(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】骨伝導マイクロフォン
(51)【国際特許分類】
H04R 1/00 20060101AFI20240202BHJP
H04R 17/02 20060101ALI20240202BHJP
【FI】
H04R1/00 327Z
H04R17/02
(21)【出願番号】P 2022543562
(86)(22)【出願日】2020-12-31
(86)【国際出願番号】 CN2020142538
(87)【国際公開番号】W WO2021143548
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2022-07-15
(31)【優先権主張番号】202010051694.7
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/079809
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2020/103201
(32)【優先日】2020-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514156013
【氏名又は名称】深▲セン▼市韶音科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN SHOKZ CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Floors 1-4,Factory Building 26,Shancheng Industrial Park,Shiyan Street,Bao’an District,Shenzhen,Guangdong 518108,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】周 文兵
(72)【発明者】
【氏名】袁 永▲帥▼
(72)【発明者】
【氏名】▲デン▼ 文俊
(72)【発明者】
【氏名】▲齊▼ 心
(72)【発明者】
【氏名】廖 ▲風▼云
【審査官】堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-195995(JP,A)
【文献】特開平02-056195(JP,A)
【文献】特表2013-531932(JP,A)
【文献】特開平08-195994(JP,A)
【文献】特開2002-315095(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00
H04R 17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動ユニット及び音響変換ユニットで形成される積層構造体と、
前記積層構造体を載せるように構成され、前記積層構造体の少なくとも一側に物理的に接続される基体構造体と、
前記積層構造体の上面、下面及び/又は内部に位置し、前記基体構造体に接続される少なくとも1つの減衰構造層とを含み、
前記基体構造体は、外部振動信号により振動が発生し、前記振動ユニットは、前記基体構造体の振動に応答して変形し、前記音響変換ユニットは、前記振動ユニットの変形に基づいて電気信号を生成することを特徴とする、骨伝導マイクロフォン
であって、
前記少なくとも1つの減衰構造層の材料は、ポリウレタン類、エポキシ樹脂類、アクリレート類、ポリ塩化ビニル類、ブチルゴム類、又はシリコーンゴム類を含み、少なくとも1つの減衰構造層の材料のヤング率の範囲は、10
6
Pa~10
10
Paであり、前記少なくとも1つの減衰構造層の材料の密度は、0.7×10
3
kg/m
3
~2×10
3
kg/m
3
であり、前記少なくとも1つの減衰構造層の材料のポアソン比は、0.4~0.5であり、
前記少なくとも1つの減衰構造層の厚さは、0.1um~80umであり、あるいは
前記少なくとも1つの減衰構造層の損失係数は、1~20であることを特徴とする、骨伝導マイクロフォン。
【請求項2】
前記基体構造体は、内部が中空のフレーム構造体を含み、前記積層構造体の一端は、前記基体構造体又は前記少なくとも1つの減衰構造層に接続され、前記積層構造体の他端は、前記基体構造体の中空位置に宙吊りに設置されることを特徴とする、請求項
1に記載の骨伝導マイクロフォン。
【請求項3】
前記振動ユニットは、サスペンション膜構造体及び質量素子を含み、前記サスペンション膜構造体には、複数の孔が設けられ、前記複数の孔は、前記音響変換ユニットの周側に沿って分布し、前記質量素子は、前記サスペンション膜構造体の上面又は下面に位置し、そして
前記音響変換ユニットは、上から下へ順に設置された第1の電極層、圧電層及び第2の電極層を含み、前記サスペンション膜構造体は、その周側により前記基体構造体に接続され、前記音響変換ユニットは、前記サスペンション膜構造体の上面又は下面に位置することを特徴とする、請求項1
又は2に記載の骨伝導マイクロフォン。
【請求項4】
前記音響変換ユニット及び前記質量素子は、それぞれ前記サスペンション膜構造体の異なる側に位置し、あるいは
前記音響変換ユニット及び前記質量素子は、前記サスペンション膜構造体の同じ側に位置し、前記音響変換ユニットは、環状構造であり、前記環状構造は、前記質量素子の周側に沿って分布することを特徴とする、請求項
3に記載の骨伝導マイクロフォン。
【請求項5】
前記振動ユニットは、少なくとも1つの支持アーム及び質量素子を含み、前記質量素子は、前記少なくとも1つの支持アームにより前記基体構造体に接続され、前記音響変換ユニットは、前記少なくとも1つの支持アームの上面、下面又は内部に位置することを特徴とする、請求項1~
4のいずれか一項に記載の骨伝導マイクロフォン。
【請求項6】
前記音響変換ユニットは、上から下へ順に設置された第1の電極層、圧電層及び第2の電極層を含み、前記第1の電極層又は前記第2の電極層は、前記少なくとも1つの支持アームの上面又は下面に接続され、
前記少なくとも1つの支持アームは、少なくとも1つの弾性層を含み、前記少なくとも1つの弾性層は、前記第1の電極層又は前記第2の電極層の上面及び/又は下面に位置することを特徴とする、請求項
5に記載の骨伝導マイクロフォン。
【請求項7】
前記質量素子は、前記第1の電極層又は、前記第2の電極層の上面又は下面に位置することを特徴とする、請求項
6に記載の骨伝導マイクロフォン。
【請求項8】
前記第1の電極層、前記圧電層及び/又は前記第2の電極層の面積は、前記支持アームの面積以下であり、前記第1の電極層、前記圧電層及び/又は第2の電極層の一部又は全部は、前記少なくとも1つの支持アームの上面又は下面を覆うことを特徴とする、請求項
7に記載の骨伝導マイクロフォン。
【請求項9】
前記音響変換ユニットの前記第1の電極層、前記圧電層、及び前記第2の電極層は、前記質量素子又は/及び前記支持アームと前記基体構造体との接続箇所に近接することを特徴とする、請求項
8に記載の骨伝導マイクロフォン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権情報
本願は、2020年1月17日に出願された中国出願番号202010051694.7の優先権、2020年3月18日に出願された国際出願番号PCT/CN2020/079809の優先権及び2020年7月21日に出願された国際出願番号PCT/CN2020/103201の優先権を主張するものであり、その全ての内容は参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
本願は、音響伝達装置の技術分野に関し、特に骨伝導マイクロフォンに関する。
【背景技術】
【0003】
マイクロフォンは、外部振動信号を受信し、音響変換ユニットを利用して振動信号を電気信号に変換し、バックエンド回路により処理した後に電気信号を出力する。性能に優れたマイクロフォンは、周波数応答が比較的平坦であるため、十分に高い信号対雑音比を有する。マイクロフォンが外部振動信号を受信すると、振動ユニットが変位して電気信号を生成し、周波数応答を平坦にするために、マイクロフォンの振動デバイスの共振周波数を大きい値に設定することが多く、それによりマイクロフォンの感度又は信号対雑音比を低下させて、通話品質を低下させる。マイクロフォンの信号対雑音比を向上させる有効な方法は、共振周波数を音声帯域に調整することであり、マイクロフォンの振動デバイスのQ値が大きい(自体の減衰が小さい)ため、周波数応答曲線において共振周波数に高いピーク値が現れ、実際に音源信号をピックアップするときに共振ピークの近くの周波数帯域で過剰な信号をピックアップするため、周波数帯域全体における信号分布が不均一であり、明瞭度が低く、さらに信号歪みをもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、マイクロフォンの性能を向上させるために、骨伝導マイクロフォンを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の一態様に係る骨伝導マイクロフォンは、振動ユニット及び音響変換ユニットで形成される積層構造体と、前記積層構造体を載せるように構成され、前記積層構造体の少なくとも一側に物理的に接続される基体構造体と、前記積層構造体の上面、下面及び/又は内部に位置し、前記基体構造体に接続される少なくとも1つの減衰構造層とを含み、前記基体構造体は、外部振動信号により振動が発生し、前記振動ユニットは、前記基体構造体の振動に応答して変形し、前記音響変換ユニットは、前記振動ユニットの変形に基づいて電気信号を生成する。
【0006】
いくつかの実施例では、前記少なくとも1つの減衰構造層の材料は、ポリウレタン類、エポキシ樹脂類、アクリレート類、ポリ塩化ビニル類、ブチルゴム類、又はシリコーンゴム類を含む。
【0007】
いくつかの実施例では、前記少なくとも1つの減衰構造層の材料のヤング率の範囲は、106Pa~1010Paである。
【0008】
いくつかの実施例では、前記少なくとも1つの減衰構造層の材料の密度は、0.7×103kg/m3~2×103kg/m3である。
【0009】
いくつかの実施例では、前記少なくとも1つの減衰構造層の材料のポアソン比は、0.4~0.5である。
【0010】
いくつかの実施例では、前記少なくとも1つの減衰構造層の厚さは、0.1μm~80μmである。
【0011】
いくつかの実施例では、前記少なくとも1つの減衰構造層の厚さは、0.1μm~10μmである。
【0012】
いくつかの実施例では、前記少なくとも1つの減衰構造層の厚さは、0.5μm~5μmである。
【0013】
いくつかの実施例では、前記少なくとも1つの減衰構造層の損失係数は、1~20である。
【0014】
いくつかの実施例では、前記少なくとも1つの減衰構造層の損失係数は、5~10である。
【0015】
いくつかの実施例では、前記基体構造体は、内部が中空のフレーム構造体を含み、前記積層構造体の一端は、前記基体構造体又は前記少なくとも1つの減衰構造層に接続され、前記積層構造体の他端は、前記基体構造体の中空位置に宙吊りに設置される。
【0016】
いくつかの実施例では、前記振動ユニットは、サスペンション膜構造体を含み、前記音響変換ユニットは、上から下へ順に設置された第1の電極層、圧電層及び第2の電極層を含み、前記サスペンション膜構造体は、その周側により前記基体構造体に接続され、前記音響変換ユニットは、前記サスペンション膜構造体の上面又は下面に位置する。
【0017】
いくつかの実施例では、前記サスペンション膜構造体には、複数の孔が設けられ、前記複数の孔は、前記音響変換ユニットの周側に沿って分布する。
【0018】
いくつかの実施例では、前記振動ユニットは、質量素子をさらに含み、前記質量素子は、前記サスペンション膜構造体の上面又は下面に位置する。
【0019】
いくつかの実施例では、前記音響変換ユニット及び前記質量素子は、それぞれ前記サスペンション膜構造体の異なる側に位置する。
【0020】
いくつかの実施例では、前記音響変換ユニット及び前記質量素子は、前記サスペンション膜構造体の同じ側に位置し、前記音響変換ユニットは、環状構造であり、前記環状構造は、前記質量素子の周側に沿って分布する。
【0021】
いくつかの実施例では、前記振動ユニットは、少なくとも1つの支持アーム及び質量素子を含み、前記質量素子は、前記少なくとも1つの支持アームにより前記基体構造体に接続される。
【0022】
いくつかの実施例では、前記音響変換ユニットは、前記少なくとも1つの支持アームの上面、下面又は内部に位置する。
【0023】
いくつかの実施例では、前記音響変換ユニットは、上から下へ順に設置された第1の電極層、圧電層及び第2の電極層を含み、前記第1の電極層又は前記第2の電極層は、前記少なくとも1つの支持アームの上面又は下面に接続される。
【0024】
いくつかの実施例では、前記質量素子は、前記第1の電極層又は前記第2の電極層の上面又は下面に位置する。
【0025】
いくつかの実施例では、前記第1の電極層、前記圧電層及び/又は前記第2の電極層の面積は、前記支持アームの面積以下であり、前記第1の電極層、前記圧電層及び/又は第2の電極層の一部又は全部は、前記少なくとも1つの支持アームの上面又は下面を覆う。
【0026】
いくつかの実施例では、前記音響変換ユニットの前記第1の電極層、前記圧電層、及び前記第2の電極層は、前記質量素子又は/及び前記支持アームと前記基体構造体との接続箇所に近接する。
【0027】
いくつかの実施例では、前記少なくとも1つの支持アームは、少なくとも1つの弾性層を含み、前記少なくとも1つの弾性層は、前記第1の電極層又は前記第2の電極層の上面及び/又は下面に位置する。
【0028】
本願は、例示的な実施例の方式でさらに説明し、これらの例示的な実施例を図面により詳細に説明する。これらの実施例は、限定的なものではなく、これらの実施例では、同じ番号は同じ構造を表す。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本願のいくつかの実施例に係る、積層構造体の固有周波数が低下した周波数応答曲線である。
【
図2】本願のいくつかの実施例に係る、減衰構造層を有する骨伝導マイクロフォン及び減衰構造層を有さない骨伝導マイクロフォンの周波数応答曲線図である。
【
図3】本願のいくつかの実施例に示す骨伝導マイクロフォンの概略構成図である。
【
図4】本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンのA-Aでの断面図である。
【
図5】本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンの断面図である。
【
図6】本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンの断面図である。
【
図7】本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンの断面図である。
【
図8】片持ち梁式の骨伝導マイクロフォンの出力電圧の周波数応答図である。
【
図9】本願の他の実施例に示す骨伝導マイクロフォンの概略構成図である。
【
図10】本願のいくつかの実施例に示す骨伝導マイクロフォンの概略構成図である。
【
図11】本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンの部分構造の断面図である。
【
図12】本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンの断面図である。
【
図13】本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンの断面図である。
【
図14】本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンの断面図である。
【
図15】本願のいくつかの実施例に示す骨伝導マイクロフォンの概略構成図である。
【
図16】本願のいくつかの実施例に示す骨伝導マイクロフォンの概略構成図である。
【
図17】本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンのB-Bでの断面図である。
【
図18】本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンの上面図である。
【
図19】本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンの断面図である。
【
図20】本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンの出力電圧の周波数応答図である。
【
図21】本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンの出力電圧の周波数応答図である。
【
図22】本願のいくつかの実施例に係る、2層の減衰構造層を有する骨伝導マイクロフォンの断面図である。
【
図23】本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンの概略構成図である。
【
図24】本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンの断面図である。
【
図25】本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンの出力電圧の周波数応答図である。
【
図26】本願のいくつかの実施例に係る、2層の減衰構造層が設置された骨伝導マイクロフォンの断面図である。
【
図27】本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンの構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本願の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例の説明に必要な図面を簡単に説明する。明らかに、以下に説明される図面は、単に本願の例又は実施例の一部にすぎず、当業者であれば、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて本願を他の類似するシナリオに応用することができる。特に言語環境から明らかではないか又は明記しない限り、図面において同じ符号は同じ構造又は操作を表す。図面は、例示及び説明のみを目的としたものにすぎず、本願の範囲を限定することを意図するものではないことが理解されよう。図面は、原寸に比例して描かれるものではないことが理解されよう。
【0031】
