(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】キャビティフィルタ
(51)【国際特許分類】
H01R 24/50 20110101AFI20240202BHJP
H01P 1/207 20060101ALI20240202BHJP
H01R 12/91 20110101ALI20240202BHJP
【FI】
H01R24/50
H01P1/207
H01R12/91
(21)【出願番号】P 2022149328
(22)【出願日】2022-09-20
(62)【分割の表示】P 2021545344の分割
【原出願日】2019-10-15
【審査請求日】2022-09-20
(31)【優先権主張番号】10-2018-0122558
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0127755
(32)【優先日】2019-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】508112782
【氏名又は名称】ケーエムダブリュ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ヘ キム
(72)【発明者】
【氏名】サン ユーン キム
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0089265(KR,A)
【文献】米国特許第6497579(US,B1)
【文献】国際公開第2006/018958(WO,A1)
【文献】特開2011-108445(JP,A)
【文献】中国実用新案第201450195(CN,U)
【文献】特開平08-335483(JP,A)
【文献】中国特許第100459317(CN,C)
【文献】中国実用新案第207265326(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 24/38-24/56
H01R 12/91
H01P 1/20- 1/219
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部部材から所定距離離隔して備えられたRF信号連結部と、
前記外部部材と前記RF信号連結部とを電気的に連結させるものであって、前記所定距離に存在する組み立て公差を吸収し、かつ前記外部部材と前記RF信号連結部との間の電気的流れの断絶を予防する端子部と、
端子挿入口内に前記端子部の外側を囲むように挿入された誘電体本体と、
前記誘電体本体に縁の一部が支持され、前記端子部を弾性支持する弾性部材と、を含み、
前記端子部は、少なくとも2つの部材で備えられ、2つの部材のうち何れか一方の部材の一部が、他方の部材の一部に挿入される、キャビティフィルタ。
【請求項2】
前記端子部は、
前記誘電体
本体を媒介として、前記RF信号連結部が内部に備えられたフィルタ本体に形成された端子挿入口に挿入配置される、請求項1に記載のキャビティフィルタ。
【請求項3】
前記誘電体本体は、
中空空間で備えられた端子設置孔を貫通する一側端子の外周面の一部を囲むように備えられた上側内部誘電体と、前記端子設置孔を貫通する他側端子の外周面の一部を囲むように備えられた下側内部誘電体と、を含む、請求項2に記載のキャビティフィルタ。
【請求項4】
前記端子部は、
前記外部部材の電極パッドに接点される一側端子と、
前記RF信号連結部に連結される他側端子と、を含む、請求項1に記載のキャビティフィルタ。
【請求項5】
前記端子部は、前記誘電体本体を媒介として、前記RF信号連結部が内部に備えられたフィルタ本体に形成された端子挿入口に挿入配置され、
前記端子部は、
前記外部部材の電極パッドに接点される一側端子と、
前記RF信号連結部に連結される他側端子と、を含み、
前記一側端子
が備えられた側の前記フィルタ本体の一面にはワッシャ設置部が溝加工され、前記ワッシャ設置部にはスターワッシャが設置固定される、
請求項1に記載のキャビティフィルタ。
【請求項6】
前記ワッシャ設置部は、前記誘電体本体に中空空間で備えられた端子設置孔よりも大きい内径を有するように溝加工形成される、請求項5に記載のキャビティフィルタ。
【請求項7】
前記一側端子と前記他側端子のうち何れか1つには、上下方向に長く形成された多数のテンション切開部が備えられる、請求項4に記載のキャビティフィルタ。
【請求項8】
前記端子部のうち前記電極パッドに接点される前記一側端子の接点部は、上端が所定の接点面積を有するように湾曲した円錐状で形成される、請求項4に記載のキャビティフィルタ。
【請求項9】
前記端子部のうち前記電極パッドに接点される前記一側端子の接点部は、上端が所定の接点面積を有するように湾曲した半球状で形成される、請求項4に記載のキャビティフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャビティフィルタ(CAVITY FILTER)に関し、より詳細には、組み立て性及びサイズを考慮し、フィルタとプリント回路基板とのコネクタ締結構造を改善したマッシブMIMOアンテナ用キャビティフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
この部分に記載の内容は、単なる本実施形態の背景情報を提供するものにすぎず、従来技術を構成するものではない。
【0003】
MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術は、多数のアンテナを用いてデータの伝送容量を著しく増加させる技術であり、送信機では、それぞれの送信アンテナを介して互いに異なるデータを伝送し、受信機では、適切な信号処理により送信データを区分する、空間多重化(Spatial multiplexing)技法である。よって、送受信アンテナの個数を同時に増加させることにより、チャンネル容量を増加させ、より多量のデータを伝送できるようにする。例えば、アンテナの数を10個に増加させると、現在の単一アンテナシステムに比べて、同じ周波数帯を用いて約10倍のチャンネル容量を確保することになる。
【0004】
4G LTE-advancedでは、アンテナが8個まで用いられている。現在、pre-5G段階では64または128個のアンテナを取り付けた製品が開発されており、5Gでは、はるかに多くの数のアンテナを有する基地局装備が用いられると予想され、これをマッシブMIMO技術と言う。現在のセル(Cell)の運営が2-Dimensionで行われるのに比べて、マッシブMIMO技術が導入されると、3D-Beamformingが可能となるため、マッシブMIMO技術はFD-MIMO(Full Dimension)とも呼ばれる。
【0005】
マッシブMIMO技術では、アンテナ素子の個数が増加すると、それに応じて送受信機とフィルタの個数もともに増加する。また、2014年を基準として、全国的に20万箇所以上の基地局が設置されている状況である。すなわち、実装空間を最小化し、かつ実装が簡単なキャビティフィルタの構造が必要であり、個別的にチューニングされたキャビティフィルタがアンテナに実装された後にも、同じフィルタ特性が提供されるようにするRF信号線連結構造が求められる。
【0006】
キャビティ構造を有するRFフィルタは、金属性導体から形成されたボックス構造の内部に、導体の共振棒などで構成された共振器が備えられ、固有周波数の電磁場のみが存在するようにすることで、共振により超高周波の特性周波数のみを通過する特徴を有する。かかるキャビティ構造のバンドパスフィルタは、挿入損失が少なく、高出力に有利であるため、移動通信基地局アンテナのフィルタとして多様に活用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、よりスリムでコンパクトな構造を有し、RFコネクタがボディ内に厚さ方向に内蔵されたキャビティフィルタを提供することにある。
【0008】
また、本発明の目的は、多数のフィルタを組み立てる時に発生する組み立て公差の累積量を最小化することができる組み立て方式、及び実装が容易であり、かつフィルタの周波数特性を均一に維持するRF信号連結構造を有するキャビティフィルタを提供することに
ある。
【0009】
また、本発明の目的は、RFピンの分離タイプの場合には、相対的な動きを許容しながらも、側面テンションを付加することで、信号損失が発生することを防止することができるキャビティフィルタを提供することにある。
【0010】
本発明の技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていないさらに他の技術的課題は、下記の記載から当業者に明確に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するための本発明に係るキャビティフィルタの一実施形態は、一面に電極パッドが備えられた外部部材から所定距離離隔して備えられたRF信号連結部と、前記外部部材の電極パッドと前記RF信号連結部とを電気的に連結させるものであって、前記所定距離に存在する組み立て公差を吸収し、かつ前記電極パッドと前記RF信号連結部との間の電気的流れの断絶を予防する端子部と、端子挿入口内に前記端子部の外側を囲むように挿入された誘電体本体と、前記誘電体本体に縁の一部が支持され、中空部を貫通するように支持される前記端子部に組み立て力が伝達される時に、前記縁の一部に対して前記中空部が上下方向に変形する動作により前記端子部を弾性支持する弾性部材と、を含み、前記端子部は、前記電極パッドに接点される一側端子と、前記RF信号連結部に連結される他側端子と、を含む。
【0012】
ここで、前記端子部は、前記誘電体を媒介として、前記RF信号連結部が内部に備えられたフィルタ本体に形成された端子挿入口に挿入配置することができる。
【0013】
また、前記誘電体本体は、中空空間で備えられた端子設置孔を貫通する前記一側端子の外周面の一部を囲むように備えられた上側内部誘電体と、前記端子設置孔を貫通する前記他側端子の外周面の一部を囲むように備えられた下側内部誘電体と、を含むことができる。
【0014】
また、前記誘電体本体には、前記弾性部材の縁部位が支持されるように、周辺孔の直径よりも大きく形成された第2弾性部材設置端、及び前記第2弾性部材設置端の直径よりも大きく段差状に形成された第1弾性部材設置端のうち何れか1つが形成することができる。
【0015】
また、前記弾性部材は、円盤状からなって前記中空部を有し、前記第1弾性部材設置端及び前記第2弾性部材設置端のうち何れか1つに支持される多数の外側縁部、及び前記端子部のうち前記一側端子が係止される多数の内側縁部が備えられた第1弾性部材と、円盤状からなって前記中空部を有し、前記第1弾性部材設置端及び前記第2弾性部材設置端のうち何れか1つに支持されるように多数の下側支持端が備えられた弾性部、及び前記中空部を介して貫通する前記端子部のうち前記一側端子の外周面を囲むように前記弾性部の下部に延びて形成されたボス部が備えられた第2弾性部材と、を含むことができる。
【0016】
