(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】受取人不在時の配達物処理方法及びそのシステム
(51)【国際特許分類】
B65G 61/00 20060101AFI20240202BHJP
G06Q 10/083 20240101ALI20240202BHJP
【FI】
B65G61/00 540
G06Q10/083
(21)【出願番号】P 2022557757
(86)(22)【出願日】2021-03-22
(86)【国際出願番号】 KR2021003510
(87)【国際公開番号】W WO2021201480
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-11-11
(31)【優先権主張番号】10-2020-0039303
(32)【優先日】2020-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0090131
(32)【優先日】2020-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517107058
【氏名又は名称】ウーワ ブラザーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120008
【氏名又は名称】山田 くみ子
(72)【発明者】
【氏名】キム ミョンシク
(72)【発明者】
【氏名】キム ジュンウ
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/146576(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 61/00
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配達物処理システムが、顧客端末から配達先に到着した配達ロボットに対する荷降ろし要求があったか否かを確認するステップと、
確認結果に基づいて、前記配達物処理システムが、前記配達先に前記配達ロボットが配達物を自動的に降ろすようにするステップと、
を含み、
前記配達先に前記配達ロボットが配達物を自動的に降ろすようにするステップは、
前記荷降ろし要求がある場合、前記配達物処理システムが、前記配達先に前記配達ロボットが配達物を自動的に降ろすようにするステップと、
前記荷降ろし要求がない場合、前記配達物処理システムが、前記配達ロボットを前記配達先で待機させ、待機中に一定時間の間前記の顧客端末と通信が行われない場合、前記配達ロボットが前記配達先に前記配達物を自動的に降ろすようにするステップと、
を含む、受取者不在時の配達物処理方法。
【請求項2】
前記受取人不在時の配達物処理方法は、
前記配達物処理システムが、前記顧客端末から荷降ろし位置が指定されると、前記配達物処理システムが、指定された位置を荷降ろし位置として決定するステップと、
前記顧客端末から荷降ろし位置が指定されていないと、前記配達物処理システムが、配達先内の任意の位置を荷降ろし位置として決定するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の受取人不在時の配達物処理方法。
【請求項3】
前記配達物処理システムが、指定された位置を荷降ろし位置として決定するステップは、
前記配達物処理システムが、前記配達ロボットに備えられた少なくとも1つのカメラにより所定の範囲内で配達先を撮影するステップと、
撮影された撮影データを前記顧客端末に伝送するステップと、
前記配達物処理システムが、前記顧客端末から前記撮影データ内で荷降ろし位置を指定されるステップと、
前記配達物処理システムが、前記撮影データ内で指定された荷降ろし位置を実際の配達先内の位置とマッチングし、マッチングされた位置を荷降ろし位置として決定するステップと、
を含む、請求項2に記載の受取人不在時の配達物処理方法。
【請求項4】
前記受取人不在時の配達物処理方法は、
前記配達物処理システムが、前記配達ロボットに備えられた少なくとも1つのカメラにより、降ろされた配達物が含まれた配達先を撮影するステップと、
撮影された撮影データを前記顧客端末に伝送するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載の受取人不在時の配達物処理方法。
【請求項5】
データ処理装置に設けられ、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の方法を行うための記録されたコンピュータプログラム。
【請求項6】
顧客端末と通信を行う通信部と、
配達ロボットに備えられた少なくとも1つのカメラにより撮影された撮影データを取得する撮影データ取得部と、
前記配達ロボットの機能を制御する制御部と、
を含み、