本願の説明を容易にするために、「中心」、「上面」、「下面」、「上」、「下」、「頂」、「底」、「内」、「外」、「軸方向」、「径方向」、「外周」、「外部」などの用語によって示される位置関係は、図面に示される位置関係に基づくものであり、言及される装置、アセンブリ又はユニットが特定の位置関係を持たなければならないことを示すものではなく、本願を限定するものであると理解すべきではないことが理解されよう。
【0032】
本明細書で使用される「システム」、「装置」、「ユニット」及び/又は「モジュール」は、レベルの異なる様々なアセンブリ、素子、部品、部分又は組立体を区別するための方法であることが理解されよう。しかしながら、他の用語が同じ目的を達成することができれば、上記用語の代わりに他の表現を用いることができる。
【0033】
本願及び特許請求の範囲に示すように、文脈が明確に別段の指示をしない限り、「1つ」、「1個」、「1種」及び/又は「該」などの用語は、特に単数形を指すものではなく、複数形を含んでもよい。一般的に、用語「含む」及び「含有」は、明確に特定されたステップ及び要素のみを含むように提示し、これらのステップ及び要素は、排他的な羅列ではなく、方法又は設備は、また他のステップ又は要素を含む可能性がある。
【0034】
本願において、フローチャートを用いて本願の実施例に係るシステムが実行する操作を説明する。先行及び後続の操作は、必ずしも順序に応じて正確に実行されるとは限らないことが理解されよう。その代わりに、様々なステップを逆の順序で、又は同時に処理することができる。また、他の操作をこれらのプロセスに追加してもよく、これらのプロセスから1つ以上の操作を除去してもよい。
【0035】
本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンは、基体構造体、積層構造体及び少なくとも1つの減衰構造層を含んでもよい。いくつかの実施例では、基体構造体は、内部に中空部分を有する規則的又は不規則的な立体構造であってもよく、例えば、中空のフレーム構造体であってもよく、矩形フレーム、円形フレーム、正多角形フレームなどの規則的な形状、及び任意の不規則的な形状を含むが、それらに限定されない。積層構造体は、基体構造体の中空部分に位置してもよく、基体構造体の中空部分の上方に少なくとも部分的に宙吊りに設置されてもよい。いくつかの実施例では、積層構造体の少なくとも一部の構造は、基体構造体に物理的に接続される。ここでの「接続」は、積層構造体及び基体構造体をそれぞれ製造した後、積層構造体及び基体構造体を溶接、リベット接続、係止、ボルトなどの方式で固定的に接続し、あるいは、製造中に、物理堆積(例えば、物理的気相堆積)又は化学堆積(例えば、化学的気相堆積)の方式で積層構造体を基体構造体に堆積することとして理解され得る。いくつかの実施例では、積層構造体の少なくとも一部の構造は、基体構造体の上面又は下面に固定されてもよく、積層構造体の少なくとも一部の構造は、基体構造体の側壁に固定されてもよい。例えば、積層構造体は、片持ち梁であってもよく、該片持ち梁は、板状構造体であってもよく、片持ち梁の一端が基体構造体の上面、下面又は基体構造体の中空部分の位置する側壁に接続され、片持ち梁の他端が基体構造体に接続又は接触しないことにより、基体構造体の中空部分に宙吊りに設置される。また例えば、骨伝導マイクロフォンは、振動膜層(サスペンション膜構造体とも呼ばれる)を含んでもよく、サスペンション膜構造体は、基体構造体に固定的に接続され、積層構造体は、サスペンション膜構造体の上面又は下面に設置される。さらに例えば、積層構造体は、質量素子及び1つ以上の支持アームを含んでもよく、質量素子が1つ以上の支持アームにより基体構造体に固定的に接続され、該支持アームの一端が基体構造体に接続され、支持アームの他端が質量素子に接続されることにより、質量素子及び支持アームの一部の領域は、基体構造体の中空部分に宙吊りに設置される。本願で言及される「基体構造体の中空部分に位置する」又は「基体構造体の中空部分に宙吊りに設置される」ことは、基体構造体の中空部分の内部、下部又は上方に宙吊りに設置されることを意味することができると了解されよう。いくつかの実施例では、積層構造体は、振動ユニット及び音響変換ユニットを含んでもよい。具体的には、基体構造体は、外部振動信号により振動が発生することができ、振動ユニットは、基体構造体の振動に応答して変形し、音響変換ユニットは、振動ユニットの変形に基づいて電気信号を生成する。ここでの振動ユニット及び音響変換ユニットについての説明は、積層構造体の動作原理を容易に説明することのみを目的としており、積層構造体の実際の構成及び構造を限定するものではないと了解されよう。実際には、振動ユニットは、必須のものではなく、その機能を音響変換ユニットにより完全に実現することができる。例えば、音響変換ユニットの構造に特定の変更を加えると、音響変換ユニットが基体構造体の振動に直接応答して電気信号を生成してもよい。
【0036】
振動ユニットは、積層構造体における外力を受けて変形しやすい部分を指し、外力による変形を音響変換ユニットに伝達することができる。いくつかの実施例では、振動ユニットと音響変換ユニットとは重ねることにより積層構造体が形成される。音響変換ユニットは、振動ユニットの上層に位置してもよく、振動ユニットの下層に位置してもよい。例えば、積層構造体が片持ち梁構造である場合、振動ユニットは、少なくとも1つの弾性層を含んでもよく、音響変換ユニットは、上から下へ順に設置された第1の電極層、圧電層及び第2の電極層を含んでもよく、弾性層は、第1の電極層又は第2の電極層の表面に位置し、弾性層は、振動中に変形してもよく、圧電層は、弾性層の変形に基づいて電気信号を生成し、第1の電極層及び第2の電極層は、該電気信号を収集してもよい。また例えば、振動ユニットは、サスペンション膜構造体であってもよく、サスペンション膜構造体の特定領域の密度を変化させるか又はサスペンション膜構造体に穴を開けるか又はサスペンション膜構造体にカウンタウェイト(質量素子とも呼ばれる)を設置するなどの方式で、外力作用による音響変換ユニットの近くにあるサスペンション膜構造体の変形をより容易にして、音響変換ユニットが電気信号を生成するように駆動してもよい。さらに例えば、振動ユニットは、少なくとも1つの支持アーム及び質量素子を含んでもよく、質量素子は、支持アームにより基体構造体の中空部分に宙吊りに設置され、基体構造体が振動する場合、振動ユニットの支持アームと質量素子は、基体構造体に対して相対的に移動し、支持アームが変形して音響変換ユニットに作用して電気信号を生成する。
【0037】
音響変換ユニットとは、積層構造体における振動ユニットの変形を電気信号に変換する部分である。いくつかの実施例では、音響変換ユニットは、少なくとも2つの電極層(例えば、第1の電極層及び第2の電極層)及び圧電層を含んでもよく、圧電層は、第1の電極層と第2の電極層との間に位置してもよい。圧電層とは、外力を受けるときにその両端面に電圧を発生させることができる構造である。いくつかの実施例では、圧電層は、半導体堆積プロセス(例えば、マグネトロンスパッタリング、MOCVD)により得られた圧電ポリマーフィルムであってもよい。本明細書の実施例では、圧電層は、振動ユニットの変形応力の作用で電圧を発生させることができ、第1の電極層及び第2の電極層は、該電圧(電気信号)を収集することができる。いくつかの実施例では、圧電層の材料は、圧電結晶材料及び圧電セラミック材料を含んでもよい。圧電結晶とは、圧電単結晶である。いくつかの実施例では、圧電結晶材料は、水晶、閃亜鉛鉱、方ホウ石、電気石、紅亜鉛鉱、GaAs、チタン酸バリウム及びその誘導体結晶、KH2PO4、NaKC4H4O6・4H2O(ロッシェル塩)など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。圧電セラミック材料とは、異なる材料の粉末間の固相反応と焼結により得られた微細結晶粒がランダムに集合した圧電多結晶体である。いくつかの実施例では、圧電セラミック材料は、チタン酸バリウム(BT)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ニオブ酸鉛バリウムリチウム(PBLN)、改質チタン酸鉛(PT)、窒化アルミニウム(AIN)、酸化亜鉛(ZnO)など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例では、圧電層の材料は、圧電ポリマー材料、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などであってもよい。
【0038】
減衰構造層とは、減衰特性を有する構造体であってもよい。いくつかの実施例では、減衰構造層は、膜状構造又は板状構造であってもよい。さらに、減衰構造層の少なくとも一側は、基体構造体に接続されてもよい。いくつかの実施例では、減衰構造層は、積層構造体の上面及び/又は下面又は積層構造体の多層層状構造の間に位置してもよい。例えば、積層構造体が片持ち梁である場合、減衰構造層は、片持ち梁の上面及び/又は下面に位置してもよい。また例えば、積層構造体が支持アーム及び質量素子であり、そして、質量素子が支持アームに対して下向きに突出する場合、減衰構造層は、質量素子の下面及び/又は支持アームの上面に位置してもよい。いくつかの実施例では、マクロサイズの積層構造体及び基体構造体について、減衰構造層を基体構造体又は積層構造体に直接接着してもよい。いくつかの実施例では、MEMSデバイスについて、半導体プロセス、例えば、蒸着、スピンコーティング、マイクロアセンブリなどの方式で、減衰構造層を積層構造体及び基体構造体に接続してもよい。いくつかの実施例では、減衰構造層の形状は、円形、楕円形、三角形、四角形、六角形、八角形などの規則的な形状であってもよい。いくつかの実施例では、減衰構造層の材料、サイズ、厚さなどを選択することにより、骨伝導マイクロフォンの電気信号の出力効果を向上させることができ、具体的には、本願の明細書の他の箇所の説明を参照することができる。
【0039】
いくつかの実施例では、基体構造体及び積層構造体は、骨伝導マイクロフォンのハウジング内に位置してもよく、基体構造体は、ハウジングの内壁に固定的に接続され、積層構造体は、基体構造体に載せられる。骨伝導マイクロフォンのハウジングが外力を受けて振動する(例えば、人が話す時の顔の振動によりハウジングを振動させる)場合、ハウジングの振動により基体構造体を振動させ、積層構造体とハウジング構造(又は基体構造体)の属性が異なるため、積層構造体とハウジングが完全に一致して移動することができなく、その結果、相対的な移動が生じて、積層構造体の振動ユニットが変形する。さらに、振動ユニットが変形する場合、音響変換ユニットの圧電層は、振動ユニットの変形応力を受けて電位差(電圧)を発生させ、音響変換ユニットにおけるそれぞれ圧電層の上面及び下面に位置する少なくとも2つの電極層(例えば、第1の電極層及び第2の電極層)は、該電位差を収集して外部振動信号を電気信号に変換してもよい。減衰構造層の減衰は、異なる応力(変形)状態で異なり、例えば、応力が高いか又は振幅が大きいときに減衰が大きい。したがって、非共振領域における積層構造体の振幅が小さく、共振領域における振幅が大きいという特徴に基づいて、減衰構造層を増加させることにより、非共振領域における骨伝導マイクロフォンの感度を低下させないことを保証すると共に、共振領域のQ値を低下させ、骨伝導マイクロフォンの周波数応答を周波数帯域全体において平坦にすることができる。例示的な説明のみを目的として、本願の実施例に記載の骨伝導マイクロフォンは、イヤホン(例えば、骨伝導イヤホン又は空気伝導イヤホン)、メガネ、仮想現実装置、ヘルメットなどに応用されてもよく、骨伝導マイクロフォンは、人体の頭部(例えば、顔部)、首、耳の付近及び頭頂などの位置に配置されてもよく、骨伝導マイクロフォンは、人が話す時の骨格の振動信号をピックアップして、電気信号に変換することにより、音声を収集することができる。なお、基体構造体は、骨伝導マイクロフォンのハウジングと独立した構造に限定されず、いくつかの実施例では、基体構造体は、骨伝導マイクロフォンのハウジングの一部であってもよい。
【0040】
積層構造体は、固有周波数を有し、外部振動信号の周波数が該固有周波数に近い場合、積層構造体は、大きな振幅を発生させて、大きな電気信号を出力する。したがって、骨伝導マイクロフォンの外部振動に対する応答は、固有周波数の近くに共振ピークが発生すると表現される。いくつかの実施例では、積層構造体のパラメータを変化させて、積層構造体の固有周波数を音声帯域範囲内に移動させることにより、骨伝導マイクロフォンの共振ピークを音声帯域範囲内に位置させ、骨伝導マイクロフォンの音声帯域(例えば、共振ピークの前の周波数範囲)の振動に対する応答感度を向上させることができる。
図1に示すように、積層構造体の固有周波数が低下した周波数応答曲線(
図1の実線曲線)における共振ピーク101に対応する周波数は、積層構造体の固有周波数を変化させない周波数応答曲線(
図1の破線曲線)における共振ピーク102に対応する周波数より小さい。周波数が共振ピーク101の位置する周波数より小さい外部振動信号について、実線曲線に対応する骨伝導マイクロフォンは、より高い感度を有する。
【0041】
積層構造体の変位出力式は、以下のとおりである。
【0042】
【0043】
式中、Fは、加振力の振幅値であり、Rは、積層構造体の減衰であり、Mは、積層構造体の質量であり、Kは、積層構造体の弾性係数であり、
【0044】
【0045】
は、積層構造体の変位であり、
【0046】
【0047】
は、外力の角周波数であり、
【0048】
【0049】
は、積層構造体の固有周波数である。加振力(すなわち、外部振動)周波数
【0050】
【0051】
であれば、
【0052】
【0053】
である。(Mを大きくするか、又はKを小さくするか、又はMを大きくすると共にKを小さくすることにより)積層構造体の固有周波数
【0054】
【0055】
を小さくすると、
【0056】
【0057】
は、小さくなり、対応する変位出力
【0058】
【0059】
は、大きくなる。加振力の周波数
【0060】
【0061】
であれば、
【0062】
【0063】
である。振動-電気信号変換素子(積層構造体)の固有周波数
【0064】
【0065】
を変化させると、対応する変位出力
【0066】
【0067】
は変化しない。加振力の周波数
【0068】
【0069】
であれば、
【0070】
【0071】
である。(Mを大きくするか、又はKを小さくするか、又はMを大きくすると共にKを小さくすることにより)振動-電気信号変換素子の固有周波数
【0072】
【0073】
を小さくすると、
【0074】
【0075】
は、大きくなり、対応する変位出力
【0076】
【0077】
は、小さくなる。
【0078】
共振ピークが前倒しになるにつれて、音声帯域においてピーク値が現れる。骨伝導マイクロフォンが信号をピックアップするときに共振ピーク帯域において信号が多すぎて、通話効果を低下させる。いくつかの実施例では、骨伝導マイクロフォンにより収集された音声信号の品質を向上させるために、積層構造体に減衰構造層を設置してもよく、該減衰構造層は、振動中の積層構造体のエネルギー損失、特に共振周波数帯域での損失を増加させることができる。ここで、機械的品質係数の逆数1/Qを利用して減衰係数を以下のように説明する。
【0079】
【0080】
式中、
【0081】
【0082】
は、品質係数の逆数であり、構造損失係数ηとも呼ばれ、
【0083】
【0084】
は、共振振幅の半分での周波数差値
【0085】
【0086】
(「3dB」帯域幅とも呼ばれる)であり、
【0087】
【0088】
は、共振周波数である。
【0089】
積層構造体の損失係数ηと減衰材料の損失係数tanδとの関係は以下のとおりである。
【0090】
【0091】
式中、Xは、剪断パラメータであり、積層構造体の各層の厚さ、材料属性に関連している。Yは、剛性パラメータであり、積層構造体の各層の厚さ、ヤング率に関連している。
【0092】
式(2)及び式(3)から分かるように、減衰構造層の材料と積層構造体の各層の材料を調整することにより、積層構造体の損失係数ηを適切な範囲に調整することができる。減衰構造層の減衰が大きくなるにつれて、機械的品質係数Qが小さくなり、対応する「3dB」帯域幅が大きくなる。減衰構造層の減衰は、異なる応力(変形)状態で異なり、例えば、応力が高いか又は振幅が大きいときに減衰が大きい。したがって、非共振領域における積層構造体の振幅が小さく、共振領域における振幅が大きいという特徴に基づいて、減衰構造層を増加させることにより、非共振領域における骨伝導マイクロフォンの感度を低下させないことを保証すると共に、共振領域のQ値を低下させ、骨伝導マイクロフォンの周波数応答を周波数帯域全体において平坦にすることができる。
図2は、本願のいくつかの実施例に係る、減衰構造層を有する骨伝導マイクロフォン及び減衰構造層を有さない骨伝導マイクロフォンの周波数応答曲線図である。
図2に示すように、減衰構造層を有する骨伝導マイクロフォンが出力した電気信号の周波数応答曲線は、減衰構造層が設置されていない骨伝導マイクロフォンが出力した電気信号の周波数応答曲線より平坦である。
【0093】
図3は、本願のいくつかの実施例に示す骨伝導マイクロフォンの概略構成図である。
図4は、
図3に示す骨伝導マイクロフォンのA-Aでの断面図である。
【0094】
図3及び
図4に示すように、骨伝導マイクロフォン300は、基体構造体310及び積層構造体を含んでもよく、積層構造体の少なくとも一部は、基体構造体310に接続される。基体構造体310は、内部が中空のフレーム構造体であってもよく、積層構造体の一部の構造(例えば、基体構造体310と積層構造体との接続箇所から離れる積層構造体の一端)は、該フレーム構造体の中空部分に位置してもよい。なお、フレーム構造体は、
図1に示す直方体状に限定されず、いくつかの実施例では、フレーム構造体は、角錐台、円柱体などの規則的又は不規則的な構造体であってもよい。いくつかの実施例では、積層構造体は、片持ち梁の形式で基体構造体310に固定的に接続されてもよい。さらに、積層構造体は、固定端及び自由端を含んでもよく、積層構造体の固定端がフレーム構造体に固定的に接続され、積層構造体の自由端がフレーム構造体に接続又は接触しないことにより、フレーム構造体の中空部分に宙吊りにされてもよい。いくつかの実施例では、積層構造体の固定端は、基体構造体310の上面、下面又は基体構造体310の中空部分の位置する側壁に接続されてもよい。いくつかの実施例では、基体構造体310の中空部分の位置する側壁には、積層構造体の固定端に適合する取付溝がさらに設置されることにより、積層構造体の固定端が基体構造体310に嵌合接続されてもよい。積層構造体と基体構造体310との間の安定性を向上させるために、いくつかの実施例では、積層構造体は、接続ベース340を含んでもよい。単に一例として、