また、前記第1弾性部材は、前記外側縁部と前記内側縁部が外周面から前記中空部に向かって所定の長さで切開して延びた外側切開部と、前記中空部から外周面に向かって所定の長さで切開して延びた内側切開部と、により区画可能に備えることができる。
【0017】
また、前記第1弾性部材は、前記外側縁部が前記内側縁部に対して外向きに折り曲げられて備えることができる。
【0018】
また、前記第2弾性部材は、前記中空部の外側に周方向に沿って上下に切開して形成さ
れた多数の内側弾性切開部と、前記内側弾性切開部の外側に周方向に沿って上下に切開して形成された多数の外側弾性切開部と、により弾性変形可能に備えることができる。
【0019】
また、前記弾性部材は、ベリリウム銅(BeCu)、SUS、及びばね鋼材質のうち何れか1つからなることができる。
【0020】
また、前記一側端子と前記他側端子のうち何れか1つには、上下方向に長く形成された多数のテンション切開部が備えることができる。
【0021】
また、前記テンション切開部は前記一側端子に備えられており、前記他側端子の上端部が、前記一側端子の下端部の内部に収容されることができる。
【0022】
また、前記テンション切開部は前記他側端子に備えられており、前記一側端子の下端部が、前記他側端子の上端部の内部に収容されることができる。
【0023】
また、前記誘電体は、前記多数のテンション切開部が形成された前記一側端子または前記他側端子の外周面を支持することができる。
【0024】
また、前記端子部のうち前記電極パッドに接点される前記一側端子の接点部は、上端が所定の接点面積を有するように湾曲した円錐状に形成することができる。
【0025】
また、前記端子部のうち前記電極パッドに接点される前記一側端子の接点部は、上端が所定の接点面積を有するように湾曲した半球状に形成することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一実施形態に係るキャビティフィルタは、次のような多様な効果を達成することができる。
【0027】
第一に、RFコネクタがボディ内に厚さ方向に内蔵されることで、よりスリムでコンパクトな構造設計が可能であるという効果を奏する。
【0028】
第二に、多数のフィルタを組み立てる時に発生する組み立て公差の累積量を最小化することができる組み立て方式、及び実装が容易であり、かつフィルタの周波数特性を均一に維持するRF信号連結構造設計が可能であるという効果を奏する。
【0029】
第三に、相対的な動きを許容しながらも、側面テンションを付加することで、安定な連結が可能であるため、アンテナ性能低下を防止することができるという効果を奏する。
【0030】
第四に、組み立て公差を解消するための弾性部材が、ベリリウム銅、SUS、及びばね鋼材質のうち何れか1つからなるため、圧縮ひずみによる信頼性の低下を防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】例示的なマッシブMIMOアンテナの積層構造を図式化した図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るキャビティフィルタがアンテナボードと制御ボードとの間に積層された状態を示した断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るキャビティフィルタの構造を底側からみた平面透視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るキャビティフィルタの一部構成であるフィルタモジュールと端子部が分離された状態を示した分解斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るキャビティフィルタの分解斜視図である。
【
図7a】
図3の一部断面図であって、PCBボードへの結合前状態を示した断面図である。
【
図7b】
図3の一部断面図であって、PCBボードへの結合後状態を示した断面図である。
【
図9】
図4の構成のうち弾性部材の一実施形態を示した斜視図である。
【
図10】
図9の構成のうち弾性部材の一実施形態の変形例を示した斜視図である。
【
図11】
図4の構成のうち弾性部材の他の実施形態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の一部の実施形態を例示的な図面に基づいて詳細に説明する。
【0033】
各図面の構成要素に参照符号を付加するにあたり、同一の構成要素に対しては、たとえ異なる図面上に表示されても、できる限り同一の符号を有するようにしていることに留意すべきである。また、本発明の実施形態を説明するにあたり、関連した公知構成または機能についての具体的な説明が本発明の実施形態の理解を妨害すると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。
【0034】
本発明の実施形態の構成要素を説明するに際し、第1、第2、A、B、(a)、(b)などの用語を使用し得る。かかる用語は、その構成要素を他の構成要素と区別するためのものにすぎず、その用語により、該当構成要素の本質や順番または順序などが限定されない。また、別に定義されない限り、技術的または科学的な用語を始めとするここで用いられる全ての用語は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。一般に用いられる辞書に定義されているような用語は、関連技術が文脈上有する意味と一致する意味を有すると解釈すべきであり、本出願で明白に定義しない限り、理想的または過度に形式的な意味で解釈されない。
【0035】
