(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】ディスプレイモジュール及びその制御方法、ディスプレイ駆動回路、並びに電子デバイス
(51)【国際特許分類】
G09G 3/3233 20160101AFI20240202BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20240202BHJP
G09G 3/32 20160101ALI20240202BHJP
G09G 3/3266 20160101ALI20240202BHJP
G09G 3/3291 20160101ALI20240202BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/20 611A
G09G3/20 611D
G09G3/20 611E
G09G3/20 611G
G09G3/20 611J
G09G3/20 612E
G09G3/20 612U
G09G3/20 621A
G09G3/20 621M
G09G3/20 622D
G09G3/20 622E
G09G3/20 622R
G09G3/20 623D
G09G3/20 623U
G09G3/20 641C
G09G3/20 650J
G09G3/20 660U
G09G3/20 660V
G09G3/20 680G
G09G3/32 A
G09G3/3266
G09G3/3291
(21)【出願番号】P 2022506057
(86)(22)【出願日】2020-07-21
(86)【国際出願番号】 CN2020103367
(87)【国際公開番号】W WO2021017960
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-03-03
(31)【優先権主張番号】201910704186.1
(32)【優先日】2019-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910923433.7
(32)【優先日】2019-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】503433420
【氏名又は名称】華為技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Huawei Administration Building, Bantian, Longgang District, Shenzhen, Guangdong 518129, P.R. China
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】リウ,チュンイエン
(72)【発明者】
【氏名】ワイ,ダスティン ユクルン
(72)【発明者】
【氏名】チュウ,チアーチーン
【審査官】橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0256200(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0061875(US,A1)
【文献】特開2011-215401(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0064543(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0351124(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0025677(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0001893(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0335397(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/3233
G09G 3/20
G09G 3/32
G09G 3/3266
G09G 3/3291
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイ、ディスプレイ駆動回路、及び少なくとも1つのドライバグループを有するディスプレイモジュールであって、
前記ディスプレイは、マトリクス状に配置されたM行のサブピクセルを有し、各サブピクセルのピクセル回路は、駆動トランジスタ、第1リセットトランジスタ、第1キャパシタ、及び発光デバイスを有し、M≧2であり、Mは正の整数であり、
前記第1リセットトランジスタの第1ノードは、前記駆動トランジスタのゲート及び前記第1キャパシタの第1端子へ結合され、前記第1キャパシタの第2端子は、第1電圧入力へ結合され、前記駆動トランジスタの第1ノードは、前記第1電圧入力及び前記ディスプレイ駆動回路のデータ電圧出力ポートへ結合され、前記駆動トランジスタの第2ノードは、前記発光デバイスへ結合され、前記第1リセットトランジスタの第1ノードがソースでありかつ第2ノードがドレインであるか、又は前記第1リセットトランジスタの第1ノードがドレインでありかつ第2ノードがソースであり、前記駆動トランジスタの第1ノードがソースでありかつ第2ノードがドレインであるか、又は前記駆動トランジスタの第1ノードがドレインでありかつ第2ノードがソースであり、前記第1電圧入力は、第1電圧を入力するよう構成され、前記データ電圧出力ポートは、データ電圧を出力するよう構成され、
各ドライバグループは、M個の選択回路を有し、各選択回路は、前記ディスプレイ駆動回路へ結合され、前記ディスプレイ駆動回路によって出力される第1初期電圧Vint1及び第2初期電圧Vint2を受電するよう構成され、
前記ディスプレイモジュールは、第1リフレッシュレート又は第2リフレッシュレートで動作可能であり、前記第2リフレッシュレートが前記第1リフレッシュレートよりも小さく、
N番目の選択回路は、N行目のサブピクセルのピクセル回路内の第1リセットトランジスタの第2ノードへ結合され、Nは1以上M以下の正の整数であり、当該選択回路は、
前記ディスプレイモジュールが前記第1リフレッシュレートで動作する場合には、当該ピクセル回路がリセットフェーズ、データ電圧書き込みフェーズ、及び発光フェーズにあるときに前記第1リセットトランジスタの第2ノードへ前記第2初期電圧Vint2を出力し、
前記ディスプレイモジュールが前記第2リフレッシュレートで動作する場合には、当該ピクセル回路が前記リセットフェーズ及び前記データ電圧書き込みフェーズにあるときに前記第1リセットトランジスタの第2ノードへ前記第2初期電圧Vint2を出力し、当該ピクセル回路が前記発光フェーズにあるときに前記第1リセットトランジスタの第2ノードへ前記第1初期電圧Vint1を出力して、前記データ電圧書き込みフェーズ中の前記第1リセットトランジスタの第1ノード及び第2ノードの間の電圧差が第1値Vsd1_Aであり、前記発光フェーズ中の前記第1リセットトランジスタの第1ノード及び第2ノードの間の電圧差が第2値Vsd1_Bであるようにする
よう更に構成され、前記第1値Vsd1_Aは、Vsd1_A=
Vdata-|(前記駆動トランジスタの閾電圧Vth_M4)|-(前記第2初期電圧Vint2)を満たし、前記第2値Vsd1_Bは、Vsd1_B=
Vdata-|(前記閾電圧Vth_M4)|-(前記第1初期電圧Vint1)を満たし、
前記Vdataは、前記駆動トランジスタの第1ノードに印加された前記データ電圧を表し、前記データ電圧書き込みフェーズ中及び前記発光フェーズ中に不変なままであり、前記第1初期電圧Vint1及び前記第2初期電圧Vint2は、前記第2値Vsd1_B
が前記第1値Vsd1_Aよりも小さくな
るようにセットされ、
前記リセットフェーズは、前記第1リセットトランジスタがオンであるフェーズであり、前記データ電圧書き込みフェーズは、前記データ電圧が前記駆動トランジスタの第1ノードに印加されるフェーズであり、前記発光フェーズは、前記発光デバイスが光を放射するフェーズである、
ディスプレイモジュール。
【請求項2】
前記ディスプレイは、M本の第1初期電圧ラインを更に有し、N番目の第1初期電圧ラインは、前記N行目のサブピクセルのピクセル回路内の前記第1リセットトランジスタの第2ノードへ結合され、
各選択回路は、第1選択トランジスタ及び第2選択トランジスタを有し、
前記N番目の選択回路内の第1選択トランジスタの第1ノードは、前記ディスプレイ駆動回路へ結合され、当該第1選択トランジスタの第2ノードは、前記N番目の第1初期電圧ラインへ結合され、当該第1選択トランジスタのゲートは、第1選択信号を受信するよう構成され、
前記N番目の選択回路内の第2選択トランジスタの第1ノードは、前記ディスプレイ駆動回路へ結合され、当該第2選択トランジスタの第2ノードは、前記N番目の第1初期電圧ラインへ結合され、当該第2選択トランジスタのゲートは、第2選択信号を受信するよう構成され、前記第2選択信号は、前記第1選択信号の逆位相信号であり、
前記第1選択トランジスタの第1ノードがソースでありかつ第2ノードがドレインであるか、又は前記第1選択トランジスタの第1ノードがドレインでありかつ第2ノードがソースであり、前記第2選択トランジスタの第1ノードがソースでありかつ第2ノードがドレインであるか、又は前記第2選択トランジスタの第1ノードがドレインでありかつ第2ノードがソースである、
請求項1に記載のディスプレイモジュール。
【請求項3】
前記ディスプレイ駆動回路は、少なくとも1つの第1信号端子及び少なくとも1つの第2信号端子を備え、前記第1信号端子は、前記第1初期電圧Vint1を出力し、前記第2信号端子は、前記第2初期電圧Vint2を出力し、
前記第1選択トランジスタの第1ノードは、前記第1信号端子へ結合され、前記第2選択トランジスタの第1ノードは、前記第2信号端子へ結合される、
請求項2に記載のディスプレイモジュール。
【請求項4】
前記ピクセル回路は、第2リセットトランジスタを更に有し、
前記第2リセットトランジスタのゲートは、前記第1リセットトランジスタのゲートへ結合され、前記第2リセットトランジスタの第1ノードは、前記発光デバイスへ結合され、
前記N行目のサブピクセルのピクセル回路内の第2リセットトランジスタの第2ノードは、前記N番目の第1初期電圧ラインへ結合され、
前記第2リセットトランジスタの第1ノードがソースでありかつ第2ノードはドレインであるか、又は前記第2リセットトランジスタの第1ノードがドレインでありかつ第2ノードがソースである、
請求項2又は3に記載のディスプレイモジュール。
【請求項5】
前記ディスプレイは、M本の第2初期電圧ラインを更に有し、前記ピクセル回路は、第2リセットトランジスタを更に有し、
前記第2リセットトランジスタのゲートは、前記第1リセットトランジスタのゲートへ結合され、前記第2リセットトランジスタの第1ノードは、前記発光デバイスへ結合され、前記N行目のサブピクセルのピクセル回路内の第2リセットトランジスタの第2ノードは、N番目の第2初期電圧ラインへ結合され、
前記第2初期電圧ラインは、前記ディスプレイ駆動回路の前記第2信号端子へ更に結合され、
前記第2リセットトランジスタの第1ノードがソースでありかつ第2ノードがドレインであるか、又は前記第2リセットトランジスタの第1ノードがドレインでありかつ第2ノードがソースである、
請求項3に記載のディスプレイモジュール。
【請求項6】
前記ドライバグループは、M個の位相インバータ及びM個のカスケード接続されたシフトレジスタを更に有し、
N番目のシフトレジスタの出力は、N番目の位相インバータの入力及び前記N番目の選択回路内の前記第1選択トランジスタのゲートへ結合され、当該シフトレジスタの出力は、前記第1選択信号を出力するよう構成され、
前記N番目の位相インバータの出力は、前記N番目の選択回路内の前記第2選択トランジスタのゲートへ結合され、当該位相インバータの出力は、前記第2選択信号を出力するよう構成される、
請求項2に記載のディスプレイモジュール。
【請求項7】
前記ピクセル回路は、第1発光制御トランジスタ及び第2発光制御トランジスタを更に有し、
前記第1発光制御トランジスタの第1ノードは、前記第1電圧入力へ結合され、前記第1発光制御トランジスタの第2ノードは、前記駆動トランジスタの第1ノードへ結合され、
前記第2発光制御トランジスタの第1ノードは、前記駆動トランジスタの第2ノードへ結合され、前記第2発光制御トランジスタの第2ノードは、前記発光デバイスへ結合され、
前記発光デバイスは、第2電圧入力へ更に結合され、前記第2電圧入力は、第2電圧を入力するよう構成され、
前記シフトレジスタの出力は、前記第1発光制御トランジスタ及び前記第2発光制御トランジスタのゲートへ更に結合され、
前記第1発光制御トランジスタの第1ノードがソースでありかつ第2ノードがドレインであるか、又は前記第1発光制御トランジスタの第1ノードがドレインでありかつ第2ノードがソースであり、前記第2発光制御トランジスタの第1ノードがソースでありかつ第2ノードがドレインであるか、又は前記第2発光制御トランジスタの第1ノードがドレインでありかつ第2ノードがソースである、
請求項6に記載のディスプレイモジュール。
【請求項8】
前記ディスプレイモジュールは、第1ドライバグループ及び第2ドライバグループを有し、前記第1ドライバグループ及び前記第2ドライバグループは、前記ディスプレイの表示エリアの両側に夫々位置し、
前記第1ドライバグループ内のN番目の選択回路及び前記第2ドライバグループ内のN番目の選択回路は両方とも、前記N行目のサブピクセルのピクセル回路内の前記第1リセットトランジスタの第2ノードへ結合される、
請求項1に記載のディスプレイモジュール。
【請求項9】
前記ディスプレイモジュールは、基板を有し、
前記ピクセル回路、前記ディスプレイ駆動回路、及び前記ドライバグループは、前記基板に載置され、
前記基板が作られる材料は、柔軟性のある材料又は引張強度が高い材料を有する、
請求項1に記載のディスプレイモジュール。
【請求項10】
請求項1乃至9のうちいずれか一項に記載のディスプレイモジュールを有する電子デバイス。
【請求項11】
ディスプレイモジュールの制御方法であって、
前記ディスプレイモジュールは、ディスプレイ及びディスプレイ駆動回路を有し、
前記ディスプレイは、マトリクス状に配置されたM行のサブピクセルを有し、各サブピクセルのピクセル回路は、駆動トランジスタ、第1リセットトランジスタ、第1キャパシタ、及び発光デバイスを有し、M≧2であり、Mは正の整数であり、
前記第1リセットトランジスタの第1ノードは、前記駆動トランジスタのゲート及び前記第1キャパシタの第1端子へ結合され、前記第1キャパシタの第2端子は、第1電圧入力へ結合され、前記駆動トランジスタの第1ノードは、前記第1電圧入力及び前記ディスプレイ駆動回路のデータ電圧出力ポートへ結合され、前記駆動トランジスタの第2ノードは、前記発光デバイスへ結合され、前記第1リセットトランジスタの第1ノードがソースでありかつ第2ノードがドレインであるか、又は前記第1リセットトランジスタの第1ノードがドレインでありかつ第2ノードがソースであり、前記駆動トランジスタの第1ノードがソースでありかつ第2ノードがドレインであるか、又は前記駆動トランジスタの第1ノードがドレインでありかつ第2ノードがソースであり、前記第1電圧入力は、第1電圧を入力するよう構成され、前記データ電圧出力ポートは、データ電圧を出力するよう構成され、