図1に示すように、接続ベース340は、積層構造体の表面の固定端に固定的に接続される。いくつかの実施例では、接続ベース340の固定端は、基体構造体310の上面又は下面に位置してもよい。いくつかの実施例では、接続ベース340の固定端は、基体構造体310の中空部分の位置する側壁に位置してもよい。例えば、基体構造体310の中空部分の位置する側壁には、固定端に適合する取付溝が開設されることにより、積層構造体の固定端と基体構造体310が取付溝により嵌合接続される。ここでの「接続」は、積層構造体及び基体構造体310をそれぞれ製造した後、積層構造体及び基体構造体を溶接、リベット接続、接着、ボルト接続、係止などの方式で固定的に接続し、あるいは、製造中に、物理堆積(例えば、物理的気相堆積)又は化学堆積(例えば、化学的気相堆積)の方式で積層構造体を基体構造体310に堆積することとして理解され得る。いくつかの実施例では、接続ベース340は、積層構造体と独立した構造であってもよく、積層構造体と一体成形されてもよい。
【0095】
いくつかの実施例では、積層構造体は、音響変換ユニット320及び振動ユニット330を含んでもよい。振動ユニット330は、積層構造体における弾性変形可能な部分を指し、音響変換ユニット320は、積層構造体における振動ユニット330の変形を電気信号に変換する部分を指す。いくつかの実施例では、振動ユニット330は、音響変換ユニット320の上面又は下面に位置してもよい。いくつかの実施例では、振動ユニット330は、少なくとも1つの弾性層を含んでもよい。例示的な説明のみを目的として、
図1に示す振動ユニット330は、上から下へ順に設置された第1の弾性層331及び第2の弾性層332を含んでもよい。第1の弾性層331及び第2の弾性層332は、半導体材料で製造された板状構造であってもよい。いくつかの実施例では、半導体材料は、シリカ、窒化ケイ素、窒化ガリウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素などを含んでもよい。いくつかの実施例では、第1の弾性層331及び第2の弾性層332の材料は、同じであってもよく、異なっていてもよい。いくつかの実施例では、音響変換ユニット320は、上から下へ順に設置された第1の電極層321、圧電層322、及び第2の電極層323を少なくとも含み、弾性層(例えば、第1の弾性層331及び第2の弾性層332)は、第1の電極層321の上面又は第2の電極層323の下面に位置してもよい。圧電層322は、圧電効果に基づいて、振動ユニット330(例えば、第1の弾性層331及び第2の弾性層332)の変形応力の作用で電圧(電位差)を発生させることができ、第1の電極層321及び第2の電極層323は、該電圧(電気信号)を導出することができる。いくつかの実施例では、圧電層の材料は、圧電結晶材料及び圧電セラミック材料を含んでもよい。圧電結晶材料とは、圧電単結晶である。いくつかの実施例では、圧電結晶材料は、水晶、閃亜鉛鉱、方ホウ石、電気石、紅亜鉛鉱、GaAs、チタン酸バリウム及びその誘導体結晶、KH
2PO
4、NaKC
4H
4O
6・4H
2O(ロッシェル塩)など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。圧電セラミック材料とは、異なる材料の粉末間の固相反応と焼結により得られた微細結晶粒がランダムに集合した圧電多結晶体である。いくつかの実施例では、圧電セラミック材料は、チタン酸バリウム(BT)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ニオブ酸鉛バリウムリチウム(PBLN)、改質チタン酸鉛(PT)、窒化アルミニウム(AIN)、酸化亜鉛(ZnO)など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例では、圧電層の材料は、圧電ポリマー材料、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などであってもよい。いくつかの実施例では、第1の電極層321及び第2の電極層323は、導電性材質構造である。例示的な導電性材質は、金属、合金材料、金属酸化物材料、グラフェンなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例では、金属と合金材料は、ニッケル、鉄、鉛、白金、チタン、銅、モリブデン、亜鉛、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例では、合金材料は、銅亜鉛合金、銅錫合金、銅ニッケルケイ素合金、銅クロム合金、銅銀合金など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例では、金属酸化物材料は、RuO
2、MnO
2、PbO
2、NiOなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0096】
積層構造体と基体構造体310が相対的に移動する場合、積層構造体の振動ユニット330(例えば、第1の弾性層331又は第2の弾性層332)の異なる位置の変形程度は異なり、すなわち、振動ユニット330の異なる位置からの音響変換ユニット320の圧電層322に対する変形応力は異なり、骨伝導マイクロフォンの感度を向上させるために、いくつかの実施例では、音響変換ユニット320を振動ユニット330の変形程度が大きい位置のみに設置することにより、骨伝導マイクロフォン300の信号対雑音比を向上させることができる。よって、音響変換ユニット320の第1の電極層321、圧電層322、及び/又は第2の電極層323の面積は、振動ユニット330の面積以下であってもよい。いくつかの実施例では、骨伝導マイクロフォン300の信号対雑音比をさらに向上させるために、音響変換ユニット320によって覆われた振動ユニット330の面積は、振動ユニット330の面積の1/2以下である。好ましくは、音響変換ユニット320によって覆われた振動ユニット330の面積は、振動ユニット330の面積の1/3以下である。さらに好ましくは、音響変換ユニット320によって覆われた振動ユニット330の面積は、振動ユニット330の面積の1/4以下である。さらに、いくつかの実施例では、音響変換ユニット320の位置は、積層構造体と基体構造体310との接続箇所に近接してもよい。振動ユニット330(例えば、弾性層)が積層構造体と基体構造体310との接続箇所の近くに外力を受けるときに発生する変形の程度が大きく、音響変換ユニット320が積層構造体と基体構造体310との接続箇所の近くに受ける変形応力も大きく、音響変換ユニット320を変形応力が大きい領域に配置することにより、骨伝導マイクロフォン300の感度を向上させると共に、骨伝導マイクロフォン300の信号対雑音比を向上させることができる。なお、ここでの音響変換ユニット320が積層構造体と基体構造体310との接続箇所に近接してもよいことは、積層構造体の自由端に対するものであり、すなわち、音響変換ユニット320から積層構造体と基体構造体310との接続箇所までの距離は、音響変換ユニット320から自由端までの距離より小さい。いくつかの実施例では、音響変換ユニット320における圧電層322の面積及び位置を調整するだけで骨伝導マイクロフォン300の感度及び信号対雑音比を向上させてもよい。例えば、第1の電極層321及び第2の電極層323は、振動ユニット330の表面に完全に又は部分的に覆われ、圧電層322の面積は、第1の電極層321又は第2の電極層323の面積以下であってもよい。いくつかの実施例では、圧電層322によって覆われた第1の電極層321又は第2の電極層323の面積は、第1の電極層321又は第2の電極層323の面積の1/2以下である。好ましくは、圧電層322によって覆われた第1の電極層321又は第2の電極層323の面積は、第1の電極層321又は第2の電極層323の面積の1/3以下である。さらに好ましくは、圧電層322によって覆われた第1の電極層321又は第2の電極層323の面積は、第1の電極層321又は第2の電極層323の面積の1/4以下である。いくつかの実施例では、第1の電極層321と第2の電極層323の接続による短絡の問題を防止するために、第1の電極層321の面積は、圧電層322又は第2の電極層323の面積より小さくてもよい。例えば、圧電層322、第2の電極層323及び振動ユニット330の面積は同じであり、第1の電極層321の面積は、振動ユニット330(例えば、弾性層)、圧電層322又は第2の電極層323の面積より小さい。この場合、第1の電極層321の全領域が圧電層322によって覆われ、かつ第1の電極層321の縁部が圧電層322の縁部から一定の間隔で離隔されるため、第1の電極層321は、圧電層322の縁部における材料の品質が低い領域を避けることにより、骨伝導マイクロフォン300の信号対雑音比をさらに向上させることができる。
【0097】
いくつかの実施例では、出力電気信号を増大させて、骨伝導マイクロフォンの信号対雑音比を向上させるために、圧電層322は、積層構造体の中性層の一側に位置してもよい。中性層とは、積層構造体における変形時に変形応力がほぼゼロである平面層である。いくつかの実施例では、圧電層322の単位厚さ当たりの応力及び応力変化勾配を調整する(例えば、増大させる)ことにより、骨伝導マイクロフォンの信号対雑音比を向上させてもよい。いくつかの実施例では、音響変換ユニット320(例えば、第1の電極層321、圧電層322、及び第2の電極層323)、振動ユニット330(例えば、第1の弾性層331、第2の弾性層332)の形状、厚さ、材料、サイズ(例えば、長さ、幅、及び厚さ)を調整することにより、骨伝導マイクロフォン300の信号対雑音比及び感度を向上させてもよい。
【0098】
いくつかの実施例では、積層構造体の反り変形問題を解決するために、積層構造体における各層の応力のバランスをとることにより、片持ち梁の中性層の上下部分が受ける応力のタイプ(例えば、引張応力、圧縮応力)を同じにし、大きさを等しくする必要がある。例えば、圧電層322がAIN材料層である場合、圧電層322は、片持ち梁の中性層の位置の一側に設置され、AIN材料層は、一般的に引張応力を受け、中性層の他側に位置する弾性層が受けた総合応力も引張応力であるべきである。
【0099】
いくつかの実施例では、音響変換ユニット320は、他の層に良好な成長表面構造体を提供するシード層(図示せず)をさらに含んでもよく、シード層は、第2の電極層323の下面に位置する。いくつかの実施例では、シード層の材料は、圧電層322の材料と同じであってもよい。例えば、圧電層322の材料がAlNである場合、シード層の材料もAlNである。なお、音響変換ユニット320が第2の電極層323の下面に位置する場合、シード層は、第1の電極層321の上面に位置してもよい。さらに、音響変換ユニット320がシード層を含む場合、振動ユニット330(例えば、第1の弾性層331、第2の弾性層332)は、シード層の圧電層322から離れる表面に位置してもよい。他の実施例では、シード層の材料は、圧電層322の材料と異なっていてもよい。
【0100】
なお、積層構造体の形状は、
図1に示す矩形に限定されず、三角形、台形、円形、半円形、1/4円形、楕円形、半楕円形などの規則的又は不規則的な形状であってもよく、本明細書では、さらに限定しない。いくつかの実施例では、骨伝導マイクロフォンの積層構造体の形状は、台形である。さらに、積層構造体の幅は、自由端から固定端へ徐々に小さくなる。また、積層構造体の数も
図1に示す1つに限定されず、2つ、3つ、4つ以上であってもよい。様々な積層構造体は、基体構造体の中空部分に宙吊りに並設されてもよく、積層構造体の各層の配列方向に沿って基体構造体の中空部分に順に宙吊りに設置されてもよい。
【0101】
図5は、本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンの断面図である。
図5に示すように、骨伝導マイクロフォン500は、基体構造体510、積層構造体520及び減衰構造層530を含んでもよい。さらに、積層構造体520の一端は、基体構造体510の上面に接続され、積層構造体520の他端は、基体構造体510の中空部分に宙吊りに設置され、減衰構造層530は、積層構造体520の上面に位置する。いくつかの実施例では、減衰構造層530の面積が積層構造体520の面積より大きくてもよいため、減衰構造層530は、積層構造体520の上面を覆うことができると共に、基体構造体510の上面を覆うことができる。いくつかの実施例では、減衰構造層530の少なくとも一部の周側は、基体構造体510に固定されてもよい。片持ち梁構造の積層構造体520を例として、減衰構造層530は、片持ち梁の上面と基体構造体510の上面を同時に覆うことができ、減衰構造層530は、片持ち梁の上面と基体構造体510の上面を接続するという役割を果たすことに相当する。好ましくは、減衰構造層530は、基体構造体510の上面を完全に覆ってもよく、その一部のみを覆ってもよい。例えば、減衰構造層530は、片持ち梁の長さ方向に沿って延在するストライプ構造であってもよく、片持ち梁の上面を除いて、片持ち梁の長さ方向に沿って延在して基体構造体510の上面の一部の領域を覆う。さらに例えば、減衰構造層530は、サスペンション膜構造体であってもよく、基体構造体510と片持ち梁の上面を完全に覆ってもよい。
【0102】
図6は、本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンの断面図である。
図6に示すように、骨伝導マイクロフォン600は、基体構造体610、積層構造体620及び減衰構造層630を含んでもよい。さらに、減衰構造層630は、基体構造体610の上面に接続され、積層構造体620の下面は、減衰構造層630の上面に接続される。いくつかの実施例では、減衰構造層630の面積が積層構造体620の面積より大きくてもよいため、減衰構造層630は、積層構造体620の下面を覆うことができると共に、基体構造体610の上面を覆うことができる。好ましくは、減衰構造層630は、基体構造体610の上面を完全に覆ってもよく、その一部のみを覆ってもよい。例えば、減衰構造層630は、片持ち梁の長さ方向に沿って延在するストライプ構造であってもよく、片持ち梁の長さ方向に沿って延在して基体構造体610の上面の一部の領域を覆う。さらに例えば、減衰構造層630は、サスペンション膜構造体であってもよく、基体構造体610の上面を完全に覆ってもよい。
【0103】
いくつかの実施例では、減衰構造層(例えば、減衰構造層530、減衰構造層630)の材料は、ポリウレタン系材料、エポキシ樹脂系材料、アクリレート系材料、シリコーンゴム系材料、ポリ塩化ビニル系材料など、又は類似するもの、又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料は、ポリウレタン系材料、エポキシ樹脂系材料、アクリレートなどの粘弾性減衰材料であってもよい。いくつかの実施例では、骨伝導マイクロフォン(例えば、骨伝導マイクロフォン500及び骨伝導マイクロフォン600)の減衰構造層が積層構造体の上面又は下面に位置する場合、減衰構造層の材料のヤング率の範囲は、106Pa~1010Paであってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料のヤング率の範囲は、106Pa~109Paであってもよい。さらに好ましくは、減衰構造層の材料のヤング率の範囲は、106Pa~108Paであってもよい。より好ましくは、減衰構造層の材料のヤング率の範囲は、106Pa~107Paである。この場合、減衰構造層の材料の密度は、0.7×103kg/m3~2×103kg/m3である。好ましくは、減衰構造層の材料の密度は、0.8×103kg/m3~1.9×103kg/m3である。好ましくは、減衰構造層の材料の密度は、0.9×103kg/m3~1.8×103kg/m3である。さらに好ましくは、減衰構造層の材料の密度は、1×103kg/m3~1.6×103kg/m3である。より好ましくは、減衰構造層の材料の密度は、1.2×103kg/m3~1.4×103kg/m3である。この場合、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.4~0.5である。好ましくは、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.41~0.49である。好ましくは、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.42~0.48である。さらに好ましくは、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.43~0.47である。より好ましくは、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.44~0.46である。この場合、減衰構造層の厚さは、0.1μm~10μmである。好ましくは、減衰構造層の厚さは、0.1μm~5μmである。好ましくは、減衰構造層の厚さは、0.2μm~4.5μmである。好ましくは、減衰構造層の厚さは、0.3μm~4μmである。さらに好ましくは、減衰構造層の厚さは、0.4μm~3.5μmである。より好ましくは、減衰構造層の厚さは、0.5μm~3μmである。
【0104】
図7は、本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンの断面図である。
図7に示すように、骨伝導マイクロフォン700は、基体構造体710、積層構造体720及び2つの減衰構造層を含んでもよく、2つの減衰構造層は、第1の減衰構造層730及び第2の減衰構造層740を含む。第2の減衰構造層740は、基体構造体710の上面に接続され、積層構造体720の下面は、第2の減衰構造層740の上面に接続され、第1の減衰構造層730は、積層構造体720の上面に接続される。第1の減衰構造層730及び/又は第2の減衰構造層740の面積は、積層構造体720の面積より大きい。好ましくは、減衰構造層730又は740は、基体構造体710の上面を完全に覆ってもよく、その一部のみを覆ってもよい。例えば、減衰構造層730又は740は、片持ち梁の長さ方向に沿って延在するストライプ構造であってもよく、片持ち梁の長さ方向に沿って延在して基体構造体710の上面の一部の領域を覆う。さらに例えば、減衰構造層730又は740は、サスペンション膜構造体であってもよく、基体構造体710の上面を完全に覆ってもよい。
【0105】
