(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】配線基板及び回転機器
(51)【国際特許分類】
H02K 5/22 20060101AFI20240202BHJP
【FI】
H02K5/22
(21)【出願番号】P 2022527597
(86)(22)【出願日】2021-04-23
(86)【国際出願番号】 JP2021016489
(87)【国際公開番号】W WO2021241096
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】P 2020094252
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020094253
(32)【優先日】2020-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】平林 晃一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤本 征也
【審査官】保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-007553(JP,A)
【文献】特開2001-095200(JP,A)
【文献】特開2010-257833(JP,A)
【文献】特開2019-040936(JP,A)
【文献】特開2013-069486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K5/00-5/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔部と、当該孔部を形成する内周端部とを有するベースと、
前記孔部を囲む部分を有する配線と、
を備え、
前記配線は前記ベースの面に形成され、
前記孔部を囲む部分はランドを備え、
前記孔部を囲む部分よりも内側に、前記ベースの内周端部が配置されており、
前記孔部を通過する方向に前記ベースの内周端部は変形する、配線基板。
【請求項2】
前記ベースは樹脂材料で形成されたフィルムである、請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記ベースの内周端部は、前記孔部の内側に向かって突出する突出部を複数備え、
複数の前記突出部は、前記孔部の周方向において、並んで配置されている、請求項1
又は2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記孔部の内側に柱状の導電部材が配置されており、
前記孔部を通過する方向において、変形した前記ベースの内周端部が前記柱状の導電部材の外周側面に接触している、請求項1
から3のいずれか1つに記載の配線基板。
【請求項5】
前記柱状の導電部材の大きさは、前記内周端部により形成される孔部よりも大きく、かつ前記配線の前記孔部を囲む部分よりも小さい、請求項
4に記載の配線基板。
【請求項6】
請求項1から
5のいずれか1つに記載の配線基板と、
前記孔部の内側に配置される柱状の導電部材と、
筐体と、
を備え、
前記柱状の導電部材は、前記筐体に固定されている、回転機器。
【請求項7】
前記配線基板は、前記孔部を通過する方向において、第1面と、当該第1面の反対側にある第2面とを備え、
前記第1面には導電部材が設けられ、当該導電部材は前記柱状の導電部材と前記配線とを電気的に接続しており、
前記第2面は前記筐体の一部と対向している、請求項
6に記載の回転機器。
【請求項8】
前記第2面は、前記配線基板と異なる部材を介して、前記筐体の一部と対向している、請求項
7に記載の回転機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板及び回転機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータと、出力ギアと、この出力ギアの回転位置(回転角)を検出するセンサーと、モータの動作を制御するLIN(Local Interconnect Network)用IC(Integrated Circuit)等の電子部品が設けられた回転装置(モータアクチュエータ)があり、例えば、DC-HVAC(Heating Ventilation and Air Conditioning)などの車両用空調装置システムの空気通路の中途に設けられた複数の切替ドア(ルーバー)の駆動を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平06-252525号公報
【文献】特開2012-134215号公報
【文献】実開昭58-142958号公報
【文献】特開2007-299610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記技術において、例えば、前記センサーや電子部品と、外部の機器と接続される接続端子とを、多層通電形状にしたPCB(Printed Circuit Board)等を用いて電気的に接続する技術が知られている。その際、例えば、柱状の接続端子が、PCBのベースフィルムに設けられた孔部に挿入されて半田付けされることにより、PCBと電気的に接続される。
