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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】セシウムトラップ
(51)【国際特許分類】
   G21C 19/31 20060101AFI20240202BHJP
【FI】
G21C19/31 300
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022128074
(22)【出願日】2022-08-10
(62)【分割の表示】P 2019553528の分割
【原出願日】2018-03-29
(65)【公開番号】P2022145908
(43)【公開日】2022-10-04
【審査請求日】2022-08-15
(31)【優先権主張番号】62/478,419
(32)【優先日】2017-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513313945
【氏名又は名称】テラパワー, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】コービン,ロバート,エー.
(72)【発明者】
【氏名】トルァックス,ジョン,イー.
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-190694(JP,A)
【文献】特開平01-123198(JP,A)
【文献】特開昭51-107212(JP,A)
【文献】特公昭50-015204(JP,B1)
【文献】特開昭51-140875(JP,A)
【文献】特開平02-183199(JP,A)
【文献】特開平01-232298(JP,A)
【文献】特開2001-272493(JP,A)
【文献】特開昭52-138412(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 19/00-19/50
G21C 23/00
G21D 1/02
G21F 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
頂部を含む本体であって、前記本体は、フィルタと、ナトリウム流からセシウムを除去するように構成されている活性物質と、を含む、本体と、
前記本体の実質的に周囲に配置され、冷却ガスを循環させることで前記ナトリウム流を凍結可能な冷却ジャケットと、
前記頂部から伸びる少なくとも1つの第1のナトリウムラインであって、前記少なくとも1つの第1のナトリウムラインは、ナトリウム処理回路の対応する少なくとも1つの第2のナトリウムラインと流体連通して結合するように構成されている、ナトリウムラインと、を含む、セシウムトラップ。
【請求項2】
頂部を含む本体であって、前記本体は、フィルタと、ナトリウム流からセシウムを除去するように構成されている活性物質と、を含む、本体と、
前記本体の実質的に周囲に配置された冷却ジャケットと、
前記頂部から伸びる少なくとも1つの第1のナトリウムラインであって、前記少なくとも1つの第1のナトリウムラインは、ナトリウム処理回路の対応する少なくとも1つの第2のナトリウムラインと流体連通して結合するように構成されている、ナトリウムラインと、
前記冷却ジャケットから伸びる少なくとも1つのトラップアンカーと、を含み、
前記トラップアンカーは、少なくとも1つの側方支持アンカーを形成するように、シールドセルから伸びる少なくとも1つの対応するセルアンカーに取り外し可能に結合可能である、セシウムトラップ。
【請求項3】
頂部を含む本体であって、前記本体は、フィルタと、ナトリウム流からセシウムを除去するように構成されている活性物質と、を含む、本体と、
前記本体の実質的に周囲に配置された冷却ジャケットと、
前記頂部から伸びる少なくとも1つの第1のナトリウムラインであって、前記少なくとも1つの第1のナトリウムラインは、ナトリウム処理回路の対応する少なくとも1つの第2のナトリウムラインと流体連通して結合するように構成されている、ナトリウムラインと、
前記頂部に配置された少なくとも1つのリフティングアイと、を含むセシウムトラップであって、
前記少なくとも1つのリフティングアイは、前記セシウムトラップをシールドセル内に配置するとともに前記セシウムトラップをシールドセルから取り外すためのリフティングツールを、受け入れるように構成されている、セシウムトラップ。
【請求項4】
頂部を含む本体であって、前記本体は、フィルタと、ナトリウム流からセシウムを除去するように構成されている活性物質と、を含む、本体と、
前記本体の実質的に周囲に配置された冷却ジャケットと、
前記頂部から伸びる少なくとも1つの第1のナトリウムラインであって、前記少なくとも1つの第1のナトリウムラインは、ナトリウム処理回路の対応する少なくとも1つの第2のナトリウムラインと流体連通して結合するように構成されている、ナトリウムラインと、
前記冷却ジャケットの底部から伸びる入口冷却ラインと、を含み、
前記入口冷却ラインは、シールドセル内の対応する固定冷却ラインに流体連通して取り外し可能に結合可能である自由端を有する、セシウムトラップ。
【請求項5】
頂部を含む本体であって、前記本体は、フィルタと、ナトリウム流からセシウムを除去するように構成されている活性物質と、を含む、本体と、
前記本体の実質的に周囲に配置された冷却ジャケットと、
前記頂部から伸びる少なくとも1つの第1のナトリウムラインであって、前記少なくとも1つの第1のナトリウムラインは、ナトリウム処理回路の対応する少なくとも1つの第2のナトリウムラインと流体連通して結合するように構成されている、ナトリウムラインと、
前記頂部に配置された少なくとも1つのレシーバと、を含み、
電力および機器制御付属装置が、前記少なくとも1つのレシーバに取り外し可能にプラグを差し込むように構成されている、セシウムトラップ。
【請求項6】
頂部を含む本体であって、前記本体は、フィルタと、ナトリウム流からセシウムを除去するように構成されている活性物質と、を含む、本体と、