骨伝導マイクロフォン(例えば、骨伝導マイクロフォン700)の第1の減衰構造層730が積層構造体の上面に位置し、第2の減衰構造層740が積層構造体の下面に位置する場合、いくつかの実施例では、減衰構造層の材料のヤング率の範囲は、106Pa~107Paであってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料のヤング率の範囲は、106Pa~0.8×107Paであってもよい。さらに好ましくは、減衰構造層の材料のヤング率の範囲は、106Pa~0.5×107paである。この場合、減衰構造層の材料の密度は、0.7×103kg/m3~1.2×103kg/m3であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料の密度は、0.75×103kg/m3~1.1×103kg/m3であってもよい。さらに好ましくは、減衰構造層の材料の密度は、0.8×103kg/m3~1×103kg/m3であってもよい。より好ましくは、減衰構造層の材料の密度は、0.85×103kg/m3~0.9×103kg/m3であってもよい。この場合、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.4~0.5であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.41~0.49であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.42~0.48であってもよい。さらに好ましくは、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.43~0.47であってもよい。より好ましくは、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.44~0.46であってもよい。この場合、各減衰構造層の厚さは、1層の減衰構造層のみを有する骨伝導マイクロフォンの減衰構造層の厚さよりわずかに小さくてもよい。例えば、各減衰構造層の材料の減衰膜の厚さは、0.1μm~10μmであってもよい。好ましくは、各減衰構造層の材料の減衰膜の厚さは、0.1μm~3μmであってもよい。好ましくは、各減衰構造層の厚さは、0.12μm~2.9μmである。好ましくは、各減衰構造層の厚さは、0.14μm~2.8μmである。好ましくは、各減衰構造層の厚さは、0.16μm~2.7μmである。好ましくは、各減衰構造層の厚さは、0.18μm~2.6μmである。さらに好ましくは、各減衰構造層の厚さは、0.2μm~2.5μmである。より好ましくは、各減衰構造層の厚さは、0.21μm~2.3μmである。
【0106】
いくつかの実施例では、減衰構造層の等方性構造化損失係数を調整することにより、骨伝導マイクロフォンの出力電圧を変化させることができ、非共振領域における骨伝導マイクロフォンの感度を低下させないことを保証すると共に、共振領域のQ値を低下させ、骨伝導マイクロフォンの周波数応答を周波数帯域全体において平坦にする。
図8は、片持ち梁式の骨伝導マイクロフォンの出力電圧の周波数応答図である。
図8に示すように、etaは、
図5に示す骨伝導マイクロフォンの減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数であり、横軸は、周波数(Hz)を示し、縦軸は、デバイスの出力電圧(dBV)を示す。
図8から分かるように、減衰構造層の厚さが変化せず、減衰構造層の材料の損失係数が0.1である場合、共振領域(例えば、4000Hz~6000Hz)における骨伝導マイクロフォンの出力電圧のピーク値は大きく、減衰構造層の材料の損失係数が大きくなるにつれて、共振領域における骨伝導マイクロフォンの出力電圧のピーク値は、徐々に小さくなる。いくつかの実施例では、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、0.1~2であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、0.2~1.9であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、0.3~1.7であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、0.4~1.5であってもよい。さらに好ましくは、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、0.5~1.2であってもよい。より好ましくは、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、0.7~1であってもよい。
【0107】
なお、減衰構造層530の位置は、
図5に示す積層構造体の上面に限定されず、減衰構造層630の位置は、
図6に示す積層構造体の下面に限定されず、減衰構造層730及び減衰構造層740の位置は、
図7に示す積層構造体の上面及び下面に限定されない。いくつかの実施例では、減衰構造層は、積層構造体の多層層状構造の間に位置してもよい。例えば、減衰構造層は、弾性層と第1の電極層との間に位置してもよい。また例えば、減衰構造層は、振動ユニットの第1の弾性層と第2の弾性層との間に位置してもよい。
図5、
図6及び
図7に示す基体構造体及び積層構造体の詳細については、本願の明細書の
図3、
図4及びその関連説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0108】
図9は、本願の他の実施例に示す骨伝導マイクロフォンの概略構成図である。
図9に示すように、骨伝導マイクロフォン900は、基体構造体910及び積層構造体を含んでもよく、積層構造体の少なくとも一部は、基体構造体910に接続される。基体構造体910の内容については、
図3に示す基体構造体310の関連説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。さらに、基体構造体910及び積層構造体の接続方式についても、
図3の関連説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0109】
いくつかの実施例では、積層構造体は、音響変換ユニット920及び振動ユニット930を含んでもよい。振動ユニット930は、音響変換ユニット920の上面又は下面に位置してもよい。いくつかの実施例では、振動ユニット930は、少なくとも1つの弾性層を含んでもよい。弾性層は、半導体材料で製造された板状構造であってもよい。いくつかの実施例では、半導体材料は、シリカ、窒化ケイ素、窒化ガリウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素などを含んでもよい。いくつかの実施例では、音響変換ユニット920は、電極層及び圧電層923を含んでもよく、電極層は、第1の電極921及び第2の電極922を含む。本明細書の実施例では、該圧電層923は、圧電効果に基づいて、振動ユニット930の変形応力の作用で電圧(電位差)を発生させることができ、第1の電極921及び第2の電極922は、該電圧(電気信号)を導出することができる。いくつかの実施例では、第1の電極921及び第2の電極922は、圧電層923の同一の表面(例えば、上面又は下面)に間隔を隔てて設置され、電極層及び振動ユニット930は、圧電層923の異なる表面に位置する。例えば、振動ユニット930が圧電層923の下面に位置する場合、電極層(第1の電極921及び第2の電極922)は、圧電層923の上面に位置してもよい。また例えば、振動ユニット930が圧電層923の上面に位置する場合、電極層(第1の電極921及び第2の電極922)は、圧電層923の下面に位置してもよい。いくつかの実施例では、電極層及び振動ユニット930は、圧電層923の同じ側に位置してもよい。例えば、電極層は、圧電層923と振動ユニット930との間に位置する。いくつかの実施例では、第1の電極921は、第1の櫛歯状構造9210に折り曲げられてもよく、第1の櫛歯状構造9210は、複数の櫛歯構造を含んでもよく、第1の櫛歯状構造9210の隣接する櫛歯構造の間に第1の間隔を有し、該第1の間隔は、同じであってもよく、異なっていてもよい。第2の電極922は、第2の櫛歯状構造9220に折り曲げられてもよく、第2の櫛歯状構造9220は、複数の櫛歯構造を含んでもよく、第2の櫛歯状構造9220の隣接する櫛歯構造の間に第2の間隔を有し、該第2の間隔は、同じであってもよく、異なっていてもよい。第1の櫛歯状構造9210は、第2の櫛歯状構造9220と嵌合して電極層を形成し、さらに、第1の櫛歯状構造9210の櫛歯構造が第2の櫛歯状構造9220の第2の間隔へ入り込み、第2の櫛歯状構造9220の櫛歯構造が第1の櫛歯状構造9210の第1の間隔へ入り込むことにより、互いに嵌合して電極層を形成してもよい。第1の櫛歯状構造9210及び第2の櫛歯状構造9220が互いに嵌合することにより、第1の電極921及び第2の電極922は、コンパクトに配列されるが、交差しない。いくつかの実施例では、第1の櫛歯状構造9210及び第2の櫛歯状構造9220は、片持ち梁の長さ方向(例えば、固定端から自由端への方向)に沿って延在する。いくつかの実施例では、圧電層923は、好ましくは、圧電セラミック材料で製造され、圧電層923が圧電セラミック材料である場合、圧電層923の分極方向は、片持ち梁の長さ方向と一致し、圧電セラミックの圧電定数d
33の特性を利用して、出力信号を大幅に強化し、感度を向上させる。圧電定数d
33とは、圧電層が機械的エネルギーを電気エネルギーに変換する比例定数である。なお、
図9に示す圧電層923は、他の材料で製造されてもよく、他の材料の圧電層923の分極方向が片持ち梁の厚さ方向と一致する場合、音響変換ユニット920は、
図3に示すような音響変換ユニット320によって置き換えられてもよい。
【0110】
積層構造体と基体構造体910が相対的に移動する場合、積層構造体の振動ユニット930の異なる位置の変形程度は異なり、すなわち、振動ユニット930の異なる位置からの音響変換ユニット920の圧電層923に対する変形応力は異なり、骨伝導マイクロフォンの感度を向上させるために、いくつかの実施例では、音響変換ユニット920を振動ユニット930の変形程度が大きい位置のみに設置することにより、骨伝導マイクロフォン900の信号対雑音比を向上させることができる。よって、音響変換ユニット920の電極層及び/又は圧電層923の面積は、振動ユニット930の面積以下であってもよい。いくつかの実施例では、骨伝導マイクロフォン900の信号対雑音比をさらに向上させるために、音響変換ユニット920によって覆われた振動ユニット930の面積は、振動ユニット930の面積以下である。好ましくは、音響変換ユニット920によって覆われた振動ユニット930の面積は、振動ユニット930の面積の1/2以下である。好ましくは、音響変換ユニット920によって覆われた振動ユニット930の面積は、振動ユニット930の面積の1/3以下である。さらに好ましくは、音響変換ユニット920によって覆われた振動ユニット930の面積は、振動ユニット930の面積の1/4以下である。さらに、いくつかの実施例では、音響変換ユニット920は、積層構造体と基体構造体910との接続箇所に近接してもよい。振動ユニット930(例えば、弾性層)が積層構造体と基体構造体910との接続箇所の近くに外力を受けるときに発生する変形の程度が大きく、音響変換ユニット920が積層構造体と基体構造体910との接続箇所の近くに受ける変形応力も大きいため、音響変換ユニット920を該変形応力が大きい領域に配置することにより、骨伝導マイクロフォン900の感度を向上させると共に、骨伝導マイクロフォン900の信号対雑音比を向上させることができる。なお、ここでの音響変換ユニット920が積層構造体と基体構造体910との接続箇所に近接してもよいことは、積層構造体の自由端に対するものであり、すなわち、音響変換ユニット920から積層構造体と基体構造体910との接続箇所までの距離は、音響変換ユニット920から自由端までの距離より小さい。いくつかの実施例では、音響変換ユニット920の圧電層923の面積及び位置を調整するだけで骨伝導マイクロフォン900の感度及び信号対雑音比を向上させてもよい。例えば、電極層は、振動ユニット930の表面に完全に又は部分的に覆われ、圧電層923の面積は、電極層の面積以下であってもよい。好ましくは、圧電層923によって覆われた振動ユニット930の面積は、電極層の面積の1/2以下である。好ましくは、圧電層923によって覆われた振動ユニット930の面積は、電極層の面積の1/3以下である。さらに好ましくは、圧電層923によって覆われた振動ユニット930の面積は、電極層の面積の1/4以下である。いくつかの実施例では、圧電層923の面積は、振動ユニット930の面積と同じであってもよく、電極層の全領域が圧電層923によって覆われ、かつ電極層の縁部が圧電層923の縁部から一定の間隔で離隔されるため、電極層の第1の電極921及び第2の電極922は、圧電層923の縁部における材料の品質が低い領域を避けることにより、骨伝導マイクロフォン900の信号対雑音比をさらに向上させることができる。
【0111】
いくつかの実施例では、骨伝導マイクロフォン900は、少なくとも1つの減衰構造層(
図9に図示せず)をさらに含んでもよく、少なくとも1つの減衰構造層は、骨伝導マイクロフォン900の積層構造体の上面、下面及び/又は内部に位置してもよい。例えば、減衰構造層は、積層構造体の上面又は下面に位置してもよい。また例えば、減衰構造層は、振動ユニット930と圧電層923との間に位置してもよい。さらに例えば、減衰構造層は、第1の減衰構造層及び第2の減衰構造層を含んでもよく、第1の減衰構造層は、電極層の上面に位置し、第2の減衰構造層は、振動ユニット930の下面に位置する。減衰構造層の材料の種類、材料のヤング率、厚さ、密度、ポアソン比、損失係数などの詳細については、具体的に
図5~
図8の関連説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0112】
図10は、本願のいくつかの実施例に示す骨伝導マイクロフォンの概略構成図である。
図11は、
図10に示す骨伝導マイクロフォンの部分構造の断面図である。
図10及び
図11に示すように、骨伝導マイクロフォン1000は、基体構造体1010及び積層構造体を含んでもよく、積層構造体の少なくとも一部の構造は、基体構造体1010に接続される。いくつかの実施例では、基体構造体1010は、内部が中空のフレーム構造体であってもよく、積層構造体の一部の構造は、該フレーム構造体の中空部分に位置してもよい。なお、フレーム構造体は、
図10に示す直方体状に限定されず、いくつかの実施例では、フレーム構造体は、角錐台、円柱体などの規則的又は不規則的な構造体であってもよい。
【0113】
いくつかの実施例では、積層構造体は、音響変換ユニット1020及び振動ユニットを含んでもよい。いくつかの実施例では、振動ユニットは、音響変換ユニット1020の上面又は下面に設置されてもよい。
図10に示すように、振動ユニットは、サスペンション膜構造体1030を含み、サスペンション膜構造体1030は、周側により基体構造体1010に接続されて基体構造体1010に固定され、サスペンション膜構造体1030の中心領域は、基体構造体1010の中空部分に宙吊りに設置される。いくつかの実施例では、サスペンション膜構造体1030は、基体構造体1010の上面又は下面に位置してもよい。いくつかの実施例では、サスペンション膜構造体1030の周側は、基体構造体1010の中空部分の内壁に接続されてもよい。ここでの「接続」は、サスペンション膜構造体1030及び基体構造体1010をそれぞれ製造した後、サスペンション膜構造体1030を機械的固定方式(例えば、強力接着、リベット接続、クリップ、嵌め込みなどの方式)で基体構造体1010の上面、下面又は基体構造体1010の中空部分の側壁に固定し、あるいは、製造中に、物理堆積(例えば、物理的気相堆積)又は化学堆積(例えば、化学的気相堆積)の方式でサスペンション膜構造体1030を基体構造体1010に堆積することとして理解され得る。いくつかの実施例では、サスペンション膜構造体1030は、少なくとも1つの弾性層を含んでもよい。弾性層は、半導体材料で製造された膜状構造であってもよい。いくつかの実施例では、半導体材料は、シリカ、窒化ケイ素、窒化ガリウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素などを含んでもよい。いくつかの実施例では、サスペンション膜構造体1030の形状は、円形、楕円形、三角形、四角形、五角形、六角形などの多角形、又は他の任意の形状であってもよい。
【0114】
いくつかの実施例では、音響変換ユニット1020は、サスペンション膜構造体1030の上面又は下面に位置してもよい。いくつかの実施例では、サスペンション膜構造体1030は、複数の孔10300を含んでもよく、複数の孔10300は、音響変換ユニット1020の中心の周りで音響変換ユニット1020の周方向に沿って分布する。サスペンション膜構造体1030に複数の孔10300が設置されることにより、サスペンション膜構造体1030の異なる位置の剛性を調整することができるため、複数の孔10300の近くの領域でのサスペンション膜構造体1030の剛性を低下させ、複数の孔10300から離れるサスペンション膜構造体1030の剛性が相対的に大きく、サスペンション膜構造体1030と基体構造体1010が相対的に移動する場合、複数の孔10300の近くの領域でのサスペンション膜構造体1030の変形程度が大きく、複数の孔10300の領域から離れるサスペンション膜構造体1030の変形程度が小さく、このとき、音響変換ユニット1020をサスペンション膜構造体1030上の複数の孔10300の近くの領域に配置すると、音響変換ユニット1020による振動信号の収集に役立つことにより、骨伝導マイクロフォン1000の感度を効果的に向上させ、そして、骨伝導マイクロフォン1000の各部材の構造が簡単であるため、製造又は組み立てを容易にすることが理解できる。いくつかの実施例では、サスペンション膜構造体1030上の孔10300は、円形孔、楕円形孔、方形孔、他の多角形孔などの任意の形状であってもよい。いくつかの実施例では、複数の孔10300の大きさ、数、間隔距離、及び位置を変化させて、骨伝導マイクロフォン1000の共振周波数(共振周波数を2kHz~5kHzにする)及び応力分布などを調整することにより、骨伝導マイクロフォン1000の感度を向上させてもよい。なお、共振周波数は、上記2kHz~5kHzに限定されず、3kHz~4.5kHz又は4kHz~4.5kHzであってもよく、共振周波数の範囲は、様々な応用シーンに応じて適応的に調整することができ、本明細書ではさらに限定しない。
【0115】
図10及び