【0005】
しかし、PCBの孔部に柱状の接続端子を挿入して半田付けする場合、半田が孔部から漏れ出して、柱状の端子と回転装置の筐体との間に流れ込む場合がある。この場合、柱状の端子が筐体から浮くことにより、端子と筐体との固定が不安定となる。
【0006】
一つの側面では、孔部からの半田漏れを抑制できる配線基板及び回転機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一つの態様において、配線基板は、孔部と、当該孔部を形成する内周端部とを有するベースと、前記孔部を囲む部分を有する配線とを備える。前記配線は前記ベースの面に形成される。前記孔部を囲む部分はランドを備える。前記孔部を囲む部分よりも内側に、前記ベースの内周端部が配置されている。前記孔部を通過する方向に前記ベースの内周端部は変形している。
【0008】
一つの態様によれば、孔部からの半田漏れを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1の実施形態における回転装置の平面図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態における回転装置の側面図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態における回転装置の底面図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態における回転装置の第1筐体を取り外した平面図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態における配線基板の斜視図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態における回転装置に実装された配線基板の斜視図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態における回転装置に実装された配線基板の斜視図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態における回転装置に実装された配線基板の断面図である。
【
図9】
図9は、第1の実施形態における配線基板の第1平面部の平面図である。
【
図11】
図11は、第1の実施形態における第1の筐体の突出部の斜視図である。
【
図12】
図12は、第1の実施形態における第2の筐体の保持部の斜視図である。
【
図13】
図13は、第1の実施形態における第1の筐体の押圧部の斜視図である。
【
図16】
図16は、第2の実施形態における配線基板の斜視図である。
【
図17】
図17は、第2の実施形態における配線基板の第1平面部の平面図である。
【
図18】
図18は、第2の実施形態における接続端子が挿入された配線基板の斜視図である。
【
図19】
図19は、変形例における第1の筐体の押圧部の斜視図である。
【
図20】
図20は、実施形態に係る回転装置を備える空調システムを示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願の開示する配線基板、回転機器及び回転装置について図面を参照して説明する。なお、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。各図面において、説明を分かりやすくするために、後に説明する出力軸51の軸方向をZ軸正方向(回転軸方向)とする3次元の直交座標系を図示する場合がある。
【0011】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態における回転装置の平面図、
図2は、第1の実施形態における回転装置の側面図、
図3は、第1の実施形態における回転装置の底面図である。また、
図4は、第1の実施形態における回転装置の第1筐体を取り外した平面図である。また、
図20は、実施形態に係る回転装置を備える空調システムを示す概略説明図である。
【0012】
実施形態に係る回転装置1は、例えば、車両用の空調システムなどに用いられるアクチュエータとして好適に用いることができ、風量等を制御するためのルーバーの回動動作を制御することができる。
【0013】
実施形態に係る回転装置1は、例えば、
図20に示すような車両用の空調システム100などに用いられ、風量等を制御するためのルーバー104の回動動作を制御することができる。車両用の空調システム100は、ブロアファン101と、ブロアファン101から送り出される空気を冷却するエバポレータ102と、エバポレータ102の下流に配設されたヒータ103とを備える。そして、エバポレータ102とヒータ103との間に、エバポレータ102側からヒータ103側に流れる空気の供給量を制御するルーバー104が配置され、かかるルーバー104の駆動軸104aが回転装置1により回動される。
【0014】
図1~
