(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-02-02
(45)【発行日】2024-02-13
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/14 20120101AFI20240205BHJP
【FI】
G06Q20/14
(21)【出願番号】P 2021193996
(22)【出願日】2021-11-30
【審査請求日】2022-03-11
(73)【特許権者】
【識別番号】500257300
【氏名又は名称】LINEヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【氏名又は名称】沖田 壮男
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】若松 孝
(72)【発明者】
【氏名】末吉 幸太
(72)【発明者】
【氏名】原口 智孝
(72)【発明者】
【氏名】田村 賢斗
(72)【発明者】
【氏名】守重 義人
(72)【発明者】
【氏名】笹山 裕矢
(72)【発明者】
【氏名】田中 康貴
(72)【発明者】
【氏名】市丸 朋史
【審査官】加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-166434(JP,A)
【文献】国際公開第2019/171699(WO,A1)
【文献】特開2020-021150(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108416669(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象のユーザの特徴を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記対象のユーザの特徴を学習済モデルに入力して、前記学習済モデルが出力した出力結果に基づいて、前記対象のユーザに対して行う督促のアクションを決定する決定部と、を備え、
前記学習済モデルは、過去にユーザに対して行われた督促のアクションに対する返済実績と前記ユーザの特徴とが関連付けられた学習情報が学習されたモデルであ
り、
前記ユーザの特徴は、債権残高、前記ユーザに対して設定された利用の限度額、前記限度額に対して利用されている消化度合、および未回収時の回収実績を含む、
情報処理装置。
【請求項2】
前記学習済モデルは、スコアを出力し、
前記決定部は、前記スコアが第1閾値以上である場合、督促のアクションをロボットコールに決定し、前記スコアが第1閾値未満である場合、督促のアクションをロボットコールに決定せず、
前記第1閾値は、テスト対象のユーザに対してロボットコールを行った結果の回収実績と、前記テスト対象のユーザに対応付けられた前記スコアとに基づいて設定された閾値である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記学習済モデルは、返済実績を有する
前記ユーザの特徴が入力された場合、返済実績を有さない
前記ユーザの特徴が入力された場合に比較して、前記督促のアクションが前記ユーザに対して行われることで前記ユーザから返済を受ける確率が高いことを示す情報を出力する、
請求項1
または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記決定の結果に基づいて、前記対象のユーザに対してロボットコールを行うロボットコール部を更に備える、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記決定部は、前記対象のユーザがロボットコールの対象でない場合、前記対象のユーザに対して前記督促のアクションとして有人架電または訪問を行うと決定する、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
過去にユーザに対して行われた督促のアクションに対する返済実績と前記ユーザの特徴とが関連付けられた学習情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された学習情報を学習して、返済実績を有する
前記ユーザの特徴が入力された場合、返済実績を有さない
前記ユーザの特徴が入力された場合に比較して、前記督促のアクションが前記ユーザに対して行われることで前記ユーザから返済を受ける確率が高いことを示す情報を出力する学習済モデルを生成する学習部と、を備え、
前記ユーザの特徴は、債権残高、前記ユーザに対して設定された利用の限度額、前記限度額に対して利用されている消化度合、および未回収時の回収実績を含む、
情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータが、
対象のユーザの特徴を取得し、
