(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】超再生受信機においてRF信号を検出する方法、及び当該方法を実装する受信機
(51)【国際特許分類】
H04B 1/16 20060101AFI20240202BHJP
【FI】
H04B1/16 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022104313
(22)【出願日】2022-06-29
【審査請求日】2022-06-29
(32)【優先日】2021-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】アルノー・カサグランデ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン-リュック・アラン
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0139130(US,A1)
【文献】特開平08-084025(JP,A)
【文献】特表2011-503950(JP,A)
【文献】特開2020-115651(JP,A)
【文献】特開平11-027044(JP,A)
【文献】特開平10-224153(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超再生受信機(1)の受信端又はパッド(2)によって検出されるRF信号を検出する方法であって、
前記超再生受信機(1)は、基準発振器(4)、前記基準発振器(4)のためのバイアス電流発生器(7)、発振検出器(6)、及びインピーダンス整合ユニット(3)を備え、
前記基準発振器(4)は、前記基準発振器(4)において発振を発生させ、
前記バイアス電流発生器(7)は、発振開始制御信号(start)の受信した際にバイアス電流を供給し、
前記発振検出器(6)は、前記基準発振器(4)の入力又は出力(coilp)と前記バイアス電流発生器(7)の間に接続され、これによって、前記超再生受信機がRF信号を受信したときに前記バイアス電流発生器(7)を制御し、
前記インピーダンス整合ユニット(3)は、前記超再生受信機(1)の受信端又はパッド(2)と前記基準発振器(4)の間に配置され、
発振開始制御信号(start)のアクティブ化の後に、臨界バイアス電流値に達するまで
バイアス電流値の線形的成長が発生し、
前記方法は、前記基準発振器(4)の発振を検出するステップを行い、
前記基準発振器が臨界増加バイアス電流値を超えて発振した後に、前記発振検出器(6)は、
前記基準発振器(4)の入力又は出力において前記発振を検出して、前記バイアス電流発生器(7)に停止制御信号(stop)を与えることにより、前記基準発振器(4)のバイアス電流(i_vco)をすぐにカットオフして前記基準発振器(4)の発振を停止するように前記バイアス電流発生器(7)に命令して、
これによって、RF信号検出段階における全体的な電力消費を低くする
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
特に前記バイアス電流発生器(7)の制御信号(Sosc)のサイクルの時間にわたって各開始制御信号(start)を受信した後に、前記バイアス電流(i_vco)が前記基準発振器(4)に与えられる
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記開始制御信号(start)は1μ秒間で開始し、1秒間で、連続する制御信号(Sosc)のサイクルの1000近くの開始制御期間(start)が数えられ、前記超再生受信機(1)が1秒間のうち1m秒しか
アクティベートされないようにされる
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記超再生受信機(1)は、さらに、位相ロックループ(PLL5)を備え、
時間の経過とともに、発振周波数をチューンするための電圧制御発振器(VCO)(4)である前記基準発振器にチューニング電圧(Vtune)が与えられる
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記基準発振器(4)の発振が開始する臨界電流値に達するまで、アクティベートごと又は前記バイアス電流発生器(7)に与えられる開始信号(start)ごとに、バイアス電流が増加
する
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法を実装する超再生受信機(1)であって、