前記本体の実質的に周囲に配置された冷却ジャケットと、
前記頂部から伸びる少なくとも1つの第1のナトリウムラインであって、前記少なくとも1つの第1のナトリウムラインは、ナトリウム処理回路の対応する少なくとも1つの第2のナトリウムラインと流体連通して結合するように構成されている、ナトリウムラインと、
前記本体の底部に結合された基部と、を含み、
少なくとも1つの対応する位置決めピンを介してシールドセルの底部内に前記基部が位置決め可能であるように、前記基部内に少なくとも1つの開口部が画定される、セシウムトラップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセシウムトラップに関する。
【0002】
本出願はPCT国際特許出願として、2018年3月29日に出願されており、2017年3月29日に出願された米国仮特許出願第62/478,419号の優先権の利益を主張し、その開示全体は、参照によりその全体が組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
核分裂原子炉には、増殖燃焼高速炉(進行波原子炉、またはTWRとも呼ばれる)が含まれる。TWRは、天然ウラン、劣化ウラン、使用済み軽水炉燃料、またはトリウムを出発後の再装荷燃料として使用して無期限に運転するように設計された原子炉を意味する。したがって、いくつかの態様では、TWRは、有用な状態まで増殖されて現場で燃焼される亜臨界再装填燃料で運転されるワンススルー高速原子炉である。TWRでは、増殖および核分裂の波(「増殖燃焼波」)が原子炉の炉心で発生し、燃料に対して移動する。燃料が静止している場合には、増殖燃焼波は、点火点から外側に広がる。場合によっては、増殖燃焼波が炉心に対して静止したままであるが(例えば、定在波)燃料に対して移動するように、燃料が移動され、定在波は一種のTWRと見なされる。燃料集合体の運動は「燃料シャッフリング」と呼ばれ、定在波を維持し、原子炉特性(熱、流量、電力、燃料燃焼度など)を調整するために使用される。核分裂は、燃料集合体がシャッフルされて原子炉容器内に収容されている炉心内で起こる。燃料集合体には、核分裂性核燃料集合体および燃料親核燃料集合体が含まれる。反応度制御は、主として、原子炉特性の調整のために炉心内に配置された制御棒集合体によって達成される。
【0004】
定在波によって発生した分裂エネルギーは熱エネルギーを生成し、この熱エネルギーは1つまたは複数の熱輸送ループを通って蒸気発生器に直列に伝達されて電力を生成し、低温熱は、1組の水冷真空凝縮器を通って排除される。冷却材システムを一次および中間冷却材ループの両方に分離することは、炉心および一次冷却材ループの完全性を維持するのに役立つ。TWRでは、一次および中間冷却材ループの両方が液体ナトリウムを利用する。
【発明の概要】
【0005】
一態様では、本技術はセシウムトラップを交換する方法に関し、本方法は、内部にセシウムを少なくとも部分的に含有する第1のセシウムトラップを凍結させるステップであって、前記第1のセシウムトラップはシールドセル内に配置されている、ステップと、前記第1のセシウムトラップを前記シールドセルから切り離すステップと、前記第1のセシウムトラップを前記シールドセルから取り外すステップと、第2のセシウムトラップを前記シールドセルに挿入するステップと、前記第2のセシウムトラップを前記シールドセルに取り付けるステップと、を含む。一例では、前記第1のセシウムトラップを切り離すステップは、前記第1のセシウムトラップと前記シールドセルとの間に伸びる少なくとも1つの側方支持アンカーを遠隔的に切り離すステップと、前記第1のセシウムトラップをナトリウム処理回路から遠隔的に切り離すステップと、前記第1のセシウムトラップと前記シールドセルとの間に伸びる電力および機器制御付属装置を遠隔的に切り離すステップと、のうちの少なくとも1つを含む。別の例では、前記少なくとも1つの側方支持アンカーを遠隔的に切り離すステップは、前記シールドセルから伸びるセルアンカーを前記第1のセシウムトラップから伸びるトラップアンカーに結合する連結部材を取り外すステップを含む。さらに別の例では、前記連結部材は、ピンおよびボルトのうちの少なくとも1つである。さらに別の例では、前記第1のセシウムトラップをナトリウム処理回路から遠隔的に切り離すステップは、前記第1のセシウムトラップから伸びる少なくとも1つのナトリウムラインをクリンプするステップと、前記少なくとも1つのナトリウムラインの第1の部分が前記第1のセシウムトラップの頂部から伸び、前記少なくとも1つのナトリウムラインの第2の部分が前記ナトリウム処理回路の一部のままであるように、クリンプされた部分に隣接して前記少なくとも1つのナトリウムラインを切断するステップと、を含む。
【0006】
上記の態様の別の例では、電力および機器制御付属装置を遠隔的に切り離すステップは、前記第1のセシウムトラップの頂部に配置された対応するレシーバから、電力および機器制御付属装置のうちの少なくとも1つのプラグを抜くステップを含む。一例では、前記第1のセシウムトラップを取り外すステップは、前記第1のセシウムトラップをリフティングツールに取り外し可能に結合するステップと、前記第1のセシウムトラップの基部が、前記シールドセルの底部から伸びる少なくとも1つの位置決めピンと摺動可能に係合解除するように、前記リフティングツールを介して前記第1のセシウムトラップを前記シールドセルから持ち上げるステップと、を含む。別の例では、本方法は、前記持ち上げるステップの動作を介して、前記シールドセルから伸びる固定冷却ラインから、前記第1のセシウムトラップから伸びる入口冷却ラインを切り離すステップをさらに含む。さらに別の例では、前記第1のセシウムトラップをリフティングツールに取り外し可能に結合するステップは、前記リフティングツールの少なくとも1つのフックを回転させ、前記第1のセシウムトラップ上に配置された対応するリフティングアイ内に持ち上げるステップを含む。さらに別の例では、前記第2のセシウムトラップを挿入するステップは、前記第2のセシウムトラップをリフティングツールに取り外し可能に結合するステップであって、前記リフティングツールは少なくとも1つのフックを含み、前記第2のセシウムトラップは少なくとも1つの対応するリフティングアイを含む、ステップと、前記リフティングツールを介して、前記第2のセシウムトラップを前記シールドセル内に配置するステップと、同時に、前記第2のセシウムトラップの基部を、前記シールドセルの底部から伸びる少なくとも1つの位置決めピンと位置合わせするステップと、を含む。
