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特許7430293印刷装置および印刷装置における単位消費量算出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-01
(45)【発行日】2024-02-09
(54)【発明の名称】印刷装置および印刷装置における単位消費量算出方法
(51)【国際特許分類】
   B41F 15/40 20060101AFI20240202BHJP
   B41F 15/00 20060101ALI20240202BHJP
   B41F 15/08 20060101ALI20240202BHJP
   H05K 3/34 20060101ALI20240202BHJP
【FI】
B41F15/40 B
B41F15/00 B
B41F15/08 303E
H05K3/34 505D
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023516943
(86)(22)【出願日】2021-04-28
(86)【国際出願番号】 JP2021016951
(87)【国際公開番号】W WO2022230099
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2023-06-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105935
【弁理士】
【氏名又は名称】振角 正一
(74)【代理人】
【識別番号】100136836
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 一正
(72)【発明者】
【氏名】玉木 英一
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開平9-138156(JP,A)
【文献】特開平11-179879(JP,A)
【文献】特開2011-189673(JP,A)
【文献】特開2020-116824(JP,A)
【文献】国際公開第2014/091546(WO,A1)
【文献】米国特許第5649479(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 15/40
B41F 15/00
B41F 15/08
H05K 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクに対してスキージを摺動させて前記マスクに設けられた開口部を介して前記マスク上の塗布材を基板に印刷する印刷装置であって、
前記マスクに対し、前記マスク上からの塗布材の掬い上げと掬い上げた前記塗布材の前記マスク上への戻しとを実行する塗布材移載部と、
前記塗布材移載部に接続されて重量を計測する第1重量計測部と、
前記マスク上の前記塗布材をm枚(mは、1以上の自然数)の前記基板に印刷する第1印刷を実行する前に、前記マスク上から前記塗布材を掬い上げた前記塗布材移載部を前記第1重量計測部で計測して得られる印刷前計測値に基づいて前記第1印刷前における前記塗布材の重量を示す印刷前情報を取得する印刷前情報取得部と、
前記第1印刷を実行した後に、前記マスク上から前記塗布材を掬い上げた前記塗布材移載部を前記第1重量計測部で計測して得られる印刷後計測値に基づいて前記第1印刷後における前記塗布材の重量を示す印刷後情報を取得する印刷後情報取得部と、
前記印刷前情報と前記印刷後情報とに基づいて前記第1印刷前後における前記塗布材の減少量を、前記第1印刷における前記基板の印刷枚数mで割ることで、前記基板1枚当たりに消費される前記塗布材の単位消費量を算出する単位消費量算出部と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記印刷前情報取得部は、前記印刷前計測値を前記印刷前情報とし、
前記印刷後情報取得部は、前記印刷後計測値を前記印刷前情報とし、
前記単位消費量算出部は、前記印刷前計測値と前記印刷後計測値との差分を前記減少量とする、
印刷装置。
【請求項3】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記印刷前情報取得部は、前記塗布材移載部の重量を前記印刷前計測値から差し引くことで、前記印刷前情報として前記塗布材の印刷前重量を求め、
前記印刷後情報取得部は、前記塗布材移載部の重量を前記印刷後計測値から差し引くことで、前記印刷後情報として前記塗布材の印刷後重量を求め、
前記単位消費量算出部は、前記印刷前重量と前記印刷後重量との差分を前記減少量とする、
印刷装置。
【請求項4】
請求項1に記載の印刷装置であって、
前記印刷前情報取得部は、前記第1印刷前で、かつ前記塗布材移載部が前記マスク上から前記塗布材を掬い上げる前に、前記塗布材移載部に付着する塗布材の印刷前付着重量と前記マスク上の塗布材の重量との印刷前合計値を前記印刷前情報として取得し、
前記印刷後情報取得部は、前記第1印刷後で、かつ前記塗布材移載部が前記マスク上から前記塗布材を掬い上げる前に、前記塗布材移載部に付着する塗布材の印刷後付着重量と前記マスク上の塗布材の重量との印刷後合計値を前記印刷前情報として取得する、
印刷装置。
【請求項5】
請求項4に記載の印刷装置であって、
前記印刷前情報取得部は、前記塗布材移載部の重量を前記印刷前計測値から差し引くことで、前記印刷前合計値を求め、
前記印刷後情報取得部は、前記塗布材移載部の重量を前記印刷後計測値から差し引くことで、前記印刷後合計値を求め、
前記単位消費量算出部は、前記印刷前合計値と前記印刷後合計値との差分を前記減少量とする、
印刷装置。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載の印刷装置であって、
前記スキージに接続されて重量を計測する第2重量計測部をさらに備え、
前記印刷前情報取得部は、前記第1印刷を実行する前に、前記マスクから離間した前記スキージを前記第2重量計測部で計測して得られるスキージ印刷前情報を前記印刷前情報に加えて前記印刷前情報を補正し、
前記印刷後情報取得部は、前記第1印刷を実行した後に、前記マスクから離間した前記スキージを前記第2重量計測部で計測して得られるスキージ印刷後情報を前記印刷後情報に加えて前記印刷後情報を補正し、
前記単位消費量算出部は、補正された前記印刷前情報と補正された前記印刷後情報とに基づいて前記塗布材の単位消費量を算出する、
印刷装置。
【請求項7】
請求項1ないし4および6のいずれか一項に記載の印刷装置であって、
前記マスクおよび前記マスクに付着する前記塗布材の重量の合計値を計測する第3重量計測部をさらに備え、
前記印刷前情報取得部は、前記第1印刷を実行する前、かつ前記塗布材移載部により前記マスク上から前記塗布材を掬い上げた後で、前記第3重量計測部で計測されるマスク印刷前情報を前記印刷前情報に加えて前記印刷前情報を補正し、
前記印刷後情報取得部は、前記第1印刷を実行した後、かつ前記塗布材移載部により前記マスク上から前記塗布材を掬い上げた後で、前記第3重量計測部で計測されるマスク印刷後情報を前記印刷後情報に加えて前記印刷後情報を補正し、
前記単位消費量算出部は、補正された前記印刷前情報と補正された前記印刷後情報とに基づいて前記塗布材の単位消費量を算出する、
印刷装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか一項に記載の印刷装置であって、
前記塗布材の消費総量の閾値を記憶する記憶部と、
前記単位消費量と前記基板の印刷枚数とに基づき前記塗布材の消費総量を算出する消費総量算出部と、
前記消費総量算出部により算出された前記消費総量が前記閾値を超えるとき、前記塗布材の補給を要求する補給要求部と、を備える、
印刷装置。
【請求項9】
請求項8に記載の印刷装置であって、