前記超再生受信機(1)は、基準発振器(4)、前記基準発振器(4)のためのバイアス電流発生器(7)、発振検出器(6)、及びインピーダンス整合ユニット(3)を備え、
前記基準発振器(4)は、前記基準発振器(4)において発振を発生させ、
前記バイアス電流発生器(7)は、発振開始制御信号(start)の受信した際にバイアス電流を供給し、
前記発振検出器(6)は、前記基準発振器(4)の入力又は出力(coilp)と前記バイアス電流発生器(7)の間に接続され、これによって、前記超再生受信機がRF信号を受信したときに前記バイアス電流発生器(7)を制御し、
前記インピーダンス整合ユニット(3)は、前記超再生受信機(1)の受信端又はパッド(2)と前記基準発振器(4)の間に配置され、
前記超再生受信機は、発振開始制御信号(start)のアクティブ化の後に、バイアス電流の供給のために前記バイアス電流発生器(7)を制御するように意図されており、
前記バイアス電流の値は、臨界バイアス電流値に達するまで線形的成長し、
前記発振検出器(6)は、前記基準発振器
(4)の
入力又は出力において前記基準発振器(4)の発振を検出し、かつ、前記基準発振器が臨界増加バイアス電流値を超えて発振した後に、
停止制御信号
(stop)を前記バイアス電流発生器
(7)に与えて前記基準発振器(4)のバイアス電流をすぐにカットオフするように意図されており、
これによって、前記基準発振器の発振を停止して、消費電力を低くする
ことを特徴とする超再生受信機(1)。
【請求項7】
前記超再生受信機(1)は、さらに、電圧制御発振器(VCO)(4)である前記基準発振器にチューニング電圧(Vtune)を供給するための位相ロックループ(5)を備える
ことを特徴とする請求項6に記載の超再生受信機(1)。
【請求項8】
前記基準発振器(4)は、復調動作のために
2.4GHz以上の周波数で動作する
ことを特徴とする請求項6に記載の超再生受信機(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力消費を低減することを考慮して超再生受信機においてRF信号を検出する方法、及びこの方法を実装する受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
1920年代から、エドウィン・ハワード・アームストロング(Edwin Howard Armstrong)によって発明された短波受信機が知られている。これは初期において3つの高価なランプを備えていたが、発明によって受信機の動作を1つのランプにて実現することが可能になった。下記において議論するように、この原理は、電力消費を低くし前記超再生受信機のアーキテクチャーを単純化するように本発明に係る超再生受信機において用いられる。
【0003】
米国特許文献US5613231は、アクティブコンポーネント又はアンプと、リアクティブ安定化コンポーネントを備える発振器について記載している。このアクティブコンポーネントは、コモンベース回路に配置されるバイポーラートランジスターであり、リアクティブコンポーネントは、トランジスターのコレクターと完全につながった誘電体共振器である。バイポーラートランジスターのベースは、第1の抵抗を介して電源の1つの極に接続され、第2の抵抗を介して共通点に接続され、エミッターは第3の抵抗を介して同じ極に接続される。バイポーラートランジスターのコレクターと共通点の間に共振器コアが接続される。電力消費を低くすることを考慮してRF信号を迅速に検出する方法については何ら記載されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような状況で、本発明は、受信機の入力においてRF信号を迅速に検出することによって電力消費を低減して従来技術の上記の課題を解決することによって、超再生受信機においてRF信号を検出する方法を提供することを目的とする。また、前記超再生受信機は、前記RF信号を検出する方法を実装することができる。
【0005】
このために、本発明は、独立請求項1において定められている特徴を有する、超再生受信機においてRF信号を検出する方法に関する。
【0006】
従属請求項2~5に、この方法のいくつかの特定のステップが定められている。
【0007】
