(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】伝達装置を有する動力付き外科用ツール
(51)【国際特許分類】
A61B 17/32 20060101AFI20240202BHJP
A61B 17/88 20060101ALI20240202BHJP
【FI】
A61B17/32 510
A61B17/88
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022139040
(22)【出願日】2022-09-01
【審査請求日】2022-09-01
(32)【優先日】2021-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507400686
【氏名又は名称】グローバス メディカル インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】ピーター エル.ボノ
(72)【発明者】
【氏名】ジェームズ ディー.ラーク
(72)【発明者】
【氏名】マーシャル エリック フィンリー
(72)【発明者】
【氏名】コーリー フライマーク
【審査官】北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0170660(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0304069(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0117249(US,A1)
【文献】特開2008-061672(JP,A)
【文献】特開2018-027306(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00 - 17/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ツールのための振動駆動機構であって、
モータであって、前記モータ内に回転可能に固定されたロータと、それとともに回転するように前記ロータに固定されたシャフトと、を有する、モータと、
前記ロータ及びシャフトとともに回転するように前記シャフトに固定されたクランクアセンブリハブと、
前記クランクアセンブリハブに固定されたリンクであって、前記リンクの長手方向軸が、前記モータの前
記シャフトの長手方向軸に対して鋭角に位置付けられており、そのため、前記リンクの前記長手方向軸と前記モータの前
記シャフト
の長手方向軸とが
当該シャフトの遠位端を超える点で交差する、リンクと、
前記モータの前
記シャフトの前記長手方向軸と前記リンクの前記長手方向軸との交差点に位置付けられた枢動シャフトであって、前記クランクアセンブリハブの回転中に、前記リンクの前記長手方向軸が前記モータの前
記シャフトの前記長手方向軸の周りを回転することを可能にしながら、前記リンクの長手方向軸の周りの前記リンクの回転を阻止するように構築及び配置されている、枢動シャフトと、
弓状ラックギアを含むシャトルであって、前記弓状ラックギアが、前記クランクアセンブリハブの回転が前記枢動シャフトの周りの前記弓状ラックギアに往復回転運動を提供するように、前記リンクに固定されている、シャトルと、
前記弓状ラックギアと噛み合っているギアであって、前記ギアが、出力シャフトに固定されている、ギアと、を備え、
前記モータの回転運動が、回転振動運動を前記出力シャフトに誘発する、外科用ツールのための振動駆動機構。
【請求項2】
前記クランクアセンブリハブが、前記リンクを回転可能に支持するための少なくとも1つの軸受を含む、請求項1に記載の外科用ツールのための振動駆動機構。
【請求項3】
前記クランクアセンブリハブが、孔を含み、前記孔が、前記リンクの前記長手方向軸に沿って延在し、前記少なくとも1つの軸受の外径と協働するようにサイズ決定されており、前記リンクが、前記少なくとも1つの軸受の内部孔と協働するようにサイズ決定されたシャフト部分を含む、請求項2に記載の外科用ツールのための振動駆動機構。
【請求項4】
前記孔が、2つの軸受と協働するのに十分な深さを有し、前記リンクの前記シャフト部分が、前記2つの軸受の前記孔を通って延在するのに十分な長さを有する、請求項3に記載の外科用ツールのための振動駆動機構。
【請求項5】
前記クランクアセンブリハブが、孔を含み、前記孔が、前記リンクの前記長手方向軸に沿って延在し、
リンクシャフトが、前記孔内の前記リンクに固定されており、前記
リンクシャフトが、前記少なくとも1つの軸受の内部孔と協働するようにサイズ決定されており、前記リンクが、その長手方向軸に沿ってリンク孔を含み、前記リンク孔が、前記リンクを支持するために前記少なくとも1つの軸受の外径と協働するようにサイズ決定されている、請求項2に記載の外科用ツールのための振動駆動機構。
【請求項6】
前記
リンクシャフトが、2つの軸受と協働するために十分な長さを有し、前記リンク孔が、前記2つの軸受と協働して前記リンクを支持するのに十分な長さを有する、請求項5に記載の外科用ツールのための振動駆動機構。