前記制御方法は、
前記M行のサブピクセルを、第1リフレッシュレートで行ごとに表示されるように制御することと、
前記第1リフレッシュレートでの制御中、前記M行のサブピクセルの中のN行目のサブピクセルが表示されるように制御されるとき、リセットフェーズ、データ電圧書き込みフェーズ、及び発光フェーズにおいて、前記N行目のサブピクセルのピクセル回路内の第1リセットトランジスタの第2ノードへ第2初期電圧Vint2を出力することと、
前記M行のサブピクセルを、第2リフレッシュレートで行ごとに表示されるように制御することであり、前記第2リフレッシュレートは、前記第1リフレッシュレートよりも小さい、ことと、
前記第2リフレッシュレートでの制御中、前記M行のサブピクセルの中のN行目のサブピクセルが表示されるように制御されるとき、前記リセットフェーズ及び前記データ電圧書き込みフェーズにおいては、前記N行目のサブピクセルのピクセル回路内の前記第1リセットトランジスタの第2ノードへ前記第2初期電圧Vint2を出力し、前記発光フェーズにおいては、前記N行目のサブピクセルのピクセル回路内の前記第1リセットトランジスタの第2ノードへ第1初期電圧Vint1を出力して、前記データ電圧書き込みフェーズ中の前記第1リセットトランジスタの第1ノード及び第2ノードの間の電圧差が第1値Vsd1_Aであり、前記発光フェーズ中の前記第1リセットトランジスタの第1ノード及び第2ノードの間の電圧差が第2値Vsd1_Bであるようにすることであり、前記第1値Vsd1_Aは、Vsd1_A=
Vdata-|(前記駆動トランジスタの閾電圧Vth_M4)|-(前記第2初期電圧Vint2)を満たし、前記第2値Vsd1_Bは、Vsd1_B=
Vdata-|(前記閾電圧Vth_M4)|-(前記第1初期電圧Vint1)を満たし、
前記Vdataは、前記駆動トランジスタの第1ノードに印加された前記データ電圧を表し、前記データ電圧書き込みフェーズ中及び前記発光フェーズ中に不変なままであり、前記第1初期電圧Vint1及び前記第2初期電圧Vint2は、前記第2値Vsd1_B
が前記第1値Vsd1_Aよりも小さくなる
ようにセットされる、ことと
を有し、
前記リセットフェーズは、前記第1リセットトランジスタがオンであるフェーズであり、前記データ電圧書き込みフェーズは、前記データ電圧が前記駆動トランジスタの第1ノードに印加されるフェーズであり、前記発光フェーズは、前記発光デバイスが光を放射するフェーズである、
前記ディスプレイモジュールの制御方法。
【請求項12】
ディスプレイ駆動回路であって、
ディスプレイは、マトリクス状に配置されたM行のサブピクセルを有し、各サブピクセルのピクセル回路は、駆動トランジスタ、第1リセットトランジスタ、第1キャパシタ、及び発光デバイスを有し、M≧2であり、Mは正の整数であり、
前記第1リセットトランジスタの第1ノードは、前記駆動トランジスタのゲート及び前記第1キャパシタの第1端子へ結合され、前記第1キャパシタの第2端子は、第1電圧入力へ結合され、前記駆動トランジスタの第1ノードは、発光フェーズで前記第1電圧入力へ結合され、データ電圧書き込みフェーズで前記ディスプレイ駆動回路のデータ電圧出力ポートへ結合され、前記駆動トランジスタの第2ノードは、前記発光デバイスへ結合され、前記第1リセットトランジスタの第1ノードがソースでありかつ第2ノードがドレインであるか、又は前記第1リセットトランジスタの第1ノードがドレインでありかつ第2ノードがソースであり、前記駆動トランジスタの第1ノードがソースでありかつ第2ノードがドレインであるか、又は前記駆動トランジスタの第1ノードがドレインでありかつ第2ノードがソースであり、前記第1電圧入力は、第1電圧を入力するよう構成され、前記データ電圧出力ポートは、データ電圧を出力するよう構成され、
前記ディスプレイ駆動回路は、
前記M行のサブピクセルを、第1リフレッシュレートで行ごとに表示されるように制御し、
前記第1リフレッシュレートでの制御中、前記M行のサブピクセルの中のN行目のサブピクセルが表示されるように制御されるとき、リセットフェーズ、前記データ電圧書き込みフェーズ、及び前記発光フェーズにおいて、前記N行目のサブピクセルのピクセル回路内の第1リセットトランジスタの第2ノードへ第2初期電圧Vint2を出力し、
前記M行のサブピクセルを、第2リフレッシュレートで行ごとに表示されるように制御し、前記第2リフレッシュレートは、前記第1リフレッシュレートよりも小さく、
前記第2リフレッシュレートでの制御中、前記M行のサブピクセルの中のN行目のサブピクセルが表示されるように制御されるとき、前記リセットフェーズ及び前記データ電圧書き込みフェーズにおいては、前記N行目のサブピクセルのピクセル回路内の前記第1リセットトランジスタの第2ノードへ前記第2初期電圧Vint2を出力し、前記発光フェーズにおいては、前記N行目のサブピクセルのピクセル回路内の前記第1リセットトランジスタの第2ノードへ第1初期電圧Vint1を出力して、前記データ電圧書き込みフェーズ中の前記第1リセットトランジスタの第1ノード及び第2ノードの間の電圧差が第1値Vsd1_Aであり、前記発光フェーズ中の前記第1リセットトランジスタの第1ノード及び第2ノードの間の電圧差が第2値Vsd1_Bであるようにし、前記第1値Vsd1_Aは、Vsd1_A=
Vdata-|(前記駆動トランジスタの閾電圧Vth_M4)|-(前記第2初期電圧Vint2)を満たし、前記第2値Vsd1_Bは、Vsd1_B=
Vdata-|(前記閾電圧Vth_M4)|-(前記第1初期電圧Vint1)を満たし、
前記Vdataは、前記駆動トランジスタの第1ノードに印加された前記データ電圧を表し、前記データ電圧書き込みフェーズ中及び前記発光フェーズ中に不変なままであり、前記第1初期電圧Vint1及び前記第2初期電圧Vint2は、前記第2値Vsd1_B
が前記第1値Vsd1_Aよりも小さくなる
ようにセットされ、
よう構成され、
前記リセットフェーズは、前記第1リセットトランジスタがオンであるフェーズであり、前記データ電圧書き込みフェーズは、前記データ電圧が前記駆動トランジスタの第1ノードに印加されるフェーズであり、前記発光フェーズは、前記発光デバイスが光を放射するフェーズである、
ディスプレイ駆動回路。
【請求項13】
ディスプレイ及びディスプレイ駆動回路を有する電子デバイスであって、
前記ディスプレイは、マトリクス状に配置されたM行のサブピクセルを有し、各サブピクセルのピクセル回路は、駆動トランジスタ、第1リセットトランジスタ、第1キャパシタ、及び発光デバイスを有し、M≧2であり、Mは正の整数であり、
前記第1リセットトランジスタの第1ノードは、前記駆動トランジスタのゲート及び前記第1キャパシタの第1端子へ結合され、前記第1キャパシタの第2端子は、第1電圧入力へ結合され、前記駆動トランジスタの第1ノードは、発光フェーズで前記第1電圧入力へ結合され、データ電圧書き込みフェーズで前記ディスプレイ駆動回路のデータ電圧出力ポートへ結合され、前記駆動トランジスタの第2ノードは、前記発光デバイスへ結合され、前記第1リセットトランジスタの第1ノードがソースでありかつ第2ノードがドレインであるか、又は前記第1リセットトランジスタの第1ノードがドレインでありかつ第2ノードがソースであり、前記駆動トランジスタの第1ノードがソースでありかつ第2ノードがドレインであるか、又は前記駆動トランジスタの第1ノードがドレインでありかつ第2ノードがソースであり、前記第1電圧入力は、第1電圧を入力するよう構成され、前記データ電圧出力ポートは、データ電圧を出力するよう構成され、
前記ディスプレイ駆動回路は、
前記M行のサブピクセルを、第1リフレッシュレートで行ごとに表示されるように制御し、
前記第1リフレッシュレートでの制御中、前記M行のサブピクセルの中のN行目のサブピクセルが表示されるように制御されるとき、リセットフェーズ、前記データ電圧書き込みフェーズ、及び前記発光フェーズにおいて、前記N行目のサブピクセルのピクセル回路内の第1リセットトランジスタの第2ノードへ第2初期電圧Vint2を出力し、
前記M行のサブピクセルを、第2リフレッシュレートで行ごとに表示されるように制御し、前記第2リフレッシュレートは、前記第1リフレッシュレートよりも小さく、
前記第2リフレッシュレートでの制御中、前記M行のサブピクセルの中のN行目のサブピクセルが表示されるように制御されるとき、前記リセットフェーズ及び前記データ電圧書き込みフェーズにおいては、前記N行目のサブピクセルのピクセル回路内の前記第1リセットトランジスタの第2ノードへ前記第2初期電圧Vint2を出力し、前記発光フェーズにおいては、前記N行目のサブピクセルのピクセル回路内の前記第1リセットトランジスタの第2ノードへ第1初期電圧Vint1を出力して、前記データ電圧書き込みフェーズ中の前記第1リセットトランジスタの第1ノード及び第2ノードの間の電圧差が第1値Vsd1_Aであり、前記発光フェーズ中の前記第1リセットトランジスタの第1ノード及び第2ノードの間の電圧差が第2値Vsd1_Bであるようにし、前記第1値Vsd1_Aは、Vsd1_A=
Vdata-|(前記駆動トランジスタの閾電圧Vth_M4)|-(前記第2初期電圧Vint2)を満たし、前記第2値Vsd1_Bは、Vsd1_B=
Vdata-|(前記閾電圧Vth_M4)|-(前記第1初期電圧Vint1)を満たし、
前記Vdataは、前記駆動トランジスタの第1ノードに印加された前記データ電圧を表し、前記データ電圧書き込みフェーズ中及び前記発光フェーズ中に不変なままであり、前記第1初期電圧Vint1及び前記第2初期電圧Vint2は、前記第2値Vsd1_B
が前記第1値Vsd1_Aよりも小さくなる
ようにセットされる、
よう構成され、
前記リセットフェーズは、前記第1リセットトランジスタがオンであるフェーズであり、前記データ電圧書き込みフェーズは、前記データ電圧が前記駆動トランジスタの第1ノードに印加されるフェーズであり、前記発光フェーズは、前記発光デバイスが光を放射するフェーズである、
電子デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、表示技術に、特に、ディスプレイモジュール及びその制御方法、ディスプレイ駆動回路、並びに電子デバイスに関係がある。
【背景技術】
【0002】
表示技術の絶え間ない発展とともに、電子デバイス、例えば、携帯電話機は、アニメーションだけではなく静止画像も表示し得る。何らかのアニメーションが表示されるときには、動的なファジネスを軽減するよう、画像リフレッシュレート(つまり、1秒あたりの、画像のリフレッシュ回数)は増やされる必要がある。しかし、静止画像、例えば、スタンバイ画像が表示されるときには、比較的に高いリフレッシュレートは、電子デバイスの電力消費(power consumption)の増大を引き起こす。電力消費量を低減するよう、電子デバイスが静止画像を表示するときには、比較的に低いリフレッシュレートが使用され得る。しかし、この場合に、表示ちらつき(display flicker)現象が電子デバイスで起こり、それによって表示効果を劣化させる。
【発明の概要】
【0003】
本願の実施形態は、ディスプレイが低いリフレッシュレートで画像を表示するときに表示ちらつき現象が起きる可能性を低減するように、ディスプレイモジュール及びその制御方法、回路システム、並びに電子デバイスを提供する。
【0004】
上記の目的を達成するために、以下の技術的解決法が本願の実施形態では使用される。
【0005】
本願の実施形態の第1の態様に従って、ディスプレイモジュールが提供される。ディスプレイモジュールは、ディスプレイ、ディスプレイ駆動回路、及び少なくとも1つのドライバグループを含む。ディスプレイは、マトリクス状に配置されたM行のサブピクセルを含む。各サブピクセルのピクセル回路は、駆動トランジスタ、第1リセットトランジスタ、第1キャパシタ、及び発光デバイスを含む。M≧2であり、Mは正の整数である。加えて、第1リセットトランジスタの第1ノードは、駆動トランジスタのゲート及び第1キャパシタの第1端子へ結合される。第1キャパシタの第2端子は、第1電圧入力へ結合される。駆動トランジスタの第1ノードは、発光フェーズで第1電圧入力へ結合される。駆動トランジスタの第2ノードは、発光デバイスへ結合される。データ電圧出力ポートは、データ電圧を出力するよう構成される。第1リセットトランジスタの第1ノードがソースでありかつ第2ノードがドレインであるか、又は第1リセットトランジスタの第1ノードがドレインでありかつ第2ノードがソースである。駆動トランジスタの第1ノードがソースでありかつ第2ノードがドレインであるか、又は駆動トランジスタの第1ノードがドレインでありかつ第2ノードがソースである。第1電圧入力は、第1電圧を入力するよう構成され、データ電圧書き込みフェーズでディスプレイ駆動回路のデータ電圧出力ポートへ結合される。加えて、各ドライバグループは、M個の選択回路を含む。各選択回路は、ディスプレイ駆動回路へ結合され、ディスプレイ駆動回路によって出力される第1初期電圧Vint1及び第2初期電圧Vint2を受電するよう構成され、|Vint2|>|Vint1|である。N番目の選択回路は、N行目のサブピクセルのピクセル回路内の第1リセットトランジスタの第2ノードへ結合される。選択回路は、ピクセル回路がリセットフェーズ及びデータ電圧書き込みフェーズにあるときに、第1リセットトランジスタの第2ノードへ第2初期電圧Vint2を出力するよう更に構成され、ピクセル回路が発光フェーズにあるときに第1リセットトランジスタの第2ノードへ第1初期電圧Vint1を出力するよう構成される。1≦N≦Mであり、Nは正の整数である。リセットフェーズは、第1リセットトランジスタがオンであるフェーズである。データ電圧書き込みフェーズは、データ電圧が駆動トランジスタの第1ノードに印加されるフェーズである。発光フェーズは、発光デバイスが光を放射するように駆動されるフェーズである。これを考慮して、発光デバイスが光を放射するとき、第1リセットトランジスタのソース-ドレイン電圧は、第1リセットトランジスタの漏れ電流を減らすよう下げられ得る。従って、高いリフレッシュレートが低いリフレッシュレートへ切り替えられるとき、漏れ電流による発光フェーズでの駆動トランジスタのゲート電圧の比較的に大きい電圧降下は低減可能であり、それにより、低いリフレッシュレートで表示されるサブピクセルの発光輝度は、高いリフレッシュレートで表示されるサブピクセルのそれに近い。従って、リフレッシュレートが変更されるとき、表示輝度の突然の増大の可能性は小さくされ得、それにより、ヒトの目は、輝度変化を敏感に捕らえることはできず、表示ちらつき現象の発生確率は低下する。
【0006】
