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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】ケラチン繊維を強化するための組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/365 20060101AFI20240202BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20240202BHJP
   A61K 8/362 20060101ALI20240202BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240202BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20240202BHJP
   A61Q 5/12 20060101ALI20240202BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20240202BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20240202BHJP
【FI】
A61K8/365
A61K8/36
A61K8/362
A61K8/37
A61K8/31
A61Q5/12
A61Q5/02
A61Q5/06
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023047802
(22)【出願日】2023-03-24
(65)【公開番号】P2023143874
(43)【公開日】2023-10-06
【審査請求日】2023-03-27
(31)【優先権主張番号】22164521
(32)【優先日】2022-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523044356
【氏名又は名称】ウェラ ジャーマニー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シュプリンゴップ, クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】リーマン, インゴ
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-343861(JP,A)
【文献】特開2021-050193(JP,A)
【文献】特開平05-286831(JP,A)
【文献】Conditioner,(ID#):6839251, Mintel GNPD ,2019年09月,https://portal.mintel.com>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio-GPG/FX
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘアトリートメント組成物であって、
a)0.05重量%~15.0重量%の重量パーセント濃度の、1、2、3若しくは4個のヒドロキシル基で置換されている、少なくとも1つのC3~C和ジカルボン酸と、
b)0.05重量%~1.0重量%の重量パーセント濃度の少なくとも1つのC16~C22飽和又は不飽和モノカルボン酸と、
c)0.02重量%~4.0重量%の重量パーセント濃度の少なくとも1つのC10~C50飽和又は不飽和炭化水素と、
d)0.1重量%~5.0重量%の重量パーセント濃度のC10~C30飽和又は不飽和モノカルボン酸とC3~C6モノオール、ジオール又はトリオールとの少なくとも1つの脂肪酸エステルと、
e)少なくとも1つの化粧品として許容される水性又は水性有機媒体と
を含み、
成分a)及びb)が遊離酸又はその化粧品として許容される塩の形態で存在し、
全ての重量パーセントが組成物の総重量に対するものである、ヘアトリートメント組成物。
【請求項2】
1、2、3又は4個のヒドロキシル基で置換されている、少なくとも1つのC3~C6飽和ジカルボン酸が、リンゴ酸、2-メチルリンゴ酸、酒石酸、2-メチル酒石酸、2-ヒドロキシ-3-メチルグルタル酸、ヒドロキシアジピン酸及びヒドロキシグルタル酸からなる群から選択される、請求項に記載のヘアトリートメント組成物。
【請求項3】
成分c)が、パラフィン及び飽和非環式テルパンからなる群から選択される、請求項1に記載のヘアトリートメント組成物。
【請求項4】
飽和非環式テルパンが、スクアラン、イソスクアラン及びネオスクアランからなる群から選択される、請求項に記載のヘアトリートメント組成物。
【請求項5】
成分d)が、C16~C22飽和又は不飽和モノカルボン酸とC3~C6トリオールとの少なくとも1つの脂肪酸エステルである、請求項1に記載のヘアトリートメント組成物。
【請求項6】
成分a)が、0.1重量%~10.0重量%の範囲の重量パーセント濃度で存在する、請求項1に記載のヘアトリートメント組成物。
【請求項7】
成分d)が、0.15重量%~3.0重量%の範囲の重量パーセント濃度で存在する、請求項1に記載のヘアトリートメント組成物。
【請求項8】
成分a)の重量パーセント濃度と成分b)の重量パーセント濃度との比が、10.0:1.0~1.0:1.0の範囲である、請求項1に記載のヘアトリートメント組成物。
【請求項9】
ヘアトリートメント組成物が、ヘアコンディショナー、ヘアクリーム、ヘアシャンプー、ドライシャンプー、ヘアリンス、ヘアリキッド、ヘアオイル、ヘアポマード、ヘアフォーム、ヘアスプレー、ヘアトニック及びヘアローションからなる群から選択される、請求項1からのいずれか一項に記載のヘアトリートメント組成物。
【請求項10】
毛髪を処理する方法であって、少なくとも、
A)請求項1からのいずれか一項に記載のヘアトリートメント組成物を毛髪に塗布する工程
を含む方法。
【請求項11】
損傷した毛髪を修復するための、請求項1からのいずれか一項に記載のヘアトリートメント組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許請求の範囲に記載の発明は、損傷したケラチン繊維の修復を提供する成分を含むヘアトリートメント組成物、及び組成物を適用するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ケラチン繊維及び人の毛髪は、ブラッシング及びコーミングなどの日常生活、日光及び汚染などの外部の影響、並びに染髪、脱色又はパーマなどの酸化的及び/又は還元的処理によって損傷を受ける。これらの活動によって引き起こされる損傷としては、F層脂肪酸の除去、ケラチンタンパク質のジスルフィド結合の切断、及び毛髪繊維キューティクルの表面でのケラチンタンパク質材料の侵食が挙げられる。損傷は、ヤスリが木材を荒らすのと同様に、毛髪繊維表面を荒らす傾向がある。荒れた毛髪は、滑らかさを欠き、ボサボサになりやすく、手に負えない。ヘアケアの目標には、これらの傾向を逆転させる試みが含まれてきた。
【0003】
そのような試みの1つには、ヘアケア及び修復剤、例えば、毛髪皮質修復配合物及び関連する方法が含まれている。毛髪皮質への損傷は、皮質タンパク質束の解れをもたらす可能性があり、不規則性及び粗さをもたらす可能性があると考えられる。1つの可能な答えは、毛髪皮質において切断されたジスルフィド結合を再結合するためのジマレエートタイプの分子の架橋の使用を含んでいた。国際特許出願公開第2015/017768号を参照されたい。別の可能な答えは、システイン及び少なくとも1種のジカルボン酸で毛髪繊維皮質を再構築する方法を含んでいた。国際公開第2005/115314号を参照されたい。
【0004】
国際公開第2004/047777号は、リンゴ酸及び乳酸を含む毛髪化粧品組成物を開示している。
【0005】
カール制御は、ヘアトリートメント組成物の最終的な目標の1つである。特に、排他的ではないが、消費者にとって許容可能な「リーブイン」配合物における高性能のカール制御製品が必要とされている。そのような配合物は、理想的には、良好な適用感(重苦しさ、硬さ、又は脂っぽさなし)、毛髪上に滑らかに分布して広がる良好な能力を提供し、乾燥している場合、そのような配合物は、理想的には毛髪を扱いやすくし、自然な感触及び外観を与える。更なる必要性は、毛髪の完全性及び健康性の改善、並びに光沢、しなやかさ、滑らかな毛髪感触、及び良好なほぐれ特性を与えることである。
【0006】
したがって、本特許請求の範囲に記載の発明の目的は、毛髪がべたついて汚れて見えるのを防止しながら、改善された湿潤及び乾燥時のコーミング性、改善されたウェット感、改善されたカール防止、改善された毛髪の光沢及び改善されたドライ感などの改善されたコンディショニング特性を示すヘアトリートメント組成物を提供することであった。
【発明の概要】
【0007】
目的は、少なくとも1つのC3~C13飽和又は不飽和ジカルボン酸と、少なくとも1つのC10~C30飽和又は不飽和モノカルボン酸と、少なくとも1つのC10~C40飽和又は不飽和炭化水素と、C10~C30飽和又は不飽和モノカルボン酸とC3~C6モノオール、ジオール又はトリオールとの少なくとも1つの脂肪酸エステルとを特定の量で含むヘアトリートメント組成物を提供することによって解決された。ヘアトリートメント組成物中のC10~C30飽和又は不飽和モノカルボン酸とC3~C6モノオール、ジオール又はトリオールとの少なくとも1つの脂肪酸エステルの使用は、毛髪に過度の重さや、油ぎって、べたついた外観をもたらすことなく、湿潤及び乾燥時のコーミング性、ウェット感、カール防止、毛髪の光沢及びドライ感などのコンディショニング特性を更に改善することが見出された。
【0008】
したがって、一態様では、本特許請求の範囲に記載の発明は、ヘアトリートメント組成物であって、
a)0.05重量%~15.0重量%の重量パーセント濃度の、非置換であるか、又は1、2、3若しくは4個のヒドロキシル基で置換されている、少なくとも1つのC3~C13飽和又は不飽和ジカルボン酸と、
b)0.01重量%~10.0重量%の重量パーセント濃度の、少なくとも1つのC10~C30飽和又は不飽和モノカルボン酸と、
c)0.01重量%~10.0重量%の重量パーセント濃度の、少なくとも1つのC10~C50飽和又は不飽和炭化水素と、
d)0.1重量%~5.0重量%の重量パーセント濃度の、C10~C30飽和又は不飽和モノカルボン酸とC3~C6モノオール、ジオール又はトリオールとの少なくとも1つの脂肪酸エステルと、
e)少なくとも1つの化粧品として許容される水性又は水性有機媒体と
を含み、成分a)及びb)が遊離酸又はその化粧品として許容される塩の形態で存在し、全ての重量パーセントが組成物の総重量に対するものである、ヘアトリートメント組成物に関する。
【0009】