【0007】
上記態様の別の例では、本方法は、摺動可能な係合を介して、前記第2のセシウムトラップから伸びる入口冷却ラインを、前記シールドセルから伸びる固定冷却ラインに結合するステップをさらに含む。一例では、前記第2のセシウムトラップを取り付けるステップは、前記シールドセルから伸びるセルアンカーを、前記第2のセシウムトラップから伸びるトラップアンカーに結合し、前記第1のセシウムトラップと前記シールドセルとの間に伸びる少なくとも1つの側方支持アンカーを形成するステップと、前記第2のセシウムトラップから伸びる少なくとも1つの第1のナトリウムラインを、ナトリウム処理回路から伸びる少なくとも1つの第2のナトリウムラインに溶接するステップと、電力および機器制御付属装置を、前記第2のセシウムトラップの頂部に配置された対応するレシーバに前記電力および機器制御付属装置のプラグを差し込むことによって連結するステップと、のうちの少なくとも1つを含む。別の例では、前記第1のセシウムトラップが所定量のセシウムを含み、前記第2のセシウムトラップがセシウムを含まない。さらに別の例では、前記シールドセルが、個別のシールドセルである。
【0008】
別の態様では、本技術はセシウムトラップに関し、本セシウムトラップは、頂部を含む本体であって、前記本体は、フィルタと、ナトリウム流からセシウムを除去するように構成されている活性物質と、を含む、本体と、前記本体の実質的に周囲に配置された冷却ジャケットと、前記頂部から伸びる少なくとも1つの第1のナトリウムラインであって、前記少なくとも1つの第1のナトリウムラインは、ナトリウム処理回路の対応する少なくとも1つの第2のナトリウムラインと流体連通して結合するように構成されている、ナトリウムラインと、を含む。一例では、本セシウムトラップは、前記冷却ジャケットから伸びる少なくとも1つのトラップアンカーをさらに含み、前記トラップアンカーは、少なくとも1つの側方支持アンカーを形成するように、シールドセルから伸びる少なくとも1つの対応するセルアンカーに取り外し可能に結合可能である。別の例では、本セシウムトラップは、前記頂部に配置された少なくとも1つのリフティングアイをさらに含み、前記少なくとも1つのリフティングアイは、前記セシウムトラップをシールドセル内に配置するとともに前記セシウムトラップをシールドセルから取り外すためのリフティングツールを、受け入れるように構成されている。さらに別の例では、本セシウムトラップは、前記冷却ジャケットの底部から伸びる入口冷却ラインをさらに含み、前記入口冷却ラインは、シールドセル内の対応する固定冷却ラインに流体連通して取り外し可能に結合可能である自由端を有する。さらに別の例では、本セシウムトラップは、前記頂部に配置された少なくとも1つのレシーバをさらに含み、電力および機器制御付属装置が、前記少なくとも1つのレシーバに取り外し可能にプラグを差し込むように構成されている。別の例では、本セシウムトラップは、前記本体の底部に結合された基部をさらに含み、少なくとも1つの対応する位置決めピンを介してシールドセルの底部内に前記基部が位置決め可能であるように、前記基部内に少なくとも1つの開口部が画定される。
【0009】
別の態様では、本技術はセシウムトラップに関し、本セシウムトラップは、頂部を含む本体であって、前記本体は、フィルタと、セシウムおよびアルゴンを含有するナトリウム流からセシウムを除去するように構成されている活性物質と、を含む、本体と、前記頂部から伸びる少なくとも1つの第1のナトリウムラインであって、前記少なくとも1つの第1のナトリウムラインは、ナトリウム処理回路の対応する少なくとも1つの第2のナトリウムラインと流体連通して結合するように構成されている、ナトリウムラインと、を含み、前記フィルタは、ナトリウムおよびアルゴンを通過させながら、前記活性物質が前記セシウムトラップから出るのを防ぐように配置され、前記フィルタは40~160μmの平均孔径を有する。一例では、前記フィルタの平均ポートサイズの下限が、40、50、60、70、80、および90μmから選択される。別の例では、前記フィルタの平均ポートサイズの上限値が、100、110、120、130、140、150、および160μmから選択される。さらに別の例では、前記フィルタが焼結金属フィルタである。さらに別の例では、前記焼結金属フィルタが、ステンレス鋼、Hastelloy(登録商標)、Monel(登録商標)、Inconel(登録商標)、ニッケル、HT-9、およびチタンのうちの1つ以上から焼結される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本出願の一部を形成する以下の図面は記載された技術を例示するものであり、特許請求の範囲に基づくいかなる方法においても特許請求されるような技術の範囲を限定することを意味するものではない。
図1】進行波原子炉の基本構成要素のいくつかをブロック図形式で示す図である。
図2】例示的なセシウムトラップ集合体の模式図である。
図3図2に示すセシウムトラップ集合体の断面線3-3に沿った平面図である。
図4】例示的なセシウムトラップの斜視図である。