前記取得した前記対象のユーザの特徴を学習済モデルに入力し、
前記学習済モデルが出力した出力結果に基づいて、前記対象のユーザに対して行う督促のアクションを決定し、
前記学習済モデルは、過去にユーザに対して行われた督促のアクションに対する返済実績と前記ユーザの特徴とが関連付けられた学習情報が学習されたモデルであり、
前記ユーザの特徴は、債権残高、前記ユーザに対して設定された利用の限度額、前記限度額に対して利用されている消化度合、および未回収時の回収実績を含む、
情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
対象のユーザの特徴を取得させ、
前記取得させた前記対象のユーザの特徴を学習済モデルに入力させ、
前記学習済モデルが出力した出力結果に基づいて、前記対象のユーザに対して行う督促のアクションを決定させ、
前記学習済モデルは、過去にユーザに対して行われた督促のアクションに対する返済実績と前記ユーザの特徴とが関連付けられた学習情報が学習されたモデルであり、
前記ユーザの特徴は、債権残高、前記ユーザに対して設定された利用の限度額、前記限度額に対して利用されている消化度合、および未回収時の回収実績を含む、
プログラム。
【請求項9】
コンピュータが、
過去にユーザに対して行われた督促のアクションに対する返済実績と前記ユーザの特徴とが関連付けられた学習情報を取得し、
前記取得された学習情報を学習して、返済実績を有する
前記ユーザの特徴が入力された場合、返済実績を有さない
前記ユーザの特徴が入力された場合に比較して、前記督促のアクションが前記ユーザに対して行われることで前記ユーザから返済を受ける確率が高いことを示す情報を出力する学習済モデルを生成し、
前記ユーザの特徴は、債権残高、前記ユーザに対して設定された利用の限度額、前記限度額に対して利用されている消化度合、および未回収時の回収実績を含む、
情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
過去にユーザに対して行われた督促のアクションに対する返済実績と前記ユーザの特徴とが関連付けられた学習情報を取得させ、
前記取得させた学習情報を学習して、返済実績を有する
前記ユーザの特徴が入力された場合、返済実績を有さない
前記ユーザの特徴が入力された場合に比較して、前記督促のアクションが前記ユーザに対して行われることで前記ユーザから返済を受ける確率が高いことを示す情報を出力する学習済モデルを生成させ、
前記ユーザの特徴は、債権残高、前記ユーザに対して設定された利用の限度額、前記限度額に対して利用されている消化度合、および未回収時の回収実績を含む、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、予め保持する滞納者の属性データから、類型ごとに滞納者のグループ化を行い、滞納者グループごとに異なる督促手順の選択基準を用いることを特徴とするシステムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、業務の効率が十分に高いとは言えない場合があった。
【0005】
本発明は、このような事情が考慮されたものであり、業務の効率化に貢献することができる情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、対象のユーザの特徴を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記対象のユーザの特徴を学習済モデルに入力して、前記学習済モデルが出力した出力結果に基づいて、前記対象のユーザに対して行う督促のアクションを決定する決定部と、を備え、前記学習済モデルは、過去にユーザに対して行われた督促のアクションに対する返済実績と前記ユーザの特徴とが関連付けられた学習情報が学習されたモデルである情報処理装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、業務の効率化に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】情報処理装置および学習装置を含む情報処理システム1の機能構成の一例を示す図である。
【
図2】ユーザ情報22の内容の一例を示す図である。
【
図3】ユーザベクトルが生成される処理の一例を示す図である。
【
図4】督促のアクションを決定する処理について説明するための図である。
【
図5】アクション情報26の内容の一例を示す図である。
【
図6】学習データ62の内容の一例を示す図である。
【
図7】情報処理システム1により実行される処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【
図8】有人架電に関するスコアを出力する学習済モデル24Aを用いた処理の一例を示す図である。
【
図10】学習装置50が、上記のフローチャートまたはフローチャートの条件を生成する処理について説明するための図である。