本特許請求の範囲に記載の発明は、ケラチン繊維のキューティクル、具体的には日常的及び化学的処理によって損傷を受けた成長期の人毛のキューティクルをトリートメントするためのヘアトリートメント組成物及び対応する方法に関する。ヘアトリートメント組成物の実施形態は、ケラチン繊維の損傷したキューティクル、例えばヒトの成長期の毛髪を保護及び修復するための成分を送達する。組成成分は、切断されたケラチンタンパク質の内部結合の修復、毛髪の粗さを滑らかにすること、毛髪の潤滑、及び枝毛の融着を可能にする。組成成分は、毛髪の重さや油っぽさを引き起こすことなく毛髪のトリートメントをもたらし、動物及び魚の成分の使用を回避する。組成成分は、「グリーンテクノロジー」を成長期の毛髪のトリートメント及びコンディショニングにもたらす。
【0010】
ヘアトリートメント組成物は、リンスオフ又はリーブオンコンディショナーなどの独立型ヘアコンディショナー配合物を含んでもよく、又は硫酸塩シャンプー若しくは硫酸塩非含有シャンプーのコンディショニング機能を含んでもよい。ヘアトリートメント組成物の成分は、植物材料に由来してもよく、及び/又は植物材料の合成及び/又は半合成誘導体であってもよいという点で、グリーン指向である。
【0011】
ヘアトリートメント組成物に組み込むための更なる成分としては、1つ又は複数の飽和又は不飽和脂肪C20~C30アルコール、1つ又は複数のカチオン性界面活性剤、例えば、限定されないが、1~3個のC1~C3アルキル基で四級化された1つ又は複数の飽和及び/又は不飽和脂肪C20~C30アミンから形成される四級アンモニウム化合物が挙げられる。
【0012】
更なる添加剤としては、液体シリコーン、抗酸化剤、防腐剤、抗菌剤、UV保護剤、芳香剤、粘度制御剤、界面活性剤、保湿剤、皮膚軟化剤、毛束本体を提供するための毛髪増強剤、例えば限定されないが、シリカ、珪藻土、粘土、例えばカオリン及びスメクタイトフィロケイ酸塩並びに着色剤及び/又は光沢剤が挙げられる。
【0013】
本発明によるヘアトリートメント組成物の使用実施形態は、硫酸塩シャンプー、非硫酸塩シャンプー、非イオン性界面活性剤毛髪洗浄液、独立型コンディショナー、マスク、リーブオントリートメント、リンスオフコンディショナー、ヘアリンス、ヘアリキッド、ヘアオイル、ヘアポマード、ヘアフォーム、ヘアスプレー、ヘアトニック及び/又はヘアローションを含み、これらは全てヘアトリートメント組成物を使用実施形態の少なくとも一部として含む。
【0014】
本特許請求の範囲に記載の発明の更なる態様は、ヘアトリートメント組成物及び/又はその使用実施形態のいずれかを毛髪、好ましくは成長期の毛髪に適用するための方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下の詳細な説明は、本質的に単なる例示であり、本特許請求の範囲に記載の発明又は本特許請求の範囲に記載の発明の用途及び使用を限定することを意図するものではない。更に、上記の技術分野、背景技術、発明の概要又は以下の詳細な説明に提示されているいかなる理論にも拘束される意図はない。
【0016】
本明細書で使用される「含む(comprising)」、「含む(comprises)」、及び「から構成される(comprised of)」という用語は、「含む(including)」、「含む(includes)」又は「含有する(containing)」、「含有する(contains)」と同義であり、包括的又はオープンエンドであり、追加の列挙されていない部材、要素又は方法工程を排除しない。本明細書で使用される「含む(comprising)」、「含む(comprises)」、及び「から構成される(comprised of)」という用語は、「からなる(consisting of)」、「からなる(consists)」、及び「からなる(consists of)」を含むことが理解されよう。
【0017】
更に、明細書及び特許請求の範囲における「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」などの用語は、同様の要素を区別するために使用され、必ずしも連続的又は時系列的な順序を説明するためのものではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、本明細書に記載される本主題の実施形態は、本明細書に記載又は図示されている以外の順序で動作することができることを理解されたい。「(A)」、「(B)」及び「(C)」又は「(a)」、「(b)」、「(c)」、「(d)」、「(i)」、「(ii)」などの用語が方法又は使用若しくはアッセイの工程に関する場合、工程間に時間又は時間間隔の一貫性はなく、すなわち、工程は同時に実行されてもよく、又は本明細書の上記若しくは下記に記載される出願で別途指示がない限り、そのような工程間に秒、分、時間、日、週、月、又は更には年の時間間隔があってもよい。
【0018】
「約」という用語は、重量比又は重量パーセントに関して使用される場合、特定の値が±10%の範囲を意味すると理解されるべきであることを意味する。例えば、約1%の化合物の重量割合は、0.9~1.1%の範囲の重量割合を意味する。例えば、約2.5%の化合物の重量割合は、2.25~2.75%の範囲の重量割合を意味する。
【0019】
以下の節では、本主題の異なる態様がより詳細に定義される。そのように定義された各態様は、そうでないことが明確に示されていない限り、任意の他の態様と組み合わせることができる。特に、好ましい又は有利であると示された任意の特徴は、好ましい又は有利であると示された任意の他の特徴と組み合わせることができる。
【0020】
本明細書を通して、「一実施形態」又は「好ましい実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、又は特性が、本特許請求の範囲に記載の発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な箇所における「一実施形態では」又は「好ましい実施形態では」という語句の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態を指すわけではなく、本特許請求の範囲に記載の発明の異なる実施形態を指し得る。更に、特徴、構造、又は特性は、1つ又は複数の実施形態において、本開示から当業者に明らかであるように、任意の適切な方法で組み合わせることができる。更に、本明細書に記載のいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれる他の特徴ではなく、いくつかの特徴を含むが、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、本主題の範囲内であり、当業者によって理解されるように、異なる実施形態を形成することを意味する。例えば、添付の特許請求の範囲において、特許請求される実施形態のいずれも、任意の組み合わせで使用することができる。
【0021】
更に、本明細書全体を通して定義される範囲は、最終値も含む、すなわち、1~10の範囲は、1と10の両方が範囲に含まれることを意味する。疑義を避けるため付言すると、出願人は、適用法に従って均等物を受ける権利を有する。
【0022】
本特許請求の範囲に記載の発明の目的のために、本特許請求の範囲に記載の発明で使用される「重量%(% by weight)」又は「重量%(wt.%)」は、脱色剤粉末の総重量に対するものである。更に、それぞれの成分中の本明細書に記載の全化合物の重量%の合計は、100重量%になる。
【0023】
相互参照又は関連する特許又は出願を含む、本明細書で引用される全ての文献は、明示的に除外又は他の方法で限定されない限り、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。任意の文献の引用は、それが本明細書に開示又は特許請求される任意の発明に関して先行技術であること、又はそれが単独で、又は任意の他の1つ又は複数の参考文献と任意に組み合わせて、任意のそのような発明を教示、示唆、又は開示することを認めるものではない。更に、本文献における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれる文書における同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する限りにおいて、本文献においてその用語に割り当てられた意味又は定義が優先されるものとする。
【0024】
上記及び本明細書に記載の測定技術は当業者に公知であり、したがって、本特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。
【0025】
「ユーザ」又は「顧客」とは、ヘアトリートメント組成物を調製する人を意味する。ユーザは、例えば、美容院で働く専門のヘアスタイリストであり、組成物が毛髪に適用される対象とは異なるか、又はユーザは、組成物が毛髪に適用される対象と同一である。混合は、ボウル内若しくはボトル内で、又は貯蔵された個々の組成物と使用するために分注される点との間に配置されたミキサーを介して行うことができる。2成分脱色剤粉末が市場で最も一般的に見られるが、3つ以上の成分を使用する他のものもある。
【0026】
本明細書で使用される「成長期の毛髪」という用語は、成長期又は休止期のいずれかの状態にある毛包と直接関連している毛髪を意味する。成長期の毛髪は、ヒトの頭皮上にこれらのいずれかの状態で存在し、その毛包は、皮脂及び長鎖脂肪酸を毛幹の表面に実質的に連続的に分泌する皮脂腺に付随する。毛が毛包から成長するにつれて、毛包には分泌された皮脂及び長鎖脂肪酸がコーティングされる。脂肪酸コーティングはf層として知られており、毛幹表面でケラチンタンパク質と強く絡み合っている。生きているヒトから切り取られた毛髪は、もはや成長期の毛髪ではない。
【0027】
ケラチン繊維は、ヒトの頭皮上の毛髪、好ましくは成長期の毛髪を意味する。ケラチン繊維、別名毛髪は、コアとしての内側皮質と、キューティクルを取り囲む外側被覆としてのキューティクルを形成する細胞から構成される。毛髪の化学成分としては、タンパク質、ポリ核酸、アミノ酸、ミネラル、メラニン、脂質、例えば脂肪酸、脂肪アルコール、トリグリセリド、リン脂質、コレステロール、及びスクアレンが挙げられる。これらの成分は、細胞、フィブリル、結合組織、細胞外結合、色素、ケラチン及び関連構造として構成される。キューティクルの外層は、ヤシの木の樹皮や魚類の鱗片のような構造を有する、重なり合う扁平な細胞の鞘として構成される。キューティクルの表面は、魚の鱗片と同様に、根元から先端方向には滑らかであり、先端から根元方向ではザラザラしている。
【0028】
本特許請求の範囲に記載の発明の実施形態において、以下の材料が使用されている。本特許請求の範囲に記載の発明は、非限定的な実施形態を用いて説明される。列挙された成分は、本特許請求の範囲に記載の発明の好ましい特徴並びに他の好ましいが非限定的な特徴である。
【0029】
上記及び本明細書に記載の測定技術は当業者に公知であり、したがって、本特許請求の範囲に記載の発明を限定するものではない。
