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特許7430266媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20240202BHJP
   H04N 1/04 20060101ALI20240202BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240202BHJP
【FI】
H04N1/00 002A
H04N1/12 Z
G03G15/00 107
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022542542
(86)(22)【出願日】2020-08-12
(86)【国際出願番号】 JP2020030720
(87)【国際公開番号】W WO2022034659
(87)【国際公開日】2022-02-17
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】堺 雅晃
【審査官】橋爪 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-162728(JP,A)
【文献】特開2015-186848(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/04- 1/207
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送する搬送部と、
媒体搬送方向と直交する方向に移動可能に設けられ、且つ、搬送される媒体に印刷する印刷部と、
媒体搬送方向と直交する方向における前記印刷部の配置位置を検出する検出部と、
搬送される媒体を撮像して入力画像を生成する撮像部と、
前記入力画像から検出された媒体位置と前記配置位置とを比較して、媒体上に前記印刷部による印刷が可能であるか否かを判定する判定部と、
前記判定部により媒体上に印刷ができないと判定された場合に、異常処理を実行する制御部と、
を有することを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
前記印刷部は、媒体搬送方向において前記撮像部より上流側に配置される、請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
前記判定部により、媒体上に前記印刷部による印刷が可能であるか否かが判定され、前記制御部により、前記印刷部による印刷が制御された後に、前記入力画像に基づいて、搬送される媒体に前記印刷部による印刷がされているか否かを判定する印刷判定部をさらに有し、
前記制御部は、前記印刷判定部により媒体に前記印刷部による印刷がされていないと判定された場合に、第2異常処理を実行する、請求項2に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
所定位置から前記印刷部までの距離を測定するセンサをさらに有し、
前記検出部は、前記距離に基づいて前記配置位置を検出する、請求項1~3の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項5】
媒体搬送方向と直交する方向において間隔を空けて配置され且つ前記印刷部を検出する複数のセンサをさらに有し、
前記検出部は、前記複数のセンサによる検知結果に基づいて前記配置位置を検出する、請求項1~3の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項6】
前記印刷部の移動可能範囲を撮像した画像を生成するセンサをさらに有し、
前記検出部は、前記生成された画像に基づいて前記配置位置を検出する、請求項1~3の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項7】
前記入力画像に基づく画像を出力する出力制御部をさらに有する、請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項8】
媒体を搬送する搬送部と、媒体搬送方向と直交する方向に移動可能に設けられ、且つ、搬送される媒体に印刷する印刷部と、媒体搬送方向と直交する方向における前記印刷部の配置位置を検出する検出部と、搬送される媒体を撮像して入力画像を生成する撮像部と、を有する媒体搬送装置の制御方法であって、
前記入力画像から検出された媒体位置と前記配置位置とを比較して、媒体上に前記印刷部による印刷が可能であるか否かを判定し、
媒体上に印刷ができないと判定された場合に、異常処理を実行する、
ことを特徴とする制御方法。
【請求項9】
媒体を搬送する搬送部と、媒体搬送方向と直交する方向に移動可能に設けられ、且つ、搬送される媒体に印刷する印刷部と、媒体搬送方向と直交する方向における前記印刷部の配置位置を検出する検出部と、搬送される媒体を撮像して入力画像を生成する撮像部と、を有する媒体搬送装置の制御プログラムであって、
前記入力画像から検出された媒体位置と前記配置位置とを比較して、媒体上に前記印刷部による印刷が可能であるか否かを判定し、
媒体上に印刷ができないと判定された場合に、異常処理を実行する、
ことを前記媒体搬送装置に実行させることを特徴とする制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムに関し、特に、搬送される媒体を撮像するとともに媒体上に印刷を行う媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
原稿等の媒体を搬送させて読み取るスキャナ等の媒体搬送装置において、読み取った媒体に証跡を残すために、所定の文字又は数字等の情報を印刷する機能が利用されている。このような媒体搬送装置では、搬送される媒体に印刷する印刷装置が、利用者によって所望の位置にセットされるように、媒体搬送方向と直交する方向に移動可能に設けられている。しかしながら、搬送される媒体の端部より外側のように不適切な位置に印刷装置がセットされた場合、搬送される媒体に所定の情報が正しく印刷されない可能性がある。
【0003】
原稿を読み取り、読み取られた原稿に、2つのスタンプによって済スタンプを押印する原稿読取装置が開示されている(特許文献1を参照)。この原稿読取装置は、原稿ガイドの配置位置に基づいて原稿の幅を検知し、検知した幅に相当する距離だけ離間した2つのスタンプによって済スタンプを押印する。
【0004】
原稿搬送方向と略直交する原稿幅方向に沿って移動でき、搬送される原稿に対して所定の印刷を行なうための印刷手段を備える原稿搬送装置が開示されている(特許文献2を参照)。この原稿搬送装置では、印刷手段よりも搬送方向上流側の搬送経路中に設けられた検出手段が、搬送される原稿が印刷手段による印刷領域の範囲内を通過するか否かを検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2006-173898号公報
【文献】特開2008-162728号公報
【発明の概要】
【0006】
搬送される媒体を撮像するとともに媒体上に印刷を行う媒体搬送装置では、装置コストが増大することを抑制しつつ、媒体への印刷を良好に制御することが望まれている。
【0007】
本発明の目的は、装置コストが増大することを抑制しつつ、媒体への印刷を良好に制御することが可能な媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムを提供することにある。
【0008】
本発明の一側面に係る媒体搬送装置は、媒体を搬送する搬送部と、媒体搬送方向と直交する方向に移動可能に設けられ、且つ、搬送される媒体に印刷する印刷部と、媒体搬送方向と直交する方向における印刷部の配置位置を検出する検出部と、搬送される媒体を撮像して入力画像を生成する撮像部と、入力画像から検出された媒体位置と配置位置とを比較して、媒体上に印刷部による印刷が可能であるか否かを判定する判定部と、判定部により媒体上に印刷ができないと判定された場合に、異常処理を実行する制御部と、を有する。
【0009】
本発明の一側面に係る制御方法は、媒体を搬送する搬送部と、媒体搬送方向と直交する方向に移動可能に設けられ、且つ、搬送される媒体に印刷する印刷部と、媒体搬送方向と直交する方向における印刷部の配置位置を検出する検出部と、搬送される媒体を撮像して入力画像を生成する撮像部と、を有する媒体搬送装置の制御方法であって、入力画像から検出された媒体位置と配置位置とを比較して、媒体上に印刷部による印刷が可能であるか否かを判定し、媒体上に印刷ができないと判定された場合に、異常処理を実行する。
【0010】
本発明の一側面に係る制御プログラムは、媒体を搬送する搬送部と、媒体搬送方向と直交する方向に移動可能に設けられ、且つ、搬送される媒体に印刷する印刷部と、媒体搬送方向と直交する方向における印刷部の配置位置を検出する検出部と、搬送される媒体を撮像して入力画像を生成する撮像部と、を有する媒体搬送装置の制御プログラムであって、入力画像から検出された媒体位置と配置位置とを比較して、媒体上に印刷部による印刷が可能であるか否かを判定し、媒体上に印刷ができないと判定された場合に、異常処理を実行することを媒体搬送装置に実行させる。
【0011】
本発明によれば、媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムは、装置コストが増大することを抑制しつつ、媒体への印刷を良好に制御することが可能となる。
【0012】