図1は例示的なマッシブMIMOアンテナの積層構造を図式化した図である。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態に係るキャビティフィルタが含まれているアンテナアセンブリーが内蔵されるアンテナ装置1の例示的な外形を示したものにすぎず、実際に積層した時の外形を限定するものではない。
【0037】
アンテナ装置1は、ヒートシンク(Heat sink)が形成されたハウジング2と、ハウジング2に結合されたレードーム(radome)3と、を含む。ハウジング2とレードーム3との間には、アンテナアセンブリーを内蔵することができる。
【0038】
ハウジング2の下部には、例えば、ドッキング(docking)構造によりパワーサプライユニット(PSU、Power Supply Unit)4が結合されており、パワーサプライユニット4は、アンテナアセンブリーに備えられた通信部品を動作させるための動作電源を提供する。
【0039】
通常、アンテナ組立体は、前面に複数のアンテナ素子6が配列されたアンテナボード5の背面に、キャビティフィルタ(Cavity filter)7がアンテナの個数に対応して配置されており、関連したPCBボード8が引き続き積層される構造を有する。キャビティフィルタ7は、実装前に、個別的に仕様に応じた周波数特性を有するように、詳
細的にチューニング及び検証されて準備することができる。このようなチューニング及び検証過程は、実装状態と同一の特性の環境で迅速に行われることが好ましい。
【0040】
図2は本発明の一実施形態に係るキャビティフィルタがアンテナボードと制御ボードとの間に積層された状態を示した断面図である。
【0041】
図2を参照すると、本発明の一実施形態に係るキャビティフィルタ20は、
図1に示された通常のRFコネクタ90を排除することができるため、その連結が容易になり、より低い高さプロファイルを有するアンテナ構造を提供することができる。
【0042】
また、高さ方向の両面にRF連結部を備え、本発明の一実施形態に係るキャビティフィルタ20で連結することで、アンテナボード5もしくはPCBボード8に振動や熱変形が発生してもRF連結が同様に維持されるため、周波数特性の変化がないという利点がある。
【0043】
図3は本発明の一実施形態に係るキャビティフィルタの構造を底側からみた平面透視図であり、
図4は本発明の一実施形態に係るキャビティフィルタの一部構成であるフィルタモジュールと端子部が分離された状態を示した分解斜視図であり、
図5は
図4の分解斜視図であり、
図6は本発明の一実施形態に係るキャビティフィルタの分解斜視図であり、
図7a及び
図7bは
図3の一部断面図であって、PCBボードへの結合前と結合後の状態を示した断面図であり、
図8a及び
図8bは
図7a及び
図7bの変形例である。
【0044】
図3を参照すると、本発明の一実施形態に係るキャビティフィルタ20は、RF信号連結部(
図4以下の図面符号31参照)を含み、内部が中空となっている第1ケース(図面符号不表記)と、第1ケースを覆う第2ケース(図面符号不表記)と、第1ケースの長さ方向の両側にキャビティフィルタ20の高さ方向に備えられた端子部(
図4の図面符号40参照)と、端子部40の両側に備えられた組立孔23を含むフィルタモジュール30と、を含む。端子部40は、第1ケースに備えられた端子挿入口25を貫通して外部部材8、例えば、アンテナボードまたはPCBボード8の電極パッド(図面符号不表記)とRF信号連結部を電気的に連結する。
【0045】
かかる端子部40は、RF信号連結部(不図示)により、図面におけるその下端が支持されており、上側からアンテナボードまたはPCBボード8が密着結合される時に、外部部材8(特に、その一面に備えられた電極パッド)に常時接点されながら、後述のフィルタ本体21の端子挿入口25内に存在する組み立て公差を解消するように弾性支持されることができる。
【0046】
すなわち、本発明に係るキャビティフィルタ20は、端子部40が、後述のように一側端子50と他側端子60に分離されるように備えられており、側面テンションを付加するための形状及び組み立て公差を吸収するための後述のような具体的な実施形態で実現することができる。
【0047】
より詳細に、端子部40は、
図4~
図8bに参照されるように、上側部と下側部に分離される2つの部材(
図6の図面符号50、60参照)で備えられ、この際、2つの部材のうち何れか一方の部材の一部が、他方の部材の一部に挿入される分離型で備えることができる。本発明の一実施形態では、一側端子50の下部に、他側端子60の上端部の一部が挿入されることを採択している。しかし、その反対の構造も採用可能であることはいうまでもない。
【0048】
図面には示されていないが、一般に、端子部40が一体型フィルタで備えられる場合、
組み立て公差を解消するために、組立者により所定の組立力が供給されると端子部40を成す一部が弾性変形する弾性体で備えられる。但し、端子部40が一体に形成された一体型フィルタは、その一端から他端まで電気的流れの断絶が予見されないため、別に側面テンションを付加するための別の形状設計が不要である。
【0049】
これに対し、端子部40が2つの部材に分離される分離型フィルタで備えられる場合、分離された一側端子50と他側端子60が上述の所定の組立力により互いに重なるように移動しながら全長が収縮し、組立力が除去された際に、その全長が伸びて復元されるように、別の弾性部材80A、80Bが備えられることで組み立て公差を解消することができる。但し、端子部40が一側端子50と他側端子60とに分離されるように備えられるため、互いに重なるように移動する時に電気的流れの断絶が発生する恐れがあるため、一側端子50及び他側端子60のうち何れか1つが弾性体で備えられるか、側面テンションを付加するための別の形状変更が必須に求められ得る。