超再生受信機においてRF信号を検出する当該方法の利点は、検出のためにVCOとして定められる基準発振器の発振を一時的にしか逸脱せずに消費電力を可能なかぎり低くし、RF信号を検出した後に発振を停止しつつ、受信機入力においてRF信号を迅速に検出することを可能にすることに基づいている。本発明によると、RF信号の検出が確認された後すぐにVCOの発振を停止することが推奨される。したがって、VCO発振器において発振が発生するか検出された後に、その発振をすぐに停止して、消費電力を低くする。これを行うために、好ましくは本質的に並列に配置されたインダクタンスとキャパシターによって構成しているLC発振器である、VCO発振器の平均バイアス電流は、臨界電流値でなければならない。
【0008】
好ましいことに、受信アンテナによって収集される、外部のRF信号は、発振器の共振回路に直接搬送され、したがって、発振器の多かれ少なかれ迅速な開始のために多かれ少なかれ有利な初期発振条件が発生する。
【0009】
このために、本発明は、独立請求項6において定められている特徴を有する、この方法を実装する超再生受信機に関する。
【0010】
従属請求項7及び8に、この受信機の特定の実施形態が定められている。
【0011】
図示されている実施形態に基づく以下の説明を読むことによって、この超再生受信機においてRF信号を検出する方法の目的、利点及び特徴が一層明らかになる。なお、これに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】簡略化された形態で、入力におけるRF信号の存在を検出するための電子コンポーネントのセットを備え電力消費を低減する本発明に係る超再生受信機の第1の実施形態を示している。
【
図2】インピーダンス整合ユニットと、本発明に係る発振器の発振を発生させるためのバイアス電流がある電圧チューンされたVCOのような基準発振器とを備えるRF信号受信機の第2の簡略化された実施形態を示している。
【
図3】RF信号受信機の第3の簡略化された実施形態を示しており、インピーダンス整合ユニットがプリアンプ信号をVCO基準発振器に与えるプリアンプに接続されており、VCOのためのバイアス電流がある。
【
図4】受信機のアクティベート信号を示しており、これは、本質的にVCO発振器のアクティベート信号であり、主に、発振をアクティブにするための開始信号、バイアス信号、臨界しきい値よりも大きい発振を検出した後の停止信号、及び本発明にしたがって受信機入力におけるRF信号の存在を定める、発振を検出した後すぐの発振のカットオフを示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、動作を行うための電力消費を低くすることを考慮しつつ、超再生受信機においてRF無線周波数信号を検出する方法について説明する。当然、当技術分野においてよく知られている受信機において用いられるコンポーネントはすべて簡単にしか説明しない。本質的に、基準発振器の出力におけるRF信号の検出について言及する。基準発振器は、LCタイプのようなVCO発振器であることができる。
【0014】
図1は、包括的な形態で、少なくとも1つのRF信号の受信を検出することができるRF信号受信機1の第1の実施形態を示している。このために、受信機1には、まず、RF信号を受信するための入力端又はパッド2がある。受信機1は、発振器において発振を発生させるための基準発振器4と、基準発振器4にバイアス電流i_vcoを供給するためのバイアス電流発生器7とを備える。バイアス電流i_vcoは、特に少なくとも1つのアクティベート又は開始制御信号start、例えばバイアス電流発生器7のための制御信号Soscのサイクルのもの、を受信した後に、基準発振器4に与えられる。超再生受信機1は、さらに、発振検出器6を備え、この発振検出器6は、基準発振器4の出力coilpとバイアス電流発生器7の間に接続されて、受信機1がRF信号を受信した後にバイアス電流発生器7を制御する。受信機1の受信端又はパッド2と基準発振器4の間に、受信機1のインピーダンス整合ユニット3が配置される。
【0015】
制御信号Soscのサイクルにおいて、まず、基準発振器4のバイアス制御信号を供給するための第1の制御信号startが存在する。このバイアス電流発生器7のアクティベート制御信号startの後の時点から、バイアス電流が臨界値に達するまで、バイアス電流が、例えば線形的に、増加し、そのときから、基準発振器4が、例えば2.4GHzのオーダーの高周波で、発振し始めることができる。基準発振器4のこの発振時間から、バイアス電流発生器7に停止信号stopを与えて、基準発振器4の発振をすぐに停止することができるように発振検出器6において検出を行う。このことは、基準発振器4の発振を検出した後に基準発振器4に与えられるバイアス電流の供給を完全に停止するという、本発明が意図することである。このようにして、臨界バイアス電流値に達した後に、発振器4へのバイアス電流i_vcoの供給をすぐに停止することによって、電力消費を低くすることができる。発振検出器6によってバイアス電流発生器7へと与えられる停止コマンドstopの後に、発振器はすぐに発振を停止する。