本発明の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるだろう。前述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る媒体搬送装置100を示す斜視図である。
図2】媒体搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
図3】印刷装置センサ115等について説明するための模式図である。
図4】媒体搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
図5】記憶装置150及び処理回路160の概略構成を示す図である。
図6】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
図7】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
図8】他の印刷装置センサ215等について説明するための模式図である。
図9】他の印刷装置センサ315等について説明するための模式図である。
図10】他の実施形態に係る媒体搬送装置400を示す斜視図である。
図11】媒体搬送装置400内部の搬送経路を説明するための図である。
図12】媒体搬送装置400の概略構成を示すブロック図である。
図13】他の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
図14】他の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
図15】他の処理回路560の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一側面に係る媒体搬送装置について図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0015】
図1は、イメージスキャナとして構成された媒体搬送装置100を示す斜視図である。媒体搬送装置100は、原稿である媒体を搬送し、撮像するとともに、その媒体に所定の情報を印刷する。媒体は、用紙、厚紙、プラスチックカード、冊子又はパスポート等である。所定の情報は、媒体が撮像された証跡を残すために利用者に予め設定された文字又は数字等である。媒体搬送装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。なお、搬送される媒体は、原稿でなく印刷対象物等でもよく、媒体搬送装置100はプリンタ等でもよい。
【0016】
媒体搬送装置100は、本体101、プリンタユニット102、載置台103及び排出台104等を備える。本体101は、本体下側筐体105、本体上側筐体106、操作装置107及び表示装置108等を備える。プリンタユニット102は、プリンタ下側筐体109及びプリンタ上側筐体110等を備える。
【0017】
本体下側筐体105は、プリンタユニット102に対して着脱可能に係合されるように、プリンタユニット102上に載置される。プリンタユニット102は、L字状に形成されている。本体下側筐体105は、載置台103側の側面と下面とが、それぞれプリンタユニット102の略鉛直方向に延伸する部分の排出台104側の側面と略水平方向に延伸する部分の上面とに当接するように配置される。本体上側筐体106は、本体101の上面を覆う位置に配置され、媒体つまり時、本体101内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジにより本体下側筐体105に係合している。本体上側筐体106は、載置台103側の側面がプリンタユニット102の排出台104側の側面と当接するように配置される。
【0018】
操作装置107は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。表示装置108は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
【0019】
プリンタユニット102は、搬送される媒体に所定の情報を印刷するインプリンタである。プリンタ上側筐体110は、プリンタユニット102の上面を覆う位置に配置され、媒体つまり時、プリンタユニット102内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジによりプリンタ下側筐体109に係合している。なお、プリンタユニット102は、本体101と別体で構成されるのでなく、本体101と一体に構成されてもよい。
【0020】
載置台103は、搬送される媒体を載置可能にプリンタ下側筐体109に係合している。排出台104は、排出された媒体を保持可能に本体上側筐体106に係合している。排出台104は、媒体搬送装置100の前面(本体上側筐体106)と対向するように折り畳み可能に設けられている。
【0021】
図2は、媒体搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【0022】
媒体搬送装置100内部の搬送経路は、プリンタユニット102内部に、第1媒体センサ111、給送ローラ112、ブレーキローラ113、印刷装置114、印刷装置センサ115、第1搬送ローラ116及び第2搬送ローラ117等を有する。この搬送経路は、本体101内部に、第2媒体センサ121、第3搬送ローラ122、第4搬送ローラ123、第5搬送ローラ124、第6搬送ローラ125、第3媒体センサ126、第1撮像装置127a、第2撮像装置127b、第7搬送ローラ128及び第8搬送ローラ129等を有している。なお、各ローラの数は一つに限定されず、各ローラの数はそれぞれ複数でもよい。以下では、第1撮像装置127a及び第2撮像装置127bを総じて撮像装置127と称する場合がある。
【0023】
本体101は、プリンタ下側筐体109の上面に設けられたツメ118を、本体下側筐体105の下面に設けられた穴131を介して凹部132に嵌合させることにより、プリンタユニット102と係合される。本体101がプリンタユニット102と係合した状態では、プリンタユニット102の媒体排出口が本体101の媒体流入口と対向する。プリンタ下側筐体109及び本体下側筐体105の上面は、媒体の搬送路の下側ガイド120aを形成し、プリンタ上側筐体110及び本体上側筐体106の下面は、媒体の搬送路の上側ガイド120bを形成する。プリンタ上側筐体110は、開閉可能なカバー110aを有し、利用者はカバー110aを開くことにより印刷装置114の配置位置を移動させることができる。
【0024】
図2において矢印A1は媒体搬送方向を示す。以下では、上流とは媒体搬送方向A1の上流のことをいい、下流とは媒体搬送方向A1の下流のことをいう。
【0025】
第1媒体センサ111は、給送ローラ112及びブレーキローラ113より上流側に配置される。第1媒体センサ111は、接触検出センサを有し、載置台103に媒体が載置されているか否かを検出する。第1媒体センサ111は、載置台103に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する第1媒体信号を生成して出力する。
【0026】
給送ローラ112及びブレーキローラ113は、媒体搬送方向A1において印刷装置114より上流側に設けられる。給送ローラ112は、プリンタ下側筐体109に設けられ、載置台103に載置された媒体を下側から順に給送する。ブレーキローラ113は、プリンタ上側筐体110に設けられ、給送ローラ112と対向して配置される。
【0027】
第2媒体センサ121は、第3搬送ローラ122及び第4搬送ローラ123より上流側に配置される。第2媒体センサ121は、接触検出センサを有し、その位置に媒体が存在するか否かを検出する。第2媒体センサ121は、第2媒体センサ121の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで信号値が変化する第2媒体信号を生成して出力する。
【0028】
第3媒体センサ126は、第5搬送ローラ124及び第6搬送ローラ125より下流側且つ撮像装置127より上流側に配置される。第3媒体センサ126は、その位置に媒体が存在するか否かを検出する。第3媒体センサ126は、媒体の搬送路に対して一方の側に設けられた発光器及び受光器と、搬送路を挟んで発光器及び受光器と対向する位置に設けられたミラー等の反射部材とを含む。発光器は、搬送路に向けて光を照射する。一方、受光器は、発光器により照射され、反射部材により反射された光を受光し、受光した光の強度に応じた電気信号である第3媒体信号を生成して出力する。第3媒体センサ126の位置に媒体が存在する場合、発光器により照射された光はその媒体により遮光されるため、第3媒体センサ126の位置に媒体が存在する状態と存在しない状態とで第3媒体信号の信号値は変化する。なお、発光器及び受光器は、搬送路を挟んで相互に対向する位置に設けられ、反射部材は省略されてもよい。
【0029】
第1撮像装置127aは、主走査方向に直線状に配列されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を有する等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)によるラインセンサを有する。また、第1撮像装置127aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置127aは、後述する処理回路からの制御に従って、搬送される媒体の表面を撮像して入力画像を生成し、出力する。第1撮像装置127aは、入力画像として、搬送されている媒体のラインセンサと対向する領域を撮像した1ライン分の画像を一定間隔毎に生成する。なお、第1撮像装置127aは、入力画像として所定ライン数分の画像を生成してもよい。