【請求項7】
前記枢動シャフトが、少なくとも1つの軸受の内部孔と協働するようにサイズ決定されており、前記少なくとも1つの軸受の外径が、前記リンクと協働している、請求項1に記載の外科用ツールのための振動駆動機構。
【請求項8】
前記リンクが、一対の離間したアームによって前記シャトルに取り付けられており、前記アームが各々、アーム軸受を有し、前記アーム軸受が、前記アーム軸受内に回転可能に受容される
リンクシャフトを内部に受容する、請求項1に記載の外科用ツールのための振動駆動機構。
【請求項9】
前記リンクは、一対の軸受が装着されている貫通孔を含む、ヘッド部分を有し、前記シャトルは、
第2枢動シャフトが、前記軸受内に回転可能に装着されており、かつ前記リンクを前記シャトルに取り付ける、孔を有する、請求項1に記載の外科用ツールのための振動駆動機構。
【請求項10】
前記モータを前記出力シャフトに動作可能に結合させる、伝達機構を含み、前記伝達機構が、2つの動作モードを提供するための複数の駆動機構を含み、第1の動作モードにおいて、前記モータの前記ロータの回転による前記
クランクアセンブリハブの回転が、前記シャトル及び前記弓状
ラックギアの往復回転をもたらして、前記出力シャフトの振動回転移動を提供し
、第2の
動作モードにおける前記伝達
機構の動作が、前記出力シャフトへの継続的な回転運動を提供する、請求項1に記載の外科用ツールのための振動駆動機構。
【請求項11】
前記第2の動作モードにおいて、前記伝達
機構が、所定のギア減速を提供して、所定のロータ回転速度を与えられた前記出力シャフトの所望の出力回転速度を提供するように構築及び配置されたギアの様々な組み合わせを含む、請求項10に記載の外科用ツールのための振動駆動機構。
【請求項12】
前記
クランクアセンブリハブに、前記モータの前
記シャフトが前記ロータを回転させるときに回転することになるギア部分が提供され、前記ギア部分が、第1のギアと噛み合い、前記第1のギアが、
第2シャフト上に装着され、前記
第2シャフトが、次いで一対の軸受を介して回転可能に支持され、ギアが、一対の軸受を介して、ハウジングによって回転可能に担持される
第3シャフトを介して回転可能に装着されている、第2のギアと駆動係合し、前記ギアが、出力ギアに結合され、前記出力ギアが、それとともに同時回転をもたらす様式で前記ギアに固定され、出力ギアが、
第4シャフトを介して、前記ハウジング内に回転可能に装着されるギアと駆動係合され、前記
第4シャフトが、一対の軸受によって前記ハウジング内に回転可能に装着され、ギアもまた、前記
第4シャフトに装着されて、前記ギアとともに回転し、ギアと噛み合う、請求項11に記載の外科用ツールのための振動駆動機構。
【請求項13】
前記モータが、前記モータの回転方向を制御するためのスイッチを含み、前記スイッチが、前記出力シャフトの時計回り回転のための第1の位置と、前記出力シャフトの反時計回り回転のための第2の位置と、を有する、請求項10に記載の外科用ツールのための振動駆動機構。
【請求項14】
前記モータ及び
当該モータの前記シャフトの配向が、前記出力シャフトの前記配向に対して80~120度の角度である、請求項1に記載の外科用ツールのための振動駆動機構。
【請求項15】
前記モータ及び
当該モータの前記シャフトの配向が、前記出力シャフトの前記配向に対して90度の角度である、請求項1に記載の外科用ツールのための振動駆動機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権主張)
本出願は、2021年10月28日に出願された米国仮特許出願第63/273,115号、及び2021年9月1日に出願された米国仮特許出願第63/239,698号に対する優先権を主張し、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、切断、掘削、及び研削のために使用可能な回転手持ち式外科用ツールに関する。
【背景技術】
【0003】
手術のための動力付き回転ツールは、当該技術分野で周知である。多くの外科医は、それらが、掘削、切断、及び研削などの特定の外科的処置、特に整形外科的処置のために、不可欠であると考えている。それらは、外科的処置がもたらされ得るように、外科手術部位で骨などの組織を修正するために使用される。そのようなツールは、典型的には、電気モータなどの外部動力付きモータによって回転されるツールヘッド又はエンドエフェクタを含む。ツールヘッドは、モータのロータに動作可能に結合された細長いシャフトの一部である。モータのロータは、ツールヘッド及びそのシャフトの回転をもたらす。回転ツールヘッドは、何らかの外科手術、例えば、掘削、切断、及び研削をもたらすために使用される。エフェクタの回転をもたらすためにモータロータの電力供給を選択的にもたらすために、アクチュエータが提供される。
【0004】