前記制御部は、
前記配達ロボットが配達先に到着すると、前記顧客端末から荷降ろし要求があったか否かを確認し、
前記荷降ろし要求がある場合、前記配達先に前記配達ロボットが配達物を自動的に降ろすように制御するか、
前記荷降ろし要求がない場合、前記配達ロボットを前記配達先で待機させ、待機中に一定時間の間前記顧客端末との通信が行われない場合、前記配達ロボットが前記配達先に前記配達物を自動的に降ろすように制御し、
前記配達物が降ろされると、前記撮影データ取得部により、降ろされた配達物が含まれた配達先を撮影した撮影データを取得して前記顧客端末に伝送するように前記通信部を制御する、配達物処理システム。
【請求項7】
前記制御部は、
前記顧客端末から荷降ろし位置の指定があったか否かを確認し、
確認結果に基づいて、指定された荷降ろし位置又は前記配達先内の任意の位置に前記配達ロボットが配達物を自動的に降ろすように制御する、請求項6に記載の配達物処理システム。
【請求項8】
前記配達物処理システムは、
前記撮影データに対して所定の画像処理を行う画像変換部と、
所定の画像から荷降ろし位置を抽出するための位置抽出部と、
をさらに含み、
配達先が撮影された撮影データを受信した前記顧客端末から荷降ろし位置が指定された画像を受信し、
受信した画像から指定された荷降ろし位置を抽出して実際の配達先の位置とマッチングすることで、マッチング位置に前記配達物を降ろすように制御する、請求項7に記載の配達物処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受取人不在時の配達物処理方法及びそのシステムに関し、より詳しくは、配達ロボットを用いた配送システムにおいて、配達物を受け取る受取人(顧客)の不在時、顧客の同意後に所定位置に配達物を置くことができるようにする技術的思想に関する。
【背景技術】
【0002】
人員の確保や管理の難しさ、人件費の上昇、また非対面サービスの希望の増加により、人による配達でなく配達ロボットを用いた配達に対する需要が増加している。
【0003】
しかし、配達先に到着したときに顧客(受取人)が不在の場合、配達ロボットは、従来の配達員(人)とは異なり即時かつ柔軟な対処が困難であり、顧客が来るまで待機する場合には、配達物の種類によって(例えば、料理など)配達物の質が低下する恐れがある問題に加え、配達ロボットが1つの配達先で待機する時間が長くなり、他の配達に支障を与える恐れがあるという問題がある。
【0004】
また、顧客が不在でなくても、顧客が出て直接配達物を受け取るよりは、ドアの前や廊下など所定の場所に配達物を置いて行く非対面配達を希望する場合が多くなっている。
【0005】
従来の配達員が直接配達する場合、問題が生じにくいが、配達ロボットの場合は、配達物を降ろす適切な位置を選定する問題から、配達物に損傷が生じないように降ろす問題まで様々な問題が発生する可能性がある。
【0006】
したがって、受取人が不在の場合でも、従来の配達員のように配達ロボットが配達物を自動的に正確な位置に安定して降ろすことを可能にする技術的思想が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】大韓民国登録特許(登録番号10-2015994、「アスコン温度低下防止用積載ボックス」)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、受取人が不在であっても配達ロボットが配達物を正確な位置に安定に降ろすことができるようにする技術的思想を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記技術的課題を解決するための本発明の実施例による受取人不在時の配達物処理方法は、配達物処理システムが、顧客端末から配達先に到着した配達ロボットに対する荷降ろし要求があったか否かを確認するステップ、及び確認結果に基づいて、前記配達物処理システムが、前記配達先に前記配達ロボットが配達物を自動的に降ろすようにするステップを含み、前記配達先に前記配達ロボットが配達物を自動的に降ろすようにするステップは、前記荷降ろし要求がある場合、前記配達物処理システムが、前記配達先に前記配達ロボットが配達物を自動的に降ろすようにするステップ、又は前記荷降ろし要求がない場合、前記配達物処理システムが、前記配達ロボットを前記配達先で待機させ、待機中に一定時間の間前記顧客端末と通信が行われない場合、前記配達ロボットが前記配達先に前記配達ロボットが配達物を自動的に降ろすようにするステップを含んでもよい。
【0010】
また、前記受取人不在時の配達物処理方法は、前記配達物処理システムが、前記顧客端末から荷降ろし位置が指定されると、前記配達物処理システムが、指定された位置を荷降ろし位置として決定するステップと、前記顧客端末から荷降ろし位置が指定されていないと、前記配達物処理システムが、配達先内の任意の位置を荷降ろし位置として決定するステップとをさらに含んでもよい。