【0030】
本特許請求の範囲に記載の発明は、損傷した成長期の毛髪に補充及び添加するための成分及び物質を送達するヘアトリートメント組成物に関する。ヘアトリートメント組成物は、シャンプーなどの別の化粧品組成物の一部として組み込まれてもよく、又は限定されないが、コンディショナー組成物などの独立型の組成物として配合されてもよい。
【0031】
成長期の毛髪は、パーマ、レドックス処理、シャンプー、ブラッシング、コーミング及び/又はタオル、帽子、キャップなどでの摩擦によって引き起こされる摩耗及び劣化によって損傷され得る。成長期の毛髪に対して行われるこれらの活動は、毛髪を細くし、切断し、断片化し、分裂し、他の方法で損傷させる。この損傷は、毛髪のキューティクルの表面上の細胞鱗片の持ち上げ及び鱗片からの潤滑物質の除去に起因すると考えられる。持ち上げ及び脱潤滑は、脂肪酸、リン脂質及びジスルフィド結合の鱗片間接続の破損、離脱、断片化及び破壊を可能にする。水、石鹸、シャンプー及び同様の可溶化剤は、キューティクルの個々の鱗片が持ち上げられたため、キューティクルを透過することができる。この透過は、持ち上げられた鱗片間の微細な連結部の希釈、可溶化及び分散を可能にする。その結果、毛髪のキューティクルが弱くなり、毛髪の破損、断片化、及び分裂が生じる。
【0032】
本発明によるヘアトリートメント組成物の実施形態は、毛髪の鱗片間接続を置き換えて再構築し、毛髪の鱗片表面を被覆し、持ち上げから生じる鱗片間空間を閉鎖する。その結果、毛髪を強化し、鱗片を持ち上げにくくすると考えられる。強化は、このようなトリートメントされた毛髪のコーミング性によって測定することができる。
【0033】
一実施形態では、成分a)は、少なくとも1つのC3~C6飽和又は不飽和ジカルボン酸であり、飽和ジカルボン酸は、1、2、3又は4個のヒドロキシル基で置換されていてもよい。好ましくは、飽和ジカルボン酸が1、2、3又は4個のヒドロキシル基で置換されていてもよい、少なくとも1つのC3~C6飽和又は不飽和ジカルボン酸は、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、リンゴ酸、2-メチルリンゴ酸、ヒドロキシグルタル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、グルタコン酸、酒石酸、2-メチル酒石酸、2-ヒドロキシ-3-メチルグルタル酸、ヒドロキシアジピン酸及びヒドロキシグルタル酸からなる群から選択される。
【0034】
別の実施形態では、成分a)は、1、2、3又は4個のヒドロキシル基で置換されている少なくとも1つのC3~C6飽和ジカルボン酸である。好ましくは、1、2、3又は4個のヒドロキシル基で置換されている、少なくとも1つのC3~C6飽和ジカルボン酸は、リンゴ酸、2-メチルリンゴ酸、ヒドロキシグルタル酸、酒石酸、2-メチル酒石酸、2-ヒドロキシ-3-メチルグルタル酸、ヒドロキシアジピン酸及びヒドロキシグルタル酸からなる群から選択される。
【0035】
一実施形態では、成分a)は、好ましくは0.1重量%~10.0重量%の範囲の重量パーセント濃度、より好ましくは0.2重量%~5.0重量%の範囲の重量パーセント濃度で存在する。
【0036】
一実施形態では、成分b)は、好ましくは少なくとも1つのC16~C22飽和又は不飽和モノカルボン酸である。別の実施形態では、少なくとも1つのC16~C22飽和又は不飽和モノカルボン酸は、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸及びリノール酸からなる群から選択される。別の実施形態では、少なくとも1つのC16~C22モノカルボン酸は、一価不飽和である。別の実施形態では、成分b)はパルミトレイン酸又はオレイン酸であり、特に成分b)はオレイン酸である。
【0037】
ヘアトリートメント組成物のジカルボン酸及びモノカルボン酸の各々は、独立して、遊離カルボン酸形態であってもよく、又はその化粧品として許容される塩であってもよく、対イオンは、塩形態の沈殿を引き起こさないアルカリ又はアルカリ土類金属カチオンであってもよく、好ましくはナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、亜鉛、銅及びアルミニウムカチオンを含み、より好ましくはナトリウム、カリウム及びリチウムを含み、特により好ましくはナトリウム及びカリウムを含む。
【0038】
一実施形態では、成分b)は、0.05重量%~1.0重量%、より好ましくは0.05重量%~0.5重量%の範囲の重量パーセント濃度で存在する。
【0039】
ジカルボン酸、すなわち成分a)、及びモノカルボン酸、すなわち成分b)の濃度範囲は、組成物の総重量に対する重量パーセントがモノカルボン酸よりもジカルボン酸の方が大きい一般的な関係に従う。ジカルボン酸対モノカルボン酸の比は、約2:1~約10:1、好ましくは約2:1~約5:1の範囲である。
【0040】
一実施形態では、少なくとも1つのC10~C50飽和又は不飽和炭化水素は、パラフィン及び飽和非環式テルパンからなる群から選択される。
【0041】
一実施形態では、少なくとも1つの飽和非環式テルパンは、モノテルパン、セスキテルパンン、ジテルパン、セスタテルパン、トリテルパン又はテトラテルパンである。別の実施形態では、少なくとも1つの飽和非環式テルパンは、2,6-ジメチルオクタン、2,6,10,15,19-ペンタメチルリーコサン(pentamethylleicosane)、ファルネサン、フィタン、スクアラン、イソスクアラン、ネオスクアラン及びリコパンからなる群から選択される。更に別の実施形態では、少なくとも1つの飽和非環式テルパンは、スクアラン、イソスクアラン及びネオスクアランからなる群から選択され、好ましくは少なくとも1つの飽和非環式テルパンはスクアランである。本明細書で使用される場合、「スクアラン」は油を指し、2,6,10,15,19,23-ヘキサメチルテトラコサンとも呼ばれる。一実施形態では、スクアランは、化学合成によって得られる合成スクアラン又は還元によって天然に存在するスクアレンから得られる半合成スクアランである。スクアレンは、サメなどの深海魚、又はオリーブ油、米ぬか油、小麦胚芽油、ゴマ油及び綿実油中に存在する。スクアランはサトウキビからも得ることができる。
【0042】
好ましい実施形態では、ヘアトリートメント組成物は、バイオ系ファルネセンから誘導されるスクアラン又はバイオ系ファルネセンから誘導されるスクアラン、イソスクアラン及びネオスクアラン、すなわち、触媒反応、化学反応、熱反応、水素化又はそれらの任意の組み合わせによってバイオ系ファルネセンから生成されるスクアラン、イソスクアラン及びネオスクアランを含む。
【0043】
本明細書で使用される場合、「バイオ系ファルネセン」という用語は、糖などの再生可能炭素源の発酵によって微生物、特に遺伝子組換え微生物から生物学的に産生されるファルネセンを指す。本明細書で使用される場合、「ファルネセン」は、α-ファルネセン、β-ファルネセン又はそれらの混合物を指す。α-ファルネセンとは、以下の構造を有する化合物、
その立体異性体又は立体異性体の混合物を指す。
【0044】
β-ファルネセンとは、以下の構造を有する化合物、
その立体異性体又は混合物を指す。
【0045】
一実施形態では、β-ファルネセンは、β-ファルネセンの実質的に純粋な立体異性体である。別の実施形態では、β-ファルネセンは、シス-トランス異性体などの立体異性体の混合物を含む。別の実施形態では、β-ファルネセン混合物中の各立体異性体の量は、β-ファルネセン混合物の総重量に基づいて、好ましくは≧0.1重量%~≦99.9重量%の範囲、より好ましくは≧1.0重量%~≦99.0重量%の範囲、更により好ましくは≧5.0重量%~≦95.0重量%の範囲、更により好ましくは≧10重量%~≦90重量%の範囲、最も好ましくは≧20重量%~≦80重量%の範囲である。
【0046】
一実施形態では、少なくとも1つの飽和非環式テルパンは、2、3、4、5、6又は8の分岐度を有し、好ましくは、少なくとも1つの飽和非環式テルパンは、6の分岐度を有する。
【0047】
更に別の実施形態では、少なくとも1つの飽和非環式テルパン、好ましくはスクアランは、ヘアトリートメント組成物の総重量に基づいて、好ましくは≧0.01重量%~≦1.0重量%の範囲、より好ましくは≧0.02重量%~≦0.8重量%の範囲、更により好ましくは≧0.03重量%~≦0.7重量%の範囲の量で存在する。
【0048】
更に別の実施形態では、パラフィンは、ヘアトリートメント組成物の総重量に基づいて、好ましくは≧1.0重量%~≦6.0重量%の範囲、より好ましくは≧1.5重量%~≦5.0重量%の範囲、更により好ましくは≧2.0重量%~≦4.5重量%の範囲の量で存在する。
【0049】
一実施形態では、脂肪酸エステルは、C3~C6モノオール(モノアルコール)、ジオール又はトリオール、好ましくはトリオール、より好ましくはC3又はC4トリオール、最も好ましくはグリセリンでエステル化されたC16~C18飽和又は不飽和モノカルボン酸の脂肪酸エステルである。好ましい脂肪酸エステルは、グリセリルモノパルミトレエート、グリセリルモノオレエート、又はそれらの組み合わせであり、グリセリルモノオレエート単独がより好ましい。
【0050】
一実施形態では、成分d)は、好ましくは0.15重量%~3.0重量%の範囲の重量パーセント濃度、より好ましくは0.15重量%~2.5重量%の範囲の重量パーセント濃度、更により好ましくは0.15重量%~2.0重量%の範囲の重量パーセント濃度、特に0.15重量%~2.0重量%の範囲の重量パーセント濃度で存在する。
【0051】
好ましくは、ヘアトリートメント組成物が硫酸塩シャンプー及び/又は硫酸塩を含まないシャンプーの成分を含む場合、脂質成分は、トリオールで形成されたモノ脂肪酸エステル及びトリオールで形成されたジ脂肪酸エステルを含む2つのバージョンの脂肪酸エステルを含んでもよい。ヘアトリートメント組成物が硫酸塩を含まないシャンプーの成分を含む場合、脂質成分は、モノ及びジ脂肪酸エステルの組み合わせのジ脂肪酸エステルの代わりに炭化水素を含んでいてもよい。ヘアトリートメント組成物が、独立型コンディショナー、マスク、リーブオントリートメント、リンスオフコンディショナー、ヘアリンス、ヘアリキッド、ヘアオイル、ヘアポマード、ヘアフォーム、ヘアスプレー、ヘアトニック及び/又はヘアローションを含む場合、脂質成分は、トリオールで形成されたモノ脂肪酸エステル及び炭化水素の両方であってもよい。
【0052】
本特許請求の範囲に記載の発明の実施形態は、有機酸成分だけでなく、クエン酸、酢酸、酒石酸、塩酸及び水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物などの有機酸性化剤及び塩基性化剤も組み込んでいる。これらの薬剤は、ヒトの頭皮及び/又は顔などのヒトに対して刺激性でないように、本特許請求の範囲に記載の発明の組成物のpHのバランスを可能にする。その結果、酸性化剤及び塩基性化剤は、pHが約5~約9の範囲、好ましくは約6~約8の範囲になるように調整することができる。