図4に示すように、回転装置1は、内部に動力伝達機構部を収納した筐体2を備える。ここで動力伝達機構部とは、具体的には、
図4に示すモータ3や、このモータ3からの動力を伝達する複数のギア(以下、ギア群と呼称する)6や、このギア群6に含まれる出力ギア5の回転角を検出するセンサー7等により構成される。なお、センサー7が検出するのは、出力ギア5の回転角ではなく回転数であってもよいし、回転角と回転数の両方であってもよい。
【0015】
動力伝達機構部のギア群6には、モータ3の回転軸31に装着されたウォームギア32と、第1伝達ギア61と、第2伝達ギア62と、出力ギア5とが含まれる。すなわち、
図4に示すように、ウォームギア32の回転は、第1伝達ギア61のヘリカルギア611に伝達されるとともに、このヘリカルギア611と同軸上に設けられた、ヘリカルギア611よりも相対的に小径の小径ギア612を介して第2伝達ギア62のヘリカルギア621に伝達される。そして、第2伝達ギア62の回転は、例えば、ヘリカルギア621と同軸上に設けられた、ヘリカルギア621よりも相対的に小径の小径ギア(不図示)を介して出力ギア5に伝達される。また、出力ギア5には、出力軸51(
図3)が連接されている。出力ギア5には、例えば、前述した空調システム100のルーバー104の駆動軸104a等の外部軸が係合される。したがって、出力ギア5を回転させることでルーバー104の回動動作を制御することができ、空調システム100の風量等の調節を行うことができる(
図20参照)。
【0016】
こうして、モータ3の回転は、所定の減速比で減速されて、出力軸51から外部へ出力される。そして、この出力ギア5の回転角がセンサー7により検出される。センサー7で検出した出力ギア5の回転角の情報は、
図2及び
図4に示す5本の接続端子
4を介して外部に送信される。なお、複数の接続端子
4を
それぞれ区別
して表現する場合に、
それぞれ接続端子4
a乃至4eと表記する場合がある。また、接続端子4は、柱状の導電部材の一例である。
【0017】
なお、本実施形態におけるセンサー7には、例えば、センサー基板と導電性のブラシとで、ブラシの導電部に対する接触位置が周方向に変位することによる抵抗値の変化を検出するロータリ型の抵抗式ポジションセンサーを用いることができる。しかし、センサー7の構成は、本実施形態の構成に限定される必要はない。また、本実施形態では、モータ3としてDCモータを採用しているが、ブラシレスモータやステッピングモータであってもよい。ブラシレスモータやステッピングモータを採用する場合、回転装置1としては、センサー7は不要となっても構わない。
【0018】
図1乃至
図3に示すように、筐体2は、対向する第1の筐体21及び第2の筐体22を備えている。すなわち、筐体2は、第1の筐体21(
図1)と、第2の筐体22(
図3)とを連結して構成される。なお、ここでは、上下の位置関係を記す場合、回転装置1の第1の筐体21が相対的に上側(Z軸正方向側)に、第2の筐体22が下側(Z軸負方向側)に位置する状態を基準としている。
【0019】
図1及び
図2に示すように、第1の筐体21は、筐体2の天面部となる第1の面部210と、この第1の面部210の外周部に設けられた第1の側壁部211とを有する。他方、第2の筐体22は、
図2及び
図3に示すように、筐体2の底面部となる第2の面部220と、この第2の面部220の外周部に設けられた第2の側壁部221とを有する。なお、筐体2は、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ABS等の樹脂材料で形成される。
【0020】
また、
図1及び
図2に示すように、第1の筐体21には、第2の筐体22側に延出する複数の係合部212が、第1の側壁部211の外周部に一体に形成されている。一方、第2の筐体22には、
図1及び
図4に示すように、第1の筐体21の複数の係合部212にそれぞれに対応する複数の突起(以下、係合突起と呼称する)222が第2の側壁部221に一体に形成されている。かかる係合突起222が係合部212に係合する。
【0021】
こうして、第1の筐体21と第2の筐体22を突き合わせて筐体2が形成される(
図2参照)。すなわち、第1の筐体21の係合部212に第2の筐体22の係合突起222を係合させることで、第1の筐体21と第2の筐体22とが一体化され、前述したモータ3やギア群6などを有する動力伝達機構部を収容する筐体2が構成される。
【0022】
なお、本実施形態では、第1の筐体21に係合部212を設け、第2の筐体22に係合突起222を設けるようにしているが、第2の筐体22に係合部212を設け、第1の筐体21に係合突起222を設けるようにしてもよい。
【0023】
また、
図1乃至図3に示すように、第1の筐体21及び第2の筐体22における一側辺の両端部には、それぞれ外方へ突出する片(以下、接合片と呼称する)93が形成されている。接合片93には所定の固定部材として緊締具(不図示)が挿通される連結孔94が設けられており、接合された第1の筐体21と第2の筐体22とは、4つの連結孔94を介して所定の緊締具により強固に連結され、一体の筐体2を構成する。
【0024】