図11を参照して、いくつかの実施例では、音響変換ユニット1020は、上から下へ順に設置された第1の電極層1021、圧電層1022及び第2の電極層1023を含んでもよく、第1の電極層1021と第2の電極層1023の位置を逆にしてもよい。圧電層1022は、圧電効果に基づいて、振動ユニット(例えば、サスペンション膜構造体1030)の変形応力の作用で電圧(電位差)を発生させることができ、第1の電極層1021及び第2の電極層1023は、該電圧(電気信号)を導出することができる。いくつかの実施例では、圧電層の材料は、圧電結晶材料及び圧電セラミック材料を含んでもよい。圧電結晶とは、圧電単結晶である。いくつかの実施例では、圧電結晶材料は、水晶、閃亜鉛鉱、方ホウ石、電気石、紅亜鉛鉱、GaAs、チタン酸バリウム及びその誘導体結晶、KH
2PO
4、NaKC
4H
4O6・4H
2O(ロッシェル塩)、砂糖など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。圧電セラミック材料とは、異なる材料の粉末間の固相反応と焼結により得られた微細結晶粒がランダムに集合した圧電多結晶体である。いくつかの実施例では、圧電セラミック材料は、チタン酸バリウム(BT)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ニオブ酸鉛バリウムリチウム(PBLN)、改質チタン酸鉛(PT)、窒化アルミニウム(AIN)、酸化亜鉛(ZnO)など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例では、圧電層の材料は、圧電ポリマー材料、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などであってもよい。いくつかの実施例では、第1の電極層1021及び第2の電極層1023は、導電性材質構造である。例示的な導電性材質は、金属、合金材料、金属酸化物材料、グラフェンなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例では、金属と合金材料は、ニッケル、鉄、鉛、白金、チタン、銅、モリブデン、亜鉛など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例では、合金材料は、銅亜鉛合金、銅錫合金、銅ニッケルケイ素合金、銅クロム合金、銅銀合金など、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。いくつかの実施例では、金属酸化物材料は、RuO
2、MnO
2、PbO
2、NiOなど、又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0116】
図10に示すように、いくつかの実施例では、複数の孔10300は、円形領域を囲み、音響変換ユニット1020の音圧出力効果を向上させるために、音響変換ユニット1020は、サスペンション膜構造体1030における複数の孔10300に近接する領域に設置されてもよく、さらに、音響変換ユニット1020は、環状構造であり、複数の孔10300で囲まれた円形領域の内側に沿って分布してもよい。いくつかの実施例では、環状構造の音響変換ユニット1020は、複数の孔10300で囲まれた円形領域の外側に沿って分布してもよい。いくつかの実施例では、音響変換ユニット1020の圧電層1022は、圧電リングであってもよく、圧電リングの上下面に位置する第1の電極層1021及び第2の電極層1023は、電極リングであってもよい。いくつかの実施例では、音響変換ユニット1020にリード構造10200がさらに開設され、該リード構造10200は、電極リング(例えば、第1の電極層1021及び第2の電極層1023)が収集した電気信号を後続の回路に伝送する。いくつかの実施例では、骨伝導マイクロフォン1000の出力電気信号を改善するために、音響変換ユニット1020(例えば、環状構造)の縁部から各孔10300の中心までの径方向の間隔は、100μm~400μmであってもよい。好ましくは、音響変換ユニット1020(例えば、環状構造)の縁部から各孔10300の中心までの径方向の間隔は、150μm~300μmであってもよい。さらに好ましくは、音響変換ユニット1020(例えば、環状構造)の縁部から各孔10300の中心までの径方向の間隔は、150μm~250μmであってもよい。
【0117】
いくつかの実施例では、リード構造10200の形状、サイズ(例えば、長さ、幅、及び厚さ)、材質を調整することにより、骨伝導マイクロフォン1000の出力電気信号を改善してもよい。
【0118】
いくつかの代替的な実施例では、さらにサスペンション膜構造体1030の異なる領域の厚さ又は密度を調整することにより、サスペンション膜構造体1030の異なる位置の変形応力を変化させてもよい。例示的な説明のみを目的として、いくつかの実施例では、音響変換ユニット1020は、環状構造とされ、環状構造の内側領域におけるサスペンション膜構造体1030の厚さは、環状構造の外側領域におけるサスペンション膜構造体1030の厚さより大きい。他のいくつかの実施例では、上記環状構造の内側領域におけるサスペンション膜構造体1030の密度は、環状構造の外側領域におけるサスペンション膜構造体1030の密度より大きい。サスペンション膜構造体1030の異なる位置の密度又は厚さを変化させることにより、環状構造の内側領域に位置する宙吊り膜の質量は、環状構造の外側領域に位置する宙吊り膜の質量より大きく、サスペンション膜構造体1030と基体構造体1010が相対的に移動する場合、音響変換ユニット1020の環状構造の近くのサスペンション膜構造体1030が発生した変形の程度が大きく、発生した変形応力も大きく、その結果、骨伝導マイクロフォン1000の出力電気信号を改善する。
【0119】
なお、複数の孔10300で囲まれた領域の形状は、
図10に示す円形に限定されず、半円形、1/4円形、楕円形、半楕円形、三角形、長方形などの他の規則的又は不規則的な形状であってもよく、音響変換ユニット1020の形状は、複数の孔10300で囲まれた領域の形状に応じて適応的に調整することができ、例えば、複数の孔10300で囲まれた領域の形状が長方形である場合、音響変換ユニット1020の形状は、長方形であってもよく、長方形の音響変換ユニット1020は、複数の孔10300で囲まれた長方形の内側又は外側に沿って分布してもよい。また例えば、複数の孔10300で囲まれた領域の形状が半円形である場合、音響変換ユニット1020の形状は、半環状であってもよく、半環状の音響変換ユニット1020は、複数の孔10300で囲まれた半円形の内側又は外側に沿って分布してもよい。いくつかの実施例では、
図10に示すサスペンション膜構造体1030に穴を開けなくてもよい。
【0120】
いくつかの実施例では、骨伝導マイクロフォン1000は、少なくとも1つの減衰構造層を含んでもよく、少なくとも1つの減衰構造層は、積層構造体の上面、下面又は/及び内部に位置してもよい。減衰構造層は、非共振領域における骨伝導マイクロフォンの感度を低下させないことを保証すると共に、共振領域のQ値を低下させ、骨伝導マイクロフォンの周波数応答を周波数帯域全体において平坦にすることができる。
【0121】
図12は、本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンの断面図である。
図12に示すように、骨伝導マイクロフォン1200は、基体構造体1210、音響変換ユニット1220、サスペンション膜構造体1230及び減衰構造層1240を含んでもよい。サスペンション膜構造体1230の周側は、基体構造体1210に固定的に接続され、音響変換ユニット1220は、サスペンション膜構造体1230に載せられ、減衰構造層1240は、音響変換ユニット1220の上面に位置する。いくつかの実施例では、減衰構造層1240の面積が音響変換ユニット1220の面積より大きくてもよいため、減衰構造層1240は、音響変換ユニット1220の上面を覆うだけでなく、基体構造体1210の上面を覆うことができる。いくつかの実施例では、減衰構造層1240の少なくとも一部の周側は、基体構造体1210に固定されてもよい。
【0122】
図13は、本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンの断面図である。
図13に示すように、骨伝導マイクロフォン1300は、基体構造体1310、音響変換ユニット1320、サスペンション膜構造体1330及び減衰構造層1340を含んでもよい。サスペンション膜構造体1330の周側は、基体構造体1310に固定的に接続され、音響変換ユニット1320は、サスペンション膜構造体1330に載せられ、減衰構造層1340は、サスペンション膜構造体1330の下面に位置する。いくつかの実施例では、減衰構造層1340は、基体構造体1310の上面を覆ってもよい。例えば、減衰構造層1340の少なくとも一部の周側は、基体構造体1310の上面に固定されてもよい。他のいくつかの実施例では、減衰構造層1340は、サスペンション膜構造体1330と音響変換ユニット1320との間に位置してもよい。
【0123】
図14は、本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンの断面図である。
図14に示すように、骨伝導マイクロフォン1400は、基体構造体1410、音響変換ユニット1420、サスペンション膜構造体1430及び2つの減衰構造層1440を含んでもよく、2つの減衰構造層1440は、第1の減衰構造層1441及び第2の減衰構造層1442を含む。サスペンション膜構造体1430の周側は、基体構造体1410に固定的に接続され、音響変換ユニット1420は、サスペンション膜構造体1430の上面に載せられる。さらに、第1の減衰構造層1441は、音響変換ユニット1420の上面に位置し、第2の減衰構造層1442は、サスペンション膜構造体1430の下面に位置する。第1の減衰構造層1441及び/又は第2の減衰構造層1442の面積が音響変換ユニット1420の面積より大きいため、減衰構造層1440は、音響変換ユニット1420の上面を覆うだけでなく、基体構造体1410の上面を覆うことができる。減衰構造層1440の少なくとも一部の周側は、基体構造体1410に固定されてもよい。2つ以上の減衰構造層が設置される実施例については、各減衰構造層は、積層構造体の上面又は下面に位置してもよく、積層の厚さ方向の中間位置のある層に位置してもよく、好ましくは、異なる減衰構造層は、それぞれ積層構造体の上面及び下面に位置してもよい。
【0124】
なお、減衰構造層(例えば、減衰構造層1240)の位置は、上記
図12~
図14に示す積層構造体の上面及び/又は下面に限定されず、積層構造体の多層層状構造の間に位置してもよい。例えば、減衰構造層は、サスペンション膜構造体と電極層との間に位置してもよい。
【0125】
図15は、本願のいくつかの実施例に示す骨伝導マイクロフォンの概略構成図である。
図15に示す骨伝導マイクロフォン1500は、
図10に示す骨伝導マイクロフォン1000の構造とほぼ同じであり、その相違点は、
図15に示す骨伝導マイクロフォン1500の振動ユニットがサスペンション膜構造体1530及び質量素子1540を含むことである。
図15に示すように、骨伝導マイクロフォン1500は、基体構造体1510及び積層構造体を含んでもよく、積層構造体の少なくとも一部の構造は基体構造体1510に接続される。基体構造体1510の内容については、
図3に示す基体構造体310の関連説明を参照することができ、ここでは説明を省略する。
【0126】
いくつかの実施例では、積層構造体は、音響変換ユニット1520及び振動ユニットを含んでもよい。いくつかの実施例では、振動ユニットは、音響変換ユニット1520の上面又は下面に設置されてもよい。
図15に示すように、振動ユニットは、サスペンション膜構造体1530及び質量素子1540を含み、質量素子1540は、サスペンション膜構造体1530の上面又は下面に位置してもよい。いくつかの実施例では、サスペンション膜構造体1530は、基体構造体1510の上面又は下面に位置してもよい。いくつかの実施例では、サスペンション膜構造体1530の周側は、基体構造体1510の中空部分の内壁に接続されてもよい。ここでの「接続」は、サスペンション膜構造体1530及び基体構造体1510をそれぞれ製造した後、サスペンション膜構造体1530を機械的固定方式(例えば、強力接着、リベット接続、クリップ、嵌め込みなどの方式)で基体構造体1510の上面、下面又は基体構造体1510の中空部分の側壁に固定し、あるいは、製造中に、物理堆積(例えば、物理的気相堆積)又は化学堆積(例えば、化学的気相堆積)の方式でサスペンション膜構造体1530を基体構造体1510に堆積することとして理解され得る。振動ユニットと基体構造体1510が相対的に移動する場合、質量素子1540とサスペンション膜構造体1530の自体の重量が異なるため、サスペンション膜構造体1530における質量素子1540の位置する領域又はその近くの領域の変形程度は、サスペンション膜構造体1530における質量素子1540から離れる領域の変形程度より大きく、骨伝導マイクロフォン1500の出力電気信号を改善するために、音響変換ユニット1520は、質量素子1540の周方向に沿って分布してもよい。いくつかの実施例では、音響変換ユニット1520の形状は、質量素子1540の形状と同じであってもよく、異なっていてもよい。好ましくは、音響変換ユニット1520の形状が質量素子1540の形状と同じであってもよいため、音響変換ユニット1520の各位置がいずれも質量素子1540に近接することができ、その結果、骨伝導マイクロフォン1500の出力音圧をさらに向上させる。例えば、質量素子1540は、円柱状構造であり、音響変換ユニット1520は、環状構造であってもよく、環状構造の音響変換ユニット1520の内径が質量素子1540の半径より大きいため、音響変換ユニット1520は、質量素子1540の周方向に沿って設置される。いくつかの実施例では、音響変換ユニット1520は、第1の電極層、第2の電極層及び2つの電極層の間に位置する圧電層を含んでもよく、第1の電極層、圧電層及び第2の電極層は、質量素子1540の形状に適合する構造体を組み合わせる。例えば、質量素子1540は、円柱状構造であり、音響変換ユニット1520は、環状構造であってもよく、このとき、第1の電極層、圧電層及び第2の電極層は、いずれも環状構造であり、三者が上から下へ順に設置されて環状構造と組み合わせられる。
【0127】
いくつかの実施例では、音響変換ユニット1520と質量素子1540は、それぞれサスペンション膜構造体1530の異なる側に位置してもよく、サスペンション膜構造体1530の同じ側に位置してもよい。例えば、音響変換ユニット1520及び質量素子1540は、いずれもサスペンション膜構造体1530の上面又は下面に位置し、音響変換ユニット1520は、質量素子1540の周方向に沿って分布する。また例えば、音響変換ユニット1520は、サスペンション膜構造体1530の上面に位置し、質量素子1540は、サスペンション膜構造体1530の下面に位置し、このとき、サスペンション膜構造体1530の質量素子1540の投影は、音響変換ユニット1520の領域内にある。
【0128】
いくつかの実施例では、質量素子1540の大きさ、形状、位置、及び圧電層の位置、形状、大きさを変化させることにより、骨伝導マイクロフォン1500の出力電気信号を改善してもよい。ここでの音響変換ユニット1520の第1の電極層、第2の電極層及び圧電層と
図10に示す音響変換ユニット1020の第1の電極層1021、第2の電極層1023及び圧電層1022は、構造及びパラメータなどが類似し、サスペンション膜構造体1530とサスペンション膜構造体1030は、構造及びパラメータなどが類似し、リード構造15200とリード構造10200は、構造が類似し、ここでは説明を省略する。
【0129】
いくつかの実施例では、骨伝導マイクロフォン1500は、少なくとも1つの減衰構造層(
図15に図示せず)をさらに含んでもよく、少なくとも1つの減衰構造層は、骨伝導マイクロフォン1500の積層構造体の上面、下面及び/又は内部に位置してもよい。例えば、減衰構造層は、積層構造体の上面又は下面に位置してもよい。また例えば、減衰構造層は、サスペンション膜構造体1530と音響変換ユニット1520との間に位置してもよい。さらに例えば、減衰構造層は、第1の減衰構造層及び第2の減衰構造層を含んでもよく、第1の減衰構造層は、電極層の上面に位置し、第2の減衰構造層は、サスペンション膜構造体1530の下面に位置する。減衰構造層の材料の種類、材料のヤング率、厚さ、密度、ポアソン比、損失係数などの詳細については、具体的に後続の
図19~
図22の関連説明を参照することができる。
【0130】
図16は、本願のいくつかの実施例に示す骨伝導マイクロフォンの概略構成図である。
図17は、
図16に示す骨伝導マイクロフォンのB-Bでの断面図である。
図16に示すように、基体構造体1610は、直方体フレーム構造である。いくつかの実施例では、基体構造体1610の内部は、音響変換ユニット1620と振動ユニットを配置するための中空部分を含んでもよい。いくつかの実施例では、中空部分の形状は、円形、四角形(例えば、長方形、平行四辺形)、五角形、六角形、七角形、八角形などの他の規則的又は不規則的な形状であってもよい。いくつかの実施例では、長方形キャビティの一辺のサイズは、0.8mm~2mmであってもよい。好ましくは、長方形キャビティの一辺のサイズは、1mm~1.5mmであってもよい。いくつかの実施例では、振動ユニットは、4つの支持アーム1630及び質量素子1640を含んでもよく、4つの支持アーム1630の一端は、基体構造体1610の上面、下面又は基体構造体1610の中空部分の位置する側壁に接続され、4つの支持アーム1630の他端は、質量素子1640の上面、下面又は周方向の側壁に接続される。いくつかの実施例では、質量素子1640は、支持アーム1630に対して上向きに突出してもよく、下向きに突出してもよい。例えば、4つの支持アーム1630の端部が質量素子1640の上面に接続される場合、質量素子1640は、支持アーム1630に対して下向きに突出してもよい。また例えば、4つの支持アーム1630の端部が質量素子1640の下面に接続される場合、質量素子1640は、支持アーム1630に対して上向きに突出してもよい。さらに例えば、4つの支持アーム1630の端部が質量素子1640の周方向の側壁に接続される場合、質量素子1640は、支持アーム1630に対して上向き及び下向きに突出してもよい。いくつかの実施例では、支持アーム1630の形状は台形であり、支持アーム1630の幅が小さい一端は、質量素子1640に接続され、支持アーム1630の幅が大きい一端は、基体構造体1610に接続される。
【0131】