【
図11】比較例の回収率および本実施形態の回収率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、本発明の情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムの実施形態について説明する。
【0010】
[概要]
本実施形態の一態様の情報処理装置は、対象のユーザの特徴を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記対象のユーザの特徴を学習済モデルに入力して、前記学習済モデルが出力した出力結果に基づいて、前記対象のユーザに対して行う督促のアクションを決定する決定部と、を備え、前記学習済モデルは、過去にユーザに対して行われた督促のアクションに対する返済実績と前記ユーザの特徴とが関連付けられた学習情報が学習されたモデルである。
【0011】
学習済モデルは、返済実績を有するユーザの特徴が入力された場合、返済実績を有さないユーザの特徴が入力された場合に比較して、督促のアクションが前記ユーザに対して行われることで前記ユーザから返済を受ける確率が高いこと(或いは低いこと)を示す情報を出力する。
【0012】
[情報処理システム]
図1は、情報処理装置および学習装置を含む情報処理システム1の機能構成の一例を示す図である。情報処理システム1は、例えば、一以上のユーザの端末装置Uと、情報処理装置10と、学習装置50とを備える。情報処理装置10と、学習装置50とをネットワークを介して互いに通信する。情報処理装置10と、端末装置Uとは、ネットワークを介して互いに通信する。ネットワークは、例えば、インターネットやLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、セルラー網などを含む。
【0013】
[端末装置]
情報処理装置10は、スマートフォンやタブレット端末などの通話機能や通信機能等を有するコンピュータ装置である。
【0014】
[情報処理装置]
情報処理装置10は、例えば、情報管理部12と、情報処理部14と、ロボットコール部16と、記憶部20とを備える。情報管理部(「取得部」の一例)12、情報処理部(「決定部」の一例)14、およびロボットコール部16は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。
【0015】
記憶部20は、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SDカード、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disc Drive)、レジスタ等によって実現される。また、記憶部20の一部または全部は、NAS(Network Attached Storage)や外部ストレージサーバ装置等であってもよい。記憶部20には、例えば、ユーザ情報22、学習済モデル24、およびアクション情報26が記憶されている。
【0016】
ユーザ情報22は、ユーザの特徴を示す情報である。
図2は、ユーザ情報22の内容の一例を示す図である。ユーザ情報22は、ユーザの識別情報(ユーザID)に対して、ユーザの債権残高や、借り入れの限度額、利用可能な借入額(利用枠)に対する借入額の度合を示す利用枠消化率、未回収時の回収実績などの情報が対応付けられた情報である。未回収時の回収実績とは、ユーザが指定された期限までに定められた額の金銭を返済しなかった場合に、督促によって返済が行われたか否かを示す情報である。学習済モデル24およびアクション情報26については後述する。
【0017】
情報管理部12は、ユーザ情報22から対象のユーザのユーザ情報22を取得する。情報処理部14は、ユーザ情報22の各項目の内容からユーザベクトル(「ユーザの特徴」の一例)を生成する。ユーザベクトルは、ユーザの特徴を分散表現化したものである。情報管理部12は、例えば、
図3に示すように、対象のユーザの債権残高から債権残高ベクトルを生成し、限度額から限度額ベクトルを生成し、利用枠消化率から利用枠消化率ベクトルを生成し、未回収時の回収実績から未回収時の回収実績ベクトルを生成する。そして、情報管理部12は、各項目に対応するベクトル(ユーザの特徴を分散表現化したもの)を統合したユーザベクトルを生成する。
【0018】
情報処理部14は、ユーザベクトルを学習済モデル24に入力し、学習済モデル24が出力した出力結果に基づいて対象のユーザに対する督促のアクションを決定する。
図4は、督促のアクションを決定する処理について説明するための図である。学習済モデル24は、例えば、ユーザベクトルが入力されると、督促のアクションによる回収確率を示すスコアを出力するモデルである。学習済モデル24の生成手法については後述する。
【0019】