そのようなツールは、高価であり、多数の部品があるため、再利用のために滅菌するのが困難かつ高価であり、多くの場合、部分的又は完全な分解を必要とする。また、ツールは、組織修正ツールヘッドなどの分離可能な部品を有する。組織を除去することに加えて、そのような動力付きツールは、ねじなどの締結具を設置するなどの、他の外科的工程のために使用される。ツールを容易に滅菌することができない場合、ツールは使用後に廃棄され、手術の費用を増加させる。したがって、別個の動力付きツールが使用される場合、複数のツールを滅菌又は廃棄する必要がある。
【0005】
先行技術は、患者の骨、軟骨、及び椎間板などの組織を修正するように適合された回転カッターを有する外科用ツールを提供している。しかし、そのようなツールは、カッターが筋肉及び神経などの線維組織に遭遇した場合に問題を提示する。そのような繊維組織は、カッターの周りに巻き付き、それによって損傷を受ける可能性がある。先行技術はまた、そのような外科的処置のために振動回転ツールも提供したが、回転中にカッターの振動をもたらすために使用される機構は、振動をもたらすために使用される機構に起因して滑らかに動作しない。そのような振動ツールの進歩は、我々の同時継続出願:2012年5月11日に出願された「Rotary Oscillating Bone,Cartilage,and Disk Removal Tool Assembly」と題する米国非仮特許出願第13/469,665号(現在は特許第10,194,922号として2019年2月5日に発行されている)、2013年4月18日に出願された、「Rotary Oscillating Bone,Cartilage,and Disk Removal Tool Assembly」と題する国際出願第US2013/037071号、2012年10月8日に出願された、「Cutting Tool for Bone,Cartilage,and Disk Removal」と題する米国非仮特許出願第13/647,101号(現在は特許第9,232,953号として2016年1月12日に発行されている)、2013年10月3日に出願された、「Cutting Tool for Bone,Cartilage,and Disk Removal」と題する国際出願第US2013/063182号、2017年2月17日に出願された「Surgical Rotary Tool」と題する米国仮特許出願第62/460,481号、2018年2月13日に出願された「Surgical Rotary Tool」と題する米国非仮特許出願第15/895,352号、及び2018年2月16日に出願された「Surgical Rotary Tool」と題する米国非仮特許出願第15/932,361号、2016年11月17日に出願された、「Rotary Oscillating Surgical Tool」と題する米国仮特許出願第62/423,624号、及び2017年11月16日に出願された「Rotary Oscillating Surgical Tool」と題する米国非仮特許出願第15/814,891号、2016年11月17日に出願された、「Robotic Surgical System」と題する米国仮特許出願第62/423,651号、2016年11月17日に出願された米国仮特許出願第62/423,677号、及び2017年11月17日に出願された「Robotic Surgical System」と題する米国非仮特許出願第15/816,861号によって代表される。
【0006】
そのようなツールは、典型的には小型で軽量であり、駆動機構のための空間はほとんどない。それらは、外科医による切断効率及び制御のために高い切断速度で動作する傾向がある。振動は、少なくとも毎分約10,000振動(毎分5,000回)程度であり、毎分30,000~50,000振動又はそれ以上の高さであり得る。振動は、1つの回転位置から他の回転極までの、カッターなどの組織修正デバイスの移動である。カッター構成及び除去されている材料は、組織修正デバイスの動作速度を決定することになる。高速及び精密な配置及び切断の必要性のために、ツールは、振動をほとんど伴わない動作において滑らかである必要がある。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、ツールヘッド(エフェクタ)を選択的に回転させて、外科的処置中に組織修正をもたらし、エンドエフェクタの単純な交換及び駆動セレクタのシフトによる締結具ドライバとしての使用も可能にする動力付き外科用ツールに関する。
【0008】
したがって、エンドエフェクタを組織修正デバイスから締結具ドライバに交換することを可能にする出力シャフトを有する回転外科用ツールを提供することが望ましい。
【0009】
出力シャフトの高速組織修正駆動モードから低速高トルク締結具駆動へのシフトを可能にする伝達装置を有するそのような回転外科用ツールを提供することが更に望ましい。
【0010】
締結具駆動のための出力シャフトの駆動回転を選択することを可能にする、そのような外科用ツールを提供することがまた更に望ましい。
【0011】
高効率、低発熱、及び高信頼度を有する振動機構を提供することがまた更に望ましい。
【0012】
