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特許7430280股関節全縫合糸アンカー用機械式展開装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】股関節全縫合糸アンカー用機械式展開装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/04 20060101AFI20240202BHJP
【FI】
A61B17/04
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022573544
(86)(22)【出願日】2021-06-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-03
(86)【国際出願番号】 US2021035858
(87)【国際公開番号】W WO2021247973
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2022-11-29
(31)【優先権主張番号】63/034,421
(32)【優先日】2020-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500103074
【氏名又は名称】コンメッド コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウィラード ベンジャミン
【審査官】近藤 裕之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/182645(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0107840(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0069823(US,A1)
【文献】特開2009-106757(JP,A)
【文献】特表2005-511189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
編組アンカーと、前記アンカーを通って延びる縫合フィラメントとを有する全縫合糸アンカー用の展開装置であって、
本体と、
前記本体を通して長軸方向に延び、伸張位置と後退位置との間で移動可能なフォークと、
前記本体に回転可能に取り付けられたラチェットホイールと、
脆弱なリンクによって前記ラチェットホイールに結合されたスプールと、
前記本体内で前記伸張位置から前記後退位置まで前記フォークを長軸方向に移動させるために前記フォークに結合されていて、かつ前記ラチェットホイールを回転させるために前記ラチェットホイールに結合されている、レバーと、
を備える、展開装置。
【請求項2】
前記レバーがリンクを介して前記フォークに結合される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記リンクが、前記レバーに枢動可能に結合される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記リンクが、ベアリング部材によって前記フォークに結合される、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ベアリング部材が、前記レバーが開位置にある時に前記リンクによって係合されるノッチを含む、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記本体が、前記ラチェットホイールに選択的に係合するように位置付けられた歯止めを含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記本体が、前記レバーが初期位置にある時に、前記歯止めが前記ラチェットホイールと係合することを防止する第一のフェンスを含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記本体が、前記レバーが開位置にある時に、前記歯止めが前記ラチェットホイールと係合することを防止する第一のフェンスを含む、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記歯止めが、前記レバーが閉位置にある時に、前記ラチェットホイールと自由に係合する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
ラッチであって、前記ラッチを前記初期位置にリリース可能に固定することができる、ラッチをさらに備える、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記本体に関連付けられた、前記後退位置に前記フォークをロックするように位置付けられる戻り止めをさらに備える、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記フォークが、前記伸張位置から前記後退位置まで14ミリメートルの距離を移動する、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記脆弱なリンクが、前記スプールによって捕捉されたフィラメントにかかる40ポンドの張力に応答して壊れるように構成された、請求項12に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年6月4日に出願された米国仮特許出願第63/034,421号の優先権を主張するものであり、これは、ここにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、外科用アンカーに関し、より具体的には、全縫合糸アンカー用の展開装置に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
縫合糸アンカーは通常、外科手技において軟組織を骨に固定するために使用される。全縫合糸アンカーは、アンカーの拡張可能な部分が骨内部に位置し、フィラメント状縫合糸が、修復に使用されている組織への取り付けのために、穴から延びるように、骨内の予め形成されたパイロット穴に部分的に挿入されてもよい。しかしながら、全縫合糸アンカーは、柔らかめの骨と同じ方法では展開および保持ができないため、硬い骨では抜け落ちることがある。