任意に、ディスプレイは、M本の第1初期電圧ラインを更に含む。N番目の第1初期電圧ラインは、N行目のサブピクセルのピクセル回路内の第1リセットトランジスタの第2ノードへ結合される。各選択回路は、第1選択トランジスタ及び第2選択トランジスタを含む。N番目の選択回路内の第1選択トランジスタの第1ノードは、ディスプレイ駆動回路へ結合され、第1選択トランジスタの第2ノードは、N番目の第1初期電圧ラインへ結合され、第1選択トランジスタのゲートは、第1選択信号を受信するよう構成される。第1選択信号がアクティブ信号であるとき、第1選択トランジスタはオンされて、ディスプレイ駆動回路によって出力される初期電圧を第1初期電圧ラインへ伝える。加えて、N番目の選択回路内の第2選択トランジスタの第1ノードは、ディスプレイ駆動回路へ結合され、第2選択トランジスタの第2ノードは、N番目の第1初期電圧ラインへ結合され、第2選択トランジスタのゲートは、第2選択信号を受信するよう構成され、第2選択信号は、第1選択信号の逆位相信号である。第2選択信号がアクティブ信号であるとき、第2選択トランジスタはオンされて、ディスプレイ駆動回路によって出力される初期電圧を第1初期電圧ラインへ伝える。第1選択トランジスタの第1ノードがソースでありかつ第2ノードがドレインであるか、又は第1選択トランジスタの第1ノードがドレインでありかつ第2ノードがソースである。第2選択トランジスタの第1ノードがソースでありかつ第2ノードがドレインであるか、又は第2選択トランジスタの第1ノードがドレインでありかつ第2ノードがソースである。
【0007】
任意に、ディスプレイ駆動回路は、少なくとも1つの第1信号端子及び少なくとも1つの第2信号端子を備える。第1信号端子は、第1初期電圧Vint1を出力する。第2信号端子は、第2初期電圧Vint2を出力する。第1選択トランジスタの第1ノードは、第1信号端子へ結合される。第2選択トランジスタの第1ノードは、第2信号端子へ結合される。従って、第1選択トランジスタがオンであるときには、第1初期電圧Vint1が第1初期電圧ラインへ伝送され得、第2選択トランジスタがオンであるときには、第2初期電圧Vint2が第1初期電圧ラインへ伝送され得る。ディスプレイ駆動回路は、2つの異なる信号端子を使用することによって第1初期電圧Vint1及び第2初期電圧Vint2を出力し、それによって信号クロストークの可能性を小さくし得る。
【0008】
任意に、ピクセル回路は、第2リセットトランジスタを更に含む。第2リセットトランジスタのゲートは、第1リセットトランジスタのゲートへ結合される。第2リセットトランジスタの第1ノードは、発光デバイスへ結合される。N行目のサブピクセルのピクセル回路内の第2リセットトランジスタの第2ノードは、N番目の第1初期電圧ラインへ結合される。第2リセットトランジスタがオンであるときには、第1初期電圧ライン上の電圧が、発光デバイスのアノードをリセットするよう、発光デバイスのアノードへ伝送され得る。第2リセットトランジスタの第1ノードがソースでありかつ第2ノードはドレインであるか、又は第2リセットトランジスタの第1ノードがドレインでありかつ第2ノードがソースである。
【0009】
任意に、ディスプレイは、M本の第2初期電圧ラインを更に含む。ピクセル回路は、第2リセットトランジスタを更に含む。第2リセットトランジスタのゲートは、第1リセットトランジスタのゲートへ結合される。第2リセットトランジスタの第1ノードは、発光デバイスへ結合される。N行目のサブピクセルのピクセル回路内の第2リセットトランジスタの第2ノードは、N番目の第2初期電圧ラインへ結合される。第2初期電圧ラインは、ディスプレイ駆動回路の第2信号端子へ更に結合される。第2リセットトランジスタの第1ノードがソースでありかつ第2ノードがドレインであるか、又は第2リセットトランジスタの第1ノードがドレインでありかつ第2ノードがソースである。第2リセットトランジスタの第2ノードは第2初期電圧ラインへ結合されるので、第2リセットトランジスタのドレイン電圧は、第1フェーズ、第2フェーズ、及び第3フェーズで第2初期電圧Vint2であることができる。これは、サブピクセルが黒画像として表示されるときに、第2リセットトランジスタのドレイン電圧が第3フェーズで増大して、第2リセットトランジスタの漏れ電流が発光デバイスへ流れることで発光デバイスの発光に起因して光漏れ現象が起こる可能性を小さくすることができる。
【0010】
任意に、ドライバグループは、M個の位相インバータ及びM個のカスケード接続されたシフトレジスタを更に含む。N番目のシフトレジスタの出力は、N番目の位相インバータの入力及びN番目の選択回路内の第1選択トランジスタのゲートへ結合される。シフトレジスタの出力は、第1選択信号を出力するよう構成される。N番目の位相インバータの出力は、N番目の選択回路内の第2選択トランジスタのゲートへ結合される。位相インバータの出力は、第2選択信号を出力するよう構成される。従って、シフトレジスタは、第1選択トランジスタのゲートへ第1選択信号を供給することができ、また、位相インバータを使用することによって第2選択トランジスタのゲートへ選択信号を供給することもでき、それにより、第1選択信号を供給する回路が別に配置される必要がない。
【0011】
任意に、ピクセル回路は、第1発光制御トランジスタ及び第2発光制御トランジスタを更に含む。第1発光制御トランジスタの第1ノードは、第1電圧入力へ結合される。第1発光制御トランジスタの第2ノードは、駆動トランジスタの第1ノードへ結合される。第2発光制御トランジスタの第1ノードは、駆動トランジスタの第2ノードへ結合される。第2発光制御トランジスタの第2ノードは、発光デバイスへ結合される。発光デバイスは、第2電圧入力へ更に結合され、第2電圧入力は、第2電圧を入力するよう構成される。シフトレジスタの出力は、第1発光制御トランジスタ及び前記第2発光制御トランジスタのゲートへ更に結合される。シフトレジスタによって出力される信号が、第1発光制御トランジスタ及び第2発光制御トランジスタをオンされるように制御するとき、駆動トランジスタによって生成される駆動電流は、発光デバイスを通って流れ、発光デバイスを発光させ得る。第1発光制御トランジスタの第1ノードがソースでありかつ第2ノードがドレインであるか、又は第1発光制御トランジスタの第1ノードがドレインでありかつ第2ノードがソースである。第2発光制御トランジスタの第1ノードがソースでありかつ第2ノードがドレインであるか、又は第2発光制御トランジスタの第1ノードがドレインでありかつ第2ノードがソースである。
【0012】
任意に、ディスプレイモジュールは、第1ドライバグループ及び第2ドライバグループを含む。第1ドライバグループ及び第2ドライバグループは、ディスプレイの表示エリアの両側に夫々位置している。第1ドライバグループ内のN番目の選択回路及び第2ドライバグループ内のN番目の選択回路は両方とも、N行目のサブピクセルのピクセル回路内の第1リセットトランジスタの第2ノードへ結合される。この場合に、ディスプレイが比較的に高い解像度を有しているとき、行に含まれるサブピクセルの数は相対的に多い。第1ドライバグループ及び第2ドライバグループは、左側及び右側に夫々配置され、それにより、第1ドライバグループ内の選択回路及び第2ドライバグループ内の選択回路は、夫々左側及び右側から同じ行のサブピクセルの各第1リセットトランジスタの第2ノードへ第1初期電圧Vint1及び第2初期電圧Vint2を供給し、それによって信号減衰を有効に低減する。
【0013】
任意に、ディスプレイモジュールは、基板を含む。ピクセル回路、ディスプレイ駆動回路、及びドライバグループは、基板に載置される。基板が作られる材料は、柔軟性のある材料又は引張強度が高い材料を含む。この場合に、ディスプレイは、伸ばすこと及び曲げることが可能なフレキシブルディスプレイであり得る。フレキシブルディスプレイを備えた電子デバイスは、折り畳み可能な携帯電話機又は折り畳み可能なタブレットコンピュータであり得る。
【0014】
本願の実施形態の第2の態様に従って、上記のディスプレイモジュールを含む電子デバイスが提供される。電子デバイスは、上記の実施形態で提供されるディスプレイモジュールによって達成されるのと同じ技術的効果を達成する。詳細は、ここで再び記載されない。
【0015】
本願の実施形態の第3の態様に従って、ディスプレイモジュールの制御方法が提供される。ディスプレイモジュールは、ディスプレイ、ディスプレイ駆動回路、及び少なくとも1つのドライバグループを含む。ディスプレイは、マトリクス状に配置されたM行のサブピクセルを含む。各サブピクセルのピクセル回路は、駆動トランジスタ、第1リセットトランジスタ、第1キャパシタ、及び発光デバイスを含む。M≧2であり、Mは正の整数である。加えて、第1リセットトランジスタの第1ノードは、駆動トランジスタのゲート及び第1キャパシタの第1端子へ結合される。第1キャパシタの第2端子は、第1電圧入力へ結合される。駆動トランジスタの第1ノードは、発光フェーズで第1電圧入力へ結合され、データ電圧書き込みフェーズでディスプレイ駆動回路のデータ電圧出力ポートへ結合される。駆動トランジスタの第2ノードは、発光デバイスへ結合される。第1リセットトランジスタの第1ノードがソースでありかつ第2ノードがドレインであるか、又は第1リセットトランジスタの第1ノードがドレインでありかつ第2ノードがソースである。駆動トランジスタの第1ノードがソースでありかつ第2ノードがドレインであるか、又は駆動トランジスタの第1ノードがドレインでありかつ第2ノードがソースである。第1電圧入力は、第1電圧を入力するよう構成される。データ電圧出力ポートは、データ電圧を出力するよう構成される。加えて、各ドライバグループは、M個の選択回路を含む。各選択回路は、ディスプレイ駆動回路へ結合され、ディスプレイ駆動回路によって出力される第1初期電圧Vint1及び第2初期電圧Vint2を受電するよう構成され、|Vint2|>|Vint1|である。N番目の選択回路は、N行目のサブピクセルのピクセル回路内の第1リセットトランジスタの第2ノードへ結合される。選択回路は、ピクセル回路がリセットフェーズ及びデータ電圧書き込みフェーズにあるときに、第1リセットトランジスタの第2ノードへ第2初期電圧Vint2を出力するよう更に構成され、ピクセル回路が発光フェーズにあるときに、第1リセットトランジスタの第2ノードへ前記第1初期電圧Vint1を出力するよう構成される。1≦N≦Mであり、Nは正の整数である。ディスプレイモジュールの制御方法は、最初に、M行のサブピクセルが、行ごとに表示されるように制御される、ことを含む。M行のサブピクセルの中のN行目のサブピクセルが表示されるように制御されるとき、N番目の選択回路は、ディスプレイ駆動回路によって出力される第1初期電圧Vint1及び第2初期電圧Vint2を受電する。N番目の選択回路は、N行目のサブピクセルのピクセル回路内の第1リセットトランジスタの第2ノードへ第2初期電圧Vint2を出力する。第1リセットトランジスタはオンされ、第2初期電圧Vint2が駆動トランジスタのゲートへ伝送される。N行目のサブピクセルのピクセル回路はリセットフェーズにある。リセットフェーズは、第1リセットトランジスタがオンであるフェーズである。次いで、データ電圧が駆動トランジスタの第1ノードに書き込まれ、第1リセットトランジスタは、カットオフされるように制御される。N行目のサブピクセルのピクセル回路はデータ電圧書き込みフェーズにある。N番目の選択回路は、N行目のサブピクセルのピクセル回路内の第1リセットトランジスタの第2ノードへ第2初期電圧Vint2を出力する。データ電圧書き込みフェーズは、データ電圧が駆動トランジスタの第1ノードに印加されるフェーズである。次いで、N行目のサブピクセルのピクセル回路内の発光デバイスは、光を放射するように制御される。N行目のサブピクセルのピクセル回路は発光フェーズにある。N番目の選択回路は、N行目のサブピクセルのピクセル回路内の第1リセットトランジスタの第2ノードへ第1初期電圧Vint1を出力する。発光フェーズは、発光デバイスが光を放射するように駆動されるフェーズである。ディスプレイモジュールの制御方法は、上記の実施形態で提供されるディスプレイモジュールによって達成されるのと同じ技術的効果を達成する。詳細は、ここで再び記載されない。
【0016】
任意に、第1初期電圧Vint1の値範囲は、0から2Vである。第1初期電圧Vint1が0Vに満たないとき、発光フェーズでの第1リセットトランジスタのソース-ドレイン電圧と、残り2つのフェーズ(リセットフェーズ及びデータ電圧書き込みフェーズ)での第1リセットトランジスタのソース-ドレイン電圧との間の差は、比較的に小さい。結果として、第1リセットトランジスタの漏れ電流は、発光フェーズでは有効に低減され得ず、表示ちらつき現象を取り除く効果は下がる。加えて、第1初期電圧Vint1が2Vよりも大きいとき、第2リセットトランジスタの漏れ電流が発光デバイスへ流れる。結果として、サブピクセルが黒画像として表示されるときに、発光デバイスは光を放射し、光漏れ現象を引き起こす。
【0017】
本願の実施形態の第4の態様に従って、ディスプレイモジュールの制御方法が提供される。ディスプレイモジュールは、ディスプレイ及びディスプレイ駆動回路を含む。ディスプレイは、マトリクス状に配置されたM行のサブピクセルを含む。各サブピクセルのピクセル回路は、駆動トランジスタ、第1リセットトランジスタ、第1キャパシタ、及び発光デバイスを含む。M≧2であり、Mは正の整数である。加えて、第1リセットトランジスタの第1ノードは、駆動トランジスタのゲート及び第1キャパシタの第1端子へ結合される。第1キャパシタの第2端子は、第1電圧入力へ結合される。駆動トランジスタの第1ノードは、発光フェーズで第1電圧入力へ結合され、データ電圧書き込みフェーズでディスプレイ駆動回路のデータ電圧出力ポートへ結合される。駆動トランジスタの第2ノードは、発光デバイスへ結合される。データ電圧出力ポートは、データ電圧を出力するよう構成される。第1リセットトランジスタの第1ノードがソースでありかつ第2ノードがドレインであるか、又は第1リセットトランジスタの第1ノードがドレインでありかつ第2ノードがソースである。駆動トランジスタの第1ノードがソースでありかつ第2ノードがドレインであるか、又は駆動トランジスタの第1ノードがドレインでありかつ第2ノードがソースである。第1電圧入力は、第1電圧を入力するよう構成される。データ電圧出力ポートは、データ電圧を出力するよう構成される。これを考慮して、ディスプレイモジュールの制御方法は、最初に、M行のサブピクセルが、第1リフレッシュレートで行ごとに表示されるように制御される、ことを含む。M行のサブピクセルの中のN行目のサブピクセルが表示されるように制御されるとき、ディスプレイ駆動回路は、リセットフェーズ、データ電圧書き込みフェーズ、及び発光フェーズにおいて、N行目のサブピクセルのピクセル回路内の第1リセットトランジスタの第2ノードへ第2初期電圧Vint2を出力する。次いで、M行のサブピクセルは、第2リフレッシュレートで行ごとに表示されるように制御される。第2リフレッシュレートは、前記第1リフレッシュレートよりも小さい。M行のサブピクセルの中のN行目のサブピクセルが表示されるように制御されるとき、ディスプレイ駆動回路は、リセットフェーズ、データ電圧書き込みフェーズ、及び発光フェーズにおいて、N行目のサブピクセルのピクセル回路内の前記第1リセットトランジスタの第2ノードへ第1初期電圧Vint1を出力する。|Vint2|>|Vint1|である。加えて、リセットフェーズは、第1リセットトランジスタをオンするために使用されるフェーズであり、データ電圧書き込みフェーズは、データ電圧を駆動トランジスタの第1ノードに書き込むために使用されるフェーズであり、発光フェーズは、発光デバイスを発光させるために使用されるフェーズである。ディスプレイモジュールの制御方法は、上記の実施形態で提供されるディスプレイモジュールによって達成されるのと同じ技術的効果を達成する。詳細は、ここで再び記載されない。