【0030】
同様に、第2撮像装置127bは、主走査方向に直線状に配列されたCMOSによる撮像素子を有する等倍光学系タイプのCISによるラインセンサを有する。また、第2撮像装置127bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、A/D変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置127bは、処理回路からの制御に従って、搬送される媒体の裏面を撮像して入力画像を生成し、出力する。第2撮像装置127bは、入力画像として、搬送されている媒体のラインセンサと対向する領域を撮像した1ライン分の画像を一定間隔毎に生成する。なお、第2撮像装置127bは、入力画像として所定ライン数分の画像を生成してもよい。
【0031】
第1撮像装置127a及び第2撮像装置127bは、撮像部の一例である。なお、媒体搬送装置100は、第1撮像装置127a及び第2撮像装置127bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、CMOSによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサの代わりに、CCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサが利用されてもよい。また、CMOS又はCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサが利用されてもよい。
【0032】
第7搬送ローラ128及び第8搬送ローラ129は、媒体搬送装置100が有するローラの中で最も下流側に配置され、媒体を排出台104に排出するための排出ローラとして機能する。第7搬送ローラ128及び/又は第8搬送ローラ129を回転軸として支持するシャフトは、処理回路からの制御に従って、媒体搬送方向と直交する幅方向の一端を中心に媒体搬送路の搬送面に沿って揺動可能に設けられる。即ち、第7搬送ローラ128及び/又は第8搬送ローラ129は、処理回路からの制御に従って、媒体の排出方向を変更可能に設けられる。
【0033】
載置台103に載置された媒体は、給送ローラ112が図2の矢印A2の方向に回転することによって、下側ガイド120aと上側ガイド120bの間を媒体搬送方向A1に向かって搬送される。ブレーキローラ113は、媒体搬送時、矢印A3の方向に回転する。給送ローラ112及びブレーキローラ113の働きにより、載置台103に複数の媒体が載置されている場合、載置台103に載置されている媒体のうち給送ローラ112と接触している媒体のみが分離される。これにより、分離された媒体以外の媒体の搬送が制限されるように動作する(重送の防止)。
【0034】
媒体は、下側ガイド120aと上側ガイド120bによりガイドされながら、印刷装置114の位置に送り込まれる。印刷装置114により印刷された媒体は、第1搬送ローラ116と第2搬送ローラ117の間に送り込まれる。媒体は、第1~第6搬送ローラ116~117、122~125がそれぞれ矢印A4~A9の方向に回転することによって、第1撮像装置127aと第2撮像装置127bの間に送り込まれる。撮像装置127により読み取られた媒体は、第7~第8搬送ローラ128~129がそれぞれ矢印A10~A11の方向に回転することによって排出台104上に排出される。給送ローラ112、ブレーキローラ113及び第1~第8搬送ローラ116~117、122~125、128~129は、媒体を搬送する搬送部の一例である。
【0035】
図3は、印刷装置114及び印刷装置センサ115等について説明するための模式図である。図3は、カバー110aを開いた状態でプリンタ上側筐体110の一部を上方から見た模式図である。
【0036】
図3に示すように、印刷装置114は、印刷部の一例であり、媒体搬送方向と直交する幅方向A12に延伸するように設けられたレール114aに沿って、幅方向A12に移動可能に設けられる。また、図2に示すように、印刷装置114は、プリンタ上側筐体110に、媒体搬送方向A1において撮像装置127より上流側に配置される。これにより、撮像装置127は、印刷装置114により印刷された媒体を読み取ることが可能となり、媒体搬送装置100は、印刷装置114による印刷結果を含めてデータとして保存することが可能となる。
【0037】
印刷装置114は、利用者による操作に従って、幅方向A12における所定位置に配置される。そして、印刷装置114は、処理回路からの制御に従って、搬送される媒体の裏面のその所定位置と対向する位置に所定の情報を印刷する。所定の情報は、操作装置107又は不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)を用いて利用者により指定された文字、数字等の情報である。印刷装置114は、インクジェットタイプのプリンタであり、複数のインク噴射口が形成されたプリンタヘッドを有し、印刷装置114の位置を通過する媒体にインクを噴射することにより、媒体に所定の情報を印刷する。
【0038】
なお、印刷装置114に代えて、又は加えて、プリンタ下側筐体109に設けられ、搬送される媒体の表面に所定の情報を印刷する印刷装置が使用されてもよい。また、印刷装置114は、レーザータイプ等、インクジェットタイプ以外のプリンタでもよい。
【0039】
印刷装置センサ115は、媒体搬送方向A1において印刷装置114と重なるように、且つ、幅方向A12において搬送路側壁側の所定位置に配置され、配置された所定位置から印刷装置114までの距離を測定する測距センサである。印刷装置センサ115は、赤外線を照射してから反射した赤外線を受信するまでの時間差から、対向する位置に存在する物体までの距離を測定する。印刷装置センサ115は、発光器115a及び受光器115bを含む。発光器115aは、幅方向A12の中央側、即ち印刷装置114に向けて光(赤外光)を照射する。一方、受光器115bは、発光器115aにより照射され、印刷装置114により反射された光を受光し、発光器115aが光を照射してから受光器115bが光を受光するまでの時間に応じた電気信号である検出信号を生成して出力する。即ち、検出信号は、印刷装置センサ115が配置された所定位置から印刷装置114までの距離に応じた信号である。
【0040】
なお、印刷装置センサ115は、発光器115a及び受光器115bの代わりに、超音波を発信する発信器及び受信する受信器を含み、超音波を発信してから反射した超音波を受信するまでの時間差から、印刷装置114までの距離を測定してもよい。その場合、印刷装置センサ115は、発信器が超音波を発信してから受信器が超音波を受信するまでの時間に応じた電気信号を検出信号として生成する。または、印刷装置センサ115は、可聴音を発信する発信器及び受信する受信器を含み、可聴音を発信してから反射した可聴音を受信するまでの時間差から、印刷装置114までの距離を測定してもよい。その場合、印刷装置センサ115は、発信器が可聴音を発信してから受信器が可聴音を受信するまでの時間に応じた電気信号を検出信号として生成する。
【0041】
また、印刷装置114に金属等の導体が貼り付けられ、印刷装置センサ115として、コイルを含み、且つ、導体表面に発生する渦電流による磁気損失を検出する誘導型近接センサが使用されてもよい。その場合、印刷装置センサ115は、コイルにおけるインピーダンスの大きさに応じた電気信号を検出信号として生成する。または、印刷装置114に金属又は誘電体が貼り付けられ、印刷装置センサ115として、印刷装置114と印刷装置センサ115の間の静電容量の変化を検出する静電容量型近接センサが使用されてもよい。その場合、印刷装置センサ115は、印刷装置114と印刷装置センサ115の間の静電容量の大きさに応じた電気信号を検出信号として生成する。
【0042】
また、印刷装置114に磁石が貼り付けられ、印刷装置センサ115として、印刷装置114と印刷装置センサ115の間の地場(磁界)の大きさを検出する磁気センサが使用されてもよい。その場合、印刷装置センサ115は、印刷装置114と印刷装置センサ115の間の磁界の大きさに応じた電気信号を検出信号として生成する。
【0043】
また、印刷装置センサ115として、光学式のロータリエンコーダを含み、且つ、印刷装置114の初期位置(所定位置)からの移動量を検出するセンサが使用されてもよい。ロータリエンコーダは、多数のスリットが形成され且つ印刷装置114の移動に従って回転するように設けられた円板と、その円板を挟んで対向するように設けられた発光器及び受光器とを有する。その場合、印刷装置センサ115は、発光器と受光器の間にスリットが存在する状態と、スリットが存在せずに円板により遮られている状態との変化回数に応じた電気信号を検出信号として生成する。
【0044】
また、印刷装置センサ115として、光学式のリニアエンコーダを含み、且つ、印刷装置114の初期位置(所定位置)からの移動量を検出するセンサが使用されてもよい。光学式のリニアエンコーダは、格子目盛が形成されたガラススケールと、そのガラススケールを挟んで対向し且つ印刷装置114の移動に従って移動するように設けられた発光器及び受光器とを有する。その場合、印刷装置センサ115は、受光器における光量変化回数に応じた電気信号を検出信号として生成する。
【0045】
また、印刷装置センサ115として、磁気式のリニアエンコーダを含み、且つ、印刷装置114の初期位置(所定位置)からの移動量を検出するセンサが使用されてもよい。磁気式のリニアエンコーダは、所定の磁気パターンが形成された磁気スケールと、その磁気スケールと対向し且つ印刷装置114の移動に従って移動するように設けられた磁気検出ヘッドとを有する。その場合、印刷装置センサ115は、磁気検出ヘッドが検出した磁気変化回数に応じた電気信号を検出信号として生成する。
