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特許7430187ガラス管を加熱および冷却する装置および方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】ガラス管を加熱および冷却する装置および方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 17/04 20060101AFI20240202BHJP
【FI】
C03B17/04 A
【請求項の数】 31
(21)【出願番号】P 2021530152
(86)(22)【出願日】2019-11-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-26
(86)【国際出願番号】 US2019061912
(87)【国際公開番号】W WO2020112393
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-11-15
(31)【優先権主張番号】62/773,418
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】バーキー,アダム チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】デ ラ トーレ,マルティン ア
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナムールティー,ソウミャ
(72)【発明者】
【氏名】モン,ジエンドン
(72)【発明者】
【氏名】ポサダ-ピネダ,デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ラッチフォード,ライアン ダニエル
【審査官】永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第2429220(US,A)
【文献】国際公開第2018/102531(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス管の形成プロセス用のマッフルであって、前記マッフルは、
ガラス管を製造するためのボウルに接続された入口端部と、
出口端部であって、前記出口端部での前記マッフルの内法寸法は前記入口端部での前記マッフルの内法寸法よりも大きい、出口端部と、
前記入口端部から前記出口端部にまで延びる側壁であって、前記マッフルの中心軸から前記側壁の内面までの半径方向距離が前記入口端部から前記出口端部に向かって増大し、前記側壁には、前記マッフル内に不安定領域を生成する、前記中心軸から前記内面までの半径方向距離における急激な変化が実質的にない、側壁と、
前記側壁の少なくとも一部の外面と前記側壁の周りに配置された絶縁層との間に位置決めされた通路であって、前記通路は、前記側壁の内面の少なくとも一部の温度を制御するために、熱伝達流体を通流させるように動作可能であり、前記側壁と熱的に接続している、通路と
を有する、マッフル。
【請求項2】
前記マッフルの軸方向長さのセンチメートル毎の、前記中心軸から前記マッフルの前記内面までの前記半径方向距離における変化が、前記入口端部と前記出口端部との間の前記側壁の前記内面の全ての位置で、0.635cm未満の絶対値を有する、請求項1記載のマッフル。
【請求項3】
軸方向位置の関数としての、前記マッフルの前記中心軸から前記側壁の前記内面までの半径方向距離のプロットの勾配が、前記入口端部と前記出口端部との間の前記マッフルの前記軸方向長さに沿って2以下の絶対値を有し、軸方向位置の関数としての半径方向距離の前記プロットの前記勾配は、少なくとも0.25インチ(0.635cm)の軸方向位置における変化に対する平均勾配として決定される、請求項1記載のマッフル。
【請求項4】
前記側壁の前記内面には、前記マッフルの前記中心軸から前記側壁の前記内面までの前記半径方向距離において、0.25インチ(0.635cm)を超える段階的な変化がない、請求項1記載のマッフル。
【請求項5】
前記側壁の少なくとも一部は、円錐台またはベル型である、請求項1記載のマッフル。
【請求項6】
前記通路は、通路入口と通路出口とを有する、請求項1記載のマッフル。
【請求項7】
前記通路入口は、前記通路出口に対して前記マッフルの入口端部付近にある、請求項6記載のマッフル。
【請求項8】
前記通路は、互いに流体的に隔絶された複数の通路を有する、請求項1記載のマッフル。
【請求項9】
前記複数の通路の各々は環状であり、前記複数の通路は、軸方向に配置されている、請求項8記載のマッフル。
【請求項10】
前記複数の通路の各々は、前記通路入口と前記通路出口とが軸方向に離間され、前記複数の通路が前記側壁の前記外面の周囲に放射状に配置されるように縦方向に配向されている、請求項8記載のマッフル。
【請求項11】
前記複数の通路は、複数の横方向通路と複数の縦方向通路とを含む、請求項8記載のマッフル。
【請求項12】
前記通路は、熱交換器と流体的に接続されている、請求項1記載のマッフル。
【請求項13】
前記側壁の上側区分は、前記入口端部付近の前記マッフルの上側部分を規定し、前記側壁の下側区分は、前記側壁の上側区分から前記出口端部まで延び、かつ前記出口端部付近の前記マッフルの下側部分を規定し、前記側壁の下側区分の直径は、前記側壁の前記上側区分から前記出口端部に向かって増大する、請求項1記載のマッフル。
【請求項14】
前記側壁の前記下側区分は円錐台であるかまたは湾曲している、請求項13記載のマッフル。
【請求項15】
前記側壁の前記上側区分は円筒状である、請求項13記載のマッフル。
【請求項16】
前記通路は、前記側壁の前記下側区分の外面と前記絶縁層との間に配置された少なくとも1つの下側通路を有する、請求項13記載のマッフル。
【請求項17】
前記下側通路は、互いに流体的に隔絶された複数の下側通路を有する、請求項16記載のマッフル。
【請求項18】
前記通路は、前記側壁の前記上側区分の外面と前記絶縁層との間に配置された少なくとも1つの上側通路を有する、請求項13記載のマッフル。
【請求項19】
前記マッフルは、前記側壁の少なくとも一部と熱的に接続した少なくとも1つの加熱素子をさらに有する、請求項1記載のマッフル。
【請求項20】
ガラス管の製造システムであって、前記システムは、
ボウルであって、
少なくとも1つの円筒状容器であって、前記円筒状容器は、前記円筒状容器の底部から延びるオリフィスリングを有し、前記オリフィスリングは、前記円筒状容器の前記底部中のオリフィスを規定する、円筒容器と、
前記円筒状容器内に配置されて、前記オリフィスを通過するように延びるブロー管であって、前記オリフィスリング付近にガス流を供給するように動作可能である、ブロー管と
を有するボウルと、
マッフルであって、
前記ボウルに接続された入口端部と、
前記入口端部の内法寸法よりも大きい内法寸法を有する出口端部と、
前記入口端部から前記出口端部にまで延びる側壁であって、前記マッフルの中心軸から前記側壁の内面までの半径方向距離が前記入口端部から前記出口端部に向かって増大し、前記側壁の前記内面には、前記マッフル内に不安定領域を生成する、前記中心軸から前記内面までの半径方向距離における急激な変化が実質的にない、側壁と、
前記側壁の外面と前記側壁の周りに配置された絶縁層との間に位置決めされた通路であって、前記側壁に冷却を提供するために、熱伝達流体を通流させるように動作可能であり、前記側壁と熱的に接続している、通路と
を有し、前記ボウルから引き出されたガラス管の温度を制御するように動作可能である、マッフルと
を有する、システム。
【請求項21】
前記システムが、前記マッフルの下方に配置された管走路をさらに有し、前記管走路は、ディアボロと熱伝達区域とを有する、請求項20記載のシステム。
【請求項22】
前記マッフルの軸方向長さのセンチメートル毎の、前記中心軸から前記マッフルの前記内面までの前記半径方向距離における変化は、前記入口端部と前記出口端部との間の前記側壁の前記内面の全ての位置で、0.635cm未満の絶対値を有する、請求項20記載のシステム。
【請求項23】
前記側壁の少なくとも一部は、円錐台またはベル型である、請求項20記載のシステム。
【請求項24】
前記側壁の上側区分は、前記入口端部付近の前記マッフルの上側部分を規定し、前記側壁の下側区分は、前記側壁の上側区分から前記出口端部まで延び、かつ前記出口端部付近の前記マッフルの下側部分を規定し、前記側壁の下側区分の直径は、前記側壁の前記上側区分から前記出口端部に向かって増大する、請求項20記載のシステム。
【請求項25】
前記通路は、互いに流体的に隔絶された複数の通路を有する、請求項20記載のシステム。
【請求項26】
前記複数の通路は、前記側壁の下側区分の外面と前記絶縁層との間に配置された少なくとも1つの下側通路と、前記側壁の上側区分の外面と前記絶縁層との間に配置された少なくとも1つの上側通路とを有する、請求項25記載のシステム。
【請求項27】
ガラス管の形成プロセスであって、
ボウルからガラス管を引き出すステップと、
前記ガラス管をマッフルに通すステップであって、前記マッフルが、
前記ボウルから前記ガラス管を引き受けるように位置決めされた入口を有する入口端部と、
前記入口端部の内法寸法よりも大きい内法寸法を有する出口端部と、
前記入口端部から前記出口端部にまで延びる側壁であって、前記マッフルの中心軸から前記側壁の前記内面までの半径方向距離が前記入口端部から前記出口端部に向かって増大し、前記側壁の前記内面には、前記マッフル内に不安定領域を生成する、前記中心軸から前記内面までの前記半径方向距離における急激な変化が実質的にない、側壁と
を有する、
ステップと、
前記マッフルを通過する前記ガラス管を冷却するステップであって、前記ガラス管を冷却するステップは、前記側壁の一部の外面と前記側壁の周りに配置された絶縁層との間に位置決めされて前記側壁と熱的に接続した通路に、熱伝達流体を通流させるステップを有する、ステップと
を有する、ガラス管の形成プロセス。
【請求項28】
前記側壁の少なくとも一部は、円錐台またはベル型である、請求項27記載のガラス管の形成プロセス。
【請求項29】
前記通路は、互いに流体的に隔絶された複数の通路を有する、請求項27記載のガラス管の形成プロセス。
【請求項30】
前記マッフルを通過する前記ガラス管を冷却するステップはさらに、前記側壁の外面と熱的に接続した少なくとも1つの加熱素子を制御するステップを有する、請求項27記載のガラス管の形成プロセス。
【請求項31】
前記プロセスが、前記ガラス管を管走路に通すステップをさらに有する、請求項27記載のガラス管の形成プロセス。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本願は、米国特許法第120条のもと、2018年11月30日に出願された米国仮特許出願第62/773418号の優先権を主張し、その内容は本明細書の依拠するところであって、その内容全体を参照により援用するものとする。
【技術分野】
【0002】
本明細書は、概して、ガラス管を連続的に製造する装置、システム、および方法、特にガラス管を加熱および冷却する装置、システム、および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
歴史上では、ガラスは多様な物品を製造するために使用されてきた。例えば、その気密性、光学的透明性、および他の材料に対する優れた化学的耐久性のため、ガラスは、以下に制限されるものではないが、バイアル、シリンジ、アンプル、カートリッジ、および他のガラス物品を含む医薬用途のための好ましい材料である。これらの物品をガラスから製造することは、ガラス管の提供から始まり、このガラス管を、引き続き、複数のガラス物品に形成し、分離することができる。特に、医薬包装において使用されるガラスは、その中に含まれる医薬製剤の安定性に影響を与えないように十分な機械的および化学的耐久性を有していなければならない。適切な化学的耐久性を有するガラスは、ASTM規格の「タイプIA」および「タイプIB」ガラス組成物の中で、化学的耐久性の証明された履歴を有するガラス組成物を含む。
【0004】