本発明の他の目的及び利点は、例解及び例示として、本発明の特定の実施形態が記載される、任意の添付の図面と併せて、以下の説明から明らかになるであろう。本明細書に含まれる任意の図面は、本明細書の一部を構成し、本発明の例示的な実施形態を含み、それらの様々な目的及び特徴を例解する。
【0013】
(先行技術の説明)
そのような回転ツールの例としては、米国特許第4,646,738号、同第5,735,535号、同第7,066,940号、及び米国特許公開第2014/0246047号に開示されているものが挙げられる。米国特許第4,646,738号は、非常に複雑である電気モータ動力付きツールであり、滅菌のために使用後に分解する必要がある。米国特許第5,735,535号は、複雑でもある電気モータ動力付きツールであり、滅菌のために使用後に分解を必要とし、ツールヘッドを保持するためにチャックを使用する。米国特許第7,066,940号はまた、先で言及される2つのツールのように、複雑であり、滅菌のために分解を必要とし、分離可能な切断ツールヘッドを有する電動ツールでもある。米国特許出願公開第2014/0246047号は、異なるタイプの動力付き外科用ツールを例解しているが、回転切断ツールを使用するように構造化されていない。前述のツールと同様に、滅菌のために分解を必要とし、構造において非常に複雑である。
【0014】
長年にわたって進歩がなされてきているが、それらの使用を簡素化し、単一の動力付きツールに組織修正及びねじ設置機能の両方を提供する回転外科用ツールの当該技術分野において進歩を提供するより単純な外科用ツールを提供していない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】組織修正及び締結具に使用可能な外科用ツールの、内部詳細を示すために一部分を破断した等角図である。
【
図2】エンドエフェクタの振動回転をもたらすために使用可能な第1の駆動機構の一部分の等角図である。
【
図3】エンドエフェクタの振動回転をもたらすために使用可能な第2の駆動機構の一部分の等角図である。
【
図4】エンドエフェクタの振動回転をもたらすために使用可能な第3の駆動機構の一部分の等角図である。
【
図5】エンドエフェクタの振動回転をもたらすために使用可能な第4の駆動機構の一部分の等角図である。
【
図6】出力シャフトの振動回転をもたらすように構成されて示されている出力シャフトの交互に振動及び非振動回転をもたらすために使用可能な伝達装置の部分等角図である。
【
図7】出力シャフトの非振動回転をもたらすように構成されて示されている
図6の伝達装置の部分側面図である。
【
図8】出力シャフトの振動回転をもたらすように構成されて示されている
図6の伝達装置の部分側面図である。
【
図9】3つの形態のエンドエフェクタの等角図である。
【
図10】内部駆動構成要素を示す外科用ツールの第2の形態の部分側面図であり、いくつかの構成要素が概略的に示されている。
【
図11】内部駆動構成要素を示す第3の形態の外科用ツールの部分側面図であり、いくつかの構成要素が概略的に示されている。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1を参照すると、参照番号11は、概して、様々な内部構成要素、例えば、概して17で指定された伝達装置に動作可能に接続されたモータ15を囲み、支持するように適合された外部ハウジング13を有する、動力で動作する外科用ツールを指定しており、伝達装置は、モータ15を、ツールカプラ21を担持する出力シャフト19に動作可能に結合する。好ましい実施形態では、モータ15は、例えば、電源コード23によって電源に動作可能に結合された電気モータである。ハウジング13には、外科用ツール11を制御するために外科医が把持するための付属ハンドル24が提供され得る。ハウジング13は、ポリマー(多くの場合、プラスチックと称される)材料で形成され得、成形によって形成され得る。好ましくは、ハウジング13は、締結具25によって互いに好適に固定される2つの半体を組み合わせることによって形成される。外科医によってアクセス可能な様々な制御は、ツール11の動作モードを選択するために提供され、オンオフ電力スイッチ27と、伝達装置動作モードセレクタ29と、反転スイッチ31と、を含み得る。
【0017】
図2~
図5は、モータ15と以下で説明される振動回転駆動機構35との間のカプラの4つの形態を例解している。駆動機構35は、止めねじ41と同様に、シャフト37に好適に装着されたクランクアセンブリハブ39と同様に、モータ15のシャフト37に結合されている。駆動機構35はまた、シャフト37の周りを回り、回転可能に装着されたシャトル45に取り付けられているリンク43Aも含む。シャトル45は、シャトルの振動回転を通じてギア47の往復運動をもたらす弓状ラックギア47を含む。図示されるように、シャトル45は、ハウジング11内に装着された軸受49のようにシャトル45に固定されたシャフト46を介してハウジング13に回転可能に装着される(
図7を参照)。
図2~
図5に示される駆動機構の4つのバージョン間の違いは、リンク43がシャトル45にどのように取り付けられるかである。