【0046】
また、印刷装置センサ115として、摺動抵抗器を含み、且つ、摺動抵抗器による電圧を検出するセンサが使用されてもよい。摺動抵抗器は、幅方向A12に延伸し且つ両端の端子から定電圧がかけられる抵抗体と、その抵抗体に当接しながら印刷装置114の移動に従って移動するように設けられた接点(摺動子)とを有する。その場合、印刷装置センサ115は、抵抗体の一端から摺動子までにかかる電圧の大きさに応じた電気信号を検出信号として生成する。
【0047】
図4は、媒体搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0048】
媒体搬送装置100は、前述した構成に加えて、第1モータ141、第2モータ142、インタフェース装置143、記憶装置150及び処理回路160等をさらに有する。
【0049】
第1モータ141は、一つ又は複数のモータを含み、処理回路160からの制御信号によって、給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1~第8搬送ローラ116~117、122~125、128~129を駆動して回転させ、媒体を給送及び搬送させる。
【0050】
第2モータ142は、処理回路160からの制御信号によって、第7搬送ローラ128及び/又は第8搬送ローラ129を回転軸として支持するシャフトを幅方向A12の一端を中心に媒体搬送路の搬送面に沿って回転させる。これにより、第2モータ142は、第7搬送ローラ128及び第8搬送ローラ129による媒体の排出方向を変更する。
【0051】
インタフェース装置143は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、情報処理装置と電気的に接続して入力画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置143の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース装置とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。
【0052】
記憶装置150は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置150には、媒体搬送装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置150にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)等である。
【0053】
処理回路160は、予め記憶装置150に記憶されているプログラムに基づいて動作する。処理回路は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。処理回路160として、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。
【0054】
処理回路160は、操作装置107、表示装置108、第1媒体センサ111、印刷装置114、印刷装置センサ115、第2媒体センサ121、第3媒体センサ126、撮像装置127、第1モータ141、第2モータ142、インタフェース装置143及び記憶装置150等と接続され、これらの各部を制御する。処理回路160は、第1モータ141を駆動して各ローラに媒体を搬送させ、印刷装置114にその媒体に所定の情報を印刷させ、撮像装置127から入力画像を取得してインタフェース装置143を介して情報処理装置に送信する。特に、処理回路160は、印刷装置センサ115から受信した検出信号と入力画像とに基づいて、媒体上に印刷が可能であるか否かを判定し、判定結果に基づいて異常処理を実行する。
【0055】
図5は、記憶装置150及び処理回路160の概略構成を示す図である。
【0056】
図5に示すように、記憶装置150には、制御プログラム151、検出プログラム152、判定プログラム153、印刷判定プログラム154及び出力制御プログラム155等が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。処理回路160は、記憶装置150に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、処理回路160は、制御部161、検出部162、判定部163、印刷判定部164及び出力制御部165として機能する。
【0057】
図6図7は、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0058】
以下、図6図7に示したフローチャートを参照しつつ、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置150に記憶されているプログラムに基づき主に処理回路160により媒体搬送装置100の各要素と協働して実行される。図6図7に示す動作のフローは、定期的に実行される。
【0059】
最初に、制御部161は、利用者により操作装置107を用いて媒体の読み取りの指示が入力されて、媒体の読み取りを指示する操作信号を操作装置107から受信するまで待機する(ステップS101)。
【0060】
次に、制御部161は、第1媒体センサ111から第1媒体信号を取得し、取得した第1媒体信号に基づいて、載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する(ステップS102)。
【0061】
載置台103に媒体が載置されていない場合、制御部161は、ステップS101へ処理を戻し、操作装置107から新たに操作信号を受信するまで待機する。
【0062】
一方、載置台103に媒体が載置されている場合、検出部162は、媒体搬送方向と直交する幅方向A12における印刷装置114の配置位置を検出する(ステップS103)。検出部162は、印刷装置センサ115から検出信号を取得し、取得した検出信号に基づいて、印刷装置114の配置位置を検出する。媒体搬送装置100は、検出信号の信号値と、幅方向A12における印刷装置114の配置位置との対応関係を記憶した位置テーブルを予め記憶装置150に記憶する。検出部162は、位置テーブルを参照して、検出信号の信号値に対応する配置位置を特定することにより、印刷装置114の配置位置を検出する。なお、幅方向A12における印刷装置114の印刷範囲を考慮して、位置テーブルにおいて、印刷装置114の配置位置として印刷装置114の印刷領域が記憶され、検出部162は、印刷装置114の配置位置として印刷装置114の印刷領域を検出してもよい。
【0063】
このように、検出部162は、印刷装置センサ115により検出された、所定位置から印刷装置114までの距離に基づいて、幅方向A12における印刷装置114の配置位置を検出する。検出部162は、距離センサを利用することにより、精度良く印刷装置114の配置位置を特定することができる。
【0064】
次に、制御部161は、第1モータ141を駆動して回転させ、給送ローラ112、ブレーキローラ113、第1~第8搬送ローラ116~117、122~125、128~129を回転させて、媒体を給送及び搬送させる(ステップS104)。
【0065】
次に、判定部163は、撮像装置127から入力画像を取得する(ステップS105)。なお、判定部163は、媒体の先端が撮像装置127の手前に到達した時に入力画像の取得を開始してもよい。その場合、判定部163は、第3媒体センサ126から第3媒体信号を定期的に受信し、第3媒体信号の信号値が、媒体が存在しないことを示す値から存在することを示す値に変化した場合、媒体の先端が撮像装置127の手前に到達したと判定する。これにより、判定部163は、媒体読取処理の処理負荷を低減させることができる。
【0066】
次に、判定部163は、取得した入力画像から、媒体の媒体搬送方向と直交する幅方向A12における位置である媒体位置を検出する(ステップS106)。
【0067】
判定部163は、まず、順次生成された入力画像毎にエッジ画素を検出する。判定部163は、入力画像の左端から順に各画素と各画素の右側に隣接する画素又は所定距離だけ離れた画素との階調値の差の絶対値(以下、隣接差分値と称する)を算出する。階調値は、輝度値又は色値である。判定部163は、隣接差分値がエッジ閾値以上である最初(最も左側)の画素を左端エッジ画素として検出する。エッジ閾値は、例えば、人が画像上の輝度の違いを目視により判別可能な階調値の差(例えば20)に設定することができる。同様に、判定部163は、入力画像の右端から順に各画素と各画素の左側の画素との隣接差分値を算出し、隣接差分値がエッジ閾値以上である最初の画素を右端エッジ画素として検出する。判定部163は、入力画像の左端から順に各画素と各画素の左側の画素との隣接差分値を算出し、隣接差分値がエッジ閾値以上である最後の画素を右端エッジ画素として検出してもよい。
【0068】
なお、判定部163は、各画素の両隣の画素又は所定距離だけ離れた二つの画素の階調値の差の絶対値を隣接差分値として算出してもよい。また、判定部163は、特定の画素の階調値が閾値未満であり、特定の画素に隣接する画素又は所定距離だけ離れた画素の階調値が閾値以上である場合、特定の画素、特定の画素に隣接する画素又は所定距離だけ離れた画素をエッジ画素として抽出してもよい。
【0069】