【0050】
ここで、「側面テンション」という用語は、上述のように、一側端子50と他側端子60との間における電気的流れの断絶を防止するために、一側端子50及び他側端子60のうち何れか一方が、他方に向かって長さ方向と異なる方向に伝達する力と定義し得る。
【0051】
一方、アンテナ装置の特性上、上述の端子部40の形状変更を設計する時には、上述の端子挿入口25内でのインピーダンス整合設計を併せて行う必要があるが、本発明に係るキャビティフィルタ20の実施形態の詳細な説明では、端子挿入口25内でのインピーダンスが整合された状態であることを前提として記述する。よって、
図4以下の図に基づいて説明する、本発明に係るキャビティフィルタの実施形態の構成のうち、端子挿入口25内に端子部40とともに挿入される誘電体本体70または補強プレートのような構成の外形は、インピーダンス整合設計によってそれぞれ異なる形状を取ってもよい。
【0052】
本発明の一実施形態に係るキャビティフィルタ20は、
図4~
図8bに参照されるように、一面に電極パッド(図面符号不表記)が備えられた外部部材8から所定距離離隔して備えられたRF信号連結部と、外部部材8の電極パッドとRF信号連結部を電気的に連結させるものであって、所定距離に存在する組み立て公差を解消可能であり、かつ電極パッドと共振素子との電気的流れが断絶されることが防止可能な構造を有する端子部40と、を含む。
【0053】
ここで、外部部材8は、
図2に参照されるように、他面にアンテナ素子が配置されたアンテナボード、または、増幅器(Power Amplifier、PA)、デジタルボード(Digital board)、及びTX Calibrationが一体のワンボード(one-board)で備えられたPCBボードのうち何れか1つを総称する用語である。
【0054】
以下では、
図3のように、本発明に係るキャビティフィルタ20の実施形態を構成する外観構成を第1ケース及び第2ケースに区分せず、端子挿入口25が備えられたフィルタ本体21とまとめて称し、図面符号21で示す。かかるフィルタ本体21は、内部のインピーダンス整合設計に容易な誘電体材質からなることができる(
図7a及び
図7bの図面符号70参照)。好ましくは、テフロン(Teflon)(登録商標)材質からなることができる。
【0055】
フィルタ本体21には、
図4~
図8bに参照されるように、端子挿入口25が中空形態で備えることができる。端子挿入口25の形態は、インピーダンス整合設計に適した形態を有することができる。
【0056】
フィルタ本体21の一面、特に、後述の端子部40のうち一側端子50が備えられた側の一面には、ワッシャ設置部27に溝加工を形成することができる。ワッシャ設置部27は、後述のスターワッシャ90の外側縁部が係止されて上側に離脱することが防止されるように、端子設置孔77よりも大きい内径を有するように溝加工を形成することができる。
【0057】
尚、本発明の第1実施形態に係るキャビティフィルタ20は、ワッシャ設置部27に設置固定されるスターワッシャ90をさらに含むことができる。
【0058】
スターワッシャ90は、リング状からなる固定端91がワッシャ設置部27に固定され、固定端91から、アンテナボードまたはPCBボード8の電極パッド側の中心に向かって上向きに傾斜して形成された多数の支持端92を含むことができる。
【0059】
かかるスターワッシャ90は、組立者が、本発明に係るキャビティフィルタ20の一実施形態をアンテナボードまたはPCBボード8に組み立てる際に、上述の組立孔23を介した不図示の締結部材などによる締結力に対して、多数の支持端92がアンテナボードまたはPCBボード8の一面に支持されながら、弾性力を付加することができる。このような多数の支持端92の弾性力の付加は、本発明に係るキャビティフィルタ20の一実施形態のアンテナボードまたはPCBボード8との間に存在する組み立て公差を解消する役割をする。
【0060】
但し、スターワッシャ90により吸収される組み立て公差は、後述のように、端子挿入口25内に存在するものであって、端子部40により吸収される組み立て公差とは区別される概念である。すなわち、本発明の一実施形態に係るキャビティフィルタは、単一の組み立て過程で、別の部材により、少なくとも2箇所で全体的な組み立て公差が吸収されるように設計されることで、より安定な結合を図ることができる。
【0061】
本発明の一実施形態に係るキャビティフィルタ20において、端子部40は、
図4~
図8bに参照されるように、外部部材8の電極パッドに接点される一側端子50と、RF信号連結部として、プレート状に延びた部位に形成された半田孔32に固定される他側端子60と、を含むことができる。しかし、他側端子60が、必ずしもRF信号連結部に半田により直接結合されなければならないわけではなく、電気的に連結されるさらに他の導電性部材と結合されることも可能である。
【0062】
ここで、一側端子50及び他側端子60のうち何れか一方が他方の内部に挿入され、組み立て時に、それぞれの端部の一部が互いに所定の長さだけ重なる(Overlap)ように配置されることができる。
【0063】
本発明の一実施形態に係るキャビティフィルタ20は、図面(特に、
図7a及び
