(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】大型組織外植片、そのための方法および使用
(51)【国際特許分類】
C12N 5/071 20100101AFI20240202BHJP
C12Q 1/02 20060101ALI20240202BHJP
C12M 3/00 20060101ALI20240202BHJP
【FI】
C12N5/071
C12Q1/02
C12M3/00 A
(21)【出願番号】P 2022199297
(22)【出願日】2022-12-14
(62)【分割の表示】P 2019551968の分割
【原出願日】2018-03-23
【審査請求日】2023-01-12
(32)【優先日】2017-03-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596060697
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
(73)【特許権者】
【識別番号】503146324
【氏名又は名称】ザ ブリガム アンド ウィメンズ ホスピタル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】The Brigham and Women’s Hospital, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】カルロ ジョバンニ トラバーソ
(72)【発明者】
【氏名】トーマス クリスティアン ヴォン エーラック
(72)【発明者】
【氏名】ロバート エス. ランガー
(72)【発明者】
【氏名】サラ サクストン
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ミナハン
【審査官】松田 芳子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/123474(WO,A1)
【文献】特開2003-252769(JP,A)
【文献】In Vitro Cell. Dev. Biol.-Animal,2016年,Vol.52, No.9,942-952
【文献】Cell Biol. Toxicol.,2011年,vol.27, no.4,p.267-284
【文献】PLOS ONE,2016年,Vol.11, No.5, e0155335
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 5/00
C12Q 1/02
C12M 3/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、第1のプレートと、
(ii)前記第1のプレートの前記複数のマイクロウェルとマッチする複数のマイクロウェルを備える、第2のプレートと、
(iii)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管から単離された組織外植片であって、前記第1のプレートと前記第2のプレートとの間に配置される、組織外植片と、
を含み、
前記組織外植片が、極性を有する上皮細胞を含み、前記組織外植片が、前記第1のプレートの1より多くのマイクロウェルおよび前記第2のプレートの1より多くのマイクロウェルと平面接触にあり、それによって、前記組織外植片の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、前記第1のプレートおよび前記第2のプレートが、前記組織外植片に圧力を適用して、ウェル間での漏出を最小限にする、in vitro細胞構成物。
【請求項2】
前記組織外植片が、小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛を含む、請求項1に記載の構成物。
【請求項3】
(i)前記組織外植片が、前記胃腸管の回腸に由来する、または
(ii)前記組織外植片が、前記胃腸管の空腸に由来する、または
(iii)前記組織外植片が、前記胃腸管の胃、十二指腸、食道、頬側、舌部、または結腸に由来する、
請求項1または2に記載の構成物。
【請求項4】
前記組織外植片が、ブタ胃腸管に由来する、請求項1~3のいずれか1項に記載の構成物。
【請求項5】
前記組織外植片が、完全にインタクトな細胞外マトリクスを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の構成物。
【請求項6】
前記完全にインタクトな細胞外マトリクスが、粘膜固有層を含む、請求項5に記載の構成物。
【請求項7】
前記完全にインタクトな細胞外マトリクスが、筋板を含む、請求項5または6に記載の構成物。
【請求項8】
(i)前記組織外植片が、培養物中で粘液層を形成する、
(ii)前記組織外植片が、24時間、2日間、3日間、1週間、2週間、3週間、4週間、またはそれよりも長い間、培養物中で維持される、および/または
(iii)前記組織外植片が、培養物中で維持するために、外因性増殖因子を必要としない、請求項1~7のいずれか1項に記載の構成物。
【請求項9】
前記外因性増殖因子が、Wnt3aである、請求項8に記載の構成物。
【請求項10】
(i)前記組織外植片が、腸エンテロサイトを含む、
(ii)前記組織外植片が、タイトジャンクションを含む、
(iii)前記組織外植片が、ムチン分泌性杯細胞を含む、
(iv)前記組織外植片が、腸幹細胞を含む、
(v)前記組織外植片が、腸内分泌細胞を含む、
(vi)前記組織外植片が、少なくとも1つの薬物トランスポーターを含む、
(vii)前記組織外植片が、少なくとも1つの代謝酵素を含む、
(viii)前記組織外植片が、小襞細胞を含む、
(ix)前記組織外植片が、粘液物質を含む、
(x)前記組織外植片が、神経系細胞を含む、
(xi)前記組織外植片が、インタクトな陰窩を含む、および/または
(xii)前記組織外植片が、チオレドキシン還元酵素活性を含む、
請求項1~9のいずれか1項に記載の構成物。
【請求項11】
前記腸エンテロサイトが、ビリン、e-カドヘリン、ケラチン20、および/または脂肪酸結合タンパク質1(FABP1)の存在によって特定される、請求項10に記載の構成物。
【請求項12】
ムチン分泌性杯細胞が、ムチン2(Muc2)および/または尾部型ホメオボックス2(CDX2)の存在によって特定される、請求項10に記載の構成物。
【請求項13】
腸幹細胞が、ロイシンリッチ反復配列含有Gタンパク質共役型受容体5(LGR5)および/またはオルファクトメジン4(OLFM4)の存在によって特定される、請求項10に記載の構成物。
【請求項14】
腸内分泌細胞が、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の存在によって特定され、請求項10に記載の構成物。
【請求項15】
腸内分泌細胞が、L細胞である、請求項14に記載の構成物。
【請求項16】
前記薬物トランスポーターが、MDR-1である、請求項10に記載の構成物。
【請求項17】
前記代謝酵素が、CYP3A4である、請求項10に記載の構成物。
【請求項18】
小襞細胞が、ビメンチンの存在によって特定される、請求項10に記載の構成物。
【請求項19】
前記粘液物質が、糖タンパク質、糖脂質、またはムチンである、請求項10に記載の構成物。
【請求項20】
神経系細胞が、ネスチンの存在によって特定される、請求項10に記載の構成物。
【請求項21】
チオレドキシン還元酵素活性が、少なくとも7日間維持される、請求項10に記載の構成物。
【請求項22】
前記組織外植片が、それが由来する前記胃腸管のin vivo構成を模倣する、請求項1~21のいずれか1項に記載の構成物。
【請求項23】
前記組織外植片が、一定レベルの分泌Wnt3aを維持する、請求項1~22のいずれか1項に記載の構成物。
【請求項24】
前記分泌Wnt3aのレベルが、ウエスタンブロット分析によって決定される、請求項23に記載の構成物。
【請求項25】
前記組織外植片が、GLP-1またはMuc-2を産生する、ならびに/あるいは、グルコースおよび/または毒素に対して応答性である、請求項1~24のいずれか1項に記載の構成物。
【請求項26】
(i)前記毒素が、胃腸毒性を有する物質または細胞毒性を有する物質である、
(ii)前記毒素が、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)である、または
(iii)前記毒素が、ドキシサイクリンである、
請求項25に記載の構成物。
【請求項27】
前記NSAIDが、ナプロキセンである、請求項26に記載の構成物。
【請求項28】
前記第1のプレートおよび前記第2のプレートが、6個、12個、24個、48個、96個、384個、または1536個のマイクロウェルを備える、請求項1~27のいずれか1項に記載の構成物。
【請求項29】
前記第1のプレートのそれぞれのマイクロウェルおよび前記第2のプレートのそれぞれのマイクロウェルが、前記組織外植片によって完全に被覆される、請求項1~28のいずれか1項に記載の構成物。
【請求項30】
前記第1のプレートおよび前記第2のプレートが、外因性の細胞外マトリクスを含まない、請求項1~29のいずれか1項に記載の構成物。
【請求項31】
高スループットの薬物吸収スクリーニングアッセイにおいて使用するための細胞培養システムであって、請求項1に記載の構成物を備え、それによって、前記組織外植片を通じた薬物の吸収の測定が可能となる、細胞培養システム。
【請求項32】
請求項1に記載の構成物を含む、高スループットのシステム。
【請求項33】
胃腸組織外植片を通じた試験化合物の吸収を決定するための方法であって、
(a)請求項1に記載のin vitro細胞構成物を提供するステップと、
(b)前記組織外植片を、試験化合物と接触させるステップと、
(c)前記管腔側表面および前記基底膜側表面における前記試験化合物の存在を検出することによって、吸収を決定するステップであって、前記基底膜側表面における前記試験化合物の存在が、前記組織外植片を通じて吸収される前記化合物の能力を示す、ステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、2017年3月24日に出願された米国仮出願第62/476,181号および2017年9月19日に出願された米国仮出願第62/560,485号の利益を主張する。上記で参照された出願の全内容は、この参照によって本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
哺乳動物の器官は、実験的操作および光学観察に利用することが相当に難しいため、研究が困難である。遺伝的および微小環境的な因子を独立して操作する能力と併せて、近年の3次元(3D)培養技法の進化により、哺乳動物組織のリアルタイムでの研究が可能となってきた。
【0003】
しかしながら、これらのシステムは、組織の構成および機能を完全に再現することはできない。さらに、これらの培養物は、一般に、高スループットのシステムと適合性がない。したがって、組織のin vivo構成および機能を模倣することができ、高スループットの実験的検査に供することができるシステムに対する必要性が残る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、部分的に、胃腸管に由来する組織外植片を、少なくとも、薬物吸収、薬物溶解、薬物に誘導される胃腸毒性、および内分泌系の調整のための高スループットのスクリーニングアッセイにおいて使用することができるという発見に基づく。たとえば、ブタの小腸の切開を、高スループットのシステムにおける利用のために操作することができ、ここで、薬物の吸収は、灌流によって測定することができる。
【0005】
したがって、一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物(in vitro cellular composition)であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材(substrate)と、
(ii)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含む、組織外植片であって、腸上皮が、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面(basolateral surface)が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持される、in vitro細胞構成物に関する。
【0006】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)ヒト胃腸管に由来する腸上皮を含む、組織外植片であって、腸上皮が、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持される、in vitro細胞構成物に関する。
【0007】
本開示の一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、小腸上皮、輪走筋層(circular muscular layer)、および腸絨毛を含む。本開示のさらなる態様では、本明細書に記載される組織外植片は、胃腸管の回腸に由来する。本開示の他の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、胃腸管の空腸に由来する。本開示のさらなる態様では、本明細書に記載される組織外植片は、胃腸管の胃、十二指腸、食道、頬側、舌部、または結腸に由来する。
【0008】
本開示の一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、完全にインタクトな細胞外マトリクスを含む。本開示のさらなる態様では、完全にインタクトな細胞外マトリクスは、粘膜固有層を含む。本開示のなおもさらなる態様では、完全にインタクトな細胞外マトリクスは、筋板を含む。
【0009】
本開示の別の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、ブタ胃腸管に由来する。本開示のさらなる態様では、本明細書に記載される組織外植片は、培養物中で粘液層を形成する。本開示のなおもさらなる態様では、本明細書に記載される組織外植片は、少なくとも24時間、2日間、3日間、1週間、2週間、3週間、4週間、またはそれよりも長い間、培養物中で維持される。
【0010】
本開示の一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、培養物中で維持するために、外因性増殖因子を必要としない。本開示のさらなる態様では、外因性増殖因子は、Wnt3aである。
【0011】
本開示のさらなる態様では、本明細書に記載される組織外植片は、哺乳動物を失血させた後に、得られる。
【0012】
本開示の一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、腸エンテロサイトを含む。本開示のさらなる態様では、腸エンテロサイトは、ビリン、e-カドヘリン、ケラチン20、および/または脂肪酸結合タンパク質1(FABP1)の存在によって特定される。本開示の一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、タイトジャンクションを含む。一部の態様では、タイトジャンクションは、クローディン-1の存在によって特定される。
【0013】
本開示のさらなる態様では、本明細書に記載される組織外植片は、ムチン分泌性杯細胞を含む。本開示の一部の態様では、ムチン分泌性杯細胞は、ムチン2(Muc2)および/または尾部型ホメオボックス2(CDX2)の存在によって特定される。
【0014】
本開示の他の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、腸幹細胞を含む。本開示の一部の態様では、腸幹細胞は、ロイシンリッチ反復配列含有Gタンパク質共役型受容体5(LGR5)および/またはオルファクトメジン4(OLFM4)の存在によって特定される。
【0015】
本開示のさらなる態様では、本明細書に記載される組織外植片は、腸内分泌細胞を含む。一部の実施形態では、腸内分泌細胞は、神経内分泌細胞(L-細胞)である。本開示の一部の態様では、腸内分泌細胞は、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の存在によって特定される。
【0016】
本開示の一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、少なくとも1つの薬物トランスポーターを含む。本開示のさらなる態様では、薬物トランスポーターは、MDR-1である。一部の態様では、薬物トランスポーターは、MDR-1、ABCC3、MRP-2、PEPT-1、BCRP、OCT-1、OST-α、およびMCT-1からなる群より選択される。
【0017】
本開示のなおもさらなる態様では、本明細書に記載される組織外植片は、少なくとも1つの代謝酵素を含む。本開示の一部の態様では、代謝酵素は、CYP3A4である。
【0018】
本開示の一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、小襞細胞を含む。本開示のさらなる態様では、小襞細胞は、ビメンチンの存在によって特定される。
【0019】
本開示の一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、粘液物質(mucosubstance)を含む。本開示のさらなる態様では、粘液物質は、糖タンパク質、糖脂質、またはムチンである。
【0020】
本開示のさらなる態様では、本明細書に記載される組織外植片は、神経系細胞(neural cell)を含む。本開示の一部の態様では、神経系細胞は、ネスチンの存在によって特定される。
【0021】
本開示のなおもさらなる態様では、本明細書に記載される組織外植片は、それが由来する胃腸管のin vivo構成を模倣する。本開示の一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、一定レベルの分泌Wnt3aを維持する。本開示のさらなる態様では、分泌Wnt3aのレベルは、ウエスタンブロット分析によって決定される。
【0022】
本開示の一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、インタクトな陰窩を含む。本開示のさらなる態様では、本明細書に記載される組織外植片は、チオレドキシン還元酵素活性を含む。本開示のなおもさらなる態様では、チオレドキシン還元酵素活性は、少なくとも7日間維持される。本開示の一部の態様では、組織外植片は、シトクロムP450 3A4(CYP3A4)活性を含む。本開示のなおもさらなる態様では、CYP3A4活性は、少なくとも7日間維持される。本開示の一部の態様では、組織外植片は、ウリジン5’-ジホスホグルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)活性を含む。
【0023】
本開示のさらなる態様では、本明細書に記載される組織外植片は、少なくとも3週齢の大型の非ヒト哺乳動物に由来する。本開示の一部の態様では、大型の非ヒト哺乳動物は、3週齢~12週齢である。
【0024】
本開示の一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、GLP-1またはMuc-2を産生する。本開示の一部の態様では、組織外植片は、GLP-1を産生する。本開示のさらなる態様では、本明細書に記載される組織外植片は、グルコースに対して応答性である。
【0025】
本開示のなおもさらなる態様では、本明細書に記載される組織外植片は、毒素に対して応答性である。一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、毒素への曝露から回復する。本開示の一部の態様では、毒素は、胃腸毒性を有する物質または細胞毒性を有する物質である。本開示のさらなる態様では、毒素は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)である。本開示のなおもさらなる態様では、NSAIDは、ナプロキセンである。本開示の一部の態様では、毒素は、ドキシサイクリンである。本開示の一部の態様では、毒素は、抗生物質、NSAID、ビスホスホネート、気管支拡張剤、抗ウイルス剤、血管拡張剤、利尿剤、およびプロトンポンプ阻害剤からなる群より選択される。一部の態様では、毒素は、抗生物質であり、ここで、抗生物質は、セフポドキシムまたはドキシサイクリンである。一部の態様では、毒素は、NSAIDであり、ここで、NSAIDは、メロキシカム、メサラミン、ナプロキセン、およびインドメタシンからなる群より選択される。一部の態様では、毒素は、ビスホスホネートであり、ここで、ビスホスホネートは、エチドロネートである。一部の態様では、毒素は、気管支拡張剤であり、ここで、気管支拡張剤は、テオフィリンである。一部の態様では、毒素は、抗ウイルス剤であり、ここで、抗ウイルス剤は、テノフォビル(enofovir)またはオセルタミビルである。一部の態様では、毒素は、血管拡張剤であり、ここで、血管拡張剤は、タダラフィルである。一部の態様では、毒素は、利尿剤であり、ここで、利尿剤は、アミロライドである。一部の態様では、毒素は、プロトンポンプ阻害剤であり、ここで、プロトンポンプ阻害剤は、オメプラゾールである。
【0026】
一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛とを含む。
【0027】
一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛と、(c)完全にインタクトな細胞外マトリクスとを含む。
【0028】
一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛と、(c)粘膜固有層を含む完全にインタクトな細胞外マトリクスとを含む。
【0029】
一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛と、(c)筋板を含む完全にインタクトな細胞外マトリクスとを含む。
【0030】
一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛と、(c)粘膜固有層および筋板を含む完全にインタクトな細胞外マトリクスとを含む。
【0031】
一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛と、(c)完全にインタクトな細胞外マトリクスとを含み、ここで、組織外植片は、培養物中で粘液層を形成する。
【0032】
一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛と、(c)完全にインタクトな細胞外マトリクスとを含み、ここで、組織外植片は、24時間、2日間、3日間、1週間、2週間、3週間、4週間、またはそれよりも長い間、培養物中で維持される。
【0033】
一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛と、(c)完全にインタクトな細胞外マトリクスとを含み、ここで、組織外植片は、24時間、2日間、3日間、1週間、2週間、3週間、4週間、またはそれよりも長い間、培養物中で維持され、組織外植片は、培養物中で粘液層を形成する。
【0034】
一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛と、(c)完全にインタクトな細胞外マトリクスとを含み、ここで、組織外植片は、24時間、2日間、3日間、1週間、2週間、3週間、4週間、またはそれよりも長い間、培養物中で維持され、組織外植片は、培養物中で維持するために外因性増殖因子を必要としない。
【0035】
一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛と、(c)完全にインタクトな細胞外マトリクスとを含み、ここで、組織外植片は、それの由来となった胃腸管のin vivo構成を模倣する。
【0036】
一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛と、(c)完全にインタクトな細胞外マトリクスと、(d)インタクトな陰窩とを含む。
【0037】
一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛と、(c)完全にインタクトな細胞外マトリクスと、(d)インタクトな陰窩とを含み、ここで、組織外植片は、それの由来となった胃腸管のin vivo構成を模倣する。
【0038】
一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛と、(c)完全にインタクトな細胞外マトリクスとを含み、ここで、組織外植片は、グルコースに対して応答性である。
【0039】
一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛と、(c)完全にインタクトな細胞外マトリクスとを含み、ここで、組織外植片は、毒素に対して応答性である。
【0040】
本開示の一部の態様では、本明細書に記載される基材は、6個、12個、24個、48個、96個、384個、または1536個のマイクロウェルを備える。本開示のさらなる態様では、それぞれのマイクロウェルは、組織外植片によって完全に被覆される。本開示の一部の態様では、基材は、外因性細胞外マトリクスを含まない。本開示のなおもさらなる態様では、組織外植片の血液含量は、最小限に抑えられている。
【0041】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛とを含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持される、in vitro細胞構成物に関する。
【0042】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)完全にインタクトな細胞外マトリクスとを含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持される、in vitro細胞構成物に関する。
【0043】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)粘膜固有層を含む完全にインタクトな細胞外マトリクスとを含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持される、in vitro細胞構成物に関する。
【0044】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)筋板を含む完全にインタクトな細胞外マトリクスとを含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持される、in vitro細胞構成物に関する。
【0045】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)粘膜固有層および筋板を含む完全にインタクトな細胞外マトリクスとを含む、組織外植片と、を含み、組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持される、in vitro細胞構成物に関する。
【0046】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛と、(c)完全にインタクトな細胞外マトリクスとを含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持される、in vitro細胞構成物に関する。
【0047】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛と、(c)粘膜固有層を含む完全にインタクトな細胞外マトリクスとを含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持される、in vitro細胞構成物に関する。
【0048】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛と、(c)筋板を含む完全にインタクトな細胞外マトリクスとを含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持される、in vitro細胞構成物に関する。
【0049】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛と、(c)粘膜固有層および筋板を含む完全にインタクトな細胞外マトリクスとを含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持される、in vitro細胞構成物に関する。
【0050】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含む、組織外植片であって、腸上皮が、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持され、組織外植片が、培養物中に維持するために、外因性増殖因子を必要としない、in vitro細胞構成物に関する。
【0051】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛とを含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持され、組織外植片が、培養物中に維持するために、外因性増殖因子を必要としない、in vitro細胞構成物に関する。
【0052】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)完全にインタクトな細胞外マトリクスとを含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持され、組織外植片が、培養物中に維持するために、外因性増殖因子を必要としない、in vitro細胞構成物に関する。
【0053】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)粘膜固有層を含む完全にインタクトな細胞外マトリクスとを含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持され、組織外植片が、培養物中に維持するために、外因性増殖因子を必要としない、in vitro細胞構成物に関する。
【0054】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)筋板を含む完全にインタクトな細胞外マトリクスとを含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持され、組織外植片が、培養物中に維持するために、外因性増殖因子を必要としない、in vitro細胞構成物に関する。
【0055】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)粘膜固有層および筋板を含む完全にインタクトな細胞外マトリクスとを含む、組織外植片と、を含み、組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持され、組織外植片が、培養物中に維持するために、外因性増殖因子を必要としない、in vitro細胞構成物に関する。
【0056】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛と、(c)完全にインタクトな細胞外マトリクスとを含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持され、組織外植片が、培養物中に維持するために、外因性増殖因子を必要としない、in vitro細胞構成物に関する。
【0057】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛と、(c)粘膜固有層を含む完全にインタクトな細胞外マトリクスとを含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持され、組織外植片が、培養物中に維持するために、外因性増殖因子を必要としない、in vitro細胞構成物に関する。
【0058】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛と、(c)筋板を含む完全にインタクトな細胞外マトリクスとを含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持され、組織外植片が、培養物中に維持するために、外因性増殖因子を必要としない、in vitro細胞構成物に関する。
【0059】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛と、(c)粘膜固有層および筋板を含む完全にインタクトな細胞外マトリクスとを含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持され、組織外植片が、培養物中に維持するために、外因性増殖因子を必要としない、in vitro細胞構成物に関する。
【0060】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛と、(c)少なくとも1つの薬物トランスポーターとを含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持される、in vitro細胞構成物に関する。
【0061】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)完全にインタクトな細胞外マトリクスと、(c)少なくとも1つの薬物トランスポーターとを含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持される、in vitro細胞構成物に関する。
【0062】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)粘膜固有層を含む完全にインタクトな細胞外マトリクスと、(c)少なくとも1つの薬物トランスポーターとを含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持される、in vitro細胞構成物に関する。
【0063】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)筋板を含む完全にインタクトな細胞外マトリクスと、(c)少なくとも1つの薬物トランスポーターとを含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持される、in vitro細胞構成物に関する。
【0064】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)粘膜固有層および筋板を含む完全にインタクトな細胞外マトリクスと、(c)少なくとも1つの薬物トランスポーターとを含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持される、in vitro細胞構成物に関する。
【0065】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛と、(c)完全にインタクトな細胞外マトリクスと、(d)少なくとも1つの薬物トランスポーターとを含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持される、in vitro細胞構成物に関する。
【0066】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛と、(c)粘膜固有層を含む完全にインタクトな細胞外マトリクスと、(d)少なくとも1つの薬物トランスポーターとを含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持される、in vitro細胞構成物に関する。
【0067】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛と、(c)筋板を含む完全にインタクトな細胞外マトリクスと、(d)少なくとも1つの薬物トランスポーターとを含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持される、in vitro細胞構成物に関する。
【0068】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛と、(c)粘膜固有層および筋板を含む完全にインタクトな細胞外マトリクスと、(d)少なくとも1つの薬物トランスポーターとを含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持される、in vitro細胞構成物に関する。
【0069】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)少なくとも1つの薬物トランスポーターとを含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持され、組織外植片が、培養物中に維持するために、外因性増殖因子を必要としない、in vitro細胞構成物に関する。
【0070】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛と、(c)少なくとも1つの薬物トランスポーターとを含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持され、組織外植片が、培養物中に維持するために、外因性増殖因子を必要としない、in vitro細胞構成物に関する。
【0071】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)完全にインタクトな細胞外マトリクスと、(c)少なくとも1つの薬物トランスポーターとを含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持され、組織外植片が、培養物中に維持するために、外因性増殖因子を必要としない、in vitro細胞構成物に関する。
【0072】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)粘膜固有層を含む完全にインタクトな細胞外マトリクスと、(c)少なくとも1つの薬物トランスポーターとを含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持され、組織外植片が、培養物中に維持するために、外因性増殖因子を必要としない、in vitro細胞構成物に関する。
【0073】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)筋板を含む完全にインタクトな細胞外マトリクスと、(c)少なくとも1つの薬物トランスポーターとを含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持され、組織外植片が、培養物中に維持するために、外因性増殖因子を必要としない、in vitro細胞構成物に関する。
【0074】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)粘膜固有層および筋板を含む完全にインタクトな細胞外マトリクスと、(c)少なくとも1つの薬物トランスポーターとを含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持され、組織外植片が、培養物中に維持するために、外因性増殖因子を必要としない、in vitro細胞構成物に関する。
【0075】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛と、(c)完全にインタクトな細胞外マトリクスと、(d)少なくとも1つの薬物トランスポーターとを含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持され、組織外植片が、培養物中に維持するために、外因性増殖因子を必要としない、in vitro細胞構成物に関する。
【0076】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛と、(c)粘膜固有層を含む完全にインタクトな細胞外マトリクスと、(d)少なくとも1つの薬物トランスポーターとを含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持され、組織外植片が、培養物中に維持するために、外因性増殖因子を必要としない、in vitro細胞構成物に関する。
【0077】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛と、(c)筋板を含む完全にインタクトな細胞外マトリクスと、(d)少なくとも1つの薬物トランスポーターとを含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持され、組織外植片が、培養物中に維持するために、外因性増殖因子を必要としない、in vitro細胞構成物に関する。
【0078】