隣接差分値がエッジ閾値以上である画素が存在しない場合、判定部163は、その入力画像からエッジ画素を検出しない。入力画像から左端エッジ画素及び右端エッジ画素を検出した場合、判定部163は、左端エッジ画素と右端エッジ画素で挟まれた領域を媒体位置として検出する。
【0070】
次に、判定部163は、入力画像から媒体位置が検出されたか否かを判定する(ステップS107)。入力画像から媒体位置が検出されなかった場合、判定部163は、処理をステップS105へ戻し、新たなラインが撮像された入力画像についてステップS105~S107の処理を繰り返す。
【0071】
一方、入力画像から媒体位置が検出された場合、判定部163は、入力画像から検出された媒体位置と印刷装置114の配置位置とを比較して、媒体上に印刷装置114による印刷が可能であるか否かを判定する(ステップS108)。判定部163は、印刷装置114の配置位置(領域)が、入力画像から検出された媒体位置に対応する実際の媒体位置(領域)に含まれるか否かを判定する。印刷装置114の配置位置(領域)の全体が実際の媒体位置(領域)の内側に位置する場合、判定部163は、媒体上に印刷装置114による印刷が可能であると判定する。一方、印刷装置114の配置位置(領域)の少なくとも一部が、実際の媒体位置(領域)の外側に位置する場合、判定部163は、媒体上に印刷装置114による印刷ができないと判定する。
【0072】
判定部163により媒体上に印刷ができないと判定された場合、制御部161は、異常処理を実行する(ステップS109)。制御部161は、異常処理として、印刷装置114による媒体への印刷を停止し、処理をステップS115へ移行する。また、制御部161は、異常処理として、印刷装置114による媒体への印刷を停止させたことを示す情報を表示装置108に表示し又はインタフェース装置143を介して情報処理装置に送信することにより利用者に通知してもよい。これにより、媒体搬送装置100は、媒体が存在しない位置に誤ってインクを噴射してしまうことを抑制できる。
【0073】
なお、制御部161は、異常処理として、第1モータ141を停止して、搬送部による媒体の給送及び搬送を停止し、一連のステップを終了してもよい。その場合、制御部161は、異常処理として、媒体の給送及び搬送を停止したことを示す情報を表示装置108に表示し又はインタフェース装置143を介して情報処理装置に送信することにより利用者に通知してもよい。この場合も、媒体搬送装置100は、媒体が存在しない位置に誤ってインクを噴射してしまうことを抑制できる。
【0074】
また、制御部161は、異常処理として、第1モータ141を一時的に停止して、搬送部による媒体の給送及び搬送を一時的に停止してもよい。その場合、制御部161は、印刷装置114の位置を変更することを指示する情報を表示装置108に表示し又はインタフェース装置143を介して情報処理装置に送信することにより利用者に通知する。制御部161は、操作装置107又は情報処理装置を用いて、利用者から印刷装置114の位置が変更された旨を受け付けると、ステップS103の処理と同様にして、印刷装置114の配置位置を再検出する。次に、制御部161は、ステップS108へ処理を戻し、判定部163は、入力画像から検出された媒体位置と、再検出した印刷装置114の配置位置とを比較して、媒体上に印刷装置114による印刷が可能であるか否かを再判定する。判定部163により、媒体上に印刷装置114による印刷が可能であると判定された場合、制御部161は、第1モータ141を再駆動し、ステップS110以降の処理を実行する。これにより、利用者は媒体を載置台103に再載置することなく、媒体読取処理を継続させることが可能となり、媒体搬送装置100は、利用者の利便性を向上させることが可能となる。
【0075】
また、制御部161は、異常処理として、媒体の排出位置を変更してもよい。その場合、制御部161は、第2モータ142を駆動して、第7、第8搬送ローラ128、129による媒体の排出方向を初期方向から変更し、処理をステップS115へ移行する。これにより、排出台104上において、所定の情報が印刷された媒体と、印刷されなかった媒体とが区別可能に積載される。利用者は、所定の情報が印刷された媒体と、印刷されなかった媒体とを容易に分別することができ、媒体搬送装置100は利用者の利便性を向上させることができる。
【0076】
一方、判定部163により媒体上に印刷可能であると判定された場合、制御部161は、媒体に所定情報を印刷するように印刷装置114を制御する(ステップS110)。なお、媒体搬送装置100は、操作装置107又は情報処理装置を用いて、利用者から媒体搬送方向A1における印刷領域の指定を予め受け付けていてもよい。その場合、制御部161は、媒体の給送を開始してから第1所定時間が経過した時に、媒体に所定情報を印刷するように印刷装置114を制御する。第1所定時間は、給送ローラ112とブレーキローラ113のニップ位置から印刷装置114の印刷位置までの距離に、媒体の先端から指定された印刷領域までの距離を加算した加算値を、第1モータ141による媒体の搬送速度で除算した除算値に設定される。
【0077】
次に、印刷判定部164は、印刷装置114に印刷をさせてから第2所定時間が経過したか否かを判定する(ステップS111)。第2所定時間は、印刷装置114の印刷位置から撮像装置127の撮像位置までの距離を、第1モータ141による媒体の搬送速度で除算した除算値にマージンを加算した値に設定される。即ち、第2所定時間は、印刷装置114により媒体に印刷がされた場合に、媒体内で印刷された領域が撮像装置127の撮像位置を十分に通過可能な時間に設定される。
【0078】
次に、印刷判定部164は、入力画像に基づいて部分画像を生成する(ステップS112)。印刷判定部164は、印刷装置114に印刷をさせてから第2所定時間が経過する直前の一定時間内に撮像装置127によって生成された入力画像を合成して部分画像を生成する。なお、印刷判定部164は、現在までに撮像装置127によって生成された全ての入力画像を合成して部分画像を生成してもよい。
【0079】
次に、印刷判定部164は、部分画像に基づいて、搬送される媒体に印刷装置114による印刷がされているか否かを判定する(ステップS113)。印刷判定部164は、例えば公知のOCR(Optical Character Recognition/Reader)技術を用いて、所定情報に必ず含まれる固有文字が部分画像に含まれているか否かを判定する。印刷判定部164は、固有文字が部分画像に含まれる場合、部分画像に所定情報が含まれると判定する。印刷判定部164は、部分画像に所定情報が含まれている場合、搬送される媒体に印刷装置114による印刷がされていると判定し、部分画像に所定情報が含まれていない場合、搬送される媒体に印刷装置114による印刷がされていないと判定する。
【0080】
なお、印刷判定部164は、公知のパターンマッチング技術を用いて、部分画像に所定情報が含まれるか否かを判定してもよい。その場合、媒体搬送装置100は、所定情報に必ず含まれる固有形状又はウォーターマーク等を含むサンプル画像を予め記憶装置150に記憶しておく。印刷判定部164は、部分画像内で切り出し位置をずらしながら、サンプル画像と同一サイズの領域を切り出し、切り出した領域とサンプル画像の類似の程度を算出する。類似の程度として、例えば正規化相互相関値が使用される。印刷判定部164は、算出した類似の程度が閾値以上である場合、部分画像に所定情報が含まれると判定する。
【0081】
また、印刷判定部164は、部分画像内で、印刷装置114により印刷される色の色値を有する画素(又はその色値との差が所定範囲内である色値を有する画素)の数又は割合が閾値以上である場合に、部分画像に所定情報が含まれると判定してもよい。
【0082】
印刷判定部164により、媒体に印刷装置114による印刷がされていないと判定された場合、制御部161は、第2異常処理を実行する(ステップS114)。制御部161は、第2異常処理として、印刷装置114による媒体への印刷が失敗したことを示す情報を表示装置108に表示し又はインタフェース装置143を介して情報処理装置に送信することにより利用者に通知する。これにより、利用者は、印刷装置114においてインク切れ又はインク詰まり等が発生していることを認識し、適切に対処することができる。
【0083】
なお、制御部161は、第2異常処理として、以降の印刷装置114による媒体への印刷を禁止してもよい。その場合、制御部161は、第2異常処理として、印刷装置114による媒体への印刷を禁止したことを示す情報を表示装置108に表示し又はインタフェース装置143を介して情報処理装置に送信することにより利用者に通知してもよい。これにより、利用者は、印刷装置114においてインク切れ又はインク詰まり等が発生していることを認識し、適切に対処することができる。また、媒体搬送装置100は、以降に搬送される媒体に対して無駄な印刷処理の実行を省略でき、媒体読取処理の処理負荷を低減させることができる。
【0084】
また、制御部161は、第2異常処理として、異常処理と同様に、第1モータ141を停止して、搬送部による媒体の給送及び搬送を停止してもよい。
【0085】
また、制御部161は、第2異常処理として、異常処理と同様に、第1モータ141を一時的に停止して、搬送部による媒体の給送及び搬送を一時的に停止してもよい。その場合、制御部161は、印刷装置114による媒体への印刷が失敗したことを示す情報を表示装置108に表示し又はインタフェース装置143を介して情報処理装置に送信することにより利用者に通知する。制御部161は、操作装置107又は情報処理装置を用いて、利用者から印刷装置114のインクが交換された旨を受け付けると、第1モータ141を再駆動し、ステップS110の処理と同様にして、媒体に所定情報を印刷するように印刷装置114を制御する。次に、制御部161は、ステップS112へ処理を戻し、印刷判定部164は、搬送される媒体に印刷装置114による印刷がされているか否かを再判定する。これにより、利用者は媒体を載置台103に再載置することなく、媒体読取処理を継続させることが可能となり、媒体搬送装置100は、利用者の利便性を向上させることが可能となる。
