼に接触すると縮小し、これが収縮を引き起こす。本機械およびシステムでは、温度制御された加圧金型により、溶融バイオポリマーは、早すぎる冷却を生じることなく、金型の内側の最大表面積を充填することが確実になり、ならびに加圧金型空洞自体の均一の印加応力が、この点に関してさらに支援するため、収縮を制御することができ、収縮は典型的に問題にならない。
【0119】
[00123]軽量の製品作製に関しては、一般規則として、ポリマーが膨張すればするほど、重量の低下もより大きくなる。しかし、本システムは、軽量の発泡体の最適の品質を実現することができるように、適当な圧力、温度、および時間の印加を介して条件を調整することによって、単相溶液を最適化するように構成される。これは、たとえば緩衝材、フットウェア発泡体、および運動機器を作製するために使用される発泡体などの軽量の発泡体を必要とする製品の用途にとって良好である。同様に、従来の軟質発泡体製造におけるひけマークの制御に関して、ひけマークおよび空隙は、部品が冷却されるときに十分に補償されない厚い部分での材料の局所的な収縮によって引き起こされる。
【0120】
[00124]特に、ひけマークは、典型的に、脚部またはリブに対向および/または隣接する表面で生じる。これは、不均衡な熱除去および/または類似の要因のために生じる。発泡部品の外側の材料が冷却されて凝固した後、中心の材料が冷却され始める。この収縮により主壁の表面が内方へ引っ張られ、ひけマークを引き起こす。外殻が十分に硬質である場合、中心部での空隙の形成が外殻の変形に取って代わる可能性がある。
【0121】
[00125]従来の軟質発泡体成形に直面するひけマークおよび空隙の難題とは異なり、機械的構成および本システムパラメータは、これらの問題の発生を最小にする本開示の生分解性で産業的に堆肥化可能な軟質発泡体を作製するように制御可能である。特に、本プロセスでは、SCFガスは、発泡プロセス内でポリマーマトリックスの気泡構造を調整、たとえば最大化するように制御される。こうした特殊な発泡プロセスの最大化により、望ましくないひけマークまたは空隙が最終発泡部品内に存在しないことがさらに確実になる。
【0122】
[00126]加えて、上述したように、本システムの有用な利益は、低コストの材料を利用し、作製された最終製品がより少ない反りを有することである。特に、上記で論じた理由のうちの多くのため、本開示は、SCFガスが発泡プロセス内でポリマーマトリックスの気泡構造の最大化を担うプロセスから利益を得る。こうした特殊な発泡プロセスの最大化により、最終発泡部品内の反りが最小になることが確実になる。
【0123】
[00127]本システムの別の利益は、公差を制御するように構成することができることである。たとえば、システムは、厳密な公差の軟質発泡射出成形を実行するように構成することができる。特に、本明細書に提示する厳密な公差の軟質発泡射出成形を利用することで、ともに平滑に機能し、製品に対する全体的により低い障害率に寄与する部品を作製することができる。
【0124】
[00128]製品が意図されたとおり確実に機能するために、その部品はすべて、ともに平滑に適合しなければならない。したがって、本装置およびその構成要素部品は、公差を厳重に制御するように設計されている。典型的に、これらの部品は、可能な限り最善の公差によって作製される。異なる範囲の許容できる公差があり、たとえば非常に厳密な公差は±0.0254mm(0.001”)である。場合により、2.54cm(1インチ)の数千分の1は、適合する部品と適合しない部品との差を意味することがある。
【0125】
[00129]したがって、厳密な公差を設計段階で早く識別することが有用である。これは、設計技術者は、発泡部品の幾何形状、全体的な発泡部品サイズ、および発泡部品の壁の厚さに対する要件を考慮に入れなければならないからであり、これらはすべて、公差の制御に影響を与え、慎重に管理されなかった場合、ひけマーク、反り、および一貫しない部品公差を悪化させる可能性がある。本システムおよび装置は、SCFガスが発泡プロセス内でポリマーマトリックスの気泡構造の最大化を担うため、これらの設計上の難題のほとんどを克服しながら、それでもなお最善の設計慣行を使用する。同様に、システムは、金型内でより迅速に冷却されるように構成することができる。
【0126】
[00130]上記の結果、ひけマーク、反り、および公差の不一致が大幅に低減される。これは、大部分において、発泡マトリックス内で微小気泡が均一にサイズ設定されかつ均一に分散されるためである。したがって、これらの利益を実現するために、微細発泡プロセスは細かく制御されるべきである。たとえば、上述したように、メルトフロントに沿って発泡が行われるとき、前進するにつれて成形面に縞およびフローマークが導入され、それによって不完全性を引き起こす可能性がある。
【0127】
[00131]上記に加えて、本明細書では、共射出および型内装飾技術のうちの1つまたは複数を利用することによって、これらの不完全性をさらに最小化することができる。しかし、多くの事例では、これには法外なコストがかかることがある。それにもかかわらず、本システムは、本開示の付加価値を容認および理解することができる高品質製品の機会を選択することによって、そのような法外なコストのかかる事例を克服する。
【0128】
[00132]様々な事例では、SCF発泡には欠点が生じることがあり、いくつかの事例では、溶融物の粘性および他の物理的特性に変化を引き起こす可能性があることに留意されたい。特に、SCFをポリマー溶融物内へ均一に拡散させるとき、単相溶液は、自由体積を増大させてポリマーの粘性を低減させることによって、可逆性の可塑剤として作用する。この影響で、ポリマーのガラス転移温度ならびにその引っ張り強度も低減される。これは、不均一の気泡サイズを招く可能性がある。
【0129】
[00133]不均一の気泡サイズにより、場合により、部品全体にわたって一貫しない技術的性能特性を有し、場合により望ましくない表面的な問題も同様に有する成形発泡体部品が作製される。これらはどちらも、大量生産中に部品ごとに同じ技術的性能特性を含む一貫して再現可能な生分解性で産業的に堆肥化可能な軟質発泡体を作製しようとしたときに生じる問題である。本システムは、これらの難題を克服するように構成される。
【0130】
[00134]したがって、上記で論じたように、これらの欠点を克服し、微細発泡プロセスをより細かく制御するために、上記で論じたガス逆圧(GCP)が利用される。上記で論じたように、ガス逆圧は、発泡部品が形成されるときに気泡が発泡材料の表面に接触して表面を突破することが規制されるように細かく制御される。これは、GCPシステムによって金型空洞に抑制圧力が印加されることによって実現され、これは、金型内での保持時間を制御しながら溶融単相溶液が射出されるのと同時またはその前後に行うことができる。これらの目的で、金型温度および圧力も細かく制御することができる。
【0131】
[00135]射出された後、不活性ガスの気泡は大きな力を受け、したがって溶融した単相溶液は、形成されている間に閉じ込められた気泡を発泡構造の外側へ解放する機会が与えられない。同様に、大きな力が単相溶液に作用することで、数百万の細かい気泡を金型内の発泡構造内でより良好に分散させ、ならびに気泡サイズの一貫性を助けるのに役立つ。その結果、成形された発泡体部品では、表面的に平滑な外殻が部品の外側に形成され、大量生産中に部品ごとに繰返し可能な技術的性能特性を有する一貫した気泡サイズが得られる。
【0132】
[00136]たとえば、システムは、溶融物射出段階で異なるガス圧力および/または温度を印加することなどによって、GCPの導入により発泡プロセスを制御することを可能にするように構成することができる。したがって、射出成形機内に位置する金型空洞内の発泡プロセス内へ、GCPが導入される。まず、ガス圧縮器およびガスポンプによって、不活性ガスがガス制御弁を通って金型空洞内へ圧送される。ガス圧力センサは、ガス制御値からの実時間データをコンピュータ-コントローラへ送り返す。
【0133】