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)組織外植片であって、(a)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮であって、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、腸上皮と、(b)小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛と、(c)粘膜固有層および筋板を含む完全にインタクトな細胞外マトリクスと、(d)少なくとも1つの薬物トランスポーターとを含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、in vitro細胞構成物において維持され、組織外植片が、培養物中に維持するために、外因性増殖因子を必要としない、in vitro細胞構成物に関する。
【0079】
本開示はまた、高スループットの薬物吸収スクリーニングアッセイにおいて使用するための細胞培養システムであって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含む、組織外植片であって、腸上皮が、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、組織外植片と、を含み、
組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、細胞培養システムにおいて維持され、
それによって、組織外植片を通じた薬物の吸収の測定が可能となる、細胞培養システムを提供する。本開示の一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、ヒト胃腸管に由来する腸上皮を含む。
【0080】
他の態様では、本開示は、高スループットのシステムであって、(i)複数のマイクロウェルを備える基材と、(ii)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含む、組織外植片であって、腸上皮が、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、組織外植片と、を含み、組織外植片が、基材と平面接触にあり、それによって、管腔側表面および基底膜側表面が提供され、上皮細胞の極性が、システムにおいて維持される、高スループットのシステムを提供する。本開示の一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、ヒト胃腸管に由来する腸上皮を含む。
【0081】
本開示はまた、胃腸組織外植片を通じた試験化合物の吸収を決定するための方法であって、
(a)組織外植片を、試験化合物と接触させるステップであって、組織外植片が、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含み、腸上皮が、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、上皮細胞の極性が、組織外植片において維持される、ステップと、
(b)管腔側表面および基底膜側表面における試験化合物の存在を検出することによって、吸収を決定するステップであって、基底膜側表面における試験化合物の存在が、組織外植片を通じて吸収される化合物の能力を示す、ステップと、を含む、方法を提供する。一部の態様では、試験化合物の存在を検出することは、管腔側表面および基底膜側表面における化合物の濃度を決定することを含む。本開示の一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、ヒト胃腸管に由来する腸上皮を含む。
【0082】
一部の態様では、組織外植片を通じた吸収は、in vivoで測定される吸収と比較した場合、Caco-2細胞を使用して決定される吸収のピアソン相関値と比べて、高いピアソン相関値を有する。一部の態様では、高いピアソン相関値は、少なくとも0.70、少なくとも0.75、少なくとも0.80、少なくとも0.85、または少なくとも0.90である。一部の態様では、組織外植片を通じた吸収は、Caco-2細胞を使用して決定される吸収と比べて、低い変動係数(CV)を有する。
【0083】
なおもさらなる態様では、本開示は、胃腸組織外植片における試験化合物の濃度を決定するための方法であって、
(a)組織外植片を、目的の化合物と接触させるステップであって、組織外植片が、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含み、腸上皮が、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、上皮細胞の極性が、組織外植片において維持される、ステップと、
(b)組織外植片内の化合物の存在を検出するステップと、を含む、方法を提供する。一部の態様では、化合物の濃度を決定することは、ハイコンテンツ共焦点分析を含む。本開示の一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、ヒト胃腸管に由来する腸上皮を含む。
【0084】
さらなる態様では、本開示は、胃腸組織外植片を通じた試験化合物の経口バイオアベイラビリティを決定するための方法であって、
(a)組織外植片を、目的の化合物と接触させるステップであって、組織外植片が、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含み、腸上皮が、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、上皮細胞の極性が、組織外植片において維持される、ステップと、
(b)管腔側表面および基底膜側表面における化合物の存在を検出するステップであって、基底膜側表面における化合物の存在が、化合物の経口バイオアベイラビリティを示す、ステップと、を含む、方法を提供する。本開示の一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、ヒト胃腸管に由来する腸上皮を含む。
【0085】
一部の態様では、本開示は、ヒト胃腸管を通じた試験化合物の吸収を予測するための方法であって、
(a)組織外植片を、目的の化合物と接触させるステップであって、組織外植片が、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含み、腸上皮が、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、上皮細胞の極性が、組織外植片において維持される、ステップと、
(b)管腔側表面および基底膜側表面における化合物の存在を検出することによって、吸収を予測するステップであって、基底膜側表面における化合物の存在が、ヒト胃腸管を通じて吸収される化合物の能力を示す、ステップと、を含む、方法を提供する。本開示の一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、ヒト胃腸管に由来する腸上皮を含む。
【0086】
なおもさらなる態様では、本開示は、組織外植片における試験化合物の吸収に対する、薬物-食物の相互作用の影響を決定するための方法であって、
(a)組織外植片を、目的の化合物と接触させるステップであって、組織外植片が、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含み、腸上皮が、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、上皮細胞の極性が、組織外植片において維持される、ステップと、
(b)組織外植片を、消化された食物と接触させるステップと、
(c)管腔側表面および基底膜側表面における化合物の存在を検出することによって、吸収を決定するステップであって、基底膜側表面における化合物の存在が、組織外植片を通じて吸収される化合物の能力を示す、ステップと、を含む、方法を提供する。本開示の一部の態様では、本方法は、組織外植片を、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する天然の腸媒質(intestinal medium)と接触させることをさらに含む。本開示の一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、ヒト胃腸管に由来する腸上皮を含む。本開示のさらなる態様では、組織外植片を目的の化合物と接触させる前に、目的の化合物が、天然の腸媒質に可溶化される。本開示の一部の態様では、組織外植片を、消化された食物および目的の化合物と接触させることが、同時である。本開示の他の態様では、本方法は、消化された食物の存在下または不在下において、目的の化合物の吸収の差を決定することをさらに含む。
【0087】
一部の態様では、本開示は、胃腸組織外植片を通じた試験化合物の吸収の時間経過分析のための方法であって、
(a)組織外植片を、目的の化合物と接触させるステップであって、組織外植片が、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含み、腸上皮が、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、上皮細胞の極性が、組織外植片において維持される、ステップと、
(b)吸収を、ある期間にわたって決定するステップであって、異なる時点において、管腔側表面および基底膜側表面における化合物の存在を検出することを含み、基底膜側表面における化合物の存在が、組織外植片を通じて吸収される化合物の能力を示す、ステップと、を含む、方法を提供する。本開示の一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、ヒト胃腸管に由来する腸上皮を含む。
【0088】
さらなる態様では、本開示は、組織外植片を通じた試験化合物の灌流速度を決定するための方法であって、
(a)組織外植片を、目的の化合物と接触させるステップであって、組織外植片が、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含み、腸上皮が、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、上皮細胞の極性が、組織外植片において維持される、ステップと、
(b)灌流を、ある期間にわたって決定するステップであって、異なる時点において、管腔側表面および基底膜側表面における化合物の存在を検出することを含み、基底膜側表面における化合物の存在が、組織外植片を通じて灌流される化合物の能力を示す、ステップと、を含む、方法を提供する。本開示の一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、ヒト胃腸管に由来する腸上皮を含む。
【0089】
さらなる態様では、本開示は、胃腸組織外植片に対する試験化合物の影響を決定するための方法であって、
(a)組織外植片に、第1のアッセイを行うステップであって、組織外植片が、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含み、腸上皮が、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、上皮細胞の極性が、組織外植片において維持される、ステップと、
(b)組織外植片を、目的の化合物と接触させるステップと、
(c)組織外植片に、第2のアッセイを行うステップと、
(d)第1のアッセイおよび第2のアッセイの結果を比較し、それによって化合物の影響を決定するステップと、を含む方法を提供する。本開示の一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、ヒト胃腸管に由来する腸上皮を含む。本開示の一部の態様では、第1および第2のアッセイにより、胃腸管の細胞毒性に対する化合物の影響を測定する。本開示のさらなる態様では、第1および第2のアッセイにより、胃腸管の代謝に対する化合物の影響を測定する。
【0090】
一部の態様では、本開示は、組織外植片を通じた試験化合物の吸収に対する薬物トランスポーターの影響を決定するための方法であって、
(a)組織外植片における薬物トランスポーターの発現を修飾するステップであって、組織外植片が、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含み、腸上皮が、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、上皮細胞の極性が、組織外植片において維持される、ステップと、
(b)組織外植片を、目的の化合物と接触させるステップと、
(c)管腔側表面および基底膜側表面における化合物の存在を検出することによって、吸収を決定するステップであって、基底膜側表面における化合物の存在が、組織外植片を通じて吸収される化合物の能力を示す、ステップと、
(d)修飾された薬物トランスポーターありまたはなしの組織外植片の間で吸収を比較し、それによって、化合物の吸収に対する薬物トランスポーターの影響を決定するステップと、を含む、方法を提供する。本開示の一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、ヒト胃腸管に由来する腸上皮を含む。
【0091】
なおもさらなる態様では、本開示は、ヒト胃腸管を通じた化合物の吸収に対する、代謝酵素の影響を決定するための方法であって、
(a)組織外植片における代謝酵素の発現を修飾するステップであって、組織外植片が、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含み、腸上皮が、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、上皮細胞の極性が、組織外植片において維持される、ステップと、
(b)組織外植片を、目的の化合物と接触させるステップと、
(c)管腔側表面および基底膜側表面における化合物の存在を検出することによって、吸収を決定するステップであって、基底膜側表面における化合物の存在が、組織外植片を通じて吸収される化合物の能力を示す、ステップと、
(d)修飾された代謝酵素ありまたはなしの組織外植片の間で吸収を比較し、それによって、化合物の吸収に対する薬物トランスポーターの影響を決定するステップと、を含む、方法を提供する。本開示の一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、ヒト胃腸管に由来する腸上皮を含む。
【0092】
本開示の一部の態様では、発現を修飾することは、遺伝子修飾を含む。本開示のさらなる態様では、遺伝子修飾は、siRNAノックダウンを含む。
【0093】
さらなる態様では、本開示は、高スループットの薬物スクリーニングのための方法であって、組織外植片を、化合物ライブラリーと接触させるステップであって、組織外植片が、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含み、腸上皮が、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、上皮細胞の極性が、組織外植片において維持される、ステップと、組織外植片に対する化合物ライブラリーの影響を決定するステップと、を含む、方法を提供する。本開示の一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、ヒト胃腸管に由来する腸上皮を含む。
【0094】
一部の態様では、本開示は、薬物製剤の吸収を分析するための高スループットの方法であって、
(a)組織外植片を、目的の化合物および賦形剤を含む製剤ライブラリーと接触させるステップであって、組織外植片が、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含み、腸上皮が、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、上皮細胞の極性が、組織外植片において維持される、ステップと、
(b)管腔側表面および基底膜側表面における化合物の存在を検出することによって、組織外植片を通じた目的の化合物の吸収を測定するステップであって、基底膜側表面における化合物の存在が、組織外植片を通じて吸収される化合物の能力を示す、ステップと、
(c)それぞれの製剤で、目的の化合物の吸収を比較し、それによって薬物吸収のための製剤を特定するステップとを含む、方法を提供する。本開示の一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、ヒト胃腸管に由来する腸上皮を含む。
【0095】
さらなる態様では、本開示は、複数の薬物組成物が、吸収に関して同時にアッセイされる、高スループットの薬物吸収スクリーニング方法であって、
(a)組織外植片を、目的の化合物および賦形剤を含む複数の薬物組成物と、組織外植片上の異なる位置において、接触させるステップであって、組織外植片が、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含み、腸上皮が、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、上皮細胞の極性が、組織外植片において維持される、ステップと、
(b)管腔側表面および基底膜側表面における化合物の存在を検出することによって、組織外植片を通じた目的の化合物の吸収を測定するステップであって、基底膜側表面における化合物の存在が、組織外植片を通じて吸収される化合物の能力を示す、ステップと、を含む、方法を提供する。本開示の一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、ヒト胃腸管に由来する腸上皮を含む。
【0096】
なおもさらなる態様では、本開示は、in vitro腸モデルを作製する方法であって、
(a)組織外植片を提供するステップであって、組織外植片が、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含み、腸上皮が、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、上皮細胞の極性が、組織外植片において維持される、ステップと、
(b)組織外植片を、複数のマイクロウェルを備える基材と接触させるステップと、を含む、方法を提供する。本開示の一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、ヒト胃腸管に由来する腸上皮を含む。
【0097】
一部の態様では、本開示は、組織外植片とともに使用するのに好適な基材アセンブリであって、
複数のマイクロウェルが形成されており、複数の締結具受容開口部が形成されている、本体を有する、第1のプレートと、
本体を有し、複数のマイクロウェルが形成されており、複数の締結具受容開口部が形成されている、第2のプレートと、
複数の磁石であって、前記複数の磁石のうちの1つが、第1および第2のプレートの複数の締結具受容開口部のそれぞれの中に固定されている、複数の磁石と、を備える、基材アセンブリを提供する。一部の態様では、第1のプレートは、上面および反対側の底面を有し、ここで、底面は、底面の上にその周縁部の周りにそこから外向きに延在して形成されるリム部分を有し、リム部分は、チャンバを形成する。さらなる態様では、基材アセンブリは、第1のプレートの底面の中央部分に沿ってそこから外向きに延在して形成されるリッジ部分をさらに備え、ここで、リッジ部分は、チャンバを複数の部分チャンバに分割し、それぞれの部分チャンバが、組織外植片を固定するように適合される。なおもさらなる態様では、リム部分は、第1のプレートの本体の両側面に沿って形成される、1つまたは複数の切欠き特徴部を有する。一部の態様では、第2のプレートは、上面および反対側の底面を有し、ここで、上面は、上面の上にその周縁部の周りにそこから外向きに延在して形成されるリム部分を有し、リム部分は、チャンバを形成する。
【0098】
一部の態様では、基材アセンブリは、第2のプレートの上面の中央部分に沿ってそこから外向きに延在して形成されるリッジ部分をさらに備え、ここで、リッジ部分は、チャンバを複数の部分チャンバに分割し、それぞれの部分チャンバは、組織外植片を固定するように適合される。一部の態様では、第2のプレートの上面に形成されるリム部分は、上部プレートの本体の両側面に沿って形成される、1つまたは複数の切欠き特徴部を有する。
【0099】
基材アセンブリの前述の態様のいずれにおいても、第1のプレートおよび第2のプレートの複数のマイクロウェルは、6個、12個、24個、28個、96個、384個、または1536個のマイクロウェルを含む。一部の態様では、複数のマイクロウェルのそれぞれのマイクロウェルは、組織外植片によって完全に被覆される。
【0100】
一部の態様では、本開示は、胃腸管外植片内で、試験化合物の吸収および溶解を同時に決定するための方法であって、
(a)試験化合物を溶媒中に溶解し、それによって、薬物溶液を生成し、薬物溶液を、十分な期間にわたって蒸発させて、結果としての薬物の粉末を生成するステップと、
(b)(a)により得られた薬物の粉末を、賦形剤と組み合わせるステップと、
(c)組織外植片を、(b)により得られた薬物の粉末と接触させるステップであって、組織外植片が、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含み、腸上皮が、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、上皮細胞の極性が、組織外植片において維持される、ステップと、
(d)上清中の濃度を検出することによって、溶解を決定するステップと、
(e)管腔側表面および基底膜側表面における試験化合物の存在を検出することによって、吸収を決定するステップであって、基底膜側表面における試験化合物の存在が、組織外植片を通じて吸収される化合物の能力を示す、ステップと、を含む、方法を提供する。
【0101】
さらなる態様では、本開示は、胃腸組織外植片に対する試験化合物の組織蓄積の影響を決定するための方法であって、
(a)組織外植片に、少なくとも1つの第1のアッセイを行うステップであって、組織外植片が、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含み、腸上皮が、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、上皮細胞の極性が、組織外植片において維持される、ステップと、
(b)組織外植片を、目的の化合物と接触させるステップと、
(c)組織外植片に、少なくとも1つの第2のアッセイを行うステップと、
(d)第1のアッセイおよび第2のアッセイの結果を比較するステップであって、第1および第2のアッセイが、同じアッセイである、ステップと、を含み、
それによって、化合物の組織蓄積の影響を決定する、方法を提供する。
特定の実施形態では、例えば、以下が提供される:
(項目1)
in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含む、組織外植片であって、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、組織外植片と、を含み、
前記組織外植片が、前記基材と平面接触にあり、それによって、前記in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、前記上皮細胞の前記極性が、前記in vitro細胞構成物において維持される、in vitro細胞構成物。
(項目2)
前記組織外植片が、小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛を含む、項目1に記載のin
vitro細胞構成物。
(項目3)
前記組織外植片が、前記胃腸管の回腸に由来する、項目1~2のいずれか1項に記載の構成物。
(項目4)
前記組織外植片が、前記胃腸管の空腸に由来する、項目1~2のいずれか1項に記載の構成物。
(項目5)
前記組織外植片が、前記胃腸管の胃、十二指腸、食道、頬側、舌部、または結腸に由来する、項目1に記載の構成物。
(項目6)
前記組織外植片が、完全にインタクトな細胞外マトリクスを含む、項目1~5のいずれか1項に記載の構成物。
(項目7)
前記完全にインタクトな細胞外マトリクスが、粘膜固有層を含む、項目6に記載の構成物。
(項目8)
前記完全にインタクトな細胞外マトリクスが、筋板を含む、項目6~7のいずれか1項に記載の構成物。
(項目9)
前記組織外植片が、ブタ胃腸管に由来する、項目1~8のいずれか1項に記載の構成物。
(項目10)
前記組織外植片が、培養物中で粘液層を形成する、先行する項目のいずれか1項に記載の構成物。
(項目11)
前記組織外植片が、24時間、2日間、3日間、1週間、2週間、3週間、4週間、またはそれよりも長い間、培養物中で維持される、先行する項目のいずれか1項に記載の構成物。
(項目12)
前記組織外植片が、培養物中で維持するために、外因性増殖因子を必要としない、先行する項目のいずれか1項に記載の構成物。
(項目13)
前記外因性増殖因子が、Wnt3aである、項目12に記載の構成物。
(項目14)
前記組織外植片が、哺乳動物を失血させた後に得られる、先行する項目のいずれか1項に記載の構成物。
(項目15)
前記組織外植片が、腸エンテロサイトを含む、先行する項目のいずれか1項に記載の構成物。
(項目16)
腸エンテロサイトが、ビリン、e-カドヘリン、ケラチン20、および/または脂肪酸結合タンパク質1(FABP1)の存在によって特定される、項目15に記載の構成物。
(項目17)
前記組織外植片が、タイトジャンクションを含む、先行する項目のいずれか1項に記載の構成物。
(項目18)
前記組織外植片が、ムチン分泌性杯細胞を含む、先行する項目のいずれか1項に記載の構成物。
(項目19)
ムチン分泌性杯細胞が、ムチン2(Muc2)および/または尾部型ホメオボックス2(CDX2)の存在によって特定される、項目18に記載の構成物。
(項目20)
前記組織外植片が、腸幹細胞を含む、先行する項目のいずれか1項に記載の構成物。
(項目21)
腸幹細胞が、ロイシンリッチ反復配列含有Gタンパク質共役型受容体5(LGR5)および/またはオルファクトメジン4(OLFM4)の存在によって特定される、項目20に記載の構成物。
(項目22)
前記組織外植片が、腸内分泌細胞を含む、先行する項目のいずれか1項に記載の構成物。
(項目23)
腸内分泌細胞が、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の存在によって特定される、項目22に記載の構成物。
(項目24)
腸内分泌細胞が、L細胞である、項目22~23のいずれか1項に記載の構成物。
(項目25)
前記組織外植片が、少なくとも1つの薬物トランスポーターを含む、先行する項目のいずれか1項に記載の構成物。
(項目26)
前記薬物トランスポーターが、MDR-1である、項目25に記載の構成物。
(項目27)
前記組織外植片が、少なくとも1つの代謝酵素を含む、先行する項目のいずれか1項に記載の構成物。
(項目28)
前記代謝酵素が、CYP3A4である、項目27に記載の構成物。
(項目29)
前記組織外植片が、小襞細胞を含む、先行する項目のいずれか1項に記載の構成物。
(項目30)
小襞細胞が、ビメンチンの存在によって特定される、項目29に記載の構成物。
(項目31)
前記組織外植片が、粘液物質を含む、先行する項目のいずれか1項に記載の構成物。
(項目32)
前記粘液物質が、糖タンパク質、糖脂質、またはムチンである、項目31に記載の構成物。
(項目33)
前記組織外植片が、神経系細胞を含む、先行する項目のいずれか1項に記載の構成物。
(項目34)
神経系細胞が、ネスチンの存在によって特定される、項目33に記載の構成物。
(項目35)
前記組織外植片が、それが由来する前記胃腸管のin vivo構成を模倣する、先行する項目のいずれか1項に記載の構成物。
(項目36)
前記組織外植片が、一定レベルの分泌Wnt3aを維持する、先行する項目のいずれか1項に記載の構成物。
(項目37)
前記分泌Wnt3aのレベルが、ウエスタンブロット分析によって決定される、項目36に記載の構成物。
(項目38)
前記組織外植片が、インタクトな陰窩を含む、先行する項目のいずれか1項に記載の構成物。
(項目39)
前記組織外植片が、チオレドキシン還元酵素活性を含む、先行する項目のいずれか1項に記載の構成物。
(項目40)
チオレドキシン還元酵素活性が、少なくとも7日間維持される、項目39に記載の構成物。
(項目41)
前記大型の非ヒト哺乳動物が、少なくとも3週齢である、先行する項目のいずれか1項に記載の構成物。
(項目42)
前記大型の非ヒト哺乳動物が、3週齢~12週齢である、先行する項目のいずれか1項に記載の構成物。
(項目43)
前記組織外植片が、GLP-1またはMuc-2を産生する、先行する項目のいずれか1項に記載の構成物。
(項目44)
前記組織外植片が、グルコースに対して応答性である、先行する項目のいずれか1項に記載の構成物。
(項目45)
前記組織外植片が、毒素に対して応答性である、先行する項目のいずれか1項に記載の構成物。
(項目46)
前記毒素が、胃腸毒性を有する物質または細胞毒性を有する物質である、項目45に記載の構成物。
(項目47)
前記毒素が、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)である、項目46に記載の構成物。
(項目48)
前記NSAIDが、ナプロキセンである、項目47に記載の構成物。
(項目49)
前記毒素が、ドキシサイクリンである、項目47に記載の構成物。
(項目50)
前記基材が、6個、12個、24個、48個、96個、384個、または1536個のマイクロウェルを備える、先行する項目のいずれか1項に記載の構成物。
(項目51)
それぞれのマイクロウェルが、前記組織外植片によって完全に被覆される、先行する項目のいずれか1項に記載の構成物。
(項目52)
前記組織外植片の血液含量が、最小限に抑えられている、先行する項目のいずれか1項に記載の構成物。
(項目53)
前記基材が、外因性の細胞外マトリクスを含まない、先行する項目のいずれか1項に記載の構成物。
(項目54)
高スループットの薬物吸収スクリーニングアッセイにおいて使用するための細胞培養システムであって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含む、組織外植片であって、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、組織外植片と、を含み、
前記組織外植片が、前記基材と平面接触にあり、それによって、管腔側表面および基底膜側表面が提供され、前記上皮細胞の前記極性が、前記細胞培養システムにおいて維持され、
それによって、前記組織外植片を通じた薬物の吸収の測定が可能となる、細胞培養システム。
(項目55)
高スループットのシステムであって、(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、(ii)大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含む、組織外植片であって、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、組織外植片と、を含み、前記組織外植片が、前記基材と平面接触にあり、それによって、管腔側表面および基底膜側表面が提供され、前記上皮細胞の前記極性が、前記システムにおいて維持される、高スループットのシステム。
(項目56)
胃腸組織外植片を通じた試験化合物の吸収を決定するための方法であって、
(a)組織外植片を、試験化合物と接触させるステップであって、前記組織外植片が、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含み、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、前記組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、前記上皮細胞の前記極性が、前記組織外植片において維持される、ステップと、(b)前記管腔側表面および前記基底膜側表面における前記試験化合物の存在を検出することによって、吸収を決定するステップであって、前記基底膜側表面における前記試験化合物の存在が、前記組織外植片を通じて吸収される前記化合物の能力を示す、ステップと、を含む、方法。
(項目57)
前記試験化合物の存在を検出することが、前記管腔側表面および前記基底膜側表面における前記化合物の濃度を決定することを含む、項目56に記載の方法。
(項目58)
胃腸組織外植片における試験化合物の濃度を決定するための方法であって、
(a)組織外植片を、目的の化合物と接触させるステップであって、前記組織外植片が、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含み、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、前記組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、前記上皮細胞の前記極性が、前記組織外植片において維持される、ステップと、
(b)前記組織外植片内の前記化合物の存在を検出するステップと、を含む、方法。
(項目59)
前記化合物の濃度を決定することが、ハイコンテンツ共焦点分析を含む、項目58に記載の方法。
(項目60)
胃腸組織外植片を通じた試験化合物の経口バイオアベイラビリティを決定するための方法であって、
(a)組織外植片を、目的の化合物と接触させるステップであって、前記組織外植片が、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含み、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、前記組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、前記上皮細胞の前記極性が、前記組織外植片において維持される、ステップと、
(b)前記管腔側表面および前記基底膜側表面における前記化合物の存在を検出するステップであって、前記基底膜側表面における前記化合物の存在が、前記化合物の経口バイオアベイラビリティを示す、ステップと、を含む、方法。
(項目61)
ヒト胃腸管を通じた試験化合物の吸収を予測するための方法であって、
(a)組織外植片を、目的の化合物と接触させるステップであって、前記組織外植片が、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含み、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、前記組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、前記上皮細胞の前記極性が、前記組織外植片において維持される、ステップと、
(b)前記管腔側表面および前記基底膜側表面における前記化合物の存在を検出することによって、吸収を予測するステップであって、前記基底膜側表面における前記化合物の存在が、前記ヒト胃腸管を通じて吸収される前記化合物の能力を示す、ステップと、を含む、方法。
(項目62)
組織外植片における試験化合物の吸収に対する、薬物-食物の相互作用の影響を決定するための方法であって、
(a)組織外植片を、目的の化合物と接触させるステップであって、前記組織外植片が、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含み、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、前記組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、前記上皮細胞の前記極性が、前記組織外植片において維持される、ステップと、
(b)前記組織外植片を、消化された食物と接触させるステップと、
(c)前記管腔側表面および前記基底膜側表面における前記化合物の存在を検出することによって、吸収を決定するステップであって、前記基底膜側表面における前記化合物の存在が、前記組織外植片を通じて吸収される前記化合物の能力を示す、ステップと、を含む、方法。
(項目63)
前記組織外植片が、前記組織外植片を、前記大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する天然の腸媒質と接触させるステップをさらに含む、項目62に記載の方法。
(項目64)
前記組織外植片を前記目的の化合物と接触させる前に、前記目的の化合物を、天然の腸媒質に可溶化するステップをさらに含む、項目63に記載の方法。
(項目65)
前記組織外植片を、前記消化された食物および前記目的の化合物と接触させることが、同時である、項目62~64のいずれか1項に記載の方法。
(項目66)
前記消化された食物の存在下または不在下において、目的の化合物の吸収の差を決定するステップをさらに含む、項目62~65のいずれか1項に記載の方法。
(項目67)
胃腸組織外植片を通じた試験化合物の吸収の時間経過分析のための方法であって、
(a)組織外植片を、目的の化合物と接触させるステップであって、前記組織外植片が、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含み、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、前記組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、前記上皮細胞の前記極性が、前記組織外植片において維持される、ステップと、
(b)吸収を、ある期間にわたって決定するステップであって、異なる時点において、前記管腔側表面および前記基底膜側表面における前記化合物の存在を検出することを含み、前記基底膜側表面における前記化合物の存在が、前記組織外植片を通じて吸収される前記化合物の能力を示す、ステップと、を含む、方法。
(項目68)
組織外植片を通じた試験化合物の灌流速度を決定するための方法であって、
(a)組織外植片を、目的の化合物と接触させるステップであって、前記組織外植片が、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含み、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、前記組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、前記上皮細胞の前記極性が、前記組織外植片において維持される、ステップと、
(b)灌流を、ある期間にわたって決定するステップであって、異なる時点において、前記管腔側表面および前記基底膜側表面における前記化合物の存在を検出することを含み、前記基底膜側表面における前記化合物の存在が、前記組織外植片を通じて灌流される前記化合物の能力を示す、ステップと、を含む、方法。
(項目69)
胃腸組織外植片に対する試験化合物の影響を決定するための方法であって、
(a)組織外植片に、少なくとも1つの第1のアッセイを行うステップであって、前記組織外植片が、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含み、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、前記組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、前記上皮細胞の前記極性が、前記組織外植片において維持される、ステップと、
(b)前記組織外植片を、目的の化合物と接触させるステップと、
(c)前記組織外植片に、少なくとも1つの第2のアッセイを行うステップと、
(d)前記第1のアッセイの結果および前記第2のアッセイの結果を比較するステップであって、前記第1のアッセイおよび前記第2のアッセイが、同じアッセイである、ステップと、を含み、
それによって、前記化合物の影響を決定する、方法。
(項目70)
前記第1のアッセイおよび前記第2のアッセイが、薬物溶解アッセイ、吸収アッセイ、細胞毒性アッセイ、薬物分解アッセイ、およびホルモン分泌アッセイからなる群より選択される、項目69に記載の方法。
(項目71)
1つを上回るアッセイが、同時に行われる、項目69~70のいずれか1項に記載の方法。
(項目72)
組織外植片を通じた試験化合物の吸収に対する、薬物トランスポーターの影響を決定するための方法であって、
(a)組織外植片における前記薬物トランスポーターの発現を修飾するステップであって、前記組織外植片が、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含み、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、前記組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、前記上皮細胞の前記極性が、前記組織外植片において維持される、ステップと、
(b)前記組織外植片を、目的の化合物と接触させるステップと、
(c)前記管腔側表面および前記基底膜側表面における前記化合物の存在を検出することによって、吸収を決定するステップであって、前記基底膜側表面における前記化合物の存在が、前記組織外植片を通じて吸収される前記化合物の能力を示す、ステップと、
(d)修飾された薬物トランスポーターありまたはなしの前記組織外植片の間で吸収を比較し、それによって、前記化合物の吸収に対する前記薬物トランスポーターの影響を決定するステップと、を含む、方法。
(項目73)
ヒト胃腸管を通じた化合物の吸収に対する、代謝酵素の影響を決定するための方法であって、
(a)組織外植片における前記代謝酵素の発現を修飾するステップであって、前記組織外植片が、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含み、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、前記組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、前記上皮細胞の前記極性が、前記組織外植片において維持される、ステップと、