【0086】
また、制御部161は、第2異常処理として、異常処理と同様に、媒体の排出位置を変更してもよい。
【0087】
一方、印刷判定部164により、媒体に印刷装置114による印刷がされていると判定された場合、出力制御部165は、媒体の後端が撮像装置127の撮像位置を通過したか否かを判定する(ステップS115)。出力制御部165は、第3媒体センサ126から第3媒体信号を定期的に受信し、第3媒体信号の信号値が、媒体が存在することを示す値から存在しないことを示す値に変化した場合、媒体の後端が第3媒体センサ126の位置を通過したと判定する。出力制御部165は、媒体の後端が第3媒体センサ126の位置を通過してから第3所定時間が経過した場合に、媒体の後端が撮像位置を通過したと判定する。第3所定時間は、第3媒体センサ126の位置から撮像位置までの距離を、第1モータ141による媒体の搬送速度で除算した除算値にマージンを加算した値に設定される。
【0088】
媒体の後端が撮像位置を通過した場合、出力制御部165は、現在までに撮像装置127により生成された入力画像を合成して読取画像を生成し、インタフェース装置143を介して情報処理装置へ送信することにより出力する(ステップS116)。読取画像は、入力画像に基づく画像の一例である。なお、出力制御部165は、入力画像をそのまま情報処理装置へ出力してもよい。その場合、情報処理装置が、入力画像を合成して読取画像を生成する。
【0089】
次に、制御部161は、第1媒体センサ111から取得する第1媒体信号に基づいて載置台103に媒体が残っているか否かを判定する(ステップS117)。載置台103に媒体が残っている場合、制御部161は、ステップS103へ処理を戻し、ステップS103~S117の処理を繰り返す。制御部161は、媒体が搬送されるたびに印刷装置114の配置位置を検出することにより、媒体搬送中に印刷装置114が移動された場合でも、媒体上に印刷装置114による印刷が可能であるか否かを適切に判定することができる。なお、媒体搬送中に印刷装置114が移動されることが禁止されている場合、制御部161は、ステップS104へ処理を戻してもよい。これにより、媒体搬送装置100は、媒体読取処理の処理負荷を低減させることができる。
【0090】
一方、載置台103に媒体が残っていない場合、制御部161は、第1モータ141を停止させて(ステップS118)、一連のステップを終了する。
【0091】
なお、媒体読取処理において、ステップS111~S114の処理は省略されてもよい。
【0092】
以上詳述したように、媒体搬送装置100は、搬送される媒体を撮像した入力画像から検出された媒体位置と、印刷装置114の配置位置とを比較して、搬送される媒体上に印刷が可能であるか否かを判定する。これにより、媒体搬送装置100は、媒体をスキャンするための撮像装置127を利用して、搬送される媒体上に印刷が可能であるか否かを判定することが可能となり、装置コストが増大することを抑制しつつ、媒体への印刷を良好に制御することが可能となった。
【0093】
また、媒体搬送装置100は、印刷装置114のセット位置が不適切な場合、又は、それぞれサイズが異なる複数の媒体がまとめて搬送される場合等に、媒体への印刷漏れが発生することを抑制することが可能となった。また、媒体搬送装置100は、誤った位置へのインクの噴射を抑制することが可能となり、結果として、インクの消費量を低減させることが可能となった。これらにより、媒体搬送装置100は、利用者の利便性を向上させることが可能となった。
【0094】
特に、媒体搬送装置100において、印刷装置114は、撮像装置127より上流側に配置される。これにより、媒体搬送装置100は、撮像装置127により生成された入力画像に基づいて、搬送される媒体に印刷装置114による印刷がされているか否かを判定することが可能となった。したがって、媒体搬送装置100は、装置コストが増大することを抑制しつつ、印刷装置114におけるインク切れ又はインク詰まり等の発生を適切に検出することが可能となった。
【0095】
図8は、他の実施形態に係る媒体搬送装置の印刷装置センサ215等について説明するための模式図である。図8は、カバー110aを開いた状態でプリンタ上側筐体110の一部を上方から見た模式図である。
【0096】
図8に示すように、印刷装置センサ215は、媒体搬送方向と直交する幅方向A12において間隔を空けて複数並べて配置され且つ印刷装置114を検出するアレイ状センサである。各印刷装置センサ215は、印刷装置114より下方(媒体搬送路側)に配置された発光器215a及び受光器215bを含む。各発光器215aは、上方(カバー110a側)に向けて光(赤外光)を照射する。一方、各受光器215bは、対応する発光器215aにより照射され、印刷装置114又はカバー110aにより反射された光を受光する。そして、各受光器215bは、発光器215aが光を照射してから受光器215bが光を受光するまでの時間が閾値未満であるか否かにより、信号値が変化する検出信号を生成して出力する。閾値は、各印刷装置センサ215に対向する位置に印刷装置114が存在する場合に受光器215bが光を受光するまでの時間と、その位置に印刷装置114が存在しない場合に受光器215bが光を受光するまでの時間との間の値に設定される。
【0097】
即ち、受光器215bが光を受光するまでの時間が閾値未満である場合、検出信号の信号値は、印刷装置センサ215に対向する位置に印刷装置114が存在することを示す。一方、受光器215bが光を受光するまでの時間が閾値以上である場合、検出信号の信号値は、印刷装置センサ215に対向する位置に印刷装置114が存在しないことを示す。このように、検出信号は、各印刷装置センサ215が配置された位置に印刷装置114が存在するか否かを示す信号である。
【0098】
なお、印刷装置114を挟んで各発光器215a及び各受光器215bと対向する位置にミラー等の反射部材が設けられ、各受光器215bは、対応する発光器215aにより照射され、印刷装置114又は反射部材により反射された光を受光してもよい。その場合、各受光器215bは、受光した光の強度に応じた電気信号を第3媒体信号として生成してもよい。印刷装置センサ215と対向する位置に印刷装置114が存在する場合、発光器215aにより照射された光は印刷装置114により遮光される。そのため、印刷装置センサ215と対向する位置に印刷装置114が存在する状態と存在しない状態とで第3媒体信号の信号値は変化する。
【0099】
また、各発光器及び受光器は、印刷装置114より上方(カバー110a側)に配置され、各発光器は、下方(媒体搬送路側)に向けて光を照射してもよい。また、各発光器及び受光器は、印刷装置114が配置される位置を挟んで上下に対向して配置され、各発光器は、各受光器に向けて光を照射してもよい。その場合、各受光器は、受光した光の強度が閾値以上であるか否かにより信号値が変化する信号を検出信号として生成する。閾値は、各印刷装置センサ215に対向する位置に印刷装置114が存在する場合に受光器215bが受光する光の強度と、その位置に印刷装置114が存在しない場合に受光器215bが受光する光の強度との間の値に設定される。
【0100】
また、各印刷装置センサ215として、接触検出センサが使用されてもよい。その場合、各印刷装置センサ215は、例えば、ばね等により印刷装置114側に向けて付圧されつつ、印刷装置114に当接すると印刷装置114の反対側に押し込まれる押し込みスイッチを含む。各印刷装置センサ215は、各押し込みスイッチが印刷装置114の反対側に押し込まれているか否かにより信号値が変化する信号を検出信号として生成する。
【0101】
また、印刷装置114に金属等の導体が貼り付けられ、各印刷装置センサ215として、コイルを含み、且つ、導体表面に発生する渦電流による磁気損失を検出する誘導型近接センサが使用されてもよい。その場合、各印刷装置センサ215は、コイルにおけるインピーダンスの大きさが閾値以上であるか否かにより信号値が変化する信号を検出信号として生成する。閾値は、各印刷装置センサ215に対向する位置に印刷装置114が存在する場合のインピーダンスの大きさと、その位置に印刷装置114が存在しない場合のインピーダンスの大きさとの間の値に設定される。
【0102】
また、印刷装置114に磁石が貼り付けられ、各印刷装置センサ215として、印刷装置114と印刷装置センサ215の間の地場(磁界)の大きさを検出する磁気センサが使用されてもよい。その場合、各印刷装置センサ215は、印刷装置114と印刷装置センサ215の間の磁界の大きさが閾値以上であるか否かにより信号値が変化する信号を検出信号として生成する。閾値は、各印刷装置センサ215に対向する位置に印刷装置114が存在する場合の磁界の大きさと、その位置に印刷装置114が存在しない場合の磁界の大きさとの間の値に設定される。
【0103】
印刷装置センサ215が使用される場合、図6のステップS103において、検出部162は、複数の印刷装置センサ215のそれぞれから検出信号を取得する。検出部162は、各印刷装置センサ215から取得した検出信号の信号値が、各印刷装置センサ215の位置に印刷装置114が存在することを示すか否かにより、印刷装置114の配置位置を検出する。