【0011】
また、前記配達物処理システムが、指定された位置を荷降ろし位置として決定するステップは、前記配達物処理システムが、前記配達ロボットに備えられた少なくとも1つのカメラにより所定範囲内で配達先を撮影するステップと、撮影された撮影データを前記顧客端末に伝送するステップと、前記配達物処理システムが、前記顧客端末から前記撮影データ内で荷降ろし位置を指定されるステップと、前記配達物処理システムが、前記撮影データ内で指定された荷降ろし位置を実際の配達先内の位置とマッチングし、マッチングされた位置を荷降ろし位置として決定するステップとを含んでもよい。
【0012】
また、前記受取人不在時の配達物処理方法は、前記配達物処理システムが、前記配達ロボットに備えられた少なくとも1つのカメラにより、降ろされた配達物が含まれた配達先を撮影するステップと、撮影された撮影データを前記顧客端末に伝送するステップとをさらに含んでもよい。
【0013】
前記受取人不在時の配達物処理方法は、データ処理装置に設けられたコンピュータプログラムによって実現されてもよい。
【0014】
上記技術的課題を解決するための本発明の実施形態による受取人不在時の配達物処理システムは、顧客端末と通信を行う通信部と、配達ロボットに備えられた少なくとも1つのカメラにより撮影された撮影データを取得する撮影データ取得部と、前記配達ロボットの機能を制御する制御部とを含み、前記制御部は、前記配達ロボットが配達先に到着すると、前記顧客端末から荷降ろし要求があったか否かを確認し、前記荷降ろし要求がある場合、前記配達先に前記配達ロボットが配達物を自動的に降ろすように制御するか、又は前記荷降ろし要求がない場合、前記配達ロボットを前記配達先で待機させ、待機中に一定時間の間前記顧客端末との通信が行われない場合、前記配達ロボットが前記配達先に前記配達物を自動的に降ろすように制御し、前記配達物が降ろされると、前記撮影データ取得部により、降ろされた配達物が含まれた配達先を撮影した撮影データを取得して前記顧客端末に伝送するように通信部を制御してもよい。
【0015】
また、前記制御部は、前記顧客端末から荷降ろし位置の指定があったか否かを確認し、確認結果に基づいて、指定された荷降ろし位置又は前記配達先内の任意の位置に前記配達ロボットが配達物を自動的に降ろすように制御してもよい。
【0016】
また、前記配達物処理システムは、前記撮影データに所定の画像処理を行う画像変換部と、所定の画像から荷降ろし位置を抽出する位置抽出部とをさらに含み、配達先が撮影された撮影データを受信した前記顧客端末から荷降ろし位置が指定された画像を受信し、受信した画像から指定された荷降ろし位置を抽出して実際の配達先内の位置とマッチングし、マッチングされた位置に前記配達物を降ろすように制御してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一実施形態によると、配達ロボットを用いた配達であっても、受取人不在時の配達物の安定した荷降ろしを可能にし、配達ロボットの待ち時間を短縮することで配達スケジュールを円滑にすることができる。さらに、配達ロボットが、受取人不在時には配達物を荷降ろしせずにそのまま戻ってくることにより、受取人が支払い済みの配達物が受け取れないことによる不満を防止でき、満足度の高い配達サービスの提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本発明の詳細な説明で引用される図面をより十分に理解するために、各図面の簡単な説明が提供される。
【
図1】本発明の一実施形態による受取人不在時の配達物処理方法を実現するための概略的なシステムの構成を示す。
【
図2】本発明の実施形態による受取人不在時の配達物処理方法の概略的な流れを示す。
【
図3】本発明の実施形態による受取人不在時の配達物処理方法を説明するための図である。
【
図4】本発明の実施形態による受取人不在時の配達物処理方法による荷降ろし位置の指定を説明するための図である。
【
図5】本発明の実施形態による受取人不在時の配達物処理方法による配達ロボットの荷降ろしシステムを説明するための図である。
【
図6】本発明の実施形態による受取人不在時の配達物処理方法による配達ロボットの荷降ろしシステムを説明するための図である。
【
図7】本発明の他の実施形態による配達ロボットの荷降ろしシステムを説明するための図である。
【
図8】本発明の他の実施形態による配達ロボットの荷降ろしシステムを説明するための図である。
【
