(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】TIPSステントグラフトおよびキット
(51)【国際特許分類】
A61F 2/88 20060101AFI20240202BHJP
【FI】
A61F2/88
(21)【出願番号】P 2022524930
(86)(22)【出願日】2019-10-30
(86)【国際出願番号】 EP2019079638
(87)【国際公開番号】W WO2021083505
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】510294003
【氏名又は名称】アンジオメト・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニー・メディツィンテクニク・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】シャーマー,チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】ラストビチ,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ジックウルフ,セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ブライヤー,ピーア・ウーテ
【審査官】竹下 晋司
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-501050(JP,A)
【文献】米国特許第06120534(US,A)
【文献】特表2009-529992(JP,A)
【文献】特表平07-509152(JP,A)
【文献】特表2005-503881(JP,A)
【文献】特開2002-045433(JP,A)
【文献】米国特許第06077298(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0142907(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/88
A61F 2/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
TIPSステントグラフトであって、
内部を通って延在する管腔を有する管状構成要素を備え、
前記管状構成要素が、バルーン拡張可能な中央部分と、第1の自己拡張部分および第2の自己拡張部分とを含み、前記第1の自己拡張部分および前記第2の自己拡張部分が、前記中央部分を挟み、前記管腔が、前記第1の部分、前記中央部分、および前記第2の部分を通って延在し、
前記ステントグラフトが、前記中央部分
の内径を選択的に
減少させることができるように配置されて
おり、
さらに、前記中央部分を選択的に収縮させるための収縮手段(120)を備え、
前記収縮手段が、前記中央部分(114)の周りに巻かれたカラーであり、前記カラーが、その内径を選択的に減少させて前記中央部分を収縮させるように配置されている、TIPSステントグラフト。
【請求項2】
前記中央部分が、体温を超える転移温度を有する形状記憶合金を含み、前記中央部分が、前記転移温度を超えて加熱されたときに、拡張状態の前記第1および第2の部分よりも収縮する構成をとるように構成されている、請求項1に記載のステントグラフト。
【請求項3】
前記カラーが、熱を加えられると、その内径を選択的に減少させるように構成されている、請求項
1または2に記載のステントグラフト。
【請求項4】
前記カラーが、金属を含む、請求項
1から3のいずれか一項に記載のステントグラフト。
【請求項5】
前記カラーが、電気エネルギーの印加時に熱くなってその内径を減少させるように構成されており、前記ステントグラフトが、前記カラーに電気を供給するための電極をさらに含む、請求項
1から4のいずれか一項に記載のステントグラフト。
【請求項6】
前記電極が、前記ステントグラフトの内側に形成されている、請求項
5に記載のステントグラフト。
【請求項7】
前記電極が、第1の電極および第2の電極を含み、前記第1の電極(122)が、前記第1の自己拡張部分(112)に設けられており、前記第2の電極(124)が、前記第2の自己拡張部分(114)に設けられている、請求項
6に記載のステントグラフト。
【請求項8】
前記カラーが、シリンダ(220)として形成されている、請求項
1から7のいずれか一項に記載のステントグラフト。
【請求項9】
前記カラーが、コイル(120)として形成されている、請求項
1から8のいずれか一項に記載のステントグラフト。