バイアル、シリンジ、アンプル、カートリッジ、および他のガラス容器およびガラス物品のような医薬容器は、長いガラス管から作製することができる。例えば、ベロー法(Vello process)およびダンナー法(Danner process)のような多様なプロセスは、溶融ガラスの供給源から連続する長さのガラス管を引き出すために利用される。ベロー法では、溶融ガラスは、空気を吹き込むことができる中空ブロー管を取り囲む環状空間を通って、ボウルから垂直方向に流れる。ボウルから引き出されたガラス管は、マッフルを通過して、次いで、ガラス管を変形させることなくガラス管を所定の長さに切断することができる温度にガラス管を制御して冷却するために、水平方向の管走路に向けられてよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、ガラス管の形成中にガラス管を加熱および冷却する装置、システム、および方法についてのニーズが存在する。特に、ガラス管の形成中およびガラス管を管走路に導入する前に、ガラス管を加熱および冷却する装置、システム、および方法についてのニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の1つ以上の態様によると、ガラス管の形成プロセス用のマッフルは、ガラス管を製造するためのボウルに接続された入口端部と、入口端部の内法寸法よりも大きい内法寸法を有する出口端部と、入口端部から出口端部にまで延びる側壁とを含む。マッフルの中心軸から側壁の内面までの半径方向距離は入口端部から出口端部に向かって増大し、側壁には、マッフル内に不安定領域を生成する、中心軸から内面までの半径方向距離における急激な変化が実質的になくてよい。マッフルはさらに、側壁の少なくとも一部の外面と、側壁の周りに配置された絶縁層との間に位置決めされた通路を含んでいてよい。
通路は、側壁の内面の少なくとも一部の温度を制御するために、熱伝達流体を通流させるように動作可能であり、側壁と熱的に接続していてよい。
【0007】
本開示の1つ以上の別の態様によると、ガラス管の製造システムは、ボウルとマッフルとを含む。ボウルは、少なくとも1つの円筒状容器を含み、この円筒状容器は、円筒状容器の底部から延びるオリフィスリングを有し、オリフィスリングは、円筒状容器の底部中のオリフィスを規定する。ボウルはさらに、円筒状容器内に配置されて、オリフィスを通過するように延びるブロー管を含む。ブロー管は、オリフィスリング付近にガス流を供給するように動作可能である。マッフルは、ボウルに接続された入口端部と、入口端部の内法寸法よりも大きい内法寸法を有する出口端部と、入口端部から出口端部にまで延びる側壁とを含む。マッフルの中心軸から側壁の内面までの半径方向距離は、入口端部から出口端部に向かって増大する。側壁の内面には、マッフル内に不安定領域を生成する、中心軸から内面までの半径方向距離における急激な変化が実質的になくてよい。マッフルはさらに、側壁の外面と側壁の周りに配置された絶縁層との間に位置決めされた通路を含んでいてよい。通路は、側壁に冷却を提供するために、熱伝達流体を通流させるように動作可能であり、側壁と熱的に接続していてよい。マッフルは、ボウルから引き出されたガラス管の温度を制御するように動作可能であってよい。
【0008】
本開示の1つ以上の別の態様によると、ガラス管の形成プロセスは、ボウルからガラス管を引き出すステップと、ガラス管をマッフルに通すステップとを含んでいてよい。マッフルは、ボウルからガラス管を引き受けるように位置決めされた入口を有する入口端部と、入口端部の内法寸法よりも大きい内法寸法を有する出口端部と、入口端部から出口端部にまで延びる側壁とを含んでいてよい。マッフルの中心軸から側壁の内面までの半径方向距離は入口端部から出口端部に向かって増大し、側壁の内面には、マッフル内に不安定領域を生成する、中心軸から内面までの半径方向距離における急激な変化が実質的にない。この方法はさらに、マッフルを通過するガラス管を冷却するステップを含んでいてよい。ガラス管を冷却するステップは、側壁の一部の外面と側壁の周りに配置された絶縁層との間に位置決めされて側壁と熱的に接続した通路に、熱伝達流体を通流させるステップを含んでいてよい。
【0009】
上述の一般的な説明と後述の詳細な説明との両方は、多様な実施形態を説明し、特許請求の範囲に記載された主題の性質および特徴を理解するための概観または枠組みを提供することを意図していることを理解されたい。添付の図面は、多様な実施形態の更なる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれて、本明細書の一部を構成する。図面は、本明細書に記載された多様な実施例を図示し、説明と共に、特許請求の範囲に記載された主題の基本方式および動作を説明するために役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】異なる直径の2つの円筒状の側壁区分を有するマッフルを有する先行技術のガラス管の形成プロセスを概略的に示す部分断面図である。
図2図1のガラス管の形成プロセスのマッフルを概略的に示す部分断面図である。
図3A図2のマッフルのフローモデリングから得られるガス速度プロファイルを示すグラフである。
図3B】本明細書に示され、説明された1つ以上の実施形態による、円筒状の上側部分と、円錐台状の下側部分とを有するマッフルのフローモデリングから得られるガス速度プロファイルを示すグラフである。
図4】本明細書に示され、説明された1つ以上の実施形態による、ガラス管の形成プロセスを概略的に示す部分断面図である。
図5】本明細書に示され、説明された1つ以上の実施形態による、図4のガラス管の形成プロセスのマッフルを概略的に示す部分断面図である。
図6】本明細書に示され、説明された1つ以上の実施形態による、図5のマッフルの上側部分と下側部分との間の移行部を概略的に示す部分断面図である。
図7A】本明細書に示され、説明された実施形態による、図4のプロセス用のマッフルの多様な実施形態を概略的に示す側面図であって、側壁が、直線状でかつ角度を付けられた、円錐台状の形状を有するマッフルの実施形態を示す側面図である。
図7B】本明細書に示され、説明された実施形態による、図4のプロセス用のマッフルの多様な実施形態を概略的に示す側面図であって、側壁の上側区分と下側区分とを有し、両方とも円錐台状の形状であるが、側壁の内面の異なる勾配を有するマッフルの実施形態を示す側面図である。
図7C】本明細書に示され、説明された実施形態による、図4のプロセス用のマッフルの多様な実施形態を概略的に示す側面図であって、上側区分と、第1の下側区分と、第2の下側区分とを含み、それぞれが円錐台状の形状であってよく、それぞれの軸方向区分で異なる勾配を有する側壁を有する、マッフルの実施形態を示す側面図である。
図7D】本明細書に示され、説明された実施形態による、図4のプロセス用のマッフルの多様な実施形態を概略的に示す側面図であって、円筒状の上側区分と、上側区分から外側に向かって湾曲する下側区分とを含む側壁を有するマッフルの実施形態を示す側面図である。
図7E】本明細書に示され、説明された実施形態による、図4のプロセス用のマッフルの多様な実施形態を概略的に示す側面図であって、唯一の軸方向区分を有し、側壁は、入口端部から出口端部142に向かって外側に連続的に湾曲していてよいマッフルの実施形態を示す側面図である。
図7F】本明細書に示され、説明された実施形態による、図4のプロセス用のマッフルの多様な実施形態を概略的に示す側面図であって、円錐台状の形状を有する上側区分と、湾曲した形状を有する下側区分とを含む側壁を有するマッフルの実施形態を示す側面図である。
図7G】本明細書に示され、説明された実施形態による、図4のプロセス用のマッフルの多様な実施形態を概略的に示す側面図であって、側壁の下側区分が、マッフルの中心軸Aに対して非対称であってよいマッフルの実施形態を示す側面図である。
図8】本明細書に示され、説明された1つ以上の実施形態による、通路が、側壁と通路側壁との間に配置されてよい、図4のマッフルの下側部分の区分を概略的に示す部分断面図である。
図9】本明細書に示され、説明された1つ以上の実施形態による、図4のプロセス用のマッフルの別の実施形態を概略的に示す断面図である。
図10】本明細書に示され、説明された1つ以上の実施形態による、図4のプロセス用のマッフルのさらに別の実施形態を概略的に示す断面図である。
図11】本明細書に示され、説明された1つ以上の実施形態による、図9中の基準線11-11に沿って切断した図9のマッフルを概略的に示す断面図である。
図12】本明細書に示され、説明された1つ以上の実施形態による、図2のマッフルおよび図5のマッフルについて、マッフル内の軸方向位置(Z位置)(x軸)の関数としての温度変動(y軸)を示すグラフである。
図13A】本明細書に示され、説明された1つ以上の実施形態による、冷却なしでのマッフルの内側の温度の数学的モデリングを示すグラフである。
図13B】本明細書に示され、説明された1つ以上の実施形態による、マッフルの下側部分内の通路130を通過する空気を有する冷却を有する、図13Aのマッフルの内側の温度の数学的モデリングを示すグラフである。
図14】本明細書に示され、説明された1つ以上の実施形態による、マッフル中の軸方向位置(x軸)の関数としてのマッフルの内面の表面温度(y軸)を示すグラフである。
図15】本明細書に示され、説明された1つ以上の実施形態による、ガラス管の寸法に対するガラス管の温度における標準偏差の影響を研究するためにモデル化されたガラス管を製造する実験システムを概略的に示す図である。
図16】本明細書に示され、説明された1つ以上の実施形態による、マッフル中の空気温度における標準偏差(x軸)の関数としてのガラス管のテーパ(y軸)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで、ガラス管を連続的に製造する装置、システム、および方法の実施形態について詳細に参照し、これらの実施形態の例を、添付の図面に図示する。可能な限り、図面全体を通して、同じまたは類似の部分を参照するために、同じ参照符号を使用する。本開示は、ガラス管の形成プロセス用のマッフルに関する。図4を参照すると、ガラス管の形成プロセスを実施するための本開示のマッフル110を含むシステム100が示されている。マッフル110は、ガラス管12を製造するためのボウル20に接続された入口端部140と、入口端部140の内法寸法よりも大きい内法寸法を有する出口端部142とを含んでいてよい。マッフル110はさらに、入口端部140から出口端部142にまで延びる側壁112を含んでいてよい。マッフル110の中心軸Aから側壁112の内面114までの半径方向距離Rは入口端部140から出口端部142に向かって増大してよく、側壁112には、マッフル110内に不安定領域を生成する、中心軸Aから内面114までの半径方向距離Rにおける急激な変化が実質的になくてよい。マッフル110はさらに、側壁112の少なくとも一部の外面116と、側壁112の周りに配置された絶縁層126との間に配置された通路130を含んでいてよい。通路130は、側壁112の内面114の少なくとも一部の受動冷却を提供するために、熱伝達流体を通流させるように動作可能であり、側壁112と熱的に接続していてよい。本開示のマッフル110は、マッフル110内の不安定領域を除去して、マッフル110中の空気の温度および動きにおける変動を減少させ、マッフル110中でのガラス管12の受動冷却を提供することにより、ガラス管の形成プロセスを実施するためのシステム100を、比較的大きなガラス流量(例えば、比較的大きな引出速度または比較的大きいガラス管)で動作することが可能であってよい。
【0012】
他に明確に言及されない限り、本明細書に記載されたいずれの方法も、そのステップを特定の順序で実行する必要があると解釈されることも、任意の装置で特定の方向を必要とすることも全く意図していない。したがって、方法の請求項がその各ステップを実行すべき順序を実際に列挙していない場合、または任意の装置の請求項が個々の要素に対する順序もしくは方向を実際に列挙していない場合、またはステップが特定の順序に限定されることが請求項または明細書に他に具体的に記載されていない場合、または装置の要素について特定の順序もしくは方向が列挙されていない場合、いかなる点でも順序または方向が推測されることを全く意図していない。このことは、ステップの配列、動作フロー、要素の順序、または要素の方向に関する論理的な事項;文法的な構成または句読点から誘導される平易な意味;ならびに本明細書に説明された実施形態の数およびタイプを含む解釈についてのあらゆる可能な非明示的な根拠についても当てはまる。
【0013】
本明細書で使用されるような方向を示す用語、例えば上、下、右、左、前、後、上部、底部は、描かれた図およびその図内に提供された座標軸を参照して生じているだけであり、絶対的な方向を含意することを意図するものではない。
【0014】
本明細書で使用されるような“a”、“an”および“the”の単数形は、文脈が明らかに他のことを規定していない限り、複数の指示物を含む。したがって、例えば、“a” component(「1つの」要素)についての言及は、文脈が明らかに他のことを示していない限り、この要素を2つ以上有する態様を含む。
【0015】