前記補給要求部は、前記第1印刷後の第2印刷において、前記マスク上の前記塗布材を前記基板に印刷する毎に、前記消費総量と前記閾値を比較するとともに前記消費総量が前記閾値を超えるときのみ前記補給を要求する、
印刷装置。
【請求項10】
請求項9に記載の印刷装置であって、
前記補給要求部は、前記消費総量が前記閾値を超えると判定したとき、前記単位消費量算出部により算出された前記単位消費量に、前記第1印刷および前記第2印刷において印刷された前記基板の総数を掛け合わせた量の前記塗布材の補給を要求する、
印刷装置。
【請求項11】
マスクに対してスキージを摺動させて前記マスクに設けられた開口部を介して前記マスク上の塗布材を基板に印刷する印刷装置において、前記基板1枚当たりに消費される前記塗布材の単位消費量を算出する単位消費量算出方法であって、
前記マスク上の前記塗布材をm枚(mは、1以上の自然数)の前記基板に印刷する第1印刷を実行する工程と、
前記第1印刷の前に、前記マスク上から前記塗布材を塗布材移載部で掬い上げた後で前記塗布材移載部を第1重量計測部で計測して得られる印刷前計測値に基づいて前記第1印刷前における前記塗布材の重量を示す印刷前情報を取得する工程と、
前記第1印刷の後に、前記マスク上から前記塗布材を塗布材移載部で掬い上げた後で前記塗布材移載部を前記第1重量計測部で計測して得られる印刷後計測値に基づいて前記第1印刷後における前記塗布材の重量を示す印刷後情報を取得する工程と、
前記印刷前情報と前記印刷後情報とに基づいて前記第1印刷前後における前記塗布材の減少量を、前記第1印刷における前記基板の印刷枚数mで割ることで、前記単位消費量を算出する工程と、
を備えることを特徴とする、印刷装置における単位消費量算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マスクに対してスキージを摺動させてマスクに設けられた開口部を介してマスク上の塗布材を基板に印刷する印刷技術、特に基板1枚当たりに消費される塗布材の消費量を算出する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
クリーム半田などの塗布材が供給されたマスクの下面に基板をセットした状態でスキージをマスク上で摺動させることで、マスクに設けられた開口部に対応するパターンで基板に塗布材を印刷する印刷装置が知られている。この印刷装置では、印刷の繰り返しに伴ってマスク上の塗布材は徐々に消費されていく。したがって、マスク上の塗布材の量をコントロールするためには、基板1枚当たりに消費される塗布材を正確に把握し、適切なタイミングで、適量の塗布材を補給することが望まれる。
【0003】
そこで、例えば特許文献1に記載の印刷システムでは、基板の印刷枚数が設定枚数に達すると、光電スイッチによってマスク上に存在している半田ロールの幅が検出される。このロール幅の検出結果に基づいて、半田の消費量を推定し、これに基づいて半田の補給タイミングを制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-74054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の印刷システムでは、マスク上の半田ロールの形状が円柱であり、その形状が維持されるという前提で半田の体積を計算している。しかしながら、半田ロールは幅広方向に変形しやすいという特性を有しており、光電スイッチによるロール幅の検出時に半田ロールが想定以上に幅広方向に変形していることがある。その結果、半田の消費量の測定誤差が大きくなり、基板1枚当たりに消費される半田の消費量(本発明の「単位消費量」に相当)を正確に算出することが困難であった。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、マスクに対してスキージを摺動させてマスクに設けられた開口部を介してマスク上の塗布材を基板に印刷する印刷装置において、単位消費量を正確に算出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の第1態様は、マスクに対してスキージを摺動させてマスクに設けられた開口部を介してマスク上の塗布材を基板に印刷する印刷装置であって、マスクに対し、マスク上からの塗布材の掬い上げと掬い上げた塗布材のマスク上への戻しとを実行する塗布材移載部と、塗布材移載部に接続されて重量を計測する第1重量計測部と、マスク上の塗布材をm枚(mは、1以上の自然数)の基板に印刷する第1印刷を実行する前に、マスク上から塗布材を掬い上げた塗布材移載部を第1重量計測部で計測して得られる印刷前計測値に基づいて第1印刷前における塗布材の重量を示す印刷前情報を取得する印刷前情報取得部と、第1印刷を実行した後に、マスク上から塗布材を掬い上げた塗布材移載部を第1重量計測部で計測して得られる印刷後計測値に基づいて第1印刷後における塗布材の重量を示す印刷後情報を取得する印刷後情報取得部と、印刷前情報と印刷後情報とに基づいて第1印刷前後における塗布材の減少量を、第1印刷における基板の印刷枚数mで割ることで、基板1枚当たりに消費される塗布材の単位消費量を算出する単位消費量算出部と、を備えることを特徴としている。
【0008】
また、この発明の第2態様は、マスクに対してスキージを摺動させてマスクに設けられた開口部を介してマスク上の塗布材を基板に印刷する印刷装置において、基板1枚当たりに消費される塗布材の単位消費量を算出する塗布材の単位消費量算出方法であって、マスク上の塗布材をm枚(mは、1以上の自然数)の基板に印刷する第1印刷を実行する工程と、第1印刷の前に、マスク上から塗布材を塗布材移載部で掬い上げた後で塗布材移載部を第1重量計測部で計測して得られる印刷前計測値に基づいて第1印刷前における塗布材の重量を示す印刷前情報を取得する工程と、第1印刷の後に、マスク上から塗布材を塗布材移載部で掬い上げた後で塗布材移載部を第1重量計測部で計測して得られる印刷後計測値に基づいて第1印刷後における塗布材の重量を示す印刷後情報を取得する工程と、印刷前情報と印刷後情報とに基づいて第1印刷前後における塗布材の減少量を、第1印刷における基板の印刷枚数mで割ることで、単位消費量を算出する工程と、を備えることを特徴としている。
【0009】
このように構成された発明では、マスク上の塗布材を用いてm枚(mは、1以上の自然数)の基板に対して塗布材の印刷を実行する第1印刷の前に、マスク上から塗布材を掬い上げた塗布材移載部が第1重量計測部で計測される。その印刷前計測値に基づいて第1印刷前における塗布材の重量を示す印刷前情報が取得される。第1印刷の後においても同様にして、第1印刷後における塗布材の重量を示す印刷後情報が取得される。これら印刷前情報および印刷後情報の差分が第1印刷による塗布材の減少量、つまり消費量に相当し、当該消費量を第1印刷における基板の印刷枚数mで割ることによって、塗布材の単位消費量が正確に算出される。
【0010】
ここで、塗布材を掬い上げた塗布材移載部を第1重量計測部で計測すると、その計測値には掬い上げられた塗布材の重量と塗布材移載部の重量とが含まれる。したがって、第1印刷での塗布材の減少量を求めるにあたっては、印刷前計測値および印刷後計測値をそれぞれ印刷前情報および印刷後情報とし、両者の差分から求めてもよい。また、第1重量計測部は、塗布材移載部と接続されていることから、塗布材移載部の重量を予め差し引いておく、いわゆるゼロ点調整を行った上で、塗布材を掬い上げた塗布材移載部を計測してもよい。この場合、第1重量計測部による計測値が掬い上げられた塗布材の重量そのものであり、上記と同様に、印刷前計測値および印刷後計測値をそれぞれ印刷前情報および印刷後情報とすることができる。
【0011】
また、上記ゼロ点調整を行わない場合、第1重量計測部による計測値に塗布材移載部の重量が含まれることを考慮してもよい。つまり、塗布材移載部の重量を印刷前計測値から差し引くことで印刷前情報として塗布材の印刷前重量を求めるとともに、塗布材移載部の重量を印刷後計測値から差し引くことで印刷後情報として塗布材の印刷後重量を求めてもよい。これにより、第1印刷前後の塗布材の重量を正確に取得することができ、塗布材の単位消費量を正確に算出することができる。