上述してきた筐体2の構成において、本実施形態では、第1の筐体21の外周部をなす第1の側壁部211の角部に突出部28が設けられ、第2の筐体22の角部に第2の貫通孔282が設けられている。すなわち、第1の筐体21には、たとえばボルトやビスなどの締結具(不図示)を挿通可能な第1の貫通孔281を有する円筒状の突出部28が第1の面部210から突出して形成されている。そして、第2の筐体22には、突出部28が嵌合する第2の貫通孔282が設けられる。
【0025】
突出部28は複数設けられており、それに応じて第2の貫通孔282も複数設けられている。複数の突出部28は、それぞれ第1の筐体21の複数(4つ)の角部に設けられており、複数の第2の貫通孔282についても、それぞれ第2の筐体22の複数(4つ)の角部に設けられている。本実施形態では、第1の筐体21の第1の面部210及び第2の筐体22の第2の面部220は、平面視で略矩形形状をしており、それぞれ4隅の角部に突出部28及び第2の貫通孔282が設けられる。
【0026】
第2の筐体22は、
図3に示すように、第2の側壁部221の4隅の角部に相当する部位に、第2の貫通孔282が形成されている。第2の側壁部221の4隅の角部の外側には、接合片93が設けられている。
【0027】
また、
図1乃至
図3に示すように、第1の筐体21と第2の筐体22には、それぞれ互いに対応する突出部219,229が形成されている。突出部219、229は本実施形態では、接続端子4が延在する方向に突出している。これら突出部219,229同士が接合してコネクタ部200(
図2)が形成される。このコネクタ部200には、
図2に示すように、複数(例えば5本)の接続端子4が保持される。なお、突出部229は、筐体の一部の一例である。
【0028】
接続端子4は、
図4に示すように、例えば、フランジ41を備える、柱状の導電部材である。複数の接続端子4は、例えば、第2の筐体22の突出部229に配置される。その際、接続端子4は、後に説明するように、例えば、フランジ41が、第2の筐体22の突出部229内に設けられる保持部225に形成される溝部228に嵌入するように配置される。また、接続端子4は、後に説明するように、第1の筐体21の突出部219内に設けられる押圧部215に形成される第1突起部216a乃至216e、及び第2突起部217a乃至217eにより押圧される。
【0029】
また、本実施形態に係る回転装置1は、
図4に示すように、接続端子4とモータ3及びセンサー7とを電気的に接続する基板として、フレキシブルな配線基板8を備えている。この配線基板8と接続端子4とを介して、モータ3を駆動する入出力信号が外部から得られ、センサー7からの出力ギア5の回転角度に応じた信号が外部へと出力される。なお、ここで電気的に接続するとは、2つの部材を直接接続する場合と、他の部材を介して接続する場合とを含む概念である。
【0030】
配線基板8は、例えば、可撓性を有するフィルムで形成された、いわゆるFPC(Frexible Printed Circuit)である。一般的に、FPCは、ベースフィルム(ベース)、配線、及びカバーレイにより構成される。なお、以下において、カバーレイは図示しないものとして説明する。
【0031】
フレキシブルな配線基板8は、例えば厚さが約12μmから50μmのベースフィルム(樹脂基板)の上に接着層を形成し、接着層の上に例えば厚みが約12μm~約50μmの導体が印刷又は貼りあわされた構造を有する。ベースフィルムは、例えばポリイミドやポリエステルなどの、絶縁性を有する樹脂材料で形成される。また、導体は銅などの金属材料で形成される。なお、接着層は、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂で形成される。かかる配線基板8は、折り曲げ可能であり、かつ90度以上の角度で折り曲げても折り曲げ前の形態に復元できるフレキシブルな基板となっている。なお、導体は、配線の一例である。
【0032】
配線基板8は、
図4に示すように、大きく3つの平面部81,82及び83を有する。具体的には、接続端子4及びセンサー7と接続される第1平面部81と、モータ3の端子33に接続される側の第3平面部83と、第1平面部81と第3平面部83とを繋ぐ第2平面部82とを備えている。
【0033】
図5は、第1の実施形態における配線基板の斜視図である。
図6及び
図7は、第1の実施形態における回転装置に実装された配線基板の斜視図である。また、
図8は、第1の実施形態における回転装置に実装された配線基板の断面図である。なお、
図5においては、第2平面部82及び第3平面部83の図示を省略している。
【0034】
第1平面部81は、ベース813と、配線84とを備える。配線84は、第1平面部81の第1面811側に形成される。なお、
図5及び
図8に示すように、配線基板8の第1平面部81の第2面812側には、配線基板8とは異なる部材として、支持板等の補強材90が設けられていてもよい。なお、補強材90は、配線基板と異なる部材の一例である。
【0035】