いくつかの実施例では、支持アーム1630は、少なくとも1つの弾性層を含んでもよい。弾性層は、半導体材料で製造された板状構造であってもよい。いくつかの実施例では、半導体材料は、シリコン、シリカ、窒化ケイ素、窒化ガリウム、酸化亜鉛、炭化ケイ素などを含んでもよい。いくつかの実施例では、支持アーム1630の異なる弾性層の材料は、同じであってもよく、異なっていてもよい。さらに、骨伝導マイクロフォン1600は、音響変換ユニット1620を含んでもよい。音響変換ユニット1620は、上から下へ順に設置された第1の電極層1621、圧電層1622及び第2の電極層1623を含んでもよく、第1の電極層1621又は第2の電極層1623は、支持アーム1630(例えば、弾性層)の上面又は下面に接続される。いくつかの実施例では、支持アーム1630が複数の弾性層である場合、音響変換ユニット1620は、複数の弾性層の間に位置してもよい。圧電層1622は、圧電効果に基づいて、振動ユニット(例えば、支持アーム1630及び質量素子1640)の変形応力の作用で電圧(電位差)を発生させることができ、第1の電極層1621及び第2の電極層1623は、該電圧(電気信号)を導出することができる。骨伝導マイクロフォン1600の共振周波数を特定の周波数範囲(例えば、2000Hz~5000Hz)内にするために、音響変換ユニット1620(例えば、第1の電極層1621、第2の電極層1623及び圧電層1622)、振動ユニット(例えば、支持アーム1630)の材料及び厚さを調整してもよい。いくつかの実施例では、音響変換ユニット1620は、ボンディングワイヤ電極層(PAD)をさらに含んでもよく、ボンディングワイヤ電極層は、第1の電極層1621及び第2の電極層1623に位置してもよい。外部ボンディングワイヤ(例えば、金線、アルミニウム線など)の方式で第1の電極層1621及び第2の電極層1623を外部回路に接続することにより、第1の電極層1621と第2の電極層1623との間の電圧信号をバックエンド処理回路に出力する。いくつかの実施例では、ボンディングワイヤ電極層の材料は、銅箔、チタン、及び銅などを含んでもよい。いくつかの実施例では、ボンディングワイヤ電極層の厚さは、100nm~200nmであってもよい。好ましくは、外層回路層の厚さは、150nm~200nmであってもよい。いくつかの実施例では、音響変換ユニット1620は、シード層をさらに含んでもよく、シード層は、第2の電極層1623と支持アーム1630との間に位置してもよい。いくつかの実施例では、シード層の材料は、圧電層1622の材料と同じであってもよい。例えば、圧電層1622の材料がAlNである場合、シード層の材料もAlNである。いくつかの実施例では、シード層の材料は、圧電層1622の材料と異なっていてもよい。いくつかの実施例では、シード層の厚さは、10nm~120nmであってもよい。好ましくは、シード層の厚さは、40nm~80nmであってもよい。なお、上記骨伝導マイクロフォン1600の共振周波数の特定の周波数範囲は、2000Hz~5000Hzに限定されず、4000Hz~5000Hz又は2300Hz~3300Hzなどであってもよく、特定の周波数範囲は、実際の状況に応じて調整することができる。また、質量素子1640が支持アーム1630に対して上向きに突出する場合、音響変換ユニット1620は、支持アーム1630の下面に位置してもよく、シード層は、質量素子1640と支持アーム1630との間に位置してもよい。
【0132】
いくつかの実施例では、質量素子1640は、単層構造又は多層構造であってもよい。いくつかの実施例では、質量素子1640は、多層構造であり、質量素子1640の層数、各層の構造に対応する材料、パラメータは、支持アーム1630の弾性層及び音響変換ユニット1620と同じであってもよく、異なっていてもよい。いくつかの実施例では、質量素子1640の形状は、円形、半円形、楕円形、三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形などの規則的又は不規則的な形状であってもよい。いくつかの実施例では、質量素子1640の厚さは、支持アーム1630及び音響変換ユニット1620の総厚さと同じであってもよく、異なっていてもよい。質量素子1640が多層構造である場合の材料及びサイズについては、支持アーム1630の弾性層及び音響変換ユニット1620を参照することができ、ここでは説明を省略する。また、ここでの弾性層及び音響変換ユニット1620の各層構造の材料及びパラメータは、本願の他の実施例に記載の骨伝導マイクロフォンに適用されてもよい。
【0133】
いくつかの実施例では、音響変換ユニット1620は、少なくとも有効な音響変換ユニットを含んでもよい。有効な音響変換ユニットとは、最終的に電気信号を出力する音響変換ユニットの一部の構造である。例えば、第1の電極層1621、圧電層1622、及び第2の電極層1623の形状及び面積がいずれも同じであり、かつ支持アーム1630(弾性層)を部分的に覆うと、第1の電極層1621、圧電層1622、及び第2の電極層1623は、有効な音響変換ユニットである。また例えば、第1の電極層1621及び圧電層1622が支持アーム1630を部分的に覆い、第2の電極層1623が支持アーム1630を完全に覆うと、第1の電極層1621、圧電層1622、及び第2の電極層1623の第1の電極層1621に対応する部分は、有効な音響変換ユニットを構成する。さらに例えば、第1の電極層1621が支持アーム1630を部分的に覆い、圧電層1622及び第2の電極層1623がいずれも支持アーム1630を完全に覆うと、第1の電極層1621、圧電層1622の第1の電極層1621に対応する部分、及び第2の電極層1623の第1の電極層1621に対応する部分は、有効な音響変換ユニットを構成する。さらに例えば、第1の電極層1621、圧電層1622、及び第2の電極層1623が支持アーム1630を完全に覆うが、第1の電極層1621に絶縁チャネル(例えば、電極絶縁チャネル16200)を設置することにより第1の電極層1621を複数の個別の電極に分割すると、第1の電極層1621における電気信号を出力する個別の電極部分及び対応する圧電層1622、第2の電極層1623部分は、有効な音響変換ユニットである。第1の電極層1621における電気信号を出力しない個別の電極領域、第1の電極層1621における電気信号を出力しない個別の電極及び絶縁チャネルに対応する圧電層1622、及び第2の電極層1623の領域は、電気信号を提供せず、主に力学的作用を提供する。骨伝導マイクロフォン1600の信号対雑音比を向上させるために、有効な音響変換ユニットを支持アーム1630の質量素子1640に近接する箇所又は支持アーム1630と基体構造体1610との接続箇所に近接する箇所に設置してもよい。好ましくは、有効な音響変換ユニットを支持アーム1630の質量素子1640に近接する位置に設置する。いくつかの実施例では、有効な音響変換ユニットを支持アーム1630の質量素子1640に近接する箇所又は支持アーム1630と基体構造体1610との接続箇所に近接する箇所に設置する場合、有効な音響変換ユニットによって覆われた支持アーム1630の面積と支持アーム1630の面積との比率は、5%~40%である。好ましくは、有効な音響変換ユニットによって覆われた支持アーム1630の面積と支持アーム1630の面積との比率は、10%~35%である。さらに好ましくは、有効な音響変換ユニットによって覆われた支持アーム1630の面積と支持アーム1630の面積との比率は、15%~20%である。
【0134】
骨伝導マイクロフォン1600の信号対雑音比は、出力電気信号の強度と正に相関し、積層構造体が基体構造体に対して相対的に移動する場合、支持アーム1630と質量素子1640との接続箇所及び支持アーム1630と基体構造体1610との接続箇所の変形応力は、支持アーム1630の中間領域の変形応力より大きく、それに応じて、支持アーム1630と質量素子1640との接続箇所及び支持アーム1630と基体構造体1610との接続箇所の出力電圧の強度も支持アーム1630の中間領域の出力電圧の強度より大きい。いくつかの実施例では、音響変換ユニット1620が支持アーム1630の上面又は下面を完全に又はほぼ完全に覆う場合、骨伝導マイクロフォン1600の信号対雑音比を向上させるために、第1の電極層1621に電極絶縁チャネル16200を設置してもよく、電極絶縁チャネル16200が第1の電極層1621を2つの部分に分割することにより、第1の電極層1621の一部が質量素子1640に近接し、第1の電極層1621の他の部分が支持アーム1630と基体構造体1610との接続箇所に近接する。第1の電極層1621における電極絶縁チャネル16200により分割された2つの部分のうちの電気信号を出力する部分及び対応する圧電層1622、第2の電極層1623は、有効な音響変換ユニットである。いくつかの実施例では、電極絶縁チャネル16200は、支持アーム1630の幅方向に沿って延在する直線であってもよい。いくつかの実施例では、電極絶縁チャネル16200の幅は、2μm~20μmであってもよい。好ましくは、電極絶縁チャネル16200の幅は、4μm~10μmであってもよい。
【0135】
なお、電極絶縁チャネル16200は、支持アーム1630の幅方向に沿って延在する直線に限定されず、曲線、折り曲げ線、波線などであってもよい。また、電極絶縁チャネル16200は、(
図18に示すように)支持アーム1630の幅方向に沿って延在しなくてもよく、音響変換ユニット1620を複数の部分に分割することができればよく、本明細書ではさらに限定しない。
【0136】
図18に示すように、音響変換ユニット1620の一部の構造(例えば、
図18における電極絶縁チャネル16201と質量素子1640との間の音響変換ユニット)が支持アーム1630の質量素子1640に近接する位置に設置される場合、第1の電極層1621及び/又は第2の電極層1623は、電極リードをさらに含んでもよい。第1の電極層1621を例として、電極絶縁チャネル16201は、第1の電極層1621を2つの部分に分割し、第1の電極層1621の一部は、質量素子1640に接続されるか又は質量素子1640に近接し、第1の電極層1621の他の部分は、支持アーム1630と基体構造体1610との接続箇所に近接し、音響変換ユニット1620の質量素子1640に近接する電圧を出力するために、電極絶縁チャネル16201により支持アーム1630と基体構造体1610との接続箇所に近接する第1の電極層1621から一部の領域(図に示す第1の電極層1621における支持アーム1630の縁部に位置する領域)を分割してもよく、該一部の領域は、音響変換ユニット1620における質量素子1640に接続される部分又は質量素子1640に近接する部分を骨伝導マイクロフォン1600の処理ユニットに電気的に接続する。いくつかの実施例では、電極リードの幅は、4μm~20μmであってもよい。好ましくは、電極リードの幅は、4μm~10μmであってもよい。いくつかの実施例では、電極リードは、支持アーム1630の幅方向の任意の位置に位置してもよく、例えば、電極リードは、支持アーム1630の中央又は幅方向の縁部に近接する箇所に位置してもよい。好ましくは、電極リードは、支持アーム1630の幅方向の縁部に近接する位置に位置してもよい。電極リード16211を設置することにより音響変換ユニット1620における導電線の使用を避けて、構造を簡略化し、後続の製造及び組立を容易にすることができる。
【0137】
支持アーム1630の縁部に近接する領域でエッチングにより圧電層1622の圧電材料の表面が荒れて圧電材料の品質を低下させる可能性があることを考慮して、いくつかの実施例では、圧電層1622の面積が第2の電極層1623の面積と同じである場合、第1の電極層1621が品質の高い圧電材料領域内に位置するために、圧電層1622の面積を第1の電極層1621の面積より小さくすることにより、第1の電極層1621の縁部領域は、圧電層1622の縁部領域を避け、第1の電極層1621と圧電層1622との間に電極収縮チャネル(図示せず)を形成してもよい。電極収縮チャネルを設置することにより、第1の電極層1621及び第2の電極層1623は、圧電層1622の縁部の品質が低い領域を避け、その結果、骨伝導マイクロフォンの信号対雑音比を向上させることができる。いくつかの実施例では、電極収縮チャネルの幅は、2μm~20μmであってもよい。好ましくは、電極収縮チャネルの幅は、2μm~10μmであってもよい。
【0138】
図17及び
図18に示すように、質量素子1640が支持アーム1630に対して下向きに突出する場合を例として、音響変換ユニット1620は、支持アーム1630の長さ方向に沿って延在する延在領域16210をさらに含んでもよく、該延在領域16210は、質量素子1640の上面に位置する。いくつかの実施例では、延在領域16210の質量素子1640の上面に位置する縁部位置には、電極絶縁チャネル16201が設置されて、支持アーム1630に応力が過剰に集中するという問題の発生を防止することにより、支持アーム1630の安定性を向上させることができる。いくつかの実施例では、延在領域16210の長さは、支持アーム1630の幅より大きい。ここでの延在領域16210の長さは、支持アーム1630の幅方向に対応する。いくつかの実施例では、延在領域16210の長さは、4μm~30μmである。好ましくは、延在領域16210の長さは、4μm~15μmである。いくつかの実施例では、質量素子1640における延在領域16210の長さは、支持アーム1630と質量素子1640の縁部との接続部位の幅の1.2倍~2倍である。好ましくは、質量素子1640における延在領域16210の長さは、支持アーム1630と質量素子1640の縁部との接続部位の幅の1.2倍~1.5倍である。
【0139】
いくつかの実施例では、
図16~
図18に示すような骨伝導マイクロフォンは、少なくとも1つの減衰構造層をさらに含んでもよく、少なくとも1つの減衰構造層は、積層構造体の上面、下面又は/及び内部に位置してもよく、少なくとも1つの減衰構造層の周側は、基体構造体に固定的に接続されてもよい。減衰構造層は、非共振領域における骨伝導マイクロフォンの感度を低下させないことを保証すると共に、共振領域のQ値を低下させ、骨伝導マイクロフォンの周波数応答を周波数帯域全体において平坦にすることができる。
図19は、本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンの断面図である。
図19に示すように、骨伝導マイクロフォン1900は、基体構造体1910、積層構造体1970及び減衰構造層1960を含んでもよい。積層構造体1970の質量素子1940が支持アームに対して下向きに突出することを例として、減衰構造層1960は、積層構造体1970の上面に位置して、積層構造体1970全体を覆ってもよい。いくつかの代替的な実施例では、減衰構造層1960は、積層構造体1970の下面に位置してもよい。減衰構造層が積層構造体1970の下面に位置する場合、質量素子1940が支持アームに対して下向きに突出するため、減衰構造層1960の形状は、積層構造体1970の下面に適合して、積層構造体1970の下面と貼り合わせて覆ってもよい。いくつかの実施例では、減衰構造層1960は、積層構造体1970の多層構造の間に位置してもよい。例えば、減衰構造層1960は、積層構造体1970の質量素子と第2の電極層との間に位置してもよい。
【0140】
骨伝導マイクロフォンの積層構造体は、ほぼバネマス系と見なすことができ、構造の異なる骨伝導マイクロフォンは、異なるバネマス系であり、質量素子を有する骨伝導マイクロフォン(例えば、
図15に示す骨伝導マイクロフォン1500、
図16に示す骨伝導マイクロフォン1600、及び
図19に示す骨伝導マイクロフォン1900)は、質量素子を有さない骨伝導マイクロフォン(例えば、
図3に示す骨伝導マイクロフォン300、
図9に示す骨伝導マイクロフォン900、及び
図10に示す骨伝導マイクロフォン1000)と比較して、等価バネ剛性と等価質量がいずれも大きく、したがって、減衰構造層を設置するとき、高い効果を達成するために、質量素子を有する骨伝導マイクロフォンには、より大きなヤング率又はより厚い減衰構造層が必要である。
【0141】
いくつかの実施例では、質量素子を有しかつ単層減衰構造層を有する骨伝導マイクロフォン(例えば、
図15に示す骨伝導マイクロフォン1500、
図16に示す骨伝導マイクロフォン1600、及び
図19に示す骨伝導マイクロフォン1900)において、減衰構造層の材料は、大きなヤング率を有してもよい。例えば、上記減衰構造層が大きなヤング率を有する材料で製造される場合、減衰構造層の材料のヤング率の範囲は、10
9Pa~10
10Paであってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料のヤング率の範囲は、10
9Pa~0.9×10
10Paである。好ましくは、減衰構造層の材料のヤング率の範囲は、0.2×10
10Pa~0.8×10
10Paであってもよい。さらに好ましくは、減衰構造層の材料のヤング率の範囲は、0.3×10
10Pa~0.7×10
10Paであってもよい。より好ましくは、減衰構造層の材料のヤング率の範囲は、0.4×10
10Pa~0.6×10
10Paであってもよい。この場合、減衰構造層の材料の密度は、1.1×10
3kg/m
3~2×10
3kg/m
3であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料の密度は、1.2×10
3kg/m
3~1.9×10
3kg/m
3であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料の密度は、1.3×10
3kg/m
3~1.8×10
3kg/m
3であってもよい。さらに好ましくは、減衰構造層の材料の密度は、1.4×10
3kg/m
3~1.7×10
3kg/m
3であってもよい。より好ましくは、減衰構造層の材料の密度は、1.5×10
3kg/m
3~1.6×10
3kg/m
3であってもよい。この場合、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.4~0.5であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.41~0.49であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.42~0.48であってもよい。さらに好ましくは、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.43~0.47であってもよい。より好ましくは、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.44~0.46であってもよい。この場合、減衰構造層の厚さは、0.1μm~5μmであってもよい。好ましくは、減衰構造層の厚さは、0.2μm~4.5μmであってもよい。好ましくは、減衰構造層の厚さは、0.3μm~4μmであってもよい。さらに好ましくは、減衰構造層の厚さは、0.4μm~3.5μmであってもよい。より好ましくは、減衰構造層の厚さは、0.5μm~3μmであってもよい。