図7b参照)において一側端子50の下側に他側端子60の上側が挿入される構造を有することができる。そのために、一側端子50の下端部は、他側端子60の上端部が挿入されるように、内部が空いている中空管の形態で備えることができる。
【0064】
かかる一側端子50及び他側端子60から構成された端子部40が端子挿入口25に設置される場合、端子挿入口25内でのインピーダンス整合のために、端子部40の外側を囲むように誘電体材質からなる誘電体本体70を挿入することができる。
【0065】
誘電体本体70は、テフロン(Teflon)(登録商標)材質からなることができる。しかし、誘電体本体70の材質がテフロンに限定されるものではなく、端子挿入口25内でのインピーダンス整合が可能な誘電率を有する材質であれば、如何なるものであっても代替可能である。
【0066】
尚、誘電体本体70は、中央部分が上下に連通した中空の空間からなり、実質的に後述の端子部40が設置される端子設置孔77を形成することができる。
【0067】
誘電体本体70は、端子部40のうち他側端子60と一体に射出成形された下側内部誘電体73と、端子部40のうち一側端子50と一体に射出成形された上側内部誘電体72と、をさらに含むことができる。
【0068】
下側内部誘電体73には、他側端子60と一体に射出成形される時に形成されるものであって、他側端子60が貫通する端子貫通孔73aが形成されることができる。同様に、上側内部誘電体72には、一側端子50と一体に射出成形される時に形成されるものであって、一側端子50が貫通する端子貫通孔72aが形成されることができる。
【0069】
上側内部誘電体72は、一側端子50の外周面の一部を囲みながら支持するように形成されており、下側内部誘電体73は、他側端子60の外周面の一部を囲みながら支持するように形成されることができる。
【0070】
しかし、必ず誘電体72、73が端子部40のうち一側端子50及び他側端子60と一体に射出成形される方式により製作されなければならないわけではない。
【0071】
すなわち、上側内部誘電体72及び下側内部誘電体73は、それぞれ端子貫通孔72a、73aを有するように別に成形されてから、端子設置孔77内に挿入される方式により組み立てられてもよい。
【0072】
ここで、上側内部誘電体72は、端子挿入口25内でインピーダンス整合が行われるように配置され、この際、一側端子50と対応するように固定された下側端子60に対して上下方向に動くことができるように、誘電体本体70から離隔して備えられることが好ましい。また、下側内部誘電体73は、端子設置孔77内でインピーダンス整合が行われるように配置され、この際、他側端子60を容易に固定することができるように、誘電体本体70に接するように備えることができる。
【0073】
上述の誘電体本体70、下側内部誘電体73、及び上側内部誘電体72の組み合わせは、フィルタ本体21の内部における全体的なインピーダンス整合に適するように個別的に設計することができる。
【0074】
一方、誘電体本体70において、端子設置孔77の上側部位には第2弾性部材設置端74を形成することができる。第2弾性部材設置端74は、周辺の端子設置孔77の直径よりも大きいように段差状に形成され、後述の弾性部材80のうち第2弾性部材80Aの縁端部が設置及び支持されるように形成されることができる。以下では、便宜上、一側端子50の下端部が位置する空間を端子設置溝76と定義して説明する。第2弾性部材設置端74が、端子設置溝76よりも小さく段差状に形成された部分を称するものであるすると、反対に端子設置溝76は、第2弾性部材設置端74よりも大きく段差状に形成された部分を称すると定義することができる。
【0075】
第2弾性部材設置端74の底面には、後述の弾性部材80A、80Bのうち、他の実施形態に係る弾性部材80Bの下側支持端85bを接触設置することができる。これについては、後でより詳細に説明する。
【0076】
尚、端子設置溝76の底面より高い位置に該当する端子設置孔77の部位には、直径が
第2弾性部材設置端74の直径よりも大きいように段差状に形成された第1弾性部材設置端78を形成することができる。ここでの第1弾性部材設置端78には、後述の弾性部材80A、80Bのうち一実施形態に係る弾性部材80Aを設置することができる。これについても、後でより詳細に説明する。
【0077】
図9は
図4の構成のうち弾性部材の一実施形態を示した斜視図であり、
図10は
図4の構成のうち弾性部材の他の実施形態を示した斜視図であり、
図10は
図9の構成のうち弾性部材の一実施形態の変形例を示した斜視図であり、
図11は
図4の構成のうち弾性部材の他の実施形態を示した斜視図であり、
図12は
図11の弾性部材が介在された
図3の一部断面図である。
【0078】
本発明の一実施形態に係るキャビティフィルタ20は、
図5~
図12に参照されるように、誘電体本体70に縁の一部が支持され、中空部81a、81bを貫通するように支持される端子部40に組立力が伝達される時に、縁の一部に対して中空部81a、81bが上下方向に変形する動作により、端子部40を弾性支持する弾性部材80A、80Bをさらに含むことができる。
【0079】
ここで、弾性部材80A、80Bは、ベリリウム銅(BeCu)、SUS、及びばね鋼材質のうち何れか1つからなることができる。一般に採用される弾性部材80A、80Bの材質のうちシリコン材質が採用され得るが、シリコン材質は、使用期間が長く経過すると所定の圧縮ひずみにより弾性低下が発生し、これにより、キャビティフィルタの長期信頼性が低下するという問題が指摘される。
【0080】