本明細書で使用されるような「片寄り」の用語は、ガラス管の最小壁厚と最大壁厚との間の差、または複合ガラス管のガラス層の最小層厚と最大層厚との間の差を指し、最小壁厚および最大壁厚または最小ガラス層厚および最大ガラス層厚は、ガラス管の断面から決定される。
【0016】
本明細書で使用されるような「軸」は、図中に提供される座標軸の+/-Z方向を指す。
【0017】
本明細書で使用されるような「半径方向距離」は、マッフルの中心軸Aからマッフルの中心軸Aに対して外向きに垂直方向に測定した距離(すなわち、図4および5中の座標軸のX-Y平面内での中心軸Aからの距離)を指す。「半径方向距離」の用語は、本明細書に開示されたマッフルの断面形状を円形または楕円形の断面に限定することを意図するものではなく、「半径方向距離」の用語は、多角形または不規則形状の断面を有するマッフルの中心線Aからの距離にも等しく適用されることを意図する。
【0018】
本明細書で使用されるような「間接冷却」は、冷却装置または冷却流体がガラス管と接触することなく達成される冷却を指す。「直接冷却」は、冷却流体または冷却装置がガラス管と直接接触する冷却を指す。
【0019】
本明細書で使用されるような「連続的に製造」は、バッチプロセスと比較して連続的または半連続的であるガラス管の製造プロセスの動作を指す。連続的に動作することは、起動、停止、およびプロセスの中断の期間を含めてよい。
【0020】
図1を参照すると、ガラス管12を形成するためのベロー法10が示されている。このプロセス10は、ボウル20と、ボウル20から引き出されたガラス管12を引き受けるように位置決めされた入口46を有するマッフル40と、マッフル40の出口54からガラス管12を引き受けるように位置決めされた管走路60とを含む。ボウル20は、円筒状容器22を含み、この円筒状容器は、円筒状容器22の底部24中に規定されたオリフィス26を有していてよい。ボウル20はさらに、オリフィスリング28を含んでよく、このオリフィスリングは、オリフィス26で円筒状容器22の底部24に接続されていてよい。中空ブロー管30は、円筒状容器22内に配置されていてよく、オリフィス26とオリフィスリング28とを通過するように延びる近位端部34を有していてよい。ブロー管30の近位端部34は、中空ヘッド32を含んでいてよく、この中空ヘッドの一部は、オリフィスリング28の下方に位置決めされていてよい。マッフル40は、ボウル20付近の第1の部分42と、第1の部分42と接続する第2の部分50とを含んでいてよい。管走路60は、水平方向に向けられて(すなわち、図1の座標軸の+/-Z方向に向けられて)いてよく、複数のローラ(これらのローラは、ここではディアボロ62と言われてもよい)および熱伝達チャンバ64を含んでいてよい。
【0021】
ガラス管12の形成は、一般に、溶融ガラス組成物をボウル20の円筒状容器22に導入することを含んでいてよい。溶融ガラスは、オリフィス26と、オリフィスリング28とブロー管30のヘッド32との間の環状空間とを通過して下向き(すなわち、図1中の座標軸の-Z方向)に流れてよい。中心線Gを有するガラス管12は、ブロー管30のヘッド32から引き出されてよい。ガラス管12の内部空洞を維持するために、ブロー管30を通してガラス管12の内部に空気を通してよい。ガラス管12は、マッフル40内の懸垂部を通って、水平方向(すなわち、図1の座標軸の+/-X方向)に向けられていて、マッフル40の下側に位置決めされている管走路60にまで引き出されてよい。管走路60において、ガラス管12は、ガラス管12の製造のために、熱伝達チャンバ64中で制御された冷却に供せられてよい。ガラス管12の寸法は、ガラス温度、引き出す速度(引出速度)、ブロー管30を通過する吹込空気の圧力、ブロー管30のヘッド32とオリフィスリング28との相対寸法、オリフィス26内での溶融ガラスの温度、およびマッフル40を通過するガラス管12の温度により影響を及ぼされてよい。
【0022】
さらに図1を参照すると、ガラス管12の着地温度Tは、ガラス流量に依存してよく、このガラス流量は、引出速度および製造されるガラス管12の寸法に依存してよい。「着地温度」とは、ガラス管12が最初にディアボロ62に接触または「着地」する位置68でのガラス管12の温度であり、着地エリア内でのガラスの粘度を示してよい。ガラス管12の着地温度Tは、オリフィス26、マッフル40、またはその両方内でのガラスの加熱および/または冷却を制御することにより制御されてよい。オリフィス26および/またはマッフル40内での不適切な温度制御は、不適切な着地温度Tを生じることがあり、この不適切な着地温度は、ガラス管12の特性に不利な影響を及ぼし、下流のプロセスに不安定性をもたらすことがある。
【0023】
例えば、着地温度Tが低すぎる場合、ガラス管12は、懸垂部内で粘性が高くなりすぎることがあり、その結果、懸垂部が長くなりすぎて、マッフル110の中心線Aから着地位置が遠くなりすぎることがある。低い空気温度およびこれによるマッフル110内での高められたガラス粘度により生じる長い懸垂部は、ガラス管12の寸法に不利な影響を及ぼすことがあり、マッフル110と、マッフル110を通過するガラス管12との間に干渉を引き起こすことがある。さらに、低い着地温度から生じる長い懸垂部は、下流のプロセスに障害を引き起こすことがあり、この長い懸垂部は、下流のプロセスにおいて目標特性の達成のためのガラス管12の処理を妨げることがある。さらに、低い着地温度から生じる長い懸垂部は、懸垂部の屈曲をガラス内に残す原因となり、管の湾曲を示すガラス管12が生じることがある。着地温度Tが高すぎる場合、ガラス管12の粘度は低くなりすぎることがあり、懸垂部は、短くなりすぎる(すなわち、マッフル110の中心軸Aに対して近くなりすぎる)ことがある。ガラスの粘度が低すぎる場合、短い懸垂部は、変向時にガラスの変形を引き起こし、このガラスの変形は、ガラス管12の寸法のばらつき、たるみ、または表面痕を引き起こすことがある。これらの場合のいずれにおいても、不適当な着地温度Tは、例えば、ガラス管12中に強度を制限する欠陥の導入、ガラス管12中に光学的歪みの導入、および/またはガラス管12の寸法の変化(例えば、以下に限定されるものではないが、片寄りの形成、ガラス管12の外径または内径における変動の導入、または真円度からのずれもしくは管の湾曲の発生)により、ガラス管12の特性および品質に不利な影響を及ぼすことがある。
【0024】
図2を参照すると、ベロー法10で使用される典型的なマッフル40が示されている。マッフル40の第1の部分42は、一般に円筒形であり、第1の内径D1を有する第1の側壁44を含んでいてよい。第2の部分50は、一般に円筒形であり、第1の側壁44の第1の内径D1よりも大きい第2の内径D2を有する第2の側壁52を含んでいてよい。この第2の側壁52のより大きな直径は、ガラス管12がボウル20のオリフィスリング28から管走路60までの懸垂経路をマッフル40と接触することなくたどるための、マッフル40内のスペースを可能にすることができる。マッフル40の第1の部分42は、第1のヒータ48を含んでいてよく、第2の部分50は、第2のヒータ56を含んでいてよい。第1のヒータ48と第2のヒータ56は、それぞれ、第1の側壁44と第2の側壁52に熱を提供することができるあらゆるタイプの加熱装置であってよい。
【0025】
ガラス管から作製された医薬容器および他の容器および物品の需要は増している。増大する需要を満たすために、ガラス管12の生産速度も増大している。例えば、ガラス管を製造するいくつかのベロー法では、この増大する需要に対応するために、生産速度を、現在の生産速度の2倍または3倍に増大させる必要があってよい。より高い生産速度は、プロセス内のガラス流量を増加させることにより達成されてよい。ガラス流量を増加させることは、ガラス管12の引出速度を増大させることを含んでよく、この引出速度の増大は、マッフル40中のガラス管12の滞留時間を短縮させうる。マッフル40中のガラス管12の滞留時間の短縮は、ガラス管12からの熱伝達を低下させうるので、この熱伝達の低下は、着地温度Tを上昇させうる。さらに、ガラス流量は、ガラス管12の外径および/または厚さの増大を引き起こすように増加してよい。比較的早い引出速度(すなわち、毎分約70フィート(毎秒0.3556メートル)より速い引出速度)で比較的大きな直径(すなわち、約20mm以上の直径)のガラス管12の形成は、かなりの冷却、例えば15キロワット(kW)までの冷却を必要とする。
【0026】
ガラス管12の増加する需要に対応するためにまたは比較的大きな直径のガラス管12を作製するために必要な比較的多いガラス流量では、図1に示すマッフル40は、ガラス管12の着地温度Tを制御するほど十分な熱の量をガラス管12から除去することが可能ではなく、マッフル40内のガスの温度および動きにおいて不安定性を引き起こし、この不安定性が、ガラス管12の寸法における変動を生じさせることがある。ガラス管12がマッフル110を通過することは、マッフル40内のガスの動きを誘導し、マッフル40内でガスのフローパターンを生じさせる。図2との関連で先に説明したように、先行技術のマッフル40は、一般に、第1の直径D1を有する第1の部分42と、第1の直径D1よりも大きな第2の直径D2を有する第2の部分50とを含む。第1の部分42における直径D1から第2の部分50における直径D2への移行部でのマッフル40の直径における急激な変化は、マッフル40内のガスの動きまたはフローパターンが不安定となる(すなわち、ガスのフローパターンにおける渦の形成により特徴付けられる増大する乱流を示す)不安定領域70を生成する。マッフル40内のガスの動きまたはフローパターンにおける不安定性は、マッフル40内のガスの温度における不安定性を引き起こし、煙突効果のためにガラス管12の温度における変動を引き起こすことがある。図3Aを参照すると、マッフル40内のガスの速度の数学的モデリングは、第1の部分42と第2の部分50との間の移行部付近(すなわちD1からD2への直径の変化の付近)のマッフル40の第2の部分50内に形成される不安定領域70を示す。マッフル40の不安定領域70により引き起こされるガラスの動きおよびフローパターンにおける不安定性は、マッフル40内のガスの温度における不安定性を増大させ、この不安定性は、懸垂部に沿ったガラス温度およびガラス管12の着地温度Tのばらつきを引き起こす。マッフル40内のガラス温度における変動は、ガラス管12の寸法における変動へと変換される。
【0027】
さらに、従来型のマッフル40は、一般に、マッフル40の内面を加熱するための第1のヒータ48と第2のヒータ56とを含むが、マッフル40の内面を冷却する手段を含んでいない。したがって、マッフル40内のガラス管12から取り除かれる熱は、マッフルの側壁と、マッフル40を取り囲み、絶縁体として機能する耐火材料80とを通した熱の伝導に限定されることがある。マッフル40からの熱伝達に対する抵抗を低くするために、マッフル40を取り囲む耐火材料80を低減または除去することにより、マッフル40からの熱伝達を増大することができる。しかしながら、マッフル40から耐火材料80を除去することは、ガラス管12からの熱伝達速度を、比較的大きな(例えば、800lbs/時間(約363kg/時間)よりも大きな)ガラス流量で、ガラス管12の着地温度Tを制御するほど十分に大きな熱伝達速度にまで増大させないことが見出された。ガラス管12は、従来型のマッフル40内では、不活性ガスのような冷却流体をマッフル40の内部空洞内に導入することにより冷却されてもよい。しかしながら、マッフル40内へ導入される冷却流体を使用してガラス管12を直接冷却することは、マッフル40内で未だに低い粘度条件にあることができるガラス管12の特性または寸法を変化させることがある。
【0028】
本開示は、ガラス管の形成プロセス用のマッフルに関し、このマッフルは、ディアボロでのガラス管の着地温度Tを制御するほど十分な熱伝達速度を提供する。ここで図4を参照すると、本開示のマッフル110を含む、ガラス管の形成プロセス用のシステム100が示されている。このマッフル110は、マッフルの入口端部140に入口118を含んでよく、この入口118は、ガラス管12を製造するためのボウル20から引き出されたガラス管12を引き受けるように位置決めされている。マッフル110は、マッフル110の出口端部142に出口120を含んでいてもよい。マッフル110の出口端部142は、入口端部140の内法寸法よりも大きな内法寸法を有していてよい。いくつかの実施形態では、マッフル110は、ボウル20、例えばボウル20のオリフィスリング28に接続されていてよい。例えば、いくつかの実施形態では、ボウル20は、オリフィスリング28を含んでいてよく、マッフル110は、オリフィスリング28の少なくとも一部が、マッフル110の入口118内に延びるようにオリフィスリング28に接続されていてよい。いくつかの実施形態では、マッフル110は、ボウル20に接続されるよりもむしろ、ボウル20に対して固定された位置に取り付けられていてよい。