【0018】
本願の実施形態の第5の態様に従って、ディスプレイ駆動回路が提供される。ディスプレイは、マトリクス状に配置されたM行のサブピクセルを含む。各サブピクセルのピクセル回路は、駆動トランジスタ、第1リセットトランジスタ、第1キャパシタ、及び発光デバイスを含む。M≧2であり、Mは正の整数である。第1リセットトランジスタの第1ノードは、駆動トランジスタのゲート及び第1キャパシタの第1端子へ結合される。第1キャパシタの第2端子は、第1電圧入力へ結合される。駆動トランジスタの第1ノードは、発光フェーズで第1電圧入力へ結合され、データ電圧書き込みフェーズでディスプレイ駆動回路のデータ電圧出力ポートへ結合される。駆動トランジスタの第2ノードは、発光デバイスへ結合される。第1リセットトランジスタの第1ノードがソースでありかつ第2ノードがドレインであるか、又は第1リセットトランジスタの第1ノードがドレインでありかつ第2ノードがソースである。駆動トランジスタの第1ノードがソースでありかつ第2ノードがドレインであるか、又は駆動トランジスタの第1ノードがドレインでありかつ第2ノードがソースである。第1電圧入力は、第1電圧を入力するよう構成される。データ電圧出力ポートは、データ電圧を出力するよう構成される。これを考慮して、ディスプレイ駆動回路は、M行のサブピクセルを、第1リフレッシュレートで行ごとに表示されるように制御し、M行のサブピクセルの中のN行目のサブピクセルが表示されるように制御されるとき、リセットフェーズ、データ電圧書き込みフェーズ、及び発光フェーズにおいて、N行目のサブピクセルのピクセル回路内の第1リセットトランジスタの第2ノードへ第2初期電圧Vint2を出力し、M行のサブピクセルを、第2リフレッシュレートで行ごとに表示されるように制御し、第2リフレッシュレートは第1リフレッシュレートよりも小さく、M行のサブピクセルの中のN行目のサブピクセルが表示されるように制御されるとき、リセットフェーズ、データ電圧書き込みフェーズ、及び発光フェーズにおいて、N行目のサブピクセルのピクセル回路内の第1リセットトランジスタの第2ノードへ第1初期電圧Vint1を出力し、|Vint2|>|Vint1|である、よう構成される。加えて、リセットフェーズは、第1リセットトランジスタがオンであるフェーズであり、データ電圧書き込みフェーズは、データ電圧が駆動トランジスタの第1ノードに印加されるフェーズであり、発光フェーズは、発光デバイスが光を放射するフェーズである。回路システムの制御方法は、上記の実施形態で提供されるディスプレイモジュールの制御方法によって達成されるのと同じ技術的効果を達成する。詳細は、ここで再び記載されない。
【0019】
本願の実施形態の第6の態様に従って、電子デバイスが提供される。電子デバイスは、ディスプレイ及びディスプレイ駆動回路を含む。ディスプレイは、マトリクス状に配置されたM行のサブピクセルを含む。各サブピクセルのピクセル回路は、駆動トランジスタ、第1リセットトランジスタ、第1キャパシタ、及び発光デバイスを含む。M≧2であり、Mは正の整数である。第1リセットトランジスタの第1ノードは、駆動トランジスタのゲート及び第1キャパシタの第1端子へ結合される。第1キャパシタの第2端子は、第1電圧入力へ結合される。駆動トランジスタの第1ノードは、発光フェーズで第1電圧入力へ結合され、データ電圧書き込みフェーズでディスプレイ駆動回路のデータ電圧出力ポートへ結合される。駆動トランジスタの第2ノードは、発光デバイスへ結合される。第1リセットトランジスタの第1ノードがソースでありかつ第2ノードがドレインであるか、又は第1リセットトランジスタの第1ノードがドレインでありかつ第2ノードがソースである。駆動トランジスタの第1ノードがソースでありかつ第2ノードがドレインであるか、又は駆動トランジスタの第1ノードがドレインでありかつ第2ノードがソースである。第1電圧入力は、第1電圧を入力するよう構成される。データ電圧出力ポートは、データ電圧を出力するよう構成される。これを考慮して、ディスプレイ駆動回路は、M行のサブピクセルを、第1リフレッシュレートで行ごとに表示されるように制御し、M行のサブピクセルの中のN行目のサブピクセルが表示されるように制御されるとき、リセットフェーズ、データ電圧書き込みフェーズ、及び発光フェーズにおいて、N行目のサブピクセルのピクセル回路内の第1リセットトランジスタの第2ノードへ第2初期電圧Vint2を出力するよう構成される。加えて、ディスプレイ駆動回路は、M行のサブピクセルを、第2リフレッシュレートで行ごとに表示されるように制御し、第2リフレッシュレートは第1リフレッシュレートよりも小さく、M行のサブピクセルの中のN行目のサブピクセルが表示されるように制御されるとき、リセットフェーズ、データ電圧書き込みフェーズ、及び発光フェーズにおいて、N行目のサブピクセルのピクセル回路内の前記第1リセットトランジスタの第2ノードへ第1初期電圧Vint1を出力し、|Vint2|>|Vint1|である、よう構成される。加えて、リセットフェーズは、第1リセットトランジスタがオンであるフェーズであり、データ電圧書き込みフェーズは、データ電圧が駆動トランジスタの第1ノードに印加されるフェーズであり、発光フェーズは、発光デバイスが光を放射するフェーズである。電子デバイスの制御方法は、上記の実施形態で提供されるディスプレイモジュールの制御方法によって達成されるのと同じ技術的効果を達成する。詳細は、ここで再び記載されない。
【0020】
本願の実施形態の第7の態様に従って、コンピュータ可読媒体が提供され、コンピュータ可読媒体はコンピュータプログラムを記憶する。コンピュータプログラムがプロセッサによって実行されるとき、上記の方法のうちのいずれか1つが実装される。コンピュータ可読媒体は、上記の実施形態で提供されるディスプレイモジュールの制御方法によって達成されるのと同じ技術的効果を達成する。詳細は、ここで再び記載されない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1a】本願のいくつかの実施形態に従う電子デバイスの構造の概略図である。
【
図1b】
図1aのディスプレイの構造の概略図である。
【
図2a】本願の実施形態に従うピクセル回路の構造の概略図である。
【
図2b】ピクセル回路が第1フェーズ(1)にあるときの等価回路図である。
【
図2c】ピクセル回路が第2フェーズ(2)にあるときの等価回路図である。
【
図2d】ピクセル回路が第3フェーズ(3)にあるときの等価回路図である。
【
図3】
図2aに示されるピクセル回路のシーケンス制御図である。
【
図4】本願のいくつかの実施形態に従う、60Hz及び30Hzでの画像フレームの存続期間の間の比較の図である。
【
図5】本願のいくつかの実施形態に従う、60Hz及び30Hzでの駆動トランジスタのゲート電圧間及び駆動トランジスタのゲート-ソース電圧間の比較の図である。
【
図6】本願のいくつかの実施形態に従うトランジスタのI-V曲線の概略図である。
【
図7a】本願の実施形態に従うディスプレイモジュールの構造の概略図である。
【
図7b】本願の実施形態に従う、
図2aに示されるピクセル回路を備えたディスプレイの構造の概略図である。
【
図7c】本願のいくつかの実施形態に従うデータライン及びディスプレイ駆動回路の結合様式を示す。
【
図7d】本願のいくつかの実施形態に従うデータライン及びディスプレイ駆動回路の他の結合様式を示す。
【
図8a】本願の実施形態に従う他のディスプレイモジュールの構造の概略図である。
【
図8b】本願の実施形態に従う、
図2aに示されるピクセル回路を備えたディスプレイの他の構造の概略図である。
【
図9a】本願の実施形態に従う他のディスプレイモジュールの構造の概略図である。
【
図9b】本願の実施形態に従う、
図2aに示されるピクセル回路を備えたディスプレイの他の構造の概略図である。
【
図9c】本願の実施形態に従う他のピクセル回路の部分構造の概略図である。
【
図10】本願の実施形態に従う信号シーケンス図である。
【
図11】本願の実施形態に従う他のディスプレイモジュールの構造の概略図である。
【
図12a】本願の実施形態に従う他のディスプレイモジュールの構造の概略図である。
【
図12b】本願の実施形態に従う、
図2aに示されるピクセル回路を備えたディスプレイモジュールの他の構造の概略図である。
【
図12c】本願の実施形態に従う他のピクセル回路の部分構造の概略図である。
【
図13】本願の実施形態に従う信号シーケンス図である。
【
図14】本願の実施形態に従う他のディスプレイモジュールの構造の概略図である。
【
図15】本願の実施形態に従うディスプレイモジュールの制御方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下は、本願の実施形態における添付の図面を参照して、本願の実施形態における技術的解決法について記載する。明らかに、記載される実施形態は、本願の実施形態のいくつかにすぎず、全てではない。
【0023】
以下で、「第1」、「第2」などの用語は、単に記載のために用いられ、示されている技術的特徴の相対的な重要性の指示若しくは暗示又は技術的特徴の数の暗黙的な指示として理解されるべきではない。従って、「第1」、「第2」などによって限定される特徴は、1つ以上の特徴を明示的に又は暗黙的に含み得る。本願の明細書中、「複数」は、別段特定されない限りは、少なくとも2つを意味する。
【0024】
加えて、本願で、「上」、「下」、「左」及び「右」などの向きを示す語は、添付の図面中のコンポーネントの配置姿勢に関して定義される。これらの方向語は相対的な概念であり、相対的な説明及び明確化のために使用され、添付の図面中のコンポーネントの配置姿勢の変化に応じて然るべく変化し得る、ことが理解されるべきである。
【0025】
本願の実施形態は、電子デバイスを提供する。例えば、電子デバイスは、テレビ受像機、携帯電話機、タブレットコンピュータ、パーソナル・デジタル・アシスタント(personal digital assistant,PDA)、車載コンピュータ、などを含む。電子デバイスの具体的な形態は、本願のこの実施形態で特に限定されない。記載を簡単にするために、電子デバイスが携帯電話機である例が、以下説明のために使用される。
【0026】
この場合に、電子デバイスは、ディスプレイモジュールを主に含む。ディスプレイモジュールは、
図1aに示されるディスプレイ10、ミドルフレーム11、及び筐体12を含む。ディスプレイ10は、ミドルフレーム11に取り付けられ、ミドルフレーム11は、筐体12に接続されている。ディスプレイ10は、表示面と、表示面から離れた背面とを備えている。
【0027】
ディスプレイ10がミドルフレーム11に取り付けられ、ミドルフレーム11を使用することによって筐体12に接続される場合に、筐体12は、ディスプレイ10の背面に配置される。電子デバイス01は、アプリケーションプロセッサ(application processor,AP)が配置される印刷回路基板(printed circuit board,PCB)を更に含む。
【0028】
上記は、ディスプレイモジュールの構造の例について記載している、ことが留意されるべきである。本願のその他の実施形態では、ディスプレイモジュールは、代替的に、2つのディスプレイ10を備えてもよい。2つのディスプレイ10は、ミドルフレーム11の両側に夫々配置されてよく、それにより、表示は、電子デバイスの前面及び背面の両方で行われ得る。
【0029】
加えて、
図1bに示されるように、ディスプレイ10は、アクティブエリア(active area,AA)100と、AAエリア100の周りに位置している非表示エリア101とを含む。
【0030】
AAエリア100は、画像を表示するために使用される。
図1bに示されるように、AAエリア100は、複数のサブピクセル(sub-pixel)20を含む。サブピクセルは、サブ画素又は副画素とも呼ばれ得る。記載を簡単にするために、本願は、複数のサブピクセル20がマトリクス状に配置されている例を使用することによって記載される。
【0031】
本願のこの実施形態で、水平方向Xに沿って一直線に配置されたサブピクセル20は、1行のサブピクセルと呼ばれ、垂直方向Yに沿って一直線に配置されたサブピクセル20は、1列のサブピクセルと呼ばれる、ことが留意されるべきである。記載を簡単にするために、M行のサブピクセル20がAAエリア100に配置されている例が、以下説明のために使用される。M≧2であり、Mは正の整数である。
【0032】
AAエリア100内のサブピクセル20には、表示を行うようにサブピクセル20を制御するよう構成されたピクセル回路が配置されている。いくつかの実施形態において、
図2aに示されるように、ピクセル回路201は、少なくとも、駆動トランジスタM4、第1リセットトランジスタM1、第1キャパシタCst、及び発光デバイスLを含む。第1リセットトランジスタM1の第1ノード、例えば、ソース(source,s)は、駆動トランジスタM4のゲート(gate,g)及び第1キャパシタCstの第1端子(
図2aのCstの下側電極板)へ結合されている。第1キャパシタCstの第2端子(
図2aのCstの
上側電極板)は、第1電圧入力(第1電圧ELVDDを出力するよう構成される)へ結合される。
【0033】
第1リセットトランジスタM1の第1ノードはソースsであってよく、第2ノードはドレインdであってよく、あるいは、第1リセットトランジスタM1の第1ノードはドレインdであってよく、第2ノードはソースsであってよい、ことが留意されるべきである。記載を簡単にするために、本願のこの実施形態は、第1リセットトランジスタM1の第1ノードがソースsであり、第2ノードがドレインdである例を使用することによって記載される。
【0034】
加えて、駆動トランジスタM4の第1ノード、例えば、ソースsは、発光フェーズ(
図3に示される第3フェーズ(3))では第1電圧入力へ結合され、それにより、第1電圧入力によって供給される第1電圧ELVDDが発光フェーズで受け取られ得る。加えて、駆動トランジスタM4の第1ノード、例えば、ソースsは、データ電圧書き込みフェーズ(
図3に示される第2フェーズ(2))ではデータ電圧入力へ結合され、それにより、データ電圧入力によって供給されるデータ電圧Vdataがデータ電圧書き込みフェーズで受け取られ得る。駆動トランジスタM4の第2ノード、例えば、ドレイン(drain、略してd)は、発光デバイスLへ結合される。
【0035】
駆動トランジスタM4の第1ノードはソースsであってよく、第2ノードはドレインdであってよく、あるいは、駆動トランジスタM4の第1ノードはドレインdであってよく、第2ノードはソースsであってよい、ことが留意されるべきである。記載を簡単にするために、本願のこの実施形態は、駆動トランジスタM4の第1ノードがソースsであり、第2ノードがドレインdである例を使用することによって記載される。
【0036】