[00137]システムは、コンピュータシステム内で投与パラメータおよび保持時間を設定することによって、金型空洞内へのGCP投与を開始する。コンピュータシステムは次いで、金型空洞内へ投入される不活性GCPの適切な投与を開始する。GCPを使用しない場合、バイオポリマー溶融物が金型空洞に入り、すぐに発泡を開始して、ガスの不均一の気泡を生成するはずであり、そのような気泡は表面を突破し、発泡体の外部に問題となる望ましくないスワールマークを生じさせる。
【0134】
[00138]同様に、射出速度も細かく制御することができ、射出速度は、スクリュー圧力(Pscrew)とガス圧力(Pgas)との差によって決定することができる。具体的には、PscrewがPgasよりわずかに高く、かつどちらのパラメータも十分に高いとき、SCFが溶解した溶融物は、発泡することなく金型空洞内へ流れ込む。PscrewをPgasより高く設定し、Pgasを臨界圧力より低く設定すると、部分的な発泡が生じる。最後に、動的金型温度と組み合わせて、Pscrew、Pgas、および圧力差の適当な選択により、気泡サイズのより精密な制御が可能になる。したがって、これらのパラメータを微調整することによって、流れに誘起される縞を、すべて除去できなくても最小にすることができる。
【0135】
[00139]具体的には、これらのパラメータは、一部には、流れ挙動の考慮によって決定することができる。たとえば、一実施形態では、異なる金型温度(185、195、および205℃)、射出速度(5、10、および15mm/秒のスクリュー速度)、およびGCP(50×105、100×105、200×105、および300×105パスカル(50、100、200、および300バール))下で、0.4重量%のN2のSCFが溶解されたポリマー溶融物の挙動を有するレオロジー(流れ)がもたらされた。そのような事例では、GCPが300×105パスカル(300バール)であるとき、測定された剪断率は3000-11000s-1の範囲内であり、ガラス転移温度Tgは96から50℃まで低減された。同様に、この事例では、GCPが50×105から200×105パスカル(50から200バール)に増大されたとき、従来の射出成形と比較すると、溶融物の粘性は約30%低下した。
【0136】
[00140]具体的には、GCPが300×105パスカル(300バール)であるとき、発泡していない単相射出溶融物の粘性を、射出条件に応じて50%程度低減させることができる。これは、圧力要件および温度要件を下げ、それによって製造コスト、具体的にはエネルギーコストを低減させ、作製中の発泡部品のサイクル時間も低減させるために有用である。したがって、これらのシステムパラメータは、正しいバイオポリマー化合物を選択し、材料の機械特性に適合するようにプロセス温度、圧力、および保持時間を調節することなどによって、より低い圧力および温度要件、ならびにより短いサイクル時間のおかげで、より大きいエネルギー節約を可能にし、これはより多くの部品がより速くより少ない費用で作製されることにつながる。
【0137】
[00141]加えて、上述したように、本機械およびシステムの重要な特徴は、より均一になるように気泡サイズを制御するように構成することができることである。上記で論じたように、これは、一部には、温度、圧力、SCF投与量制御、GCP、DMTC、および上記で論じた他のパラメータを制御することによって達成することができる。これらの属性はすべて、発泡マトリックス内で最適のより均一な気泡サイズおよび最適の均質な分散を確保するように合わせて機能する。さらに、メルトフロントに沿って流体の漂流を制御することによって、表面品質を改善することができる。
【0138】
[00142]その名が示唆するように、メルトフロントとは、溶融単相溶液が成形空洞に入る点である。メルトフロント速度は、メルトフロントの前進速度である。複雑な空洞幾何形状を有するあらゆる金型に対して、空洞の一部は、他の区域より速く充填されることがある。他のパラメータを制御する中でも、温度、圧力、およびSCF投与量制御を制御することなどによって、メルトフロント速度を制御することによって、より均一の金型空洞充填速度を実現することができ、これにより、その結果得られる発泡体部品の表面品質を表面的に許容できるものにすることができることが確実になる。
【0139】
[00143]したがって、上述したように、単相溶液が生成された後、修正された射出成形機は、射出の開始まで溶液を加圧状態で維持する。たとえば、機械は、上述したように、シャットオフノズルおよびスクリュー位置制御を組み合わせた労力により、これを実現するように構成することができる。特に、シャットオフノズルは、可塑化バレル(往復スクリューを有する)と金型との間の接続として働くように構成することができる。そのようなシャットオフノズルは、自己制御式または外部制御式とすることができ、これを使用して、溶融物投入間の溶融物の垂れ落ちを回避し、したがって金型への減圧および早すぎる発泡を防止することができる。
【0140】
[00144]したがって、シャットオフノズルは、金型への減圧および早すぎる発泡を防止する。たとえば、シャットオフノズルがなければ、単相溶液は、金型空洞内に十分な圧力を有しないはずであり、所望の成形発泡体部品が作製されないはずである。同様に、能動または受動のスクリュー位置制御を利用して、スクリューの後方移動によって減圧を防止することができる。
【0141】
[00145]特に、システムは、能動スクリュー位置制御を実施するように構成することができ、スクリューの位置が連続して監視され、スクリューの後方に印加される圧力が、スクリューの後方で保持された所定の位置設定点または一定の圧力を維持するように調整される。たとえば、受動位置制御では、スクリュー回収が終了した後、背圧を調節するために使用される油がそのタンクへ流出することが防止される。この残留油は、単相溶液の圧力によりスクリューが後方へ動かないように維持する。
【0142】
[00146]加えて、上述したように、適切な金型設計は、単相溶液を維持するのに役立つ。具体的には、金型が高温ランナーシステムを含むそれらの事例では、1つまたは複数のバルブゲートを含むことができ、そのようなバルブゲートは、金型の開放時などに材料がノズルから垂れるのを防止するように制御することができる。より詳細には、本明細書では、射出成形装置内で高温ランナーシステムを使用することができ、そのような高温ランナーシステムは、溶融プラスチックを機械のノズルから金型工具空洞内へ伝達するためにより効果的に使用することができるように物理的に加熱される部品からなるシステムを含むことができる。たとえば、「低温」または「高温ランナー」を使用することができ、低温ランナーは、溶融プラスチックがノズルを離れた後に金型空洞内へ誘導するために利用される加熱されていない物理的チャネルであり、高温ランナーは加熱されるが、低温ランナーは加熱されない。
【0143】
[00147]同様に、様々な事例では、装置は、通常動作中にスプルーブッシングとの接触を切断するように構成されたノズル切断を含むことができる。この構成は、スプルーブッシング上で遮断を利用するスタックまたはタンデム金型において有用である。特に、スプルーブッシングは、機械ノズルを受け入れ、それによって溶融バイオポリマー化合物が金型に入ることを可能にするように構成することができる。機械ノズルがスプルーブッシングに接触することから係合解除しなければならない場合、溶融バイオポリマー化合物は、スプルーブッシングから後方へ垂れ落ちることがあり、金型の減圧が生じる可能性がある。溶融して垂れ落ちた廃棄物は、精算コストを増大させ、溶融物の次の投入に悪影響を与え、さらには金型の適切な閉鎖を阻止する可能性があり、これは場合により、さらなる問題を生じさせるはずである。
【0144】
[00148]これを克服するために、シャットオフを有するスプルーブッシングの選択を利用することができる。そうでない場合、高温ランナーからの圧力がスプルーブッシングを通って解放される。特に、スプルーブッシングがシャットオフを必要とするとき、シャットオフは、上述した他の利益に加えて、蓄積された金型内の圧力が逃げることを防止する。金型の減圧は、場合により、溶融部品の発泡を阻止するはずであり、その結果、所望の成形部品が形成されないはずである。