(b)前記組織外植片を、目的の化合物と接触させるステップと、
(c)前記管腔側表面および前記基底膜側表面における前記化合物の存在を検出することによって、吸収を決定するステップであって、前記基底膜側表面における前記化合物の存在が、前記組織外植片を通じて吸収される前記化合物の能力を示す、ステップと、
(d)修飾された代謝酵素ありまたはなしの前記組織外植片の間で吸収を比較し、それによって、前記化合物の吸収に対する前記薬物トランスポーターの影響を決定するステップと、を含む、方法。
(項目74)
(a)が、遺伝子修飾を含む、項目72~73のいずれか1項に記載の方法。
(項目75)
遺伝子修飾が、siRNAノックダウンを含む、項目74に記載の方法。
(項目76)
高スループットの薬物スクリーニングのための方法であって、組織外植片を、化合物ライブラリーと接触させるステップであって、前記組織外植片が、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含み、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、前記組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、前記上皮細胞の前記極性が、前記組織外植片において維持される、ステップと、前記組織外植片に対する前記化合物ライブラリーの影響を決定するステップと、を含む、方法。
(項目77)
薬物製剤の吸収を分析するための高スループットの方法であって、
(a)組織外植片を、目的の化合物および賦形剤を含む製剤ライブラリーと接触させるステップであって、前記組織外植片が、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含み、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、前記組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、前記上皮細胞の前記極性が、前記組織外植片において維持される、ステップと、
(b)前記管腔側表面および前記基底膜側表面における前記化合物の存在を検出することによって、前記組織外植片を通じた前記目的の化合物の吸収を測定するステップであって、前記基底膜側表面における前記化合物の存在が、前記組織外植片を通じて吸収される前記化合物の能力を示す、ステップと、
(c)それぞれの製剤で、前記目的の化合物の吸収を比較し、それによって薬物吸収のための製剤を特定するステップとを含む、方法。
(項目78)
複数の薬物組成物が、吸収に関して同時にアッセイされる、高スループットの薬物吸収スクリーニング方法であって、
(a)組織外植片を、目的の化合物および賦形剤を含む複数の薬物組成物と、前記組織外植片上の異なる位置において、接触させるステップであって、前記組織外植片が、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含み、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、前記組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、前記上皮細胞の前記極性が、前記組織外植片において維持される、ステップと、
(b)前記管腔側表面および前記基底膜側表面における前記化合物の存在を検出することによって、前記組織外植片を通じた前記目的の化合物の吸収を測定するステップであって、前記基底膜側表面における前記化合物の存在が、前記組織外植片を通じて吸収される前記化合物の能力を示す、ステップと、を含む、方法。
(項目79)
in vitro腸モデルを作製する方法であって、
(a)組織外植片を提供するステップであって、前記組織外植片が、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含み、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、前記組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、前記上皮細胞の前記極性が、前記組織外植片において維持される、ステップと、
(b)前記組織外植片を、複数のマイクロウェルを備える基材と接触させるステップと、を含む、方法。
(項目80)
組織外植片とともに使用するのに好適な基材アセンブリであって、
複数のマイクロウェルが形成されており、複数の締結具受容開口部が形成されている、本体を有する、第1のプレートと、
本体を有し、複数のマイクロウェルが形成されており、複数の締結具受容開口部が形成されている、第2のプレートと、
複数の磁石であって、前記複数の磁石のうちの1つが、前記第1のプレートおよび前記第2のプレートの前記複数の締結具受容開口部のそれぞれの中に固定されている、複数の磁石と、を備える、基材アセンブリ。
(項目81)
前記第1のプレートが、上面および反対側の底面を有し、前記底面が、前記底面の上にその周縁部の周りにそこから外向きに延在して形成されるリム部分を有し、前記リム部分が、チャンバを形成する、項目80に記載の基材アセンブリ。
(項目82)
前記第1のプレートの前記底面の中央部分に沿ってそこから外向きに延在して形成されるリッジ部分をさらに備え、前記リッジ部分が、前記チャンバを複数の部分チャンバに分割し、それぞれの部分チャンバが、組織外植片を固定するように適合される、項目81に記載の基材アセンブリ。
(項目83)
前記リム部分が、前記第1のプレートの前記本体の両側面に沿って形成される、1つまたは複数の切欠き特徴部を有する、項目81に記載の基材アセンブリ。
(項目84)
前記第2のプレートが、上面および反対側の底面を有し、前記上面が、前記上面の上にその周縁部の周りにそこから外向きに延在して形成されるリム部分を有し、前記リム部分が、チャンバを形成する、項目81に記載の基材アセンブリ。
(項目85)
前記第2のプレートの前記上面の中央部分に沿ってそこから外向きに延在して形成されるリッジ部分をさらに備え、前記リッジ部分が、前記チャンバを複数の部分チャンバに分割し、それぞれの部分チャンバが、組織外植片を固定するように適合される、項目84に記載の基材アセンブリ。
(項目86)
前記第2のプレートの前記上面に形成される前記リム部分が、上部プレートの前記本体の両側面に沿って形成される、1つまたは複数の切欠き特徴部を有する、項目84に記載の基材アセンブリ。
(項目87)
前記第1のプレートおよび前記第2のプレートの前記複数のマイクロウェルが、6個、12個、24個、28個、96個、384個、または1536個のマイクロウェルを含む、項目80に記載の基材アセンブリ。
(項目88)
前記複数のマイクロウェルのそれぞれのマイクロウェルが、組織外植片によって完全に被覆される、項目80に記載の基材アセンブリ。
(項目89)
胃腸組織外植片内で、試験化合物の吸収および溶解を同時に決定するための方法であって、
(a)試験化合物を溶媒中に溶解し、それによって、薬物溶液を生成し、前記薬物溶液を、十分な期間にわたって蒸発させて、結果としての薬物の粉末を生成するステップと、
(b)(a)により得られた前記薬物の粉末を、賦形剤と組み合わせるステップと、
(c)組織外植片を、(b)により得られた前記薬物の粉末と接触させるステップであって、前記組織外植片が、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含み、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、前記組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、前記上皮細胞の前記極性が、前記組織外植片において維持される、ステップと
(d)上清中の濃度を検出することによって、溶解を決定するステップと、
(e)前記管腔側表面および前記基底膜側表面における前記試験化合物の存在を検出することによって、吸収を決定するステップであって、前記基底膜側表面における前記試験化合物の存在が、前記組織外植片を通じて吸収される前記化合物の能力を示す、ステップと、を含む、方法。
(項目90)
前記組織外植片を通じた吸収が、in vivoで測定される吸収と比較した場合に、Caco-2細胞を使用して決定される吸収のピアソン相関値と比べて、高いピアソン相関値を有する、項目56に記載の方法。
(項目91)
前記高いピアソン相関値が、少なくとも0.70、少なくとも0.75、少なくとも0.80、少なくとも0.85、または少なくとも0.90である、項目90に記載の方法。
(項目92)
前記組織外植片を通じた吸収が、Caco-2細胞を使用して決定される吸収と比べて、低い変動係数を有する、項目56に記載の方法。
(項目93)
胃腸組織外植片に対する試験化合物の組織蓄積の影響を決定するための方法であって、(a)組織外植片に、少なくとも1つの第1のアッセイを行うステップであって、前記組織外植片が、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含み、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、前記組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、前記上皮細胞の前記極性が、前記組織外植片において維持される、ステップと、
(b)前記組織外植片を、目的の化合物と接触させるステップと、
(c)前記組織外植片に、少なくとも1つの第2のアッセイを行うステップと、
(d)前記第1のアッセイの結果および前記第2のアッセイの結果を比較するステップであって、前記第1のアッセイおよび前記第2のアッセイが、同じアッセイである、ステップと、を含み、
それによって、前記化合物の組織蓄積の影響を決定する、方法。
(項目94)
in vitro細胞構成物であって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)大型の哺乳動物胃腸管に由来する腸上皮を含む、組織外植片であって、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、組織外植片と、を含み、
前記組織外植片が、前記基材と平面接触にあり、それによって、前記in vitro細胞構成物の管腔側表面および基底膜側表面が提供され、前記上皮細胞の前記極性が、前記in vitro細胞構成物において維持される、in vitro細胞構成物。
(項目95)
前記組織外植片が、小腸上皮、輪走筋層、および腸絨毛を含む、項目94に記載のin
vitro細胞構成物。
(項目96)
前記組織外植片が、
(i)前記胃腸管の回腸、
(ii)前記胃腸管の空腸、
(iii)前記胃腸管の胃、
(iv)前記胃腸管の食道、
(v)前記胃腸管の頬側組織、
(vi)前記胃腸管の舌組織、または
(vii)前記胃腸管の結腸に由来する、項目94~95のいずれか1項に記載の構成物。
(項目97)
前記組織外植片が、完全にインタクトな細胞外マトリクスを含み、必要に応じて、前記完全にインタクトな細胞外マトリクスが、粘膜固有層、筋板、またはそれらの両方を含む、項目94~96のいずれか1項に記載の構成物。
(項目98)
前記組織外植片が、ヒト胃腸管に由来する、項目94~97のいずれか1項に記載の構成物。
(項目99)
前記組織外植片が、培養物中で粘液層を形成する、項目94~98のいずれか1項に記載の構成物。
(項目100)
前記組織外植片が、24時間、2日間、3日間、1週間、2週間、3週間、4週間、またはそれよりも長い間、培養物中で維持される、項目94~99のいずれか1項に記載の構成物。
(項目101)
前記組織外植片が、培養物中で維持するために、外因性増殖因子を必要としない、項目94~100のいずれか1項に記載の構成物。
(項目102)
前記外因性増殖因子が、Wnt3aである、項目101に記載の構成物。
(項目103)
前記組織外植片が、
(i)腸エンテロサイトであって、必要に応じて、腸エンテロサイトが、ビリン、e-カドヘリン、ケラチン20、および/もしくは脂肪酸結合タンパク質1(FABP1)の存在によって特定される、腸エンテロサイト、ならびに/または
(ii)タイトジャンクション、ならびに/または
(iii)ムチン分泌性杯細胞であって、必要に応じて、ムチン分泌性杯細胞が、ムチン2(Muc2)および/もしくは尾部型ホメオボックス2(CDX2)の存在によって特定される、ムチン分泌性杯細胞、ならびに/または
(iv)腸幹細胞であって、必要に応じて、腸幹細胞が、ロイシンリッチ反復配列含有Gタンパク質共役型受容体5(LGR5)および/もしくはオルファクトメジン4(OLFM4)の存在によって特定される、腸幹細胞、ならびに/または
(V)腸内分泌細胞であって、必要に応じて、腸内分泌細胞が、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の存在によって特定され、さらに、必要に応じて、内分泌細胞が、L細胞である、腸内分泌細胞、ならびに/または
(vi)小襞細胞であって、必要に応じて、小襞細胞が、ビメンチンの存在によって特定される、小襞細胞、ならびに/または
(vii)神経系細胞であって、必要に応じて、神経系細胞が、ネスチンの存在によって特定される、神経系細胞
を含む、項目94~102のいずれか1項に記載の構成物。
(項目104)
前記組織外植片が、少なくとも1つの薬物トランスポーターを含み、必要に応じて、前記薬物トランスポーターが、MDR-1である、項目94~103のいずれか1項に記載の構成物。
(項目105)
前記組織外植片が、少なくとも1つの代謝酵素を含み、必要に応じて、前記代謝酵素が、CYP3A4である、項目94~104のいずれか1項に記載の構成物。
(項目106)
前記組織外植片が、粘液物質を含み、必要に応じて、前記粘液物質が、糖タンパク質、糖脂質、またはムチンである、項目94~105のいずれか1項に記載の構成物。
(項目107)
前記組織外植片が、それが由来する前記胃腸管のin vivo構成を模倣する、項目94~106のいずれか1項に記載の構成物。
(項目108)
前記組織外植片が、一定レベルの分泌Wnt3aを維持し、必要に応じて、前記分泌Wnt3aのレベルが、ウエスタンブロット分析によって決定される、項目94~107のいずれか1項に記載の構成物。
(項目109)
前記組織外植片が、インタクトな陰窩を含む、項目94~108のいずれか1項に記載の構成物。
(項目110)
前記組織外植片が、チオレドキシン還元酵素活性を含み、必要に応じて、チオレドキシン還元酵素活性が、少なくとも7日間維持される、項目94~109のいずれか1項に記載の構成物。
(項目111)
前記組織外植片が、GLP-1もしくはMuc-2を産生する、および/またはグルコースに対して応答性である、項目94~110のいずれか1項に記載の構成物。
(項目112)
前記組織外植片が、毒素に対して応答性である、項目94~111のいずれか1項に記載の構成物。
(項目113)
前記毒素が、胃腸毒性を有する物質または細胞毒性を有する物質である、項目112に記載の構成物。
(項目114)
前記毒素が、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)である、項目113に記載の構成物。
(項目115)
前記NSAIDが、ナプロキセンである、項目114に記載の構成物。
(項目116)
前記毒素が、ドキシサイクリンである、項目113に記載の構成物。
(項目117)
前記基材が、6個、12個、24個、48個、96個、384個、または1536個のマイクロウェルを備える、項目94~116のいずれか1項に記載の構成物。
(項目118)
それぞれのマイクロウェルが、前記組織外植片によって完全に被覆される、項目94~117のいずれか1項に記載の構成物。
(項目119)
前記組織外植片の血液含量が、最小限に抑えられている、項目94~118のいずれか1項に記載の構成物。
(項目120)
前記基材が、外因性の細胞外マトリクスを含まない、項目94~119のいずれか1項に記載の構成物。
(項目121)
高スループットの薬物吸収スクリーニングアッセイにおいて使用するための細胞培養システムであって、
(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、
(ii)ヒト胃腸管に由来する腸上皮を含む、組織外植片であって、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、組織外植片と、を含み、
前記組織外植片が、前記基材と平面接触にあり、それによって、管腔側表面および基底膜側表面が提供され、前記上皮細胞の前記極性が、前記細胞培養システムにおいて維持され、
それによって、前記組織外植片を通じた薬物の吸収の測定が可能となる、細胞培養システム。
(項目122)
高スループットのシステムであって、(i)複数のマイクロウェルを備える、基材と、(ii)ヒト胃腸管に由来する腸上皮を含む、組織外植片であって、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む、組織外植片と、を含み、前記組織外植片が、前記基材と平面接触にあり、それによって、管腔側表面および基底膜側表面が提供され、前記上皮細胞の前記極性が、前記システムにおいて維持される、高スループットのシステム。
(項目123)
胃腸組織外植片を通じた試験化合物の吸収を決定するための方法であって、
(a)組織外植片を、試験化合物と接触させるステップであって、前記組織外植片が、ヒト胃腸管に由来する腸上皮を含み、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、前記組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、前記上皮細胞の前記極性が、前記組織外植片において維持される、ステップと、
(b)前記管腔側表面および前記基底膜側表面における前記試験化合物の存在を検出することによって、吸収を決定するステップであって、前記基底膜側表面における前記試験化合物の存在が、前記組織外植片を通じて吸収される前記化合物の能力を示す、ステップと、を含む、方法。
(項目124)
前記試験化合物の存在を検出することが、前記管腔側表面および前記基底膜側表面における前記化合物の濃度を決定することを含む、項目123に記載の方法。
(項目125)
胃腸組織外植片における試験化合物の濃度を決定するための方法であって、
(a)組織外植片を、目的の化合物と接触させるステップであって、前記組織外植片が、ヒト胃腸管に由来する腸上皮を含み、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、前記組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、前記上皮細胞の前記極性が、前記組織外植片において維持される、ステップと、
(b)前記組織外植片内の前記化合物の存在を検出するステップと、を含む、方法。
(項目126)
前記化合物の濃度を決定することが、ハイコンテンツ共焦点分析を含む、項目125に記載の方法。
(項目127)
胃腸組織外植片を通じた試験化合物の経口バイオアベイラビリティを決定するための方法であって、
(a)組織外植片を、目的の化合物と接触させるステップであって、前記組織外植片が、ヒト胃腸管に由来する腸上皮を含み、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、前記組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、前記上皮細胞の前記極性が、前記組織外植片において維持される、ステップと、
(b)前記管腔側表面および前記基底膜側表面における前記化合物の存在を検出するステップであって、前記基底膜側表面における前記化合物の存在が、前記化合物の経口バイオアベイラビリティを示す、ステップと、を含む、方法。
(項目128)
ヒト胃腸管を通じた試験化合物の吸収を予測するための方法であって、
(a)組織外植片を、目的の化合物と接触させるステップであって、前記組織外植片が、ヒト胃腸管に由来する腸上皮を含み、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、前記組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、前記上皮細胞の前記極性が、前記組織外植片において維持される、ステップと、
(b)前記管腔側表面および前記基底膜側表面における前記化合物の存在を検出することによって、吸収を予測するステップであって、前記基底膜側表面における前記化合物の存在が、前記ヒト胃腸管を通じて吸収される前記化合物の能力を示す、ステップと、を含む、方法。
(項目129)
組織外植片における試験化合物の吸収に対する、薬物-食物の相互作用の影響を決定するための方法であって、
(a)組織外植片を、目的の化合物と接触させるステップであって、前記組織外植片が、ヒト胃腸管に由来する腸上皮を含み、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、前記組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、前記上皮細胞の前記極性が、前記組織外植片において維持される、ステップと、
(b)前記組織外植片を、消化された食物と接触させるステップと、
(c)前記管腔側表面および前記基底膜側表面における前記化合物の存在を検出することによって、吸収を決定するステップであって、前記基底膜側表面における前記化合物の存在が、前記組織外植片を通じて吸収される前記化合物の能力を示す、ステップと、を含む、方法。
(項目130)
前記組織外植片が、前記組織外植片を、前記ヒト胃腸管に由来する天然の腸媒質と接触させるステップをさらに含む、項目129に記載の方法。
(項目131)
前記組織外植片を前記目的の化合物と接触させる前に、前記目的の化合物を、天然の腸媒質に可溶化するステップをさらに含む、項目130に記載の方法。
(項目132)
前記組織外植片を、前記消化された食物および前記目的の化合物と接触させることが、同時である、項目129~131のいずれか1項に記載の方法。
(項目133)
前記消化された食物の存在下または不在下において、目的の化合物の吸収の差を決定するステップをさらに含む、項目62~65のいずれか1項に記載の方法。
(項目134)
胃腸組織外植片を通じた試験化合物の吸収の時間経過分析のための方法であって、
(a)組織外植片を、目的の化合物と接触させるステップであって、前記組織外植片が、ヒト胃腸管に由来する腸上皮を含み、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、前記組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、前記上皮細胞の前記極性が、前記組織外植片において維持される、ステップと、
(b)吸収を、ある期間にわたって決定するステップであって、異なる時点において、前記管腔側表面および前記基底膜側表面における前記化合物の存在を検出することを含み、前記基底膜側表面における前記化合物の存在が、前記組織外植片を通じて吸収される前記化合物の能力を示す、ステップと、を含む、方法。
(項目135)
組織外植片を通じた試験化合物の灌流速度を決定するための方法であって、
(a)組織外植片を、目的の化合物と接触させるステップであって、前記組織外植片が、ヒト胃腸管に由来する腸上皮を含み、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、前記組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、前記上皮細胞の前記極性が、前記組織外植片において維持される、ステップと、
(b)灌流を、ある期間にわたって決定するステップであって、異なる時点において、前記管腔側表面および前記基底膜側表面における前記化合物の存在を検出することを含み、前記基底膜側表面における前記化合物の存在が、前記組織外植片を通じて灌流される前記化合物の能力を示す、ステップと、を含む、方法。
(項目136)
胃腸組織外植片に対する試験化合物の影響を決定するための方法であって、
(a)組織外植片に、少なくとも1つの第1のアッセイを行うステップであって、前記組織外植片が、ヒト胃腸管に由来する腸上皮を含み、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、前記組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、前記上皮細胞の前記極性が、前記組織外植片において維持される、ステップと、
(b)前記組織外植片を、目的の化合物と接触させるステップと、
(c)前記組織外植片に、少なくとも1つの第2のアッセイを行うステップと、
(d)前記第1のアッセイの結果および前記第2のアッセイの結果を比較するステップであって、前記第1のアッセイおよび前記第2のアッセイが、同じアッセイである、ステップと、を含み、
それによって、前記化合物の影響を決定する、方法。
(項目137)
前記第1のアッセイおよび前記第2のアッセイが、薬物溶解アッセイ、吸収アッセイ、細胞毒性アッセイ、薬物分解アッセイ、およびホルモン分泌アッセイからなる群より選択される、項目136に記載の方法。
(項目138)
1つを上回るアッセイが、同時に行われる、項目136~137のいずれか1項に記載の方法。
(項目139)
組織外植片を通じた試験化合物の吸収に対する、薬物トランスポーターの影響を決定するための方法であって、
(a)組織外植片における前記薬物トランスポーターの発現を修飾するステップであって、前記組織外植片が、ヒト胃腸管に由来する腸上皮を含み、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、前記組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、前記上皮細胞の前記極性が、前記組織外植片において維持される、ステップと、
(b)前記組織外植片を、目的の化合物と接触させるステップと、
(c)前記管腔側表面および前記基底膜側表面における前記化合物の存在を検出することによって、吸収を決定するステップであって、前記基底膜側表面における前記化合物の存在が、前記組織外植片を通じて吸収される前記化合物の能力を示す、ステップと、
(d)修飾された薬物トランスポーターありまたはなしの前記組織外植片の間で吸収を比較し、それによって、前記化合物の吸収に対する前記薬物トランスポーターの影響を決定するステップと、を含む、方法。
(項目140)
ヒト胃腸管を通じた化合物の吸収に対する、代謝酵素の影響を決定するための方法であって、
(a)組織外植片における前記代謝酵素の発現を修飾するステップであって、前記組織外植片が、ヒト胃腸管に由来する腸上皮を含み、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、前記組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、前記上皮細胞の前記極性が、前記組織外植片において維持される、ステップと、
(b)前記組織外植片を、目的の化合物と接触させるステップと、
(c)前記管腔側表面および前記基底膜側表面における前記化合物の存在を検出することによって、吸収を決定するステップであって、前記基底膜側表面における前記化合物の存在が、前記組織外植片を通じて吸収される前記化合物の能力を示す、ステップと、
(d)修飾された代謝酵素ありまたはなしの前記組織外植片の間で吸収を比較し、それによって、前記化合物の吸収に対する前記薬物トランスポーターの影響を決定するステップと、を含む、方法。
(項目141)
(a)が、遺伝子修飾を含む、項目139~140のいずれか1項に記載の方法。
(項目142)
遺伝子修飾が、siRNAノックダウンを含む、項目141に記載の方法。
(項目143)
高スループットの薬物スクリーニングのための方法であって、組織外植片を、化合物ライブラリーと接触させるステップであって、前記組織外植片が、ヒト胃腸管に由来する腸上皮を含み、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、前記組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、前記上皮細胞の前記極性が、前記組織外植片において維持される、ステップと、前記組織外植片に対する前記化合物ライブラリーの影響を決定するステップと、を含む、方法。
(項目144)
薬物製剤の吸収を分析するための高スループットの方法であって、
(a)組織外植片を、目的の化合物および賦形剤を含む製剤ライブラリーと接触させるステップであって、前記組織外植片が、ヒト胃腸管に由来する腸上皮を含み、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、前記組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、前記上皮細胞の前記極性が、前記組織外植片において維持される、ステップと、
(b)前記管腔側表面および前記基底膜側表面における前記化合物の存在を検出することによって、前記組織外植片を通じた前記目的の化合物の吸収を測定するステップであって、前記基底膜側表面における前記化合物の存在が、前記組織外植片を通じて吸収される前記化合物の能力を示す、ステップと、
(c)それぞれの製剤で、前記目的の化合物の吸収を比較し、それによって薬物吸収のための製剤を特定するステップとを含む、方法。
(項目145)
複数の薬物組成物が、吸収に関して同時にアッセイされる、高スループットの薬物吸収スクリーニング方法であって、
(a)組織外植片を、目的の化合物および賦形剤を含む複数の薬物組成物と、前記組織外植片上の異なる位置において、接触させるステップであって、前記組織外植片が、ヒト胃腸管に由来する腸上皮を含み、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、前記組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、前記上皮細胞の前記極性が、前記組織外植片において維持される、ステップと、
(b)前記管腔側表面および前記基底膜側表面における前記化合物の存在を検出することによって、前記組織外植片を通じた前記目的の化合物の吸収を測定するステップであって、前記基底膜側表面における前記化合物の存在が、前記組織外植片を通じて吸収される前記化合物の能力を示す、ステップと、を含む、方法。
(項目146)
in vitro腸モデルを作製する方法であって、
(a)組織外植片を提供するステップであって、前記組織外植片が、ヒト胃腸管に由来する腸上皮を含み、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、前記組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、前記上皮細胞の前記極性が、前記組織外植片において維持される、ステップと、
(b)前記組織外植片を、複数のマイクロウェルを備える基材と接触させるステップと、を含む、方法。
(項目147)
胃腸組織外植片内で、試験化合物の吸収および溶解を同時に決定するための方法であって、
(a)試験化合物を溶媒中に溶解し、それによって、薬物溶液を生成し、前記薬物溶液を、十分な期間にわたって蒸発させて、結果としての薬物の粉末を生成するステップと、
(b)(a)により得られた前記薬物の粉末を、賦形剤と組み合わせるステップと、
(c)組織外植片を、(b)により得られた前記薬物の粉末と接触させるステップであって、前記組織外植片が、ヒト胃腸管に由来する腸上皮を含み、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、前記組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、前記上皮細胞の前記極性が、前記組織外植片において維持される、ステップと
(d)上清中の濃度を検出することによって、溶解を決定するステップと、
(e)前記管腔側表面および前記基底膜側表面における前記試験化合物の存在を検出することによって、吸収を決定するステップであって、前記基底膜側表面における前記試験化合物の存在が、前記組織外植片を通じて吸収される前記化合物の能力を示す、ステップと、を含む、方法。
(項目148)
前記組織外植片を通じた吸収が、in vivoで測定される吸収と比較した場合に、Caco-2細胞を使用して決定される吸収のピアソン相関値と比べて、高いピアソン相関値を有する、項目123に記載の方法。
(項目149)
前記高いピアソン相関値が、少なくとも0.70、少なくとも0.75、少なくとも0.80、少なくとも0.85、または少なくとも0.90である、項目148に記載の方法。
(項目150)
胃腸組織外植片に対する試験化合物の組織蓄積の影響を決定するための方法であって、(a)組織外植片に、少なくとも1つの第1のアッセイを行うステップであって、前記組織外植片が、ヒト胃腸管に由来する腸上皮を含み、前記腸上皮が、前記組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、前記組織外植片が、管腔側表面および基底膜側表面を提供し、前記上皮細胞の前記極性が、前記組織外植片において維持される、ステップと、
(b)前記組織外植片を、目的の化合物と接触させるステップと、
(c)前記組織外植片に、少なくとも1つの第2のアッセイを行うステップと、
(d)前記第1のアッセイの結果および前記第2のアッセイの結果を比較するステップであって、前記第1のアッセイおよび前記第2のアッセイが、同じアッセイである、ステップと、を含み、
それによって、前記化合物の組織蓄積の影響を決定する、方法。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【
図1A】
図1Aは、異なる培地組成物中で、5、10、および20日間、ex vivoにおいて培養した小腸組織外植片の生存死滅分析の画像を提供する。スケールバー=200μm。
【
図1BC】
図1Bは、培地ありまたは培地なしで、7日間、ex vivoにおいて培養した小腸組織外植片の管腔側の画像を提供する。
図1Cは、インタクトな間質層あり(上)またはなし(下)で培養した小腸組織外植片の生存死滅分析の画像を提供する。スケールバー=200μm。
【
図1D】
図1Dは、間質層あり(上)で、0日間(新しい組織)、7日間、3週間、6週間、10週間、または間質層を除去して(下)、5日間もしくは7日間培養した、小腸組織外植片の切片の共焦点分析の画像を提供する。切片は、Dapi(細胞核)、ファロイジン(F-アクチンおよび形質膜)、ならびにLysoTracker(リゾチーム)で染色した。スケールバー=200μm。
【
図1EF】
図1Eは、0日間(新しい組織)、2日間、7日間、3週間、または4週間のいずれかの間、ex vivoにおいて培養した腸組織外植片の走査型電子顕微鏡(SEM)の画像を提供する。スケールバー=200μm。
図1Fは、3週間ex vivoにおいて培養したか(左)、新しく単離し(右、「T0」)、過ヨウ素酸シッフ(PAS)/アルシアンブルー染色(上)またはマッソンのトリクローム(下)を行った、小腸組織外植片の切片の光学顕微鏡分析の画像を提供する。スケールバー=200μm。
【
図1G】
図1Gは、若い動物(約3週齢、左)または老いた動物(約3ヶ月齢、右)から単離し、3週間ex vivoにおいて培養し、過ヨウ素酸シッフ(PAS)/アルシアンブルー染色(上)またはマッソンのトリクローム(下)によって染色した、小腸組織外植片の切片の光学顕微鏡分析の画像を提供する。スケールバー=200μm。
【
図1HI】
図1Hは、0日間(新しい)または7日間、ex vivoにおいて培養した小腸組織外植片のウエスタンブロット分析によって分析したタンパク質の発現(左)、およびrtPCRによって分析した遺伝子の発現(右)を示す、代表的な画像を提供する。
図1Iは、0日間(新しい)、3日間、もしくは7日間、または3週間、ex vivoにおいて培養した小腸組織外植片に由来するタンパク質溶解物のWnt3aについてのウエスタンブロット分析の代表的な画像を提供する。
【
図1JK】
図1Jは、新しい腸組織、またはインタクトな間質層ありで3週間もしくは10週間または間質層なしで10日間培養した腸組織外植片から単離した、腸絨毛および陰窩の共焦点顕微鏡分析の画像を提供する。スケールバー=500μm。
図1Kは、0日間(新しい)または7日間、ex vivoにおいて培養した小腸組織外植片のプロテアーゼ活性(左)、チオレダクターゼ活性(左から2番目)、シトクロムP450活性(右から2番目)、およびUGT活性(右)を示す棒グラフを提供する。結果は、3回の独立した実験を表す(n=3)。エラーバーは、標準偏差を示す。
【
図2A】
図2Aは、高スループットのアッセイに使用される96ウェルプレートデバイスの設定の概略図を示す画像である。
【
図2B】
図2Bは、様々な直径(左および中央のグラフ)ならびに異なる圧縮力(右のグラフ)でのウェル間の漏出パーセントのグラフを提供する。データは、1回の漏出実験を表し、平均が、線で示される。n=96。
【
図2C】
図2Cは、ウェルの幾何形状および適用された圧縮の関数として、力および組織上での変位の計算モデルを示す。
【
図2D】
図2Dは、小腸組織外植片を含む磁石に基づくインターフェースシステムにおける、50分間にわたるFITCおよびFITC-デキストラン4kDaの灌流を示すグラフ(左)を、磁石の強度に依存するFITC灌流およびウェル間での漏出(右)を示すグラフとともに、提供する。
【
図2E】
図2Eは、漿膜および外側の筋層ありまたはなしでの腸組織外植片を通じたフルオレセイン(FITC)の灌流を示すグラフである。相対標準偏差(σ)は、分析した480個の試料にわたる変動性を示す。
【
図2F】
図2Fは、様々なモデル薬物の灌流に対する、組織圧縮の影響を示すグラフを提供する。相対標準偏差(σ)は、100個の試料にわたる変動性が、分析した3つの異なるバッチを形成することを示す。
【
図2G】
図2Gは、様々なモデル薬物の灌流の変動性分析を示すグラフである。相対標準偏差(σ)は、それぞれが6つの異なる動物バッチに由来する500個の試料にわたる変動性を示す。
【
図2H】
図2Hは、実験の前に1日間、2日間、3日間、または7日間ex vivoにおいてインキュベートした腸組織外植片を用いて行った、様々なモデル薬物の灌流の変動性分析を示すグラフを提供する。相対標準偏差(σ)は、それぞれが3つの異なる動物バッチに由来する500個の試料にわたる変動性を示す。
【
図2I】
図2Iは、様々なモデル薬物の96個の個々の腸灌流時間経過分析(2時間にわたる)の線グラフを提供する。
【
図2JK】
図2Jは、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で染色した、結腸、十二指腸、および胃の組織の画像を提供する。スケールバー=400μm。
図2Kは、1週間または3週間、ex vivoにおいて培養した、胃、十二指腸、または結腸に由来する組織外植片の生存死滅分析の画像を提供する。スケールバー=200μm。
【
図2L】
図2Lは、結腸、十二指腸、および胃の組織外植片における様々なモデル薬物の灌流の変動性分析を示すグラフを提供する。
【
図2MN】
図2Mは、高スループットのアッセイに使用される384ウェルプレートデバイスの設定の概略図を示す画像である。
図2Nは、フルオレセイン(FITC)およびFITC-デキストラン4kDaの灌流の変動性分析を示すグラフである。相対標準偏差(σ)は、それぞれが2つの異なる動物バッチに由来する500個の試料にわたる変動性を示す。
【
図3A】
図3Aは、2連で行った6回の独立した実験により得られたおよそ60個のモデル薬物の灌流分析を示す箱ひげ図である。
【
図3B】
図3Bは、腸組織外植片から得られた灌流値と、文献において報告されているヒト吸収との間の相関を示すグラフである。
【
図3C】
図3Cは、4連で行った3回の独立した実験にわたり、小腸における異なるセグメント(十二指腸、空腸、および回腸)を使用した、モデル薬物パネルの灌流の測定を示す箱ひげ図を提供する(n=12)。
【
図3D】
図3Dは、様々な濃度のMDR-1阻害剤ベラパミルの存在下における、MDR-1の選択的な蛍光基質の腸吸収の用量依存的な阻害を示す、グラフである。
【
図3E】
図3Eは、2連で行った3回の独立した実験により得られた天然の腸液におけるモデル薬物の灌流分析を示す箱ひげ図である。
【
図4A】
図4は、緩徐、中等度、または高速な腸吸収を有することが公知の様々なモデル薬物の灌流の時間経過分析を示すグラフを提供する。グラフは、4時間にわたる12個の個別の経過時間を示す。
【
図5A-1】
図5Aは、2つの賦形剤の組み合わせに基づく2976個の製剤を用いて製剤化したAlexa488-オキシトシンの灌流スクリーニングによって得られたデータのヒートマップを提供する。色分けは、製剤化していない対照と比較した、変化倍数(fold change)を示す(赤色=負の変化、黒色=変化なし、緑色=3倍の増加、青色は3倍を上回る増加)。
【
図5B】
図5Bは、オキシトシン灌流増強剤として使用したポリエチレンイミン(PEI)の用量依存性検証実験を示す箱ひげ図である。結果は、2連で行った3回の独立した実験を示す。
【
図5C】
図5Cは、様々な小分子または巨大分子モデル薬物を用いたPEI製剤の灌流分析を示す棒グラフである。結果は、2連で行った3回の独立した実験を示す。エラーバーは、標準偏差を示す。
【
図5D】