図9】本発明の実施形態による受取人不在時の配達物処理システムの概略的な構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、様々な変換を加えることができ、様々な実施形態を有することができるので、特定の実施形態を図面に示し、詳細な説明に詳しく説明する。しかし、これは本発明を特定の実施形態に限定することを意図するものではなく、本発明の精神及び技術的範囲に含まれるすべての変換、等価物から代替物を含むことを理解されたい。本発明の説明において、関連する公知技術の具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にすると判断される場合、その詳細な説明は省略する。
【0020】
第1、第2などの用語は様々な構成要素を説明するために使用することができるが、構成要素はその用語によって限定されるべきではない。用語は、ある構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使用される。
【0021】
本出願で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであり、本発明を限定することを意図していない。単数の表現は、文脈上明らかに異なって意味しない限り、複数の表現を含む。
【0022】
本明細書において、「含む」又は「有する」などの用語は、本明細書に記載の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品、又はそれらを組み合わせたものが存在することを指定するものであり、1つ又は複数の他の特徴、数、ステップ、動作、構成要素、部品、又はそれらを組み合わせたものの存在又は追加の可能性を事前に除外しないことを理解されたい。
【0023】
また、本明細書において、ある構成要素が他の構成要素にデータを「伝送」する場合、構成要素は、他の構成要素に直接データを伝送することもでき、少なくとも1つの別の構成要素を介して、データを他の構成要素に伝送することもできることを意味する。逆に、ある構成要素が他の構成要素にデータを「直接伝送」する場合、構成要素はまた他の構成要素を介することなく他の構成要素にデータを伝送することを意味する。
【0024】
図1は、本発明の実施形態による受取人不在時の配達物処理方法を実現するために必要な概略的なシステムの構成を示し、
図2は、本発明の実施形態による受取人不在時の配達物処理方法の概略的なフローを示し、
図3は、本発明の実施形態による受取人不在時の配達物処理方法を説明するための図である。
【0025】
まず、
図1を参照すると、本発明の実施形態による受取人不在時の配達物処理システム(100、以下、配達物処理システムという)は、顧客端末300と通信を行い、配達ロボット200の動作と機能を制御することができる。
【0026】
一実施形態によると、配達物処理システム100は、配達ロボット200に備えられ、配達ロボット200の動作を制御するための制御システムとして実現されてもよい。
【0027】
実施形態によっては、配達ロボット200とは別に配達ロボット200を管理する管理主体によって運用される所定の管理システムで実現してもよい。このような場合、配達物処理システム100は、所定のサーバ形態で実現され、配達ロボット200及び/又は顧客端末300とネットワークを介して通信を行って所定のデータを送受信することにより、本発明の技術的思想を実現することができる。別の実施形態によると、配達物処理システム100の一部の構成は所定のサーバに含まれ、残りの一部の構成は配達ロボット200に分散設置されてもよい。すなわち、図面には配達物処理システム100が配達ロボット200とは別に1つの物理的構成として示されているが、実施形態によって、配達物処理システム100の構成は、複数の物理的装置が有線/無線ネットワークを介して有機的に結合して本発明の技術的思想を実現することもできる。
【0028】
以下、本明細書では、配達物処理システム100が配達ロボット200に備えられ、配達ロボット200の動作を制御する所定の制御システムで実現される場合を中心に説明するが、本発明の権利範囲が必ずしもこれに限定されるわけではない。
【0029】
配達物処理システム100は、顧客端末300に提供される所定のGUIメニューを介して入力される荷降ろし要求信号、顧客端末300から伝送される注文情報、及び/又は配達要求(注文)のための通話での音声情報などを通じて顧客(受取人)の荷降ろし要求を確認することができる。以下、本明細書において荷降ろし要求とは、受取人が配達ロボット200から直接配達物を受け取ることなく、配達先に配達物を降ろすことを要求することを意味する。例えば、荷降ろし要求は、「配達物をドアの前に置いて連絡してください」などの要求であってもよい。このような荷降ろし要求は、受取人が、配達ロボットが配達先に到着する到着予定時刻に不在である場合や、配達員だけでなく配達ロボット200とも直接対面したくないため非対面受取を希望する場合、受取人が直接要求することができる。
【0030】