学習済モデル24は、例えば、ロボットコールによる回収確率を示すスコアを出力する。例えば、スコアが高いほどロボットコールによって回収される確率が高い。ロボットコールは、自動音声により架電することであり、オートコールと称されることもある。学習済モデル24は、例えば、機械学習を利用したモデルであって、勾配ブースティングを用いたモデルや、決定木アルゴリズムを用いたモデルであってもよいし、サポートベクターマシンや、ニューラルネットワークを、ディープラーニングなどを用いたモデルであってもよい。
【0020】
情報処理部14は、学習済モデル24が出力した結果に基づいてアクション情報26を生成する。
図5は、アクション情報26の内容の一例を示す図である。アクション情報26は、例えば、ユーザIDに対して、学習済モデル24が出力したスコアや、当該ユーザに対して推奨される督促のアクション、ユーザの端末装置Uの電話番号、督促に関する支払い期日、督促に関する支払い額などの情報が対応付けられた情報である。アクション情報26には、ユーザIDに対してユーザ情報22に含まれる情報や、その他の情報が対応付けられてもいてもよい。
【0021】
アクション情報26のアクションは、情報処理部14が、学習済モデル24が出力した出力結果に基づいて決定したアクションである。情報処理部14は、例えば、学習済モデル24が出力したスコアが第1閾値以上である場合、当該ユーザに対するアクションをロボットコールに決定する。情報処理部14は、例えば、学習済モデル24が出力したスコアが第1閾値未満である場合、当該ユーザに対するアクションをスタッフによる架電(有人架電)に決定する。
【0022】
なお、第1閾値は、例えば、実施テストによって求められた値である。実施テストによって求められた値とは、実施テストの対象のユーザに対してロボットコールを行って、ロボットコールによる回収実績に基づいて決定された閾値である。例えば、スコア「0.7」以上のユーザに対するロボットコールによる回収実績が高い傾向(回収率が閾値である傾向)である場合、スコア「0.7」が第1閾値とされる。
【0023】
情報処理部14は、学習済モデル24が出力したスコアが第2閾値以下である場合、当該ユーザに対するアクションを訪問に決定してもよい。訪問とは、督促のためにユーザの居所に訪問することである。
【0024】
ロボットコール部16は、アクション情報26を参照して、督促のアクションがロボットコールのユーザの電話番号に対して自動で電話を掛け自動音声でユーザへの督促を行う。ロボットコール部16は、例えば、自動音声でユーザの支払い期日や、支払い額を案内する。
【0025】
[学習装置]
図1の説明に戻る。学習装置50は、過去にユーザに対して行われた督促のアクションに対する返済実績と前記ユーザの特徴とが関連付けられた学習データ(学習情報)を学習して、返済実績を有するユーザの特徴が入力された場合、返済実績を有さないユーザの特徴が入力された場合に比較して、督促のアクションがユーザに対して行われることでユーザから返済を受ける確率が高いことを示す情報を出力する学習済モデルを生成する。
【0026】
学習装置50は、例えば、情報取得部52と、学習部54と、提供部56と、記憶部60とを備える。学習部54、および提供部56は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。各構成要素の機能については後述する。
【0027】
記憶部60には、例えば、学習データ62、モデル情報64、および学習済モデル66が記憶されている。学習データ62は、学習部54が学習に用いる情報である。
図6は、学習データ62の内容の一例を示す図である。学習データ62は、ユーザIDに対して、ユーザの債権残高や、借り入れの限度額、利用枠消化率、未回収時の回収実績などの情報と、ロボットコールによる回収実績を示す情報とが対応付けられた情報である。ロボットコールによる回収実績を示す情報とは、ユーザが指定された期限までに定められた額の金銭を返済しなかった場合に、ロボットコールによる督促によって返済が行われたか否かを示す情報である。
【0028】
モデル情報64は、学習済モデル24が学習データ62によって学習される前のモデルである。学習済モデル66は、学習部54が学習データ62とモデル情報64とに基づいて生成したモデルである。
【0029】
情報取得部52は、過去にユーザに対して行われた督促のアクションに対する返済実績と前記ユーザの特徴とが関連付けられた学習データ62を取得する。
【0030】
学習部54は、学習データ62に含まれる情報からユーザベクトルを生成する。学習部54は、ユーザベクトルをモデル情報64に入力すると、ユーザベクトルのユーザのロボットコールによる回収実績に対応するスコアを出力するようにモデル情報64を生成する。学習部54は、ロボットコールによる回収実績を有するユーザのユーザベクトルがモデル情報64に入力されると、回収確率が高いスコアを出力するようにモデル情報64に含まれるパラメータを調整する。学習部54は、この調整を繰り返して正答率が所定度合以上であるモデル情報64(学習済モデル66、24)を生成する。