図5Dは、様々な小分子または巨大分子モデル薬物を用いたPEI 25kDa(左)およびPEI 800Da(右)の灌流分析を示す棒グラフを提供する。結果は、2連で行った3回の独立した実験を示す。
【
図5E】
図5Eは、2時間の時間過程にわたる、ブタにおけるPEI-オキシトシン、鉱油-オキシトシン、オキシトシンのみ、およびPEIのみの蓄積血漿レベル濃度を示す棒グラフである。結果は、条件1つにつき4回の実験を表す。
【
図6A】
図6Aは、超音波を使用してcy3.3-siRNAをトランスフェクトした腸組織外植片の共焦点顕微鏡分析の画像を提供する。スケールバー=200μm。
【
図6B】
図6Bは、トランスフェクション後に48時間インキュベートした後の、陰性対照siRNA(siRNAスクランブル)および未処置対照と比較した、siABCB1(MDR1)またはsiCYP3A4をトランスフェクトした溶解物のウエスタンブロット分析の定量化を示すグラフを提供する。
【
図6C】
図6Cは、siCYP3A4またはsiMDR-1をトランスフェクトした腸組織外植片におけるラニチジン(Rantidine)(CYP3A4基質)ならびにキニンおよびキニジン(MDR-1基質)の灌流分析を示す棒グラフを提供する。結果は、2連で行った3回の独立した実験を示す。エラーバーは、標準偏差を示す。
【
図7AB】
図7Aは、6時間にわたって、それぞれ500個の試料で、小腸組織外植片における2つの異なる標的遺伝子(標的遺伝子1および標的遺伝子2)に対するFAM標識したアンチセンスオリゴヌクレオチドの灌流動態を示すグラフを提供する。
図7Bは、様々な濃度における、2つの異なる標的遺伝子(標的遺伝子1および標的遺伝子2)に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドならびにFAMのみとともにインキュベートした、基底膜側および頂端側の小腸組織のFAM蛍光シグナルの変動性分析を示す(n=192~288)。
【
図7C】
図7Cは、組織蓄積増強剤および組織灌流増強剤を特定するために、基底膜側の組織蓄積変化倍数および灌流変化倍数を比較する、小腸組織外植片におけるFAMをコンジュゲートしたアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた共製剤(co-formulation)のスクリーニングにより得られた結果を示すグラフである。
【
図7D】
図7Dは、小腸組織外植片における標的遺伝子(標的遺伝子1)に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドのノックダウン効率の割合を示す箱ひげ図であり、ここで、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、6つの異なる製剤において製剤化した。
【
図8】
図8は、様々な濃度でSDSにおいて製剤化したインドメタシンの溶解データ(左)、ならびにSDSにおいて製剤化したインドメタシンまたは製剤化していないインドメタシンで処置した腸組織外植片から得られた溶解および吸収の値の比較を示すグラフを提供する。
【
図9】
図9は、腸液の存在下で、腸組織外植片における、示される製剤において製剤化したメロキシカムの灌流を示すグラフを提供し、ここで、メロキシカムの濃度は固定であった。
【
図10】
図10は、腸組織外植片における、示される製剤において製剤化したメロキシカムの灌流を示すグラフを提供し、ここで、腸内での希釈を模倣するために、異なるメロキシカム濃度を試験した。
【
図11】
図11は、公知のGLP-1刺激因子であるアセチルコリン(左)、LiCl(中央)、およびグルコース(右)で処置したときの、ELISAによって決定される、腸組織外植片のGLP-1の刺激を示すグラフを提供する。
【
図12】
図12は、24時間、48時間、または72時間、ex vivoにおいて培養した後に、様々な用量のギ酸、ホルマリン、またはメタノールに曝露した、腸組織外植片の生存度の割合を示す。
【
図13】
図13は、食道(左)、胃(中央)、および小腸(右)に由来し、エタノール(上)、メタノール(中央)、またはホルマリン(下)で処置した、組織外植片における生存度の割合を示すグラフを提供する。
【
図14】
図14は、局所的胃腸毒性を有するか、または胃腸毒性を有さないとして分類される薬物と比較した、腸組織外植片の生存度の割合、または細胞株のLogIC
50の値を示す、グラフを提供する。
【
図15】
図15は、3つの異なる製剤において製剤化したナプロキセン(左)またはドキシサイクリン(右)で処置した腸組織外植片の細胞生存度の割合を、薬物単独および陰性対照(100%エタノール)と比較して示すグラフを提供する。
【
図16】
図16は、中に載置された組織外植片を示す、本開示の基材またはプレートアセンブリの別の実施形態の概略斜視図である。
【
図17】
図17は、本開示の教示による
図16のプレートアセンブリの上部プレートの底面図である。
【
図18】
図18は、本開示の教示による
図16のプレートアセンブリの底部プレートの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0103】
定義
特許請求の範囲および明細書において使用される用語は、別途指定されない限り、以下に記載のように定義される。
【0104】
本明細書および特許請求の範囲において使用されるとき、単数形の「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」が、文脈により別途明確に示されない限り、複数形の参照物を含むことに留意する必要がある。
【0105】
本明細書において使用されるとき、「約」は、当業者によって理解され、それが使用される文脈に応じていくらか変動するであろう。この用語が使用される文脈を考慮して、当業者にとって明確でないこの用語の使用が存在する場合には、「約」は、最大で、特定の値のプラスまたはマイナス10%を意味する。
【0106】
本明細書において使用されるとき、「構成」とは、組織内の特定の細胞型および細胞の周囲の細胞外マトリクスを含む、組織構造を指す。一部の実施形態では、本開示のin vitro細胞構成物は、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管またはヒト胃腸管に由来する腸上皮を含む組織外植片を含み、ここで、腸上皮は、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含み、本明細書に記載されるin vitro細胞構成物は、それの由来となった組織(たとえば、小腸)の供給源構成(たとえば、in vivo構成)のすべてまたは実質的な部分を実質的に維持する。たとえば、組織外植片が、組織外植片において極性を有する上皮細胞を含む腸上皮を含む場合、組織外植片における上皮細胞の極性は、in vitro細胞構成物およびその使用において、それの由来となった組織(たとえば、小腸)の供給源構成のように、実質的に維持される。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、in vivo構成を模倣する。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、小腸のin vivo構成を模倣する。一部の実施形態では、組織外植片は、in vivo構成を模倣し、ここで、それは、それの由来となったin vivo組織を表す1つまたは複数の物理的構造を含む。たとえば、組織外植片が、小腸に由来する場合、組織外植片は、それの由来となった組織に由来する小腸の少なくとも1つの構造を含むことによって、たとえば、インタクトな陰窩、腸上皮、輪走筋層、および/もしくは絨毛、または前述のものの任意の組み合わせを含むことによって、小腸のin
vivo構成を模倣する。一部の実施形態では、組織外植片は、それの由来となった組織の構造の1つもしくは複数または大部分を含むことによって、たとえば、インタクトな陰窩、腸上皮、輪走筋層、および/もしくは絨毛、または前述のものの任意の組み合わせを含むことによって、in vivo構成を模倣する。一部の実施形態では、組織外植片は、それの由来となった組織(たとえば、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管またはヒト胃腸管)に由来するインタクトな陰窩、腸上皮、輪走筋層、および絨毛を含む。一部の実施形態では、組織外植片の構成、および組織外植片が、それが由来する組織のin vivo構成を模倣するかどうかの決定は、当該技術分野において公知の標準的な技法によって、たとえば、本明細書に記載される方法(たとえば、組織学的染色)によって本開示のin vitro細胞構成物における組織外植片の構造を、当業者に利用可能な画像または情報(たとえば、外植片が由来する組織のこれまでに入手した画像)と比較することによって、決定することができる。一部の実施形態では、比較は、ex vivoにおいて培養した組織外植片と、新しく切除した組織外植片との間で行われる。
【0107】
本明細書において使用されるとき、「基底膜側表面」は、組織外植片が、頂端側/管腔側-基底膜側極性を含むように、基材と接触するときの組織外植片の配向を指す。一部の実施形態では、基底膜側表面は、頂端側表面、すなわち、管腔側表面の反対側である。
【0108】
本明細書において使用されるとき、「接触させること」とは、基材を本明細書に記載される組織外植片の上に置くこと(もしくは組織外植片を基材と接触させること)、または目的の化合物を本明細書に記載されるin vitro細胞構成物の上に置くこと(もしくは目的の化合物をin vitro細胞構成物と接触させること)のいずれかを指す。
【0109】
本明細書において使用されるとき、「検出すること」、「検出する」、および「検出」とは、試料中の目的の化合物(たとえば、薬物、薬剤など)の特定および/または定量化を指す。一部の実施形態では、検出することは、試料中の目的の化合物の不在または存在を決定することを含む。一部の実施形態では、検出することは、試料中の目的の化合物を定量化することを含む。一部の実施形態では、検出することは、異なる時点において、試料中の目的の化合物を特定および/または定量化することを含む。一部の実施形態では、検出することは、第1の試料および第2の試料中の目的の化合物を特定および/または定量化することを含む。
【0110】
本明細書において使用されるとき、「薬物吸収」または「薬物灌流」とは、投与後の薬物の、血流内へのおよび組織を通じた移動、ならびに薬物と組織外植片との接触後の薬物の、組織外植片を通じた移動を指す。薬物の吸収または灌流は、薬物の物理化学的特性、製剤、および投与経路によって決定される。
【0111】
本明細書において使用されるとき、「薬物溶解」は、剤形(たとえば、錠剤)の薬物が、吸収されて全身循環に入る前に、胃腸管の流体において溶解される速度を指す。
【0112】
本明細書において使用されるとき、「薬物トランスポーター」とは、細胞膜を越えて薬物を移動させるタンパク質を指す。一般に、薬物トランスポーターは、ATP結合カセット(ABC)ファミリーおよび溶質輸送体(SLC)ファミリーという2つの主要なスーパーファミリーに分割される。ABCトランスポーターは、ATP加水分解によるエネルギーを利用して、膜を越えて基質(たとえば、薬物)を輸送する、一次性能動トランスポーターである。SLCトランスポーターは、膜を越えて基質を勾配の低い方に輸送する促進性トランスポーター、または別の基質の下方輸送(downhill transport)をカップリングすることによって膜を越えて基質を勾配に逆らって輸送する二次性能動トランスポーターのいずれかであり得る。
【0113】
本明細書において使用されるとき、「外因性」とは、生物、組織、または細胞の外部を起源とするか、または外部から産生される、分子または組成物を指す。
【0114】
本明細書において使用されるとき、「細胞外マトリクス」とは、コラーゲン、プロテオグリカン/グルコサミノグリカン、エラスチン、フィブロネクチン、ラミニン、および複数の他の糖タンパク質から構成される、複雑な非細胞性3次元巨大分子ネットワークを指す。これらの分子は、細胞によって局所的に分泌され、それらと緊密に会合したままとなって、構造的、接着性、および生化学的シグナル伝達支持体をもたらす。
【0115】
本明細書において使用されるとき、「ex vivo」とは、生物の外部で生じる状態を指す。一部の実施形態では、ex vivoは、外部環境において生物に由来する組織内または組織上に行われる実験または測定を指す。
【0116】
本明細書において使用されるとき、「胃腸管」は、食物および液体の摂取、消化、および排泄に関与する、器官および領域の完全なシステムを指す。このシステムは、一般に、口、食道、胃および/または反芻胃、腸(小腸および大腸)、盲腸(複数の盲腸)、発酵曩(fermentation sac)、ならびに肛門からなるが、これらに限定されない。
【0117】
本明細書において使用されるとき、「高スループット」とは、実験の並列化を指す。具体的には、1つずつ順番に行われる単一の実験とは対照的に、複数の実験を同時に実行することができる。一部の実施形態では、高スループットの実験は、自動化された技法を使用して行われる。
【0118】
本明細書において使用されるとき、「腸細胞」とは、哺乳動物の腸上皮をなす細胞を指す。哺乳動物の胃腸管の腸上皮は、十分に定義されている組織構造を有する。上皮は、分化した細胞を収容する機能性領域(絨毛)および上皮幹細胞のニッチを表す増殖性領域(リーベルキューン陰窩)という2つの領域に分割することができる。多能性上皮幹細胞は、陰窩に存在し、吸収性エンテロサイト、ムチン分泌性杯細胞、ペプチドホルモン分泌性腸内分泌細胞、およびパネート細胞という4つの主要な上皮系統を生じる。
【0119】
本明細書において使用されるとき、「腸」とは、哺乳動物の小腸および哺乳動物の大腸を指す。
【0120】
本明細書において使用されるとき、「上皮幹細胞」と互換可能に使用される「腸幹細胞」とは、増殖し、腸上皮細胞に分化する能力を有する幹細胞を指す。多能性上皮幹細胞は、様々な上皮系統を生じ、吸収性エンテロサイト、ムチン分泌性杯細胞、ペプチドホルモン分泌性腸内分泌細胞、およびパネート細胞を含むすべての腸上皮系統を生じ得る。
【0121】
本明細書において使用されるとき、「in vitro」とは、生きた生物の外部で行われるかまたは生じる、プロセスを指す。一部の実施形態では、これらのプロセスは、培養皿において行われるかまたは生じる。
【0122】
本明細書において使用されるとき、「in vivo」とは、生きた生物において生じるプロセスを指す。
【0123】
本明細書において使用されるとき、「粘膜固有層」とは、疎性結合組織または密性交織結合組織(dense irregular connective tissue)の薄い層を指し、これは、上皮の下に位置し、上皮と一緒に粘膜を構成する。
【0124】
本明細書において使用されるとき、「筋板」、「粘膜筋板」、および「粘膜筋」とは、粘膜固有層の外側に位置し、粘膜下層とは分離した、胃腸管の筋肉の薄い層を指す。
【0125】
本明細書において使用されるとき、「大型の哺乳動物」とは、性別にかかわらず正常な成熟した成体が、少なくとも1キログラムの体重に達し得る種を指す。一部の実施形態では、大型の哺乳動物は、有蹄類(すなわち、ブタ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ロバ、シカ、アンテロープなどといった、蹄のある哺乳動物)である。一部の実施形態では、大型の哺乳動物は、家畜(すなわち、ブタ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ウサギ、および関連物など農業目的で、ならびに/またはロバ、ウマ、ゾウ、ラクダ、ラマなどといった役畜として、飼育される哺乳動物)である。一部の実施形態では、大型の哺乳動物は、ヒトである。
【0126】
本明細書において使用されるとき、「管腔側表面」とは、組織外植片が、頂端側/管腔側-基底膜側極性を含むように、基材と接触するときの組織外植片の配向を指す。一部の実施形態では、管腔側表面は、基底膜側表面の反対側である。
【0127】
本明細書において使用されるとき、「培養物中に維持される」とは、人工環境において特定の細胞型の増殖または生存に必要とされる条件の継続的な適用を指す。一部の実施形態では、人工環境には、必須栄養素(たとえば、アミノ酸、炭水化物、ビタミン、ミネラル)、増殖因子、ホルモン、ガス(たとえば、O2、CO2)、および物理化学的環境(たとえば、pH、浸透圧、温度)を供給する、培養基または培地が含まれる。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、最大で1週間、培養物中で維持される。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、最大で2週間、培養物中で維持される。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、最大で3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、13週間、14週間、15週間、16週間、または17週間、培養物中で維持される。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、最大で18週間、培養物中で維持される。
【0128】
本明細書において使用されるとき、「薬物代謝酵素」、「DME」、および「代謝酵素」とは、薬物、発癌物質、殺虫剤、汚染物質、および食物中毒物質を含む、広範な生体異物の化学物質、ならびに内因性化合物、たとえば、ステロイド、プロスタグランジン、および胆汁酸を代謝することを担う、ポリペプチドを指す。DMEによる代謝による化学物質の生体内変換は、より親水性の極性実体を形成し、これにより、体からのそれらの排出が増強され、一般に薬理学的に不活性であり相対的に非毒性である化合物がもたらされる。一部の実施形態では、代謝による生体内変換は、薬理学的活性を有する代謝産物の形成をもたらし得る。生体異物は、酸化、還元、加水分解、および抱合という4つの異なる反応によって代謝される。酸化、還元、および加水分解は、第I相反応と称され、抱合は、第II相反応と称される。酸化による第I相DMEには、シトクロムP450(CYPまたはP450)、フラビン含有モノオキシゲナーゼ(FMO)、モノアミンオキシダーゼ(MAO)、およびキサンチンオキシダーゼ/アルデヒドオキシダーゼ(XO/AO)が含まれる。抱合による第II相DMEには、ウリジン5’-ジホスホ(UDP)-グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)、スルホトランスフェラーゼ(SULT)、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)、N-アセチルトランスフェラーゼ(NAT)、ならびにメチル(N-メチル-、チオメチル-、およびチオプリンメチル-)トランスフェラーゼが含まれる。薬物の代謝に関与するDMEのうち、主要な役割を果たすものは、P450酵素であり、続いて、UGTおよびエステラーゼである。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、第I相および第II相の代謝酵素を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、シトクロムP450酵素およびUGT酵素を含む。
【0129】
本明細書において使用されるとき、「遺伝子発現の調整」とは、遺伝子の誘導および抑制における変化を指す。遺伝子制御に関与する機序としては、遺伝物質に対する構造的および化学的変化、転写を制御する特定のDNAエレメントに対するタンパク質の結合、ならびに/またはmRNAの翻訳を調整する機序が挙げられる。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片の遺伝子発現が、調整される。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片に存在する少なくとも1つの薬物トランスポーターの遺伝子発現が、調整される。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片に存在する少なくとも1つの代謝酵素の遺伝子発現が、調整される。
【0130】
本明細書において使用されるとき、「粘液」とは、通常、ムチンが豊富であり、粘液の膜によって産生される、粘液の膜を湿潤させ、保護する、粘性分泌物を指す。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、粘液を産生する。
【0131】
本明細書において使用されるとき、「外筋層」とは、粘膜下層を漿膜下層と分離する、輪走筋層および縦走筋層(longitudinal muscle layer)を指す。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、インタクトな外筋層を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、輪走筋層のみを含む。
【0132】
本明細書において使用されるとき、「経口バイオアベイラビリティ」とは、薬物または他の物質が、経口投与の後に、標的組織に利用可能となる程度を指す。バイオアベイラビリティは、薬物または他の物質の物理化学的特性、たとえば、溶解、膜輸送、化学的安定性など、ならびに宿主との相互作用、たとえば、代謝運命、分布、およびクリアランスに関連する。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、目的の薬物または他の物質の経口バイオアベイラビリティを予測する。
【0133】
本明細書において使用されるとき、「ピアソンの積率相関係数」または「ピアソンの相関係数」とは、2つの変数間の直線的関連の強度の測定を指し、「r」で示される。
【0134】
本明細書において使用されるとき、「平面接触」は、組織外植片が、基材の2次元表面と相互作用するような、基材における組織外植片の配置を指す。平面接触は、当業者に公知の方法によって決定することができる。たとえば、平面接触を分析するための方法は、(i)組織外植片を、組織を染色するためのマーカー(たとえば、色素)を含む溶液と接触させること、および(ii)組織の表面上の染色を、写真による検査、分光光度法、またはレーザースキャナーによって検出することを含む。組織外植片は、基材と接触した範囲内のマーカーの変動性に、マーカーを含む溶液に完全に浸漬させた非載置組織の同等の範囲内と比較して、有意差がない場合、基材と平面接触にあると考えられる。別の例では、平面接触は、(i)基材を、基材の表面上に均一な層を形成するマーカーでコーティングし、(ii)基材を、組織外植片と接触させ、(iii)組織外植片を基材から離した後に組織外植片上に得られた染色を、目視検査によって分析することによって、決定される。組織外植片は、組織が、組織全体にわたって、基材のパターンと相関性のある、規則的なマーキングパターンを示す場合に、基材と平面接触にあるとみなされる。
【0135】
本明細書において使用されるとき、「極性」は、細胞質内の細胞骨格および細胞小器官の配置とともに、関連するタンパク質を伴う細胞膜の組織化を指す。たとえば、上皮細胞は、外側の管腔に面する頂端側から、細胞外マトリクスまたは隣接する細胞のいずれかに面する基底膜側へと延在する細胞軸に沿って、組織化される。頂端-基底膜の極性軸に加えて、上皮細胞は、組織の平面内で、「組織極性」または「平面極性」と称される、近位-遠位の軸に沿って配向されることも多い。一部の実施形態では、上皮細胞の頂端-基底膜の極性軸は、供給源組織からの除去の後、組織外植片において維持される。一部の実施形態では、上皮細胞の頂端-基底膜の極性軸は、基材との接触の後、組織外植片において維持される。一部の実施形態では、上皮細胞の頂端-基底膜の極性軸は、本明細書に記載される方法における使用の後、in vitro細胞構成物において維持される。一部の実施形態では、近位-遠位の極性軸は、供給源組織からの除去の後、組織外植片において維持される。一部の実施形態では、上皮細胞の近位-遠位の極性軸は、基材との接触の後、組織外植片において維持される。一部の実施形態では、上皮細胞の近位-遠位の極性軸は、本明細書に記載される方法における使用の後、in vitro細胞構成物において維持される。一部の実施形態では、頂端-基底膜の極性軸および近位-遠位の極性軸の両方が、基材との接触の後、組織外植片において維持される。一部の実施形態では、上皮細胞の頂端-基底膜の極性軸および近位-遠位の極性軸は、基材との接触の後、組織外植片において維持される。一部の実施形態では、上皮細胞の頂端-基底膜の極性軸および近位-遠位の極性軸は、本明細書に記載される方法における使用の後、in vitro細胞構成物において維持される。極性を決定する方法は、当業者に公知である。そのような方法についての考察は、Cell Polarity and Morphogenesis(Academic Press、2017年、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)の第7章において見出すことができる。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片の極性は、目視(たとえば、顕微鏡法による)検査によって分析される。たとえば、一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、2つまたはそれを上回る遺伝子的に異なる細胞集団を含み、極性は、1つの細胞サブセットのみにおける標識されたタンパク質の発現によって決定され、続いて、顕微鏡技法によって視覚化され得る。一部の実施形態では、免疫組織化学法および蛍光レポートのライブ画像を使用して、タンパク質をそれらの組織の状況において視覚化し、それらの分布を評価する。一部の実施形態では、細胞の極性化は、蛍光画像におけるタンパク質の局在化を分析し、タンパク質が存在する領域と、タンパク質が弱く局在化しているかまたは不在である領域との間の蛍光強度の比を計算することによって、定量化される。蛍光比は、非対称的なタンパク質分布の定量的尺度を提供する。Marcinkevicius, E.ら、J. Biol.、2009年、第8巻(12号):103頁を参照されたく、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、蛍光比は、Shimoni,
R.ら、PLos ONE、2014年、第9巻(6号):e99885に記載されているように、適切な分析環境を選択し、内部対照を組み込むことによって、正規化され、この文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0136】
本明細書において使用されるとき、「再使用可能」とは、1回を上回る実験に続けて供することができる組織外植片の能力を指す。
【0137】
本明細書において使用されるとき、「応答性」とは、刺激によって誘起される反応を指す。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、刺激に対して応答性である。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、グルコースに対して応答性である。一部の実施形態では、GLP-1活性の増加(たとえば、活性GLP-1 7-36の濃度の増加)は、組織外植片が、グルコースに対して応答性であることを示す。一部の実施形態では、組織外植片の頂端側を、グルコースと接触させると、GLP-1活性が増加する。一部の実施形態では、消化管ホルモンおよび/または組織挙動の調整は、組織外植片が、グルコースに対して応答性であることを示す。消化管ホルモンおよび組織挙動を測定するための方法は、本明細書に記載されている。
【0138】
本明細書において使用されるとき、「基材」とは、何らかのもの、たとえば、細胞、細胞培養物、細胞培養材料などの下にある表面もしくは層、または上でプロセスが生じる表面もしくは層を指す。一部の実施形態では、基材は、生物が生存、増殖、および/または必要に応じて栄養素を獲得する、表面または材料である。「基材」という用語はまた、上に別の材料が堆積される、表面または層、たとえば、基底表面または層も指す。例示的な基材としては、ガラス、シリコン、ポリマー材料、プラスチック(たとえば、組織培養プラスチック)などが挙げられるが、これらに限定されない。基材は、スライド、チップ、ウェルなどであり得る。
【0139】
本明細書において使用されるとき、「組織外植片」とは、単離された組織片(複数可)を指す。一部の実施形態では、組織外植片は、胃腸管から単離される。
【0140】
組織外植片
本明細書に記載される組織外植片は、それらが由来するin vivo組織の特徴を提供するため、本明細書に記載される方法において有用である。特徴としては、限定されないが、増殖を伴う組織増大の延長、多系列分化、ならびに上皮組織、粘膜下層組織、および間質環境を含む細胞および組織の構成の再現が挙げられる。
【0141】
一部の実施形態では、本開示において使用するための組織外植片としては、胃、小腸、十二指腸、食道、頬側、結腸、または舌に由来する組織が挙げられるが、これらに限定されない。
【0142】
A.組織外植片を得るための方法
本明細書に記載される組織外植片は、培養、in vivo構成の維持、および組織機能の再現、たとえば、長期もしくは延長された培養、in vivo構成の維持、および組織機能の再現、ならびに本明細書に記載される方法における使用を提供する。本明細書に記載される組織外植片は、目的の組織(たとえば、小腸)の分析および高スループットのスクリーニングアッセイに有用である。
【0143】
一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、ヒトまたは大型の非ヒト哺乳動物のいずれかに由来する。一部の実施形態では、大型の非ヒト哺乳動物としては、有蹄類(すなわち、ブタ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ロバ、シカ、アンテロープなどといった、蹄のある哺乳動物)、ならびにより一般的には、家畜(すなわち、ブタ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ウサギ、および関連物など農業目的で、ならびに/またはロバ、ウマ、ゾウ、ラクダ、ラマなどといった役畜として、飼育される哺乳動物)が挙げられる。一部の実施形態では、大型の非ヒト哺乳動物は、ブタである。
【0144】
一部の実施形態では、目的の組織(たとえば、小腸)は、外科手術によって得られる。一部の実施形態では、目的の組織(たとえば、小腸)は、瀉血(すなわち、失血)後に外科手術によって得られる。一部の実施形態では、得られる組織外植片は、目的の基材の長さおよび幅のものである。一部の実施形態では、得られる組織外植片は、標準的な6、12、24、48、96、384、1536、または3456ウェルのプレートの長さおよび幅のものである。一部の実施形態では、得られる組織外植片は、標準的な6、12、24、48、96、384、1536、または3456ウェルのプレートの長さおよび半分の幅のものである。一部の実施形態では、組織外植片は、長さが約127.8mmであり、幅が約42.75mmである。一部の実施形態では、組織外植片は、長さが約127.8mmであり、幅が85.5mmである。
【0145】
一部の実施形態では、動物の年齢は、組織外植片の維持および機能に対する影響を有し得る。一部の実施形態では、動物は、3週齢~12週齢である。一部の実施形態では、動物は、3週齢である。一部の実施形態では、動物は、12週齢である。一部の実施形態では、動物は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15週齢である。一部の実施形態では、動物は、1、2、3、4、5、6、または7ヶ月齢である。一部の実施形態では、胎児組織が利用される。
【0146】
一部の実施形態では、組織外植片は、切開の後に、生理食塩水系列中に浸漬される。一部の実施形態では、組織外植片は、切開の後に、70%エタノール中に浸漬され、続いて、生理食塩水で洗浄される。一部の実施形態では、生理食塩水には、抗生物質溶液が補充されている。一部の実施形態では、生理食塩水には、抗真菌溶液が補充されている。一部の実施形態では、生理食塩水には、抗生物質溶液および抗真菌溶液が補充されている。抗生物質溶液および抗真菌溶液は、当業者に公知である。たとえば、Gibco(登録商標)抗生物質-抗真菌溶液は、本明細書に記載される方法において有用である。一部の実施形態では、抗生物質および/または抗真菌溶液は、ペニシリン、ストレプトマイシン、Gibco(登録商標)アムホテリシンB、またはこれらの組み合わせを含む。
【0147】
一部の実施形態では、組織外植片は、公知の保存溶液中に浸漬される。保存溶液の例としては、クレブス-ヘンゼライト溶液、UW溶液、St.Thomas第II溶液、コリンズ溶液、およびスタンフォード溶液が挙げられるが、これらに限定されない(たとえば、米国特許第4,798,824号および同第4,938,961号、SouthardおよびBelzer、Ann. Rev. Med.、46巻:235~247頁(1995年)、ならびにDonnellyおよびDjuric、Am. J. Hosp. Pharm.、48巻:2444~2460頁(1991年)を参照されたい)。溶液は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、グルタメート、アルギニン、アデノシン、マンニトール、アロプリノール、グルタチオン、ラフィノース、およびラクトビオン酸のうちの1つまたは複数を含有し得る。一部の実施形態では、溶液は、約7.2~7.4の生理学的pHで維持される。
【0148】
一部の実施形態では、組織は、切開の前に、氷上で保持される。したがって、一部の実施形態では、溶液は、使用される前は、4℃である。
【0149】
組織外植片は、続いて、目的の基材(たとえば、マルチウェルのプレート)に載置され、気密容器において37℃で、培養培地中で培養される。一部の実施形態では、培養培地は、血清不含である。一部の実施形態では、培養培地は、血清を含む。
【0150】
一部の実施形態では、培養培地は、外因性増殖因子(たとえば、Wnt3a)を含有しない。一部の実施形態では、組織外植片は、間質層の存在に起因して、外因性増殖因子を必要としない。一部の実施形態では、培養培地は、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)またはAdvanced DMEM/F-12である。一部の実施形態では、培養培地は、ウシ胎仔血清(FBS)を含む。一部の実施形態では、培養培地は、EGF組換えヒトタンパク質を含む。一部の実施形態では、FBSおよび/またはEGFの存在は、組織外植片の生存度に影響を及ぼさない。
【0151】
一部の実施形態では、組織外植片は、ヒトまたは大型の非ヒト哺乳動物の胃腸管に由来する。胃腸管は、口、食道、胃および/または反芻胃、腸(小腸および大腸)、盲腸(複数の盲腸)、発酵曩、ならびに肛門を含む。一部の実施形態では、組織外植片は、腸に由来する。一部の実施形態では、組織外植片は、小腸に由来する。
【0152】
成体のヒトでおよそ8メートルある腸は、吸収、分泌、および免疫の機能を含む、生理学的恒常性において多くの役割を果たす。これらの本質的な役割と一致して、腸の疾患は、ヒトの罹患率および死亡率の無視できない原因である。実際に、がん、炎症性腸疾患、腸間膜虚血、先天性の症候群、ならびに外傷を含む、多数の病的状態は、付随する腸切除があるかないかにかかわらず、「短腸」症候群をもたらし、生理学的な腸機能の重篤な欠如および実効腸不全の発症がもたらされる。
【0153】
腸は、すさまじい再生能力を有する器官であり、それによって、増殖性の陰窩領域に存在する幹細胞は、多系列分化の能力がある始原細胞を生じる。腸幹細胞(ISC)は、5~7日ごとに、成体のヒトの腸の8メートルの長さ全体の上皮に再配置することができ、粘膜防御の完全性を維持するのを補助し、損傷時の組織修復を実行する。ISCニッチは、複雑な構成要件を有し、それによって、増殖性の陰窩を包んでいる筋線維芽細胞が、陰窩幹細胞および/または始原細胞に本質的なシグナルを提供すると考えられている。
【0154】
小腸は、十二指腸、空腸、および回腸という3つの異なる領域を有する。十二指腸は、胃の遠位端に接続されており、胆汁を受容し、膵管を通じて膵液を受容する。空腸および回腸は、食物の分解よりも、栄養素および水分の吸収を主に行う。
【0155】
一部の実施形態では、組織外植片は、小腸の空腸に由来する。一部の実施形態では、組織外植片は、小腸の回腸に由来する。一部の実施形態では、組織外植片は、小腸の十二指腸に由来する。
【0156】
B.組織外植片の組成
組織
腸
胃腸管の他の部分と同様に、小腸は、粘膜、粘膜下層、外筋層、および漿膜の4つの基本的な層から構成される。小腸は、身体の主要な消化器官であり、消化が完了し、ほぼすべての吸収が生じる部位である。小腸は、栄養素の吸収に高度に適合されている。小腸の長さが長いこと、およびその内部表面の修飾の両方により、極めて大きな表面積が提供され、吸収が非常に増強されている。
【0157】
腸のもっとも外側の層である漿膜は、漿液を分泌する細胞の薄い層、および結合組織の薄い層からなる平滑な膜である。粘膜下層膜に隣接する外筋層は、内側の輪走筋層および外側の縦走平滑筋層という2つの筋層を含む。外筋層は、消化管の運動(すなわち、蠕動運動)を担う。粘膜下層は、粘膜を支持し、それを下にある平滑筋に結合させる、密性交織結合組織または疎性結合組織の層である。小腸のもっとも内側の層および内壁は、粘膜である。粘膜は、消化酵素およびホルモンを分泌する、粘液の膜である。粘膜は、腸絨毛、上皮、および粘膜固有層を含む。粘膜固有層は、上皮の下に位置し、上皮と一緒に粘膜を構成する、疎性結合組織または密性交織結合組織の薄い層である。
【0158】
一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、漿膜、外筋層、粘膜下層、および粘膜を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、外筋層、粘膜下層、および粘膜を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、内側の輪走平滑筋、粘膜下層、および粘膜を含む。これらの構造を特定するための方法としては、たとえば、組織学的染色(たとえば、ヘマトキシリンおよびエオシン染色)、続いて顕微鏡分析による、目視検査が含まれる。そのような方法を使用して、当業者であれば、組織外植片の様々な構造を特定することができる。
【0159】
一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、完全にインタクトな細胞外マトリクスを含む。一部の実施形態では、細胞外マトリクスは、粘膜固有層を含む。一部の実施形態では、細胞外マトリクスは、筋板を含む。
【0160】
一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、本明細書に記載されるように、極性(たとえば、上皮細胞極性)を維持する。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、平面位置にあり、それによって、管腔側表面および基底膜側表面が提供される。一部の実施形態では、いずれの表面も、アクセス可能である。極性を決定する方法は、当業者に公知である。そのような方法についての考察は、Cell Polarity and Morphogenesis(Academic Press、2017年、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)の第7章において見出すことができる。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片の極性は、目視(たとえば、顕微鏡法による)検査によって分析される。たとえば、本明細書に記載される組織外植片は、2つまたはそれを上回る遺伝子的に異なる細胞集団を含むため、極性は、1つの細胞サブセットのみにおける標識されたタンパク質の発現によって決定され、続いて、顕微鏡技法によって視覚化され得る。一部の実施形態では、免疫組織化学法および蛍光レポートのライブ画像を使用して、タンパク質をそれらの組織の状況において視覚化し、それらの分布を評価する。一部の実施形態では、細胞の極性化は、蛍光画像におけるタンパク質の局在化を分析し、タンパク質が存在する領域と、タンパク質が弱く局在化しているかまたは不在である領域との間の蛍光強度の比を計算することによって、定量化される。蛍光比は、非対称的なタンパク質分布の定量的尺度を提供する。Marcinkevicius, E.ら、J. Biol.、2009年、第8巻(12号):103頁を参照されたく、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。一部の実施形態では、蛍光比は、Shimoni, R.ら、PLos ONE、2014年、第9巻(6号):e99885に記載されているように、適切な分析環境を選択し、内部対照を組み込むことによって、正規化され、この文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0161】
一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、それが由来する腸組織のin vivo構成を維持する。一部の実施形態では、in vivo構成は、当業者に公知であり下に記載されている方法による、目視検査によって、決定される。たとえば、一部の実施形態では、in vivo構成の維持の決定は、新しく切除した組織を、ex vivoにおいて経時的に培養した組織外植片と比較することを含む。
【0162】