【0053】
ヘアトリートメント組成物の実施形態のための追加の成分は、ヘアトリートメント組成物の目的及び機能に少なくとも部分的に依存する。例えば、ヘアトリートメント組成物がシャンプーの一部である場合、アニオン性及び/又は非イオン性界面活性剤が含まれてもよい。ヘアトリートメント組成物がリンスオフ及びリーブオンコンディショナーの一部である場合、カチオン性界面活性剤及び/又はカチオン性ポリマーが含まれてもよい。ヘアトリートメント組成物には、保湿剤、湿潤剤、増粘剤、乳化剤、並びに有利な品質をもたらすための他の添加剤が含まれてもよい。
【0054】
本特許請求の範囲に記載の発明のヘアトリートメント組成物には、カチオン性界面活性剤、任意のシリコーン成分及び水性担体が含まれてもよい。界面活性剤、シリコーン及び水性担体は、エマルジョンの形態であってもよい。
【0055】
本特許請求の範囲に記載の発明の組成物は、特に、本特許請求の範囲に記載の発明の組成物がコンディショニング特性をもたらすためのものである場合、カチオン性界面活性剤系を含んでいてもよい。カチオン性界面活性剤系は、1つのカチオン性界面活性剤又は2つ以上のカチオン性界面活性剤の混合物を含んでもよい。存在する場合、カチオン性界面活性剤系は、組成物の総重量に対して約0.1%~約10%、好ましくは約0.5%~約8%、より好ましくは約0.8%~約5%、更により好ましくは約1.0%~約4%の重量レベルで組成物に含まれてもよい。本発明のヘアトリートメント組成物に有用なカチオン性界面活性剤の実施形態は、3つのメチル基で四級化されたC14~C30直鎖アルキルアミンの一般的及び通常の四級アンモニウム塩を含む。例としては、ベヘントリモニウムクロリド、ステアリルトリモニウムクロリド及び同様のトリモニウム化合物が挙げられる。
【0056】
好ましい実施形態では、本特許請求の範囲に記載の発明のヘアトリートメント組成物、好ましくはコンディショナーは、セトリモニウムハロゲン化物、ステアリモニウムハロゲン化物、ベヘントリモニウムハロゲン化物、ドデシルトリメチルアンモニウムハロゲン化物、ジドデシルジメチルアンモニウムハロゲン化物、テトラデシルトリメチルアンモニウムハロゲン化物、ジステアリルジメチルアンモニウムハロゲン化物、ジセチルジメチルアンモニウムハロゲン化物、ベヘナミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジエチルアミン、ベヘナミドエチルジメチルアミン、アラキドアミドプロピルジメチルアミン、アラキドアミドプロピジエチルアミン、アラキドアミドエチイジエチルアミン(arachidamidoethyidiethylamine)及びアラキドアミドエチイジメチルアミン(arachidamidoethyidimethylamine)からなる群から選択される少なくとも1つのカチオン性界面活性剤を含む。
【0057】
本特許請求の範囲に記載の発明のヘアトリートメント組成物はまた、1つ又は複数のシリコーンコンディショニング剤を含んでもよい。シリコーンとしては、ジメチコン、ジメチコノール、環状シリコーン、アミノ基、四級アンモニウム塩基などの各種官能基を有する変性シリコーン、アモジメチコンなどのアミンシリコーンなどが挙げられる。このようなシリコーンは、水性(又は水性-有機)媒体に可溶性又は不溶性であってもよい。不溶性液体シリコーンの場合、ポリマーは、約10nm~約30マイクロメートルの液滴サイズを有する乳化形態であってもよい。他の固体又は半固体コンディショニング剤は、不飽和エステル、アルコール、アミドからの高融点脂肪アルコール、酸、エステル、アミド又はオリゴマーを含む組成物中に存在してもよい。オリゴマーエステルは、天然に存在する不飽和グリセリドエステルのオリゴマー化の結果であってもよい。そのような固体又は半固体コンディショニング剤は、有機油との混合物として添加又は存在し得る。
【0058】
一実施形態では、ヘアトリートメント組成物は、
a)0.2重量%~4.0重量%の重量パーセント濃度の、非置換であるか、又は1、2、3若しくは4個のヒドロキシル基で置換されている、少なくとも1つのC3~C13飽和又は不飽和ジカルボン酸と、
b)0.05重量%~1.0重量%の重量パーセント濃度の、少なくとも1つのC10~C30飽和又は不飽和モノカルボン酸と、
c)0.01重量%~0.5重量%の重量パーセント濃度の、少なくとも1つのC10~C50飽和又は不飽和炭化水素と、
d)0.1重量%~1.0重量%の重量パーセント濃度の、C10~C30飽和又は不飽和モノカルボン酸とC3~C6モノオール、ジオール又はトリオールとの少なくとも1つの脂肪酸エステルと、
e)少なくとも1つの化粧品として許容される水性又は水性有機媒体と
を含むシャンプーであり、成分a)及びb)は、遊離酸又はその化粧品として許容される塩の形態で存在し、全ての重量パーセントは、組成物の総重量に対するものである。
【0059】
好ましい実施形態では、ヘアトリートメント組成物は、
a)0.2重量%~4.0重量%の重量パーセント濃度のリンゴ酸と、
b)0.05重量%~1.0重量%の重量パーセント濃度のオレイン酸と、
c)0.01重量%~0.2重量%の重量パーセント濃度のスクアランと、
d)0.1重量%~0.5重量%の重量パーセント濃度のグリセリルモノオレエートと、
e)少なくとも1つの化粧品として許容される水性又は水性有機媒体と
を含むシャンプーであり、成分a)及びb)は、遊離酸又はその化粧品として許容される塩の形態で存在し、全ての重量パーセントは、組成物の総重量に対するものである。
【0060】
一実施形態では、ヘアトリートメント組成物は、
a)0.2重量%~5.0重量%の重量パーセント濃度の、非置換であるか、又は1、2、3若しくは4個のヒドロキシル基で置換されている、少なくとも1つのC3~C13飽和又は不飽和ジカルボン酸と、
b)0.05重量%~1.0重量%の重量パーセント濃度の、少なくとも1つのC10~C30飽和又は不飽和モノカルボン酸と、
c)0.01重量%~10.0重量%の重量パーセント濃度の、少なくとも1つのC10~C50飽和又は不飽和炭化水素と、
d)0.1重量%~3.0重量%の重量パーセント濃度の、C10~C30飽和又は不飽和モノカルボン酸とC3~C6モノオール、ジオール又はトリオールとの少なくとも1つの脂肪酸エステルと、
e)少なくとも1つの化粧品として許容される水性又は水性有機媒体と
を含むコンディショナーであり、成分a)及びb)は、遊離酸又はその化粧品として許容される塩の形態で存在し、全ての重量パーセントは、組成物の総重量に対するものである。
【0061】
好ましい実施形態では、ヘアトリートメント組成物は、
a)0.2重量%~5.0重量%の重量パーセント濃度のリンゴ酸と、
b)0.05重量%~1.0重量%の重量パーセント濃度のオレイン酸と、
c)0.01重量%~10.0重量%の重量パーセント濃度の、スクアラン及びパラフィンからなる群から選択される少なくとも1つのC10~C50飽和又は不飽和炭化水素と、
d)0.2重量%~2.0重量%の重量パーセント濃度のグリセリルモノオレエートと、
e)少なくとも1つの化粧品として許容される水性又は水性有機媒体と
を含むコンディショナーであり、成分a)及びb)は、遊離酸又はその化粧品として許容される塩の形態で存在し、全ての重量パーセントは、組成物の総重量に対するものである。
【0062】
一実施形態では、ヘアトリートメント組成物は、
a)0.1重量%~1.0重量%の重量パーセント濃度の、非置換であるか、又は1、2、3若しくは4個のヒドロキシル基で置換されている、少なくとも1つのC3~C13飽和又は不飽和ジカルボン酸と、
b)0.05重量%~1.0重量%の重量パーセント濃度の、少なくとも1つのC10~C30飽和又は不飽和モノカルボン酸と、
c)0.05重量%~1.0重量%の重量パーセント濃度の、少なくとも1つのC10~C50飽和又は不飽和炭化水素と、
d)0.1重量%~1.0重量%の重量パーセント濃度の、C10~C30飽和又は不飽和モノカルボン酸とC3~C6モノオール、ジオール又はトリオールとの少なくとも1つの脂肪酸エステルと、
e)少なくとも1つの化粧品として許容される水性又は水性有機媒体と
を含むリーブオントリートメントであり、成分a)及びb)は、遊離酸又はその化粧品として許容される塩の形態で存在し、全ての重量パーセントは、組成物の総重量に対するものである。
【0063】
好ましい実施形態では、ヘアトリートメント組成物は、
a)0.1重量%~1.0重量%の重量パーセント濃度のリンゴ酸と、
b)0.05重量%~1.0重量%の重量パーセント濃度のオレイン酸と、
c)0.05重量%~1.0重量%の重量パーセント濃度のスクアランと、
d)0.1重量%~1.0重量%の重量パーセント濃度のグリセリルモノオレエートと、
e)少なくとも1つの化粧品として許容される水性又は水性有機媒体と
を含むリーブオントリートメントであり、成分a)及びb)は、遊離酸又はその化粧品として許容される塩の形態で存在し、全ての重量パーセントは、組成物の総重量に対するものである。
【0064】
ヘアトリートメント組成物の実施形態がシャンプーとして配合される場合、シャンプーは、硫酸塩若しくは非硫酸塩アニオン性界面活性剤又は非イオン性界面活性剤又はそれらの任意の組み合わせなどの界面活性剤を含む。本発明によれば、シャンプー組成物の界面活性剤成分の実施形態は、硫酸塩アニオン性界面活性剤又は非硫酸塩アニオン性界面活性剤を含むアニオン性界面活性剤クラスの少なくとも1つの部材を含んでもよい。アニオン性界面活性剤クラスはまた、各部材の複数の種、並びにこれらのクラス部材の組み合わせ及び両方の部材の複数の種の任意の組み合わせを含んでもよい。
【0065】
更に、界面活性剤成分は、上述のアニオン性界面活性剤クラスの任意の変形と組み合わせて、非イオン性界面活性剤を更に含んでもよい。好ましくは、界面活性剤成分は、1つ又は複数の硫酸塩アニオン性界面活性剤単独、1つ又は複数の非硫酸塩アニオン性界面活性剤単独、少量の1つ又は複数の硫酸塩アニオン性界面活性剤と多量の1つ又は複数の非硫酸塩アニオン性界面活性剤との混合物、1つ又は複数の硫酸塩アニオン性界面活性剤と1つ又は複数の非イオン性界面活性剤との混合物、又は1つ又は複数の非硫酸塩アニオン性界面活性剤と1つ又は複数の非イオン性界面活性剤との混合物を含んでもよい。より好ましくは、界面活性剤成分は、1つ又は複数の非硫酸塩アニオン性界面活性剤を単独で含んでもよい。また好ましくは、界面活性剤成分は、1つ又は複数の非イオン性界面活性剤と組み合わせた1つ又は複数の非硫酸塩アニオン性界面活性剤を含んでもよい。特により好ましくは、界面活性剤成分は、界面活性剤クラスの2つの部材の組み合わせ、例えば限定されないが、硫酸塩を含まない1つ又は複数の非硫酸塩アニオン性界面活性剤と1つ又は複数の非イオン性界面活性剤との組み合わせを含み得る。
【0066】