【0012】
また、塗布材の掬い上げとマスク上への戻しとを繰り返して行う間に、塗布材移載部に塗布材が残留付着し、しかも残留付着する塗布材の量が変動することがある。この場合、残留付着している塗布材の重量を考慮するのが好適である。より具体的には、印刷前情報取得部について、第1印刷前で、かつ塗布材移載部がマスク上から塗布材を掬い上げる前に、塗布材移載部に付着する塗布材の印刷前付着重量と、マスク上の塗布材の重量との印刷前合計値を印刷前情報として取得するように構成してもよい。また、印刷後情報取得部については、第1印刷後で、かつ塗布材移載部がマスク上から塗布材を掬い上げる前に、塗布材移載部に付着する塗布材の印刷後付着重量と、マスク上の塗布材の重量との印刷後合計値を印刷前情報として取得するように構成してもよい。こうすることで、残留付着している塗布材の影響を受けることなく、第1印刷前後の塗布材の重量を高精度に取得することができ、塗布材の単位消費量をさらに正確に算出することができる。
【0013】
このように印刷前合計値を求めるために、塗布材移載部の重量を印刷前計測値から差し引いてもよい。また、印刷後合計値を求めるために、塗布材移載部の重量を印刷後計測値から差し引いてもよい。こうして得られた印刷前合計値と印刷後合計値との差分が減少量となり、上記差分を印刷枚数mで割ることで、塗布材移載部への塗布材の付着分を含めて塗布材の単位消費量を正確に求めることができる。
【0014】
また、半田の付着先には、スキージが含まれることがある。そして、スキージに付着する半田の重量が第1印刷前後で変動すると、その変動量が単位消費量の算出に影響を及ぼす可能性がある。この点を考慮すると、スキージに接続されて重量を計測する第2重量計測部をさらに設け、印刷前情報取得部が、第1印刷を実行する前に、マスクから離間したスキージを第2重量計測部で計測して得られるスキージ印刷前情報を印刷前情報に加えて印刷前情報を補正し、印刷後情報取得部が、第1印刷を実行した後に、マスクから離間したスキージを第2重量計測部で計測して得られるスキージ印刷後情報を印刷後情報に加えて印刷後情報を補正し、単位消費量算出部が、補正された印刷前情報と補正された印刷後情報とに基づいて塗布材の単位消費量を算出するように構成するのが望ましい。これによって、スキージに付着する半田の重量が加味され、その結果、単位消費量をより高精度に算出することが可能となる。
【0015】
また、マスクから半田を掬い上げた際に、マスクに半田が残留し、しかも当該残留量が変動することがある。この点を考慮すると、マスクおよびマスクに付着する塗布材の重量の合計値を計測する第3重量計測部をさらに設け、印刷前情報取得部が、第1印刷を実行する前、かつ塗布材移載部によりマスク上から塗布材を掬い上げた後で、第3重量計測部で計測されるマスク印刷前情報を印刷前情報に加えて印刷前情報を補正し、印刷後情報取得部が、第1印刷を実行した後、かつ塗布材移載部によりマスク上から塗布材を掬い上げた後で、第3重量計測部で計測されるマスク印刷後情報を印刷後情報に加えて印刷後情報を補正し、単位消費量算出部が、補正された印刷前情報と補正された印刷後情報とに基づいて塗布材の単位消費量を算出するように構成するのが望ましい。これによって、マスクから半田を掬い上げた際にマスク上に残留付着する半田の重量が加味され、その結果、単位消費量をより高精度に算出することが可能となる。
【0016】
また、塗布材の消費総量の閾値を記憶する記憶部と、単位消費量と基板の印刷枚数とに基づき塗布材の消費総量を算出する消費総量算出部と、消費総量算出部により算出された消費総量が閾値を超えるとき、塗布材の補給を要求する補給要求部と、が設けられてもよい。これにより、適切なタイミングで塗布材の補給が実行され、基板への塗布材の印刷を円滑に行うことができ、印刷装置の稼働率を高めることができる。
【0017】
また、第1印刷後の第2印刷において、塗布材の重量を直接計測するタイミングが存在しないため、マスク上の塗布材を基板に印刷する毎に、消費総量と閾値を比較するとともに消費総量が閾値を超えるときのみ補給を要求するのが望ましい。これによって、第2印刷において、適切なタイミングで塗布材の補給が実行され、基板への塗布材の印刷を円滑に行うことができ、印刷装置の稼働率を高めることができる。
【0018】
さらに、塗布材の補給を要求する際には、単位消費量算出部により算出された単位消費量に、第1印刷および第2印刷において印刷された基板の総数を掛け合わせた量を補給情報として加えるのが望ましい。このような補給要求により、補給後におけるマスク上の塗布材の量が適正化され、高い印刷品質が得られる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、マスクに対してスキージを摺動させてマスクに設けられた開口部を介してマスク上の塗布材を基板に印刷する印刷装置において、塗布材の単位消費量を正確に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に係る印刷装置の第1実施形態の全体構成を示す模式的な平面図である。
図2図1のII-II線に沿った模式的な断面図である。
図3図1および図2に示す印刷装置の電気的な構成を示すブロック図である。
図4図1に示す印刷装置において実行される印刷処理を示すフローチャートである。
図5図4の印刷処理において実行される単位消費量の取得処理を示すフローチャートである。
図6】生産用マスクのマスク品種と1枚当たりの半田消費量とを関連付けた単位消費量テーブルを示す図である。
図7】第1実施形態における印刷枚数と半田の消費総量との関係を示す図である。
図8】本発明に係る印刷装置の第4実施形態における半田の掬い上げ動作を示す模式図である。
図9】本発明に係る印刷装置の第4実施形態における単位消費量の取得処理を示すフローチャートである。
図10】本発明に係る印刷装置の第5実施形態における印刷枚数と半田の消費総量との関係を示す図である。
図11】本発明に係る印刷装置の第6実施形態における情報取得動作を示す模式図である。
図12】本発明に係る印刷装置の第8実施形態における情報取得動作を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明に係る印刷装置の第1実施形態の全体構成を示す模式的な平面図である。図2図1のII-II線に沿った模式的な断面図である。図3図1および図2に示す印刷装置の電気的な構成を示すブロック図である。図1に示すように、印刷装置1は、一対のコンベア12により基板B(図2参照)をX1方向に搬送し、印刷位置において基板Bに半田(図8中の符号S1、S2)を印刷する装置である。基板Bは、部品(電子部品)が実装されるプリント基板である。また、半田は基板B上に部品を接合するための接合材である。また、以下の説明では、一対のコンベア12(ベルトコンベア)による基板Bの搬送方向(X1方向)およびその逆方向(X2方向)をX方向とし、水平面内においてX方向に略直交する方向をY方向とする。また、X方向およびY方向に略直交する方向をZ方向(上下方向)とする。
【0022】
印刷装置1は、搬入コンベア1aにより基板Bを搬入し、搬入した基板Bの表面に対してマスクMに形成された印刷パターンPaにより印刷処理を行った後、印刷処理が行われた基板Bを搬出コンベア1bにより搬出するように構成されている。なお、第1実施形態では、後で詳述するように、上記のように印刷に使用して基板Bを生産するマスクM以外に半田のローリングに使用する専用のマスクが存在している。そこで、両者を区別して説明する際には、基板Bの生産に直接的に使用するマスクを「生産用マスクMp」と称し、半田のローリングに使用する専用のマスクを「ローリング用マスクMr」と称する。一方、両者を区別することなく説明する際には、単に「マスクM」と称する。