【0031】
提供部56は、学習済モデル66を情報処理装置10に提供する。情報処理装置10は、提供された学習済モデル66を学習済モデル24として記憶部20に記憶させる。
【0032】
なお、上記の情報処理装置10で実行された機能のうち、一部または全部の機能は他の装置(例えば学習装置50)で実行されてもよい。また、上記の学習装置50で実行された機能のうち、一部または全部の機能は他の装置(例えば情報処理装置10)で実行されてもよい。更に、同様に、情報処理装置10の記憶部20または学習装置50の記憶部60に記憶されている情報は、他の装置の記憶部に記憶されていてもよい。上記のように、情報処理システム1に含まれる機能構成等は分散して設けられてもよい。
【0033】
[シーケンス図]
図7は、情報処理システム1により実行される処理の流れの一例を示すシーケンス図である。まず、学習装置50が、学習データを取得し(S10)、取得した学習データを用いて学習を行って学習済モデル24(学習済モデル66)を生成する(S12)。次に、学習装置50は、生成した学習済モデル24を情報処理装置10に提供する(S14)。
【0034】
次に、情報処理装置10が、提供された学習済モデル24を用いてユーザごとの督促のアクションを決定し(S16)、決定したアクションに応じた対応をユーザに対して行う。例えば、情報処理装置10は、決定した督促のアクションがロボットコールである場合、対象のユーザの端末装置Uにロボットコールを行う(S18)。
【0035】
上記のように、情報処理装置10が、ロボットコールを行うことが適切なユーザに対してロボットコールを行うことにより、ロボットコールによって回収実績が向上することが期待でき、業務の効率化に貢献できる。
【0036】
[学習済モデルの他の一例(1)]
上記の説明では、学習済モデル24は、ロボットコールが適切なアクションであるか否かを示すスコアを出力するものとして説明したが、これに代えて(または加えて)、学習済モデル24は、有人架電が適切なアクションであるか否かを示すスコアを出力するものであってもよい。
【0037】
図8は、有人架電に関するスコアを出力する学習済モデル24Aを用いた処理の一例を示す図である。学習済モデル24Aは、例えば、ユーザベクトルが入力されると、有人架電による回収確率を示すスコアを出力するモデルである。例えば、スコアが高いほど有人架電によって回収される確率が高い。学習部54は、ユーザベクトルをモデル情報64に入力すると、ユーザベクトルのユーザの有人架電による回収実績に対応するスコアを出力するようにモデル情報64を生成する。学習部54は、有人架電による回収実績を有するユーザのユーザベクトルがモデル情報64に入力されると、回収確率が高いスコアを出力するようにモデル情報64に含まれるパラメータを調整する。学習部54は、この調整を繰り返して正答率が所定度合以上であるモデル情報64を生成する。このモデル情報64は、学習済モデル24Aである。
【0038】
情報処理装置10は、学習済モデル24Aの出力結果に基づいて、ユーザに対して有人架電を行うことが適切であるか否かを判定する。情報処理装置10は、有人架電が適切である場合、対象のユーザの端末装置Uに有人架電を行うための処理を行う。有人架電を行うための処理とは、有人架電を行うユーザのリストに、当該ユーザをリストアップする処理や、有人架電を行うオペレータに当該ユーザが有人架電の対象であることを示す情報を通知する処理等である。
【0039】
また、情報処理装置10は、上記の学習済モデル24、24Aの他に、督促のアクションに応じた学習済モデルを用いて、対象のユーザに対するアクションを決定してもよい。例えば、督促のアクションが訪問である場合、情報処理装置10は、訪問による回収確率を示すスコアを出力するモデルを用いて、訪問が当該ユーザにとって適切であるかを判定する。この場合、学習済モデルは、訪問による回収実績を有するユーザのユーザベクトルがモデル情報64に入力されると、回収確率が高いスコアを出力するように学習データが学習されたモデルである。
【0040】
例えば、督促がメールまたはショートメールによる通知である場合、情報処理装置10は、メールまたはショートメールによる回収確率を示すスコアを出力するモデルを用いて、メールまたはショートメールが当該ユーザにとって適切であるかを判定する。この場合、学習済モデルは、メールまたはショートメールによる回収実績を有するユーザのユーザベクトルがモデル情報64に入力されると、回収確率が高いスコアを出力するように学習データが学習されたモデルである。
【0041】
[学習済モデルの他の一例(2)]
学習済モデルは、例えば、
図9に示すようなユーザ情報と一以上の条件とを用いてユーザにとって適切な督促のアクションを決定するためのモデルであってもよい。