実施形態によって、受取人からの別途の荷降ろし要求がなくても、配達ロボット200が配達先に到着してから一定時間が経過しても受取人が配達物を受取していないか、又は受取人と連絡つかない場合、配達物処理システム100は、配達ロボット200が積載している配達物を自動的に降ろさせてもよい。このような場合、配達物処理システム100は、特定の条件によって受取人が不在であると判断し、荷降ろし要求の受信と同様に配達先に配達物を降ろしてもよい。特定の条件は、例えば、配達ロボット200が配達先に到着した後、受取人と連絡が取れずに一定時間が経過する場合であってもよい。
【0031】
なお、本明細書では、説明の便宜上、配達物が料理である場合を中心に説明するが、本発明が必ずしもこれに限定されるものではなく、小包の配達等のように配達ロボット200により配送可能な全ての物品に本発明の技術的思想が適用され得ることは、本発明が属する技術分野の平均的な専門家であれば容易に推論できるであろう。
【0032】
図2は、本発明の一実施形態による受取人不在時の配達物処理方法の概略的な流れを示し、
図3は、本発明の一実施形態による受取人不在時の配達物処理方法を説明するための図である。
【0033】
図2及び
図3を参照すると、配達物処理システム100は、配達ロボット200が配達先に到着し(s110)、受取人の顧客端末300から荷降ろし要求があったか否かを判断(s120)することができる。
【0034】
受取人から荷降ろし要求があった場合、配達物処理システム100は、受取人によって指定された荷降ろし位置があるか否かを判断(s130)することができる。
【0035】
このとき、荷降ろし位置が指定されている場合、配達物処理システム100は、配達ロボット200が指定された荷降ろし位置に配達物を降ろす(s140)ようにすることができる。
【0036】
荷降ろし位置が指定されていない場合、配達物処理システム100は、配達ロボット200が配達先内の任意の位置に配達物を降ろす(s170)ようにすることができる。
【0037】
仮に、s120で受取人からの荷物要求がない場合、配達物処理システム100は、配達ロボット200が配達先で一定時間待機(s150)するようにしてもよい。配達ロボット200が待機してから一定時間が経過すると(s160)、配達物処理システム100は受取人が不在であると判断し、配達ロボット200が配達先内の任意の位置に配達物を降ろす(s170)ようにしてもよい。
【0038】
いずれの場合でも、配達ロボット200が配達先に配達物を降ろすと、配達物処理システム100は、配達ロボット200が配達先に降ろされた配達物を撮影する(s180)ようにしてもよい。また、撮影された配達物の写真(又は映像)を顧客端末300に伝送(s190)することができる。以下、配達ロボット200によって撮影された写真又は映像を撮影データと呼ぶ。配達物の撮影データは、配達ロボット200によって顧客端末300に直接伝送されてもよく、配達物処理システム100を介して顧客端末300に伝送されてもよい。
【0039】
その後、受信者は、伝送された撮影データを自分の顧客端末300で確認することができる。
【0040】
実施形態によって、配達物処理システム100は、配達ロボット200に備えられたカメラによって撮影された撮影データに、所定の画像又は映像処理/合成などの過程を経て、平面図、俯瞰図など様々な視点に変更可能な撮影データを顧客端末300に提供することができる。このような場合、配達ロボット200には、互いに異なる方向を撮影する複数のカメラが設けられていてもよい。
【0041】
このように配達ロボット200により撮影が行われる場合、従来の配達員の個人携帯電話を用いた撮影に比べてセキュリティ上の利点がある。顧客の立場からでも、配達員個人が家の前を撮影することで、知らない誰かが自分の家の周りを撮影した写真を持っていることと比べて安心感を与える効果を有することができる。
【0042】
さらに、実施形態によっては、配達ロボット200の配達状況に関する情報及び/又は配達物に対する状態情報を顧客端末300を介して受取人に提供することができる。
【0043】
配達状況に関する情報は、例えば、配達ロボット200が配達先に到着した時間、到着後に待機した時間、待機後の配達物を降ろした時間や、配達ロボット200の最終復帰時間などの時間情報、及び/又は配達ロボット200が配達先に到着して配達先を撮影した撮影データを含んでもよい。
【0044】
配達物に対する状態情報は、配達ロボット200が配達物を降ろした時点で配達物の温度(例えば、配達物が料理の場合は料理の温度)や包装状態などの状態情報を受取人に提供することができる。
【0045】
本発明の技術的思想によると、このように配達ロボット200を用いた配達サービスにおいて受取人が不在であるか、非対面受取を希望する場合であっても、従来の配達員によって提供されるサービスと同等又はより多くの情報を受取人に提供することができる。