【0023】
これら2種類のマスク種のうち生産用マスクMpは、図1に示すように、平面視において(Z1方向側から見て)矩形形状の平板形状を有する。生産用マスクMpは、印刷パターンPaを形成する複数の開口部P1と、複数の開口部P1以外の領域である非開口部P2とを有する。また、生産用マスクMpには、外周部にフレームFが取り付けられている。なお、図1図3では、生産用マスクMpによる印刷処理を行うための作業位置Wから後述するマスク交換ユニット7に生産用マスクMpを移動させた状態を図示している。一方、ローリング用マスクMrは生産用マスクMpと同一の平面サイズを有する平板形状を有している。ただし、ローリング用マスクMrは開口部を有さず、しかも生産用マスクMpよりも厚肉であり、その結果、比較的高い剛性を有している。
【0024】
印刷装置1は、図2に示すように、基台2と、印刷テーブルユニット3と、カメラユニット4と、マスククランプ部材5と、スキージユニット6と、マスク交換ユニット7と、検知センサ81,82と、制御ユニット9(図3参照)と、を備える。
【0025】
印刷テーブルユニット3は、基台2上に設けられ、基板Bを保持するとともに、生産用マスクMpに対して位置合わせするように構成されている。具体的には、印刷テーブルユニット3は、X軸移動機構(図示せず)と、Y軸移動機構(図示せず)と、R軸移動機構(図示せず)と、Z軸移動機構(図示せず)と、印刷テーブル11と、一対のコンベア12(図1参照)と、を含む。
【0026】
X軸移動機構は、駆動源としてX軸駆動部13(図3参照)を有し、印刷テーブル11をX方向に移動させる。Y軸移動機構は、駆動源としてY軸駆動部14(図3参照)を有し、印刷テーブル11をY方向に移動させる。R軸移動機構は、駆動源としてR軸駆動部15(図3参照)を有し、印刷テーブル11をZ方向に延びる回転軸線周りに回転移動させる。Z軸移動機構は、駆動源としてZ軸駆動部16(図3参照)を有し、印刷テーブル11をZ方向に移動させる。
【0027】
印刷テーブル11は、テーブル本体21と、テーブル本体21上に設けられる一対のブラケット部材22と、複数のバックアップピン23aが配置された支持板23と、支持板23をZ方向に移動させる支持板駆動部24とを有する。一対のブラケット部材22の各上部には、コンベア12(図1参照)が設けられている。バックアップピン23aは、支持板駆動部24により支持板23がZ1方向(上方向)に移動されることによって、基板Bを下方から支持するように構成されている。
【0028】
図1に示すように、一対のコンベア12は、X方向に沿って延びるように設けられている。また、一対のコンベア12は、Y方向に所定距離を隔てて互いに平行に配置されている。また、一対のコンベア12は、搬送する基板Bの幅に対応させてY方向の間隔を調整可能に構成されている。具体的には、一対のコンベア12は、基板幅軸駆動部12a(図3参照)により、Y方向の間隔(幅)が調整されるように構成されている。
【0029】
カメラユニット4は、図2および図3に示すように、生産用マスクMpおよび基板Bを撮像するように構成されている。具体的には、カメラユニット4は、カメラX軸移動機構31と、カメラY軸移動機構32と、基板カメラ33aおよびマスクカメラ33bを有する撮像部33とを有する。カメラX軸移動機構31は、X軸モータ31aと、X方向に延びるボールねじ31bとを有する。カメラY軸移動機構32は、Y軸モータ32aと、Y方向に延びるボールねじ32bとを有する。基板カメラ33aは、基板Bを撮像して、基板Bの印刷テーブル11に対する相対位置を認識するように構成されている。マスクカメラ33bは、マスクMを撮像して、マスクMの位置を認識するように構成されている。
【0030】
このように、印刷装置1では、基板カメラ33aおよびマスクカメラ33bを用いて生産用マスクMpに対する基板Bの相対位置を認識させた後、印刷テーブルユニット3のX軸移動機構、Y軸移動機構およびR軸移動機構によって生産用マスクMpに対する基板Bの相対位置(水平面内の位置および傾き)が正確に位置決めされる。そして、印刷装置1では、生産用マスクMpに対する基板Bの相対位置を正確に位置決めした状態で、印刷テーブルユニット3のZ軸移動機構によって基板Bが上昇されて生産用マスクMpの下面に当接される。また、マスクカメラ33bを用いてローリング用マスクMrが作業位置Wに位置したことを確認した後で、ローリング処理が実行される。
【0031】
マスククランプ部材5は、図3に示すように、生産用マスクMpを用いて基板Bに印刷パターンPaにより半田を印刷する際やローリング用マスクMrを用いてローリング処理を実行する際、マスクMを作業位置Wに保持するように構成されている。具体的には、マスククランプ部材5は、マスクMのX1方向側の端部を保持する第1マスク保持部41と、マスクMのX2方向側の端部を保持する第2マスク保持部42と、第1マスク保持部41に設けられ、マスクMをX2方向側に押圧する押圧部(図示せず)とを有する。
【0032】
スキージユニット6は、図2に示すように、Y方向に往復移動することにより、マスクMの上面上に供給された半田をマスクMの上面に沿って掻きながら移動させるように構成されている。具体的には、スキージユニット6は、スキージ51と、スキージ51を印刷方向(Y方向)に移動させるスキージY軸駆動部52と、スキージ51を上下方向(Z方向)に移動させるスキージZ軸駆動部53(図3参照)と、スキージ51をX方向に延びる回転軸線周りに回転させるスキージR軸駆動部54(図3参照)とを含む。
【0033】
スキージ51は、X方向に延びるように形成されている。スキージ51は、マスクMに対して所定の印圧(荷重)をかけながら生産用マスクMpに供給された半田を印刷し、ローリング用マスクMrに供給された半田を練り合わせるように構成されている。スキージY軸駆動部52は、Y軸モータ52aと、Y方向に延びるボールねじ52bとを有する。スキージZ軸駆動部53は、図面への図示を省略しているが、Z軸モータと、ベルトと、Z方向に延びるボールねじとを有する。
【0034】
スキージユニット6は、図2に示すように、マスクMをY方向にスライド移動させて、マスクMを交換する交換動作を行うマスクスライダ55を含む。ここで、スキージユニット6には、単一のマスクスライダ55が配置されている。マスクスライダ55は、Z方向(上下方向)に移動可能なスライド部55aと、スライド部55aを収容する収容部55bとを有する。マスクスライダ55は、たとえばエアシリンダにより構成されており、スライド部55aはエアシリンダのロッドにより構成され、収容部55bはエアシリンダのシリンダにより構成されている。
【0035】
マスクスライダ55は、スキージY軸駆動部52によりスキージ51をY方向に移動させることによって、一体的にY方向に移動するように構成されている。また、マスクスライダ55では、作業位置WのマスクMのフレームFに水平方向(Y方向)にスライド部55aが当接可能な位置まで、スライド部55aが収容部55bから突出するようにZ2方向(下方向)に移動する。マスクスライダ55では、作業位置WのマスクMのフレームFに水平方向(Y方向)にスライド部55aが当接しない位置まで、スライド部55aが収容部55b内に収容されるようにZ1方向(上方向)に移動する。
【0036】
このように、スキージ51とマスクスライダ55とは、スキージユニット6に一体的に設けられている。また、スキージユニット6の移動により、スキージ51およびマスクスライダ55は一体的にY方向に移動するように構成されている。そして、マスクスライダ55のスライド部55aは、マスクMのフレームFにY1方向またはY2方向から当接してマスクMをY1方向またはY2方向に移動させる。
【0037】