加えて、発光デバイスLは、有機発光ダイオード(organic light emitting diode,OLED)であってよい。この場合に、ディスプレイ10はOLEDディスプレイである。代替的に、発光デバイスLは、マイクロ発光ダイオード(micro light emitting diode,マイクロLED)であってもよい。この場合に、ディスプレイ10はマイクロLEDディスプレイである。ディスプレイ10は、自己照明を実装することができる。記載を簡単にするために、発光デバイスLがOLEDである例が、以下説明のために使用される。
【0037】
この場合に、駆動トランジスタM4の第2ノード、例えば、ドレインdは、発光デバイスLのアノード(anode,a)へ結合され得る。発光デバイスLのカソード(cathode,c)は、第2電圧入力(第2電圧ELVSSを出力するよう構成される)へ結合されている。
【0038】
加えて、ピクセル回路201が
図2aに示される7T1C構造を備える例では、ピクセル回路201は、第1キャパシタCst及び複数のトランジスタ(M2、M3、M5、M6、M7)を更に含み得る。記載を簡単にするために、トランジスタM7は第2リセットトランジスタと呼ばれ、トランジスタM6は第1発光制御トランジスタと呼ばれ、トランジスタM5は第2発光制御トランジスタと呼ばれる。
【0039】
第1発光制御トランジスタM6の第1ノード、例えば、ソースsは、第1電圧入力によって供給される第1電圧ELVDDを受けるよう、第1電圧入力へ結合されている。第1発光制御トランジスタM6の第2ノード、例えば、ドレインdは、駆動トランジスタM4の第1ノード、例えば、ソースsへ結合されている。第2発光制御トランジスタM5の第1ノード、例えば、ソースsは、駆動トランジスタM4の第2ノード、例えば、ドレインdへ結合されている。第2発光制御トランジスタM5の第2ノード、例えば、ドレインdは、発光デバイスL、例えば、OLEDのアノードへ結合されている。
【0040】
第1発光制御トランジスタM6の第1ノードはソースsであってよく、第2ノードはドレインdであってよく、あるいは、第1発光制御トランジスタM6の第1ノードはドレインdであってよく、第2ノードはソースsであってよい、ことが留意されるべきである。記載を簡単にするために、本願のこの実施形態は、第1発光制御トランジスタM6の第1ノードがソースsであり、第2ノードがドレインdである例を使用することによって記載される。同様に、第2発光制御トランジスタM5の第1ノードはソースsであってよく、第2ノードはドレインdであってよく、あるいは、第2発光制御トランジスタM5の第1ノードはドレインdであってよく、第2ノードはソースsであってよい。記載を簡単にするために、本願のこの実施形態は、第2発光制御トランジスタM5の第1ノードがソースsであり、第2ノードがドレインdである例を使用することによって記載される。同様に、第2リセットトランジスタM7の第1ノードはソースsであってよく、第2ノードはドレインdであってよく、あるいは、第2リセットトランジスタM7の第1ノードはドレインdであってよく、第2ノードはソースsであってよい。記載を簡単にするために、本願のこの実施形態は、第2リセットトランジスタM7の第1ノードがソースsであり、第2ノードがドレインである例を使用することによって記載される。
【0041】
加えて、ディスプレイ10は、ピクセル回路201を載置するよう構成された基板を更に含む。本願のいくつかの実施形態で、基板は、柔軟性のある材料から作られ得る。柔軟性のある材料は、フレキシブルガラス又はポリイミド(polyimide,PI)であってよい。代替的に、本願のその他の実施形態では、基板材料は、引張強度が高い材料から作られてもよい。引張強度が高い材料の変形は、5%以上であってよい。例えば、引張強度が高い材料は、ポリジメチルシロキサン(polydime thylsiloxane,PDMS)であってよい。この場合に、ディスプレイ10は、伸ばすこと及び曲げることが可能なフレキシブルディスプレイであり得る。フレキシブルディスプレイを備えた電子デバイス01は、折り畳み可能な携帯電話機又は折り畳み可能なタブレットコンピュータであり得る。
【0042】
代替的に、基板は、比較的に堅い材料、例えば、硬質ガラス又はサファイヤから作られてもよい。この場合に、ディスプレイ10は硬質ディスプレイである。
【0043】
図2aに示されるピクセル回路201の構造に基づき、ピクセル回路201の動作プロセスは、
図3に示される3つのフェーズ、第1フェーズ(1)、第2フェーズ(2)及び第3フェーズ(3)を含む。
図2b、
図2c、及び
図2dでは、記載を簡単にするために、「×」マークが、区別のために、オフであるトランジスタに加えられている。
【0044】
第1フェーズ(1)で、第1リセットトランジスタM1及び第2リセットトランジスタM7は、
図2bに示されるように、選択信号N-1の制御下でオンされる。初期電圧Vintは、駆動トランジスタM4のゲートをリセットするよう、第1リセットトランジスタM1を通って駆動トランジスタM4のゲートへ伝送される。加えて、初期電圧Vintは、OLEDのアノードaをリセットするよう、第2リセットトランジスタM7を通ってOLEDのアノードaへ伝送される。この場合に、OLEDのアノードaでの電圧Va及び駆動トランジスタM4のゲートgでの電圧Vg4はVintである。
【0045】
従って、駆動トランジスタM4のゲートg及びOLEDのアノードaにある画像フレームの残留電圧が次の画像フレームに影響を及ぼすことを防ぐように、駆動トランジスタM4のゲートg及びOLEDのアノードaでの電圧は、第1フェーズ(1)で初期電圧Vintにリセットされ得る。従って、第1フェーズ(1)は、リセットフェーズと呼ばれ得る。上記の記載から、リセットフェーズは、第1リセットトランジスタM1がオンであるフェーズであることが分かる。
【0046】
第2フェーズ(2)で、トランジスタM2及びトランジスタM3は、
図2cに示されるように、選択信号Nの制御下でオンされる。トランジスタM3がオンであるとき、駆動トランジスタM4のゲートg及びドレインdは結合され、駆動トランジスタM4はダイオードオン状態にある。この場合に、データ電圧Vdataは、オンであるトランジスタM2を通って駆動トランジスタM4のソースsに書き込まれる。従って、第2フェーズ(2)は、ピクセル回路のデータ電圧Vdata書き込みフェーズと呼ばれ得る。上記の記載から、データ電圧書き込みフェーズは、データ電圧Vdataが駆動トランジスタM4の第1ノード、例えば、ソースsに印加されるフェーズであることが分かる。
【0047】
この場合に、駆動トランジスタM4のソースsの電圧Vs4は、Vs4=Vdataを満足する。トランジスタの特性に基づき、駆動トランジスタM4のドレインdの電圧Vd4は、Vd=Vdata-|Vth_M4|を満足することが分かる。トランジスタM3はオンであるから、駆動トランジスタM4のゲートgの電圧Vg4及びドレインdの電圧Vd4は同じである。
【0048】
従って、駆動トランジスタM4のゲートgの電圧Vg4は、Vg4=Vdata-|Vth_M4|を満足する。従って駆動トランジスタM4のゲート電圧Vg4は、駆動トランジスタM4の閾電圧Vth_M4に関係があり、それによって閾電圧Vth_M4を補償する。
【0049】
第3フェーズ(3)で、第2発光制御トランジスタM5及び第1発光制御トランジスタM6は、発光制御信号EMの制御下でオンされ、第1電圧ELVDDと第2電圧ELVSSとの間の電流経路がオンされる。駆動トランジスタM4によって生成された駆動電流Iは、その電流経路を通ってOLEDへ伝送されて、OLEDを発光させる。上記の記載から、発光フェーズは、発光デバイスLが光を放射するように駆動されるフェーズである、ことが分かる。
【0050】
駆動トランジスタM4のソース-ゲート電圧Vsg4は、Vsg4=Vs4-Vg4=ELVDD-(Vdata-|Vth_M4|)を満足する。加えて、OLEDを発光させる電流は、次の式:
Isd=1/2×μ×Cgi×W/L×(Vsg4-|Vth_M4|)2 (1)
を満足する。
【0051】
OLEDの電流式から、OLEDを流れる駆動電流Isdは、Isd=1/2×μ×Cgi×W/L×(ELVDD-Vdata+|Vth_M4|-|Vth_M4|)2=1/2×μ×Cgi×W/L×(ELVDD-Vdata)2を満足する、ことが分かる。ここで、μは、駆動トランジスタM4の電子移動度であり、Cgiは、駆動トランジスタM4のゲートとチャネルとの間のキャパシタンスであり、W/Lは、駆動トランジスタM4の幅対長さの比であり、Vth_M4は、駆動トランジスタM4の閾電圧である。
【0052】
電流Isdは、駆動トランジスタM4の閾電圧Vth_M4とは無関係であるから、サブピクセルの駆動トランジスタの閾電圧の差によって引き起こされる非一様な輝度の現象は回避され得る。従って、閾電圧が第2フェーズ(2)で補償された後、ディスプレイ10での一様な輝度の効果は第3フェーズ(3)で達成され得る。OLEDは第3フェーズ(3)で光を放射するので、第3フェーズ(3)は発光フェーズと呼ばれ得る。
【0053】
上記のピクセル回路の構造に基づき、ディスプレイ10のサブピクセル20は、行ごとに走査されて光を放射する。従って、画像のフレームが表示されるとき、1行目のサブピクセル20が光を放射した後に、発光状態は、画像のそのフレームが表示され得るように、最後の行のサブピクセル20が光を放射するまで保たれる必要がある。
【0054】
この場合に、ディスプレイ10がアニメーションを表示するために使用される場合に、60Hzのリフレッシュレートが使用され得る。
図4に示されるように、画像フレームの時間T2は1/60sである。電子デバイス01の電力消費を低減するために、電子デバイス01のディスプレイ10が静止画像、例えば、スタンバイ画像を表示するために使用される場合には、60Hzよりも小さいリフレッシュレート、例えば、30Hzが使用され得る。この場合に、
図4に示されるように、画像フレームの時間T1は1/30sである。T1>T2である。
【0055】
従って、ディスプレイ10が比較的に低いリフレッシュレートを使用する場合に、画像フレームの時間は増える。従って、同じ行のサブピクセル20については、30Hzのリフレッシュレートが使用される場合に、その行のサブピクセル20が光を放射し続ける存続期間Δt1、つまり、
図3の第3フェーズ(3)の存続期間は、約1/30sである。60Hzのリフレッシュレートが使用される場合には、その行のサブピクセル20が光を放射し続ける存続期間Δt2は、約1/60sである。Δt1はΔt2よりも大きい。
【0056】
これを考慮して、サブピクセル20が光を放射する場合に、そのサブピクセル20のピクセル回路201内の第1キャパシタCstの電気量Qは、次の式:
Q=C×ΔV=Ioff_M1×Δt (2)
を満足する。
【0057】
式(2)中、Cは、第1キャパシタCstのキャパシタンス値であり、Ioff_M1は、第3フェーズ(3)、つまり、発光フェーズでの第1リセットトランジスタM1の漏れ電流であり、ΔVは、第3フェーズ(3)での駆動トランジスタM4のゲート電圧Vg4の電圧降下(voltage drop)であり、Δtは、サブピクセルが光を放射し続ける存続期間である。
【0058】
上記の記載から、Δt1はΔt2よりも大きい、ことが分かる。従って、第1キャパシタCstのキャパシタンス値C及び第1リセットトランジスタM1の漏れ電流Ioff_M1が一定である場合に、式(2)から、ディスプレイ10が30Hzで表示を行うときの駆動トランジスタM4のゲート電圧Vg4の電圧降下ΔVは、ディスプレイ10が60Hzで表示を行うときの駆動トランジスタM4のゲート電圧Vg4の電圧降下ΔV2よりも大きい、ことが分かる。
【0059】
これを考慮して、
図5に示されるように、駆動トランジスタM4のゲート-ソース電圧Vsg4は、Vsg4=Vs4-Vg4を満足する。
図2aから、Vs=ELVDDである、ことが分かる。従って、Vs4が不変なままである場合に、ΔV1>ΔV2であるから、ディスプレイ10が30Hzで表示を行うときの駆動トランジスタM4ゲート-ソース電圧Vsg4_1は、ディスプレイ10が60Hzで表示を行うときの駆動トランジスタM4ゲート-ソース電圧Vsg4_2よりも大きく、つまり、Vsg4_1>Vsg4_2である。
【0060】
この場合に、式(1)から、OLEDを発光させる電流Isdは、駆動トランジスタM4のゲート-ソース電圧Vsg4の第2電力に直接に比例する、ことが分かる。従って、Vsg4_1>Vsg4_2であるから、ディスプレイ10が30Hzで表示を行うときにOLEDを発光させる電流Isd1は、ディスプレイ10が60Hzで表示を行うときにOLEDを発光させる電流Isd2よりも大きく、つまり、Isd1>Isd2である。従って、ディスプレイ10が表示のために60Hzのより高いリフレッシュレートから30Hzのより低いリフレッシュレートへ切り替わる場合に、サブピクセル20内でOLEDを流れる電流は増大する。この場合に、リフレッシュレートが変更される時点で、OLEDの輝度は突然に増大し、ヒトの目は輝度の突然の変化を敏感に捕らえ、それによって表示ちらつき現象を引き起こす。
【0061】
ディスプレイ10での表示ちらつきの上記の原因に基づき、本願のこの実施形態は、表示ちらつき現象の発生確率を下げる方法を提供する。式(2)から、ディスプレイ10が30Hzの低リフレッシュレートで表示を行う場合に、サブピクセル20が光を放射し続ける存続期間Δtは増える、ことが分かる。この場合に、第1リセットトランジスタM1の漏れ電流Ioff_M1は、式(2)の左側の値を変更しないよう小さくされ得る。
【0062】
従って、ディスプレイ10が30Hzの低リフレッシュレートで表示を行うときの駆動トランジスタM4のゲート電圧Vg4の電圧降下ΔV1の値は、ディスプレイ10が60Hzで表示を行うときの駆動トランジスタM4のゲート電圧Vg4の電圧降下ΔV2の値におおよそ等しい。
【0063】
これを考慮して、
図5から、ΔV1及びΔV2の値がおおよそ等しい場合に、ディスプレイ10が30Hzで表示を行うときの駆動トランジスタM4のゲート-ソース電圧Vsg4_1は、ディスプレイ10が60Hzで表示を行うときの駆動トランジスタM4のゲート-ソース電圧Vsg4_2におおよそ等しい、ことが分かる。
【0064】
更に、式(1)から、ディスプレイ10が30Hzで表示を行うときにOLEDを発光させる電流Isd1は、ディスプレイ10が60Hzで表示を行うときにOLEDを発光させる電流Isd2におおよそ等しい、ことが分かる。従って、ディスプレイ10が表示のために60Hzのより高いリフレッシュレートから30Hzのより低いリフレッシュレートへ切り替わる場合に、サブピクセル20内でOLEDを流れる電流は、基本的に変化しないままであり、それによって表示ちらつき現象の発生確率を有効に低下させる。
【0065】
まとめると、表示ちらつき問題を有効に解決するために、ピクセル回路201内の第1リセットトランジスタM1の漏れ電流I
off_M1は、低減される必要がある。これを考慮して、