【0046】
一方、本発明の技術的思想によると、配達先で配達物が降ろされる位置を受取人自身が所望の位置に指定できるようにすることで、受取人に向上した便宜を提供することもできる。これを
図4を参照して説明する。
【0047】
図4は、本発明の実施形態による受取人不在時の配達物処理方法による荷降ろし位置の指定を説明するための図である。
【0048】
図4を参照すると、本発明の一実施形態による配達物処理システム100は、受取人(顧客)が配達物の荷降ろし位置を直接指定できるように実現することもできる。
【0049】
一実施形態によると、配達ロボット200が配達先に到着した後で配達物を降ろす前、配達先を撮影した撮影データを顧客端末300に伝送することができる。これによって、図に示すように、受取人は、自分の顧客端末300を介して伝送された撮影データから荷降ろし位置を直接選択して指定することができる。
【0050】
仮に顧客端末300に映像が伝送される場合、すなわち、撮影データが映像である場合、伝送される映像は配達ロボット200が撮影しているリアルタイム映像であってもよく、このような場合、受取者は、リアルタイムで配達先における配達ロボット200の到着有無や移動経路、荷降ろし状態などを確認することができる。
【0051】
このように、配達ロボット200によって撮影された撮影データは、上述したように、所定の処理過程を通じて様々な時点で提供することができる。例えば、顧客端末300を介して受取人に提供される撮影データは、単に配達ロボット200に備えられたいずれかのカメラで撮影された時点であってもよいが、配達ロボット200に互いに異なる方向を撮影する複数のカメラが備えられている場合、各カメラが撮影した撮影データを所定の画像処理や映像処理/合成処理などの処理を経て、平面図や、俯瞰図などの様々な視点に変更して提供してもよい。
【0052】
このとき、受取人によって顧客端末300で指定される荷降ろし位置は、2D画像上に表示することができるが、一般の2D画像の場合、配達ロボットカメラ基準の2D→3D変換パラメータを内蔵して、2D画像からより正確な荷降ろし位置を抽出することができる。このような撮影データの視点変更のための合成、処理方法や、2D画像から3D位置を抽出する技術的思想については広く知られているので、本明細書で詳細な説明は省略する。
【0053】
受取人によって荷降ろし位置が指定されると、荷降ろしが完了する前に受取人によって荷降ろし位置が再指定されていない限り、同じ配達先では以前指定された位置を基本荷降ろし位置として記憶することができる。
【0054】
受取人によって荷降ろし位置が指定されていない場合、配達ロボット200は、配達先内の任意の位置を荷降ろし位置に設定することができる。任意の位置は、配達先から所定の範囲を外れない範囲内で指定することができる。
【0055】
このとき、配達物処理システム100は、配達ロボット200によって撮影された配達先の撮影データから配達物の荷降ろしが容易な位置を抽出し、抽出した位置を荷降ろし位置として指定することができる。
【0056】
又は、受取人から荷降ろし位置が指定されていない場合は、所定の条件によって予め設定された基本位置(例えば、ドアハンドルを基準にドアが開く方向、ドア左/右/正面など)が荷降ろし位置として指定され、配達物が降ろされてもよい。
【0057】
一方、配達ロボット200によって配達物を自動的に降ろす際には、従来の配達員とは異なり、配達物の安定した荷降ろしが重要である。このための技術的思想を
図5から
図8を参照して説明する。
【0058】
図5及び
図6は、本発明の実施形態による受取人不在時の配達物処理方法による配達ロボットの荷降ろしシステムを説明するための図である。
【0059】
図5及び
図6を参照すると、本発明の実施形態による配達物処理システム100は、配達ロボット200に所定の昇降装置を組み込んでもよい。
【0060】
配達ロボット200が配達物を降ろすための様々な方法を適用することができる。一例によると、
図3に示すように、配達ロボット200において、配達物を降ろすために積載ボックスの内部にコンベアベルトが設けられてもよい。このような場合には、荷降ろし時の衝撃を最小に抑えるために、コンベヤベルトが移動して地面との距離/高さを一定レベルに合わせた後、コンベアベルトにより配達物を地面まで輸送することができる。
【0061】
ただし、このような場合には、コンベアベルトに沿って移送される配達物が地面に触れるときに衝撃が発生する恐れが依然として残っている問題がある。
【0062】
しかしながら、このような場合には、後述のように定められた形態の配達物の包装や、配達物の把持のための別途の装置を設けなくても、一般的な形態の包装(例えば、ビニール袋、紙袋、包装箱、ビニール包装材等)や小型宅配(例えば、書類袋、郵便物など)などの配達物の形態や包装材質にかかわらず、自動的に降ろすことができる利点がある。