【0145】
[00149]上述したように、生分解性で産業的に堆肥化可能な微細発泡体を射出成形するために、様々な起泡剤を利用することができる。特定の事例では、これらの起泡剤には、不活性窒素ガスもしくは二酸化炭素または超臨界流体(SCF)状態に変換することが可能な他のガスなど、不活性ガスおよび/または希ガスを含むことができる。本明細書に開示する装置、システム、およびその使用方法によれば、バレル内の溶融バイオポリマー溶融物に起泡剤を送り込むように射出成形機バレルに結合、たとえば固定することができる特別設計のコンピュータ制御式射出機などによって、機械、たとえば溶融物バレル内へ、SCFを導入、たとえば射出することができる。射出成形機コントローラは、窒素または二酸化炭素などにかかわらず、特有のSCFガス投与量をバイオポリマー溶融物内へ送達するようにプログラムすることができ、この送達は、システムコントローラによって最適化することができる。
【0146】
[00150]したがって、上述したそれぞれのSCF起泡剤には、作製される最終部品の技術的要件に応じて役割がある。特に、上述したように、有用なSCFはその超臨界状態にある二酸化炭素であり、二酸化炭素は、同じ圧力で窒素より高密度でありながら、はるかに高い熱容量を有する。実験は、超臨界状態にある二酸化炭素が、特定の緩衝用途で有用となることができる高密度の発泡体を生じさせることを示している。対照的に、超臨界窒素は、本開示のフットウェアおよびスポーツ用品の用途にとって有用なより小さい気泡を有する低密度の発泡部品を作製するために使用することができる。
【0147】
[00151]したがって、靴などの運動用品を作製するのに有用な起泡剤は、SCF二酸化炭素よりはるかに低い重量パーセントで改善された軽量化および細かい気泡構造を提供するSCF窒素ガスであるが、家具および自動車用の場合、有用な起泡剤は、より大きいサイズおよび/または重量であるがはるかに大きい気泡構造を作製する二酸化炭素である。具体的には、様々な事例では、発泡部品の強化された軽量化は、最少量の重量を必要とする製品用途にとって有用な特徴である。非限定的な例として、ランニングシューズは、非常に軽量でありかつ繰返しの酷使に耐える能力を実証する軟質発泡体を含むことが引き続き必要とされている。
【0148】
[00152]上述した例において細かい気泡構造を有する強化された軽量化を提供することによって、射出成形軟質発泡体部品は、許容できる程度に軽量の靴を作ることによってランナーの効率を増大させるその能力に関して依拠されるはずである。さらに、上述した発泡体の細かい気泡構造は、ランナーが運動の加速中に靴の発泡部品に圧力および衝撃を常に印加することに起因する繰返しの衝撃力に対処することが可能であるはずの構成要素部品を有する非常に耐久性のあるランニングシューズを確実にするはずである。
【0149】
[00153]実際には、SCF窒素レベルは典型的に、同等の部品を実現するために必要とされるSCF二酸化炭素レベルより少なくとも75パーセント低い。それによって、SCF二酸化炭素と比較すると大幅に低減されたSCF窒素レベル要件は、シューズ構成要素を作る際に利用される本開示の生分解性で産業的に堆肥化可能な軟質発泡体を大量生産するときに、最適の材料の節約および時間の節約を確実にする。しかし、SCF二酸化炭素は、粘性の低減が主な処理目標であるとき、および/またはその用途がSCF窒素のより攻撃的な発泡作用に耐えることができないときなど、様々な特定の状況において有用な起泡剤である。
【0150】
[00154]特定の事例では、SCF二酸化炭素は、特に半軟質発泡体において好適な起泡剤である。軟質および半軟質のどちらの発泡体も、どちらも通常は室温であるそのサービス温度を下回るガラス転移(Tg)を有するポリマーに由来するため、同じカテゴリの軟質発泡体に含むことができる。物理的発泡剤による物理的発泡プロセス中、ガラス転移の低下がみられる。窒素起泡剤および二酸化炭素起泡剤の有効性のこれらの差は、バイオポリマー溶融物中でのそれらの挙動に由来する。
【0151】
[00155]たとえば、摂氏31.1度および72.2×105パスカル(72.2バール)でSCF流体になる二酸化炭素は、摂氏-147度および34×105パスカル(34バール)で超臨界流体になる窒素より、バイオポリマー中で4~5倍溶けやすい。たとえば、温度および圧力条件に応じて、未充填のバイオポリマーの飽和点は、窒素の約1.5~2重量パーセントであり、二酸化炭素の飽和レベルは、8重量パーセントに近い。二酸化炭素はまた、バイオポリマー中で窒素より大きい移動度を呈し、既存の気泡中へさらに移動することが可能である。気泡核形成の観点から、可溶性および移動度がより大きいということは、より少ない気泡が核形成されることを意味し、核形成するそれらの気泡は、より大きくなる傾向がある。
【0152】
[00156]しかし、可溶性は、目標が粘性の低減であるときに利点になる。バイオポリマー中に溶解したSCFは、可塑剤として作用し、バイオポリマーの粘性を低減させる。粘性の低減は、バイオポリマーに加えられるSCFの量に部分的に応じ、二酸化炭素は窒素より高い可溶性限界を有するため、二酸化炭素によって粘性を低減させる能力はより大きい。二酸化炭素はまた、部品を作製するために必要とされる窒素の量が、部品を一貫して処理することが可能でないほど小さいときに有用である。
【0153】
[00157]二酸化炭素は、はるかに攻撃性の低い起泡剤であるため、場合により、低レベルの二酸化炭素を実行することはより容易である。たとえば、0.15または0.2パーセントの二酸化炭素が、0.05パーセント未満の非常に低レベルの窒素に相当する。前述の例に示す事例は、厚い断面を有する軟質材料および部品の場合に主に生じる。したがって、物理的起泡剤は、SCF窒素もしくはSCF二酸化炭素または他のSCFである場合、最終発泡部品およびそれらを含む最終的な製品において有用な役割を担う。
【0154】
[00158]第1に、適合しているバイオポリマーまたはバイオポリマー化合物および関連するSCFガスの適当な組合せを選択することが有用である。第2に、最適の投与重量および圧力によってSCFガスを適切に利用することは、単相溶液内の最大飽和を確実にし、発泡マトリックス内に数百万の均一の気泡を作製するために最適の核生成を確実にするために重要である。加えて、上記で説明したように、最終結果である均質に形成された射出成形軟質発泡部品は、商業的に許容できる成形発泡部品を実現するために射出成形機の温度、圧力、および保持時間と共生的に機能するSCFおよびGCPガス投与プロセスのあらゆる態様に依拠する。
【0155】
[00159]上述したように、一態様では、連続気泡であるか、それとも独立気泡であるかにかかわらず、生分解性で産業的に堆肥化可能な軟質発泡体を製造するプロセスが提供される。様々な事例では、製造プロセスは、以下のステップのうちの1つまたは複数を含む。第1に、発泡のために熱可塑性バイオポリマーをマスタバッチ内へ混合することができる。非限定的な例として、参照されるマスタバッチは、2つ以上のバイオポリマー、充填材、および/または添加剤を押出バレル内などの単独重合体溶融物内へ均質に混合することができる二軸スクリュー押出機によって作製することができる。次いで、溶融バイオポリマー混合物がストランド押出されて冷却され、マスタバッチと呼ばれる顆粒状に造粒され、次いでこれを上述したように処理することができる。好適なバイオポリマー、バイオプラスチック、充填材、添加剤、および着色剤の任意の組合せを、マスタバッチの作製に組み込むことができる。したがって、作製された後、熱可塑性バイオポリマー混合物は、不活性窒素または二酸化炭素ガスなどのSCFとともに、好適な成形形状内へ射出成形することができる。
【0156】