【0016】
好ましくは、基準発振器4は、少なくとも1つのインダクタンスL1及び1つのキャパシターC1が並列に配置されたLCタイプの電圧制御発振器(VCO)である。
図1に示している構成において、インダクタンスL1は、互いに接続された2つのインダクタンスに分かれており、その2つのインダクタンス部分の接続部に、チューニング電圧Vtuneがパワー供給される。このために、受信機1は、さらに、位相ロックループ(PLL)5を備え、この位相ロックループ(PLL)5は、VCO発振器4の出力coilpと、インダクタンスL1によって構成している発振回路の並列に接続された可変容量デバイスとの間に接続される。PLL5の出力におけるチューニング電圧Vtuneは、電圧制御発振器(VCO)4の発振周波数の制御電圧である。PLL5は、制御電圧Vtuneを記録するためのアナログメモリーを備えることができる。当然、発振器が差動モードで動作するため、基準発振器4の出力端子coilpの代わりに、出力端子coiln(図示せず)を用いることもできる。この状況において、端子coilnは、インピーダンス整合ユニット3を介してRF信号受信機1の受信端又はパッド2に接続される基準発振器4の入力である。
【0017】
図1に示しているように、インピーダンス整合ユニット3は、好ましくはVCO発振器である、基準発振器4に入る前に、受信機1によって受信されるRF無線周波数信号をチューンするように用いられる。このインピーダンス整合ユニット3には、まず、第1のキャパシター31があり、この第1のキャパシター31は、一方ではRF信号の入力端又はパッド2に接続され、他方では第2のキャパシター33に接続され、この第2のキャパシター33の他方の端は、VCO発振器である基準発振器4の入力に接続される。インピーダンス整合ユニット3には、さらに、インダクタンス33があり、このインダクタンス33は、一方では2つのキャパシター31、32の前記接続部に接続され、他方ではアースに接続される。
【0018】
超再生受信機1のために当然、別の発振器によってタイミングが計られるプロセッサー又はマイクロプロセッサーを備えることができる、前記信号のすべてを処理するためのユニットが、受信機において設けられていなければならない。この受信機の異なる電子コンポーネントの制御信号を処理ユニット(図示せず)によって送信することができる。この処理ユニットは、バイアス電流発生器のアクティベートを命令するための第1のRF信号の受信を担当することができる。また、RF活動の測定が命令された後にバイアス電流発生器7をアクティブにするための少なくとも1つのアクティベート制御信号Soscの供給のために処理ユニットを用いることもできる。
【0019】
受信機1の入力においてRF信号を検出するための当該方法を説明するために、
図4についても説明する。この
図4は、RF信号受信検出動作のためのいくつかの異なる信号を示している。また、超再生受信機1は、好ましくは、ウェイクアップ受信機であり、これは、時間の経過とともにバイアス電流発生器7に与えられるいくつかの順次的な開始制御信号startである制御信号Soscのサイクルにおいて定められるような非常に短い期間、継続的に動作している必要がある。LCタイプのVCO発振器の場合、このようなVCO発振器が、トリガーされた状態になるように頻繁にされ、短期間に非常に頻繁に2.4GHzのような高周波の動作で非常に迅速に開始するように構成している。迅速に開始する必要のある発振の重要な要素における少ない数のコンポーネントとしか反応しないように、迅速に短時間でVCO発振器と連係することができる。開始制御信号start又は発振を1μ秒で開始することがあり、1秒間にVCO発振器4の開始コマンドstart又は連係が約1000あることもある。このことは、受信機1が1秒のうちの1m秒だけしか完全に連係しておらず、これによって、消費電力が大幅に低くなることを意味し、このことは望ましい。上で説明したように、バイアス電流発生器7に与えられる第1の開始制御信号startの後に、臨界バイアス電流値に達するまで、バイアス電流値が線形的に成長する。臨界値電流に達した後に、VCO基準発振器4は発振を開始し、このことは、発振検出器6によって直接検出され、この発振検出器6は、発振停止制御信号stopをバイアス電流発生器7に送る。これによって、VCO基準発振器の発振が止まる。検出されたRF信号に関する情報は、開始時間においてのみ存在する。この開始時間は、発振の開始によって確立され、したがって、その後に発振器を完全にオフにすることが可能となる。このことによって、従来技術において知られているものと比べて受信機1の電力消費を大幅に低くすることができる。