図5】セシウムトラップの交換方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、進行波原子炉(TWR)100の基本構成要素のいくつかをブロック図形式で示す。一般に、TWR100は、複数の燃料集合体(図示せず)を収容する原子炉心102を含む。炉心102は、ある体積の液体ナトリウム冷却材106を保持するプール104内に配置される。プール104は、ホットプールと呼ばれ、(原子炉心102内の燃料集合体によって生成されるエネルギーに起因して)周囲のコールドプール108よりも高いナトリウム温度を有し、プール104はまた、液体ナトリウム冷却材106を含む。ホットプール104は、レダン110によってコールドプール108から分離されている。ナトリウム冷却材106のレベルより上のヘッドスペース112は、アルゴンのような不活性カバーガスで満たされている。原子炉容器114は原子炉心102、ホットプール104およびコールドプール108を取り囲み、原子炉ヘッド116で密封されている。原子炉ヘッド116は、原子炉容器114の内部への様々なアクセスポイントを提供する。
【0012】
原子炉心102のサイズは、燃料の特性、所望の発電量、利用可能な原子炉100の空間等を含む多くの要因に基づいて選択される。TWRの様々な実施形態は、必要に応じて、または所望に応じて、低電力(約300MW~約500MW)、中電力(約500MW~約1000MW)、および高電力(約1000MW以上)の用途で使用することができる。原子炉100の性能は、炉心102の周囲に1つ以上の反射器(図示せず)を設けて、中性子を炉心102内に反射して戻すことによって改善することができる。さらに、炉心内で起こる核反応を制御するために、燃料親および核分裂性核集合体が炉心102内およびその周囲にて移動(または「シャッフル」)される。
【0013】
ナトリウム冷却材106は、一次ナトリウム冷却材ポンプ118を介して容器114内で循環される。一次冷却材ポンプ118はコールドプール108からナトリウム冷却材106を引き出し、それを原子炉心102の下のプレナムに注入する。冷却材106は、炉心を通って上方に押し上げられ、原子炉心102内で起こる反応によって加熱される。加熱された冷却材106はホットプール104から中間熱交換器120に入り、中間熱交換器120を出てコールドプールに再び入る。このようにして、この一次冷却材ループ122は、ナトリウム冷却材106を原子炉容器114内で完全に循環させる。
【0014】
中間熱交換器120は、一次ナトリウムプール104および108から常に物理的に分離されている閉じられた液体ナトリウムループのセグメントを組み込んでいる(すなわち、中間ナトリウムと一次ナトリウムとが混ざり合うことは決してない)。中間熱交換器120は、(容器114内に完全に収容された)一次冷却材ループ122から、(容器114内に部分的にのみ配置された)中間冷却材ループ124に、熱を伝達する。中間熱交換器120はレダン110を通過し、このようにして、(その間の一次冷却材ループ122内のナトリウム106の流れを可能にするように)ホットプール104とコールドプール108とを橋渡しする。一実施形態では、4つの中間熱交換器120が容器114内に分配される。あるいは、2つまたは6つの中間熱交換器120が容器114内に分配される。
【0015】
中間冷却材ループ124は、原子炉ヘッド116を介して、容器114に出入りするパイプを通過するナトリウム冷却材126を循環させる。原子炉容器114の外側に配置された中間ナトリウムポンプ128は、例えば、発電システム129を通してナトリウム冷却材126を循環させる。熱は、一次冷却材ループ122のナトリウム冷却材106から、中間熱交換器120内の中間冷却材ループ124のナトリウム冷却材126に伝達される。中間冷却材ループ124のナトリウム冷却材126は、中間熱交換器120内の複数の管130を通過する。これらの管130は、一次冷却材ループ122のナトリウム冷却材106を中間冷却材ループ124のナトリウム冷却材126から離れた状態に保ち、そうする間に、それら同士の間で熱エネルギーを伝達する。
【0016】
直接熱交換器132はホットプール104内に伸び、一般的には緊急時に、一次冷却材ループ122内のナトリウム冷却材106を冷却する。直接熱交換器132は、ナトリウム冷却材106がホットプール104から熱交換器132に出入りできるように構成されている。直接熱交換器132は中間熱交換器120と同様の構造を有し、管134は一次冷却材ループ122のNaK(ナトリウム-カリウム)を直接原子炉冷却材ループ138の直接熱交換器冷却材(NaK)136から離れた状態に保ち、そうする間に、それら同士の間で熱エネルギーを伝達する。
【0017】
さらに、TWR反応器は、ホットプール104内に伸びるナトリウム処理回路140を含む。ナトリウム処理回路140は1つまたは複数のサブシステムの受け取り、貯蔵、精製、および/またはサンプリングおよび分析のために、ナトリウム(Na)冷却材106を流通させる(運搬、配送、伝送させる、導く)ことを促進する。例えば、ナトリウム処理回路140は任意の数の現場貯蔵タンク、コールドトラップ(例えば、ナトリウムから不純物を除去するために使用されるデバイス)、セシウムトラップ(例えば、セシウム(Cs)を捕捉するためのデバイス(以下でさらに詳細に論じる))、電磁ポンプ、熱交換器、パイプライン、試験装置、および/または制御弁を含むことができるが、これらに限定されない。
【0018】
他の補助的な原子炉構成要素(原子炉容器114の内部および外部の両方)にはポンプ、逆止弁、遮断弁、フランジ、排水タンクなどが含まれるが、これらに限定されず、これらは図示されていないが、当業者には明らかであろう。原子炉ヘッド116を通る追加の貫通部(例えば、一次冷却材ポンプ118のためのポート、不活性カバーガスおよび検査のポート、ナトリウム処理、およびカバーガスポート等)は図示されていない。原子炉100を構成する種々の構成要素およびシステムを制御および監視するために制御システム142が利用される。
【0019】
大まかに言えば、本開示は、図1に記載される原子炉100の性能を改善する構成を記載する。具体的には、遠隔的に取り外し可能なセシウムトラップ集合体の実施形態、構成、および配置が図2~5を参照して以下により詳細に示され、説明される。
【0020】