[00160]上述したように、本射出成形は、溶融材料を製品金型内へ射出することによって部品を作製する製造プロセスで利用することができる。本開示では、顆粒状などの好適なバイオポリマーまたはバイオポリマー混合化合物が選択される。上述した顆粒は、あらゆる潜在的な湿気が除去されることを確実にするために、補助ペレットドライヤ内で事前に乾燥させることができる。次いで、この事前乾燥されたペレットを射出成形機ホッパー内へ導入することができる。操作者は次いで、射出成形機の最適のバレル温度、ノズル温度、および金型温度を選択し、これらの値をコンピュータ制御装置によって入力する。
【0157】
[00161]さらに、最適のSCFガス投与量の割合および圧力ならびに最適のGCPガス投与量および圧力を調整することができ、これらの値を、たとえば動的に、システム制御ユニットに入力することができ、または他の方法でシステム制御ユニットによって判定することができる。システムが適切に構成された後、射出成形機は、動作する準備ができる。顆粒は、特有の1つまたは1組の温度で溶融されるようにコンピュータ制御装置によって指定された量で、射出成形機のスクリューおよびバレル内へ解放することができる。
【0158】
[00162]SCFガスは、コンピュータ制御装置によって、制御された圧力および投与サイズで、SCF射出機を通って射出成形機バレル内へ導入される。SCFは、この時点で溶融している顆粒を飽和させ、単相溶液が生成される。次いで、適切な背圧およびスクリュー位置によって、射出成形機は、測定された投入量の単相溶液を、動的に温度制御された金型空洞内へ送る。溶融物内では核成長が生じ、数百万の微細気泡がバイオポリマー溶融物内で形成される。実質上同時に、GCPシステムは、気泡の均一性を最適化して最適の表面的な外観のために表面テキスチャを調整するコンピュータ制御装置によって、事前に計測された投与量の逆圧ガスを金型内へ送る。次いで、動的に温度制御された金型温度を水冷却に切り換えることができ、気泡の形成および溶融物の膨張が停止する。この時点で、軟質発泡体成形部品がここで形成され、金型から排出される。
【0159】
[00163]特に、上述したように、システムは、最適の気泡構造を作製するために使用することができる動的成形温度制御を実施するように構成することができる。たとえば、上述したように、動的成形温度制御(DMTC)は、急速な電気ロッド加熱および急速な水冷却を実施する。より詳細には、本明細書で利用されるDMTC手順は、空気圧縮器、バルブ交換デバイス、コンピュータ制御式の金型温度制御ユニット、電気加熱式の金型、および冷却塔という5つの主要な構成要素のうちの1つまたは複数を含むことができる。冷却塔は、冷却動作の実行のために金型に水冷却を提供するように構成され、好適に構成された空気圧縮器は、空気弁によってガスを駆動するための圧縮空気を生成し、あらゆる残留冷却水が冷却後に金型に入らないようにする。1つまたは複数のバルブ交換デバイスは、高温および低温熱サイクルなどのために、異なる媒体を様々な機械管路から金型へ伝達するようにバルブを切り換えるように構成および利用することができる。電気制御式の加熱要素を含むことができ、そのような加熱要素は、発泡部品の最終形状を成形するように構成することができる。給水塔および加熱要素はともに、成形プロセスの実行の際に金型の加熱および冷却を急速に加熱および/または冷却することができるように、金型温度を細かく制御するように機能することができる。
【0160】
[00164]これらはすべて、好適に構成されたコンピュータプロセッサによって、射出成形機と協働する。たとえば、本発明のDMTCシステムの冷却水温度制御の非限定的な例は、15~30℃とすることができ、DMTCシステムの加熱要素温度範囲のさらなる非限定的な例は、60℃~150℃の範囲とすることができ、90℃~130℃の範囲とすることができ、これらの範囲内の任意の温度とすることができる。これらのように、バイオポリマー溶融物、圧力、および時間は、望ましい軟質発泡体が形成されるように制御することができる。
【0161】
[00165]特に、本開示の射出成形プロセス中、SCFがポリマー溶融物内へ射出される。射出成形機スクリューおよびバレル内の明確な温度および圧力下で、単相のポリマーSCFが混合した溶液が得られる。温度および圧力は、コンピュータ制御装置によって可変的に制御可能とすることができ、作製されている軟質発泡体のタイプおよびどのタイプの最終製品用途であるかに直接関係する。適切な投入サイズ、投入保持時間、溶融温度、および金型温度と合わせて、スクリューに含まれる可変のSCF単相溶液圧力およびGCP圧力を印加することによって、システム全体が、高品質で商業的に許容できる生分解性で産業的に堆肥化可能な軟質発泡体部品を作製することができるように作られ、これは、発泡部品の外側に最少量の表面欠陥および皆無かそれに近い可塑性の外殻を有する最適の発泡構造を確保するために、射出成形プロセスでガス逆圧を利用することなどによる。
【0162】
[00166]上述したように、本明細書に開示するデバイス、システム、およびその方法によって作製される製品の有用な利益は、家庭内または産業的堆肥化プロトコルなどにおいて、生分解可能および/または堆肥化可能とすることができることである。特に、産業的堆肥化方式で分解されるように構成された商品を作製することで、軟質発泡体は、最終の靴の使用途中で故障または崩壊しないように機能化することなどによって、その結果得られる製品の使用可能寿命まで持ちこたえることが確実になる。たとえば、本開示の軟質発泡体から作られた家具、靴、または他の運動用具を購入したが、製品の使用可能寿命の終了前の正常な使用中に発泡体が分解する結果となることは好ましくないはずである。
【0163】
[00167]より詳細には、本開示は、不活性の物理的起泡剤および生分解性で産業的に堆肥化可能なバイオポリマーまたはバイオポリマー化合物の使用から利益を得る。これら2つの態様はともに、特殊な軟質発泡体射出成形システム内で機能化された単相溶液を形成する。その結果、多数のタイプの最終製品で使用するための生分解性で産業的に堆肥化可能な軟質発泡体が得られ、その非限定的な例は、靴を作る際に使用するためのフットウェア用の発泡体である。その結果得られる軟質発泡体は架橋されておらず、化学物質を含まず、環境に優しい。
【0164】
[00168]生分解性で産業的に堆肥化可能な軟質発泡体の寿命が終了すると、廃棄物転換によって適当な産業的堆肥化設備へ再誘導することができ、それによって発泡体は粉砕され、産業的に堆肥化されて使用可能なバイオマスになる。この最終結果により、いわゆる循環型経済の態様を順守するシステムが得られる。本開示の軟質発泡体は、「土から土」として開始および終了し、これは、自然の生物学的プロセスが、最少量の環境への影響で人間が使用するための材料および製品を作るように適合されていることを意味する。これらの軟質発泡体は、使用可能寿命中の技術的性能特性に関しても、環境を意識した設計に関しても妥協しない。
【0165】
[00169]本明細書に上記で論じたように、本明細書のデバイス、システム、およびその使用方法は、フットウェア、座席、自動車、防具、および/またはスポーツ用品で使用するための構成要素などの1つまたは複数の成形最終製品を作製する目的で利用することができる。したがって、様々な実施形態では、靴のソール、ミッドソール、および/またはインソールなど、靴の構造で有用な1つまたは複数の構成要素が、本明細書に提供され、ソールは靴の底を形成し、地面に接触するように構成され、ミッドソールは、中間の構造的緩衝要素を形成し、インソールは、靴の中に挿入され、それによって靴に緩衝および/または支持を提供するように構成される。
【0166】
[00170]特定の実施形態では、シューズ構成要素は、環境に優しく生分解性で堆肥化可能とすることができる本明細書で作製された発泡体材料を含むことができる。様々な事例では、それぞれ個々の構成要素は、底層および緩衝材層を含む複数の層から構成することができる。たとえば、特定の実施形態では、底層に結合された支持部材などの支持部材を含むことができ、構成要素がインソールである場合、アーチまたはヒールに接触する部分の1つまたは複数に含むことができる。
【0167】