スキージユニット6は、マスクM上の半田を掬い上げる半田掬い上げユニット56を含む。半田掬い上げユニット56は、マスクM上の半田を掬い上げて保持する掬い上げ部56aを有する。掬い上げ部56aは、マスクM上の半田を掬い上げるかまたは掬い上げた半田をマスクM上に降ろすための下降位置と、マスクM上の半田を掬い上げない上昇位置との間で、Z方向(上下方向)に移動可能に構成されている。半田掬い上げユニット56は、スキージY軸駆動部52によりスキージ51をY方向に移動させることによって、一体的にY方向に移動するように構成されている。半田掬い上げユニット56は、掬い上げ部56aが下降位置に配置された状態で、Y2方向に移動されることにより、掬い上げ部56aにマスクM上の半田を掬い上げて保持する。また、半田掬い上げユニット56は、掬い上げ部56aが下降位置に配置された状態で、Y1方向に移動されることにより、掬い上げた半田を掬い上げ部56aからマスクM上に降ろす。このように、本実施形態では、掬い上げ部56aが本発明の「塗布材移載部」の一例に相当している。
【0038】
また、掬い上げ部56aには、ロードセルなどにより構成される第1重量計測部56b(図3)が接続される。この第1重量計測部56bは、掬い上げ部56aがマスクM上の半田を掬い上げているときには、掬い上げ部56a単体の重量Ws0と半田の重量との合計重量を計測する。一方、掬い上げた半田をマスクM上に降ろした状態およびマスクM上の半田を掬い上げないときには、第1重量計測部56bは、掬い上げ部56aの重量Ws0のみを計測する。なお、本実施形態では、掬い上げ部56aの重量Ws0については、新品の取付直後や交換修理直後などにおいて第1重量計測部56bにより計測され、制御ユニット9の記憶部92に記憶される。
【0039】
マスク交換ユニット7は、複数(2つ)のマスクMを収納可能に構成されている。具体的には、マスク交換ユニット7は、第1収納部61と、第2収納部62と、昇降部63(図3)とを含む。第1収納部61および第2収納部62は、それぞれ、1枚のマスクMを収納可能に構成されている。第1収納部61および第2収納部62は、上下方向に並んで配置されている。第1収納部61は、第2収納部62に対して上方に配置された上段の収納部である。第2収納部62は、第1収納部61に対して下方に配置された下段の収納部である。昇降部63は、第1収納部61および第2収納部62を上下方向に移動させるように構成されている。マスク交換ユニット7では、昇降部63が基台2に取り付けられている。マスク交換ユニット7では、第2収納部62が昇降部63に取り付けられている。マスク交換ユニット7では、第1収納部61が第2収納部62に取り付けられている。これにより、第1収納部61および第2収納部62は、昇降部63による昇降に伴い一体的に昇降する。
【0040】
第1収納部61および第2収納部62は、第1収納部61に生産用マスクMpを出し入れするための下降位置と、第2収納部62にローリング用マスクMrを出し入れするための上昇位置との間で、Z方向(上下方向)に移動可能に構成されている。
【0041】
検知センサ81は、図2に示すように、マスククランプ部材5とマスク交換ユニット7とに跨った状態の生産用マスクMpを検知するように構成されている。また、検知センサ82は、図2に示すように、マスククランプ部材5とマスク交換ユニット7とに跨った状態のローリング用マスクMrを検知するように構成されている。具体的には、第1収納部61に設けられた検知センサ81は、作業位置Wと第1収納部61との間で生産用マスクMpを移動させる際、マスククランプ部材5と第1収納部61とに跨った状態で停止した生産用マスクMpを検知するように構成されている。第2収納部62に設けられた検知センサ82は、作業位置Wと第2収納部62との間でローリング用マスクMrを移動させる際、マスククランプ部材5と第2収納部62とに跨った状態で停止したローリング用マスクMrを検知するように構成されている。検知センサ81、82は、たとえば、透過型のセンサであり、光を照射する投光部(図示せず)と、投光部から照射された光を受光する受光部(図示せず)とを有する。
【0042】
また、図1図3への図示を省略しているが、マスククランプ部材5により作業位置Wに固定された生産用マスクMpの下面をクリーニングするためのクリーニングユニット10(図3)を有している。このクリーニングユニット10は、クリーナー(図示省略)と、クリーナーY軸移動機構102(図3)と、を含む。クリーナーは、生産用マスクMpの下面と当接可能な高さに配置されており、作業位置Wに固定された生産用マスクMpからY2方向に離れたクリーニング待機位置と生産用マスクMpの直下位置との間を往復移動自在に設けられている。このクリーナーにクリーナーY軸移動機構102が接続されており、制御ユニット9の駆動制御部93からの指令に応じてクリーナーY軸移動機構102のクリーナーY軸移動部(図示せず)が作動することでクリーナーをY方向に移動させる。クリーナーが作業位置Wに固定された生産用マスクMpの下面と接触しながらクリーナーY軸移動機構102により移動されることで生産用マスクMpの下面を清掃する。
【0043】
制御ユニット9は、図3に示すように、主制御部91と、記憶部92と、駆動制御部93と、IO制御部94と、カメラ制御部95とを有する。主制御部91は、CPU(Central Processing Unit)を含むコンピュータにより構成されている。記憶部92は、ハードディスク装置などを含み、上記した掬い上げ部56aの重量Ws0、単位消費量テーブルを含む各種データテーブル、オペレータにより設定される各種データ、基板データ、マシンデータおよび印刷プログラムなどを記憶している。主制御部91は、記憶部92に記憶された印刷プログラムに基づいて印刷装置1の各部を制御する機能を有する。ここで、基板データは、基板Bの種類の情報、基板Bのサイズの情報、基板Bの種類に対応する情報、半田のローリングに用いられるローリング用マスクMrの情報および基板Bの種類毎の印刷枚数の情報などを含む。マシンデータは、スキージユニット6のY方向の移動限界位置の情報、カメラユニット4のX方向およびY方向それぞれの移動限界位置の情報、ならびにクリーナーのY方向の移動限界位置の情報などを含む。
【0044】
主制御部91は、駆動制御部93により、スキージユニット6を制御するように構成されている。具体的には、駆動制御部93により、スキージY軸駆動部52、スキージZ軸駆動部53およびスキージR軸駆動部54の駆動が制御されて、スキージ51がY方向およびZ方向に移動されるとともに、スキージ51がX方向に延びる回転軸線回りに回転される。
【0045】
主制御部91は、駆動制御部93により、印刷テーブルユニット3を制御するように構成されている。具体的には、主制御部91は、駆動制御部93により、X軸駆動部13、Y軸駆動部14、R軸駆動部15およびZ軸駆動部16を駆動させて、X方向、Y方向およびZ方向に基板Bを移動させるとともに、Z方向に延びる回転軸線周りに基板Bを回転させる。また、主制御部91は、駆動制御部93により、支持板駆動部24を駆動させて、支持板23を移動させることにより、バックアップピン23aをZ方向(上下方向)に移動させる。また、主制御部91は、駆動制御部93により、基板幅軸駆動部12aを駆動させて、一対のコンベア12のY方向の間隔(幅)を調整させる。また、主制御部91は、駆動制御部93により、基板搬送軸駆動部17を駆動させて、基板BをX方向に搬送させる。
【0046】
主制御部91は、駆動制御部93により、カメラユニット4を制御するように構成されている。具体的には、主制御部91は、駆動制御部93により、カメラX軸移動機構31およびカメラY軸移動機構32を駆動させて、X方向およびY方向に撮像部33(基板カメラ33aおよびマスクカメラ33b)を移動させる。
【0047】
主制御部91は、駆動制御部93により、クリーニングユニット10を制御するように構成されている。具体的には、主制御部91は、駆動制御部93により、クリーナーY軸移動機構102のクリーナーY軸駆動部(図示せず)を駆動させて、Y方向にクリーナーを往復移動させる。
【0048】