【0063】
一方、配達物を安定に把持して地面まで降ろすことができる昇降装置を備える場合には、昇降エレベーション装置によって荷降ろし時の衝撃を最小化し、より安定した荷降ろしを行うことができる効果を有する。しかし、このために配達物の包装や、安定した把持/輸送のための昇降装置のさらなる別途の構成が必要であり、配達物の包装が二重になったり、コストが増加する可能性がある問題がある。
【0064】
昇降装置が設けられている場合、
図5に示すように、配達物の包装自体をパレットの形態で作製し、昇降装置にパレットを輸送するための専用の器具を備えてもよい。
【0065】
あるいは、配達物の安定した把持のために、配達物の包装が昇降装置に対応する形態で形成されてもよい。例えば、
図6に示すように、配達物の包装の所定位置に溝を形成し、昇降装置に形成された溝に対応する把持部を形成することで、配達物を安定して把持して荷降ろしを行ってもよい。
【0066】
配達ロボット200から配達物を降ろすために上述したように様々な方法を適用することができるが、各方式には互いに異なる長所と短所が存在する。したがって、必要に応じて適切な形態の荷降ろし方式を選択して、配達ロボット200を用いた配達サービスを提供することができる。
【0067】
一方、本発明の他の実施形態によると、受取人は、配達先に配達ロボット200のための専用収納ボックスを備えていてもよい。このような場合を
図7から
図8に示す。
【0068】
図7及び
図8は、本発明の他の実施形態による配達ロボットの荷降ろしシステムを説明するための図である。
【0069】
図7及び
図8を参照すると、配達ロボット200から降ろされた配達物を収納することができる別途の専用収納ボックスを備えてもよい。
【0070】
このような専用収納ボックスは、配達先で別途設けなければならない煩わしさがあるが、高低差により収納が困難な場合や、料理などの配達物の品質の変化が気になる場合に有用に活用することができる。専用収納ボックスは、通常の宅配箱や郵便箱とは異なり、配達ロボット200の荷降ろしに適するように形成することができる。
【0071】
したがって、配達物処理システム100は、配達先に専用収納ボックスが備えられているか否かを把握していてもよい。専用収納ボックスの有無は、最初の専用収納ボックスが設置されるときに当該配達先に専用収納ボックスが備えられていることを記憶してもよく、配達ロボット200によって少なくとも1回配達が行われるときに専用収納ボックスの有無を把握した後、該当配達先に専用収納ボックスが備えられていることを把握してもよい。
【0072】
このように専用収納ボックスが備えられていることが把握された配達先では、受取人から荷降ろし要求がある場合、又は受取人不在状況で配達物を降ろす必要がある場合に、別途の荷降ろし位置が指定されない限り、配達ロボット200が専用収納ボックスに配達物を降ろすようにすることができる。
【0073】
専用収納ボックスは、配達ロボット200の積載ボックスから移送される配達物の高さに対応する高さを有するように形成されてもよい。例えば、配達ロボット200の積載ボックス出入口と専用収納ボックスの出入口とが同一又は類似の高さを有するように形成されてもよい。
【0074】
このように専用収納ボックスが設けられている場合、専用収納ボックスは、内部に保温/保冷のための温度調節機能を含んでもよく、専用収納ボックスの材質自体が保温機能を行うことができる断熱材で形成されていてもよい。
【0075】
一例によると、専用収納ボックスに電源を連結して、専用収納ボックス内に設けられたヒータ、クーラなどの温度調整のための装置を駆動してもよい。そのような場合、配達ロボットから配達される配達物(例えば、料理)に関する情報を専用収納ボックスが伝達されることによって、配達物に対応するように専用収納ボックス内の温度を予め調整して準備することが可能であってもよい。例えば、熱い料理の場合は、専用収納ボックスの内部温度を一定以上高く維持し、冷たい料理の場合は一定以下に低い温度を維持するようにしてもよい。このような場合、受取人の不在時間がある程度長くなっても配達物のクオリティを相当時間維持することができる。
【0076】
あるいは、
図8に示すように、配達ロボット200から配達物が専用収納ボックスに収納されると、配達ロボット200の積載ボックス内の空気を専用収納ボックスの内部に供給することで、専用収納ボックスの内部温度制御をより容易にしてもよい。例えば、密閉された積載ボックスの内部に熱い料理を積載していた配達ロボット200の積載ボックスの内部温度は、常温に比べて高温を有することになる。したがって、このような高温の空気を配達物が専用収納ボックスに収納するときに共に供給することができれば、専用収納ボックスの内部温度を比較的速く高めることができる。
【0077】