【0004】
この問題に対処するために、全縫合糸アンカーの設置を支援するために、展開装置が使用されてきた。しかしながら、現在の展開装置は、アンカーに張力をかけることおよび/またはアンカーの滑り止めを解除することのどちらにも両手の使用を必要とするため、使用するのが面倒である。展開装置が片手で展開できた場合でも、アンカーが展開された後、展開装置から手動で縫合糸の滑り止めを解除するには、両手が必要となる。したがって、当技術分野では、全縫合糸アンカーをより簡単に展開およびリリースできるアプローチに対するニーズがある。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、編組アンカーと、編組アンカーを通って延びる縫合糸とを有する全縫合糸アンカー用の展開装置であり、これは、アンカーに適切に張力をかけて、縫合糸の尾部を展開およびリリースすることができる。装置は、本体と、本体を長軸方向に通って延び、伸張位置と後退位置との間で移動可能で、アンカーが展開される骨のパイロット穴に、編組アンカーを位置付けてリリースする、フォークとを備える。ラチェットホイールは、本体に回転可能に取り付けられ、脆弱なリンクによってラチェットホイールに結合されたスプールを選択的に駆動して、アンカーの縫合糸を巻き上げてからリリースする。本体に取り付けられたレバーは、本体内で伸張位置から後退位置までフォークを長軸方向に移動させることができ、また、ラチェットホイールを回転させて縫合糸を巻き上げて編組アンカーを展開することができる。レバーは、第一の端部でリンクに枢動可能に結合され、反対側の端部でベアリング部材によってフォークに結合されている、リンクを介してフォークに結合される。ベアリング部材は、レバーが最初に開位置に初期位置から移動した時にリンクによって係合されるノッチを含む。本体は、ラチェットホイールに選択的に係合するように位置付けられた歯止めを含む。第一のフェンスは、レバーが初期位置にある時に歯止めがラチェットホイールと係合することを防止し、第二のフェンスは、レバーが開位置にあるときに歯止めがラチェットホイールと係合することを防止する。レバーを最初に閉位置に動かすと、歯止めは、自由にラチェットホイールと係合する。ラッチは、ドリルガイドに簡単に取り付けられるように、初期位置でラッチをリリース可能に固定することができる。本体に関連付けられた戻り止めは、後退位置にフォークをロックすることができる。フォークは約14mm後退し、パイロット穴の表面の約6mm下にフォークの先端が位置付けられる。脆弱なリンクは、スプールによって捕捉されたフィラメントにかかる約40ポンドの張力に応答して壊れるように構成される。
【0006】
本発明は、添付図面と併せて以下の発明を実施するための形態を読むことによって、より完全に理解され、かつ認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本発明による全縫合糸アンカー展開装置の斜視図である。
図2図2は、本発明による全縫合糸アンカー展開装置を、部分的に分解された構成で示す斜視図である。
図3図3は、本発明による全縫合糸アンカー展開装置を、部分的に分解された構成で示す別の斜視図である。
図4図4は、本発明による全縫合糸アンカー展開装置のための、脆弱なリンクによって結合された、ラチェットホイールおよびスプールの部分破断図である。
図5図5は、第一の閉位置にある、本発明による全縫合糸アンカー展開装置の側面図である。
図6図6は、第一の閉位置にある、本発明による全縫合糸アンカー展開装置を、部分的に分解された構成で示す上面斜視図である。
図7図7は、第二の開位置にある、本発明による全縫合糸アンカー展開装置の側面図である。
図8図8は、第二の開位置にある、本発明による全縫合糸アンカー展開装置を、部分的に分解された構成で示す背面斜視図である。
図9図9は、第三の閉位置にある、本発明による全縫合糸アンカー展開装置の側面図である。
図10図10は、第二の開位置から第三の閉位置への装置の動きを示す、本発明による全縫合糸アンカー展開装置の一対の側面図である。
図11図11は、装置が任意のフィラメントをスプール上にラチェッティングするように構成される第四の開位置にある、本発明による全縫合糸アンカー展開装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図を参照すると、同様の数字は、本書全体にわたり同様の部分を指しており、図1では、本体14を通り抜けて長軸方向に伸び、編組アンカーおよび縫合フィラメントから形成される全縫合糸アンカーを掴むために、本体14の遠位端から外へ延びるフォーク12を有する、全縫合糸アンカー展開装置10を示す。従来のアプローチと同様に、編組アンカーはフォーク12によって捕捉され、展開装置10は、通常は所定位置に残されるドリルガイドを通して、骨内に形成されたパイロット穴に打ち込まれた後、縫合フィラメントを引くことによってアンカーが展開され、そのため、組織を骨に固定する際に使用するために、編組アンカーは、パイロット穴から延びる縫合糸の尾部と共に所定位置に拡張されるようになる。
【0009】
装置10は、アンカーをパイロット穴に挿入した後に、選択的かつ部分的にフォーク12を後退させることができるレバー16を含む。装置10はまた、本体14内に、レバー16の移動によって回転するラチェットホイール18を含む。ラチェットホイール18は、脆弱なリンク22を介してスプール20に結合され、そのため、レバー16および前進歯止め24によるラチェットホイール18のラチェッティングが、スプール20にかかる十分な張力がリンク22を壊し、それによって、ラチェットホイール18への接続を切断するまでスプール20を回転させるようになる。編組アンカーを通して織られた縫合フィラメントをスプール20が巻き上げて、編組アンカーを所定位置に完全に展開するために必要な力を提供することができるように、スプール20は、全縫合糸アンカーの縫合フィラメントに結合される。縫合フィラメントにかかる張力が、脆弱なリンク22を壊すために必要な所定の力を超えると、スプール20は、ラチェットホイール18から分離し、そのため、縫合糸はスプール20から自由に巻きを解かれ、単に装置10を外科手術位置から後退させることによって、展開されたアンカーは所定位置に残り、リリースされた縫合フィラメントはパイロット穴から延びるようになる。したがって、脆弱なリンク22を壊すために必要な所定の力は、片手で容易に達成できるレバー16の開閉以外の任意の手動操作なしに、編組アンカーの適切な展開と、その後の縫合フィラメントのリリースを確保するように選択される。一実施形態では、脆弱なリンク18は、アンカーの適切な展開を確保するために、フィラメントにかかる約40ポンドの張力に応答して壊れるように構成されてもよい。図4に示すように、脆弱なリンク18は、リンク18が所定の量の力に応答して壊れて2つの部分になるように、その中に形成された円周ノッチ18aを有する円筒形ピンを備えてもよい。一方向歯止め38は、スプール20がラチェットホイール18に結合されている間、スプール20からのフィラメントのスプールが外れるのを防ぐために、ラチェットホイール18と係合したままである。