図2に見られるように、リンク43Aは、モータ15の出力シャフト37の長手方向軸に対して鋭角に位置付けられた孔55内に装着された軸受53内に摺動可能に装着されているように、ハブ39に回転可能かつ往復運動可能に装着されるシャフト部分51を含む。ボール軸受53が示されているが、スリーブ軸受などの任意の好適な軸受を使用することができる。リンク43Aは、締結具61と同様にシャトル45に装着された軸受59内に回転可能に装着されることによって、シャトル45に取り付けられる。それによって、モータ15のロータの回転により、シャフト46の周りでギアセグメント47の振動移動をもたらす。
【0018】
図3は、クランクアセンブリハブ39とシャトル45の結合の第2の形態を例解している。この実施形態では、シャフト62はハブ39に装着され、ハブ39内の孔63内に延在する一部分を有する。リンク43Bは、その中に1つ以上の軸受65が装着されている孔64を有し、シャフト62は、軸受65内に回転可能かつ往復運動可能に装着され、好ましくはハブ39に固定されている。リンク43Bは、軸受69を各々有する一対の離間したアーム67を有することによって、シャトル45に取り付けられており、軸受69はその中に、軸受69内に回転可能に受容され、孔73内でシャトル45内に装着されたシャフト71を受容する。ハブ39の回転は、ギア47の振動移動をもたらす。
【0019】
図4は、モータ15のシャトル45への結合の第3の形態を例解している。リンク43Cは、一対の軸受83内に回転可能かつ往復運動可能に装着されたシャフト部分81を含み、一対の軸受83は、次いでハブ39内の孔85内に装着される。図示されるように、リンク43Cは、シャフト部分81に固定されたヘッド部分87を有し、一対の軸受91が装着される貫通孔89を有する。シャトル45は、孔93を有し、孔93は、一方の端部で閉じて示され、枢動シャフト95が装着されている。シャフト95は、軸受91内に回転可能に装着され、リンク43Cをシャトル45に取り付ける。図示されるように、ヘッド部分87は、ヘッド部分87とシャトル45との間の相対的な移動をもたらすのに十分な空間でシャトル45内のキャビティ97内に受容される。ハブ39の回転は、ギア47の振動移動をもたらす。
【0020】
図5は、モータ15のシャトル45への接続の第4の形態を例解している。それは、ハブ39へのシャフトの装着を除いて、
図3に示される接続の形態と同様である。シャトル45は、軸受69内に装着されたシャフト71を介してリンク43Dに取り付けられ、軸受69は、次いで、それぞれのアーム67に装着される。リンク43Dは、シャフト部分101を含み、シャフト部分101は、次いで、軸受102内に摺動可能かつ回転可能に装着され、軸受102は、次いで、孔103内に装着される。ハブ39の回転は、ギア47の振動移動をもたらす。
【0021】
動作中、モータ15のロータ105の回転によるハブ39の回転は、以下で説明する目的のためにシャトル45及びギアセグメント47の往復回転をもたらす。一実施形態では、モータ15は、ツール11が締結具駆動モードにあるときに、スイッチ31によって(後で説明される目的で)回転方向を選択することができる可逆的モータであり得る。
【0022】
図1、
図6、及び
図7は、伝達装置17の更なる詳細を例解しており、伝達装置17は、10,000回/分以上などの高速で出力シャフト19の振動回転駆動をもたらし、かつ外科的部位への締結具の挿入又は除去のために、出力シャフト19の低速回転駆動を選択的に交互にするように動作可能である。上で説明される駆動機構35は、出力シャフト19の振動回転駆動をもたらす。
【0023】
伝達装置17は、モータ15ロータ105のシャフト37の回転を、切断ツール109、110と同様に組織修正のための出力シャフト19の振動回転に、又は、椎骨などの患者の骨格要素への締結具(ねじなど)111の駆動のための出力シャフト19の連続回転に選択的に変換するように構築されている(
図9を参照)。
図6に最良に見られるように、伝達装置17は、複数の駆動構成要素を含み、概して121で指定される少なくとも1つの構成要素が、組織修正のために出力シャフト19の振動回転をもたらすように動作可能であり、概して123で指定される別の構成要素が、締結具111を駆動するための出力シャフト19の連続回転をもたらすように動作可能である。
【0024】
ベベルギアなどのギア125は、ギアセグメント47と噛み合っており、それによって、ハブ39の回転によって誘発されるギアセグメント47の振動運動は、軸受129、131と同様にハウジング13内に回転可能に装着されたシャフト127に装着される。セレクタシャトル133は、アクスル135上のシャトル133の相対的な摺動移動を可能にし、それらの間の相対回転を阻止するように、アクスル135上に往復運動可能に摺動可能に装着されている。シャトル133は、ベベルギアハブ141又は出力ギア143に駆動係合して、出力シャフト19の振動回転又は出力シャフト19の連続駆動を選択するように各々適合された、対向する端部分137、139を有する。好ましい実施形態では、端部分137は、係合されたときに相対回転を選択的に防止するために、ベベルギアハブ141の内部部分と同様にスプライン形成され得る。ギア143は、軸受144によってハウジング13内に回転可能に装着される。シャトル133は、ハウジング13内に装着された軸受145によって、ハウジング13内に回転可能かつ長手方向に摺動可能に担持される。