【0142】
図20は、
図19に示すヤング率の大きな減衰構造層を有する骨伝導マイクロフォンの出力電圧の周波数応答図である。
図20に示すように、etaは、
図19に示す骨伝導マイクロフォンの減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数であり、横軸は、周波数(Hz)を示し、縦軸は、デバイスの出力電圧(dBV)を示す。
図20から分かるように、減衰構造層の厚さが一定である場合、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は1~20であり、減衰構造層の材料の損失係数が1である場合、共振領域(例えば、2000Hz~6000Hz)における出力電圧のピーク値は大きく、減衰構造層の材料の損失係数が大きくなるにつれて、共振領域における骨伝導マイクロフォンの出力電圧のピーク値は、徐々に小さくなる。いくつかの実施例では、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、1~20であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、2~18であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、3~16であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、4~15であってもよい。さらに好ましくは、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、5~10であってもよい。より好ましくは、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、6~9であってもよい。
【0143】
いくつかの実施例では、質量素子を有しかつ単層減衰構造層を有する骨伝導マイクロフォン(例えば、
図15に示す骨伝導マイクロフォン1500、
図16に示す骨伝導マイクロフォン1600及び
図19に示す骨伝導マイクロフォン1900)において、減衰構造層の厚さは、大きくてもよい。例えば、減衰構造層の厚さは、5μm~80μmであってもよい。好ましくは、減衰構造層の厚さは、10μm~75μmであってもよい。好ましくは、減衰構造層の厚さは、15μm~70μmであってもよい。好ましくは、減衰構造層の厚さは、20μm~65μmであってもよい。好ましくは、減衰構造層の厚さは、25μm~60μmであってもよい。さらに好ましくは、減衰構造層の厚さは、30μm~55μmであってもよい。より好ましくは、減衰構造層の厚さは、40μm~50μmであってもよい。
【0144】
厚い減衰構造層が設置される場合、減衰構造層のヤング率は、小さくてもよい。例えば、上記減衰構造層が厚い場合、減衰構造層の材料のヤング率の範囲は、106Pa~107Paであってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料のヤング率の範囲は、106Pa~0.8×107Paであってもよい。より好ましくは、減衰構造層の材料のヤング率の範囲は、0.2×107Pa~0.6×107Paであってもよい。この場合、減衰構造層の材料の密度は、0.7×103kg/m3~1.2×103kg/m3であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料の密度は、0.75×103kg/m3~1.15×103kg/m3であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料の密度は、0.8×103kg/m3~1.1×103kg/m3であってもよい。さらに好ましくは、減衰構造層の材料の密度は、0.85×103kg/m3~1.05×103kg/m3であってもよい。より好ましくは、減衰構造層の材料の密度は、0.9×103kg/m3~1×103kg/m3であってもよい。この場合、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.4~0.5であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.41~0.49であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.42~0.48であってもよい。さらに好ましくは、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.43~0.47であってもよい。より好ましくは、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.44~0.46であってもよい。
【0145】
図21は、
図19に示す厚さの大きな減衰構造層を有する骨伝導マイクロフォンの出力電圧の周波数応答図である。
図21に示すように、etaは、
図19に示す骨伝導マイクロフォンの減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数であり、横軸は、周波数(Hz)を示し、縦軸は、デバイスの出力電圧(dBV)を示す。
図21から分かるように、骨伝導マイクロフォンが厚さの大きな減衰構造層を有する(ここで減衰構造層の厚さが一定である)場合、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は10~100であり、減衰構造層の材料の損失係数が10である場合、共振領域(例えば、2000Hz~6000Hz)における出力電圧のピーク値は大きく、減衰構造層の材料の損失係数が100である場合、共振領域における出力電圧のピーク値は小さく、減衰構造層の材料の損失係数が大きくなるにつれて、共振領域における骨伝導マイクロフォンの出力電圧のピーク値は、徐々に小さくなる。いくつかの実施例では、骨伝導マイクロフォンが厚さの大きな減衰構造層を有する場合、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、10~80である。好ましくは、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、15~75である。好ましくは、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、20~70である。好ましくは、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、25~65である。さらに好ましくは、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、30~60である。より好ましくは、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、20~40である。
【0146】
図22は、本願の実施例に係る骨伝導マイクロフォンの断面図である。
図22に示す骨伝導マイクロフォンと
図19に示す骨伝導マイクロフォンは、構造全体がほぼ同じであり、両者の相違点は、
図22に示す骨伝導マイクロフォンが2層の減衰構造層を有することである。
図22に示すように、骨伝導マイクロフォンは、基体構造体1910、積層構造体1970、第1の減衰構造層1961及び第2の減衰構造層1962を含んでもよい。積層構造体1970の質量素子1940が支持アームに対して下向きに突出することを例として、第1の減衰構造層1961は、積層構造体1970の上面に位置し、積層構造体1970全体を覆い、第2の減衰構造層1962は、積層構造体1970の下面に位置し、積層構造体1970の下面を覆う。さらに、第2の減衰構造層1962が積層構造体1970の下面に位置する場合、質量素子1940が支持アームに対して下向きに突出するため、第2の減衰構造層1962の形状は、積層構造体1970の下面に適合して、積層構造体1970の下面と貼り合わせて覆ってもよい。すなわち、第2の減衰構造層1962は、階段構造を有し、階段構造の一部は、質量素子1940の下面を覆い、他の部分は、支持アームの下面を覆う。
【0147】
いくつかの実施例では、質量素子を有する骨伝導マイクロフォンが2層の減衰構造層を有する場合、その減衰構造層は、大きなヤング率を有する材料で製造されてもよい。例えば、上記減衰構造層が大きなヤング率を有する材料で製造される場合、減衰構造層の材料のヤング率の範囲は、109Pa~1010Paであってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料のヤング率の範囲は、109Pa~0.8×1010Paであってもよい。さらに好ましくは、減衰構造層の材料のヤング率の範囲は、0.2×1010Pa~0.6×1010Paであってもよい。より好ましくは、減衰構造層の材料のヤング率の範囲は、0.4×1010Pa~0.6×1010Paであってもよい。この場合、減衰構造層の材料の密度は、1.1×103kg/m3~2×103kg/m3であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料の密度は、1.2×103kg/m3~1.9×103kg/m3であってもよい。さらに好ましくは、減衰構造層の材料の密度は、1.3×103kg/m3~1.8×103kg/m3である。より好ましくは、減衰構造層の材料の密度は、1.4×103kg/m3~1.7×103kg/m3であってもよい。この場合、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.4~0.5であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.41~0.49であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.42~0.48であってもよい。さらに好ましくは、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.43~0.47であってもよい。より好ましくは、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.44~0.46であってもよい。この場合、各減衰構造層の厚さは、0.1μm~10μmであってもよい。好ましくは、各減衰構造層の厚さは、0.1μm~3μmであってもよい。好ましくは、各減衰構造層の厚さは、0.12μm~2.9μmであってもよい。好ましくは、各減衰構造層の厚さは、0.14μm~2.7μmであってもよい。好ましくは、各減衰構造層の厚さは、0.16μm~2.5μmであってもよい。さらに好ましくは、各減衰構造層の厚さは、0.18μm~2.3μmであってもよい。より好ましくは、減衰構造層の厚さは、0.2μm~2μmであってもよい。この場合、各減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、1~10であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、2~9であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、3~7である。さらに好ましくは、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、5~10である。より好ましくは、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、6~8である。
【0148】
いくつかの実施例では、質量素子を有する骨伝導マイクロフォンが2層の減衰構造層を有する場合、減衰構造層の厚さは、大きくてもよく、減衰構造層の材料のヤング率は、小さくてもよい。例えば、減衰構造層の材料のヤング率の範囲は、106Pa~107Paであってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料のヤング率の範囲は、0.2×107Pa~0.8×107Paであってもよい。より好ましくは、減衰構造層の材料のヤング率の範囲は、0.4×107Pa~0.8×107Paであってもよい。この場合、減衰構造層の材料の密度は、0.7×103kg/m3~1.2×103kg/m3であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料の密度は、0.75×103kg/m3~1.15×103kg/m3であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料の密度は、0.8×103kg/m3~1.1×103kg/m3であってもよい。さらに好ましくは、減衰構造層の材料の密度は、0.85×103kg/m3~1.05×103kg/m3であってもよい。より好ましくは、減衰構造層の材料の密度は、0.9×103kg/m3~1×103kg/m3であってもよい。この場合、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.4~0.5であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.41~0.49であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.42~0.48であってもよい。さらに好ましくは、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.43~0.47であってもよい。より好ましくは、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.44~0.46であってもよい。
【0149】
この場合、各減衰構造層の厚さは、2μm~50μmであってもよい。好ましくは、各減衰構造層の厚さは、5μm~45μmであってもよい。好ましくは、各減衰構造層の厚さは、10μm~40μmであってもよい。好ましくは、各減衰構造層の厚さは、10μm~30μmであってもよい。より好ましくは、各減衰構造層の厚さは、2μm~30μmであってもよい。さらに好ましくは、各減衰構造層の厚さは、15μm~20μmであってもよい。この場合、各減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、10~80であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、15~75であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、20~70である。さらに好ましくは、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、35~60である。より好ましくは、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、30~50である。
【0150】
図23は、本願のいくつかの実施例に係る骨伝導マイクロフォンの概略構成図である。
図23に示す骨伝導マイクロフォン2300の構造は、
図16に示す骨伝導マイクロフォン1600の構造とほぼ同じであり、その相違点は、骨伝導マイクロフォン2300の支持アーム2330の構造が骨伝導マイクロフォン1600の支持アーム1630の構造と異なることである。いくつかの実施例では、質量素子2340は、支持アーム2330に対して上向きに突出してもよく、下向きに突出してもよい。いくつかの実施例では、
図23に示すように、質量素子2340の上面は、支持アーム2330の上面と同一水平面にあり、及び/又は、質量素子2340の下面は、支持アーム2330の下面と同一水平面にある。いくつかの実施例では、支持アーム2330の形状は、略L字形構造であってもよい。
図23に示すように、支持アーム2330は、第1の支持アーム2331及び第2の支持アーム2332を含んでもよく、第1の支持アーム2331の一端部は、第2の支持アーム2332の一端部に接続され、第1の支持アーム2331と第2の支持アーム2332は、一定の夾角を有する。いくつかの実施例では、該夾角の範囲は、75°~105°である。いくつかの実施例では、第1の支持アーム2331と第2の支持アーム2332との接続箇所から離れる第1の支持アーム2331の一端が基体構造体2310に接続され、第1の支持アーム2331と第2の支持アーム2332との接続箇所から離れる第2の支持アーム2332の一端が質量素子2340の上面、下面又は周側の側壁に接続されることにより、質量素子2340は、基体構造体2310の中空部分に宙吊りに設置される。
【0151】
いくつかの実施例では、骨伝導マイクロフォン2300は、少なくとも1つの減衰構造層2350を含んでもよく、減衰構造層2350は、積層構造体の上面に位置してもよく、積層構造体の下面に位置してもよい。好ましくは、減衰構造層2350は、積層構造体の上面に位置してもよい。
図24は、
図23に示す骨伝導マイクロフォンの上面に減衰構造層が設置される場合の断面図であり、減衰構造層2350は、支持アーム2330と質量素子2340の上面に設置され、減衰構造層2350は、表面全体を覆ってもよい。他のいくつかの実施例では、減衰構造層2350は、積層構造体の下面に設置されてもよい。
【0152】