図6のトランジスタのI-V曲線から、各曲線上の全ての位置でのトランジスタのソース-ドレイン電圧Vsdは等しい、ことが分かる。例えば、曲線(1)はトランジスタのソース-ドレイン電圧Vsd1に対応し、曲線(2)はトランジスタのソース-ドレイン電圧Vsd2に対応する。
【0066】
曲線(1)は曲線(2)より上にある。従って、Vsd1>Vsd2である。この場合に、曲線(1)に対応するトランジスタの漏れ電流I
off_1は、曲線(2)に対応する漏れ電流I
off_2よりも大きい。従って、発光フェーズ、つまり、
図3の第3フェーズ(3)での第1リセットトランジスタM1の漏れ電流I
off_M1を低減するために、第1リセットトランジスタM1のソース-ドレイン電圧Vsd1は、第3フェーズ(3)で下げられ得る。
【0067】
図2aに示されるように、駆動トランジスタM4へ接続されているトランジスタは、第1リセットトランジスタM1及びトランジスタM3を含む、ことが留意されるべきである。
従って、第1リセットトランジスタM1の漏れ電流及びトランジスタM3の漏れ電流の両方が、サブピクセル20が光を放射し続ける時間内に駆動トランジスタM4のゲート電圧Vg4の電圧降下ΔVを引き起こす。しかし、駆動トランジスタM4のドレインd及びゲートgでの電圧は、トランジスタM3が第2フェーズ(2)でオンするときに同じであることができるから、トランジスタM3のソース-ドレイン電圧Vsd3は、トランジスタM3が第3フェーズ(3)でカットオフされた後に比較的に小さい。従って、生成される漏れ電流も比較的に小さく、駆動トランジスタM4のゲート電圧Vg4に対する影響は相対的に小さい。
【0068】
しかし、ピクセル回路201の動作プロセスから、第3フェーズ(3)で、第1リセットトランジスタM1のソース-ドレイン電圧Vsd1は、Vsd1=Vdata-|Vth_M4|-Vintを満足する、ことが分かる。例えば、Vintは-4Vであってよい。従って、第1リセットトランジスタM1のソース-ドレイン電圧Vsd1は比較的に大きいので、生成される漏れ電流も比較的に大きく、駆動トランジスタM4のゲート電圧Vg4に対する影響は相対的に大きい。従って、以下の実施形態で、第1リセットトランジスタM1のソース-ドレイン電圧Vsd1は、表示ちらつき現象の発生確率を下げるという目的を達成するために小さくされる。以下は、第1リセットトランジスタM1のソース-ドレイン電圧Vsd1が低減され得るディスプレイ10の構造について記載する。
【0069】
以下の実施形態で、表示ちらつきを軽減するという目的を達成するために第1リセットトランジスタM1のソース-ドレイン電圧Vsd1を小さくすることは、ピクセル回路201が
図2aに示される7T1C構造を有している例を使用することによって記載される、ことが留意されるべきである。ピクセル回路201の構造は、ピクセル回路201が駆動トランジスタM4及び第1リセットトランジスタM1を備えることが確かにされ得るという条件で、本願で限定されない。
【0070】
本願のこの実施形態で提供されるディスプレイモジュールは、
図7aに示されるように、非表示エリア101に配置されている少なくとも1つのドライバグループ30及びディスプレイ駆動回路40を更に含む。本願のいくつかの実施形態において、ディスプレイ駆動回路40は、ディスプレイドライバ集積回路(display driver integrated circuit,DDIC)であってよい。DDICは、データ電圧Vdataを出力するよう構成されたデータ電圧出力
ポートVOを備える。この場合に、データ電圧書き込みフェーズ(
図3に示される第2フェーズ(2))で、駆動トランジスタM4の第1ノード、例えば、ソースsへ結合されているデータ電圧入力は、DDICのデータ電圧出力ポートVOである。
【0071】
DDICは、
図1aに示されるフレキシブル印刷回路(flexible printed circuit,FPC)基板を通じてAPへ結合され、それにより、DDICは、APによって出力された表示データを受け取ることができる。DDICのデータ電圧出力ポートVOは、表示エリア100内のデータライン(data line,DL)へ結合されている。DLは、
図2aのトランジスタM2の第1ノードへ結合され、それにより、DDICによって出力されたデータラインVdata出力は、DLを通って各サブピクセル20のピクセル回路201へ伝送され得る。
【0072】
本願のこの実施形態で、
図7cに示されるように、各データラインDLの一端は、(垂直方向Yに沿った)サブピクセル20の1つの列内のトランジスタM2の第1ノード(
図2aに図示される)へ結合され、各データラインDLの他端は、マルチプレクサ(multiplexer,MUX)回路を通ってDDIC(つまり、ディスプレイ駆動回路40)のデータ電圧出力
ポートVOへ結合され得る。ある期間に、MUXは、DDICのデータ電圧出力
ポートVOによって出力されたデータ電圧Vdataを夫々受け取るための要件に従って、一部のデータラインDLのみを選択し得る。
【0073】
本願のいくつかの実施形態において、ディスプレイ10のサイズが比較的に大きく、(水平方向Xに沿った)行内のサブピクセルの個数が比較的に多いとき、ディスプレイ10に配置されるデータラインDLの本数も増える。この場合に、電子デバイス01は、複数のMUX及び複数のDDICを含み得る。
図7dに示されるように、ディスプレイ10の一部のデータラインDLは、1つのMUXを通じて1つのDDICのデータ電圧出力
ポートVOへ結合される。その上、ドライバグループ30は、M個の選択回路301を含む。各選択回路301は、ディスプレイ駆動回路40へ結合される。選択回路301は、ディスプレイ駆動回路40によって出力される第1初期電圧Vint1及び第2初期電圧Vint2を受け取るよう構成され、|Vint2|>|Vint1|である。
【0074】
本願のいくつかの実施形態において、
図7bに示されるように、ディスプレイ駆動回路40は、第1信号端子O1及び第2信号端子O2を備える。第1信号端子O1は、
第1初期電圧Vint1を出力し得る。第2信号端子O2は、第2初期電圧Vint2を出力するよう構成される。
【0075】
その上、
図7bに示されるように、N番目(例えば、N=1)の選択回路301は、N行目(例えば、N=1)のサブピクセル20のピクセル回路20内の第1リセットトランジスタM1の第2ノード、例えば、ドレインdへ結合される。選択回路301は、ピクセル回路がリセットフェーズ(
図3の第1フェーズ(1))及びデータ電圧書き込みフェーズ(
図3の第2フェーズ(2))にあるときに、第1リセットトランジスタM1の第2ノード、例えば、ドレインdへ第2初期電圧Vint2を出力するよう更に構成される。
【0076】
従って、リセットフェーズ(
図3の第1フェーズ(1))で、第1リセットトランジスタM1がオンであるとき、第2初期電圧Vint2は、駆動トランジスタM4のゲートをリセットするよう、駆動トランジスタM4のゲートへ伝送され得る。
【0077】
その上、データ電圧書き込みフェーズ(
図3の第2フェーズ(2))で、トランジスタM3はオンであるから、駆動トランジスタM4のゲートgの電圧Vg4及び第1リセットトランジスタM1のソースsの電圧Vs1は、Vdata-|Vth_M4|に等しい。
【0078】
この場合に、第1リセットトランジスタM1のソース-ドレイン電圧Vsd1_Aは、Vsd1_A=Vdata-|Vth_M4|-Vint2を満足する。本願のいくつかの実施形態において、Vint2=-4Vである。第1リセットトランジスタM1のソース-ドレイン電圧Vsd1_Aは、Vsd1_A=Vdata-|Vth_M4|-(-4)=Vdata-|Vth_M4|+4を満足する。
【0079】
その上、選択回路301は、ピクセル回路201が発光フェーズ(
図3の第3フェーズ(3))にあるとき、第1リセットトランジスタM1の第2ノード、例えば、ドレインdへ第1初期電圧Vint1を出力するよう更に構成され、1≦N≦Mであり、Nは正の整数である。
【0080】
従って、発光フェーズ(
図3の第3フェーズ(3))で、選択回路301は、第1リセットトランジスタM1の第2ノード、例えば、ドレインdへ第1初期電圧Vintを出力するので、発光フェーズでの第1リセットトランジスタM1のソース-ドレイン電圧Vsd1_Bは、Vsd1_B=Vdata-|Vth_M4|-Vint1を満足する。|Vint2|>|Vint1|であるから、Vsd1_B<Vsd1_Aである。
【0081】
この場合に、第1リセットトランジスタM1のソース-ドレイン電圧Vsd1は、発光フェーズでの第1リセットトランジスタM1の漏れ電流Ioff_M1を低減するよう、発光フェーズで下げられ得る。低リフレッシュレートが表示のために使用される場合に、駆動トランジスタM4のゲート電圧Vg4が漏れ電流に起因して発光フェーズで比較的に大きい電圧降下を受けるために表示ちらつき現象が起こる確率は、下げることができる。
【0082】
本願のいくつかの実施形態において、第1初期電圧Vint1の値範囲は、0から2Vであり得る。第1初期電圧Vint1が0Vに満たないとき、Vsd1_BとVsd1_Aとの間の差は発光フェーズで比較的に小さい。結果として、第1リセットトランジスタM1の漏れ電流Ioff_M1は、発光フェーズでは有効に低減され得ず、表示ちらつき現象を取り除く効果は下がる。加えて、第1初期電圧Vint1が2Vよりも大きいとき、第2リセットトランジスタM7の漏れ電流がOLEDへ流れる。結果として、サブピクセルが黒画像として表示されるときに、OLEDは光を放射し、光漏れ現象を引き起こす。
【0083】
これを考慮して、本願のいくつかの実施形態において、第1初期電圧Vint1は0V、1V、又は2Vであり得る。
【0084】
これに基づき、ディスプレイモジュールは、
図8aに示される第1ドライバグループ30A及び第2ドライバグループ30Bを含む。第1ドライバグループ30A及び第2ドライバグループ30Bは、ディスプレイの表示エリア100の左側及び右側に夫々配置される。
【0085】
これを考慮して、
図8bに示されるように、第1ドライバグループ30AのN番目(例えば、N=1)の選択回路301及び第2ドライバグループ30BのN番目(例えば、N=1)の選択回路301は、N行目(例えば、N=1)のサブピクセル20のピクセル回路201の第1リセットトランジスタM1の第2ノード、例えば、ドレインdへ結合される。
【0086】
この場合に、ディスプレイ10が比較的高い解像度を有している場合に、行内のサブピクセル20の個数は相対的に多い。ドライバグループ30がサブピクセル20の行の左側又は右側にしか配置されない場合には、ドライバグループ30の選択回路301の出力から遠く離れている、サブピクセル20のその行の端部で受信される信号は減衰し、それによって信号精度を下げる。
【0087】
従って、第1ドライバグループ30A及び第2ドライバグループ30Bが、表示エリア100の左側及び右側に夫々配置され、それにより、第1ドライバグループ30Aの選択回路及び第2ドライバグループ30Bの選択回路301は、左側及び右側から同じ行のサブピクセル20の各第1リセットトランジスタM1の第2ノード、例えば、ドレインdへ第1初期電圧Vint1及び第2初期電圧Vint2を夫々供給し、それによって信号減衰を小さくする。
【0088】
以下は、異なる例を使用することによって、ドライバグループ30内の選択回路301の構造と、選択回路301を備えたディスプレイ10の構造とについて記載する。
【実施例1】
【0089】
この例では、
図9aに示されるように、ディスプレイ10は、M本の第1初期電圧ラインS1を更に含む。各選択回路301は、第1選択トランジスタMs1及び第2選択トランジスタMs2を含む。その上、
図9bに示されるように、N番目(例えば、N=1)の第1初期電圧ラインS1は、N行目(例えば、N=1)のサブピクセル20のピクセル回路201内の第1リセットトランジスタM1の第2ノード、例えば、ドレインdへ結合される。
【0090】
第1選択トランジスタMs1の第1ノードはソースであってよく、第2ノードはドレインdであってよく、あるいは、第1選択トランジスタMs1の第1ノードはドレインdであってよく、あるいは、第2ノードはソースsであってよい、ことが留意されるべきである。記載を簡単にするために、本願のこの実施形態は、第1選択トランジスタMs1の第1ノードがソースsであり、第2ノードがドレインdである例を使用することによって記載される。同様に、第2選択トランジスタMs2の第1ノードはソースsであってよく、第2ノードはドレインdであってよく、あるいは、第2選択トランジスタMs2の第1ノードはドレインdであってよく、第2ノードはソースsであってよい。記載を簡単にするために、本願のこの実施形態は、第2選択トランジスタMs2の第1ノードがソースsであり、第2ノードがドレインdである例を使用することによって記載される。
【0091】
その上、N番目(例えば、N=1)の選択回路301内の第1選択トランジスタMs1の第1ノード、例えば、ソースsは、ディスプレイ駆動回路40へ結合される。ディスプレイ駆動回路40は、第1信号端子O1及び第2信号端子O2を備え得る。第1選択トランジスタMs1の第1ノード、例えば、ソースsは、ディスプレイ駆動回路40の第1信号端子O1へ結合され、ディスプレイ駆動回路40の第1信号端子O1によって出力された第1初期電圧Vint1を受けるよう構成される。
【0092】
第1選択トランジスタMs1の第2ノード、例えば、ドレインdは、N本目(例えば、N=1)の第1初期電圧ラインS1へ結合される。第1選択トランジスタMs1のゲートgは、第1選択信号Eを受信するよう構成される。
【0093】
N番目(例えば、N=1)の選択回路301内の第2選択トランジスタMs2の第1ノード、例えば、ソースsは、ディスプレイ駆動回路40へ結合される。ディスプレイ駆動回路40は、第1信号端子O1及び第2信号端子O2を備え得る。第2選択トランジスタMs2の第1ノード、例えば、ソースsは、ディスプレイ駆動回路40の第2信号端子O2へ結合され、ディスプレイ駆動回路40の第2信号端子O2によって出力された第2初期電圧Vint2を受けるよう構成される。
【0094】
第2選択トランジスタMs2の第2ノード、例えば、ドレインdは、N本目(例えば、N=1)の第1初期電圧ラインS1へ結合される。第2選択トランジスタMs2のゲートgは、第2選択信号XEを受信するよう構成される。第2選択信号XEは、第1選択信号Eの逆位相信号である。
【0095】
この場合に、
図3及び
図10に夫々示されるシーケンス図を参照して、各フェーズでの
図2a及び
図9bに示されるピクセル回路内の第1リセットトランジスタM1のドレイン電圧Vd1及びソース-ドレイン電圧Vsd1並びに第2リセットトランジスタM7のドレイン電圧Vd7は、表1に示されるように取得される。
【表1】
表1から、第1フェーズ(1)、つまり、リセットフェーズで、第1リセットトランジスタM1はオンであり、第1リセットトランジスタM1のドレイン電圧Vd1は、Vd1=Vint=Vint2=-4を満足する、ことが分かる。この場合に、第1リセットトランジスタM1の抵抗の影響下で、第1リセットトランジスタM1のソースsの電圧Vs1は、-4Vよりも小さい。例えば、Vs1は-3.9Vであってよい。この場合に、第1リセットトランジスタM1のソース-ドレイン電圧Vsd1は、Vsd1=Vs1-Vd1=-3.9-(-4)=0.1Vを満足する。