[00171]特に、様々な実施形態では、発泡材料を作製することができ、発泡体材料は、緩衝物、緩衝物付きの家具、靴のインソールなどのシューズ構成要素、マット、繊維、布地などの作製で使用することができる。他の有用な製品は、シリコーンコーキングなどのコーキング、医療用のシリコーン手袋、薬物送達システム用のシリコーン管材、シリコーン接着剤、シリコーン潤滑剤、シリコーン塗料、および他の好適なシリコーン製品、たとえばコンドームを含むことができる。様々な実施形態では、発泡製品は、発泡材料が1つまたは複数の抗微生物性、抗菌性、抗真菌性、抗ウイルス性、および/または耐燃性の特性を有することができるように作製することができる。
【0168】
[00172]より詳細には、一態様では、本開示は概して、たとえば生分解可能および/または堆肥化可能である発泡体を含みまたは他の形で発泡体から構成された家具など、布張り家具および/またはその緩衝物などの家具の製造のためのプロセスを対象とすることができる。したがって、本開示の発泡体は、そのような作製された発泡体インサートを含む家具の製造で使用するのに有利である。作製および利用される樹脂および発泡体は、枕、長椅子、ベッド、シートクッション、または他の布張り家具などの緩衝材料として使用するのに有利であることが証明されている。
【0169】
[00173]たとえば、本明細書に上記で開示した方法によれば、家具または車の装備品の構成要素で使用するような発泡体インサートを形成するように、小型から大型のブロック発泡体の金型を作製することができる。ブロック発泡体は次いで、作製されている家具のタイプおよび形態に基づいて、所望のサイズおよび形状のより小さいブロックに切断することができる。具体的には、サイズ設定および切断されたブロックは次いで、家具もしくは車のフレームまたは他の境界材料に取り付け、または他の形でその中に嵌合することができ、枕、ソファ、クッション、たとえばソファまたは車のクッションなどにかかわらず、これらを合わせて被覆し、最終家具製品を作製することができる。加えて、所望される場合、外側筐体または境界材料を、ステープル留めおよび/もしくは鋲留めなどによって、フレーム材料に取り付けることができ、または布地もしくは他の材料で布張りおよび被覆される物品のフレームに他の形で締結することができる。
【0170】
[00174]したがって、様々な実施形態では、長椅子またはカーシートなどの布張り家具を製造するとき、フレームを作製することができる。ばねなど、家具の様々な内部構成要素、たとえば構造的構成要素を、フレーム内に設置することができ、次いで本明細書に上記で開示した方法によって作製された発泡シートを、緩衝および/または絶縁のためなどに、ばねの中、上、および周囲に位置決めすることができる。当然ながら、綿、羊毛、フェルト、ゴム系製品の層などの他の材料を含むこともでき、次いでカバー材料を取り付けて、フレームを被覆し、製品の製造を終了することができる。
【0171】
[00175]具体的には、本発泡体は、本明細書に開示する他の材料とともに、詰め物または充填物として機能することができ、カバー材料がフレームの上に伸ばされたとき、カバーの下で形を作り、調整し、押し込むことができる。加えて、上述したように、様々な事例では、本明細書で作製される発泡製品は、複数の理由で、当技術分野で知られている発泡製品内およびその上で有用であり、それらの理由のうち少なからず重要なものは、典型的なPUおよび/またはEVA発泡体が生分解性をもたないのに対して、本明細書で作製される発泡体の構成要素は生分解性を有することである。したがって、様々な実施形態では、オープンフレームで家具を構築する方法が提供される。たとえば、1つの事例では、方法は、以下のステップのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0172】
[00176]特に、この方法は、後部、複数の側壁、および座席部分を画定するフレームを設けることを含むことができ、互いに対して、後部フレーム部分は実質上垂直に延び、座席部分は実質上水平に延び、したがって座席部分は垂直部分を横断する。この方法は、平板の発泡体を適当なサイズおよび形状に切断して、後部および座席ならびに/または側壁部分に詰め物を提供することと、平坦なカバー材料を適当なサイズおよび形状に切断して、後部、座席、および/または側壁部分を仕上げることと、隔置位置で発泡体シートおよびカバー材料をともに取り付け、発泡体を圧縮して、その外面内に所定の輪郭設計を形成し、発泡体シートおよびカバー材料が取付け位置の中間で相対的に動かない実質上平坦なサブアセンブリを形成することと、サブアセンブリの形を作ってフレームに取り付けることとをさらに含むことができる。発泡体緩衝物または緩衝物付きの物品のためのカバーは、羊毛織物、ナイロン織物、または他の様々な合成繊維ならびに革などの材料の織物など、家具の布張りおよび装飾用枕の被覆などで通常使用される任意の好適な被覆材料とすることができる。
【0173】
[00177]さらに、別の態様では、本開示は概して、発泡体、たとえば堆肥化可能な発泡体を含みまたは他の形でそのような発泡体から構成されたシューズ構成要素など、靴のソール、ミッドソール、および/またはインソールなどのシューズ構成要素の製造のためのプロセスを対象とする。具体的には、特定の実施形態では、ソール、ミッドソール、インソール、および/または他のシューズインサートを作る方法が提供される。たとえば、本シューズインサートは、靴に挿入されまたは他の形で嵌合するように適合された緩衝デバイスの形態、たとえばランニングシューズまたはスニーカとすることができ、地面、たとえばランニングまたはウォーキング中の地面に当たる足の衝撃を低減させ、それによって足への衝撃を吸収および/または減衰するように構成することができる。
【0174】
[00178]特に、ミッドソールおよびインサートを含むシューズソール構成要素は、1つまたは複数の層を含むことができる。たとえば、いくつかの事例では、底層、発泡体層、および/または布地層を提供することができる。具体的には、比較的弾性の材料の底層、および/またはたとえば底層の上に配置された発泡体層、および/または発泡体層の上に配置された布地層を含むことができる。したがって、この方法は、底層、発泡体層、および布地を3層積層シートに一体形成することを含むことができる。様々な事例では、少なくともヒール領域に、支持層を配置することができ、支持層は、積層体より高密度の材料などの硬質材料から構築することができる。3層積層体に支持層を取り付けて形成するために、接着剤、のり、または他の取付け機構を提供および利用することができる。
【0175】
[00179]より詳細には、他の事例では、インサートなどのシューズ構成要素を作る方法は、発泡体層および/または布地層を設けるステップと、発泡体層を加熱するステップと、発泡体および布地層をつなぎ合わせるステップと、底層、たとえば発泡体層と同じ、より大きい、またはより小さい密度を有する底層を設けるステップと、底層および発泡体層のうちの少なくとも1つを加熱して底層を発泡体層に結合し、2層または3層積層体を形成するステップとを含むことができる。
【0176】
[00180]これらの方法は、アーチ支持体および/またはヒール部材などの事前形成された支持部材を設けることをさらに含むことができ、これらの部材は、発泡体層の密度と実質上同じ、またはより小さい、またはより大きい密度を有することができる。特定の事例では、支持部材は、発泡体層と比較してより大きい密度、したがってより大きい剛性を得るために、圧縮発泡体材料から形成することができる。加えて、支持体および/またはヒール部材と積層体との間に、熱および/または圧力に反応可能な接着剤を適用することができる。次いで、組成物に成形圧力を印加して、3層積層体を支持部材および/またはヒール部材に形成および/または成形し、一体化されたワンピースのシューズインサートを形成することができ、そのようなシューズインサートは、後方部分を形成する事前形成されたヒール部材、ならびに/または最終シューズインサートの底面の中央部分をたとえばその中央および/もしくはヒール領域に形成する支持部材、ならびに最終シューズインサートの底面をその前方領域に形成する底層を有する。
【0177】