このような専用収納ボックスは、収納されていた配達物を顧客(受取人)が受け取った後、内部で風を生成するなど様々な方式によって内部温度変化幅を減らしたり、専用収納ボックスの内部の臭いを除去する機能を行ってもよい。
【0078】
一方、
図9は、本発明の実施形態による受取人不在時の配達物処理システムの概略的な構成を示す。
【0079】
図9を参照すると、本発明の実施形態による配達物処理システム100は、顧客端末と通信を行う通信部110、配達ロボットに備えられた少なくとも1つのカメラにより撮影された撮影データを取得する撮影データ取得部120、及び/又は配達ロボット200の機能を制御する制御部130を含んでもよい。実施形態によって、配達物処理システム100は、撮影データに対して所定の画像処理を行う画像変換部140、及び/又は所定の画像から荷降ろし位置を抽出するための位置抽出部150をさらに含んでもよい。
【0080】
まず、制御部130が配達ロボット200に設置され、本発明の技術的思想を実現するための演算及び他の構成を制御する機能を行ってもよい。制御部130は、プロセッサ、記憶装置、及び記憶装置に記憶されてプロセッサによって実行されるプログラムを含んでもよい。本明細書において、配達ロボット及び/又は制御部130が所定の動作を行うとは、プロセッサがプログラムを実行して行う一連のデータ処理及び/又は制御によって行われ得ることを本発明の技術分野の平均的な専門家であれば容易に推論できるであろう。
【0081】
通信部110は、顧客端末300と通信を行い、本発明の技術的思想を実現するために必要な各種情報、信号、データなどを送受信することができる。
【0082】
撮影データ取得部120は、上述したように、配達ロボット200に備えられた少なくとも1つのカメラによって撮影された撮影データを取得することができる。
【0083】
このようにして取得された撮影データは、画像変換部140を介して視点変更可能な画像に変換されて顧客端末300に提供されてもよい。
【0084】
位置抽出部150は、上述したように配達先が撮影された撮影データから受取人が顧客端末300を介して荷降ろし位置を指定した場合、荷降ろし位置が指定された画像を受信して指定された荷降ろし位置を抽出し、これを実際の配達先内の位置とマッチングすることで、配達ロボット200が実際の配達物を降ろす位置を抽出することができる。
【0085】
一方、制御部130は、配達ロボット200が配達先に到着すると、顧客端末300から荷降ろし要求があったか否かを確認してもよい。
【0086】
確認の結果、荷降ろし要求がある場合、配達ロボット200が配達先に配達物を自動的に降ろすように制御してもよい。
【0087】
また、荷降ろし要求がない場合、制御部130は、配達ロボット200を配達先で待機させ、待機中に一定時間の間顧客端末300と通信が行われない場合、配達ロボット200が配達先に配達物を自動的に降ろすように制御してもよい。
【0088】
また、制御部130は、配達物が降ろされると、撮影データ取得部により降ろされた配達物が含まれた配達先を撮影した撮影データを取得し、顧客端末300に伝送するように通信部110を制御してもよい。
【0089】
また、制御部130は、位置抽出部150から、顧客端末より荷降ろし位置の指定があったか否かを確認し、確認結果に基づいて指定された荷降ろし位置又は配達先内の任意の位置に配達ロボット200が配達物を自動的に降ろすように制御してもよい。
【0090】
このために、制御部130は、配達先が撮影された撮影データを受信した顧客端末300から荷降ろし位置が指定された画像を通信部110に介して受信することができ、位置抽出部150によって受信した画像から指定された荷降ろし位置を抽出して実際の配達先内の位置とマッチングした場合、マッチングした位置に配達物を降ろすように配達ロボット200を制御してもよい。
【0091】
上述した本発明の説明は例示のためのものであり、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく他の具体的な形態に容易に変形が可能であることが理解できるであろう。したがって、上記で説明した実施形態はすべての点で例示的なものであり、限定的なものではないと理解すべきである。例えば、単一の形態で説明されている各構成要素は分散して実現することができ、同様に分散されたと記載されている構成要素も組み合わせた形で実現することができる。
【0092】
本発明の範囲は、上記の詳細な説明よりは、後述の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、及びその均等概念から導き出される全ての変更又は変形された形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、受取人不在時の配達物処理方法及びそのシステムに利用することができる。