【請求項10】
前記カラーが、形状記憶合金を含む、請求項1から
9のいずれか一項に記載のステントグラフト。
【請求項11】
前記形状記憶合金が、前記第1の部分および前記第2の部分よりも高い転移温度を有する、請求項
10に記載のステントグラフト。
【請求項12】
請求項
5から7のいずれか一項に記載のステントグラフトと、前記ステントグラフトの前記電極にエネルギーを供給するように構成された電極を含むカテーテルと、を備えるキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経頸静脈肝内門脈体循環シャント(TIPS:transjugular intrahepatic portosystemic shunts)として使用するためのステントグラフト、およびTIPSステントグラフトを備えるキットに関する。
【背景技術】
【0002】
門脈圧亢進症は、消化器官の静脈血管系の圧力の上昇であり、静脈血管系は、静脈血を肝臓から、最終的には心臓に戻すが、肝臓の病的状態(肝硬変など)のために閉塞する。
経頸静脈肝内門脈体循環シャント(TIPS)は、門脈圧亢進症とその合併症に対処するために使用される。TIPSステントグラフトでできているシャント、つまりカバー付きステントは、静脈血を門脈から肝静脈に別ルートで送って、肝臓全体の圧力勾配を低減する。ただし、TIPS留置後、患者の20%から30%は、シャントを介して肝臓を迂回する過度に高い静脈血流のために肝性脳症を患う。これは、大量の血液が肝臓を迂回するために、濾過される血液の割合が少なくなり、濾過されていない大量の血液と有毒分子が脳に入るためである。このように引き起こされた肝性脳症は、人格の変化、知的障害、および意識レベルの低下を特徴とする神経精神異常を伴う。
【0003】
さらに、患者の生存率は低い。肝性脳症の発生は入院につながり、約42%の1年生存率、23%の3年生存率と関連する。肝性脳症はTIPSを通る血流が過度に高いことによって引き起こされることを考えると、配置後に直径を小さくすることができるTIPSの必要性が存在する。
【0004】
一方、十分な血液が肝臓を迂回せず、門脈圧亢進症が適切に治療されていない場合は、配置後にTIPSシャントの直径を大きくする必要があることもある。
市販のTIPSステントグラフトは、初期直径約8mmから直径約10mmに調整して、配置時の門脈圧を最適化することができる。ただし、すべてのデバイスが配置後に直径を調整できるわけではなく、特に直径を制限することはできない。
【0005】
したがって、配置後に直径を大きくすることができ、肝性脳症を治療または回避することができるTIPSステントグラフトを提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の考察を考慮して実施され、前述の問題を解決することを目的としている。
本発明は、請求項1に記載のTIPSステントグラフトおよび請求項14に記載のキットによって定義される。好ましい実施形態は、従属請求項に定義されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、TIPSステントグラフトに関する。このようなステントグラフトは、カバー付きステントであり、通常、患者の門脈内に固定するために、一方の長手方向端部においてステントグラフトの下にあるベアステントによって形成されたカバーされていない端部を有する。
【0008】
TIPSステントグラフトは、内部を通って延在する管腔を有する管状構成要素を含む。この管腔により、血液がTIPSステントグラフトの一方の長手方向端部からそれぞれの他方の長手方向端部に流れることが可能になる。
【0009】
上記の管状構成要素は、バルーン拡張可能な中央部分と、第1の自己拡張部分および第2の自己拡張部分とを含む。第1の自己拡張部分および第2の自己拡張部分は、中央部分を挟む-すなわち、ステントグラフトの長手方向軸に沿って移動するとき、先ず自己拡張部分を有し、次にバルーン拡張可能部分を有し、次にそれぞれの他の自己拡張部分に到達する。自己拡張部分とは、この部分が、患者の血液に曝されると、体温(すなわち、約37℃)に順応し、したがって、例えば、膨らんだバルーンによって強制的に拡張される必要なしに拡張することを意味する。これとは対照的に、バルーン拡張可能な中央部分にはその機能がなく、体温に順応しただけでは拡張構成にならない。中央部分を膨らませるバルーンとして、経皮経管血管形成術(PTA:percutaneous transluminal angioplasty)バルーンが検討されている。
【0010】