内部粘膜表面の指のような伸長部である腸絨毛は、腸の吸収および消化の機能の特徴である主要な専門化のうちの1つである。絨毛を含む上皮細胞は、大部分が吸収性細胞またはエンテロサイトである。それらが特定のイオンおよび栄養素を分泌、吸収、および消化する能力は、腸の長さに沿ったそれらの位置に依存する。エンテロサイトは、それ自体が、微絨毛を有し、粘膜表面に、しばしば「刷子縁」と称される毛羽立った外観をもたらしている。微絨毛は、消化を補助する酵素、たとえば、二糖分解酵素およびペプチダーゼを含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、エンテロサイトを含む。一部の実施形態では、エンテロサイトは、ビリン、e-カドヘリン、ケラチン20、および/または脂肪酸結合タンパク質1(FABP1)の存在によって特定される。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、絨毛を含む。
【0163】
腸粘液層は、重要な保護的役割を果たす。粘液層は、主として、ムチンから構成される。ムチンは、セリンおよびスレオニンが豊富なタンパク質骨格構造を有する高度にグリコシル化された大型の糖タンパク質であり、これらは、分子の重量の70%よりも多くを占める広範なO結合型オリゴ糖側鎖に結合する。最大20個の異なるムチン遺伝子、その発見の順に従って、MUC1~MUC20が、特定されている。ムチン遺伝子は、組織および細胞型に特異的な様式で発現され、大きくは、分泌型および膜結合型の2つの種類に分類される。小腸および大腸においては、MUC2が、杯細胞によって合成および分泌される、主要な分泌型ムチンである。杯細胞によって分泌される腸粘液層は、主として、粘性の透過性ゲル形成MUC2ムチンの密集したメッシュ様ネットワークからなり、これは、内因性および外因性の刺激物質ならびに微生物の付着および侵入に対する最前線の宿主防御を提供するが、栄養素の輸送は可能にする。一部の実施形態では、組織外植片は、ムチン分泌性杯細胞を含む。一部の実施形態では、組織外植片は、培養物中で粘液層を形成する。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、粘液物質を含む。一部の実施形態では、粘液物質は、糖タンパク質、糖脂質、またはムチンである。
【0164】
ムチン2(Muc2)ならびに尾部型ホメオボックス2(CDX2)は、いずれも、腸上皮内のムチン分泌性杯細胞のマーカーである。一部の実施形態では、杯細胞は、ムチン2(Muc2)および/または尾部型ホメオボックス2(CDX2)の存在によって特定される。
【0165】
一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片における粘液層の存在は、ムチンおよび/または粘液物質の存在を測定することによって、決定される。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片における粘液層の存在は、Muc2および/またはCDX2の遺伝子発現を測定することによって、決定される。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片における粘液層の存在は、Muc2および/またはCDX2のタンパク質発現を測定することによって、決定される。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片における粘液層の存在は、目視検査(たとえば、顕微鏡法)によって、決定される。一部の実施形態では、組織学的染色、たとえば、アルシアンブルー組織染色によるものが、目視検査に使用される。
【0166】
絨毛の間に、粘膜には、くぼみまたは開口部が形成されており、これが、腸陰窩またはリーベルキューン陰窩と称される管状の腸腺につながっている。陰窩を裏打ちしている上皮細胞は、粘液を含む流体混合物である腸液を分泌する。陰窩の深部には、様々なポリペプチド、たとえば、クリプトジン、リゾチーム、II型(分泌型)ホスホリパーゼA2、腸ディフェンシン(たとえば、RIP-3)を産生する、パネート細胞がある。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、インタクトな陰窩を含む。一部の実施形態では、インタクトな陰窩は、目視検査(たとえば、顕微鏡法)によって、特定される。インタクトな陰窩を特定するための目視検査の方法としては、組織学的組織染色および通常の光学顕微鏡法が挙げられるが、これらに限定されない。
【0167】
胃腸管は、腸陰窩および胃腺の底部に存在する成体幹細胞によって栄養が供給される自己再生上皮を特徴とする。成体の腸において、細胞分裂は、陰窩においてのみ生じ、絨毛では生じない。複数の潜在的な幹細胞集団が、陰窩において提案されている。そのうちの1つが、陰窩基底部円柱(CBC)細胞と称され、陰窩の底部においてパネート細胞と緊密に関連している。CBCは、パネート細胞とともに、陰窩内で限定的な幹細胞域を形成することが、長く提案されており、これは、系列追跡実験によって確認されている。そのような系列追跡実験により、単一のLgr5+(ロイシンリッチ反復配列含有Gタンパク質共役型受容体5)CBC細胞が、陰窩-絨毛軸全体を再生させることができることが明らかとなっている。これらの細胞は、「幹細胞性(stemness)」の状態であり、長期自己再生能力ならびに多能性分化能力を有する。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、腸幹細胞を含む。一部の実施形態では、腸幹細胞は、Lgr5+である。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片における腸幹細胞の存在は、外植片の長期維持を担う。
【0168】
Lgr5+に加えて、オルファクトメジン-4(OLFM4)が、Lrg5幹細胞の遺伝子シグネチャーに基づいて、腸幹細胞の強力なマーカーとして現れた。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、OLFM4+幹細胞を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、Lrg5+およびOLFM4+幹細胞を含む。一部の実施形態では、Lrg5+およびOLFM4-幹細胞は、当業者に公知であり本明細書にさらに記載されている方法によって、検出される。
【0169】
いくつかのシグナル伝達機序もまた、小腸の再生能力を維持するのに関与する。Wnt、BMP/TGF-β、Notch、およびEGFは、上皮の恒常性および自己再生活性の重要な制御因子である。細胞が陰窩-絨毛軸にわたって移動する間、それらは、Wnt勾配に曝露される。幹細胞には、隣接するパネート細胞によって産生されるWnt媒介因子が負荷されるようになり、これが、同族Frizzled受容体に結合する。それらの局所的産生および限定的な拡散に起因して、Wnt分子ならびにそれらの受容体は、細胞が幹細胞域を出て、パネート細胞から離れて移動するにつれて、細胞分裂による代謝回転を通じて減少する。Lgr5+の他に、CBC幹細胞は、さらなるWnt経路関連遺伝子のセット全体を発現し、これにより、腸陰窩における幹細胞性が直接的に制御される。CBC幹細胞における高いWnt活性は、CBC膜上における分泌型R-スポンジンファミリーメンバーの、Lgrファミリーメンバーへの結合によって媒介される。この結合により、Frizzledに媒介されるWnt経路の活性化が強化され、Wnt経路の強力な活性化が生じる。さらに、筋線維芽細胞は、シグナル伝達の合図を提供することによって、小腸の再生能力を維持する役割を果たす。具体的には、腸陰窩の周囲の筋線維芽細胞は、Wntリガンド、HGF、BMP、およびNogginなど、分化を制御するのに重要な因子を分泌する(Medema, J.およびVermeulen, L.、Nature、第474巻:318~326頁、2011年を参照されたく、これは、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0170】
初代腸上皮細胞および/または腸幹細胞を含む、これまでの腸モデルシステムは、システムを維持するために、Wntの外因的添加を必要とする。本明細書に記載される組織外植片は、培養物の維持に、外因性Wntを必要としない。間質とともに、インタクトな陰窩および絨毛の存在が、本明細書に記載される組織外植片のこの特徴に寄与している。
【0171】
一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、腸内分泌細胞を含む。腸内分泌細胞(intestinal endocrine cell)または腸内分泌細胞(enteroendocrine cell)は、粘膜に制限され、腸陰窩および絨毛内に位置している(Moran, G.ら、Therap Adv Gastroenterol.、2008年7月、第1巻(1号):51~60頁、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。小腸において見出される腸内分泌細胞としては、コレシストキニン分泌性細胞、セクレチン分泌性S細胞、胃抑制性ポリペプチド分泌性細胞、モチリン分泌性M細胞、およびニューロテンシン分泌性N細胞、ならびに神経内分泌L細胞が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、L細胞を含む。腸内分泌細胞は、分泌小胞の存在を特徴とする。腸内分泌細胞は、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)を分泌する。一部の実施形態では、GLP-1の分泌は、グルコースの存在に応答したものである。一部の実施形態では、GLP-1の分泌は、アセチルコリンの存在に応答したものである。一部の実施形態では、GLP-1の分泌は、LiClの存在に応答したものである。一部の実施形態では、GLP-1の分泌は、GLP-1 7-36の濃度によって決定される。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、腸内分泌細胞の存在に起因して、グルコース、アセチルコリン、および/またはLiClに対して応答性である。
【0172】
一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、タイトジャンクションを含む。一部の実施形態では、タイトジャンクションは、クローディン-1、e-カドヘリン、またはこれらの組み合わせの存在によって特定され、当業者に公知であり本明細書にさらに記載されている方法によって、決定される。クローディン-1は、内在性膜タンパク質であり、e-カドヘリンは、膜貫通タンパク質であり、これらのいずれも、タイトジャンクションの構成要素である。タイトジャンクションは、上皮または内皮細胞シートにおける細胞と細胞との接着の1つの様式を表し、細胞の周囲に連続的な封止を形成し、溶質および水が自由に通過することを防ぐ物理的な障壁として機能する。
【0173】
粘膜下層は、個々のリンパ球パッチおよび凝集したリンパ球パッチを含み、後者は、パイエル板と称される。十二指腸のみにおいて、粘液分泌性十二指腸腺(ブルンネル腺とも称される)が見出される。小襞(M)細胞は、腸のパイエル板において見出され、腸管内腔の巨大分子のファゴサイトーシスおよびトランスサイトーシスに特化している。これらの細胞は、パイエル板における特定の粘膜免疫応答の誘導において重要な役割を果たし、上皮細胞層を越えて、腸管内腔から粘膜固有層への微生物および粒子の輸送を可能にし、そこで、免疫細胞との相互作用が生じ得る。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、小襞細胞を含む。小襞細胞は、アクチン、ビリン、サイトケラチン、およびビメンチンを含む、細胞の端部または細胞表面上に発現される細胞骨格および細胞外マトリクスの成分によって特定される。一部の実施形態では、小襞細胞は、ビメンチン、アクチン、サイトケラチン、ビリン、またはこれらの組み合わせの存在によって特定される。一部の実施形態では、小襞細胞は、ビメンチンの存在によって特定される。一部の実施形態では、小襞細胞は、アクチンの存在によって特定される。一部の実施形態では、小襞細胞は、ビリンの存在によって特定される。一部の実施形態では、小襞細胞は、サイトケラチンの存在によって特定される。
【0174】
腸管神経系(ENS)は、胃腸管の内在神経系である。これは、胃腸管の生理学的状態を検出し、胃腸管の状態に関する情報を統合し、消化管の運動、消化管とその内腔との間の流体交換、および局所血流を制御するための出力を提供する、完全な反射回路を含む。ENSは、中枢神経系(CNS)と協調して、局所的および全身的な身体の生理学的需要の状況で消化系を制御するように作用する。
【0175】
ENSは、神経堤細胞を起源とする。これらの細胞は、増殖し、ニューロンおよびグリア細胞へと分化し、腸壁の筋層に局在化している神経節細胞の2つの同心神経叢を形成する(Furness, J. B.(2006年)、The organisation
of the autonomic nervous system: peripheral connections. Auton. Neurosci.、130巻、1~5頁、doi:10.1016/j.autneu.2006.05.003)。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、神経系細胞を含む。一部の実施形態では、神経系細胞は、ネスチンの存在によって特定される。ネスチンは、公知の神経幹/始原細胞マーカーである、中間径フィラメントタンパク質である。
【0176】
結腸
一部の実施形態では、組織外植片は、結腸に由来する。結腸は、小腸を通過した後に残っている水、電解質、および栄養素の吸収、ならびに糞便の圧縮において機能する、消化系の一部である。結腸の内壁およびもっとも内側の層は、粘膜である。漿膜層は、消化管のもっとも外側の被膜である。それは、扁平上皮の一種である、中皮によって包囲された密性交織結合組織から構成される。漿膜層の下には、内側の輪走筋層および外側の縦走筋層という2つの層を含む、外筋層がある。これらの層の間に、神経叢がある(アウエルバッハ腸筋層)。線維弾性結合組織が、次のレベルで見出される。粘膜下層と称され、粘膜下層(マイスナー)神経叢、副交感神経節前および節後線維、ならびに迷走神経由来の無髄節前線維を含む。結腸のもっとも内側の層および内壁は、粘膜である。これは、上皮、粘膜固有層、および粘膜筋から構成される。上皮は、単純な円柱状の吸収性上皮である。粘膜固有層は、上皮の下にある疎性結合組織であり、粘膜筋は、粘膜を包囲する薄い平滑筋細胞層である。粘膜は、腺または陰窩を含む。陰窩は、杯細胞および再生性細胞またはエンテロサイトを含む。粘膜固有層(LP)は、陰窩の間の空間を満たす。陰窩は、糞便の排出をなめらかにするために粘液を分泌する多数の杯細胞で満たされている。
【0177】
一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、それが由来する結腸組織のin vivo構成を保持する。たとえば、一部の実施形態では、組織外植片は、結腸の上皮および粘膜固有層を含む。一部の実施形態では、組織外植片は、結腸の上皮、粘膜固有層、および粘膜筋を含む。一部の実施形態では、組織外植片は、結腸の外筋層に由来する内側の輪走筋をさらに含む。一部の実施形態では、組織外植片は、外筋層の内側の輪走筋および縦走筋を含む。一部の実施形態では、組織外植片は、結腸の粘膜下層をさらに含む。一部の実施形態では、組織外植片は、結腸において見出されるインタクトな陰窩をさらに含む。一部の実施形態では、結腸に由来する組織外植片は、粘液層を含む。一部の実施形態では、結腸に由来する組織外植片は、結腸の頂端側に存在する粘液層および腸内容物を含む。一部の実施形態では、結腸の頂端側に存在する粘液層および腸内容物を含む、結腸に由来する組織外植片は、マイクロバイオームの研究に有用である。
【0178】
胃
一部の実施形態では、組織外植片は、胃(stomach)または胃(gastric)の組織に由来する。胃は、消化管の筋肉でできた中空のふくらんだ部分である。これは、粘膜上皮および粘膜固有層を含む粘膜層を含み、これが、疎性結合組織を含む粘膜下層によって包囲され、これが、複数の厚い筋肉の層を含む筋層によって包囲されている。粘膜上皮は、上皮をせん断応力および酸から保護するアルカリ性粘液を分泌する粘液細胞、塩酸を分泌する壁細胞、酵素原ペプシノーゲンを分泌する主細胞(「消化細胞」とも称される)、ならびにガストリンホルモンを分泌するG細胞という4つの主要な種類の分泌性上皮細胞から構成される。粘膜上皮内の細胞は、当業者に公知の方法によって特定することができる。上皮は、胃小窩と称される数千個の小さなくぼみに折りたたまれ、この底部には胃腺があり、粘液細胞は、くぼみのネック部に存在するが、主細胞および壁細胞は、くぼみの底部、腺の区域に存在する。最終胃上皮分化の他のマーカーとしては、H+/K+ATPアーゼおよびムチン(MUC5A)が挙げられる。
【0179】
胃組織はまた、すべての胃細胞系列を生じることができる、胃特異的幹細胞、ビリン+Lgr5+細胞も含む。胃始原細胞および胃がん幹細胞の現在の分子マーカーについては、J. Gastroenterol.、2011年7月、46巻(7号):855~65頁に記載されており、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0180】
一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、それが由来する胃組織のin vivo構成を保持する。たとえば、一部の実施形態では、組織外植片は、胃に由来する粘膜上皮および粘膜固有層を含む。一部の実施形態では、組織外植片は、胃に由来する筋層をさらに含む。一部の実施形態では、胃に由来する組織外植片は、粘液細胞、壁細胞、主細胞、G細胞、またはこれらの組み合わせを含む。一部の実施形態では、胃に由来する組織外植片は、ビリン+Lgr5+幹細胞を含む。
【0181】
食道
一部の実施形態では、組織外植片は、食道に由来する。食道は、咽喉(咽頭)を胃と接続している筋肉の管である。食道は、長さが約8インチであり、粘膜で裏打ちされている。上部食道括約筋(UES)は、意識的な制御下にある食道の上部の筋肉の束である。下部食道括約筋(LES)は、食道の下端にある筋肉の束であり、ここで、胃とつながり、随意制御下でなくなる。閉鎖されると、LESは、酸および胃の内容物が逆方向に移動するのを防止する。
【0182】
食道は、粘膜、粘膜下層、繊維組織の層の間の筋繊維の層、および外側の結合組織層(漿膜)からなる。粘膜(もっとも内側の層)は、およそ3つの扁平細胞層でできた階層化された扁平上皮であり、これらは、胃の単一の円柱細胞層とは対照的である。粘膜の底部には、粘膜筋がある。上皮層、結合組織、および粘膜筋が、粘膜を構成している。
【0183】
一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、それが由来する食道組織のin vivo構成を保持する。たとえば、一部の実施形態では、組織外植片は、食道の粘膜を含む。一部の実施形態では、組織外植片は、食道の粘膜および粘膜筋を含む。一部の実施形態では、食道に由来する組織外植片は、漿膜をさらに含む。
【0184】
頬側および舌部
一部の実施形態では、組織外植片は、頬側組織(口腔粘膜、口または頬に関連する)に由来する。一部の実施形態では、組織外植片は、舌組織(舌に関連する)に由来する。
【0185】
頬側組織は、表面の階層化された扁平上皮および深層部の粘膜固有層という2つの層からなる。上皮は、以下の4つの層:基底層、有棘細胞層、顆粒層、および角質層からなる。口の領域に応じて、上皮は、ケラチン化されている場合があるが、ケラチン化されていない場合もある。ケラチン化されていない扁平上皮は、軟口蓋、内唇、内側の頬、および口腔底を被覆する。ケラチン化されている扁平上皮は、付着歯肉および硬口蓋に存在する。
【0186】
一部の実施形態では、組織外植片は、それが由来する頬側組織のin vivo構成を保持する。たとえば、一部の実施形態では、組織外植片は、頬側組織の表面の階層化された扁平上皮を含む。一部の実施形態では、組織外植片は、基底層、有棘細胞層、顆粒層、角質層、またはこれらの組み合わせを含む。一部の実施形態では、組織外植片は、頬側組織の表面の階層化された扁平上皮および粘膜固有層を含む。一部の実施形態では、頬側組織に由来する組織外植片は、ケラチン化された上皮を含む。一部の実施形態では、頬側組織に由来する組織外植片は、ケラチン化されていない上皮を含む。
【0187】
舌は、粘膜で被覆された口内の筋肉器官である。これは、織り重なった骨格筋、一部の粘液腺および漿液腺を有する結合組織、ならびに脂肪組織のポケットの塊である。舌は、強靭な組織および粘膜のウェブを介して口に固定されている。舌の先端部を押し下げる繋留物は、舌小帯と称される。口の奥では、舌は、舌骨に固定されている。舌は、舌の上部表面上の小さな構造体である舌乳頭からなる。舌には、有郭乳頭、茸状乳頭、糸状乳頭、および葉状乳頭の4つの種類の乳頭が見出される。糸状乳頭を除くすべてが、味蕾と関連している。
【0188】
一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、それが由来する舌組織のin vivo構成を保持する。たとえば、一部の実施形態では、組織外植片は、舌組織の結合組織を含む。一部の実施形態では、組織外植片は、舌組織に存在する粘液腺および漿液腺を含む。一部の実施形態では、舌組織に由来する組織外植片は、インタクトな舌乳頭を含む。一部の実施形態では、舌組織に由来する組織外植片は、有郭乳頭、茸状乳頭、糸状乳頭、葉状乳頭、またはこれらの組み合わせを含む。
【0189】
組織外植片の培養および活性
一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、それが由来する組織の機能的特徴を保持する。一部の実施形態では、保持される機能的特徴は、薬物の輸送/吸収である。
【0190】
薬物の輸送は、ATP-結合カセット(ABC)トランスポーターおよび溶質輸送体(SLC)トランスポーターのファミリーによって媒介される。これらの腸内トランスポーターは、刷子縁膜、ならびに側底膜に位置する。それぞれのトランスポーターは、それ固有の基質特異性を示し、一部は、その他のものよりも広範な特異性を有する。加えて、腸内トランスポーターの分布および特徴は、腸に沿って領域による差を示し、多様な生理学的機能および一部の事例では病理学的応答を示唆する。International Transporter Consortiumは、限られた数のトランスポーターが、薬物の処分および/または副作用に影響を及ぼすことを、臨床的根拠に基づいて説明している(Nat Rev Drug Discov、2010年3月、9巻(3号):215~236頁、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。一部の実施形態では、組織外植片は、少なくとも1つのインタクトな薬物トランスポーターを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのインタクトな薬物トランスポーターは、MDR-1(多剤耐性P-糖タンパク質)、胆管側多選択性有機アニオントランスポーター2(ABCC3)、多剤耐性関連タンパク質2(MRP-2)、乳がん耐性タンパク質(BCRP)、有機カチオントランスポーター1(OCT1)、ナトリウム依存性中性アミノ酸トランスポーター2(SNAT2)、ペプチドトランスポーター1(PEPT1)、モノカルボキシレートトランスポーター1(MCT1)、または有機溶質トランスポーターサブユニットアルファ(OST-アルファ)である。
【0191】
薬物トランスポーターは、薬物の吸収および排出において、薬物代謝酵素(DME)と一緒に作用することが多い。薬物代謝は、薬物の有効性および毒性に対して大きな影響を有する。薬物代謝反応は、薬物分子を官能化させ、さらなる代謝のためにその準備を行う第I相、および抱合性である第II相として分類される。一般に、第I相の反応産物は、部分的または完全に不活性である。しかしながら、第I相の反応産物は、もともと投与された薬物よりも活性となることがある。主要なクラスの第I相の酵素としては、シトクロムP450およびフラビン含有モノオキシゲナーゼが挙げられるが、これらに限定されない。主要なクラスの第II相の酵素としては、UDPグルクロニルトランスフェラーゼ、スルホトランスフェラーゼ、グルタチオンS-トランスフェラーゼ、N-アシルトランスフェラーゼ、およびN-アセチルトランスフェラーゼが挙げられるが、これらに限定されない。したがって、一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、少なくとも1つの薬物代謝酵素を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つの薬物代謝酵素は、第I相の酵素である。一部の実施形態では、少なくとも1つの薬物代謝酵素は、CYP3A4である。CYP3A4は、シトクロムP450のアイソフォームである。一部の実施形態では、少なくとも1つの薬物代謝酵素は、第II相の酵素である。一部の実施形態では、少なくとも1つの薬物代謝酵素は、ウリジン5’-ジホスホグルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)である。UGTは、グルクロン酸抱合を触媒する、腸内に発現される薬物代謝酵素であり、ここで、この酵素は、グルクロン酸部分を薬物または他の物質に付加し、それによって、腎臓を介したそれらの排出をトリガーする。一部の実施形態では、少なくとも1つの薬物代謝酵素は、スルホトランスフェラーゼ、N-アセチルトランスフェラーゼ、S-メチルトランスフェラーゼ、チオプリンメチルトランスフェラーゼ、グルタチオンs-トランスフェラーゼ、またはグルクロニルトランスフェラーゼである。
【0192】
一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、チオレドキシン還元酵素活性を保持する。チオレドキシン還元酵素は、細胞の増殖、および酸化ストレスからの保護など、多数の細胞プロセスに関与する、遍在性酵素である。チオレドキシンは、ヌクレオチドのデオキシリボヌクレオチドへの還元から、生体異物、酸化剤、およびラジカルからの解毒までに及ぶ、多数の生理学的プロセスにおいて極めて重要な役割を果たす。チオレドキシンの酸化還元機能は、チオレドキシン還元酵素に決定的に依存する。チオレドキシン系には、チオレドキシン、チオレドキシン還元酵素、およびNADPHが含まれる。チオレドキシンは、リボヌクレオチド還元酵素、チオレドキシンペルオキシダーゼ、およびメチオニンスルホキシド還元酵素などの酵素の電子供与体としての機能を果たす。多数の転写因子は、DNAの結合にチオレドキシン還元を必要とする。
【0193】
一部の実施形態では、組織外植片のチオレドキシン還元酵素活性は、当業者に公知の方法を使用して決定される。一部の実施形態では、組織外植片のチオレドキシン還元酵素活性は、市販のキット(たとえば、チオレドキシン還元酵素活性アッセイキット、Ray Biotech)を使用して、決定される。
【0194】
一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、プロテアーゼ活性を保持する。プロテアーゼは、ヒトゲノムの最大2%を表し、500~600個の異なるプロテアーゼが特定されている。プロテアーゼは、タンパク質をそれらの末端(N末端またはC末端領域)で特異的に切断し、エキソペプチダーゼと称されるか、またはタンパク質の中央部で切断を行い、エンドペプチダーゼと称される。機序に応じて、ヒトプロテアーゼは、セリン、スレオニン、システイン、アスパラギン酸、またはメタロプロテアーゼとして分類される。一部のプロテアーゼは、細胞外環境において分泌および放出されるが、一方でその他のものは、細胞内機能を有し、細胞の内部に排他的に保持される。プロテアーゼは、多くが胃腸管に存在し、管腔および組織深部の両方に存在する。膵臓プロテーゼ(トリプシン(tyrpsins)、キモトリプシン、エラスターゼなど)は、上部胃腸管の管腔に放出され、そこで、消化機能を発揮する。微生物叢は、プロテアーゼの重要な供給源を構成している。
【0195】
一部の実施形態では、組織外植片のプロテアーゼ活性は、当業者に公知の方法を使用して決定される。たとえば、組織外植片のプロテアーゼ活性は、市販のキット(たとえば、プロテアーゼ活性アッセイキット、RayBiotech)を使用して、決定することができる。
【0196】
一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、毒素に対して応答性である。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、胃腸毒性を有する物質に対して応答性である。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、細胞毒性を有する物質に対して応答性である。一部の実施形態では、毒素は、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、気管支拡張剤、ビスホスホネート、抗生物質、抗ウイルス剤、血管拡張剤、または利尿剤である。一部の実施形態では、NSAIDは、ナプロキセン、メサラミン、ケトプロフェン、インドメタシン、またはメロキシカムである。一部の実施形態では、気管支拡張剤は、テオフィリンである。一部の実施形態では、ビスホスホネートは、エチドロネートである。一部の実施形態では、抗生物質は、ドキシサイクリンまたはセフポドキシムである。一部の実施形態では、抗ウイルス剤は、オセルタミビルまたはテノフォビルである。一部の実施形態では、血管拡張剤は、タダラフィルである。一部の実施形態では、利尿剤は、アミロライドである。一部の実施形態では、毒素は、ドキシサイクリンである。
【0197】
一部の実施形態では、毒性は、本明細書に記載される組織外植片の生存度を決定することによってアッセイされる。たとえば、毒性物質は、組織外植片の生存度を低減させ得る。生存度のアッセイとしては、細胞を染色し、後続の顕微鏡による分析を可能にする、生存/死滅アッセイが挙げられるが、これに限定されない。一部の実施形態では、FACS分析を使用して、生存度(たとえば、生存/死滅の染色)を分析する。一部の実施形態では、毒性は、本明細書に記載される組織外植片の細胞培養の維持における差を決定することによってアッセイされる。たとえば、毒性物質は、組織外植片が、培養物中に維持される時間を低減させ得る。一部の実施形態では、毒性は、本明細書に記載される組織外植片の構成における差を決定することによってアッセイされる。たとえば、毒性物質は、組織外植片の由来となったin vivo組織を、もはや模倣しない様式で、構成を変化させ得る。一部の実施形態では、毒性は、代謝活性を分析することによってアッセイされる。一部の実施形態では、代謝活性は、alamarBlue(登録商標)染色によって測定される。一部の実施形態では、毒性は、細胞化合物の培地への放出を分析することによって測定される。一部の実施形態では、細胞化合物の放出は、アデニル酸キナーゼを介して測定される。一部の実施形態では、毒性は、壊死および/またはアポトーシスマーカーを分析することによって測定される。一部の実施形態では、アポトーシスマーカーとしては、切断されたカスパーゼ3、切断されたラミンA、およびpヒストンH2Aが挙げられるが、これらに限定されない。当業者であれば、様々な方法、たとえば、カスパーゼ活性化アッセイ(たとえば、カスパーゼ-3/7活性化アッセイ)、染料および色素(たとえば、CELLTOX(商標)、MITOTRACKER(登録商標)Red、ヨウ化プロピジウム、およびYOYO3)、細胞生存度アッセイ、細胞形態学、ならびにPARP-1切断を使用して、アポトーシスの誘導を容易に決定することができる。一部の実施形態では、壊死および/またはアポトーシスマーカーを有する細胞の染色は、FACSを介して分析される。一部の実施形態では、毒性は、TUNELアッセイを使用して測定される。
【0198】
一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、毒素への曝露から回復する。本明細書において使用されるとき、「回復」および「回復する」という用語は、本明細書に記載される方法、たとえば、alamarBlue(登録商標)アッセイによって測定した場合の、生存度の増加および/または毒性の減少を指す。一部の実施形態では、回復は、毒素への初回曝露の後、1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、または少なくとも7日間にわたって生じる。
【0199】
一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、培養物中に維持される。組織外植片は、それが生存可能である場合、培養物中で維持されると考えられる。一部の実施形態では、組織外植片は、培養物中で2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、または12時間、培養物中で維持される。一部の実施形態では、組織外植片は、24時間、培養物中で維持される。一部の実施形態では、組織外植片は、少なくとも2日間、培養物中で維持される。一部の実施形態では、組織外植片は、少なくとも3日間、培養物中で維持される。一部の実施形態では、組織外植片は、少なくとも4日間、培養物中で維持される。一部の実施形態では、組織外植片は、1週間、培養物中で維持される。一部の実施形態では、組織外植片は、少なくとも1週間、培養物中で維持される。一部の実施形態では、組織外植片は、2週間、培養物中で維持される。一部の実施形態では、組織外植片は、少なくとも2週間、培養物中で維持される。一部の実施形態では、組織外植片は、3週間、培養物中で維持される。一部の実施形態では、組織外植片は、4週間、培養物中で維持される。一部の実施形態では、組織外植片は、5週間、培養物中で維持される。一部の実施形態では、組織外植片は、6週間、培養物中で維持される。一部の実施形態では、組織外植片は、7週間、培養物中で維持される。一部の実施形態では、組織外植片は、8週間、培養物中で維持される。一部の実施形態では、組織外植片は、9週間、培養物中で維持される。一部の実施形態では、組織外植片は、10週間、培養物中で維持される。一部の実施形態では、組織外植片は、11週間、培養物中で維持される。一部の実施形態では、組織外植片は、12週間、培養物中で維持される。一部の実施形態では、組織外植片は、13週間、培養物中で維持される。一部の実施形態では、組織外植片は、14週間、培養物中で維持される。一部の実施形態では、組織外植片は、15週間、培養物中で維持される。一部の実施形態では、組織外植片は、16週間、培養物中で維持される。一部の実施形態では、組織外植片は、17週間、培養物中で維持される。一部の実施形態では、組織外植片は、18週間、培養物中で維持される。一部の実施形態では、組織外植片は、18週間またはそれよりも長い間、培養物中で維持される。
【0200】
組織外植片の分析
上述のように、胃腸管内の組織は、際立った特徴および細胞型を含む。一部の実施形態では、組織外植片の構成は、培養物中で維持される。一部の実施形態では、構成は、顕微鏡での評価によって、分析される。一部の実施形態では、電子顕微鏡法を使用して、組織外植片の構成を分析する。電子顕微鏡法としては、透過電子顕微鏡法(TEM)、走査型電子顕微鏡法(SEM)、および集束イオンビーム(FIB)顕微鏡法が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、組織外植片の構成は、組織外植片を染色し、それを顕微鏡で観察することによって、評価される。組織を染色するための方法は、当業者に公知であり、これには、免疫組織化学的アッセイ、免疫蛍光アッセイ、およびin
situハイブリダイゼーションアッセイが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、組織外植片は、ヘマトキシリンおよびエオシン(H&E)で染色される。一部の実施形態では、組織外植片は、マッソンのトリクロームで染色される。マッソンのトリクロームは、結合組織、核、および細胞質を染色する。一部の実施形態では、組織外植片は、アルシアンブルーで染色される。アルシアンブルーは、酸性粘液物質および酢酸ムチン(acetic mucin)を染色する。
【0201】
特定の細胞型を特定するための方法もまた、当業者に公知である。たとえば、細胞型の特異的なマーカーを認識する抗体での染色、またはin situハイブリダイゼーションのためのDNA/RNAなどのプローブの使用がある。組織外植片の免疫組織化学的染色を使用して、遺伝子産物の発現を直接的に定量化する。試料流体の免疫組織化学的染色および/またはアッセイに有用な抗体は、モノクローナルまたはポリクローナルのいずれかであり得、任意の哺乳動物において調製することができる。便宜的には、ポリペプチドの天然の配列、またはポリペプチドをコードするDNA配列に基づく合成ペプチド、またはポリペプチドおよび特定の抗体エピトープをコードするDNAに融合された外因性配列に対する抗体を、調製することができる。
【0202】
さらに、組織外植片内のタンパク質の発現を、決定することができる。タンパク質発現に関するアッセイとしては、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、SPRアッセイ、免疫沈降アッセイ、親和性クロマトグラフィー、ウエスタンブロット、RIA、「サンドイッチ」イムノアッセイ、免疫沈降アッセイ、免疫拡散アッセイ、凝集アッセイ、補体結合アッセイ、免疫放射線測定アッセイ、蛍光イムノアッセイ、およびプロテインAイムノアッセイが挙げられるが、これらに限定されない。そのようなアッセイは、日常的であり、当該技術分野において周知である。
【0203】
一部の実施形態では、組織外植片は、新しく単離される。一部の実施形態では、組織外植片は、凍結される。一部の実施形態では、組織外植片は、ホルマリン固定パラフィン包埋される。一部の実施形態では、組織外植片は、溶解される。
【0204】
組織外植片の基材
一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、基材の上に置かれる。様々な培養基材を、本開示の方法およびシステムにおいて使用することができる。そのような基材としては、ガラス、ポリスチレン、ポリプロピレン、ステンレス鋼、シリコンなどが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、基材は、ポリ(メチルメタクリレート)である。一部の実施形態では、基材は、ポリカーボネート、アクリル系コポリマー、ポリウレタン、アルミニウム、カーボン、またはテフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン)である。細胞培養表面は、任意の数の剛性または弾性支持体から選択することができる。たとえば、細胞培養材料は、ガラスまたはポリマー製顕微鏡スライドを含み得る。一部の実施形態では、基材は、基材に結合する組織の傾向に基づいて選択され得る。一部の実施形態では、基材は、組織外植片に対する基材の可能性のある影響(たとえば、電気刺激/抵抗率、機械的刺激/応力)に基づいて選択され得る。
【0205】
細胞培養表面/基材は、哺乳動物細胞を培養するのに好適な任意の材料から作製することができる。たとえば、基材は、材料が生体適合性である限り、プラスチックまたは他の人工ポリマー材料など、容易に滅菌することができる材料であり得る。一部の実施形態では、基材は、細胞および/または組織が、接着することを可能にする(または細胞および/もしくは組織が、選択した位置に接着することもしくは接着しないことを可能にするように修飾することができる)、任意の材料である。ポリアミド、ポリエステル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリアクリレート(polylacrylate)、ポリビニル化合物(たとえば、ポリ塩化ビニル)、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ニトロセルロース、コットン、ポリグリコール酸(PGA)、セルロース、デキストラン、ゼラチン、ガラス、フルオロポリマー、フッ素化エチレンプロピレン、ポリビニリデン、ポリジメチルシロキサン、およびシリコン基材(たとえば、溶融シリカ、ポリシリコン、またはシリコン単結晶)などを含むがこれらに限定されない、任意の数の材料を使用して、基材/表面を形成することができる。また、金属(たとえば、金、銀、チタンのフィルム)を使用することもできる。
【0206】
一部の実施形態では、基材は、細胞の接着を促進するように修飾され得る(たとえば、接着材料でコーティングされ得る)。たとえば、ガラス基材は、組織の細胞が基材に接着するのを補助するために、コラーゲンまたはフィブロネクチンなどのタンパク質(すなわち、少なくとも2つのアミノ酸のペプチド)で処置され得る。一部の実施形態では、1種類のタンパク質が、基材に接着される。一部の実施形態では、2種類またはそれを上回るタンパク質が、基材に接着される。接着を促進するように基材を修飾する際に使用するのに好適なタンパク質としては、特定の細胞型が、細胞培養条件下において接着するタンパク質が挙げられる。
【0207】
基材上に堆積させる接着材料の種類(たとえば、ECM材料、糖類、プロテオグリカンなど)は、部分的に、組織外植片における1つまたは複数の細胞型によって決定される。
【0208】
一部の実施形態では、基材は、接着材料を必要としない。初代細胞を利用するこれまでの胃腸培養システムは、外因性の細胞外マトリクスを必要とする。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、外因性の細胞外マトリクスを必要としない。