別の特に好ましい界面活性剤クラスは、任意の硫酸塩アニオン性界面活性剤を欠いていてもよい非硫酸塩アニオン性界面活性剤を含む実施形態のいずれかを含んでもよい。この界面活性剤クラスは、硫酸塩を含まない非硫酸塩アニオン性界面活性剤として特性決定することができる。「硫酸塩を含まない」という特性決定なしで、非硫酸塩アニオン性界面活性剤及び/又は非イオン性界面活性剤を含む界面活性剤成分は、付随的又は意図的に存在し得る、少量濃度からほぼ測定不能な濃度までの硫酸塩アニオン性界面活性剤を含んでもよいが、必ずしも含まなくてもよい。
【0067】
本シャンプー組成物の界面活性剤成分の硫酸塩アニオン性界面活性剤クラスは、分岐及び/又は直鎖C8~C20硫酸アルキル、直鎖及び/又は分岐C8~C20硫酸アルキルベンゼン、又は直鎖及び/又は分岐C8~C20硫酸アルキルベンジル、又はエチレンエポキシド/エチレングリコール、プロピレンエポキシド/1,2-プロピレングリコール、グリセリン及び/又は糖アルコールモノマーから得られる対応するエーテル及び/又はグリセリル及び/又は糖アルコール誘導体を含んでもよい。直鎖及び/又は分岐アルキル基は、単鎖長であってもよく、又は鎖長の混合物であってもよい。
【0068】
例示的な硫酸塩アニオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウレス硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエチルアミン、ラウレス硫酸トリエチルアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウレス硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウレス硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸ジエタノールアミン、ラウレス硫酸ジエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウムモノグリセリド、ラウリル硫酸カリウム、ラウレス硫酸カリウム、ココイル硫酸アンモニウム、ココイル硫酸ナトリウム、ココイル硫酸カリウム、ココイル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、トリデシルベンゼン硫酸ナトリウム及びドデシルベンゼン硫酸ナトリウムのうちの1つ又は複数が挙げられる。
【0069】
本発明のシャンプー組成物の界面活性剤成分の非硫酸塩アニオン性界面活性剤クラスは、イセチオン酸アシル/イセチオン酸メチル、アシルグリシン塩、アシルタウリン塩、アシルアミノ酸、アシルサルコシン塩、スルホコハク酸塩及びスルホン酸塩の群から選択することができ、これらの界面活性剤クラスの全てのアシル基は、6から30個の炭素原子を含む。非硫酸塩アニオン性界面活性剤はまた、これらの界面活性剤の1つより多くを含んでもよく、それらの混合物を含んでもよい。非硫酸塩アニオン性界面活性剤セグメントはまた、これらの界面活性剤クラスのいずれかの個々の化合物及びそれらの混合物の1つ若しくは複数又は混合物のアルカリ塩及びアルカリ土類塩を含んでもよい。
【0070】
好ましい実施形態では、本特許請求の範囲に記載の発明のヘアトリートメント組成物、好ましくはシャンプーは、アセトアミドMEA、コカミドMEA、コカミドDEA、コカミドメチルMEA、コカミドMIPA、ヒドロキシステアラミドMEA、PEG-5コカミドMEA、ラクタミドMEA、ラウラミドMEA及びラウラミドDEAからなる群から選択される少なくとも1つのアルカノールアミド界面活性剤を含む。
【0071】
脂肪アルコールは、本発明のシャンプー及びコンディショニングヘアトリートメント組成物の実施形態に含まれていてもよい。脂肪アルコールは、ヘアトリートメント組成物に乳化特性、閉塞特性、保湿特性、増粘特性及び保湿特性を与える。約12~約30個の炭素の直鎖又は分岐の炭素鎖を有する脂肪アルコール及びその混合物が含まれる。脂肪アルコールは、飽和又は不飽和であってもよい。好ましい脂肪アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール、アラキジルアルコール及びそれらの混合物、例えばセテアリルアルコール(セチルアルコール及びステアリルアルコールの混合物)が挙げられる。
【0072】
好ましい実施形態では、本特許請求の範囲に記載の発明のヘアトリートメント組成物、好ましくはシャンプーは、アルキルベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン及びアルキルスルホベタインからなる群から選択される少なくとも1つのベタインを含む。
【0073】
好ましい実施形態では、本特許請求の範囲に記載の発明のヘアトリートメント組成物、好ましくはシャンプーは、一般式(V)の少なくとも1つのアルキルベタインを含み、
-CH-C(=O)-O(V)、
式中、Rは、7~22個の炭素原子を有する置換又は非置換のアルキル又はアルケニル基であり、R及びRはそれぞれ同じか又は異なっており、C1~C6アルキル、C1~C6ヒドロキシアルキル及びC1~C6カルボキシアルキルからなる群から選択される。Rは、好ましくは、R基の少なくとも半分、好ましくは少なくとも4分の3が10~14個の炭素原子を有するような、ココナッツ由来のC12及びC14アルキル基の混合物である。R及びRは、好ましくはメチルである。
【0074】
好ましい実施形態では、少なくとも1つのベタインは、ココベタイン、ココアミドプロピルベタイン、ラウリルベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウリルジメチルベタイン、ココアミドプロピルヒドロキシスルホベタイン、ベヘニルベタイン、カプリルベタイン、カプラミドプロピルベタイン及びステアリルベタインからなる群から選択され、より好ましくは、少なくとも1つのベタイン(D)はコカミドプロピルベタインである。
【0075】
好ましい実施形態では、少なくとも1つのベタインは、ヘアトリートメント組成物の総重量に基づいて、≧2.0重量%~≦10.0重量%の範囲、より好ましくは≧3.0重量%~≦9.0重量%の範囲、更により好ましくは≧4.0重量%~≦8.0重量%の範囲の量で本特許請求の範囲に記載の発明のクレンジング組成物中に存在する。
【0076】
好ましい実施形態では、本特許請求の範囲に記載の発明のヘアトリートメント組成物、好ましくはシャンプーは、少なくとも1つのコンディショニング剤を含む。コンディショニング剤は、好ましくはカチオン性又は両性コンディショニング剤である。
【0077】
好ましい実施形態では、少なくとも1つのコンディショニング剤はカチオン性セルロースである。カチオン性セルロースは、産業界でポリクオタニウム-10と呼ばれるトリメチルアンモニウム置換エポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースの塩を含む。別のタイプのカチオン性セルロースとしては、業界でポリクオタニウム-24と呼ばれる、ラウリルジメチルアンモニウム置換エポキシドと反応させたヒドロキシエチルセルロースのポリマー性四級アンモニウム塩が挙げられる。
【0078】
別の好ましい実施形態では、少なくとも1つのコンディショニング剤は、カチオン性多糖ポリマー、特に、JAGUAR商標シリーズでSolvayから市販されているグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドなどのカチオン性グアーガム誘導体である。
【0079】
好ましい実施形態では、少なくとも1つのコンディショニング剤は、ポリクオタニウム-1、ポリクオタニウム-2、ポリクオタニウム-4、ポリクオタニウム-5、ポリクオタニウム-6、ポリクオタニウム-7、ポリクオタニウム-8、ポリクオタニウム-9、ポリクオタニウム-10、ポリクオタニウム-11、ポリクオタニウム-12、ポリクオタニウム-13、ポリクオタニウム-14、ポリクオタニウム-15、ポリクオタニウム-16、ポリクオタニウム-17、ポリクオタニウム-18、ポリクオタニウム-19、ポリクオタニウム-20、ポリクオタニウム-22、ポリクオタニウム-24、ポリクオタニウム-27、ポリクオタニウム-28、ポリクオタニウム-29、ポリクオタニウム-30、ポリクオタニウム-31、ポリクオタニウム-32、ポリクオタニウム-33、ポリクオタニウム-34、ポリクオタニウム-35、ポリクオタニウム-36、ポリクオタニウム-37、ポリクオタニウム-38、ポリクオタニウム-39、ポリクオタニウム-43、ポリクオタニウム-44、ポリクオタニウム-45、ポリクオタニウム-46、ポリクオタニウム-47、ポリクオタニウム-48、ポリクオタニウム-49、ポリクオタニウム-50、ポリクオタニウム-52、ポリクオタニウム-53、ポリクオタニウム-54、ポリクオタニウム-55、ポリクオタニウム-56、ポリクオタニウム-57、ポリクオタニウム-58、ポリクオタニウム-59、ポリクオタニウム-60、ポリクオタニウム-63、ポリクオタニウム-64、ポリクオタニウム-65、ポリクオタニウム-66、ポリクオタニウム-67、ポリクオタニウム-70、ポリクオタニウム-73、ポリクオタニウム-74、ポリクオタニウム-75、ポリクオタニウム-76、ポリクオタニウム-85、ポリクオタニウム-86、ポリベータアラニン、ポリイプシロンリジン、ポリリジン、PEG-8/SMDIコポリマー、PPG-12/SMDIコポリマー、PPG-51/SMDIコポリマー、PPG-7/コハク酸コポリマー、IPDI/PEG-15コカミンコポリマー、IPDI/PEG-15コカミンダイマージリノール酸、IPDI/PEG-15ソイアミンコポリマー、IPDI/PEG-15ソイアミンオキシドコポリマー、IPDI/PEG-15ソイエトニウムエトスルファートコポリマー、ポリクオタニウム-4/ヒドロキシプロピルデンプンコポリマー、カシアヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、キトサンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、デキストランヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ガラクトアラビナンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、オタネニンジンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ヒドロキシプロピルグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、イナゴマメヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、デンプンヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ヒドロキシプロピルトリモニウム