[00181]しかし、支持部材および/またはヒール部材を含む必要はなく、いくつかの事例では、積層構成要素のうちの1つまたは複数を除外することができ、または他の積層体層を追加することもできることに留意されたい。さらに、特定の実施形態では、発泡体層は、底層より大きい柔軟性および/または緩衝性を有することができ、たとえば底層より大きい硬度を有することができ、底層は、支持部材より大きい柔軟性および/または緩衝性を有することができ、たとえば支持部材より大きい硬度を有することができることに留意されたい。したがって、より大きい柔軟性を有する発泡体および底層は、比較的弾性であり、所望の靴のサイズおよび構成に形状が一致することができるのに対して、支持層は、比較的より硬質とすることができる。
【0178】
[00182]特に、上述したように、発泡体層および/または1つもしくは複数の支持層は、本明細書に開示する生分解性および/または環境に優しい発泡体材料から構築することができる。具体的には、支持層は、より高密度の発泡体とすることができ、したがって支持層をより硬質にすることができる。したがって、様々な実施形態では、発泡体層は、約32.04kg/m3(2ポンド/立方フィート)または約48.06kg/m3(3ポンド/立方フィート)または約80.09kg/m3(5ポンド/立方フィート)~約160.18kg/m3(10ポンド/立方フィート)以上の密度、たとえば約64.07~96.11kg/m3(4~6ポンド/立方フィート)の範囲内の密度を有することができる。加えて、発泡体層は、0.3175cm(1/8”)±5%の厚さ、たとえば約0.2381cm(3/32”)~0.3969cm(5/32”)の範囲内の厚さを有することができる。
【0179】
[00183]同様に、底層もまた、約32.04kg/m3(2ポンド/立方フィート)または約48.06kg/m3(3ポンド/立方フィート)または約80.09kg/m3(5ポンド/立方フィート)~約160.18kg/m3(10ポンド/立方フィート)以上の密度、たとえば約64.07~96.11kg/m3(4~6ポンド/立方フィート)の範囲内の密度を有することができる。底層の厚さは、約0.7937cm(5/16”)±10%程度とすることができる。しかし、様々な事例では、底層の厚さは、厚さ約0.635cm(1/4”)以下~約1.111cm(7/16”)の範囲とすることができる。支持層に関しては、支持層は、主にインソールのアーチおよび/またはヒール領域で形成することができ、また本明細書に開示する生分解可能および/または堆肥化可能な発泡体から作ることができる。
【0180】
[00184]しかし、支持層は、最終密度が352.4061~368.4247kg/m3(22~23ポンド/立方メートル)程度になるように圧縮することによって作ることができる。布地層は、任意の好適な材料、たとえば綿、ポリエステル、またはポリプロピレン編物から構築することができる。様々な事例では、材料および発泡体層は、発泡体層に向けられた裸火を利用する火炎積層技法によってともに積層させることができる。裸火は、平板発泡体層の溶融を引き起こすのに十分な熱を表面に生成する。溶融した後、発泡体層に布地層をつなぎ合わせることができ、2つのともに挟まれた層を冷却ローラ間に通すことができ、2つの層がともにつなぎ合わされるのに十分な圧力がローラ間に印加される。
【0181】
[00185]プロセス中のこの時点で、これらの層はそれでもなお、平板状で維持される。これらの一体化された層は次いで、同じく火炎積層によって底層につなぎ合わせることができる。前に一体化された材料および発泡体層は、支持層につなぎ合わせることができ、次いで、これら複数の積層された層を冷却ローラ間に通すことができる。プロセスのこの段階で、これらの層はそれでもなお、平板状である。この時点でこうして積層された層はこのとき、成形する準備ができる。これは、積層された層を約1~約5分以上、たとえば約225秒の期間などにわたって、約121.1℃(250°F)の成形温度まで加熱することによって実行することができる。これにより、事前に積層された層が、金型内へ挿入されるのに十分なほど加熱する。
【0182】
[00186]以下、添付の図を参照する本開示の様々な実装形態について説明する。したがって、一態様では、フットウェア構成要素が提供される。特に、
図1に示すように、本開示の一実施形態は、生分解性で産業的に堆肥化可能な熱可塑性バイオポリマー混合物102から作られたフットウェア構成要素、すなわち微細軟質発泡体シューズミッドソール100である。
【0183】
[00187]具体的には、生分解性で産業的に堆肥化可能な射出成形の微細軟質発泡体シューズミッドソールは、熱可塑性バイオポリマーなどを含むバイオポリマーおよびバイオポリマー混合物のうちの1つまたは複数から作られる。特に、生分解性で産業的に堆肥化可能な射出成形の微細軟質発泡体を製造するために使用される熱可塑性バイオポリマーまたはバイオポリマー混合物は、任意選択で、任意の数の脂肪族および脂肪族-芳香族コポリエステルなどから生成することができる。
【0184】
[00188]バイオポリマーまたはバイオポリマー混合物を作製する際に使用する好適なバイオポリマーの非限定的な例は、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(L-乳酸)(PLLA)、ポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)(PBAT)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、および熱可塑性デンプン(TPS)からなる。加えて、生分解性で産業的に堆肥化可能な射出成形の微細軟質発泡体の製造において、ハイブリッドバイオポリマー混合物を利用することができる。ハイブリッドバイオポリマー混合物の非限定的な例は、藻類を含むポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)(PBAT)からなる。
【0185】
[00189]提供される例では、ハイブリッドバイオポリマーの藻類部分は、粉末状の任意の好適な種の藻類からなる。好適な藻類種のいくつかの非限定的な例には、藍藻類、緑藻類、紅藻類、褐藻類、および珪藻類、ならびにこれらの組合せが含まれる。上述した乾燥藻類粉末は、藻類粉末がPBATのポリマー鎖に変性するように、標準的な機器でPBATバイオポリマーを二軸スクリュー押出することができる。これはそれによって、本開示の生分解性で産業的に堆肥化可能な射出成形の微細軟質発泡体の製造で使用するためのハイブリッドバイオポリマーを形成する。
【0186】
[00190]発泡製品は、充填材粉末および/または1つもしくは複数の添加剤という成分のうちの複数を含むことができ、または他の形で組み込むことができる。特に、用途に応じて、バイオポリマーの配合でも同様に、添加剤を利用することができる。たとえば任意選択で、オリゴマーポリ(アスパラギン酸-co-ラクチド)(PAL)をマスタバッチに混ぜ合わせて、生分解を加速させることができる。加えて、アラゴナイト、デンプンなどからの沈降炭酸カルシウムなどの充填材を利用して、部品コストを低減させながら、最終軟質発泡体の再生可能で生分解性の完全性を維持することができる。
【0187】
[00191]さらに、バイオポリマーの配合で使用するための追加の添加剤は、以下のうちの1つまたは複数からなることができる。微小層状タルクまたは高縦横比の魚卵状アラゴナイトなどの核剤を含むことができる。そのような核剤は、他の有益に強化された属性の中でも、気泡の癒着を防止し、バルク密度を下げ、反発弾性を改善することによって、その結果得られる軟質発泡体の主要な特性を大幅に改善することができる。生分解性で産業的に堆肥化可能な射出成形の微細軟質発泡体を作製する際に使用するための核剤のいくつかの非限定的な例は、テキサス州ヒューストンのImerys Talc America Inc.によってMistrocell(登録商標)として市販されている微小層状タルク、およびアラバマ州ガズデンのCalcean Minerals&Materials LLCによってOceanCal(登録商標)として市販されている高縦横比の魚卵状アラゴナイトである。