【0209】
一部の実施形態では、基材は、単一ウェルのプレートである。一部の実施形態では、基材は、マルチウェルのプレートまたはアセンブリである。一部の実施形態では、基材は、マイクロウェルを備える。一部の実施形態では、基材は、6個、12個、24個、48個、96個、384個、または1536個のマイクロウェルを備える。一部の実施形態では、基材は、96個のマイクロウェルを備える。一部の実施形態では、基材は、384個のマイクロウェルを備える。一部の実施形態では、基材は、1536個のマイクロウェルを備える。一部の実施形態では、それぞれのマイクロウェルは、本明細書に記載される組織外植片によって完全に被覆される。
【0210】
一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片は、基準プレート、薄い中間プレート、および上部負荷プレートを含むインターフェース装置に設置される(例示的な設定については、
図2Aおよび
図2Mを参照されたい)。組織外植片は、中間プレートのスルーホールの上に配置され、上部負荷プレートが、次いで、組織外植片を中間プレートの上およびスルーホールの周囲に押し付けるように、上部負荷プレートを組織外植片の上に配置し、同時に、基準プレートの上に載せる。一部の実施形態では、それぞれのプレートは、6個、12個、24個、48個、96個、384個、または1536個のマイクロウェルを備える。
【0211】
一部の実施形態では、上部負荷プレートは、3mm~5mmの直径を有する柱を含む。一部の実施形態では、上部負荷プレートは、約3mm~約5mmの直径を有する柱を含む。一部の実施形態では、上部負荷プレートは、4mmの直径を有する柱を含む。一部の実施形態では、上部負荷プレートは、約4mmの直径を有する柱を含む。一部の実施形態では、中間プレート上に配置された組織外植片は、上部プレートからの力によって、わずかに凹んでそれぞれのウェルに入る。一部の実施形態では、中間プレートの厚さは、1mmまたは2mmである。一部の実施形態では、中間プレートの厚さは、約1mmまたは約2mmである。一部の実施形態では、中間プレートの厚さは、1mmである。一部の実施形態では、中間プレートの厚さは、約1mmである。一部の実施形態では、中間プレートの柱の直径は、組織外植片が上部プレートと中間プレートとの間に確実に入るように、上部負荷プレートの直径よりも大きい。一部の実施形態では、中間プレートは、6.5mm~8mmの直径を有する柱を含む。一部の実施形態では、中間プレートは、約6.5mm~約8mmの直径を有する柱を含む。一部の実施形態では、中間プレートは、6mmの直径を有する柱を含む。一部の実施形態では、中間プレートは、約6mmの直径を有する柱を含む。
【0212】
一部の実施形態では、組織外植片に適用される圧力は、ウェル間での漏出を最小限に抑える。一部の実施形態では、組織外植片に適用される圧力は、20N、15N、10N、または5Nである。一部の実施形態では、組織外植片に適用される圧力は、約20N、約15N、約10N、または約5Nである。一部の実施形態では、組織外植片に適用される圧力は、5Nである。一部の実施形態では、組織外植片に適用される圧力は、約5Nである。
【0213】
本開示はまた、
図16~
図18に示されるように、本開示による使用に好適な基材またはプレートアセンブリ100の別の実施形態の使用を企図する。基材アセンブリ100は、本明細書に記載される組織外植片と併せて使用することができる。組織外植片は、たとえば、大型の非ヒト哺乳動物胃腸管、たとえば、ブタの腸に由来する腸上皮を含み得る。組織外植片は、組織の単一の層もしくは小片を含み得るか、または組織の複数の小片もしくは層を含み得る。本開示の基材アセンブリ100は、従来的な高スループットの薬物吸収スクリーニングアッセイシステム(示されない)の一部を形成し得るか、またはそれと併せて使用することができる。従来的な高スループットのアッセイシステムは、当該技術分野において公知であり、十分に理解されている。従来的なアッセイシステムには、使用中にプレートアセンブリを把持し、操作するためのロボットアーム(示されない)が含まれ得る。
【0214】
図示されている本開示の基材アセンブリ100は、任意の選択された数のプレートおよび構成要素を含み得る。図示されるように、基材アセンブリ100は、上部プレート102および反対側の底部プレート104を含む。組織外植片106は、上部プレートと底部プレートとの間に配置されるように適合される。
図16および
図17に示されるように、上部プレート102は、当該技術分野において公知のように、複数のマイクロウェル110が形成されている本体108を含む。マイクロウェル110は、任意の選択された構成で配置されるマイクロウェルのアレイを含み得、これには、プレートに形成するのが所望されるマイクロウェルの総数に応じて、任意の選択された数の列および行が含まれ得る。マイクロウェル110は、当該技術分野において公知のように、任意の選択された直径を有し得る。本体108はまた、その上面114の選択された位置に、複数の開口部112が形成されている。1つの実施によると、開口部112は、プレートの周縁領域の周りを含む、プレート102の選択された位置に形成される。当業者であれば、任意の選択された数の開口部112が、そこに形成され得ること、および任意の選択された構成で配置され得ることを容易に認識するであろう。好ましい実施形態によると、開口部112は、プレート102の上面114の周囲に、均等に分配される。開口部112は、中に公知の締結具、たとえば、ネジ、磁石などを受容および載置するための締結具受容開口部であり得る。好ましい実施形態によると、開口部112は、中に磁石116を固定するように適合される。上部プレート102と併せて用いられる磁石116は、任意の選択された強度を有する任意の選択された種類の磁石であり得、これには、好ましくは、選択された量の力、たとえば、磁石1個当たり約1.7lbの力~磁石1個当たり約2.5lbの力、および好ましくは磁石1個当たり約2.28lbの力を提供する、高強度磁石が含まれる。当業者であれば、磁石の強度が、組織外植片を、上部プレートおよび底部プレートと流体密封接触に置くのに必要とされる力の関数として選択され得ることを、容易に認識するであろう。上部プレートおよび底部プレート内に載置されたときに磁石によって適用される力は、反応ウェルの範囲内に入っていない組織のみが、圧縮力に曝露されるように、構造化され得る。
【0215】
上部プレート102の本体108は、概して四辺形の形状を有し、好ましくは、長方形の形状を有する。1つの実施によると、本体108は、必要に応じて、実質的に直角を成している3つの角部、および丸みが付けられた4つ目の角部118を有してもよい。丸みが付けられた角部118は、ユーザまたはアッセイシステムに、基材アセンブリ100の配向についての視覚的指標を提供する。
【0216】
図示されている上部プレート102は、プレートの周縁部分または縁部に沿ってそこから外向きに延在して形成されるリム部分128を有する、底面126を有する。リム部分128は、したがって、そこにチャンバまたは陥凹部130を形成する。プレート102の底面126はまた、底面の中央部分に沿ってそこから外向きに延在して形成される、必要に応じたリッジ部分132を有する。リッジ部分132は、存在する場合、したがって、陥凹部130を、複数の部分チャンバに分割し、それぞれの部分チャンバは、組織外植片を固定するように適合される。リム部分128はまた、本体の両側面120および122に沿ってそこに形成される、選択された切欠き特徴部124を有する。切欠き特徴部124は、ユーザが、プレートを一緒に設置するかまたは引き離すようにプレートを操作するための、空間または領域を提供するために、そこに形成されている。さらに、切欠き特徴部は、アッセイシステムのロボットアームが、切欠き特徴部を介してアセンブリに連結することによって、基材アセンブリを操作することを可能にする。
【0217】
基材アセンブリ100の底部プレート104は、
図16および
図18に示される。底部プレート104は、上部プレート102と同様の様式で構造化されている。図示されている底部プレート104は、当該技術分野において公知のように、複数のマイクロウェル142が形成されている本体140を有する。マイクロウェル142はまた、任意の選択された構成のマイクロウェルのアレイとして配置されてもよく、これには、プレート104に形成することが所望されるマイクロウェルの総数に応じて、任意の選択された数の列および行が含まれ得る。底部プレートにおけるマイクロウェル142の数は、好ましくは、上部プレート102に形成されるマイクロウェル110の数と一致する。マイクロウェル142は、当該技術分野において公知のように、任意の選択された直径を有し得る。本体140はまた、その上面146の選択された位置に、複数の開口部144が形成されている。本体はまた、反対側の底面150も有する。1つの実施によると、開口部144は、プレートの周縁領域の周りを含む、底部プレート104の選択された位置に形成される。当業者であれば、任意の選択された数の開口部144が、そこに形成され得ること、および任意の選択された構成で配置され得ることを容易に認識するであろう。本開示の好ましい実施形態によると、開口部144は、底部プレート104の上面146の周囲に、均等に分配される。開口部144は、中に公知の締結具、たとえば、ネジ、磁石などを受容および載置するための締結具受容開口部として形成され得る。好ましい実施形態によると、開口部144は、中に磁石116を固定するように適合される。上部プレート102および底部プレート104に載置される磁石116は、公知の技法に従って、磁力によってプレートを一緒に保持または固定するのを補助する。
【0218】
底部プレート104の本体140はまた、概して長方形の形状を有する。1つの実施によると、本体は、必要に応じて、実質的に直角を成している3つの角部、および丸みが付けられた4つ目の角部148を有してもよい。丸みが付けられた角部148は、ユーザまたはアッセイシステムに、基材アセンブリ100の相対的な配向についての視覚的指標を提供する。
【0219】
底部プレート104の上面146はまた、プレートの周縁部分または縁部に沿ってそこから外向きに延在して形成されるリム部分152を有する。リム部分152は、したがって、そこにチャンバまたは陥凹部154を形成する。プレート104の上面146はまた、そこに沿って上面から外向きに延在して形成される、必要に応じたリッジ部分156を有する。リッジ部分156は、存在する場合、したがって、陥凹部130を、複数の部分チャンバに分割し、それぞれの部分チャンバは、組織外植片を固定するように適合される。リム部分152はまた、本体の両側面158および160に沿ってそこに形成される、選択された切欠き特徴部162を有する。切欠き特徴部162は、上部プレートの切欠き特徴部124に類似であり、ユーザが、プレートを一緒に設置するまたは引き離すようにプレートを操作するための、空間または領域を提供するために、そこに形成されている。さらに、切欠き特徴部は、アッセイシステムのロボットアームが、切欠き特徴部124、162を介してアセンブリに連結することによって、基材アセンブリを操作することを可能にする。
【0220】
上部プレート102および底部プレート104は、任意の選択された材料から形成することができ、好ましくは、組織外植片と生物学的に適合性があり、同時に、高い機械的強度を有し、比較的低い重量を有する、材料から形成される。上部プレート102、および底部プレート104として使用するのに好適な材料の例としては、ポリウレタン、ポリカーボネート、アクリル、アルミニウム、チタン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ガラス、およびポリスチレンが挙げられる。プレートはまた、プレートを互いに良好に識別できるように、任意の選択された色を有してもよい。さらに、異なる色のプレートを有することにより、たとえば、公知の生物発光技法および蛍光技法を利用することにより、異なる情報の読取り能力が可能となる。基材アセンブリ100は、プレート対102、104を利用するとして図示されているが、当業者であれば、追加の構成要素、層、またはプレートもまた、アセンブリの一部を形成し得ることを認識するであろう。
【0221】
組織外植片106を、上部プレート102と底部プレート104との間に設置するとき、組織外植片106は、プレートのマイクロウェルと平面接触に置かれ、それによって、組織外植片の上部の管腔側表面および底部の基底膜側表面が提供される。組織外植片106は、プレートに形成された陥凹部またはチャンバ130、154内に固定される。上部プレートおよび底部プレート内に載置される磁石116により、プレートを磁力により互いに整列させるのが補助され、それによって、プレートの間に組織外植片が捕捉および保持される。磁石によって形成される組織外植片に対する圧縮力が、組織外植片の非マイクロウェル範囲または領域に形成または集中し、それによって、上部プレート102のマイクロウェルを介して外植片に適用される溶液のウェル間での漏出が回避される。
【0222】
組織外植片は、マイクロウェルのアレイ全体を被覆するように適合される単一の小片として形成されてもよく、またはマイクロウェルのアレイ全体を被覆するように適合される複数の小片で形成されてもよい。組織外植片が、単一の小片として形成される場合、上部プレートおよび底部プレートのそれぞれの必要に応じたリッジ部分132、156は、省略することができる。
【0223】
本開示の態様によると、本明細書に記載される基材アセンブリ100のプレート102、104には、選択された数のマイクロウェル(たとえば、6個、12個、24個、48個、96個、384個、または1536個のマイクロウェル)が含まれる。本開示のさらなる態様では、それぞれのプレートに形成されるマイクロウェルのアレイのそれぞれのマイクロウェルは、組織外植片がプレートの間に固定または保持されたとき、組織外植片の選択された表面によって完全に被覆される。
【0224】
本開示の他の態様によると、基材アセンブリは、高スループットの薬物吸収スクリーニングアッセイシステムにおいて使用するのに好適であり、ここで、組織外植片は、プレートのマイクロウェルと、相対的に平面接触した状態で配置され、それによって、組織外植片を通じた薬物の吸収の測定を可能にするための管腔側表面および基底膜側表面が提供される。本開示の他の態様では、基材アセンブリは、高スループットの吸収-溶解スクリーニングアッセイシステムにおいて使用するのに好適であり、ここで、組織外植片は、プレートのマイクロウェルと、相対的に平面接触した状態で配置され、それによって、薬物の溶解を測定する前または後の組織外植片を通じた薬物の吸収の測定を可能にするための管腔側表面および基底膜側表面が提供される。
【0225】
本開示のさらなる態様では、基材アセンブリは、高スループットの毒性スクリーニングアッセイシステムにおいて使用するのに好適であり、ここで、組織外植片は、プレートのマイクロウェルと相対的に平面接触した状態で配置され、それによって、組織外植片に対する毒性の測定が可能となる。本開示のなおもさらなる態様では、基材アセンブリは、高スループットのGLP-1刺激スクリーニングアッセイシステムにおいて使用するのに好適であり、ここで、組織外植片は、プレートのマイクロウェルと相対的に平面接触した状態で配置され、それによって、組織外植片からのGLP-1の分泌の測定を可能にするための管腔側表面および基底膜側表面が提供される。
【0226】
なおも他の態様によると、本開示は、基材アセンブリに設置したときに、組織外植片を通じて試験化合物の吸収を決定するための方法もまた、提供する。この方法は、組織外植片を、上部プレート102のマイクロウェル110を通じて供給される試験化合物と接触させることを伴う。組織外植片の上面は、管腔側表面を形成し、組織外植片の底面は、基底膜側表面を形成する。この方法はまた、管腔側表面および基底膜側表面における試験化合物の存在を検出することによって、試験化合物の吸収を決定するステップも含む。基底膜側表面における試験化合物の存在は、組織外植片を通じて吸収される、化合物の能力を示す。一部の態様では、試験化合物の存在を検出することは、管腔側表面および基底膜側表面における化合物の濃度を決定することを含む。同様の手法を使用して、試験化合物の経時的な灌流速度を決定することもできる。一部の態様では、この方法は、試験化合物の溶解を決定することをさらに含む。
【0227】
in vitro細胞構成物を作製する方法
一部の態様では、本開示は、in vitro細胞構成物であって、本明細書に記載される基材と、本明細書に記載される組織外植片とを含み、組織外植片が、基材と接触している、in vitro細胞構成物を提供する。
【0228】
一部の実施形態では、組織外植片は、基材と平面接触にある。平面接触は、当業者に公知の標準的な方法によって決定することができる。たとえば、マーカー(たとえば、フルオロフォアまたは着色した化合物)を含む溶液が、基材と接触しているときに組織外植片に添加される。溶液が、組織の表面を染色し、写真による検査、分光光度法、またはレーザースキャナーに基づく技法による組織の検出を可能にする。基材と接触している組織外植片内の染色の変動性に、溶液中に完全に浸漬されている非載置組織の同等の範囲と比較して、有意差がない場合、組織外植片は、基材と平面接触にある。一部の実施形態では、基材は、複数のマイクロウェルを備える。したがって、マーカーを含む溶液を、マイクロウェル内に入れることができ、マイクロウェル内の染色と非載置組織の染色との比較が、実行される。
【0229】
一部の実施形態では、平面接触は、基材の表面を、組織外植片と接触させる前にマーカーでコーティングし、マーカーの分布を分析することによって、決定される。たとえば、組織に面している基材の範囲全体が、マーカーでコーティングされ、これにより、基材の表面上に均一な層を形成する。このコーティングは、組織と緊密な接触に置かれると組織を染色し、結果として得られる組織上の染色は、基材と組織とを離した後も、インタクトなままとなる。結果として得られた染色は、目視検査によって分析され、基材の設定に対応する規則的なマーキングパターンが観察された場合、組織外植片は、基材と平面接触にある。一部の実施形態では、基材は、複数のマイクロウェルを備え、したがって、組織上の染色は、マイクロウェルの設定と相関し得る。
【0230】
一部の実施形態では、基材は、複数のマイクロウェルを備え、組織外植片と接触すると、それぞれのマイクロウェルは、組織外植片によって完全に被覆される。一部の実施形態では、ウェル間での漏出は、in vitro細胞構成物において最小限に抑えられる。一部の実施形態では、基材におけるそれぞれのマイクロウェルによる組織外植片の完全な被覆により、ウェル間での漏出が最小限に抑えられる。
【0231】
一部の実施形態では、複数のマイクロウェルを有する基材を含むin vitro細胞構成物は、マイクロウェル間での試料の変動性が低い。試料の変動性は、当業者に公知の標準的な方法によって決定することができる。たとえば、薬物の灌流の分析を、基材のそれぞれのマイクロウェルにおいて決定し、それを比較して試料の変動性を決定することができる。
【0232】
一部の実施形態では、組織外植片は、胃腸管から切除された直後に、基材に接触される。一部の実施形態では、組織外植片は、基材と接触させる前に、ある期間、第1の容器(たとえば、細胞ストレーナー)において保管される。一部の実施形態では、本明細書に記載される組織外植片の特性は、基材との接触の前に第1の容器において保管されているとき、維持される。
【0233】
一部の実施形態では、in vitro細胞構成物は、本明細書に記載される方法において使用される前に、24時間、2日間、3日間、1週間、2週間、3週間、4週間、またはそれよりも長い間、維持される。
【0234】
使用の方法
A.薬物の吸収および経口アベイラビリティの予測または決定
本開示の一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、目的の化合物または組成物の吸収を予測するのに有用である。本開示のさらなる態様では、本明細書に記載される組織外植片は、目的の化合物または組成物の経口アベイラビリティを予測するのに有用である。
【0235】
小腸は、薬理学的薬剤の吸収にとって重要な部位である。小腸の近位部分は、薬物の吸収のための最大の能力を有する。薬物吸収を予測するための現在の標準法は、CaCo-2単層モデルである。しかしながら、このモデルシステムには、多数の欠陥がある。CaCo-2モデルには、in vivoにおいて見出される構成および様々な細胞型とともに、腸粘液層、代謝酵素、および細胞外マトリクスが欠如している。さらに、CaCo-2細胞は、不均質なヒト上皮結腸直腸腺癌細胞であり、その性質として、細胞の挙動(たとえば、タンパク質/遺伝子発現、継続的な細胞分裂、および細胞間接着複合体)が、初代細胞と比較して、大きく異なっている。CaCo-2システムにおける欠陥を克服するために、他のシステムが開発されており、説明されている(Dedhia, P.ら、Gastroenterology、2016年、第150巻:1098~1112頁;Ranga, A.ら、Advanced Drug Delivery Reviews、69~70巻、2014年、19~28頁;Shamir, E.およびEwald,
A.、Nature Reviews: Molecular Cell Biology、2014年、第15巻:647~664頁、Ootani, A.ら、Nature Medicine、2009年6月、第15巻(6号):701~706頁)。
【0236】
しかしながら、これらのシステムは、依然として、胃腸管(たとえば、小腸)の複雑なin vivo構成および機能を完全に再現することはできていない。本明細書に記載される組織外植片は、現在のモデルシステムよりも優れた顕著な利点を提供する。たとえば、上述のように、本明細書に記載される組織外植片は、それの由来となった胃腸管(たとえば、小腸)のin vivo構成を維持する。加えて、組織外植片は、薬物吸収に必要な構成要素(たとえば、薬物代謝酵素、薬物トランスポーター)を含む。本明細書に記載される組織外植片は、これまでに開発されたシステムとは異なり、長期間培養物中に維持することもできる。さらに、本明細書に記載される組織外植片は、培養物中での維持のために、外因性因子を必要としない。さらに、後述されるように、本明細書に記載される組織外植片は、高スループットのスクリーニングに使用することができる。これらの特徴により、これまでのモデルシステムに対する改善が強調される。
【0237】
本明細書に記載される組織外植片は、目的の化合物の薬物吸収を試験および予測するためのモデルシステムを提供する。有効な薬物療法は、投与時の化合物の薬物動態および薬力学(PK/PD)の相互作用に依存する。創薬の初期の段階では、治療上の有効性に関して最大の見込みを提供するリード化合物を選択するために、新規化学成分(new chemical entity)(NCE)の薬理学的有効性を評価するための多数の研究が行われる。薬物が治療上の標的に結合する能力は、その臨床的成功に非常に重要であるが、最終的な有効性は、病気を軽減または処置するのに十分な濃度で、治療上の標的に到達するその能力の関数でもある。したがって、スクリーニングされる多数のNCEからのリード化合物の論理的な選択を強化するために、任意のNCEの薬物動態もまた、創薬の段階の早期において、生物学的活性だけでなく、潜在的なin vivoバイオアベイラビリティにも基づいて、評価しなければならない。バイオアベイラビリティは、米国FDAによって、「活性成分または活性部分が、薬物製品から吸収され、作用部位で利用可能となる速度および程度」として定義されている(21 CFR 320.1(a))。全般的なバイオアベイラビリティは、大部分が、標的とされる患者集団において、選択される化合物の吸収、分配、代謝、および排泄によって、決定される。腸上皮を横切る吸収は、特に重要である。本明細書に記載される組織外植片は、候補薬剤の吸収速度を測定するための固有のツールを提供する。同様に、本明細書に記載される組織外植片は、消化酵素を調整する薬剤のスクリーニングに有用である。
【0238】
本開示の一部の態様では、薬物の吸収は、組織外植片を通じて、目的の化合物の灌流を決定することによって、予測される。具体的には、目的の化合物を、組織外植片に添加した後、組織の基底膜側表面および管腔側表面の両方において、化合物の検出を行う。基底膜側表面における化合物の存在は、化合物が、組織外植片を通じて灌流する能力を示し、それによって、薬物の吸収および経口バイオアベイラビリティを予測する。当業者であれば、様々な方法、たとえば、分光光度分析、分光光度法による検出を用いた高速液体クロマトグラフィー、または液体クロマトグラフィー-質量分析を使用して、化合物の濃度を容易に決定することができる。一部の実施形態では、候補薬剤は、放射性標識され、レシーバーチャンバおよび組織内における検出が可能となっている。
【0239】
一部の実施形態では、本開示は、本明細書に記載される組織外植片における試験化合物の濃度を決定するための方法を提供する。一部の実施形態では、組織外植片を、目的の化合物と接触させ、組織外植片内の化合物の存在が、決定される。一部の実施形態では、組織外植片内の化合物の濃度は、ハイコンテンツ共焦点分析を使用して決定される。一部の実施形態では、試験化合物は、蛍光シグナルを含み、化合物の濃度は、励起源(たとえば、蛍光放出検出器)を用いて測定することができる。具体的には、励起に対する蛍光シグナルの量は、組織外植片内の化合物の濃度に対応する。
【0240】
一部の実施形態では、本開示は、試験化合物の吸収に対する、薬物-食物の相互作用の影響を分析するための方法を提供する。具体的には、組織外植片を、目的の化合物および消化された食物と接触させる。一部の実施形態では、組織外植片を、目的の化合物および消化された食物と、同時に接触させる。一部の実施形態では、目的の化合物を、消化された食物と接触させた後、組織外植片と接触させる。一部の実施形態では、組織外植片を、消化された食物と接触させた後、組織外植片を、目的の化合物と接触させる。一部の実施形態では、薬物-食物の相互作用の影響は、組織外植片の由来となった動物に由来する天然の腸媒質を利用して、決定される。一部の実施形態では、薬物-食物の相互作用の影響は、組織外植片の由来となった動物に由来する天然の腸媒質およびex vivoマイクロバイオームを使用して、決定される。一部の実施形態では、目的の化合物を、天然の腸媒質中に可溶化させた後、組織外植片を、目的の化合物と接触させる。一部の実施形態では、試験化合物の吸収に対する、薬物-食物の相互作用の影響を決定することは、消化された食物の存在下または不在下において、目的の化合物の吸収の差を決定することを含む。
【0241】
一部の実施形態では、本開示は、試験化合物の吸収を、経時的に分析するための(すなわち、時間経過分析)方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、組織外植片を通じた試験化合物の灌流速度を決定するための方法を提供する。灌流速度および/または時間経過分析を決定するために、組織外植片を、目的の化合物と接触させ、ドナー側(たとえば、管腔側)表面およびレシーバー側(たとえば、基底膜側)表面における化合物の存在および/または濃度を、異なる時点において測定する。一部の実施形態では、化合物の存在および/または濃度は、継続的に測定される。
【0242】
一部の実施形態では、本開示は、試験化合物の吸収に対する、薬物トランスポーターおよび/または代謝酵素の影響を決定するための方法を提供する。一部の実施形態では、薬物トランスポーターおよび/または代謝酵素の影響は、本明細書に記載される組織外植片における薬物トランスポーターおよび/または代謝酵素の発現を修飾し、組織外植片を目的の化合物と接触させ、化合物の吸収を決定し、修飾された薬物トランスポーターおよび/または代謝酵素ありとなしとの間で、組織外植片における化合物の吸収を比較することによって、決定される。薬物トランスポーターおよび/または代謝酵素の発現を修飾するための方法は、以下に記載されている。一部の実施形態では、薬物トランスポーターは、MDR-1である。一部の実施形態では、代謝酵素は、CYP3A4である。
【0243】
一部の実施形態では、本開示は、薬物吸収の解剖学的部位を決定するための方法を提供する。本明細書に記載される方法を使用して、胃腸管(胃、空腸、回腸など)に由来する様々な組織の間における試験化合物の吸収の比較により、薬物吸収がin vivoにおいてどこで生じるかを予測する。
【0244】
B.胃腸毒性の予測または決定
本開示の一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、目的の化合物または組成物の胃腸毒性を予測するのに有用である。本開示のさらなる態様では、本明細書に記載される組織外植片は、目的の化合物または組成物を含む製剤の胃腸毒性の低減を予測するのに有用である。
【0245】
胃腸副作用は、ほぼすべての経口投与される薬物において、一般的である。これらの副作用のほとんどは、自然治癒するが、しかしながら、ある特定の薬物は、より重篤な胃腸副作用、たとえば、潰瘍形成または出血を引き起こす場合があり、わずかな割合の患者において、これは、生命を脅かす可能性がある。これらの毒性作用は、主として、「静かな流行」のままであり、多くの医師およびほとんどの患者が、問題の大きさに気づいていない。胃腸副作用は、薬物により誘導される有害作用(DIAE)の20~40%を占めると推測される。DIAEは、米国において1年に100,000件の死亡を占め、すべての入院のうちの5%を占める。関節リウマチおよび変形性関節症の患者に処方されるNSAIDだけですら、胃腸副作用のために、米国において1年につき16,500件の死亡を引き起こすと推測されている。NSAIDとプロトンポンプ阻害剤との共製剤が、NSAIDにより誘導される胃潰瘍を予防または管理する現時点で唯一の方法である。しかしながら、この戦略は、胃内における薬物に誘導される損傷にしか適用可能でなく、ある特定の薬物のみに限定されるため、有効性が限定されている。既存の薬物の胃腸副作用を低下させるための手法が必要とされているが、局所的な胃腸毒性について試験することの難しさが、大きな障壁となっている。
【0246】
現在のところ、薬物毒性の前臨床評価は、動物モデルにおいて行われている。大型の動物モデルからのヒト毒性の予測性は、全般的におよそ60~70%であると推測され、胃腸組織毒性について具体的には、およそ85%であると推測される。げっ歯動物モデルは、著しく低い一致率を示し、観察されたヒト毒性はおよそ50%である。大型の動物モデルは、ヒト胃腸毒性を非常に良好に予測すると見られるが、これらのモデルは、倫理上の検討事項に加えて、時間、資材の消費、および動物の使用の点で高費用であることに起因して、低い試料スループットにとどまっている。したがって、胃腸毒性の試験は、臨床試験に入る前の規制安全性評価の一部としての、前臨床の創薬段階の終了時における医薬化合物の検証に限定される。
【0247】
従来的なin vitro細胞毒性アッセイは、定量的な高スループットの試料スクリーニングを可能にし、作用機序の特定および高度に強力なデータセットの生成に大きな影響を及ぼしており、これにより、機械学習および予測モデル構築の単純さおよび有効性が増強された。しかしながら、現在の細胞に基づくin vitroアッセイは、主として、3次元組織構成、ならびに複雑な細胞間および細胞外マトリクス-細胞間の相互作用を考慮しない、2次元の細胞環境に基づいている。結果として、生物医学研究は、これらの態様の一部をより正確に再現することができる、3次元モデルの使用へと移行しており、様々な成功を伴っている。これらのin vitroアッセイのほとんどは、胃腸上皮に由来する初代細胞と比較して、非常に異なる挙動を示すが、培養するのが容易である、腫瘍由来のモデル細胞を使用することに基づいている。
【0248】
薬物-胃腸組織の相互作用のモデリングに関して、組織構成は、組織の障壁機能および粘液層による細胞の薬物曝露に影響する。本明細書に記載される組織外植片は、この制限を克服する。
【0249】
一部の実施形態では、目的の化合物または組成物の胃腸毒性は、本明細書に記載される組織外植片を、化合物または組成物と接触させ、十分な期間待機し、毒性アッセイを行うことによって、決定される。化合物または組成物の毒性を分析するための方法は、当業者に公知であり、本明細書にさらに記載されている。たとえば、一部の実施形態では、毒性アッセイは、レサズリンに基づく生存度アッセイである。レサズリンは、酸化-還元の指示薬であり、ここで、レサズリンは、代謝細胞において、ピンク色の高度に赤色蛍光性のレゾルフィンへと、不可逆的に還元される。一部の実施形態では、毒性アッセイは、生存/死滅アッセイである。一部の実施形態では、毒性アッセイは、alamarBlue(登録商標)アッセイである。一部の実施形態では、毒性は、切断されたカスパーゼ3および切断されたラミンA/Cなど、アポトーシスマーカーのタンパク質発現を測定することによって、決定される。一部の実施形態では、毒性は、ヒストンH2Aリン酸化など、DNA損傷マーカーのタンパク質発現を測定することによって、決定される。タンパク質発現を分析するための方法は、当業者に公知であり、本明細書に記載されている。
【0250】
C.内分泌刺激の予測または決定
本開示の一部の態様では、本明細書に記載される組織外植片は、内分泌刺激を誘導する化合物または組成物を特定するのに有用である。たとえば、一部の実施形態では、組織外植片は、グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)を誘導する刺激物質に対して応答する。一部の実施形態では、組織外植片は、刺激されるとGLP-1を分泌する腸内分泌細胞を含む。
【0251】
腸内分泌系としても知られている胃腸内分泌系は、食物摂取、エネルギー代謝、および内分泌バランスなど、様々なプロセスを制御および/または調節する。胃腸管は、体内においてもっとも大きな内分泌器官であり、胃腸管と内分泌系との間の関係は、多方向性であり、ここで、従来的な内分泌器官によって放出されるホルモンによっても、胃腸機能を調節することができる。
【0252】
GLP-1は、グルコース依存性インスリンの刺激およびグルカゴン分泌の抑制により膵臓の島細胞機能を調節することによって、食後のグルコース濃度を低下させる、胃腸ホルモンである。GLP-1は、肝臓のグルコース取込みを直接的に刺激し、肝臓のグルコース産生を抑制し、それによって、絶食時および食後のグルコースレベルの低減を増長させることもまた、示唆されている。GLP-1の作用を模倣するGLP-1受容体アゴニストが、2型糖尿病の処置のために開発されている。したがって、GLP-1分泌を刺激する薬剤は、一般に、2型糖尿病および/または糖尿病を含む代謝性疾患の処置に有用であり得る。
【0253】
薬剤に応答した組織外植片によるGLP-1分泌を評価するための方法は、当業者に公知の方法によって、決定することができる。たとえば、組織外植片の上清を、GLP-1の存在に関して、ELISAまたは質量分析法によって分析することができる。一部の実施形態では、組織外植片を薬剤と接触させる前および後に得られたGLP-1値の比較により、薬剤が、GLP-1分泌を刺激するかどうかが示される。
【0254】
D.スクリーニング方法
本開示の一部の態様では、候補薬物製剤は、本明細書に記載される組織外植片によって吸収されるその能力について、スクリーニングされる。製剤の作用は、製剤と組み合わせた目的の化合物を、本明細書に記載される組織外植片に添加し、組織外植片のいずれかの側における化合物の濃度を測定することによって、決定される。基底膜側における化合物の存在は、組織外植片を通じて化合物が灌流したことを示す。
【0255】
一部の態様では、薬物の溶解が、吸収スクリーニングとともに決定される。たとえば、一部の実施形態では、吸収および溶解を同時に測定するための方法は、(1)薬物と溶媒とを組み合わせて、薬物溶液を形成すること、(2)溶液を蒸発させて、薬物の粉末を形成すること、(3)薬物の粉末を賦形剤ライブラリーと組み合わせること、(4)上清における薬物濃度を分光光度法により検出して、溶解データを得ること、(5)腸組織外植片を上清と接触させること、ならびに(6)灌流された薬物濃度を分光光度法により検出することを含む。分析により、溶解および吸収を増強する製剤を、特定することができる。
【0256】
一部の実施形態では、低い溶解度を有し、低い透過性を有するかまたは有さない、公知の薬物の溶解は、上述の吸収および溶解のスクリーニングアッセイに基づいて、増強される。
【0257】
さらなる態様では、候補薬剤は、毒性作用に関して、スクリーニングされる。組織外植片を、候補薬剤またはビヒクルに曝露し、その生存度、培養物中での維持、および構成を、評価する。一部の実施形態では、毒性作用物質は、生存度を減少させる。一部の実施形態では、毒性作用物質は、組織外植片が培養物中に維持される時間を減少させる。一部の実施形態では、毒性作用物質は、組織外植片の構成を変化させる。
【0258】
本明細書に記載される組織外植片は、従来的なin vitroアッセイと比較して、高いin vivo予測性で、胃腸毒性を分析することができる。一部の態様では、組織外植片は、胃腸毒性および/または胃腸副作用を予測するためのスクリーニングプラットフォームとして使用される。さらに、本明細書に記載される組織外植片は、薬物の胃腸毒性を変化させる賦形剤をスクリーニングするために使用することができる。一部の実施形態では、賦形剤としては、FDAによる不活性成分リストであるGRASリストに由来するもの、他の生体適合性および/または非毒性の小分子化合物、ならびにポリマー、ならびに栄養素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0259】
本開示の別の態様では、異なる組織の細胞に対する薬剤の影響について、薬剤をスクリーニングするための方法が提供され、これには、がんの発生および処置のプロセスが含まれ、本明細書に記載される実験的に修飾された外植片の使用が含まれる。本明細書に記載される方法によって培養された組織外植片を、候補薬剤に曝露する。目的の薬剤としては、薬学的薬剤、たとえば、小分子、抗体、ペプチドなど、および遺伝子作用物質、たとえば、アンチセンス、RNAi、発現可能なコーディング配列など、たとえば、候補腫瘍抑制因子、候補癌遺伝子などの発現可能なコーディング配列が挙げられる。一部の実施形態では、幹細胞に対する作用が、決定される。他の実施形態では、腫瘍細胞の形質転換または増殖の作用が、決定され、たとえば、ここで、薬剤としては、限定することなく、化学療法、モノクローナル抗体、または他のタンパク質に基づく薬剤、放射線/放射線増感剤、cDNA、siRNA、shRNA、小分子などを挙げることができる。組織特異的幹細胞に対して活性な薬剤は、組織外植片の増殖における変化によって、および組織特異的幹細胞を示す多系列分化マーカーの存在によって、検出される。加えて、活性剤は、組織外植片を長期再構成活性に関して分析することによって、検出される。外植片培養物を使用して、組織機能を調整する薬剤についてスクリーニングするための方法もまた、提供される。一部の実施形態では、この方法は、疾患の処置のための新しい薬剤を特定することにおける使用を見出す。一部の実施形態では、この方法は、既存の薬剤の有効な送達を決定することにおける使用を見出す。
【0260】
一部の実施形態では、試験化合物の作用は、第1のアッセイを行い、組織外植片を目的の化合物と接触させ、十分な時間待機し、組織外植片に第2のアッセイを行い、第1のアッセイおよび第2のアッセイの結果を比較して、化合物の作用を決定することによって、決定される。アッセイの例としては、薬物の溶解、吸収、組織に対する影響(たとえば、毒性、遺伝子修飾、タンパク質または遺伝子の発現における変化、組織の組織学/形態学における変化)、薬物の分解、およびホルモンの分泌が挙げられるが、これらに限定されない。細胞毒性を分析するアッセイの例としては、生存/死滅アッセイ、alamarBlue(登録商標)、およびRayBio(登録商標)生体発光細胞毒性アッセイキットが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、1つを上回るアッセイが、同時に行われる。
【0261】
薬剤は、溶液または容易に可溶性の形態で、培養培地に添加される。薬剤は、フロースルーシステムにおいて、流れとして、間欠的、継続的、または代替的には化合物のボーラスを単一もしくは漸増で、そうでなければ静的な溶液に、添加され得る。フロースルーシステムでは、2つの流体が使用され、ここで、一方は、生理学的に中性な溶液であり、他方は、同じ溶液に目的の化合物が添加されたものである。第1の流体を細胞に流し、続いて、第2の流体を流す。単一溶液法の場合には、試験化合物のボーラスを、組織外植片の周囲の体積の培地に添加する。一部の実施形態では、目的の化合物は、組織外植片に直接的に注入される。
【0262】
高スループットのスクリーニング
本開示の一部の態様では、高スループットの形式で候補薬剤をスクリーニングするための方法および培養システムが、提供される。「高スループット」または「HT」とは、多数の候補薬剤または候補細胞を、目的の活性に関して同時にスクリーニングすることを意味する。多数とは、一度に20個またはそれを上回る候補、たとえば、40個もしくはそれを上回る候補、たとえば、100個もしくはそれを上回る候補、200個もしくはそれを上回る候補、500個もしくはそれを上回る候補、または1000個もしくはそれを上回る候補をスクリーニングすることを意味する。
【0263】