加水分解トウモロコシデンプン、ヒドロキシプロピル酸化デンプンPG-トリモニウムクロリド、タマリンドヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、ポリアクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド、ポリメタクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド、ポリアクリルアミドプロピルトリモニウムメト硫酸塩、プロピルトリモニウムクロリドメタクリルアミド/ジメチルアクリルアミドコポリマー、アクリルアミド/アクリル酸エタルコニウムクロリドコポリマー、アクリルアミド/アクリル酸エチルトリモニウムクロリド/アクリル酸エタルコニウムクロリドコポリマー、アクリレート/カルバメートコポリマー、アジピン酸/メチルDEAクロスポリマー、ジエチレングリコール/DMAPアクリルアミド/PEG-180/HDIコポリマー、ジヒドロキシエチル獣脂アミン/IPDIコポリマー、ジメチルアミン/エチレンジアミン/エピクロロヒドリンコポリマー、HEMAグルコシド/メタクリル酸エチルトリモニウムクロリドコポリマー、加水分解小麦タンパク質/PEG-20アセテートコポリマー、加水分解小麦タンパク質/PVPクロスポリマー、メタクリル酸エチルトリモニウムクロリド/ヒドロキシエチルアクリルアミドコポリマーからなる群から選択され、より好ましくは、少なくとも1つの成分(E)は、ポリクオタニウム-10及びグアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリドからなる群から選択される。
【0080】
好ましい実施形態では、少なくとも1つのコンディショニング剤は、ヘアトリートメント組成物、好ましくはシャンプーの総重量に基づいて、≧0.1重量%~≦1.0重量%の範囲、より好ましくは≧0.1重量%~≦0.9重量%の範囲、更により好ましくは≧0.1~≦0.8、0.7、0.6又は0.5重量%の範囲の量で本特許請求の範囲に記載の発明のヘアトリートメント組成物、好ましくはシャンプー中に存在する。
【0081】
本特許請求の範囲に記載の発明のヘアトリートメント組成物は、化粧品として許容される媒体として水性担体を含んでもよい。したがって、本特許請求の範囲に記載の発明の組成物の実施形態は、(周囲条件下で)注入可能な液体の形態であってもよい。したがって、そのような組成物は、典型的には、約20重量%~約95重量%、又は約60重量%~約85~90重量%のレベルで存在し得る水性担体を含む。水性担体は、水、又は水と有機溶媒との混和性混合物を含んでもよく、一態様では、他の成分の微量成分として組成物に付随的に組み込まれる場合を除いて、最小濃度の有機溶媒を含むか又は有意な濃度の有機溶媒を含まない水を含んでもよい。
【0082】
本特許請求の範囲に記載の発明において有用な水性担体は、代わりに、低級アルキルアルコール及び多価アルコールの水溶液を含んでもよい。本明細書で有用な低級アルキルアルコールは、1~6個の炭素を有する一価アルコール、一態様ではエタノール及びイソプロパノールである。本明細書で有用な多価アルコールとしては、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、及びプロパンジオールが挙げられる。本発明のヘアトリートメント組成物用の水性有機担体は、一価又は多価アルコール、好ましくはエタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール及びグリセリンのいずれか1つ又は任意の2つ以上の混合物である残部を有する、約50重量%~約99重量%の水、好ましくは約75重量%~約95重量%の水、より好ましくは約85重量%~約95重量%の水を含んでもよい。
【0083】
本特許請求の範囲に記載の発明の組成物はまた、必要に応じて任意の他の適切な任意の成分を更に含むことができる。例えば、組成物は、頭皮の健康上の利益のために公知の他の活性成分又は不活性成分を含んでもよい。
【0084】
本特許請求の範囲に記載の発明の一実施形態では、頭皮の健康活性物質を添加して、頭皮の利益を提供することができる。頭皮の健康材料のこの群は様々であり、フケ防止、抗真菌、抗菌、保湿、バリア改善、及び酸化防止、かゆみ防止、及び感覚を含む広範囲の利点を提供する。そのような健康活性物質としては、亜鉛ピリチオン、クリンバゾール、オクトピロックス、ビタミンE及びF、サリチル酸、フェノキシエタノール、エチルヘキシルグリセリン、グリコール、グリコール酸、PCA、PEG、エリスリトール、グリセリン、乳酸塩、ヒアルロン酸塩、アラントイン及び他の尿素、ベタイン、ソルビトール、グルタメート、キシリトール、メントール、乳酸メンチル、イソシクロモン、ベンジルアルコール、並びにペパーミント、スペアミント、アルガン、ホホバ及びアロエを含む天然抽出物/油が挙げられるが、これらに限定されない。組成物は、他の一般的な毛髪成分を含んでもよい。CTFA Cosmetic Ingredient Handbook、第10版(ワシントンD.C.のCosmetic,Toiletry,and Fragrance Association,Inc.によって公開)(2004)(以降は「CTFA」)は、本明細書の組成物に添加することができる多種多様な非限定的な材料を記載している。これらの成分クラスの例としては、芳香剤、顔料、着色剤/染料、エッセンシャルオイル、知覚剤、消泡剤、抗菌剤、生物学的添加剤、緩衝剤、増量剤、キレート剤、化学添加剤、収斂剤、殺生物剤、皮膜形成剤又は材料、pH調整剤、還元剤、金属イオン封鎖剤、及び界面活性剤などの審美的成分が挙げられるが、これらに限定されない。
【0085】
好ましい実施形態では、本特許請求の範囲に記載の発明のヘアトリートメント組成物、好ましくはコンディショナーは、少なくとも1つの液体油を含む。
【0086】
例えば、液体油は、アボガド油、ツバキ油、カメ油、マカダミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油(parsic oil)、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、ベニバナ油、綿実油、シソ油、大豆油、ピーナッツ油、茶油、カヤ油、米ぬか油、中国桐油、日本桐油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、液体ラノリン、ラウリン酸ヘキシル、液体炭化水素エステル、例えば流動パラフィン、鉱油、イソドデカン、脂肪酸油、エステル油、例えばオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル及びその混合物からなる群から選択することができる。
【0087】
ヘアトリートメント組成物は、成長期の毛髪(ヒトの頭部の毛髪)にそのままで塗布されてもよく、又は水若しくは水と水混和性アルコールとの組み合わせで希釈され、成長期の毛髪に塗布されてもよい。塗布後、毛髪上のヘアトリートメント組成物をマッサージし、毛髪を通して作用して、組成物を毛髪全体に分布させることができる。毛髪上のヘアトリートメント組成物の洗浄、コンディショニング、及び/又は他の機能を達成するのに十分な時間の後、毛髪は水ですすがれてもよく、又はヘアトリートメント組成物がリーブオンである場合、毛髪を短時間こすり、過剰な組成物があれば除去することができる。
【0088】
実施形態
以下では、本開示を以下に列挙される特定の実施形態に限定することを意図することなく、本開示を説明するための実施形態のリストが提供される。
【0089】
本特許請求の範囲に記載の発明をその特定の実施形態に関して説明してきたが、特定の修正及び等価物は当業者には明らかであり、本特許請求の範囲に記載の発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0090】
1.ヘアトリートメント組成物であって、
a)0.05重量%~15.0重量%の重量パーセント濃度の、非置換であるか、又は1、2、3若しくは4個のヒドロキシル基で置換されている、少なくとも1つのC3~C13飽和又は不飽和ジカルボン酸と、
b)0.01重量%~10.0重量%の重量パーセント濃度の、少なくとも1つのC10~C30飽和又は不飽和モノカルボン酸と、
c)0.01重量%~10.0重量%の重量パーセント濃度の、少なくとも1つのC10~C50飽和又は不飽和炭化水素と、
d)0.1重量%~5.0重量%の重量パーセント濃度の、C10~C30飽和又は不飽和モノカルボン酸とC3~C6モノオール、ジオール又はトリオールとの少なくとも1つの脂肪酸エステルと、
e)少なくとも1つの化粧品として許容される水性又は水性有機媒体と
を含み、
成分a)及びb)が遊離酸又はその化粧品として許容される塩の形態で存在し、
全ての重量パーセントが組成物の総重量に対するものである、ヘアトリートメント組成物。
【0091】
2.成分a)が、非置換であるか、又は1、2、3若しくは4個のヒドロキシル基で置換されている、少なくとも1つのC3~C6飽和又は不飽和ジカルボン酸である、実施形態1に記載のヘアトリートメント組成物。
【0092】
3.非置換であるか、又は1、2、3若しくは4個のヒドロキシル基で置換されている、少なくとも1つのC3~C6飽和又は不飽和ジカルボン酸が、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、リンゴ酸、2-メチルリンゴ酸、ヒドロキシグルタル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、グルタコン酸、酒石酸、2-メチル酒石酸、2-ヒドロキシ-3-メチルグルタル酸、ヒドロキシアジピン酸及びヒドロキシグルタル酸からなる群から選択される、実施形態2に記載のヘアトリートメント組成物。
【0093】
4.成分a)が、1、2、3又は4個のヒドロキシル基で置換されている、少なくとも1つのC3~C6飽和ジカルボン酸である、実施形態2に記載のヘアトリートメント組成物。
【0094】
5.1、2、3又は4個のヒドロキシル基で置換されている、少なくとも1つのC3~C6飽和ジカルボン酸が、リンゴ酸、2-メチルリンゴ酸、ヒドロキシグルタル酸、酒石酸、2-メチル酒石酸、2-ヒドロキシ-3-メチルグルタル酸、ヒドロキシアジピン酸及びヒドロキシグルタル酸からなる群から選択される、実施形態4に記載のヘアトリートメント組成物。
【0095】
6.成分b)が、少なくとも1つのC16~C22飽和又は不飽和モノカルボン酸である、実施形態1から5のいずれか1つに記載のヘアトリートメント組成物。
【0096】
7.成分b)が、オレイン酸及びパルミトレイン酸からなる群から選択される、実施形態6に記載のヘアトリートメント組成物。
【0097】
8.成分c)が、パラフィン及び飽和非環式テルパンからなる群から選択される、実施形態1から7のいずれか1つに記載のヘアトリートメント組成物。
【0098】