一般に、原子炉の運転中、放射性セシウムが一次ナトリウム冷却材に入る。この放射性核種の有害な放射線学的影響を低減するために、セシウムトラップがナトリウム処理回路の一部として設置される。以下に説明するセシウムトラップ集合体は、セシウムを装填したセシウムトラップをナトリウム処理回路およびそのシールドセル(遮蔽されたセル)(shielded cell)から取り外し、別の新しい空のセシウムトラップと交換して、一次ナトリウム冷却材からの放射性セシウムの連続した吸収および濾過を容易にすることを可能にする。例えば、セシウムトラップ集合体は、リフティングアイ(持ち上げアイ、昇降アイ、吊り上げ用アイボルト、リングボルト)(lifting eyes)、側方支持アンカー、ナトリウムライン、および電力および機器(計器)制御付属装置を含み、これらはすべてセシウムトラップの頂部に配置され、遠隔アクセスおよび取り外しの容易さを増加させる。さらに、遠隔制御されたツールおよびリフトは、放射性セシウムに直接アクセスすることなく、別の場所に輸送するために、装填されたセシウムトラップをそのシールドセルから取り外すことを可能にする。新しいセシウムトラップの設置は、一旦放射性セシウムが除去されると、シールドセルへの直接的なアクセスを伴って実施され得、このようにして、設置時間を減少させる。
【0021】
セシウムトラップが取り外し可能かつ交換可能であることを可能にすることによって、装填されたセシウムトラップは、プラントの場所および原子炉に隣接する場所にはもはや貯蔵されない。装填されたセシウムトラップは、貯蔵および/または処分のための準備のためのオフプラント施設に輸送されてもよい。このようにして、原子炉に隣接するシールドセルの数を減らすことができ、このようにして、原子炉の周りのプラント空間を増大させることができる。さらに、装填されたセシウムトラップへの遠隔アクセスおよび新しいセシウムトラップへの直接アクセスによって、取り外しおよび交換時間を短縮することができ、原子炉の運転を継続しながら、短時間でセシウムトラップの交換を実施することができる。さらに、交換を行う人員への被曝を減少させながら高度に放射性のセシウムトラップが交換される。したがって、プラント要員およびプラント運転に対するリスクが低減され、全体的な原子炉効率および実行可能性が増大され得る。
【0022】
図2は、例示的なセシウムトラップ集合体200の模式図であり、図3は、切断線3-3に沿ったセシウムトラップ集合体200の上面図である。図2および図3の両方を参照すると、セシウムトラップ集合体200は、放射性物質を収容するように構成された個々のシールドセル206の内部チャンバ204内に配置された取り外し可能なセシウムトラップ202を含む。セル206は、図2に破線で示す取り外し可能なカバー208を介してカバーすることができる。
【0023】
この例では、セシウムトラップ202は、以下でさらに詳細に説明するように、冷却ジャケット212によって少なくとも部分的に取り囲まれた本体210を含む。セシウムトラップ202は、ナトリウム処理回路140(図1に示される)の少なくとも一部を形成するナトリウムライン214と流体連通して結合され、その結果、ナトリウム流216は本体210を通って流通し得る。ナトリウム流216は、ナトリウム、セシウム、およびアルゴンを含むことができるが、これらに限定されない。例えば、入口ナトリウムライン218はセシウムトラップ202の頂部220で本体210から伸び、出口ナトリウムライン222も頂部220で本体210から伸びる。さらに、セシウムトラップ202は、冷却材流226が冷却ジャケット212を通って流通するように、固定された冷却ライン224と流体連通して結合される。入口冷却ライン228はセシウムトラップ202の底部230に近接して冷却ジャケット212から伸び、自由端232を含む。自由端232は、固定された冷却ライン224と流体連通して取り外し(解放、着脱)可能に結合するように構成されている。一例では、自由端232は、自由端232が固定冷却ライン224の上およびその周りに摺動可能に係合することができるように、拡大された直径を有する。代替例では、入口冷却ライン228は、セシウムトラップ202が本明細書に記載されるように機能することを可能にする任意の他の連結を介して、固定冷却ライン224に取り外し可能に結合されてもよい。出口冷却ライン234も冷却ジャケット212から伸びており、冷却材流226を内部チャンバ204内に排出することができるようになっている。
【0024】
セシウムトラップ202は、内部チャンバ204内でセル206に結合される。基部236は、底部230に結合され、その中に画定された少なくとも1つの開口部238を含む。開口部238は、セル206の床242から伸びる位置決めピン240に対応し、これと摺動可能に係合するように構成される。位置決めピン240は、開口部238の位置決めおよび係合を容易にするために、弾丸ノーズ244又は他のテーパ状先端部を含む。さらに、位置決めピン240は、震動事象中のセシウムトラップ202の過剰な下方移動を低減する。この例では、基部236は、セル206内の安定性を高めるために、セシウムトラップ202よりも大きいサイズにされている。セシウムトラップ202はまた、震動荷重などの横方向および垂直方向の荷重を支持するように構成された支持アンカー246を介して内部チャンバ204内に結合される。側方支持アンカー246は、セルの壁250に結合されてそこから伸びるセルアンカー248と、冷却ジャケット212に結合されてそこから伸びるトラップアンカー252とを含む。セルアンカー248は、連結部材254を介して、トラップアンカー252におよびトラップアンカー252の上部に取り外し可能に結合される。連結部材254は、弾丸ノーズ入口を有するセルアンカー248上に配置された捕捉雄型留め具であり、遠隔回転装置を使用して、トラップアンカー252上に配置された対応する雌型捕捉ナットからねじを外すことができる。代替例では、連結部材254は、側方支持アンカー246が本明細書に記載されるように機能することを可能にするピン、ボルト、または任意の他の連結部材であってもよい。