【0096】
その上、
図9bに示されるように、ピクセル回路201は、第2リセットトランジスタM7を更に含む。第2リセットトランジスタM7のゲートg及び第1リセットトランジスタM1のゲートは結合されており、両方とも、選択信号N-1を受信するよう構成される。従って、
図3に示される第1フェーズ(1)で、選択信号N-1がアクティブ信号であるとき、第1リセットトランジスタM1及び第2リセットトランジスタM7は両方ともオンされ得る。
【0097】
これに基づき、第2リセットトランジスタM7の第1ノード、例えば、ソースsは、OLEDのアノードaへ結合される。その上、N行目(例えば、N=1)のサブピクセル20のピクセル回路201内の第2リセットトランジスタM7の第2ノード、例えば、ドレインdは、N本目(例えば、N=1)の第1初期電圧ラインS1へ結合される。
【0098】
従って、第1フェーズ(1)で、第1リセットトランジスタM1及び第2リセットトランジスタM7はオンされ、第1初期電圧ラインS1は、より大きい値を有する第2初期電圧Vint2を、第1リセットトランジスタM1を通って駆動トランジスタM4のゲートgへ伝送し、かつ、第2初期電圧Vint2を、第2リセットトランジスタM7を通ってOLEDのアノードaへ伝送する。従って、駆動トランジスタM4のゲートg及びOLEDのアノードaは、第1リセットトランジスタM1及び第2リセットトランジスタM7を夫々使用することによってリセットされ得る。
【0099】
第2フェーズ(2)、つまり、データ電圧書き込みフェーズで、第1リセットトランジスタM1はオフであり、第1リセットトランジスタM1のドレイン電圧Vd1は、Vd1=Vint=Vint2=-4Vを満足する。この場合に、上記の記載から、ピクセル回路201内のトランジスタM3はオンである、ことが分かる。従って、第1リセットトランジスタM1のソース-ドレイン電圧Vsd1は、Vsd1=Vdata-|Vth_M4|-(-4)を満足する。
【0100】
その上、第3フェーズ、つまり、発光フェーズで、第1リセットトランジスタM1はオフである。
図2aに示される解決法と比べて、
図9bに示される解決法が使用される場合に、第1リセットトランジスタM1のドレイン電圧Vd1及び第2リセットトランジスタM7のドレイン電圧Vd7は、Vd1=Vd7=Vint1=1Vを満足する。従って、第1リセットトランジスタM1のソース-ドレイン電圧Vsd1は、Vsd1=Vdata-|Vth_M4|-1<Vdata-|Vth_M4|-(-4)を満足する。
【0101】
これを考慮して、OLEDが光を放射する場合に、第1リセットトランジスタM1のソース-ドレイン電圧Vsd1は、第1リセットトランジスタM1の漏れ電流Ioff_M1を低減させるよう下げられ得る。従って、高リフレッシュレート、例えば、60Hzが低リフレッシュレート、例えば、30Hzへ切り替えられる場合に、漏れ電流に起因した発光フェーズでの駆動トランジスタM4のゲート電圧Vsg4の比較的に大きい電圧降下は低減され得、それにより、30Hzで表示されるサブピクセル20の発光輝度は、60Hzで表示されるサブピクセル20のそれに近い。従って、リフレッシュレートが変更される場合に、表示輝度の突然の増大の可能性は小さくなり、それにより、ヒトの目は輝度の変化を敏感に捕らえることができず、表示ちらつき現象の発生確率は下がる。
【0102】
上記の説明は、Vint1=1Vである例を使用することによって与えられている、ことが留意されるべきである。上記の記載から、Vint1は、0Vから2Vの範囲内で選択され得る、ことが分かる。
【0103】
その上、上記の説明は、サブピクセル20のピクセル回路201内の第1リセットトランジスタM1、第2リセットトランジスタM7、及び駆動トランジスタM4がPチャネル金属酸化膜半導体(positive channel metal oxide semiconductor,PMOS)電界効果トランジスタである例を使用することによって、与えられている。この場合に、トランジスタの第1ノードはソースsであり、第2ノードはドレインdである。その上、トランジスタのゲートgがローレベルを受けるとき、トランジスタはオン状態にある。トランジスタのゲートgがハイレベルを受けるとき、トランジスタはオフ状態にある。
【0104】
本願のその他の実施形態において、例えば、
図9cに示されるように、ピクセル回路201内の第1リセットトランジスタM1、第2リセットトランジスタM7、及び駆動トランジスタM4は、Nチャネル金属酸化膜半導体(negative channel metal oxide semiconductor,NMOS)電界効果トランジスタであってもよい。この場合に、トランジスタの第1ノードはドレインdであり、第2ノードはソースsである。その上、トランジスタのゲートgがハイレベルを受けるとき、トランジスタはオン状態にある。トランジスタのゲートgがローレベルを受けるとき、トランジスタはオフ状態にある。
【0105】
この例で、第1リセットトランジスタM1及び第2リセットトランジスタM7がNチャネルトランジスタである場合に、第1初期電圧Vint1及び第2初期電圧Vint2をセットする方法は同様であり得る。例えば、第1フェーズ(1)及び第2フェーズ(2)での第1リセットトランジスタM1のソース電圧Vs1及び第2リセットトランジスタM7のソース電圧Vs7はVint2であってよく、Vint2=-4Vである。第3フェーズ(3)での第1リセットトランジスタM1のソース電圧Vs1及び第2リセットトランジスタM7のソース電圧Vs7はVint1であってよく、Vint1=1Vである。
【0106】
この例では、記載を簡単にするために、第1リセットトランジスタM1、第2リセットトランジスタM7、及び駆動トランジスタM4がPチャネルトランジスタである例が、以下説明のために使用される。
【0107】
本願のいくつかの実施形態において、行ごとにサブピクセル20内の第1リセットトランジスタM1のドレインdへ第1初期電圧Vint1及び第2初期電圧Vint2を出力するよう、ドライバグループ30は、
図11に示されるM個の位相インバータ302及びM個のカスケード接続されたシフトレジスタ(sift register,SR)を更に含む。
【0108】
N番目(例えば、N=1)のSRの出力Opは、N番目(例えば、N=1)の位相インバータ302の入力及びN番目(例えば、N=1)の選択回路301内の第1選択トランジスタMs1のゲートgへ結合される。SRの出力Opは、第1選択信号Eを出力するよう構成される。
【0109】
N番目の位相インバータ302の出力は、N番目の選択回路301内の第2選択トランジスタMs2のゲートgへ結合される。位相インバータ302の出力は、第2選択信号XEを出力するよう構成される。
【0110】
この場合に、複数のSRが、例えば、
図11に示されるように、連続してカスケード接続される場合に、1段目のシフトレジスタ、つまり、SR1の信号出力(Output、略してOp)は、2段目のシフトレジスタ、つまり、SR2の信号入力(Input、略してIp)へ結合される。SR2はSR1に隣接している。SR2の信号出力は、3段目のシフトレジスタ、つまり、SR3の信号入力Ipへ結合される。SR3はSR2に隣接している。その上、残りのSRのカスケード接続様式は、上述されたのと同じである。
【0111】
SR1の信号入力Ipは、開始信号(start vertical frame signal、略してSTV)を受信するよう構成される。本願のいくつかの実施形態において、STVがハイレベル(High voltage)を有する場合に、開始信号STVはアクティブ信号であり、SR1は動作し始める。STVがローレベル(low voltage)を有する場合に、開始信号STVは非アクティブ信号であり、この場合に、SR1は動作しない。
【0112】
これを考慮して、ピクセル回路201が第1フェーズ(1)及び第2フェーズ(2)にある場合に、SR1は非アクティブ信号、例えば、ハイレベルを出力する。この場合に、第1選択トランジスタMs1はオフである。その上、ハイレベルが位相インバータ302の位相反転動作を受けた後、1番目の選択回路301内の第2選択トランジスタMs2のゲートは、アクティブな第2選択信号XEを受信する。第2選択トランジスタMs2はオンされる。
【0113】
ディスプレイ駆動回路40の第2信号端子O2によって出力された第2初期電圧Vint2は、第2選択トランジスタMs2を通って1行目にある各サブピクセル20の第1リセットトランジスタM1のドレインdへ伝送される。従って、表1に示されるように、第1リセットトランジスタM1のソース-ドレイン電圧Vsd1は、第1フェーズ(1)で0.1Vになり、Vsd1=Vdata-|Vth_M4|-(-4)を満足し得る。
【0114】
ピクセル回路201が第3フェーズ(3)にある場合に、SR1はアクティブ信号、例えば、ローレベルを出力する。この場合に、1番目の選択回路301内の第1選択トランジスタMs1はオンされる。SR1によって出力された信号が位相インバータ302の位相反転動作を受けた後、第2選択トランジスタMs2はカットオフされる。
【0115】
ディスプレイ駆動回路40の第1信号端子O1によって出力された第1初期電圧Vint1は、第1選択トランジスタMs1を通って1行目にある各サブピクセルの第1リセットトランジスタM1のドレインdへ伝送される。従って、表1に示されるように、第3フェーズ(3)での第1リセットトランジスタM1のソース-ドレイン電圧Vsd1は、Vsd1=Vdata-|Vth_M4|-1を満足し得る。
【0116】
その上、SR1がアクティブ信号を出力する場合に、アクティブ信号は更に、SR1とカスケード接続されているSR2の信号入力Ipへ伝送され得る。従って、SR2内の回路構造を設定することによって、1行目のサブピクセルが光を放射した後、SR2は、2番目の選択回路301内の第2選択トランジスタMs2及び第1選択トランジスタMs1をオンされるように制御し、それにより、2行目のサブピクセル20が光を放射する。従って、複数のカスケード接続されたSRを使用することによって、連続して配置されているサブピクセル20の複数の行は、サブピクセル20が行ごとに光を放射するように、行ごとに走査され得る。
【0117】
図11では、複数の位相インバータ302及び複数のカスケード接続されたSRは、表示エリア100の左側にしか示されていない、ことが留意されるべきである。上記の記載から、選択回路301が、選択回路301内の第1選択トランジスタMs1及び第2選択トランジスタMs2をオン及びカットオフされるように制御するよう、表示エリア100の右側にも配置される場合に、複数の位相インバータ302及び複数のカスケード接続されたSRも表示エリア100の右側に配置され得る、ことが分かる。配置様式は、上述されたのと同じである。詳細は、ここで再び記載されない。
【0118】
上記の記載から、ピクセル回路201が
図11に示される第1発光制御トランジスタM6及び第2発光制御トランジスタM5を含む場合に、第1発光制御トランジスタM6及び第2発光制御トランジスタM5のゲートgは両方とも、発光制御信号EMを受信するよう構成される、ことが分かる。従って、第3フェーズ(3)で、第1発光制御トランジスタM6及び第2発光制御トランジスタM5はオンされ、それにより、第1電圧ELVDDと第2電圧ELVSSとの間の電流経路はオンされ、駆動トランジスタM4によって供給される駆動電流は、OLEDを発光させるようOLEDを流れることができる。
【0119】
上記の説明から、選択回路301内の第1選択トランジスタMs1も、第3フェーズ(3)でオンされる必要がある、ことが分かる。従って、
図11に示されるように、非表示エリア101に位置している駆動回路の構造を簡単にするよう、SRの出力Opが、第1発光制御トランジスタM6及び第2発光制御トランジスタM5のゲートgへ更に結合される。
【0120】
従って、ピクセル回路201が第3フェーズ(3)にある場合に、SRの出力Opは、第1発光制御トランジスタM6及び第2発光制御トランジスタM5のゲートgへ発光制御信号EMを供給することだけではなく、選択回路301内の第1選択トランジスタMs1のゲートgへ第1選択信号Eを供給することもでき、それにより、ディスプレイ駆動回路40の第1信号端子O1によって出力された第1初期電圧Vint1は、第1選択トランジスタMs1を通って1行目にある各サブピクセルの第1リセットトランジスタM1のドレインdへ伝送される。
【実施例2】
【0121】
この例では、
図12aに示されるように、ディスプレイ10は、M本の第1初期電圧ラインS1及びM本の第2初期電圧ラインS2を含む。選択回路301は、第1選択トランジスタMs1及び第2選択トランジスタMs2を含む。
【0122】
第1選択トランジスタMs1、第2選択トランジスタMs2、及び第1初期電圧ラインS1の接続要素、並びにサブピクセル20の各行のピクセル回路内の第1リセットトランジスタM1及び第1初期電圧ラインS1の結合様式は、実施例1でのそれらと同じである。詳細は、ここで再び記載されない。
【0123】
選択回路301内の第1選択トランジスタMs1のゲートgへ第1選択信号Eを供給し、第2選択トランジスタMs2のゲートgへ第2選択信号XEを供給するよう、実施例1と同じように、M個の位相インバータ302及びM個のカスケード接続されたSRが非表示エリアに配置され得る、ことが留意されるべきである。SR及び位相インバータ302の接続様式は、上述されたのと同じである。詳細は、ここで再び記載されない。
【0124】
その上、
図12bに示されるように、ピクセル回路201は、第2リセットトランジスタM7を更に含む。実施例1と同様に、第2リセットトランジスタM7のゲートgは、第1リセットトランジスタM1のゲートgへ結合される。第2リセットトランジスタM7の第1ノード、例えば、ソースsは、OLEDのアノードaへ結合される。
【0125】
実施例1との相違は、N行目(例えば、N=1)のサブピクセル20のピクセル回路201内の第2リセットトランジスタM7の第2ノード、例えば、ドレインdがN本目(例えば、N=1)の第2初期電圧ラインS2へ結合される点にある。
【0126】
ディスプレイ駆動回路40が第1信号端子O1及び第2信号端子O2を備える場合に、第2初期電圧ラインS2は第2信号端子O2へ結合され、第2信号端子O2によって出力された第2初期電圧Vint2を受けるよう構成される。
【0127】
この場合に、
図3及び
図13に夫々示されるシーケンス図を参照して、各フェーズでの
図2a及び
図12bに示されるピクセル回路内の第1リセットトランジスタM1のドレイン電圧Vd1及びソース-ドレイン電圧Vsd1並びに第2リセットトランジスタM7のドレイン電圧Vd7は、表2に示されるように取得される。
【表2】
表2から、第1フェーズ(1)、つまり、リセットフェーズで
、1段目のSRは、選択回路
301内の第1選択トランジスタMs1をカットオフされるようにかつ第2選択トランジスタMs2をオンされるように制御して、ディスプレイ駆動回路40の第2信号端子O2によって供給された第2初期電圧Vint2を、第1初期電圧ラインS1を通って第1リセットトランジスタM1の第2ノード、例えば、ドレインdへ伝送し得る、ことが分かる。第1リセットトランジスタM1のドレイン電圧Vd1は、Vd1=Vint=Vint2=-4Vを満足する。