【0020】
当然、バイアス電流発生器7の開始のためのこれらの制御信号Soscの発生頻度を、基準発振器4の状態に適応するように、手動又は自動で変えることができる。
【0021】
また、初期周波数センタリングモードにおいて、特に伝統的な周波数シンセサイザーにおいて、受信周波数に対応する電圧Vtuneを判断するために、VCO発振器がPLLタイプのループにおいて開始される。そして、その電圧がDACによってメモリーに保存され、シンセサイザーが非アクティブ化される。VCO発振器4がオフにされ、VCO発振器4の出力にてRF信号を送信して、超再生(バイアス電流に傾斜があるときにおけるVCO開始時間の測定)による復調を行うことができる。このようにして、この超再生受信機において復調のために周波数を低くしないことが可能となる。
【0022】
このようなVCO発振器を備える周波数シンセサイザーについては、欧州特許文献EP3573241A1の明細書において
図4を参照しながら説明されている。前記周波数シンセサイザーが本発明のVCO発振器の周波数をセンタリングするように用いる場合に関連して、この特許文献を参照によって本明細書に組み入れる。
【0023】
以下、他の実施形態の
図2及び3を参照しながら超再生受信機についてさらに説明する。
【0024】
図2は、受信機の第2の実施形態を示しており、これは、受信機の入力2、インピーダンス整合ユニット3、及びここではVCO発振器4である基準発振器4のみを示している。この
図2において、発振検出器とPLL位相ロックループを示していないが、上記のように、これらは受信機の同じ点において動作する。VCO発振器は、第1のインダクタンスL1と、インダクタンスL1に並列に接続されるキャパシターC1によって構成している。上記のように、インダクタンスL1は、互いに接続される2つのインダクタンスに分離され、その2つのインダクタンス部分の接続部分に、電源電圧Vddによってパワー供給される。VCO発振器4には、さらに、第1のトランジスターM1と第2のトランジスターM2があり、前記第1のトランジスターM1は、インダクタンスL1とキャパシターC1の第1の接続端にあり、この第1のトランジスターM1は、好ましくはMOSトランジスターであり、例えばこの構成においてはNMOSトランジスターであり、前記第2のトランジスターM2は、インダクタンスL1とキャパシターC1の第2の接続端にあり、前記第1のトランジスターと同じタイプであり、例えばNMOSトランジスターである。第1のトランジスターM1のドレイン端子は、インダクタンスL1とキャパシターC1の第1の接続端に接続されている。一方、第2のトランジスターM2のドレイン端子は、インダクタンスL1とキャパシターC1の第2の接続端に接続されている。第1のトランジスターM1のゲートは、第2のトランジスターM2のドレインに接続され、一方、第2のトランジスターM2のゲートは、第1のトランジスターM1のドレインに接続されている。2つのトランジスターM1及びM2の2つのソースは、バイアス電流発生器7からバイアス電流を受けるように接続されている。VCO発振器の出力coilpは、第2のトランジスターM2のドレインによって供給することができる。
【0025】
インピーダンス整合ユニット3は、第1の側で受信機1の入力端又はパッド2に接続される第1のキャパシター31を備え、第1のキャパシター31の第2の側は、付加的なインダクタンス33の第1の端に接続され、その第2の端は、第2のキャパシター32の第1の側に接続される。付加的なインダクタンス33は、互いに接続される2つのインダクタンスに分離され、そのうちの2つのインダクタンス部分の接続は、アースに接続することができる。第1のキャパシター31と付加的なインダクタンス33の接続は、さらに、第3のキャパシター34の第1の側と、第2の側がアースに接続されている第4のキャパシター35の第1の側に接続される。第5のキャパシター36の第1の側は、第2のキャパシター32と付加的なインダクタンス33の接続に接続されている。第5のキャパシター36の第2の側は、アースに接続されている。
【0026】