図6、
図8は、出力シャフト19の振動回転をもたらす位置にあるシャトル133を例解しており、
図7は、出力シャフト19の回転を駆動するための位置にあるシャトル133を例解している。アクスル135は、ハウジング13内に装着された前方軸受151内に回転可能に装着され、ハウジング19内に固定されたスラスト軸受153に装着されることによって長手方向の移動に制限される。アクスル135は、任意の好適な様式で出力シャフト19に結合され、図示されるように、ねじ付き圧縮嵌合155を使用して結合される。出力シャフト19の近位端は、例えば、出力シャフト19を支持し、アクスル135の前方端部の支持を提供するために、内部に軸受163が装着されたねじ付きノーズフィッティング161によって、ハウジング13に装着される。ねじ付きノーズフィッティング161には、所望に応じて、出力シャフト19の周りにシール166が提供され得る。
【0025】
図示されるように、セレクタシャトル133の移動は、ハウジング13に装着された、摺動可能に装着されたアクチュエータなどのセレクタデバイス167によってもたらされる。セレクタデバイス167は、ハウジング13内に好適に固定されたスライド164上に移動可能に装着され得る。セレクタデバイス167は、その回転中にシャトル133の回転を可能にしながら、フォーク165がアクスル135上のシャトル133の前方及び後方移動をもたらすことを可能にする、環状溝168内に受容されたフォーク165を含む。
【0026】
伝達装置17には、出力シャフト19の連続回転という第2の選択的動作モードをもたらすための構造が提供される。出力シャフト19の振動回転をもたらす上で説明される駆動要素に加えて、伝達装置17は、例えば、ねじ又は他のタイプの締結具111を駆動するために、出力シャフト19の連続回転を選択的にもたらすように動作可能である。伝達装置17のこの部分は、
図1、
図6、
図7、
図8に最良に見られる。伝達装置17のこの部分は、概して123で指定され、モータ105の回転速度を与えられた出力シャフト19の所望の出力回転速度を提供するために、所望のギア減速をもたらすために、以下で説明されるギアの様々な組み合わせを含む。以下で説明されるギアは、平ギア、螺旋ギア、他の好適なギア、及びそれらの組み合わせであり得る。
【0027】
図示されるように、ハブ39には、モータ15のシャフト37がそのロータ105を回転させるときに回転するギア部分183が提供され得る。ここでは、モータ15は、電気モータ又は圧縮空気動作モータであり得、電気モータが好ましいことに留意されたい。モータ15は、電源コード23を介して電源に動作可能に接続され、スイッチ31は、モータ15の動作を選択可能にもたらすように動作可能である。例解される構造では、ギア部分183は、シャフト193上に装着された第1のギア191と噛み合っており、シャフト193は、次いで一対の軸受195を介してハウジング13内に回転可能に装着される。ギア191は、第2のギア197と駆動係合し、第2のギア197は、一対の軸受201を介してハウジング13によって回転可能に担持されたシャフト199を介してハウジング13内に回転可能に装着される。次いで、ギア197は、出力ギア207に結合され、出力ギア207は、ギア197に、それと同時回転をもたらす様式で固定される。ギア207は、次いで、ギア209と駆動係合され、ギア209は、シャフト213を介してハウジング13内に回転可能に装着され、シャフト213は、一対の軸受215によってハウジング13内に回転可能に装着される。ギア221はまた、シャフト213に装着されて、ギア209とともに回転し、ギア143と噛み合う。セレクタデバイス167が例解された構造(
図7)の前方位置に移動されると、ギア143は、シャフト135に駆動結合され、ギア125は、アクスル135との駆動係合から切り離され、それによって、アクスル135は、ギア191、197、209、及び221とともにギア143によって駆動される。このギアトレインのギア比は、モータ15によって出力シャフト19の所望の出力回転速度を提供するようなものである。所望に応じて、スイッチ31を使用して、モータ15の回転方向を逆にして、締結具挿入又は締結具抽出のいずれかを提供することができる。
【0028】