【0029】
マッフル110はさらに、入口端部140から出口端部142にまで延びる側壁112を含んでいてよい。マッフル110の中心線Aから側壁112の内面114までの半径方向距離Rは、出口端部142の付近が、入口端部140の付近と比べて大きくなっていてよい。本明細書で先に論じたように、半径方向距離Rは、中心線Aから、中心線Aに対して垂直の方向で測定した内面114までの距離であり、円形または楕円形の断面形状を示すことを意図するものではない。さらに、側壁112は、中心線Aからマッフル110の内面114までの半径方向距離Rにおいて急激な変化が実質的になくてよい。換言すると、マッフル110の内面114は、内面114から中心線Aまでの半径方向距離Rにおいて段階的な変化を含まなくてよい。その代わりに、マッフル110の側壁112の内法寸法は、側壁112の少なくとも一部にわたって、マッフル110の入口端部140付近の第1の半径方向距離R1から、マッフル110の出口端部142付近の第2の半径方向距離R2まで漸進的に増大してよい。マッフル110は、通路130を含んでいてもよく、この通路は、側壁112の少なくとも一部の外面116と、側壁112の周りに配置された絶縁層126との間に位置決めされていてよい。この通路130は、側壁112の内面114の少なくとも一部の温度を制御するために、熱伝達流体を通流させるように動作可能であり、側壁112と熱的に接続していてよい。
【0030】
図4を参照すると、中心線Gを有するガラス管12は、オリフィスリング28から引き出されてよく、懸垂状態でマッフル110を通過して管走路60まで移動してよい。本開示のマッフル110は、不安定領域70(図2)の低減または除去により、マッフル110中のガスの温度およびフローパターンにおける不安定性を低減することができる。マッフル110内での不安定領域70の低減および除去は、マッフル110内の空気温度および空気フローパターンにおける不安定性を減少させることができる。マッフル110内の空気温度および空気フローパターンにおける不安定性の低減は、マッフル110中のガラスの温度におけるばらつきを低減することができ、これにより、ガラス管12の寸法における変動を低減する。さらに、本開示のマッフル110は、側壁112の内面114の少なくとも一部に冷却を提供することにより、マッフル110を通過する際にガラス管12からの熱伝達を増大させることができる。熱伝達速度の増大は、マッフル110が、比較的大きなガラス流量で、例えば、ガラス管12を毎分70フィート(毎秒0.3556メートル)以上の引出速度で製造するために、および/または比較的大きな寸法、例えば20mm以上、さらに50mm以上の外径を有するガラス管12を製造するために、ガラス管12の着地温度Tの達成および/または制御のために十分な程度にガラス管12を冷却することを可能にしうる。したがって、本開示のマッフル110は、比較的大きなガラス流量で、例えば毎時800ポンド(lbs/hrまたは毎時363キログラム)以上の流量で、ガラス管の形成プロセスを行うためのシステム100が動作することを可能にしうる。本開示のマッフル110を、ここで、さらに詳細に説明する。
【0031】
図5を参照すると、マッフル110の実施形態が示されている。先に説明したように、マッフル110は、側壁112と、側壁112を取り囲む絶縁層126と、絶縁層126と側壁112との間に配置された通路130とを含んでいてよい。マッフル110は、場合により、側壁112と絶縁層126との間に、例えば通路130と絶縁層126との間に配置された1つまたは複数の加熱素子124を含んでいてよい。
【0032】
再び図4を参照すると、側壁112は、マッフル110の内部空洞144を形成するように、マッフル110の中心軸Aの周りに放射状に延びていてよい。側壁112は、マッフル110の入口端部140とマッフル110の出口端部142との間で、一般に、軸方向に延びていてもよい。いくつかの実施形態では、マッフル110は、側壁112の入口端部140に接続した上部プレート122を含んでよい。側壁112の入口端部140は、ボウル20の付近の側壁112の端部(すなわち、出口端部142に対し、図5中の座標軸の+Z方向の側壁112の端部)であってよい。いくつかの実施形態では、上部プレート122は、マッフル110の入口118を規定してよく、ボウル20のオリフィスリング28と接続されていてよい。上部プレート122により規定されるマッフル110への入口118は、マッフル110の入口端部140でのマッフル110の内法寸法よりも小さい半径寸法を有していてよい。いくつかの実施形態では、オリフィスリング28の一部および/またはブロー管30の近位端部34は、上部プレート122内に規定された入口118を通過して、マッフル110の内部空洞144内に延びていてよい。出口120は、側壁112の出口端部142に配置されていてよい。いくつかの実施形態では、マッフル110の出口端部142でのマッフル110の内法寸法に対して出口120のサイズを縮小するために、カバー(図示されていない)がマッフル110の出口端部142に接続されていてよい。
【0033】
ここで図5を参照すると、出口端部142付近の側壁112の内法寸法は、入口端部140付近の側壁112の内法寸法よりも大きくてよいので、出口端部142でのマッフル110の断面積は、入口端部140でのマッフル110の断面積よりも大きい。内法寸法は、マッフル110の中心軸Aから、中心軸Aに対して垂直の方向で側壁112の内面114まで測定した半径方向距離Rであってよい。いくつかの実施形態では、側壁112は、入口端部140付近の第1の半径方向距離R1と、出口端部142付近の第2の半径方向距離R2とを有していてよい。第2の半径方向距離R2は、第1の半径方向距離R1よりも大きくてよい。入口端部140付近の内法寸法と比較して、出口端部142付近の側壁112のより大きい内法寸法は、ガラス管12が側壁112の内面114またはマッフル110の他の任意の部分に接触することなく、ガラス管12がブロー管30(図4)からマッフル110を通ってディアボロ62(図4)までの懸垂経路をたどることを可能にしうる。
【0034】
側壁112の内法寸法(例えば、半径方向距離R)は、軸方向位置(すなわち、図4の座標軸の+/-Z方向での位置)の減少と共に、側壁112に沿って、または側壁112の少なくとも一部に沿って増大してよい。いくつかの実施形態では、側壁112の内法寸法は、側壁112の軸方向部分の軸方向位置に対して漸進的に増大してよい。例えば、いくつかの実施形態では、マッフル110は、ボウル20付近の上側部分150と、この上側部分150の下方の(すなわち、上方部分150に対して図5の座標軸の-Z方向の)1つ以上の下側部分160とを含んでよい。マッフル110の下側部分160の少なくとも1つにおいて、側壁112の半径方向距離Rは、第1の半径方向距離R1から第2の半径方向距離R2まで漸進的に増大してよい(図5に示すように、上側部分150における側壁112の半径方向距離Rは、一定であり、第1の半径方向距離R1に等しい)。
【0035】
いくつかの実施形態では、側壁112には、マッフル110内の不安定領域を生じる、中心軸Aから側壁112の内面114までの半径方向距離における急激な変化が実質的になくてよい。「急激な変化が実質的にない」とは、マッフル110内のガスの温度または動き/フローパターンにおいて不安定である不安定領域(例えば図1および2に示される不安定領域70)を形成するのに実質的に十分な、中心軸Aから側壁112の内面114までの半径方向距離における段階的な変化および/または急峻な変化が、側壁112にないことを指しうる。半径方向寸法における「段階的な変化」は、軸方向位置における変化の半径方向位置における変化に対する比率がゼロに等しいことにより特徴付けられる半径方向寸法における変化を指してよい。中心軸Aから側壁112の内面114までの半径方向距離における「急峻な変化」は、マッフル110中の軸方向位置の関数としての半径方向距離のプロットの、2より大きい絶対値を有する勾配または未定義の勾配(すなわち、半径方向距離が一点で変化し、勾配が0の分母を有し、したがって未定義である段階的な変化)により特徴付けられる半径方向距離における変化を指してよい。中心軸Aからマッフル110内の側壁112の内面114までの半径方向距離における変化は、入口端部140と出口端部142との間に生じる内面114に基づく半径方向距離Rにおける変化を指してよい。本明細書に説明された半径方向距離における変化は、マッフル110の入口端部140と出口端部142での側壁112の軸方向境界部で起こる半径方向距離における変化(例えば、上部プレート122またはフランジ、カバーまたは側壁112の出口端部142と接続する他の構造体との境界面での半径方向距離における変化)を含むことを意図するものではない。
【0036】
いくつかの実施形態では、側壁112の内面114には、マッフル110中の不安定領域を生じるマッフル110の中心軸Aから側壁112の内面114までの半径方向距離Rにおける段階的な変化が実質的になくてよい。図6を参照すると、側壁112の内面114が下向きの方向(すなわち、図6の座標軸の-Z方向の少なくとも1つの方向ベクトルを有する方向)に続く前に概して半径方向で外側に延びる点Bで、内面114が段階的な変化を含みうる側壁112の一部が示される。点Bでの段階的な変化で、側壁112の内面114と中心軸A(図5)の間の半径方向距離は、距離Cだけ増大または減少してよく、この距離Cは、0.25インチ(0.635cm、ここで1インチは2.54cmに等しいものとする)未満の絶対値を有してよい。側壁112の内面114と中心軸Aとの間の半径方向距離Rにおいて、0.25インチ(約0.635cm)より大きな段階的な変化が存在する場合、半径方向距離Rにおけるこの急激な変化は、マッフル110内でのガス流における不安定領域および/または渦を生成するのに十分であり、これは、マッフル110内でガスの温度および動きにおける増大する不安定性を生じることがある。
【0037】
点Bでの段階的な変化は、図6において、マッフル110の上側部分150と下側部分160との間の移行部で示されている。しかしながら、段階的な変化の位置は、マッフル110の上側部分150と下側部分160との間の移行部に限定されるものではなく、側壁112の内面114の任意の点であってよいことが理解される。いくつかの実施形態では、側壁112の内面114には、マッフル110の中心軸Aから側壁112の内面114までの半径方向距離において、0.25インチ(0.635cm)より大きな段階的な変化が実質的になくてよい。例えば、いくつかの実施形態では、側壁112の内面114には、マッフル110の中心軸Aから側壁112の内面114までの半径方向距離Rにおいて、0.20インチ(約0.50cm)より大きな、0.15インチ(約0.38cm)より大きな、またはさらに0.10インチ(約0.25cm)より大きな絶対値を有する段階的な変化がなくてよい。いくつかの実施形態では、側壁112の内面114とマッフル110の中心軸Aとの間の半径方向距離Rにおける段階的な変化は、入口端部140と出口端部142との間の側壁112の内面114について、0.25インチ(0.635cm)以下の絶対値を有していてよい。
【0038】
側壁112の内面114は、さらに、軸方向位置(すなわち、図5の座標軸の+/-Z方向の位置)の関数としての、マッフル110の中心軸Aから側壁112の内面114までの半径方向距離Rのプロットにより特徴付けられてよい。軸方向位置の関数としての半径方向距離Rのプロットの勾配の絶対値は、マッフル110の軸方向位置における増分変化毎の半径方向距離Rにおける変化率を示す。いくつかの実施形態では、軸方向位置の関数としての、マッフル110の中心軸Aから側壁112の内面114までの半径方向距離Rのプロットの勾配は、入口端部140と出口端部142との間のマッフル110の軸方向長さに沿って2.0以下の絶対値を有してよく、軸方向位置の関数としての半径方向距離Rのプロットの勾配は、少なくとも0.25インチ(約0.635cm)の軸方向位置における変化に関する平均勾配として決定されてよい。例えば、いくつかの実施形態では、軸方向位置の関数としての、マッフル110の中心軸Aから側壁112の内面114までの半径方向距離のプロットの勾配は、1.75以下、1.5以下、1.0以下、0.75以下、またはさらに0.5以下の絶対値を有していてよく、軸方向位置の関数としての半径方向距離のプロットの勾配は、少なくとも0.25インチ(約0.635cm)の軸方向位置における変化に関する平均として決定される。いくつかの実施形態では、軸方向位置の関数としての半径方向距離のプロットの勾配は、側壁112の内面114上のあらゆる点で2以下の絶対値を有していてよい。