第2のキャパシター32の第2の側は、インダクタンスL1の第1の端とキャパシターC1に接続され、また、第2のトランジスターM2のゲート及び第1のトランジスターM1のドレインに接続される。第3のキャパシター34の第2の側は、インダクタンスL1の第2の端とキャパシターC1に接続され、また、第1のトランジスターM1のゲート及び第2のトランジスターM2のドレインに接続される。周波数チューニング電圧は、インダクタンスL1と並列に接続される可変容量varicapに与えられる。
【0027】
図3は、受信機1の第3の実施形態を示しており、これは、受信機の入力2、インピーダンス整合ユニット3、ここではVCO発振器4である基準発振器4、インピーダンス整合ユニット3とVCO発振器4の間に配置されるプリアンプ9のみを示している。このプリアンプ9には、電流源8によって電流i_lnaが与えられ、この電流源8は、バイアス電流発生器の一部であることができ、また、このバイアス電流発生器から独立していることができる。この
図3において、発振検出器とPLL位相ロックループは示していないが、上記のように、これらは受信機の同じ点において動作する。VCO発振器4は、
図2を参照しながら既に説明したものとまったく同じ要素又はコンポーネントを備える。このため、これらの説明を相互の接続を確認するためにここにおいて繰り返さない。第1のインダクタンスL1とキャパシターC1は並列に接続されている。
【0028】
インピーダンス整合ユニット3は、第1の側にて、受信機1の入力端又はパッド2に接続された第1のキャパシター31を備え、この第1のキャパシター31の第2の側は、付加的なインダクタンス33の第1の端に接続され、この付加的なインダクタンス33の第2の端は、プリアンプ9の入力に接続される。付加的なインダクタンス33は、互いに接続された2つのインダクタンスに分けられ、付加的なインダクタンス33における2つのインダクタンス部分の接続部に、バイアス電圧Vbiasを接続することができる。この第1のキャパシター31と付加的なインダクタンス33の接続部は、さらに、プリアンプ9の第2の入力と、及び第4のキャパシター35の第1の側に接続され、この第4のキャパシター35の第2の側がアースに接続される。第5のキャパシター36の第1の側は、付加的なインダクタンス33の第2の端に接続される。第5のキャパシター36の第2の側は、アースに接続される。
【0029】
プリアンプ9は、一方が他方の上に配置される2対のNMOSトランジスターによって構成している。NMOSトランジスターM5、M6の第1の対のソースは、電流源8から電流i_lnaを受けるように接続しており、この電流源8は、バイアス電流発生器の一部でもあることもできる。第1の対の第1のトランジスターM5のゲートは、付加的なインダクタンス33の第2の端と第5のキャパシター36の第1の側に接続している。第1の対の第2のトランジスターM6のゲートは、付加的なインダクタンス33の第2の端と第4のキャパシター35の第1の側に接続されている。第1の対の第1のトランジスターM5のドレインは、第2の対の第1のトランジスターM3のソースに接続され、第1の対の第2のトランジスターM6のドレインは、第2の対の第2のトランジスターM4のソースに接続されている。第2の対の第1及び第2のトランジスターM3及びM4のゲートは、電源電圧端子Vddに接続されている。第2の対の第1のトランジスターM3のドレインは、インダクタンスL1とキャパシターC1の第1の接続端に接続されている。最後に、第2の対の第2のトランジスターM4のドレインは、インダクタンスL1とキャパシターC1の第2の接続端に接続されている。プリアンプ9によって与えられるバイアス電流は、バイアス電流発生器7のバイアス電流の成長時間を短縮することを可能にする。この条件下において、臨界電流制限値にはるかに迅速に到達し、これによって、受信機の連係時間がさらに短縮される。
【0030】
上記のように、伝統的なVCO発振器ではない、例えば約2.4GHzの、高周波で動作することができるようにされた、基準発振器4を用いることができる。
【0031】
上記の説明に基づいて、特許請求の範囲によって定められる範囲を逸脱せずに、当該超再生受信機においてRF信号を検出する方法のいくつかの代替的実施形態を考え出すことができる。
【符号の説明】
【0032】
1 超再生受信機
2 受信パッド
3 インピーダンス整合ユニット
4 基準発振器
5 位相ロックループ
6 発振検出器
7 バイアス電流発生器
8 電流源
9 プリアンプ
33 付加的なインダクタンス
L1 インダクタンス
C1 キャパシター