ベース813には、接続端子4の一方の端部49が挿通される複数の孔部H1が形成される。これら孔部H1に接続端子4を挿通させて半田付けを行うことで、確実な電気接続が行える。すなわち、接続端子4は、配線基板8に、半田Sにより電気的に接続される。配線基板8の各孔部H1は、後に説明するベース813の一部である内周端部81a乃至81eにより、それぞれ形成される。なお、半田Sは、第1面に設けられる導電部材の一例である。
【0036】
図6及び
図7に示されるように、配線基板8は、例えば、センサー7と接続端子4との間に第1平面部81が位置するように配置される。また、
図8に示されるように、第1平面部81において、接続端子4に接続する、孔部H1が形成された一方の端部と、センサー7に接続される他方の端部819との間には屈曲部800が形成されている。
【0037】
配線基板8の各孔部H1には、例えば、各接続端子4が、Y軸正方向側に挿通される。複数の接続端子4は、例えば、挿通される方向と交差する方向(実施形態では直交する方向(X軸方向))に並べて配置される。上で述べたように、孔部H1に挿通された接続端子4は、例えば配線基板8に半田付けされ、半田Sにより配線基板8に固定される。孔部H1は、例えば、接続端子4の数と同じ数だけ形成される。
【0038】
配線基板8の第1平面部81において、第1面811と第2面812とは、例えば、接続端子4が通過する方向(Y軸正方向)において、表面と裏面の関係にあり、第2面812は第1面811の反対側にある面となっている。配線基板8の第1平面部81の第2面812側は、筐体2の一部と対向する。本実施形態において、第2面812側は、補強材90を介して、筐体2の一部である突出部229と対向する。
【0039】
配線84は、上で述べたように、配線基板8の第1面811側に形成される。配線84は、接続端子4と電気的に接続される部分である、5つの第1のランド85a乃至85eを有する。なお、以下において、複数の第1のランド85a乃至85eを区別せずに表現する場合に、第1のランド85と表記する場合がある。第1のランド85は、各孔部H1を囲む部分に形成される。また、接続端子4の大きさは、例えば、孔部H1よりも大きく、第1のランド85に囲まれる部分よりも小さい。なお、第1のランド85は、導電部材の一例である。
【0040】
配線84は、例えば、屈曲部800を介して、第1平面部81の他方の端部819に延在する。他方の端部819に形成される配線84は、センサー7と電気的に接続される部分である、第2のランド86を有する。第2のランド86は、例えば、センサー7に設けられた端子と半田Sにより接続される。すなわち、センサー7の端子は、第1平面部81の他方の端部819に設けられた第2のランド86に半田付けされることにより、配線基板8と電気的に接続される。
【0041】
また、配線84は、配線基板8の第2平面部82を介して、第3平面部83に延在する。第3平面部83に形成される配線84は、モータ3の端子33と電気的に接続される部分である第3のランド(不図示)を有する。
【0042】
次に、配線基板8と接続端子4との接続について説明する。
図9は、第1の実施形態における配線基板の第1平面部の平面図である。また、
図10Aは、
図9のA-A線における断面図、
図10Bは、
図9のB-B線における断面図、
図10Cは、
図9のC-C線における断面図である。
図9において、上段には接続端子4が装着される前の状態の図を示し、中段には接続端子4が装着されてから半田付けされる前の状態の図を示し、下段には接続端子4が半田付けされた後の状態の図を示す。すなわち、
図10Aは、接続端子4が装着される前の状態の図を示し、
図10Bは、接続端子4が装着されてから半田付けされる前の状態の図を示し、
図10Cは、接続端子4が半田付けされた後の状態の図を示す。
【0043】
図9及び
図10Aに示すように、第1平面部81は、例えば、内周端部81a乃至81c、並びに図示されていない内周端部81d及び81eを備える。内周端部81aは、配線84の孔部H1を囲む部分に形成される第1のランド85aよりも内側に形成される。同様に、内周端部81b乃至81eは、それぞれ、配線84の孔部H1を囲む部分に形成される第1のランド85b乃至85eよりも内側に形成される。すなわち、内周端部81a乃至81eは、孔部H1を形成する位置に形成される。
【0044】
上で述べたように、配線基板8の第1平面部81の一部である内周端部81a乃至81eは、折り曲げ可能である素材により形成される。また、内周端部81a乃至81eにより形成される孔部H1は、接続端子4の大きさよりも小さい。これにより、接続端子4が孔部H1に挿入される際に、内周端部81a乃至81eは接続端子4が孔部H1を通過する方向に変形する。
【0045】
図10Bに示すように、接続端子4が孔部H1に挿入される際、内周端部81bは、接続端子4が孔部H1を通過する方向D(Y軸正方向)に変形する。変形した内周端部81bは、接続端子4の一方の端部49の外周面に接触する。
【0046】
次に、接続端子4が配線基板8の第1平面部81に半田付けされる際に、
図9及び