いくつかの実施例では、骨伝導マイクロフォン2300は、単層減衰構造層を有してもよく、減衰構造層の材料のヤング率の範囲は、106Pa~1010Paであってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料のヤング率の範囲は、106Pa~109Paであってもよい。さらに好ましくは、減衰構造層の材料のヤング率の範囲は、106Pa~108Paであってもよい。より好ましくは、減衰構造層の材料のヤング率の範囲は、106Pa~107Paであってもよい。この場合、減衰構造層の材料の密度は、0.7×103kg/m3~2×103kg/m3であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料の密度は、0.7×103kg/m3~2×103kg/m3であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料の密度は、0.8×103kg/m3~1.9×103kg/m3であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料の密度は、0.9×103kg/m3~1.8×103kg/m3であってもよい。さらに好ましくは、減衰構造層の材料の密度は、1×103kg/m3~1.6×103kg/m3であってもよい。より好ましくは、減衰構造層の材料の密度は、1.2×103kg/m3~1.4×103kg/m3であってもよい。この場合、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.4~0.5であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.41~0.49であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.42~0.48であってもよい。さらに好ましくは、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.43~0.47であってもよい。より好ましくは、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.44~0.46であってもよい。この場合、減衰構造層の厚さは、0.1μm~10μmであってもよい。好ましくは、減衰構造層の厚さは、0.1μm~5μmであってもよい。好ましくは、減衰構造層の厚さは、0.2μm~4.5μmであってもよい。好ましくは、減衰構造層の厚さは、0.3μm~4μmであってもよい。好ましくは、減衰構造層の厚さは、0.4μm~3.5μmであってもよい。好ましくは、減衰構造層の厚さは、0.5μm~3μmであってもよい。さらに好ましくは、減衰構造層の厚さは、0.6μm~2.5μmであってもよい。より好ましくは、減衰構造層の厚さは、0.7μm~2μmであってもよい。
【0153】
図25は、
図24に示す骨伝導マイクロフォンの出力電圧の周波数応答図である。
図25に示すように、etaは、
図24に示す骨伝導マイクロフォンの減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数であり、横軸は、周波数(Hz)を示し、縦軸は、骨伝導マイクロフォンの出力電圧(dBV)を示す。
図25から分かるように、減衰構造層の厚さが一定であり、減衰構造層の材料の損失係数が0.1である場合、共振領域(例えば、3000Hz~7000Hz)における出力電圧のピーク値は大きく、減衰構造層の材料の損失係数が0.9である場合、共振領域における出力電圧のピーク値は小さく、減衰構造層の材料の損失係数が大きくなるにつれて、共振領域における骨伝導マイクロフォンの出力電圧のピーク値は、徐々に小さくなる。いくつかの実施例では、
図24に示すような骨伝導マイクロフォンは、単層減衰構造層を有し、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、0.1~2であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、0.2~1.9であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、0.3~1.7であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、0.4~1.5であってもよい。さらに好ましくは、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、0.5~1.2であってもよい。より好ましくは、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、0.7~1であってもよい。
【0154】
図26は、
図23に示す骨伝導マイクロフォンに2層の減衰構造層が設置される場合の断面図であり、減衰構造層2350は、支持アーム2330と質量素子2340の上面及び下面に設置され、下層の減衰構造層2350は、積層構造体の下面全体を覆い、かつ基体構造体2310に接続され、上層の減衰構造層2350は、積層構造体の上面全体を覆う。他のいくつかの実施例では、減衰構造層2350は、積層構造体のある2層の隙間に設置されてもよく、例えば、電極層と弾性層との間に設置されてもよい。いくつかの実施例では、減衰構造層は、支持アームと音響変換ユニットとの間に位置してもよい。あるいは、減衰構造層は、振動ユニットと音響変換ユニットとの間に位置してもよい。
【0155】
いくつかの実施例では、
図26に示すような骨伝導マイクロフォンは、2層の減衰構造層を有し、減衰構造層の材料のヤング率の範囲は、10
6Pa~10
7Paであってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料のヤング率の範囲は、10
6Pa~0.8×10
7Paであってもよい。より好ましくは、減衰構造層の材料のヤング率の範囲は、0.2×10
6Pa~0.6×10
7Paであってもよい。この場合、減衰構造層の材料の密度は、0.7×10
3kg/m
3~1.2×10
3kg/m
3であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料の密度は、0.75×10
3kg/m
3~1.1×10
3kg/m
3であってもよい。さらに好ましくは、減衰構造層の材料の密度は、0.8×10
3kg/m
3~1×10
3kg/m
3であってもよい。より好ましくは、減衰構造層の材料の密度は、0.85×10
3kg/m
3~0.9×10
3kg/m
3であってもよい。この場合、各減衰構造層の材料のポアソン比は、0.4~0.5であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.41~0.49であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.42~0.48であってもよい。さらに好ましくは、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.43~0.47であってもよい。より好ましくは、減衰構造層の材料のポアソン比は、0.44~0.46であってもよい。この場合、各減衰構造層の厚さは、1層の減衰構造層のみを有する骨伝導マイクロフォンの減衰構造層の厚さよりわずかに小さくてもよい。例えば、各減衰構造層の材料の厚さは、0.1μm~3μmであってもよい。好ましくは、各減衰構造層の厚さは、0.12μm~2.9μmであってもよい。好ましくは、各減衰構造層の厚さは、0.14μm~2.8μmであってもよい。好ましくは、各減衰構造層の厚さは、0.16μm~2.7μmであってもよい。好ましくは、各減衰構造層の厚さは、0.18μm~2.6μmであってもよい。さらに好ましくは、各減衰構造層の厚さは、0.2μm~2.5μmであってもよい。より好ましくは、各減衰構造層の厚さは、0.21μm~2.3μmであってもよい。この場合、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、0.1~2であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、0.2~1.9であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、0.3~1.7であってもよい。好ましくは、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、0.4~1.5であってもよい。さらに好ましくは、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、0.5~1.2であってもよい。より好ましくは、減衰構造層の材料の等方性構造化損失係数は、0.7~1であってもよい。
【0156】
図27は、本願のいくつかの実施例に係るコンデンサ型骨伝導マイクロフォンの概略構成図である。
図27に示すように、骨伝導マイクロフォン2700は、基体構造体2720及びコンデンサアセンブリ2710を含んでもよく、基体構造体2720は、内部が中空のフレーム構造であり、コンデンサアセンブリ2710の少なくとも一部は、基体構造体2720に接続される。なお、フレーム構造体は、
図27に示す直方体状に限定されず、いくつかの実施例では、フレーム構造体は、角錐台、円柱体などの規則的又は不規則的な構造体であってもよい。いくつかの実施例では、コンデンサアセンブリ2710は、少なくとも第1の電極板2711及び第2の電極板2712を含んでもよく、第1の電極板2711と第2の電極板2712との間に非導電性絶縁媒体が充填され、第1の電極板2711及び第2の電極板2712は、導電線を介してコンデンサアセンブリ2710の電圧を骨伝導マイクロフォン2700の処理ユニット(例えば、プロセッサ)に伝送する。いくつかの実施例では、第1の電極板2711及び第2の電極板2712は、いずれも金属材質(例えば、銅、アルミニウムなど)で製造された構造体であり、第1の電極板2711の厚さを第2の電極板2712の厚さより小さくすることにより、コンデンサアセンブリ2710の感度を向上させることができる。いくつかの代替的な実施例では、第1の電極板2711は、表面に金属層がメッキされた非金属材質構造であってもよい。例えば、第1の電極板2711は、プラスチックフィルムであってもよく、プラスチックフィルムの表面に金属層がメッキされる。いくつかの実施例では、第1の電極板2711と第2の電極板2712の構造は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0157】
基体構造体2720は、外部振動信号(例えば、ユーザが話す時の筋肉振動)により振動が発生し、コンデンサアセンブリ2710の部材(例えば、第1の電極板2711)は、基体構造体2720の振動に応答して変形し、第1の電極板2711が変形する場合、第1の電極板2711と第2の電極板2712との間の距離を変化させ、すなわち、コンデンサアセンブリ2710の電気容量を変化させることができる。ここでのコンデンサアセンブリ2710の総電荷量は、一定であり、電気容量が変化する場合、コンデンサアセンブリ2710(第1の電極板2711と第2の電極板2712との間)の電圧が変化する。コンデンサアセンブリ2710の電圧変化状況は、外部音圧(振動信号)の強弱を反映することができ、コンデンサアセンブリ2710により外部振動信号を電気信号に変換することができる。
【0158】
いくつかの実施例では、骨伝導マイクロフォン2700は、少なくとも1つの減衰構造層(図示せず)をさらに含んでもよく、減衰構造層の少なくとも一部の周側は、基体構造体2720に接続される。いくつかの実施例では、減衰構造層の面積がコンデンサアセンブリ2710の上面又は下面の面積より大きくてもよいため、減衰構造層は、第1の電極板2711又は第2の電極板2712の表面を覆うことができると共に、コンデンサアセンブリ2710の上面及び/又は下面を覆うことができる。なお、上記骨伝導マイクロフォン(例えば、骨伝導マイクロフォン300、骨伝導マイクロフォン900、骨伝導マイクロフォン1000、骨伝導マイクロフォン1500、骨伝導マイクロフォン1600、及び骨伝導マイクロフォン2300)の積層構造体の代わりにコンデンサアセンブリ2710を用いることができる。また、上記骨伝導マイクロフォンの積層構造体の代わりにコンデンサアセンブリ2710を用いる場合、減衰構造層の数、基体構造体に対する位置、パラメータ(例えば、減衰構造層の材料のヤング率、厚さ、ポアソン比、及び密度など)は、同様にコンデンサアセンブリ2710を有する骨伝導マイクロフォンに適用され、ここでは説明を省略する。
【0159】
上記で基本概念を説明してきたが、当業者にとっては、上記詳細な開示は、単なる例として提示されているに過ぎず、本願を限定するものではないことは明らかである。本明細書において明確に記載されていないが、当業者は、本願に対して様々な変更、改良及び修正を行うことができる。これらの変更、改良及び修正は、本願によって示唆されることが意図されておるため、本願の例示的な実施例の精神及び範囲内にある。
【0160】
さらに、本願の実施例を説明するために、本願において特定の用語が使用されている。例えば、「1つの実施例」、「一実施例」、及び/又は「いくつかの実施例」は、本願の少なくとも1つの実施例に関連した特定の特徴、構造又は特性を意味する。したがって、本明細書の様々な部分における「一実施例」又は「1つの実施例」又は「1つの代替的な実施例」の2つ以上の言及は、必ずしもすべてが同一の実施例を指すとは限らないことを強調し、理解されたい。また、本願の1つ以上の実施例における特定の特徴、構造、又は特性は、適切に組み合わせられてもよい。
【0161】
さらに、当業者には理解されように、本願の各態様は、任意の新規かつ有用なプロセス、機械、製品又は物質の組み合わせ、又はそれらへの任意の新規かつ有用な改善を含む、いくつかの特許可能なクラス又はコンテキストで、例示及び説明され得る。よって、本願の各態様は、完全にハードウェアによって実行されてもよく、完全にソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)によって実行されてもよく、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせによって実行されてもよい。以上のハードウェア又はソフトウェアは、いずれも「データブロック」、「モジュール」、「エンジン」、「ユニット」、「アセンブリ」又は「システム」と呼ばれてもよい。さらに、本願の各態様は、コンピュータ読み取り可能なプログラムコードを含む1つ以上のコンピュータ読み取り可能な媒体に具現化されたコンピュータプログラム製品の形態を取ることができる。
【0162】
さらに、特許請求の範囲に明確に記載されていない限り、本願に記載の処理要素又はシーケンスの列挙した順序、英数字の使用、又は他の名称の使用は、本願の手順及び方法の順序を限定するものではない。上記開示において、発明の様々な有用な実施例であると現在考えられるものを様々な例を通して説明しているが、そのような詳細は、単にその目的のためであり、添付の特許請求の範囲は、開示される実施例に限定されないが、反対に、本願の実施例の趣旨及び範囲内にある全ての修正及び等価な組み合わせをカバーするように意図されることが理解されよう。例えば、上述したシステムアセンブリは、ハードウェアデバイスにより実装されてもよいが、ソフトウェアのみのソリューション、例えば、既存の処理装置又は移動装置に説明されたシステムをインストールすることにより実装されてもよい。
【0163】
同様に、本願の実施例の前述の説明では、本開示を簡略化して、1つ以上の発明の実施例への理解を助ける目的で、様々な特徴が1つの実施例、図面又はその説明にまとめられることがあることが理解されるであろう。しかしながら、このような開示方法は、特許請求される主題が各請求項で列挙されるよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。むしろ、特許請求される主題は、前述の単一の開示された実施形態のすべての特徴より少ない場合がある。
【0164】
いくつかの実施例において成分及び属性の数を説明する数字が使用されており、このような実施例を説明するための数字は、いくつかの例において修飾語「約」、「ほぼ」又は「実質的」によって修飾されるものとして理解されるべきである。特に明記しない限り、「約」、「ほぼ」又は「実質的」は、上記数字が説明する値の±20%の変動が許容されることを示す。よって、いくつかの実施例では、明細書及び特許請求の範囲において使用されている数値パラメータは、いずれも特定の実施例に必要な特性に応じて変化し得る近似値である。いくつかの実施例では、数値パラメータについては、規定された有効桁数を考慮すると共に、通常の丸め手法を適用するべきである。本願のいくつかの実施例におけるその範囲を決定するための数値範囲及びパラメータは近似値であるにもかかわらず、特定の実施例では、このような数値は可能な限り正確に設定される。
【0165】
本願において参照されている全ての特許、特許出願、公開特許公報、及び、論文、書籍、仕様書、刊行物、文書などのような他の資料は、本願の内容と一致しないか又は矛盾する出願経過文書、及び(現在又は後に本願に関連する)本願の特許請求項の最も広い範囲に関して限定的な影響を有し得る文書を除いて、その全体が参照により本願に組み込まれる。なお、本願の添付資料における説明、定義、及び/又は用語の使用が本願に記載の内容と一致しないか又は矛盾する場合、本願における説明、定義、及び/又は用語の使用を優先するものとする。
【0166】
最後に、本願に記載の実施例は、単に本願の実施例の原理を説明するものであることが理解されよう。他の変形例も本願の範囲内にある可能性がある。したがって、限定するものではなく、例として、本願の実施例の代替構成は、本願の教示と一致するように見なされてもよい。よって、本願の実施例は、本願において明確に紹介して説明された実施例に限定されない。
【符号の説明】
【0167】
300 骨伝導マイクロフォン
310 基体構造体
320 音響変換ユニット
330 振動ユニット
340 接続ベース
500 骨伝導マイクロフォン
510 基体構造体
520 積層構造体
530 減衰構造層
600 骨伝導マイクロフォン
610 基体構造体
620 積層構造体
630 減衰構造層
700 骨伝導マイクロフォン
710 基体構造体
720 積層構造体
730 第1の減衰構造層
740 第2の減衰構造層
900 骨伝導マイクロフォン
910 基体構造体
920 音響変換ユニット
930 振動ユニット
1000 骨伝導マイクロフォン
1010 基体構造体
1020 音響変換ユニット
1030 サスペンション膜構造体
1200 骨伝導マイクロフォン
1210 基体構造体
1220 音響変換ユニット
1230 サスペンション膜構造体
1240 減衰構造層
1300 骨伝導マイクロフォン
1310 基体構造体
1320 音響変換ユニット
1330 サスペンション膜構造体
1340 減衰構造層
1400 骨伝導マイクロフォン
1410 基体構造体
1420 音響変換ユニット
1430 サスペンション膜構造体
1440 減衰構造層
1500 骨伝導マイクロフォン
1510 基体構造体
1520 音響変換ユニット
1530 サスペンション膜構造体
1540 質量素子
1600 骨伝導マイクロフォン
1610 基体構造体
1620 音響変換ユニット
1630 支持アーム
1640 質量素子
1900 骨伝導マイクロフォン
1910 基体構造体
1960 減衰構造層
1970 積層構造体
2300 骨伝導マイクロフォン
2310 基体構造体
2330 支持アーム
2340 質量素子
2350 減衰構造層
2700 骨伝導マイクロフォン
2710 コンデンサアセンブリ
2720 基体構造体