9.飽和非環式テルパンが、スクアラン、イソスクアラン及びネオスクアランからなる群から選択される、実施形態8に記載のヘアトリートメント組成物。
【0099】
10.成分d)が、C16~C22飽和又は不飽和モノカルボン酸とC3~C6トリオールとの少なくとも1つの脂肪酸エステルである、実施形態1から9のいずれか1つに記載のヘアトリートメント組成物。
【0100】
11.成分a)がリンゴ酸であり、成分b)がオレイン酸である、実施形態1から10のいずれか1つに記載のヘアトリートメント組成物。
【0101】
12.成分a)がリンゴ酸及びグルタル酸からなる群から選択され、
成分b)がオレイン酸及びパルミトレイン酸からなる群から選択され、
成分c)がスクアラン及びパラフィンからなる群から選択され、
成分d)がグリセリルモノオレエート及びグリセリルモノパルミトレエートからなる群から選択される、実施形態1から11のいずれか1つに記載のヘアトリートメント組成物。
【0102】
13.成分a)がリンゴ酸であり、
成分b)がオレイン酸であり、
成分c)がスクアランであり、
成分d)がグリセリルモノオレエートである、実施形態12に記載のヘアトリートメント組成物。
【0103】
14.ヘアトリートメント組成物が、カチオン性界面活性剤、シリコーンコンディショナー、アニオン性界面活性剤、脱色剤、着色剤及びパーマ用ウェーブ剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を含む、実施形態1から13のいずれか1つに記載のヘアトリートメント組成物。
【0104】
15.成分a)が、0.1重量%~10.0重量%の範囲の重量パーセント濃度で存在する、実施形態1から14のいずれか1つに記載のヘアトリートメント組成物。
【0105】
16.成分b)が、0.05重量%~1.0重量%の範囲の重量パーセント濃度で存在する、実施形態1から15のいずれか1つに記載のヘアトリートメント組成物。
【0106】
17.成分c)が、0.02重量%~4.0重量%の範囲の重量パーセント濃度で存在する、実施形態1から16のいずれか1つに記載のヘアトリートメント組成物。
【0107】
18.成分d)が、0.15重量%~3.0重量%の範囲の重量パーセント濃度で存在する、実施形態1から17のいずれか1つに記載のヘアトリートメント組成物。
【0108】
19.成分a)の重量パーセント濃度と成分b)の重量パーセント濃度との比が、10.0:1.0~1.0:1.0の範囲、好ましくは5.0:1.0~2.0:1.0の範囲である、実施形態1から18のいずれか1つに記載のヘアトリートメント組成物。
【0109】
20.成分e)が、水及びC2~C6モノオールからなる群から選択される、実施形態1から19のいずれか1つに記載のヘアトリートメント組成物。
【0110】
21.ヘアトリートメント組成物のpHが4.0~6.0の範囲である、実施形態1から20のいずれか1つに記載のヘアトリートメント組成物。
【0111】
22.ヘアトリートメント組成物が、ヘアコンディショナー、ヘアクリーム、ヘアシャンプー、ドライシャンプー、ヘアリンス、ヘアリキッド、ヘアオイル、ヘアポマード、ヘアフォーム、ヘアスプレー、ヘアトニック及びヘアローションからなる群から選択される、実施形態1から21のいずれか1つに記載のヘアトリートメント組成物。
【0112】
23.毛髪を処理する方法であって、少なくとも、
A)実施形態1から22のいずれか1つに記載のヘアトリートメント組成物を毛髪に塗布する工程を含む、方法。
【0113】
24.B)毛髪に塗布する前又は塗布している間に、実施形態1から22のいずれか1つに記載のヘアトリートメント組成物を水で希釈する工程を更に含む、実施形態23に記載の方法。
【0114】
25.損傷した毛髪を修復するための、実施形態1から22のいずれか1つに記載のヘアトリートメント組成物の使用。
【0115】
記述:
X1.ヘアトリートメント組成物であって、
a)0.05重量%~15.0重量%の重量パーセント濃度の、非置換であるか、又は1個のヒドロキシル基で置換されている、少なくとも1つのC3~C13飽和又は不飽和ジカルボン酸と、
b)0.01重量%~10.0重量%の重量パーセント濃度の、少なくとも1つのC10~C30飽和又は不飽和モノカルボン酸と、
c)0.01重量%~1.0重量%の重量パーセント濃度の、少なくとも1つのC10~C40飽和又は不飽和炭化水素と、
d)0.1重量%~10.0重量%の重量パーセント濃度の、C10~C30飽和又は不飽和モノカルボン酸とC3~C6モノオール、ジオール又はトリオールとの少なくとも1つの脂肪酸エステルと、
e)少なくとも1つの化粧品として許容される水性又は水性有機媒体と
を含み、
成分a)及びb)が遊離酸又はその化粧品として許容される塩の形態で存在し、
全ての重量パーセントが組成物の総重量に対するものである、ヘアトリートメント組成物。
【0116】
X2.成分a)が少なくとも1つのC3~C6飽和又は不飽和ジカルボン酸であり、飽和ジカルボン酸が1、2、3又は4個のヒドロキシル基で置換されていてもよい、記述X1に記載のヘアトリートメント組成物。
【0117】
X3.成分a)が、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、リンゴ酸、ヒドロキシコハク酸、グルタル酸、ヒドロキシグルタル酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、グルタコン酸、これらの化粧品として許容される塩、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される、記述X1又はX2に記載のヘアトリートメント組成物。
【0118】
X4.成分b)が、少なくとも1つのC16~C22飽和又は不飽和モノカルボン酸である、記述X1からX3のいずれか1つに記載のヘアトリートメント組成物。
【0119】
X5.成分c)が、C16~C22飽和又は不飽和モノカルボン酸とC3~C6トリオールとの少なくとも1つの脂肪酸エステルである、記述X1からX4のいずれか1つに記載のヘアトリートメント組成物。
【0120】
X6.成分c)が、少なくとも1つのC26~C40飽和又は不飽和炭化水素である、記述X1からX5のいずれか1つに記載のヘアトリートメント組成物。
【0121】
X7.成分a)がリンゴ酸であり、成分b)がオレイン酸である、記述X1からX6のいずれか1つに記載のヘアトリートメント組成物。
【0122】
X8.成分a)がリンゴ酸及びグルタル酸からなる群から選択され、
成分b)がオレイン酸及びパルミトレイン酸からなる群から選択され、
成分c)がスクアラン及びスクアレンからなる群から選択され、
成分d)がグリセリルモノオレエート及びグリセリルモノパルミトレエートからなる群から選択される、記述X1からX6のいずれか1つに記載のヘアトリートメント組成物。
【0123】
X9.成分a)がリンゴ酸であり、
成分b)がオレイン酸であり、
成分c)がスクアランであり、
成分d)がグリセリルモノオレエートである、記述X8に記載のヘアトリートメント組成物。
【0124】
X10.カチオン性界面活性剤、シリコーンコンディショナー、アニオン性界面活性剤、脱色剤、着色剤及びパーマ用ウェーブ剤からなる群から選択される少なくとも1つの添加剤を更に含む、記述X1からX9のいずれか1つに記載のヘアトリートメント組成物。
【0125】
X11.成分a)が0.1重量%~10.0重量%の範囲の重量パーセント濃度で存在し、成分b)が0.015重量%~1.0重量%の範囲の重量パーセント濃度で存在する、記述X1からX10のいずれか1つに記載のヘアトリートメント組成物。
【0126】
X12.成分c)及びd)が、0.01重量%~10.0重量%の範囲の重量パーセント濃度で存在する、記述X1からX11のいずれか1つに記載のヘアトリートメント組成物。
【0127】
X13.成分a)の重量パーセント濃度と成分b)の重量パーセント濃度との比が、10.0:1.0~1.0:1.0の範囲、好ましくは5.0:1.0~2.0:1.0である、記述X1からX12のいずれか1つに記載のヘアトリートメント組成物。
【0128】
X14.成分e)が、水及びC2~C6モノオールからなる群から選択される、記述X1からX13のいずれか1つに記載のヘアトリートメント組成物。
【0129】
X15.ヘアトリートメント組成物のpHが4.0~6.0の範囲である、記述X1からX14のいずれか1つに記載のヘアトリートメント組成物。
【0130】
X16.ヘアトリートメント組成物が、ヘアコンディショナー、ヘアクリーム、ヘアシャンプー、ドライシャンプー、ヘアリンス、ヘアリキッド、ヘアオイル、ヘアポマード、ヘアフォーム、ヘアスプレー、ヘアトニック及びヘアローションからなる群から選択される、記述X1からX15のいずれか1つに記載のヘアトリートメント組成物。
【0131】
X17.毛髪を処理する方法であって、少なくとも、
A)記述X1からX16のいずれか1つに記載のヘアトリートメント組成物を毛髪に塗布する工程を含む、方法。
【0132】
X18.B)毛髪に塗布する前又は塗布している間に、記述X1からX16のいずれか1つに記載のヘアトリートメント組成物を水で希釈する工程を更に含む、記述15に記載の方法。
【0133】
X19.損傷した毛髪を修復するための、記述X1からX16のいずれか1つに記載のヘアトリートメント組成物の使用。
【実施例
【0134】
以下の実施例は、本特許請求の範囲に記載の発明を説明する。例示の組成物は、従来の配合及び混合技術によって調製することができる。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、ヘアケア配合分野の当業者の技術の範囲内で、本特許請求の範囲に記載の発明の他の改変を行うことができることが理解されよう。本明細書における全ての部、パーセント及び比は、特に明記しない限り重量による。いくつかの成分は、希釈溶液として供給業者からもたらされ得る。
【0135】
驚くべきことに、少なくともジカルボン酸、脂肪モノカルボン酸、脂肪炭化水素及び脂肪酸エステルの組み合わせを含有するヘアコンディショニング組成物は、損傷した毛髪のコーミング性を改善し、毛髪のキューティクルの品質を改善することが発見された。
【0136】
コーミング力測定
特定の美容処理(脱色、着色、パーマネントウェーブ)、天候への曝露、頻繁なコーミング及びブラッシングなどの様々な外部の影響は、毛髪のキューティクルの分解により、梳きやすさに影響を及ぼす。したがって、毛髪の梳きやすさは、一方では毛髪の質/損傷の程度及び/又は他方では毛髪修復トリートメントのコンディショニングの有効性を説明するための主要なパラメータである。
【0137】
コーミング特性を決定するためのほとんどの方法の原理は、一定の条件下(Ref.:C.R.Robbins,Chemical and Physical Behavior of Human Hair,5th Edition,p.646 ff.,Springer-Verlag,Berlin Heidelberg 2012.ISBN 978-3-642-25610-3)で毛髪の束を通して櫛を引っ張る力を測定することにある。