ステントグラフトは、その中央部分を制限することにより、その断面直径を選択的かつ可逆的に減少させるように配置されている。すなわち、中央部分の直径を選択的に狭くする手段が提供されている。すなわち、ステントグラフトは、中央部分を制限するために使用することができる手段を含み、それにより、血流に利用可能なステントグラフトの断面積を減少させる。したがって、本発明によるステントグラフトは、その断面積を制限することによって肝性脳症を回避または治療することができる。これにより、TIPSステントグラフトを流れる血液の量が減少し、肝臓を流れる血液の量が増加する。その血液は肝臓で濾過されるため、濾過されていない血液や脳に到達する有毒成分の量が減少し、肝性脳症が回避または改善される。
【0011】
本発明のTIPSステントグラフトを用いて、例えば、中央部分内にバルーンカテーテルを配置し、次に(バルーンカテーテルまたは他の何らかの手段を介して)ステントグラフトを拡張することによって、ステントグラフトの中央部分を拡張することが可能であることが好ましい。これにより、双方向の調整が可能になり(つまり、必要に応じて、TIPSステントグラフトを拡張および収縮でき)、このことは、ステントグラフト全体の差圧または流量を調整するために必要な頻度で実行され得る。
【0012】
このことは、中央部分が体温を超える転移温度を有する形状記憶合金を含む場合であって、中央部分が、転移温度を超えて加熱されたときに、拡張状態の第1および第2の部分よりも収縮した構成をとるように構成されている場合に好ましい。例えば、本発明のステントグラフトで使用するためのステントとして、中央部分が隣接部分よりも高い転移温度を有するステントを使用することができる。したがって、非常に単純な設計で、直径が双方向に調整可能なTIPSステントグラフトを提供することができる。TIPSステントグラフトは、中央部分が十分に高く加熱されると、より狭い構成になる。中央部分の転移温度は、中央部分をその温度に短時間加熱しても患者に傷害を引き起こさないようにすることが好ましい。現実的な温度は、好ましくは45℃以上であり、より好ましくは45℃から60℃の間である。短時間で約60℃の温度でも、患者の体に過度のストレスを与えることはない。カテーテル、例えばアブレーションカテーテルを中央部分に導入し、次にそのカテーテルを加熱することによって中央部分を加熱することが可能である。このような方法は、最も実用的で実装が容易であると思われる。
【0013】
代替的または追加的に、中央部分を収縮させるための別個の収縮手段があると好ましい。このような別個の手段を有することにより、収縮機能をステント自体に組み込む必要がないため、はるかに単純なステント設計を使用することができる。
【0014】
収縮手段が中央部分の周りに巻かれたカラーであると好ましい。カラーは、内径を選択的に減少させて中央部分を収縮させるように配置される。中央部分にカラーを巻くことにより、周囲の一部のみが制限されている状況と比較して、中央部分の全周にわたって収縮が発生する。これにより、収縮領域の不均一性が回避される。
【0015】
カラーは、熱を加えるとその内径を選択的に減少させるように構成されることが好ましい。例えば、誘導加熱を使用して(例えば、MRIデバイスを使用して)加熱したり、電流を流したりすることで、埋め込まれたステントグラフトに熱を加えることは比較的容易である。どちらの場合も、カラー内部の電流損失によりカラーが加熱され、中央部分が制限される。カラーが体温まで冷えると、収縮した構成のままになる。一時的な熱パルスの適用によって(例えば、ステントグラフトに導入された加熱されたカテーテルによって)カラーをアクティブにすることも可能である。このようなカラーは比較的容易に活性化され得る。
【0016】
カラーが金属を含むことも好ましい。電気を通したり、誘導加熱したりすることで、このような金属を加熱することは容易である。
また、カラーは、電気エネルギーの印加時に熱くなるように構成されて、その内径を減少させることが好ましい。つまり、カラーが作られている、またはカラーを構成している材料の抵抗のために、カラーは熱くなる。この加熱により、カラーが収縮し、ステントグラフトの断面積が減少する。電気エネルギーを供給するために、ステントグラフトは、カラーにエネルギーを供給するための2つ以上の電極を含む。このような電極を設けることにより、エネルギーの供給が比較的容易になる。
【0017】
上記の文脈において、電極はステントグラフトの内側に形成されることが好ましい。そのようなステントグラフトを用いて、ステントグラフトを埋め込んだ後、その外側に電極を有するカテーテルを導入し、それらの電極をステントグラフトの電極と接触させることができる。次に、カテーテルを介してステントグラフトにエネルギーを供給し、それによってステントグラフトを収縮させることができる。