【0025】
セシウムトラップ202は、セル206から伸びる電力および機器制御付属装置256および258を介して、制御システム、例えば制御システム142に通信可能に結合される。電力および機器制御付属装置256および258は、頂部220に配置された少なくとも1つのレシーバ260を介してセシウムトラップ202にプラグを差し込まれる。さらに、セシウムトラップ202は、頂部220から伸びる少なくとも1つのリフティングアイ262、例えば冗長性のため2個または4個のリフティングアイを含む。一例では、リフティングアイ262は、本体210に溶接され、他の例では、リフティングアイ262は、本体210と一体に形成される。リフティングアイ262は、一旦持ち上げられると、セシウムトラップ202の回転を容易にするように構成されてもよい。
【0026】
セル206の上方には、セル206内のセシウムトラップ202の交換を容易にする移動可能な取り外しキャスク(cask)264が配置されている。取り外しキャスク264は、放射性物質をその中に収容するように構成された内部チャンバ266を定義する。さらに、セル206の上方には、カバー208を取り外した後に閉じることができる床バルブ268が配置されている。取り外しキャスク264は、セシウムトラップ202に取り外し可能に結合してセル206からセシウムトラップ202を取り外すのを容易にする、遠隔リフティングツール270を含む。例えば、リフティングツール270は、プレート274が連結されたアーム272を含む。プレート274は、そこから伸びる少なくとも1つのフック(hook)276を含む。フック276は、実質的に「J」字形であってもよく、セシウムトラップ202上に配置されたリフティングアイ262に対応する。代替例では、リフティングツール270は、本明細書に記載されるような機能を可能にする任意の他の構成を有する。
【0027】
内部チャンバ266内では、取り外しキャスク264はまた、以下でさらに説明するように、ナトリウムライン214のクリンプ(捲縮、圧着)(crimping)および切断を促進する遠隔ナトリウムラインツールと、さらに説明するように、側方(横方向)支持アンカーの切り離しを促進する遠隔アンカーツール280と、以下でさらに説明するように、電力および機器制御付属装置256および258のプラグを抜くことを促進する遠隔取り付けツール282とを含む。この例では、各ツール270、278、280、および282は遠隔操作のために、制御システム、例えば、制御システム142に動作可能に結合される。さらに、1つ以上のカメラ(図示せず)が、遠隔動作を補助するために提供される。代替例では、取り外しキャスク264は、73]264がここで説明されるように機能するように、ツール270、278、280、および282の機能のすべてを組み合わせる単一のツールを含んでもよい。
【0028】
運転中、ナトリウム冷却材106は、図1を参照して上述したように、原子炉100を通って循環される。ナトリウム冷却材106が原子炉心102を通って流通すると、核分裂可能な燃料はナトリウム冷却材106に熱を移送し、さらに、セシウムのような揮発性核分裂生成物がナトリウム冷却材106に入る。ナトリウム冷却材106の一部分216は、入口および出口ナトリウムライン218および222並びにセシウムトラップ202を含むナトリウム処理回路140を通って流通し、そのナトリウム冷却材106の中に含まれる揮発性核分裂生成物を部分的に除去し、あらゆる有害な放射線学的影響を低減する。ナトリウム流216がセシウムトラップ202を通って流通するとき、その中に含まれるセシウムは、原子炉100に戻される前に、ナトリウム流216から吸収され、濾過される。セシウムトラップ202の動作については、以下でさらに詳細に説明する。
【0029】
いくつかの既知の原子炉では、セシウムトラップがシールドセル内に固定され、したがって、抽出されたセシウムがトラップに装填されると、セシウムトラップ全体および抽出された放射性セシウムが所定の位置に貯蔵される。しかしながら、このような原子炉の長期運転は、放射性セシウムを装填した多数のセシウムトラップを生成して、多数の放射性シールドセルが原子炉心に近接して配置されることになる。対照的に、上述のセシウムトラップ集合体200は、放射性セシウムが装填されたセシウムトラップ202の取り外しおよび交換を促進する。したがって、セシウムトラップ202およびその中の放射性セシウムは、現場および/または遠隔施設のいずれかで、より適切な長期貯蔵場所に移送されてもよい。さらに、原子炉心を取り囲む原子炉領域のいくつかは、他の原子炉システムおよびプロセスに使用されてもよい。
【0030】
セシウムトラップ202が所定量のセシウムを含むと、ナトリウム流216はセシウムトラップ202から離れるように向け直され、ナトリウムライン214およびセシウムトラップ202内の残りのナトリウムは凍結される。例えば、ナトリウム流216は華氏208度で凍結するので、回路の電気ヒータ(図示せず)をオフにしてナトリウム流216の流れを停止させることにより、セシウムトラップ202を長期間凍結させることが容易になる。別の例では、冷却ジャケット212を通して冷却ガスを循環させて、凍結期間を増加させることができる。シールドセル206からセシウムトラップ202を取り外すために、床バルブ268がセル206の上に設置され、カバー208がセル206から取り外され、現場の一時的な保管場所に移動される。床バルブ268は、カバー208が取り外されると原子炉要員がセシウムトラップ202からの高放射線(ガンマ)場から遮蔽されるように閉鎖可能である。取り外しキャスク264は床バルブ268に嵌合され、床バルブ268はセル206の内部チャンバ204へのアクセスを提供するために開放され、その一方で、その封じ込めを維持する。例えば、床バルブ268、カバー208、および取り外しキャスク264は全て、原子炉100内のクレーン(図示せず)を介して位置決め可能であり、遠隔操作可能であってもよい。代替例では、床バルブ268、カバー208、および取り外しキャスク264は、セシウムトラップ202が本明細書に記載されるように取り外されて交換されることを可能にする任意の他のシステムを介して移動可能である。