一部の実施形態では、高スループットのスクリーニングは、使用される組織培養プレートのウェルの数に基づいて形式化され、たとえば、24個の候補薬剤(もしくはそれよりも少ないもの、加えて対照)をアッセイする24ウェルの形式、48個の候補薬剤(もしくはそれよりも少ないもの、加えて対照)をアッセイする48ウェルの形式、96個の候補薬剤(もしくはそれよりも少ないもの、加えて対照)をアッセイする96ウェルの形式、384個の候補薬剤(もしくはそれよりも少ないもの、加えて対照)をアッセイする384ウェルの形式、1536個の候補薬剤(もしくはそれよりも少ないもの、加えて対照)をアッセイする1536ウェルの形式、または3456個の候補薬剤(もしくはそれよりも少ないもの、加えて対照)をアッセイする3456ウェルの形式がある。
【0264】
一部の実施形態では、本開示は、薬物製剤の吸収を分析するための高スループットのスクリーニングのための方法を提供する。一部の実施形態では、組織外植片を、基材と接触させ、ここで、基材は、複数のマイクロウェルを備え、組織外植片を、目的の化合物および賦形剤を含む製剤ライブラリーと接触させ、目的の化合物の吸収を、決定し、吸収の結果を比較して、薬物吸収のための製剤を特定する。
【0265】
一部の実施形態では、製剤ライブラリーは、公知の吸収増強剤であるか、または腸吸収に対して未知の影響を有するかのいずれかである、GRASに基づく賦形剤のライブラリーである。
【0266】
目的の化合物
目的の化合物は、多数の化学クラス、有機金属分子を含み得る有機分子、無機分子、遺伝子配列などを包含する、生物学的に活性な薬剤である。本開示の一態様は、候補薬物の吸収を評価し、吸収に最適な製剤を特定することである。本開示の別の態様は、組織に対する活性医薬成分(API)の局所的な影響を分析することである。たとえば、影響としては、局所的な組織毒性、組織の遺伝子修飾、組織透過性の一時的な変化、薬物トランスポーター/代謝酵素の阻害、粘液またはマイクロバイオームの調整、ならびにホルモンの産生および/または分泌の調整が挙げられるが、これらに限定されない。本開示の別の態様は、APIの組み合わせの影響を評価することである。
【0267】
目的の化合物は、タンパク質との構造的相互作用、特に、水素結合に必要な官能基を含み、典型的には、少なくともアミン基、カルボニル基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基を含み、高頻度には官能化学基のうちの少なくとも2つを含む。化合物は、上述の官能基のうちの1つまたは複数で置換された、環状炭素もしくは複素環式構造、および/または芳香族もしくはポリ芳香族構造を含むことが多い。目的の化合物はまた、ペプチド、ポリヌクレオチド、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、これらの誘導体、構造類似体、または組み合わせを含む、生体分子の中でも見出される。薬理学的に活性な薬物、遺伝学的に活性な分子などが含まれる。一部の実施形態では、目的の化合物としては、化学療法剤、抗炎症剤、ホルモンまたはホルモンアンタゴニスト、イオンチャネル修飾因子、および神経活性剤(neuroactive agent)が挙げられる。
【0268】
候補薬剤を含め、化合物は、合成または天然の化合物のライブラリーを含む、広範な供給源から得られる。たとえば、ランダムなオリゴヌクレオチドおよびオリゴペプチドの発現を含む、生体分子を含め、広範な有機化合物のランダムおよび指向的な合成のための多数の手段が、利用可能である。あるいは、細菌、真菌、植物、および動物の抽出物の形態の天然の化合物のライブラリーが、利用可能であるか、または容易に産生される。加えて、天然または合成で産生されたライブラリーおよび化合物は、従来的な化学的、物理的、および生化学的手段を通じて容易に修飾され、コンビナトリアルライブラリーを産生するために使用することができる。公知の薬理学的薬剤は、アシル化、アルキル化、エステル化、アミド化などといった、指向的またはランダムな化学修飾に供して、構造類似体を産生することができる。一部の実施形態では、ライブラリーは、承認された薬物および/または実験的な薬物を含む。一部の実施形態では、ライブラリーは、生物学的に活性または不活性な分子にコンジュゲートされた、承認された薬物および/または実験的な薬物を含む。一部の実施形態では、薬物ライブラリーは、市販されている。
【0269】
一部の実施形態では、候補薬剤はまた、ポリヌクレオチドおよびその類似体など、遺伝子作用物質であってもよく、これらは、遺伝子作用物質を組織外植片に添加することによって、本明細書に記載されるスクリーニングアッセイにおいて試験される。遺伝子作用物質の導入は、組織外植片内の細胞の全遺伝子組成の改変をもたらし得る。DNAなどの遺伝子作用物質は、一般に、配列を染色体に組み込むことによって、細胞のゲノムにおける実験的に導入された変化をもたらし得る。遺伝子の変化は、一過性であってもよく、その場合、外因性配列は、組み込まれるのではなく、エピソーム作用物質として維持される。アンチセンスオリゴヌクレオチドなどの遺伝子作用物質はまた、mRNAの転写または翻訳に干渉することによって、細胞の遺伝子型を変化させることなく、タンパク質の発現に影響を及ぼすことができる。小分子干渉RNA(siRNA)または短いヘアピン(shRNA)などの遺伝子作用物質は、それが結合するmRNAの分解を媒介することによって、細胞の遺伝子型を変化させることなく、タンパク質の発現に影響を及ぼすことができる。遺伝子作用物質の影響は、細胞における1つまたは複数の遺伝子産物の発現の増加または減少である。
【0270】
本明細書に記載される組織外植片は、様々な薬剤種の吸収、毒性、および/または内分泌刺激を予測するのに有用である。一部の実施形態では、候補薬剤は、小分子(たとえば、ドキシサイクリン)である。一部の実施形態では、候補薬剤は、小分子薬物である。一部の実施形態では、候補薬剤は、ペプチド薬(たとえば、オキシトシン)およびタンパク質薬(たとえば、インスリン)を含む、生物製剤である。一部の実施形態では、候補薬剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0271】
一部の実施形態では、候補薬剤は、FDA’s Biopharmaceutics Classification System (BCS)によって分類された公知の薬物であり、これは、即時放出(IR)固形経口剤形からの薬物吸収の速度および程度を支配する3つの主要な因子である、溶解、溶解度、および腸透過性を考慮している。BCSクラスIは、高い溶解度および高い透過性を指す。BCSクラスIIは、低い溶解度および高い透過性を指す。BCSクラスIIは、高い溶解度および低い透過性を指す。BCSクラスIVは、低い溶解度および低い透過性を指す。
【0272】
E.組織外植片の修飾
本明細書に記載される組織外植片は、実験的に修飾されていてもよい。一部の実施形態では、組織外植片は、培養期間の前または最中に、修飾される。一部の実施形態では、組織外植片は、ウイルスまたは細菌の病原体への曝露によって、修飾される。一部の実施形態では、組織外植片は、遺伝子発現のパターンを改変することによって(たとえば、リプログラミング因子を提供することによって)修飾される。一部の実施形態では、組織外植片は、遺伝子修飾を通じて修飾される。一部の実施形態では、遺伝子修飾としては、たとえば、干渉RNA(shRNA、siRNA)を用いて遺伝子をノックダウンすること、およびたとえばCRISPR/Cas9を用いた安定な遺伝子修飾が挙げられるが、これらに限定されない。実験的に修飾された組織外植片は、薬物トランスポーターまたは薬物代謝酵素の影響、治療剤の影響、腫瘍療法、分化に対する影響などの調査に、有用である。
【0273】
一部の実施形態では、薬物トランスポーターおよび/または薬物代謝酵素の発現が、修飾される。一部の実施形態では、薬物トランスポーターおよび/または薬物代謝酵素の発現が、ノックダウンされる。一部の実施形態では、少なくとも1つの薬物トランスポーターの発現が、修飾される。一部の実施形態では、少なくとも1つの薬物トランスポーターの発現が、ノックダウンされる。一部の実施形態では、少なくとも1つの薬物代謝酵素の発現が、修飾される。一部の実施形態では、少なくとも1つの薬物代謝酵素の発現が、ノックダウンされる。
【0274】
一部の実施形態では、組織外植片は、病的状態を生じるように修飾される。病的状態の例としては、炎症性腸疾患(IBD)、結腸がん、腸間膜虚血、先天性症候群、および外傷が挙げられるがこれらに限定されず、これらは、器官生理学を損なうのに十分な程度で、腸の大部分の機能喪失をもたらし得るか、またはその物理的な切除を要し得る。組織外植片を培養物中に維持する能力は、腸疾患および外傷に誘導される腸不全を処置するための治療法の開発に重要である。
【0275】
細胞または組織を修飾するための方法は、当業者に公知である。たとえば、ポリペプチドをコードする発現ベクターの導入を使用して、その配列が欠如した細胞においてコーディング産物を発現させるか、またはその産物を過剰発現させることができる。構成的であるか、または外部調節に供される様々なプロモーターを使用することができ、後者の状況では、遺伝子の転写のオンまたはオフを切り替えることができる。これらのコーディング配列には、全長cDNAもしくはゲノムクローン、それに由来する断片、または天然に存在する配列を他のコーディング配列の機能的もしくは構造的ドメインと組み合わせたキメラが含まれ得る。あるいは、導入された配列は、アンチセンス配列をコードし得る;アンチセンスオリゴヌクレオチドであり得る;siRNAまたはshRNAであり得る、天然の配列のドミナントネガティブ変異またはドミナントもしくは構成的に活性な変異をコードし得る;改変された調節性配列などであり得る。組織外植片にトランスフェクトまたは形質導入されたベクターから発現させる代わりに、オリゴヌクレオチド、siRNA、またはshRNAは、組織外植片に直接的にトランスフェクトまたは形質導入することができる。
【0276】
宿主細胞種に由来する配列に加えて、他の目的の配列には、たとえば、病原体の遺伝子配列、たとえば、特に、遺伝子がヒトまたは他の宿主細胞の機能に影響を及ぼす場合に、ウイルス、細菌、および原虫の遺伝子のコーディング領域が含まれる。他の種に由来する配列もまた、導入され得るが、その場合、対応する同種配列が存在する場合も存在しない場合もある。
【0277】
多数の公的なリソースが、遺伝子配列、たとえば、ヒト、他の哺乳動物、およびヒト病原体配列の供給源として、利用可能である。ヒトゲノムの実質的な部分が、配列決定され、これは、Genbankなどの公的なデータベースを通じてアクセスすることができる。リソースとしては、uni-gene set、ならびにゲノム配列が挙げられる。たとえば、Dunhamら、(1999年)、Nature、402巻、489~495頁またはDeloukasら、(1998年)、Science、282巻、744~746頁を参照されたい。
【0278】
多数のヒト遺伝子配列に対応するcDNAクローンは、IMAGEコンソーシアムから入手可能である。国際IMAGEコンソーシアムラボラトリーは、世界的な使用のために、cDNAクローンを開発し、揃えている。クローンは、たとえば、Genome Systems,Inc.、St.Louis、Moから市販されている。DNA配列情報に基づいて、PCRによって配列をクローニングするための方法もまた、当該技術分野において公知である。
【0279】
当業者に周知である方法を使用して、コーディング配列、ならびに細胞に導入した外因性遺伝子の発現の増加に適した転写および翻訳制御シグナルを含む、発現ベクターを構築することができる。これらの方法としては、たとえば、in vitro組換えDNA技法、合成技法、およびin vivo遺伝子組換えが挙げられる。あるいは、遺伝子産物の配列をコードすることができるRNAを、たとえば、合成機を使用して、化学的に合成してもよい。たとえば、「Oligonucleotide Synthesis」、1984年、Gait, M. J.編、IRL Press、Oxfordに記載されている技法を参照されたい。
【0280】
様々な宿主発現ベクター系を利用して、遺伝子コーディング配列を発現させることができる。発現構築物は、哺乳動物細胞のゲノムに由来するプロモーター、たとえば、メタロチオネインプロモーター、伸長因子プロモーター、アクチンプロモーターなど、哺乳動物ウイルスに由来するプロモーター、たとえば、アデノウイルス後期プロモーター、ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター、SV40後期プロモーター、サイトメガロウイルスなどを含み得る。
【0281】
哺乳動物宿主細胞において、たとえば、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルスなど、多数のウイルスに基づく発現系を、利用することができる。アデノウイルスが、発現ベクターとして使用される場合、目的のコーディング配列は、アデノウイルス転写/翻訳制御複合体、たとえば、後期プロモーターおよび三要素リーダー配列(tripartite leader sequence)にライゲーションされ得る。このキメラ遺伝子は、次いで、in vitroまたはin vivo組換えによって、アデノウイルスゲノムに挿入され得る。ウイルスゲノムの非必須領域(たとえば、領域E1またはE3)への挿入は、感染した宿主において生存可能であり、遺伝子産物を発現することができる、組換えウイルスをもたらす(LoganおよびShenk、1984年、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、81巻:3655~3659頁を参照されたい)。また、挿入された遺伝子産物コーディング配列の効率的な翻訳のために、特定の開始シグナルが、必要とされ得る。これらのシグナルには、ATG開始コドンおよび隣接する配列が含まれる。挿入された配列における発現のためのアデノウイルスベクターの生成のための標準的なシステムは、市販供給源から入手可能であり、たとえば、ClontechからのAdeno-X(商標)発現システムがある(Clontechniques、2000年1月、10~12頁)。
【0282】
遺伝子自体の開始コドンおよび隣接する配列を含め、遺伝子全体が、適切な発現ベクターに挿入される事例では、追加の翻訳制御シグナルは必要でない場合がある。しかしながら、遺伝子コーディング配列の一部分のみが挿入される場合、おそらくは、ATG開始コドンを含め、外因性翻訳制御シグナルを提供する必要がある。さらに、開始コドンは、インサート全体の翻訳を確実にするために、所望されるコーディング配列のリーディングフレームと同位相でなければならない。これらの外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然および合成の両方の様々な起源のものであり得る。発現の効率性は、適切な転写エンハンサーエレメント、転写終結因子などを含めることによって、増強され得る(Bittnerら、1987年、Methods in Enzymol.、153巻:516~544頁を参照されたい)。
【0283】
一部の実施形態では、効率性の高いトランスフェクションを達成し、したがって、選択的なマーカーを使用する必要性が回避される、方法が使用される。これらには、マイクロニードル、マイクロジェット(microjet)、イオン泳動、および超音波に媒介されるsiRNA送達を含む、物理的送達様式が含まれ得る。
【0284】
オキシトシン製剤
一部の態様では、本開示は、オキシトシンの経口製剤を提供する。オキシトシンは、現在、腸透過性の低さに起因して、経口投与に利用可能ではない。一部の実施形態では、ポリエチレンイミン(800Da、エンドキャップ型、「PEI」)製剤により、オキシトシンの腸吸収が増加する。一部の実施形態では、オキシトシンは、PEIを使用して製剤化される。一部の実施形態では、PEIを用いて製剤化されたオキシトシンは、製剤化されていないオキシトシンと比較して、増加した血漿濃度レベルを有する。
【0285】
本明細書において使用されるとき、「経口製剤」とは、薬物送達システムの手段を指す。経口製剤は、被験体が飲み込むことを意図している。
【0286】
オキシトシンに適用される「有効量」とは、概して、被験体において所望される変化を達成するのに十分なオキシトシンの量を意味する。経口製剤の非活性成分構成要素(たとえば、PEI)に適用される「有効量」とは、所望される速度で所望される期間の間、オキシトシンの放出に肯定的な影響を及ぼすのに十分である、非活性成分構成要素の量を指す。
【0287】
一部の態様では、本開示は、治療有効量のオキシトシンまたはその機能的類似体と、PEIとを含む、オキシトシン製剤を提供する。一部の実施形態では、オキシトシンの有効濃度は、50μg/mLである。一部の実施形態では、オキシトシンの有効濃度は、約50μg/mLである。一部の実施形態では、PEIの濃度は、1~100μgである。一部の実施形態では、PEIの濃度は、約1~約100μgである。一部の実施形態では、PEIの濃度は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100μgである。
【0288】
キット
一部の態様では、本開示は、少なくとも本明細書に記載される組織外植片を含む、キットを提供する。キットには、本明細書に記載される組織外植片、および必要に応じて基材、および使用のための指示が含まれる。キットは、好適な容器中に、本明細書に記載される組織外植片、および必要に応じて基材、ならびに様々な緩衝液、試薬、酵素、および当該技術分野において周知の他の標準的な成分を含み得る。一部の実施形態では、キットは、本明細書に記載される組織外植片、基材、および1つまたは複数の製剤を含む。一部の実施形態では、製剤は、GRAS(安全性認定、Generally Recognized as Safe)に基づく賦形剤である。一部の実施形態では、キットは、製剤のライブラリーを含む。一部の実施形態では、基材は、組織外植片と界面を接する複数のプレート、およびプレートのうちの一方を封止するカバーフィルムを含む。
【0289】
一部の実施形態では、キットは、本明細書に記載される組織外植片と、組織外植片と界面を接する複数のプレートおよびプレートのうちの一方を封止するカバーフィルムを含む基材とを含み、ここで、基材は、ロボットアームと適合性がある。そのような容器としては、所望される構成要素が中に保持される、射出成形または吹込み成形された容器を挙げることができる。容器および/またはキットには、使用のための指示および/または警告を伴うラベルが含まれ得る。
【実施例】
【0290】
材料および方法:
組織の切開および培養
小腸組織を、選択された地域の屠殺場から得られたブタに由来する新しく調達したインタクトな胃腸管から単離した。組織を縦方向に切開し、これを、滅菌条件下において、5%抗生物質-抗真菌剤の溶液(カタログ番号15240062、Thermo Fisher Scientific)を補充した生理食塩水系列中に浸漬した。組織に、次いで、実験に応じて、腸組織外植片デバイスへの載置、または細胞ストレーナー(Falcon(商標)細胞ストレーナー、メッシュサイズ:100um、Thermo Fisher Scientific)での保持のいずれかを行い、気密容器において、37℃のインキュベーションで、血清不含細胞培養培地中で培養した。培養については、以下の培地および補充物質を使用した:ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)高グルコース(Life Technologies、カタログ番号11965084)、DMEM、高グルコース、HEPES(Life Technologies、カタログ番号12430054)、DMEM、高グルコース、グルタミン不含(Life Technologies、カタログ番号11960044)、DMEM、高グルコース、ピルベート、グルタミン不含(Life Technologies、カタログ番号10313021)、Advanced DMEM/F-12(Life Technologies、カタログ番号12634028)、MEM非必須アミノ酸溶液(Life Technologies、カタログ番号11140050)、EGF組換えヒトタンパク質(Life Technologies、カタログ番号PHG0311)、ウシ胎仔血清、証明付き、米国起源(Life Technologies、カタログ番号16000044)。生物学的特徴付けについては、腸陰窩および絨毛を、これまでに公開されているプロトコールに基づいて単離した(Sato, T.およびClevers, H.、Methods Mol. Biol.、第945巻:319~328頁、2013年)。
【0291】
試薬
ヒトオキシトシン(合成、O3251-5000IU、Sigma)、ヒトインスリン(組換え、カタログ番号I2643-25MG、Sigma)、テイコプラニン(組換え、カタログ番号T0578、Sigma)、酢酸カルベトシン(合成、SML0748、Sigma)を、A-20000 Alexa Fluor(登録商標)488 NHS
Ester(スクシンイミジルエステル)標識キットを使用して、使用前に標識した。Label IT(登録商標)RNAi Delivery Control Cy(登録商標)3を、Mirus Bioから購入した。加えて、以下のモデル薬物を、すべてSigmaから購入した:アンチピリン、ベータカロテン、ダナゾール、ベラパミル、イベルメクチン、メトロプロロール(Metropolol)、ナプロキセン、オセルタミビルリン酸塩、メマンチン、エンテカビル一水和物、エムトリシタビン、エルゴタミンD-酒石酸塩、ラベタロール、ケトプロフェン、デシプラミン、モキシフロキサシン、カルバマゼピン、アトルバスタチン、ドンペリドン、ピロキシカム、イブプロフェン、テオフィリン、プロプラノロール、メサラミン、カフェイン、フェニトイン、バラシクロビル、クマリン、ドキシサイクリン、メトホルミン、フルバスタチン、テルブタリン、ワルファリン、インドメタシン、アシクロビル、クロルフェニラミン、サキナビル、ロスバスタチン、キニン、キニジン、フロセミド、ラニチジン、クロルテトラサイクリン、ジヒドロエルゴタミン-酒石酸塩、アミロライド、オメプラゾール、アテノロール、ファモチジン、クルクミン、FITCデキストラン4kDa、FITCデキストラン20kDa、FITCデキストラン70kDa、およびフルオレセイン。製剤化賦形剤として試験した以下の化学物質は、すべて、Sigmaから購入した:δ-デカラクトン、2-ホスホ-L-アスコルビン酸三ナトリウム塩、4アームのPEG、8アームのPEG、4-(ジメチルアミノ)ピリジン、6-O-パルミトイル-L-アスコルビン酸、アセスルファムK、アジピン酸、寒天、アガロース、アルブミン(ウシ血清)、アルギン酸ナトリウム塩(褐藻類)、アルギン酸ナトリウム塩(ケルプ)、アルファシクロデキストリン、バシトラシン、B-アラニン、B-シクロデキストリン、BD PuraMatrixペプチドヒドロゲル、ベントナイト、カフェイン、カーボポール934、カルボキシメチルセルロース、カルナウバロウ(Carnuba Wax)黄色1番、ヒマシ油、酢酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース(Cellulose Acetate Phalate)、酢酸プロピオン酸セルロース、キチン(エビの殻由来)、キトサン、中分子量キトサン、コレステロール、クエン酸、トウモロコシ油、綿実油、システアミン、D(+)-マンノース、D(-)フルクトース、D(+)グルコース、D(+)トレハロース二水和物、デキストラン、デキストロース、D-ラクチトール(D-Lacititol)、D-ロイシン、DL-酒石酸、D-マンニトール、D-メチオニン、D-トリプトファン、Dynasan
118微細、エデト酸二ナトリウム、エチレンジニトリロール四酢酸二ナトリウム塩、L(+)アラビノース、ラポナイト、L-アルギニン、L-アスコルビン酸、L-システイン塩酸塩一水和物、レシチン、L-ヒスチジン、イナゴマメ種子由来のローカストビーンガム、L-フェニルアラニン(L-Phenylaline)、L-プロリン、L-スレオニン、メグロミン、ミグリオール812、鉱油、Mowiol 10-98、Mowiol 18-88、Mowiol 4-98、Mowiol 56-98、Mowiol 8-88、ムチン(ブタ胃)、ネオクプロイン、パラフィンワックス、ピーナツ油、PEG-ブロック-PEG-ブロック-PEG、ブタ胃粘膜由来のペプシン、Pluronic F-127、Pluronic F-68、Pluronic P85、ポリ(ジメチルシロキサン)、ビス(3-アミノプロピル)末端型、ポリ(DL-ラクチド-co-グリコリド)、ポリ(L-ラクチド-co-カプロラクトン-co-グリコリド)、ポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、ポリ(ジメチルシロキサン)-グラフトポリアクリレート、ポリ(エチレングリコール)ビス(アミン)、ポリ(エチレン-co-グリシジルメタクリレート)、ポリ(エチレン-co-ビニル-アセテート)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)酸(PLGA)、ポリ(メチルメタクリレート-co-メタクリル酸)、ポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、ポリ(tert-ブチルアクリレート-co-エチルアクリレート-co-メタクリル酸)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ[ジメチルシロキサン-co-[3-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]-プロピル]メチルシロキサン]、ポリ[ジメチルシロキサン-co-メチル(3-ヒドロキシプロピル)シロキサン]グラフト-ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸、ポリアニリン、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクトントリオール、ポリエチレングリコール3350Da、ポリエチレングリコール400Da、ポリエチレングリコールメチルエーテル、ポリエチレングリコール10kDa、ポリエチレングリコール35kDa、ポリエチレングリコール500kDa、ポリエチレングリコール800Da、ポリエチレンイミン、ポリオキシエチレン(20kDa)、モノオレイン酸ソルビタン(Tween 80)、ポリソルベート80、ポリスチレン(Polystrene)ビーズ(200nm)、ポリスチレンチオール末端型、ポリ塩化ビニル-酢酸ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンK90、没食子酸プロピル、リボフラビン、リボフラビン5’-一リン酸ナトリウム塩、SDS、セバシン酸、ゴマ油、Sigma 7-9(トリス塩基)、シリカゲル、グリコール酸ナトリウム(Sodium Glycholate)、グリコケノデオキシコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム水和物、ヒアルロン酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム水和物、Soluplus、ダイズ油、Span 80、デンプン、可溶性スクロース、スクロースUltra(Fluka)、Synperonic F108、タルク、タウロコール酸(Tauchloric Acid)、タウロケノデオキシコール酸塩、タウロデオキシコール酸塩、テトラグリコール、チオフラビンT、トラガカント、トリアセチン、トリステアリン、TritonX100、Tween 28-LQ-(AP)、Tween20、ウリジン、バニリン、植物油、ビタミンB12、Xanthomonas Campestris由来のキサンタンガム、キシリトール、y-デカラクトン、Zonyl FSO-100フッ素系界面活性剤、α-トコフェロール、ε-カプロラクタム、ε-カプロラクトン、ω-ペンタデカラクトン、ゼラチン、ウシ皮膚由来のゼラチンB型、冷水魚皮膚由来のゼラチン、ブタ皮膚由来のゼラチンA型、グリセリン、グリシン、グリココール酸、グアー、ブタ腸粘膜由来のヘパリンナトリウム塩、ヒドロキシアパタイト(Hydroxyapatide)ナノ粒子(200nm)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(Hydroxypropylmethylcellulose phalate)、インフルエンザヘマグルチニン(HA)ペプチド、酸化鉄(III)、Koliphor(登録商標)EL、Kollicoat(登録商標)SR 30D、Kollidon(登録商標)25、Kollidon(登録商標)VA 64、Kollidon(登録商標)12PF、Kollidon(登録商標)P188、Kollidon(登録商標)SR、Kollidon(登録商標)V67、Kollidon(登録商標)P407、Kollidon(登録商標)RH40、EUDRAGIT(登録商標)E PO、EUDRAGIT(登録商標)E100、EUDRAGIT(登録商標)NM 30D、EUDRAGIT(登録商標)RL PO、EUDRAGIT(登録商標)S100、EUDRAGIT(登録商標)L 100-55、EUDRAGIT(登録商標)RS PO。免疫標識については、以下の一次抗体を、1:200希釈で使用した:CDX2(ウサギ、Cell Signaling)、E-カドヘリン(マウス、Cell Signaling)、クローディン-1、ウサギ、Cell Signaling、ビメンチン(ウサギ、Cell Signaling)、FABP1(ウサギ、Cell Signaling)、GLP-1(ヤギ、Santa Cruz)、Lgr5/GPR49(ウサギ、Thermo Fisher)、Wnt3a(ウサギ、Abcam)、ビリン(ウサギ、Thermo Fisher)、MUC2(ウサギ、Thermo Fisher)、ネスチン(ウサギ、Thermo Fisher)、MDR-1(ウサギ、Novus)、CYP3A4(ウサギ、Cell Signaling)、R-スポンジン1(マウス、R&D Systems)、クロモグラニンA(マウス、Abcam)、リゾチーム(ウサギ、Abcam)、HLA DR+HLA DP(マウス、Abcam)、OLFM4(ウサギ、Abcam)、ケラチン20(ウサギ、Cell Signaling)、GFAP(ニワトリ、Abcam)。さらに、コムギ胚芽凝集素、Alexa Fluor(登録商標)594コンジュゲート、L12492、LysoTracker(登録商標)Deep Red、およびR37112 ActinRed(商標)555 ReadyProbes(登録商標)試薬DAPI(4’,6-ジアミジノ-2-フェニルインドール、二塩酸塩)は、すべて、Life Technologiesから購入した。
【0292】
ブタモデルにおける薬物動態分析
すべての動物手順は、Massachusetts Institute of Technology Committee on Animal Careによって承認されているプロトコールに従って実行した。組織の実験については、新しい組織を、安楽死から20分以内に、地域の食肉処理場から入手した。
【0293】
走査型電子顕微鏡(SEM)分析
組織外植片を、PBS中の4%(体積/重量)ホルマリン中に、4℃で2日間固定した。その後、試料を、脱イオン水で5回洗浄し、次いで、段階的なエタノール(Sigma、ACS試薬、99.5%)系列を通して、それぞれの溶液について2分間、それぞれの濃度(20、30、40、50、70、80、90、100、100、100%(体積/体積))で2回ずつ、脱水した。脱水の後、試料を、ヘキサメチルジシラザン(Sigma)溶液中に、一晩浸漬させた。ヘキサメチルジシラザンの揮発性質に起因して、溶液は、一晩で蒸発し、乾燥した組織片が得られた。作製した表面の形態学を、JEOL 5600LV SEMを使用して観察した。SEM下において視覚化する前に、すべての試料に、Hummer 6.2 Sputter Coating Systemを使用して、炭素をスパッタコーティングした。試料を、0.5cm2よりも小さな面積となるように切断し、両面炭素伝導性接着テープによって、アルミニウムスタブに固定した。
【0294】
免疫組織化学的染色
単離した絨毛および陰窩を、PBS中の4%(体積/重量)ホルマリン中に、室温で30分間固定し、PBSで洗浄し、0.25%(体積/体積)Triton-X-100/PBSで2分間、透過処理し、PBSで洗浄し、次いで、PBS中の4%(重量/体積)ウシ血清アルブミンで1時間ブロッキングした。一次抗体および二次抗体を、ブロッキング緩衝液中で、室温において2時間または4℃で一晩インキュベートした。染色した細胞を、次いで、ProLong(登録商標)Diamond Antifade Mountant(Thermo Fisher Scientific)を使用して、カバースライドに封入した。
【0295】
組織外植片を、PBS中の4%(体積/重量)ホルマリン中に、4℃で2日間固定した。次いで、脱水およびパラフィン包埋を行った後、組織切片化を行った。結果として得られたパラフィン包埋組織スライドについて、ワックス除去および抗原賦活化を、標準的なプロトコールに従って行い、続いて染色手順を行った。
【0296】
組織外植片の凍結切片は、液体窒素中で組織を瞬間凍結させ、最適切断温度(O.C.T.)製剤(Tissue-Tek(登録商標)O.C.T. Compound、Sakura(登録商標)Finetek)に包埋することによって生成した。組織切片は、クライオスタットを使用して生成した。結果として得られた組織スライドを、PBS中の4%(体積/重量)ホルマリン中に、室温で30分間固定し、PBSで洗浄し、PBSで洗浄し、次いで、PBS中の4%(重量/体積)ウシ血清アルブミンで1時間ブロッキングした後、組織色素を製造業者のプロトコールに従って使用した。
【0297】
顕微鏡分析
組織スライドの光学顕微鏡分析を、10倍または20倍の乾燥系対物レンズを備えるEVOS FL Cell Imaging Systemを使用して行った。蛍光性試料を、20倍の乾燥系対物レンズまたは60倍の油浸対物レンズを使用して、Galvanoスキャナーにおいて、Nikon A1R Ultra-Fast Spectral
Scanning Confocal Microscopeを使用して分析した。結果として得られた未加工の画像を、NIS-Elements CソフトウェアおよびImageJを用いて分析した。
【0298】
腸組織外植片の灌流実験
腸組織外植片システムをアセンブルするために、空腸から新しく単離した腸組織を、記載される組織切開手順に従って調製し、レシーバー側プレートとして汎用96ウェルプレート(Corning(登録商標)96ウェルプレート、透明底、Corning)またはUV透過性プレート(Corning(登録商標)96ウェルUVプレート、Corning)を用いて、製造されたインターフェース設計に載置した。空腸は、幽門のおよそ50cm後ろの小腸領域として特定した。空腸と回腸との間の違いは、解剖学的な位置、組織の構造上の違い、血液供給の違い、および脂肪の蓄積、ならびにリンパ系組織の存在に基づいて決定した。384ウェルの形式のシステムについては、ガラス底を有する384マイクロプレート(Greiner Sensoplate(商標)ガラス底マルチウェルプレート、Sigma)を使用した。次いで、組織を、特定のex vivo培養期間の間、記載される培養プロトコールに従って、このシステムにおいて培養した。このシステムを使用した腸灌流実験は、別途示されない限り、ex vivoにおける培養の24時間後に、1回だけ行った。
【0299】
灌流実験については、以下の設定を使用した:製剤試料は、液体取り扱いステーション(Evo 150液体取り扱いデッキ、Tecan)を使用して調製し、自動化注入装置(EL406 Combination Washer Dispenser、BioTek Instruments)を使用して、レシーバー側の96ウェルプレートに充填し、次いで、マイクロプレートリーダー(Infinite(登録商標)M1000 PRO、Tecan)を、分光光度法による分析に使用した。具体的には、準備した賦形剤プレートを10回混合し、適切な量の賦形剤をピペットで取り、それを適切な量の化合物が既に入っている96ウェルプレートに分注するプロトコールに従って、製剤試料を調製した。賦形剤/化合物製剤を、次いで、60回混合し、次いで、適切な量をピペットで取り、組織外植片上に分注した。試料のインキュベーションを含め、すべての実験は、室温で行った。
【0300】
見かけの透過性(P
app)値は、以下の等式を使用して計算し、
【化1】
式中、Vは、レシーバー側チャンバの体積であり、Aは、組織の表面積であり、C
0は、ドナー側チャンバの開始濃度であり、ΔC
Rは、インキュベーション時間Δtにおけるレシーバー側チャンバの濃度増加である。
【0301】
統計学的分析
組織外植片のPappまたはCaco-2のPappと比較した、ヒト吸収の相関を、両側ノンパラメトリックスピアマンの相関関数によって行った。オキシトシンのin vivoでの薬物動態データを、一方向ANOVAによって分析した後、テューキーおよびボンフェローニの事後分析によって分析した。製剤のスクリーニング分析については、賦形剤混合物中の2つの成分を、特徴または個体のいずれかとして扱い、ユークリッド距離に基づく昇順階層的クラスタリングを使用して独立してクラスタリングしたが、必要に応じて行列のサイズに応じたk平均法アルゴリズムがこれに先行する。データ行列の行および列を、次いで、対応するクラスタリングに従って、類似の列を互いに近づけ、類似の行を互いに近づけるように、置換した。このデータを、次いで、置換行列におけるデータを反映する色分けしたヒートマップで表示した。
【0302】
(実施例1:腸組織のex vivo培養システム)
腸組織を生存度およびin vivo構成が維持される様式で培養することができるかどうかを決定するために、小腸組織を、ブタに由来する新しく調達したインタクトな胃腸管から単離した。腸組織外植片の生存度は、特定の培地組成に依存することが見出された(
図1A)。DMEM F12単独と、DMEM F12にFBSまたはEGFを添加したものとの間で、培養した組織に、生存度における差は観察されなかった。加えて、
図1Bは、培地ありまたはなしで培養した小腸組織外植片の、7日後の管腔側の写真を示し、外植片が、培地ありでもっとも良好に生存したことを示す。ex vivo培養において腸上皮の細胞生存を維持するのには、間質が必須であることが見出された(
図1C)。Dapi(青色、細胞核)、ファロイジン(緑色、F-アクチン、コムギ胚芽凝集素(形質膜、赤色)、およびLysoTracker(登録商標)(リゾチーム、紫色)で染色した切片化した腸組織外植片の共焦点分析により、最大10週間の間、インタクトな細胞が示されたが、組織形質学は、2~3週間後に変化すると見られた(
図1D)。さらに、間質層を除去した後に、ex vivoでの外植片培養を行った場合、同一の培養条件下において、5日後にインタクトな細胞は検出されなかった(
図1D)。
【0303】
加えて、ex vivoにおいて培養した腸組織外植片の絨毛-陰窩のトポグラフィーを、走査型電子顕微鏡(SEM)で分析して、絨毛構造がインタクトなままであったかどうかを決定した。
図1Eは、絨毛の構造が、実際にインタクトであったことを示す。
【0304】
3週間またはそれよりも長い間培養した組織の組織学的分析により、新しい組織と比較して、組織の構成における変化が明らかとなった。これらの変化には、
図1Fに示されるように、細胞外マトリクスの分解、および腸上皮の細胞集団における変化が含まれる可能性が高かった。加えて、より若い動物(約3週齢)またはより老いた動物(約3ヶ月齢)に由来する培養した組織の組織学的分析を、行った。
図1Gは、より若い動物から単離した組織におけるよりインタクトな組織構成を示す。
【0305】
ex vivo培養によって誘導される腸上皮における変化を調査するために、新しい組織およびex vivoにおいて7日間培養した組織における広範な細胞型マーカーおよび薬物トランスポーターの発現レベルを、調査した。
【0306】
遺伝子発現は、rtPCRによって分析した。抗体が利用可能である場合、細胞マーカーのタンパク質レベルは、ウエスタンブロット分析によって調査した。具体的には、組織を、およそ30mgの小片にし、その直後に液体窒素中で瞬間凍結させ、-80℃で保管した。組織溶解については、凍結した組織を、1体積の低温PBSで洗浄した後、プロテアーゼ阻害剤(Halt(商標)プロテアーゼ阻害剤カクテル、ThermoFisher)を有する2体積の新しく調製したRIPA溶解および抽出緩衝液(Cell Signal)で洗浄した。組織が完全にホモジナイズされるまで、組織を、30秒間の混合に続いて30秒間の氷上冷却のサイクルを3~5回、手動モータを用いて溶解させた。溶解物に、4℃において30分間、1200rpmで遠心分離を行い、結果として得られた上清を、新しいバイアルに移した。溶解物の全タンパク質濃度を、次いで、製造業者のプロトコールに従って、BCAアッセイ(Pierce(商標)BCAタンパク質アッセイキット、ThermoFisher)によって分析した。SDS-PAGEについては、組織タンパク質のそれぞれのセット(プロテアーゼ阻害剤を有するRIPA緩衝液中、約500μg、pH7.5)を、β-メルカプトエタノールを含有する濃縮した(2倍)Laemmli試料緩衝液(Bio-Rad)中に混合した。試料を、95℃で5分間加熱し、次いで、SDS-トリス-グリシン緩衝液、pH8.0中で、90~120分間、120ボルトで、3.5mM SDSを含有する12%ポリアクリルアミドゲルに泳動させた。タンパク質を、200ミリアンペア下で1~3時間、メタノール活性化PVDF膜に移した。5% BSAブロッキングの後に、膜を、一次抗体(作業濃度として、1:200)とともに、4℃で一晩インキュベートした後、抗マウス(1:3000、Abcam)または抗ウサギ(1:2000、Abcam)二次抗体とともに、室温で3時間インキュベートした。標的タンパク質を、製造業者のプロトコールに従って、Bio-Rad画像化装置で検出した。
【0307】