【0018】
上記の文脈において、電極が第1および第2の電極を含むことがさらに好ましい。第1の電極は第1の自己拡張部分に設けられ、第2の電極は第2の自己拡張部分に設けられる。このような配置では、第1および第2の電極は、それらが中央部分によって分離されているので、互いに離間している。これにより、電極の間隔が狭くなる状況と比較して、カテーテルを電極に接触させることが容易になる。
【0019】
カラーはシリンダとして形成されていると好ましい。シリンダは、収縮時に均一で本質的に変化しない力を提供する。
代替の好ましい方法は、カラーとしてコイルを使用することである。このようなコイルは、中央部分に巻かれたワイヤで簡単に作れるため、容易に製造され得る。
【0020】
カラーが形状記憶合金を含むことも好ましい。このような形状記憶合金は、特定の転移温度を超えて加熱されると形状変化を起こし、その形状変化は、ステントグラフトの中央部分を収縮させるように選択され得る。このような形状記憶合金(ニチノールなど)の形状変化は、十分に特徴付けられている。したがって、結果として生じる直径の変化は非常に予測可能である。
【0021】
形状記憶合金は、第1および第2の部分(これらはまた、それらの自己拡張能力を達成するために、通常、形状記憶合金を含んで作られる)よりも高い転移温度を有することが好ましい。このようにして、ステントグラフトが体内に埋め込まれると、第1および第2の部分が自然に拡張し、したがって、ステントグラフトを体内に位置づける。ただし、カラーは転移温度が高いため、必ずしもそのような転移を起こすとは限らない。その点で、カラーの形状記憶合金の転移温度は、体温よりも高いが、その温度に短時間加熱されたときに体に重大な損傷を引き起こすほど高くないこと(例えば、45℃超または好ましくは45℃から60℃の間)が好ましい。ステントをその温度に加熱することにより、必要に応じてステントを収縮させることができるが、体内に埋め込むときに誤って収縮させることはない。
【0022】
本発明の別の態様は、ステントグラフトの外側から、例えば、患者の体の外部の電源から電極に電気エネルギーを供給するように配置されたカテーテルとともに、請求項7から9のいずれか一項に記載のTIPSステントグラフトを備えたキットである。このようにして、埋め込まれたステントグラフト内にカテーテルを配置し、それを収縮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の第1の実施形態によるTIPSステントグラフトを示す図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態によるTIPSステントグラフトを示す図である。
【
図3】使用構成における
図2のTIPSステントグラフトの拡大図である。
【
図4】第3の実施形態によるTIPSステントグラフトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の第1の実施形態によるTIPSステントグラフトの構成を概略的に示している。ステントグラフト10は、ベアニチノールで作られた第1の自己拡張部分12を含む。この部分12は、患者の門脈の内側に配置することができ、20℃より高い温度で、そのプログラムされた寸法になるように構成されている。
【0025】
中央部分14は、37℃より高い転移温度(例えば50℃)を有するePTFEで覆われたニチノール部分である。この部分は、体温で6mm以下のプログラムされた小さな呼び径を有する。その温度では、中央部分14で使用されるステントの材料は、(少なくとも大部分は)マルテンサイト状態にある。その構成では、恒久的に設定されることなく展性がある。この中央部分14が、その転移温度よりも高い温度に上げられると、中央部分14は元の小さな直径に戻る。
【0026】
第2の部分16は、20℃を超える温度、例えば体温において、プログラムされた寸法になるePTFEで覆われた自己拡張型ニチノール部分である。したがって、体温では、第2の部分16はより大きな直径に拡張する。
【0027】
TIPS処置のために作成された肝臓チャネルにステントグラフト10を配置するとき、第1の部分12および第2の部分16は、それらのプログラムされた全直径に拡張する。このことは、第1の自己拡張部分12の場合、ステントグラフトの位置を門脈に特定して固定するのに役立つ。部分16の場合、部分16がプログラムされた全直径に拡張することは、その部分に流れの制限がないことを確認するのに役立つが、潜在的には部分16の位置を特定して固定するのにも役立つ。