【0031】
取り外しキャスク264が床バルブ268に嵌合されると、セシウムトラップ202はシールドセル206から遠隔的に切り離される。セシウムトラップ202を切り離すために、セシウムトラップ202に伸びる、ナトリウムライン214、側方支持アンカー246、および、電力および機器制御付属装置256および258が取り外される。例えば、ナトリウムラインツール278は、遠隔操作されて内部チャンバ204内に伸び、セシウムトラップ202をナトリウム処理回路140から切り離す。ナトリウムラインツール278は、セシウムトラップ202から伸びる入口および出口ナトリウムライン218および222の両方をクリンプし、クリンプされた部分284に隣接してナトリウムライン218および222を切断する。このように、各ナトリウムライン218および222は、セシウムトラップ202から伸びたままの第1の部分286と、ナトリウム処理回路140の一部として残る第2の部分288との2つの部分を含む。アンカーツール280は、遠隔操作されて内部チャンバ204内に伸び、セシウムトラップ202とセル206との間に伸びる側方支持アンカー246を切り離す。アンカーツール280は、トラップアンカー252がセルアンカー248から切り離されるように、連結部材254、例えば、ピンまたはボルトを取り外す。取り付けツール282は遠隔操作されて内部チャンバ204内に伸び、電力および機器制御付属装置256および258をセシウムトラップ202から切り離す。取り付けツール282は、関連するレシーバ260から電力および機器制御付属装置256および258のプラグを抜く。セシウムトラップ202を遠隔的に切り離すことによって、放射性セル206への直接アクセスが低減される。さらに、ナトリウムライン214、側方支持アンカー246、および電力および機器制御付属装置256および258の各々を頂部220に近接して配置することにより、遠隔アクセスが容易になり、したがって交換時間が短縮される。
【0032】
シールドセル206からセシウムトラップ202を取り外すために、リフティングツール270は、内部チャンバ204内に伸び、セシウムトラップ202に取り外し可能に結合される。例えば、リフティングツール270は、セシウムトラップ202が移動できるように、フック276を回転させ、対応するリフティングアイ262内に持ち上げる。リフティングツール270は、基部236が位置決めピン240と摺動可能に係合解除されるように、セシウムトラップ202をセル206から離して、取り外しキャスク264内に垂直に持ち上げる。リフティングツール270がセシウムトラップ202を垂直に持ち上げると、自由端232が固定冷却ライン224と自動的に摺動可能に係合解除されるので、入口冷却ライン228も固定冷却ライン224から切り離される。代替例では、入口冷却ナトリウムラインライン228は、ナトリウムライン214を用いた手順と同様に、セシウムトラップ202を切り離すために切断されてもよい。さらに、セシウムトラップ202を垂直に持ち上げることができるように、トラップアンカー252をセルアンカー248の上方に配置する。セシウムトラップ202が取り外しキャスク264内に入ると、セシウムを含むセシウムトラップ202および取り外しキャスク264は、さらなる処理および/または長期貯蔵のために、現場または遠隔地のいずれかの別の場所に移動されてもよい。さらに、放射性セシウムが除去されると、新しいセシウムトラップ202を設置するために、セル206は直接アクセスされてもよい。
【0033】
セル206の内部チャンバ204が空の状態で、オーバーヘッドクレーン上の典型的な作業員およびリギング方法を使用して、セシウムトラップと同様であるがその中にセシウムを含まないセシウムトラップ202などの新しい代替セシウムトラップをシールドセル206内に挿入することができる。代替セシウムトラップ202は、代替セシウムトラップ202がセル206の内部チャンバ204内に配置され得るように、対応するフック276およびリフティングアイ262を介して、リフティングツール(例えば、リフティングツール270)に取り外し可能に結合される。代替例では、交換セシウムトラップ202は、原子炉100内のクレーンのような、異なるリフティングツールに結合される。代替セシウムトラップ202がセル206内に降ろされると、基部236は同時に位置決めピン240と位置合わせ(整列)され、代替セシウムトラップ202を床242に沿って位置決めする。位置決めピン240に位置合わせすることによって、入口冷却ライン228の自由端232は、固定冷却ライン224と自動的に摺動可能に係合される。
【0034】
代替セシウムトラップ202がセル206内に配置されると、代替セシウムトラップ202はシールドセル206に取り付けられる。この取り付けは、放射性セシウムがその中に存在しないので、セルへの直接アクセスで行われ得る。交換用セシウムトラップ202を取り付けるために、ナトリウムライン214、側方支持アンカー246、および、電力および機器制御付属装置256および258が、セシウムトラップ202まで伸びている。例えば、代替セシウムトラップ202は、ナトリウム処理回路140に結合される。セシウムトラップ202から伸びるナトリウムライン214の第1の部分286は、ナトリウム処理回路から伸びるナトリウムラインの第2の部分288に位置合わせされ、溶接され、このようにして、入口および出口ナトリウムライン218および222を形成する。セルアンカー248は、ピンまたはボルトなどの連結部材254を介してトラップアンカー252に結合されて、側方支持アンカー246を形成する。電力および機器制御付属装置256および258は、プラグ差し込みを介して、対応するレシーバ260に連結される。いったん代替セシウムトラップ202がシールドセル206、ナトリウム処理回路140、および他の配管および電気接続部に取り付けられると、カバー208が交換され、代替セシウムトラップ202は、ナトリウム流216を受け取り始め、以下でさらに説明するように、ナトリウム流216からのセシウムの濾過および抽出を促進することができる。