【0188】
[00192]着色剤、染料、および色素を含むこともできる。たとえば、任意選択で、染料、色素、または生物色素などの様々な着色剤を本発明のバイオポリマー配合で使用することができる。いくつかの非限定的な例は、独国ビンゲンアムラインのTreffert GmBH&Co.KGによって提供される広範囲の色素、またはインディアナ州リッチモンドのHolland Colours Americas Inc.によって提供される色素など、バイオポリマーの用途に合わせて作られた工場由来の天然色素である。
【0189】
[00193]所望の物理的特性に応じて利用することができる複数の構成および実施形態が存在するが、レクリエーション、水使用などのシューズミッドソール100の所期の最終使用は、これらの例によって限定されるべきでない。
【0190】
[00194]システムの好適なデバイスは、
図2に例示することができ、本明細書に上記で開示した発泡体材料の作製で利用することができる。たとえば、使用の際、バイオポリマーマスタバッチ202が、任意の好適な射出成形機206のホッパー204内へ送られる。バイオポリマーマスタバッチは、加熱によって液化されながら、射出成形機スクリュー208を通って輸送される。窒素またはCO
2ガス210が、バイオポリマー溶融物内へ射出および混合212される。さらに、バイオポリマー-ガス混合物は圧力を受け、射出成形ツール214内へ射出される。バイオポリマー-ガスの射出と合わせて、ガス逆圧システム216は、計測された窒素またはCO
2ガス218の用量を、ガス制御弁220を介して加圧成形ツールへ送る。
【0191】
[00195]その直後に、動的成形温度制御システム(DMTC)222は、成形ツール214内の温度を制御および調整する。成形ツール214は次いで、十分に冷却され、その結果得られる生分解性で産業的に堆肥化可能な射出成形の微細軟質発泡部品が、射出成形機から排出される。
【0192】
[00196]
図3は、生分解性で産業的に堆肥化可能な射出成形の微細軟質発泡体を作製する方法300を示すための流れ図を提供する。302で、バイオポリマー混合物が選択され、304で、混合物は材料ホッパーを通って射出成形機内へ吸い込まれる。306で、バイオポリマー混合物は液化および均質化され、射出成形機スクリューを通って輸送される。308で、窒素またはCO
2ガスがバイオポリマー溶融物内へ射出される。310で、バイオポリマー-ガス混合物は圧力を受け、射出成形ツール内へ射出される。312で、射出成形ツールの温度は、最適の気泡構造を確保するように動的に制御される。314で、最小の外殻厚さを有する理想的な発泡体構造を確保するのに十分な量の時間にわたって、最適の用量のガス逆圧が射出成形ツールに印加される。316で、射出成形ツールは十分に冷却され、その結果得られる成形発泡体部品が、射出成形機から排出される。
【0193】
[00197]いくつかの実装形態では、本明細書の開示に限定を与えるものではないが、生分解性で産業的に堆肥化可能な軟質発泡体の製造プロセスは、以下に略述するステップを含む。プロセス設定手順は、単相溶液をもたらすスクリュー速度、温度、および圧力条件下で、射出バレルへの制御されたSCF投与量を確立することを中心に展開する。
【0194】
[00198]SCF投与量の基本条件が満たされることを確実にするには、SCF送達圧力を調整し、スクリュー回転中にSCFを投与するバイオプラスチック圧力を設定するために、主に7つのプロセス設定点が存在する。これは、スクリュー回収中の特有のバイオポリマー背圧と、スクリュー休止中のスクリュー位置制御との両方を指す。非限定的な例として、バイオポリマー送達のための圧力設定点は、140.6kg/cm2(2,000psi)~210.9kg/cm2(3,000psi)の範囲内、より好ましくは189.8kg/cm2(2,700psi)~196.9kg/cm2(2,800psi)の範囲内とすることができる。この設定点は、SCF投与が開始するスクリュー位置を設定し、このスクリュー位置は次いで、SCF射出機を開放または閉鎖位置に設定することができる。この位置は、スクリュー回収中のバレル内の圧力が投与開始前より安定するように設定されるべきである。非限定的な例として、開放位置は、0.762~1.016cm(0.3~0.4インチ)の範囲内とすることができる。
【0195】
[00199]投入サイズおよびSCFの割合も制御することができる。これは、各サイクル中に投与されるSCFの実際の質量を制御する。非限定的な例として、投入サイズは、100グラム~300グラムの範囲内、より好ましくは200グラムとすることができる。SCF割合の非限定的な例は、0.45%~0.75%の範囲内、より好ましくは0.5%とすることができる。システムはまた、投与量を最適化するように構成することができる。これは、投与時間を最大化し、流量(事前計測圧力と送達圧力との差圧)を最小化することによって実現される。投与時間の非限定的な例は、1~2秒、より好ましくは1.7秒である。
【0196】
[00200]動的成形温度制御(DMTC)を実施することもできる。これは、射出充填段階中の金型温度を急速に変更および制御し、それによって高温および低温両方の熱サイクルの点から金型温度を動的に制御することを伴うプロセスである。溶融物の射出前、金型はまず、事前設定された上限まで加熱される。溶融物充填段階中、溶融物の早すぎる凝固を防止するために、金型空洞表面の温度を上限より高く維持することができる。
【0197】
[00201]溶融物充填プロセスが終了すると、金型は、排出温度として知られている下限まで迅速に冷却され、これは部品が金型空洞から排出される温度である。本開示の最適の金型温度範囲の非限定的な例は、毎秒1℃~毎秒15℃、より好ましくは毎秒11℃の冷却速度で、40℃~150℃である。本発明の金型冷却時間の非限定的な例は、80秒~100秒である。
【0198】
[00202]同様に、ガス逆圧(GCP)を制御することもできる。これは、溶融物内のガスの膨張を抑制するために窒素ガスが射出される加圧金型空洞を含むプロセスである。逆圧が解放されると、従来なら表面を突破するはずの気泡が内側に閉じ込められ、平滑な外殻を生じさせる。GCPは、表面品質、発泡体構造、および外殻の厚さによって発泡を制御する。本発明のガス逆圧の非限定的な例は、1秒~25秒、より好ましくは5秒の保持時間で、0×105パスカル(0バール)/10×105パスカル(10バール)/30×105パスカル(30バール)/50×105パスカル(50バール)である。本発明の平均微細気泡直径の非限定的な例は、マイクロメートル(μm)単位で、1マイクロメートル~100マイクロメートル、より好ましくは40マイクロメートルと測定することができる。
【0199】
[00203]上記の点から、いくつかの実装形態では、好適な熱可塑性バイオポリマー混合物が作製される。熱可塑性混合物が作製された後、窒素ガスなどの不活性ガスの添加などによって、熱可塑性バイオポリマー混合物を好適な成形形状に射出成形することができる。加えて、圧力も同様に細かく制御することができる。
【0200】
[00204]たとえば、射出成形プロセスにおけるガス逆圧の利用を実施することができる。これはまた、発泡部品の外側に最少量の表面欠陥および皆無かそれに近い可塑性の外殻を有する最適の発泡構造をさらに確保するのに有用であり、これは、成形形状に基づいて多数の最終用途を有することができる発泡製品を作るのに重要である。成形プロセスは、動的成形温度制御の実装を含むことができる。たとえば、様々な実施形態では、成形プロセスの温度を動的に制御することが、最適の気泡構造を実現するのに有用である。制御することができる成形プロセスの他の要素には、望ましい軟質発泡体が形成されるようにバイオポリマー溶融物、圧力、および時間を制御することが含まれる。
【0201】
[00205]したがって、上記の点から、本開示は、たとえばフットウェア構成要素、座席用構成要素、防具構成要素、およびウォータースポーツ用装備品で使用するために、生分解性で産業的に堆肥化可能な生物由来の熱可塑性樹脂から様々な軟質発泡組成物を射出成形微細発泡するプロセスに関する。