図10Cに示すように、第1のランド85cと重なる位置に、半田Sが配置される。この場合において、接続端子4が孔部H1を通過する方向D(Y軸正方向)に変形した内周端部81cが、方向Dと反対の方向(Y軸負方向)に半田Sが流れ出ることを抑制する。これにより、本実施形態における配線基板8は、孔部H1からの半田漏れを抑制できる。
【0047】
また、例えば、前記センサーや電子部品と外部の機器とを接続する接続端子を、多層通電形状にしたPCB(Printed Circuit Board)等に電気的に接続する構成が知られている。その際、例えば、柱状の接続端子が、回転装置の筐体等に固定される。
【0048】
しかし、柱状の接続端子を筐体等に固定する際に、位置ずれが生じやすい。筐体に接続端子を固定する際の位置ずれは、接続端子のがたつきの原因となる。
【0049】
そこで、本実施形態において、接続端子4は、第2の筐体22の保持部225と、第1の筐体21の押圧部215により保持される。押圧部215は、筐体21の内壁部の一部を形成している。押圧部215は、内壁部として、コネクタ部200に外部装置(不図示)のコネクタ(被接続端子)が挿入された際に、コネクタが筐体2の内部にさらに挿入されることを抑止している。すなわち、押圧部215は、コネクタ部200を外部装置のコネクタが挿入される挿入口201(開口部)以外の部分が閉じられた空間を形成する部分となっている。
図11は、
第1の実施形態における第1の筐体の突出部の斜視図である。
図12は、
第1の実施形態における第2の筐体の保持部の斜視図、
図13は、
第1の実施形態における第1の筐体の
押圧部の斜視図である。
【0050】
図11及び
図13に示すように、本実施形態において、第1の筐体21の突出部219内には、第1突起部216a乃至216e及び第2突起部217a乃至217eを備える押圧部215が形成される。また、
図6及び
図12に示すように、第2の筐体22の突出部229内には、溝部228、第1保持溝226a乃至226e、及び第2保持溝227a乃至227eを備える保持部225が形成される。なお、
図12は、
図6における符号U1に該当する部分を拡大した図を示し、
図13は、
図11における符号U2に該当する部分を拡大した図を示す。また、以下において、第1突起部216a乃至216eを区別せずに表現する場合は、第1突起部216と表記し、第2突起部217a乃至217eを区別せずに表現する場合は、第2突起部217と表記する。また、以下において、第1保持溝226a乃至226eを区別せずに表現する場合は、第1保持溝226と表記し、第2保持溝227a乃至227eを区別せずに表現する場合は、第2保持溝227と表記する。なお、第1突起部216及び第2突起部217は、凸部の一例であり、第1保持溝226及び第2保持溝227は、凹部の一例である。
【0051】
第1突起部216及び第2突起部217は、例えば筐体2と同一の樹脂材料により形成される。この場合において、第1突起部216及び第2突起部217、並びに溝部218を備える押圧部215は、例えば、金型を用いた樹脂の射出成型により、第1の筐体21と一体成形される。同様に、溝部228、第1保持溝226、及び第2保持溝227を備える保持部225は、例えば、金型を用いた樹脂の射出成型により、第2の筐体22と一体成形される。
【0052】
上で述べたように、第2の筐体22の溝部228には、接続端子4のフランジ41が嵌入される。また、接続端子4のフランジ41以外の部分は、第1保持溝226及び第2保持溝227により保持される。第1保持溝226及び第2保持溝227は、接続端子4が挿入される方向(Y軸正方向)に並んで形成される。本実施形態において、第1保持溝226は、保持部225において溝部228よりもY軸負方向側に形成され、第2保持溝227は、保持部225において溝部228よりもY軸正方向側に形成される。すなわち、第1保持溝226と第2保持溝227とは、溝部228をY軸正方向側に挟む位置に形成される。
【0053】
また、第1の筐体21の押圧部215には、第2の筐体22の溝部228と対応する位置に、溝部218が形成される。溝部218にも、接続端子4のフランジ41が嵌入される。また、押圧部215には、第2の筐体22の第1保持溝226及び第2保持溝227と対応する位置に、第1突起部216及び第2突起部217が形成される。第1突起部216及び第2突起部217は、第2の筐体22の保持部225に保持される接続端子4を、上方向(Z軸正方向)から押圧する。すなわち、接続端子4は、第1突起部216と第1保持溝226とに挟持されるとともに、第2突起部217と第2保持溝227とに挟持される。
【0054】
図14は、
図13のD-D線における断面図、
図15Aは、
図13のE-E線における断面図、
図15Bは、
図13のF-F線における断面図である。
図14に示すように、一対の第1突起部216及び第2突起部217は、接続端子4の挿入方向(Y軸正方向)において、溝部218を挟む位置に並んで形成される。すなわち、一対の第1突起部216及び第2突起部217は、接続端子4のフランジ41を挟む位置において、接続端子4を両持ちで下方向(Z軸負方向)に押圧する。これにより、接続端子4の挿入方向(Y軸正方向)におけるがたつきを抑制することができる。また、接続端子4の端部48(コネクタ部200の開口201側又は外部装置側にある端部)の高さを所定の高さにすることができる。ここで、所定の高さとは、例えば、コネクタ部200を形成し、互いに対向する第1の筐体の一部分219a、第2の筐体の一部分229a