新しく採取した組織と比較して、ex vivo培養物の、類似の遺伝子およびタンパク質の発現が、分析したすべてのマーカーについて、観察された(
図1H)。尾部型ホメオボックス2(CDX-2)、ケラチン20(KRT20)、ならびに脂肪酸結合タンパク質1(FABP-1)、ならびに腸上皮の細胞間接着マーカー(ZO-2およびE-カドヘリン、ならびに様々なクローディン)の存在により、分化した腸上皮のインタクト性(intactness)が実証される。ロイシンリッチ反復配列含有Gタンパク質共役型受容体5(LGFR5)およびオルファクトメジン4(OLFM4)の存在により、腸幹細胞が、組織外植片に存在することが示された。クローディン-1およびグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の存在により、内分泌細胞が、組織外植片に存在することが示された。ビメンチンの存在により、小襞細胞(M細胞)が、組織外植片に存在することが示された。ムチン2(MUC-2)の存在により、杯細胞が、組織外植片に存在することが示された。リゾチーム1の存在により、パネート細胞が、組織外植片に存在することが示された。ネスチンおよびシナプトフィジン(SYP)の存在により、神経細胞が、組織外植片に存在することが示された。重要なことに、様々な腸薬物トランスポーター(すなわち、ABC薬物排出トランスポーターMDR-1、胆管側多選択性有機アニオントランスポーター2(ABCC3)、多剤耐性関連タンパク質2(MRP-2)、ペプチドトランスポーター1(PEPT-1)、乳がん耐性タンパク質(BCRP)、有機カチオントランスポーター1(OCT-1)、有機溶質トランスポーターサブユニットアルファ(OST-α)、およびモノカルボキシレートトランスポーター(MCT-1))のタンパク質濃度に明らかな変化は観察されなかった。興味深いことに、ex vivoにおいて培養した組織は、ウエスタンブロット分析によると、一定レベルの分泌Wnt3aおよびR-スポンジン-1を維持し(
図1Hおよび1I)、Wnt3aは、最大で3週間の分泌を示した(
図1I)。Wnt3aおよびR-スポンジン-1は、カノニカルWnt/β-カテニン経路の可溶性リガンドであり、腸幹細胞の機能および生存度の維持に重要な役割を果たすことが報告されている。さらに、インタクトな絨毛および陰窩を、長期間のex vivo培養後に腸上皮から単離したが、これは、間質層が除去されていない場合に限られた(
図1J)。
【0308】
さらに、切片化した腸組織外植片を、免疫組織化学法によって分析した(データは示されない)。新しく単離した組織および7日間ex vivoで培養した組織の両方において、ビメンチン染色によって、粘膜固有層におけるビメンチン-間葉細胞を、観察した。類似の結果が、CDX-2染色において見出され、分化した腸上皮の核に、CDX-2シグナルの特徴的な蓄積があった。他の成熟腸上皮マーカー(FABP-1およびKRT20)は、腸上皮特異的であることが見出されたが、新しく切除した組織とex vivoで培養した組織との間で、様々なシグナル強度が示された。重要なことに、E-カドヘリン染色により、7日間のex vivoでの培養後の組織外植片においてインタクトな細胞間接着が明らかとなったが、新しく単離した組織と比較して、目に見える差はなかった。Wnt3aもまた、腸陰窩に存在することが見出され、ex vivoで培養した組織において、新しい組織と比較して、類似の量の杯細胞が観察された。
【0309】
細胞増殖などの多数の細胞プロセス、および酸化ストレスに対する保護に関与する遍在性酵素であるチオレドキシン還元酵素活性の生体活性分析を、チオレドキシン還元酵素活性アッセイキット(カタログ番号68AT-ThioRed-S100、Ray Biotech)を使用して、測定した。
図1Kに示されるように、新しい組織溶解物と、ex
vivoにおいて最大7日間培養した組織との間で、有意差は存在しなかった。プロテアーゼ活性もまた、プロテアーゼ活性アッセイキット(カタログ番号68AT-Protease-S100、RayBiotech)を使用して、調査した。新しい組織と、ex vivoにおいて7日間培養した組織との間で、有意な変化は観察されなかった(
図1K)。さらに、代謝酵素であるシトクロム(chytochrome)P450 3A4(CYP3A4)およびウリジン5’-ジホスホグルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)の活性を、確認した(
図1K)。興味深いことに、活性は、新しく切除した組織と、ex vivoにおいて7日間培養した組織外植片との間で、変動すると見られた。
【0310】
これらの結果により、腸組織外植片が、長期間ex vivoで維持することができ、組織構成ならびに上皮および粘膜内の特定の細胞型をおよそ2~3週間保持することができることが、示された。さらに、腸組織外植片のex vivo生存度は、下にある間質がインタクトであること、培養条件、および最適な培地組成に依存することが見出された。
【0311】
(実施例2:腸組織外植片プラットフォームの開発)
次に、高スループットのプラットフォームにおける実施例1からの腸組織外植片の使用について、調査した。長期組織培養能力と組み合わせた、高スループットの腸薬物灌流測定を可能にする、腸組織外植片培養のためのインターフェースプラットフォームを、設計した。具体的には、可能性のあるインターフェースシステムの広範な異なる設計および材料を、体系的に評価した。
図2Aに示されるように、低い試料変動性、組織生存度の維持、高速なアセンブリ、およびロボットによる取り扱いとの適合性を可能にするシステムを、開発した。この設計は、腸組織を96マルチウェルプレート形式でコンパートメント化する、上部デバイスからなっていた。組織が、マルチウェルプレートの底部を形成し、組織の下にある追加のデバイスを使用することによって、96個のウェルのそれぞれの周囲を封止する。このシステムは、ロボットによる取り扱いのためにシステムを正しい位置に維持するように、調節可能な圧力を可能にするケースに収められる。
【0312】
より具体的には、インターフェース装置は、基準96ウェルプレート、薄い中間プレート、および上部負荷プレートからなっていた。腸組織を、中間プレートのスルーホールの上に配置した。上部負荷プレートを、組織の上に配置し、これは、組織を中間プレートの上およびスルーホールの周囲に押し付けた。上部プレートによって維持される圧力に基づいて、封止が形成される。いくつかの製造方法を、プロトタイプ段階で使用した。使用した機器には、3Dプリンター(Stratasys Objet30 Pro)、ウォータージェット(OMAX MicroMax)、およびレーザーカッター(Universal VLS6.60)が含まれた。上部負荷プレートについては、3mm~5mmの変動する直径の柱を、3Dプリンターを使用して、96ウェル形式で印刷した。試験中は、補助的なおもりを添加して、3Dプリンターのポリマーの軽量を補った。最終的なデバイスは、アルミニウム合金を使用して、4mmの柱で製造した。アルミニウムプレートは、Proto Labs Inc.により、直接的な金属のレーザー焼結によって提供された(DMLS)。中間プレート上に配置した組織は、上部プレートからの力によって、わずかに凹んでそれぞれのウェルに入った。中間プレートのスルーホールの厚さ、剛性、および直径を、この条件を最適化するように探求した。剛性および機械加工性のために、アルミニウムおよびアクリルを含むいくつかの材料を使用した。アルミニウムプレートは、ウォータージェットで切断したが、アクリル板は、レーザーで切断した。プレートの厚さは、1mm~2mmで調べ、1mmを選択した。中間プレートの直径は、組織が上部プレートと中間プレートの間に入るように、上部負荷プレートの直径よりも大きくなるように設計した。6.5mm~8mmの範囲でいくつかの直径を調べ、6mmの直径を選択した。
【0313】
デバイスの上部セグメントと下部セグメントとの間のインターフェースの開発には、上部セグメントの最適な幾何形状およびウェル間での漏出を最小限に抑えるための組織に対する圧力の特定が含まれた。
図2Bは、6mmの直径が、もっとも少ない漏出をもたらしたことを示す。薬物との相互作用の範囲に対する圧力の影響を理解するために、デバイスの詳細な要素分析により、組織における不均一な歪み分布が明らかとなった。有限要素法パッケージであるCOMSOLのMultiphysics/Structural(COMSOL 5.2、Stockholm、Sweden)を使用した。システムの対称性に起因して、組織に対して周期的な境界条件を有する単一ウェルシステムをモデリングした。組織の挙動は、等方性近似非圧縮性超弾性(isotropic near incompressible hyperelastic)(ネオ・フック)モデルを、μ=3160Paのせん断係数およびκ/μ=50で使用して捕捉し、ここで、κは、組織の体積弾性係数である。プレートは、組織よりもかなり硬いため、上部プレートおよび下部プレートの両方を、剛性であると考えた。組織は、線形六角形エレメントの細かいメッシュによってモデリングした。組織とプレートとの間の接触は、ペナルティ技法を使用してモデリングした。結果により、それぞれのウェル内に位置する組織の範囲は、ウェルプレートの周囲の組織と比較して、受ける機械的影響が明らかに少なかったことを示した(
図2Cを参照されたい)。
【0314】
さらに、磁気圧縮によってウェルを封止するように、磁石に基づくインターフェースシステムを、設計した。プレートの重量、寸法、および形状は、本明細書に記載されるように、ロボットによるスクリーニングプラットフォームと完全にインターフェースするように特別に設計した。このインターフェースを使用して、デキストラン(4kDa)ありまたはなしでのFITCの灌流分析を、経時的に測定した。加えて、複数回の実験にわたるFITC灌流の変動性を、6時間にわたるFITCのウェル間での漏出とともに、使用した様々な磁石強度の関数として、分析した。
図2Dは、磁石に基づくインターフェースシステムが、再現性をもたらし、本明細書に記載される方法に好適であることを示す。
【0315】
次いで、外側の筋肉および漿膜ありまたはなしでの腸組織間のシグナルの変動性を、フルオレセインの灌流の分析(FITC)によって調査した。薬物を添加した後、上部プレートと下部プレートとの間の濃度の差を測定して、1~2時間にわたり、腸組織を通じた薬物の灌流速度を計算した。シグナルの変動性は、組織単離手順の間に外側の筋肉および漿膜を除去した場合、低減された(
図2E)。相対標準偏差(σ)は、分析した480個の試料にわたる変動性が、外側の筋肉および漿膜を除去した際に低減されたことを示す。
【0316】
灌流および実験による変動性もまた、調査した。まず、ある範囲の圧力下において、腸組織を通じた、様々な分子量のデキストランありまたはなしでのFITCの灌流を、分析した。
図2Fに示されるように、相対標準偏差によって測定した場合の試料の変動性は、組織プレート全体にわたって5Nの力を適用した場合にもっとも低かった。次いで、灌流実験を、ある範囲の分子量にわたるモデル化合物(FITC、デキストラン、オキシトシン、およびインスリン)を用いて、ならびに異なる動物の小腸の空腸内の異なる領域に由来する腸組織を用いて、ならびに異なるインキュベーション時間で、行った。1つのデータセットにおける6つの異なる動物のバッチからの500回の個別の測定により、すべての異なるモデル薬物について、およそ20%の相対標準偏差(σ)が得られた(
図2G)。siRNAの灌流もまた調査し、およそ25%の相対標準偏差が得られた(データは示されない)。予想外なことに、7日間の過程にわたる、灌流実験での組織の複数回の再使用が、灌流結果に影響を及ぼすことはなかった(
図2H)。最後に、デキストランありまたはなしでのFITCの灌流時間経過分析を、行った。
図2Iは、2時間にわたる96個の個別の経過時間を示し、動的測定が、連続した試料採取によって行われ得ることを示す。
【0317】
さらに、胃、十二指腸、および結腸を含む、胃腸管に由来する他の組織を、このシステムにおいて試験した。
図2Jは、これらの組織の切片のH&E染色を示し、一方で
図2Kは、ex vivoにおいて1週間および3週間培養したこれらの組織の生存死滅分析を示す。これらの結果は、胃、十二指腸、および結腸に由来する組織が、このシステムにおいて維持することができたことを示す。
図2Lは、2時間にわたる、組織のそれぞれを通じたFITCおよびFITC-デキストラン4kDaの灌流を示し、これらの組織が、灌流研究に使用できることを示す。使用した組織に応じて、異なる透過性値が観察されたが、これらの差は、使用した異なるモデル薬物間で相関せず、差が、単純に、異なる表面積などの1つの特定の因子に寄与するものではなかったことを示す。
【0318】
加えて、384ウェルのシステムにおいて使用しようとする組織の能力を、試験した。製造したデバイスには、2mm~3mmの直径の柱を有する上部負荷プレートおよびガラス底の384マイクロプレート(Greiner Sensoplate(商標)、Sigma、
図2M)が含まれた。FITCおよびFITC-デキストラン4kDaの灌流を、2時間にわたって測定した。
図2Nに示されるように、2つの異なる動物のバッチに由来する500個の試料にわたって試験した場合、およそ30%の相対標準偏差があり、このシステムが、384ウェルに増大させることが可能であることが示された。
【0319】
まとめると、これらの結果により、本明細書に記載される腸組織外植片が、高スループットのシステムにおいて使用することが可能であることが示された。
【0320】
(実施例3:腸組織外植片システムの腸吸収の検証)
米国食品医薬品局(FDA)は、in vitro腸灌流システムによるin vivo予測性を検証するために、ヒト臨床薬物動態データを有する経口投与が承認されている薬物の使用を推奨している(Waiver of In Vivo Bioavailability and Bioequivalence Studies for Immediate-Release Sold Oral Dosage Forms Based on a Biopharmaceutics Classification System、U.S. Dep. Heal. Hum. Serv. Food
drug Adm. Cent. Drug Eval. Res.、2000年)。したがって、腸吸収を予測するためのシステムとしての腸組織外植片の使用を確認するために、60個のモデル薬物の灌流を分析した。具体的には、4つのBiopharmaceutical Classification System(BCS)クラスからの薬物(BCsクラスIが16個、BCSクラスIIが13個、BCSクラスIIIが15個、およびBCSクラスIVが12個)を、4つのデキストランに基づく対照物質とともに、使用した。腸組織外植片システムから得られた腸灌流データを、これまでに公開されているデータに基づくヒト腸吸収と比較した。それぞれのモデル薬物の定量的な検出のために、分光光度法による検出方法および較正曲線を、確立させた(データは示されない)。6つの異なる動物からのデータを分析して、バッチごとの変動性を決定した。
図3Aは、結果を示すが、ここで、箱ひげ図は、2連で行った6回の独立した実験のデータを示し、およそのヒトin vivo腸吸収が、投与した全薬物に対する割合として示される。腸組織外植片システムによって得られた灌流値により、試験したすべてのモデル薬物について、およその範囲の吸収の予測が可能となった。
図3Bは、平均の腸灌流値と、報告されたヒト吸収データとの間の相関を示し、スピアマンの相関係数0.906が得られた。小腸の他の部分(すなわち、十二指腸、空腸、および回腸)を使用して、類似の結果が見出された(
図3C)。
【0321】
比較目的で、組織外植片システムのin vivo予測性を、Caco-2トランスウェル灌流アッセイのものと比較した。Caco-2トランスウェル薬物透過性の体系的な文献分析を、パネル内の使用したそれぞれの薬物について行った。平均のCaco-2透過性値を、ヒト吸収データに比較することにより、スピアマンの相関係数0.302が得られた(データは示されない)。腫瘍由来のCaco-2細胞株の本質的なゲノム不安定性が、薬物トランスポーターの発現レベルの変動性によって引き起こされる輸送の変動性を増加させ得る確率を、調査した。平均の変動係数(CV)は、受動的に吸収させた薬物と比較して、能動的に吸収させた薬物では、およそ2倍高いことが見出された(データは示されない)。対照的に、組織外植片システムにおける6つの独立した動物にわたるCVは、能動的に吸収させた薬物と受動的に吸収させた薬物との間で類似であり、Caco-2細胞のゲノム的に不安定なバックグラウンドが、能動的に輸送される薬物の変動性を増大させると見られるという仮説が支持された。
【0322】
さらに、組織外植片は、蛍光性MDR-1特異的基質を使用した、MDR-1薬物トランスポーター阻害剤研究に有用であることが見出された。MDR-1特異的基質は、それが組織に吸収されると、蛍光を発する。基質を、基質の競合的阻害剤である様々な濃度のベラパミルとともに共インキュベーションすることにより、ベラパミルの濃度の増加に伴って増加する用量依存的な取込みが得られた(
図3D)。
【0323】
加えて、薬物-食物相互作用の調査における組織外植片の使用について、調査した。薬物-食物の相互作用は、薬物吸収において重要な役割を果たすことが公知である。具体的には、天然の腸液には、消化された食物、粘液、および細菌が含まれ、したがって、腸吸収に影響を及ぼす。Caco-2トランスウェル灌流アッセイとは異なり、腸組織外植片システムを通じたモデル薬物の灌流は、天然の腸媒質の存在下において分析することが可能であった。天然の腸液は、組織外植片を単離したものと同じ動物の空腸の管腔から採取した。腸液を、1:4の比でPBSにより希釈し、必要となるまで-20℃で保管した。モデル薬物を、腸液中に直接可溶化させ、60秒間ボルテックスし、次いで、組織外植片に添加した。
図3Eに示されるように、薬物の大半が、天然の腸媒質においてより低いかまたは高い薬物吸収を示し、食物の存在下および不在下における薬物吸収の分析の重要性が強調された。
【0324】
小腸で吸収される薬物の全体的な量に加えて、吸収の速度が、もう1つの重要な因子である。FDAの処方薬ラベルにより、薬物は、ヒトにおけるピーク血漿レベルに基づいて、緩徐、中等度、または高速として分類される。腸組織外植片システムにおけるモデル薬物の時間経過灌流分析を行って、吸収動態を確立した。
図4は、腸組織外植片システムを使用した時間経過分析により、緩徐、中等度、および高速で吸収される薬物に関して、非常に明確な経時的吸収プロファイルが確認され、したがって、このシステムにより、ヒトin vivo吸収動態を正確に予測することができることを示す。
【0325】
比較目的で、モデル薬物の腸吸収を予測するための計算分析技法を、使用した。具体的には、drugbank.caによって利用されているモデルであるadmetSARおよびLipinskiの「5の法則の違反(rule of five violations)」(Lipinski, C. A.ら、Adv. Drug Deliv. Rev.、第23巻:3~25頁、1997年)に基づく予測を評価した。分析したモデル薬物のセットについては、いずれの方法も、ヒト吸収データといかなる相関も示さず、これらのシステムの非常に低い予測能力が示唆された(データは示されない)。
【0326】
(実施例4:腸組織外植片プラットフォームにおけるオキシトシン経口製剤の開発)
現在の最新技術と比較して、高いin vivo予測性を提供することの他に、腸組織外植片システムの強度は、高スループットスクリーニングとのその適合性にある。経口製剤の開発に関する組織外植片システムの可能性を試験するために、腸透過性の低さに起因して現在のところ経口投与に利用可能ではないペプチド薬であるオキシトシンに関して、大規模な吸収スクリーニングを、公知の吸収促進剤であるかまたは腸吸収に対し未知の影響を有するかのいずれかである、GRAS(安全性認定)に基づく賦形剤のライブラリーを用いて、行った。多様な化学基に由来する水溶液中の2976個の共賦形剤製剤を、Alexa488にコンジュゲートしたオキシトシンとともに使用した。
図5Aに示されるように、いくつかの製剤が、オキシトシンの灌流を数倍増加させると見られた。これらの製剤には、親水性ポリマー、界面活性剤、および胆汁酸の組み合わせが含まれた。追加のスクリーニングおよび検証の実験を、初回のスクリーニングのヒットに関して行った(データは示されない)。ポリエチレンイミン(800Da、エンドキャップ型)は、濃度依存的な様式で、オキシトシンの腸灌流を、一貫して数倍増加させた(
図5B)。加えて、この製剤を、Alexa488-テイコプラニン、Alexa488-カルベトシン、およびAlexa488-インスリンを含む、他のモデル薬物で試験したが、使用される薬物に応じて、様々な程度で腸吸収を増加させると見られた(
図5C)。試験した他のポリエチレンイミンバリアントは、試験した様々な薬物の腸吸収を有意に増強しなかった(
図5D)。興味深いことに、オキシトシン類似体であるカルベトシンを、ポリエチレンイミンを用いて製剤化した場合に、腸灌流に、限定的な増加が観察された(
図5C)。さらに、製剤の部分パネルを使用して、Alexa488にコンジュゲートしたオキシトシンの蛍光検出と、未標識のオキシトシンのELISA検出との間の相関を調査して、蛍光標識したオキシトシン(oxytoxcin)での吸収測定値が、インタクトなオキシトシンを測定せず、かつ蛍光標識が、オキシトシンの灌流に影響を及ぼし得ることという懸念に対処した。初回スクリーニングにおいて特定された製剤の大半を、ELISA分析によって確認した(データは示されない)。
【0327】
薬物動態の検証を、in vivoにおいて行った。体重が45~50kgの雌性ヨークシャーブタを使用した。すべての実験の前に、動物は、一晩絶食させ、手順の当日は、朝の食餌を保留した。動物を、Telazol(チレラミン(tileramine)/ゾラゼパム)5mg/kg、キシラジン2mg/kg、およびアトロピン0.04mg/kgの筋肉内注射により鎮静させた。内視鏡により十二指腸にアクセスし、製剤を、十二指腸に直接的に送達した。オキシトシンの定量化のために、末梢静脈から連続的な採血を行った。オキシトシンの血清定量化のために、オキシトシンELISAキット(カタログ番号ab133050、Abcam)を、製造業者のプロトコールに従って使用した。オキシトシン単独の絶対的なバイオアベイラビリティは、0.64%であることが見出されたが、一方で、オキシトシン-PEI(800Da、エンドキャップ型)およびオキシトシン-鉱油(スクリーニングによる別のヒット)の製剤は、3.8%および2%の平均経口バイオアベイラビリティをもたらし、非製剤化オキシトシン対照と比較して、それぞれ6倍および3倍の増強を示した(
図5E)。吸収増強の機序を調査し、小腸に対する製剤の可能性のある局所的な影響を組織学的に分析するために、特注のデバイスと組み合わせた外科手術手順を開発し、これにより、腸組織の規定の範囲における製剤の制御された曝露が可能となった。E-カドヘリン染色した生検試料の切片を使用して、細胞間接着の破壊を分析した。オキシトシン-PEI(800Da、エンドキャップ型)およびオキシトシン-鉱油の混合物に曝露した腸上皮は、非製剤化オキシトシンおよび非処置対照と比較して、細胞間接着に差を示さなかった(データは示されない)。
【0328】
タンパク質生物製剤の代表として、インスリン、および製剤ライブラリーを用いて、追加の高スループットスクリーニングを行って、腸吸収の増強剤を特定した(データは示されない)。
【0329】
まとめると、これらの結果により、腸組織外植片システムは、高スループットのスクリーニングに有用であり、吸収を増強する製剤を正確に特定することができることが示された。
【0330】
(実施例5:腸組織外植片プラットフォームの発現の調整のための核酸の送達)
腸組織外植片システムの拡張されたex vivo生存度を踏まえると、機能的薬物吸収研究に関する特定の薬物トランスポーターまたは代謝酵素の影響を研究するために、RNAi核酸を使用した発現の調整について、調査した。超音波に媒介されるsiRNAの送達は、共焦点顕微鏡に基づく蛍光標識したsiRNAの分析によって評価した場合、もっとも効率的なトランスフェクション方法(リポフェクタミンと比較して)であることが見出された(
図6A)。具体的には、別個の超音波発生装置(Sonics and Materials, Inc.)および特注の96チップのプローブを使用して生成される40kHzの超音波を、5秒間隔で1分間適用することによって使用して、siRNAを組織外植片に送達した。以下のsiRNAを、脱イオン水中1μmの濃度で、使用した:Silencer(登録商標)Select Pre-Designed siRNA(siRNA識別子:s3846、Gene Symbol:CYP3A4)、Silencer(登録商標)Select Pre-Designed siRNA(siRNA識別子:s10419、Gene Symbol:ABCB1)、Silencer(登録商標)Select Negative Control No. 1 siRNA。排出薬物トランスポーターMDR-1、ならびに代謝酵素CYP3A4のノックダウンを、ウエスタンブロット分析によって確認し、
図6Bに示されるように定量化した。それぞれ、MDR-1およびCYP3A4の公知の基質である、ラニチジンおよびキニンを用いた後続の灌流実験により、灌流の有意な変化が得られた(
図6C)。
【0331】
これらの結果は、本明細書に記載される腸組織外植片システムが、小腸を通じた薬物吸収に対する、薬物トランスポーターおよび代謝酵素の影響を研究するのに有用であることを示した。加えて、これらの結果により、遺伝子操作における腸組織外植片システムの使用が確認された。
【0332】
(実施例6:腸組織外植片プラットフォームにおけるアンチセンスオリゴヌクレオチド経口製剤の開発)
実施例3および4に記載されるように、本明細書に記載される組織外植片は、in vivoでの腸吸収を予測し、高スループットの能力でそのような腸吸収を増強するタンパク質薬またはペプチド薬の製剤を分析するのに有用であることが見出された。組織外植片の有用性をさらに調査するために、アンチセンスオリゴヌクレオチドの吸収の増強について、調査した。
【0333】
オリゴヌクレオチドは、酵素が豊富なGI管において低い安定性を示し、粘液層を通過することができず、非常に低いGI吸収を示す(Ensigna, L.ら、Adv Drug Deliv Rev.、第64巻(6号):557~570頁、2012年;Thomsen, TBら、Nanoscale、第6巻(21号):12547~12554頁、2014年)。蛍光コンジュゲーションしたアンチセンスオリゴヌクレオチド(AON)を使用して、組織外植片を通じた蓄積および灌流を検出した。具体的には、組織外植片を用いた自動化された高スループットの動態灌流分析により、6-カルボキシフルオレセイン(FAM)標識したAONの測定によって評価した場合、異なる動物のバッチおよび空腸の部分にわたって、高度に再現可能であることが見出された(
図7A)。
【0334】
FAM-AON組織を測定するための高スループットの分光光度法に基づく読取り方法を、開発し、共焦点顕微鏡に基づくシグナル検出によって検証した(データは示されない)。複数の動物バッチおよび空腸の様々なセグメントにわたる、自動化された高スループットの、FAM標識のみおよびFAM-AONのオリゴヌクレオチドの頂端側および基底膜側の組織蓄積の測定により、低い変動性および高い再現性が示された(
図7B)。
【0335】
アッセイの確立時に、スクリーニング実験を、2つの標的遺伝子に対するFAM標識したAONの製剤を使用して行った。腸灌流および組織吸収を、リアルタイムで同時に測定した。特注で設計した多様な化合物ライブラリーを利用したが、これは、局所処置のための局所的な腸組織の取込み(「腸吸収」として定義される)または腸組織を通じた全身循環への透過(「腸灌流」として定義される)を調整する化合物を特定するための広範な化学的特性を表した。
図7Cは、組織蓄積増強剤を、組織灌流増強剤と比べて示す、グラフを提供する。
【0336】
さらに、天然の腸粘液における蛍光標識したAONの3D変位の経時的な評価を可能にするために、4D共焦点画像技法を、開発して、粘液内の拡散を測定した。新しく採取した天然のブタ腸粘液において均一に分配されたFAM-AONの検出が、確立された。粘液層の上部へのFAM-AON溶液の添加後の4D共焦点画像化により、明らかなシグナルの経時的な変位が示された(データは示されない)。様々な製剤を、粘液拡散の変化について調査し、拡散に多重の倍増がもたらされたものは、粘液層を洗い流した腸組織よりも、インタクトな粘液層を有する腸組織の透過性および吸収の比の増加と相関することが見出された(データは示されない)。
【0337】
製剤の検証分析によると、非標識化AONのセットを選択し、ヨークシャーブタにおけるGI送達後の局所的な胃腸治療有効性について試験した。処置した範囲に由来する生検試料を、ISH染色によって組織学的に分析して、インタクトなAONの取込みを調査し、rtPCTによって有効性を確認した。
図7Dは、製剤化したAONの有効性を示すが、一方で製剤化していないAONは、未処置対照と比較して、効果を有さなかった。
【0338】
これらの結果は、腸組織外植片が、アンチセンスオリゴヌクレオチドの高スループットのスクリーニングに有用であり、ノックダウンの有効性ならびに組織蓄積および/または組織灌流を増強する製剤を正確に特定することができることを示した。
【0339】
(実施例7:腸組織外植片プラットフォームにおける吸収-溶解アッセイ)
次いで、腸組織外植片を、目的の化合物の溶解および吸収を同時に評価することにおけるその使用について、調査した。剤形における化合物の有効性は、吸収されて全身循環に入る前の、胃腸管の流体における薬物の溶解に依存する。溶解は、剤形からの薬物の放出速度を測定するための標準化された方法である。現在開発中の薬物の70%は、BCSクラスII(低い溶解度/高い透過性)として分類される。溶解度を増強させる製剤に焦点を当てることに伴う問題は、それが、透過性に影響を及ぼし得ることである。したがって、溶解および吸収に対する製剤の影響を同時に分析することが、理想的である。
【0340】
溶解および吸収を同時に評価するのに腸組織外植片を使用することについて調査するために、以下の方法を利用した:(1)薬物+溶媒を組み合わせて、高濃度の可溶性薬物溶液を形成すること、(2)溶液を蒸発させて、薬物の粉末を形成すること、(3)薬物の粉末を、水性緩衝液または天然の胃腸液中で賦形剤ライブラリーと組み合わせること、(4)遠心分離によって可溶化された薬物と可溶化されていない薬物とを分離すること、(5)上清における薬物濃度を分光光度法によって検出して、溶解データを取得すること、(6)腸組織外植片を、上清と接触させること、ならびに(6)灌流した薬物の濃度を分光光度法によって検出すること(すなわち、実施例2および3に記載される吸収アッセイ)。この方法の検証を、SDSとともにインドメタシンを用いて実行した。
図8は、溶解データ(左)、および溶解データと吸収データとの比較(右)の両方を示す。溶解および吸収の両方を増強させる製剤を、特定することができる。
【0341】
さらに、溶解および吸収の同時の高スループットのスクリーニングを、インドメタシン、メロキシカム、およびフロセミドを使用して行った。インドメタシンおよびメロキシカムは、BCSクラスIIの薬物であるが、一方で、フロセミドは、BCSクラスIVの薬物(低い溶解度/低い透過性)である。このスクリーニングに基づいて、メロキシカムの複数の製剤を、さらに試験した。
図9は、腸液の存在下での、固定薬物濃度(20mg/ml)におけるメロキシカムの吸収に対する、用量依存的な賦形剤の作用を示す。
図10は、腸における希釈を模倣するために、一定の比率で、異なる濃度の薬物-賦形剤の製剤を使用した吸収を示す。組織の範囲を変更することよりも、これにより、このシステムの高いスループット能力の維持が可能であった。具体的には、薬物および賦形剤の濃度を、体系的に変化させて、胃腸管内の表面積における変化を模倣した。薬物賦形剤溶液は、任意の輸送緩衝液、ならびに天然の胃腸液において、調製することができる。もっとも高い薬物賦形剤濃度は、薬物の水溶解度限度に従って決定した。使用した濃度には、水中への薬物溶解度限度を上回る濃度および溶解度限度内の濃度が含まれた。このアッセイにより、可溶性が低い薬物の、製剤依存的な腸内薬物吸収の増強の分析が可能となり、これは、製剤が曝露される表面積に依存することが見出された。
【0342】
これらの結果により、腸組織外植片が、高スループットかつ効率的な様式で、溶解および吸収を増強させる製剤を特定するのに有用であることが示された。
【0343】
(実施例8:腸組織外植片プラットフォームにおける内分泌刺激のスクリーニング)
実施例1において決定されたように、腸組織外植片は、クローディン-1およびグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の発現によって決定される内分泌細胞を含む。したがって、腸組織外植片が、公知のGLP-1刺激物質に応答する能力を、調査した。具体的には、アセチルコリン、LiCl、およびグルコースを、様々な用量で、24時間、腸組織外植片に添加し、次いで、腸上皮の頂端側内の細胞を、単離した。これらの細胞溶解物のGLP-1の活性な切断されたペプチド(GLP-1(7-36))の濃度を、ELISA分析によって決定した。
図11に示されるように、腸組織外植片は、公知の刺激物質に応答して、用量依存的な様式で、GLP-1(7-36)の濃度の増加を示すことが見出された。異なる経路を通じて作用する、アセチルコリン、LiCl、およびグルコースによるGLP-1分泌の刺激は、これらの経路が、腸組織外植片においてインタクトであったことを示した。アセチルコリンおよびLiClは、神経細胞の調節を介してGLP-1活性をシミュレートすることが報告されている、GLP-1の非栄養性刺激因子として作用する。グルコースは、栄養に基づく経路を介して、GLP-1活性をトリガーする。
【0344】
これらの結果に基づいて、キナーゼライブラリーに基づく600個の化合物および240個のGRAS/不活性成分の化合物のスクリーニングを、GLP-1刺激に関して試験した(データは示されない)。GLP-1模倣物質(simulant)は、2型糖尿病および肥満を含む、様々な処置適用に使用することができる。
【0345】
これらの結果により、腸組織外植片における応答性内分泌細胞の存在、およびGLP-1分泌を刺激する製剤を特定することにおける組織外植片の有用性が、確認された。
【0346】
(実施例9:腸組織外植片プラットフォームの毒性スクリーニング)
胃腸副作用は、ほぼすべての経口投与される薬物において、一般的である。胃腸副作用は、薬物により誘導される有害作用(DIAE)の20~40%を占めると推測される。DIAEは、米国において1年に100,000件の死亡を占め、すべての入院のうちの5%を占める。既存の薬物の胃腸副作用を低下させるための手法が必要とされているが、局所的な胃腸毒性について試験することの難しさが、大きな障壁となっている。したがって、胃腸毒性を試験および予測するための腸組織外植片の使用を、調査した。
【0347】
毒素に対する腸組織外植片の応答性を決定するために、レサズリンに基づく生存度分析を、胃腸管の様々なセグメントにおいて、化学物質に24時間の期間曝露した後に行った。レサズリンは、酸化-還元の指示薬であり、哺乳動物細胞の確立された生存度アッセイである。レサズリンは、代謝細胞において、ピンク色の高度に赤色蛍光性のレゾルフィンへと不可逆的に還元される。
図12は、新しく培養(cultivate)したか、または曝露の前にex vivoにおいて24時間、48時間、もしくは72時間培養(culture)したかのいずれかの組織を使用して、化学的に誘導される用量依存的な腸組織の減少を示す。興味深いことに、初回の化学物質曝露後に、ex vivoにおいて培養した組織外植片の測定した生存度の回復が、観察された(データは示されない)。
図13は、食道、胃、または小腸のいずれかに由来し、エタノール、メタノール、またはホルマリンで処置した、胃腸組織外植片の組織生存度における、化学的に誘導される用量依存的な減少を示す。組織は、レシーバーチャンバに培地を含み、ドナー側チャンバにPBS中の異なる濃度の様々な化学物質を含む、マルチウェルプレートにおいてインキュベートした。24時間後に、レサズリンに基づく生存度分析によって、生存度を測定した。
【0348】
組織外植片が、薬物に誘導される毒性を検出できることを決定したら、ヒトにおける薬物に誘導される局所的な胃腸毒性との相関を、分析した。具体的には、すべての承認薬物の報告されている副作用の体系的分析を、行った。この分析に基づいて、局所的な胃腸毒性を有するか、または胃腸副作用がないとして明確に分類された薬物のパネルを、試験した。これらの薬物を用いた用量依存的生存度アッセイを、3つの異なる細胞株(HT29-MTX-E1、C2BBe1、HeLa)とともに、腸組織外植片においてアッセイした(
図14)。比較により、細胞に基づく毒性分析とヒトにおける局所的な胃腸毒性との間に、相関はほとんどないかまたはまったくないことが明らかとなった。
【0349】
腸組織外植片により、ヒトにおける薬物に誘導される局所的な胃腸毒性を予測することができることが確立された後に、このシステムを、大規模なスクリーニング分析に使用して、既存の薬物の薬物に誘導される局所的な胃腸毒性が、賦形剤との共製剤化によって調整され得るかどうかを調査した。広範な状態に使用されており、局所的な胃腸副作用を示す、15個の経口投与される薬物を使用した:抗生物質(セフポドキシムおよびドキシサイクリン、NSAID(メロキシカム、メサラミン、ナプロキセン、インドメタシン)、ビスホスホネート(bisphophanate)(エチドロネート)、気管支拡張剤(テオフィリン)、抗ウイルス剤(テノフォビルおよびオセルタミビル)、血管拡張剤(タダラフィル)、利尿剤(アミロライド)、ならびにプロトンポンプ阻害剤(オメプラゾール)。薬物を、特注でアセンブリした、GRASに列挙されているか、または経口投与に承認されている不活性成分として使用されている化合物ライブラリーを用いて共製剤化した。薬物の吸収を測定している間に、薬物に誘導される胃腸毒性を、同時にスクリーニングした。
【0350】
局所的な胃腸薬物毒性における製剤依存的な差が観察され、薬物に依存することが見出された(データなし)。製剤依存的な生存度の変化と薬物吸収の変化との間に明確な相関はなく、生存度の変化が、単純に薬物灌流の変化によって説明することができるものではないことが示された(データは示されない)。
【0351】
ナプロキセンおよびドキシサイクリンのスクリーニング結果を、腸組織外植片において検証した。
図15は、試験した3つの異なる製剤により、薬物単独での投与と比較して、生存度が有意に改善されたことを示す。組織の生存度は、様々な細胞毒性マーカー(切断されたカスパーゼ3、切断されたラミンA、およびリン酸化ヒストンH2B)の免疫生物学的定量化、ならびに病理学者による病理評価によって、確認した。
【0352】
まとめると、これらの結果は、腸組織外植片により、ヒトにおける胃腸毒性を正確に予測することができ、この組織外植片を、毒性を低減させるための製剤のスクリーニングに使用することができることを示す。
【0353】
(実施例10:基材における組織外植片の分析)
大型の哺乳動物の胃腸管に由来する組織外植片が、本明細書に記載される基材と平面接触にあるかどうかを分析するために、いくつかの方法を、利用することができる。
【0354】
具体的には、マーカー(たとえば、色素)を含有する溶液を、基材と接触状態にある組織外植片に添加して、基材と接触している範囲内の組織表面全体にわたるマーカーの均一な分布を観察する。たとえば、溶液を、マイクロウェルを備える基材のマイクロウェルに添加する。組織外植片の表面を容易に染色する、フルオロフォアまたは着色した化合物などのマーカーを含有する水溶液により、写真による検査、分光光度法、またはレーザースキャナーに基づく技法によって、組織の表面上での検出が可能となる。例として、PBS中0.1mg/mlの濃度の蛍光マーカーフルオレセインを、使用することができる。フルオレセイン溶液を、組織外植片(たとえば、基材のマイクロウェル内)に添加し、30分間インキュベートし、洗浄し、続いて、分光光度法および共焦点顕微鏡を使用して、分析する。組織外植片は、その範囲(たとえば、マイクロウェルの範囲)内の蛍光シグナルの変動性に、フルオレセイン溶液中に完全に浸漬された非載置組織の同等の範囲と比較して、有意差がない場合、基材と平面接触にあると考えられる。
【0355】
あるいは、組織外植片の基材との平面接触は、デバイスの表面をマーカー(たとえば、色素)でコーティングして、基材が接触している範囲内ではない組織範囲(たとえば、マイクロウェルを備える基材のマイクロウェル内)の組織表面における、マーカーの均一な分布(またはパターン)を観察することによって、決定することができる。具体的には、組織に面しているデバイスの範囲全体を、マーカーでコーティングし、これにより、デバイスの表面上に均一な層を形成する。このコーティングにより、緊密な接触に置かれると、組織が染色される。結果として得られる組織上の染色は、デバイスと組織とを離した後もインタクトなままであり、続いて、目視検査によって分析することができる。例として、デバイスの表面を、市販の組織学色素、たとえば、CDIのTissue Marking(Cancer Diagnostics Inc.)の均一な層でコーティングする。次いで、コーティングしたデバイスを、デバイス-組織のアセンブリの意図される使用方法の通りに、組織とアセンブルする。その後に、デバイスを、組織から離し、組織上のカラーマーキングを撮影によって分析する。組織外植片は、組織が、組織全体にわたって、基材の設定(たとえば、マイクロウェルの設定)と相関する規則的なマーキングパターンを示す場合、基材と平面接触にある。