【0128】
第1リセットトランジスタM1はオンされる。第1リセットトランジスタM1の抵抗の影響下で、第1リセットトランジスタM1のソースsの電圧Vs1は、-4Vよりも小さい。例えば、Vs1は-3.9Vであってよい。この場合に、第1リセットトランジスタM1のソース-ドレイン電圧Vsd1は、Vsd1=Vs1-Vd1=-3.9-(-4)=0.1Vを満足する。
【0129】
その上、第2初期電圧ラインS2は、ディスプレイ駆動回路40の第2信号端子O2によって供給された第2初期電圧Vint2を、第2リセットトランジスタM7の第2ノード、例えば、ドレインdへ伝送する。第2リセットトランジスタM7のドレイン電圧Vd7は、Vd7=Vint=Vint2=-4Vを満足する。
【0130】
第2フェーズ(2)、つまり、データ電圧書き込みフェーズで、第1リセットトランジスタM1はオフであり、第1リセットトランジスタM1のドレイン電圧Vd1は、Vd1=Vint=Vint2=-4Vを満足する。この場合に、上記の記載から、ピクセル回路201内のトランジスタM3はオンである、ことが分かる。従って、第1リセットトランジスタM1のソース-ドレイン電圧Vsd1は、Vsd1=Vdata-|Vth_M4|-(-4)を満足する。
【0131】
その上、第2リセットトランジスタM7もこのフェーズではオフ状態にあるので、第2リセットトランジスタM7のドレイン電圧Vd7は、Vd7=Vint=Vint2=-4Vを満足する。
【0132】
第3フェーズ、つまり、発光フェーズで、第1リセットトランジスタM1はオフである。
図2aに示される解決法と比べて、
図12bに示される解決法が使用される場合に、第1リセットトランジスタM1のドレイン電圧Vd1は、Vd1=Vint1=1Vを満足する。従って、第1リセットトランジスタM1のソース-ドレイン電圧Vsd1は、Vsd1=Vdata-|Vth_M4|-1<Vdata-|Vth_M4|-(-4)を満足する。従って、OLEDが光を放射する場合に、第1リセットトランジスタM1のソース-ドレイン電圧Vsd1は、第1リセットトランジスタM1の漏れ電流I
off_M1を低減させるよう下げられ得る。
【0133】
従って、低リフレッシュレート、例えば、30Hzが表示のために使用される場合に、駆動トランジスタM4のゲート電圧Vg4が漏れ電流に起因して発光フェーズで比較的に大きい電圧降下を受けることで表示ちらつき現象が起きる確率は下げることができ、それにより、30Hzで表示されるサブピクセル20の発光輝度は、60Hzで表示されるサブピクセル20のそれに近い。
【0134】
その上、第2リセットトランジスタM7の第2ノード、例えば、ドレインdは、第2初期電圧ラインS2へ結合されるので、第2リセットトランジスタM7のドレイン電圧Vd7は、Vd7=Vint=Vint2=-4Vを満足する。この場合に、実施例1と比較して、この例では、第3フェーズ(3)で、第2リセットトランジスタM7のドレイン電圧Vd7は-4Vに等しく、実施例1での1Vよりも小さい。
【0135】
これは、サブピクセルが黒画像として表示される場合に、第2リセットトランジスタM7のドレインdの電圧が第3フェーズ(3)で増大し、第2リセットトランジスタM7の漏れ電流がOLEDに流れるためにOLEDの発光により光漏れ現象が起きる確率を下げることができる。
【0136】
この例では、上記の説明は、サブピクセル20のピクセル回路201内の第1リセットトランジスタM1、第2リセットトランジスタM7、及び駆動トランジスタM4がPチャネルトランジスタである例を使用することによって与えられている、ことが留意されるべきである。
【0137】
本願のその他の実施形態においては、例えば、
図12cに示されるように、ピクセル回路201内の第1リセットトランジスタM1、第2リセットトランジスタM7、及び駆動トランジスタM4は、Nチャネルトランジスタである。この場合に、第1リセットトランジスタM1及び第2リセットトランジスタM7がNチャネルトランジスタである場合に、第1初期電圧Vint1及び第2初期電圧Vint2をセットする方法は同様であり得る。例えば、第1フェーズ(1)及び第2フェーズ(2)での第1リセットトランジスタM1のソース電圧Vs1はVint2であってよく、Vint=-4Vであり、第3フェーズ(3)での第1リセットトランジスタm1のソース電圧Vs1はVint1であってよく、Vint1=1Vである。第1フェーズ(1)、第2フェーズ(2)、及び第3フェーズ(3)での第2リセットトランジスタM7のソース電圧Vs1はVint2であってよく、Vint2=-4Vである。
【0138】
本願のいくつかの実施形態は、ディスプレイモジュールの制御方法を更に提供する。ディスプレイモジュールは、
図14に示されるディスプレイ10及びディスプレイ駆動回路40を含む。ディスプレイ10は、マトリクス状に配置されたM行のサブピクセル20を含む。M≧2であり、Mは正の整数である。
【0139】
各サブピクセル20のピクセル回路201は、駆動トランジスタM4、第1リセットトランジスタM1、第1キャパシタCst、及び発光デバイスLを含む。第1リセットトランジスタM1の第1ノード、例えば、ソース(source,s)は、駆動トランジスタM4のゲート(gate,g)及び第1キャパシタCstの第1端子へ結合される。第1キャパシタCstの第2端子は、第1電圧入力(第1電圧ELVDDを出力するよう構成される)へ結合される。
【0140】
上記の記載から、駆動トランジスタM4の第1ノード、例えば、ソースsは、発光フェーズで第1電圧入力へ結合され、それにより、第1電圧入力によって出力された第1電圧ELVDDが受け取られ得る、ことが分かる。駆動トランジスタM4の第1ノード、例えば、ソースsは、データ電圧出力ポートVOによって出力されたデータ電圧Vdataを受けるよう、データ電圧書き込みフェーズでDDICのデータ電圧出力ポートVOへ結合される。駆動トランジスタM4の第2ノード、例えば、ドレイン(drain、略してd)は、発光デバイスLへ結合される。
【0141】
これを考慮して、
図15に示されるように、ディスプレイモジュールの制御方法は、S101及びS102を含む。
【0142】
S101.M行のサブピクセル20を、第1リフレッシュレート、例えば、60Hzで行ごとに表示されるように制御する。M行のサブピクセル20の中のN行目のサブピクセル20が表示されるように制御される場合に、リセットフェーズ(
図3の第1フェーズ(1))、データ電圧書き込みフェーズ(
図3の第2フェーズ(2))、及び発光フェーズ(
図3の第3フェーズ(3))で、第2初期電圧Vint2が、
図14に示される第1信号端子O1を使用することによって、N行目のサブピクセル20のピクセル回路201内の第1リセットトランジスタM1の第2ノード、例えば、ドレインdへ出力される。例えば、第2初期電圧Vint2は-4Vであってよい。
【0143】
S102.M行のサブピクセル20を、第2リフレッシュレート、例えば、30Hzで行ごとに表示されるように制御する。第2リフレッシュレートは第1リフレッシュレートよりも小さい。M行のサブピクセル20の中のN行目のサブピクセル20が表示されるように制御される場合に、リセットフェーズ(
図3の第1フェーズ(1))、データ電圧書き込みフェーズ(
図3の第2フェーズ(2))、及び発光フェーズ(
図3の第3フェーズ(3))で、第1初期電圧Vint1が、
図14に示される第1信号端子O1を使用することによって、N行目のサブピクセル20のピクセル回路
201内の第1リセットトランジスタ
M1の第2ノード、例えば、ドレインdへ出力される。|Vint2|>|Vint1|である。
【0144】
例えば、前の画像フレームの残留電圧をクリアするようリセットフェーズで第1初期電圧Vint1が駆動トランジスタM4のゲートgを有効にリセットすることを可能にするために、負の値を有する電圧、例えば、-3V又は-2Vが第1初期電圧Vint1として選択され得る。
【0145】
これを考慮して、高リフレッシュレート、例えば、60Hzが低リフレッシュレート、例えば、30Hzへ切り替えられる場合に、絶対値が第2初期電圧Vint2のそれよりも大きい第1初期電圧Vint1が第1リセットトランジスタM1の第2ノードへ供給され、それにより、第1リセットトランジスタM1のソース-ドレイン電圧Vsd1は、第1リセットトランジスタM1の漏れ電流Ioff_M1を低減させるよう下げられ得る。従って、漏れ電流に起因した発光フェーズでの駆動トランジスタM4のゲート電圧Vg4の比較的に大きい電圧降下は小さくされ得、それにより、30Hzで表示されるサブピクセル20の発光輝度は、60Hzで表示されるサブピクセル20のそれに近い。従って、リフレッシュレートが変更される場合に、表示輝度の突然の増大の確率は下がり、それにより、ヒトの目は輝度の変化を敏感に捕らえることができず、表示ちらつき現象の発生確率は下がる。
【0146】
この場合に、S101及びS102を実装するよう、本願のいくつかの実施形態はディスプレイ駆動回路を提供する。ディスプレイ駆動回路はディスプレイ10へ結合され、S101及びS102を実行するよう構成され得る。ディスプレイ駆動回路は、上記の実施形態で提供されるディスプレイモジュールの制御方法によって達成されるのと同じ技術的効果を達成する。詳細は、ここで再び記載されない。
【0147】
代替的に、本願のその他の実施形態においては、電子デバイスは、ディスプレイ10と、ディスプレイ10へ結合されたディスプレイ駆動回路40を含み得る。
【0148】
ディスプレイ駆動回路40は、S101で次の、M行のサブピクセル20を、第1リフレッシュレート、例えば、60Hzで行ごとに表示されるように制御する、ステップを実行するよう構成される。
【0149】
ディスプレイ駆動回路40は、S101で次の、M行のサブピクセル20の中のN行目のサブピクセルが表示されるように制御される場合に、リセットフェーズ(
図3の第1フェーズ(1))、データ電圧書き込みフェーズ(
図3の第2フェーズ(2))、及び発光フェーズ(
図3の第3フェーズ(3))で、
図14に示される第1信号端子O1を使用することによって、N行目のサブピクセル20のピクセル回路201内の第1リセットトランジスタM1の第2ノード、例えば、ドレインdへ第2初期電圧Vint2を出力する、ステップを実行するよう構成される。例えば、第2初期電圧Vint2は-4Vであってよい。
【0150】
その上、ディスプレイ駆動回路40は、S102で次の、M行のサブピクセル20を、第2リフレッシュレート、例えば、30Hzで行ごとに表示されるように制御する、ステップを実行するよう更に構成される。
【0151】
ディスプレイ駆動回路40は、S102で次の、M行のサブピクセル20の中のN行目のサブピクセル20が表示されるように制御される場合に、リセットフェーズ(
図3の第1フェーズ(1))、データ電圧書き込みフェーズ(
図3の第2フェーズ(2))、及び発光フェーズ(
図3の第3フェーズ(3))で、
図14に示される第1信号端子O1を使用することによって、N行目のサブピクセル20のピクセル回路
201内の第1リセットトランジスタ
M1の第2ノード、例えば、ドレインdへ第1初期電圧Vint1を出力する、ステップを実行するよう更に構成される。電子デバイスは、上記の実施形態で提供されるディスプレイモジュールの制御方法によって達成されるのと同じ技術的効果を達成する。詳細は、ここで再び記載されない。
【0152】
その上、本願の実施形態は、コンピュータ可読媒体を提供する。コンピュータ可読媒体は、コンピュータプログラムを記憶する。コンピュータプログラムがプロセッサによって実行される場合に、上記の方法が実装される。
【0153】
コンピュータ可読媒体は、リード・オンリー・メモリ(read-only memory,ROM)、静的な情報及び命令を記憶することができる他のタイプの静的記憶デバイス、ランダム・アクセス・メモリ(random access memory,RAM)、又は情報及び命令を記憶することができる他のタイプの動的記憶デバイスであってよく、あるいは、電気的消去可能なプログラム可能リード・オンリー・メモリ(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory,EEPROM)、又は期待されたプログラムコードを命令若しくはデータ構造の形で搬送又は記憶するよう構成可能であり、コンピュータによってアクセス可能であるあらゆる他の媒体であってよい。しかし、これは、ここでの限定を構成しない。メモリは、独立して存在してもよく、通信バスを使用することによってプロセッサへ接続される。代替的に、メモリは、プロセッサと一体化されてもよい。
【0154】
上記の実施形態の全部又は一部は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせによって実装されてもよい。ソフトウェアプログラムが実施形態を実装するために使用される場合に、実施形態の一部又は全部は、コンピュータプログラム製品の形で実装され得る。コンピュータプログラム製品は、1つ以上のコンピュータ命令を含む。コンピュータ実行可能命令がコンピュータでロード及び実行される場合に、本願の実施形態に従うプロセス又は機能の全部又は一部が生成される。コンピュータは、汎用のコンピュータ、専用のコンピュータ、コンピュータネットワーク、又は他のプログラム可能な装置であってよい。コンピュータ命令は、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されてよく、あるいは、コンピュータ可読記憶媒体から他のコンピュータ可読記憶媒体へ伝送されてもよい。
【0155】
上記の説明は、本願の具体的な実施にすぎず、本願の保護範囲を限定する意図はない。本願で開示されている技術的範囲内の如何なる変形又は置換も、本願の保護範囲内に入るべきである。従って、本願の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に従うべきである。
【0156】
本願は、2019年7月31日付けで中国国家知識産権局に出願された、発明の名称が「DISPLAY, AND ELCTRONIC DEVICE AND CONTROL METHOD THEREFOF」である中国特許出願第201910704186.1号と、2019年9月25日付けで中国国家知識産権局に出願された、発明の名称が「DISPLAY MODULE AND CONTROL METHOD THEREOF, DISPLA DRIVE CIRCUIT, AND ELECTRONIC DEVICE」である中国特許出願第201910923433.7号とに対する優先権を主張するものであり、これらの出願は、それらの全文を参照により本願に援用される。
【符号の説明】
【0157】
01 電子デバイス
10 ディスプレイ
11 ミドルフレーム
12 筐体
20 サブピクセル
201 ピクセル回路
100 AAエリア
101 非ディスプレイエリア
30 ドライバグループ
301 選択回路
302 位相インバータ
40 ディスプレイ駆動回路