本発明の一実施形態に係るキャビティフィルタ20では、弾性部材80A、80Bの材質を、一般のシリコン材質ではなく、自体弾性力は低いが、圧縮ひずみの低下がより少なく発生し、かつ長期間使用の可能であることから、長期信頼性の確保のために上述のようにベリリウム銅、SUS、及びばね鋼材質のうち何れか1つからなる。
【0081】
弾性部材80A、80Bは、
図9及び
図10に参照されるように、円盤状からなる中空部81aを有し、第1弾性部材設置端78に支持される多数の外側縁部84aと、端子部40のうち一側端子50が係止される多数の内側縁部85aとを備える第1弾性部材80Aを含むことができる。
【0082】
第1弾性部材80Aは、
図9に参照されるように、外側縁部84aと内側縁部85aが外周面から中空部81aに向かって所定の長さで切開して延びた外側切開部82aと、中空部81aから外周面に向かって所定の長さで切開して延びた内側切開部83aと、により区画可能に備えることができる。
【0083】
したがって、多数の外側縁部84aは、多数の外側切開部82aにより互いに区分され、多数の内側縁部85aは、多数の内側切開部83aにより互いに区分されるとともに、第1弾性部材80Aは、隣接した外側縁部84aと内側縁部85aが互いに連結されたジグザグ状のリング状に形成することができる。
【0084】
このように形成された第1弾性部材80Aに支持された端子部40のうち一側端子50を介して組立力が伝達されると、第2弾性部材設置端74に支持された外側縁部84aを基準として内側縁部85aが下方に弾性変形しつつ、端子部40を弾性支持することになる。
【0085】
すなわち、
図7aに参照されるように、第1弾性部材80Aの外側縁部84a及び内側縁部85aは、組立力などの外力が伝達されていない際には、これらをそれぞれ連結する
連結部分と平行になった状態で端子部40を支持し、
図7bに参照されるように、第1弾性部材80Aに所定の組立力などの外力が伝達された際には、内側縁部85aが端子部40とともに組立力が提供される方向である下方に移動し、外側縁部84aと内側縁部85aを連結する連結部分が内方に下向きに傾斜するように形状が変形されながら、端子部40を弾性支持することになる。
【0086】
しかし、本発明の一実施形態に係るキャビティフィルタ20において、第1弾性部材80Aが
図7a及び
図7b、並びに
図9の形状に限定されてはならない。
【0087】
すなわち、
図8a及び
図8b、並びに
図10に参照されるように、第1弾性部材80Aは、外側縁部84aに該当する部位が、内側縁部85aに対して外向きに所定角度折り曲げられるように形成することができる。外側縁部84aと内側縁部85aの支持面を互いにずれるようにすることで、
図7a及び
図7b、並びに
図9に参照されるような、互いに平行な面を有する場合よりさらに信頼性のある弾性力を付加するためである。
【0088】
但し、第1弾性部材80Aの変形例は、外側縁部84aが内側縁部85aに対して折り曲げられて形成されることであるため、弾性を繰り返して用いる際に、折り曲げ部位のクラック(crack)の発生及び全体寸法の変化が生じないことが求められる。
【0089】
尚、
図8a及び
図8bに参照されるように、第1弾性部材80Aの変形例で実現されるフィルタ本体21を、外部部材8の電極パッドに密着されるようにして所定の組立力を提供すると、折り曲げられて形成された外側縁部84aにより、第1弾性部材設置端74に対する強固な支持力を確保することができる。
【0090】
一方、弾性部材は、
図11に参照されるように、円盤状からなる中空部81bを有し、第2弾性部材設置端74に支持されるように多数の下側支持端85bが備えられた弾性部(図面符号不表記)と、中空部81bを介して貫通する端子部40のうち一側端子50の外周面を囲むように弾性部の下部に延びて形成されたボス部84bと、が備えられた第2弾性部材80Bをさらに含むことができる。
【0091】
第2弾性部材80Bは、
図11に参照されるように、中空部81bの外側に周方向に沿って上下に切開して形成された多数の内側弾性切開部83bと、内側弾性切開部83bの外側に周方向に沿って上下に切開して形成された多数の外側弾性切開部82bと、により弾性変形可能に備えることができる。
【0092】
このように形成された第2弾性部材80Bに支持された端子部40のうち一側端子50を介して組立力が伝達されると、第1弾性部材設置端74に支持された弾性部の縁部位を基準として、中空部81bが位置した内側縁部位が下方に弾性変形されながら、端子部40を弾性支持することになる。
【0093】
かかる弾性部材80A、80Bの弾性支持作用により、端子部40のうち一側端子50の先端である接点部53が外部部材8の電極パッド側に密着されて組み立てられる時に、上述のように、端子挿入口25内に存在する組み立て公差が解消されるように弾性変形された後、一側端子50の接点部53が電極パッドに持続的に接点されるように、端子部40のうち一側端子50に弾性力を提供する役割をする。
【0094】
一方、一側端子50は、アンテナボードまたはPCBボード8に接点される接点部53の接点面積が小さいほど好ましい。したがって、一側端子50の先端である接点部53は、
図4~
図12に参照されるように、上側にいくに従って幅が次第に細くなる円錐状に形成することができる。
【0095】
一側端子50は、その先端である接点部53を介して外部部材8の電極パッドに接触される動作により、組立者による組立力が提供された時に、弾性部材80A、80Bにより、端子挿入口25内で図面において上下方向に移動可能に備えることができる。
【0096】