図9は、出力シャフト19の遠位端部分を示している。出力シャフト19は、ツールカプラ21を含み、ツールカプラ21は、出力シャフト19に異なるエンドエフェクタを取り外し可能に装着し、連続回転又は振動回転のいずれかの回転中にエンドエフェクタと出力シャフト19との間の相対回転を阻止するように動作可能である。図示されるように、エンドエフェクタ109は、骨などの硬組織を除去するように動作可能であり、カプラ21に装着され得る。また、図示されるように、締結具111は、カプラ21に取り外し可能に装着され得、出力シャフト19は、椎骨などの手術部位の一部分への締結具111の挿入(又は除去)をもたらすように動作可能である。また、軟部組織除去エンドエフェクタ110は、カプラ21に取り外し可能に装着され得る。エンドエフェクタ109、110、及び111は、当該技術分野において既知であるように、カプラ21に取り外し可能に装着され、ボール及び戻り止め構成231によって適所に保持され得る。当該技術分野においても既知であるように、相対回転は、エンドエフェクタ109、110、111のシャンク部分235内の対応するスプライン部分(図示せず)と係合可能なスプライン部分233を有することによって、カプラ21とエンドエフェクタ109、110、111のうちの1つとの間で阻止され得る。
【0029】
図10は、上で説明される発明の第2の形態を示す。
図10に例解される上で説明される外科用ツール11と外科用ツール311との間の主な違いは、上で説明される出力シャフト19の配向に対するモータ15及びその出力シャフト37の配向である。図示されるように、この第2の形態のモータ15の回転軸は、出力シャフト19の回転軸に対してほぼ直角Aにある。好ましくは、角度Aは、約80°~約120°である。外科用ツール311は、オンオフスイッチ27と、モータ15の動作を制御するための、モータ15に動作可能に接続されているモータ反転スイッチ31と、を含む。モータ15は、電源コード23と同様に電源に接続することができる。ツールカプラ21は、上で説明されるように出力シャフト19と動作可能に関連付けられている。部品が構築及び動作において
図1~
図9に示される本発明の第1の形態と同様である場合、外科用ツール11及び外科用ツール311の構成要素には、同様の番号が使用される。
【0030】
外科用ツール311は、2つの駆動構成要素321及び323を含む伝達装置317を含む。駆動構成要素321は、上で説明される振動駆動機構35と同様の振動駆動機構335を含む。駆動構成要素321及び323は、それぞれ上で説明される駆動構成要素121及び123と構築及び動作において同様である。伝達装置317は、ハウジング13内に装着されている。ハウジング13は、シャフト19の回転軸に対してほぼ直角Aに位置付けられたハンドル部分324を含む。
【0031】
駆動構成要素321は、構築及び動作において駆動構成要素121と同様である。駆動構成要素321は、上で説明されるようなクランクアセンブリハブ39を含む。シャトル45は、例えば、
図2~
図5及び特に
図3に示されるように、シャフト62及び一対のアーム67を利用して、クランクアセンブリハブ39に動作可能に接続される。ベベルギアなどのギア125は、ラック47と係合する。
図10に示されるように、ラック47は、
図1~
図9に示されるラック47の回転位置に対する角度Aのモータ15のシャフト37の回転軸に対する回転軸の周りの回転位置にある。ギア125は、アクスル135上に装着されて、その振動回転をもたらし、次いでシャフト19の振動回転をもたらす。325として概略的に示されるセレクタ機構は、上で説明されるように、セレクタ伝達動作モードセレクタ29を有する。セレクタ機構325は、アクスル135に装着され、出力ギア143を駆動するように選択的に位置決め可能なセレクタシャトル133を含み、
図10には全てが示されているわけではないが、
図1~
図9に示されている。
【0032】
第2の駆動構成要素323は、
図6に説明及び図示されるものなどの一連のギアを含む。出力ギア183は、モータ15の出力シャフトに装着され、上で考察される一連のギアを駆動するように動作可能である。図示されるように、ギア183は、ベベルギアとして示され、ギア191は、対応するベベルギアとして示され、その結果、第2の駆動構成要素323内の様々なギアの回転軸は、モータ15の回転軸に対して直角になっている。これらのギアは、ギア197、207、209、及び221などのギアを含む。ギア221はシャフト331を駆動し、シャフト331は、次いでセレクタ機構325内のギア(図示せず)を駆動し、セレクタ機構325は次いで、セレクタシャトル133が上で説明されるようにモードセレクタ29によって移動されるときにシャフト19を駆動する。クラッチ(図示せず)は、ギア183の駆動に選択的に係合するように、モータ15の出力シャフト37の間に関連付けることができることに留意されたい。そのようなクラッチは、電気的に動作され得、制御スイッチ332が提供され得る。
【0033】
したがって、ツール311は、ラック47及びギア125を使用して振動回転様式で駆動され得るか、又は駆動構成要素323を使用して連続回転様式で駆動され得る。連続回転は、例えば、モータ15の回転方向を逆転させることができるスイッチ31の使用によって、逆転させることができる。
【0034】