【0138】
この試験のために、試験される毛髪の束を貯蔵室から取り出し、力計に固定される自動化された装置が使用される。毛髪の束は一定速度で自動的に梳かれる。各コーミングストロークについて、コーミング力は、コーミングされた距離(毛髪の束の長さ)の関数として記録される。比較のために、製品サンプルあたり少なくとも3つの毛髪の束における20回の毛髪の束あたりのコーミングストロークを平均する。
【0139】
湿潤コーミング力は、毛髪の束に沿った平均力である。コーミング力が低いほど、コーミングしやすい。
【0140】
コーミング力測定のための毛髪の束の調製
毛髪の損傷をシミュレートするために、2g、長さ17cm、ミディアムブロンドの色の毛髪の束(白色人種の毛髪)を2回脱色し、次いで、市の水に10分間浸す(35℃±2℃)。その後、毛髪の束を相対湿度50重量%に調節し、次いで2回梳いた(櫛の粗い面と細かい面)。試験するヘアケア組成物の0.25ml/g毛髪を毛髪の束に塗布し、1分間マッサージする。水道水(6L/分、35℃±2℃)を用いて毛髪の束を1分間すすぐ。その後、毛髪の束を相対湿度50重量%に調節する。毛髪の束を2回(櫛の粗い面と細かい面)梳いて、実際の湿潤時のコーミング力の測定のために、コーミング装置の貯蔵室の湿潤マガジンの内側に配置する。
【0141】
試験結果
以下の表は、損傷を受け、次いで本発明によるヘアトリートメント組成物で処理された毛髪材料、並びに本発明のヘアトリートメント組成物の4つの成分の1つ又は複数を欠く処理組成物のニュートン(N)で測定された湿潤コーミング力を示す。上述の機械的コーミング測定に供された処理済み毛髪材料は、実施例3の成分を含有する液体組成物で処理された損傷毛髪(2回脱色)である。
【0142】
結果は、脂質+脂肪酸及びジカルボン酸を含有する組成物(実施例3)で処理した毛髪が優れたコーミング(低いコーミング力)を示すことを明確に示している。
【0143】
実施例1(シャンプー)
【0144】
実施例2(リンスオフコンディショナー/マスク)
【0145】
実施例3(リーブオントリートメント)
【0146】
実施例4(脱色剤、着色剤又はパーマ用ウェーブ剤と混合するための組成物)
【0147】
実施例5(リーブオントリートメント)
【0148】
試験方法-ハーフヘッド試験
上記のリーブオントリートメント例が毛髪を調整する能力を、ヒト/パネリストでのハーフヘッド比較によって試験した。パネリストの毛髪は、眉毛から首まで2つの部分に中央で分けられた。部分のうちの1つを基準サンプル5-0で処理し、もう1つの部分を4つの試験サンプル5-1~5-4のうちの1つで処理したので、パネリストあたり全体で4つのハーフヘッド試験比較を行った。
【0149】
この試験は、試験サンプル及び基準サンプルがそれぞれパネリストの頭部の半分に塗布され、したがって全く同一の試験条件下(同一の毛髪構造、毛髪損傷の程度、毛髪の色など)での直接比較を可能にするため、それぞれハーフヘッド試験、ハーフヘッド比較と呼ばれた。
【0150】
以下のヘアコンディショニング基準である、湿潤及び乾燥時のコーミング性、ウェット感、カール防止、毛髪の光沢及びドライ感は、経験豊富な専門のスタイリストによって判断された。
【0151】
ハーフヘッド試験の評価基準:
湿潤及び乾燥時のコーミング性:
毛髪のコーミング性は、アルミニウム製の櫛を中間部に平行に配置し、それを毛髪を通して肩まで通すことによって評価した。櫛の角度が変化するのを避けるために、全体にわたって90°のままで保持し、頭皮と接触したまま梳かなければならない。コーミング中に必要な抵抗/力の量は、製品をコーミングするのがより容易である/コーミングするのがより困難であるとして評価するための基礎であった。この試験は、濡れた毛髪及び乾燥した毛髪でも行うことができる。評価は手動で行い、参照コンディショナーを用いて毛髪のコーミング性と比較した。
【0152】
ウェット感:
毛髪のウェット感は、親指と第1~2指との間に髪を挟み、軽い力で毛髪の根元から端まで移動させるか、又は指を広げて根元から端まで毛髪を通して滑らせることによって評価した。毛髪が指を通って問題なく滑る場合、滑らかな感触を指し、毛髪が指を通って滑らかに滑らない場合、粗い感触を指す。
【0153】
カール防止:
毛髪のカールは、ストレートなヘアスタイルでは、毛髪の一部や全体で短い毛束が「毛髪の本体から離れるように突き出ている」かを評価することによって、また、カーリーヘアでは、ウェーブやカールの毛束が他の毛束と揃わず、明確なウェーブやカールを形成しているかを評価することによって、光学的に評価した。ストレートヘアからの突出が少なく、より明確な/くせの少ないカール又はウェーブが観察されると、くせの少ない髪だったということである。
【0154】
ドライ感:
毛髪が完全に乾いたとき、評価するスタイリストは毛髪のドライ感を評価した。これは、軽い力を加えながら、親指と、中指と人差し指との間で毛髪を根元から端まで動かすことによって、あるいは、軽く広げられた指を根元から端まで毛髪を通して走らせることによって評価した。毛髪が指を容易に通り抜ける場合、これは滑らかな感触と呼ばれ、毛髪が指を容易に通過することが妨げられる場合、これは粗い感触と呼ばれる。
【0155】
毛髪の光沢:
毛髪の光沢は、標準的な条件下(自然の昼光又は昼光ランプ)で毛髪上の光の反射を見ることによって評価した。距離0.5mから、モデルがわずかに頭を動かすことで、光の反射又は光沢を多い/少ないで評価した。
【0156】
被験者5名でハーフヘッド試験を実施し、各基準で何名の被験者/パネリストが判定されたかを示した。
【0157】
試験サンプル5-1(0.25%GMO)、比較対参照(0%GMO):
【0158】
試験サンプル5-2(1%GMO)、比較対参照(0%GMO):
【0159】
試験サンプル5-3(5%GMO)、比較対参照(0%GMO):
【0160】
試験サンプル5-4(10%GMO)、比較対参照(0%GMO):
【0161】
ハーフヘッド試験の結果は、グリセリルモノオレエートが優れたヘアコンディショニング組成物に寄与したことを明らかに示している。GMOは、最大5重量%の濃度までコンディショニング性能を改善し、この濃度より大きいと、GMOは、大部分の消費者にとって許容できない毛髪の過度の重さ/負荷をもたらす。
【0162】
様々な記述
本発明は、本明細書において広く一般的に記載されている。一般的な開示に含まれるより狭い種及び亜属の群の各々も、本発明の一部を形成する。これは、切除された事項が本明細書に具体的に記載されているか否かにかかわらず、類概念から任意の事項を除去するという但し書き又は否定的限定を伴う本発明の一般的な説明を含む。本明細書に記載され、述べられ、特許請求される発明、実施例、結果及び実施形態は、本出願に記載又は記述又は参照されるものを含むが、これらに限定されない属性及び実施形態を有し得る。
【0163】
使用された用語及び表現は、限定ではなく説明の用語として使用され、そのような用語及び表現の使用において、示され説明された特徴又はその一部の均等物を排除する意図はないが、特許請求され、実施形態の記述によって提供される本発明の範囲内で様々な修正が可能であることが認識される。したがって、本特許請求の範囲に記載の発明は、様々な非限定的な実施形態及び/又は好ましい非限定的な実施形態及び任意の特徴によって具体的に開示されているが、当業者が依拠することができる本明細書に開示された概念のありとあらゆる修正及び変形は、添付の特許請求の範囲及び実施形態の記述によって定義される本発明の範囲内にあると見なされることが理解されよう。
【0164】
本明細書で言及される全ての特許、出版物、科学論文、ウェブサイト及び他の文書及び参考文献は、本発明が関係する当業者の技術レベルを示し、そのような言及された各文書及び資料は、逐語的に組み込まれ、その全体が本明細書に記載されているのと同程度に参照により本明細書に組み込まれる。このような特許、出版物、科学論文、ウェブサイト、電子的に入手可能な情報、教科書又は他の参照される資料若しくは文書からのありとあらゆる資料及び情報を本明細書に物理的に組み込む権利が留保される。
【0165】
本特許出願の明細書は、全ての特許請求の範囲、実施例及び実施形態の記述を含む。全ての元の特許請求の範囲を含む実施形態の全ての特許請求の範囲及び記述は、参照によりその全体が本明細書の明細書部分に組み込まれ、実施形態のありとあらゆるそのような特許請求の範囲及び記述を明細書又は本出願の他の部分に物理的に組み込む権利が留保される。したがって、例えば、特許請求の範囲の正確な文言が特許の明細書の部分にこれらの言葉で(in haec verba)記載されていないという主張に対して、いかなる状況下でも、特許は特許請求の範囲に対する明細書を提供していないと解釈されることはない。
【0166】
本発明をその詳細な説明と併せて説明してきたが、前述の説明は、本発明の範囲を例示することを意図しており、限定することを意図しておらず、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及び実施形態の記述によって定義される。したがって、上記から、例示の目的で本発明の特定の非限定的な実施形態が本明細書に記載されているが、本発明の範囲から逸脱することなく様々な修正を行うことができることが理解されよう。他の態様、利点、及び変更は、以下の特許請求の範囲の範囲内であり、本特許請求の範囲に記載の発明は、添付の特許請求の範囲及び実施形態の記述による場合を除いて限定されない。
【0167】
本明細書に記載の具体的な方法及び組成物は、好ましい非限定的な実施形態の代表であり、例示であり、本発明の範囲に対する限定として意図されていない。他の目的、態様、及び実施形態は、本明細書を考慮すると当業者には思い浮かぶであろうし、特許請求の範囲によって定義される本発明の趣旨の範囲内に含まれる。本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、本明細書に開示された発明に対して様々な置換及び修正を行うことができることは、当業者には容易に明らかであろう。本明細書に例示的に記載された本発明は、任意の1つ若しくは複数の要素、又は1つ若しくは複数の限定が存在しない状態で適切に実施することができ、それは必須であるとして本明細書に具体的に開示されていない。したがって、例えば、本明細書の各例では、本特許請求の範囲に記載の発明の非限定的な実施形態又は例において、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」、「提供する(providing)」などの用語は、広範に、限定することなく読まれるべきである。
【0168】
本明細書に例示的に記載された方法及びプロセスは、異なる順序の工程で適切に実施することができ、それらは、本明細書又は特許請求の範囲に示された工程の順序に必ずしも限定されない。