主制御部91は、カメラ制御部95により、カメラユニット4を制御するように構成されている。具体的には、主制御部91は、カメラ制御部95により、基板カメラ33aによる基板Bの撮像動作を制御する。主制御部91は、カメラ制御部95により、マスクカメラ33bによるマスクMの撮像動作を制御する。
【0049】
また、主制御部91は、IO制御部94により、スキージユニット6を制御するように構成されている。具体的には、主制御部91は、IO制御部94により、マスクスライダ55のスライド部55aの昇降動作を制御する。また、主制御部91は、IO制御部94を介して第1重量計測部56bにより計測される掬い上げ部56aや掬い上げ部56aにより掬い上げられた半田の重量に関する情報を取得する。
【0050】
また、主制御部91は、IO制御部94により、マスク交換ユニット7を制御するように構成されている。具体的には、主制御部91は、IO制御部94により、昇降部63によるマスク交換ユニット7の第1収納部61および第2収納部62の昇降動作を制御する。また、主制御部91は、IO制御部94により、マスククランプ部材5と第1収納部61とに跨った状態で停止した生産用マスクMpを検知した際の検知センサ81の検知信号を受信するように構成されている。主制御部91は、IO制御部94により、マスククランプ部材5と第2収納部62とに跨った状態で停止したローリング用マスクMrを検知した際の検知センサ82の検知信号を受信するように構成されている。
【0051】
このように主制御部91は装置各部を制御するように構成されており、後で図4ないし図7を参照しつつ説明するように、生産用マスクMpを用いた基板Bへの半田印刷をm枚(mは、1以上の自然数であり、オペレータにより指定された値)実行する第1印刷の前後で、印刷前情報および印刷後情報を取得する。印刷前情報は、第1印刷前の生産用マスクMp上の半田の重量W1を示す印刷前情報である。一方、印刷後情報は、第1印刷後の生産用マスクMp上の半田の重量W2を示す印刷前情報である。このように、主制御部91は、本発明の「印刷前情報取得部」および「印刷後情報取得部」として機能する。
【0052】
また、主制御部91は、印刷前情報(半田の重量W1)と印刷後情報(半田の重量W2)とに基づいて第1印刷前後における半田の減少量を、第1印刷における基板Bの印刷枚数mで割る、つまり、
Wu=(W1-W2)/m
により、基板1枚当たりに消費される半田の単位消費量Wuを算出する。このように主制御部91は、本発明の「単位消費量算出部」としても機能する。
【0053】
さらに、主制御部91は、第1印刷および第1印刷に続いて実行される第2印刷における基板Bの印刷総数と、上記単位消費量Wuとに基づいて半田の消費総量を算出するとともに、当該消費総量が予め記憶部92に記憶されている閾値Wth(図7参照)を超えるときには半田の補給を要求する機能を有している。このように主制御部91は、本発明の「消費総量算出部」および「補給要求部」としても機能する。
【0054】
さらに、図3中の符号96、97はそれぞれ入力部および表示部である。入力部96は各種スイッチ、タッチパネル等により構成されており、オペレータにより設定される上記第1印刷の印刷枚数mや閾値Wthなどの各種の入力設定指示を受ける。表示部97は、液晶表示装置、ランプ等により構成されており、主制御部91による制御のもと各種の情報を表示する。
【0055】
図4は、図1に示す印刷装置において実行される印刷処理を示すフローチャートである。図5は、図4の印刷処理において実行される単位消費量の取得処理を示すフローチャートである。図6は、生産用マスクのマスク品種と1枚当たりの半田消費量とを関連付けた単位消費量テーブルの一例を示す図であり、当該単位消費量テーブルは記憶部92に記憶される。さらに、図7は、印刷枚数と半田の消費総量との関係を示す図である。
【0056】
この印刷装置1では、記憶部92に記憶されている印刷プログラムにしたがって主制御部91が装置各部を以下のように制御して基板Bへの半田の印刷を繰り返して行う。主制御部91は、印刷指令を受けると、印刷条件を取得する(ステップS1)。この印刷条件には、基板Bや半田の種類などの他に、使用する生産用マスクMpの品種に関する情報が含まれている。このマスク品種情報に基づいて、主制御部91は、印刷に使用する生産用マスクMpに対応する単位消費量Wuが図6に示す単位消費量テーブルに記録されているか否かを判定する(ステップS2)。
【0057】
ここで、生産用マスクMpに対応する単位消費量Wuが記録されている場合(ステップS2で「YES」)には、単位消費量の取得処理(ステップS3)をスキップしてステップS4に進む。一方、生産用マスクMpに対応する単位消費量Wuが不明である場合(ステップS2で「NO」)には、主制御部91が装置各部を以下のように制御することで、図5に示す手順で第1印刷、第1印刷の前後での半田の重量W1、W2の算出および単位消費量の算出が実行される。
【0058】
単位消費量の取得処理では、掬い上げユニット56により半田の掬い上げが実行される(ステップS31)。より詳しくは、主制御部91は、掬い上げユニット56をY方向に移動させ、作業位置Wに配置された生産用マスクMpのうち半田が位置するエッジ領域の上方に位置させる。そして、主制御部91は、半田掬い上げユニット56の掬い上げ部56aを下降位置に下降させる。さらに、主制御部91は、掬い上げ部56aが下降位置に配置された状態で、半田掬い上げユニット56をY2方向(半田Sを掬う方向)に移動させる。これにより、生産用マスクMp上の半田Sが半田掬い上げユニット56の掬い上げ部56a上に移動して保持される。その後で、主制御部91は、半田Sを保持した半田掬い上げユニット56の掬い上げ部56aを上昇位置に上昇させる。こうして、生産用マスクMp上の半田が全て掬い上げ部56aに移載される。
【0059】
主制御部91は、第1重量計測部56bを構成するロードセルの計測結果を第1印刷前の計測値(以下「印刷前計測値」という)として受け取る。この印刷前計測値は、掬い上げ部56aの重量Ws0と半田の重量W1との合算値である。そこで、主制御部91は、記憶部92から重量Ws0を読み出し、これを印刷前計測値から重量Ws0を差し引くことで半田の重量W1を算出する(ステップS32)。
【0060】
こうして、第1印刷を行う前に生産用マスクMp上に存在しているロール状の半田の重量W1が求まると、掬い上げユニット56により掬い上げた半田の生産用マスクMpへの取り降ろしが実行される(ステップS33)。より詳しくは、主制御部91は、半田掬い上げユニット56の掬い上げ部56aを下降位置に下降させる。また、主制御部91は、掬い上げ部56aが下降位置に配置された状態で、半田掬い上げユニット56をY1方向(半田Sを降ろす方向)に移動させる。これにより、半田掬い上げユニット56の掬い上げ部56a上の半田が生産用マスクMpに取り降ろされる。その後で、主制御部91は、半田を取り降ろした半田掬い上げユニット56の掬い上げ部56aを上昇位置に上昇させる。
【0061】
次のステップS34では、主制御部91は、予めオペレータに入力部96を介して指定された印刷枚数mだけ基板Bの印刷を実行する。つまり、生産用マスクMpを用いた基板Bへの半田印刷を1枚実行する(ステップS34a)毎に、主制御部91は、印刷総数を「1」だけインクリメントした後で、当該印刷総数が指定された印刷枚数mに到達しているか否かを判定する(ステップS34b)。そして、印刷総数が上記印刷枚数mに未達である間、印刷を繰り返して行う。こうして、第1印刷を行っている間、例えば図7に示すように、基板Bを1枚印刷する毎に、単位消費量Wuずつ半田が消費されていく。このため、指定された印刷枚数mだけ印刷が完了した時点で、半田の消費総量Wmは、(Wu×m)となる一方で、生産用マスクMp上の半田の重量W2は印刷前の重量W1よりも減少する。
【0062】