【0039】
側壁112の内面114は、マッフル110の軸方向長さのセンチメートル毎の、中心軸Aから側壁112の内面114までの半径方向距離Rにおける変化により特徴付けられてもよい。マッフル110の軸方向長さのセンチメートル毎の、中心軸Aから内面114までの半径方向距離Rにおける変化は、マッフル110内に不安定領域を生成するのに十分な半径方向距離Rにおける変化よりも小さい絶対値を有してよい。いくつかの実施形態では、マッフル110の軸方向長さのセンチメートル毎の、中心軸Aから側壁112の内面114までの半径方向距離Rにおける変化は、マッフル110の入口端部140と出口端部142との間の側壁112の内面114上の全ての点で0.635cm未満の絶対値を有する。例えば、いくつかの実施形態では、マッフル110の軸方向長さのセンチメートル毎の、中心軸Aから側壁112の内面114までの半径方向距離Rにおける変化は、側壁112の内面114上の全ての点で、0.60cm未満、0.50cm未満、またはさらに0.40cm未満の絶対値を有する。
【0040】
先に論じたように、マッフル110内の不安定領域を引き起こすのに十分な、中心軸Aから側壁112の内面114までの半径方向距離における急激な変化を低減または除去することにより、半径方向距離における急激な変化を含む従来型のマッフル(例えば、図1のマッフル40)と比較して、マッフル110内のガスの温度およびフローパターンにおける不安定性を低減することができる。図3Aを参照すると、側壁の内法寸法における段階的な変化を有する従来型のマッフル40中のガス流速度のフローモデルが示されている。図3Aおよび図3Bにおいて、明るい陰影は大きなガス流速度に対応し、暗い陰影は小さなガス流速度に対応する。図3Aに示されているように、従来型のマッフル40内の、側壁の内法寸法における急激な変化により引き起こされる不安定領域70内では、従来型のマッフル40内のガスの動きは不安定になる。これは、従来型のマッフル40の上側部分から下側部分への移行部付近での暗い領域により示されている。不安定領域70が従来型のマッフル40内で形成される場合、ガスのフローパターンおよび温度における不安定性がマッフル40内で強まり、これにより、ガラス管12の温度におけるより大きな変動がもたらされ、ガラス管12の外径または他の寸法における変動の制御の低下がもたらされる。
【0041】
ここで図3Bを参照すると、本開示によるマッフル110中の空気流速度のフローモデルが示されている。図3Bでモデル化されたマッフル110は、円筒状の上側部分と円錐台の下側部分とを含み、この上側部分と下側部分との間の移行部で、側壁の内面114から中心軸Aまでの半径方向距離における段階的な変化または急峻な変化を含まない。図3Bが示すように、側壁112の内法寸法における段階的な変化が除去されると、不安定領域も低減および/または除去することができ、これにより、マッフル110内でのガスの速度およびフローパターンにおける不安定性が低減される。マッフル110内でのガスのフローパターンにおける不安定性の低減は、マッフル110内のガス温度における不安定性を低減することができ、この不安定性の低減が、マッフル中のガラス温度のばらつきを低減することができ、それによりガラス管12の寸法におけるばらつきを低減する。
【0042】
ここで図12を参照すると、マッフル内の軸方向位置(例えば、図1および図4の座標軸の+/-Z方向でのマッフル110に沿った位置)の関数としてのガラス管12の温度におけるばらつきの数学的モデリングは、本開示のマッフル110(例えば、図4のマッフル110)が、2つの円筒状の部分を有する従来型のマッフル(例えば、図1のマッフル40)と比較して、ガラス管12の温度のばらつきの低減を提供することができることを示す。従来型のマッフル(例えば、図1のマッフル40)および本開示によるマッフル(すなわち、図4のマッフル110)についての軸方向位置の関数としてのガラス管12の温度変動の数学的モデリングが、図12に示されている。図12におけるZ位置は、マッフル110の入口端部から測定される。データ列1201は、従来型のマッフル40についての温度変動モデリングデータであり、データ列1202は、本開示のマッフル110についての温度変動モデリングデータである。図12により示されているように、本開示のマッフル110(1202)におけるガラス管の温度のばらつきは、従来型のマッフル40(1201)についての温度のばらつきよりも実質的に小さい。したがって、本開示のマッフル110は、マッフル110内の不安定領域70の除去によりガラス管12の温度のばらつきを低減することができる。
【0043】
再び図5を参照すると、マッフル110の側壁112は、マッフル110内で複数の区域を形成する異なる形状を有する複数の軸方向区分を含んでよい。例えば、先に説明したように、側壁の複数の軸方向区分は、上側区分152と、1つまたは複数の下側区分162とを有していてよい。いくつかの実施形態では、側壁112は、2、3、4、または4より多い軸方向区分(例えば、上側区分152と、1、2、3、または3より多い下側区分162)を含んでいてよい。いくつかの実施形態では、側壁112は、単一の軸方向区分を含んでいてよく、この単一の軸方向区分内では、側壁の内法寸法が、側壁112の入口端部140から出口端部142に向かって連続的に増大する。
【0044】
図7A図7Gを参照すると、複数の軸方向区分170の各々は、異なる形状、例えば円筒形、円錐台、ベル型、または他の形状を有していてよい。図7A図7Gにおける寸法、比率、および勾配は、説明の目的のために誇張されている。特に、図7A図7Gにおける側壁112の勾配は、区分間の勾配における差を示すために誇張されているが、側壁112の勾配についての任意の定量値を示すことを意図するものではない。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの軸方向区分170は、側壁112の内法寸法が、軸方向区分170の全体にわたる軸方向位置の増大と共に増大する形状を有していてよい。例えば、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの軸方向区分170は、側壁112が直線状でかつ角度が付けられている円錐台状である形状を有していてよい(図7A)。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの軸方向区分は、側壁112が、軸方向区分170の軸方向長さの全体にわたり湾曲しているベル型であってもよい(図7D)。湾曲した側壁112を有する軸方向区分170について、側壁112の内面114は、凹面や凸面であってよく、または凹面と凸面との間で移行してもよい。
【0045】
軸方向区分170の各々は、マッフル110の中心軸Aに関して対称または非対称であってよい。例えば、いくつかの実施形態では、軸方向区分170の少なくとも1つは、非対称であってよく、側壁112の内面114と中心軸Aとの間の半径方向距離が、マッフル110を通過するガラス管12の懸垂経路に適合させるために片側でより大きくなっていてよい。いくつかの実施形態では、側壁112の非対称の軸方向区分により、マッフル110が、軸方向区分170内の各軸方向位置で、側壁112の内面114とガラス管12との間でより一貫した距離を提供することが可能となり、このことにより、対称の側壁と比較して、マッフル110中のガラス管12からのより一貫した熱伝達が提供可能となる。
【0046】
図7Aを参照すると、いくつかの実施形態では、マッフル110Aは、側壁112の上側区分152が円筒状の形状であってよい上側部分150と、側壁112の下側区分162が円錐台状の形状であってよい下側部分160とを含んでよい。図7Bを参照すると、いくつかの実施形態では、マッフル110Bは、両方が円錐台の形状であるが、側壁112の内面114の異なる勾配を有する側壁112の上側区分152と下側区分162とを含んでよい。図7Cを参照すると、いくつかの実施形態では、マッフル110Cは、上側区分152と、第1の下側区分164と、第2の下側区分166とを含む側壁112を有していてよい。図7Cの実施形態では、上側区分152と、第1の下側区分164と、第2の下側部分166とは、各軸方向区分170内の側壁112がそれぞれ異なる勾配を有する円錐台状の形状であってよい。図7Dを参照すると、いくつかの実施形態では、マッフル110Dは、円筒状である上側区分152と、この上側区分152から外向きに湾曲する下側区分162とを含む側壁112を有していてよい。図7Eを参照すると、いくつかの実施形態では、マッフル110Eは、単一の軸方向区分170を含んでよく、側壁112は、入口端部140から出口端部142まで外向きに連続的に湾曲していてよい。図7Fを参照すると、いくつかの実施形態では、マッフル110Fの側壁112は、円錐台状の形状を有する上側区分152と、湾曲する形状を有する下側区分162とを含んでいてよい。あるいは、いくつかの実施形態では、上側区分152が湾曲していてよく、下側区分162が円錐台状であってよい。図7Gを参照すると、いくつかの実施形態では、側壁112の下側区分162は、対称の側壁と比較して、側壁112の下側区分162においてガラス管12の懸垂部から側壁112までより一貫した距離を提供するために、マッフル110の中心軸Aに対して非対称であってよい。
【0047】
再び図5を参照すると、いくつかの実施形態では、側壁112の上側区分152は、入口端部140付近のマッフル110の上側部分150を規定してよく、側壁112の下側区分162は、側壁112の上側区分152から出口端部142にまで延びていてよい。下側区分162は、出口端部142付近のマッフル110の下側部分160を規定していてよい。側壁112の下側区分162の内法寸法は、側壁112の上側区分152から出口端部142に向かって増大していてよい。いくつかの実施形態では、側壁112の下側区分162は、円錐台状であるかまたは湾曲していてよい。いくつかの実施形態では、側壁112の上側区分152は、円筒形であってよい。
【0048】
さらに図5を参照すると、先に論じたように、マッフル110は、側壁112の少なくとも一部の外面116と、側壁112の周りに配置された絶縁層126との間に配置された通路130を含んでいてよい。いくつかの実施形態では、通路130は、側壁112の外面116により少なくとも部分的に規定されていてよい。通路130は、側壁112の少なくとも一部の冷却を提供するように動作可能であってよい。例えば、通路130は、側壁112の内面114の少なくとも一部の温度を制御するために、熱伝達流体を通流させるように動作可能であり、側壁112と熱的に接続していてよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、通路130は、一方の側の側壁112の外面116と、他方の側の絶縁層126との間で規定される環状空間であってよい。図8を参照すると、いくつかの実施形態では、マッフル110は、マッフル110の側壁112から離間してかつその側壁から半径方向に外側に位置決めされた通路側壁132を含んでいてよく、通路130は、側壁112の外面116と通路側壁132の内面との間で規定されていてよい。いくつかの実施形態では、通路側壁132は、マッフル110の側壁112と、側壁112を取り囲む絶縁層126との間に配置されていてよい。いくつかの実施形態では、通路側壁132は、側壁112と、その側壁112の周りに配置された加熱素子124との間に位置決めされていてよい。
【0050】
再び図5を参照すると、マッフル110は、通路入口134と通路出口136とを含んでいてよく、この両方が通路130と流体接続されていてよい。通路入口134は、熱伝達流体の供給源、例えば熱交換器、水/蒸気供給源、空気、または熱伝達流体の他の供給源と流体接続されていてよい。熱伝達流体は、液状またはガス状の熱伝達流体を含んでいてよい。通路入口134は、熱伝達流体を通路130に導入するように動作可能であってよい。通路出口136は、通路130から熱伝達流体を除去するように動作可能であってよい。通路130は、熱交換器(図示されていない)に流体接続されていてよく、熱伝達流体は、熱交換器を通して循環され、通路入口134に連続的に再導入されてよい。例えば、いくつかの実施形態では、通路出口136は、熱交換器(図示されていない)の入口と流体接続されていてよく、通路入口134は、熱交換器の出口と接続されていてよいため、熱交換器により熱伝達流体から熱を除去することができ、かつ熱伝達流体は、通路130に連続的に再導入することができる。別の実施形態では、空気または水が熱交換器を通して循環することなく、空気または水が通路130に通されてよい。
【0051】