図11は、本発明の第3の形態を例解している。この外科用ツールは、概して511で指定され、上で説明される外科用ツールの第1及び第2の形態について示されるように、単一のモータ15の代わりに、概して15A、15Bに指定される一対のモータを利用する。本発明の第2の形態と同様に、外科用ツール511は、機能及び構築においてそれぞれ駆動構成要素321、323と同様の一対の駆動構成要素521、523を含む伝達装置517を含む。伝達装置517はまた、上で説明される振動駆動機構35と同様の振動駆動機構535も含む。モータ15Aは、
図10に例解される本発明の第2の形態について上で説明されるように、ハブ319、シャトル45、ラック47、ギア125、及びアクスル135を含む駆動構成要素521を動作させる。モータ15Aは、上で説明されるように、スイッチ27、31によって制御され得る。
図11に示される本発明の形態は、上で説明されるようなセレクタ機構325を利用し、動作モードセレクタ29を利用して、出力シャフト19が振動様式又は連続回転様式で駆動されるかどうかを決定する。外科用ツール511は、ハウジング13を含む。外科用ツール511はまた、出力シャフト19及びツールカプラ21も含む。
【0035】
本発明のこの第3の形態では、第2のモータ15Bが提供され、シャフト19の連続回転の動作をもたらすために駆動構成要素523と動作可能に関連付けられる。第2のモータ15Bは、スイッチ27、31によって動作され得る。第3のスイッチ537は、モータ15A又は15Bが動作されられるかどうかを選択するために提供され、反転スイッチ31は、モータ15Bの回転方向を決定するために利用される。モータ15Bは、その出力シャフト37を介して駆動構成要素523に動作可能に接続される。
図6に見られるような第1の発明の実施形態に示されるものなどの一連のギアは、中間ギア541を介してギア191と噛み合うギア183を含む。更なる駆動は、一連の動作可能に関連付けられたギア207、209、及び543を介してもたらされる。第2の駆動構成要素523内のギアリング構成は、
図6に見られ、
図11に示されていない、出力ギア221に動作可能に接続される、出力シャフト545を駆動するための所望のギアリング比をもたらすことである。上で説明される325として概略的に示されるセレクタ機構は、上で説明されるように、セレクタ伝達装置動作モードセレクタ29を有する。セレクタ機構325は、アクスル135上に装着され、かつ出力ギア143を駆動するように選択的に位置決め可能であるセレクタシャトル133を含み、
図11には全て示されているわけではないが、
図1~
図9に示されている。出力ギア143は、シャフト545と動作可能に関連付けられて、その駆動を選択的にもたらす。
【0036】
動作中、外科用ツール511のユーザは、ハンドル547を把持し、動作モードセレクタ29及びスイッチ537を使用して選択動作を介して、ユーザは、15A又は15Bのどちらのモータを動作させるかを選択することによって、出力シャフト19が振動様式で又は連続回転様式で駆動するかどうかを選択することができる。動作モードを選択した後、シャフト19の振動駆動が使用される場合、ユーザは、単にスイッチ27を作動させてモータ15Aを動作させることができる。動作モードがシャフト19の連続回転のためのものである場合、ユーザはまた、スイッチ31を使用して回転方向を選択する。両方の動作モードでは、動作モードセレクタ29は、シャフト19の振動回転又は連続回転を選択するための適切な位置に配置される。
【0037】
本明細書で言及される全ての特許及び公開物は、本発明が関連する当業者のレベルを示している。全ての特許及び公開物は、各個々の公開物が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示された場合と同じ程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【0038】
本発明の特定の形態が例解されているが、本明細書に説明及び図示された特定の形態又は構成に限定されるべきではないことを理解されたい。本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更がなされ得、本発明は、本明細書及び本明細書に含まれるいずれかの図面/図に図示及び説明されるものに限定されると見なされるべきではないことは、当業者には明らかであろう。
【0039】
当業者は、本発明が目的を遂行し、言及される最終目標及び利点、並びにそこに内在するものを取得するように十分に適合されていることを容易に理解するであろう。本明細書において説明される実施形態、方法、手順、及び手法は、現在、好ましい実施形態を代表するものであり、例示的であることを意図するものであり、範囲を限定することを意図するものではない。本発明の趣旨内に包含され、添付の特許請求の範囲によって定義されるその変更及び他の使用が、当業者には着想されるであろう。本発明は、特定の好ましい実施形態に関連して説明されてきたが、特許請求される本発明は、そのような特定の実施形態に過度に限定されるべきではないことを理解されたい。実際、当業者に明らかである本発明を遂行するための説明されたモードの様々な修正は、以下の特許請求の範囲内にあることが意図される。