【0035】
図4は、上述のセシウムトラップと同様に、冷却ジャケット304によって少なくとも部分的に囲まれた本体302を含む例示的なセシウムトラップ300の斜視図である。本体302は、入口ライン306および出口ライン308を含んでおり、ナトリウム流310がそこを通って流通するようになっている。本体302内では、セシウムトラップ300は活性物質312のカラムを含む。例えば、活性物質は、セシウムを吸着してナトリウム流310からセシウムを除去する、網状ガラス状炭素(RVC)である。本体302はまた、ナトリウム流310内に含有され得るRVC粒子を濾過するフィルタ314を含む。さらに、冷却ジャケット304は、入口ライン316および出口ライン318を含んでおり、冷却材320がそこを通って流通するようになっている。例えば、冷却材320は、セシウムトラップ300の動作温度を低下させる窒素である。
【0036】
代替例では、入口ライン306および/または出口ライン308がセシウムトラップ300内に伸びるようにして、その中のナトリウムのレベルが廃棄準備の際に低下するようにしてもよい。さらなる代替的な例では、セシウムトラップ300は、その中のナトリウムを、適切に構築されたホットセル調製設備において排出すること、および、廃棄準備において、鉛などの、ナトリウムの化学反応性を低減するための材料を挿入することを容易にする、キャップ付きライン(図示せず)を含み得る。
【0037】
セシウムトラップ300の一例では、RVCがトラップから出るのを防止するフィルタ314は40~160μmの平均孔径を有する。特に、40、50、60、70、80、またはさらに90μmのいずれかの下限から100、110、120、130、140、150、またはさらに160μmのいずれかの上限値までの平均孔径を有するフィルタ314が考慮される。試験により、セシウムトラップ300を通過する、予想されるナトリウムおよび含有されるアルゴン流の適切な濾過および処理量を維持するのには、上記の範囲の平均孔径がより有効であると判定された。セシウムトラップ300を通過するナトリウム中に含有されるアルゴンが著しい量である場合には、フィルタ314の、25以下の平均孔径で、スループットが低下したと判定された。これは、原子炉100の出力を制限する。フィルタ314は、任意の適切なフィルタ媒体とすることができる。一例では、フィルタ314は焼結金属フィルタである。焼結金属フィルタは、可能な金属をほんの数例挙げると、ステンレス鋼、Hastelloy(登録商標)、Monel(登録商標)、Inconel(登録商標)、ニッケル、HT-9、およびチタンのうちの1つ以上から作製され得る。あるいは、上記のような平均孔径を有する他のフィルタタイプおよびフィルタ媒体を使用してもよい。
【0038】
図5は、セシウムトラップを交換する方法400を示すフローチャートである。方法400は、少なくとも部分的にセシウムをその中に含有する第1のセシウムトラップが凍結されるステップ402を含む。第1のセシウムトラップは、シールドセルから切り離され(404)、次にシールドセルから取り外される(406)。第2のセシウムトラップは、シールドセルに挿入され(408)、次にシールドセルに取り付けられる(410)。
【0039】
第1のセシウムトラップを切り離すステップ404は、そこ第1のセシウムトラップに伸びる、側方支持アンカー、ナトリウムライン、および、電力および電気接続部を取り外すステップを含む。例えば、第1のセシウムトラップは、側方支持アンカーから遠隔的に切り離されてもよい(412)。このように、連結部材は、セルアンカーとトラップアンカーとの間で取り外されてもよい(414)。第1のセシウムトラップは、ナトリウム処理回路から遠隔的に切り離されてもよい(416)。このように、ナトリウムラインは、クリンプされ(418)、切断される(420)。第1のセシウムトラップはまた、電力および機器制御付属装置から遠隔的に切り離されてもよい(422)。したがって、電力および機器制御付属装置は、対応するレシーバからプラグを抜かれる(424)。
【0040】
第1のセシウムトラップを取り外すステップ406は、第1のセシウムトラップをリフティングツールに取り外し可能に結合するステップ426を含む。例えば、リフティングツールは、回転されてセシウムトラップの対応するリフティングアイ内に持ち上げられる(428)フックを含んでもよい。次に、第1のセシウムトラップは、リフティングツールによって、シールドセルから持ち上げられる(430)。持ち上げ動作はまた、入口冷却ラインを固定冷却ラインから同時に切り離してもよい(432)。
【0041】
第2のセシウムトラップを挿入するステップ408は、例えばリフティングツールから伸びるフック、および、セシウムトラップの対応するリフティングアイを介して、第2のセシウムトラップをリフティングツールに結合するステップ434を含む。次に、第2のセシウムトラップは、リフティングツールによってシールドセル内に配置され(436)、同時に、第2のセシウムトラップの基部は、シールドセルの床から伸びる少なくとも1つの位置決めピンと位置合わせされる(438)。
【0042】
第2のセシウムトラップを取り付けるステップ410は、その第2のセシウムトラップに、側方支持アンカー、ナトリウムライン、および、電力および電気接続部(電力および機器制御付属装置)を再結合するステップを含む。例えば、セルアンカーは、トラップアンカーに結合されて、セル内に側方支持アンカーを形成してもよい(440)。第2のセシウムトラップの第1のナトリウムラインは、ナトリウム処理回路の第2のナトリウムラインに溶接されて、第2のセシウムトラップのナトリウムラインを形成してもよい(442)。さらに、電力および機器制御付属装置は、対応するレシーバに連結されてもよい(444)。

図1
図2
図3
図4
図5