図9は、学習済モデルの他の一例を示す図である。
【0042】
例えば、上記のフローチャートにおいて、ユーザ情報が第1条件(例えば債権残高が第1所定値以下であること)、第2条件(例えば限度額が第2所定値以下であること)、第3条件(例えば利用枠消化率が第3所定値以下であること)を満たす場合、ロボットコールで回収できる確率が高いと判定される(S100、S102、S104、S106)。ユーザ情報が第1条件および第2条件を満たすが、第3条件を満たさない場合、ロボットコールで回収できる確率が中適度と判定される(S100、S102、S104、S108)。ユーザ情報が第1条件を満たさない、または第1条件を満たすが第2条件を満たさない場合、ロボットコールで回収できる確率が低いと判定される(S100、S102、S110)。
【0043】
上記のフローチャートまたはフローチャートの条件は、学習装置50により生成される。
図10は、学習装置50が、上記のフローチャートまたはフローチャートの条件を生成する処理について説明するための図である。例えば、学習装置50は、複数のユーザ情報に対して統計的処理を行って、例えば、上記のフローチャートの条件を導出する。学習装置50は、例えば、ユーザ情報の各項目(例えば債権残高、限度額、利用枠消化率)を軸とした多次元グラフに、ユーザ情報のそれぞれを当てはめる。情報処理装置10は、例えば、ロボットコールによる回収実績が高いユーザ情報と、ロボットコールによる回収実績が高くないユーザ情報との境界を導出する。領域ARは、導出された境界によって区画された領域の一例である。情報処理装置10は、上記の境界に基づいて、第1条件-第3条件を導出する。例えば、情報処理装置10は、ロボットコールによる回収実績が高い領域と、中程度の領域と、低い領域とを導出し、各項目に応じて、ユーザがこれらの領域に分類されるように各条件を導出する。
【0044】
上記のように、情報処理装置10は、ユーザ情報に対して統計的処理を行って学習済モデルを生成することができる。
【0045】
なお、情報処理装置10は、複数の学習済モデルを用いて督促のアクションを決定してもよい。例えば、情報処理装置10は、ロボットコールによる回収確率を示すスコアを出力する学習済モデル、有人架電による回収確率を示すスコアを出力する学習済モデル、および訪問による回収確率を示すスコアを出力する学習済モデルのうち一以上のモデルを用いて督促のアクションを決定してもよい。例えば、情報処理装置10は、各モデルが出力したスコアのうち最も高いスコアを出力した学習済モデルに対応するアクションを督促のアクションに決定してもよいし、各スコアを統計処理した結果に基づいて督促のアクションを決定してもよい。
【0046】
[比較例との比較]
一般的に督促のアクションを決定する場合、人手で作成されたルールに基づいて、ユーザがロボットコールの対象であるか否かが決定されていた(以下、この手法を比較例と称することがある)。この場合、ロボットコールが適切でないユーザがロボットコールの対象であると決定されたり、有人架電が適切でないユーザが有人架電の対象であると決定されてしまう場合があり、ロボットコールによる督促が有効でなかったり、人件費などのコストが余計に掛かってしまったりすることがあった。
【0047】
これに対して、本実施形態の情報処理装置10は、上述したように学習済モデル24を用いて、ユーザがロボットコールの対象であるか否かを決定することにより、より適切にロボットコールの対象のユーザを特定することができる。これにより、人件費を抑制しつつロボットコールによる督促の有効性を向上させることができる。
【0048】
図11は、比較例の回収率および本実施形態の回収率を示す図である。図示するように、本実施形態では、より適切にロボットコールを行うユーザを抽出することができる。これにより、
図11の左図に示すように、比較例ではロボットコールの対象とされていなかったユーザが、本実施形態ではロボットコールの対象とされる。更に、
図11の右図に示すように、本実施形態のユーザに対してロボットコールを行った際の回収率が、比較例の回収率よりも向上する。これにより、人件費を抑制しつつロボットコールによる督促の有効性を向上させることができる。
【0049】
以上説明した実施形態によれば、情報処理装置10が、対象のユーザの特徴を学習済モデル24に入力して、学習済モデル24が出力した出力結果に基づいて対象のユーザに対して行う督促のアクションを決定することにより、業務の効率化に貢献することができる。
【0050】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0051】
1‥情報処理システム
10‥情報処理装置
12‥情報管理部
14‥情報処理部
16‥ロボットコール部
22‥ユーザ情報
24‥学習済モデル
26‥アクション情報
50‥学習装置
52‥情報取得部
54‥学習部
56‥提供部
62‥学習データ