【0202】
[00206]生分解性で産業的に堆肥化可能な微細軟質発泡体構造を作製することは、脂肪族および脂肪族-芳香族コポリエステル由来のものなどの好適なバイオポリマーまたはバイオポリマー混合物から始まる。好適なバイオポリマー混合物の非限定的な例は、ポリ乳酸(PLA)およびポリ(ブチレンアジペート-co-テレフタレート)(PBAT)である。上述した混合熱可塑性バイオポリマー樹脂は、本発明の最適の微細軟質発泡体構造を形成する際に有利な技術的特性を示した。強化された技術的特性のいくつかには、他の利益のなかでも、許容できる劣化特性、優れた伸長性、および並外れた圧縮ひずみが含まれる。
【0203】
[00207]好適な起泡剤および発泡プロセスがなければ、最適の脂肪族および脂肪族-芳香族コポリエステルのバイオポリマーまたはバイオポリマー混合物だけで軟質発泡体を作製することはできない。今日使用されている最も広く知られた起泡剤は、アゾジカルボンアミド(ADA)と呼ばれる化学物質である。アゾジカルボンアミドは、典型的に、従来の射出成形発泡プロセスで使用するために石油化学熱可塑性マスタバッチ樹脂に事前に含浸されている。残念ながら、ADAは環境に優しくなく、人間の健康にとって発癌物質であることが疑われている。さらに、従来の石油化学熱可塑性マスタバッチ樹脂は、生分解可能でも産業的に堆肥化可能でもない。上述した本発明に対する最適の生分解性で産業的に堆肥化可能な軟質発泡体を実現するために、超臨界流体状態の不活性窒素ガスまたは二酸化炭素が、修正された射出成形プロセスにおいて、物理的起泡剤として使用される。修正された物理的発泡プロセスは、好適な熱可塑性バイオポリマーまたは混合バイオポリマーマスタバッチと合わせて利用され、したがってバイオポリマーまたはバイオポリマー混合物および起泡剤は、最適の生分解性で産業的に堆肥化可能な軟質発泡体を作製するように調和して機能する。
【0204】
[00208]本開示の射出成形プロセスは、バイオポリマーまたはバイオポリマー混合物および超臨界流体(SCF)の単相溶液が射出ゲートを通過して金型空洞に入るときに発生する均質な気泡核形成に依拠する。溶液が金型に入ると、圧力が降下し、それによりSCFが溶液から出て気泡核を形成する。気泡は次いで、材料が金型を充填し、SCFの膨張能力が費えるまで成長する。この製造プロセスは、バイオポリマーへのSCFの計測、送達、および混合が単相溶液を生じさせることを可能にするように修正された射出成形機で実行される。動的成形温度制御(DMTC)は、膨張するバイオポリマー溶融物内で一貫した気泡構造を確保するために利用される。DMTCは、射出充填段階中の金型温度の急速な変更および制御として最もよく説明することができ、これはそれによって、高温および低温両方の熱サイクルの点から金型温度を動的に制御する。その結果得られる軟質発泡体に皆無かそれに近い外殻を有する最適の発泡構造を確保するために、ガス逆圧(GCP)も製造プロセスで利用される。GCPは、溶融物内のガスの膨張を抑制するためにSCFが射出される加圧金型空洞を含むプロセスとして最もよく説明することができる。逆圧が解放されると、従来なら表面を突破するはずの気泡が内側に閉じ込められ、平滑な外殻を生じさせる。GCPは、表面品質、発泡体構造、および外殻の厚さによって発泡を制御する。
【0205】
[00209]SCFが完全に溶解されて溶融バイオポリマー中で均一に分散された単相溶液の生成は、慎重に制御されたプロセス条件下で、射出バレル内で行われ、SCFは、固定量の時間にわたって、バイオポリマー内へ正確に質量流量計測されなければならない。また、投与期間中にバレル内で温度、圧力、および剪断力の正しい条件を確立することができる。背圧、スクリュー速度、およびバレル温度の制御、ならびにSCF送達システムはすべて、単相溶液をもたらすプロセス条件を確立する役割をする。
【0206】
[00210]単相溶液が生成された後、修正された射出成形機は、射出の開始まで溶液を加圧状態で維持する。機械は、シャットオフノズルおよびスクリュー位置制御を組み合わせた労力により、これを実現する。シャットオフノズルは、金型への減圧および早すぎる発泡を防止する。能動または受動のスクリュー位置制御は、スクリューの後方移動によって減圧を防止する。能動スクリュー位置制御中、スクリューの位置が連続して監視され、スクリューの後方に印加される圧力が位置設定点を維持するように調整される、またはスクリューの後方で一定の圧力が保持される。受動位置制御では、スクリュー回収が終了した後、背圧を調節するために使用される油がそのタンクへ流出することが防止される。この残留油は、単相溶液の圧力によりスクリューが後方へ動かないように維持する。
【0207】
[00211]適切な金型設計はまた、単相溶液を維持するのに役立つ。高温ランナーシステムを有する金型は、金型の開放時に材料がノズルから垂れるのを防止するために、バルブゲートを必要とする。スタックまたはタンデム金型など、機械ノズルが通常動作中にスプルーブッシングとの接触を切断する金型は、スプルーブッシング上にシャットオフを必要とする。そうでない場合、高温ランナーからの圧力は、スプルーブッシングを通って解放される。
【0208】
[00212]生分解性で産業的に堆肥化可能な微細発泡体を射出成形するために利用される起泡剤は、超臨界流体(SCF)状態にある不活性窒素ガスまたは二酸化炭素である。上述したそれぞれの起泡剤には、作製される最終部品の技術的要件に応じて役割がある。
【0209】
[00213]本発明にとって有用な起泡剤は、SCF二酸化炭素よりはるかに低い重量パーセントで、改善された軽量化および細かい気泡構造を提供するため、SCF窒素ガスである。実際には、SCF窒素レベルは典型的に、同等の部品を実現するために必要とされるSCF二酸化炭素レベルより少なくとも75パーセント低い。しかし、SCF二酸化炭素は、粘性の低減が主な処理目標であるとき、またはその用途がSCF窒素のより攻撃的な発泡作用に耐えることができないときという2つの状況において好ましい起泡剤である。
【0210】
[00214]2つの起泡剤の有効性の差は、バイオポリマー溶融物中でのそれらの挙動に由来する。摂氏31.1度および72.2×105パスカル(72.2バール)でSCF流体になる二酸化炭素は、摂氏-147度および34×105パスカル(34バール)で超臨界流体になる窒素より、バイオポリマー中で4~5倍溶けやすい。たとえば、温度および圧力条件に応じて、未充填のバイオポリマーの飽和点は、窒素の約1.5~2重量パーセントであり、二酸化炭素の飽和レベルは、8重量パーセントに近い。二酸化炭素はまた、バイオポリマー中で窒素より大きい移動度を呈し、既存の気泡中へさらに移動することが可能である。気泡核形成の観点から、可溶性および移動度がより大きいということは、より少ない気泡が核形成されることを意味し、核形成するそれらの気泡は、より大きくなる傾向がある。
【0211】
[00215]しかし、可溶性は、目標が粘性の低減であるときに利点になる。バイオポリマー中に溶解したSCFは、可塑剤として作用し、バイオポリマーの粘性を低減させる。粘性の低減は、バイオポリマーに加えられるSCFの量に部分的に応じ、二酸化炭素は窒素より高い可溶性限界を有するため、二酸化炭素によって粘性を低減させる能力はより大きい。
【0212】
[00216]二酸化炭素はまた、部品を作製するために必要とされる窒素の量が、部品を一貫して処理することが可能でないほど小さいときに好ましい。二酸化炭素は、はるかに攻撃性の低い起泡剤であるため、場合により、低レベルの二酸化炭素を実行することはより容易である。たとえば、0.15または0.2パーセントの二酸化炭素が、0.05パーセント未満の非常に低レベルの窒素に相当する。前述の例に示す事例は、厚い断面を有する軟質材料および部品の場合に主に生じる。
【0213】
[00217]いくつかの実施形態について上記で詳細に説明したが、他の修正形態も可能である。他の実施形態は、以下の特許請求の範囲の範囲内とすることができる。