のそれぞれから接続端子4の端部48のそれぞれからのZ軸方向における距離をいう。このため、任意の高さ及び形状を有する外部装置のコネクタに接続端子4を挿入可能になる。なお、接続端子4の挿入方向は、接続端子4が外部装置のコネクタに挿入される方向になっている。また、接続端子4の挿入方向は、接続端子4の長手方向になっている。
【0055】
また、
図15Aに示すように、第1突起部216及び第2突起部217は、例えば三角形など、頂部P1を有する多角形状に形成される。第1突起部216及び第2突起部217は、第1の筐体21が第2の筐体22に連結される際、第2の筐体22の第1保持溝226及び第2保持溝227に保持される接続端子4を、上方向(Z軸正方向)から押圧する。その際、第1突起部216及び第2突起部217の頂部P1は、
図15Bに示すように変形する。
【0056】
図15Bに示すように、第2突起部217d及び217eの頂部P2は、接続端子4に押圧されて変形する。また、図示されていない第2突起部217a乃至217c、及び各第1突起部216も、同様に変形する。これにより、接続端子4は第1突起部216及び第2突起部217と、第1保持溝226及び第2保持溝227とに挟持されるので、接続端子4を確実に筐体2に固定させることができる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態において、配線基板8は、孔部H1と、孔部H1を形成する内周端部81aとを有するベース813と、孔部H1を囲む部分85を有する配線84とを備える。孔部H1を囲む部分85よりも内側に、ベース813の内周端部81aが配置されている。孔部H1を通過する方向にベース813の内周端部81aは変形している。これにより、孔部H1からの半田漏れを抑制できる。
【0058】
また、本実施形態において、回転装置1は、モータ3と、複数個のギア6と、電気的に外部と接続するための複数個の接続端子4と、モータ3とギア6と接続端子4を収容する筐体2と、を備える。筐体2は第1の筐体21及び第2の筐体22によって構成される。第2の筐体22は接続端子4が係合される凹部226、227を有する。第1の筐体21には接続端子4及び凹部226、227に向けて突出した凸部216、217が設けられる。接続端子4は凸部216、217により凹部226、227に向けて押されている。これにより、接続端子4のがたつきを抑制し、接続端子4を確実に筐体2に固定させることができる。
【0059】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態に係る配線基板80について、図面を参照しながら説明する。なお、第2の実施形態に係る配線基板80と前述した第1の実施形態に係る配線基板8とは、基本構造については同様であり、同一の構成要素には同じ符号を付して、具体的な説明は省略する。
【0060】
図16は、第2の実施形態における配線基板の斜視図、
図17は、第2の実施形態における配線基板の第1平面部の平面図、
図18は、第2の実施形態における接続端子が挿入された配線基板の斜視図である。なお、
図16及び
図18では、補強材90及び第2の筐体22の図示を省略している。また、
図18は、接続端子4が配線基板80に半田付けされる前の状態の図を示す。
【0061】
図16に示すように、第2の実施形態に係る配線基板80の第1平面部87のベース871において、孔部H2を形成する内周端部87eが、複数の突出部87e1乃至87e4を備えている点において、第1の実施形態に係る配線基板8と異なる。なお、以下において、複数の内周端部87a乃至87eを区別せずに表現する場合に、内周端部87と表記する場合がある。
【0062】
図17に示すように、第2の実施形態において、複数の突出部87a1乃至87a4は、孔部H2の四方向から突出する。また、複数の突出部87a1乃至87a4は、配線84の孔部
H2を囲む部分に形成される第1のランド85aよりも内側に形成される。また、第2の実施形態においても、複数の突出部87a1乃至87a4により形成される内周端部87aにより形成される孔部H2は、接続端子4の大きさよりも小さい。これにより、接続端子4が孔部H2に挿入される際に、内周端部87aを形成する複数の突出部87a1乃至87a4は、それぞれ接続端子4が孔部H2を通過する方向に変形する。
図17に示す場合において、接続端子4cが第1のランド85cに半田付けされる際に、半田Sの流出は、変形した複数の突出部87a1乃至87a4により抑制される。
【0063】
図17に示すように、接続端子4が孔部H2に挿入される際、内周端部87bを形成する複数の突出部87b1乃至87b4は、それぞれ接続端子4が孔部H1を通過する方向に個別に変形し、接続端子4の外周面に接触する。複数の突出部87b1乃至87b4が個別に変形する場合、第1の実施形態における内周端部81bが変形する場合と比べて、例えば孔部H2の頂点付近において、ベース871に皺が生じにくくなる。これにより、第2の実施形態においては、ベース871の内周端部