【0104】
このように、検出部162は、複数の印刷装置センサ215による検知結果に基づいて、幅方向A12における印刷装置114の配置位置を検出する。アレイ状センサは比較的安価であり、媒体搬送装置は、アレイ状センサを利用することにより、媒体搬送装置の装置コストを低減させることができる。
【0105】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、アレイ状センサを使用する場合においても、装置コストが増大することを抑制しつつ、媒体への印刷を良好に制御することが可能となった。
【0106】
図9は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置の印刷装置センサ315等について説明するための模式図である。図9は、カバー110aを開いた状態でプリンタ上側筐体110の一部を上方から見た模式図である。
【0107】
図9に示すように、印刷装置センサ315は、印刷装置114の移動可能範囲を撮像した画像を生成する撮像センサである。印刷装置センサ315は、印刷装置114より上流側に、印刷装置114側を撮像するように配置される。なお、印刷装置センサ315は、印刷装置114より下流側に、印刷装置114側を撮像するように配置されてもよい。印刷装置センサ315は、印刷装置114の移動可能範囲を撮像した印刷装置画像を生成して出力する。
【0108】
印刷装置センサ315が使用される場合、図6のステップS103において、検出部162は、印刷装置センサ315から印刷装置画像を取得する。検出部162は、例えば公知のパターンマッチング技術を用いて、印刷装置画像内で印刷装置114が含まれる位置を検出する。媒体搬送装置100は、印刷装置114が撮像されたサンプル画像を予め記憶装置150に記憶しておく。検出部162は、印刷装置画像内で切り出し位置をずらしながら、サンプル画像と同一サイズの領域を切り出し、切り出した領域とサンプル画像の類似の程度を算出する。類似の程度として、例えば正規化相互相関値が使用される。検出部162は、印刷装置画像内で、算出した類似の程度が最大である領域に印刷装置114が含まれると判定し、その領域に対応する媒体搬送装置100内の実際の位置を印刷装置114の配置位置として検出する。
【0109】
このように、検出部162は、印刷装置センサ315により生成された印刷装置画像に基づいて、幅方向A12における印刷装置114の配置位置を検出する。検出部162は、撮像センサを利用することにより、印刷装置114の配置位置を柔軟に検出でき、例えば媒体搬送装置100が印刷装置114を複数有する場合でも、各印刷装置114の配置位置を検出できる。
【0110】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、撮像センサを使用する場合においても、装置コストが増大することを抑制しつつ、媒体への印刷を良好に制御することが可能となった。
【0111】
図10は、他の実施形態に係る媒体搬送装置400を示す斜視図である。
【0112】
媒体搬送装置400は、媒体搬送装置100が有する各部を有し、プリンタユニット102の代わりに、プリンタユニット402を有する。プリンタユニット402は、プリンタ下側筐体409及びプリンタ上側筐体410等を備える。
【0113】
本体下側筐体105は、プリンタユニット402に対して着脱可能に係合されるように、プリンタユニット402上に載置される。プリンタユニット402は、L字状に形成されている。本体下側筐体105は、排出台104側の側面と下面とがそれぞれ、プリンタユニット402の略鉛直方向に延伸する部分の載置台103側の側面と略水平方向に延伸する部分の上面とに当接するように配置される。本体上側筐体106は、排出台104側の側面がプリンタユニット402の載置台103側の側面と当接するように配置される。
【0114】
プリンタユニット402は、搬送される媒体に所定の情報を印刷するインプリンタである。プリンタ上側筐体410は、プリンタユニット402の上面を覆う位置に配置され、媒体つまり時、プリンタユニット402内部の清掃時等に開閉可能なようにヒンジによりプリンタ下側筐体409に係合している。なお、プリンタユニット402は、本体101と別体で構成されるのでなく、本体101と一体に構成されてもよい。
【0115】
載置台103は、搬送される媒体を載置可能に本体下側筐体105に係合している。排出台104は、排出された媒体を保持可能にプリンタ上側筐体410に係合している。排出台104は、媒体搬送装置400の前面(プリンタ上側筐体410)と対向するように折り畳み可能に設けられている。
【0116】
図11は、媒体搬送装置400内部の搬送経路を説明するための図である。
【0117】
媒体搬送装置400内部の搬送経路は、プリンタユニット402内部に、第1媒体センサ411、第9搬送ローラ412、第10搬送ローラ413、印刷装置414、印刷装置センサ415、第11搬送ローラ416及び第12搬送ローラ417等を有する。また、この搬送経路は、媒体搬送装置100の本体101が有する各部を有する。但し、第2媒体センサ121は、載置台103に媒体が載置されているか否かを検出し、載置台103に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する第2媒体信号を生成して出力する。また、第3搬送ローラ122及び第4搬送ローラ123は、給送ローラ及びブレーキローラとして機能し、第4搬送ローラ123は、媒体の給送方向と反対方向A13に回転する。
【0118】
本体101は、プリンタ下側筐体409の上面に設けられたツメ418を、本体下側筐体105の下面に設けられた穴131を介して凹部132に嵌合させることにより、プリンタユニット402と係合される。本体101がプリンタユニット402と係合した状態では、本体101の媒体排出口がプリンタユニット402の媒体流入口と対向する。本体下側筐体105及びプリンタ下側筐体409の上面は、媒体の搬送路の下側ガイド420aを形成し、本体上側筐体106及びプリンタ上側筐体410の下面は、媒体の搬送路の上側ガイド420bを形成する。プリンタ上側筐体410は、開閉可能なカバー410aを有し、利用者はカバー410aを開くことにより印刷装置414の配置位置を移動させることができる。
【0119】
第1媒体センサ411は、第7搬送ローラ128及び第8搬送ローラ129より下流側且つ第9搬送ローラ412及び第10搬送ローラ413より下流側に配置される。第1媒体センサ411は、第3媒体センサ126と同様の構成を有し、その位置に媒体が存在するか否かを検出する。
【0120】
印刷装置414及び印刷装置センサ415は、それぞれ印刷装置114及び印刷装置センサ115、215又は315と同様の構成を有する。但し、印刷装置414及び印刷装置センサ415は、プリンタ上側筐体410に、媒体搬送方向A1において撮像装置127より下流側に配置される。これにより、撮像装置127は、印刷装置414により印刷される前の媒体を読み取ることが可能となり、媒体搬送装置400は、印刷装置414による印刷結果を含まない画像を保存することが可能となる。
【0121】
第11搬送ローラ416及び第12搬送ローラ417は、媒体搬送装置400が有するローラの中で最も下流側に配置され、媒体を排出台104に排出するための排出ローラとして機能する。第11搬送ローラ416及び/又は第12搬送ローラ417を回転軸として支持するシャフトは、処理回路160からの制御に従って、幅方向A12の一端を中心に媒体搬送路の搬送面に沿って揺動可能に設けられる。即ち、第11搬送ローラ416及び/又は第12搬送ローラ417は、処理回路160からの制御に従って、媒体の排出方向を変更可能に設けられる。
【0122】
載置台103に載置された媒体は、給送ローラとして機能する第3搬送ローラ122が図11の矢印A6の方向に回転することによって、下側ガイド420aと上側ガイド420bの間を媒体搬送方向A1に向かって搬送される。ブレーキローラとして機能する第4搬送ローラ123は、媒体搬送時、矢印A13の方向に回転する。第3搬送ローラ122及び第4搬送ローラ123の働きにより、載置台103に複数の媒体が載置されている場合、載置台103に載置されている媒体のうち第3搬送ローラ122と接触している媒体のみが分離される。
【0123】
媒体は、下側ガイド420aと上側ガイド420bによりガイドされながら、第5~第6搬送ローラ124~125がそれぞれ矢印A8~A9の方向に回転することによって、第1撮像装置127aと第2撮像装置127bの間に送り込まれる。撮像装置127により読み取られた媒体は、第7~第10搬送ローラ128~129、412~413がそれぞれ矢印A10~A11、A13~A14の方向に回転することによって印刷装置414の位置に送り込まれる。印刷装置414により印刷された媒体は、第11~第12搬送ローラ416~417がそれぞれ矢印A15~A16の方向に回転することによって排出台104上に排出される。第3~第12搬送ローラ122~125、128~129、412~413、416~417は、媒体を搬送する搬送部の一例である。
【0124】
図12は、媒体搬送装置400の概略構成を示すブロック図である。
【0125】
媒体搬送装置400は、前述した構成に加えて、第1モータ441、第2モータ442、インタフェース装置143、記憶装置150及び処理回路160等をさらに有する。インタフェース装置143、記憶装置150及び処理回路160は、媒体搬送装置100が有するインタフェース装置143、記憶装置150及び処理回路160と同様の構成を有する。
【0126】