【0010】
図5および図6に示すように、アンカーの挿入に使用される初期の第一の位置では、装置10のフォーク12は本体14から完全に延びた状態である。レバー16は本体14に対して閉じ、また、ラチェットホイール18に関連付けられた前進歯止め24は、第一のフェンス26によってラチェットホイール18から係合が解除され、そのため、レバー16の移動は、ラチェットホイール18のラチェッティングを、よってスプール20の回転をもたらさないようになる。レバー16は、装置10がドリルガイドを通してマレットで叩かれて、アンカーをパイロット穴に挿入する時に、本体に枢動可能に取り付けられ、かつレバー16を図1の閉位置に保持できるラッチ30によって、図5の位置にロックされることが好ましい。これは、レバー16は、ばねまたはその他のバイアス要素によるなど、開位置への移動に対して付勢されることが好ましいためである。
【0011】
図7および図8を参照すると、パイロット穴内で編組アンカーが位置付けられた後、レバー16が本体14からロック解除された時にレバー16が開いた第二の位置に移動できるように、ラッチ30はリリースされる。リンク28は、レバー16に枢動可能に結合され、レバー16が閉位置に戻ると、レバー16がフォーク12を後退させることを可能にする。例えば、リンク28は、フォーク12に固定された長軸方向に延びるベアリング部材32を介して、フォーク12に結合されてもよい。ベアリング部材32は、図1の閉位置に最初に提供された時に、リンク28がフォーク12から係合解除されることを可能にするが、レバー16が開いて図2の位置になり、リンク28がノッチ34内に移動するとフォーク12と係合する、ノッチ34を含む。例えば、レバー16が初めて開かれて図2の第二の位置になるとき、リンク28がノッチ34に捕捉されるまで、リンク28はベアリング部材32に沿って移動し、それによってレバー16をフォーク12に結合する。ラチェットホイール18に関連する前進歯止め24は、ラチェットホイール18がレバー16の移動によって駆動されないように、第二のフェンス36によって、ラチェットホイール18から分離され続ける。
【0012】
図9および図10を参照すると、図7および図8の位置から、図9および図10に示すような本体14に対する閉じた第三の位置へのレバー16の移動により、レバー16がリンク28を駆動して、長軸方向に本体14内にフォーク12を格納することができる。使用時に、フォーク12の先端40がアンカーを骨内に位置付けるように、フォーク12は骨のパイロット穴に挿入される。フォーク12は、フォーク12の先端40が初期挿入時ほど深くはないがパイロット穴内にとどまるように、装置10によって所定の距離だけ格納されるように設計される。一例として、フォークの後退距離は14mmであってもよく、これによって、従来の外科手術において骨内に形成される標準的なパイロット穴の表面の約6mm下方にフォーク12の先端を残すことになる。
【0013】
フォーク12は、図11に示すように、ベアリング部材32から延びる舌部44を係合する本体12の戻り止め42によって格納位置で捕捉され、そのため、装置10のレバー16をさらに操作する間、フォーク12は、格納されたままであるようになる。図10に示すように、レバー16が、本体14に対して閉位置に移動した時、歯止め20は、第二のフェンス36の遮断作用から解放されて、ラチェットホイール18との係合状態に移動し、それによって、ラチェットホイール18のラチェッティングと、レバー16が移動された時に脆弱なリンク22によってラチェットホイール18に結合されているスプール20の関連する回転を可能にする。次に、図11に示すように、レバー16は開かれて開位置にされてもよく、この位置で初めて、前進歯止め20はラチェットホイール18と係合できるようになり、またフェンス26およびフェンス36は、レバー16のその後の移動中にもはや前進歯止め20を遮断しなくなるため、ラチェットホイール18と係合した状態が保たれる。その後、レバー16を閉じて閉位置にすると、フォーク12を移動することなく、スプール30が編組アンカーから延びる縫合フィラメントを巻き上げるように、ラチェットホイール18が駆動される。レバー16は、図11の位置に初めて到達して、スプール20にフィラメントを徐々に巻き上げるようになったら、繰り返し開閉されてもよい。
【0014】
スプール30の巻き上げによって与えられる縫合フィラメントへの張力は、編組アンカーが骨と共に所定位置に拡張することを確実にする。スプール20によって縫合フィラメントにかかる張力が、脆弱なリンク22によって設定された所定の量の張力を超えると、脆弱なリンク22は壊れ、それによって、スプール20をラチェットホイール18から分離する。結果として、外科手術位置から装置10を後退させることで、ラチェットホイール18からの分離によって、スプール20は前進歯止めまたは一方向歯止め38にもはや結合されないため、縫合フィラメントのスプールの解除を可能にする。装置10が完全に除去されると、展開されたアンカーは骨内に留まり、縫合フィラメントは、骨への組織の外科的アンカリングに必要な標準構成のパイロット穴から延びる。したがって、編組アンカーを展開するために縫合フィラメントに張力をかけること、および編組アンカーの展開後に縫合フィラメントをリリースすることは、その後に展開装置10から縫合フィラメントの滑り止めを解除することが一切なく、片手で実施することができ、これはユーザーが何の動作をしなくても、脆弱なリンク22が壊れた後で、スプール20はフィラメントの巻きを解いてリリースするためである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11