通路入口134は、通路130の一方の軸方向端部付近で通路130と流体接続していてよく、通路出口136は、通路130の他方の軸方向端部付近で通路130と流体接続していてよい。いくつかの実施形態では、通路入口134と通路出口136とは、マッフル110を通るガラス管12の流れと並流の、通路130を通流する熱伝達流体の流れを生成するように位置決めされていてよい。例えば、いくつかの実施形態では、通路入口134は、通路出口136に対して、マッフル110の入口端部140のより近くに位置決めされていてよい。あるいは、別の実施形態では、通路入口134と通路出口136とは、マッフル110を通るガラス管12の流れに対して向流の、通路130中の熱伝達流体の流れを誘導するように位置決めされていてよい。例えば、いくつかの実施形態では、通路入口134は、マッフル110の出口端部142付近に位置決めされていてよく、通路出口136は、マッフル110の入口端部140のより近くの通路130の軸方向端部に位置決めされていてよい。
【0052】
図5は、通路130が、マッフル110の下側部分160内に位置決めされていて、通路入口134と通路出口136とは、マッフル110を通るガラス管12の流れに並流の熱伝達流体の流れを確立するように位置決めされている実施形態を示す。ここで図8を参照すると、マッフル110の動作の間に、熱伝達流体は、通路入口134に連続的に導入されてよい。熱伝達流体は、通路入口134を通って通路130に向かい、次いで、図8で矢印により示されているように通路130を通流することができる。次いで、熱伝達流体は、通路130から通路出口136に入るように通流してよく(図5)、これにより、熱伝達流体は、通路130から出る。図8を参照すると、通路130を通流する間、熱伝達流体は、側壁112の外面116と熱的に接続することができる。
【0053】
通路入口134に導入される熱伝達流体は、側壁112の温度よりも低い温度を有していてよい。熱伝達流体は、以下に限定されるものではないが、水、グリコール、例えばプロピレングリコール、または他の熱伝達流体のような高い熱容量を有する熱伝達流体であってよい。別の実施形態では、熱伝達流体は、空気または別のガスであってよい。熱伝達流体が通路130を通過する際に、熱は、側壁112の外面116から熱伝達流体内へ伝達されてよい。側壁112から熱伝達流体へのこの熱伝達は、側壁112の内面114の温度を低下させることができる。側壁112の内面114の低下する温度は、ガラス管12とマッフル110内の側壁112の内面114との間に大きな温度勾配を生成しうる。マッフル110内の温度勾配の増大は、マッフル110内のガラス管12からの熱伝達速度における更なる増大を引き起こすことができ、これにより、マッフル110は、ガラス管12の温度を、比較的大きなガラス流量で、着地温度Lまで低減させることを可能にする。
【0054】
図13Aおよび図13Bを参照すると、マッフル110の下側部分160での受動冷却ありおよびなしのマッフル110内の温度の数学的モデリングは、受動冷却が、マッフル内の温度にかなりの影響を及ぼすことができることを示す。図13Aおよび図13Bでは、明るい陰影は高い温度に対応し、暗い陰影は低い温度を示す。図13Aでは、冷却が存在しないマッフル110内の温度モデリングの結果が示されている。図13Aに示すように、冷却なしでは、マッフル110内の空洞全体が、ガラス管12の温度と、側壁112の内面114の温度との間に小さな温度勾配を有するだけのより高い温度となりうる。
【0055】
図13Bを参照すると、マッフル110の下側部分160中で受動冷却ありで動作されるマッフル110中の温度の数学的モデリングが示されている。図13Bのモデリングについて、受動冷却は、周囲温度の空気をマッフル110の下側部分160中の通路130に通過させることにより提供された。図13Bが示すように、図13Aのマッフル110内の陰影と比較して、側壁112に沿った、およびマッフル110内の暗い陰影により示されるように、通路130に空気を通過させることにより提供された冷却は、マッフル110内の温度プロファイルにおいてかなりの低減を提供する。さらに、図13Bは、図13Aで示された冷却なしのマッフル110の動作と比較して、受動冷却ありで動作するマッフル110について、ガラス管12と側壁112の内面114との間のより大きな温度勾配を示す。
【0056】
図14は、図13Aおよび図13Bでモデル化されたシステムについて、軸方向位置(例えば、マッフル110の入口端部140からの、図13Aおよび図13Bでの座標軸のZ位置または-Z方向の距離)の関数としての、マッフル110の内面114の温度に関する数学的モデリングデータを提供する。図14では、x軸上のゼロは、マッフル110の入口端部140(図4)に対応し、マッフル110の上側部分150と下側部分160との間の移行は、約0.3メートルで生じる。データ列1501は、図13Aでモデル化されたマッフル110のような、冷却なしのマッフル110の動作でのマッフル110の内面114の温度プロファイルに対応する。データ列1502は、マッフル110の下側部分160中に受動冷却ありの動作でのマッフル110の内面114の温度プロファイルに対応する。図5により示されるように、マッフル110の下側部分160中での側壁112の冷却は、側壁112の内面114の温度を500℃以上低下させて、300℃未満の温度にすることができる。これは、ガラス管12と側壁112の内面114との間でマッフル110中でのより大きな温度勾配を生成し、このより大きな温度勾配は、マッフル110を通過するガラス管12からの熱伝達速度を大きく増大させることができる。
【0057】
側壁112の内面114とガラス管12との間の温度勾配の増加により、本明細書に開示されるマッフル110は、ガラス管12の受動冷却を提供することができ、この受動冷却は、間接的であり、空気のような熱伝達流体をマッフル110の空洞内へ直接導入することによる能動冷却の場合のように熱伝達流体がガラス管12の表面と接触することがないことを意味する。したがって、本明細書に開示されるマッフル110は、ガラス管12の外面に衝突したりまたはその外面に物理的に接触したりすることなく、ガラス管12の受動冷却を提供する。マッフル110内の温度勾配、したがってガラス管12からの熱伝達速度は、通路130に導入される熱伝達流体の流量、温度、または熱容量の変更により、増大または低減することができる。熱容量は、特定の熱伝達流体の選択により変更することができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、通路130は、単一の通路入口134と単一の通路出口136とを含んでいてよい。別の実施形態では、通路130は、複数の通路入口134、例えば2、3、4、5、6、または6より多い通路入口134を有していてよい。複数の通路入口134は、通路130の周りに放射状に分配されていてよい。いくつかの実施形態では、通路130は、複数の通路出口136、例えば2、3、4、5、6、または6より多い通路出口136を含んでいてよい。複数の通路出口136は、通路130の周りに放射状に分配されていてよい。
【0059】
図9を参照すると、いくつかの実施形態では、マッフル110は、互いに流体的に隔絶された複数の通路130を含んでいてよい。複数の通路130は、互いに分離され、マッフル110の異なる位置に位置決めされていてよい。いくつかの実施形態では、複数の通路130は、環状通路であってよく、マッフル110に沿って軸方向(すなわち、図10の座標軸の+/-Z方向)に分配されていてよい。例えば、いくつかの実施形態では、マッフル110は、上側通路180と下側通路190とを含んでいてよい。上側通路180は、側壁112の上側区分152の外面と、絶縁層126との間に位置決めされていてよいので、上側通路180は、マッフル110の上側部分150に冷却を提供することができる。下側通路190は、側壁112の下側区分162の外面と、絶縁層126との間に位置決めされていてよいので、下側通路190は、マッフル110の下側区分160に冷却を提供することができる。上側通路180と下側通路190とは、下側通路190に対してマッフル110の入口端部140付近に位置決めされる上側通路180によって、互いに流体的に隔絶されていてよい。上側通路180と下側通路190とはそれぞれ、少なくとも1つの通路入口134と少なくとも1つの通路出口136とを含んでよい。上側通路180と下側通路190とは、マッフル110の上側部分150と下側部分160とのそれぞれの熱伝達速度を微調整するために独立して動作可能である。
【0060】
マッフル110は、複数の上側通路180および/または複数の下側通路190を含んでいてよい。例えば、いくつかの実施形態では、マッフル110は、1つの上側通路180と複数の下側通路190、複数の上側通路180と単一の下側通路190、または複数の上側通路180と複数の下側通路190とを含んでいてよい。複数の上側通路180および/または複数の下側通路190の各々は、互いに流体的に隔絶されていてよく、それぞれ少なくとも1つの通路入口134と少なくとも1つの通路出口136とを含んでいてよい。複数の上側通路180および/または複数の下側通路190は、単一の上側通路180と単一の下側通路190とを有するマッフル110と比較して、マッフル110内の温度プロファイルの微調整を可能にしうる。
【0061】
図10を参照すると、いくつかの実施形態では、マッフル110は、第1の上側通路182と、第2の上側通路184とを含んでいてよい。第1の上側通路182は、マッフル110の入口端部140付近に位置決めされていてよく、第2の上側通路184は、第1の上側通路182の垂直方向下方に(すなわち、図10の座標軸の-Z方向に)位置決めされていてよい。マッフル110は、第1の下側通路192と第2の下側通路194とを含んでいてもよい。第2の下側通路194は、マッフル110の出口端部142付近に位置決めされていてよく、第1の下側通路192は、第2の下側通路194の垂直方向上方に(すなわち、図10の座標軸の+Z方向に)位置決めされていてよい。
【0062】
いくつかの実施形態では、マッフルは、互いに流体的に隔絶されて、側壁112の外面116の周りに角度的に分配された複数の角度通路区画を含む1つ以上の通路130を含んでいてよい。通路130は、2または2より多くの角度通路区画、例えば2、3、4、5、6、7、8、または8より多くの角度通路区画を含んでいてよい。例えば、図11を参照すると、複数の角度通路区画130A~130Dを有するマッフル110の断面図が示されている。図11では、マッフル110の断面は、マッフル110を通過する横断面(すなわち、図9で基準線11-11により示されている図11の座標軸のX-Y平面に対して平行な面)に対して得られている。いくつかの実施形態では、マッフル110は、第1の角度通路区画130Aと、第2の角度通路区画130Bと、第3の角度通路区画130Cと、第4の角度通路区画130Dとを含んでいてよい。複数の角度通路区画130A、130B、130C、および130Dは、マッフル110内の角度位置に対して温度プロファイルの微調整を可能にしうる。図11中には4つの角度通路区画が示されているが、マッフル110は、4つより少ないまたは4つより多い角度通路区画を有していてよいことが理解される。いくつかの実施形態では、通路130は、複数の軸方向通路区画と、複数の角度通路区画に分割されていてよい。複数の通路130を有する実施形態では、通路130の各々は、1つまたは複数の通路入口134、例えば1、2、3、4、5、6、または6より多い通路入口134を有していてよい。これらの通路130の各々は、1つまたは複数の通路出口136、例えば1、2、3、4、5、6、または6より多い通路出口136を含んでいてもよい。
【0063】
マッフル110内の多様な軸方向位置および/または半径方向位置に配置された複数の通路130の存在は、マッフル110内に複数の熱伝達区域を形成してよい。例えば、再び図9を参照すると、上側通路180と下側通路190とは、マッフル110を、熱伝達が上側通路180により制御されてよい上側熱伝達区域186(例えば、マッフル110の上側部分150中の空洞に対応する)と、熱伝達が下側通路190により制御されてよい下側熱伝達区域196(例えば、マッフル110の下側部分160中の空洞に対応する)とに分離してよい。上側通路180と下側通路190とは、それぞれ上側熱伝達区域186と下側熱伝達区域196とにおける熱伝達速度を独立して制御するために、熱伝達流体の流量、圧力、温度または他の動作パラメータに関して独立して動作可能である。通路130が複数の通路(例えば、図9図10、および図11)を有する実施形態では、複数の通路の各々は、マッフル110内の複数の熱伝達区域中の熱伝達速度を制御するために、独立して動作されてよい。
【0064】