第1モータ441は、一つ又は複数のモータを含み、処理回路160からの制御信号によって、第3~第12搬送ローラ122~125、128~129、412~413、416~417を駆動して回転させ、媒体を給送及び搬送させる。
【0127】
第2モータ442は、処理回路160からの制御信号によって、第11搬送ローラ416及び/又は第12搬送ローラ417を回転軸として支持するシャフトを幅方向A12の一端を中心に媒体搬送路の搬送面に沿って回転させる。これにより、第2モータ442は、第11搬送ローラ416及び第12搬送ローラ417による媒体の排出方向を変更する。
【0128】
図13及び図14は、媒体搬送装置400の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0129】
図13及び図14に示す媒体読取処理は、図6及び図7に示した媒体読取処理の代わりに実行される。図13及び図14に示すフローチャートのステップS201~S208、S215~S216の処理は、図6及び図7に示したフローチャートのステップS101~S108、S117~S118の処理と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0130】
但し、ステップS202及びS215において、制御部161は、第2媒体センサ121から第2媒体信号を取得し、取得した第2媒体信号に基づいて、載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する。また、ステップS203において、検出部162は、印刷装置センサ415から検出信号を取得し、取得した検出信号に基づいて、印刷装置414の配置位置を検出する。また、ステップS204において、制御部161は、第1モータ441を駆動して回転させ、第3~第12搬送ローラ122~125、128~129、412~413、416~417を回転させて、媒体を給送及び搬送させる。また、ステップS216において、制御部161は、第1モータ441を停止させる。
【0131】
以下では、ステップS209~S214の処理について説明する。ステップS208において、判定部163により媒体上に印刷ができないと判定された場合、制御部161は、異常処理を実行する(ステップS209)。制御部161は、異常処理として、印刷装置414による媒体への印刷を停止し、処理をステップS212へ移行する。この場合、制御部161は、ステップS210~S211の処理を実行しない。また、制御部161は、異常処理として、図6及び図7のステップS109で説明した各処理を実行してもよい。なお、異常処理として媒体の排出位置を変更する場合、制御部161は、第2モータ442を駆動して、第11、第12搬送ローラ416、417による媒体の排出方向を初期方向から変更し、処理をステップS212へ移行する。
【0132】
一方、判定部163により媒体上に印刷可能であると判定された場合、制御部161は、媒体に所定情報を印刷済みであるか否かと、媒体の先端が印刷装置414の印刷位置を通過したか否かと、を判定する(ステップS210)。制御部161は、第1媒体センサ411から第1媒体信号を定期的に受信し、第1媒体信号の信号値が、媒体が存在しないことを示す値から存在することを示す値に変化した場合、媒体の先端が第1媒体センサ411の位置を通過したと判定する。制御部161は、媒体の先端が第1媒体センサ411の位置を通過してから第4所定時間が経過した場合に、媒体の先端が印刷装置414の印刷位置を通過したと判定する。第4所定時間は、第1媒体センサ411の位置から印刷位置までの距離を、第1モータ441による媒体の搬送速度で除算した除算値にマージンを加算した値に設定される。なお、制御部161は、媒体の先端でなく、利用者により指定された媒体の印刷領域が印刷位置を通過したか否かを判定してもよい。
【0133】
媒体に所定情報を印刷済みである場合、又は、媒体の先端が印刷装置414の印刷位置を通過していない場合、制御部161は、処理をステップS212へ移行する。
【0134】
一方、まだ媒体に所定情報を印刷しておらず、且つ、媒体の先端が印刷装置414の印刷位置を通過している場合、制御部161は、図6のステップS110の処理と同様にして、媒体に所定情報を印刷するように印刷装置414を制御する(ステップS211)。
【0135】
次に、出力制御部165は、読取画像を生成済みであるか否かと、媒体の後端が撮像装置127の撮像位置を通過したか否かと、を判定する(ステップS212)。出力制御部165は、図6のステップS115の処理と同様にして、媒体の後端が撮像装置127の撮像位置を通過したか否かを判定する。読取画像を生成済みである場合、又は、媒体の後端が撮像装置127の撮像位置を通過していない場合、出力制御部165は、処理をステップS214へ移行する。
【0136】
一方、まだ読取画像を生成しておらず、且つ、媒体の後端が撮像装置127の撮像位置を通過している場合、出力制御部165は、図7のステップS116の処理と同様にして、読取画像を生成し、出力する(ステップS213)。
【0137】
次に、制御部161は、媒体に所定情報を印刷済みであるか否かと、読取画像を生成済みであるか否かと、を判定する(ステップS214)。まだ媒体に所定情報を印刷していない場合、又は、まだ読取画像を生成していない場合、制御部161は、処理をステップS210へ戻して、ステップS210~S214の処理を繰り返す。一方、媒体に所定情報を印刷済みであり、且つ、読取画像を生成済みである場合、制御部161は、処理をステップS215へ移行する。なお、ステップS209において印刷装置414による媒体への印刷を停止していた場合、制御部161は、読取画像が生成済みであることのみを条件として処理をステップS215へ移行する。
【0138】
以上詳述したように、印刷装置414が撮像装置127より下流側に配置される場合においても、媒体搬送装置400は、装置コストが増大することを抑制しつつ、媒体への印刷を良好に制御することが可能となった。
【0139】
図15は、他の実施形態に係る媒体搬送装置における処理回路560の概略構成を示す図である。処理回路560は、媒体搬送装置100又は媒体搬送装置400の処理回路160の代わりに使用され、処理回路160の代わりに、媒体読取処理を実行する。処理回路560は、制御回路561、検出回路562、判定回路563、印刷判定回路564及び出力制御回路565等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0140】
制御回路561は、制御部の一例であり、制御部161と同様の機能を有する。制御回路561は、操作装置107から操作信号を、第1媒体センサ111又は411から第1媒体信号を、第2媒体センサ121から第2媒体信号を受信し、記憶装置150から印刷可否の判定結果及び媒体への印刷の判定結果を読み出す。制御回路561は、受信した各信号及び読み出した判定結果に応じて媒体の搬送及び印刷を制御するように、第1モータ141又は441、第2モータ142又は442、及び、印刷装置114又は414に制御信号を出力する。特に、制御回路561は、印刷可否の判定結果が媒体上に印刷ができないことを示す場合に異常処理を実行する。
【0141】
検出回路562は、検出部の一例であり、検出部162と同様の機能を有する。検出回路562は、印刷装置センサ115、215、315又は415から検出信号又は印刷装置画像を受信し、受信した検出信号又は印刷装置画像に基づいて、印刷装置114又は414の配置位置を検出し、検出結果を記憶装置150に記憶する。
【0142】
判定回路563は、判定部の一例であり、判定部163と同様の機能を有する。判定回路563は、撮像装置127から入力画像を受信し、記憶装置150から印刷装置114又は414の配置位置の検出結果を読み出す。判定回路563は、受信した入力画像及び読み出した検出結果に基づいて、媒体上に印刷が可能であるか否かを判定し、判定結果を記憶装置150に記憶する。
【0143】
印刷判定回路564は、印刷判定部の一例であり、印刷判定部164と同様の機能を有する。印刷判定回路564は、撮像装置127から入力画像を受信し、受信した入力画像に基づいて、媒体に印刷がされているか否かを判定し、判定結果を記憶装置150に記憶する。
【0144】
出力制御回路565は、出力制御部の一例であり、出力制御部165と同様の機能を有する。出力制御回路565は、第3媒体センサ126から第3媒体信号を受信し、第3媒体信号に従って、撮像装置127から入力画像を受信する。出力制御回路565は、受信した入力画像に基づいて読取画像を生成し、インタフェース装置143を介して情報処理装置へ送信する。
【0145】
以上詳述したように、媒体搬送装置100又は媒体搬送装置400は、処理回路560を用いる場合においても、装置コストが増大することを抑制しつつ、媒体への印刷を良好に制御することが可能となった。
【符号の説明】
【0146】
100、400 媒体搬送装置、112 給送ローラ、113 ブレーキローラ、114 印刷装置、115、215、315、415 印刷装置センサ、116 第1搬送ローラ、117 第2搬送ローラ、122 第3搬送ローラ、123 第4搬送ローラ、124 第5搬送ローラ、125 第6搬送ローラ、127 撮像装置、128 第7搬送ローラ、129 第8搬送ローラ、161 制御部、162 検出部、163 判定部、164 印刷判定部、165 出力制御部、412 第9搬送ローラ、413 第10搬送ローラ、416 第11搬送ローラ、417 第12搬送ローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15