そこで、本実施形態では、主制御部91は、以下のステップS35~S38を実行して単位消費量Wuを算出する。すなわち、印刷総数が指定された印刷枚数mに達すると、ステップS31、S32と同様の工程(ステップS35、S36)を実行し、第1印刷後の半田の重量W2を算出する。すなわち、掬い上げユニット56により半田の掬い上げを実行した(ステップS35)後で、主制御部91は、第1重量計測部56bを構成するロードセルの計測結果を第1印刷後の計測値(以下「印刷後計測値」という)として受け取る。この印刷後計測値は、掬い上げ部56aの重量Ws0と半田の重量W2との合算値であることから、主制御部91は、記憶部92から重量Ws0を読み出し、これを印刷後計測値から重量Ws0を差し引くことで半田の重量W2を算出する(ステップS36)。
【0063】
こうして、第1印刷を行った後に生産用マスクMp上に存在しているロール状の半田の重量W2が求まると、掬い上げユニット56により掬い上げた半田の生産用マスクMpへの取り降ろしが実行される(ステップS37)。それと並行して、主制御部91は、次式、
Wu=(W1-W2)/m
により、基板1枚当たりに消費される半田の単位消費量Wuを算出する(ステップS38)。さらに、主制御部91は、生産用マスクMpの品種と関連付けながら単位消費量Wuを図6に示す単位消費量テーブルに追加記録し、記憶部92の単位消費量テーブルを更新する(ステップS39)。
【0064】
単位消費量の取得処理(ステップS3)が完了すると、図4に示すように、生産用マスクMpを使用して(m+1)枚目以降の印刷を続ける。一方、単位消費量Wuが記録済である(ステップS2で「YES」)場合には、第1印刷をパスして第2印刷が実行される。このように第1印刷の有無が相違するものの、第2印刷(ステップS4)では、常に単位消費量Wuに基づいて半田の消費総量を監視しつつ実行される。つまり、ステップS4で基板Bへの半田印刷(ステップS4a)が完了すると、主制御部91は、次式
(半田の消費総量)=単位消費量Wu×(印刷枚数)
に基づいて半田の消費総量を算出し、それを閾値Wthと比較する(ステップS4b)。ここで、例えば図7に示すように、印刷枚数(n-1)のときの半田の消費総量W(n-1)が閾値Wth以下である(ステップS4bで「YES」)場合、主制御部91は生産用マスクMp上には、少なくとも1枚以上の基板Bを印刷するのに十分な半田が残っていると判断し、第2印刷(ステップS4a)を繰り返す。
【0065】
一方、同図に示すように、印刷枚数nのときの半田の消費総量Wnが閾値Wthを超えている(ステップS4で「NO」)場合、主制御部91は生産用マスクMp上には、次の基板B、つまり(n+1)枚目の基板Bを印刷するのに十分な半田が残っていないと判断し、第2印刷(ステップS4a)を中止する。そして、主制御部91は、n枚の基板Bを印刷するのに消費したと同様の半田の重量Wn(=Wu×n)を補給量として算出する(ステップS5)。それに続いて、主制御部91は、ステップS5で算出した消費総量Wnに相当する重量の半田を補給する旨を表示部97に表示することで、オペレータに半田補給を指示する(ステップS6)。
【0066】
なお、図7に示すように、当該指示に基づく半田補給が行われた後で、印刷が再開された場合、印刷再開後においては、主制御部91は、第1印刷を行わず、単位消費量テーブルに記録済の消費総量Wnに基づいて半田の消費総量監視しつつ第2印刷を繰り返して実行する。そして、例えば同図に示すように、印刷再開からp枚の印刷を行い、半田の消費総量Wpが閾値Wthを超えると、主制御部91は、半田の補給量を算出する(ステップS5)とともにオペレータに半田補給を指示する(ステップS6)。
【0067】
以上のように、本実施形態では、第1印刷前後の半田の重量W1、W2をそれぞれ印刷前情報および印刷後情報として算出し、それらの差分を第1印刷における印刷枚数mで割ることによって、半田の単位消費量Wuを算出している。したがって、従来技術よりも高い精度で基板Bを1枚印刷する毎に消費される半田量、つまり単位消費量Wuを算出することができる。
【0068】
また、第2印刷毎に、半田の消費総量を算出し、これを閾値Wthと比較することで、半田の補給タイミングを求めている。したがって、適切なタイミングで半田の補給を実行することができる。その結果、基板Bへの半田の印刷を円滑に行うことができ、印刷装置1の稼働率を高めることができる。
【0069】
さらに、半田補給を要求する際には、単位消費量算出部により算出された単位消費量に、第1印刷および第2印刷において印刷された基板の総数を掛け合わせた量を補給情報として補給要求と一緒にオペレータに知らせるのが望ましい。このような補給情報付の補給要求により、補給後における生産用マスクMp上の半田の量が適正化され、高い印刷品質が得られる。
【0070】
このように第1実施形態では、生産用マスクMpが本発明の「マスク」の一例に相当している。また、半田が本発明の「塗布材」の一例に相当している。また、半田の重量W1、W2がそれぞれ本発明の「塗布材の印刷前重量」および「塗布材の印刷後重量」の一例に相当している。
【0071】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態では、ロードセルの計測結果をそのまま印刷前計測値や印刷後計測値として利用しているが、ロードセルは常時掬い上げ部56aと接続されているため、ゼロ点調整を行ってもよい(第2実施形態)。この場合、ロードセルの計測結果がそのまま半田の重量W1、W2となり、印刷前計測値や印刷後計測値がそれぞれ「印刷前情報」および「印刷後情報」に相当する。
【0072】
また、掬い上げ部56aの経時的な重量変化はゼロか極少であるため、ロードセルの印刷前計測値(=W1+Ws0)および印刷後計測値(=W2+Ws0)をそのまま「印刷前情報」および「印刷後情報」として用いてもよい(第3実施形態)。
【0073】
また、上記実施形態では、半田を掬い上げる前の掬い上げ部56aに半田が残留付着していない、あるいは付着したとしても残留付着量が極少であることを想定している。しかしながら、残留付着量が比較的多く、あるいは例えば図8に示すように、第1印刷前に残留付着している半田Ss1の重量Ws1と、第1印刷後に残留付着している半田Ss2の重量Ws2と、が相違していることがある。これらの場合、半田の残留付着を考慮した上で、単位消費量を取得するのが望ましい(第4実施形態)。なお、重量Ws1、重量Ws2は、それぞれ本発明の「印刷前付着重量」および「印刷後付着重量」の一例に相当している。
【0074】
図9は、本発明に係る印刷装置の第4実施形態における単位消費量の取得処理を示すフローチャートである。以下、図8および図9を参照しつつ第4実施形態について説明する。この第4実施形態が第1実施形態と大きく相違する点は、生産用マスクMp上の半田のみならず掬い上げ部56aに付着している半田を含めて半田の重量を算出している点である。その他の構成は基本的に第1実施形態と同様である。以下、相違点を中心に説明する一方で、同一構成については、同一符号を付して説明を省略する。
【0075】
第4実施形態における単位消費量の取得処理では、第1実施形態と同様に、掬い上げユニット56により半田の掬い上げが実行される(ステップS31)。主制御部91は、第1重量計測部56bを構成するロードセルの計測結果を印刷前計測値として受け取る。ここでは、図8(a)に示すように、上記掬い上げ直前において掬い上げ部56aに半田Ss1が付着している。したがって、半田の掬い上げ直後に第1重量計測部56bに計測される印刷前計測値は、掬い上げ部56aの重量Ws0と、残留付着した半田Ss1の重量Ws1と、掬い上げた半田S1の重量W1との合計値(以下「印刷前合計値」と称する)WL1となる。そこで、主制御部91は、印刷前計測値から重量Ws0を差し引くことで半田の重量(W1+Ws1)を算出する(ステップS32A)。
【0076】