再び図4を参照すると、絶縁層126は、以下のものに限定されるものではないが、セラミック耐火材料または他の耐火材料のような耐火材料を含んでいてよい。いくつかの実施形態では、マッフル110はさらに、側壁112と絶縁層126との間に配置される加熱素子124を含んでいてよい。加熱素子124は、側壁112の少なくとも一部と熱的に接続していてよい。加熱素子124は、以下のものに限定されるものではないが、抵抗加熱器、例えばマッフル110の周囲に巻かれた抵抗加熱ワイヤ、火炎加熱素子、例えばガスバーナー、または他の加熱装置であってよい。いくつかの実施形態では、加熱素子124は、通路130と、マッフル110を取り囲む絶縁層126との間に配置された少なくとも1つの抵抗加熱ワイヤを含んでいてよい。いくつかの実施形態では、加熱素子124は、複数の加熱素子を含んでいてよい。加熱素子124は、マッフル110の多様な部分中の熱伝達を制御するために、通路130と連動して動作可能である。例えば、加熱素子124は、比較的少ないガラス流量での動作の場合、例えば極めて小さな直径のガラス管を製造する場合または低下した引出速度の期間中、例えばプロセスが中断(例えば、始動、停止、管のサイズ変更、仕様外イベント、または他のプロセス中断)している間、マッフル110がガラス管12の着地温度Tを制御することを可能にしうる。
【0065】
図4を参照すると、いくつかの実施形態では、ガラス管12を製造するためのシステム100は、ボウル20と、このボウル20に接続されたマッフル110と、このマッフル110の下方に配置された管走路60とを含んでいてよい。先に説明したように、いくつかの実施形態では、ボウル20は、少なくとも1つの円筒状容器22を含んでいてよく、この円筒状容器は、円筒状容器22の底部24から延びるオリフィスリング28を有する。オリフィスリング28は、円筒状容器22の底部24にオリフィス26を規定していてよい。ボウル20は、円筒状容器22内に配置され、オリフィス26を通過して延びるブロー管30を含んでいてもよい。ブロー管30は、オリフィスリング28付近にガス流を供給するように動作可能であってよい。マッフル110は、ボウル20と接続された入口端部140と、この入口端部140の内法寸法よりも大きい内法寸法を有する出口端部142とを含んでいてよい。マッフル110はさらに、入口端部140から出口端部142にまで延びる側壁112を含んでいてよい。マッフル110の中心軸Aから側壁112の内面114までの半径方向距離Rは、入口端部140から出口端部142に向かって増大してよい。側壁112の内面114は、マッフル110内に不安定領域を生成する、中心軸Aから内面114までの半径方向距離Rにおける急激な変化が実質的になくてよい。マッフル110はさらに、側壁112の外面116と、側壁112の周りに配置された絶縁層126との間に配置された通路130を含んでいてよい。通路130は、側壁112に冷却を提供するために、熱伝達流体を通流させるように動作可能であり、側壁112と熱的に接続していてよい。マッフル110は、例えば、マッフル110を通過するガラス管12からの熱伝達速度の制御により、ボウル20から引き出される溶融ガラス管12の温度を制御するように動作可能であってよい。システム100のマッフル110は、本明細書で説明されたマッフル110の他の特徴のいずれかを有していてよい。管走路60は、ディアボロ62と熱伝達チャンバ64とを含んでいてよい。
【0066】
図4を参照すると、いくつかの実施形態では、ガラス管の形成プロセスは、ボウル20からガラス管12を引き出すステップと、ガラス管12をマッフル110に通すステップとを含んでいてよい。マッフル110は、マッフル110に関連して本明細書に説明された特徴のいずれかを有していてよい。例えば、いくつかの実施形態では、マッフル110は、ボウル20と接続された入口端部140と、この入口端部140の内法寸法よりも大きい内法寸法を有する出口端部142とを含んでいてよい。マッフル110はさらに、入口端部140から出口端部142にまで延びる側壁112を含んでいてよい。マッフル110の中心軸Aから側壁112の内面114までの半径方向距離Rは、入口端部140から出口端部142に向かって増大してよい。側壁112の内面114には、マッフル110内に不安定領域を生成する、中心軸Aから内面114までの半径方向距離Rにおける急激な変化が実質的になくてよい。マッフル110はさらに、側壁112の外面116と、側壁112の周りに配置された絶縁層126との間に配置された通路130を含んでいてよい。ガラス管の形成プロセスはさらに、マッフル110を通過するガラス管12を冷却するステップを含んでいてよい。ガラス管12を冷却するステップは、側壁112の一部の外面116と、側壁112の周りに配置された絶縁層126との間に配置された通路130に熱伝達流体を通流させるステップを含んでいてよい。通路130は、側壁112と熱的に接続していてよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、このプロセスはさらに、ガラス管12を、ガラス管12の制御された冷却を行いうる管走路60に通すステップを含んでよい。いくつかの実施形態では、マッフル110は、ガラス管12からの熱伝達の速度を制御できるので、ガラス管12の温度は、ガラス管12が管走路60のディアボロ62に着地する箇所68で着地温度Tに到達する。いくつかの実施形態では、ガラス管12を冷却するステップは、側壁112の外面116と熱的に接続した少なくとも1つの加熱素子124を制御することにより、マッフル110を通過するガラス管12の温度を制御するステップを含んでよい。
【0068】
本明細書に説明されたプロセスによるシステム100により製造されたガラス管12は、ガラス物品、例えば、ボトル、ガラス容器などに成形されうる。本明細書に開示されたシステム100およびプロセスによって製造されたガラス管12は、ガラス管12およびそのガラス管から作製された物品の物理的および化学的耐久性を高めるために、熱的または化学的強化法により強化されてよい。本明細書に開示されたシステム100およびプロセスを用いて作製されたガラス管12は、医薬組成物、例えば液体、粉末などを包含する医薬パッケージの形成における用途に特に申し分なく適しうる。例えば、ガラス管12は、医薬組成物または他の化合物を貯蔵するためのバイアル、アンプル、カートリッジ、シリンジ本体および/または他のガラス容器を形成するために使用されうる。
【実施例
【0069】
以下の実施例は、製造されたガラス管の寸法における変動に対する、マッフル中の空気の温度における標準偏差の影響を示す。以下の予想的実施例は、フルスケールのガラス管製造工場での実験的測定に基づく。
【0070】
図15を参照すると、ガラス管12の寸法に対する、ガラス管12の温度における標準偏差の影響を、図15に概略的に示されたベローシステム300を用いて研究した。ベローシステム300は、ボウル20と、ブロー管30と、従来型のマッフル40と、ベースカバー310と、管走路60とを含んでいた。場合により、このベローシステム300は、高温シュラウド320も含んでいた。ボウル20は、円筒状容器22とオリフィスリング28とを含んでいた。ガラス管12の温度における標準偏差の影響は、オリフィスリング28付近の第1の部分42と、第1の部分42に接続された第2の部分50とを含み、第1の部分42と第2の部分50とは両方とも円筒状の形状である従来型のマッフル40に基づきモデル化された。
【0071】
ベースカバー310は、出口54付近のマッフル40の第2の部分50に接続し、ガラス管12をさらに囲むように第2の部分50から下向きに(すなわち、図15の座標軸の-Z方向に)延びる剛性のカバーであった。このベースカバー310は、マッフル40に接続する大きい端部と、下方に(すなわち、図15の座標軸の-Z方向に)向けられた小さい端部とを有する切頭四角錐の形状を有していた。ベースカバー310は、管走路60の方向に(すなわち、図15中の座標軸の-X方向に)面するフロントパネル312と、フロントパネル312の反対側および管走路60とは反対側に(すなわち、図15中の座標軸の+X方向に)面するバックパネル314とを含んでいた。いくつかの実施例では、ベローシステム300は、場合により、ボウル20と管走路60との間でガラス管12を完全に取り囲むために、ベースカバー310から管走路64にまで延びる高温シュラウド320を含んでいた。高温シュラウド320は、マッフル40中のガラス管12の温度までの温度および/またはその温度を超える温度に耐えることが可能な高温布、例えば高温絹布であってよい。以下の実施例におけるモデリングは、10.95mmの外径を有するガラス管12の製造に基づく。
【0072】
実施例1
実施例1では、マッフル中の空気の温度における標準偏差の関数としてのガラス管の寸法における変動を、ベースカバー310を有するが、高温シュラウド320を有していない図15のベローシステム300に基づいてモデル化した。空気の温度および速度は、ガラス管12の約1~2インチ(約2.54cm~約5.08cm)上方でかつベースカバー310のフロントパネル312から約8インチ(約30.48cm)内側にある点320で測定した。実施例1の場合では、空気の平均速度は1.745m/sであり、空気の平均温度は372.95℃であった。
【0073】
実施例2
実施例2では、マッフル中の空気の温度における標準偏差は、ベースカバー310と管走路60との間のガラス管を完全に取り囲み、周囲条件からのマッフル内の空気の隔絶を増大させるために、高温シュラウド320を含むことにより、低下した。実施例2でのモデリングは、ベースカバー310および高温シュラウド320を有する図15のベローシステム300に基づくものとした。高温シュラウド310は、マッフル内の空気の温度および速度に対する、周囲空気の影響を低減するために、ガラス管を完全に取り囲んだ。マッフル中の空気の平均速度は1.715m/sであり、マッフル中の空気の平均温度は440.31℃であった。実施例1に対して実施例2での空気の温度における上昇は、マッフル40と管走路60との間の空気およびガラス管を完全に取り囲むためであると予想される。
【0074】
実施例3
実施例3では、マッフル中の空気の温度における標準偏差は、ベースカバー310のバックパネル314内の開口部を通してガラス管に周囲空気を導入することにより、実施例2に対して増大した。実施例3でのモデリングは、ベースカバー310および高温シュラウド320を有する図15のベローシステム300に基づくものとした。実施例3では、ベースカバー310により形成される内部空洞内へ周囲空気が入ることを許容するため、1.75インチ(44.45mm)の幅を有するギャップが、ベースカバー310のバックパネル314中に配置された。実施例3について、マッフル中の空気の平均速度は1.647m/sであり、空気の平均温度は388.18℃であった。実施例2に対する実施例3でのマッフル内の空気の温度の低下は、ベースカバー310の空洞への周囲空気の再導入するためであると考えられる。
【0075】
実施例4
実施例4では、マッフル中の空気の温度における標準偏差は、ベースカバー310のフロントパネル312中の開口部とバックパネル314中の開口部とを通してベースカバー310に周囲空気を導入することにより、実施例1~3に対して劇的に増大した。実施例4でのモデリングは、ベースカバー310および高温シュラウド320を有する図15のベローシステム300に基づくものとした。実施例4では、2つの方向からベースカバー310の内部空洞内へ周囲空気が入ることを許容するため、1.75インチ(44.45mm)の幅を有するギャップが、ベースカバー310のフロントパネル312とバックパネル314の中に配置された。実施例4について、マッフル中の空気の平均速度は2.438m/sであり、空気の平均温度は332.90℃であった。実施例4におけるマッフル中の空気の平均温度は、実施例1および3に対して低下した。
【0076】
実施例5
実施例5では、マッフル中の空気の温度における標準偏差は、ベースカバー310のフロントパネル312とバックパネル314の中のギャップを広げることによりさらに変化した。実施例5でのモデリングは、ベースカバー310および高温シュラウド320を有する図15のベローシステム300に基づくものとした。実施例5では、ベースカバー310により形成された内部空洞内へ周囲空気が入ることを許容するために、フロントパネル312とバックパネル314の中のギャップを5.0インチ(127mm)の幅に広げた。実施例5について、マッフル中の空気の平均速度は2.800m/sであり、空気の平均温度は247.85℃であった。実施例5でのマッフル中の空気の平均温度は、空洞内へ流入することが許容される周囲空気の体積が増加したため、実施例4に対して低下した。
【0077】
実施例6