【0028】
次に、医師はバルーンを使用して、中央部分14をその意図された直径(通常は8~10mm)まで開く。これは、呼び径6mm以下よりも大きくなるだろう。肝臓組織がステントを崩壊させない限り、材料は損傷を受けることなくこの拡張された形状のままになる。その構成で圧力バランスが許容できる場合、それ以上の手順は必要ない。
【0029】
万一、医師が後にステントグラフト10を通る流れを減少させる必要がある場合(肝性脳炎または他の理由のために)でも、医師は中央部分14の温度を転移温度より高くするだけでよい。これは、カテーテルを介して加熱器を挿入することによって、ステントに電圧を印加することによって、または例えば、局所温度を例えば、短時間で50℃に上げるための誘導加熱などの他の任意の方法によって達成され得る。MRI装置またはステントグラフトを非侵襲的に加熱する何らかの他の方法を使用してこれを行うことも可能であり得る。
【0030】
ステントの温度が中央部分14の転移温度を超えて上昇すると、中央部分14の材料は、その事前にプログラムされた小さな直径にリセットされ、これにより、ステントグラフト10を通る流れが減少する。このようにして達成されたステントグラフト10の断面直径の初期設定が許容できる場合、それ以上の処置は必要ない。他方、医師が中央部分14をより大きな直径に再び開く必要がある場合、医師は、中央部分14を体温まで冷却させ、それをバルーンで所望の寸法に再拡張することによってこれを行うことができる。
【0031】
これにより、事実上、最初に直径9または10mmのステントグラフトを配置できるようになる。ステントが大きすぎる場合は、6mm以下にリセットしてから、7または8mmに寸法変更できる。この手順は、正しい直径を設定するために必要な回数繰り返され得る。
【0032】
中央部分14は、ePTFEまたは他の適切な材料で覆われるので、カバーは、肝臓からの胆汁または他の流体が血流に入るのを防ぐであろう。これはまた、周囲の組織がステントグラフト10に入り込むことがないので、ステントグラフト10を拡張または収縮するときの直径の変化が、埋め込みの数週間または数ヶ月後でも周囲の肝臓組織に損傷を引き起こしてはならないことを意味する。
【0033】
図2は、本発明の第2の実施形態のより詳細な図を示している。ステントグラフト110は、第1の自己拡張部分112および第2の自己拡張部分116を備えている。それらは、中央部分114とともに、TIPSステントグラフト110の管状構成要素111を構成する。図面から分かるように、管腔113は、ステントグラフト110を通って一端からそれぞれの他端まで延在する。
【0034】
中央部分114を取り囲むように設けられているのは、ニチノールで作られたコイル120である。このコイルは、ワイヤ121を介して、
図3に示す電極122、124に接続されている。それらの電極122、124により、コイル120を通って電流が導かれ得、このことがそのコイル120を加熱するであろう。この加熱によりコイル120がその転移温度を超えて加熱されると、コイル120が、より小さな円周を有する構成をとることになり、それにより、中央部分114が収縮する。
【0035】
図3は、カテーテル130が導入された構成における、
図2に示されるステントグラフト110をより詳細に示している。カテーテル130は、電極142、144を保持する2つの拡張部分140を有する。これらの電極は、ステントグラフトの電極122、124に当接している。拡張部分140、141の間に設けられるのは、中央部分114の内側に設けられるより狭い部分139である。カテーテル130の内部に設けられたワイヤ(図示せず)を介してカテーテル130の電極142、144に電圧を印加すると、コイル120を構成するワイヤに電流が流れる。次に、コイル120が加熱され、その転移温度を超えて加熱されると、
図2に関して前述したように、より収縮した構成をとる。
【0036】
図4は、本発明の第3の実施形態を示している。第1の自己拡張部分212と第2の自己拡張部分216との間に、より小さな直径を有する中央部分214が配置される。この部分は管状のカラー220に囲まれている。次に、このカラーは、ステントグラフト210の内側に設けられた電極(図示せず)に接続されている。これらの電極に電圧を印加すると、カラー220に電流が流れ、これによりカラー220が再び加熱および収縮し、収縮した構成をとる。次いで、このことが、ステントグラフト210の断面積を減少させる。ステントグラフト210のさらなる詳細は、
図3に示されているものと同一である。