それに続いて、ステップS33と同様にして、掬い上げユニット56により掬い上げた半田(S1+Ss1)の生産用マスクMpへの取り降ろしが実行される。ただし、半田の一部は、同図(b)の「掬い上げ直前」の欄に示すように、掬い上げ部56aに残留付着し、生産用マスクMp上に取り降ろされる半田S1’は半田S1と異なることがある。
【0077】
それに続いて、主制御部91は、第1実施形態と同様に、予めオペレータに指定された印刷枚数mだけ基板Bの印刷を実行する(ステップS34)、第1印刷を実行する。その結果、図8に示すように、半田S1’の一部が印刷に供せられ、生産用マスクMp上の半田S2の重量W2は印刷前の半田S1’の重量よりも減少する。一方、掬い上げ部56aに残留付着する半田Ss2の重量Ws2は、半田の粘性や掬い上げ部56aに対する半田の濡れ性などにより変動する。
【0078】
そこで、第4実施形態では、第1実施形態のステップS35と同様に、主制御部91は、掬い上げユニット56により生産用マスクMp上の半田S2を掬い上げる。これにより、掬い上げ部56aに保持される半田は、図8(b)の「掬い上げ直後」の欄に示すように、半田S2と残留付着半田Ss2となる。そして、主制御部91は、第1重量計測部56bを構成するロードセルの計測結果を印刷後計測値として受け取る。ここでは、同欄に示すように、上記掬い上げ直前において掬い上げ部56aに半田Ss2が付着している。したがって、半田の掬い上げ直後に第1重量計測部56bに計測される印刷前計測値は、掬い上げ部56aの重量Ws0と、残留付着した半田Ss2の重量Ws2と、掬い上げた半田S2の重量W2との合計値(以下「印刷後合計値」と称する)WL2となる。そこで、主制御部91は、印刷後計測値から重量Ws0を差し引くことで半田の重量(W2+Ws2)を算出する(ステップS36A)。
【0079】
こうして、第1印刷を行った後の半田(S2+Ss2)の重量(W2+Ws2)が求まると、掬い上げユニット56により掬い上げた半田の生産用マスクMpへの取り降ろしが実行される(ステップS37)。それと並行して、主制御部91は、次式
Wu=((W1+Ws1)-(W2+Ws2))/m
により単位消費量Wuを算出する(ステップS38A)。さらに、主制御部91は、生産用マスクMpの品種と関連付けながら単位消費量Wuを図6に示す単位消費量テーブルに追加記録し、記憶部92の単位消費量テーブルを更新する(ステップS39)。
【0080】
以上のように、第4実施形態によれば、残留付着している半田Ss1、Ss2の影響を受けることなく、半田の単位消費量Wuをさらに正確に算出することができる。
【0081】
また、上記実施形態では、図7に示すように第1印刷を行った時点において半田の消費総量Wmは閾値Wthを超えていない。しかしながら、例えば図10に示すように、消費総量Wmが閾値Wthを超えることがある。そこで、印刷後情報の算出(ステップS36)後に、消費総量Wmが閾値Wthを超えているか否かを判定し、超えている場合、第2印刷(ステップS4)をスキップして補給量の算出(ステップS5)および半田の補給指示(ステップS6)を実行してもよい(第5実施形態)。この第5実施形態によれば、適切なタイミングで半田の補給が実行され、基板Bへの半田の印刷を円滑に行うことができ、印刷装置1の稼働率を高めることができる。
【0082】
また、上記第1実施形態ないし第3実施形態では第1印刷前後に生産用マスクMpから掬い上げた半田の重量に相当する印刷前情報および印刷後情報に基づき単位消費量を求め、第4実施形態では第1印刷前後に生産用マスクMpから掬い上げた半田と掬い上げ部56aに付着する半田との合計値に相当する印刷前合計値および印刷後合計値に基づき単位消費量を求めている。ここで、半田の付着先には、スキージ51が含まれることがある。したがって、スキージ51に付着する半田の重量が第1印刷前後で変動すると、その変動量が単位消費量の算出に影響を及ぼす可能性がある。
【0083】
そこで、この点を考慮して単位消費量を求めるように構成してもよい。例えば図11に示すように、スキージ51に対してロードセルなどにより構成される第2重量計測部51aを接続することで、第1印刷前においてスキージ51に付着する半田S51の重量に関連する情報(以下「スキージ印刷前情報」という)と、第1印刷後においてスキージ51に付着する半田S51’の重量に関連する情報(以下「スキージ印刷後情報」という)とを取得することが可能となる。このため、第1実施形態ないし第3実施形態において、印刷前情報にスキージ印刷前情報を加えて補正した値と、印刷後情報にスキージ印刷後情報を加えて補正した値とに基づいて単位消費量を求めてもよい。より具体的には、補正された印刷前情報と補正された印刷後情報との差分に基づき単位消費量を求めてもよい(第6実施形態)。また、第4実施形態において、印刷前合計値にスキージ印刷前情報を加えて補正した値と、印刷後合計値にスキージ印刷後情報を加えて補正した値とに基づき単位消費量を求めてもよい(第7実施形態)。このように、スキージ印刷前情報およびスキージ印刷後情報をさらに加味することで、単位消費量をより高精度に算出することが可能となる。
【0084】
また、生産用マスクMpから半田を掬い上げた際に、生産用マスクMpに残留する半田(例えば図12中の符号Smp、Smp’)についても加味して補正した上で単位消費量を求めるのが好適である。例えば図12に示すように、生産用マスクMpおよび生産用マスクMpに付着する半田の重量を計測可能なロードセルなどにより構成される第3重量計測部57を設けることで、第1印刷前の掬い上げ動作において生産用マスクMpに残留する半田Smpの重量に関連する情報(以下「マスク印刷前情報」という)と、第1印刷後の掬い上げ動作において生産用マスクMpに残留する半田Smp’の重量に関連する情報(以下「マスク印刷後情報」という)とを取得することが可能となる。そして、第1実施形態ないし第3実施形態、および第6実施形態において、マスク印刷前情報をさらに加えて補正した値(本発明の「補正された印刷前情報」に相当)と、マスク印刷後情報をさらに加えて補正した値(本発明の「補正された印刷後情報」に相当)との差分に基づき単位消費量を求めてもよい(第8実施形態)。また、第4実施形態および第7実施形態において、マスク印刷前情報をさらに加えて補正した値(本発明の「補正された印刷前情報」に相当)と、マスク印刷後情報をさらに加えて補正した値(本発明の「補正された印刷後情報」に相当)とに基づき単位消費量を求めてもよい(第9実施形態)。このように、マスク印刷前情報およびマスク印刷後情報をさらに加味することで、単位消費量をさらに高い精度で算出することができる。
【0085】
さらに、上記実施形態では、本発明の「塗布材」として半田を用いる印刷装置に本発明を適用しているが、半田以外の塗布材、例えばインクなどの印刷材料を塗布する印刷装置に対して本発明を適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
この発明は、マスクに対してスキージを摺動させてマスクに設けられた開口部を介してマスク上の塗布材を基板に印刷する印刷技術全般に適用することができる。
【符号の説明】
【0087】
1…印刷装置
51a…第2重量計測部
56a…掬い上げ部(塗布材移載部)
56b…第1重量計測部
57…第3重量計測部
91…主制御部(印刷前情報取得部、印刷後情報取得部、単位消費量算出部、消費総量算出部、補給要求部)
92…記憶部
B…基板
m…印刷枚数
P1…開口部
S1、S1’、S2…(生産用マスク上の)半田
S51、S51’…(スキージに付着する)半田
Ss1…(印刷前の残留付着する)半田
Ss2…(印刷後の残留付着する)半田
Smp、Smp’…(半田の掬い上げ後においてマスクに残留付着する)半田
W1…印刷前重量
W2…印刷後重量
WL1…印刷前合計値
WL2…印刷後合計値
Mp…(生産用)マスク
Ws0…(掬い上げ部の)重量
Ws1…印刷前付着重量
Ws2…印刷後付着重量
Wu…単位消費量
Wth…閾値

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12