実施例6では、マッフル中の空気の温度における標準偏差は、バックパネル314中のギャップを取り除き、周囲空気はフロントパネル312中のギャップを通して空洞に入るだけにすることにより、さらに変化した。実施例6でのモデリングは、ベースカバー310および高温シュラウド320を有する図15のベローシステム300に基づくものとした。実施例6では、ベースカバーは、フロントパネル312中に1.75インチ(44.45mm)のギャップだけを含み、バックパネル314中にギャップは有していなかった。実施例6について、マッフル中の空気の平均速度は1.699m/sであり、空気の平均温度は377.578℃であった。実施例6でのマッフル中の空気の平均温度は、空洞内へ流入することが許容される周囲空気の体積が減少したため、実施例4および5に対して上昇した。
【0078】
実施例7:実施例1~6の比較
実施例7では、実施例1~6のマッフル中の空気の温度標準偏差およびガラス管についての寸法におけるばらつきを、ガラス管の寸法に対するマッフル中の空気温度の標準偏差の影響を評価するために比較した。実施例1~6のそれぞれについて、ガラス管のテーパおよび外径ならびにマッフル中の空気の温度および速度を測定した。実施例1~6について、ガラス管のテーパの各々についての平均(AVE)および標準偏差(STD)、ガラス管の外径(OD)範囲、空気温度(T)、ならびに空気速度(V)を、以下の表1に示す。本明細書に使用されているような「テーパ」の用語は、ガラス管の一端から管の全体の長さにわたって他端までのODが異なることを指す。ガラス管のテーパは、一般に、全OD公差の約半分未満である。
【0079】
【表1】
【0080】
表1に示されるように、実施例4および5の場合のようにマッフル中の空気の温度における標準偏差の増大は、実施例1~3に対する実施例4および5のガラス管のテーパおよびODの標準偏差における増大により示されるように、ガラス管の寸法におけるばらつきを増大させる。図16を参照すると、表1からのガラス管のテーパの標準偏差が、マッフル中の空気温度における標準偏差の関数としてグラフで示されている。傾向線1310は、図16に示されるデータに適合し、このデータに対する傾向線1310の適合において高い信頼水準を示す0.9769のR値を有する。図16に示されているように、ガラス管の寸法におけるばらつき(例えば、テーパ)は、マッフル中の空気温度におけるばらつき(すなわち、空気温度の標準偏差)に線形的に依存していると考えられる。したがって、実施例7における実施例1~6の比較は、マッフル中の空気の温度制御の改善が、ガラス管の寸法および形状におけるばらつきを低減できることを示す。
【0081】
マッフル110、マッフル110が組み込まれたシステム100、およびガラス管形成プロセスの多様な実施形態を本明細書で説明したが、これらの実施形態および技術の各々は、個別に、または1つ以上の実施形態および技術と共に使用されてよいことが考慮されると理解されたい。特許請求の範囲に記載された主題の精神および範囲から逸脱することなしに、本明細書に説明された実施形態に対して多様な修正および変更を行うことができることは当業者に明らかである。したがって、本明細書は、修正および変更が添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内にあるという前提で、本明細書で説明された多様な実施形態の修正および変更を含むことを意図する。
【0082】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0083】
実施形態1
ガラス管の形成プロセス用のマッフルであって、前記マッフルは、
ガラス管を製造するためのボウルに接続された入口端部と、
出口端部であって、前記出口端部での前記マッフルの内法寸法は、前記入口端部での前記マッフルの内法寸法よりも大きい、出口端部と、
前記入口端部から前記出口端部にまで延びる側壁であって、前記マッフルの中心軸から前記側壁の内面までの半径方向距離が前記入口端部から前記出口端部に向かって増大し、前記側壁には、前記マッフル内に不安定領域を生成する、前記中心軸から前記内面までの半径方向距離における急激な変化が実質的にない、側壁と、
前記側壁の少なくとも一部の外面と前記側壁の周りに配置された絶縁層との間に位置決めされた通路であって、前記通路は、前記側壁の内面の少なくとも一部の温度を制御するために、熱伝達流体を通流させるように動作可能であり、前記側壁と熱的に接続している、通路と
を有する、マッフル。
【0084】
実施形態2
前記マッフルの軸方向長さのセンチメートル毎の、前記中心軸から前記マッフルの前記内面までの前記半径方向距離における変化が、前記入口端部と前記出口端部との間の前記側壁の前記内面の全ての位置で、0.635cm未満の絶対値を有する、実施形態1記載のマッフル。
【0085】
実施形態3
軸方向位置の関数としての、前記マッフルの前記中心軸から前記側壁の前記内面までの半径方向距離のプロットの勾配が、前記入口端部と前記出口端部との間の前記マッフルの前記軸方向長さに沿って2以下の絶対値を有し、軸方向位置の関数としての半径方向距離の前記プロットの前記勾配は、少なくとも0.25インチ(0.635cm)の軸方向位置における変化に対する平均勾配として決定される、実施形態1記載のマッフル。
【0086】
実施形態4
前記側壁の前記内面には、前記マッフルの前記中心軸から前記側壁の前記内面までの前記半径方向距離において、0.25インチ(0.635cm)を超える段階的な変化がない、実施形態1記載のマッフル。
【0087】
実施形態5
前記側壁の少なくとも一部は、円錐台またはベル型である、実施形態1記載のマッフル。
【0088】
実施形態6
前記通路は、通路入口と通路出口とを有する、実施形態1記載のマッフル。
【0089】
実施形態7
前記通路入口は、前記通路出口に対して前記マッフルの入口端部付近にある、実施形態6記載のマッフル。
【0090】
実施形態8
前記通路は、互いに流体的に隔絶された複数の通路を有する、実施形態1記載のマッフル。
【0091】
実施形態9
前記複数の通路の各々は環状であり、前記複数の通路は、軸方向に配置されている、実施形態8記載のマッフル。
【0092】
実施形態10
前記複数の通路の各々は、前記通路入口と前記通路出口とが軸方向に離間され、前記複数の通路が前記側壁の前記外面の周囲に放射状に配置されるように縦方向に配向されている、実施形態8記載のマッフル。
【0093】
実施形態11
前記複数の通路は、複数の横方向通路と複数の縦方向通路とを含む、実施形態8記載のマッフル。
【0094】
実施形態12
前記通路は、熱交換器と流体的に接続されている、実施形態1記載のマッフル。
【0095】
実施形態13
前記側壁の上側区分は、前記入口端部付近の前記マッフルの上側部分を規定し、前記側壁の下側区分は、前記側壁の上側区分から前記出口端部まで延び、かつ前記出口端部付近の前記マッフルの下側部分を規定し、前記側壁の下側区分の直径は、前記側壁の前記上側区分から前記出口端部に向かって増大する、実施形態1記載のマッフル。
【0096】
実施形態14
前記側壁の前記下側区分は円錐台であるかまたは湾曲している、実施形態13記載のマッフル。
【0097】
実施形態15
前記側壁の前記上側区分は円筒状である、実施形態13記載のマッフル。
【0098】
実施形態16
前記通路は、前記側壁の前記下側区分の外面と前記絶縁層との間に配置された少なくとも1つの下側通路を有する、実施形態13記載のマッフル。
【0099】
実施形態17
前記下側通路は、互いに流体的に隔絶された複数の下側通路を有する、実施形態16記載のマッフル。
【0100】
実施形態18
前記通路は、前記側壁の前記上側区分の外面と前記絶縁層との間に配置された少なくとも1つの上側通路を有する、実施形態13記載のマッフル。
【0101】
実施形態19
前記マッフルは、前記側壁の少なくとも一部と熱的に接続した少なくとも1つの加熱素子をさらに有する、実施形態1記載のマッフル。
【0102】
実施形態20
ガラス管の製造システムであって、前記システムは、
ボウルであって、
少なくとも1つの円筒状容器であって、前記円筒状容器は、前記円筒状容器の底部から延びるオリフィスリングを有し、前記オリフィスリングは、前記円筒状容器の前記底部中のオリフィスを規定する、円筒容器と、
前記円筒状容器内に配置されて、前記オリフィスを通過するように延びるブロー管であって、前記オリフィスリング付近にガス流を供給するように動作可能であるブロー管と
を有するボウルと、
マッフルであって、
前記ボウルに接続された入口端部と、
前記入口端部の内法寸法よりも大きい内法寸法を有する出口端部と、
前記入口端部から前記出口端部にまで延びる側壁であって、前記マッフルの中心軸から前記側壁の内面までの半径方向距離が前記入口端部から前記出口端部に向かって増大し、前記側壁の前記内面には、前記マッフル内に不安定領域を生成する、前記中心軸から前記内面までの半径方向距離における急激な変化が実質的にない、側壁と、
前記側壁の外面と前記側壁の周りに配置された絶縁層との間に位置決めされた通路であって、前記側壁に冷却を提供するために、熱伝達流体を通流させるように動作可能であり、前記側壁と熱的に接続している、通路と
を有し、前記ボウルから引き出されたガラス管の温度を制御するように動作可能である、マッフルと
を有する、システム。
【0103】
実施形態21
前記システムは、前記マッフルの下方に配置された管走路をさらに有し、前記管走路は、ディアボロと熱伝達区域とを有する、実施形態20記載のシステム。
【0104】
実施形態22
前記マッフルの軸方向長さのセンチメートル毎の、前記中心軸から前記マッフルの前記内面までの前記半径方向距離における変化は、前記入口端部と前記出口端部との間の前記側壁の前記内面の全ての位置で、0.635cm未満の絶対値を有する、実施形態20記載のシステム。
【0105】
実施形態23
前記側壁の少なくとも一部は、円錐台またはベル型である、実施形態20記載のシステム。
【0106】
実施形態24
前記側壁の上側区分は、前記入口端部付近の前記マッフルの上側部分を規定し、前記側壁の下側区分は、前記側壁の上側区分から前記出口端部まで延び、かつ前記出口端部付近の前記マッフルの下側部分を規定し、前記側壁の下側区分の直径は、前記側壁の前記上側区分から前記出口端部に向かって増大する、実施形態20記載のシステム。
【0107】
実施形態25
前記通路は、互いに流体的に隔絶された複数の通路を有する、実施形態20記載のシステム。
【0108】
実施形態26
前記複数の通路は、前記側壁の下側区分の外面と前記絶縁層との間に配置された少なくとも1つの下側通路と、前記側壁の上側区分の外面と前記絶縁層との間に配置された少なくとも1つの上側通路とを有する、実施形態25記載のシステム。
【0109】
実施形態27
ガラス管の形成プロセスであって、
ボウルからガラス管を引き出すステップと、
前記ガラス管をマッフルに通すステップであって、前記マッフルが、
前記ボウルから前記ガラス管を引き受けるように位置決めされた入口を有する入口端部と、
前記入口端部の内法寸法よりも大きい内法寸法を有する出口端部と、
前記入口端部から前記出口端部にまで延びる側壁であって、前記マッフルの中心軸から前記側壁の前記内面までの半径方向距離が前記入口端部から前記出口端部に向かって増大し、前記側壁の前記内面には、前記マッフル内に不安定領域を生成する、前記中心軸から前記内面までの前記半径方向距離における急激な変化が実質的にない、側壁と
を有する、
ステップと、
前記マッフルを通過する前記ガラス管を冷却するステップであって、前記ガラス管を冷却するステップは、前記側壁の一部の外面と前記側壁の周りに配置された絶縁層との間に位置決めされて前記側壁と熱的に接続した通路に、熱伝達流体を通流させるステップを有する、ステップと
を有する、ガラス管の形成プロセス。
【0110】
実施形態28
前記側壁の少なくとも一部は、円錐台またはベル型である、実施形態27記載のガラス管の形成プロセス。
【0111】
実施形態29
前記通路は、互いに流体的に隔絶された複数の通路を有する、実施形態27記載のガラス管の形成プロセス。
【0112】
実施形態30
前記マッフルを通過する前記ガラス管を冷却するステップはさらに、前記側壁の外面と熱的に接続した少なくとも1つの加熱素子を制御するステップを有する、実施形態27記載のガラス管の形成プロセス。
【0113】
実施形態31
前記プロセスが、前記ガラス管を管走路に通すステップをさらに有する、実施形態27記載のガラス管の形成プロセス。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図7F
図7G
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14
図15
図16