87bが接続端子4により隙間なく接するので、孔部H2からの半田漏れをより効果的に抑制できる。また、複数の突出部87b1乃至87b4が個別に変形する場合、ベース871の内周端部
87bが接続端子4の動きに追随して変形しやすくなるため、接続端子4の装着時の作業性が向上する。
【0064】
以上説明したように、第2の実施形態において、ベース871の内周端部87aは、孔部H2の内側に向かって突出する突出部87a1乃至87a4を複数備える。複数の突出部87a1乃至87a4は、孔部H2の周方向において、並んで配置されている。これにより、より効果的に孔部H2からの半田漏れを抑制できる。
【0065】
以上、本発明を各実施形態に基づき説明したが、本発明は各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更が可能であることも言うまでもなでもない。そのような要旨を逸脱しない範囲での種々の変更を行ったものも本発明の技術的範囲に含まれるものであり、そのことは、当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0066】
例えば、5つの接続端子4を備える回転装置1について説明したが、接続端子4の数は5に限られない。また、孔部H1及びH2が四角形である場合について説明したが、これに限られず、孔部の形状は、例えば接続端子の形状に応じて任意に変更してもよい。例えば、接続端子の断面形状が三角形である場合は、孔部も三角形であってもよい。この場合において、例えば第2の実施形態においては、内周端部87aが3つの突出部87a1乃至87a3により形成されていてもよい。
【0067】
また、接続端子4を押圧する第1突起部216及び第2突起部217が三角柱形状である例について説明したが、押圧されて変形する頂部を有していればよく、五角柱等のその他の形状であってもよい。また、第1突起部216及び第2突起部217が、三角錐、四角錐、円錐等の錐体である立体形状であってもよい。
図19は、変形例における第1の筐体の押圧部の斜視図である。
図19の
(b)及び(c)に示すように、錐体の立体形状である第1突起部216及び第2突起部217は接続端子4の挿入方向及び接続端子4と交差する方向(実施形態では直交する方向)に複数点在して形成されていて構わない。また、
図19の(b)及び(c)に示すように、第1突起部216及び第2突起部217の一方が三角柱などの柱体、三角錐や四角錐などの錐体であり、他方が一方の立体形状と異なる立体形状であっても構わない。また、変形前における第1突起部216及び第2突起部217、又は変形後の第1突起部216及び第2突起部217、変形を伴わない第1突起部216及び第2突起部217の形状がそれぞれ異なっていても構わない。また、第1突起部216及び第2突起部217が接続端子4の挿入方向(Y軸正方向)に延在する構成について説明したが、これに限られず、例えば第1突起部216及び第2突起部217が接続端子4の挿入方向と直交する方向(X軸方向)等のその他の方向に延在してもよい。
【0068】
また、接続端子4を押圧する第1突起部216及び第2突起部217が、金型を用いた樹脂の射出成型により、第1の筐体21と一体成形される例について説明したが、これに限られず、別部品として形成された第1突起部216及び第2突起部217を第1の筐体21に接合させるような構成であってもよい。また、第1突起部216及び第2突起部217は、接続端子4の材質よりも軟らかいものであれば、樹脂以外の材質により形成されてもよい。また、第1突起部216及び第2突起部217の材質は、例えば、塑性変形可能なものであるが、これに限られず、弾性を有するものであってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 回転装置、2 筐体、3 モータ、4 接続端子、5 出力ギア、6 伝達ギア、7 センサー、8,80 配線基板、90 補強材、21 第1の筐体、22 第2の筐体、28 突出部、200 コネクタ部、210 第1の面部、211 第1の側壁部、212 係合部、215 押圧部、216 第1突起部、217 第2突起部、219 突出部、220 第2の面部、221 第2の側壁部、222 係合突起、225 保持部、226 第1保持溝、227 第2保持溝、228 溝部、229 突出部、281 第1の貫通孔、282 第2の貫通孔、31 回転軸、32 ウォームギア、33 端子、41 フランジ、51 出力軸、61 第1伝達ギア、62 第2伝達ギア、611 ヘリカルギア、612 小径ギア、621 ヘリカルギア、81 第1平面部、82 第2平面部、83 第3平面部、84 配線、85 第1のランド、86 第2のランド、81a~81e,87a~87e 内周端部、800 屈曲部、813,871 ベース、819 他方の端部、93 接合片、94 連結孔、100 空調システム、H1,H2 孔部、S 半田