尚、他側端子60の上端部が挿入される一側端子50の下端部52には、上下方向に長く形成された多数のテンション切開部55が備えることができる。テンション切開部55は、中空管の形態で備えられた一側端子50の下端部52が多数に分割されるように切開を形成することができる。
【0097】
テンション切開部55は、一側端子50の下端部52が、その内部に収容されるように備えられた他側端子60の上端部61の外周側に密着されるようにする動作により、上述の側面テンションを付加する役割をする。ここで、誘電体本体70が、テンション切開部55が形成された一側端子50の外周面を内側に支持するように備えられるため、テンション切開部55により切開された一側端子50の下端部52の内側面が、その内部に収容された他側端子60の上端部61の外周面に常時密着されることになる。
【0098】
このようなテンション切開部55による側面テンションの付加により、2つに分離された端子部40における電気的流れの断絶が発生することを予め防止することができる。
【0099】
一方、端子部40のうち他側端子60の先端は、一側端子50の中空管状の内部に容易に挿入されるように、先端部が尖った形態で備えられ、他側端子60の下端は、上述のRF信号連結部に固定することができる。
【0100】
したがって、他側端子60は、RF信号連結部にその下端が固定された状態で、一側端子50が組立力により下方に移動すると、一側端子50の中空管状で備えられた下端部52の内側にさらに深く挿入されながら、全体的に端子部40の上下長さを伸縮させる動作により、端子挿入口25内に存在する組み立て公差を吸収することができる。
【0101】
一方、一側端子50は、
図7a、
図8a、
図8b、及び
図12に参照されるように、何ら組立力も提供されない場合、接点部53が、スターワッシャ90の構成のうち支持端92よりも高く突出する高さで形成することができる。
【0102】
このような構成からなる本発明の一実施形態に係るキャビティフィルタ20の組み立てによる組み立て公差の吸収過程を、添付の図(特に、
図6及び
図9)を参照して説明すると、次のとおりである。
【0103】
先ず、
図7a~
図8b及び
図10に参照されるように、本発明の一実施形態に係るキャビティフィルタ20を、電極パッドが備えられたアンテナボードまたはPCBボードのような外部部材8の一面に密着させた後、不図示の締結部材が組立孔に締結される動作により、所定の組立力をキャビティフィルタ20に伝達する。しかし、必ずアンテナボードまたはPCBボード8の一面にキャビティフィルタ20を密着させる必要はなく、反対に、所定間隔で整列されているキャビティフィルタ20にアンテナボードまたはPCBボードのような外部部材8の一面が密着されるようにすることで組立力を伝達することも可能である。
【0104】
そうすると、アンテナボードまたはPCBボード8と本発明の一実施形態に係るキャビティフィルタ20との間の距離が減少すると同時に、スターワッシャ90の支持端92が上述の締結力によって形状変形されながら、本発明の一実施形態に係るキャビティフィルタ20とアンテナボードまたはPCBボード8との間に存在する組み立て公差が一次的に
吸収される。
【0105】
これと同時に、端子部40のうち一側端子50は、端子挿入口25内で他側端子60側に所定距離移動されるように、アンテナボードまたはPCBボードのような外部部材8の一面により押さえられながら弾性部材80A、80Bにより弾性支持される動作により、本発明の第1実施形態に係るキャビティフィルタ20の端子挿入口25内に存在する組み立て公差が二次的に吸収される。
【0106】
この際、一側端子50と他側端子60は、一側端子50の下端部に備えられたテンション切開部55により、中空管状の内側に挿入された他側端子60の上端部に対して側面テンションが付加されるため、電気的流れの断絶を防止できる。これにより、本発明の一実施形態に係るキャビティフィルタ20の信号性能の低下を防止できる。
【0107】
以上の説明は、本発明の技術思想を例示的に説明したものに過ぎず、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で多様な修正及び変形が可能であろう。
【0108】
したがって、本発明に開示された実施形態は、本発明の技術思想を限定するためのものではなく、説明するためのものであり、かかる実施形態により本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。本発明の保護範囲は、添付の特許請求の範囲により解釈されるべきであり、それらと同等な範囲内にある全ての技術思想は、本発明の権利範囲に含まれると解釈されるべきであろう。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明の一実施形態は、多数のフィルタを組み立てる時に発生する組み立て公差の累積量を最小化できる組み立て方式、及び実装が容易であり、かつフィルタの周波数特性を均一に維持するRF信号連結構造を有するキャビティフィルタを提供する。
【符号の説明】
【0110】
20 キャビティフィルタ、21 フィルタ本体、25 端子挿入口、27 設置溝、30 フィルタモジュール、31 RF信号連結部、40 端子部、50 一側端子、60 他側端子、70 誘電体本体、72 上側内部誘電体、73 下側内部誘電体、74
第2弾性部材設置端、77 端子設置孔、78 第1弾性部材設置端、80A、80B
弾性部材、81a、81b 中空部、82a 外側切開部、83a 内側切開部、84a 外側縁部、85a 内側縁部。